(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】空間可変液晶回折格子
(51)【国際特許分類】
G02B 5/18 20060101AFI20240809BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240809BHJP
G02B 27/02 20060101ALN20240809BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B5/30
G02B27/02 Z
(21)【出願番号】P 2023107019
(22)【出願日】2023-06-29
(62)【分割の表示】P 2022120359の分割
【原出願日】2017-11-16
【審査請求日】2023-06-29
(32)【優先日】2016-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】チュルウ オ
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-215186(JP,A)
【文献】特開2006-252638(JP,A)
【文献】国際公開第2016/054092(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
G02B 5/30
G02B 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回折格子であって、
前記回折格子は、基板の主要表面に平行な側方方向に延在する複数の液晶ゾーンを備え、
前記複数の液晶ゾーンは、光回折のために適合されている周期的に反復する格子周期を含むように構成されており、前記複数の液晶ゾーンは、前記複数の液晶ゾーンが光を回折するような厚さおよび屈折率を有するようにさらに構成されており、
前記複数の液晶ゾーンのそれぞれは、第1の領域と第2の領域とに側方方向に分割され、前記第1の領域および前記第2の領域は、複数の液晶を備え、
前記複数の第1の領域における前記複数の液晶は
、同一の第1の整列
方向に配列されており、
前記複数の第2の領域のうちの異なるものにおける前記複数の液晶は、相互にそれぞれ異なる複数の第2の整列
方向に配列されており、前記相互にそれぞれ異なる複数の第2の整列
方向は、前記基板の前記主要表面に対して垂直な平面において測定される複数の異なる
傾斜角度を含み、これにより、前記複数の第2の領域における前記複数の液晶の前記複数の
傾斜角度は、前記側方方向における前記第2の領域のうちの異なるものを横断して増加または減少することにより、前記側方方向に沿った可変の回折効率を提供し、
それぞれの特定の第2の領域における前記複数の液晶は、前記特定の第2の領域内
で同一の第2の整列
方向に配列されている、回折格子。
【請求項2】
前記複数の第2の領域における前記複数の液晶の前記複数の
傾斜角度は、
前記基板の前記主要表面に平行な平面に対して60度~
90度の範囲内である、請求項1に記載の回折格子。
【請求項3】
前記複数の第2の領域における前記複数の液晶の前記複数の
傾斜角度は、
前記基板の前記主要表面に平行な平面に対して65度~
85度の範囲内である、請求項1に記載の回折格子。
【請求項4】
前記複数の第2の領域における前記複数の液晶の前記複数の
傾斜角度は、
前記基板の前記主要表面に平行な平面に対して35度~
65度の範囲内である、請求項1に記載の回折格子。
【請求項5】
前記複数の第2の領域における前記複数の液晶の前記複数の
傾斜角度は、
前記基板の前記主要表面に平行な平面に対して40度~
60度の範囲内である、請求項1に記載の回折格子。
【請求項6】
前記複数の第2の領域における前記複数の液晶の前記複数の
傾斜角度は、
前記基板の前記主要表面に平行な平面に対して10度~
40度の範囲内である、請求項1に記載の回折格子。
【請求項7】
前記複数の第2の領域における前記複数の液晶の前記複数の
傾斜角度は、
前記基板の前記主要表面に平行な平面に対して15度~
35度の範囲内である、請求項1に記載の回折格子。
【請求項8】
前記複数の第2の領域における前記複数の液晶は、前記基板の前記主要表面に垂直な軸の周りの回転の可変の方位角において、前記それぞれの第2の整列
方向にさらに配列されており、前記複数の第2の領域における前記複数の液晶の複数の方位角は、前記側方方向において増加または減少することにより、前記可変の回折効率を提供する、請求項1に記載の回折格子。
【請求項9】
前記複数の第2の領域における前記複数の液晶の前記複数の方位角は、
前記基板の前記主要表面に垂直な前記平面に対して75度~
90度の範囲内である、請求項8に記載の回折格子。
【請求項10】
前記複数の第2の領域における前記複数の液晶の前記複数の方位角は、
前記基板の前記主要表面に垂直な前記平面に対して60度~
90度の範囲内である、請求項8に記載の回折格子。
【請求項11】
前記複数の第2の領域における前記複数の液晶の前記複数の方位角は、
前記基板の前記主要表面に垂直な前記平面に対して65度~
85度の範囲内である、請求項8に記載の回折格子。
【請求項12】
前記複数の第2の領域における前記複数の液晶の前記複数の方位角は、
前記基板の前記主要表面に垂直な前記平面に対して30度~
60度の範囲内である、請求項8に記載の回折格子。
【請求項13】
前記複数の第2の領域における前記複数の液晶の前記複数の方位角は、
前記基板の前記主要表面に垂直な前記平面に対して35度~
55度の範囲内である、請求項8に記載の回折格子。
【請求項14】
前記複数の第2の領域における前記複数の液晶の前記複数の方位角は、
前記基板の前記主要表面に垂直な前記平面に対して10度~
40度の範囲内である、請求項8に記載の回折格子。
【請求項15】
前記複数の第2の領域における前記複数の液晶の前記複数の方位角は、
前記基板の前記主要表面に垂直な前記平面に対して15度~
35度の範囲内である、請求項8に記載の回折格子。
【請求項16】
前記複数の第2の整列
方向のそれぞれは、前記第1の整列
方向とは異なる、請求項1に記載の回折格子。
【請求項17】
前記複数の液晶ゾーンは、同一の厚さを有する、請求項1に記載の回折格子。
【請求項18】
前記複数の第1の領域と前記複数の第2の領域との間のそれぞれの側方幅の比率は、複数の異なる液晶ゾーンに対し
て同一である、請求項1に記載の回折格子。
【請求項19】
前記複数の第1の領域と前記複数の第2の領域との間のそれぞれの側方幅の比率は、複数の異なる液晶ゾーンに対して異なる、請求項1に記載の回折格子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国仮特許出願第62/424,310号(2016年11月18日出願、名称「SPATIALLY VARIABLE LIQUID CRYSTAL DIFFRACTION GRATINGS」)に対する優先権の利益を主張し、上記出願の内容は、その全体が参照により本明細書に引用される。
【0002】
(分野)
本開示は、ディスプレイシステムに関し、より具体的には、拡張現実ディスプレイシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
現代のコンピューティングおよびディスプレイ技術は、いわゆる「仮想現実」または「拡張現実」体験のためのシステムの開発を促進しており、デジタル的に再現された画像またはその一部が、現実であるように見える、もしくはそのように知覚され得る様式でユーザに提示される。仮想現実、すなわち、「VR」シナリオは、典型的には、他の実際の実世界の視覚的入力に対する透過性を伴わずに、デジタルまたは仮想画像情報の提示を伴い、拡張現実または「AR」シナリオは、典型的には、ユーザの周囲の実際の世界の可視化に対する拡張としてのデジタルまたは仮想画像情報の提示を伴う。複合現実または「MR」シナリオは、一種のARシナリオであり、典型的には、自然世界の中に統合され、それに応答する仮想オブジェクトを伴う。例えば、MRシナリオでは、AR画像コンテンツは、実世界内のオブジェクトによってブロックされて見える、または別様にそれと相互作用するように知覚され得る。
【0004】
図1を参照すると、拡張現実場面1が、描写されており、AR技術のユーザには、人々、木々、背景における建物、コンクリートプラットフォーム1120を特徴とする、実世界公園状設定1100が見える。これらのアイテムに加え、AR技術のユーザはまた、これらの要素1130、1110が実世界内に存在しないにもかかわらず、実世界プラットフォーム1120上に立っているロボット像1110と、マルハナバチの擬人化のように見える、飛んでいる漫画のようなアバタキャラクタ1130等の「仮想コンテンツ」を「見ている」と知覚する。ヒトの視知覚系は、複雑であって、他の仮想または実世界画像要素間における仮想画像要素の快適で、自然のような感覚で、かつ豊かな提示を促進する、AR技術の生産は、困難である。
【0005】
本明細書に開示されるシステムおよび方法は、ARまたはVR技術に関連する種々の課題に対処する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要約)
故に、多数のデバイス、システム、構造、および方法が、本明細書に開示される。例えば、例示的回折格子が、光回折のために適合された格子周期に対応する周期的に反復する側方寸法を有する複数の異なる回折ゾーンを含むように開示される。回折格子は、加えて、異なる回折ゾーンに対応する複数の異なる液晶層を含む。異なる液晶層は、異なる回折ゾーンが光回折に関連付けられた異なる光学性質を有するように、異なるように整合された液晶分子を有する。
【0007】
回折格子を加工する例示的方法が、基板を提供することと、複数の異なる回折ゾーンを、光回折のために適合された格子周期に対応する周期的に反復する側方寸法を有する、基板上に提供することとを含むように開示される。方法はさらに、液晶分子を備えている複数の異なる液晶層を基板にわたって形成することを含み、異なる液晶層は、異なる回折ゾーンに対応し、異なる液晶層を形成することは、液晶分子を異なるように整合させ、それによって、光回折に関連付けられた異なる光学性質を異なる回折ゾーンに提供することを含む。
【0008】
別の例示的回折格子が、液晶層が光を回折するように構成されるように、側方方向に延び、周期的に反復する側方寸法、厚さ、および屈折率を有するように配列される、複数の連続的な液晶層を含むように開示される。液晶層の液晶分子は、連続的な液晶層が回折効率に勾配を伴って光を回折するように構成されるように、側方方向に沿って、異なる液晶層内で異なるように配列される。
【0009】
光をユーザの眼に投影し、拡張現実画像コンテンツを表示するように構成される、例示的頭部搭載型ディスプレイデバイスも、開示される。頭部搭載型ディスプレイデバイスは、ユーザの頭部上に支持されるように構成されたフレームを含む。頭部搭載型ディスプレイデバイスは、加えて、フレーム上に配置されたディスプレイを含み、該ディスプレイの少なくとも一部は、1つ以上の導波管を備え、該1つ以上の導波管は、透明であり、該透明部分が、ユーザの正面の環境の一部からの光をユーザの眼に透過させ、ユーザの正面の環境の該部分のビューを提供するように、ユーザが該頭部搭載型ディスプレイデバイスを装着すると、ユーザの眼の正面の場所に配置され、該ディスプレイはさらに、1つ以上の光源と、光源からの光を該1つ以上の導波管の中に結合する、または光を該1つ以上の導波管から外に結合させるように構成される、少なくとも1つの回折格子とを備えている。回折格子は、光回折のために適合された格子周期に対応する周期的に反復する側方寸法を有する複数の異なる回折ゾーンを含む。回折格子は、加えて、異なる回折ゾーンに対応する複数の異なる液晶層を含み、異なる液晶層は、異なる回折ゾーンが光回折に関連付けられた異なる光学性質を有するように、異なるように整合された液晶分子を有する。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
回折格子であって、前記回折格子は、
光回折のために適合された格子周期に対応する周期的に反復する側方寸法を有する複数の異なる回折ゾーンと、
前記異なる回折ゾーンに対応する複数の異なる液晶層と
を備え、
前記異なる液晶層は、異なるように整合された液晶分子を有し、それによって、前記異なる回折ゾーンは、光回折に関連付けられた異なる光学性質を有する、回折格子。
(項目2)
前記光学性質は、屈折率、吸収係数、回折効率および複屈折のうちの1つ以上のものを含む、項目1に記載の回折格子。
(項目3)
前記異なる液晶層の各々は、複数の異なるように配列された領域を有し、前記異なるように配列された領域は、互いに対して異なるように整合された液晶分子を有する、項目1に記載の回折格子。
(項目4)
前記異なる回折ゾーンの各々は、基板と前記対応する液晶層との間に挿入された整合層をさらに備え、前記異なる回折ゾーンと前記基板との間の異なる整合層は、同一材料組成から形成され、前記異なる整合層は、前記液晶分子が前記異なる回折ゾーン内で異なるように整合されるようにする、項目1に記載の回折格子。
(項目5)
前記液晶分子は、伸長され、伸長方向に沿って整合されたカラミチック液晶分子を備えている、項目1に記載の回折格子。
(項目6)
前記異なる液晶層の各々は、第1の領域と、第2の領域とを含み、前記第1の領域の液晶分子は、第1の整合方向に沿って整合され、前記第1の整合方向は、基準方向に対して第1の整合角度を形成し、前記第2の領域の液晶分子は、第2の整合方向に沿って整合され、前記第2の整合方向は、前記基準方向に対して第2の整合角度を形成し、前記第2の整合角度は、前記第1の整合角度と異なる、項目1に記載の回折格子。
(項目7)
第1の液晶層の第1の領域の液晶分子と第2の液晶層の対応する第1の領域の液晶分子とは、実質的に同一の整合角度を有する、項目6に記載の回折格子。
(項目8)
前記第1の液晶層の第2の領域の液晶分子と前記第2の液晶層の対応する第2の領域の液晶分子とは、異なる整合角度を有する、項目7に記載の回折格子。
(項目9)
第1の液晶層の第1の領域の液晶分子と第2の液晶層の対応する第1の領域の前記液晶分子とは、実質的に異なる整合角度を有し、前記第1の液晶層の第2の領域の液晶分子と前記第2の液晶層の対応する第2の領域の液晶分子とは、異なる整合角度を有する、項目6に記載の回折格子。
(項目10)
前記第1の領域と前記第2の領域との間の側方幅の比率は、異なる回折ゾーン間で実質的に同一である、項目6に記載の回折格子。
(項目11)
第1の液晶層の第2の領域の液晶分子と第2の液晶層の第2の領域の液晶分子とは、実質的に同一の整合角度を有し、前記第1の領域と前記第2の領域との間の側方幅の比率は、異なる回折ゾーン間で実質的に異なる、項目6に記載の回折格子。
(項目12)
第1の液晶層の第2の領域の液晶分子と第2の液晶層の第2の領域の液晶分子とは、異なる整合角度を有し、前記第1の領域と前記第2の領域との間の側方幅の比率は、異なる回折ゾーン間で実質的に異なる、項目6に記載の回折格子。
(項目13)
前記第1および第2の整合角度は、事前傾斜角度であり、前記事前傾斜角度は、基板の主要表面と垂直な平面内で、それぞれの整合方向と前記主要表面との間で測定される、項目6に記載の回折格子。
(項目14)
前記第1および第2の整合角度は、方位角であり、前記方位角は、基板の主要表面と平行な平面内で、それぞれの整合方向と、前記主要表面と平行な基準方向との間で測定される、項目6に記載の回折格子。
(項目15)
前記異なる液晶層は、第1の領域と、第2の領域とを含み、前記第1の領域の液晶分子は、複数の第1の整合方向に沿って整合され、前記複数の第1の整合方向は、基準方向に対して複数の第1の整合角度を形成し、前記第2の領域の液晶分子は、複数の第2の整合方向に沿って整合され、前記複数の第2の整合方向は、前記基準方向に対して複数の第2の整合角度を形成する、項目3に記載の回折格子。
(項目16)
前記回折格子は、透明基板を有する透過回折格子である、項目1に記載の回折格子。
(項目17)
回折格子であって、前記回折格子は、側方方向に延びている複数の連続的な液晶層を備え、前記複数の連続的な液晶層は、周期的に反復する側方寸法、厚さ、および屈折率を有
するように配列され、それによって、前記液晶層は、光を回折するように構成され、
前記液晶層の液晶分子は、前記側方方向に沿って異なる液晶層において異なるように配列され、それによって、前記連続的な液晶層は、回折効率において勾配を有する光を回折するように構成されている、回折格子。
(項目18)
前記液晶層は、第1の領域と、第2の領域とを有し、前記連続的な液晶層は、複数の第1の領域と複数の第2の領域とが前記側方方向に交互するように配列されている、項目17に記載の回折格子。
(項目19)
前記第1の領域内の液晶分子は、実質的に同一の整合配向を有する一方、前記第2の領域内の液晶分子は、実質的に異なる整合配向を有する、項目18に記載の回折格子。
(項目20)
光をユーザの眼に投影することによって拡張現実画像コンテンツを表示するように構成された頭部搭載型ディスプレイデバイスであって、前記頭部搭載型ディスプレイデバイスは、
ユーザの頭部上に支持されるように構成されたフレームと、
前記フレーム上に配置されたディスプレイと
を備え、
前記ディスプレイの少なくとも一部は、1つ以上の導波管を備え、前記1つ以上の導波管は、透明であり、前記1つ以上の導波管は、前記ユーザが前記頭部搭載型ディスプレイデバイスを装着しているとき、前記ユーザの眼の正面の場所に配置され、それによって、前記透明部分は、前記ユーザの正面の環境の一部からの光をユーザの眼に透過させ、前記ユーザの正面の前記環境の前記部分のビューを提供し、前記ディスプレイは、1つ以上の光源と、少なくとも1つの回折格子とをさらに備え、前記少なくとも1つの回折格子は、前記光源からの光を前記1つ以上の導波管の中に結合すること、または、光を前記1つ以上の導波管から外に結合することを行うように構成され、前記回折格子は、
光回折のために適合された格子周期に対応する周期的に反復する側方寸法を有する複数の異なる回折ゾーンと、
前記異なる回折ゾーンに対応する複数の異なる液晶層と
を備え、
前記異なる液晶層は、異なるように整合された液晶分子を有し、それによって、前記異なる回折ゾーンは、光回折に関連付けられた異なる光学性質を有する、頭部搭載型ディスプレイデバイス。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、ARデバイスを通した拡張現実(AR)のユーザのビューを図示する。
【
図2】
図2は、ウェアラブルディスプレイシステムの実施例を図示する。
【
図3】
図3は、ユーザのための3次元画像をシミュレートするための従来のディスプレイシステムを図示する。
【
図4】
図4は、複数の深度平面を使用して3次元画像をシミュレートするためのアプローチの側面を図示する。
【
図5】
図5A-5Cは、曲率半径と焦点半径との間の関係を図示する。
【
図6】
図6は、画像情報をユーザに出力するための導波管スタックの実施例を図示する。
【
図7】
図7は、導波管によって出力された出射ビームの実施例を図示する。
【
図8】
図8は、各深度平面が複数の異なる原色を使用して形成される画像を含むスタックされた導波管アセンブリの実施例を図示する。
【
図9A】
図9Aは、各々が内部結合光学要素を含むスタックされた導波管の組の実施例の断面側面図を図示する。
【
図9C】
図9Cは、
図9Aおよび9Bの複数のスタックされた導波管の実施例の見下げ平面図を図示する。
【
図10】
図10A-10Cは、実施形態による、液晶分子が異なる事前傾斜角度を有するゾーンを有する回折格子の断面側面図を図示する。
【
図11】
図11A-11Bは、実施形態による、
図10A-10Cに図示される回折格子を加工する方法を図示する、中間構造および回折格子の断面側面図である。
【
図12】
図12A-12Cは、実施形態による、
図10A-10Cに図示される回折格子を加工する方法を図示する、中間構造および回折格子の断面側面図である。
【
図13】
図13A-13Bは、実施形態による、液晶分子が異なる事前傾斜角度を有するゾーンを有する回折格子の断面側面図を図示する。
【
図14】
図14A-14Bは、実施形態による、
図13A-13Bに図示される回折格子を加工する方法を図示する、中間構造および回折格子の断面側面図である。
【
図15】
図15A-15Cは、実施形態による、液晶分子が異なる方位角を有するゾーンを有する、回折格子の見下げ平面図を図示する。
【
図16A】
図16Aは、実施形態による、液晶分子が異なる方位角を有するゾーンを有する回折格子の見下げ平面図を図示する。
【
図16B】
図16Bは、
図16Aに図示される回折格子の異なるゾーンを横断した側方方向における方位角の変動を図示する、概略グラフである。
【
図17A】
図17A-17Dは、実施形態による、
図15A-15Cに図示される回折格子を加工する方法を図示する、中間構造および回折格子の断面側面図を図示する。
【
図17B】
図17A-17Dは、実施形態による、
図15A-15Cに図示される回折格子を加工する方法を図示する、中間構造および回折格子の断面側面図を図示する。
【
図17C】
図17A-17Dは、実施形態による、
図15A-15Cに図示される回折格子を加工する方法を図示する、中間構造および回折格子の断面側面図を図示する。
【
図17D】
図17A-17Dは、実施形態による、
図15A-15Cに図示される回折格子を加工する方法を図示する、中間構造および回折格子の断面側面図を図示する。
【
図18A】
図18A-18Cは、実施形態による、
図16Aに図示される回折格子を加工する方法を図示する、中間構造および回折格子の断面側面図を図示する。
【
図18B】
図18A-18Cは、実施形態による、
図16Aに図示される回折格子を加工する方法を図示する、中間構造および回折格子の断面側面図を図示する。
【
図18C】
図18A-18Cは、実施形態による、
図16Aに図示される回折格子を加工する方法を図示する、中間構造および回折格子の断面側面図を図示する。
【
図19】
図19A-19Bは、実施形態による、液晶分子が異なるキラリティを有するゾーンを有する回折格子の見下げおよび断面側面図を図示する。
【
図20】
図20は、実施形態による、液晶分子が異なるキラリティを有するゾーンを有する回折格子の断面側面図である。
【
図21】
図21は、実施形態による、液晶分子が異なる液晶材料から形成されるゾーンを有する、回折格子の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(詳細な説明)
ARシステムは、依然として、ユーザがその周囲の世界を見えることを可能にしながら、仮想コンテンツをユーザまたは視認者に表示し得る。好ましくは、本コンテンツは、例えば、アイウェアの一部として、画像情報をユーザの眼に投影する、頭部搭載型ディスプ
レイ上に表示される。加えて、ディスプレイはまた、周囲環境からの光をユーザの眼に透過し、その周囲環境のビューをもたらし得る。本明細書で使用されるように、「頭部搭載型」ディスプレイは、視認者の頭部上に搭載され得る、ディスプレイであることを理解されたい。
【0012】
ここで、図面を参照するが、同様の参照番号は、全体を通して同様の部分を指す。
【0013】
図2は、ウェアラブルディスプレイシステム80の実施例を図示する。ディスプレイシステム80は、ディスプレイ62と、そのディスプレイ62の機能をサポートするための種々の機械的および電子的モジュールならびにシステムとを含む。ディスプレイ62は、フレーム64に結合され得、これは、ディスプレイシステムユーザまたは視認者60によって装着可能であり、ディスプレイ62をユーザ60の眼の正面に位置付けるように構成される。ディスプレイ62は、いくつかの実施形態では、アイウェアと見なされ得る。いくつかの実施形態では、スピーカ66が、フレーム64に結合され、ユーザ60の外耳道に隣接して位置付けられる(いくつかの実施形態では、示されない別のスピーカが、ユーザの他の外耳道に隣接して位置付けられ、ステレオ/調節可能音制御を提供する)。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステムはまた、1つ以上のマイクロホン67または他のデバイスを含み、音を検出し得る。いくつかの実施形態では、マイクロホンは、ユーザが、入力またはコマンド(例えば、音声メニューコマンドの選択、自然言語質問等)をシステム80に提供することを可能にするように構成され、および/または他の人物(例えば、類似ディスプレイシステムの他のユーザ)とのオーディオ通信を可能にし得る。マイクロホンはさらに、周辺センサとして構成され、オーディオデータを持続的に収集し得る(例えば、ユーザおよび/または環境から受動的に収集するため)。そのようなオーディオデータは、荒い息づかい等のユーザ音または近傍イベントを示す大騒動等の環境音を含み得る。ディスプレイシステムはまた、周辺センサ30aを含み得、これは、フレーム64と別個であり、ユーザ60の身体(例えば、ユーザ60の頭部、胴体、四肢等上)に取り付けられ得る。周辺センサ30aは、本明細書にさらに説明されるように、いくつかの実施形態では、ユーザ60の生理学的状態を特性評価するデータを入手するように構成され得る。例えば、センサ30aは、電極であり得る。
【0014】
図2を継続して参照すると、ディスプレイ62は、有線導線または無線接続性等の通信リンク68によって、ローカルデータ処理モジュール70に動作可能に結合され、これは、フレーム64に固定して取り付けられる、ユーザによって装着されるヘルメットまたは帽子に固定して取り付けられる、ヘッドホン内に内蔵される、または別様に、ユーザ60に除去可能に取り付けられる(例えば、リュック式構成、ベルト結合式構成において)等、種々の構成において搭載され得る。同様に、センサ30aは、通信リンク30b、例えば、有線導線または無線接続性によって、ローカルプロセッサおよびデータモジュール70に動作可能に結合され得る。ローカル処理およびデータモジュール70は、ハードウェアプロセッサと、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリまたはハードディスクドライブ)等のデジタルメモリとを備え得、両方とも、データの処理、キャッシュ、および記憶を補助するために利用され得る。データは、a)画像捕捉デバイス(カメラ等)、マイクロホン、慣性測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、ジャイロスコープ、および/または本明細書に開示される他のセンサ等のセンサ(例えば、フレーム64に動作可能に結合される、または別様に、ユーザ60に取り付けられ得る)から捕捉され、および/またはb)場合によっては、処理もしくは読出後に、ディスプレイ62の通過のために、遠隔処理モジュール72および/または遠隔データリポジトリ74(仮想コンテンツに関連するデータを含む)を使用して入手ならびに/もしくは処理される、データを含む。ローカル処理およびデータモジュール70は、これらの遠隔モジュール72、74が、互いに動作可能に結合され、ローカル処理およびデータモジュール70へのリソースとして利用可能であるように、有線または無線通信リンク等を介して、通
信リンク76、78によって、遠隔処理モジュール72および遠隔データリポジトリ74に動作可能に結合され得る。いくつかの実施形態では、ローカル処理およびデータモジュール70は、画像捕捉デバイス、マイクロホン、慣性測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、および/またはジャイロスコープのうちの1つ以上のものを含み得る。いくつかの他の実施形態では、これらのセンサのうちの1つ以上のものは、フレーム64に取り付けられ得る、または有線または無線通信経路によってローカル処理およびデータモジュール70と通信する、独立型構造であり得る。
【0015】
図2を継続して参照すると、いくつかの実施形態では、遠隔処理モジュール72は、データおよび/または画像情報を分析ならびに処理するように構成される、1つ以上のプロセッサを備え得る。いくつかの実施形態では、遠隔データリポジトリ74は、デジタルデータ記憶設備を備え得、これは、インターネットまたは「クラウド」リソース構成における他のネットワーキング構成を通して利用可能であり得る。いくつかの実施形態では、遠隔データリポジトリ74は、1つ以上の遠隔サーバを含み得、これは、情報、例えば、拡張現実コンテンツを生成するための情報をローカル処理およびデータモジュール70および/または遠隔処理モジュール72に提供する。いくつかの実施形態では、全てのデータが、記憶され、全ての算出が、ローカル処理およびデータモジュールにおいて実施され、遠隔モジュールからの完全に自律的な使用を可能にする。
【0016】
「3次元」または「3-D」であるような画像の知覚は、画像の若干異なる提示を視認者の各眼に提供することによって達成され得る。
図3は、ユーザのための3次元画像をシミュレートするための従来のディスプレイシステムを図示する。眼4、6毎に1つの2つの明確に異なる画像5、7が、ユーザに出力される。画像5、7は、視認者の視線と平行な光学またはz-軸に沿って、距離10だけ眼4、6から離間される。画像5、7は、平坦であって、眼4、6は、単一遠近調節状態をとることによって、画像に合焦させ得る。そのようなシステムは、ヒト視覚系が、画像5、7を組み合わせ、組み合わせられた画像のための深度~/またはスケールの知覚を提供することに依拠する。
【0017】
しかしながら、ヒト視覚系は、より複雑であって、深度の現実的知覚の提供は、より困難であることを理解されたい。例えば、従来の「3-D」ディスプレイシステムの多くの視認者は、そのようなシステムを不快であると見出す、または深度の感覚を全く知覚しない場合がある。理論によって限定されるわけではないが、オブジェクトの視認者は、両眼離反運動と遠近調節の組み合わせに起因して、オブジェクトを「3次元」であると知覚し得ると考えられる。互いに対する2つの眼の両眼離反運動移動(すなわち、瞳孔が、互いに向かって、またはそこから離れるように移動し、眼の視線を収束させ、オブジェクトを固視するような眼の回転)は、眼のレンズおよび瞳孔の合焦(または「遠近調節」)と緊密に関連付けられる。通常条件下、焦点を1つのオブジェクトから異なる距離における別のオブジェクトに変化させるための眼のレンズの焦点の変化または眼の遠近調節は、「遠近調節-両眼離反運動反射」ならびに散瞳または縮瞳として知られる関係下、両眼離反運動の整合変化を自動的に同一距離に生じさせるであろう。同様に、両眼離反運動の変化は、通常条件下、レンズ形状および瞳孔サイズの遠近調節の整合変化を誘起するであろう。本明細書に記載されるように、多くの立体視、すなわち、「3-D」ディスプレイシステムは、3次元視点がヒト視覚系によって知覚されるように、若干異なる提示(したがって、若干異なる画像)を使用して、場面を各眼に表示する。しかしながら、そのようなシステムは、それらが、とりわけ、単に、場面の異なる提示を提供するが、眼が全ての画像情報を単一遠近調節状態で視認する状態では、「遠近調節-両眼離反運動反射」に反発するため、多くの視認者にとって不快である。遠近調節と両眼離反運動との間のより良好な整合を提供する、ディスプレイシステムは、3次元画像のより現実的かつ快適なシミュレーションを形成し、増加された持続時間の装着、ひいては、診断および療法プロトコルへのコンプライアンスに寄与し得る。
【0018】
図4は、複数の深度平面を使用して3次元画像をシミュレートするためのアプローチの側面を図示する。
図4を参照すると、z-軸上の眼4、6から種々の距離におけるオブジェクトは、それらのオブジェクトが合焦するように、眼4、6によって遠近調節される。眼(4および6)は、特定の遠近調節された状態をとり、オブジェクトをz-軸に沿った異なる距離に合焦させる。その結果、特定の遠近調節された状態は、眼がその深度平面のための遠近調節状態にあるとき、特定の深度平面におけるオブジェクトまたはオブジェクトの一部が合焦するように、関連付けられた焦点距離を有する、深度平面14の特定のうちの1つに関連付けられると言え得る。いくつかの実施形態では、3次元画像は、眼4、6毎に、画像の異なる提示を提供することによって、また、深度平面のそれぞれに対応する画像の異なる提示を提供することによって、シミュレートされ得る。例証を明確にするために、別個であるように示されるが、眼4、6の視野は、例えば、z-軸に沿った距離が増加するにつれて、重複し得ることを理解されたい。加えて、例証を容易にするために、平坦であるように示されるが、深度平面の輪郭は、深度平面内の全ての特徴が特定の遠近調節された状態における眼と合焦するように、物理的空間内で湾曲され得ることを理解されたい。
【0019】
オブジェクトと眼4または6との間の距離も、その眼によって視認されるように、オブジェクトからの光の発射量を変化させ得る。
図5A-5Cは、距離と光線の発散との間の関係を図示する。オブジェクトと眼4との間の距離は、減少距離R1、R2、およびR3の順序で表される。
図5A-5Cに示されるように、光線は、オブジェクトまでの距離が減少するにつれてより発散する。距離が増加するにつれて、光線は、よりコリメートされる。換言すると、点(オブジェクトまたはオブジェクトの一部)によって生成される明視野は、点がユーザの眼から離れている距離の関数である、球状波面曲率を有すると言え得る。曲率が増加すると、オブジェクトと眼4の間の距離が減少する。その結果、異なる深度平面では、光線の発散の程度もまたは、異なり、発散の程度は、深度平面と視認者の眼4との間の距離の減少に伴って増加する。単眼4のみが、
図5A-5Cおよび本明細書における他の図では、例証を明確にするために図示されるが、眼4に関する議論は、視認者の両眼4および6に適用され得ることを理解されたい。
【0020】
理論によって限定されるわけではないが、ヒトの眼は、典型的には、有限数の深度平面を解釈し、深度知覚を提供することができると考えられる。その結果、知覚された深度の高度に真実味のあるシミュレーションが、眼にこれらの限定数の深度平面のそれぞれに対応する画像の異なる提示を提供することによって達成され得る。異なる提示は、視認者の眼によって別個に合焦され、それによって、異なる深度平面上に位置する場面のための異なる画像特徴に合焦させるために要求される眼の遠近調節に基づいて、および/または焦点外にある異なる深度平面上の異なる画像特徴の観察に基づいて、ユーザに深度キューを提供することに役立ち得る。
【0021】
図6は、画像情報をユーザに出力するための導波管スタックの実施例を図示する。ディスプレイシステム1000は、複数の導波管1182、1184、1186、1188、1190を使用して3次元知覚を眼/脳に提供するために利用され得る、導波管のスタックまたはスタックされた導波管アセンブリ1178を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム1000は、
図2のシステム80であって、
図6は、そのシステム80のいくつかの部分をより詳細に図式的に示す。例えば、導波管アセンブリ1178は、
図2のディスプレイ62の一部であり得る。ディスプレイシステム1000は、いくつかの実施形態では、明視野ディスプレイと見なされ得ることを理解されたい。
【0022】
図6を継続して参照すると、導波管アセンブリ1178はまた、複数の特徴1198、1196、1194、1192を導波管間に含み得る。いくつかの実施形態では、特徴1
198、1196、1194、1192は、1つ以上のレンズであり得る。導波管1182、1184、1186、1188、1190および/または複数のレンズ1198、1196、1194、1192は、種々のレベルの波面曲率または光線発散を用いて画像情報を眼に送信するように構成され得る。各導波管レベルは、特定の深度平面に関連付けられてもよく、その深度平面に対応する画像情報を出力するように構成され得る。画像投入デバイス1200、1202、1204、1206、1208は、導波管のための光源として機能し得、画像情報を導波管1182、1184、1186、1188、1190の中に投入するために利用され得、それぞれ、本明細書に説明されるように、眼4に向かって出力のために各それぞれの導波管を横断して入射光を分散させるように構成され得る。光は、画像投入デバイス1200、1202、1204、1206、1208の出力表面1300、1302、1304、1306、1308から出射し、導波管1182、1184、1186、1188、1190の対応する入力表面1382、1384、1386、1388、1390の中に投入される。いくつかの実施形態では、入力表面1382、1384、1386、1388、1390の各々は、対応する導波管の縁であり得る、または対応する導波管の主要表面の一部(すなわち、世界1144または視認者の眼4に直接面する導波管表面のうちの1つ)であり得る。いくつかの実施形態では、光の単一ビーム(例えば、コリメートされたビーム)が、各導波管の中に投入され、クローン化されたコリメートビームの全体場を出力し得、これは、特定の導波管に関連付けられた深度平面に対応する特定の角度(および発散量)において眼4に向かって指向される。いくつかの実施形態では、画像投入デバイス1200、1202、1204、1206、1208のうちの単一の1つは、複数(例えば、3つ)の導波管1182、1184、1186、1188、1190に関連付けられ、その中に光を投入し得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、画像投入デバイス1200、1202、1204、1206、1208の各々は、それぞれ対応する導波管1182、1184、1186、1188、1190の中への投入のために画像情報を生産する、離散ディスプレイである。いくつかの他の実施形態では、画像投入デバイス1200、1202、1204、1206、1208は、例えば、画像情報を1つ以上の光学導管(光ファイバケーブル等)を介して画像投入デバイス1200、1202、1204、1206、1208のそれぞれに送り得る、単一の多重化されたディスプレイの出力端である。画像投入デバイス1200、1202、1204、1206、1208によって提供される画像情報は、異なる波長または色(例えば、本明細書に議論されるように、異なる原色)の光を含み得ることを理解されたい。
【0024】
いくつかの実施形態では、導波管1182、1184、1186、1188、1190の中に投入される光は、光プロジェクタシステム2000によって提供され、これは、光モジュール2040を備え、これは、発光ダイオード(LED)等の光エミッタを含み得る。光モジュール2040からの光は、ビームスプリッタ2050を介して、光変調器2030、例えば、空間光変調器によって指向および修正され得る。光変調器2030は、導波管1182、1184、1186、1188、1190の中に投入される光の知覚される強度を変化させるように構成され得る。光変調器2030は、導波管1182、1184、1186、1188、1190の中に投入される光の知覚される強度を変化させるように構成され得る。空間光変調器の実施例は、シリコン上液晶(LCOS)ディスプレイを含む、液晶ディスプレイ(LCD)を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム1000は、光を種々のパターン(例えば、ラスタ走査、螺旋走査、リサジューパターン等)で1つ以上の導波管1182、1184、1186、1188、1190の中に、最終的には、視認者の眼4に投影するように構成される、1つ以上の走査ファイバを備えている、走査ファイバディスプレイであり得る。いくつかの実施形態では、図示される画像投入デバイス1200、1202、1
204、1206、1208は、光を1つまたは複数の導波管1182、1184、1186、1188、1190の中に投入するように構成される、単一走査ファイバまたは走査ファイバの束を図式的に表し得る。いくつかの他の実施形態では、図示される画像投入デバイス1200、1202、1204、1206、1208は、複数の走査ファイバまたは走査ファイバの複数の束を図式的に表し得、それぞれ、光を導波管1182、1184、1186、1188、1190のうちの関連付けられた1つの中に投入するように構成される。1つ以上の光ファイバは、光を光モジュール2040から1つ以上の導波管1182、1184、1186、1188、1190に透過するように構成され得ることを理解されたい。1つ以上の介在光学構造が、走査ファイバまたは複数のファイバと、1つ以上の導波管1182、1184、1186、1188、1190との間に提供され、例えば、走査ファイバから出射する光を1つ以上の導波管1182、1184、1186、1188、1190の中に再指向し得ることを理解されたい。
【0026】
コントローラ1210は、画像投入デバイス1200、1202、1204、1206、1208、光源2040、および光変調器2030の動作を含む、スタックされた導波管アセンブリ1178のうちの1つ以上のものの動作を制御する。いくつかの実施形態では、コントローラ1210は、ローカルデータ処理モジュール70の一部である。コントローラ1210は、例えば、本明細書に開示される種々のスキームのいずれかに従って、導波管1182、1184、1186、1188、1190への画像情報のタイミングおよび提供を調整する、プログラミング(例えば、非一過性媒体内の命令)を含む。いくつかの実施形態では、コントローラは、単一一体型デバイスまたは有線もしくは無線通信チャネルによって接続される分散型システムであり得る。コントローラ1210は、いくつかの実施形態では、処理モジュール70または72(
図1)の一部であり得る。
【0027】
図6を継続して参照すると、導波管1182、1184、1186、1188、1190は、全内部反射(TIR)によって各それぞれの導波管内で光を伝搬するように構成され得る。導波管1182、1184、1186、1188、1190の各々は、主要な上部および底部表面ならびにそれらの主要上部表面と底部表面との間に延在する縁を伴う、平面である、または別の形状(例えば、湾曲)を有し得る。図示される構成では、導波管1182、1184、1186、1188、1190の各々は、光を再指向させ、各それぞれの導波管内で伝搬させ、導波管から画像情報を眼4に出力することによって、光を導波管から抽出するように構成される、外部結合光学要素1282、1284、1286、1288、1290を含み得る。抽出された光はまた、外部結合光と称され得、外部結合光学要素光はまた、光抽出光学要素と称され得る。抽出された光のビームは、導波管によって、導波管内で伝搬する光が光抽出光学要素に衝打する場所において出力される。外部結合光学要素1282、1284、1286、1288、1290は、例えば、本明細書にさらに議論されるような回折光学特徴を含む、格子であり得る。説明を容易にし、図面を明確にするために、導波管1182、1184、1186、1188、1190の底部主要表面に配置されて図示されるが、いくつかの実施形態では、外部結合光学要素1282、1284、1286、1288、1290は、本明細書にさらに議論されるように、上部および/または底部主要表面に配置され得、ならびに/もしくは導波管1182、1184、1186、1188、1190の容積内に直接配置され得る。いくつかの実施形態では、外部結合光学要素1282、1284、1286、1288、1290は、透明基板に取り付けられ、導波管1182、1184、1186、1188、1190を形成する、材料の層内に形成され得る。いくつかの他の実施形態では、導波管1182、1184、1186、1188、1190は、モノリシック材料部品であり得、外部結合光学要素1282、1284、1286、1288、1290は、その材料部品の表面上および/または内部に形成され得る。
【0028】
図6を継続して参照すると、本明細書に議論されるように、各導波管1182、118
4、1186、1188、1190は、光を出力し、特定の深度平面に対応する画像を形成するように構成される。例えば、眼の最近傍の導波管1182は、眼4にコリメートされた光(そのような導波管1182の中に投入された)を送達するように構成され得る。コリメートされた光は、光学無限遠焦点面を表し得る。次の上方の導波管1184は、眼4に到達し得る前に、第1のレンズ1192(例えば、負のレンズ)を通して通過する、コリメートされた光を送出するように構成され得る。そのような第1のレンズ1192は、眼/脳が、その次の上方の導波管1184から生じる光を光学無限遠から眼4に向かって内向きにより近い第1の焦点面から生じるように解釈するように、若干の凸面波面曲率を生成するように構成され得る。同様に、第3の上方の導波管1186は、眼4に到達する前に、その出力光を第1の1192および第2の1194レンズの両方を通して通過させる。第1の1192および第2の1194レンズの組み合わせられた屈折力は、眼/脳が、第3の導波管1186から生じる光が次の上方の導波管1184からの光であった光学無限遠から人物に向かって内向きにさらに近い第2の焦点面から生じるように解釈するように、別の漸増量の波面曲率を生成するように構成され得る。
【0029】
他の導波管層1188、1190およびレンズ1196、1198も同様に構成され、スタック内の最高導波管1190は、人物に最も近い焦点面を表す集約焦点力のために、その出力をそれと眼との間のレンズの全てを通して送出する。スタックされた導波管アセンブリ1178の他側の世界1144から生じる光を視認/解釈するとき、レンズ1198、1196、1194、1192のスタックを補償するために、補償レンズ層1180が、スタックの上部に配置され、下方のレンズスタック1198、1196、1194、1192の集約力を補償し得る。そのような構成は、利用可能な導波管/レンズ対と同じ数の知覚される焦点面を提供する。導波管の外部結合光学要素およびレンズの集束側面は両方とも、静的であり得る(すなわち、動的または電気活性ではない)。いくつかの代替実施形態では、一方または両方とも、電気活性特徴を使用して動的であり得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、導波管1182、1184、1186、1188、1190のうちの2つ以上のものは、同一の関連付けられた深度平面を有し得る。例えば、複数の導波管1182、1184、1186、1188、1190が、同一深度平面に設定される画像を出力するように構成され得る、または導波管1182、1184、1186、1188、1190の複数の一部が、深度平面毎に1つの組を伴う、同一の複数の深度平面に設定される画像を出力するように構成され得る。これは、それらの深度平面において拡張された視野を提供するようにタイル化された画像を形成する利点を提供し得る。
【0031】
図6を継続して参照すると、外部結合光学要素1282、1284、1286、1288、1290は、導波管に関連付けられた特定の深度平面のために、光をそのそれぞれの導波管から再指向し、かつこの光を適切な量の発散またはコリメーションを伴って出力するように構成され得る。その結果、異なる関連付けられた深度平面を有する導波管は、外部結合光学要素1282、1284、1286、1288、1290の異なる構成を有し得、これは、関連付けられた深度平面に応じて、異なる量の発散を伴う光を出力する。いくつかの実施形態では、光抽出光学要素1282、1284、1286、1288、1290は、体積または表面特徴であり得、これは、具体的角度で光を出力するように構成され得る。例えば、光抽出光学要素1282、1284、1286、1288、1290は、体積ホログラム、表面ホログラム、および/または回折格子であり得る。いくつかの実施形態では、特徴1198、1196、1194、1192は、レンズではなくてもよい。むしろ、それらは、単に、スペーサ(例えば、クラッディング層および/または空隙を形成するための構造)であり得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、外部結合光学要素1282、1284、1286、1288、1290は、回折パターンまたは「回折光学要素」(また、本明細書では、「DOE」
とも称される)を形成する、回折特徴である。好ましくは、DOEは、ビームの光の一部のみがDOEの各交差点を用いて眼4に向かって偏向される一方、残りが全内部反射を介して、導波管を通して移動し続けるように、十分に低回折効率を有する。画像情報を搬送する光は、したがって、様々な場所において導波管から出射する、いくつかの関連出射ビームに分割され、その結果、導波管内でバウンスする本特定のコリメートされたビームに関して、眼4に向かって非常に均一パターンの出射放出となる。
【0033】
いくつかの実施形態では、1つ以上のDOEは、能動的に回折する「オン」状態と有意に回折しない「オフ」状態との間で切り替え可能であり得る。例えば、切り替え可能なDOEは、ポリマー分散液晶の層を備え得、その中で微小液滴は、ホスト媒体中に回折パターンを備え、微小液滴の屈折率は、ホスト材料の屈折率に実質的に整合するように切り替えられ得る(その場合、パターンは、入射光を著しく回折させない)、または微小液滴は、ホスト媒体のものに整合しない屈折率に切り替えられ得る(その場合、パターンは、入射光を能動的に回折させる)。
【0034】
いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ500(例えば、可視光および赤外線光カメラを含む、デジタルカメラ)が、提供され、眼4および/または眼4の周囲の組織の画像を捕捉し、例えば、ユーザ入力を検出し、/またはユーザの生理学的状態を監視し得る。本明細書で使用されるように、カメラは、任意の画像捕捉デバイスであり得る。いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ500は、画像捕捉デバイスと、光(例えば、赤外線光)を眼に投影し、次いで、眼によって反射され、画像捕捉デバイスによって検出され得る、光源とを含み得る。いくつかの実施形態では、カメラアセンブ500は、フレーム64(
図2)に取り付けられてもよく、カメラアセンブリ500からの画像情報を処理し、例えば、本明細書に議論されるように、ユーザの生理学的状態に関する種々の決定を行い得る、処理モジュール70および/または72と電気通信し得る。ユーザの生理学的状態に関する情報は、ユーザの挙動または感情状態を決定するために使用され得ることを理解されたい。そのような情報の実施例は、ユーザの移動および/またはユーザの顔の表情を含む。ユーザの挙動または感情状態は、次いで、挙動または感情状態、生理学的状態、および環境または仮想コンテンツデータ間の関係を決定するように、収集された環境および/または仮想コンテンツデータで三角測量され得る。いくつかの実施形態では、1つのカメラアセンブリ500が、眼毎に利用され、各眼を別個に監視し得る。
【0035】
ここで
図7を参照すると、導波管によって出力された出射ビームの実施例を示す。1つの導波管が図示されるが、導波管アセンブリ1178(
図6)内の他の導波管も同様に機能し得、導波管アセンブリ1178は、複数の導波管を含むことを理解されたい。光400が、導波管1182の入力表面1382において導波管1182の中に投入され、TIRによって導波管1182内を伝搬する。光400がDOE1282上に衝突する点では、光の一部は、導波管から出射ビーム402として出射する。出射ビーム402は、略平行として図示されるが、本明細書に議論されるように、また、導波管1182に関連付けられた深度平面に応じて、ある角度(例えば、発散出射ビーム形成)において眼4に伝搬するように再指向され得る。略平行出射ビームは、眼4からの遠距離(例えば、光学無限遠)における深度平面に設定されるように現れる画像を形成するように光を外部結合する、外部結合光学要素を伴う導波管を示し得ることを理解されたい。他の導波管または他の外部結合光学要素の組は、より発散する、出射ビームパターンを出力し得、これは、眼4がより近い距離に遠近調節し、網膜に合焦させることを要求し、光学無限遠より眼4に近い距離からの光として脳によって解釈されるであろう。
【0036】
いくつかの実施形態では、フルカラー画像が、原色、例えば、3つ以上の原色のそれぞれに画像をオーバーレイすることによって、各深度平面において形成され得る。
図8は、スタックされた導波管アセンブリの実施例を図示し、各深度平面は、複数の異なる原色を
使用して形成される画像を含む。図示される実施形態は、深度平面14a-14fを示すが、より多いまたはより少ない深度も、検討される。各深度平面は、第1の色Gの第1の画像、第2の色Rの第2の画像、および第3の色Bの第3の画像を含む、それに関連付けられた3つ以上の原色画像を有し得る。異なる深度平面は、文字G、R、およびBに続くジオプタ(dpt)に関する異なる数字によって図に示される。単なる実施例として、これらの文字のそれぞれに続く数字は、ジオプタ(1/m)、すなわち、視認者からの深度平面の逆距離を示し、図中の各ボックスは、個々の原色画像を表す。いくつかの実施形態では、異なる波長の光の眼の集束における差異を考慮するために、異なる原色に関する深度平面の正確な場所は、変動し得る。例えば、所与の深度平面に関する異なる原色画像は、ユーザからの異なる距離に対応する深度平面上に設置され得る。そのような配列は、視力およびユーザ快適性を増加させ得、および/または色収差を減少させ得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、各原色の光は、単一専用導波管によって出力され得、その結果、各深度平面は、それに関連付けられた複数の導波管を有し得る。そのような実施形態では、文字G、R、またはBを含む、図中の各ボックスは、個々の導波管を表すものと理解され得、3つの導波管は、深度平面毎に提供され得、3つの原色画像が、深度平面毎に提供される。各深度平面に関連付けられた導波管は、本図面では、説明を容易にするために互いに隣接して示されるが、物理的デバイスでは、導波管は全て、レベル毎に1つの導波管を伴うスタックで配列され得ることを理解されたい。いくつかの他の実施形態では、複数の原色が、例えば、単一導波管のみが深度平面毎に提供され得るように、同一導波管によって出力され得る。
【0038】
図8を継続して参照すると、いくつかの実施形態では、Gは、緑色であって、Rは、赤色であって、Bは、青色である。いくつかの他の実施形態では、マゼンタ色およびシアン色を含む、光の他の波長に関連付けられた他の色も、赤色、緑色、もしくは青色のうちの1つ以上のものに加えて使用され得る、またはそれらに取って代わり得る。いくつかの実施形態では、特徴198、196、194、および192は、視認者の眼への周囲環境からの光を選択的に遮断するように構成される、能動または受動光学フィルタであり得る。
【0039】
本開示全体を通した所与の光の色の言及は、視認者によってその所与の色であるように知覚される、光の波長の範囲内の1つ以上の波長の光を包含するものと理解されるであろうことを認識されたい。例えば、赤色光は、約620~780nmの範囲内の1つ以上の波長の光を含み得、緑色光は、約492~577nmの範囲内の1つ以上の波長の光を含み得、青色光は、約435~493nmの範囲内の1つ以上の波長の光を含み得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、光源2040(
図6)は、視認者の視覚的知覚範囲外の1つ以上の波長、例えば、赤外線および/または紫外線波長の光を放出するように構成され得る。加えて、ディスプレイ1000の導波管の内部結合、外部結合、および他の光再指向構造は、例えば、結像および/またはユーザ刺激用途のために、この光をディスプレイからユーザの眼4に向かって指向および放出するように構成され得る。
【0041】
ここで
図9Aを参照すると、いくつかの実施形態では、導波管に衝突する光は、その光を導波管の中に内部結合するために再指向される必要があり得る。内部結合光学要素が、光をその対応する導波管の中に再指向および内部結合するために使用され得る。
図9Aは、それぞれ、内部結合光学要素を含む、複数またはセット1200のスタックされた導波管の実施例の断面側面図を図示する。導波管の各々は、1つ以上の異なる波長または1つ以上の異なる波長範囲の光を出力するように構成され得る。スタック1200は、スタック1178(
図6)に対応し得、スタック1200の図示される導波管は、複数の導波管1182、1184、1186、1188、1190の一部に対応し得るが、画像投入デバイス1200、1202、1204、1206、1208のうちの1つ以上のものから
の光が、光が内部結合のために再指向されることを要求する位置から導波管の中に投入されることを理解されたい。
【0042】
スタックされた導波管の図示されるセット1200は、導波管1210、1220、および1230を含む。各導波管は、関連付けられた内部結合光学要素(導波管上の光入力面積とも称され得る)を含み、例えば、内部結合光学要素1212は、導波管1210の主要表面(例えば、上側主要表面)上に配置され、内部結合光学要素1224は、導波管1220の主要表面(例えば、上側主要表面)上に配置され、内部結合光学要素1232は、導波管1230の主要表面(例えば、上側主要表面)上に配置される。いくつかの実施形態では、内部結合光学要素1212、1222、1232のうちの1つ以上のものは、それぞれの導波管1210、1220、1230の底部主要表面上に配置され得る(特に、1つ以上の内部結合光学要素は、反射性偏向光学要素である)。図示されるように、内部結合光学要素1212、1222、1232は、そのそれぞれの導波管1210、1220、1230の上側主要表面(または次の下側導波管の上部)上に配置され得、特に、それらの内部結合光学要素は、透過性偏向光学要素である。いくつかの実施形態では、内部結合光学要素1212、1222、1232は、それぞれの導波管1210、1220、1230の本体内に配置され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に議論されるように、内部結合光学要素1212、1222、1232は、他の光の波長を透過しながら、1つ以上の光の波長を選択的に再指向するような波長選択的である。そのそれぞれの導波管1210、1220、1232の片側または角に図示されるが、内部結合光学要素1212、1222、1232は、いくつかの実施形態では、そのそれぞれの導波管1210、1220、1230の他の面積内に配置され得ることを理解されたい。
【0043】
図示されるように、内部結合光学要素1212、1222、1232は、相互から側方にオフセットされ得る。いくつかの実施形態では、各内部結合光学要素は、その光が別の内部結合光学要素を通して通過せずに、光を受光するようにオフセットされ得る。例えば、各内部結合光学要素1212、1222、1232は、
図6に示されるように、光を異なる画像投入デバイス1200、1202、1204、1206、および1208から受光するように構成され得、光を内部結合光学要素1212、1222、1232の他のものから実質的に受光しないように、他の内部結合光学要素1212、1222、1232から分離され得る(例えば、側方に離間される)。
【0044】
各導波管はまた、関連付けられた光分散要素を含み、例えば、光分散要素1214は、導波管1210の主要表面(例えば、上部主要表面)上に配置され、光分散要素1214は、導波管1220の主要表面(例えば、上部主要表面)上に配置され、光分散要素1234は、導波管1230の主要表面(例えば、上部主要表面)上に配置される。いくつかの他の実施形態では、光分散要素1214、1224、1234は、それぞれ、関連付けられた導波管1210、1220、1230の底部主要表面上に配置され得る。いくつかの他の実施形態では、光分散要素1214、1224、1234は、それぞれ、関連付けられた導波管1210、1220、1230の上部および底部両方の主要表面上に配置され得る、または光分散要素1214、1224、1234は、それぞれ、異なる関連付けられた導波管1210、1220、1230内の上部および底部主要表面の異なるもの上に配置され得る。
【0045】
導波管1210、1220、1230は、例えば、材料のガス、液体、および/または固体層によって離間ならびに分離され得る。例えば、図示されるように、層1218aは、導波管1210および1220を分離し得、層1218bは、導波管1220および1230を分離し得る。いくつかの実施形態では、層1218aおよび1218bは、低屈折率材料(すなわち、導波管1210、1220、1230の直近のものを形成する材料より低い屈折率を有する材料)から形成される。好ましくは、層1218a、1218b
を形成する材料の屈折率は、導波管1210、1220、1230を形成する材料の屈折率を0.05もしくはそれを上回って、または0.10もしくはそれを下回る。有利には、より低い屈折率層1218a、1218bは、導波管1210、1220、1230を通して光の全内部反射(TIR)(例えば、各導波管の上部および底部主要表面間のTIR)を促進する、クラッディング層として機能し得る。いくつかの実施形態では、層1218a、1218bは、空気から形成される。図示されないが、導波管の図示されるセット1200の上部および底部は、直近クラッディング層を含み得ることを理解されたい。
【0046】
好ましくは、製造および他の考慮点を容易にするために、導波管1210、1220、1230を形成する材料は、類似または同一であって、層1218a、1218bを形成する材料は、類似または同一である。いくつかの実施形態では、導波管1210、1220、1230を形成する材料は、1つ以上の導波管間で異なり得る、および/または層1218a、1218bを形成する材料は、依然として、前述の種々の屈折率関係を保持しながら、異なり得る。
【0047】
図9Aを継続して参照すると、光線1240、1242、1244が、導波管の組1200に入射する。光線1240、1242、1244は、1つ以上の画像投入デバイス1200、1202、1204、1206、1208(
図6)によって導波管1210、1220、1230の中に投入され得ることを理解されたい。
【0048】
いくつかの実施形態では、光線1240、1242、1244は、異なる色に対応し得る、異なる性質、例えば、異なる波長または異なる波長範囲を有する。内部結合光学要素1212、122、1232の各々は、光がTIRによって導波管1210、1220、1230のうちのそれぞれの1つを通して伝搬するように、入射光を偏向させる。
【0049】
例えば、内部結合光学要素1212は、第1の波長または波長範囲を有する、光線1240を偏向させるように構成され得る。同様に、透過される光線1242は、第2の波長または波長範囲の光を偏向させるように構成される、内部結合光学要素1222に衝突し、それによって偏向される。同様に、光線1244は、第3の波長または波長範囲の光を選択的に偏向させるように構成される、内部結合光学要素1232によって偏向される。
【0050】
図9Aを継続して参照すると、偏向された光線1240、1242、1244は、対応する導波管1210、1220、1230を通して伝搬するように偏向される。すなわち、各導波管の内部結合光学要素1212、1222、1232は、光をその対応する導波管1210、1220、1230の中に偏向させ、光を対応する導波管の中に内部結合する。光線1240、1242、1244は、光をTIRによってそれぞれの導波管1210、1220、1230を通して伝搬させる角度で偏向される。光線1240、1242、1244は、導波管の対応する光分散要素1214、1224、1234に衝突するまで、TIRによってそれぞれの導波管1210、1220、1230を通して伝搬する。
【0051】
ここで
図9Bを参照すると、
図9Aの複数のスタックされた導波管の実施例の斜視図が、図示される。前述のように、内部結合された光線1240、1242、1244は、それぞれ、内部結合光学要素1212、1222、1232によって偏向され、次いで、それぞれ、導波管1210、1220、1230内でTIRによって伝搬する。光線1240、1242、1244は、次いで、それぞれ、光分散要素1214、1224、1234に衝突する。光分散要素1214、1224、1234は、それぞれ、外部結合光学要素1250、1252、1254に向かって伝搬するように、光線1240、1242、1244を偏向させる。
【0052】
いくつかの実施形態では、光分散要素1214、1224、1234は、直交瞳エクス
パンダ(OPE)である。いくつかの実施形態では、OPEは、光を外部結合光学要素1250、1252、1254に偏向または分散させることと、また、外部結合光学要素に伝搬するにつれて、この光のビームまたはスポットサイズを増加させることの両方を行う。いくつかの実施形態では、例えば、ビームサイズがすでに所望のサイズである場合、光分散要素1214、1224、1234は、省略され得、内部結合光学要素1212、1222、1232は、光を直接外部結合光学要素1250、1252、1254に偏向させるように構成され得る。例えば、
図9Aを参照すると、光分散要素1214、1224、1234は、それぞれ、外部結合光学要素1250、1252、1254と置換され得る。いくつかの実施形態では、外部結合光学要素1250、1252、1254は、光を視認者の眼4(
図7)内に指向する、射出瞳(EP)または射出瞳エクスパンダ(EPE)である。
【0053】
故に、
図9Aおよび9Bを参照すると、いくつかの実施形態では、導波管の組1200は、原色毎に、導波管1210、1220、1230と、内部結合光学要素1212、1222、1232と、光分散要素(例えば、OPE)1214、1224、1234と、外部結合光学要素(例えば、EP)1250、1252、1254とを含む。導波管1210、1220、1230は、各1つの間に空隙/クラッディング層を伴ってスタックされ得る。内部結合光学要素1212、1222、1232は、入射光をその導波管の中に再指向または偏向させる(異なる内部結合光学要素は、異なる波長の光を受光する)。光は、次いで、それぞれの導波管1210、1220、1230内でTIRをもたらすであろう、角度で伝搬する。示される実施例では、光線1240(例えば、青色光)は、先に説明された様式において、第1の内部結合光学要素1212によって偏向され、次いで、導波管を辿ってバウンスし続け、光分散要素(例えば、OPE)1214、次いで、外部結合光学要素(例えば、EP)1250と相互作用する。光線1242および1244(例えば、それぞれ、緑色および赤色光)は、導波管1210を通して通過し、光線1242は、内部結合光学要素1222に衝突し、それによって偏向される。光線1242は、次いで、TIRを介して、導波管1220を辿ってバウンスし、その光分散要素(例えば、OPE)1224、次いで、外部結合光学要素(例えば、EP)1252に進む。最後に、光線1244(例えば、赤色光)は、導波管1220を通して通過し、導波管1230の光内部結合光学要素1232に衝突する。光内部結合光学要素1232は、光線が、TIRによって、光分散要素(例えば、OPE)1234に、次いで、TIRによって、外部結合光学要素(例えば、EP)1254に伝搬するように、光線1244を偏向させる。外部結合光学要素1254は、次いで、最後に、光線1244を視認者に外部結合し、視認者はまた、他の導波管1210、1220から外部結合された光も受光する。
【0054】
図9Cは、
図9Aおよび9Bの複数のスタックされた導波管の実施例の見下げ平面図を図示する。図示されるように、導波管1210、1220、1230は、各導波管の関連付けられた光分散要素1214、1224、1234および関連付けられた外部結合光学要素1250、1252、1254とともに、垂直に整合され得る。しかしながら、本明細書に議論されるように、内部結合光学要素1212、1222、1232は、垂直に整合されない。むしろ、内部結合光学要素は、好ましくは、非重複する(例えば、見下げ図に見られるように、側方に離間される)。本明細書でさらに議論されるように、本非重複空間配列は、1対1ベースで異なるリソースから異なる導波管の中への光の投入を促進し、それによって、具体的光源が具体的導波管に一意に結合されることを可能にする。いくつかの実施形態では、非重複の空間的に分離される内部結合光学要素を含む、配列は、偏移瞳システムと称され得、これらの配列内の内部結合光学要素は、サブ瞳に対応し得る。
(空間可変液晶回折格子)
【0055】
図6および7を参照して上で説明されるように、本明細書に説明される種々の実施形態によるディスプレイシステムは、外部結合光学要素(例えば、
図6における光学要素12
82、1284、1286、1288、1290)を含み得、これは、回折格子を含み得る。
図7を参照して上で説明されるように、導波管1182の入力表面1382において導波管1182の中に投入される、光400は、全内部反射(TIR)によって導波管1182内を伝搬する。
図7に戻って参照すると、光400が外部結合光学要素1282上に衝突する点において、光の一部が、導波管から出射ビーム402として出射する。いくつかの実装では、回折性質を含む空間可変光学性質を有する、回折格子として構成される光学要素1282を有することが望ましくあり得る。そのような構成は、例えば、導波管1182内を伝搬するにつれて、光の強度が実質的に減衰するとき、望ましくあり得る。そのような状況下では、出射ビーム402の強度の均一性が改良されるように、光伝搬方向に沿って変動する、格子1282のある回折特性、例えば、回折効率(回折されるビーム強度と入射ビーム強度の比率)または屈折率を有することが望ましくあり得る。そのような構成はまた、例えば、光強度を格子1282を横断して意図的に歪曲させ、ヒトの眼に関連付けられた感知効率の空間および/または角度変動に適合させ、ユーザ体験を最大限にするために望ましくあり得る。したがって、外部結合光学要素、例えば、回折格子は、空間可変光学特性を有する必要がある。
【0056】
いくつかの用途に関して、段階的な回折性質が、例えば、半導体処理技術を使用することによって、格子の周期的構造を構造的に変動させることによって、達成されることができる。例えば、半導体エッチング技術が、格子を溶融シリカ等の剛性基板材料の中にホログラフィック的にパターン化するために使用されることができる。空間可変エッチングプロファイルによって、例えば、対応して、空間可変デューティサイクルまたは格子深度が、生産されることができる。しかしながら、そのようなアプローチは、多くの場合、比較的に複雑かつ高価なプロセス、例えば、複数のエッチングプロセスを伴う。したがって、比較的に単純処理技術を用いて加工され得る、空間可変光学性質を伴う回折格子が、有益であり得る。この目的を達成するために、本明細書に開示される種々の実施形態によると、液晶材料が、例えば、液晶分子の空間可変整合特性または他の材料性質によって、回折格子の面積を横断して回折特性を空間的に変動させるために使用される。種々の実施形態では、光重合化可能液晶材料または反応性メソゲンが、回折格子の回折特性を空間的に変動させるために使用される。例えば、格子の異なる面積を液晶材料でコーティングし、その性質、例えば、整合性質を空間的に変動させることによって、空間可変回折性質が、生成されることができる。
【0057】
以下では、液晶(LC)格子の種々の実施形態は、回折効率を含む可変回折性質等の可変光学性質、例えば、勾配光学性質を有する。概して、回折格子は、周期的構造を有し、これは、光を異なる方向に進行するいくつかのビームに分裂および回折させる。これらのビームの方向は、とりわけ、周期的構造の周期および光の波長に依存する。格子の面積を横断して空間的に変動する、ある光学性質、例えば、空間可変回折効率を達成するために、出射する光ビーム402の均一強度を有する、外部結合光学要素282等のある用途に関して、液晶の材料性質は、空間的に変動されることができる。
【0058】
概して、液晶は、従来の流体と固体との間の中間であり得る、物理的性質を保有する。液晶は、いくつかの側面では、流体状であるが、大部分の流体と異なり、それら内の分子の配列は、いくつかの構造秩序を呈する。異なるタイプの液晶は、サーモトロピック、リオトロピック、およびポリマー液晶を含む。本明細書に開示されるサーモトロピック液晶は、ネマチック状態/位相、スメクチック状態/位相、キラルネマチック状態/位相、またはキラルスメクチック状態/位相を含む、種々の物理的状態、例えば、位相に実装されることができる。
【0059】
本明細書に説明されるように、ネマチック状態または位相における液晶は、比較的に少ない位置秩序を有する一方、その長軸が略平行である状態で長距離指向性秩序を有する、
カラミチック(棒形状)またはディスコチック(円板形状)有機分子を有することができる。したがって、有機分子は、依然として、その長距離指向性秩序を維持しながら、その質量中心位置が液体中におけるようにランダムに分散された状態で自由に流動し得る。いくつかの実装では、ネマチック位相における液晶は、一軸性であり得る。すなわち、液晶は、より長くかつ好ましい1つの軸を有し、他の2つは、ほぼ同等である。他の実装では、液晶は、二軸性であり得る。すなわち、その長軸の配向に加え、液晶はまた、二次軸に沿って配向され得る。
【0060】
本明細書に説明されるように、スメクチック状態または位相における液晶は、互いにわたって摺動し得る比較的に明確に画定された層を形成する、有機分子を有することができる。いくつかの実装では、スメクチック位相における液晶は、1つの方向に沿って位置的に秩序付けられることができる。いくつかの実装では、分子の長軸は、液晶層の平面に対して略法線の方向に沿って配向されることができる一方、他の実装では、分子の長軸は、層の平面に対して略法線の方向に対して傾斜され得る。
【0061】
本明細書に説明されるように、ネマチック液晶は、棒状分子から成り、近傍分子の長軸は、互いに近似的に整合される。この異方性構造を説明するために、配向子と呼ばれる、無次元単位ベクトルnが、液晶分子の好ましい配向の方向を説明するために使用され得る。
【0062】
本明細書に説明されるように、ネマチック状態またはスメクチック状態における液晶はまた、キラリティを呈することができる。キラル位相では、液晶は、配向子と垂直な分子の捻転を呈することができ、分子軸は、配向子と平行である。隣接する分子間の有限捻転角度は、その非対称充塞に起因し、これは、より長距離のキラル秩序をもたらす。
【0063】
本明細書に説明されるように、キラルスメクチック状態または位相における液晶は、分子が位置秩序を層化構造内に有するように構成されることができ、分子は、層法線に対してある有限角度によって傾斜される。加えて、キラリティは、1つの層から次の層へと連続方位角捻転を誘発し、分子軸の螺旋捻転を層法線に沿って生産することができる。
【0064】
本明細書に説明されるように、キラリティを示す液晶は、キラルピッチpを有するものとして説明され得、これは、液晶分子が完全360°捻転を受ける距離を指し得る。ピッチpは、温度が改変されると、または他の分子が液晶ホストに添加されると(アキラル液体ホスト材料は、キラル材料でドープされる場合、キラル位相を形成し得る)、変化し、適宜、所与の材料のピッチが調整されることを可能にし得る。いくつかの液晶システムでは、ピッチは、可視光の波長と同一秩序である。本明細書に説明されるように、キラリティを示す液晶はまた、捻転角度を有するものとして説明され得、これは、例えば、液晶材料の厚さを横断した最上液晶分子と最下液晶分子との間の相対的方位角回転を指し得る。
【0065】
本明細書に説明される種々の実施形態によると、上で説明されるような種々の状態または位相を有する、液晶は、例えば、複屈折、光学異方性、および薄膜プロセスを使用した製造可能性を含む、回折格子のための種々の望ましい材料性質をもたらすように構成されることができる。例えば、液晶層の表面条件を変化させ、および/または異なる液晶材料を混合することによって、空間可変回折性質、例えば、勾配回折効率を呈する、格子構造が、加工されることができる。
【0066】
本明細書に説明されるように、「重合化可能液晶」は、重合される、例えば、原位置で光重合され得、また、本明細書では、反応性メソゲン(RM)として説明され得る、液晶材料を指し得る。
【0067】
液晶分子は、いくつかの実施形態では、重合化可能であり得、いったん重合されると、他の液晶分子と大規模な網状体を形成し得ることを理解されたい。例えば、液晶分子は、化学結合または化学種を他の液晶分子に連結することによって、連結され得る。いったんともに継合されると、液晶分子は、ともに連結される前と実質的に同一配向および場所を有する、液晶ドメインを形成し得る。説明を容易にするために、用語「液晶分子」は、本明細書では、重合化前の液晶分子と、重合化後のこれらの分子によって形成される液晶ドメインの両方を指すために使用される。
【0068】
本明細書に説明される特定の実施形態によると、光重合化可能液晶材料は、回折格子を形成するように構成されることができ、複屈折、キラリティ、および複数のコーティングの容易性を含む、その材料性質は、これらの材料性質(例えば、複屈折、キラリティ、および厚さ)の変化が、適宜、回折効率の変動をもたらすため、段階的な回折効率を伴う格子を作成するために利用されることができる。
【0069】
本明細書に説明されるように、「透過」または「透明」構造、例えば、透明基板は、入射光の少なくとも一部、例えば、少なくとも20、30、または50%が、それを通して通過することを可能にし得ることを理解されたい。故に、透明基板は、いくつかの実施形態では、ガラス、サファイア、またはポリマー基板であり得る。対照的に、「反射」構造、例えば、反射基板は、入射光の少なくとも一部、例えば、少なくとも20、30、50、70、90%、またはそれを上回るものを反射させ、そこから反射させ得る。
【0070】
格子の光学性質は、格子の物理的構造(例えば、周期性、深度、およびデューティサイクル)ならびに格子の材料性質(例えば、屈折率、吸収率、および複屈折)によって決定される。液晶が、使用されるとき、格子の光学性質は、例えば、液晶材料の分子配向または分布を制御することによって制御されることができる。例えば、格子面積を横断して液晶材料の分子配向または分布を変動させることによって、格子は、段階的な回折効率を呈し得る。そのようなアプローチは、図を参照して以下に説明される。
【0071】
種々の実施形態では、回折格子は、基板と、光回折のために適合された格子周期に対応する周期的に反復する側方寸法を有する複数の異なる回折ゾーンとを備えている。回折格子はさらに、異なる回折ゾーンに対応する複数の異なる液晶層を備え、異なる液晶層は、異なる回折ゾーンが光回折に関連付けられた異なる光学性質を有するように、異なるように整合された液晶分子を有する。
(光整合された空間可変液晶回折格子)
【0072】
図10A-10Cを参照すると、いくつかの実施形態による、回折格子100A-100Cの断面側面図(x-z平面に沿って見られる)が、図示される。それぞれ回折格子100A-100Cは、基板104と、複数の回折ゾーン、すなわち、
図10Aに図示されるように、回折ゾーン108A-1、108A-2、・・・および108A-nと、
図10Bに図示されるように、回折ゾーン108B-1、108B-2、・・・および108B-nと、
図10Cに図示されるように、回折ゾーン108C-1、108C-2、・・・および108C-nとを備えている。
【0073】
回折格子100A-100Cのそれぞれの回折ゾーンは、周期的に反復する側方寸法または格子周期∧を有し、液晶分子112から形成される対応する液晶層を含む。図示される実施形態では、本開示全体を通して、液晶分子112は、液晶分子の他の可能性として考えられる状態の中でもとりわけ、ネマチック状態またはスメクチック状態もしくはその混合物であり得る。図示される実施形態では、全体を通して、種々の実施形態は、複数の回折ゾーンが可視光を回折するように構成されるように、約100nm~約10,000nm、約200nm~約2000nm、または約300nm~約1000nmの格子周期
∧を有することができる。
【0074】
回折格子100Aの回折ゾーン108A-1、108A-2、…108A-nは、それぞれ、対応する液晶層116A-1、116A-2、…116A-nを有し、回折格子100Bの回折ゾーン108B-1、108B-2、…108B-nは、それぞれ、対応する液晶層116B-1、116B-2、…116B-nを有し、回折格子100Cの回折ゾーン108C-1、108C-2、…108C-nは、それぞれ、対応する液晶層116C-1、116C-2、および116C-nを有する。
【0075】
本明細書の全体を通して、「n」は、異なるゾーンの数を表すために好適な整数であり得ることを理解されたい。例えば、回折ゾーン108B-1、108B-2、…108B-nは、n個の数の回折ゾーンが存在し得ることを示し、nは、整数である。図から省略される回折ゾーンの数(n)は、例えば、1~約500、約1~約200、または約1~約100であり得る。いくつかの実装では、回折格子の光学性質は、表面を横断して持続的に変動することができる。一実装では、例えば、回折ゾーンのうちの少なくともいくつかに関して、回折ゾーンあたり1つの格子周期∧が存在し得る。各回折ゾーンが、1つの格子周期∧を有するとき、回折ゾーンの数(n)は、格子周期∧の数を表し得る。
【0076】
本明細書全体を通して、「…」は、図に示されるとき、連続的に接続され、任意の他の隣接して図示されるゾーンと類似または同一であり得る、図示されるゾーン間の追加の回折ゾーンの存在を表し得ることを理解されたい。加えて、「…」はまた、任意の好適な回数だけ周期的に反復する、回折ゾーンの配列を表し得る。
【0077】
回折格子100Aの液晶層116A-1、116A-2、および116A-nの各々は、順に、それぞれ、異なるように配列される第1および第2の回折領域116A-1Lおよび116A-1R、116A-2Lおよび116A-2R、…ならびに116A-nLおよび116A-nRを有する。同様に、回折格子100Bの液晶層116B-1、116B-2、および116B-nの各々は、順に、それぞれ、異なるように配列される第1および第2の回折領域116B-1Lおよび116B-1R、116B-2Lおよび116B-2R、…ならびに116B-nLおよび116B-nRを有する。同様に、回折格子100Cの液晶層116C-1、116C-2、および116C-nの各々は、順に、それぞれ、異なるように配列される第1および第2の回折領域116C-1Lおよび116C-1R、116C-2Lおよび116C-2R、…ならびに116C-nLおよび116C-nRを有する。領域は、時として、液晶分子のドメインとも称される。
【0078】
依然として、
図10A-10Cを参照すると、異なる回折ゾーンの各々はさらに、基板104と対応する液晶層との間に挿入された整合層120を備え、整合層は、各ゾーンの異なる領域内の液晶分子の整合を誘発するように構成される。
図10Aの基板104と回折格子100Aの第1/第2の回折領域116A-1L/116A-1R、116A-2L/116A-2R、・・・および116A-nL/116A-nRとの間に挿入されるのは、それぞれ、第1および第2の整合層120A-1L/120A-1R、120A-2L/120A-2R、・・・および120A-nL/120A-nRである。同様に、
図10Bの基板104と回折格子100Cの第1/第2の回折領域116B-1L/116B-1R、116B-2R/116B-2R、・・・および116B-nL/116B-nRとの間に挿入されるのは、それぞれ、第1/第2の整合層120B-1L/120B-1R、120B-2L/120B-2R、・・・および120B-nL/120B-nRである。同様に、
図10Cの基板104と回折格子100Cの異なるように配列される第1/第2の回折領域116C-1L/116C-1R、116C-2L/116C-2R、・・・および116C-nL/116C-nRとの間に挿入されるのは、それぞれ、第1/第2の整合層120C-1L/120C-1R、120C-2L/120C-2
R、・・・および120C-nL/120C-nRである。
【0079】
本明細書では、本開示全体を通して、伸長液晶分子の整合方向は、液晶分子の伸長方向または配向子ベクトルnの方向を指し得る。
【0080】
本明細書では、本開示全体を通して、傾斜角度または事前傾斜角度Φは、液晶層または基板の主要表面(x-y平面)と垂直な平面、例えば、x-z平面において測定され、かつ整合方向と主要表面または主要表面と平行方向、例えば、x-方向との間で測定される、角度を指し得る。
【0081】
本明細書では、本開示全体を通して、方位角または回転角度φは、主要表面(x-y平面)に対して法線の軸を中心とした回転の角度を説明するために使用され、これは、液晶層または基板の主要表面と平行な平面、例えば、x-y平面において測定され、かつ整合方向と主要表面と平行方向、例えば、y-方向との間で測定される。
【0082】
本明細書では、本開示全体を通して、事前傾斜角度Φまたは回転角度φ等の整合角度が、異なる領域間で実質的に同一であると称されるとき、平均整合角度は、例えば、互いに約1%、約5%、または約10%以内であり得るが、平均整合は、ある場合には、より大きくあり得ることを理解されたい。
【0083】
本明細書では、本明細書全体を通して、デューティサイクルは、例えば、第1の整合方向に整合された液晶分子を有する第1の領域の第1の側方寸法と第1の領域を有するゾーンの格子周期との間の比率を指し得る。適用可能である場合、第1の領域は、液晶の整合が異なるゾーン間で変動しない、領域に対応する。
【0084】
依然として、
図10A-10Cを参照すると、回折格子100A、100B、および100Cの各ゾーンは、x-方向に交互する、第1および第2の領域を含む。回折格子100Aの第1の領域116A-1L、116A-2L、・・・および116A-nLのそれぞれ、回折格子100Bの第1の領域116B-1L、116B-2L、・・・および116B-nLのそれぞれ、ならびに回折格子100Cの第1の領域116C-1L、116C-2L、・・・および116A-nLのそれぞれは、同一の第1の整合方向に沿って実質的に整合された液晶分子112を有し、実質的に同一である、第1の事前傾斜角度Φを有する。回折格子100Aの第2の領域116A-1R、116A-2R、・・・および116A-nRのそれぞれ、回折格子100Bの第2の領域116B-1R、116B-2R、・・・および116B-nLのそれぞれ、ならびに回折格子100Cの第2の領域116C-1R、116C-2R、・・・および116C-nRのそれぞれは、第1の整合方向と異なる第2の整合方向に沿って実質的に整合された液晶分子112を有し、それぞれの第1の領域の第1の事前傾斜角度Φと異なる、例えば、それを上回る、第2の事前傾斜角度Φを有する。
【0085】
図10A-10Cの回折格子100A-100Cのそれぞれでは、実施形態によると、それぞれ、回折ゾーンのうちの少なくともいくつかは、回折ゾーンが、異なる光学性質、例えば、異なる屈折率および異なる回折効率を有するように、空間的に異なるように配列される、例えば、互いに異なる事前傾斜角度を有する(
図10Aおよび10C)、または側方に可変のデューティサイクルを有する(
図10Bおよび10C)、液晶分子から形成される液晶層を有する。
【0086】
特に、
図10Aの回折格子100Aを参照すると、第1の領域116A-1L、116A-2L、・・・および116A-nLの第1の事前傾斜角度Φと異なる、整合方向および事前傾斜角度Φを有することに加え、異なる第2の領域116A-1R、116A-2
R、・・・および116A-nRの液晶分子は、互いに異なる第2の整合方向に沿って整合される。例えば、図示される実施形態では、ゾーン108A-1、108A-2、および108A-nは、第1の領域および第2の領域がx-方向に交互するように配列され、第1の領域116A-1L、116A-2L、・・・および116A-nLの各々は、実質的に同一の事前傾斜角度Φを有する一方、第2の領域116A-1R、116A-2R、・・・および116A-nRは、互いに異なる事前傾斜角度Φを有する。一例として、第1の領域116A-1L、116A-2L、・・・および116A-nLは、約±15度または約±10度もしくは約±5、例えば、0度の事前傾斜角度Φを有する。第2の領域116A-1R、116A-2R、・・・および116A-nRは、互いに異なり、それぞれ、約60度~約90度または約65度~約85度、例えば、約75度、約35度~約65度または約40度~約60度、例えば、約50度、約10度~約40度または約15度~約35度、例えば、約25度の事前傾斜角度Φを有することができる。
【0087】
依然として、
図10Aを参照すると、いくつかの実施形態では、図示されるように、第2の領域116A-1R、116A-2R、・・・および116A-nRは、回折性質の勾配が作成されるように、側方方向における1つの方向に変動する、例えば、増減する、傾斜角度Φを有することができる。他の実施形態では、第2の領域116A-1R、116A-2R、・・・および116A-nRは、側方方向における1つの方向に変動しない、傾斜角度Φを有することができる。
【0088】
依然として、
図10Aを参照すると、上で定義される、デューティサイクルは、約10%~約30%、約30%~約50%、約40%~60%(例えば、約50%)、約50%~約70%、または約70%~約90%であることができる。
【0089】
ここで
図10Bを参照すると、回折格子100Bは、
図10Aの回折格子100Aといくつかの共通特徴を共有する。しかしながら、
図10Aの回折格子100Bと異なり、異なる第2の領域116B-1R、116B-2R、・・・および116B-nRの液晶分子は、第1の領域116B-1L、116B-2L、・・・および116B-nLの第1の事前傾斜角度Φと異なる、事前傾斜角度Φを有するが、それらは、互いに異なるように整合されない。例えば、図示される実施形態では、ゾーン108B-1、108B-2、および108B-nは、第1の領域および第2の領域がx-方向に交互するように配列され、第1の領域116B-1L、116B-2L、・・・および116B-nLの各々は、実質的に同一の第1の事前傾斜角度Φを有し、第2の領域116B-1R、116B-2R、・・・および116B-nRの各々は、実質的に同一の第2の事前傾斜角度Φを有する。第1および第2の領域の第1および第2の事前傾斜角度は、
図10Aの回折格子100Aに関して上で議論される値のいずれかを有することができる。
【0090】
依然として、
図10Bを参照すると、
図10Aの格子100Aと異なり、ゾーン116B-1、116B-2、および116B-3は、実質的に同一の事前傾斜角度、例えば、約0~90度を有するが、回折格子100Bが空間可変光学性質を有するように、それぞれ、デューティサイクル約40%~約60%、例えば、約50%、約30%~約50%、例えば、約40%~デューティサイクル約20%~約40%、例えば、約30%を有する。
【0091】
依然として、
図10Bを参照すると、いくつかの実施形態では、図示されるように、ゾーンは、光学性質の勾配が作成されるように、側方方向における1つの方向に変動する、例えば、増減するデューティサイクルを有することができる。他の実施形態では、デューティサイクルは、側方方向における1つの方向に変動しない。
【0092】
ここで
図10Cを参照すると、図示される回折格子100Cは、
図10Aおよび10B
の回折格子100Aおよび100Bに関して上で説明されるものに類似する特徴を組み合わせる。特に、異なる第2の領域116C-1R、116C-2R、・・・および116C-nRの液晶分子は、第1の領域116C-1L、116C-2L、・・・および116C-nLの第1の事前傾斜角度Φと異なり、互いに異なるように整合される、事前傾斜角度Φを有することができる。加えて、デューティサイクルは、側方方向、例えば、x-方向を横断して隣接するゾーン間で変動する。第1および第2の領域の第1および第2の事前傾斜角度は、
図10Aの回折格子100Aに関して上で議論される値のいずれかを有することができる。加えて、側方方向、例えば、x-方向を横断した隣接するゾーン間のデューティサイクル変動も、
図10Bの回折格子100Bに関して上で議論される値を有することができる。
【0093】
図10A-10Cに図示される回折格子100A-100Cでは、本開示全体を通して、上で議論される格子周期およびデューティサイクルに加え、回折性質はさらに、とりわけ、液晶層116の厚さおよび屈折率によって定義され得ることを理解されたい。本明細書に開示される種々の実施形態によると、本明細書に開示される液晶層の厚さは、厚さ約1μm~約100μm、約0.5μm~約20μm、または約0.1μm~約10μmを有することができる。本明細書に開示される液晶層の平均屈折率は、約1.8~約2.0、約1.6~約1.8、または約1.4~約1.2であることができる。本明細書に開示される種々の回折格子の結果として生じる平均回折効率は、約1%~約80%、約1%~約50%、または約5%~約30%であることができる。
【0094】
本明細書に開示される種々の実施形態を実装する結果、本開示全体を通して、異なるゾーンは、平均屈折率に対して、回折格子の表面積を横断して、約-30%~約+30%、約-20%~約+20%、または約-10%~約+10%変動する、屈折率を有することができる。さらなる結果として、異なるゾーンは、平均回折効率に対して、回折格子の表面積を横断して、約1%~約80%、約1%~約50%または約1%~約30%変動する、回折効率を有することができる。
【0095】
図11Aおよび11Bは、実施形態による、光整合技法を使用して、例えば、上で説明される
図10A-10Cの回折格子100A-100C等、表面を横断して非均一事前傾斜角度を伴う、液晶分子を有する回折格子を加工するための方法を図示する。
【0096】
図11Aの中間構造100aを参照すると、基板104が、提供され、その上に、光整合層120が、形成される。基板104は、いくつか実施例を挙げると、例えば、シリカベースのガラス、石英、サファイア、酸化インジウムスズ(ITO)、またはポリマー基板等の可視スペクトル内において透明である、光学的に透明な基板であることができる。
【0097】
本明細書に説明されるように、光整合層は、その上に液晶分子が堆積されると、例えば、光整合層によって液晶分子上に付与される係留エネルギーに起因して、液晶分子が配向される、層を指し得る。光整合層の実施例は、いくつか挙げると、ポリイミド、線形偏光光重合性ポリマー(LPP)、アゾ含有ポリマー、クマリン含有ポリマー、およびケイ皮酸含有ポリマーを含む。
【0098】
光整合層120は、前駆体、例えば、モノマーを好適な溶媒中に溶解し、基板104の表面を溶液でコーティング、すなわち、スピンコーティングすることによって形成されることができる。溶媒は、その後、コーティングされた溶液から除去されることができる。
【0099】
光整合層120をコーティングおよび乾燥後、フォトマスク130が、下層光整合層120の異なる領域を異なる用量の光および/または異なる偏光の光に暴露するために使用されることができる。例えば、異なるように暴露されることになる光整合層120の領域
は、
図10Aの回折格子100Aに関して上で説明されるゾーン108A-1および108A-2のそれぞれの第1(例えば、左)および第2(例えば、右)の領域に対応し得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、光整合層120は、結果として生じる液晶分子が暴露光の偏光方向と略平行に配向されるように構成されることができる(例えば、暴露光の方位角φおよび線形偏光角度は、実質的に同一である)。他の実施形態では、光整合層120は、液晶分子が暴露光の偏光方向と実質的に直交して配向されるように構成されることができる(例えば、暴露光の方位角φおよび線形偏光角度は、約+/-90度、実質的にオフセットされる)。
【0101】
一実施例では、フォトマスク130は、少なくとも部分的に、透明であり、可能性として、1つ以上の不透明領域を有する、複数のマスク領域130a-130dを有する、グレースケールマスクであることができる。複数のマスク領域130a-130dの異なるものは、複数のマスク領域130a-130dの異なるものを通して透過される透過光140a-140dが、入射光140に対する異なるマスク領域130a-130dの相対的透明度に比例する可変強度を有するように、異なる量の入射光140を透過させるように構成され得る。しかしながら、実施形態は、そのように限定されず、他のマスクタイプも、使用されることができる。例えば、フォトマスク130は、複数のマスク領域130a-130dを通して透過される透過光140a-140dが、バイナリ強度を有するように、それぞれ、完全またはほぼ完全に透明もしくは完全またはほぼ完全に不透明である、複数のマスク領域130a-130dを有する、バイナリマスクであることができる。
【0102】
フォトマスク130は、好適な材料から形成されることができ、これは、少なくとも部分的に、UV光を吸収する。いくつかの実施形態では、異なるマスク領域130a-130dを横断して透過される光の可変強度は、異なる領域内の異なる材料(例えば、異なる吸収係数を有する)、異なる領域内の可能性として異なる量でドープされた材料を使用することによって、または異なる領域内の異なる厚さを使用することによって、達成されることができる。他のタイプのマスクも、使用されることができる。いくつかの実施形態では、フォトマスク130は、下層光整合層120に接触することができる一方、他の実施形態では、フォトマスク130は、下層光整合層120に接触しない。
【0103】
入射光は、例えば、436nm(「g-線」)、405nm(「h-線」)、および365nm(「i-線」)におけるそのスペクトル線のための、例えば、高圧Hg-ランプからのUV光であることができる。しかしながら、実施形態は、そのように限定されず、入射光は、可視光を含む、光整合層120が応答性である、任意の好適な光であることができる。偏光されると、入射UV-光は、好適な偏光器を使用して偏光されることができる。故に、種々の場合において、マスクは、UV-光に透過性である。フォトマスクを利用することに加え、他のパターン化方法も、採用されることができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、入射光140は、単一均一入射光源を使用することによって、ある持続時間にわたって生成されることができる。しかしながら、実施形態は、そのように限定されず、他の実施形態では、入射光140は、異なるマスク領域130a-130dを横断して強度が変動することができる。さらに、さらに他の実施形態では、入射光140は、異なるマスク領域130a-130dを横断して、異なる持続時間にわたって選択的に生成されることができる。
【0105】
さらに、図示される実施形態では、入射光140は、偏光される、例えば、偏光ベクトル134a-134dによって図式的に描写されるように、線形に偏光されることができる。しかしながら、他の実施形態による入射光140は、円または楕円偏光であることが
できる。いくつかの実施形態では、偏光ベクトル134a-134dは、異なる偏光角度を表すことができる一方、いくつかの他の実施形態では、入射光140は、単一偏光角度を有することができる。
【0106】
任意の理論によって拘束されるわけではないが、光整合材料と透過される光140a-140dの異なる用量および偏光の組み合わせは、結果として生じる光整合層120の種々の領域に異なる量の係留エネルギーを上層液晶分子上に付与させ、それによって、本明細書に説明されるように、液晶分子の異なる配向を生じさせる。マスクを採用する場合とそうではない場合がある、他の方法も同様に、使用され得る。
【0107】
図11Bを参照すると、上で説明される種々の技法を使用して、光整合層120を可変用量の透過光140a-140dに暴露後、液晶層116が、光整合層120上に形成されることができる。
【0108】
液晶層116は、液晶前駆体、例えば、モノマーを好適な溶媒中に溶解し、整合層120の表面をその中に溶解された液晶前駆体を有する溶液でコーティング、例えば、スピンコーティングすることによって形成されることができる。溶媒は、その後、コーティングされた溶液から除去されることができる。
【0109】
種々の実施形態では、液晶層116を形成するために使用される反応性メソゲン材料は、例えば、液晶性モノまたはジアクリレートを含む。
【0110】
上で説明されるように、光整合層120の異なる領域によって受光された光の異なる用量および/または偏光角度のため、例えば、堆積されたままの液晶層は、それぞれ、液晶層116A-1および116A-2をゾーン108A-1および108A-2内に形成する。液晶層116A-1および116A-2は、順に、それぞれ、第1および第2の回折領域116A-1Lおよび116A-1Rならびに116A-2Lおよび116A-2Rを有する。
図10Aに関して上で説明されるように、第1の領域および第2の領域は、x-方向に交互し、第1の領域116A-1Lおよび116A-2Lの各々は、実質的に同一の第1の事前傾斜角度Φを有する一方、第2の領域116A-1Rおよび116A-2Rは、相互および第1の領域の第1の事前傾斜角度と異なる事前傾斜角度Φを有する。任意の理論によって拘束されるわけではないが、いくつかのタイプの光整合材料では、光への下層光整合層120の暴露は、液晶分子の面内整合を生じさせる、係留エネルギーを増加させると考えられる。その結果、これらの光整合材料では、暴露の増加は、実施形態によると、その上に形成される液晶層の事前傾斜角度Φの対応する低減につながる。しかしながら、他のタイプの光整合材料では、光への下層光整合層120の暴露は、液晶分子の面内整合を生じさせる、係留エネルギーを減少させると考えられる。その結果、これらの光整合材料では、暴露の増加は、実施形態によると、その上に形成される液晶層の事前傾斜角度Φの対応する増加につながる。
【0111】
したがって、実施形態によると、事前傾斜角度Φによって測定されるような傾斜度は、下層光整合層120によって受光された透過光の用量に反比例する。例えば、図示される実施形態では、光整合層120A-1Lおよび120A-2Lは、最高量の入射光を受光し、その後、整合層120A-1R、その後、整合層120-2Rが続く。その結果、結果として生じる事前傾斜角度は、ゾーン108A-2の第2の領域116A-2Rに関して最高となり、その後、ゾーン108A-1の第2の領域116A-1R、その後、それぞれ、ゾーン108A-1および108A-2の第1の領域116A-1Lおよび116A-2Lが続く。
【0112】
図12A-12Cは、実施形態による、光整合技法を使用して、非均一事前傾斜角度を
有する、回折格子、例えば、上で説明される
図10A-10Cの回折格子100A-100Cを加工するための別の方法を図示する。特に、図示される実施形態では、方法は、液晶の形成に先立って、整合層の複数回の暴露を使用する。
【0113】
図12A-12Cの図示される方法では、
図11A-11Bに関して図示される方法と同様に、基板104が、提供され、その上に、光整合層120が、形成される。しかしながら、
図11A-11Bに関して図示される方法と異なり、フォトマスク130を使用して、下層光整合層120の異なる領域を異なる用量の光および/または異なる偏光の光に暴露することに先立って、光整合層120は、第1の入射光140Aを使用して、一次(例えば、ブランケット)パターンの光に暴露される。一次パターンの光は、例えば、ブランケット暴露を使用して、例えば、ブランケット半透明グレースケールマスク(図示せず)を使用して、生産され得る。図示される実施形態では、マスクは、一次パターンの光へのブランケット暴露に関して省略され得る。
【0114】
第1の入射光140Aは、偏光される、例えば、偏光ベクトル134a-134dによって図式的に描写されるように、第1の偏光角度で線形に偏光されることができる。線形に偏光される、第1の入射光140Aは、液晶分子の均一整合を作成することができる。一次(例えば、ブランケット)パターンの光への暴露に続いて、整合層120はさらに、
図11A-11Bに関して上で説明される方法に実質的に類似する様式において、下層光整合層120の異なる領域を異なる用量の光および/または異なる偏光の光に暴露するように構成される、第2の入射光140Bおよびフォトマスク130を使用して、二次パターンの光に暴露され得る。例えば、回折格子100Aに関して上で説明されるように、ゾーン108A-1および108A-2のそれぞれの第1(例えば、左)および第2(例えば、右)の領域に対応する、光整合層120の異なる領域は、異なる用量および/または異なる偏光の光に暴露されることができる。第1の入射光140Aと異なり、第2の入射光140Bは、非偏光または円偏光であることができる。非偏光または円偏光である、第2の入射光140Bは、液晶分子の整合方向を再分散させることができる。結果として生じる回折格子100Aは、
図11Bに関して上で説明されるものに類似し、第1の領域および第2の領域は、x-方向に交互し、第1の領域116A-1Lおよび116A-2Lの各々は、実質的に同一の第1の事前傾斜角度Φを有する一方、第2の領域116A-1Rおよび116A-2Rは、相互および第1の領域の第1の事前傾斜角度と異なる事前傾斜角度Φを有する。
【0115】
第2の入射光140Bは、偏光される、例えば、偏光ベクトル134e-134hによって図式的に描写されるように、第1の入射光140Aの第2の偏光角度と異なる、例えば、それに直交する第2の偏光角度で線形に偏光されることができる。いくつかの他の実施形態では、第1および第2の偏光角度は、同一である。さらにいくつかの他の実施形態では、第1および第2の偏光角度は、異なるが、直交しない。さらに、他の実施形態による第2の入射光140Bは、第1の入射光140Aに対して類似または異なる偏光配向を有する、円または楕円偏光であることができる。
【0116】
図11A-11Bおよび
図12A-12Cを参照して上で説明される実施形態では、光整合技法を使用して、液晶の事前傾斜角度を制御する方法が、説明された。しかしながら、他の実施形態も、可能性として考えられ、整合層が、金属物体、例えば、金属球体で、負荷下において研磨される、微小研磨と称されるプロセスを含むことを理解されたい。例えば、整合層と直接接触する金属球体は、整合層を横断して移動され、マイクロメートルサイズの研磨線を作成し得、これは、続いて堆積される液晶の事前傾斜を誘発する。さらに他の実施形態では、異なる事前傾斜角度を誘発するように事前に構成される、整合材料が、それらを後処理する代わりに、堆積され、液晶分子の事前傾斜を誘発することができる。
【0117】
ここで
図13Aおよび13Bを参照すると、いくつかの他の実施形態による、回折格子103Aおよび103Bの断面(x-z平面)図が、図示される。回折格子103Aおよび103Bは、偏光格子(PG)であることができ、これは、透過光の偏光状態を局所的に修正するように構成され、これは、空間可変複屈折および/または二色性によって達成されることができる。明確にするために示されないが、回折格子103Aのおよび103Bの各々は、基板と、その上に形成される整合層と、
図13Aでは、複数の異なるように配列される回折ゾーン154A-1および154A-2と、
図13Bでは、回折ゾーン154B-1および154B-2とを備えている。回折格子103Aの回折ゾーン154A-1および154A-2は、それぞれ、対応する液晶層144A-1および144A-2を有し、回折格子103Bの回折ゾーン154A-1および154A-2は、それぞれ、対応する液晶層154B-1および154B-2を有する。
【0118】
回折格子103Aの液晶層144A-1および144A-2の各々は、順に、それぞれ、複数の異なるように配列される回折領域144A-1a-144A-1gおよび144A-2a-144A-2gを有する。同様に、回折格子103Bの液晶層144B-1および144B-2の各々は、順に、それぞれ、複数の異なるように配列される回折領域144B-1a-144B-1gおよび144B-2a-144A-2gを有する。
【0119】
図13Aの回折格子103Aを参照する、ゾーン154A-1の複数の領域144A-1a-144A-1gのそれぞれおよびゾーン154A-2の複数の領域144A-2a-144A-2gのそれぞれは、同一領域内で同一整合方向に沿って実質的に整合された液晶分子112を有する。ゾーン154A-1の全ての領域の液晶分子112は、実質的に同一の第1の事前傾斜角度Φを有する。対照的に、ゾーン154A-2の異なる領域の液晶分子112は、異なる事前傾斜角度Φを有する。図示される実施形態では、ゾーン154A-2の中心領域(144A-2d)の事前傾斜角度Φは、ゾーン154A-2のますます外側の領域に関して、事前傾斜角度Φの増加に伴って最小となる、事前傾斜角度Φを有するが、実施形態は、そのように限定されない。加えて、中心領域(144A-2d)は、図示される実施形態では、ゾーン154A-1の第1の事前傾斜角度Φに類似する事前傾斜角度Φを有するが、実施形態は、そのように限定されない。回折格子103Aの異なる領域の事前傾斜角度は、
図10A-10Cに関して前述の大きさのいずれかを有することができる。
【0120】
依然として、
図13Aを参照すると、図示される実施形態では、ゾーン154A-1の異なる領域の液晶分子112は、異なる方位角φを有する。しかしながら、実施形態は、そのように限定されず、他の実施形態では、ゾーン154A-1の異なる領域の液晶分子112は、同一方位角φを有することができる。回折格子103Aの異なる領域の方位角は、
図15A-15Cに関して後述の大きさのいずれかを有することができる。
【0121】
図13Bの回折格子103Bを参照すると、
図13Aの回折格子103Aと同様に、ゾーン154B-1の複数の領域144B-1a-144B-1gの各々は、同一領域内で同一整合方向に沿って実質的に整合された液晶分子112を有する。
図13Aの回折格子103Aのゾーン154A-2と同様に、ゾーン154B-1の異なる領域の液晶分子112は、実質的に異なる事前傾斜角度Φおよび実質的に異なる方位角φを有する。対照的に、ゾーン154B-2の複数の領域144B-2a-144B-2gの各々は、同一領域内で同一異なるように実質的に整合された液晶分子112を有する。すなわち、ゾーン154B-2の各領域の個々の液晶分子112は、実質的に異なる事前傾斜角度Φおよび実質的に異なる方位角φを有する。例えば、ゾーン154B-2の各領域の液晶分子112は、後述の
図19Aおよび19Bに関してより詳細に説明されるように、キラリティを有することができる。
【0122】
依然として、
図13Aおよび13Bを参照すると、異なるゾーン内のゾーンおよび領域の具体的組み合わせが、実施例として提示されるが、ゾーン内のゾーンおよび領域は、うまく組み合わせられることができることを理解されたい。例えば、回折格子内の
図13Aのゾーン154A-1と
図13Bのゾーン154B-2の組み合わせが、可能性として考えられる。
【0123】
図14A-14Bは、それぞれ、実施形態による、光整合技法を使用して、非均一事前傾斜角度を有する、回折格子、例えば、
図13Aおよび13Bの回折格子103Aおよび103Bを加工するための別の方法を図示する。特に、図示される実施形態では、方法は、実施形態による、グレースケールマスクを使用した偏光干渉ホログラフィック暴露を含む。
【0124】
偏光干渉ホログラフィック暴露は、コヒーレント光の複数のビームを使用して、干渉パターンを作成する技法である。大部分の従来のホログラフィは、強度変調を使用するが、偏光ホログラフィは、干渉パターンを作成するために、偏光状態の変調を伴う。
【0125】
図14Aを参照すると、図示される方法では、プロセスは、
図11A-11Bに関して上で説明される方法と同様に、光整合層120をUV光に暴露するステップにつながる。特に、光整合層120は、基板104上に形成され、グレースケールマスク130は、部分的に、光整合層120にわたって配置される。その後、異なる偏光を有する、複数のコヒーレント光ビーム142a、142bが、複数の異なるように配列される回折ゾーン154A-1および154A-2に指向される。図示される実施形態では、光ビーム142aおよび142bは、直交円偏光ビームを含む。しかしながら、光ビーム142aおよび142bは、例えば、非直交円偏光ビームも含むことができる。図示される実施形態では、ゾーン154A-1は、暴露される一方、ゾーン154A-2は、グレースケールマスク130でマスクされる。複数の光ビーム142aおよび142bが、
図13Aに関して上で説明されるように、結果として生じる干渉効果が、それぞれ、複数の異なるように配列される回折領域144A-1a-144A-1gおよび144A-2a-144A-2gを有する、回折格子103Aの液晶層144A-1および144A-2をもたらすように、位置付けられ、偏光される。同様に、
図13Bに戻って参照される類似概念を使用して、それぞれ、複数の異なるように配列される回折領域144B-1a-144B-1gおよび144B-2a-144B-2gを有する、回折格子103Bの液晶層144B-1および144B-2が、加工されることができる。
【0126】
図15A-15Cを参照すると、種々の実施形態による回折格子150A-150Cの見下げ図(x-y平面に沿って見られる)が、図示される。
図15A-15Cは、見下げ図であるため、液晶層のみ(整合層または基板とは対照的に)が、図示される一方、下層特徴は、示されない。しかしながら、回折格子150Aの-150Cのそれぞれの液晶層は、基板にわたって形成され、複数の回折ゾーン、すなわち、
図15Aでは、回折ゾーン148A-1、148A-2、・・・および148A-n、
図15Bでは、回折ゾーン148B-1、148B-2、・・・および148B-n、
図15Cでは、回折ゾーン148C-1、148C-2、・・・および148C-nを備えていることを理解されたい。
【0127】
回折格子150A-150Cのそれぞれの回折ゾーンは、周期的に反復する側方寸法または格子周期∧を有し、液晶分子112から形成される対応する液晶層を含む。側方寸法または格子∧は、
図10A-10Cに関して上で説明されるものに類似することができる。
【0128】
図10A-10Cと同様に、回折格子150Aの回折ゾーン148A-1、148A-
2、…148A-nは、それぞれ、対応する液晶層156A-1、156A-2、…156A-nを有し、回折格子150Bの回折ゾーン148B-1、148B-2、…148B-nは、それぞれ、対応する液晶層156B-1、156B-2、…156B-nを有し、回折格子150Cの回折ゾーン148C-1、148C-2、…148C-nは、それぞれ、対応する液晶層156C-1、156C-2、および156C-nを有する。各タイプの回折ゾーンの数は、
図10A-10Cに関して上で説明されるものに類似することができる。加えて、配列されるような回折ゾーンは、任意の好適な回数だけ周期的に反復することができる。
【0129】
回折格子150Aの液晶層156A-1、156A-2、および156A-nの各々は、順に、それぞれ、異なるように配列される第1および第2の回折領域156A-1Lおよび156A-1R、156A-2Lおよび156A-2R、・・・ならびに156A-nLおよび156A-nRを有する。同様に、回折格子150Bの液晶層156B-1、156B-2、および156B-nの各々は、順に、それぞれ、異なるように配列される第1および第2の回折領域156B-1Lおよび156B-1R、156B-2Lおよび156B-2R、・・・ならびに156B-nLおよび156B-nRを有する。同様に、回折格子150Cの液晶層156C-1、156C-2、および156C-nの各々は、順に、それぞれ、異なるように配列される第1および第2の回折領域156C-1Lおよび156C-1R、156C-2Lおよび156C-2R、・・・ならびに156C-nLおよび156C-nRを有する。
【0130】
図10A-10Cに関して上で説明される回折格子100A-100Cと同様に、異なる回折ゾーンの各々はさらに、基板と対応する液晶層との間に挿入された整合層(図示せず)を備えている。すなわち、明確にするために示されないが、
図15Aの基板104と回折格子150Aの異なるように配列される第1/第2の回折領域156A-1L/156A-1R、156A-2L/156A-2R、・・・および156A-nL/156A-nRとの間に挿入されるのは、それぞれ、第1および第2の整合層160A-1L/160A-1R、160A-2L/160A-2R、・・・および160A-nL/160A-nRである。同様に、
図15Bの基板104と回折格子150Cの異なるように配列される第1/第2の回折領域156B-1L/156B-1R、156B-2L/156B-2R、・・・および156B-nL/156B-nRとの間に挿入されるのは、それぞれ、第1/第2の整合層160B-1L/160B-1R、160B-2L/160B-2R、・・・および160B-nL/160B-nRである。同様に、
図15Cの基板104と回折格子150Cの異なるように配列される第1/第2の回折領域156C-1L/156C-1R、156C-2L/156C-2R、・・・および156C-nL/156C-nRとの間に挿入されるのは、それぞれ、第1/第2の整合層160C-1L/160C-1R、160C-2L/160C-2R、・・・および160C-nLおよび160C-nRである。
【0131】
依然として、
図15A-15Cを参照すると、回折格子150A、150B、および150Cの各ゾーンは、x-方向に交互する、第1および第2の領域を含む。回折格子150Aの第1の領域156A-1L、156A-2L、・・・および156A-nLのそれぞれ、回折格子150Bの第1の領域156B-1L、156B-2L、・・・および156B-nLのそれぞれ、ならびに回折格子150Cの第1の領域156C-1L、156C-2L、・・・および156C-nLのそれぞれは、同一の第1の整合方向に沿って実質的に整合された液晶分子112を有し、実質的に同一である、方位角φを有する。対照的に、回折格子150Aの第2の領域156A-1R、156A-2R、・・・および156A-nRのそれぞれ、回折格子150Bの第2の領域156B-1R、156B-2R、・・・および156B-nLのそれぞれ、ならびに回折格子150Cの第2の領域156C-1R、156C-2R、・・・および156A-nRのそれぞれは、第1の整
合方向と異なる第2の整合方向に沿って実質的に整合された液晶分子112を有し、それぞれの第1の領域の第1の方位角φと異なる、例えば、それより小さい、第2の方位角φを有する。
【0132】
図15A-15Cの回折格子150A-150Cのそれぞれでは、それぞれ、回折ゾーンのうちの少なくともいくつかは、実施形態によると、回折ゾーンが、異なる光学性質、例えば、異なる屈折率および/または異なる回折効率を有するように、空間的に異なるように配列される、例えば、互いに異なる方位角を有する(
図15Aおよび15C)、また互いに異なるデューティサイクルを有する(
図15Bおよび15C)、液晶分子から形成される液晶層を有する。
【0133】
特に、
図15Aの回折格子150Aを参照すると、第1の領域156A-1L、156A-2L、・・・および156A-nLの第1の方位角φと異なる整合方向および方位角φを有することに加え、第2の領域の液晶分子156A-1R、156A-2R、・・・および156A-nRの液晶分子は、互いに異なる第2の整合方向に沿って整合される。例えば、図示される実施形態では、ゾーン148A-1、148A-2、および148A-nは、第1の領域および第2の領域がx-方向に交互するように配列され、第1の領域156A-1L、156A-2L、・・・および156A-nLの各々は、実質的に同一方位角φを有する一方、第2の領域156A-1R、156A-2R、・・・および156A-nRは、互いに異なる方位角φを有する。一例として、第1の領域156A-1L、156A-2L、・・・および156A-nLは、約0~約15度または約0~10度、例えば0度の方位角φを有する。第2の領域156A-1R、156A-2R、・・・および156A-nRは、互いに異なる方位角φを有することができ、それぞれ、約75度~約90度、例えば、約90度、約60度~約90度または約65度~約85度、例えば、約75度、約30度~約60度または約35度~約55度、例えば、約45度、約10度~約40度または約15度~約35度、例えば、約25度であることができる。
【0134】
依然として、
図15Aを参照すると、いくつかの実施形態では、図示されるように、第2の領域156A-1R、156A-2R、・・・および156A-nRは、回折性質の勾配が作成されるように、側方方向における1つの方向に変動する、例えば、増減する、方位角φを有することができる。他の実施形態では、第2の領域156A-1R、156A-2R、・・・および156A-nRは、側方方向における1つの方向に変動しない、方位角φを有することができる。
【0135】
依然として、
図15Aを参照すると、デューティサイクルは、約10%~約30%、約30%~約50%、約50%~約70%、または約70%~約90%であることができ、これは、図示される実施形態では、x-方向に実質的に一定である。
【0136】
ここで
図15Bを参照すると、上で議論されるように、回折格子150Bは、
図15Aの回折格子150Aといくつかの共通特徴を共有する。しかしながら、
図15Aの回折格子150Bと異なり、異なる第2の領域156B-1R、156B-2R、・・・および156B-nRの液晶分子は、第1の領域156B-1L、156B-2L、・・・および156B-nLの第1の方位角φと異なる方位角φを有するが、それらは、互いに異なるように整合されない。例えば、図示される実施形態では、ゾーン148B-1、148B-2、および148B-nは、第1の領域および第2の領域がx-方向に交互するように配列され、第1の領域156B-1L、156B-2L、・・・および156B-nLの各々は、実質的に同一の第1の方位角φを有し、第2の領域156B-1R、156B-2R、・・・および156B-nRの各々は、実質的に同一の第2の方位角φを有する。第1および第2の領域の第1および第2の方位角は、
図15Aの回折格子150Aに関して上で議論される値のいずれかを有することができる。
【0137】
しかしながら、
図15Aの格子150Aと異なり、ゾーン148B-1、148B-2、および148B-3は、実質的に同一方位角、例えば、約0~50度を有する一方、それぞれ、回折格子150Bが空間可変光学性質を有するように、実質的に異なるデューティサイクル、例えば、約40%~約60%、例えば、約50%、約30%~約50%、例えば、約40%、デューティサイクル約20%~約40%、例えば、約30%を有する。
【0138】
依然として、
図15Bを参照すると、いくつかの実施形態では、図示されるように、ゾーンは、光学性質の勾配が作成されるように、側方方向における1つの方向に変動する、例えば、増減する、デューティサイクルを有することができる。他の実施形態では、デューティサイクルは、側方方向における1つの方向に変動しない。
【0139】
ここで
図15Cを参照すると、図示される回折格子150Cは、
図15Aおよび15Bの回折格子150Aおよび150Bに関して上で説明されるものに類似する特徴を組み合わせる。特に、異なる第2の領域156C-1R、156C-2R、・・・および156C-nRの液晶分子は、第1の領域116C-1L、116C-2L、・・・および116C-nLの第1の方位角φと異なり、かつ互いに異なる、方位角φを有することができる。加えて、デューティサイクルは、側方方向、例えば、x-方向を横断して隣接するゾーン間で変動する。第1および第2の領域の第1および第2の方位角は、
図15Aの回折格子150Aに関して上で議論される値のいずれかを有することができる。加えて、側方方向、例えば、x-方向を横断した隣接するゾーン間のデューティサイクル変動はまた、
図15Bの回折格子150Bに関して上で議論される値を有することができる。
【0140】
ここで
図16Aを参照すると、いくつかの他の実施形態による回折格子160の見下げ図(x-y平面)が、図示され、液晶分子の方位角は、ゾーンの側方長さを横断して回転する。そのような配列を有する、回折格子は、時として、偏光格子と称される。明確にするために示されないが、回折格子160は、基板と、その上に形成される整合層と、複数の異なるように配列される回折ゾーン164-1および164-2とを備えている。回折ゾーン164-1および164-2は、それぞれ、対応する液晶層168-1および168-2を有する。回折格子160の液晶層液晶層168-1および168-2の各々は、順に、それぞれ、複数の異なるように配列される回折領域168-1a-168-1iおよび168-2a-168-2iを有する。ゾーン164-1の複数の領域168-1a-168-1iのそれぞれおよびゾーン164-2の複数の領域168-2a-168-2iのそれぞれは、同一領域内で同一整合方向に沿って実質的に整合された液晶分子112を有する。したがって、ゾーンの各々は、z-方向にスタックされた液晶分子のスタックを含むことを理解されたい。
【0141】
ゾーン164-1の回折領域168-1a-168-1iおよびゾーン164-2の領域168-2a-168-2iのそれぞれの液晶分子112は、同一領域内で実質的に同一方位角φを有する。しかしながら、異なる回折領域の液晶分子112は、実質的に異なる方位角を有する。加えて、異なる回折領域の液晶分子112は、
図13Aおよび13Bに関して上で説明されるものと同様に、実質的に同一または異なる事前傾斜角度Φを有することができる。
【0142】
図示される実施形態では、ゾーン164-1の回折領域168-1a-168-1iおよびゾーン164-2の対応する領域168-2a-168-2iのそれぞれの液晶分子112は、同一領域内で実質的に同一方位角φを有する。しかしながら、隣接する領域間の距離は、
図16Bを参照して図示されるように、空間可変回折性質が生成されるように、ゾーン164-1とゾーン164-2との間で実質的に異なる。
図16Bを参照すると、
図16Aにおける回折格子160のための側方位置xの関数としての方位角φを図式的
に示す、グラフ162が、図示される。x-軸は、x-方向における側方距離を表し、y-軸は、方位角φを表す。曲線162-1および162-1は、それぞれ、ゾーン164-1およびゾーン164-2に関する側方位置xの関数として方位角φを表す。
【0143】
図16Aに戻って参照すると、回折領域164-1の液晶分子112は、側方長さの単位あたりの方位角φの変化率として配列され、すなわち、x-方向におけるΔφ/Δxは、
図16Bの曲線162-1によって図示されるように、比較的に一定である。対照的に、回折領域164-2の液晶分子112は、x-方向におけるΔφ/Δxが、
図16Bの曲線162-2によって図示されるように、xを横断して実質的に変動するように配列される。その結果、曲線162-2は、Δφ/Δxが比較的にゆっくりと変動する、ゾーン164-2の中心領域と、Δφ/Δxが比較的に急速に変動する、ゾーン164-2の端部領域とによって特徴付けられる。その結果、回折性質(効率および屈折率を含む)は、液晶のその方位角の均一変動を伴う格子のものと異なる。
【0144】
図17A-17Eは、実施形態による、光整合技法を使用して、非均一方位角を有する、回折格子、例えば、上で説明される
図15A-15Cの回折格子150A-150Cを加工するための方法を図示する。特に、図示される実施形態では、方法は、液晶の堆積に先立って、整合層の複数回の暴露を使用する。
図17A-17Eの図示される方法では、
図11A-11Bに関して図示される方法と同様に、基板104が、提供され、その上に、光整合層120が、形成される。
【0145】
図17Aに図示される中間構造150Aを参照すると、光整合層120を基板104上に形成後、第1のフォトマスク174Aが、下層光整合層120の異なる領域を異なる用量の光および/または異なる偏光の光に暴露するために使用される。例えば、光整合層120の異なる領域は、
図15Aにおける回折格子150Aに関して上で説明されるように、ゾーン148A-1および148A-2のそれぞれの第1(例えば、左)および第2(例えば、右)の領域に対応する。
【0146】
いくつかの実施形態では、第1のフォトマスク174Aは、少なくとも部分的に、透明であり、可能性として、1つ以上の不透明領域を有する、複数のマスク領域174A-1-174A-4を有する、グレースケールマスクであることができる。複数のマスク領域174A-1-174A-4の異なるものは、複数のマスク領域の異なるものを通して透過される透過光172Aが、異なるマスク領域の相対的透明度に比例する可変強度を有するように、異なる用量の第1の入射光172Aを透過させるように構成され得る。他の実施形態では、フォトマスク174Aは、透過光172Aがバイナリ強度を有するように、それぞれ、完全またはほぼ完全に透明もしくは完全またはほぼ完全に不透明である、複数のマスク領域174A-1-174A-4を有する、バイナリマスクであることができる。図示される実施例では、第1の入射光172Aは、偏光される、例えば、偏光ベクトル178Aによって図式的に描写されるように、第1の角度、例えば、0度で線形に偏光され、
図15Aに図示されるように、回折格子150Aのゾーン148A-1および148A-2のそれぞれの第1の(例えば、左)領域に対応するマスク領域174A-1および174A-3を通して実質的に透過することができる一方、他の領域では、実質的に遮断される。
【0147】
図17Bに図示される中間構造150Bを参照すると、第1の入射光172Aを光整合層120の異なる領域に暴露後、第2のフォトマスク174Bは、第2の入射光172Bを使用して、下層光整合層120の異なる領域を異なる用量の光および/または異なる偏光の光に暴露するために使用される。
【0148】
いくつかの実施形態では、第2のフォトマスク174Bは、第1のフォトマスク174
Aと異なり、少なくとも部分的に、透明であり、可能性として、1つ以上の不透明領域を有する、複数のマスク領域174B-1-174B-4を有する、グレースケールマスクであることができる。複数のマスク領域174B-1-174B-4の異なるものは、異なる用量の第2の入射光172Bを透過させるように構成され得る。他の実施形態では、フォトマスク174Bは、透過光172Bがバイナリ強度を有するように、それぞれ、完全またはほぼ完全に透明もしくは完全またはほぼ完全に不透明である、複数のマスク領域174B-1-174B-4を有する、バイナリマスクであることができる。第2の入射光172Bは、偏光される、例えば、第1の入射光178Aの第1の偏光角度と異なる、例えば、それに直交する、第2の角度で線形に偏光されることができる。例えば、第2の入射光172Bは、偏光ベクトル178Bによって図式的に描写されるように、例えば、90度で、第1の入射光172Aに対して直交して線形に偏光され、
図15Aに図示される回折格子150Aのゾーン148A-1の第2(例えば、右)の領域に対応するマスク領域174B-2を通して実質的に透過することができる一方、他の領域では、実質的に遮断される。
【0149】
図17Cにおける中間構造を参照すると、光整合層120の異なる領域を第2の入射光172Bに暴露後、第3のフォトマスク174Cが、第3の入射光172Cを使用して、下層光整合層120の異なる領域を異なる用量の光および/または異なる偏光の光に暴露するために使用される。
【0150】
いくつかの実施形態では、第3のフォトマスク174Cは、第1および第2のフォトマスク174A、174Bと異なり、少なくとも部分的に、透明であり、可能性として、1つ以上の不透明領域を有する、複数のマスク領域174C-1-174C-4を有する、グレースケールマスクであることができる。複数のマスク領域174C-1-174C-4の異なるものは、異なる用量の第3の入射光172Cを透過させるように構成され得る。他の実施形態では、フォトマスク174Cは、透過光172Cがバイナリ強度を有するように、それぞれ、完全またはほぼ完全に透明もしくは完全またはほぼ完全に不透明である、複数のマスク領域174C-1-174C-4を有する、バイナリマスクであることができる。第3の入射光178Cは、偏光される、例えば、第1および第2の入射光178Aおよび178Bの第1および第2の偏光角度と異なる第3の角度で線形に偏光されることができる。図示される実施形態では、第3の入射光172Cは、偏光ベクトル178Cによって図式的に描写されるように、45度で線形に偏光され、
図15Aに図示される回折格子150Aのゾーン148A-2の第2(例えば、右)の領域に対応するマスク領域174A-4を通して実質的に透過する一方、他の領域では、実質的に遮断される。
【0151】
図17D(断面図)および17E(見下げ図)を参照すると、
図17A-17Cに関して上で説明されるマルチ暴露プロセスを通して光整合層120の異なる領域を暴露後、液晶層が、光整合層120上に堆積されることができる。光整合層120の異なる領域によって受光された異なる用量および/または偏光の光の結果、異なるように構成される液晶層156A-1および156A-2が、それぞれ、それぞれのゾーン148A-1および148A-2内に形成される。液晶層156A-1および156A-2は、それぞれ、第1および第2の回折領域156A-1Lおよび156A-1Rならびに156A-2Lおよび156A-2Rを有する。
図15Aに関して上で説明されるように、第1の領域および第2の領域は、x-方向に交互し、第1の領域156A-1Lおよび156A-2Lの各々は、実質的に同一の第1の方位角φを有する一方、第2の領域156A-1Rおよび156A-2Rは、相互および第1の領域の第1の方位角と異なる方位角φを有する。任意の理論によって拘束されるわけではないが、ある場合には、異なる偏光角度を有する光への下層光整合層120の暴露は、液晶分子の異なる方位角につながる。
【0152】
依然として、
図17Dおよび17Eを参照すると、液晶分子の方位角φは、暴露光の線
形偏光角度および光整合層120のタイプによって決定されることができる。図示される実施形態では、光整合層120は、+/-90度までの方位角φの絶対値によって測定されるような液晶分子の回転度が、最大+/-90度までの下層整合層によって受光された透過光の線形偏光配向角度によって決定されるように構成される。図示される実施形態等のいくつかの実施形態では、光整合層120は、液晶分子が暴露光の偏光方向と略平行に配向されるように構成されることができる(例えば、暴露光の方位角φおよび線形偏光角度は、実質的に同一である)。しかしながら、実施形態は、そのように限定されず、他の実施形態では、光整合層120は、液晶分子が暴露光の偏光方向に実質的に直交して配向されるように構成されることができる(例えば、暴露光の方位角φおよび線形偏光角度は、約+/-90度、実質的にオフセットされる)。例えば、図示される実施形態では、光整合層160A-1Lおよび160A-2Lは、同一線形偏光配向を伴う光を受光し、光整合層160A-1Rは、光整合層160A-1Lおよび160A-2Lの線形偏光配向に対して線形偏光配向角度のより大きい差異を伴う光を受光し、その後、光整合層160A-2Rが続く。その結果、結果として生じる方位角は、第1の領域156A-1Lおよび156A-2Lに関して同一であって、第1の領域156A-1Lおよび156A-2Lに対する結果として生じる方位角の差異は、第2の領域156A-2Rに関してより第2の領域156A-1Rに関して大きい。
【0153】
本明細書に説明される種々の実施形態では、フォトマスクは、入射光の伝搬方向と垂直な平面に設置された平行金属ワイヤの規則的アレイを有する、ワイヤグリッド偏光器等の線形偏光器を備えていることができる。本明細書に説明されるいくつかの実施形態では、フォトマスクは、光整合層を横断して均一偏光角度を有する、照明を提供するように構成され得る。ワイヤグリッド偏光器を備えているとき、これらの実施形態は、金属ワイヤのアレイをフォトマスクを横断して均一である、例えば、金属ワイヤの厚さおよび/または密度が均一であるように構成することによって、実現され得る。他の実施形態では、フォトマスクは、光整合層の異なる領域を横断して非均一または複数の偏光角度を有する、照明を提供するように構成され得る。ワイヤグリッド偏光器を備えているとき、これらの実施形態は、金属ワイヤのアレイをフォトマスクを横断して非均一かつ可変である、例えば、金属ワイヤの厚さおよび/または密度が非均一かつ可変であるように構成することによって、実現され得る。したがって、金属ワイヤの厚さおよび密度を変動させることによって、光の偏光角度および透過率の両方が、種々の実施形態によると、制御されることができる。
【0154】
図18A-18Dは、いくつかの他の実施形態による、回折格子160を加工するための別の方法を図示し、液晶分子の方位角は、ゾーン、例えば、偏光格子の側方長さを横断して回転する。特に、図示される実施形態では、方法は、実施形態による、グレースケールマスクを使用して、偏光干渉ホログラフィック暴露を使用する。
【0155】
中間構造160Aを示す
図18Aを参照すると、図示される方法では、UV光に対して光整合層120を形成することにつながる、プロセスは、
図17A-17Eに関して上で説明される方法と同様である。その後、異なる偏光を有する、複数のコヒーレント光ビーム182A、182Bが、複数の異なるように配列される回折ゾーン164A-1および164A-2に指向される。図示される実施形態では、光ビーム182Aおよび182Bは、直交円偏光ビームを含む。しかしながら、光ビーム182Aおよび182Bは、例えば、楕円偏光ビームも含むことができる。図示される実施形態では、ゾーン164-1および164-2は両方とも、マスクされない。
【0156】
その後、中間構造160Bを示す
図18Bを参照すると、フォトマスク184が、
図17A-17Eに関して上で議論される任意の偏光角度を有する、線形に偏光された入射光188を使用して、下層光整合層120の異なるゾーンを異なる用量の光および/または
異なる偏光の光に暴露するために使用される。例えば、光整合層120の異なるゾーンは、
図16Bにおける回折格子160に関して上で説明されるように、ゾーン164-1および164-2に対応し得る。線形に偏光された光188への二次暴露の結果、光整合層120のある割合は、再整合され得る。任意の理論によって拘束されるわけではないが、光整合層120が、異なる線形偏光配向を用いて、2回暴露されると、液晶分子の配向は、2回の暴露の相対的線形偏光配向および暴露用量によって決定されることができる。
【0157】
ここで
図18Cおよび18Dを参照すると、
図16Bにおけるものに対応する、回折格子160の断面図(x-z平面)および見下げ図(x-y平面)が、図示される。少なくとも部分的に、
図18Aおよび18Bに関して上で説明されるように、第1および第2の暴露の結果、複数の異なるように配列される回折領域168-1a-168-1iおよび168-2a-168-2iを有する、液晶層168-1および168-2が、それぞれ、生成される。ゾーン164-1の複数の領域168-1a-168-1iのそれぞれおよびゾーン164-2の複数の領域168-2a-168-2iのそれぞれは、同一領域内で同一整合方向に沿って実質的に整合された液晶分子112を有する。したがって、ゾーンの各々は、z-方向にスタックされた液晶分子のスタックを含むことを理解されたい。
(空間可変液晶材料に基づく空間可変液晶回折格子)
【0158】
前述で議論される種々の実施形態では、液晶分子は、光整合技法を使用して加工される。しかしながら、他の実施形態も、可能性として考えられ、これは、光整合の有無にかかわらず加工されることができる。
【0159】
図19Aおよび19Bを参照すると、いくつかの実施形態による、光整合の有無にかかわらず加工され得る、回折格子190の見下げ(x-y平面に沿って見られる)および側面(x-z平面に沿って見られる)図が、図示される。回折格子190は、周期的に反復する側方寸法または格子周期∧を有し、液晶分子112から形成される対応する液晶層を含む、複数の回折ゾーン、すなわち、回折ゾーン198-1、198-2、・・・および198-nを備えている。側方寸法または格子周期∧は、
図10A-10Cに関して上で説明されるものに類似することができる。
【0160】
回折格子190の回折ゾーン198-1、198-2、…198-nは、それぞれ、対応する液晶層186-1、186-2、…186-nを有する。各タイプの回折ゾーンの数は、
図10A-10Cに関して上で説明されるものに類似することができる。加えて、配列されるような回折ゾーンは、任意の好適な回数だけ周期的に反復することができる。回折格子190の液晶層186-1、186-2、および186-nの各々は、順に、それぞれ、異なるように配列される第1および第2の回折領域186-1Lおよび186-1R、186-2Lおよび186-2R、・・・ならびに186-nLおよび186-nRを有する。
【0161】
異なる液晶層186-1、186-2、および186-nは、異なるキラリティ度を有するように配列される、液晶分子112を有する。上で説明されるように、キラリティは、キラルピッチpによって説明されることができ、これは、液晶分子が完全360°捻転を受ける距離を指し得る。キラリティはまた、捻転変形角度によって特徴付けられることができ、これは、液晶層の厚さ内で受ける液晶分子の捻転の角度である。例えば、図示される実施形態では、第1の液晶層186-1は、殆どまたは全くキラリティを伴わない(非常に大きいまたは無限キラルピッチp)、異なる方位角を有する液晶分子112を有する、第1および第2の回折領域186-1Lおよび186-1Rを有する。第2および第3の液晶層186-2および186-nは、それぞれ、実質的であって、かつ実質的に異なるキラリティ度を有する液晶分子112を有する、それぞれの第1/第2の回折領域1
86-2L/186-2Rおよび186-nL/186-nRを有する。同様に、種々の実施形態では、それぞれ、第2およびn番目の液晶層186-2および186-nの第1および第2の回折領域186-2L/186-2Rおよび186-nL/186-nR内の最上液晶分子間の方位角または方位角の差異は、
図15A-15Cにおける回折格子150A-150Cに関して上で説明される任意の値であることができる。
【0162】
いくつかの実施形態では、ゾーン内の各対の第1/第2の回折領域、例えば、ゾーン198-2の対の領域186-2L/186-2R(
図19A参照)およびゾーン198-nの対の領域186-nL/186-nRは、異なる方位角φを有するが、同一キラルピッチpを有する、最上液晶分子を有する。いくつかの他の実施形態では、ゾーン内の対の領域は、同一方位角φを有するが、異なるキラルピッチpを有する、最上液晶分子を有する。種々の実施形態では、ゾーン198-2の対の領域186-2L/186-2Rおよびゾーン198-nの対の領域186-nL/186-nRの所与の領域内の液晶分子のキラル捻転(例えば、捻転角度または捻転変形角度)は、例えば、約+/-45
o、約+/-90
o、約+/-135
o、または約+/-180
oであることができる。対応するキラル周期pは、8D、4D、または3Dであることができ、2Dは、液晶層の厚さである。
【0163】
例えば、図示される実施形態では、第1および第2の領域186-2Lおよび186-2Rの最上液晶分子は、それぞれ、例えば、135
oおよび45
oの第1および第2の方位角φを有する一方、例えば、約8Dの第1のキラルピッチを有し、Dは、液晶層の厚さである。その結果、第1および第2の領域の186-2Lおよび186-2Rのそれぞれでは、最上液晶分子および最下液晶分子は、互いに対して約-45度捻転される。加えて、図示される実施形態では、第1および第2の領域186-nL、186-nRの最上液晶分子は、それぞれ、例えば、90
oおよび0
oの第3および第4の方位角φを有する一方、約4Dの第2のキラルピッチを有し、Dは、液晶層の厚さである。その結果、第1および第2の領域の186-nLおよび186-nRのそれぞれでは、最上液晶分子および最下液晶分子は、互いに対して約-90度捻転される。しかしながら、第1/第2の回折領域186-2L/186-2Rおよび186-nL/186-nRの最上液晶分子の方位角φは、
図15A-15Cに関して上で説明されるような任意の値を有することができる。
【0164】
依然として、
図19Aおよび19Bを参照すると、いくつかの実施形態では、各領域内の液晶分子112は、同一事前傾斜角度Φを有し、これは、ゼロまたはより高くあることができる。
【0165】
依然として、
図19Aおよび19Bを参照すると、異なる液晶層186-1、186-2、および186-nのデューティサイクルは、異なり得、それぞれ、約10%~約30%、約30%~約50%、約50%~約70%、または約70%~約90%であることができる。
【0166】
ここで
図20を参照すると、いくつかの他の実施形態による、回折格子200の断面側(x-z平面)図が、図示される。明確にするために示されないが、回折格子200は、基板と、それぞれ、対応する液晶層196-1および196-2を有する、複数の異なるように配列される回折ゾーン208-1および208-2とを備えている。回折格子200の液晶層液晶層196-1および196-2の各々は、順に、それぞれ、複数の異なるように配列される回折領域196-1a-196-1gおよび196-2a-196-2gを有する。
【0167】
図19A/19Bの液晶層186-1の液晶分子112と同様に、
図20に図示される
液晶層196-1の回折領域196-1a-196-1gの液晶分子112は、層毎に、異なる方位角を有するが、殆どまたは全くキラリティ(非常に大きいまたは無限キラルピッチp)を有していない。隣接する回折領域196-1a-196-1gの方位角および他の配列は、
図19A/19Bに関して第1および第2の回折領域186-1Lおよび186-1Rに対して説明されるものに類似する。
【0168】
図19A/19Bの液晶層186-2および186-nの液晶分子112と同様に、
図20に図示される液晶層196-2の回折領域196-2a-196-2gの液晶分子112は、ゾーンの長さに沿って(x方向に沿って)、実質的であって、かつ実質的に異なるキラリティ度を有し、異なる方位角を有する、最上液体分子を有する。隣接する回折領域196-2a-196-2gの方位角、キラリティ、および他の配列は、第2およびn番目の液晶層186-2および186-nの第1および第2の回折領域186-2L/186-2Rおよび186-nL/186-nRに関して説明されるものに類似する。
【0169】
図19A/19Bおよび20に関して上で図示されるように、捻転が液晶分子に対して誘発されるとき、結果として生じる回折格子は、屈折率および回折効率を含む、空間可変回折性質を呈することを理解されたい。いくつかの液晶分子は、炭素原子のうちの1つ以上のものを4つの異なるリガンドによって非対称的に置換することによってキラルにされることができる。他の液晶分子は、メソゲンまたは非メソゲンキラルドーパントを可変濃度で上で説明される液晶位相のうちの1つに添加することによってキラルにされることができる。実施形態によると、例えば、限定ではないが、重量比5%~10%を下回ってを含む、小濃度を添加することによって、キラリティ関連効果は、ドーパントの濃度に伴って増加されることができる。キラル液晶分子のいくつかの実施例は、安息香酸コレステリル、強誘電性液晶N(p-n-デシクロキシベンジリデン)p-アミノ2-メチルブチルケイ皮酸(DOBAMBC)、およびキラルR1011でドープされた室温ネマチックである、アキラルMBBA(4-ブチル-N-[4-メトキシ-ベンジリデン]-アニリン)を含む。他のキラル液晶分子も、使用され得る。
【0170】
図21を参照すると、いくつかの実施形態によると、光整合の有無にかかわらず加工され得る、回折格子210の側面図(x-z平面に沿って見られる)が、図示される。回折格子210は、
図10A-10Cに関して上で説明されるものと類似様式において周期的に反復する側方寸法または格子周期∧を有する、複数の回折ゾーン、すなわち、回折ゾーン218-1、218-2、・・・および218-nを備えている。回折格子の210の回折ゾーン218-1、218-2、・・・および218-nは、それぞれ、対応する液晶層206-1、206-2、・・・および206-nを有する。各タイプの回折ゾーンの数は、
図10A-10Cに関して上で説明されるものに類似することができる。加えて、配列されるような回折ゾーンは、任意の好適な回数だけ周期的に反復することができる。
【0171】
回折格子210では、異なる液晶層206-1、206-2、および206-nは、異なる液晶材料から成る。特に、第1および第2の回折領域206-1Lおよび206-1R、206-2Lおよび206-2R、・・・ならびに206-nLおよび206-nRは、それぞれ、同一または異なる液晶分子であり得る、液晶分子212-1Lおよび212-1R、212-2Lおよび212-2R、・・・ならびに212-nLおよび212-nRを有する。例えば、いくつかの実装では、第1のゾーン内の領域は、第1の液晶材料を有することができ、第2のゾーン内の領域は、第1の液晶材料を有することができ、第3のゾーン内の領域は、第3の液晶材料を有することができる。他の実装では、任意の所与のゾーンは、第1の液晶材料を有する第1の領域と、第2の液晶材料を有する、第2の領域とを有することができる。故に、光学性質は、例えば、異なるレベルの同一ドーパント(または同一もしくは異なるレベルを伴う異なるドーパント)を伴う同一ホスト材料
を使用して、材料の組成を変化させることによって、液晶分子の配向を変化させる必要なく、回折格子の長さに沿って変化されることができる。
【0172】
いくつかの実施形態では、異なるゾーンは、異なる液晶分子を有する一方、液晶配向の他の側面、例えば、上で説明されるような傾斜角度、方位角、およびキラリティは、異なるゾーン間で類似または同一である。いくつかの他の実施形態では、異なるゾーンは、異なる液晶分子を有する一方、種々の実施形態の文脈によって前述で議論されるように、同様に異なる、液晶配向の他の側面、例えば、傾斜角度、方位角、およびキラリティを有する。
【0173】
堆積の間、異なる液晶材料を堆積させることによって、または堆積後、液晶材料を修正することによって、局所複屈折は、異なるゾーンを横断して異なるように制御されることができる。種々の実施形態では、個々のゾーンの複屈折は、約0.05~約0.15、例えば、約0.10、約0.15~約0.25、例えば、約0.2、および約0.25~約0.35、例えば、約0.3であることができる。
(追加の実施例)
【0174】
第1の実施例では、回折格子は、光回折のために適合された格子周期に対応する周期的に反復する側方寸法を有する複数の異なる回折ゾーンを含む。回折格子は、加えて、異なる回折ゾーンに対応する複数の異なる液晶層を含む。異なる液晶層は、異なる回折ゾーンが光回折に関連付けられた異なる光学性質を有するように、異なるように整合された液晶分子を有する。
【0175】
第2の実施例では、第1の実施例の回折格子において、光学性質は、屈折率、吸収係数、回折効率および複屈折のうちの1つ以上のものを含む。
【0176】
第3の実施例では、第1-第2の実施例のいずれかの回折格子において、異なる液晶層の各々は、複数の異なるように配列された領域を有し、異なるように配列された領域は、互いに対して異なるように整合された液晶分子を有する。
【0177】
第4の実施例では、第1-第3の実施例のいずれかの回折格子において、異なる回折ゾーンの各々はさらに、基板と対応する液晶層との間に挿入された整合層を備え、異なる回折ゾーンと基板との間の異なる整合層は、同一材料組成から形成され、該異なる整合層は、液晶分子を異なる回折ゾーン内で異なるように整合させる。
【0178】
第5の実施例では、第1-第4の実施例のいずれかの回折格子において、液晶分子は、伸長され、伸長方向に沿って整合されたカラミチック液晶分子を備えている。
【0179】
第6の実施例では、第1-第5の実施例のいずれかの回折格子において、異なる液晶層は、第1の領域と、第2の領域とを含み、第1の領域の液晶分子は、第1の整合方向に沿って整合され、第1の整合方向は、基準方向に対して第1の整合角度を形成し、第2の領域の液晶分子は、第2の整合方向に沿って整合され、第2の整合方向は、基準方向に対して第2の整合角度を形成し、第2の整合角度は、第1の整合角度と異なる。
【0180】
第7の実施例では、第6の実施例の回折格子において、第1の液晶層の第1の領域の液晶分子および第2の液晶層の対応する第1の領域の液晶分子は、実質的に同一の整合角度を有する。
【0181】
第8の実施例では、第7の実施例の回折格子において、第1の液晶層の第2の領域の液晶分子および第2の液晶層の対応する第2の領域の液晶分子は、異なる整合角度を有する
。
【0182】
第9の実施例では、第6の実施例の回折格子において、第1の液晶層の第1の領域の液晶分子および第2の液晶層の対応する第1の領域の液晶分子は、実質的に異なる整合角度を有し、第1の液晶層の第2の領域の液晶分子および第2の液晶層の対応する第2の領域の液晶分子は、異なる整合角度を有する。
【0183】
第10の実施例では、第6の実施例の回折格子において、第1の領域と第2の領域との間の側方幅の比率は、異なるゾーン間で実質的に同一である。
【0184】
第11の実施例では、第6の実施例の回折格子において、第1の液晶層の第2の領域の液晶分子および第2の液晶層の第2の領域の液晶分子は、実質的に同一の整合角度を有し、第1の領域と第2の領域との間の側方幅の比率は、異なる回折ゾーン間で実質的に異なる。
【0185】
第12の実施例では、第6の実施例の回折格子において、第1の液晶層の第2の領域の液晶分子および第2の液晶層の第2の領域の液晶分子は、異なる整合角度を有し、第1の領域と第2の領域との間の側方幅の比率は、異なる回折ゾーン間で実質的に異なる。
【0186】
第13の実施例では、第6の実施例の回折格子において、第1および第2の整合角度は、基板の主要表面と垂直な平面内で、それぞれの整合方向と主要表面との間で測定される、事前傾斜角度である。
【0187】
第14の実施例では、第6の実施例の回折格子において、第1および第2の整合角度は、基板の主要表面と平行な平面内で、かつそれぞれの整合方向と主要表面と平行な基準方向との間で測定される、方位角である。
【0188】
第15の実施例では、第3の実施例の回折格子において、異なる液晶層は、第1の領域と、第2の領域とを含み、第1の領域の液晶分子は、複数の第1の整合方向に沿って整合され、基準方向に対して複数の第1の整合角度を形成し、第2の領域の液晶分子は、複数の第2の整合方向に沿って整合され、基準方向に対して複数の第2の整合角度を形成する。
【0189】
第16の実施例では、第1-第15の実施例のいずれかの回折格子において、回折格子は、透明基板を有する透過回折格子である。
【0190】
第17の実施例では、第1-第16の実施例のいずれかの回折格子において、異なる回折ゾーンは、異なる回折ゾーンが光回折に関連付けられた異なる光学性質を有するように、異なる材料組成を備えている。
【0191】
第18の実施例では、回折格子を加工する方法は、基板を提供することを含む。方法は、加えて、光回折のために適合された格子周期に対応する周期的に反復する側方寸法を有する複数の異なる回折ゾーンを提供することを含む。方法はさらに、液晶分子を備えている複数の異なる液晶層を基板にわたって形成することを含み、異なる液晶層は、異なる回折ゾーンに対応し、異なる液晶層を形成することは、液晶分子を異なるように整合させ、それによって、光回折に関連付けられた異なる光学性質を異なる回折ゾーンに提供することを含む。
【0192】
第19の実施例では、第18の実施例の方法において、方法はさらに、液晶層を形成することに先立って光整合層を基板上に形成することと、光整合層を照明し、それによって
、整合層上に形成される液晶分子を異なる回折ゾーン内で異なるように整合させることとを含む。
【0193】
第20の実施例では、第19の実施例の方法において、光整合層を形成することは、ポリイミド、線形偏光光重合性ポリマー、アゾ含有ポリマー、クマリン含有ポリマー、ケイ皮酸含有ポリマー、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、材料を堆積させることを含む。
【0194】
第21の実施例では、第19のおよび第20の実施例のいずれかの方法において、方法はさらに、光整合層を形成すること後、液晶層を形成することに先立って、グレースケールマスクを使用して、異なる回折ゾーンを異なる用量の光に暴露することを含む。
【0195】
第22の実施例では、第19-第21の実施例のいずれかの方法において、異なる液晶層を形成することは、複数の異なるように配列された領域を異なる液晶層内に形成することを含み、異なるように配列された領域は、互いに対して異なるように整合された液晶分子を有する。
【0196】
第23の実施例では、第22の実施例の方法において、異なる液晶層を形成することは、第1の領域および第2の領域を形成することを含み、第1の領域を形成することは、第1の領域の液晶分子を第1の整合方向に沿って整合させ、基準方向に対して第1の整合角度を形成することを含み、第2の領域を形成することは、第2の領域の液晶分子を第2の整合方向に沿って整合させ、基準方向に対して第2の整合角度を形成することを含み、第2の整合角度は、第1の整合角度と異なる。
【0197】
第24の実施例では、第23の実施例の方法において、第1および第2の領域の液体分子を整合させることは、異なる用量の光に反比例する、それぞれの第1および第2の整合角度を形成することを含む。
【0198】
第25の実施例では、第18-第24の実施例のいずれかの方法において、複数の異なる液晶層を形成することは、キラルドーパントを液晶層に添加することによって、キラリティを液晶分子のうちの少なくともいくつかに誘発することを含む。
【0199】
第26の実施例では、第18の実施例の方法において、異なる液晶層を形成することは、第1の領域および第2の領域を液晶層内に形成することを含み、第1の領域の液晶分子は、複数の第1の整合方向に沿って整合され、基準方向に対して複数の第1の整合角度を形成し、第2の領域の液晶分子は、複数の第2の整合方向に沿って整合され、基準方向に対して複数の第2の整合角度を形成する。
【0200】
第27の実施例では、回折格子は、液晶層が光を回折するように構成されるように、側方方向に延び、周期的に反復する側方寸法、厚さ、および屈折率を有するように配列される、複数の連続的な液晶層を含む。液晶層の液晶分子は、連続的な液晶層が回折効率に勾配を伴って光を回折するように構成されるように、側方方向に沿って、異なる液晶層内で異なるように配列される。
【0201】
第28の実施例では、第27の実施例の回折格子において、液晶層は、第1の領域と、第2の領域とを有し、連続的な液晶層は、複数の第1の領域および複数の第2の領域が側方方向に交互するように配列される。
【0202】
第29の実施例では、第28の実施例の回折格子において、第1の領域内の液晶分子は、実質的に同一の整合配向を有する一方、第2の領域内の液晶分子は、実質的に異なる整
合配向を有する。
【0203】
第30の実施例では、頭部搭載型ディスプレイデバイスは、光をユーザの眼に投影し、拡張現実画像コンテンツを表示するように構成される。頭部搭載型ディスプレイデバイスは、ユーザの頭部上に支持されるように構成されたフレームを含む。頭部搭載型ディスプレイデバイスは、加えて、フレーム上に配置されたディスプレイを含み、該ディスプレイの少なくとも一部は、1つ以上の導波管を備え、該1つ以上の導波管は、該透明部分が、ユーザの正面の環境の一部からの光をユーザの眼に透過させ、ユーザの正面の環境の該部分のビューを提供するように、透明であり、ユーザが該頭部搭載型ディスプレイデバイスを装着すると、ユーザの眼の正面の場所に配置され、該ディスプレイはさらに、1つ以上の光源と、光源からの光を該1つ以上の導波管の中に結合する、または光を該1つ以上の導波管から外に結合させるように構成される、少なくとも1つの回折格子とを備えている。回折格子は、光回折のために適合された格子周期に対応する周期的に反復する側方寸法を有する複数の異なる回折ゾーンを含む。回折格子は、加えて、異なる回折ゾーンに対応する複数の異なる液晶層を含み、異なる液晶層は、異なる回折ゾーンが光回折に関連付けられた異なる光学性質を有するように、異なるように整合された液晶分子を有する。
【0204】
第31の実施例では、第30の実施例のデバイスにおいて、1つ以上の光源は、ファイバ走査プロジェクタを含む。
【0205】
第32の実施例では、第30-第31の実施例のいずれかのデバイスにおいて、ディスプレイは、画像コンテンツを複数の深度平面上においてユーザに提示するように、光をユーザの眼の中に投影するように構成される。
【0206】
第33の実施例では、第30-第32の実施例のいずれかの回折格子において、光学性質は、屈折率、吸収係数、回折効率および複屈折のうちの1つ以上のものを含む。
【0207】
上で説明される実施形態では、拡張現実ディスプレイシステム、より具体的には、空間可変回折格子は、特定の実施形態に関連して説明される。しかしながら、実施形態の原理および利点は、空間可変回折格子の必要性を伴う、任意の他のシステム、装置、または方法のために使用されることができることを理解されたい。前述では、実施形態のうちの任意の1つの任意の特徴は、実施形態のうちの任意の他の1つの任意の他の特徴と組み合わせられる、および/またはそれで代用されることができることを理解されたい。
【0208】
文脈によって別様に明確に要求されない限り、説明および請求項全体を通して、単語「~を備えている」、「~を備えている」、「~を含む」、「~を含んでいる」、および同等物は、排他的または包括的意味とは対照的に、包含的意味、すなわち、「限定ではないが~を含む」の意味で解釈されるべきである。単語「結合される」は、本明細書で概して使用されるように、直接接続されるか、または1つ以上の中間要素を経由して継続されるかのいずれかであり得る、2つ以上の要素を指す。同様に、単語「接続される」は、本明細書で概して使用されるように、直接接続されるか、または1つ以上の中間要素を経由して継続されるかのいずれかであり得る、2つ以上の要素を指す。加えて、単語「本明細書で」、「上で」、「下記で」、「後述の」、「前述の」、および類似意味の単語は、本願で使用されるとき、全体として本願を指すものとし、本願の任意の特定の部分を指すものではない。文脈によって許容される場合、単数形または複数形を使用する上記の詳細な説明における単語はまた、それぞれ、複数形または単数形を含み得る。単語「または」は、2つ以上のアイテムのリストを参照する場合、本単語は、以下の単語の解釈の全て、すなわち、リスト内のアイテムのいずれか、リスト内のアイテムの全て、およびリスト内のアイテムの任意の組み合わせを網羅する。
【0209】
さらに、とりわけ、「~できる(can)」、「~し得る(could)」、「~し得る(might)」、「~し得る(may)」、「例えば(e.g.)」、「例えば(for example)」、「等(such as)」、および同等物等、本明細書で使用される条件文は、別様に具体的に記載されない限り、または使用されるような文脈内で別様に理解されない限り、概して、ある実施形態がある特徴、要素、および/または状態を含む一方、他の実施形態がそれらを含まないことを伝えることが意図されることを理解されたい。したがって、そのような条件文は、概して、特徴、要素、および/もしくは状態が、1つ以上の実施形態に対していかようにも要求されること、またはこれらの特徴、要素、および/もしくは状態が任意の特定の実施形態において含まれる、もしくは実施されるべきかどうかを示唆することを意図されない。
【0210】
ある実施形態が、説明されたが、これらの実施形態は、一例としてのみ提示され、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に説明される新規装置、方法、およびシステムは、種々の他の形態で具現化され得る。さらに、本明細書に説明される方法およびシステムの形態における種々の省略、代用、および変更が、本開示の精神から逸脱することなく成され得る。例えば、ブロックが、所与の配列で提示されるが、代替実施形態は、異なるコンポーネントおよび/または回路トポロジを用いて類似機能性を実施し得、いくつかのブロックは、削除される、移動される、追加される、細分割される、組み合わせられる、および/または修正され得る。これらのブロックの各々は、種々の異なる方法で実装され得る。上で説明される種々の実施形態の要素および作用の任意の好適な組み合わせが、さらなる実施形態を提供するために組み合わせられることができる。上で説明される種々の特徴およびプロセスは、互いに独立して実装され得る、または種々の方法で組み合わせられ得る。本開示の特徴の全ての好適な組み合わせおよび副次的組み合わせが、本開示の範囲内であるように意図される。