(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】集積型端面生成垂直放出レーザ
(51)【国際特許分類】
H01S 5/187 20060101AFI20240809BHJP
H01S 5/026 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
H01S5/187
H01S5/026 610
(21)【出願番号】P 2023512159
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 US2021046772
(87)【国際公開番号】W WO2022040468
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-02-17
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100210239
【氏名又は名称】富永 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】ヒル ジェフリー ティー
(72)【発明者】
【氏名】ビスムト アルフレド
(72)【発明者】
【氏名】サルミエント トーマス
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-077776(JP,A)
【文献】特表2013-541854(JP,A)
【文献】特開2015-138870(JP,A)
【文献】特開2015-005743(JP,A)
【文献】特開2016-189437(JP,A)
【文献】特開2020-068330(JP,A)
【文献】特開2001-284702(JP,A)
【文献】特表2002-531959(JP,A)
【文献】特開2017-098303(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0179679(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直に光を放出する端面生成垂直放出レーザであって、
前記端面生成垂直放出レーザの上面に平行に伝搬する光を生成するように構成された分布帰還型(DFB)レーザ構造と、
前記DFBレーザ構造から前記生成された光を受け取り、前記生成された光が前記端面生成垂直放出レーザの上面に対して垂直になるように、光を前記端面生成垂直放出レーザの前記上面に向けて誘導するように構成された格子カプラと、
前記DFBレーザ構造の表面上に堆積されたパッシベーション層と、
前記パッシベーション層に形成され、前記端面生成垂直放出レーザの前記上面から光を放出させるように構成された光学素子と、
前記端面生成垂直放出レーザの底面上の金属コンタクトであって、前記底面が前記端面生成垂直放出レーザの前記上面の反対側にある、金属コンタクトとを含む、レーザ。
【請求項2】
前記金属コンタクトが、
前記端面生成垂直放出レーザの前記底面上のn型金属コンタクトと、
前記端面生成垂直放出レーザの前記底面上のp型金属コンタクトとを含み、
前記光学素子が、コリメート及び光誘導する光学素子であり、
前記端面生成垂直放出レーザが、前記光学素子上に反射防止コーティングを更に含む、
請求項1に記載の垂直に光を放出する端面生成垂直放出レーザ。
【請求項3】
前記光学素子が、一体型マイクロレンズアレイを含み、
前記端面生成垂直放出レーザが、前記一体型マイクロレンズアレイ上に配置された反射防止コーティングを更に含む、
請求項1に記載の垂直に光を放出する端面生成垂直放出レーザ。
【請求項4】
前記格子カプラが、光を、前記垂直に光を放出する端面生成垂直放出レーザの前記上面に誘導するように構成された高コントラスト格子である、請求項1に記載の垂直に光を放出する端面生成垂直放出レーザ。
【請求項5】
前記金属コンタクトが、
n型金属コンタクトと、
p型金属コンタクトとを含み、
前記n型金属コンタクトと前記p型金属コンタクトが両方とも、前記端面生成垂直放出レーザの前記底面上にあり、これにより、前記端面生成垂直放出レーザの一方の側に電気的コンタクトを提供する、
請求項1に記載の垂直に光を放出する端面生成垂直放出レーザ。
【請求項6】
前記格子カプラが、光を、前記垂直に光を放出する端面生成垂直放出レーザの前記上面に誘導するように動作する時間パリティ格子カプラである、請求項1に記載の垂直に光を放出する端面生成垂直放出レーザ。
【請求項7】
前記DFBレーザ構造のバックファセットと、
前記DFBレーザ構造の前記バックファセットに配置された高反射率材料とを更に含む、
請求項6に記載の垂直に光を放出する端面生成垂直放出レーザ。
【請求項8】
前記格子カプラが、2次格子である、請求項1に記載の垂直に光を放出する端面生成垂直放出レーザ。
【請求項9】
前記金属コンタクトが、前記端面生成垂直放出レーザの前記底面に向かって伝搬する光を、前記端面生成垂直放出レーザの前記上面に向けて再誘導するように動作する、請求項1に記載の垂直に光を放出する端面生成垂直放出レーザ。
【請求項10】
反射防止性材料でコーティングされた前記DFBレーザ構造のバックファセットと、前記DFBレーザ構造の前記バックファセットに配置された高反射率材料と、
を更に含む、請求項1に記載の垂直に光を放出する端面生成垂直放出レーザ。
【請求項11】
端面生成垂直放出レーザを使用して、垂直に放出する光を提供するための方法であって、
分布帰還型(DFB)レーザ構造において、前記端面生成垂直放出レーザの上面に平行に、かつ前記DFBレーザ構造内を伝搬する光を生成することと、
前記端面生成垂直放出レーザの一部である格子カプラを使用して、前記DFBレーザ構造からの光を
、前記端面生成垂直放出レーザの前記上面
上に堆積したパッシベーション層に形成された光学要素に向けて誘導することと、
前記端面生成垂直放出レーザの前記上面から、前記DFBレーザ構造の活性領域に垂直に光を放出することとを含む、方法。
【請求項12】
前記端面生成垂直放出レーザの底面上にp型金属コンタクトを提供することと、
前記端面生成垂直放出レーザの前記底面上にn型金属コンタクトを提供することと、
高反射率材料を介して、前記DFBレーザ構造のバックファセットからの光を反射することと、
前記端面生成垂直放出レーザの前記上面において回折光学素子を使用して前記放出される光をステアリングすることと、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記端面生成垂直放出レーザの前記DFBレーザ構造のバックファセットから所定の量の光を放出することと、
前記放出される所定の量の光を光検出器を使用して検出することと、
前記放出される所定の量の光の特性を前記光検出器を使用して監視することと、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
ボンディング型マイクロレンズアレイを使用して、前記端面生成垂直放出レーザの前記上面から放出される前記光を誘導すること、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記端面生成垂直放出レーザの底面上にp型金属コンタクトを提供することと、
前記端面生成垂直放出レーザの前記底面上にn型金属コンタクトを提供することと、
前記端面生成垂直放出レーザの前記底面に向かって伝搬する前記生成された光を、前記端面生成垂直放出レーザの前記上面に戻るように再誘導することと、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本PCT(特許協力条約)特許出願は、2020年8月20日に出願された米国特許仮出願第63/067,996号、及び2021年8月19日に出願された米国特許非仮出願第17/407,016号に対する優先権を主張するものであり、それらの内容は、本明細書に完全に開示されているものとして、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、概して、垂直に放出する光のための光源に関する。より詳細には、本開示は、より低い熱抵抗及び低減された拡散電流を用いて垂直に放出するように改変された端面生成垂直放出レーザに関する。
【背景技術】
【0003】
ダイオード及びレーザなどの光源は通常、テレビ、コンピュータマウス、レーザプリンタなどの日常デバイスで使用されている。光源のタイプは、光の放出波長、信頼性、デバイスのサイズ、コストなどの任意の数の特性に基づいて選択され得る。いくつかの例では、ある1つのタイプのレーザの属性は、レーザを特定の用途に対してより適切な選択にすることがある。例えば、垂直共振器面発光型レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser、VCSEL)は、レーザのアレイを提供するための適切な選択であり得る。VCSELは、レーザをアレイに組み立てることができるために、また、オンウエハテストが可能なために、いくつかの用途にとって望ましい場合があるが、VCSELは、いくつかの用途の要件のすべてを満たさない場合があり、したがって、これはこのタイプのレーザをあまり魅力的でない選択にする。
【発明の概要】
【0004】
本開示に説明するシステム、デバイス、方法、及び装置の実施形態は、垂直に光を放出する端面生成垂直放出レーザに関する。また、端面生成垂直放出レーザによる光の垂直放出に関するシステム、デバイス、及び方法も説明される。端面生成垂直放出レーザは、分布帰還型(Distributed FeedBack、DFB)レーザ構造及び格子カプラを含むことができる。DFBレーザ構造は、DFBレーザ構造の活性領域に平行に、かつ端面生成垂直放出レーザの上面にも平行に伝搬する光を生成することができる。本明細書で使用される場合、「上面」は、光が端面生成垂直放出レーザから放出され得る表面を指し得、「底面」は、端面生成垂直放出レーザの「上面」とは反対側の表面を指し得る。光は、格子カプラに向かって伝搬することができ、格子カプラは、上面から垂直に放出するように、光を端面生成垂直放出レーザの上面に向けて誘導することができる。垂直に放出される光は、DFBレーザ構造の活性領域に対して垂直であり、かつ端面生成垂直放出レーザの上面に対しても垂直であり得る。いくつかの例では、光の垂直放出は、パッケージング及びオンウエハテストの容易さの向上を促進することができ、これは、製造中のレーザの歩留まりを向上させることができる。
【0005】
いくつかの例では、本開示は、垂直に光を放出する端面生成垂直放出レーザについて説明する。垂直に光を放出する端面生成垂直放出レーザは、端面放出レーザの上面に平行に伝搬する光を生成するように構成された分布帰還型(DFB)レーザ構造と、生成された光をDFBレーザ構造から受け取り、生成された光が端面生成垂直放出レーザの上面に垂直になるように、光を端面生成垂直放出レーザの上面に向けて誘導するように構成された格子カプラと、端面生成垂直放出レーザの上面から光を放出させるように構成された光学素子と、端面生成垂直放出レーザの上面の反対側にある端面生成垂直放出レーザの底面上の金属コンタクトとを含むことができる。いくつかの例では、金属コンタクトは、端面生成垂直放出レーザの底面上のn型金属コンタクトと、端面生成垂直放出レーザの底面上のp型金属コンタクトとを含むことができる。いくつかの例では、光学素子は、コリメート及び光誘導する光学素子であってもよく、端面生成垂直放出レーザは、光学素子上に反射防止コーティングを含んでもよい。いくつかの例では、光学素子は一体型マイクロレンズアレイを備え、端面生成垂直放出レーザは、一体型マイクロレンズアレイ上に配置された反射防止コーティングを含むことができる。いくつかの例では、格子カプラは、端面生成垂直放出レーザの上面に向けて光を誘導するように構成された高コントラスト格子であり得る。
【0006】
更に、いくつかの例では、金属コンタクトは、n型金属コンタクトとp型金属コンタクトとを含むことができ、n型金属コンタクトとp型金属コンタクトは両方とも端面生成垂直放出レーザの底面上にあり、これにより、端面生成垂直放出レーザの一方の側に電気的コンタクトを提供する。いくつかの例では、格子カプラは、端面生成垂直放出レーザの上面に向けて光を誘導するように動作する時間パリティ格子カプラであってもよい。いくつかの例では、垂直に光を放出する端面生成垂直放出レーザは、DFBレーザ構造のバックファセットを含むことができ、DFBレーザ構造のバックファセットに高反射率材料を配置することができる。いくつかの例では、格子カプラは2次格子であり得る。いくつかの例では、金属コンタクトは、端面生成垂直放出レーザの底面に向かって伝搬する光を端面生成垂直放出レーザの上面に向けて再誘導するように動作することができる。いくつかの例では、垂直に光を放出する端面生成垂直放出レーザは、反射防止性材料でコーティングされたDFBレーザ構造のバックファセットを含むことができる。
【0007】
いくつかの例では、本開示は、端面生成垂直放出レーザを使用して、垂直に放出する光を提供するための方法について説明する。本方法は、分布帰還型(DFB)レーザ構造において、端面生成垂直放出レーザの上面に平行に、かつDFBレーザ構造内を伝搬する光を生成することと、端面生成垂直放出レーザの一部である格子カプラを使用して、DFBレーザ構造からの光を端面生成垂直放出レーザの上面に向けて誘導することと、端面生成垂直放出レーザの上面から、DFBレーザ構造の活性領域に垂直に光を放出することとを含むことができる。いくつかの例では、方法は、端面生成垂直放出レーザの底面上にp型金属コンタクトを提供することと、端面生成垂直放出レーザの底面上にn型金属コンタクトを提供することと、高反射率材料を介して、DFBレーザ構造のバックファセットからの光を反射することと、端面生成垂直放出レーザの上面において回折光学素子を使用して放出される光をステアリングすることとを含むことができる。いくつかの例では、方法は、端面生成垂直放出レーザのDFBレーザ構造のバックファセットから所定の量の光を放出することと、放出される所定の量の光を光検出器を使用して検出することと、放出される所定の量の光の特性を光検出器を使用して監視することとを含むことができる。いくつかの例では、方法は、ボンディング型マイクロレンズアレイを使用して、端面生成垂直放出レーザの上面から放出される光を誘導することを含むことができる。いくつかの例では、本方法は、端面生成垂直放出レーザの底面上にp型金属コンタクトを提供することと、端面生成垂直放出レーザの底面上にn型金属コンタクトを提供することと、端面生成垂直放出レーザの底面に向かって伝搬する生成された光を端面生成垂直放出レーザの上面に戻るように再誘導することとを含み得る。
【0008】
いくつかの例では、本開示は、端面生成垂直放出レーザについて説明する。端面生成垂直放出レーザは、光を生成するように構成された分布帰還型(DFB)レーザ構造と、生成された光を端面生成垂直放出レーザの上面に平行に伝搬するように動作する導波路と、光が端面生成垂直放出レーザの上面に垂直に放出されるように、生成された光を端面生成垂直放出レーザの上面に向けて反射するように動作する、端面生成垂直放出レーザの一部である格子カプラと、端面生成垂直放出レーザの上面の反対側にある端面生成垂直放出レーザの底面上の金属コンタクトとを含むことができる。いくつかの例では、金属コンタクトはn型金属コンタクトであり、端面生成垂直放出レーザは、端面生成垂直放出レーザのn型金属コンタクトがある側と同じ側にあるp型金属コンタクトと、生成された光を受け取るように構成された回折ベースのコリメート光学素子と、回折ベースのコリメート光学素子上に配置された反射防止コーティングとを含むことができる。いくつかの例では、端面生成垂直放出レーザは、導波路内の格子カプラから離れて伝搬する生成された光の一部を受け取るように構成されたバックファセットと、バックファセット上に配置された反射防止コーティングとを含むことができる。いくつかの例では、端面生成垂直放出レーザは、導波路内の格子カプラから離れて伝搬する生成された光の一部を受け取るように構成されたバックファセットと、端面生成垂直放出レーザのバックファセット上に配置された誘電体スタックとを含むことができる。いくつかの例では、端面生成垂直放出レーザは、光出力に配置された格子を含んでもよく、ここで、格子は、格子カプラから光を受け取り、端面生成垂直放出レーザの上面から光を放出するように構成されてもよい。
【0009】
上記の例示的な態様及び実施形態に加えて、更なる態様及び実施形態が、図面を参照し、以下の説明を検討することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】端面生成垂直放出レーザの一例の上面図を示す。
【
図3】端面生成垂直放出レーザの一例の断面図を示す。
【
図4】端面生成垂直放出レーザの一例の断面図を示す。
【
図5A】端面生成垂直放出レーザの例示的な製造工程を示す。
【
図5B】端面生成垂直放出レーザの例示的な製造工程を示す。
【
図5C】端面生成垂直放出レーザの例示的な製造工程を示す。
【
図5D】端面生成垂直放出レーザの例示的な製造工程を示す。
【
図5E】端面生成垂直放出レーザの例示的な製造工程を示す。
【
図5F】端面生成垂直放出レーザの例示的な製造工程を示す。
【
図5G】端面生成垂直放出レーザの例示的な製造工程を示す。
【
図5H】端面生成垂直放出レーザの例示的な製造工程を示す。
【
図5I】端面生成垂直放出レーザの例示的な製造工程を示す。
【
図5J】端面生成垂直放出レーザの例示的な製造工程を示す。
【
図5K】端面生成垂直放出レーザの例示的な製造工程を示す。
【
図5L】端面生成垂直放出レーザの例示的な製造工程を示す。
【
図5M】端面生成垂直放出レーザの例示的な製造工程を示す。
【
図5N】端面生成垂直放出レーザの例示的な製造工程を示す。
【
図5O】端面生成垂直放出レーザの例示的な製造工程を示す。
【
図5P】端面生成垂直放出レーザの例示的な製造工程を示す。
【
図5Q】端面生成垂直放出レーザの例示的な製造工程を示す。
【
図5R】端面生成垂直放出レーザの例示的な製造工程を示す。
【
図6】パッケージング済みの端面生成垂直放出レーザの側面図である。
【
図7】複数の端面生成垂直放出レーザパッケージの上面図である。
【0011】
異なる図面における同じ又は類似する参照番号の使用は、類似、関連、又は同一の要素を示している。
【0012】
加えて、様々な特徴及び要素(並びに、それらの集合及びグループ化)の(相対的又は絶対的な)比率及び寸法、並びに、それらの間に存在する境界、分離、及び位置関係は、単に本明細書で説明される様々な実施形態の理解を容易にするために、添付の図に提供されているものに過ぎず、したがって、必ずしも一定の縮尺で表示又は図示されていない場合があり、これらを参照して説明されている実施形態から、図示されている実施形態に対するいかなる選好又は要件も除外して示すことを意図したものではない点を理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、添付図面に図示される代表的な実施形態が詳細に説明される。以下の説明は、これらの実施形態をいかなる単一の実施形態に限定することを意図したものでもないことを理解されたい。反対に、以下の説明は、添付の特許請求の範囲により定義される記載された実施形態の趣旨及び範疇に含むことができるような、代替形態、修正形態及び均等物を包含することを意図している。同様に、複数の実施形態が特定の用語、要素、及び構造を用いて説明されているが、本明細書に開示されている実施形態はいずれも、他の実施形態に関して開示されている用語、要素、及び/又は構造が組み込まれてもよいことを理解されたい。
【0014】
モバイルデバイスは通常、電話をかけることに加えて、ユーザのバイオメトリック情報を測定するために光を感知し処理すること、近接感知、周囲光感知など、多種多様な機能のために使用され得る。バイオメトリック情報を感知するためのモバイル電子デバイスやウェアラブル電子デバイスは、人気が高まっており、これらのデバイスは、携帯するのに、片手で持つのに、又はユーザによって快適に装着されるのに十分に小さくあり得る。このようなデバイスは、モバイルデバイス、ウェアラブルデバイス、タブレット、ラップトップ、AR/VR/MR/XRヘッドセット及び/又は眼鏡、GPS時計、ウェアラブルフィットネストラッカー、あらゆるタイプのモバイルコンピューティングデバイスなどを含み得る。心拍数、血中酸素濃度、指紋、網膜パターン、血管パターン、指の長さなど、異なるバイオメトリック情報がユーザに提供され得る。これらのモバイルバイオメトリック電子デバイスのアーキテクチャは、構成要素が組み込まれているデバイスのサイズに影響を及ぼし得る、異なる構成の様々な構成要素を含み得る。
【0015】
より小さく、よりコンパクトな電子デバイスがますます重要視されているため、電子デバイス内部の構成要素のサイズや厚さ及びパッケージングオプションが制限される場合がある。いくつかの例では、電子デバイスの特定のサイズが目標とされ、電子デバイス内の各構成要素には、構成要素(単数又は複数)が電子デバイス内で占有し得る最大フォームファクタ又は面積が与えられる。したがって、光源、パッケージング、電気的接続、光学素子、光トランシーバ、格子カプラ、偏光子、光学レンズ、ディスプレイスタック、並びにフォトニクス集積回路及び/又はフォトニクスアセンブリなどの集積回路などの個々の構成要素の物理的構成は、デバイスのフォームファクタにとってますます重要になり得る。
【0016】
VCSELは、様々な用途で使用することができ、光がアレイの上面から(例えば、アレイ内の共通に整列されたVCSELの上面から)放出されるようにアレイに構成することができる。加えて、VCSELは、この垂直光放出によって、オンウエハテストを行うことができる。これにより、製造中に複数のVCSELに対して同時にテストを行うことが可能となり、これは、テスト時間を短縮し、VCSELダイの歩留まりを向上させることができる。
【0017】
VCSELは、光のこの垂直放出によっていくつかの利点を提供するが、VCSELは、光の特定の波長範囲において許容できる程度に機能しない場合があり、また、端面放出レーザなどの他の光源の光パワー又は信頼性に対応できない場合がある。いくつかの例では、端面放出レーザは、VCSELが確実に機能しない波長である近赤外波長範囲の光を放出することができる。この波長範囲の光は、モバイルデバイス及び/又はウェアラブルデバイスなどのハンドヘルドデバイスによって使用される、近接感知などのいくつかの感知用途に望ましい場合がある。
【0018】
いくつかの例では、端面生成垂直放出レーザは、本明細書で説明されるように、上面から垂直に光を放出することができる。加えて、垂直に光を放出する端面放出レーザは、「端面生成垂直放出レーザ」と呼ばれることがある。端面放出レーザ及び端面生成垂直放出レーザは通常、活性領域の周りに導波路として機能する層を含むことができる。加えて、端面放出レーザ及び端面生成垂直放出レーザは、活性領域が、端面放出レーザ及び端面生成垂直放出レーザが形成されている基板にほぼ平行なこれらの層のうちの1つ以上であり得る層を含み得る。本明細書で説明されるように、端面放出レーザ及び端面生成垂直放出レーザは、電流源からの印加電流に応答して、活性領域に平行な方向に、かつ活性領域並びに上面に平行に伝搬する光を生成する。光が上面又は底面に平行に伝搬するものとして説明される限り、光は、これらの層にほぼ平行に、かつこれらに沿って伝搬し得る。本明細書で使用される場合、「端面放出レーザ」という用語は、活性領域層にほぼ平行な光を生成し放出する一般的な端面放出レーザを指し得る。
【0019】
加えて、本明細書で使用される場合、DFBレーザ構造は、利得媒体、格子、及びキャビティを指し得る。更に、本明細書で使用される場合、半導体レーザ及び端面生成垂直放出レーザは、DFBレーザ構造、格子カプラ、パッシベーション層、一体型マイクロレンズアレイなどの光学素子、及び/又はコンタクト層、及び/又は任意の他のコーティング及び/又は光学素子もしくはレンズを指し得、それらはいずれも、パッケージング前に端面生成垂直放出レーザに堆積、ボンディング、蒸着、めっき、接着、それらの任意の組み合わせなどによって形成することができる。通常、自由空間光学系は、半導体レーザ又は端面生成垂直放出レーザの一部でなくてもよい。
【0020】
対照的に、VCSELは活性領域層(単数又は複数)の両側にミラー層を含むことができ、活性領域層はレーザが形成される基板とほぼ平行であり、VCSELは活性領域に垂直な方向に光を生成する。端面生成垂直放出レーザは垂直に光を放出することができるが、一体型格子カプラによって垂直に再誘導される前に、光は依然として活性領域に平行に生成されて伝搬する。
【0021】
いくつかの例では、端面生成垂直放出レーザは、DFBレーザ構造、導波路、及び格子カプラを含むことができる。DFBレーザ構造は、導波路を通って格子カプラに向かって伝搬することができる光を生成することができる。格子カプラは、光を受け取り、垂直に放出するように、光を端面生成垂直放出レーザの上面に向けて再誘導するように構成され得る。端面生成垂直放出レーザはまた、p型金属コンタクトとn型金属コンタクトとを含むことができ、p型金属コンタクト及びn型金属コンタクトの位置決めは、フリップチップボンディングなどのパッケージングオプションを追加することを可能にすることができる。加えて、端面生成垂直放出レーザからの垂直光放出によって、レーザダイは、製造工程中にオンウエハテストを行うことができ、これは、レーザダイの歩留まりの向上につながり得る。垂直光放出はまた、端面生成垂直放出レーザをアレイに配列すること、又は単一のダイ上に端面生成垂直放出レーザのアレイを提供することなど、パッケージングオプションを追加することを容易にすることができる。更に、端面生成垂直放出レーザをアレイに配列することによって、アレイが組み込まれたデバイスは、端面放出レーザのパワー、信頼性、波長範囲などから利益を得、同時に、近接感知、バイオメトリック感知、タッチ感知、光感知、それらの任意の組み合わせなどの様々な用途に対応したデバイスをコンパクトなパッケージで提供することができる。
【0022】
本明細書で開示されているのは、垂直に光を放出する端面生成垂直放出レーザのための光学システム、デバイス、及び方法である。端面生成垂直放出レーザ構造は、DFBレーザ構造及び格子カプラを含むことができる。DFBレーザ構造は光を生成することができ、この光は、端面生成垂直放出レーザの上面にほぼ平行に、DFBレーザ構造を通って伝搬することができる。格子カプラは、光を受け取ることができ、光を端面生成垂直放出レーザの上面に向けて誘導することができる。いくつかの例では、格子カプラは、高コントラスト格子カプラ又は時間パリティ格子カプラであってもよい。光は、端面生成垂直放出レーザから垂直に放出することができる。いくつかの例では、光は、一体型マイクロレンズアレイ、ボンディング型マイクロレンズアレイ、又は格子などの1つ又は複数の光学素子を使用して、端面生成垂直放出レーザの上面上で、又はその近くで端面生成垂直放出レーザを出射するときにコリメートされ、誘導され得る。
【0023】
これらの実施形態及び他の実施形態については、
図1~
図7を参照して以下に説明する。しかしながら、当業者であれば、これらの図に関して本明細書で与えられている詳細な説明は、解釈を目的とするものに過ぎず、限定するものとして解釈されるべきではないことを容易に理解するであろう。
【0024】
方向を示す用語、例えば、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「上側(upper)」、「下側(lower)」、「以上(above)」、「以下(below)」、「下(beneath)」、「前(front)」、「後(back)」、「上、上方(over)」、「下、下方(under)」、「左(left)」、「右(right)」などは、以下に説明するいくつかの図面における構成要素のいくつかの向きを参照しつつ使用される。様々な実施形態における構成要素は、多くの異なる向きに配置され得るので、方向を示す用語は、例示のために使用されるものに過ぎない。方向を示す用語は、関連する位置を説明するために、又は本特許出願で説明される要素の態様を説明するために使用され得るが、デバイス全体がいかなる特定の向きで使用及び/又は位置決めされるように限定するものではない。例えば、レーザがより大きなデバイスに組み込まれている場合、レーザの「上面」は、より大きなデバイスの「上面」に対応する必要はない。加えて、方向を示す用語は、広く解釈されることを意図しており、したがって、異なる様式で配置される構成要素を除外すると解釈されるべきではない。
【0025】
本開示に説明する方法及び装置の代表的な適用例が、本セクションで説明されている。これらの実施例は、前後関係を追加し、説明する実施例の理解を助けることのみを目的として提供される。それゆえ、説明される実施例は、特定の詳細のうちの一部又は全てを伴わずに実践することができる点が、当業者には明らかとなるであろう。他の適用例が可能であり、それゆえ以下の実施例は、限定的なものとして解釈されるべきではない。
【0026】
図1Aは、半導体垂直共振器面発光型レーザ(VCSEL)である光源100の例を示す。VCSELは、レーザの活性領域及びレーザの上面に対して垂直に光105を放出する。VCSELは、遠距離通信用の光トランシーバ、レーザプリンタ、生体組織分析などを含む様々な用途で使用することができる。いくつかの例では、VCSELは、単一のウエハ上に数千個のレーザなど、大量に同時に製造し、個々のデバイス又はデバイスのアレイにダイシングすることができる。VCSELは、製造工程中に複数の段階でテストを行うことができ、これにより、歩留まりの向上及び処理コストの低減が可能になる。加えて、特定の用途に応じて、VCSELは、ダイのスケーラビリティによって選択されてもよく、光源のアレイに配列されてもよい。いくつかの例では、VCSELを製造し、そしてVCSELアレイにダイシングすることができる。いくつかの例では、光はVCSELの上面から活性領域に垂直に放出されるので、フリップチップボンディングなどの様々なパッケージング及び相互接続のオプションが利用可能であり得る。VCSELは、前述したように多くの望ましい特性を有するが、信頼性や光の波長放出範囲などの特定の特性は、いくつかの用途において、又は限られた内部空間しかない電子デバイスに組み込まれるときに、欠点が現れる可能性がある。
【0027】
図1Bは、半導体端面放出レーザダイである光源150の一例を示す。端面放出レーザは通常、レーザの活性領域とレーザの上面との両方に平行な光155を放出する。端面放出レーザを使用する際には、光放出がレーザの活性領域に平行になるように、レーザの側部の劈開された端面から光を結合させ又は外に反射させることができる。端面放出レーザ内の光は、導波路の構造と同様の構造内でレーザ内を伝搬することができ、いくつかの例では、ダブルヘテロ接合を使用する。端面放出レーザは、低閾値ポンピングパワー及び高効率を有し得、したがって、光通信用途、材料処理用途、及びバイオメトリック感知用途などの様々な用途において使用され得る。標準的な端面放出レーザをパッケージングすることは、VCSELに勝るいくつかの追加の課題を提起するが、端面放出レーザはまた、信頼性において良い性能を発揮し得、光の波長範囲に応じて、性能及び/又は信頼性においてVCSELを上回り得る。本明細書で説明されるように、光は、光源の上面に対して平行又は垂直に放出するものとして説明され得るが、光は、光源の上面に対してほぼ平行又はほぼ垂直に放出するものと理解され得る。加えて、レーザは、
図5A~5Rに関して更に詳細に説明される一連の処理ステップを通じて、ウエハなどの基板内又は基板上に製造されることが理解され得る。
【0028】
図2は、端面生成垂直放出レーザ200の一例の上面図を示す。端面生成垂直放出レーザ200は、分布帰還型(DFB)レーザ構造、格子カプラ、パッシベーション層、一体型マイクロレンズアレイなどの光学素子、及びコンタクト層を含むことができる。端面生成垂直放出レーザ200の要素は、
図2~
図6を参照して更に詳細に説明される。レーザ構造は、利得媒体、格子、及びキャビティ(例えば、DFBレーザ構造)を含むが、垂直放出端面生成レーザ200は、分布帰還型(DFB)レーザ構造、格子カプラ、パッシベーション層、一体型マイクロレンズアレイなどの光学素子、及びコンタクト層を含んでよく、又は、パッケージングの前に端面生成垂直放出レーザに堆積、ボンディング、蒸着、めっき、接着、それらの任意の組み合わせなどによって形成することができる任意の他のコーティング、及び/又は、あるいは光学素子もしくはレンズを含むことができる。
【0029】
図2では、端面生成垂直放出レーザ200は、光学素子255と材料245とを含む。
図2に示すように、材料245は、端面生成垂直放出レーザ200のバックファセット288に配置することができる。いくつかの例では、材料245は、高反射率材料であってもよく、ミラーとして機能してもよい。高反射率材料は、端面生成垂直放出レーザ200のバックファセット288に向かって伝搬する光を反射するように、バックファセット288において用いられてもよい。いくつかの例では、高反射率材料は、金属又は誘電体ミラーなどの材料であってもよく、一方、他の例では、材料245は、反射防止コーティングなどの低反射率材料であってもよい。いくつかの例では、高反射率材料は、低反射率材料と組み合わせて使用されてもよい。材料245の機能性及び使用については、
図5Pに関して更に詳細に説明される。光学素子255は、一体型マイクロレンズアレイであってもよく、この一体型マイクロレンズアレイは、基板内に、又は端面生成垂直放出レーザの層のうちの1つの中に直接製造又は形成されてもよく、端面生成垂直放出レーザ200の表面において光をコリメートし、誘導(又は「ステアリング」)することができる。いくつかの例では、光学素子255は、
図3及び
図4を参照して説明するような格子であり得る。いくつかの例では、光学素子255は、既製型マイクロレンズアレイとは対照的に、ボンディング型マイクロレンズアレイであってもよく、ここで、ボンディング型マイクロレンズアレイは、端面生成垂直放出レーザとは別個に形成され、端面生成垂直放出レーザの一部として端面生成垂直放出レーザに取り付けられるものであり得る。
図3及び
図4は、異なる実施形態の
図2の線A-A’に沿った断面図を示している。
【0030】
図3は、端面生成垂直放出レーザ300の別の例の断面図を示す。端面生成垂直放出レーザ300は、分布帰還型(DFB)レーザ構造310と、格子カプラ320と、パッシベーション層330と、一体型マイクロレンズアレイ340と、コンタクト層350とを有する基板を含む。基板は、端面生成垂直放出レーザ300を製造するためにその中又は上で処理が施されるウエハであり得る。基板は、III-V族又はII-VI族材料の組み合わせ(例えば、GaAs、GaP、InGaP、InGaAsなど)などの任意のタイプの材料、又はサファイアなどの任意の他の材料もしくは材料の組み合わせとすることができる。
図3では、端面生成垂直放出レーザ300は、DFBレーザ構造310において光を生成することができる。光は、DFBレーザ構造310の活性領域にほぼ平行に伝搬することができ、かつ端面生成垂直放出レーザ300の表面にもほぼ平行に伝搬することができる。通常、端面放出レーザでは、光は、DFBレーザ構造310の活性領域に平行に伝搬し続け、基板の側端から、劈開された前面ファセットにおいて出射する。光は、
図3の端面生成垂直放出レーザ300の表面に平行に伝搬し得るが、光は、端面生成垂直放出レーザ300の表面にほぼ垂直であり得る光路360に沿って放出され得る。端面生成垂直放出レーザ300は、互いに対して異なる層、構造、及び要素を示しているが、
図3は一定の縮尺で描かれておらず、端面生成垂直放出レーザ300の要素は、互いに対してより大きくてもより小さくてもよい。
【0031】
図3では、DFBレーザ構造310は、(
図3には個別に示されていない)活性領域を含み、この活性領域は、いくつかの例では、(
図3には個別に示されていない)DFB回折格子などの周期構造を含むことができる。端面生成垂直放出レーザ300は、リン化インジウムベースの端面生成垂直放出レーザであってもよく、光の近赤外波長範囲内で、例えば、約1200ナノメートルで光を放出してもよい。いくつかの例では、端面生成垂直放出レーザ300は、それが使用される用途に応じて、光のより高い波長範囲又はより低い波長範囲の光の波長など、1200ナノメートル以外の波長を放出することができる。加えて、他のIII-V族もしくはII-VI族材料の組み合わせ(例えば、GaAs、GaP、InGaP、InGaAsなど)、又は任意の他の材料もしくは材料の組み合わせなどの他の代替材料が、端面生成垂直放出レーザ300に使用されてもよい。
【0032】
いくつかの例では、DFBレーザ構造310は光を生成することができ、この光は、DFBレーザ構造310に沿って格子カプラ320に向かって、端面生成垂直放出レーザ300の表面にほぼ平行に伝搬することができる。いくつかの例では、DFBレーザ構造310の設計は、前向き波、すなわち格子カプラ320に向かって伝搬する光を強化できるという点で、時間パリティ格子と同様の特性を有することができる。いくつかの例では、一部の光は、DFBレーザ構造310に沿って格子カプラ320から離れて、DFBレーザ構造310の格子カプラ320より反対側にあり得るDFBレーザ構造310のバックファセットに、又はその近くに配置された材料389に向かって伝搬してもよい。材料389は、端面生成垂直放出レーザの一部であってもよく、そしてミラーとして機能してもよく、DFBレーザ構造310を通して光を反射して戻すことができる高反射率材料であってもよい。バックファセットに配置された高反射率材料は、
図6を参照して更に詳細に説明される。いくつかの例では、反射防止性材料389が、DFBレーザ構造310のバックファセットに配置されてもよい。いくつかの例では、バックファセットに配置される反射防止性材料は、金属又は誘電体スタックなどの高反射率材料と組み合わせて使用することができる。
【0033】
いくつかの例では、DFBレーザ構造310は、ダブルヘテロ構造などの導波路構造も含むことができる。端面生成垂直放出レーザ300は、端面生成垂直放出レーザの上面から光を放出するので、光の垂直放出は、約1200ナノメートル以上の波長範囲内で放出するなどの端面放出レーザの属性及び信頼性を含むコンパクトな半導体レーザを可能にすることができる。また、端面生成垂直放出レーザ300の上面放出によって、端面生成垂直放出レーザは、端面生成垂直放出レーザの光出力に角度を付けるための光誘導光学系(例えば、一体型マイクロレンズアレイ、ボンディング型マイクロレンズアレイなど)を含み得る。更に、端面生成垂直放出レーザは、上面から光を放出するので、端面生成垂直放出レーザは、アレイに製造及び/又はパッケージングすることができる。
【0034】
図3に示すように、光は、DFBレーザ構造310を通って伝搬し、反射し、及び/又は格子カプラ320から光路360に沿って端面生成垂直放出レーザ300の放出上面に向けて誘導され得る。通常、いくつかの格子カプラは、端面生成垂直放出レーザ300の表面に向けてのみならず、コンタクト層350が配置され得る底面に向けて光を誘導することもできる。光が格子カプラ320によって端面生成垂直放出レーザ300の上面と底面との両方に誘導される例では、コンタクト層350は、端面生成垂直放出レーザ300の底面に誘導される光の少なくとも一部を上面に向けて反射して戻すことができる。
【0035】
光が上面及び底面に向けて誘導されると、これは、光及び/又はパワーの望ましくない損失をもたらし得る。したがって、光を非対称的に、主に端面生成垂直放出レーザ300の上面に向けて誘導する格子カプラを使用することができる。光を主に1つの方向に誘導するために、格子カプラは非対称的にパターニングされてもよく、その結果、格子カプラ構造は、他方の方向(例えば、底面に向かう方向)と比較して、一方の方向(例えば、上面に向かう方向)に一方的に伝搬する光と相互作用できるようになる。
図3の格子カプラ320は対称的な周期構造として示されているが、いくつかの例では、構造は1つ以上の方向において非対称的であってもよい。例えば、周期構造は、一方の側で他方の側よりも大きなピッチで互いに離間された要素を含んでもよい。
【0036】
光を主に端面生成垂直放出レーザ300の上面に向けて誘導する格子カプラのいくつかの例は、高コントラスト格子カプラ及び時間パリティ格子カプラであってもよい。高コントラスト格子カプラは、周囲の材料との屈折率において大きなコントラストを有し得る。いくつかの例では、高コントラスト格子カプラは、活性領域に対して平行に伝搬する光を、端面生成垂直放出レーザの表面に対して垂直に伝搬するように操作又は誘導するのに有効である。時間パリティ格子カプラは、屈折率の実数部及び虚数部の変調をシフトさせて、光の非対称回折をもたらすことができる。いくつかの例では、時間パリティ格子カプラは1次格子であり得る。1次時間パリティ格子カプラは、格子カプラが上面に向けて誘導される光の量を増加させることができるという点で、上面に向けて誘導される光の効率を高めることができる。更に、時間パリティ格子カプラは、光を上面と底面(例えば、コンタクト層350)との両方に向けて誘導する1次格子であり得る。このような実施形態では、コンタクト層350は、底面に向かって伝搬する光を上面に戻るように再誘導することができる。
【0037】
他の例では、時間パリティ格子カプラは、光を主に端面生成垂直放出レーザの上面に向けて誘導する2次格子であり得る。格子カプラ320は、
図5M及び
図5Nを参照して説明されるように、端面生成垂直放出レーザ300の表面を通してエッチングすることができる。
【0038】
更に
図3に関しては、光は、格子カプラ320から反射すると、光路360に沿って端面生成垂直放出レーザ300の上面に向かって伝搬することができる。光は、パッシベーション層330及び光学素子340を通過することができ、ここで、パッシベーション層330と光学素子340との両方は、端面生成垂直放出レーザ300の一部とすることができる。いくつかの例では、光学素子340は、端面生成垂直放出レーザ300の上面から出射する光をコリメートし、回折し、及び/又は誘導もしくはステアリングすることができる。いくつかの例では、光学素子340は、一体型マイクロレンズアレイ、コリメートマイクロレンズアレイ、ボンディング型マイクロレンズアレイ、回折ベースのコリメート光学素子などであってもよい。いくつかの例では、光学素子340は、端面生成垂直放出レーザ300からの光をコリメートし、ステアリングするための単一の光学素子だけでなく、複数の光学素子であってもよい。光学素子340は、後方反射を低減するために表面上に反射防止コーティング345を有することができる。
図3に示すように、光学素子340は、端面生成垂直放出レーザ300の上面に対して垂直又はほぼ垂直に光を誘導することができる。いくつかの例では、光学素子340は、上面に対して垂直な角度、又は30度もしくは60度など上面に対して垂直でない他の角度、それらの任意の組み合わせなど、1つ又は複数の角度で光を誘導することができる。いくつかの例では、端面生成垂直放出レーザ300は、光学素子340を含まなくてもよく、パッシベーション層330は、反射防止コーティングであってもよい。いくつかの例では、パッシベーション層330は、端面生成垂直放出レーザの上面をパッシベーションすることができ、また、反射防止コーティングであってもよい。
【0039】
コンタクト層350は、端面生成垂直放出レーザ300に駆動電流を供給することができる。いくつかの例では、コンタクト層350は、端面生成垂直放出レーザ300の一部である金属層であってもよい。コンタクト層350は単一の層として示されているが、各々が別個のコンタクト、及び/又は2つ以上のタイプのコンタクトを画定する複数のセクションを含むことができる。いくつかの例では、コンタクト層350は、n型コンタクトとp型コンタクトとの両方を含むことができる。いくつかの例では、p型コンタクトとn型コンタクトは、同一平面上の電気的コンタクトであってもよく、これは、電気的コンタクトが、光が放出される面とは反対側のレーザの表面上にあり得る限り、集積及びパッケージ実装のオプションを追加することを容易にすることができる。これは、高精度のピックアンドプレース動作を可能にすることができ、レーザが配置されている基板内の電気配線を簡略化することができるとともに、電気トレースを側壁又はレーザに沿って、あるいはそうでなければレーザ間に延在させる必要がないので、複数のレーザをアレイ内でより密に配置することができる。電気的コンタクトを参照しつつ本明細書で使用されている「同一平面上」という用語は、コンタクトの上部が異なる平面内にあっても、端面生成垂直放出レーザ300の同じ側にあり、端面生成垂直放出レーザ300の当該側の同じ平面に接触する電気的コンタクトを表す。
【0040】
図4は、端面生成垂直放出レーザ400の一例の断面図を示す。
図3に示す実施形態と同様に、
図4では、端面生成垂直放出レーザ400は、DFBレーザ構造410、格子カプラ420、パッシベーション層430、格子445、及びコンタクト層450を含む。端面生成垂直放出レーザ400は、DFBレーザ構造410の活性領域にほぼ平行に、かつ端面生成垂直放出レーザ400の表面にもほぼ平行に伝搬することができる光を生成することができる。
【0041】
前述したように、端面放出レーザは通常、DFBレーザ構造410の活性領域に平行に伝搬し、基板の端部から、劈開された前面ファセットにおいて出射することができる光を放出する。光は、DFBレーザ構造410内で生成され、端面生成垂直放出レーザ400の表面に平行に伝搬し得るが、光は、端面生成垂直放出レーザ400の上面にほぼ垂直であり得る光路460に沿って垂直に放出され得る。端面生成垂直放出レーザ400は、互いに対して異なる層、構造、及び要素を示しているが、
図4は一定の縮尺で描かれておらず、端面生成垂直放出レーザ400の要素は通常、より大きくてもより小さくてもよく、また、互いに対して異なるサイズであってもよい。
図4では、
図3と同様に番号付けされた要素は、同様の機能性を含むことができる。例えば、コンタクト層450は、コンタクト層350と同様に機能してもよく、同様に構成されてもよい。
【0042】
光は、DFBレーザ構造410において生成され、格子カプラ420に向かって伝搬し得る。光は、端面生成垂直放出レーザ400の上面に向かって光路460に沿って、DFBレーザ構造410の活性領域に垂直に伝搬するように、カプラ420によって誘導され得る。光は、端面生成垂直放出レーザ400の上面に位置し得、又は上面に向け得る格子445によって受け取られ得る。格子445は、光が端面生成垂直放出レーザ400から垂直に放出することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、格子445の設計は、光が端面生成垂直放出レーザ400の上面から1つ以上の所与の角度で出射することができるように、光放出を制御するように修正され得る。代替的に、格子445は、端面生成垂直放出レーザから省略されてもよく、その代わりに、パッシベーション層430が、反射防止コーティングであってもよい。1つのオプションとして、パッシベーション層430は、パッシベーションと反射防止コーティングとの両方であってもよく、これは、1つまたは両方の層の機能を含む1つまたは複数のコーティングであり得る。
【0043】
特定の実施形態では、DFBレーザ構造410内の光は、格子カプラ420から離れて、端面生成垂直放出レーザ400のバックファセットに向かって伝搬することができる。光は、波長、光パワーなどの光特性を監視するために、光検出器487によって受信され得る。いくつかの例では、光検出器は、端面生成垂直放出レーザ400の一部として端面生成垂直放出レーザ400の構造に組み込まれてもよい。所定量の光は、タップ及び/又は分割された光の一部であってもよく、光の残りは構造から出射してもよい。更に、いくつかの例では、光の一部は、端面生成垂直放出レーザ構造の外部にある光検出器487によって受け取られ得る。光が端面生成垂直放出レーザのバックファセット488から出射するように設計され得るこの例では、バックファセットは、反射防止コーティング489を有し得る。
【0044】
図4に示す実施形態では、
図3の実施形態300と同様に、コンタクト層450は、p型金属コンタクトとn型金属コンタクトとを含むことができ、これらは両方とも、端面生成垂直放出レーザ400の一部として、端面生成垂直放出レーザ400の同じ側に配置することができる。いくつかの例では、p型金属コンタクトとn型金属コンタクトは、互いに同一平面上にあってもよい。加えて、端面生成垂直放出レーザ400の同じ側にあるp型金属コンタクトとn型金属コンタクトは、端面生成垂直放出レーザをパッケージに組み入れるオプションを追加することを容易にすることができ、パッケージ実装のオプションを追加することも容易にすることができる。いくつかの例では、端面生成垂直放出レーザは、プリント回路基板などの外部回路への相互接続のためにフリップチップボンディングすることができる。
【0045】
いくつかの例では、フリップチップボンディングは、パッケージングサイズを小さくすることを可能にし得、これは、モバイルデバイス又はウェアラブルデバイスなどの一部の電子デバイスへのより容易な組み入れを可能にし得る。いくつかの例では、フリップチップボンディングは、集積回路又は半導体デバイスなどの半導体デバイスをプリント回路基板などの外部回路に相互接続するための方法として使用することができる。フリップチップボンディングは通常、ワイヤボンディングの代替として実装することができ、ここで、各チップは、ワイヤがはんだ付けされた又は接続されたパッドを有し得、そしてパッドは外部回路に接続される。ダイチップを製造する際に、金属パッドは、金属パッド上に堆積されたはんだバンプを有し得る。次に、ダイチップは、はんだバンプが電子機器の金属パッドと接触するか、又は金属パッドに近接するように反転されうる。フリップチップボンディングは、光電子デバイス又はシステムのサイズを小さくすることができ、ワイヤボンディングと比較してより高速の信号の伝送を可能にすることができる。いくつかの例では、このタイプのボンディングは、より良好な熱伝導を促進することができる。加えて、はんだバンプの使用が言及されているが、金又は任意の他の適切な金属もしくは導電性材料などの任意のタイプの材料が、はんだバンプの代わりに使用されてもよい。
【0046】
いくつかの例では、格子カプラ420は、2次格子であってもよく、端面生成垂直放出レーザ400の上面と底面との両方に向けて光を誘導してもよい。底面に向けて誘導される光は、p型金属コンタクト及びn型金属コンタクトのどちらか一方又は両方によって上面に再誘導され得る。加えて、この端面生成垂直放出レーザは、n型金属コンタクトが底部上にある標準的な端面放出レーザパッケージングと比較して、より低い熱抵抗を有し得る。低減された熱抵抗はまた、ミラーを使用する光源など、光を上面から外へ誘導する他の光源と比較したときに有益であり得る。
【0047】
図5A~
図5Rは、端面生成垂直放出レーザの例示的な製造工程を示す。
図5A及び
図5Bは、端面生成垂直放出レーザ500の出発材料を示す側面図及び上面図である。
図5A~
図5Rに示す構造は、端面生成垂直放出レーザ500として説明され得るが、
図5A~
図5Rに示す構造は、端面生成垂直放出レーザ500を生成するための様々な製造作業における構造であり得る。加えて、
図5A~
図5Rは、端面生成垂直放出レーザの製造が、端面生成垂直放出レーザが反転位置にある状態で実行され得るので、端面生成垂直放出レーザを反転した位置で示す。
図5O~
図5Pを参照して説明されるように、端面生成垂直放出レーザは反転することができる。したがって、様々な図が「上面図」と呼ばれているが、端面生成垂直放出レーザの製造が完了すると、「上面図」は、端面生成垂直放出レーザの底面になる。
図5Aでは、出発材料は、エッチングと再成長によって格子505が形成されたDFBレーザ構造540であってもよい。いくつかの例では、DFBレーザ構造540はリン化インジウムであってもよい。いくつかの例では、リン化インジウム再成長ステップは、導波路を取り囲み得る埋め込みヘテロ構造を形成することができる。これは、熱放散を改善することができ、拡散電流を低減することができ、このことは、狭い導波路の機能性を改善することができる。いくつかの例では、基板510は中程度にドープされてもよい(例えば、およそ2E17~1E18cm-3~5E17~1E18cm-3の範囲)。
【0048】
図5C及び
図5Dは、導波路エッチングを示す側面図及び上面図である。いくつかの例では、導波路515は、基板510内にエッチングすることができる。導波路515を基板510内にエッチングすることは、ウェットエッチング又はドライエッチングで達成することができる。
図5E及び
図5Fは、パッシベーション層及びコンタクト窓開口部の側面図及び上面図である。
図5E及び
図5Fに示すように、パッシベーション層520が堆積されてもよく、端面生成垂直放出レーザ500の表面をパッシベーションしてもよい。パッシベーション層520は、端面生成垂直放出レーザ500の表面上にコンフォーマルコーティングを提供することができる。
【0049】
次に、コンタクト窓開口部525をパッシベーション層520内にエッチングすることができる。
図5Fの上面図に示すように、コンタクト窓開口部525は、DFBレーザ構造540の格子505のほぼ上方に配置されてもよい。コンタクト窓開口部525は、DFBレーザ構造の適切な部分に接触し得る金属コンタクト層を堆積することを可能にし得る。いくつかの例では、コンタクト窓開口部525は、導波路515に窓を開けることができる。
【0050】
図5G及び
図5Hは、端面生成垂直放出レーザ500へのp型金属コンタクト層の追加を示す側面図及び上面図である。
図5Gでは、p型金属コンタクト層530が堆積されてもよく、パッシベーション層520内のコンタクト窓開口部525を通して導波路515の上部に接触してもよい。p型金属コンタクト層530は、チタン、プラチナ、金、それらの任意の組み合わせなどの任意の金属又は金属の組み合わせであってもよい。いくつかの例では、p型金属コンタクト層530は、導波路515の幅を超えて横方向に延在してもよく、これは、パッケージングを目的としたコンタクトを可能にし得る。
【0051】
図5I及び
図5Jは、端面生成垂直放出レーザ500へのn型金属コンタクト層の追加を示す側面図及び上面図である。n型金属コンタクト層535は、まず、DFBレーザ構造540の量子井戸の下のn型高ドープ材料までトレンチをエッチングすることによって形成することができる。n型金属は、トレンチ内に堆積されて、いくつかの例ではリン化インジウムであり得るn型材料への電気的コンタクトを形成することができる。いくつかの例では、n型金属コンタクト層535は、p型金属コンタクト層530とは異なる金属であってもよい。n型金属コンタクト層535は、n型高ドープリン化インジウムへの良好なオーミックコンタクトを提供することができ、一方、p型金属コンタクト層530は、パッケージングのためのコンタクトの異なる仕様を満たすことができる。いくつかの例では、n型金属は、金、ゲルマニウム、金/ゲルマニウム、ニッケル、金/ゲルマニウム合金、それらの任意の組み合わせなどの任意の金属又は金属の組み合わせであってもよい。また、
図5Jに示すように、n型金属コンタクト層535は、p型金属コンタクト層530とは異なる面積を有することができる。いくつかの例では、n型金属コンタクト層535は、p型金属コンタクト層530よりも大きい端面生成垂直放出レーザ500の表面積を覆うことができる。
【0052】
図5K及び
図5Lは、端面生成垂直放出レーザ500のバックファセット上の材料を示す側面図及び上面図である。
図5Kに示すように、材料545は、端面生成垂直放出レーザ500のバックファセットに配置されてもよい。いくつかの例では、材料545は高反射率材料であってもよく、ミラーとして機能してもよい。高反射率材料は、光が端面生成垂直放出レーザ500のバックファセットに向かって伝搬するときにバックファセットで使用されてもよく、いくつかの例では、高反射率ミラーは金属であってもよい。いくつかの例では、材料545は反射防止コーティングであってもよい。更に別の例では、材料545は、材質及び厚さに応じて高反射性又は反射防止性であり得る誘電体スタック545であってもよい。いくつかの実施形態では、誘電体スタック545が高反射性であるとき、光の70%超が反射され得る一方で、反射防止性材料を使用するときは、反射される光の30%未満を提供し得る。反射防止コーティングは、所定量の光が光検出器によって受け取られるようにバックファセットに向けて誘導されるときに使用されてもよい。「所定量の光」とは、タップされ(あるいはそうでなければ分割され)、そして光検出器に誘導される光の一部であり、一方、光の残りは構造から出射することができる。本実施形態の構成が、毎回ほぼ同じ又は同じ量の光を分離する限り、光は「所定の量」とする。いくつかの例では、「所定の量」の光は、DFBレーザ構造540において生成される光と比較して相対的に少なくてもよく、その結果、光の大部分は、端面生成垂直放出レーザ500から垂直に放出されるようになってもよい。光検出器は、放出される光の波長や光パワーなどの様々な光特性を監視することができる。
【0053】
図5M及び
図5Nは、端面生成垂直放出レーザ500に組み込まれた格子カプラを示す側面図及び上面図である。
図5Mに示すように、格子カプラ550は、導波路515内にエッチングすることができる。いくつかの例では、格子カプラ550は、端面生成垂直放出レーザが、上面から垂直に、かつDFBレーザ構造540に垂直に、かつDFBレーザ構造540の活性領域にも垂直に光を放出することができるように、光を誘導することができる。
図3及び
図4を参照して説明したように、格子カプラ550は、高コントラスト格子カプラ、時間パリティ格子カプラ、1次格子、2次格子、それらの任意の組み合わせなどであってもよい。いくつかの例では、格子カプラ550は、主に、垂直に放出される光が端面生成垂直放出レーザ500の上面に対して垂直であり得るように、光を端面生成垂直放出レーザ500の上面に向けて誘導することができる。
【0054】
図5O及び
図5Pは、端面生成垂直放出レーザ500への光学素子の追加を示す側面図及び上面図である。
図5Oに示すように、端面生成垂直放出レーザ500は裏返すことができ、光学素子555が端面生成垂直放出レーザの上面に追加されてもよい。光学素子555は、基板内に直接製造され、かつ端面生成垂直放出レーザ500の表面において光をコリメート、誘導又はステアリングし得るマイクロレンズアレイであってもよい。いくつかの例では、光学素子555は、
図3と
図4との両方の実施形態を参照しつつ説明したような格子であり得る。いくつかの例では、光学素子555は、
図5O及び
図5Pに示すような作りこまれて一体化されたマイクロレンズアレイとは対照的に、ボンディング型マイクロレンズアレイであってもよい。加えて、
図5Oに示すように、材料545は、反射性材料、部分反射性材料、又は反射防止性材料であってもよい。いくつかの例では、材料545は誘電体スタックであってもよく、反射特性は、光検出器の有無及び/又は用途に応じて変えられてもよい。
【0055】
図5Q及び
図5Rは、反射防止コーティングの追加を示す側面図及び上面図である。いくつかの例では、反射防止コーティング560は、光学素子555上に直接堆積されてもよい。加えて、光学素子555が格子である例では、反射防止コーティング560は、代わりに、格子上に堆積され得る格子状面であってもよい。
【0056】
図6は、パッケージング済みの端面生成垂直放出レーザ600の側面図である。
図6のパッケージング済みの端面生成垂直放出レーザ600は、端面生成垂直放出レーザからの垂直放出及びフリップチップ/表面実装アタッチメントを有するパッケージング済みの部分を示す。
図6に示すように、底面上のコンタクト層652は、例えば、プリント回路基板685上の外部回路への電気的相互接続675を提供するために表面実装されてもよい。端面生成垂直放出レーザからの光の垂直放出は、オンウエハテストを容易にすることができ、これは、処理中のレーザの歩留まりを向上させることができる。加えて、端面生成垂直放出レーザからの光の垂直放出は、端面生成垂直放出レーザをパッケージングに組み入れるためのオプションを追加することを可能にすることができる。いくつかの例では、光の垂直放出は、端面生成垂直放出レーザをより小さいパッケージに組み入れることを可能にし、通常、モバイルデバイス及びウェアラブルデバイスなどの小型ハンドヘルドデバイスへの組み込みを提供し得る。更に、端面生成垂直放出レーザからの光の垂直放出は、VCSELのパッケージング及びテストの利点を提供することができるが、端面放出レーザの光の波長範囲、設計の柔軟性、信頼性、及び光パワーを提供することもできる。
【0057】
図7は、マルチ端面生成垂直放出レーザパッケージ700の上面図である。
図7は、パッケージング済みの端面生成垂直放出レーザの様々な例を示す。単一光源710のアレイ703は、パッケージング基板715上の端面生成垂直放出レーザの3×2アレイを示す。3×2アレイが示されているが、個々の端面生成垂直放出レーザは、必要に応じて任意のアレイサイズに構成されてもよい。単一光源710のアレイ703はまた、端面生成垂直放出レーザのうちの1つから自由空間に垂直に放出される光713を示す。単一光源710のアレイはまた、個別にアドレス指定すること、全て同時に動作すること、及び/又は必要に応じてフリップチップ実装することができる。
【0058】
図7には、単一チップアレイ720も含まれている。単一チップアレイ720は、単一ダイ720上にアレイ状に設けられた複数の端面生成垂直放出レーザ723を示す。単一チップアレイ720のレーザは、個別にアドレス指定することも、又は全て一度に駆動することもできる。アレイは、端面生成垂直放出レーザを交互の行にずらしているように示されているが、任意の数の端面生成垂直放出レーザに任意の適切な構成を使用することができる。加えて、単一の光源730がパッケージング基板715上に示されており、これは、垂直に光を放出する端面生成垂直放出レーザとすることができる。
【0059】
前述の記載では、説明のために、記載された実施形態の完全な理解をもたらすために特定の専門用語を用いた。しかしながら、記載された実施形態を実践するために具体的な詳細が必要とされないことは、当業者には明らかであろう。したがって、本明細書に記載された具体的な実施形態の前述の説明は、図示及び説明の目的で提示されている。それらは、網羅的であること、又は開示されたまさにその形態に実施形態を限定することを目的としたものではない。上記の教示を考慮して多くの修正及び変形が可能であることが、当業者には明らかであろう。
【0060】
添付図面を参照しつつ本開示の実施例が十分に説明されてきたが、様々な変更及び修正が、当業者には明らかとなるであろうという点に留意されたい。このような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の実施例の範囲内に含まれるものとして理解すべきである。