(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】欠陥を低減したペイントフィルムアップリケ、物品および方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20240809BHJP
B32B 27/42 20060101ALI20240809BHJP
C09J 7/29 20180101ALI20240809BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20240809BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
B32B27/00 E
B32B27/00 M
B32B27/42
C09J7/29
C09J7/38
C09J201/00
(21)【出願番号】P 2023188112
(22)【出願日】2023-11-02
(62)【分割の表示】P 2022016227の分割
【原出願日】2017-09-14
【審査請求日】2023-11-30
(32)【優先日】2016-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2017/021982
(32)【優先日】2017-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523227982
【氏名又は名称】ピーピージー・アドバンスト・サーフェス・テクノロジーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクガイア・ジュニア・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ストレンジ・アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】キャナン・マシュー
【審査官】大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-523742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
C09J1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意のトップコート層と、
in-situで重合され、着色された
ポリウレタン系であるキャリア層と、
任意の他の着色層と、
任意の接着層と、
を備えているペイントフィルムアップリケ
であって、
損失係数試験法に従って単体フィルムとして検査した場合、前記in-situで重合されたキャリア層のピーク損失係数が少なくとも0.5である、ペイントフィルムアップリケ。
【請求項2】
請求項1に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記ペイントフィルムアップリケが不透明である、ペイントフィルムアップリケ。
【請求項3】
請求項1
または2に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記キャリア層が顔料を含む、ペイントフィルムアップリケ。
【請求項4】
請求項1
から3のいずれか一項に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記着色層はin-situで重合される、ペイントフィルムアップリケ。
【請求項5】
請求項1
から4のいずれか一項に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記キャリア層が欠陥フリーである、ペイントフィルムアップリケ。
【請求項6】
請求項1
から5のいずれか一項に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記in-situで重合されたキャリア層が、未反応の溶媒
を含んでいない、ペイントフィルムアップリケ。
【請求項7】
請求項1
から6のいずれか一項に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記ペイントフィルムアップリケは、前記トップコート層と、前記in-situで重合されたキャリア層と、前記他の着色層と、前記接着層とをこの順に備える、ペイントフィルムアップリケ。
【請求項8】
請求項1
から7のいずれか一項に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記ペイントフィルムアップリケは、前記トップコート層と、前記他の着色層と、前記in-situで重合されたキャリア層と、前記接着層とをこの順に備える、ペイントフィルムアップリケ。
【請求項9】
請求項1
から7のいずれか一項に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記ペイントフィルムアップリケは、前記トップコート層と、前記in-situで重合されたキャリア層と、前記接着層とをこの順に備える、ペイントフィルムアップリケ。
【請求項10】
請求項1
から9のいずれか一項に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記トップコート層を備えるペイントフィルムアップリケ。
【請求項11】
請求項
1から10のいずれか一項に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記トップコート層がポリウレタン系である、ペイントフィルムアップリケ。
【請求項12】
請求項1
から11のいずれか一項に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、損失係数試験法に従って単体フィルムとして検査した場合、前記in-situで重合されたキャリア層のピーク損失係数が少なくと
も35℃の温
度で生じる、ペイントフィルムアップリケ。
【請求項13】
請求項1
から12のいずれか一項に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記接着層が設けられており、かつ感圧接着剤を含む、ペイントフィルムアップリケ。
【請求項14】
請求項
13に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記接着層の外面に剥離フィルムをさらに備える、ペイントフィルムアップリケ。
【請求項15】
請求項1
から14のいずれか一項に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記ペイントフィルムアップリケの全体厚さ
が130ミクロンよりも薄い、ペイントフィルムアップリケ。
【請求項16】
少なくとも1つの表面の少なくとも一部に、請求項1
から15のいずれか一項に記載のペイントフィルムアップリケを備える物品。
【請求項17】
請求項
16に記載の物品において、前記物品がモータ付き乗り物である、物品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2016年9月20日に出願した米国仮特許出願第62/396825号および2017年3月11日に出願した国際特許出願第PCT/US17/21982号の優先権を主張するものであり、その全体を参照により本出願の一部をなすものとして引用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、概して、欠陥を低減したペイントフィルムアップリケ(paint film appliques)、その製造方法および使用方法、ならびに該ペイントフィルムアップリケを含む物品に関する。
【背景技術】
【0003】
塗装表面は、多様な用途において一般的に用いられている。塗装表面は、表面の美粧性を向上させることができるだけでなく、下地表面の機能的な特性を向上させ、下地表面の保護に寄与することが可能である。このような用途の1つとしては、外側の塗装表面が通常様々な環境に曝され、いくつかの環境は表面に対して極めて厳しいものとなることがある運輸産業における用途である。そうした塗装表面を有する運輸産業における物品の例としては、陸上、水中および空中における輸送を行う乗り物が挙げられる。このような乗り物には、飛行機やモータ付きの乗り物(自動車およびトラックなど)が含まれる。そうした表面の塗装は、こうした曝露による損傷から下地表面を保護するように機能することが可能である。しかしながら、塗装自体も、損傷を生じさせる環境に対して繰り返し曝されることに耐えることができるものでなければならない。
【0004】
乗り物の外面の塗装は、典型的に塗装が必要となる表面積の大きさ及びそうした表面がしばしば不均一な形状を有することだけでなく、ますます厳しくなる環境規制により、多くの課題を有する。例えば、特に、多量の塗料および他の有機化学物質を使用する産業において、揮発性有機化合物(VOC)の排出量を低減することが所望されており、また、排出量の低減を求める規制が増加しつつある。VOC排出量の低減および節水は、いずれも従来的な塗装処理に関連していることから、ますます重要な環境的配慮といえる。
【0005】
乗り物の外面の塗装に関してさらに考慮すべきであるのは、特に運輸産業において、合計重量である。表面に塗料が存在することにより、表面の美粧性および機能的特性が向上する一方で、塗装された物品の重量が増加する。運輸産業において、重量が増加すると燃料の消費が増え、また、その乗り物が安全かつ効率的に輸送することができる乗客の数または積荷の量が制限される。
【0006】
さらに、飛行機および同様の乗り物の外面を塗装または他の方法で被覆することに関して特有に考慮すべきであるのは、乗り物の表面およびその上のコーティングまたは被覆材に対する比較的高い乗り物の速度の影響である。例えば、高速で走行する際の風の抵抗により、乗り物の表面においてそうしたコーティングまたは被覆材を均一かつ適切に接着させた状態を保つことが難しくなる可能性がある。したがって、例えば、陸上の高速道路を走行する乗り物の外面に対する用途のために開発されたコーティングおよび被覆材は、空中や陸上のレース用コースを走行する際の高い速度による厳しい条件に耐えるためには十分でないことが多い。
【0007】
従来的な方法を用いた乗り物の外面の塗装に関連する多くの困難を解消するために、従来的な塗料の使用を抑制または回避することができる多くの塗装代替技術が開発されてい
る。例えば、プラスチックに顔料を混合することにより、自動車の製造者は、ある市販製品によって、自動車の製造ラインから塗装処理を完全になくすことができる。従来塗装される表面を形成するための樹脂を含むこうした製品は、Saudi Basic Industries社(SABIC)から商品名LEXAN SLXで販売されている。
【0008】
従来的な塗料を用いることに代わる他の方法としては、乗り物に既に形成されている表面に塗装代替フィルムまたはシート(アップリケとも呼ばれる)を接着させることが挙げられる。例えば、3M社(セントポール,MN)は、そうした特定の用途のための塗装代替フィルムおよびテープを販売している。そうしたフィルムの1つである3MTM塗装代替フィルムF577は、乗り物のウィンドウフレーム、ウィンドウサッシ、ウィンドウエ
クステンション、本体およびドアピラー、ダッシュボード部品および蓋(金属製またはプラスチック製)に使用して、テクスチャ加工された黒色のマットな外観を与えるポリ塩化ビニルフィルムであると記載されている。また、このようなフィルムの1つである3MTM塗装代替フィルムFTA9055Jは、自動車のサイドガラスに遮光用の外装を与えるために用いられると記載されている。このようなフィルムは、高光沢(反射率90%)の黒色の外観および乗り物のデザインに一体化させることができる外側のクリアコートを提供すると記載されている。3M Innovative Properties社の特許文献1(米国特許出願第2007/0047099号);特許文献2(米国特許第5,965,256号);特許文献3(米国特許第6,475,616号);および特許文献4(米国特許第7,141,303号)も参照のこと。
【0009】
他の塗装代替技術も知られている。例えば、特許文献5(米国特許第5,034,275号)は塗覆装シート材料(paint-coated sheet material)に言及している。この材料
は、可撓性および伸縮性を有する熱可塑性ポリエステルキャリアフィルム、伸縮性の水性ポリウレタン塗料層、伸縮性の透明な架橋ポリウレタントップコート層、およびキャリアフィルムと塗料層との間に設けられた薄い接合層を備え、この接合層は、キャリアフィルム上に、エチレンおよびエチレン性不飽和カルボン酸のコポリマーの中和物の水性分散液をコーティングすることによって形成されると記載されている。
【0010】
特許文献6(米国特許第5,114,789号)には、保護用および装飾用のコーティングとして、自動車の外層パネルなどの様々な基板に接着することができる透明なトップコートを有する装飾用シート材料が記載されている。このシート材料は、薄いキャリアフィルムと、このキャリアフィルムの一表面に接着される塗料層と、架橋されたトップコート層とを備える。このトップコート層は、明細書中の実施形態において「極めて厚い」[少なくとも0.1ミリメートル(100ミクロン)]ものであると記載されている。
【0011】
特許文献7(米国特許第5,242,751号)には、第1の主面に接着層を有し、第2の主面にポリウレタントップコート層で被覆された着色ベースコートからなる塗料層を有する熱可変性キャリアフィルムを含む塗料複合体が記載されている。
【0012】
特許文献8(米国特許第5,268,215号)には、良好な耐擦傷性を有する塗覆装フィルムが記載されている。ポリウレタン塗料層が高分子キャリアフィルム上にコーティングされている。この塗料層の上面はポリウレタンクリアコート層でコーティングされ、その後、ポリウレタン-シロキサントップコート層でコーティングされている。このフィルムは、ベースコート-クリアコートの外観を有する保護用および装飾用の被覆材として、熱変形し、延伸し、自動車部品、ボート、家電機器および他の基板に接着することが可能であると記載されている。
【0013】
特許文献9(米国特許第5,468,532号)には、着色層を有する多層グラフィック物品が記載されている。この物品は、物品に耐候性および化学物質曝露に対する耐性を
与える保護表面層で被覆された高分子フィルムをベースとしている。この保護表面層は、例示的な実施形態においてポリウレタン系材料であると記載されている。
【0014】
特許文献10(米国特許第6,132,864号)には、特定材料の2つ以上のコートで被覆された塗装プラスチックフィルムが記載されている。このフィルムは、最初に充填材組成物で被覆され、次に着色塗料で被覆され、そして透明なプラスチックフィルムで被覆されたベースプラスチックフィルムからなる。このベースプラスチックフィルムは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、または異なる高分子物質の混合物とすることが可能である。この充填材組成物は、他の成分に加え、バインダーおよび架橋剤を含む組成物であると記載されている。着色塗料コーティングは、高分子バインダーと、一種類の顔料または複数種類の顔料の混合物とを含むトップコートであり、架橋剤を含んでいても含んでいなくてもよいと記載されている。透明なプラスチックフィルムは、ベースフィルムとして使用するために適した材料と同一の材料のうちの1つであると記載されている。この文献の多層シートは、良好な耐ストーンチッピング性(resistance to stone chipping)および耐腐食性を有すると記載されている。
【0015】
塗装代替技術がいくつもあるにも関わらず、従来的な技術は、全ての状況における、特に輸送に用いられる乗り物に関連した用途における塗装代替が十分に実現されていない。典型的な強い風の抵抗への曝露による、そうした乗り物の外面に対する十分な接着性および耐久性の問題だけでなく、他の問題も存在する。
【0016】
一例として、多くの輸送用の乗り物は、従来的な塗装代替材料が接着される表面に複合材料を使用することがますます多くなっている。しかしながら、従来的な塗装代替材料は、個々の材料に接着するほどには、複合材料に接着しないことが多い。従来的な塗装代替材料の能力は、複合材料から形成される表面を含む全ての表面に十分に接着し、かつ所望の美粧性および機能的特性を与えるためには、しばしば不十分であると知られている。材料が表面に十分に接着することが望ましいだけではなく、所望するときにその材料を容易に除去することができることも望ましい。飛行機の場合、例えば、会社のロゴやデザインが変更されることがよくあり、古いロゴやデザインを表示する飛行機の再仕上げが望まれる。これは、所有が何度も繰り返し変更され、これにより、関連する個人または会社のロゴやデザインが変更されることがよくあるリースの飛行機の場合に特に多い。通常、表面を再仕上げするときには、まず表面の塗装代替フィルムを剥がさなければならない。しかしながら、多くの従来的なフィルムは、内部の層が剥離し易いので容易に剥がすことができない。表面から塗装代替フィルムを剥がす際の剥離は、再仕上げのプロセスを著しく複雑化させかねない。
【0017】
再仕上げされる表面に、塗装代替フィルムではなく塗料が存在する場合であっても、再仕上げのプロセスは難しいことがある。典型的に、塗装表面を再仕上げするには、表面に塗料を新しくコーティングするための準備として表面を研磨する必要がある。ほとんどの化学的除去剤は複合材料に使用することができないので、通常、複合材料表面は、再仕上げする際に表面の望ましくない塗料を除去するために研磨することに頼る必要がある。しかしながら、複合材料から形成される表面を研磨することは、そうした研磨により複合材料の補強材料(特に、補強材料に繊維が含まれる場合)に損傷(例えば、破損)が生じる可能性があることから、望ましくない。
【0018】
他の例として、多層フィルム製品(塗装代替アップリケなど)において従来的に用いられるベース/キャリアフィルムを形成するために典型的に採用される製造方法としては、典型的には既に重合された組成物からの押出成形、およびフィルムを形成する他の方法が挙げられるが、こうした製造方法により、フィルムの化学的特性および物理的特性が制限
される。特許文献11(米国特許第8,828,303号)には、こうした制限の幾つかが記載されている。例えば、ポリマーの種類の中には、比較的大きな分子量および/または架橋の存在により、ホットメルトすることができないものがある。これらの要因により、ポリマー組成物またはフィルムが形成される基板の分解温度よりも低い温度において、予め形成された組成物のペレットをホットメルトすることが(不可能でないにしても)難しくなる可能性がある。なお、ポリマーをホットメルトしてポリマーフィルムを形成することは、従来的な方法として一般的に行われている。
【0019】
ウェットキャスト法によるポリマーフィルム製造方法にも短所が存在する。系が溶剤系または水系であるかに関わらず、ポリマーフィルムを形成するためには、まず系を所望の基板上にコーティングして、溶媒または分散媒(すなわち、それぞれ有機溶媒または水)を乾燥させて除去しなければならない。したがって、ウェットキャスト法を用いて十分な厚さのポリマーフィルムを形成することは難しい可能性がある。また、ポリマーの種類の中には、ポリマーまたはその構成成分の相溶性が、従来の溶媒および分散媒体に対して十分でないことにより、ウェットキャスト法を用いてポリマーフィルムに形成することが不可能であるものも存在する。
【0020】
したがって、従来的な方法で製造されたポリマーフィルムの特性は、従来的な方法を用いてフィルムに形成することができるこれらの特定のポリマーの種類に制限される。再度記載すると、従来的な方法としては、典型的には既に重合された組成物からの押出成形、およびフィルムを形成する他の方法が挙げられる。フィルムが形成される方法および隣接するフィルムに積層される方法により、通常、従来的な方法で製造されるポリマーフィルムは、ゲル化(gelation)、ダイライン(die lines)、およびゲージライン(gauge lines)の少なくとも1つに起因する欠陥が問題となる。こうした欠陥は、例えば、最終的な製品の視覚的特性に悪影響を与えるので、確実にポリマーフィルムを用途に適したものとするために、失陥が多い場合には、形成されたポリマーフィルムに対して徹底的な試験および分析が必要となる。
【0021】
ゲル化は、最終的な製品にゲル粒子(「ゲル」とも称する)を生じさせる。一般的に、「ゲル」は粘性組成物と理解される。粘性組成物は、ポリマー処理において、例えば、少なくとも部分的に重合された組成物、分子量が比較的大きい組成物、および/または閉じ込められたガス(例えば、空気、または二酸化炭素などの反応副生成物)を顕著な量で含有する組成物などであってもよいと理解される。ゲルは様々な形状で生じてもよく、重合組成物をポリマーフィルムに処理する間に過熱したことから発生することが多い。例えば、ゲルは、架橋体の形状を取っても、押出成形中に樹脂が滞留および/または停止する領域における触媒または他の有機もしくは無機残留物から生じても、分解された酸化に関連する発生物(例えば、水分から生じる二酸化炭素の気泡)から生じても、またはサプライチェーン(supply chain)に起因するものであってもよい。ゲル化により、ポリマー材料の均一な層(例えば、フィルム)を形成することが難しくなる可能性がある。
【0022】
ポリマーフィルムの形成のほかに、ペイントフィルムアップリケとして用いるために着色または美粧性を有する所望の外観を提供するために、しばしば、少なくとも1つのポリマーフィルムが着色された2つ以上のポリマーフィルムが提供され、積層される。しかしながら、ポリマーフィルムを積層する方法により、ポリマーフィルムを積層する際に欠陥が生じることが多い。従来的に、ポリマーフィルムは、熱することで積層されることが多い。しかしながら、熱ラミネートは様々な種類の欠陥を生じさせると知られている。特許文献12(米国特許第5,641,374号)には、熱ラミネートにより生じる欠陥に関連する問題が記載されている。これらの欠陥には、例えば、シワ、リップル、カール、過剰な収縮または伸長、ウェーブ、ワッフル、色濃度の減少および微小泡などが含まれる。
【0023】
原因が何であれ、失陥は、美粧性における欠点となり、弱い部分となってポリマーフィルムおよびペイントフィルムアップリケに破断を生じさせる可能性があり、かつ、概して多くの用途に対するポリマーフィルムおよびペイントフィルムアップリケの適性を低下させる。したがって、サプライチェーン全体にわたって失陥の存在および程度を特定するために、徹底的な努力がなされている。多くの失陥は、人間の肉眼で見たときに容易に検知することができる。分光法を含む他の失陥検知方法を用いることも可能である。失陥を有するポリマーフィルムが検知されると、大抵それらを廃棄しなければならず、顕著な量を無駄にすることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【文献】米国特許出願第2007/0047099号
【文献】米国特許第5,965,256号
【文献】米国特許第6,475,616号
【文献】米国特許第7,141,303号
【文献】米国特許第5,034,275号
【文献】米国特許第5,114,789号
【文献】米国特許第5,242,751号
【文献】米国特許第5,268,215号
【文献】米国特許第5,468,532号
【文献】米国特許第6,132,864号
【文献】米国特許第8,828,303号
【文献】米国特許第5,641,374号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
このように、従来的な塗装代替技術では幾つかの問題に対処するのに不十分である。したがって、依然として、代替的な塗装代替技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0026】
関連のペイントフィルムアップリケおよび物品において使用するための代替的なポリマーフィルムならびにその製造方法は、ポリマーフィルムに改良された特性を与えることが望ましい。本発明によれば、in-situ(その場)で重合された着色ポリマーフィルムにより、改良されたペイントフィルムアップリケが得られる。欠陥フリー着色ポリマーフィルム、およびこの欠陥フリーポリマーフィルムを一部に含むことにより欠陥が低減されたペイントフィルムアップリケが好適である。
【0027】
1つの実施形態において、ペイントフィルムアップリケは、キャリア層として欠陥フリー着色ポリマーフィルムを備える。従来的な製造方法としては、典型的に既に重合された組成物からの押出成形、およびこの組成物からフィルムを形成する他の方法が挙げられ、この場合、フィルム形成に用いられる材料の重合は、フィルムを形成する前に基本的に完了しているが、このような従来の方法で形成されたポリウレタン系キャリア層を含む従来的な多層シートと比較すると、本発明のペイントフィルムアップリケは、キャリア層としてこのような層に依拠しておらず、結果的に、処理効率に加えて、1つ以上の所望の特性が向上される。
【0028】
本発明のペイントフィルムアップリケにおけるキャリア層として有用な欠陥フリー着色ポリマーフィルムは、参照により文献全体が本願に組み込まれた同時係属中の国際特許出願第PCT/US17/21982号(発明の名称「欠陥フリーポリマーフィルムおよびその関連の保護シート、物品、ならびにその製造方法」)に一般的に記載されている。こ
の文献においては、その色および/または透明度に影響する成分を含む保護シートについての言及がなされているが、一見して視認できない保護(seemingly invisible protection)を表面に与えるという性能を最大限にするために、シートが、滑らかで光沢のある表面と全体にわたって実質的に均一な厚さを有することが好ましいとも記載されている。しかしながら、本発明によれば、本発明の開示内容に従って形成されたポリマーフィルムは、ポリマーフィルムを含むペイントフィルムアップリケに使用できるようにするために着色されている。
【0029】
本明細書において、重合性組成物が「in-situ」で所望のポリマーフィルムへと重合される場合、前記フィルムを構成するポリマーの重合は、前記重合性組成物が所望のフィルム形式に配置される直前、その間、または直後に開始され、その重合は前記配置の間またはその直後に基本的に完了すると理解されたい。典型的に、「直前」および「直後」という用語は、重合が開始されるタイミングに言及して使用される場合、約30秒以内の時間を指している。驚くべきことに、in-situで重合された着色キャリア層を使用することにより、ペイントフィルムアップリケの所望される特性の改良、およびそれによる処理効率の向上が促進されることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明のペイントフィルムアップリケにおいて使用できるように着色することが可能なin-situ重合ポリウレタン系キャリア層の温度に対する損失係数[Tan Delta (tanδ)とも称する]を、従来の方法で形成されたポリウレタン系キャリア層が有する損失係数と比較したときのグラフである。
【
図2】本発明のペイントフィルムアップリケにおいて使用できるように着色することが可能なin-situ重合ポリウレタン系キャリア層の温度に対する貯蔵弾性率を、従来の方法で形成されたポリウレタン系キャリア層が有する貯蔵弾性率と比較したときのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
「ペイントフィルムアップリケ」という用語には、全体にわたって基本的に1つの均一な色を有するフィルムならびに、それ自体または他の塗装代替フィルムとの組合せによって図形、パターンおよび全体にわたって不均一に分散された他の色彩変化を含むフィルムも含まれる。本発明のペイントフィルムアップリケは、概して、in-situで重合された着色ポリマー層を備える。他の着色層が存在していてもよいが、ペイントフィルムアップリケにおけるキャリア層としてin-situで重合された着色ポリマー層を使用することにより、最大の効果が得られる。更なる実施形態において、ペイントフィルムアップリケは接着層を備える。in-situで重合された着色ポリマー層は、少なくとも1種類の色誘導成分(color-inducing component)を含み、ペイントフィルムアップリケ全体にわたって概ね(primary)均一または不均一な色を与える。色誘導成分が顔料である
場合、in-situで重合された着色ポリマー層は、本明細書において本発明の例示的な実施形態を説明する際に「顔料層」とも称される。
【0032】
有利なことに、本発明のペイントフィルムアップリケは、改良された特性で表面を被覆することができるだけでなく、従来の方法で形成されたキャリア層を有する従来的なペイントフィルムアップリケよりもきれいに表面から剥がすことが可能である。従来の方法で形成されたキャリア層よりも、伸張および/または衝撃の際により多くのエネルギーを吸収することが可能な(好ましくは欠陥フリーの)着色ポリマーフィルムをキャリア層として設けることによって、ペイントフィルムアップリケが使用後に剥がされた表面に残る糊残りが抑制される、または無くなることがわかっている。すなわち、本発明のペイントフィルムアップリケに用いられる改良されたキャリア層は、従来の方法で形成されたキャリア層よりも(本明細書に記載される「ピーク損失係数」によって証明されるように)効果
的な緩衝性を発現することが可能である。そうした層をペイントフィルムアップリケ中の他の層に隣接させて設けることにより、ペイントフィルムアップリケの使用中にキャリア層と他の層との間の結合がより良好に続き、また、これにより、層間剥離の可能性を抑え、ペイントフィルムアップリケを剥がした後に表面に残る接着剤および他の材料を低減することができる。
【0033】
本発明の他の態様によれば、ペイントフィルムアップリケ内の各層の特性は、本発明に従ってそうしたキャリア層を用いる場合、より良好に調整される。(例えば、外観に従来的なベースコート/クリアコート塗装仕上げを有する)多段階式の塗装のように、例えば、弾性率が比較的高いトップコート層がペイントフィルムアップリケに含まれる場合、損失係数が比較的高いキャリア層をそうしたトップコート層に隣接させて設けることにより、ペイントフィルムアップリケが伸張されたときおよび/または衝撃を受けたとき、ペイントフィルムアップリケの厚さ方向に、より均一な回復速度および回復度が得られる。
【0034】
トップコート層を設けることは任意であるものの、トップコート層は、例えば、本発明に係る多段階式の塗装において設けることが可能であり、前記多段階式の塗装は、キャリア層(または、所望する場合、複数のキャリア層)と、他の着色層との組合せが、一方側において少なくとも1つの接着層(すなわち、これらの層の組合せは、従来的な塗装系におけるベースコートと同様である)によって、また、他方側において少なくとも1つのトップコート層(すなわち、従来的な塗装系におけるクリアコートと同様である)によって挟まれている。
【0035】
一般的に、塗装の段階の数は、ペイントフィルムアップリケ内のトップコート層の数に関連していると理解されたい。例えば、本発明に係る2段階式塗装の1つの実施形態において、ペイントフィルムアップリケは、基本的に次の層からなる:接着層、キャリア層およびトップコート層。本発明に係る2段階式塗装の他の例として、ペイントフィルムアップリケは、基本的に次の層からなる:接着層、キャリア層、他の着色層およびトップコート層であって、キャリア層および他の着色層は、接着層とトップコート層との間に任意の順番で配置される。本発明に係る例示的な3段階式塗装は、第1のトップコート層に隣接する付加的なトップコート層を有する上記の2段階式塗装のいずれかとすることが可能である。
【0036】
好ましくは、本発明のペイントフィルムアップリケは、有利なことに、より良好なフィルム間のバランスによって表面を被覆し、かつ表面から剥がされた後に残る接着剤を低減することが可能であるだけでなく、回復性が向上されているので非平坦面に容易に適用して十分に被覆することも可能である。本明細書において、「回復性」という用語は、伸張し、かつ伸張した後に基本的に初期状態にまで回復することができるという材料の特性を指している。好適なペイントフィルムアップリケは、初期長さの約125%の長さまで伸張された(すなわち、引き伸ばされた)とき、基本的に初期状態にまで回復することが可能である。好ましくは、ペイントフィルムアップリケは、初期長さの約150%の長さまで伸張されたとき、基本的に初期状態にまで回復することが可能である。本発明の1つの態様によれば、ペイントフィルムアップリケは、破断するまでに、初期長さの約200%を超える長さまで引き伸ばすことが可能である。
【0037】
本発明の例示的な実施形態によれば、ペイントフィルムアップリケは、有利なことに、その製造方法により、キャリア層として欠陥フリー着色ポリマーフィルムを備える。更なる実施形態において、キャリア層として欠陥フリー着色ポリマーフィルムを有するペイントフィルムアップリケは、また、トップコート層および接着層の少なくとも一方を備える。
【0038】
この更なる実施形態の1つの態様によれば、ペイントフィルムアップリケは、次のように順に積層された層を備える:キャリア層としての欠陥フリー着色ポリマーフィルム;任意の着色層;および接着層。この更なる実施形態の他の態様によれば、ペイントフィルムアップリケは、次のように順に積層された層を備える:任意の着色層;キャリア層としての欠陥フリー着色ポリマーフィルム;および接着層。この更なる実施形態のさらに別の態様によれば、ペイントフィルムアップリケは、次のように順に積層された層を備える:トップコート層;キャリア層としての欠陥フリー着色ポリマーフィルム;および任意の着色層。この更なる実施形態の他の態様によれば、ペイントフィルムアップリケは、次のように順に積層された層を備える:トップコート層;任意の着色層;およびキャリア層としての欠陥フリー着色ポリマーフィルム。
【0039】
最後の2つの態様の更なる実施形態は、順に積層された接着層を有し、この接着層は、任意の着色層またはキャリア層に隣接して外側に露出するように設けられる。例示的なペイントフィルムアップリケは、次のように順に積層された層を備える:トップコート層;キャリア層としての欠陥フリー着色ポリマーフィルム;任意の着色層;および接着層。他の例示的なペイントフィルムアップリケは、次のように順に積層された層を備える:トップコート層;任意の着色層;キャリア層としての欠陥フリー着色ポリマーフィルム;および接着層。
【0040】
取扱いを容易にし、かつ重量およびコストを抑制するために、ペイントフィルムアップリケの全体厚さは約130ミクロンよりも薄いことが好ましい。1つの実施形態において、ペイントフィルムアップリケの全体厚さは約100ミクロンから約130ミクロンである。他の実施形態において、ペイントフィルムアップリケの全体厚さは約50ミクロンから約75ミクロンである。ペイントフィルムアップリケに含まれる各層について、以下でさらに詳細に説明する。
【0041】
[キャリア層]
本明細書において「キャリア層(carrier layer)」という用語を用いることにより、キ
ャリア層を備えるポリマーフィルムは、ペイントフィルムアップリケ内において、少なくとも1つの他の層(例えば、任意の接着層、任意の着色層、または任意のトップコート層)を有している(すなわち、支持している)と理解されたい。他の層はそれぞれの厚さまたは合計厚さがキャリア層の厚さより大きくてもよいが、キャリア層は、(美粧性、機能性、または他の特性であるかに関わらず)所望の特性を有するペイントフィルムアップリケを提供するために不可欠な要素である。
【0042】
キャリア層は、本発明のペイントフィルムアップリケを組み立てる際に隣接する層の上にin-situで重合される。本発明の好適な実施形態によれば、少なくとも1つの他の層を支持するポリマーフィルムの欠陥フリー着色層は、キャリア層として機能する。特定の文脈において、キャリア層は、「ベース層」、「支持層」、または類似のものに言及している場合もある。一般的に、本発明のペイントフィルムアップリケのキャリア層は、複数の層(すなわち、「n」個の個別の層)を有する場合、「中間(mid-ply)層」と呼
ばれる。しかしながら、本発明のペイントフィルムアップリケのキャリア層は、本発明の他の実施形態に係る単一のフィルム層とすることが可能である。複数の層がキャリア層を形成している場合、「n」個の個別の層のそれぞれを、同一または異なる種類のものとすることが可能である。例示的な実施形態において、「n」個の個別の層はそれぞれ、基本的に同一の化学的性質を有する。
【0043】
キャリア層は着色されているが、用途に応じて他の着色層を別途設けてもよい。例えば、キャリア層と接着層との間に着色層を設けることが可能である。代替的に、または他の着色層との組合せによって、キャリア層の外表面に着色層を設けることが可能である。こ
の実施形態において、キャリア層は、キャリア層を反射背景として機能させて、ペイントフィルムアップリケが表面に貼り付けられたときに上層となる着色層の色を引き出させる材料(例えば、二酸化チタン)を配合することが可能である。
【0044】
本発明の1つの好適な態様によれば、本発明のペイントフィルムアップリケに用いられるキャリア層は、ポリウレタン系である。簡略化のために、本明細書において用いる「ポリウレタン」という用語は、ウレタン(カルバメートとしても知られる)結合、尿素結合、またはその組合せ(すなわち、ポリ(ウレタン-尿素)の場合)を含むポリマーを包含する。したがって、ポリウレタン系キャリア層には、少なくともウレタン結合、尿素結合、またはその組合せが含まれる。さらに、ポリウレタン系キャリア層は、ポリマー骨格が、重合プロセスの間にin-situで形成されたウレタンおよび/または尿素反復結合を少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも80%有するポリマーをベースとしている。
【0045】
ポリウレタン系キャリア層は、本発明の方法に従って、少なくとも1種類のイソシアネート反応性(例えば、ポリオールなどのヒドロキシ官能性)成分および少なくとも1種類のイソシアネート官能性(例えば、ポリイソシアネート)成分を含む成分を反応させることによって用意される。例えば、本発明の方法に係るポリウレタン系キャリア層の形成に有用である例示的な重合性組成物の成分は、参照により文献全体が本願に組み込まれる米国特許第8,828,303号(発明の名称「放射線源を用いたin-situフィルム重合方法」)に記載されている。好適な実施形態において、本発明のこの態様に係る重合性組成物は脂肪族成分を含み、より好ましくは脂肪族成分を主成分とする。
【0046】
例示的な実施形態において、重合性組成物の重合は、紫外線放射、熱放射、および電子線放射から選択される少なくとも1種類の放射線源を用いて開始される。本発明の方法は、連続処理またはバッチ処理を用いることが可能である。例えば、比較的低エネルギーの(例えば、約100mW/cm2よりも低いエネルギーを有する)紫外線放射を用いてポ
リウレタン系キャリア層をウェブベースで(web-based)、in-situ重合するといった連続処理を、本発明の1つの実施形態において用いることが可能である。別の例としては、紫外線硬化組成物を個別の基板にコーティングし、この組成物に紫外線を照射して、ポリウレタン系キャリア層をin-situで形成するといったバッチ処理を、本発明の他の実施形態において用いることが可能である。
【0047】
本発明の方法の好適な態様によれば、キャリア層を形成するための重合性組成物は、基本的に溶媒を含んでいない。しかしながら、基本的に溶剤を含まないと考えられるホットメルト系とは異なり、本発明の好適な態様に係る重合性組成物は、この組成物が重合される基板上に塗布されるとき室温において液体である。例えば、溶媒系の処理に関連する環境および安全上の懸念に加えて、通常、溶媒系の処理には、重合された組成物から余分な溶媒を有効に除去するために高温を使用することが必要である。したがって、キャリア層が、未反応の溶媒を基本的に含んでいないことが好適である。よって、キャリア層が形成される重合性組成物が、基本的に溶媒を含まないものであることが好ましい。これらの好適な実施形態に従って、持続可能な塗装技術が容易になる。
【0048】
キャリア層は、少なくとも1種類の色誘導成分を含む。最も広い意味において、色誘導成分には、キャリア層の不透明性のみに影響するもの、キャリア層の分光色(spectral color)のみに影響するもの、キャリア層の明色(tint)、暗色(shade)、または濁色(tone)の
みに影響するものが含まれる。成分が不透明性に影響するものである場合、不透明なキャリア層、またこれにより不透明なペイントフィルムアップリケを得ることができる。成分が明色、暗色、または濁色に影響するものである場合、明色とは、(明度を上げる)白色との混色であると理解されたい。暗色とは、(明度を下げる)黒色との混色である。濁色
は、灰色との混色、または明色と暗色の両方を混色することにより得られる。(黒色、灰色および白色を含む)無彩色と混色することにより、色相はそのままで、彩度、すなわち、鮮やかさが低下する。
【0049】
本発明において有用な色誘導成分としては、例えば、当業者が一般的に顔料、塗料、色調剤、金属フレークおよび染料と呼ぶものが挙げられる。顔料は例示的な色誘導成分である。例示的な実施形態において、着色層はインクを含む。任意の市販インクを使用することが可能である。適当なインクの限定的でない例としては、顔料アクリルインク(顔料速乾性アクリルインクを含む)、顔料ウレタンインク、エポキシインク、およびウレタンエナメルコーティング[PRC Desoto International社(グレンデール,CA)が販売するウレタンエナメルコーティング(商品名:DESOTHANE HS)など]が挙げられる。
【0050】
キャリア層が着色されている場合、驚くべきことに、キャリア層に同一の色を与えるために必要な顔料の量は、キャリア層として機能する従来の方法で形成されたポリマーフィルムに添加する必要がある顔料の量よりも少ないということが判明した。したがって、顔料の添加によって生じるキャリア層の伸展性または他の特性に対する悪影響が、本発明により抑制される。本発明の1つの態様によれば、得られるキャリア層は本質的に弾性を有すると当業者は理解されたい。複数種類の反応成分から重合されるポリウレタン系ポリマーフィルムまたは同様のポリマーフィルムにおいてこれらの利点を達成するために、配合され反応させられる複数の成分のうちの少なくとも2種類の成分に色誘導成分が添加されることが好ましい。これにより、処理効率における利点が得られる。
【0051】
色誘導成分に加えて、適宜の添加剤がキャリア層に含まれていてもよい。当業者に知られているように、用途に基づいて他の添加剤が選択される。当業者は、所望の効果を得るために用いるそうした添加剤の量を容易に決定することができる。
【0052】
本発明の1つの実施形態によれば、キャリア層の厚さは約5ミクロンから約1,250ミクロンである。更なる実施形態によれば、キャリア層の厚さは約8ミクロンから約260ミクロンである。「n」個の個別のフィルム層はそれぞれ約5ミクロンから約50ミクロンの厚さとすることができ、より厚い層が存在することは、例えば飛行物体用の用途において特に有用である。しかしながら、本発明の1つの態様によれば、より高い回復性を与えるために、厚さが約220ミクロン以下のキャリア層が使用される。更なる態様によれば、キャリア層の厚さは約180ミクロン以下である。例えば、キャリア層の厚さは約120ミクロンから約180ミクロンとすることが可能である。より薄いキャリア層を用いることによって、キャリア層の回復性だけでなく、ペイントフィルムアップリケ全体の回復性が向上されることになり、これによってペイントフィルムアップリケの全体的なコストが抑制される。
【0053】
従来的な製造方法では、典型的に既に重合された組成物からの押出成形、およびフィルムを形成する他の方法が用いられ、この場合、フィルム形成に用いられる材料の重合は、フィルムを形成する前に基本的に完了しているが、このような従来の方法で形成されたキャリア層を含む従来的なペイントフィルムアップリケと比較すると、本発明のペイントフィルムアップリケは、キャリア層としてこのような層に依拠しておらず、結果的に、処理効率に加えて、1つ以上の所望の特性の予測し得ない向上が実現される。例えば、押出成形されたフィルム(米国特許第5,985,079に記載されたフィルムなど)の寸法不安定性に関連した問題を抑制することが可能である。
【0054】
本発明の1つの態様によれば、本発明のペイントフィルムアップリケにおける改良されたポリウレタン系キャリア層は、in-situで重合される。例えば、参照により本願に組み込まれる米国特許第8,828,303号および米国特許出願公開第2011-0
137006号には、このようなin-situ重合によって形成されたフィルムおよびその形成方法が記載されている。驚くべきことに、ペイントフィルムアップリケに色を与えるためにin-situで重合されたキャリア層を用いることにより、所望の物理的特性の改良、およびそれによる処理効率の向上が促進されることが判明した。
【0055】
典型的に押出成形される従来的なキャリア層とは異なり、本発明のin-situで重合されたキャリア層は、通常、熱可塑性を全く有していない。それにもかかわらず、本発明のin-situで重合されたキャリア層は、従来のように押出成形されたキャリア層と極めて類似した外観および質感を有する。しかしながら、改良されたポリマー構造により、本発明のin-situで重合されたキャリア層に、寸法安定性を含め、幾つかの顕著に異なる特性が与えられる。
【0056】
顕著に異なる他の特性としては、耐溶剤性である。本発明のin-situで重合された好適なキャリア層の耐溶剤性は、従来的に架橋された(すなわち、熱硬化性の)材料の耐溶剤性に近い。押出成形された材料は、熱可塑性材料において典型的であるように、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)に浸漬されると一般的に完全に溶解する。一方、本発明のin-situで重合された材料は、前記溶媒に浸漬されても僅かに膨出するのみである。
【0057】
他の顕著に異なる特性は貯蔵弾性率である。押出成形された材料は、熱可塑性材料において典型的であるように、一般的に、温度が上昇すると共に貯蔵弾性率が連続的に低下する。しかしながら、本発明のin-situで重合された好適なキャリア層の貯蔵弾性率は顕著に異なり、軽度に架橋されたエラストマーと一致する特徴である、ゴム状平坦領域を発現する。1つの実施形態において、in-situで重合された好適なポリウレタン系キャリア層の貯蔵弾性率は、従来的な押出成形温度において、熱可塑性ポリウレタンの貯蔵弾性率の約100倍の高さである。
【0058】
本発明の他の態様によれば、本発明のペイントフィルムアップリケにおける改良されたポリウレタン系キャリア層のピーク損失係数は、下記の損失係数試験法に従って単体フィルムとして検査した場合、少なくとも約0.5、少なくとも約0.8、さらには少なくとも約1.2である。
【0059】
図1に示されているように、下記の損失係数試験法に従って検査されたピーク損失係数は、押出成形された(すなわち、従来の方法で形成された)ポリウレタン系キャリア層フィルム[すなわち、Argotec社(グリーンフィールド,MA)から販売される押出成形ポリウレタン系キャリア層(商品名:ARGOTEC 49510;ARGOTEC
49510-60DV;およびARGOTEC 46510)を示すデータ曲線A,B,およびCによって示されるもの]について、色誘導成分を添加することができる本発明のポリウレタン系キャリア層の(すなわち、データ曲線1および2で示される)ピーク損失係数(0.5よりも大きい)よりも顕著に低いものであった。また、
図1に示されているように、押出成形されたポリウレタンキャリアフィルムについて検査したピーク損失係数は約25℃で生じたが、本発明のペイントフィルムアップリケにおいてキャリア層として、色誘導成分と組み合わせて用いられるポリウレタン系キャリアフィルムについて検査したピーク損失係数は、少なくとも約35℃の温度付近で生じた。
【0060】
また、半値損失係数(ピーク損失係数の値の2分の1の値の損失係数であり、各曲線に
対して2つ存在する)
の温度間隔は、本発明のペイントフィルムアップリケにおいてキャリア層として、色誘導成分と組み合わせて用いられるポリウレタン系キャリアフィルムについて検査したとき、約40℃未満、幾つかの実施形態においては約30℃未満、さらに、幾つかの実施形態においては約20℃未満
であった。対照的に、押出成形されたポリウレタン系ポリマーフィルムについて検査したとき、約40℃を超える温度間隔で、また、さらに例示的な実施形態においては約45℃を超える温度間隔
であった。
図1のデータ曲線AおよびBについて、半値損失係数
の温度間隔は53℃と測定された。
図1のデータ曲線Cについて、半値損失係数
の温度間隔は49℃と測定された。
図1のデータ曲線1について、半値損失係数
の温度間隔は18℃と測定された。
図1のデータ曲線2について、半値損失係数
の温度間隔は22℃と測定された。
【0061】
図2に示されているように、下記の貯蔵弾性率試験法に従って検査された貯蔵弾性率は、押出成形された(すなわち、従来の方法で形成された)ポリウレタンフィルム(すなわち、データ曲線A,BおよびCによって示されるもの)について、本発明のペイントフィルムアップリケにおいてキャリア層として、色誘導成分と組み合わせて用いられるポリウレタン系ポリマーフィルムの貯蔵弾性率よりも、比較的低温において特定値まで減少した。
【0062】
上述のとおり、本発明のペイントアップリケのキャリア層は着色されているだけでなく、欠陥フリーであることが好ましい。本明細書において、「欠陥」という用語は、例えば、ゲル粒子、ダイライン、またはゲージラインなどの視覚的な欠点であると理解されたい。本明細書において、「欠陥フリー」(defect free)という用語は、最大欠陥径(maximum defect diameter)の観点から定められる、表1に示された許容可能な最大欠陥を超える欠陥を有していないポリマーフィルムを指している。
【0063】
【0064】
好ましくは、人間の肉眼で見たとき、ポリマーフィルムに欠陥が検知できない。より好ましくは、約50倍に拡大して見たとき、ポリマーフィルムに欠陥が検知できない。
【0065】
有利なことに、好適な実施形態において、キャリア層として使用されるポリマーフィルムは従来の反応装置により形成されないので、従来のp-ゲルは発生し得ない。同様に、好適な実施形態において、ポリマーフィルムは従来の押出機を用いて形成されないので、従来のe-ゲルは発生し得ない。本発明のペイントフィルムアップリケにおいてキャリア層として用いられる好適なポリマーフィルムは、重合が行われると、熱可塑性変形することも、押出機から押し出されることも、従来の押出成形温度で熱変動を経験することもない。また、好適なポリマーフィルムは従来の押出機を用いて形成されないので、そうした製造方法において従来必要とされ、使用されるであろう、ゲルの発生の一因となることが知られている加工助剤(例えば、滑り性およびアンチブロッキング性の添加剤)が、本発明に係るペイントフィルムアップリケを組み立てる際にポリマーフィルム製造方法において必要とならず、好ましくは除外される。得られるポリマーフィルムは欠陥フリーの着色されたフィルムであり、そうしたポリマーフィルムが含まれるペイントフィルムアップリケは、欠陥が低減されている。
【0066】
[任意の着色層]
本発明のペイントフィルムアップリケの更なる実施形態において、欠陥フリーの着色されたポリマーフィルムとは別に、少なくとも1つの着色層を使用することが可能であるものの、以下においては、単に簡略化のために1つの任意の着色層のみに言及して説明を行う。複数の着色層が使用される場合、各着色層は同一でも異なっていてもよいと認識されたい。
【0067】
着色層が設けられている場合、着色層は適当な材料を含み、ペイントフィルムアップリケが表面に貼り付けられたときに所望の美粧性を与える。着色層は、連続層であっても不連続層であってもよい。なお、着色層は基本的に画像やパターンなどから構成されてもよく、層が不連続層および/または非平坦層となってもよい。
【0068】
着色層は、少なくとも1種類の色誘導成分を含む。最も広い意味において、色誘導成分には、着色層の不透明性のみに影響するもの、着色層の分光色(spectral color)のみに影響するもの、着色層の明色(tint)、暗色(shade)、または濁色(tone)のみに影響するもの
が含まれる。成分が不透明性に影響するものである場合、不透明な着色層、またこれにより不透明なペイントフィルムアップリケを得ることができる。成分が明色、暗色、または濁色に影響するものである場合、明色とは、(明度を上げる)白色との混色であると理解されたい。暗色とは、(明度を下げる)黒色との混色である。濁色は、灰色との混色、または明色と暗色の両方を混色することにより得られる。(黒色、灰色および白色を含む)無彩色と混色することにより、色相はそのままで、彩度、すなわち、鮮やかさが低下する。
【0069】
本発明において有用な色誘導成分としては、例えば、当業者が一般的に顔料、塗料、色調剤、金属フレークおよび染料と呼ぶものが挙げられる。顔料は例示的な色誘導成分である。例示的な実施形態において、着色層はインクを含む。任意の市販インクを使用することが可能である。適当なインクの限定的でない例としては、顔料アクリルインク(顔料速乾性アクリルインクを含む)、顔料ウレタンインク、エポキシインク、およびウレタンエナメルコーティング[PRC Desoto International社(グレンデール,CA)が販売するウレタンエナメルコーティング(商品名:DESOTHANE HS)など]が挙げられる。
【0070】
適当な添加剤が着色層に任意で含まれていてもよい。例えば、安定剤(例えば、酸化防止剤、熱安定剤およびUV安定剤)、架橋剤(例えば、アルミニウム架橋剤またはメラミン架橋剤)、腐食防止剤、可塑剤、光架橋剤、付加的な着色料、充填材、および当業者に知られる他の従来的な添加剤を着色層に配合することが可能である。
【0071】
好ましくは、着色層が設けられている場合、着色層は、ペイントフィルムアップリケの外表面またはその界面に移動する傾向にある成分を基本的に含んでいない。このような成分は層間剥離を促進する可能性があり、そうでなくとも、隣接する表面または層に対するペイントフィルムアップリケの接着性に悪影響を与える可能性がある。また、着色層は、ペイントフィルムアップリケの使用時に曝される可能性のある化学物質に対して耐性があることが好ましい。例えば、特に、ペイントフィルムアップリケが表面に貼り付けられたときに着色層がペイントフィルムアップリケの外層である場合、着色層は、水または油圧作動油(hydraulic fluid)[例えば、TBM社(セントルイス,MO)が販売するSolutia社の油圧作動油(商品名:SKYDROL)]による劣化に対して耐性があることが好ましい
。
【0072】
着色層は、適当な方法に従って形成することが可能である。1つの実施形態において、着色層は重合性組成物から流涎される。例えば、着色層は有機溶媒溶液から流涎すること
が可能である。他の例として、着色層は水溶液から流涎することが可能である。
【0073】
さらに別の実施形態において、着色層はin-situで重合される。上記のとおり、米国特許第8,828,303号および米国特許出願公開第2011-0137006号には、このようなin-situ重合による方法および形成されたフィルムが記載されている。この実施形態の好適な態様は、単体の状態(neat form)では室温で液体である無
溶媒重合性組成物からの着色層のオンウェブ(on-web)重合である。
【0074】
好適な実施形態において、着色層は反応性のポリマーフィルムである。「反応性」という用語により、ポリマーフィルムは、そのポリマーフィルムに重合されたキャリア層に、2つの隣接する層の間の界面において着色層との共有結合を形成させることができる化学的機能性を有すると理解されたい。この実施形態の1つの態様によれば、反応性のポリマーフィルムは、例えば、キャリア層を形成する重合性組成物中のイソシアネート官能基と反応することが可能なヒドロキシ官能基を含む。
【0075】
着色層が設けられている場合、着色層は任意の適切な厚さである。本発明の1つの実施形態によれば、着色層の厚さは約5ミクロンから約1,250ミクロンである。更なる実施形態によれば、着色層の厚さは約8ミクロンから約260ミクロンである。更に別の実施形態において、着色層の厚さは約12ミクロンから約125ミクロンである。更に別の実施形態において、着色層の厚さは約25ミクロンから約75ミクロンである。更に別の実施形態において、着色層の厚さは約8ミクロンから約25ミクロンである。例えば、ペイントフィルムアップリケが表面に適用されたときに外側から見えるペイントフィルムアップリケの色が十分である限り、着色層の厚さは、本発明の要旨および範囲から逸脱しない範囲で、実質的に変更可能である。より薄い着色層を用いることによってペイントフィルムアップリケ全体の柔軟性が向上され、これにより、ペイントフィルムアップリケの全体的なコストも抑えることが可能である。
【0076】
[任意の接着層]
接着層が設けられている場合、接着層は、キャリア層の主要平面側と、任意の付加的な着色層に隣接して設けられ、これは任意のトップコート層が設けられる側とは反対側である。本発明に係る接着層に適宜の接着剤を使用することが可能である。好適な実施形態において、接着層は感圧接着剤を含む。
【0077】
接着層のベースポリマーとして、適当な種類を用いることが可能であるが、(メタ)アクリレート(すなわち、アクリレートおよびメタクリレート)種が好適である。しかしながら、その他の適当な種類が当業者に公知であり、これらには、例えば、合成および天然ゴムに基づくもの、ポリブタジエンおよびそのコポリマー、ポリイソプレンおよびそのコポリマー、ならびにシリコーン(例えば、ポリジメチルシロキサンおよびポリメチルフェニルシロキサン)が含まれる。接着層のベースポリマーと共に適当な添加剤が含まれていてもよい。
【0078】
特には、当業者に知られているように重合された、2-エチルヘキシルアクリレート、ビニルアセテートおよびアクリル酸モノマー類をベースとする接着剤が、本発明の1つの実施形態において有用であると判明している。この接着剤は、例えば、従来のアルミニウム架橋剤またはメラミン架橋剤を用いて架橋されたものでもよい。
【0079】
1つの実施形態において、接着層の厚さは約5ミクロンから約150ミクロンである。更なる実施形態において、接着層の厚さは約10ミクロンから約100ミクロンである。更に別の実施形態において、接着層の厚さは約30ミクロンから約100ミクロンである。しかしながら、接着層の厚さは、本発明の要旨および範囲から逸脱しない範囲で実質的
に変更可能である。
【0080】
接着層は、表面に適用されるまで、例えば、従来的な剥離ライナーを用いて保護することが可能である。したがって、シートは、使用時までロールや他の形状で容易に保管し、運搬することができる。
【0081】
[任意のトップコート層]
一般的に、本発明のペイントフィルムアップリケの接着層とは反対側にある、積層物に含まれるキャリア層および(設けられている場合には)任意の着色層の主要平面側において外側に露出した非接着層は、「トップコート層」と称する。この名称と整合して、任意で設けられたトップコート層は、ペイントフィルムアップリケが物品に適用されたときに外側に露出したペイントフィルムアップリケの外層である。本発明のペイントフィルムアップリケのトップコート層に、適宜の種類の材料を用いることが可能である。例えば、トップコート層は、ベースポリマーとして、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニル、ポリ(メタ)アクリレート(例えば、ポリアクリレートまたはポリメタクリレート)、ポリウレタン、それらの変性(例えば、ハイブリッド)ポリマー、またはそれらの組合せを含むことができる。本発明のトップコート層に有用な例示的なポリカーボネート系ポリウレタンの説明については、米国特許第4,476,293号を参照のこと。また、更なる例示的なトップコート層の説明については、本願に参照により組み込まれる米国特許出願公開第2008-0286576号も参照のこと。
【0082】
1つの実施形態において、トップコート層は、下地表面にペイントフィルムアップリケを接着させた後でペイントフィルムアップリケに(例えば、噴霧または塗布することによって)適用される。好ましくは、この実施形態において、トップコート層は、アップリケを表面に貼り付けて使用する際にペイントフィルムアップリケが外部に露出しないように塗布される。さらに、2つ以上のペイントフィルムアップリケが表面上において他のアップリケと組み合わされて使用される場合、トップコート層は、隣接するペイントフィルムアップリケの間の継ぎ目が外部に露出しないように覆って保護することが好ましい。
【0083】
他の実施形態において、トップコート層は、ペイントフィルムアップリケに含まれる層のうちの1つである。例えば、本発明に係る多段階式の塗装は、キャリア層(または、所望する場合、複数のキャリア層)、および任意で組み合わされる少なくとも1つの着色層が、一方側において少なくとも1つの接着層(すなわち、これらの層の組合せは、従来的な塗装系におけるベースコートと同様である)によって、また、他方側において少なくとも1つのトップコート層(すなわち、従来的な塗装系におけるクリアコートと同様である)によって挟まれている。この例示的な実施形態に係る2段階式塗装は1つのトップコート層を有する。この例示的な実施形態に係る3段階式塗装は、2つの隣接しているものの他のトップコート層を有する。
【0084】
トップコート層は適当な成分を含むことが可能である。一般的に、トップコート層により、次の特性を含む1つ以上の特性が提供される:耐環境性、耐薬品性、耐摩耗性、耐擦傷性、光透過性、および通常所望される他の特性。トップコート層がなければペイントフィルムアップリケを物品に貼り付けた際に外部に露出するであろうキャリア層または着色層により所望の特性を得ることができるので、トップコート層の必要性がなくなっているが、特にそうでない場合には、トップコート層を設けることが有益である。例示的な実施形態によれば、トップコート層は、次の特性を有する材料を含む:非黄変性、光沢保持(例えば、約80から約90光沢単位程度の光沢を保持する)、および伸展性。
【0085】
例示的な実施形態において、トップコート層はポリウレタン系材料を含む。多くの適当なトップコートが市販されており、例えば、PRC Desoto International社(グレンデール
,CA)が販売するポリウレタンコーティング(商品名:DESOTHANE HS)[例えば、DESOTHANE HS BAC 900 (CA8000/B900AもしくはCA8000/B900B)]、またはAkzo-Nobel Aerospace Coatings社(ウォキーガン,IL)が販売するポリウレタンコーティング(商品名:ECLIPSE)(例えば、ECLIPSE BAC 900)などが挙げられる。
【0086】
好ましくは、トップコート層の成分は、ペイントフィルムアップリケの下地層への接合を促進するように選択される。この実施形態の1つの態様によれば、ペイントフィルムアップリケの下地層の表面張力は、上層となるトップコート層の表面張力である1センチメートルあたり約5ダイン以内である。この実施形態の他の態様によれば、トップコート層は、ペイントフィルムアップリケが貼り付けられる下地層における過剰なイソシアネート反応性部分と反応する過剰なイソシアネート官能性部分を有する。本発明のこの態様によれば、トップコート層とペイントフィルムアップリケの下地層との間に共有結合が形成される。そうした共有結合は、通常、他の種類の結合(例えば、感圧接着剤を使用した場合に通常生じる結合などのファンデルワールス力に基づく結合)よりも安定していることから、好適である。
【0087】
好ましくは、ペイントフィルムアップリケの光沢保持、防汚性、および他の所望の性能特性を最大限にするために、トップコート層は分子量が比較的高いものである。すなわち、トップコート層は、本発明の幾つかの実施形態に従って押出成形によって形成可能であるものの、トップコート層は、押出成形が実際的でない程度に高い分子量のものである(すなわち、ポリウレタンとして、当業者はこのポリウレタンを押出成形用のポリウレタンとは見なさない)ことが好ましい。好適な実施形態において、トップコート層は、本発明のキャリア層に加えて、in-situで重合される。
【0088】
1つの実施形態において、トップコート層が設けられている場合、その厚さは約1ミクロンから約28ミクロンである。更なる実施形態において、トップコート層の厚さは約5ミクロンから約20ミクロンである。更に別の実施形態において、トップコート層の厚さは約5ミクロンから約15ミクロンである。更に別の実施形態において、トップコート層の厚さは約5ミクロンから約12ミクロンである。更に別の実施形態において、トップコート層の厚さは約5ミクロンから約7ミクロンである。しかしながら、トップコート層の厚さは、本発明の要旨および範囲から逸脱しない範囲で、実質的に変更することが可能である。
【0089】
トップコート層を保護するために、ポリマーライナー(例えば、透明なポリエステルライナー)などを使用し、ペイントフィルムアップリケを基板に貼り付ける前または後に取り除いてもよい。
【0090】
[ペイントフィルムアップリケの形成]
当業者の知識に従って、ペイントフィルムアップリケの各層がそれぞれ形成され、多層ペイントフィルムアップリケに組み立てられる。しかしながら、キャリア層を形成するにあたり、キャリア層は、ペイントフィルムアップリケの任意の他の着色層、任意の接着層、および/または任意のトップコート層などといった隣接する層の上にin-situで形成される。
【0091】
接着層を用意するに当たって、適当な方法を使用することが可能である。例えば、キャリア層の上に接着層を直接(例えば、in-situで)形成する代わりに、1つの実施形態によれば、当業者に知られているように、剥離フィルムに流延し、所望の厚さの接着フィルムを形成することが可能である。この実施形態において、その後、剥離フィルムに支持された接着フィルムにキャリア層を設け、ペイントフィルムアップリケを物品の表面に接着させる前に剥離フィルムを取り除くことが可能である。
【0092】
組み立ての方法および順序に制限はないが、少なくともキャリア層はin-situで重合される。この実施形態の更なる態様によれば、ペイントフィルムアップリケの他の各層はそれぞれ、ペイントフィルムアップリケに組み立てられる前に用意される。当業者に知られているように、他の各層を形成するための適当な方法を使用することが可能である。
【0093】
任意のトップコート層を用意するために、適当な方法を使用することが可能である。例えば、1つの実施形態によれば、また当業者に知られているように、所望の厚さのトップコート層を形成するフィルムを、平滑フィルム(例えば、ポリエステルフィルム)上に流涎し、支持層を有するトップコート層を形成することが可能である。1つの実施形態において、その後、支持層を有するトップコート層が、キャリア層、またはキャリア層と(設けられている場合には)任意の着色層とを備える積層物の外側に露出した側、すなわち、任意の接着層が設けられる側とは反対側の積層物の主面に設けられる。トップコート層を形成するために用いられた平滑フィルムは、ペイントフィルムアップリケを物品の表面に貼り付けるまでアセンブリに残しておいてもよく、シートの運搬および保管の間にさらなる保護を与えることが可能である。この実施形態では、適当な方法であれば、どのような方法であっても、トップコート層をペイントフィルムアップリケの残りの層に設けるために使用することができる。他の実施形態によれば、トップコート層は、従来の方法に従ってトップコート層をペイントフィルムアップリケの残りの層の上に直接コーティングすることで形成される。
【0094】
上記のプロセスにおいては、各層を形成してから、それらの層を接着してペイントフィルムアップリケを形成するが、本発明の他の実施形態によれば、ペイントフィルムアップリケの一部の層は、例えば、重合性組成物を液体状態から共押出成形することによって、同時に形成することが可能である。通常、この工程は約40℃未満の温度(例えば、1つの実施形態においては室温程度)で実施される。キャリア層に加えて、キャリア層以外の層も、例えば、米国特許第8,828,303号および米国特許出願公開第2011-0137006号に記載されるようなフィルム形式にin-situで重合してもよい。いかなる方法が用いられるにせよ、プロセスは、連続処理またはバッチ処理とすることが可能である。
【0095】
[ペイントフィルムアップリケの用途]
本発明のペイントフィルムアップリケは、例えば、運輸、建築およびスポーツ用品の産業といった様々なインドア用途およびアウトドア用途に有用である。有利なことに、本願のペイントフィルムアップリケは、塗装が所望される任意の物品の表面の少なくとも一部に使用することが可能である。そうした物品としては、他の多数の用途の中でも、例えば、モータ付きの乗り物(例えば、自動車および飛行機)ならびにモータ付きでない乗り物(例えば、従来的な自転車)が挙げられる。ペイントフィルムアップリケが適用される表面は、塗装されていても、塗装されていなくてもよい。
【0096】
本発明のペイントフィルムアップリケは、下層となる基板に貼り付けられたときに外側に露出する面として凹凸面(textured outwardly exposed surfaces)を有していてもよ
いが、本発明のペイントフィルムアップリケは、表面に所望の美粧性を与えるという性能を最大限にするために、滑らかな表面と全体にわたって実質的に均一な厚さを有することが好ましい。
【0097】
ペイントフィルムアップリケは使用時に表面に貼り付けられ、好ましくは表面形状と適合するように表面に貼り付けられる。特に、ペイントフィルムアップリケを非平坦面に適用する場合、回復性が重要かつ好適である。ペイントフィルムアップリケの回復性があま
り高くない場合、アップリケを伸張させ過ぎたときに微細な亀裂が生じる可能性がある。その場合には、そうしたペイントフィルムアップリケを基体(特に、凹凸形状の複雑な表面を有する基体)に貼り付けるためにリリーフカット(relief cut)が必要となるかもしれない。しかしながら、本発明の好適な実施形態によれば、本発明のペイントフィルムアップリケを複雑な表面に適用する場合、リリーフカットは不要である。こうしたペイントフィルムアップリケは、その回復性により、簡単に適合させることができる。
【0098】
本発明のペイントフィルムアップリケは、当業者の知識に基づいて、物品の表面に簡単かつ容易に貼り付けることが可能である。一般的に、接着層は、剥離ライナーがある場合には剥がして接着部を露出させた後、ペイントフィルムアップリケが貼り付けられる表面に接着される。感圧接着層が使用される場合、ペイントフィルムアップリケは、表面に強固に接着される前に、一旦、容易に配置し直すことが可能である。
【実施例】
【0099】
[例示的な試験法]
本発明の例示的な実施形態および用途を、以下の試験法と関連づけて説明する。
【0100】
[損失係数試験法]
TA Instruments社(ニューカッスル,DE)製の動的機械分析装置(商品名:TA Instruments DMA Q800)を用いて、当該試験を引張モードで行った。公称試料サイズとして、長さ5~12mm、幅4~8mm、厚さ0.02~0.2mmを使用した。周波数1Hz、歪0.3%、および傾斜率3℃/minを使用して、試料の損失係数を決定するための値を測定した。
【0101】
[貯蔵弾性率試験法]
TA Instruments社(ニューカッスル,DE)製の動的機械分析装置(商品名:TA Instruments DMA Q800)を用いて、当該試験を引張モードで行った。公称試料サイズとして、長さ5~12mm、幅4~8mm、厚さ0.02~0.2mmを使用した。周波数1Hz、歪0.3%、および傾斜率3℃/minを使用して、試料の貯蔵弾性率を決定するための値を測定した。
【0102】
[耐溶剤性試験法]
各材料について、小ディスク(直径25mm×厚さ0.16mm)を、それぞれ別個に、16mLのテトラヒドロフラン(THF)が入ったジャーに浸漬した。5分後に各実施例のディスクの溶解および/または膨出を評価した。各試料を評価するに当たり、ディスクがそのまま残っていなければ、ジャーの内容物を200メッシュのステンレススチール製フィルタに通した。固形またはゲル残留物がフィルタスクリーンに保持された場合、ディスクの材料は、完全に溶解されかつ簡単に微細片に分解されていないと認定された。浸漬5分後にディスクがそのまま残っていた場合は、合計6時間にわたって、ディスクをTHFに浸漬した状態で保持した。合計6時間浸漬した後でも、ディスクは依然として残っていたので、ジャーから取り出して、その直径を速やかに測定した。その後、ディスクを空気中で乾燥させた。約24時間後、ディスクの直径を再度測定した。
【0103】
[比較例C1]
Argotec社(グリーンフィールド,MA)製の熱可塑性ポリウレタンフィルム(ARGOTEC 49510)のディスクを、上記の耐溶剤性試験法に従って評価した。5分後、ディスクはそのままの状態で残っておらず、完全に溶解していることが確認された。
【0104】
[比較例C2]
Argotec社(グリーンフィールド,MA)製の熱可塑性ポリウレタンフィルム(ARGOTEC 46510)のディスクを、上記の耐溶剤性試験法に従って評価した。5分後、ディスクはそのままの状態で残っておらず、完全に溶解していることが確認された。
【0105】
[実施例1]
下記の例示的な配合(表2および表5を参照)に従って用意されたフィルム3のディスクを、上記の耐溶剤性試験法に従って評価した。6時間浸漬した後に測定されたディスクの直径は、元のサイズの160%であった。空気中で乾燥させた後、ディスクは、元の直径25mmに戻り、THFが蒸発したことが確認された。
【0106】
[例示的な配合]
欠陥フリーポリマーフィルム、およびこのフィルムを備えるペイントフィルムアップリケは、米国特許第8,828,303号に記載された方法に従って、かつ下記の各層の成分を用いて用意することができる。
【0107】
[成分]
【0108】
【0109】
[キャリア層]
本発明のペイントフィルムアップリケの3つの異なるキャリア層は、表2に記載の成分と、表3から表5に示された割合とに基づいて形成される。重量割合は、キャリア層を含む最終的なフィルムの全重量に基づいて記載している。
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
[トップコート層]
本発明のペイントフィルムアップリケに用いるアクリル系ポリウレタントップコート層は、脂肪族アクリルポリオールおよび脂肪族ポリイソシアネートポリマーから形成される。これらの成分は、約10ミクロンの厚さにコーティングされた後、キャリア層上においてin-situで重合される。
【0114】
[接着層]
本発明のペイントフィルムアップリケに用いる接着層は、表2に記載された接着剤成分に基づいて形成され、トップコート層とは反対側でキャリア層の上に配置される。
【0115】
当業者にとって、本発明の趣旨および添付の請求の範囲によって定められる本発明の範囲から逸脱することなく、本発明に対する様々な変形および変更が明白であろう。なお、後述する方法に関する請求項に記載された工程は、必ずしも記載された順番で実施する必要はない。この分野の当業者であれば、これらの工程を、記載された順番とは異なる順番で実施する変更を認識しているであろう。
【0116】
本明細書に記載された全ての理論は、更なる試験および分析に応じて変更される可能性がある。よって、発明者は、本明細書で述べたいかなる理論(例えば、ペイントフィルムアップリケおよびペイントフィルムアップリケに含まれる各層と共に記載した物理的特性に寄与する要因についての理論)による限定も意図していない。
なお、本発明は、態様として以下の内容を含む。
〔態様1〕
任意のトップコート層と、
in-situで重合され、着色されたキャリア層と、
任意の他の着色層と、
任意の接着層と、
を備えているペイントフィルムアップリケ。
〔態様2〕
態様1に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記ペイントフィルムアップリケが不透明である、ペイントフィルムアップリケ。
〔態様3〕
態様1に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記キャリア層が顔料を含む、ペイントフィルムアップリケ。
〔態様4〕
態様1に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記着色層はin-situで重合される、ペイントフィルムアップリケ。
〔態様5〕
態様1に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記キャリア層が欠陥フリーである、ペイントフィルムアップリケ。
〔態様6〕
態様1に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記キャリア層がポリウレタン系である、ペイントフィルムアップリケ。
〔態様7〕
態様1に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記in-situで重合されたキャリア層が、未反応の溶媒を基本的に含んでいない、ペイントフィルムアップリケ。
〔態様8〕
態様1に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記ペイントフィルムアップリケは、前記トップコート層と、前記in-situで重合されたキャリア層と、前記他の着色層と、前記接着層とをこの順に備える、ペイントフィルムアップリケ。
〔態様9〕
態様1に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記ペイントフィルムアップリケは、前記トップコート層と、前記他の着色層と、前記in-situで重合されたキャリア層と、前記接着層とをこの順に備える、ペイントフィルムアップリケ。
〔態様10〕
態様1に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記ペイントフィルムアップリケは、前記トップコート層と、前記in-situで重合されたキャリア層と、前記接着層とをこの順に備える、ペイントフィルムアップリケ。
〔態様11〕
態様1に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記トップコート層を備えるペイントフィルムアップリケ。
〔態様12〕
態様11に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記トップコート層がポリウレタン系である、ペイントフィルムアップリケ。
〔態様13〕
態様1に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、損失係数試験法に従って単体フィルムとして検査した場合、前記in-situで重合されたキャリア層のピーク損失係数が少なくとも約0.5である、ペイントフィルムアップリケ。
〔態様14〕
態様1に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、損失係数試験法に従って単体
フィルムとして検査した場合、前記in-situで重合されたキャリア層のピーク損失係数が少なくとも約35℃の温度付近で生じる、ペイントフィルムアップリケ。
〔態様15〕
態様1に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、損失係数試験法に従って単体フィルムとして検査した場合、前記in-situで重合されたキャリア層の半値損失係数が、約40℃未満の温度間隔にわたって生じる、ペイントフィルムアップリケ。
〔態様16〕
態様1に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記接着層が設けられており、かつ感圧接着剤を含む、ペイントフィルムアップリケ。
〔態様17〕
態様16に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記接着層の外面に剥離フィルムをさらに備える、ペイントフィルムアップリケ。
〔態様18〕
態様1に記載のペイントフィルムアップリケにおいて、前記ペイントフィルムアップリケの全体厚さが約130ミクロンよりも薄い、ペイントフィルムアップリケ。
〔態様19〕
少なくとも1つの表面の少なくとも一部に、態様1に記載のペイントフィルムアップリケを備える物品。
〔態様20〕
態様19に記載の物品において、前記物品がモータ付き乗り物である、物品。
〔態様21〕
態様1に記載のペイントフィルムアップリケを用いてモータ付き乗り物の表面を塗装する方法であって、
態様1に記載の前記ペイントフィルムアップリケを提供することと、
前記モータ付き乗り物の前記表面に前記シートを適用することと、
を含む方法。
〔態様22〕
態様1に記載のペイントフィルムアップリケを形成する方法であって、前記他の着色層が設けられており、少なくとも前記in-situで重合されたキャリア層と前記着色層とが、in-situで重合されて同時に前記少なくとも2つの層を形成する重合性組成物の共押出成形によって形成される、方法。
〔態様23〕
態様1に記載のペイントフィルムアップリケを形成する方法であって、
前記他の着色層が設けられて、流涎される、方法。
〔態様24〕
態様1に記載のペイントフィルムアップリケを形成する方法であって、
前記他の着色層が設けられて、有機溶媒溶液から流涎される、方法。
〔態様25〕
態様1に記載のペイントフィルムアップリケを形成する方法であって、
前記他の着色層が設けられて、水性溶液から流涎される、方法。