(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】通信料金計算システム及び通信料金計算方法
(51)【国際特許分類】
H04M 15/00 20240101AFI20240809BHJP
【FI】
H04M15/00 G
(21)【出願番号】P 2023097672
(22)【出願日】2023-06-14
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【氏名又は名称】奥 和幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135518
【氏名又は名称】青木 隆
(72)【発明者】
【氏名】舘 豊
【審査官】山中 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-188823(JP,A)
【文献】特開2022-188824(JP,A)
【文献】特開2022-191567(JP,A)
【文献】特開2018-056644(JP,A)
【文献】特開2003-152909(JP,A)
【文献】特開2020-173736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加入者が期間中に消費した通信量に応じて通信料金が定められる移動体通信サービスのネットワークを介して通信される通信データのうち、前記移動体通信サービスの加入者の行動として所定の事業者により指定された指定行動に対応する通信データ
における通信内容を識別するための通信内容識別情報であって、該通信データのペイロードに含まれる通信内容識別情報を示す
シグネチャを取得する
シグネチャ取得手段と、
前記移動体通信サービスのネットワークを通過中の前記通信データを検査することにより、前記ネットワークを通過する前記通信データから、前記取得された
シグネチャにより示される
前記通信内容識別情報を
含む前記通信データを検出する検出手段と、
前記取得されたシグネチャにより示される前記通信内容識別情報を含む前記通信データが前記検出手段により検出された場合、予め定められた減算額
であって、該シグネチャに対応する減算額を
、該減算額を記憶する記憶手段から取得する減算額取得手段と、
前記移動体通信サービスの加入者のうち、前記検出された通信データの送信元又は送信先となる通信加入者が前記期間の開始時点から消費した消費通信量に応じた通信料金から、前記取得された減算額を減算することにより、前記通信加入者への提示用の提示通信料金を計算する計算手段と、
を備えることを特徴とする通信料金計算システム。
【請求項2】
前記計算された提示通信料金を提示可能に、前記提示通信料金を、該提示通信料金が計算された前記通信加入者の端末装置へ送信する送信手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の通信料金計算システム。
【請求項3】
前記移動体通信サービスの通信料金は、前記通信量が増加するに従って段階的に高くなることを特徴とする請求項1に記載の通信料金計算システム。
【請求項4】
前記期間中に加入者が消費した前記消費通信量に応じた通信料金が、前記移動体通信サービスから前記加入者に請求され、
前記移動体通信サービスと異なる所定サービスであって、該所定サービスの会員は所定のポイントプログラムを利用可能である所定サービスの会員が、前記移動体通信サービスの加入者である場合があり、
前記移動体通信サービスは、該移動体通信サービスの加入者を前記所定サービスの会員として識別するための会員識別情報とは異なる加入者識別情報を用いて、前記加入者を識別することが可能であり、
前記ポイントプログラムのシステムは、前記所定サービスの会員が有するポイントの数を示す保有ポイント数を、前記会員の前記会員識別情報に関連付けて管理しており、
前記消費通信量に応じた通信料金と前記計算された提示通信料金との間に料金差がある場合、該料金差に相当するポイント数を、前記通信加入者を前記所定サービスの会員として識別するための前記会員識別情報に関連付けられた前記保有ポイント数に加算させる加算制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の通信料金計算システム。
【請求項5】
前記検出手段は、前記通信データが前記ネットワークを通過するごとに動作することを特徴とする請求項1に記載の通信料金計算システム。
【請求項6】
前記計算手段により前記通信料金を減額するための費用を、前記事業者の広告費に計上する計上手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の通信料金計算システム。
【請求項7】
前記指定行動は、前記移動体通信サービスの加入者の端末装置にインストール可能な所定のアプリケーションをダウンロードして実行することであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の通信料金計算システム。
【請求項8】
前記アプリケーションは、該アプリケーションの実行中に前記端末装置に他の装置と通信させるアプリケーションであり、
前記取得される
シグネチャは、前記アプリケーションのダウンロードに対応する第1
シグネチャ及び前記アプリケーションの実行に対応する第2
シグネチャを含み、
前記計算手段は、前記第1
シグネチャにより示される
前記通信内容識別情報を
含む前記通信データが前記検出手段により検出された後に、前記第2
シグネチャにより示される
前記通信内容識別情報を
含む前記通信データが前記検出手段により検出された場合、前記提示通信料金を計算することを特徴とする請求項7に記載の通信料金計算システム。
【請求項9】
前記指定行動は、前記移動体通信サービスの加入者の端末装置が実行可能な所定のアプリケーションを所定時間以上利用することであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の通信料金計算システム。
【請求項10】
前記アプリケーションは、該アプリケーションの実行中に前記端末装置に他の装置と通信させるアプリケーションであり、
前記計算手段は、前記取得された
シグネチャにより示される
前記通信内容識別情報を
含む前記通信データが所定間隔未満の時間間隔で前記検出手段により検出された検出期間の長さが所定時間以上である場合、前記提示通信料金を計算することを特徴とする請求項9に記載の通信料金計算システム。
【請求項11】
前記指定行動は、所定のウェブサイトの閲覧であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の通信料金計算システム。
【請求項12】
前記
シグネチャ取得手段は、第1の前記事業者と第2の前記事業者とを含む複数の前記事業者によりそれぞれ指定された複数の前記指定行動のそれぞれに対応する複数の前記
シグネチャを取得可能であり、
前記検出手段は、前記複数の
シグネチャのそれぞれについて、前記
シグネチャより示される前記
通信内容識別情報を
含む前記通信データを検出し、
前記第1の事業者により指定された前記指定行動の種類は、前記第2の事業者により指定された前記指定行動の種類と異なることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の通信料金計算システム。
【請求項13】
前記検出手段は、前記ネットワークを通過する前記通信データを、ディープパケットインスペクションで検査することにより、前記取得された
シグネチャにより示される前記
通信内容識別情報を
含む前記通信データを検出することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の通信料金計算システム。
【請求項14】
コンピュータにより実行される通信料金計算方法において、
加入者が期間中に消費した通信量に応じて通信料金が定められる移動体通信サービスのネットワークを介して通信される通信データのうち、前記移動体通信サービスの加入者の行動として所定の事業者により指定された指定行動に対応する通信データ
における通信内容を識別するための通信内容識別情報であって、該通信データのペイロードに含まれる通信内容識別情報を示す
シグネチャを取得する
シグネチャ取得ステップと、
前記移動体通信サービスのネットワークを通過中の前記通信データを検査することにより、前記ネットワークを通過する前記通信データから、前記取得された
シグネチャにより示される
前記通信内容識別情報を
含む前記通信データを検出する検出ステップと、
前記取得されたシグネチャにより示される前記通信内容識別情報を含む前記通信データが前記検出ステップにおいて検出された場合、予め定められた減算額
であって、該シグネチャに対応する減算額を
、該減算額を記憶する記憶手段から取得する減算額取得ステップと、
前記移動体通信サービスの加入者のうち、前記検出された通信データの送信元又は送信先となる通信加入者が前記期間の開始時点から消費した消費通信量に応じた通信料金から、前記取得された減算額を減算することにより、前記通信加入者への提示用の提示通信料金を計算する計算ステップと、
を含むことを特徴とする通信料金計算方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信サービスを利用したデータ通信の料金を計算する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体通信サービスが提供するデータ通信サービスについて、様々な料金プランがあることが知られている。例えば、従量制の料金プランが知られている。従量制の料金プランでは、期間中(例えば1ヶ月間等)の通信量に応じて、ユーザが負担する通信料金が変わる。例えば、通信量が増加するに従って、通信料金が段階的に高くなる料金プランがある。
【0003】
また、ユーザが支払うべき通信料金を、そのユーザの行動に応じて、広告主等の事業者の負担により減額する技術が知られている。例えば、特許文献1には、広告サービスを提供する事業体が、携帯端末に表示された広告をユーザがクリックすると、そのユーザにポイントを付与したり、ユーザが広告をクリックすることに応じて自動的に広告主の店に電話がかけられると、そのユーザにポイントを付与したりすることが開示されている。また、特許文献1には、事業体は、付与されたポイントの全部又は一部を、広告閲覧に係るデータ通信料金の減額に用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、広告等のデータを配信するシステムに、通信料金を減額するための処理を実装する必要があった。そのため、通信料金の減額対象となるユーザの行動の種類を追加するごとに、その種類の行動に対応する処理を行うシステムに、通信料金を減額するための処理を実装する必要がある。
【0006】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、その課題の一例は、指定された行動をユーザがとることに応じてそのユーザの通信料金を減額するための処理を統一的に行うことを可能とする通信料金計算システム及び通信料金計算方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の側面は、加入者が期間中に消費した通信量に応じて通信料金が定められる移動体通信サービスのネットワークを介して通信される通信データのうち、前記移動体通信サービスの加入者の行動として所定の事業者により指定された指定行動に対応する通信データにおける通信内容を識別するための通信内容識別情報であって、該通信データのペイロードに含まれる通信内容識別情報を示すシグネチャを取得するシグネチャ取得手段と、前記移動体通信サービスのネットワークを通過中の前記通信データを検査することにより、前記ネットワークを通過する前記通信データから、前記取得されたシグネチャにより示される前記通信内容識別情報を含む前記通信データを検出する検出手段と、前記取得されたシグネチャにより示される前記通信内容識別情報を含む前記通信データが前記検出手段により検出された場合、予め定められた減算額であって、該シグネチャに対応する減算額を、該減算額を記憶する記憶手段から取得する減算額取得手段と、前記移動体通信サービスの加入者のうち、前記検出された通信データの送信元又は送信先となる通信加入者が前記期間の開始時点から消費した消費通信量に応じた通信料金から、前記取得された減算額を減算することにより、前記通信加入者への提示用の提示通信料金を計算する計算手段と、を備えることを特徴とする
【0008】
この側面によれば、移動体通信サービスのネットワークを通過中の通信データが検査されて、シグネチャにより示される通信内容識別情報を含む通信データが検出される。検出される通信データは、所定の事業者により指定された指定行動を移動体通信サービスの加入者がとることに伴ってその加入者の端末装置が移動体通信サービスのネットワークを介して送信又は受信する通信データであってもよい。シグネチャにより示される通信内容識別情報を含む通信データが検出されると、期間の開始時点からその加入者が消費した通信量に応じた通信料金から、予め定められた減算額が減算されることにより、その加入者への提示用の通信料金が計算される。移動体通信サービスの加入者に関する通信は、通常移動体通信サービスのネットワークを介して行われる。通信料金計算システムは、移動体通信サービスのネットワークを通過中の通信データを捕捉可能となっていればよい。そのため、指定された行動をユーザがとることに応じてそのユーザの通信料金を減額するための処理を統一的に行うことができる。
【0009】
本発明の別の側面は、前記計算された提示通信料金を提示可能に、前記提示通信料金を、該提示通信料金が計算された前記通信加入者の端末装置へ送信する送信手段を更に備えることを特徴とする。
【0010】
この側面によれば、指定された行動を加入者がとることに応じて減額された通信料金を、加入者に提示することができる。
【0011】
本発明の更に別の側面は、前記移動体通信サービスの通信料金は、前記通信量が増加するに従って段階的に高くなることを特徴とする。
【0012】
この側面によれば、通信量に応じて段階的に高くなる通信料金を減額することができる。
【0013】
本発明の更に別の側面は、前記期間中に加入者が消費した前記消費通信量に応じた通信料金が、前記移動体通信サービスから前記加入者に請求され、前記移動体通信サービスと異なる所定サービスであって、該所定サービスの会員は所定のポイントプログラムを利用可能である所定サービスの会員が、前記移動体通信サービスの加入者である場合があり、前記移動体通信サービスは、該移動体通信サービスの加入者を前記所定サービスの会員として識別するための会員識別情報とは異なる加入者識別情報を用いて、前記加入者を識別することが可能であり、前記ポイントプログラムのシステムは、前記所定サービスの会員が有するポイントの数を示す保有ポイント数を、前記会員の前記会員識別情報に関連付けて管理しており、前記消費通信量に応じた通信料金と前記計算された提示通信料金との間に料金差がある場合、該料金差に相当するポイント数を、前記通信加入者を前記所定サービスの会員として識別するための前記会員識別情報に関連付けられた前記保有ポイント数に加算させる加算制御手段を更に備えることを特徴とする。
【0014】
この側面によれば、移動体通信サービスの加入者は、その移動体通信サービスとは異なる所定サービスの会員でもある。移動体通信サービスは、各加入者を、その加入者を識別するための加入者識別情報を用いて識別する。所定サービスは、各会員を、その会員を識別するための会員識別情報を用いて識別する。同一のユーザの加入者識別情報と会員識別情報とは互いに異なってもよい。所定サービスの会員は所定のポイントプログラムを利用可能である。各会員がポイントプログラムで保有するポイント数は、その会員の会員識別情報を用いて管理されている。期間中に加入者が実際に消費した通信量に応じた通信料金が、その加入者に請求される。通信料金の減額に代えて、その通信料金と提示通信料金との料金差に相当する数のポイントが、その加入者に付与される。そのため、移動体通信サービスとは異なるサービスで管理されるその加入者が保有するポイント数への料金差に相当するポイント数の加算により、通信料金を実質的に減額することができる。
【0015】
本発明の更に別の側面は、前記検出手段は、前記通信データが前記ネットワークを通過するごとに動作することを特徴とする。
【0016】
この側面によれば、特徴情報により示される特徴を有する通信データをリアルタイムで検出することができる。
【0017】
本発明の更に別の側面は、前記計算手段により前記通信料金を減額するための費用を、前記事業者の広告費に計上する計上手段を更に備えることを特徴とする。
【0018】
この側面によれば、通信料金を減額するための費用を、広告主としての事業者に負担してもらうことができる。
【0019】
本発明の更に別の側面は、前記指定行動は、前記移動体通信サービスの加入者の端末装置にインストール可能な所定のアプリケーションをダウンロードして実行することであることを特徴とする。
【0020】
この側面によれば、加入者が所定のアプリケーションをダウンロードして実行することで、通信料金が減額される。そのため、アプリケーションの利用者数を増やすことができる。
【0021】
本発明の更に別の側面は、前記アプリケーションは、該アプリケーションの実行中に前記端末装置に他の装置と通信させるアプリケーションであり、前記取得されるシグネチャは、前記アプリケーションのダウンロードに対応する第1シグネチャ及び前記アプリケーションの実行に対応する第2シグネチャを含み、前記計算手段は、前記第1シグネチャにより示される前記通信内容識別情報を含む前記通信データが前記検出手段により検出された後に、前記第2シグネチャにより示される前記通信内容識別情報を含む前記通信データが前記検出手段により検出された場合、前記提示通信料金を計算することを特徴とする。
【0022】
この側面によれば、アプリケーションがダウンロードされる時点では、通信料金はまだ減額されない。その後、アプリケーションが実行されると、通信料金が減額される。
【0023】
本発明の更に別の側面は、前記指定行動は、前記移動体通信サービスの加入者の端末装置が実行可能な所定のアプリケーションを所定時間以上利用することであることを特徴とする。
【0024】
この側面によれば、加入者が所定のアプリケーションを所定時間以上利用することで、通信料金が減額される。そのため、アプリケーションの長時間利用を促進することができる。
【0025】
本発明の更に別の側面は、前記アプリケーションは、該アプリケーションの実行中に前記端末装置に他の装置と通信させるアプリケーションであり、前記計算手段は、前記取得されたシグネチャにより示される前記通信内容識別情報を含む前記通信データが所定間隔未満の時間間隔で前記検出手段により検出された検出期間の長さが所定時間以上である場合、前記提示通信料金を計算することを特徴とする。
【0026】
この側面によれば、アプリケーションの利用により所定間隔未満の時間間隔で通信データが発生している間、その加入者はそのアプリケーションを継続して利用しているとみなされる。アプリケーションが継続して利用された時間の長さが所定時間以上となると、通信料金が減額される。
【0027】
本発明の更に別の側面は、前記指定行動は、所定のウェブサイトの閲覧であることを特徴とする。
【0028】
この側面によれば、加入者が所定のウェブサイトを閲覧すると、通信料金が減額される。そのため、ウェブサイトの閲覧を促進することができる。
【0029】
本発明の更に別の側面は、前記シグネチャ取得手段は、第1の前記事業者と第2の前記事業者とを含む複数の前記事業者によりそれぞれ指定された複数の前記指定行動のそれぞれに対応する複数の前記シグネチャを取得可能であり、前記検出手段は、前記複数のシグネチャのそれぞれについて、前記シグネチャより示される前記通信内容識別情報を含む前記通信データを検出し、前記第1の事業者により指定された前記指定行動の種類は、前記第2の事業者により指定された前記指定行動の種類と異なることを特徴とする。
【0030】
この側面によれば、第1の事業者及び第2の事業者は、互いに異なる種類の行動を指定する。複数の事業者によりそれぞれ指定された行動にそれぞれ対応する複数のシグネチャについて、そのシグネチャにより示される通信内容識別情報を含む通信データが検出される。そのため、互いに異なる種類の行動をそれぞれ加入者がとることに応じて、通信料金を減額することができる。
【0031】
本発明の更に別の側面は、前記検出手段は、前記ネットワークを通過する前記通信データを、ディープパケットインスペクションで検査することにより、前記取得されたシグネチャにより示される前記通信内容識別情報を含む前記通信データを検出することを特徴とする。
【0032】
この側面によれば、通信データを構成するパケットのペイロードが検査される。そのため、通信データの詳細な分析が可能となり、指定された行動に対応する通信データを適切に検出することができる。
【0033】
本発明の更に別の側面は、コンピュータにより実行される通信料金計算方法において、加入者が期間中に消費した通信量に応じて通信料金が定められる移動体通信サービスのネットワークを介して通信される通信データのうち、前記移動体通信サービスの加入者の行動として所定の事業者により指定された指定行動に対応する通信データにおける通信内容を識別するための通信内容識別情報であって、該通信データのペイロードに含まれる通信内容識別情報を示すシグネチャを取得するシグネチャ取得ステップと、前記移動体通信サービスのネットワークを通過中の前記通信データを検査することにより、前記ネットワークを通過する前記通信データから、前記取得されたシグネチャにより示される前記通信内容識別情報を含む前記通信データを検出する検出ステップと、前記取得されたシグネチャにより示される前記通信内容識別情報を含む前記通信データが前記検出ステップにおいて検出された場合、予め定められた減算額であって、該シグネチャに対応する減算額を、該減算額を記憶する記憶手段から取得する減算額取得ステップと、前記移動体通信サービスの加入者のうち、前記検出された通信データの送信元又は送信先となる通信加入者が前記期間の開始時点から消費した消費通信量に応じた通信料金から、前記取得された減算額を減算することにより、前記通信加入者への提示用の提示通信料金を計算する計算ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、指定された行動をユーザがとることに応じてそのユーザの通信料金を減額するための処理を統一的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】一実施形態に係る通信システムSの概要構成の一例を示す図である。
【
図2】データ通信サービスの通信料金の体系の一例を示す図である。
【
図3】一実施形態に係る通信量計算装置1の概要構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】通信量計算装置1のデータベースに記憶される内容の一例を示す図である。
【
図5】一実施形態に係る加入者サポートサーバ2の概要構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】一実施形態に係る請求サーバ3の概要構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】請求サーバ3のデータベースに記憶される内容の一例を示す図である。
【
図8】一実施形態に係る請求サーバ3のデータベースに記憶される内容の一例を示す図である。
【
図9】一実施形態における通信量計算装置1のシステム制御部11の機能ブロックの一例を示す図である。
【
図10】通信料金が減額される様子の一例を示す図である。
【
図11】通信料金が減額される様子の一例を示す図である。
【
図12】通信料金が減額される様子の一例を示す図である。
【
図13】一実施形態における加入者サポートサーバ2のシステム制御部21の機能ブロックの一例を示す図である。
【
図14】データ利用状況画面の一例を示す図である。
【
図15】一実施形態に係る請求サーバ3のシステム制御部31の機能ブロックの一例を示す図である。
【
図16】一実施形態に係る通信量計算装置1のシステム制御部11による通信量更新処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】一実施形態に係る請求サーバ3のシステム制御部31による減算額合計更新処理の一例を示すフローチャートである。
【
図18】携帯端末7がデータ利用状況画面を表示する場合における通信システムSの処理例を示すシーケンス図である。
【
図19】一実施形態に係る請求サーバ3のシステム制御部31による通信料金請求額決定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図20】一実施形態に係る通信システムSの概要構成の一例を示す図である。
【
図21】ポイント管理サーバ8のデータベースに記憶される内容の一例を示す図である。
【
図22】通信料金の減額に代えてポイントが付与される様子の一例を示す図である。
【
図23】データ利用状況画面の一例を示す図である。
【
図24】一実施形態に係る請求サーバ3のシステム制御部31の機能ブロックの一例を示す図である。
【
図25】一実施形態に係る請求サーバ3のシステム制御部31による通信料金請求額決定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[1.第1実施形態]
[1-1.通信システムの構成]
先ず、本実施形態に係る通信システムSの構成及び機能概要について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る通信システムSの概要構成の一例を示す図である。
【0037】
図1に示すように、通信システムSは、通信量計算装置1と、加入者サポートサーバ2と、請求サーバ3と、会員情報管理サーバ4と、アプリケーション配信サーバ5と、複数の事業者サーバ6と、複数の携帯端末7とを備える。通信量計算装置1と加入者サポートサーバ2と請求サーバ3との組み合わせは、本発明の通信料金計算システムに対応してもよい。加入者サポートサーバ2、請求サーバ3、会員情報管理サーバ4、アプリケーション配信サーバ5、及び各事業者サーバ6は、インターネットNIに接続される。各携帯端末7は、移動体通信ネットワークNMに接続可能である。移動体通信ネットワークNMは、例えば所定の移動体通信事業者(MNO)が動体通信サービスを提供するために構築したネットワークであってもよい。移動体通信事業者は、移動体通信サービスとして、通話サービスやデータ通信サービスを提供する。移動体通信のシステムの例として、W-CDMA、CDMA2000、WiMAX等の第3世代のシステム、LTE、WiMAX2等の第4世代通信システム、及び第5世代通信システム等が挙げられる。移動体通信ネットワークNMは、例えばコアネットワークNC及び複数の基地局BSを含んでもよい。コアネットワークNCは、移動体通信ネットワークNMの中核をなすネットワークであってもよい。コアネットワークNCは、携帯端末7によるデータ通信(またはパケット通信)を実現するためのPSCN(Packet Switched Core Network)を含んでもよい。第5世代のシステムが採用される場合、コアネットワークNCは、例えばUPF(User Plane Function)、SMF(Session Management Function)、AMF(Access and Mobility Management Function)、PCF(Policy Control Function)、UDM(Unified Data Management)等のノード若しくは機能を含んでもよい。これらの機能は、例えばクラウドコンピューティングを構成する複数のサーバ装置で仮想的に実現されてもよい。各基地局BSはコアネットワークNCに接続される。各基地局BSは、携帯端末7と無線通信可能であり、携帯端末7とコアネットワークNCとの間の通信を中継する。通信量計算装置1は、コアネットワークNCに接続されるか若しくはコアネットワークNCのノードの一つであってもよい。加入者サポートサーバ2及び請求サーバ3は、例えば図示せぬ課金ゲートウェイ等を介して、通信量計算装置1やその他のコアネットワークNC内の装置と接続可能であってもよい。
【0038】
通信量計算装置1は、各携帯端末7が実行するデータ通信により移動体通信サービスの加入者が期間中に消費した通信量を計算する装置であってもよい。期間の長さは、例えば1か月であってもよい。消費された通信量は、期間中にコアネットワークNCを通過した通信データのデータサイズの合計であってもよい。消費された通信量は、消費通信量、データ利用量又はデータ通信量ともいう。通信量計算装置1は、各携帯端末7が移動体通信ネットワークNMを介して送受信するデータを捕捉可能なように、コアネットワークNCに接続されてもよい。移動体通信ネットワークNMを介して送受信されるデータを、通信データともいう。通信量計算装置1は、例えばパケット交換に関わるSGSN(Serving General packet radio service support Node)、GGSN(Gateway General packet radio service support Node)、SGW(Serving Gateway)、PGW(Packet data network Gateway)、UPF又はTDF(Traffic Detection Function)等の機能を担当する装置で実現されてもよい。
【0039】
また、通信量計算装置1は、移動体通信ネットワークNMを介した携帯端末7とインターネットNIとの間の通信内容を検査してもよい。例えば、通信量計算装置1は、コアネットワークNCを通過中の通信データを、主としてDPI(Deep Packet Inspection)を用いて分析してもよい。通信量計算装置1は、通信データを検査した結果、所定の特徴を有する通信データを検出してもよい。所定の特徴を有する通信データを検出した場合、通信量計算装置1は、その通信データの送信元又は送信先の携帯端末7を利用する加入者に請求される通信料金を所定額減額又は控除するための処理を、請求サーバ3に要求してもよい。減額後の通信料金を、提示通信料金ともいう。提示通信料金は、加入者に対して提示されることが予定されている通信料金を示してもよい。例えば、加入者をサポートするためのウェブサイトで提示通信料金が表示されたり、加入者に請求される通信料金として、提示通信料金が加入者に提示されたりしてもよい。減額される金額を、通信料金減算額又は単に減算額という。例えば、広告主となる事業者により、通信料金減額条件が定められていてもよい。通信料金減額条件は、通信料金を減額するための条件として、加入者が如何なる行動をとる必要があるかを示してもよい。この行動を、通信料金減額対象行動ともいう。通信料金減額対象行動は、移動体通信サービスの加入者の行動として広告主により指定された行動であってもよい。通信料金減額対象行動は、その通信料金減額対象行動をとるために、加入者が、携帯端末7を操作して移動体通信ネットワークNMを介した通信を行う必要がある行動であってもよい。そのような行動の種類の例として、ウェブサイトの閲覧、アプリケーション若しくはその他のコンテンツのダウンロード、アプリケーションの実行若しくは利用、動画若しくは音楽の視聴等が挙げられる。アプリケーションは、携帯端末7にインストール可能である。通信料金減額対象行動の対象となるアプリケーションは、そのアプリケーションの実行中に、移動体通信ネットワークNMを介して携帯端末7に他の装置と通信させるアプリケーションであってもよい。携帯端末7の通信相手となる装置の例として、アプリケーション配信サーバ5及び各事業者サーバ6が挙げられる。通信料金減額対象行動は、一般的に広告主に関連する行動であってもよい。例えば、通信料金減額対象行動がウェブサイトの閲覧である場合、そのウェブサイトは、広告主が運営するサイトであってもよい。また、通信料金減額対象行動がアプリケーションに関する行動である場合、そのアプリケーションは、例えば広告主が制作したアプリケーション又は広告主が提供するサービスを利用するためのアプリケーションであってもよい。通信量計算装置1は、そうした行動を加入者がとるときに携帯端末7が受信し又は送信する通信データを検出してよい。
【0040】
加入者サポートサーバ2は、加入者サポートサイトに関する処理を実行するサーバ装置であってもよい。加入者サポートサイトは、移動体通信サービスの各加入者をサポートするためのウェブサイトである。例えば、加入者サポートサーバ2は、携帯端末7からの要求に応じて、契約内容、消費通信量、通信料金等の情報を含むウェブページを携帯端末7へ送信してもよい。また、加入者サポートサーバ2は、上述した事業者の広告を含むウェブページを携帯端末7へ送信してもよい。この広告は、通信料金減額対象行動を加入者に促す情報を含んでもよい。加入者が広告を選択すると、携帯端末7は、その広告により促される行動に応じた画面を表示してもよい。例えば、通信料金減額対象行動がウェブサイトの閲覧である場合、携帯端末7はそのウェブサイトのトップページを表示してもよい。また例えば、通信料金減額対象行動がアプリケーションのダウンロードを含む場合、携帯端末7は、そのアプリケーションをダウンロードするための画面を表示してもよい。広告が表示されるウェブページは、通信料金を減額するあらゆるキャンペーンに加入者がエントリするためのボタンを含んでもよい。加入者がこのボタンを選択すると、携帯端末7は、その加入者の通信データを解析する契約を締結するための文書を含むウェブページを表示してもよい。契約内容に同意する操作を行うことで、加入者は、通信データの解析を承諾することとなる。
【0041】
請求サーバ3は、移動体通信サービスの各加入者へ請求される通信料金を管理するためのサーバ装置であってもよい。本実施形態において、データ通信サービスの通信料金は、期間中の消費通信量に応じて定められる。例えば、消費通信量が増加するに従って通信料金が高くなってもよい。例えば、消費通信量が増加するに従って段階的に通信料金が高くなってもよい。データ通信サービスの通信料金は、通話サービスの通信料金が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
図2は、データ通信サービスの通信料金の体系の一例を示す図である。
図2に示すように、当該月の消費通信量が3GB以下の範囲では、月額通信料金は980円である。消費通信量が3GBを超えて20GB以下の範囲では、月額通信料金は1,980円である。消費通信量が20GBを超える範囲では、月額通信料金は2,980円である。これらの通信料金は、税抜きの料金である。加入者は、20GBを超えて無制限にデータ通信可能であってもよい。
【0042】
また、請求サーバ3は、加入者が通信料金減額対象行動をとったことに応じて、その加入者に請求される通信料金を減額するための処理を実行してもよい。例えば、キャンペーンごとに、減算額が予め定められていてもよい。請求サーバ3は、例えば通信量計算装置1からの要求に応じて、通信料金減額対象行動に対応するキャンペーンで定められた減算額を、それまでの減算額の合計に加算してもよい。請求サーバ3は、消費通信量に応じた通信料金から、その減算額の合計を減算してもよい。
【0043】
更に請求サーバ3は、広告主となっている各事業者に請求される広告料を管理してもよい。広告料は、例えば通信料金減額対象行動を加入者がとることに応じて発生してもよい。
【0044】
会員情報管理サーバ4は、所定サービスの会員に関する情報を管理するサーバ装置であってもよい。この所定サービスを、便宜上、Rサービスという。Rサービスは、上述の移動体通信サービスとは異なるサービスであってもよい。Rサービスの例として、インターネット総合サービス、オンラインショッピングモールにおける商品売買の仲介等が挙げられる。インターネット総合サービスは、複数のサービスを含んでもよい。これらのサービスは、例えばコンピュータネットワークを利用して提供されるサービスであってもよい。そのようなサービスはオンラインサービスを含んでもよい。オンラインサービスは、ウェブサイトを介して提供されてもよい。インターネット総合サービスに含まれるサービスの例として、オンラインショッピング、施設の利用予約サービス、ポイントプログラム、コンテンツ配信、情報検索、キャリア決済、クレジットカード決済、アプリケーション決済、電子マネー、ネット証券、ネット銀行、ソーシャルネットワーキングサービス等が挙げられる。Rサービスを利用するために、各ユーザはRサービスの会員になる必要があってもよい。ユーザが会員になる際に、そのサービスにおいてそのユーザを識別するための情報であるユーザIDが、会員情報管理サーバ4に登録されてもよい。ユーザがRサービスの会員であることを条件として、そのユーザは、その移動体通信サービスに加入することが可能であると定められていてもよいし、そのような条件はなくてもよい。移動体通信サービスを提供する移動体通信事業者と、Rサービスを提供する事業者とは、例えば同一の企業であってもよいし、同一企業グループに含まれる互いに関連する企業であってもよいし、何らかの業務提携又は資本提携を行う企業同士であってもよい。
【0045】
アプリケーション配信サーバ5は、携帯端末7が実行可能な各種アプリケーションを携帯端末7へ配信するサーバ装置であってもよい。例えば、アプリケーション配信サーバ5は、加入者が指定した条件を満たすアプリケーションを検索してもよい。携帯端末7は、検索されたアプリケーションの中から加入者により選択されたアプリケーションをアプリケーション配信サーバ5からダウンロードしてもよい。
【0046】
各事業者サーバ6は、広告主となり得る事業者が情報発信を行ったりサービスを提供したりするため処理を行うサーバ装置であってもよい。事業者サーバ6は、例えばその事業者自身が管理してもよいし、そうではなくてもよい。例えば、少なくとも一の事業者サーバ6は、事業者に関連するウェブサイトに関する処理を実行してもよい。また少なくとも一の事業者サーバ6は、携帯端末7が実行可能なアプリケーションのバックエンド部分の処理を実行してもよい。例えば、事業者サーバ6は、アプリケーションを携帯端末7により適切に動作及び機能させるためのサーバ装置であってもよい。例えば、事業者サーバ6は、アプリケーションに従って携帯端末7から送信されてきた要求に応じた処理を実行し、その処理の結果を携帯端末7へ送信してもよい。携帯端末7は、事業者サーバ6から受信した情報に基づいて画面表示等を行ってもよい。事業者サーバ6を必要とするアプリケーションの例として、オンラインゲーム、ソーシャルゲーム、情報を検索するアプリケーション、地図を表示するアプリケーション、オンラインショッピングで商品を購入するためのアプリケーション、サービスを予約するためのアプリケーション、ネット銀行やネット証券を利用するためのアプリケーション、事業者サーバ6に記憶させたユーザのデータをそのユーザにより編集可能とするアプリケーション等が挙げられる。
【0047】
各携帯端末7は、移動体通信ネットワークNMを介したデータ通信を行う携帯用の端末装置である。例えば、各携帯端末7は、基地局BSと無線通信を行うことでコアネットワークNCを介してインターネットNIに接続する。これにより、携帯端末7は、加入者サポートサーバ2、アプリケーション配信サーバ5、事業者サーバ6等のサーバ装置との間で通信を行う。携帯端末7は、例えば移動体通信ネットワークNMを利用した通話及びデータ通信の両方が可能な携帯電話機(スマートフォンを含む)であってもよいし、データ通信のみが可能な端末装置、例えばタブレット式コンピュータ等であってもよい。各携帯端末7には、例えばSIM(Subscriber Identity Module)カード等のICカードが接続される。このICカードには、携帯端末7を利用するユーザを、移動体通信サービスの加入者として識別するための加入者識別情報が記憶されてもよい。加入者識別情報の例として、MSISDN、IMSI(International Mobile Subscription Identity)等が挙げられる。移動体通信サービスは、各加入者を、その加入者識別情報で識別可能である。各携帯端末7は、例えば移動体通信ネットワークNMを介してアプリケーション配信サーバ5等のサーバ装置からアプリケーションをダウンロード可能である。また、各携帯端末7には、ウェブブラウザがインストールされてもよい。
【0048】
[1-2.装置構成]
[1-2-1.通信量計算装置]
次に、通信量計算装置1の構成について、
図3及び
図4を用いて説明する。
図3は、本実施形態に係る通信量計算装置1の概要構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、通信量計算装置1は、システム制御部11と、システムバス12と、入出力インターフェース13と、記憶部14と、通信部15と、を備えている。システム制御部11と入出力インターフェース13とは、システムバス12を介して接続されている。
【0049】
システム制御部11は、CPU(Central Processing Unit)11a、ROM(Read Only Memory)11b、RAM(Random Access Memory)11c等により構成されている。
【0050】
入出力インターフェース13は、記憶部14及び通信部15とシステム制御部11との間のインターフェース処理を行う。
【0051】
記憶部14は、例えば、ハードディスクドライブ等により構成されている。この記憶部14には、通信量DB14a、キャンペーンDB14b、シグネチャDB14c、DPI承諾DB14d、通信料金減額状況DB14e等のデータベースが記憶されてもよい。「DB」は、データベースの略語である。
【0052】
図4は、通信量計算装置1のデータベースに記憶される内容の一例を示す図である。
図4に示すように、通信量DB14aには、移動体通信サービスの各加入者が期間ごとに消費した通信量が記憶されてもよい。例えば、通信量DB14aには、MSISDN、対象期間、消費通信量等が、互いに関連付けて記憶されてもよい。MSISDNは、通信量が示される加入者を示す。対象期間は、通信量が消費された期間を、年度と月との組み合わせで示す。消費通信量は、加入者がその期間に消費した通信量を示す。消費通信量の初期値は0GBであってもよい。
【0053】
キャンペーンDB14bには、通信料金を減額するための各キャンペーンに関するキャンペーン情報が記憶されてもよい。キャンペーンDB14bには、複数の広告主それぞれについてキャンペーン情報が記憶されてもよい。例えば、キャンペーンDB14bには、キャンペーン情報として、キャンペーンID、広告主ID、予算額、及び通信料金減額条件情報等が、互いに関連付けて記憶されてもよい。キャンペーンIDは、キャンペーンを識別するための識別情報である。広告主IDは、そのキャンペーンの広告主となる事業者を識別する識別情報である。予算額は、そのキャンペーンのための広告費用の予算の金額を示す。予算額は広告主により指定可能であってもよい。通信料金減額条件情報は、通信料金減額条件としての通信料金減額対象行動を示す情報であってもよい。通信料金減額条件情報は、例えば通信料金減額対象行動の種類を識別する情報を含んでもよい。前述したようにその行動の種類の例として、ウェブサイトの閲覧、アプリケーションのダウンロードと実行、アプリケーションの利用、アプリケーションの所定時間以上の利用、動画の視聴等が挙げられる。各広告主は、通信料金減額対象行動及びその種類を指定することが可能であってもよい。複数の広告主のうち、少なくとも何れか一の広告主が指定した通信料金減額対象行動の種類と、その広告主とは異なる少なくとも何れか一の広告主が指定した通信料金減額対象行動の種類とは異なっていてもよい。例えば、或る広告主はウェブサイトの閲覧を指定し、別の広告主はアプリケーションのダウンロードと実行を指定する。アプリケーションを所定時間以上利用する等、通信料金減額条件が時間長の条件を含む場合、通信料金減額条件情報は、その時間長を含んでもよい。また、通信料金減額条件情報は、加入者が最初に通信料金減額対象行動をとった後で再度通信料金減額対象行動をとった場合に、通信料金の減額が制限される期間の長さを含んでもよい。通信料金の減額が制限される期間の長さの例として、1日、1か月、無期限等が挙げられる。1日及び1か月等の期間は、その期間内に1回のみ通信料金が減額されることを示す。無期限は、期間に関係なく最初の1回の通信料金減額対象行動のみについて通信料金が減額されることを示す。例えば、通信料金減額対象行動がアプリケーションのダウンロードを含む場合、通信料金の減額が制限される期間は無期限であってもよい。また、通信料金減額条件情報は、通信料金減額対象行動に対応するシグネチャのシグネチャIDを含んでもよい。シグネチャIDは、シグネチャを識別する識別情報である。シグネチャは、DPIで用いられてもよい。シグネチャは、その通信料金減額対象行動に対応する通信データの特徴を示す情報であってもよい。例えば、通信料金減額対象行動を加入者がとる際に携帯端末7が移動体通信ネットワークNMを介して送信又は受信する通信データの内容を識別する情報であってもよい。アプリケーションのダウンロードと実行等、通信料金減額対象行動が、複数の行動の組み合わせである場合、通信料金減額条件情報は、それら複数の行動それぞれに対応するシグネチャのシグネチャIDを含んでもよい。行動が異なればシグネチャも基本的には異なる。また、通信料金減額条件情報は、同一の行動について複数のシグネチャのシグネチャIDを含んでもよい。この場合、通信料金減額対象行動に対応する通信データが、それら複数のシグネチャのうち少なくとも何れか一のシグネチャにより示される特徴を含み得る。複数のシグネチャのうち何れか一のシグネチャにより示される特徴を有する通信データが検出されると、通信料金の減額の対象となり得る。
【0054】
シグネチャDB14cには、通信料金減額対象行動に含まれる各行動に対応するシグネチャが記憶されてもよい。例えば、シグネチャDB14cには、シグネチャID、キャンペーンID、及びシグネチャが、互いに関連付けて記憶されてもよい。シグネチャIDは、シグネチャを識別する識別情報である。キャンペーンIDは、そのシグネチャにより示される特徴を有する通信データが検出されることに対応して通信料金が減額されるキャンペーンを示す。シグネチャは、その通信データのパケットのトランスポート層のペイロードに含まれる通信内容識別情報を含んでもよい。以降、単にペイロードというとき、それはトランスポート層のペイロードであることを示す。通信内容識別情報は、その通信データの特徴を示す情報若しくは通信内容を識別する情報であってもよい。DPIでは、通信データのパケットのトランスポート層のペイロードを主として分析する。OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルが採用される場合、分析されるペイロードは、セッション層のPDU(Program Data Unit)、プレゼンテーション層のPDU、及びアプリケーション層のPDUを含み得る。これら全ての層のPDUが分析されてもよいし、一部の層のPDUが分析されてもよい。TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)モデルが採用される場合、分析されるペイロードは、アプリケーション層のPDUであってもよい。以降は、TCP/IPモデルを前提として説明する。分析されるPDUは、アプリケーション層のヘッダ及びアプリケーション層のペイロードの何れか一方であってもよいし、それらの両方であってもよい。通信内容識別情報の例として、キーワード、ワイルドカード、正規表現、数値、数値範囲等が挙げられる。一のシグネチャが複数の通信内容識別情報を含んでもよい。この場合、複数の通信内容識別情報の全てを含む通信データが検出されてもよいし、それらの通信内容識別情報のうち少なくとも何れか一つを含む通信データが検出されてもよい。また、シグネチャは、その通信内容を識別する情報が出現する位置を示すアドレス又はアドレスの範囲を示してもよい。このアドレスは、その通信内容識別情報が、アプリケーション層のデータの先頭から何バイト目に位置するかを示してもよい。また、シグネチャは、携帯端末7が、通信データの送信元及び送信先の何れであるかを示す情報を含んでもよい。また、シグネチャは、パケットのヘッダに含まれる情報であって、通信内容を識別し得る情報若しくは通信内容を識別するための補助となる情報を含んでもよい。そのような情報の例として、IPアドレス、ポート番号及びウインドウサイズ等が挙げられる。通信料金減額対象行動によっては、パケットのヘッダを分析することのみで、その通信データが通信料金減額対象行動に対応するものであるか否かを判断することが可能である場合がある。また、パケットのヘッダに含まれる情報に基づいて、アプリケーション層のPDUを分析する必要があるか否かを判断することができる場合がある。例えば、各通信料金減額条件情報に対応する通信データは、携帯端末7と特定の事業者サーバ6との間で送信又は受信されることが一般的である。従って、通信料金減額条件情報に対応する通信データは、その事業者サーバ6のIPアドレスを含む。また、加入者が特定の行動をとるためには特定のポート番号で通信を行う必要がある場合もある。
【0055】
DPI承諾DB14dには、移動体通信サービスの各加入者が、その加入者が行う通信をDPIで解析することを承諾しているか否かを示す情報が記憶されてもよい。通信量計算装置1は、解析を承諾した加入者についてのみ、通信内容を解析する。DPI承諾DB14dには、例えばMSISDN及びDPI承諾フラグ等が、互いに関連付けて記憶されてもよい。DPI承諾フラグは、MSISDNにより識別される加入者が、通信内容の解析を承諾しているか否かを示す。DPI承諾フラグは、「未承諾」及び「承諾済み」の何れかに設定されてもよい。「未承諾」は、加入者が解析を承諾していないことを示す。「承諾済み」は、加入者が解析を承諾していることを示す。DPI承諾フラグの初期値は「未承諾」である。
【0056】
通信料金減額状況DB14eは、通信料金が減額されたか否かを、キャンペーンと加入者との組み合わせごとに示す情報が記憶されてもよい。例えば、通信料金減額状況DB14eは、キャンペーンID、MSISDN、及び減額フラグ等が、互いに関連付けて記憶されてもよい。減額フラグは、キャンペーンIDにより識別されるキャンペーンについて、MSISDNにより識別される加入者の通信料金が減額されているか否かを示す。減額フラグは、例えば「未減額」及び「減額済み」の何れかに設定してもよい。「未減額」は、通信量が減額されていないことを示す。「減額済み」は、通信量が減額されていることを示す。減額フラグの初期値は「未減額」である。通信量計算装置1は、通信量の減額を行うと、減額フラグを「減額済み」に変更してもよい。減額フラグが「減額済み」に設定されている場合、通信量計算装置1は通信量の減額を行わない。通信量の減額が制限される期間の長さが1日である場合、通信量計算装置1は、例えば毎日所定の時刻に、減額フラグを「未減額」にリセットする。通信量の減額が制限される期間の長さが1か月である場合、通信量計算装置1は、例えば毎月の初日に、減額フラグを「未減額」にリセットする。通信量の減額が制限される期間の長さが無期限である場合、減額フラグがリセットされることはない。
【0057】
記憶部14には、更に、オペレーティングシステム、DBMS(Database Management System)、通信量計算プログラム等の各種プログラムが記憶されている。通信量計算プログラムは、通信量の計算や通信内容の解析等の処理をシステム制御部11に実行させるプログラムである。通信量計算プログラムは、例えば、他の装置からインターネットNIを介して取得されるようにしてもよいし、磁気テープ、光ディスク、メモリカード等の記録媒体に記録されてドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。
【0058】
通信部15は、例えばネットワークインターフェースカード等により構成されている。通信部15は、コアネットワークNCを流れるパケットを受信してもよい。また、通信部15は、加入者サポートサーバ2及び請求サーバ3等と接続し、接続された装置との通信状態を制御してもよい。
【0059】
[1-2-2.加入者サポートサーバ]
次に、加入者サポートサーバ2の構成について、
図5を用いて説明する。
図5は、本実施形態に係る加入者サポートサーバ2の概要構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、加入者サポートサーバ2は、システム制御部21と、システムバス22と、入出力インターフェース23と、記憶部24と、通信部25と、を備えている。システム制御部21と入出力インターフェース23とは、システムバス22を介して接続されている。
【0060】
システム制御部21は、CPU21a、ROM21b、RAM21c等により構成されている。
【0061】
入出力インターフェース23は、記憶部24及び通信部25とシステム制御部21との間のインターフェース処理を行う。
【0062】
記憶部24は、例えば、ハードディスクドライブ等により構成されている。この記憶部24には、オペレーティングシステム、DBMS、加入者サポートサーバプログラムが記憶されている。加入者サポートサーバプログラムは、加入者サポートサイトに関する処理をシステム制御部21に実行させるプログラムである。加入者サポートサーバプログラムは、例えば、他の装置からインターネットNIを介して取得されるようにしてもよいし、磁気テープ、光ディスク、メモリカード等の記録媒体に記録されてドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。
【0063】
通信部25は、例えばネットワークインターフェースカード等により構成されている。通信部25は、インターネットNIを介して通信量計算装置1、請求サーバ3、会員情報管理サーバ4、または携帯端末7等と接続し、接続された装置との通信を制御する。
【0064】
[1-2-3.請求サーバ]
次に、請求サーバ3の構成について、
図6及び
図7を用いて説明する。
図6は、本実施形態に係る請求サーバ3の概要構成の一例を示すブロック図である。
図6に示すように、請求サーバ3は、システム制御部31と、システムバス32と、入出力インターフェース33と、記憶部34と、通信部35と、を備えている。システム制御部31と入出力インターフェース33とは、システムバス32を介して接続されている。
【0065】
システム制御部31は、CPU31a、ROM31b、RAM31c等により構成されている。
【0066】
入出力インターフェース33は、記憶部34及び通信部35とシステム制御部31との間のインターフェース処理を行う。
【0067】
記憶部34は、例えば、ハードディスクドライブ等により構成されている。この記憶部34には、通信料金DB34a、広告料金DB34b、及び通信料金減算額DB34c等のデータベースが記憶されてもよい。
【0068】
図7は、請求サーバ3のデータベースに記憶される内容の一例を示す図である。
図7に示すように、通信料金DB34aには、移動体通信サービスの各加入者に請求される通信料金に関する通信料金請求情報が期間ごとに記憶されてもよい。例えば、通信料金DB34aには、通信料金請求情報として、MSISDN、対象期間、消費通信量、減算額合計、及び通信料金請求額等が、互いに関連付けて記憶されてもよい。MSISDNは、通信料金が請求される加入者を示す。対象期間は、通信料金が請求される通信量が消費された期間を示す。消費通信量は、その加入者がその対象期間に消費した通信量を示す。この通信量は、提示通信量に相当してもよい。減算額合計は、その期間にその加入者について通信料金から減算される金額の合計を示す。減算額合計の初期値は0円である。通信料金請求額は、請求される通信料金の額を示す。
【0069】
広告料金DB34bには、各キャンペーンの広告主に請求される広告料に関する広告料請求情報が期間ごとに記憶されてもよい。例えば、広告料金DB34bには、広告料請求情報として、キャンペーンID、広告主ID、対象期間、及び広告料請求額を含んでもよい。キャンペーンIDは、広告料が請求されるキャンペーンを示す。広告主IDは、広告料が請求される広告主を示す。対象期間は、広告料が発生した期間を示す。広告料請求額は、その広告主に請求される広告料の額を示す。
【0070】
通信料金減算額DB34cには、キャンペーンごとの通信料金の減算額が記憶されてもよい。例えば、通信料金減算額DB34cには、キャンペーンID及び減算額が、互いに関連付けて記憶されてもよい。広告主により、減算額が設定可能となっていてもよい。
【0071】
記憶部34には、更に、オペレーティングシステム、DBMS、請求サーバプログラム等の各種プログラムが記憶されている。請求サーバプログラムは、通信料金や広告料金の請求に関する各種処理をシステム制御部31に実行させるプログラムである。請求サーバプログラムは、例えば、他の装置からインターネットNIを介して取得されるようにしてもよいし、磁気テープ、光ディスク、メモリカード等の記録媒体に記録されてドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。
【0072】
通信部35は、例えばネットワークインターフェースカード等により構成されている。通信部35は、インターネットNIを介して通信量計算装置1、加入者サポートサーバ2、会員情報管理サーバ4、または携帯端末7等と接続し、接続された装置との通信を制御する。
【0073】
[1-2-4.会員情報管理サーバ]
次に、会員情報管理サーバ4の構成について、
図8を用いて説明する。
図8は、本実施形態に係る請求サーバ3のデータベースに記憶される内容の一例を示す図である。
図8に示すように、会員情報管理サーバ4は、ユーザ識別情報変換DB41等のデータベースを記憶してもよい。ユーザ識別情報変換DB41には、移動体通信サービスの各加入者について、その加入者のMSISDNと、Rサービスにおけるその加入者のユーザIDとが、互いに関連付けて記憶されてもよい。同一の加入者のMSISDNとユーザIDとは基本的には異なるため、ユーザ識別情報変換DB41は、これらの識別情報の相互変換に用いられてもよい。ユーザが移動体通信サービスに加入する条件として、そのユーザがRサービスの会員であることが必要である場合、例えば移動体通信サービスの加入申し込みの際にユーザがユーザIDを指定する。これにより、会員情報管理サーバ4は、そのユーザのMSISDNとユーザIDとを関連付けてユーザ識別情報変換DB41に記憶させてもよい。会員情報管理サーバ4は、会員情報管理サーバ4に記憶されるデータベースにアクセスするためのAPI(Application Programming Interface)を提供してもよい。加入者サポートサーバ2及び請求サーバ3は、このAPIを介してユーザ識別情報変換DB41等のデータベースにアクセスしてもよい。
【0074】
[1-3.システム制御部の機能概要]
[1-3-1.データ検査装置]
次に、
図9乃至
図12を用いて、通信量計算装置1のシステム制御部11の機能概要について説明する。
図9は、本実施形態における通信量計算装置1のシステム制御部11の機能ブロックの一例を示す図である。システム制御部11は、CPU11aが、通信量計算プログラムに含まれる各種プログラムコードを読み出し実行することにより、
図9に示すように、シグネチャ取得部1101、検出部1102、通信量計算部1103、及び減算額合計更新要求部1104等として機能してもよい。
【0075】
シグネチャ取得部1101は、移動体通信ネットワークNMを介して通信される通信データのうち、通信料金減額対象行動に対応する通信データの特徴を示すシグネチャを取得してもよい。例えば、シグネチャ取得部1101は、通信データがコアネットワークNCに流れてくるごとに、またはその通信データを構成する各パケットがコアネットワークNCに流れてくるごとに、シグネチャDB14cから少なくとも一のシグネチャを取得してもよい。シグネチャ取得部1101は、複数の広告主によりそれぞれ指定された複数の通信料金減額対象行動にそれぞれに対応する複数のシグネチャを取得可能であってもよい。
【0076】
検出部1102は、移動体通信ネットワークNMを通過中の通信データを検査してもよい。そして、検出部1102は、その検査により、移動体通信ネットワークNMを通過する通信データから、シグネチャ取得部1101により取得されたシグネチャにより示される特徴を有する通信データを検出してもよい。例えば、検出部1102は、通信データがコアネットワークNCに流れてきたときにその通信データを捕捉してもよい。通信データを構成する各パケットは、そのパケットの送信元又は送信先の加入者を識別する加入者識別情報を含んでもよい。この加入者識別情報は、例えばMSISDNであってもよいし、IMSIであってもよい。検出部1102は、ヘッダに含まれる加入者識別情報に基づいて、加入者ごとに通信データを検査してもよい。また、検出部1102は、DPIによる通信データの解析を承諾した加入者についての通信データのみ検査を行ってもよい。検出部1102は、通信データが移動体ネットワークNMを通過するごとに動作してもよい。
【0077】
検出部1102は、例えばアプリケーション層のPDU単位で、通信データを検査してもよい。これは、複数のパケットで構成されるデータ単位で、その通信データが検査される場合があることを示す。例えば、アプリケーション層のPDUには、通信データの本体部分の長さを示す情報が含まれている場合がある。そのような情報の例として。HTTPにけるContent-Length等が挙げられる。そのような情報から、通信データを構成するパケットの総数を特定することができる場合がある。TCPを用いて通信データが送信される場合、各パケットのヘッダはシーケンス番号を含む。シーケンス番号に基づいて、複数のパケットから元の通信データを構築することができる。UDPが用いられる場合、検出部1102は、例えばパケット単位で通信データを解析してもよい。
【0078】
検出部1102は、例えばパターンマッチングを用いてシグネチャにより示される特徴を有する通信データを検出してもよい。例えば、検出部1102は、シグネチャに含まれる通信内容識別情報を含む通信データを検出してもよい。前述したように、シグネチャは、通信内容識別情報に加えて、IPアドレス、ポート番号、ウインドウサイズ、通信内容識別情報のアドレスに関する情報、携帯端末7が通信データの送信元及び送信先の何れであるかを示す情報のうち、なくとも一つを含む可能性がある。検出部1102は、こうした情報も考慮して、シグネチャにより示される特徴を有する通信データを検出してもよい。また、検出部1102は、通信データを構成するパケットに含まれるIPアドレスを用いて、若しくはIPアドレスとポート番号との組み合わせを用いて、アプリケーション層のPDUを検査するか否かを判定してもよい。前述したように、各シグネチャは、事業者サーバ6のIPアドレス及びポート番号を含み得る。検出部1102は、何れかのシグネチャに含まれるIPアドレス、若しくはIPアドレスとポート番号との組み合わせがパケットのヘッダに含まれている場合にのみ、アプリケーション層のPDUを検査してもよい。
【0079】
アプリケーション層のPDUが暗号化されている場合がある。暗号化のプロトコルの例として、SSL/TLS(Secure Sockets Layer / Transport Layer Security)が挙げられる。この場合、検出部1102は、このPDUを復号化した上で検査を行ってもよい。通信データの解析に対する加入者による承諾は、通信データの復号化に対する承諾も含む。また、移動体通信事業者は、広告主となる各事業者に対しても、予め通信データの復号化に対する承諾を得ておく。検出部1102は、例えば各事業者サーバ6から、通信データの暗号化及び復号化に用いられる共通鍵を復号化するための秘密鍵を取得して記憶部14に記憶させておいてもよい。検出部1102は、携帯端末7が、暗号化された共通鍵を何れかの事業者サーバ6へ送信するとき、検出部1102は、その共通鍵を復号化してもよい。そして、検出部1102は、その後に携帯端末7と事業者サーバ6との間で送受信される通信データを、共通鍵で復号化してもよい。或いは、検出部1102は、携帯端末7から共通鍵を取得してもよい。また、前述したように、アプリケーション層のPDUを復号化しなくても、その通信データを構成するパケットのヘッダから通信内容を特定することができる場合がある。或いは、アプリケーション層のPDUを復号化せずにそのPDUを解析する方法が用いられてもよい。そのような方法の例として、Blindbox、Fast Packet Inspection等が挙げられる。
【0080】
通信量計算部1103は、各加入者が期間中に消費した通信量を計算してもよい。例えば、通信量計算部1103は、通信データを構成するパケットがコアネットワークNCに流れてくるごとに、通信量DB14aに記憶されている消費通信量を更新してもよい。通信量計算部1103は、例えばパケットに含まれるMSISDNに関連付けられた消費通信量に、そのパケットのサイズを加算して、その消費通信量を更新してもよい。
【0081】
減算額合計更新要求部1104は、シグネチャ取得部1101により取得されたシグネチャにより示される特徴を有する通信データが検出部1102により検出された場合、減算額合計の更新若しくは増加の要求を示す減算額合計更新要求を、請求サーバ3へ送信してもよい。減算額合計更新要求が送信される結果によって、請求サーバ3により減算額合計が更新されて、通信料金が減額されることとなる。減算額合計更新要求は、例えば検出された通信データのパケットのヘッダに含まれるMSISDNを含んでもよい。また例えば、減算額合計更新要求は、そのシグネチャに対応するキャンペーンのキャンペーンIDを含んでもよい。また例えば、減算額合計更新要求は、通信量計算部1103により計算された通信量を含んでもよい。
【0082】
図10は、通信料金が減額される様子の一例を示す図である。
図10(a)に示すように、或る加入者の月初の消費通信量は0GBである。その後、加入者は、
図10(b)に示すように2.8GB分の通信101を行った。通信101は、通信料金の減額対象外である。その後、加入者は、
図10(c)に示すように0.3GB分の通信102を行った。この時点での消費通信量は3.1GBである。通信102は、例えば広告主のウェブサイトを閲覧するための通信である。従って、通信102は通信料金の減額対象である。そこで、減算額合計更新要求部1104は、減算額合計更新要求を請求サーバ3へ送信する。
図2に示す例では、現在の通信量に対応する通信料金は1,980円である。例えば、減算額が100円である場合、現時点での通信料金は、1,880円に減額される。
【0083】
通信料金減額対象行動によって、通信料金が減額されるタイミング若しくは減算額合計が更新されるタイミングが変わる場合がある。シンプルな方法では、シグネチャにより示される特徴を有する通信データが移動体通信ネットワークNMを通過するごとに、通信料金が減額されてもよい。例えば、通信料金減額対象行動が、所定のウェブサイトの閲覧である場合、減算額合計更新要求部1104は、そのウェブサイトを構成するウェブページの提供に必要なHTML(HyperText Markup Language)文書、スタイルシート、スクリプト、画像データ、動画データ、及びその他のデータの何れかが事業者サーバ6から携帯端末7へ送信されてくると、減算額合計更新要求を送信してもよい。
【0084】
通信料金減額対象行動がアプリケーションのダウンロードと実行である場合、シグネチャDB14cには、少なくとも2個のシグネチャが記憶されてもよい。第1のシグネチャは、そのアプリケーションのダウンロードに対応するシグネチャである。例えば、アプリケーション配信サーバ5から携帯端末7へ送信されるアプリケーションを構成する1又は複数の通信データのそれぞれが、第1のシグネチャにより示される特徴を含んでもよい。第2のシグネチャは、そのアプリケーションの実行に対応するシグネチャである。例えば、アプリケーションの起動時に携帯端末7から事業者サーバ6へ若しくは事業者サーバ6から携帯端末7へ送信される通信データが、第2のシグネチャにより示される特徴を含んでもよい。或いは、アプリケーションの実行中に必ず送信される何れかの通信データが、第2のシグネチャにより示される特徴を含んでもよい。シグネチャ取得部1101は、第1のシグネチャ及び第2のシグネチャを取得することとなる。減算額合計更新要求部1104は、第1のシグネチャにより示される特徴を有する通信データが検出部1102により検出された後で、第2のシグネチャにより識別される特徴を有する通信データが検出部1102により検出された場合、減算額合計更新要求を送信してもよい。
【0085】
図11は、通信料金が減額される様子の一例を示す図である。例えば、通信料金減額対象行動が、アプリケーションAをダウンロードして実行することであるとする。
図11(a)に示すように、或る加入者が、通信料金の減額対象外の通信111を行った後、アプリケーションAのダウンロード112を行った。この時点では通信料金は減額されない。次いで、加入者は、
図11(b)に示すようにアプリケーションAを利用することにより、通信113が発生した。通信113の発生に応じて、通信料金が減額される。例えば、現時点での通信量が14GBである場合、この通信量に対応する通信料金は1,980円である。減算額が例えば150円である場合、通信料金は1,830円に減額される。
【0086】
通信料金減額対象行動がアプリケーションを所定時間以上利用することである場合、そのアプリケーションを連続して所定時間以上利用することが必要であってもよいし、そのアプリケーションを利用した時間の合計が所定時間以上となれば通信料金が減額されてもよい。減算額合計更新要求部1104は、例えばシグネチャ取得部1101により取得されたシグネチャにより示される特徴を有する通信データが所定間隔未満の時間間隔で検出部1102により検出された期間の長さが所定時間以上である場合、減算額合計更新要求を送信してもよい。この所定の時間間隔の例として、10秒、30秒、1分、5分等が挙げられる。通信料金の減額の対象となるアプリケーションは、そのアプリケーションの実行による携帯端末7と事業者サーバ6との間の通信頻度が比較的高いアプリケーションであってもよい。そのようなアプリケーションの例として、オンラインゲーム、ソーシャルゲーム等が挙げられる。所定の時間間隔は、その時間ごとに最低1回通信が行われれば、加入者がその間にアプリケーションを連続して利用しているとみなされる時間であってもよい。この判定に用いられる通信データは、携帯端末7から事業者サーバ6へ送信される通信データ及び事業者サーバ6から携帯端末7へ送信される通信データの何れか一方であってもよいし、両方であってもよい。時間間隔は、例えば通信料金減額条件情報に含まれていてもよい。
【0087】
図12は、通信料金が減額される様子の一例を示す図である。例えば、通信料金減額対象行動が、アプリケーションBを2時間利用することであるとする。
図12(a)に示すように、或る加入者が、通信料金の減額対象外の通信121を行った後、アプリケーションBを30分利用することにより、通信122が発生した。この時点では通信料金は減額されない。次の日、加入者は、
図12(b)に示すように、通信料金の減額対象外の通信123を行った後、アプリケーションBを1時間30分利用することにより、通信124が発生した。その結果、アプリケーションBは2時間利用された。この時点での通信量が24GBである場合、この通信量に対応する通信料金は2,980円である。減算額が例えば400円である場合、通信料金は2,580円に減額される。
【0088】
[1-3-2.加入者サポートサーバ]
次に、
図13及び
図14を用いて、加入者サポートサーバ2のシステム制御部21の機能概要について説明する。
図13は、本実施形態における加入者サポートサーバ2のシステム制御部21の機能ブロックの一例を示す図である。システム制御部21は、CPU21aが、加入者サポートサーバプログラムに含まれる各種プログラムコードを読み出し実行することにより、
図13に示すように、通信料金取得部2101及び情報送信部2102等として機能してもよい。
【0089】
通信料金取得部2101は、今月の現時点における通信料金を取得してもよい。取得される通信料金は提示通信料金であってもよい。例えば、通信料金取得部2101は、請求サーバ3からその通信料金を取得してもよい。例えば、加入者サポートサイトにおいて、或る加入者が今月のデータ利用状況の表示を要求する。この要求に応じて、通信料金取得部2101は、請求サーバ3へデータ利用状況情報要求を送信してもよい。データ利用状況情報要求は、例えばデータ利用状況の表示を要求した加入者のMSISDNを含んでもよい。通信料金取得部2101は、データ利用状況情報要求を送信することにより、そのMSISDNにより識別される加入者の通信料金を取得してもよい。通信料金取得部2101は、更に現時点での通信量、減額前の通信料金、及び減算額合計のうち少なくとも何れか一つを、請求サーバ3から取得してもよい。
【0090】
情報送信部2102は、通信料金取得部2101により取得された通信料金を提示可能に、その通信料金を、請求サーバ3によりその通信料金が計算された加入者の携帯端末7へ送信してもよい。通信料金の提示は、例えば画面表示により行われてもよいし、音声出力により行われてもよい。例えば、情報送信部2102は、通信料金を含む画面を携帯端末7に表示させる情報を携帯端末7へ送信してもよい。この情報は、例えばHTML文書であってもよいし、他の情報であってもよい。情報送信部2102は、現時点での通信量、減額前の通信料金、及び減算額合計のうち少なくとも何れか一つを更に送信してもよい。
【0091】
図14は、データ利用状況画面の一例を示す図である。データ利用状況画面200は、現時点における消費通信量及び通信料金を示す画面であってもよい。
図14に示すように、データ利用状況画面200は、消費通信量210、通信料金220、及び減算額合計230を含んでもよい。消費通信量210は、現時点での消費通信量を示す。通信料金220は、現時点での提示通信料金を示す。減算額合計230は、現時点での減算額合計を示す。
【0092】
[1-3-3.請求サーバ]
次に、
図15を用いて、請求サーバ3のシステム制御部31の機能概要について説明する。
図15は、本実施形態における請求サーバ3のシステム制御部31の機能ブロックの一例を示す図である。システム制御部31は、CPU31aが、請求サーバプログラムに含まれる各種プログラムコードを読み出し実行することにより、
図15に示すように、減算額合計更新要求受信部3101、減算額合計更新部3102、通信量取得部3103、減算額取得部3104、通信料金計算部3105、通信料金送信部3106、広告費計上部3107、及び通信料金請求部3108等として機能してもよい。
【0093】
減算額合計更新要求受信部3101は、通信量計算装置1から送信されてくる減算額合計更新要求を受信してもよい。
【0094】
減算額合計更新部3102は、減算額合計更新要求受信部3101により減算額合計更新要求が受信されたことに応じて、通信料金DB34aに記憶されている減算額合計を更新してもよい。例えば、減算額合計更新部3102は、減算額合計更新要求に含まれるキャンペーンIDに関連付けて通信料金減算額DB34cに記憶されている減算額を取得してもよい。減算額合計更新部3102は、減算額合計更新要求に含まれるMSISDNに関連付けられた減算額合計に、取得された減算額を加算して、その減算額合計を更新してもよい。
【0095】
通信量取得部3103は、通信量計算装置1から、通信量計算部1103により計算された消費通信量を取得してもよい。例えば、通信量取得部3103は、加入者サポートサーバ2からデータ利用状況情報要求が送信されてきたとき、今月の現時点における消費通信量を取得してもよい。また例えば、通信量取得部3103は、月が変わると、前月の各加入者の消費通信量に応じて請求される通信料金の計算する必要がある。この場合、通信量取得部3103は、各加入者について前月の消費通信量を取得してもよい。例えば、通信量取得部3103は、通信量計算装置1へ、消費通信量要求を送信してもよい。消費通信量要求は、例えば消費通信量の取得対象となる加入者のMSISDN及び対象期間を含んでもよい。対象期間は、今月又は限月のうち何れかを示す。通信量取得部3103は、消費通信量要求を送信することにより、消費通信量を取得してもよい。
【0096】
減算額取得部3104は、通信量計算装置1の検出部1102により検出された通信データに対応する通信料金減額対象行動を指定した広告主について予め定められた減算額を取得してもよい。減算額取得部3104は、例えば通信量取得部3103により通信量が取得されるときに、減算額を取得してもよい。例えば、減算額取得部3104は、加入者サポートサーバ2からデータ利用状況情報要求に含まれるMSISDNに関連付けて通信料金DB34aに記憶されている減算額合計を取得してもよい。減算額合計は、一の減算額若しくは累積された減算額を示す。
【0097】
通信料金計算部3105は、通信量取得部3103により取得された通信量と、減算額取得部3104により取得された減算額とに基づいて、提示通信料金を計算してもよい。例えば、通信料金計算部3105は、消費通信量と通信料金との対応関係に従って、消費通信量に応じた通信料金を決定してもよい。通信料金計算部3105は、この通信料金から、減算額取得部3104により取得された減算額若しくは累積された減算額を減算することにより、提示通信料金を計算してもよい。
【0098】
通信料金送信部3106は、通信料金計算部3105により取得された提示通信料金を、加入者サポートサーバ2へ送信してもよい。通信料金送信部3106は、通信量取得部3103により取得された通信量、減額前の通信料金、及び減算額取得部3104により取得された減算額合計のうち少なくとも何れか一つを、加入者サポートサーバ2へ送信してもよい。
【0099】
広告費計上部3107は、通信料金計算部3105により通信料金を減額するための費用を、広告主である事業者の広告費に計上してもよい。例えば、広告費計上部3107は、通信料金計算装置1の検出部1102により、何れかのシグネチャにより示される特徴を有する通信データが検出されることに応じて、減算額合計更新部3102により減算額合計が更新されるごとに、費用計上を行ってもよい。例えば、広告費計上部3107は、通信量計算装置1から送信されてくる減算額合計更新要求に含まれるキャンペーンIDに関連付けて広告料金DB34bに記憶されている広告料請求額に、今回の費用として広告料を加算してもよい。広告費計上部3107は、この広告料を決定してもよい。例えば、減算額合計更新部3102により通信料金減算額DB34cから取得された減算額よりも高い広告料を決定してもよい。例えば、広告料は、減算額よりも所定割合高い金額であってもよい。
【0100】
広告費計上部3107は、例えば月が変わると、前月に発生した広告費を広告主に請求するための処理を実行してもよい。例えば、広告費計上部3107は、前月を示す対象期間に関連付けて広告料金DB34bに記憶されている広告料請求額を決済するための処理を実行してもよい。請求サーバ3の記憶部34には、例えば各広告主のクレジットカードの情報が記憶されてもよい。クレジットカードの情報は、例えばカード番号、有効期限、名義人の氏名等を含んでもよい。広告費計上部3107は、クレジットカードの情報を用いて、広告料請求額を決済してもよい。例えば、広告費計上部3107は、クレジットカード会社が管理するシステムへ、与信確認を要求したり決済を要求したりしてもよい。
【0101】
通信料金請求部3108は、通信料金計算部3105により前月の消費通信量に応じて加入者に請求される通信料金が計算された場合、その通信料金を、通信料金請求額として通信料金DB34aに記憶させてもよい。また、通信料金請求部3108は、通信料金DB34aに記憶された通信料金請求額を、各加入者に請求するための処理を実行してもよい。請求サーバ3の記憶部14には、例えば各加入者のクレジットカードの情報が記憶されてもよい。通信料金請求部3108は、クレジットカードの情報を用いて、通信料金請求額を決済してもよい。
【0102】
[1-4.通信システムの動作]
次に、通信システムSの動作について、
図16乃至
図19を用いて説明する。
図16は、本実施形態に係る通信量計算装置1のシステム制御部11による通信量更新処理の一例を示すフローチャートである。システム制御部11は、コアネットワークNCに流れる通信データを捕捉するごとに、通信量更新処理を実行してもよい。
【0103】
図16に示すように、先ず通信量計算部1103は、消費通信量に、捕捉した通信データのサイズを加算することにより、この消費通信量を更新する(ステップS101)。例えば、通信量計算部1103は、通信データを構成するパケットに含まれるMSISDNを取得してもよい。通信量計算部1103は、このMSISDNと今月を示す対象期間との組み合わせに関連付けて通信量DB14aに記憶されている消費通信量を更新してもよい。実際には、コアネットワークNCにパケットが流れてくるごとに消費通信量が更新されてもよい。
【0104】
次いで、検出部1102は、取得されたMSISDNに関連付けてDPI承諾DB14dに記憶されているDPI承諾フラグが「承諾済み」であるか否かを判定する(ステップS102)。DPI承諾フラグが「承諾済み」ではない場合(ステップS102:NO)、通信量更新処理は終了する。
【0105】
DPI承諾フラグが「承諾済み」である場合(ステップS102:YES)、シグネチャ取得部1101及び検出部1102は、通信データを検査して、その通信データの特徴を示すシグネチャをシグネチャDB14cから検索する(ステップS103)。検索の結果、通信量計算部1103は、該当するシグネチャがあるか否かを判定する(ステップS104)。該当するシグネチャがない場合(ステップS104:NO)、通信量更新処理は終了する。
【0106】
該当するシグネチャがある場合(ステップS104:YES)、通信量計算部1103は、シグネチャDB14cから、該当するシグネチャに関連付けられたキャンペーンIDを取得する。通信量計算部1103は、取得されたキャンペーンIDと取得されたMSISDNとの組み合わせに関連付けて通信料金減額状況DB14eに記憶されている減額フラグが「未減額」であるか否かを判定する(ステップS105)。減額フラグが「未減額」ではない場合(ステップS105:NO)、通信量更新処理は終了する。
【0107】
減額フラグが「未減額」である場合(ステップS105:YES)、通信量計算部1103は、通信料金減額条件が満たされたか否かを判定する(ステップS106)。例えば、通信量計算部1103は、取得されたキャンペーンIDに関連付けてキャンペーンDB14bに記憶されている通信料金減額条件情報を取得してもよい。通信量計算部1103は、通信料金減額条件情報と後述する状況データとに基づいて、判定を行ってもよい。例えば、通信料金減額対象行動がウェブページの閲覧である場合、該当する通信データが検出された時点で基本的に通信料金減額条件が満たされている。通信料金減額対象行動が、アプリケーションをダウンロードして実行することであるとする。そのアプリケーションのダウンロードに対応する通信データが過去に検出されており、今回検出された通信データが、そのアプリケーションの実行に対応する場合、通信料金減額条件は満たされる。アプリケーションのダウンロードに対応する通信データが検出された時点では、通信料金減額条件は満たされていない。通信料金減額対象行動がアプリケーションを所定時間以上利用することである場合、通信量計算部1103は、そのアプリケーションの利用に対する各通信データを検出部1102が検出した日時に基づいて、所定時間間隔未満でそれらの通信データが検出された期間の長さの合計を計算する。その合計が、通信料金減額条件情報により示される時間長以上である場合、通信料金減額条件は満たされる。その合計が、通信料金減額条件情報により示される時間未満である場合、通信料金減額条件は満たされていない。
【0108】
通信料金減額条件が満たされていない場合(ステップS106:NO)、通信量計算部1103は、状況データを記憶部14に記憶させ、または記憶部14に記憶されている状況データを更新する(ステップS107)。例えば状況データは、取得されたMSISDN、取得されたキャンペーンID、及び通信料金の減額が制限される期間の長さを少なくとも含んでもよい。該当するMSISDN及びキャンペーンIDを含む状況データが記憶部14に記憶されていない場合、通信量計算部1103は、これらの情報を含む新たな状況データを記憶部14に記憶させる。この状況データは、通信データの検出日時、その通信データのデータサイズ、及び検索されたシグネチャのシグネチャID等を更に含んでもよい。該当するMSISDN及びキャンペーンIDを含む状況データが記憶部14に既に記憶されている場合、通信量計算部1103は、この状況データに、最新の通信データの検出日時、その通信データのデータサイズ、及び検索されたシグネチャのシグネチャIDを追加する。状況データは、通信料金の減額が制限される期間の長さに応じて、定期的に記憶部14から削除される場合がある。この期間の長さが1日である状況データは、毎日所定の時刻に削除される。期間の長さが1ヶ月である状況データは、毎月の初日に削除される。ステップS107が終了すると、通信量更新処理は終了する。
【0109】
通信料金減額条件が満たされた場合(ステップS106:YES)、減算額合計更新要求部1104は、取得されたキャンペーンID及びMSISDNを含む減算額合計更新要求を請求サーバ3へ送信する(ステップS108)。次いで、減算額合計更新要求部1104は、取得されたキャンペーンIDと取得されたMSISDNとの組み合わせに関連付けて通信料金減額状況DB14eに記憶されている減額フラグを「減額済み」に変更して(ステップS109)通信量更新処理は終了する。
【0110】
図17は、本実施形態に係る請求サーバ3のシステム制御部31による減算額合計更新処理の一例を示すフローチャートである。システム制御部31は、通信量計算装置1から減算額合計更新要求を受信するごとに、減算額合計更新処理を実行してもよい。
【0111】
図17に示すように、減算額合計更新部3102は、通信料金減算額DB34cから、減算額合計更新要求に含まれるキャンペーンIDに関連付けられた減算額を取得する(ステップS201)。次いで、減算額合計更新部3102は、減算額合計更新要求に含まれるMSISDNと今月を示す対象期間との組み合わせに関連付けて通信料金DB34aに記憶されている減算額合計に、取得された減算額を加算することにより、この減算額合計を更新する(ステップS202)。
【0112】
次いで、広告費計上部3107は、広告料を決定する(ステップS203)。例えば、広告費計上部3107は、減算額に所定の係数を乗算することにより、広告料を計算してもよい。係数の値は、1より大きくてもよい。次いで、広告費計上部3107は、減算額合計更新要求に含まれるキャンペーンIDと今月を示す対象期間との組み合わせに関連付けて広告料金DB34bに記憶されている広告料請求額に、決定された広告料を加算することにより、この広告料請求額を更新して(ステップS204)、減算額合計更新処理は終了する。
【0113】
図18は、携帯端末7がデータ利用状況画面を表示する場合における通信システムSの処理例を示すシーケンス図である。例えば加入者が、加入者サポートサイトにおいて今月のデータ利用状況の表示を選択する操作を行う。この選択を検出した携帯端末7は、
図18に示すように、その加入者のMSISDN及び今月を示す対象期間を含むデータ利用状況画面要求を、加入者サポートサーバ2へ送信する(ステップS301)。加入者サポートサーバ2の通信料金取得部2101は、受信されたデータ利用状況画面要求に含まれるMSISDNと対象期間との組み合わせを取得する。通信料金取得部2101は、この組み合わせを含むデータ利用状況情報要求を、請求サーバ3へ送信する(ステップS302)。請求サーバ3の通信量取得部3103は、受信されたデータ利用状況情報要求に含まれるMSISDNと対象期間との組み合わせを取得する。通信量取得部3103は、この組み合わせを含む消費通信量要求を、通信量計算装置1へ送信する(ステップS303)。通信量計算装置1の通信量計算部1103は、受信された消費通信量要求に含まれるMSISDNと対象期間との組み合わせに関連付けて通信量DB14aに記憶されている消費通信量を取得する。通信量計算部1103は、この消費通信量を請求サーバ3へ送信する(ステップS304)。
【0114】
請求サーバ3の通信料金計算部3105は、消費通信量と通信料金との対応関係に従って、受信された消費通信量から通信料金を決定する(ステップS305)。次いで、減算額取得部3104は、通信料金DB34aから、データ利用状況情報要求に含まれるMSISDNに関連付けられた減算額合計を取得する(ステップS306)。次いで、通信料金計算部3105は、通信料金から減算額合計を減算することにより、提示通信料金を計算する(ステップS307)。提示通信料金が0円未満となった場合、通信料金計算部3105は提示通信料金を0円に変更する。次いで、通信料金計算部3105は、消費通信量、提示通信料金、及び減算額合計を、加入者サポートサーバ2へ送信する(ステップS308)。
【0115】
加入者サポートサーバ2の情報送信部2102は、請求サーバ3から受信した情報を含むデータ利用状況画面のHTMLデータを生成する(ステップS309)。情報送信部2102は、生成されたHTMLデータを携帯端末7へ送信する(ステップS310)。携帯端末7は、受信されたHTMLに基づいて、データ利用状況画面を表示する(ステップS311)。
【0116】
図19は、本実施形態に係る請求サーバ3のシステム制御部31による通信料金請求額決定処理の一例を示すフローチャートである。例えば、システム制御部31は、月が変わった後の所定の日時に各加入者について通信料金請求額決定処理を実行してもよい。
【0117】
図19に示すように、通信量取得部3103は、通信量計算装置1から、処理対象となる加入者の前月の消費通信量を取得する(ステップS401)。例えば、通信量取得部3103は、その加入者のMSISDN及び前月を示す対象期間を含む消費通信量要求を通信量計算装置1へ送信することにより、消費通信量を取得してもよい。次いで、通信料金計算部3105は、消費通信量と通信料金との対応関係に従って、取得された消費通信量から通信料金を決定する(ステップS402)。次いで、減算額取得部3104は、通信料金DB34aから、その加入者のMSISDNに関連付けられた減算額合計を取得する(ステップS403)。次いで、通信料金計算部3105は、通信料金から減算額合計を減算することにより、通信料金請求額を計算する(ステップS404)。次いで、通信料金請求部3108は、その加入者のMSISDNと前月を示す対象期間との組み合わせに関連付けて、通信料金請求額及び消費通信量を通信料金DB34aに記憶させて(ステップS405)、通信料金請求額決定処理は終了する。
【0118】
以上説明したように、本実施形態によれば、通信量計算装置1が、シグネチャを取得する。また、通信量計算装置1が、移動体通信ネットワークNMを通過中の通信データを検査することにより、移動体通信ネットワークNMを通過する通信データから、シグネチャにより示される特徴を有する通信データを検出する。また、請求サーバ3が、予め定められた減算額を取得する。また、請求サーバ3が、移動体通信サービスの加入者のうち、検出された通信データの送信元又は送信先となる加入者が期間の開始時点から消費した消費通信量に応じた通信料金から、減算額を減算することにより、提示通信料金を計算すする。従って、通信量計算装置1は、移動体通信ネットワークNMを通過中の通信データを捕捉可能となっていればよい。例えば、移動体通信ネットワークNM外の何らかのシステムに、そのような機能を実装させなくてもよい。そのため、通信料金減額対象行動をユーザがとることに応じてそのユーザの通信料金を減額するための処理を統一的に行うことができる。
【0119】
このとき、加入者サポートサーバ2が、提示通信料金を提示可能に、提示通信料金を、その提示通信料金が計算された加入者の携帯端末7へ送信してもよい。この場合、通信料金減額対象行動を加入者がとることに応じて減額された通信料金を、加入者に提示することができる。
【0120】
また、移動体通信サービスの通信料金は、通信量が増加するに従って段階的に高くなってもよい。この場合、通信量に応じて段階的に高くなる通信料金を減額することができる。
【0121】
また、通信量計算装置1が、通信データが移動体通信ネットワークNMを通過するごとに、その通信データを検査してもよい。この場合、シグネチャにより示される特徴を有する通信データをリアルタイムで検出することができる。
【0122】
また、請求サーバ3が、通信料金を減額するための費用を、事業者の広告費に計上してもよい。この場合、通信料金を減額するための費用を、広告主としての事業者に負担してもらうことができる。
【0123】
また、通信料金減額対象行動は、所定のアプリケーションをダウンロードして実行することであってもよい。この場合、アプリケーションの利用者数を増やすことができる。
【0124】
ここで、請求サーバ3が、アプリケーションのダウンロードに対応する第1のシグネチャにより示される特徴を有する通信データが検出された後、アプリケーションの実行に対応する第2のシグネチャにより示される特徴を有する通信データが検出された場合、提示通信料金を計算してもよい。
【0125】
また、通信料金減額対象行動は、アプリケーションを所定時間以上利用することであることであってもよい。この場合、アプリケーションの長時間利用を促進することができる。
【0126】
ここで、請求サーバ3が、シグネチャにより示される特徴を有する通信データが所定間隔未満の時間間隔で検出された期間の長さが所定時間以上である場合、提示通信料金を計算してもよい。
【0127】
また、通信料金減額対象行動は、所定のウェブサイトの閲覧であってもよい。この場合、ウェブサイトの閲覧を促進することができる。
【0128】
また、或る事業者により指定された通信料金減額対象行動の種類は、別の或る事業者により指定された通信料金減額対象行動の種類と異なってもよい。この場合、互いに異なる種類の行動をそれぞれ加入者がとることに応じて、通信料金を減額することができる。
【0129】
また、通信量計算装置1が、移動体通信ネットワークNMを通過する通信データをディープパケットインスペクションで検査してもよい。この場合、通信データの詳細な分析が可能となり、通信料金減額対象行動に対応する通信データを適切に検出することができる。
【0130】
[2.第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態においては、通信料金が減額されたことに応じて、各加入者に実際に請求される通信料金が減額された。第2実施形態においては、通信料金の減額分に相当するポイントが、各加入者に付与される。付与されるポイントは、所定のポイントプログラムで利用可能である。以下に説明する点を除き、第2実施形態は第1実施形態と同一であってもよい。
【0131】
[2-1.通信システムの構成]
先ず、本実施形態に係る通信システムSの構成及び機能概要について、
図20乃至
図22を用いて説明する。
図20は、本実施形態に係る通信システムSの概要構成の一例を示す図である。
図20において、
図1と同一の要素については同一の符号が付されている。
図20が
図1と異なる点は、
図20に示す通信システムSがポイント管理サーバ8を更に含む点である。ポイント管理サーバ8は、ポイントプログラムのシステムの一例である。ポイント管理サーバ8はインターネットNIに接続される。
【0132】
ポイント管理サーバ8は、所定のポイントプログラムにおける各ユーザのポイントを管理するサーバ装置であってもよい。Rサービスの各会員は、このポイントプログラムを利用可能である。ポイント管理サーバ8は、Rサービスの各会員が有するポイントの数を、その会員のユーザIDに関連付けて管理してもよい。ユーザが有するポイントの数を、利用可能ポイント数という。本実施形態においては、ユーザがRサービスの会員であることを条件として、そのユーザは、その移動体通信サービスに加入することが可能であると定められている。従って、移動体通信サービスの各加入者は、ポイントプログラムを利用可能である。Rサービスの会員の中には、移動体通信サービスの加入者が存在し得るとともに、移動体通信サービスの加入者ではない会員も存在し得る。ポイントプログラムは、取引対象を購入したユーザに対してその購入代金の所定割合のポイントをそのユーザに付与するとともに、ユーザが保有するポイントを、取引対象の購入代金に利用することを可能とするサービスであってもよい。取引対象は、商取引可能な何かであってもよい。取引対象の例として、商品及びサービスが挙げられる。ユーザは、Rサービス等のオンラインサービス、及びポイントプログラムと提携する店舗等の施設で、ポイントの獲得及び利用が可能であってもよい。
【0133】
図21は、ポイント管理サーバ8のデータベースに記憶される内容の一例を示す図である。
図21に示すように、ポイント管理サーバ8は、例えばポイントDB81等のデータベースを記憶してもよい。ポイントDB81には、各ユーザが保有するポイントに関する情報が記憶されてもよい。例えばポイントDB81には、ユーザID及び利用可能ポイント数が互いに関連付けて記憶されてもよい。ポイント管理サーバ8は、ポイントDB81にアクセスするためのAPIを、加入者サポートサーバ2及び請求サーバ3へ提供してもよい。
【0134】
図22は、通信料金の減額に代えてポイントが付与される様子の一例を示す図である。
図22において、
図10と同一の要素については同一の符号が付されている。
図22に示すように、或る加入者は、2.8GB分の通信101を行い、その後0.3GB分の通信102を行った。通信101は、通信料金の減額対象外であり、通信102は通信料金の減額対象である。この通信102に対応する減算額は100円である。この時点での実消費通信量は3.1GBであるので、
図2に示すように、通信料金は1,980円である。この状態で月が変わると、第1実施形態では、1,880円の通信料金がその加入者に請求された。本実施形態においては、期間内に加入者が実際に消費した通信量に応じた通信料金が、移動体通信サービスから加入者へ請求される。従って、消費通信量に対応する通信料金である1,980円が請求される。通信料金の差額は100円である。この差額100円に相当するポイントが、加入者に付与される。実際には、減算額合計に相当するポイントが付与されてもよい。ポイントと金銭との交換比率が予め定められている。例えば、1ポイントが1円に相当してもよい。この場合、100ポイントが加入者に還元される。なお便宜上、この計算には消費税は考慮されていないが、消費税を考慮してポイント数が計算されてもよい。
【0135】
[2-2.システム制御部の機能概要]
[2-2-1.加入者サポートサーバ]
次に、
図23を用いて、加入者サポートサーバ2のシステム制御部21の機能概要について説明する。本実施形態において、通信料金取得部2101は、提示通信料金を取得するとともに、消費通信量に応じた通信料金を、請求サーバ3から取得してもよい。情報送信部2102は、通信料金取得部2101により取得された2種類の通信料金を携帯端末7へ送信してもよい。消費通信量に応じた通信料金は、加入者が実際に支払う通信料金である。提示通信料金は、ポイント還元により、加入者が実質的に負担する通信料金である。
【0136】
図23は、データ利用状況画面の一例を示す図である。
図23において、
図14と同一の要素については同一の符号が付されている。
図23に示すように、データ利用状況画面200は、消費通信量210、通信料金240及び220を含んでもよい。通信料金240は、消費通信量に応じた通信料金を示す。通信料金220は、提示通信料金を示す。
【0137】
[2-2-2.請求サーバ]
次に、
図24を用いて、請求サーバ3のシステム制御部31の機能概要について説明する。
図24は、本実施形態における請求サーバ3のシステム制御部31の機能ブロックの一例を示す図である。
図24において、
図15と同一の要素については同一の符号が付されている。
図24が
図15と異なる点は、
図24において、システム制御部31がポイント付与部3109として更に機能する点である。
【0138】
本実施形態において、通信料金送信部3106は、携帯端末7がデータ利用状況画面を表示するとき、消費通信量に応じた通信料金及び提示通信料金の両方を、加入者サポートサーバ2へ送信してもよい。
【0139】
通信料金計算部3105は、各加入者の通信料金請求額を決定するとき、その加入者が期間中に実際に消費した通信量に応じた通信料金の額を決定してもよい。従って、通信料金計算部3105は、通信料金請求額の決定に、減算額合計を用いた減算は行わない。
【0140】
ポイント付与部3109は、移動体通信サービスの加入者へポイントを付与してもよい。例えば、ポイント付与部3109は、消費通信量に応じた通信料金と提示通信料金との間に料金差がある場合、その料金差に相当するポイント数を、その加入者をRサービスの会員として識別するためのユーザIDに関連付けてポイントDB81に記憶されている利用可能ポイント数に加算させてもよい。これにより、ポイント付与部3109は、その加入者の利用可能ポイント数を増加させてもよい。ポイント付与部3109は、実際には、減算額合計が0円よりも高い場合、ポイントを付与してもよい。ポイント付与部3109は、会員情報管理サーバ4に記憶されているユーザ識別情報変換DB41を参照して、その加入者のMSISDNをRサービスのユーザIDに変換してもよい。ポイント付与部3109は、ポイント管理サーバ8から提供されたAPIを介して、ポイント管理サーバ8に、料金差に相当するポイント数の加算を実行させてもよい。
【0141】
[2-3.通信システムの動作]
次に、通信システムSの動作について、
図25を用いて説明する。
図25は、本実施形態に係る請求サーバ3のシステム制御部31による通信料金請求額決定処理の一例を示すフローチャートである。例えばシステム制御部31は、月が変わった後の所定の日時に各加入者について通信料金請求額決定処理を実行してもよい。
【0142】
図25は、本実施形態に係る請求サーバ3のシステム制御部31による通信料金請求額決定処理の一例を示すフローチャートである。例えば、システム制御部31は、月が変わった後の所定の日時に各加入者について通信料金請求額決定処理を実行してもよい。
【0143】
図25に示すように、通信量取得部3103は、通信量計算装置1から、処理対象となる加入者の前月の消費通信量を取得する(ステップS411)。次いで、通信料金計算部3105は、消費通信量と通信料金との対応関係に従って、受信された消費通信量から通信料金請求額を決定する(ステップS412)。次いで、通信料金請求部3108は、その加入者のMSISDNと前月を示す対象期間との組み合わせに関連付けて、通信料金請求額及び消費通信量を通信料金DB34aに記憶させる(ステップS413)。
【0144】
次いで、減算額取得部3104は、通信料金DB34aから、その加入者のMSISDNと前月を示す対象期間との組み合わせに関連付けられた減算額合計を取得する(ステップS414)。次いで、ポイント付与部3109は、減算額合計が0円よりも高いか否かを判定する(ステップS415)。減算額合計が0円である場合(ステップS415:NO)、通信料金請求額決定処理は終了する。減算額合計が0円よりも高い場合(ステップS415:YES)、ポイント付与部3109は、ユーザ識別情報変換DB41から、その加入者のMSISDNに関連付けられたユーザIDを取得する(ステップS416)。次いで、ポイント付与部3109は、ポイント管理サーバ8へ、ポイント数更新要求を送信する(ステップS417)。ポイント数更新要求は、ユーザの利用可能ポイント数の更新の要求を示すメッセージである。ポイント数更新要求は、例えば利用可能ポイント数が更新されるユーザのユーザID及び利用可能ポイント数に加算されるポイント数を含んでもよい。ポイント管理サーバ8は、ユーザ識別情報変換DB41から取得したユーザID及び減算額合計に相当するポイント数を含むポイント数更新要求を送信してもよい。ポイント数更新要求を受信したポイント管理サーバ8は、ポイント数更新要求に含まれるユーザIDに関連付けてポイントDB81に記憶されている利用可能ポイント数に、ポイント数更新要求に含まれるポイント数を加算して、利用可能ポイント数を更新する。ステップS417が終了すると、通信料金請求額決定処理は終了する。
【0145】
以上説明したように、本実施形態によれば、移動体通信サービスとは異なるサービスで管理される利用可能ポイント数への料金差に相当するポイント数の加算により、通信料金を実質的に減額することができる。
【0146】
(付記1)加入者が期間中に消費した通信量に応じて通信料金が定められる移動体通信サービスのネットワークを介して通信される通信データのうち、前記移動体通信サービスの加入者の行動として所定の事業者により指定された指定行動に対応する通信データの特徴を示す特徴情報を取得する特徴情報取得手段と、前記移動体通信サービスのネットワークを通過中の前記通信データを検査することにより、前記ネットワークを通過する前記通信データから、前記取得された特徴情報により示される前記特徴を有する前記通信データを検出する検出手段と、前記事業者について予め定められた減算額を取得する減算額取得手段と、前記移動体通信サービスの加入者のうち、前記検出された通信データの送信元又は送信先となる通信加入者が前記期間の開始時点から消費した消費通信量に応じた通信料金から、前記取得された減算額を減算することにより、前記通信加入者への提示用の提示通信料金を計算する計算手段と、を備えることを特徴とする通信料金計算システム。
【0147】
(付記2)前記計算された提示通信料金を提示可能に、前記提示通信料金を、該提示通信料金が計算された前記通信加入者の端末装置へ送信する送信手段を更に備えることを特徴とする付記1に記載の通信料金計算システム。
【0148】
(付記3)前記移動体通信サービスの通信料金は、前記通信量が増加するに従って段階的に高くなることを特徴とする付記1又は2に記載の通信料金計算システム。
【0149】
(付記4)前記期間中に加入者が消費した前記消費通信量に応じた通信料金が、前記移動体通信サービスから前記加入者に請求され、前記移動体通信サービスと異なる所定サービスであって、該所定サービスの会員は所定のポイントプログラムを利用可能である所定サービスの会員が、前記移動体通信サービスの加入者である場合があり、前記移動体通信サービスは、該移動体通信サービスの加入者を前記所定サービスの会員として識別するための会員識別情報とは異なる加入者識別情報を用いて、前記加入者を識別することが可能であり、前記ポイントプログラムのシステムは、前記所定サービスの会員が有するポイントの数を示す保有ポイント数を、前記会員の前記会員識別情報に関連付けて管理しており、前記消費通信量に応じた通信料金と前記計算された提示通信料金との間に料金差がある場合、該料金差に相当するポイント数を、前記通信加入者を前記所定サービスの会員として識別するための前記会員識別情報に関連付けられた前記保有ポイント数に加算させる加算制御手段を更に備えることを特徴とする付記1乃至3の何れか一に記載の通信料金計算システム。
【0150】
(付記5)前記検出手段は、前記通信データが前記ネットワークを通過するごとに動作することを特徴とする付記1乃至4の何れか一に記載の通信料金計算システム。
【0151】
(付記6)前記計算手段により前記通信料金を減額するための費用を、前記事業者の広告費に計上する計上手段を更に備えることを特徴とする付記1乃至5の何れか一に記載の通信料金計算システム。
【0152】
(付記7)前記指定行動は、前記移動体通信サービスの加入者の端末装置にインストール可能な所定のアプリケーションをダウンロードして実行することであることを特徴とする付記1乃至6の何れか一に記載の通信料金計算システム。
【0153】
(付記8)前記アプリケーションは、該アプリケーションの実行中に前記端末装置に他の装置と通信させるアプリケーションであり、前記取得される特徴情報は、前記アプリケーションのダウンロードに対応する第1特徴情報及び前記アプリケーションの実行に対応する第2特徴情報を含み、前記計算手段は、前記第1特徴情報により示される特徴を有する前記通信データが前記検出手段により検出された後に、前記第2特徴情報により示される特徴を有する前記通信データが前記検出手段により検出された場合、前記提示通信料金を計算することを特徴とする付記7に記載の通信料金計算システム。
【0154】
(付記9)前記指定行動は、前記移動体通信サービスの加入者の端末装置が実行可能な所定のアプリケーションを所定時間以上利用することであることを特徴とする付記1乃至8の何れか一に記載の通信料金計算システム。
【0155】
(付記10)前記アプリケーションは、該アプリケーションの実行中に前記端末装置に他の装置と通信させるアプリケーションであり、前記計算手段は、前記取得された特徴情報により示される特徴を有する前記通信データが所定間隔未満の時間間隔で前記検出手段により検出された検出期間の長さが所定時間以上である場合、前記提示通信料金を計算することを特徴とする付記9に記載の通信料金計算システム。
【0156】
(付記11)前記指定行動は、所定のウェブサイトの閲覧であることを特徴とする付記1乃至10の何れか一に記載の通信料金計算システム。
【0157】
(付記12)前記特徴情報取得手段は、第1の前記事業者と第2の前記事業者とを含む複数の前記事業者によりそれぞれ指定された複数の前記指定行動のそれぞれに対応する複数の前記特徴情報を取得可能であり、前記検出手段は、前記複数の特徴情報のそれぞれについて、前記特徴情報より示される前記特徴を有する前記通信データを検出し、前記第1の事業者により指定された前記指定行動の種類は、前記第2の事業者により指定された前記指定行動の種類と異なることを特徴とする付記1乃至11の何れか一に記載の通信料金計算システム。
【0158】
(付記13)前記検出手段は、前記ネットワークを通過する前記通信データを、ディープパケットインスペクションで検査することにより、前記取得された特徴情報により示される前記特徴を有する前記通信データを検出することを特徴とする付記1乃至12の何れか一に記載の通信料金計算システム。
【0159】
(付記14)加入者が期間中に消費した通信量に応じて通信料金が定められる移動体通信サービスのネットワークを介して通信される通信データのうち、前記移動体通信サービスの加入者の行動として所定の事業者により指定された指定行動に対応する通信データの特徴を示す特徴情報を取得する特徴情報取得ステップと、前記移動体通信サービスのネットワークを通過中の前記通信データを検査することにより、前記ネットワークを通過する前記通信データから、前記取得された特徴情報により示される前記特徴を有する前記通信データを検出する検出ステップと、前記事業者について予め定められた減算額を取得する減算額取得ステップと、前記移動体通信サービスの加入者のうち、前記検出された通信データの送信元又は送信先となる通信加入者が前記期間の開始時点から消費した消費通信量に応じた通信料金から、前記取得された減算額を減算することにより、前記通信加入者への提示用の提示通信料金を計算する計算ステップと、を含むことを特徴とする通信料金計算方法。
【符号の説明】
【0160】
1 通信量計算装置
2 加入者サポートサーバ
3 請求サーバ
4 会員情報管理サーバ
5 アプリケーション配信サーバ
6 事業者サーバ
7 携帯端末
8 ポイント管理サーバ
11、21、31 システム制御部
12、22、32 システムバス
13、23、33 入出力インターフェース
14、24、34 記憶部
15、25、35 通信部
14a 通信量DB
14b キャンペーンDB
14c シグネチャDB
14d DPI承諾DB
14e 通信料金減額状況DB
34a 通信料金DB
34b 広告料金DB
34c 通信料金減算額DB
41 ユーザ識別情報変換DB
81 ポイントDB
1101 シグネチャ取得部
1102 検出部
1103 通信量計算部
1104 減算額合計更新要求部
2101 通信料金取得部
2102 情報送信部
3101 減算額合計更新要求受信部
3102 減算額合計更新部
3103 通信量取得部
3104 減算額取得部
3105 通信料金計算部
3106 通信料金送信部
3107 広告費計上部
3108 通信料金請求部
3109 ポイント付与部
BS 基地局
NC コアネットワーク
NM 移動体通信ネットワーク
NI インターネット
S 通信システム
【要約】 (修正有)
【課題】指定された行動をユーザがとることに応じてそのユーザの通信料金を減額するための処理を統一的に行う通信料金計算システム及び方法を提供する。
【解決手段】通信料金計算システムにおいて、請求サーバは、移動体通信サービスの加入者の行動として所定の事業者により指定された、指定行動に対応する通信データの特徴を示す特徴情報を取得し、移動体通信サービスのネットワークを通過中の通信データを検査することにより、ネットワークを通過する通信データから、特徴情報により示される特徴を有する通信データを検出して減算額を取得し、移動体通信サービスの加入者のうち、検出された通信データの送信元又は送信先となる通信加入者が期間の開始時点から消費した消費通信量に応じた通信料金から、取得された減算額を減算することにより、通信加入者への提示用の提示通信料金を計算する。
【選択図】
図18