(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】感圧接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 133/06 20060101AFI20240809BHJP
C09J 133/02 20060101ALI20240809BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20240809BHJP
C09J 193/04 20060101ALI20240809BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20240809BHJP
【FI】
C09J133/06
C09J133/02
C09J11/08
C09J193/04
C09J7/38
(21)【出願番号】P 2023510328
(86)(22)【出願日】2021-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2021072746
(87)【国際公開番号】W WO2022034247
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】102020210399.2
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509120403
【氏名又は名称】テーザ・ソシエタス・ヨーロピア
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】タッシェ・ヨス
(72)【発明者】
【氏名】レルマン-シュプリンク・アンドレ
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-170884(JP,A)
【文献】特表2011-516690(JP,A)
【文献】特開平10-231325(JP,A)
【文献】国際公開第2021/125278(WO,A1)
【文献】特開2020-100826(JP,A)
【文献】国際公開第2011/025651(WO,A1)
【文献】特表2018-506612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00 - 201/10
C08K 3/00 - 13/08
C08L 1/00 - 101/14
C08C 19/00 - 19/44
C08F 6/00 - 246/00
C08F 301/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-以下を含む、モノマー組成物に遡ることができる少なくとも1つのコポリマー、
a)45~75質量%
のモノマーとしての2-オクチルアクリレート、
b)24~50質量%のアルコール成分が1~4個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレートを、および
c)0.5~10質量%のアクリル酸;および
-少なくとも1種の接着力向上樹脂
を含
み、
感圧接着剤の総質量に基づいて、合計で25~50質量%の接着力向上樹脂を含むことを特徴とする、
感圧接着剤。
【請求項2】
モノマー組成物が、合計で60~70質量%のモノマーa)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の感圧接着剤。
【請求項3】
モノマー組成物が、合計で27~35質量%のモノマーb)を含むことを特徴とする請求項1~
2のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
【請求項4】
感圧接着剤が、
a)45~75質量%のi-アミルアクリレート、n-ヘプチルアクリレート、および2-オクチルアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つのモノマー、
b)24~50質量%のアルコール成分が1~4個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレートを、および
c)0.5~10質量%のアクリル酸
を含むモノマー組成物に遡ることができるコポリマーを、感圧接着剤の総質量に基づいて40~80質量%、含むことを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
【請求項5】
接着力向上樹脂が、ロジン樹脂およびポリテルペンベースの樹脂から選択されることを特徴とする、請求項1~
4のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
【請求項6】
感圧接着剤が、感圧接着剤の総質量に基づいて、合計で
35~45質量%の接着力向上樹脂を含むことを特徴とする、請求項1~
5のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
【請求項7】
キャリア材料と、その両外側の少なくとも一方に、請求項1~
6のいずれか一つに記載の感圧接着剤を含む、接着テープ。
【請求項8】
請求項1~
6のいずれかに記載の感圧接着剤または請求項
7に記載の接着テープの、電子、光学および/または精密機械装置における結合の製造のための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立てられる部分の一時的または長期的な接合に広く使用される感圧接着剤の技術分野に関する。より詳細には、本発明は、特定の組成のポリアクリレートコポリマーに基づく感圧接着剤を提案し、特に極性接着基材上で良好な接着力およびせん断強度を示すと同時に、成分のかなりの部分が再生可能な原料に基づくことを可能とする。
【背景技術】
【0002】
近年、感圧接着剤(PSA)の品質に対する要求が飛躍的に高まっている。その一例としては、スマートフォンやタブレットPCなどの電子製品に使用される感圧接着剤の使用である。接着剤には、高い耐衝撃性などの技術的な接着特性が求められる一方、高感度な電子部品への適合性も要求される。また、原材料の産地など、環境や社会的な基準もますます重要視されるようになっている。
【0003】
このような状況下で特に求められているのが、一部または全部が生物由来の原材料(いわゆるバイオベース原材料)である。これは、現在一般的に観察されている、持続可能な製品を目指す傾向の一要素であり、特に石油の有限な埋蔵量と、その結果としての埋蔵量の慎重な使用の必要性に対処するものであり、接着剤メーカーの顧客は、対応する製品をますます積極的に要望されるようになっている。希少資源という側面だけでなく、部品の入手や生産に関わる「環境フットプリント」も考慮されている。これは、基本的に、対応するプロセスで発生するCO2の量に関係する。この量は、再生可能な資源から作られた製品ほど少なく、場合によっては、生産された物質のCO2収支がマイナスになることさえある。その結果、技術的に優れた接着性能を、可能な限り再生可能な資源に由来する原材料と組み合わせた感圧接着剤に、特に環境に配慮した関心が存在する。
【0004】
このような観点から、ポリ(メタ)アクリレートは、容易に利用できる出発材料であることが何度も証明されている。したがって、ポリ(メタ)アクリレートベースの感圧接着剤のための適切な製剤に関する研究が持続的に行われている。
【0005】
水中に分散したアクリレートポリマーを実質的にベースとする水性感圧接着剤組成物が、例えばEP2062955A1に記載されている。
【0006】
植物原料に基づくアクリレート系感圧接着剤の代表的なものは、WO2008/046000A1に記載されているように、
90~99.5質量%(wt%)の2-オクチル(メタ)アクリレート、
0.5~10質量%の(メタ)アクリル酸および
10質量%未満のさらなるモノマー
の反応生成物を含むコポリマーに基づく接着剤組成物である。
【0007】
EP3013767A1は、再生可能な起源の2-オクチルアクリレートと任意に少なくとも1つの他のモノマーの重合から得られるポリマーの、コーティング組成物を製造するためのバインダーとしての使用を開示し、このポリマーは、-30℃~30℃のガラス転移温度を有する。
【0008】
EP2626397A1は、アクリレートベースのポリマー成分を含む感圧接着剤に関するものであり、ポリマー成分の製造に使用されるモノマーの少なくとも50質量%が、完全に再生可能な原料にさかのぼることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】EP2062955A1
【文献】WO2008/046000A1
【文献】EP3013767A1
【文献】EP2626397A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、ポリアクリレートベースの接着剤の製造に使用されるバイオベース原料は、非常に限られた範囲でしか入手できないことが依然として問題となっている。したがって、利用可能なバイオベースの出発材料の比較的狭い領域に基づき、高性能の感圧接着剤を処方することは、引き続き課題となっている。
【0011】
本発明の目的は、特に極性接着基材上で良好な接着強度と良好なせん断強度を示し、バイオベース原料から広範囲に製造できる感圧接着剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
その目的を達成する本発明の第一の一般的な主題は、
-以下を含むモノマー組成物に遡ることができる、少なくとも1つのコポリマー、
a)45~75質量%のi-アミルアクリレート、n-ヘプチルアクリレート、および2-オクチルアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つのモノマー、
b)24~50質量%のアルコール成分が1~4個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレートを、および
c)0.5~10質量%のアクリル酸;および
-少なくとも1種の接着力向上樹脂
を含む感圧接着剤である。
【0013】
この種の感圧接着剤は、目的に応じて良好な接着特性を示し、ポリマー成分と樹脂画分の両方が、主に再生可能な原材料に基づいて配合することが可能である。特に、モノマーa)は、現在、バイオベース物質として容易に入手可能である。既に見いだされているように、モノマーa)のアルコール成分だけが実際にバイオベース原料から製造される場合、本発明の組成物は、完全に石油ベースで製造される同等の感圧接着剤よりも小さな環境フットプリント(カーボンフットプリント)を有し、これは、モノマーとして、しばしば2-エチルヘキシルアクリレートを使用することに相当する。この事実は、実質的に関連するモノマーa)の入手と生産に起因すると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
感圧接着剤または接着剤組成物は、本発明では、一般的な使用法で慣用されているように、少なくとも室温で永久的に粘着性があり、また接着性を有する材料として理解される。感圧接着剤の特徴は、圧力をかけて基材に適用することができ、適用する圧力やこの圧力にさらされる期間をさらに定義することなく、付着したままになることである。一般的に、感圧接着剤の正確な性質や、基材、温度、大気湿度に依存するが、接着効果を得るためには、短時間の穏やかな接触を超えない最小限の圧力への曝露で十分であり、他の場合には、より高い圧力へのより長い曝露時間が必要となることがある。
【0015】
感圧接着剤は、特殊な粘弾性特性を持ち、その結果、耐久性のあるタックと接着性を実現する。この粘着剤の特徴は、機械的に変形させたときに、粘性流動が起こり、弾性復元力が発生することである。この2つの過程は、感圧接着剤の正確な組成、構造、架橋度だけでなく、変形の速度や時間、温度にも依存し、それぞれの割合において互いに一定の関係を持つ。
【0016】
接着を実現するためには、比例した粘性流が必要である。比較的高い移動度を持つ高分子によってしばしば引き起こされる粘性成分のみが、効果的な湿潤と、接着が行われる基材への効果的な流動を可能にする。高い粘性流動成分は、高圧感接着性(タック(粘着性)または表面接着性とも呼ばれる)をもたらし、それゆえしばしば高い接着性をももたらす。高度に架橋されたシステム、結晶性ポリマー、またはガラス状に固化したポリマーには流動性成分がなく、一般に接着性(粘着性)がないか、少なくともわずかな接着性しかない。
【0017】
凝集力を得るためには、比例弾性の回復力が必要である。これは、例えば、高度にコイル化した非常に長い鎖状の高分子や、物理的または化学的に架橋した高分子によってもたらされ、接着結合に作用する力の伝達を可能にする。これらの回復力の結果として、接着結合は、それに作用する長期的な負荷に、例えば持続的なせん断負荷の形に、比較的長い期間にわたって十分な程度に耐えることができる。
【0018】
弾性成分と粘性成分の程度、および成分間の関係をより正確に記述し定量化するために、貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G’’)の変数が採用され、動的機械分析(DMA)により求めることができる。G’は物質の弾性成分、G’’は粘性成分の尺度である。両変数は、変形周波数(変形頻度)と温度に依存する。
【0019】
この変数はレオメーターを用いて測定することができる。この場合、例えば、調査対象の材料は、正弦波状に振動するせん断応力にプレート/プレート配置でさらされる。せん断応力制御で動作する機器の場合、変形は時間の関数として測定され、この変形の時間オフセットは、せん断応力の導入に対して測定される。この時間オフセットは、位相角δと呼ばれる。
【0020】
貯蔵弾性率G’は、以下のように定義される。G’=(τ/γ)・cos(δ)(τ=せん断応力、γ=変形、δ=位相角=せん断応力ベクトルと変形ベクトルの位相ずれ)。損失弾性率G’’の定義は以下の通りである。G’’=(τ/γ)・sin(δ)(τ=せん断応力、γ=変形、δ=位相角=せん断応力ベクトルと変形ベクトルとの位相のずれ)。
【0021】
組成物は、23℃において、100~.101rad/secの変形周波数範囲において、G’とG’’の両方が少なくとも部分的に103~107Paの範囲に位置する場合、感圧接着剤であると特に考えられ、本発明の目的のために特にそのように定義されている。「部分的に」とは、G’曲線の少なくとも一部が、100rad~101rad/secの変形周波数範囲(横軸)と103~107PaのG’値範囲(縦軸)とによって引かれるウインドウ内にあることを意味し、G’’曲線の少なくとも一部も同様に対応するウインドウ内に位置していればよい。
【0022】
本発明の感圧接着剤は、以下を含むモノマー組成物に遡ることができる少なくとも1つのコポリマーを含む
a)45~75質量%のi-アミルアクリレート、n-ヘプチルアクリレート、および2-オクチルアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つのモノマー
b)24~50質量%のアルコール成分が1~4個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレート、および
c)0.5~10質量%のアクリル酸。
【0023】
より詳細には、a)に記載されたモノマーは、完全に再生可能な原材料から製造することができる。
【0024】
モノマーc)として、またモノマーa)およびb)の酸成分として使用できるバイオベースアクリル酸を製造するための1つのプロセスは、例えばバイオディーゼル製造のために植物油をメタノールでトランスエステル化する際に大量に得られる、グリセロールから出発するものである。このプロセスでは、グリセロールをアクロレインに脱水し、その後、一段階または二段階の操作で、アクロレインをアクリル酸に酸化する。この種のプロセスは、例えばUS2007/0129570A1に記載されている。
【0025】
WO2006/092272A2は、類似のプロセスを開示しており、グリセロールを最初にアクロレインを含む脱水生成物に変換し、次にこの脱水生成物を気相酸化に供してアクリル酸を含む生成物を得る。この酸化生成物をクエンチ剤と接触させ、クエンチ相を処理することでアクリル酸を生成する。このプロセスにより、反応性成分を使用することなく、再生可能な原料からアクリル酸を製造することができる。グリセロールは、好ましくは動植物油脂のけん化から得られる。
【0026】
バイオベースアクリル酸は、乳酸(2-ヒドロキシプロピオン酸)または3-ヒドロキシプロピオン酸を生体材料から流体として、特に水相で生成し、ヒドロキシプロピオン酸を脱水してアクリル酸を含有する流体を与え、アクリル酸を含有する流体を精製するプロセスによっても得ることができる。必要なヒドロキシプロピオン酸は、発酵によって製造することができる。発酵反応は、しばしば非常に選択性が高く、使用する微生物の選択性が高いため、高収率で副生成物がほとんどない。また、30~60℃の低温で発酵プロセスさせることにより、二次反応を避けることができる。一方、石油化学の工業的規模の化学プロセスは、収率を最適化するために、通常>200℃の(200℃を超える)非常に高い温度で実施されることが多い。しかし、高い反応温度は、常に二次反応と分解生成物の形成につながる。
【0027】
上記のプロセスは、例えばDE102006039203A1に記載されており、アクリル酸を含む流体は、懸濁駅の結晶化または層の結晶化によって精製される。
【0028】
再生可能な原料からアルコールを調製する場合にも、様々な工程がある。
【0029】
例えばブタノールは、植物バイオマスを発酵させることで得られるが、通常は事前に処理される。例えば、ショ糖、デンプン、セルロースなどを出発点とし、場合によっては遺伝子組み換えの微生物が使用される(いわゆる「ホワイトバイオテクノロジー」)。いわゆるA.B.E.プロセス(A.B.E.はアセトン、ブタノール、エタノールの略)では、Clostridium acetobutylicumという細菌を使用して発酵させ、1-ブタノールを生産する。
【0030】
2-オクタノールは、リシノール酸をセバシン酸に酸化する際に副産物として得られ、単離されることができる。N-ヘプタノールは、リシノール酸の熱解離(熱分解してヘプタナールとウンデセン酸を生成)で生成するヘプタナールから得ることができる。
【0031】
モノマーa)は、存在する他のモノマーと比較して、コポリマーのガラス転移温度を低下させる。これは、接着基材上への感圧接着剤の付着が促進されるため有利である。さらに、この組成物は、結果として、より多くの樹脂を収容することができ、同様に、接着性能に有益な結果をもたらす。
【0032】
本発明の感圧接着剤のコポリマーのモノマー組成物は、本発明によるモノマーa)を合計で45~75質量%含有する。本発明の感圧接着剤のコポリマーのモノマー組成物は、好ましくは、合計で50~72質量%、特に合計で60~70質量%のモノマーa)を含む。モノマー組成物は、原則として、1つの(単一の)モノマーa)または2つ以上のモノマーa)を含むことができる。
【0033】
本発明の感圧接着剤のコポリマーのモノマー組成物は、モノマーa)として、好ましくは少なくとも2-オクチルアクリレートを含む。このモノマーは、コポリマーのガラス転移温度をさらに大きく低下させるので、特に有利である。さらに、それは側鎖の結晶性を導入しないので、感圧接着特性の発現に特に強く寄与する。特に、モノマー組成物は、モノマーa)として2-オクチルアクリレートを含む。すなわち、モノマーa)として2-オクチルアクリレートにのみが独占的に含まれる。
【0034】
本発明の感圧接着剤のコポリマーのモノマー組成物は、本発明に従って、アルコール成分が1~4個の炭素原子を有する少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレート(モノマーb))を24~50質量%さらに含む。本発明の感圧接着剤のコポリマーのモノマー組成物は、モノマーb)を含み、したがって、モノマーb)を合計で24~50質量%で含まれる。本発明の感圧接着剤のコポリマーのモノマー組成物は、好ましくは、合計で25~40質量%、特に合計で27~35質量%のモノマーb)を含む。モノマー組成物は、原則として、1つの(単一の)モノマーまたは2つ以上のモノマーb)を含むことができる。
【0035】
アルコール成分が1~4個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレートは、好ましくは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルメタクリレートおよびi-ブチルアクリレートから成る群から選択される。より好ましくは、本発明のコポリマーのモノマー組成物は、モノマーb)としてi-ブチルアクリレートを含む。i-ブチルアクリレートは、バイオベースの形態で入手可能であり、特に、頻繁に使用される石油ベースのn-ブチルアクリレートと比較して、原料の入手および生産の点でより小さな環境フットプリントとなる。
【0036】
より好ましくは、本発明のコポリマーのモノマー組成物は、モノマーb)としてi-ブチルアクリレートおよびメチルアクリレートを含む。
【0037】
特にモノマーa)と比較して、モノマーb)の効果は、コポリマーのガラス転移温度を上昇させることである。これは、モノマーa)およびb)の重量分率(質量分率)のシフトを介して、感圧接着剤の特性を特定の要件に合わせて調整することができるため、有利である。さらに、コポリマーにルーピングを導入することも考えられている。これは、感圧接着剤に大きな靭性と凝集力を与えるので有利である。
【0038】
本発明の感圧接着剤のコポリマーのモノマー組成は、アクリル酸を好ましくは1~7質量%、特に2~4質量%で含有する。
【0039】
本発明の感圧接着剤のコポリマーのモノマー組成は、好ましくは以下のものからなる。
a)45~75質量%のi-アミルアクリレート、n-ヘプチルアクリレート、および2-オクチルアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つのモノマー
b)24~50質量%のアルコール成分が1~4個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレート、および
c)0.5~10質量%のアクリル酸を含有する。
または好ましいものとして上述したモノマーの、そこで指定された割合で使用される。
【0040】
コポリマーは、好ましくは、従来のラジカル重合または制御されたラジカル重合によって製造される。コポリマーは、慣用の重合開始剤、また任意に連鎖移動剤を用いてモノマーを共重合することにより調製することができ、重合はバルクで、エマルジョン中-例えば、水または液体炭化水素中-または溶液中で慣用の温度で行われる。
【0041】
コポリマーは、好ましくは、溶媒中、より好ましくは50~150℃、特に60~120℃の沸点範囲を有する溶媒中で、モノマーの総質量を基準として0.01~5質量%、特に0.1~2質量%の重合開始剤を使用してモノマーを共重合することにより製造される。
【0042】
原則として、すべての慣用的な開始剤が適している。ラジカル源の例は、過酸化物、ヒドロパーオキシドおよびアゾ化合物であり、例えば、ジベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、ジ-tert-ブチルパーオキシド、シクロヘキシルスルホニルアセチルパーオキシド、ジイソプロピルパーカーボネート、tert-ブチルパーオクタートおよびベンゾピナコ-ンである。好ましいラジカル開始剤は、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(デュポン社製Vazo(登録商標)6(商標))または2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(2,2’-アザビスイソブチロニトリル;AIBN;デュポン社製Vazo(登録商標)64(商標))である。
【0043】
コポリマー製造のための好ましい溶媒は、アルコールであり、例えば、メタノール、エタノール、n-およびイソ-プロパノール、n-およびイソ-ブタノール、特にイソプロパノールおよび/またはイソブタノール;炭化水素、例えば、トルエン、特に沸点が60~120℃のベンジン;ケトン、特にアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン;酢酸エチルなどのエステル;また前述の溶媒の混合物である。特に好ましい溶媒は、採用される溶媒混合物を基準として、それぞれの場合に2~15質量%、特に3~10質量%の量でイソプロパノールを含む混合物である。
【0044】
本発明の感圧接着剤のコポリマーは、好ましくは、750000~2000000g/molの重量平均分子量Mwを有する。コポリマーの多分散性(Mw/Mn)は、好ましくは50~170である。
【0045】
本発明の感圧接着剤のコポリマーは、好ましくは50~100、より好ましくは60~90、特に65~85のK値を有する。FikentscherのK値は、ポリマーの分子量と粘度の尺度である。
【0046】
この方法の原理は、キャピラリー粘度計による相対溶液粘度の測定に基づく。この目的のために、被験物質をトルエンに30分間振とうして溶解し、1%の強度の溶液を得る。Vogel-Ossag粘度計のフロータイムを25℃で測定し、純溶媒の粘度との関係から、試料溶液の相対粘度を決定するために使用する。Fikentscher[P.E.Hinkamp,Polymer,1967,8,381]によれば表に従って、K値(K=1000k)を読み取ることが可能である。
【0047】
本発明の感圧接着剤は、原則として、上記のタイプの1つの(単一)または2つ以上のコポリマーを含むことができ、好ましくは、ただ1つのこのようなコポリマーを含む。
【0048】
本発明の感圧接着剤は、好ましくは、感圧接着剤の総質量に基づいて、それぞれのケースで、合計40~80質量%、より好ましくは合計45~75質量%、特に好ましくは合計50~70質量%、非常に好ましくは合計55~65質量%で上記のようなコポリマーを含む。特に好ましくは、本発明の感圧接着剤は、感圧接着剤の総質量に基づいて、それぞれの場合に40~80質量%、より好ましくは45~75質量%、特に50~70質量%、非常に好ましくは55~65質量%で上述の(ちょうど)1つのコポリマーを含む。
【0049】
本発明の感圧接着剤のコポリマーまたは複数のコポリマーは、好ましくは化学的に架橋され、より詳細には熱的に架橋される。「熱的に架橋」とは、熱エネルギーの影響下で架橋反応を可能にする(開始する)および/または促進する物質による架橋をここで示す。好ましい熱架橋剤は、共有結合的に反応する架橋剤、特にエポキシド、イソシアネートおよび/またはアジリジン、および配位架橋剤、より好ましくは金属キレート、特にアルミニウム、チタン、ジルコニウムおよび/または鉄キレートである。また、異なる架橋剤の組み合わせ、例えば、1つ以上のエポキシドと1つ以上の金属キレートの組み合わせの使用も可能である。
【0050】
コポリマーは、より好ましくはエポキシドで架橋され、より詳細には、第三級アミン官能基を有する第四級官能化エポキシドで架橋される。このような熱架橋剤の一例は、テトラグリシジル-メタキシレンジアミン(N,N,N’,N’-テトラキス(オキシラニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン)である。このような架橋剤は、好ましくは、コポリマー(無溶媒)100質量部を基準として、それぞれの場合において、0.03~0.1質量部、より好ましくは、0.04~0.07質量部の量で使用される。
【0051】
本発明の感圧接着剤は、少なくとも1つの接着力向上樹脂をさらに含む。これは、当業者の一般的な理解に従って、接着力向上樹脂を含まない他の同一の感圧接着剤と比較して、感圧接着剤の自己接着性(タック、固有粘着性)を増加させるオリゴマーまたはポリマー樹脂を指すものである。接着力向上樹脂は、さらに、有利には、接着される基材に対する感圧接着剤の湿潤特性、感圧接着剤のフローオン挙動および/またはその接着性をも改善することができる。
【0052】
本発明の感圧接着剤における少なくとも1つの接着力向上樹脂は、原則として、感圧接着剤と、より詳細には感圧接着剤中のコポリマーまたは複数のコポリマーと組み合わせた任意の粘着付与樹脂であり得る。一実施形態では、接着力向上樹脂は、脂肪族、芳香族およびアルキル芳香族炭化水素樹脂;純粋なモノマーに基づく炭化水素樹脂;水素化炭化水素樹脂;機能性炭化水素樹脂および任意に誘導体化天然樹脂からなる群から選択され、粘着付与樹脂は、ピネン樹脂、インデン樹脂およびロジン、それらの不均化、水素化、重合およびエステル化誘導体および塩;脂肪族および芳香族炭化水素樹脂;テルペン樹脂およびテルペン-フェノール樹脂、ならびにC5-、C9-および他の炭化水素樹脂からなる群から選択されることが好ましい。本発明の感圧接着剤は、原則として、1種(単一)または2種以上の接着力向上樹脂を含むことができる。
【0053】
より好ましくは、少なくとも1つの接着力向上樹脂は、ロジンおよびポリテルペン系樹脂から選択される。これらの樹脂は、再生可能な原料から大きな割合で、より詳細には完全に、入手または製造することができるため、有利に使用することができる。
【0054】
接着力向上樹脂は、特に、ロジン類およびポリテルペンフェノール系樹脂から選択される。これらの粘着付与樹脂は、再生可能な原料から生産可能であり、本発明の感圧接着剤の技術的な接着特性を特定の程度まで改善するために特に適していることが証明されている。
【0055】
特に好ましくは、接着力向上樹脂は、完全に水素化されたロジンである。これは、これらの樹脂が比較的低い軟化温度を示し、したがって感圧接着剤特性の発現に有利に寄与するため、特に有利である。さらに、これらの樹脂は、特に優れた老化安定性を示す。
【0056】
本発明の感圧接着剤は、好ましくは、感圧接着剤の総質量に基づいて、それぞれの場合において、合計で15~60質量%、より好ましくは合計で25~55質量%、さらに好ましくは合計で30~50質量%、特に好ましくは合計で35~45質量%で接着力向上樹脂を含む。
【0057】
本発明の感圧接着剤は、さらに追加の成分を含んでいてもよく、例えば、可塑剤(可塑化剤);充填剤、特に繊維、カーボンブラック、酸化亜鉛、二酸化チタン、スピネル、染料、顔料、チョーク、固体または中空ガラス球、他の材料から作られたミクロスフェア、例えばポリマー性中空ミクロスフェア、シリカおよび/またはシレート;核形成剤;膨張剤;配合剤;安定剤および/または老化抑制剤、例えば一次および/または二次抗酸化剤ならびに光安定化剤が挙げられる。
【0058】
一実施形態においては、本発明の感圧接着剤の少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、特に少なくとも65質量%がバイオベースである。本発明の感圧接着剤のさらなる利点は、確立された放射性炭素法(14C法)を用いて、バイオベース成分の分率を求めることができることである。
【0059】
本発明の感圧接着剤は、好ましくは溶液から製造され、これは、成分が適切な溶媒中に分散または溶解して混合されることを意味し、混合手順の終了後、溶媒は慣用の方法によって除去される。
【0060】
本発明の感圧接着剤は、例えば積層体や、「接着(粘着)転写テープ」とも呼ばれる本発明の感圧接着剤のキャリアフリー層の形態で、そのまま使用することができる。この種の接着転写テープは、好ましくは、取り扱いをより容易にし、感圧接着剤の適用をより容易にするために、粘着面を保護するために一時的に役立つ材料にのみ適用する。このような材料は、剥離ライナー、または単に「ライナー」とも呼ばれ、一般に、特に適切な表面コーティングにより、再び容易に除去することができる。接着転写テープの第2面に、ライナーを担持することもできる。
【0061】
剥離ライナーは、特に、片面または好ましくは両面に接着防止(コーティングまたは処理)されたキャリア材料である。剥離ライナーのための候補となるキャリア材料は、例えば、多様な紙を含み、任意にまた、安定化押出コーティングと組み合わせることができる。さらに好適なライナーキャリア材料は、例えばエチレン、プロピレン、ブチレンおよび/またはヘキシレンをベースとするフィルム、特にポリオレフィンフィルムである。好ましいキャリア材料は、紙、例えばグラシン紙である。紙は、再生可能な原材料からの構成要素の起源の概念を、接着(粘着)テープの補助材料に拡張することができるため、少なくとも紙も好ましい。
【0062】
シリコーン系は、粘着防止用の剥離コーティングとして頻繁に使用される。慣例的に採用されるライナーとしては、例えば、シリコーン化された紙やシリコーン化されたフィルムがある。
【0063】
基材表面に接着するための接着転写テープの使用のために、ライナーまたは複数のライナーは、2つの接着面それぞれが互いに接着されるべき基材表面と直接接触することを条件として、取り除かれるか、またはその後取り除かれる。したがって、ライナーは生産的な構成要素ではなく、接着テープの一部ともみなされず、代わりに、当該テープの取り扱いを補助するものにすぎない。
【0064】
本発明の感圧接着剤は、好ましくは、多層接着テープの構築または製造に使用される。対応する多層接着テープは、通例、少なくとも1つのキャリア層を含み、片面または両面に本発明の感圧接着剤の外部層を有することができる。両面に粘着仕上げが備えられる接着テープの場合、外部層のいずれか一方、または他の両方の外部層が、本発明の感圧接着剤とすることができる。後者の場合、感圧接着剤層は、その化学組成および/またはその化学的および/または物理的性質および/またはその形状(例えば、層厚)が異なっていてもよいが、より好ましくは、それらの化学組成および/またはその化学的および/または物理的性質の点で同一である。多層接着テープの場合も、一方または両方の外部の感圧接着剤層がライナーで裏打ちされることができる。
【0065】
接着テープは、例えば、更なるキャリア層、機能層などの更なる層を有することができる。
【0066】
多層接着テープのために選択されるキャリア材料は、好ましくはバイオベース材料であり、例えば、紙;例えば綿またはビスコース製のバイオベースの織布または不織布;セロファン;セルロースアセテート:バイオベースのポリエチレンフィルム(PE)およびポリプロピレンフィルム(PP);熱可塑性デンプンのフィルム;バイオベースのポリエステルフィルム、例えば、ポリラクチド(PLA;ポリ乳酸)のフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルム、ポリエチレンテトラヒドロフラノエート(PEF)のフィルムまたはポリヒドロキシアルカノエート(PHA)のフィルムからなるリストから選択される。より好ましくは、キャリア材料は、PETフィルムである。PETフィルムは、例えば、リサイクル材料として使用することができ、したがって、持続可能性へのコンセプトを考慮することができるため、好ましい。
【0067】
したがって、本発明のさらなる主題は、キャリア材料と、その2つの外側の少なくとも一方、好ましくは両方の外側に、本発明の感圧接着剤を含む接着テープである。キャリア材料は、好ましくはPETフィルムである。PETフィルムは、好ましくは1~5μmの厚さを有し、本発明の感圧接着剤の層または複数の層は、好ましくはそれぞれ20~30μmの層厚を有する。したがって、本発明の接着テープの好ましい全層厚は、41~65μmである。
【0068】
キャリア上または別の基材上に感圧接着剤を固定するためには、組成物および/または基材がコーティング前にコロナまたはプラズマによって処理されると有利であり得る。感圧接着剤の層をさらなる層、より詳細にはキャリア層上に固定するためには、さらに、例えばプライマーによって化学的固定を行うことが有利であり得る。
【0069】
本発明のさらなる主題は、電子、光学および/または精密機械装置において結合部を生成するための、本発明の感圧接着剤または本発明の接着テープの使用である。
本発明は以下の項目を含む。
[項目1]
-以下を含む、モノマー組成物に遡ることができる少なくとも1つのコポリマー、
a)45~75質量%のi-アミルアクリレート、n-ヘプチルアクリレート、および2-オクチルアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つのモノマー、
b)24~50質量%のアルコール成分が1~4個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレートを、および
c)0.5~10質量%のアクリル酸;および
-少なくとも1種の接着力向上樹脂
を含む感圧接着剤。
[項目2]
モノマー組成物が、合計で60~70質量%のモノマーa)を含むことを特徴とする、項目1に記載の感圧接着剤。
[項目3]
モノマー組成物が、モノマーa)として2-オクチルアクリレートを含むことを特徴とする項目1及び2のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
[項目4]
モノマー組成物が、合計で27~35質量%のモノマーb)を含むことを特徴とする項目1~3のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
[項目5]
感圧接着剤が、
a)45~75質量%のi-アミルアクリレート、n-ヘプチルアクリレート、および2-オクチルアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つのモノマー、
b)24~50質量%のアルコール成分が1~4個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレートを、および
c)0.5~10質量%のアクリル酸
を含むモノマー組成物に遡ることができるコポリマーを、感圧接着剤の総質量に基づいて40~80質量%、含むことを特徴とする、項目1~4のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
[項目6]
接着力向上樹脂が、ロジン樹脂およびポリテルペンベースの樹脂から選択されることを特徴とする、項目1~5のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
[項目7]
感圧接着剤が、感圧接着剤の総質量に基づいて、合計で25~50質量%の接着力向上樹脂を含むことを特徴とする、項目1~6のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
[項目8]
キャリア材料と、その両外側の少なくとも一方に、項目1~7のいずれか一つに記載の感圧接着剤を含む、接着テープ。
[項目9]
項目1~7のいずれかに記載の感圧接着剤または項目8に記載の接着テープの、電子、光学および/または精密機械装置における結合の製造のための使用。
【0070】
本願の範囲における電子、光学および精密機械装置は、より詳細には、電子、光学または精密機械装置である限り、商標登録のための商品およびサービスの国際分類(ニース分類);第10版(NCL(102013))のクラス9に分類されるべき装置であり、またクラス14(NCL(102013))による時計およびタイムピースであり、
特に、例えば、
科学・海洋・測量・写真・映画・光学・計量・測定・信号・点検・救命・教育用の器具および機器;
電気の伝導・切替・変圧・蓄積・調整・制御のための装置および器具;
画像記録・処理・伝送・再生装置、例えば、テレビなど;
音響記録・処理・伝送・再生装置、例えば、ラジオなど;
コンピュータ、計算・データ処理装置、数学的装置および器具、コンピュータ付属品、プリンタ、ファックス、複写機、ワードプロセッサなどの事務機器、およびデータ記憶装置;
遠隔通信装置および遠隔通信機能付き複合機、例えば、電話機、留守番電話など;
化学的および物理的測定装置、制御装置および機器、例えば、バッテリーチャージャー、マルチメーター、ランプ、タコメーターなど;
航海用装置および機器;
光学装置および機器;
医療用装置および機器およびスポーツ選手用のもの;
時計およびクロノメーター;
太陽電池モジュール、例えば、電気化学色素増感太陽電池、有機太陽電池、薄膜セルなど;
消火装置。
【0071】
エレクトロニクス分野における技術開発の焦点は、所有者がいつでも持ち運べるように、ますます小型化・軽量化されていく装置であることが多い。このような装置は、従来、低質量化および/または適切なサイズにすることで実現されてきた。このような装置は、モバイル装置やポータブル装置とも呼ばれる。また、精密機械装置や光学装置にも電子部品が搭載されるようになってきており、小型化の可能性が高まっている。モバイル装置は携帯されるため、例えば、エッジにぶつかったり、落とされたり、バッグやポケットの中で他の硬い物体と接触したりするだけでなく、携帯されることによる恒常的な動きの結果、機械的ストレスにさらされることが多くなる。しかしながら、モバイル装置は、通常インテリアに設置され、移動しないか、またはほとんど移動しない「動かない」機器よりも、湿気や温度の影響などによる大きなストレスにさらされることもある。本発明の感圧接着剤は、特に好ましくは、そのような妨害的な影響に耐えるか、減少させ、または補償することが証明されている。したがって、本発明の感圧接着剤または本発明の接着テープは、好ましくは、携帯型電子デバイスにおいて接着結合部を生成するために使用される。
【0072】
携帯型電子装置(電子デバイス)の例としては、例えば、以下の通りである。
カメラ、デジタルカメラ;露光計、ユニット、シャター、フォトハウジング、レンズなどの写真用付属品;フィルムカメラ、ビデオカメラ;
マイクロコンピュータ(ポータブルコンピュータ、ポケットコンピュータ、ポケット電卓)、ラップトップ、ノートブック、ネットブック、ウルトラブック、タブレットコンピュータ、ハンドヘルド、電子手帳および手帳(いわゆる「電子手帳」または「PDA」、パームトップ)、モデム;
マウス、ドローイングパッド、グラフィックタブレット、マイクロフォン、スピーカー、ゲーム機、ゲームパッド、リモコン、遠隔操作装置、タッチパッドなどのコンピュータアクセサリーおよび電子機器用操作装置;
モニター、ディスプレイ、スクリーン、タッチセンシティブスクリーン(センサースクリーン、タッチスクリーン装置)、プロジェクター;
電子書籍(「E-Books」)用の読書装置;
ミニテレビ、ポケットテレビ、映画再生用機器(フィルムプレーヤー)、ビデオプレーヤー;
ラジオ(小型ラジオ、ポケットラジオを含む)、ウォークマン、ディスクマン、CD、DVD、ブルーレイ、カセット、USB、MP3などの音楽プレーヤー、ヘッドホン;
コードレス電話機、携帯電話機、スマートフォン、双方向無線機、ハンズフリー電話機、人を呼び出すための装置(ポケベル、ブリーパー);
携帯型除細動器、血糖値測定器、血圧測定器、歩数計、脈拍測定器;
トーチ、レーザーポインター;
携帯型探知機、光学式拡大鏡、双眼鏡、暗視装置(夜間視覚装置);
GPS装置、ナビゲーション装置、衛星通信用ポータブルインターフェイスデバイス;
データ記憶装置(USBメモリ、外付けハードディスク、メモリーカード)、および
腕時計、デジタルウォッチ、懐中時計、チェーンウォッチ、ストップウォッチ。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【
図1】
図1は、ガラス転移温度Tgの測定を示す図である。
【実施例】
【0074】
例
測定方法と試験方法
方法1-感圧接着剤のガラス転移温度Tgの測定
感圧接着剤の静的ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DDK)または同義的に動的走査熱量測定(DSC)により測定した。この目的のために、感圧接着剤の未処理サンプルの約5mgをアルミニウムボート(容量25μl)に秤量し、穴のあいた蓋で閉じた。測定はNetzsch社のDSC204F1を用いて行われた。操作は、不活性化のために窒素下で行われた。試料をまず-150℃まで冷却し、次に10K/分の加熱速度で+150℃まで加熱し、再び-150℃まで冷却した。続く2回目の加熱曲線を再び10K/分で実行し、熱容量の変化を記録した。ガラス転移は、サーモグラム(熱流・温度図;
図1参照)の段階として認識される。
【0075】
ガラス転移温度Tgは、以下のようにして求められる(
図1参照):
段階の前後の測定曲線の直線領域を、それぞれ温度上昇方向(段階の前の領域)または温度下降方向(段階の後の領域)に延長する(接線1と2)。段階の領域では、2つの接線と交差するように、ベストフィットの線5を縦軸に平行に配置し、具体的には(それぞれの接線とベストフィットの線と測定曲線の間に)2つの等しい領域3と4を形成するようにする。このように配置されたベストフィット線と測定曲線の交点が、ガラス転移温度となる。
【0076】
方法2-分子量の測定
本明細書における数平均モル質量Mnおよび質量平均モル質量Mwの報告は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定であり、それ自体公知である。測定は、透明濾過試料を経た100μlの試料(試料濃度4g/l)に対して行われる。使用する溶離液は、0.1vol%のトリフルオロ酢酸を含むテトラヒドロフランである。測定は25℃で行う。
【0077】
使用するプレカラムは、PSS-SDV、5μm、103Å、8.0mm*50mmのタイプのカラムである(当該記載と以下では、数字は、タイプ、粒子径、空隙率、内径*長さの順序で示し;1Å=10-10m)。分離には、PSS-SDV、5μm、103Å、さらに105Åと106Åの各8.0mm*300mmのタイプのカラム(Polymer Standards Service社のカラム;ShodexRI71示差屈折計による検出)を組み合わせて使用する。流速は1.0ml/分である。キャリブレーション(校正)は、PSSPolymer Standards Service GmbH,Mainzの市販のReady Cal kit poly(styrene)highを使用して行う。ポリメチルメタクリレート(PMMA)用のMark-HouwinkパラメータKとアルファuniversalを使用して変換されるので、データはPMMA質量当量で報与えられる。
【0078】
方法3-タックの測定
高さ65mm(傾斜角21°)のスロープから、重さ5.6gの鋼球(スチールボール)を試験片の上に転がした。ボールが静止するまでの移動距離を測定した(試験条件23℃、相対湿度50%)。300mmを超えない距離を良好な結果とする。
【0079】
測定に先立ち、ボールをセルロースとアセトンで洗浄し、開放状態で30分間、試験条件下でコンディショニングを行った。
測定に先立ち、接着剤は試験条件下で1日間コンディショニングした。
【0080】
方法4-保持力の測定
せん断強度は、温度23±1℃、相対湿度50±5%の試験条件下で測定した。
試験片は幅13±0.2mmに切断し、この条件で少なくとも16時間保管した。試験は,厚さ2mm,マーキングライン20mmの50×25mmのASTM鋼板を使用し、接着前にアセトンで何度も十分に洗浄し,10分間乾燥させた。結合面積は13×20±0.2mmであった。試験片の上端が20mmの標線に正確に位置するように,ワイピング装置で空気の混入がないようにしながら、試験片を長手方向に基板の中央に適用した。
【0081】
試験片の裏面をアルミホイルでテープオフ(マスク)した。遊離した突出端は、紙でテープ止めをした。その後、2kgのローラーで粘着シートを2往復転がした。接着テープの突出端にベルトループ(質量5~7g)を取り付けた。
【0082】
その後、せん断試験板の前面側にアダプタープレートをナットとボルトで取り付けた。このとき、アダプタープレートを確実に固定するために、ボルトは手で強く締め付けた。
【0083】
このようにして準備したプレートを、アダプタープレートを介してクロックカウンターにフックで固定し、ベルトループに1kgの重りをスムーズに吊り下げた。
【0084】
巻き取りから荷重をかけるまでの開放時間は12分であった。結合が破壊されるまでの時間を分単位で測定した;測定結果は3回の測定から平均したものである。少なくとも3000分の保持力が、良好な結果とみなされる。
【0085】
方法5-鋼材への接着力
温度23℃±1℃、相対湿度50%±5%の試験条件下で(剥離)接着力を測定した。これらの試験片は、幅20mmに切断し、鋼板(ASTM)に接着した。測定に先立ち、鋼板の洗浄とコンディショニングを行った。この目的のために、プレートはまず溶剤で拭き取られ、次に溶剤が蒸発するように5分間空気中に放置された。次に、接着テープの試験片とは離れた面に、厚さ25μmのエッチングPETフィルムを貼り、測定中に試験片が伸びるのを防止した。次に、試験片を基板に巻き付けた。4kgのローラーを用い、10m/分の速度で往復5回転がした。圧延から1分後、プレートを特殊なホルダーに挿入した。Zwick社製引張試験機を用いて接着力を測定した。試験片を180°の角度で300mm/分の速度で剥離した。測定結果はN/cmで記録され、5回の個別測定から平均された値である。
【0086】
【0087】
ポリアクリレートおよび感圧接着剤の製造。
従来の3l(3リットル)のラジカル重合用容器に、アクリル酸(AA)および2-オクチルアクリレート(2-OA)、さらに使用する場合はi-ブチルアクリレート(iBA)およびメチルアクリレート(MA)を例に示した量、さらにベンジン/アセトン(70:30)724gを投入した。撹拌しながら窒素ガスを45分間通した後、反応器を58℃に加熱し、Vazo(登録商標)67を0.5g添加した。その後、ジャケット温度を75℃に設定し、この外部温度で常時反応を行った。反応時間1時間後、さらに0.5gのVazo(登録商標)67を添加した。希釈は、3時間後に200gのベンジン/アセトン(70:30)で、6時間後に100gのベンジン/アセトン(70:30)で行われた。残留する開始剤を減らすために、5.5時間後と7時間後にそれぞれ1.5gのPerkadox(登録商標)16を添加した。反応時間24時間後に反応を終了させ、その後、室温まで冷却した。
【0088】
続いて、ポリアクリレートを粘着付与樹脂および架橋剤とブレンドした。得られた組成物を、溶液から、ドクターブレードを用いて、シリコーン処理された剥離フィルム(50μm、ポリエステル)上にコーティングし、そして乾燥した(コーティング速度2.5m/分、乾燥トンネル15m、温度ゾーン1:40℃、ゾーン2:70℃、ゾーン3:95℃、ゾーン4:105℃)乾燥後のコート質量は50g/m2であった。
【0089】
【0090】