(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】電気コネクタ、及び車載電子装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/533 20060101AFI20240809BHJP
H01R 13/631 20060101ALI20240809BHJP
H01R 12/73 20110101ALI20240809BHJP
【FI】
H01R13/533 D
H01R13/631
H01R12/73
(21)【出願番号】P 2023524664
(86)(22)【出願日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 CN2021109243
(87)【国際公開番号】W WO2022252376
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】202110603372.3
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522108493
【氏名又は名称】上海航天科工電器研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン シュイ
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ ツォタオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジュン
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-115488(JP,A)
【文献】国際公開第2016/042625(WO,A1)
【文献】特開2014-160619(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112615176(CN,A)
【文献】中国実用新案第210957070(CN,U)
【文献】特開2021-163541(JP,A)
【文献】特開2021-190255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/70-12/91
H01R 13/631
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに浮動して着脱可能に接続されたプラグコネクタ(1000)
及びソケットコネクタ(2000)
を備える電気コネクタであって、
前記ソケットコネクタ(2000)には、ソケット上部ハウジング(2100)、ソケット下部ハウジング(2200)、ソケット接地導体(2600)、2組のソケット信号導体(2300)、及び2組のソケット電源導体(2500)が設けられ、
2組の前記ソケット信号導体(2300)は、
前記ソケット接地導体(2600)の延在方向に沿って位置ずれで配置され、各組の前記ソケット信号導体(2300)は、複数のソケット信号導体構造(2301)を含み、
各前記ソケット信号導体構造(2301)には、少なくとも1つのソケット信号取付干渉位置(2310)が設けられ、各前記ソケット電源導体(2500)には、少なくとも1つのソケット電源取付干渉位置(2510)が設けられ、前記ソケット下部ハウジング(2200)は、各前記ソケット信号取付干渉位置(2310)及び各前記ソケット電源取付干渉位置(2510)に
スナップフィットして取り付けられ、
前記ソケット接地導体(2600)は、前記
ソケット上部ハウジング(2100)の取付溝内に取り付けられるとともに、各組の前記ソケット信号導体(2300)中の一部の前記ソケット信号導体構造(2301)に接続され、
前記ソケット上部ハウジング(2100)は、
スナップフィットによって前記ソケット下部ハウジング(2200)に取り付けられ、
前記プラグコネクタ(1000)
には、プラグ接地導体(1600)及び2組のプラグ信号導体(1300)が設けられ、2組のプラグ信号導体(1300)
は、
前記プラグ接地導体(1600)の延在方向に沿って位置ずれで配置され、2組のプラグ信号導体(1300)中の各プラグ信号導体構造(1309)は、前記プラグコネクタ(1000)と前記ソケットコネクタ(2000)との接続状態で電気的接触を実現するために、2組の前記ソケット信号導体(2300)の各前記ソケット信号導体構造(2301)に1対1で対応する
ことを特徴とする前記電気コネクタ。
【請求項2】
前記ソケットコネクタ(2000)には、2つのソケット溶接補強脚(2400)が更に設けられ、前記ソケット下部ハウジング(2200)の両端には、1つの前記ソケット溶接補強脚(2400)がそれぞれ設けら
れる
ことを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
位置ずれで配置された2組の前記ソケット信号導体(2300)のうち、前記ソケット接地導体(2600)の延在方向に沿って、一方の組の前記ソケット信号導体(2300)の1番目の前記ソケット信号導体構造(2301)と、他方の組の前記ソケット信号導体(2300)の1番目の前記ソケット信号導体構造(2301)と、の位置ずれ距離L1は、同じ組の前記ソケット信号導体構造(2301)の間隔L2又は中心距離L3以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
各組の前記ソケット信号導体(2300)中の各前記ソケット信号導体構造(2301) について、前記ソケット接地導体(2600)は、2つの前記ソケット信号導体構造(2301)おきに1つの前記ソケット信号導体構造(2301)に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
各組のソケット電源導体(2500)は、少なくとも2つのソケット電源導体構造(2501)を含み、各前記ソケット電源導体構造(2501)には、少なくとも1つの前記ソケット電源取付干渉位置(2510)が設けられ、
前記ソケット信号導体構造(2301)と前記ソケット電源導体構造(2501)とを含むソケット導体構造は、中間屈曲部を有し、前記中間屈曲部の屈曲方向は、前記プラグ信号導体構造(1309)又は前記プラグコネクタ(1000)のプラグ電源導体(1500)に向かっている
ことを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記ソケット導体構造は、外部回路基板と溶接される溶接脚部と、R形状の前記中間屈曲部と、前記プラグコネクタ(1000)と導通するスライド挿入部と、を備える
ことを特徴とする請求項5に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記中間屈曲部は、前記ソケット上部ハウジング(2100)と前記ソケット下部ハウジング(2200)とによって取り囲まれた内部空間に浮設される
ことを特徴とする請求項6に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記プラグコネクタ(1000)には、プラグハウジング(1100)と
、2組のプラグ電源導体(1500)と、が更に設けられ、
各前記プラグ信号導体構造(1309)には、少なくとも1つのプラグ信号導体干渉位置(1390)が設けられ、各前記プラグ電源導体(1500)には、少なくとも1つのプラグ電源導体干渉位置(1510)が設けられ、前記プラグハウジング(1100)は、各前記プラグ信号導体干渉位置(1390)及び各前記プラグ電源導体干渉位置(1510)に
スナップフィットして取り付けられ、
前記プラグ接地導体(1600)は、前記プラグハウジング(1100)に固定されるとともに、各組の前記プラグ信号導体(1300)中の一部の前記プラグ信号導体構造(1309)に接続される
ことを特徴とする請求項
1に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記プラグコネクタ(1000)には、プラグ溶接補強脚(1400)が更に設けられ、前記プラグ溶接補強脚(1400)は、前記プラグハウジング(1100)に着脱可能に設けられる
ことを特徴とする請求項8に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
前記プラグ信号導体構造(1309)は、前記プラグ信号導体干渉位置(1390)に隣接する又はそれから離れる位置に少なくとも1つの幅又は厚さの調整部位が設けられる
ことを特徴とする請求項8に記載の電気コネクタ。
【請求項11】
前記ソケット信号導体構造(2301)は、前記ソケット信号取付干渉位置(2310)に隣接する又はそれから離れる位置に少なくとも1つの幅又は厚さの調整部位が設けられる
ことを特徴とする請求項8に記載の電気コネクタ。
【請求項12】
前記プラグ信号導体構造(1309)には、信号導体溶接脚部(1310)と、弾性変形部(1320)と、前記信号導体溶接脚部(1310)と前記弾性変形部(1320)との間に位置する信号導体位置決め凸部(1340)と、が設けられ、
前記弾性変形部(1320)は、前記プラグコネクタ(1000)と前記ソケットコネクタ(2000)とが接続された状態で対応する前記ソケット信号導体構造(2301)に弾性的に当接して電気的接触を実現するために用いられ、
前記信号導体位置決め凸部(1340)は、前記プラグ接地導体(1600)のプラグ接地端部又は前記プラグハウジング(1100)に当接するために用いられる
ことを特徴とする請求項8に記載の電気コネクタ。
【請求項13】
前記プラグ信号導体構造(1309)には、協力して前記プラグハウジング(1100)を取り付けて固定するための信号導体第1の干渉位置(1350)と、信号導体第2の干渉位置(1360)と、信号導体第3の干渉位置(1370)と、信号導体第4の干渉位置(1380)と、が更に設けられる
ことを特徴とする請求項12に記載の電気コネクタ。
【請求項14】
前記2組のプラグ電源導体(1500)は、前記2組のソケット電源導体(2500)にそれぞれ当接し、前記2組のプラグ信号導体(1300)は、前記2組のソケット信号導体(2300)にそれぞれ当接する
ことを特徴とする請求項8に記載の電気コネクタ。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の電気コネクタを備える
ことを特徴とする車載電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮動基板対基板接続の技術分野に関し、特に、電気コネクタ及び車載電子装置に関する。
【0002】
本発明は、2021年5月31日に中国特許庁に提出された、出願番号2021106033723の中国特許出願に基づき優先権を主張し、該特許出願の内容全体を参照により本出願に組み込む。
【背景技術】
【0003】
基板対基板コネクタは、コネクタのピンによってプリント回路基板間の電源と信号を直接接続可能なミニチュア結合プラグとソケットである。電子製品の高速な発展に伴い、基板対基板コネクタは、消費や、産業用制御、自動車、医療、通信などの多くの分野で大量に応用されており、これらの分野の電子デバイスの小型化及び集積化の発展に伴い、ますます多くの機能モジュールが限られた空間に集積されている。そのため、これらのモジュールの応用環境もますます複雑になり、高温、複雑な振動環境、大きな加工誤差の環境などを含む場合が多い。異なる回路基板によって電源又は信号の相互接続を実現する場合、複雑の応用環境では、コネクタの導体がコネクタ材料自体が耐えられる強度及び応力以上を受けることが多いため、コネクタの電気信号の瞬時的な中断又はコネクタ材料自体の性能の減衰や破壊を引き起こす可能性がある。浮動基板対基板接続の技術分野では、応用シーンの複雑な変化及びマルチモジュールの集積に加えて、電子製品の発展動向は、使用される信号が10Gbps又は更に高い周波数に向けて発展する現象を呈し、これは基板対基板コネクタを使用する接続シーンでのコネクタ伝送速度に対してもより高い要求があり、つまり、基板対基板コネクタの接続シーンでのコネクタ伝送速度も、システムがその機能を実現できるかどうかの重要な要素の1つになっている。
【0004】
従来の基板対基板コネクタは、プラグコネクタとソケットコネクタとの相互挿入面の中心の偏差が±0.2mm以上である場合の安定した電気的接続の能力を有していない。そのため、従来の基板対基板コネクタを使用して在高振動環境で動作する場合、又は対応する接触領域が‐20℃以下の低温環境又は85℃以上の高温環境で動作する場合に、データ伝送の障害、ひいてはコネクタの破損などの問題が発生することになる。自動車が高速でデコボコ道を走行したり、CTスキャンが急速に稼動されたり、超音波プローブが多層板間で相互接続されたりするなどの応用シーンでは、接触領域の電気的接続が瞬間的に切断されることが極めて起こりやすいため、安全上のリスクが存在し、事故が発生しやすい。
【0005】
したがって、浮動基板対基板接続の技術を改良する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明のいくつかの実施例によると、電気コネクタ及び車載電子装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
電気コネクタであって、浮動して着脱可能に接続されたプラグコネクタとソケットコネクタとを備える。前記ソケットコネクタには、ソケット上部ハウジング、ソケット下部ハウジング、ソケット接地導体、2組のソケット信号導体、及び2組のソケット電源導体が設けられ、2組の前記ソケット信号導体は、位置ずれで配置され、各組の前記ソケット信号導体は、複数のソケット信号導体構造を含み、各前記ソケット信号導体構造には、少なくとも1つのソケット信号取付干渉位置が設けられ、各前記ソケット電源導体には、少なくとも1つのソケット電源取付干渉位置が設けられ、前記ソケット下部ハウジングは、各前記ソケット信号取付干渉位置及び各前記ソケット電源取付干渉位置に係合して取り付けられ、前記ソケット接地導体は、前記ソケット下部ハウジングに固定されるとともに、各組の前記ソケット信号導体中の一部の前記ソケット信号導体構造に接続され、前記ソケット上部ハウジングは、挿入接続によって前記ソケット下部ハウジングに取り付けられ、前記プラグコネクタの2組のプラグ信号導体も、位置ずれで配置され、2組のプラグ信号導体中の各プラグ信号導体構造は、前記プラグコネクタと前記ソケットコネクタとの接続状態で電気的接触を実現するために、2組の前記ソケット信号導体の各前記ソケット信号導体構造に1対1で対応する。
【0008】
上記電気コネクタは、一方では、干渉位置を取り付けることによってソケット下部ハウジングに係合して取り付けられると同時に、プラグコネクタとソケットコネクタとの浮動接続を実現し、取付誤差に対してより大きいフォールトトレランスを持ち、高振動環境に適しており、他方では、ソケット信号導体及びプラグ信号導体は、いずれも位置ずれで配置されるため、電気コネクタにおいて肩対肩及び面対面で配置された差動ペア間のクロストークを減少して干渉を低減し、電気コネクタの大きな取付許容差状態での電気性能が制御可能な状態にあるように確保し、大量のデータの高速伝送の保証に有利であり、特に高振動環境に適している。
【0009】
一実施例において、前記ソケットコネクタには、2つのソケット溶接補強脚が更に設けられる。前記ソケット下部ハウジングの両端には、1つの前記ソケット溶接補強脚がそれぞれ設けられ、前記ソケット溶接補強脚は、前記ソケット上部ハウジングに係合して固定される。
【0010】
一実施例において、位置ずれで配置された2組の前記ソケット信号導体のうち、前記ソケット接地導体の延在方向に沿って、一方の組の前記ソケット信号導体の1番目の前記ソケット信号導体構造と、他方の組の前記ソケット信号導体の1番目の前記ソケット信号導体構造と、の位置ずれ距離L1は、同じ組の前記ソケット信号導体構造の間隔L2又は中心距離L3以上である。
【0011】
一実施例において、各組の前記ソケット信号導体中の各前記ソケット信号導体構造について、前記ソケット接地導体は、2つの前記ソケット信号導体構造おきに1つの前記ソケット信号導体構造に接続される。
【0012】
一実施例において、各組のソケット電源導体は、少なくとも2つのソケット電源導体構造を含み、各前記ソケット電源導体構造には、少なくとも1つの前記ソケット電源取付干渉位置が設けられ、前記ソケット信号導体構造と前記ソケット電源導体構造とを含むソケット導体構造は、中間屈曲部を有し、前記中間屈曲部の屈曲方向は、前記プラグ信号導体構造又は前記プラグコネクタのプラグ電源導体に向かっている。
【0013】
一実施例において、前記ソケット導体構造は、外部回路基板と溶接される溶接脚部と、R形状の前記中間屈曲部と、前記プラグコネクタと導通するスライド挿入部と、を備える。
【0014】
一実施例において、前記中間屈曲部は、前記ソケット上部ハウジングと前記ソケット下部ハウジングとによって取り囲まれた内部空間に浮設される。
【0015】
一実施例において、前記プラグコネクタには、プラグハウジングと、プラグ接地導体と、2組のプラグ電源導体と、が更に設けられ、各前記プラグ信号導体構造には、少なくとも1つのプラグ信号導体干渉位置が設けられ、各前記プラグ電源導体には、少なくとも1つのプラグ電源導体干渉位置が設けられ、前記プラグハウジングは、各前記プラグ信号導体干渉位置及び各前記プラグ電源導体干渉位置に係合して取り付けられ、前記プラグ接地導体は、前記プラグハウジングに固定されるとともに、各組の前記プラグ信号導体中の一部の前記プラグ信号導体構造に接続される。
【0016】
一実施例において、前記プラグコネクタには、プラグ溶接補強脚が更に設けられ、前記プラグ溶接補強脚は、前記プラグハウジングに着脱可能に設けられる。
【0017】
一実施例において、前記プラグ信号導体構造は、前記プラグ信号導体干渉位置に隣接する又はそれから離れる位置に少なくとも1つの幅又は厚さの調整部位が設けられる。
【0018】
一実施例において、前記ソケット信号導体構造は、前記ソケット信号取付干渉位置に隣接する又はそれから離れる位置にも少なくとも1つの幅又は厚さの調整部位が設けられる。
【0019】
一実施例において、前記プラグ信号導体構造には、信号導体溶接脚部と、弾性変形部と、前記信号導体溶接脚部と前記弾性変形部との間に位置する信号導体位置決め凸部と、が設けられ、前記弾性変形部は、前記プラグコネクタと前記ソケットコネクタとが接続された状態で対応する前記ソケット信号導体構造に弾性的に当接して電気的接触を実現するために用いられ、前記信号導体位置決め凸部は、前記プラグ接地導体のプラグ接地端部又は前記プラグハウジングに当接するために用いられる。
【0020】
一実施例において、前記プラグ信号導体構造には、協力して前記プラグハウジングを取り付けて固定するための信号導体第1の干渉位置と、信号導体第2の干渉位置と、信号導体第3の干渉位置と、信号導体第4の干渉位置とが更に設けられる。
【0021】
一実施例において、前記2組のプラグ電源導体は、前記2組のソケット電源導体にそれぞれ当接し、前記2組のプラグ信号導体は、前記2組のソケット信号導体にそれぞれ当接する。
【0022】
一実施例において、車載電子装置であって、上記のいずれかの実施例に記載の電気コネクタを備える。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施例の電気コネクタの部品の構造模式図である。
【
図2】
図1に示された電気コネクタの部品の接続状態の模式図である。
【
図3】
図1に示された電気コネクタのソケットコネクタの構造模式図である。
【
図4】
図3に示されたソケットコネクタの別の方向の構造模式図である。
【
図5】
図4に示された別の方向の2組のソケット信号導体が位置ずれで配置された時の模式図である。
【
図6】
図1に示された電気コネクタのソケットコネクタの構造の分解模式図である。
【
図7】
図6に示されたソケットコネクタの一部の構造の拡大模式図である。
【
図8】
図1に示された電気コネクタのプラグコネクタの構造の分解模式図である。
【
図9】
図8に示された電気コネクタの組立模式図である。
【
図10】
図9に示された2組のプラグ信号導体が位置ずれで配置された時の模式図である。
【
図12】
図9に示されたプラグ接地導体の構造模式図である。
【
図13】
図12に示されたプラグ接地導体の一部の構造の拡大模式図である。
【
図14】
図1に示されたプラグコネクタのプラグ信号導体の構造模式図である。
【
図15】
図14に示されたプラグ信号導体の別の方向における模式図である。
【
図16】
図14に示されたプラグ信号導体の別の方向における模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の上記目的、特徴、及び利点をより明確に理解するために、以下、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、本発明を十分に理解するために、多くの具体的な細部を説明する。しかしながら、本発明は、ここで説明される実施形態とは異なる多くの他の形態で実施することができ、当業者であれば、本発明の趣旨から逸脱することなく類似な改良を行うことができる。したがって、本発明は以下に開示される具体的な実施例に限定されるものではない。
【0025】
なお、一方の素子が他方の素子に「固定される」又は「設けられる」と呼ばれる場合、他方の素子に直接存在してもよく、又は介在する要素が存在してもよい。一方の素子が他方の素子に「接続される」と考えられる場合、他方の素子に直接接続されてもよく、又は介在する要素が存在してもよい。また、用語「第1」、「第2」は説明の目的だけであり、相対重要性を意味又は示唆し、又は説明された技術的特徴の数を示唆すると理解されるものではない。従って、「第1」、「第2」で限定された特徴は、少なくとも1つの該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。本発明の説明において、特に明示的かつ具体的に制限されない限り、「複数」は少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどを意味する。
【0026】
本発明において、特に明確に規定及び限定されない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあることは、第1及び第2の特徴が直接に接触してもよいし、第1及び第2の特徴が中間媒体を介して間接的に接触してもよい。また、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上又は斜め上にあるか、あるいは第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも大きいことを示すだけであってもよい。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の直下又は斜め下にあるか、あるいは第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも小さいことを示すだけであってもよい。特に定義がない限り、本発明の明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者が通常に理解するものと同じ意味である。本発明の明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を限定することを目的とするものではない。本発明の明細書で使用される用語「及び/又は」は、1つ又は複数の関連する列挙された項目の任意のおよびすべての組合せを含む。
【0027】
本発明の一実施例において、電気コネクタは、浮動して着脱可能に接続されたプラグコネクタとソケットコネクタとを備える。ソケットコネクタには、ソケット上部ハウジング、ソケット下部ハウジング、ソケット接地導体、2組のソケット信号導体、及び2組のソケット電源導体が設けられる。2組のソケット信号導体は、位置ずれで配置される。各組のソケット信号導体は、複数のソケット信号導体構造を含む。各ソケット信号導体構造には、少なくとも1つのソケット信号取付干渉位置が設けられる。各ソケット電源導体には、少なくとも1つのソケット電源取付干渉位置が設けられる。ソケット下部ハウジングは、各ソケット信号取付干渉位置及び各ソケット電源取付干渉位置に係合して取り付けられる。ソケット接地導体は、ソケット下部ハウジングに固定されるとともに、各組のソケット信号導体中の一部のソケット信号導体構造に接続される。ソケット上部ハウジングは、挿入接続(例えば係合)によってソケット下部ハウジングに取り付けられる。プラグコネクタの2組のプラグ信号導体も、位置ずれで配置され、2組のプラグ信号導体中の各プラグ信号導体構造は、プラグコネクタとソケットコネクタとの接続状態で電気的接触を実現するために、2組のソケット信号導体の各ソケット信号導体構造に1対1で対応する。上記電気コネクタは、一方では、干渉位置を取り付けることによってソケット下部ハウジングに係合して取り付けられると同時に、プラグコネクタとソケットコネクタとの浮動接続を実現し、取付誤差に対してより大きいフォールトトレランスを持ち、高振動環境に適しており、他方では、ソケット信号導体及びプラグ信号導体は、いずれも位置ずれで配置されるため、電気コネクタにおいて肩対肩及び面対面で配置された差動ペア間のクロストークを低減して干渉を低減し、電気コネクタの大きな取付許容差状態での電気性能が制御可能な状態にあるように確保し、大量のデータの高速伝送の保証に有利であり、特に高振動環境に適している。
【0028】
一実施例において、電気コネクタは、以下の実施例の一部の構造又は全部の構造を含み、即ち、電気コネクタは、以下の一部の技術的特徴又は全部の技術的特徴を含む。一実施例において、電気コネクタは、浮動して着脱可能に接続されたプラグコネクタとソケットコネクタとを備える。ソケットコネクタには、ソケット上部ハウジング、ソケット下部ハウジング、ソケット接地導体、2組のソケット信号導体、及び2組のソケット電源導体が設けられ、ソケットコネクタのソケット信号導体は、プラグコネクタのプラグ信号導体に当接する。ソケットコネクタのソケット電源導体は、プラグコネクタのプラグ電源導体に当接する。プラグコネクタとソケットコネクタとは、相互に可動であり、両者は、固定的に設けられず、即ち、浮動して着脱可能に接続される。
【0029】
差動ペア間の干渉を回避するために、一実施例において、ソケット接地導体は、ソケット下部ハウジングに固定されるとともに、各組のソケット信号導体中の一部のソケット信号導体構造に接続され、2組のソケット信号導体は、位置ずれで配置され、プラグコネクタの2組のプラグ信号導体も、位置ずれで配置され、2組のプラグ信号導体中の各プラグ信号導体構造は、プラグコネクタとソケットコネクタとの接続状態で電気的接触を実現するために、2組のソケット信号導体の各ソケット信号導体構造に1対1で対応する。一実施例において、位置ずれで配置された2組のソケット信号導体のうち、ソケット接地導体の延在方向に沿って、一方の組のソケット信号導体の1番目のソケット信号導体構造と、他方の組のソケット信号導体の1番目のソケット信号導体構造と、の位置ずれ距離L1は、同じ組のソケット信号導体構造の間隔L2又は中心距離L3以上である。例えば、一方の組のソケット信号導体の1番目のソケット信号導体構造と、他方の組のソケット信号導体の1番目のソケット信号導体構造と、の位置ずれ距離L1は、同じ組のソケット信号導体構造の中心距離L3と等しい。即ち、一方の組のソケット信号導体の1番目のソケット信号導体構造は、他方の組のソケット信号導体の2番目のソケット信号導体構造に正対している。例えば、一方の組のソケット信号導体の1番目のソケット信号導体構造と、他方の組のソケット信号導体の1番目のソケット信号導体構造と、の位置ずれ距離L1は、同じ組のソケット信号導体構造の中心距離L3以上である。即ち、位置ずれ配置において、少なくとも1つのPIN間隔が位置がずれている。他の実施例も同様であるので、説明を省略する。このような設計により、ソケット信号導体及びプラグ信号導体は、いずれも位置ずれで配置され、1つの追加のソケット接地導体に合わせて2列の導体(即ち、2組のソケット信号導体及び2組のソケット電源導体)のうちシールド接地の役割を果たす全ての導体を導通させ、電気コネクタにおいて肩対肩で配置された差動ペア間のクロストークの低減に有利であり、電気コネクタにおいて面対面で配置された差動ペア間のクロストークを低減し、電気コネクタの大きな取付許容差状態での電気性能が制御可能な状態にあるように確保し、大量のデータの高速伝送を保証できる。
【0030】
差動ペア間の干渉を回避するために、位置ずれ設計に加えて、本発明の各実施例におけるソケットコネクタには、更に、ソケット接地導体が巧みに設けられる。シールド接地の役割を果たす、ソケット信号導体及びソケット電源導体を含む全ての導体を更に導通させるために、一実施例において、各組のソケット信号導体中の各ソケット信号導体構造について、ソケット接地導体は、2つのソケット信号導体構造おきに1つのソケット信号導体構造に接続される。このような設計により、大量のデータの高速伝送の際に、基板対基板接続の時の中心位置に所定の範囲内のオフセット量が発生しても、データ伝送の速度及び精度を保証することに有利であり、特に高振動環境に適しており、接地信号のフォールトトレランス性を確保し、差動ペア間の干渉を回避する。
【0031】
ソケットコネクタのソケット下部ハウジングとソケット上部ハウジングとの安定した接続を実現するために、一実施例において、各組のソケット信号導体は、複数のソケット信号導体構造を含み、各ソケット信号導体構造には、少なくとも1つのソケット信号取付干渉位置が設けられ、各ソケット電源導体には、少なくとも1つのソケット電源取付干渉位置が設けられる。ソケット下部ハウジングは、挿入接続(例えば係合)によって各ソケット信号取付干渉位置及び各ソケット電源取付干渉位置に取り付けられ、ソケット上部ハウジングは、挿入接続(例えば係合)によってソケット下部ハウジングに取り付けられる。更に、一実施例において、取付干渉位置は、ソケット信号取付干渉位置及びソケット電源取付干渉位置を含み、且つ、取付安定性を向上させるためにねじ構造又は階段構造を有する。このような設計により、ソケット下部ハウジングは、ネジ又は接着剤を必要とせずに、ソケット信号導体及びソケット電源導体の取付干渉位置に安定的に取り付けられ得る。一方では、組み立てが容易となり、他方では、大量の信号データの高速伝送に対するネジの干渉を回避できるとともに、ソケット上部ハウジングも、同様にネジ又は接着剤を必要とせずに、ソケット下部ハウジングに安定的に取り付けられ得るため、全体的に組み立てやすく、より軽量な電気コネクタを形成し、特に車載応用環境下の軽量化及び小型化の需要に適している。
【0032】
プラグコネクタの組み立てを容易にするために、一実施例において、プラグコネクタには、プラグハウジングと、プラグ接地導体と、2組のプラグ電源導体と、が更に設けられ、各プラグ信号導体構造には、少なくとも1つのプラグ信号導体干渉位置が設けられ、各プラグ電源導体には、少なくとも1つのプラグ電源導体干渉位置が設けられる。プラグハウジングは、挿入接続(例えば係合)によって各プラグ信号導体干渉位置及び各プラグ電源導体干渉位置に取り付けられ、プラグ接地導体は、プラグハウジングに固定されるとともに、各組のプラグ信号導体中の一部のプラグ信号導体構造に接続される。同様に、一実施例において、干渉位置は、プラグ信号導体干渉位置及びプラグ電源導体干渉位置を含み、且つ、取付安定性を向上させるためにねじ構造又は階段構造を有する。電気コネクタ全体において、プラグ導体及びソケット導体以外に、信号伝送に影響を与える他の金属部品がないため、ネジによる螺着を全く必要とせずに、接続の安定性を確保することができるため、車載応用環境下の信号伝送の高速、信頼性、データ量が大きいという要求を満たす。
【0033】
効果的で信頼的な電気的接触の実現を容易にするために、一実施例において、プラグ信号導体構造には、信号導体溶接脚部と、弾性変形部と、信号導体溶接脚部と弾性変形部との間に位置する信号導体位置決め凸部と、が設けられ、弾性変形部は、プラグコネクタとソケットコネクタとが接続された状態で対応するソケット信号導体構造に弾性的に当接して電気的接触を実現するために用いられ、信号導体位置決め凸部は、プラグ接地導体のプラグ接地端部又はプラグハウジングに当接するために用いられる。このような設計により、基板対基板接続の時の中心位置に所定の範囲内のオフセット量が発生しても、導体構造とプラグ導体との効果的な接続及び導通を効果的に確保することができる。また、構造が簡単であるため、一定の低温環境及び高温環境での動作に適している。
【0034】
各実施例において、プラグコネクタとソケットコネクタとは相互に可動であるので、ソケットコネクタの取付安定性を強化するために、一実施例において、ソケットコネクタには、2つのソケット溶接補強脚が更に設けられる。ソケット下部ハウジングの両端には、1つのソケット溶接補強脚がそれぞれ設けられ、ソケット溶接補強脚は、ソケット上部ハウジングに係合して固定される。更に、一実施例において、ソケット溶接補強脚、ソケット信号導体、及びソケット電源導体は、それぞれ第1の回路基板(例えばソケット取付回路基板)に固定される。固定方法は、挿入接続、係合接続、及び溶接などを含む。一実施例において、プラグコネクタには、プラグ溶接補強脚が更に設けられ、プラグ溶接補強脚は、プラグコネクタのプラグハウジングに着脱可能に設けられる。更に、一実施例において、プラグ溶接補強脚、プラグコネクタのプラグ信号導体、及びプラグ電源導体は、それぞれ第2の回路基板(例えばプラグ取付回路基板)に固定される。固定方法は、挿入接続、係合接続、及び溶接などを含む。一実施例において、ソケットコネクタには、2つのソケット溶接補強脚が更に設けられ、ソケット下部ハウジングの両端には、1つのソケット溶接補強脚がそれぞれ設けられ、ソケット溶接補強脚は、ソケット上部ハウジングに係合して固定される。なお、プラグコネクタには、プラグ溶接補強脚が更に設けられ、プラグ溶接補強脚は、プラグコネクタのプラグハウジングに着脱可能に設けられる。同様に、固定方法は、挿入接続、係合接続、及び溶接などを含む。他の実施例も同様であるため、説明を省略する。このような設計により、プラグコネクタ及びソケットコネクタをそれぞれ取り付けて固定することに有利であり、一方では、ソケットコネクタのソケット下部ハウジングとソケット上部ハウジングとの取付安定性を向上させ、他方では、ソケット下部ハウジングの取付安定性を向上させ、更には、プラグハウジングの取付安定性の向上に有利である。この場合、第1の回路基板は、第2の回路基板に対して相互に独立しており、両者は、ソケット信号導体及びソケット電源導体のみによって結合されるため、浮動基板対基板の電気的接続の効果を実現できる。
【0035】
一実施例において、プラグ信号導体構造は、プラグ信号導体干渉位置に隣接する又はそれから離れる位置に少なくとも1つの幅又は厚さの調整部位が設けられる。一実施例において、ソケット信号導体構造も、ソケット信号取付干渉位置に隣接する又はそれから離れる位置に少なくとも1つの幅又は厚さの調整部位が設けられる。一実施例において、プラグ信号導体構造は、プラグ信号導体干渉位置に隣接する又はそれから離れる位置に少なくとも1つの幅又は厚さの調整部位が設けられる。また、ソケット信号導体構造も、ソケット信号取付干渉位置に隣接する又はそれから離れる位置に少なくとも1つの幅又は厚さの調整部位が設けられる。他の実施例も同様であるため、説明を省略する。
【0036】
一実施例において、ソケット信号導体構造は、中間屈曲部を有し、中間屈曲部の屈曲方向は、プラグ信号導体構造に向かっている。一実施例において、電気コネクタは、プラグコネクタとソケットコネクタとが垂直にドッキングして構成される。具体的な適用実施例において、電気コネクタは、プラグコネクタとソケットコネクタとが垂直に相互に挿入されて構成される。プラグコネクタは、一定の間隔で規則的に配列された導体を有し、プラグ導体とも呼ばれ、当該プラグ導体は、プラグ信号導体及びプラグ電源導体を含む。導体の一端は、溶接により回路基板(即ち、プラグ取付回路基板)に接続され、他端は、ソケットコネクタに接触する弾性変形部を有する。導体は、2列に並べて配列され、2列の導体同士の間には、下記のZ方向における位置ずれが存在し、少なくとも1つのPIN間隔で位置ずれている。各列の導体は、接地-信号-信号-接地の信号配列方式によって配列され、次に、プラグ接地導体を用いて、プラグコネクタ内の全ての接地するプラグ信号導体及び全ての接地するプラグ電源導体を少なくとも1回導通させる。プラグハウジングの両端の中の各端には、電気コネクタの回路基板上の溶接強度を強化するための1つの補強溶接脚、即ちプラグ溶接補強脚がそれぞれ取り付けられる。プラグ導体の各列のプラグ信号導体において、隣接するプラグ信号導体構造同士の間の間隔は、1PINと呼ばれる固定値であるが、プラグ電源導体とプラグ信号導体との間又はプラグ電源導体同士の間の間隔は、コネクタの電流通過能力及びオスソケット電圧の要求に応じて対応的に調整され、プラグ信号導体同士の間の間隔とは同じか異なっている。
【0037】
ソケットコネクタは、R形状にプレスされたソケット導体を備える。ソケット導体は、ソケット信号導体及びソケット電源導体を含む。あるいは、回路基板(例えばソケット取付回路基板)に溶接して固定されたソケット信号導体及びソケット電源導体をソケット導体と呼ぶ。ソケット導体は、回路基板に溶接される溶接脚部と、R形状を有する中間屈曲部と、プラグコネクタの導体と導通するスライド挿入部と、を有する。ソケット導体は、一定の間隔で列に配列され、合計2列に配列される。配列時には、2列のソケット導体のR形状の中間屈曲部は、電気コネクタの中心部位に向かって屈曲される。配列時には、2列のソケット導体のR形状の中間屈曲部は、ソケットコネクタのX軸が位置する平面に近づくように屈曲される。ソケット導体の溶接脚部は、回路基板に溶接されて回路基板に固定される。ソケット導体はソケット下部ハウジングに組み立てられるとともに、ソケット導体の溶接脚部に近づくように固定されているので、ソケット下部ハウジングはソケット導体の溶接脚部に追従して共に回路基板に固定されると同時に、ソケット導体のスライド挿入部はソケット上部ハウジングに組み立てられ、ソケット導体はR形状の屈曲部によってソケット導体の溶接脚部に連結される。導体の材料自体に変形能力があるため、プラグコネクタがソケットコネクタに挿入されると、2つのコネクタの中心位置に制限値内のオフセットが発生しても、プラグハウジングは、そのガイド溝とソケット上部ハウジングのガイド柱との相互ガイド作用により、ソケット上部ハウジングの中心線をその中心線に実質的に重なるように強制的にガイドする。この時、R形状の屈曲部が変形し、上部ハウジングの中心線を原点とする一定の範囲の円周内で、2つのコネクタ間の信頼的な電気的接続を実現する。なお、R形状の屈曲部の線形変形により、浮設されたプラグ導体、プラグ溶接脚と回路基板との溶接部位、及びソケット溶接脚と回路基板との溶接部位に対する、取付偏差による応力を低減することができる。2列のソケット導体同士の間にも、下記のZ方向における位置ずれが存在し、位置ずれは、少なくとも1つのPIN間隔を有する。理解されるものとしては、電気的接続を実現するために、プラグ信号導体中の各プラグ信号導体構造は、ソケット信号導体の各ソケット信号導体構造に1対1で対応する。ソケット導体のスライド挿入部が下向きに1番目の屈曲箇所の直線セグメントの近傍に伸びた後、各列の導体は「接地-信号-信号-接地-信号-信号-接地」の信号配列方式に従って配列され、そして、1つのソケット接地導体を用いて、ソケットコネクタ内の全ての接地導体を導通させる。ソケット導体の配列時には、2列のソケット導体のR形状の中間屈曲部は、電気コネクタの中心部位に向かって屈曲される。配列時には、2列のソケット導体のR形状の中間屈曲部は、ソケットコネクタのX軸が位置する平面に近づくように屈曲される。プラグハウジングの両端の中の各端には、電気コネクタの回路基板上の溶接強度を強化するための1つの補強溶接脚、即ちソケット溶接補強脚がそれぞれ取り付けられる。
【0038】
ソケット導体の、回路基板と溶接された溶接脚部からソケットコネクタに接触した弾性変形部に至る部分には、ソケット下部ハウジングに組み立てられる少なくとも1つの係合点、即ち取付干渉位置が存在し、当該取付干渉位置は、ソケット信号取付干渉位置及びソケット電源取付干渉位置を含む。また、絶縁されたソケットハウジングの内部に組み立てられる非係合点には、少なくとも1箇所の導体の幅又は厚さの調整部位、即ち変化調整部位が存在する。ソケットコネクタは、R形状にプレスされたソケット導体を有し、下部ソケットハウジングと、上部ソケットハウジングと、長手方向の両端に位置する補強溶接脚と、を更に備える。ソケット導体は、回路基板に溶接される溶接脚部と、R形状を有する中間屈曲部と、プラグコネクタのプラグ導体と導通するスライド挿入部と、を有する。ソケット導体の回路基板に溶接される溶接脚部は、溶接作用により回路基板に完全に固定される。ソケット導体は、溶接脚部の右側に沿って垂直上向きの方向に少なくとも1つの係合点を有する直線セグメントが延在している。当該直線セグメント内には、少なくとも1箇所の幅又は厚さ方向の変化が存在する。当該直線セグメントは、ソケット下部ハウジングと組み立てることによって、ソケット下部ハウジングをソケット溶接脚部の近傍の上方に固定するために用いられ、且つ、ソケット導体は、直線セグメントで引き続き上向きに延在しており、ソケット導体は、ソケット下部ハウジングとソケット導体の係合点とが干渉する専用部位から延出した後、ソケットコネクタのX軸が位置する平面に傾斜して折り曲げられ、折り曲げ角は鈍角である。ソケット導体は、引き続き延在して、R形状の屈曲部を形成する。具体的には、まず、ソケット導体は、プレスにより1箇所の曲げ戻り構造が折り曲げられ、曲げ戻り箇所の中心線は、下記のソケットコネクタのX軸が位置する平面に傾斜し、次に、曲げ戻り構造は、一定の長さだけ延在した後、再度、ソケットコネクタのX軸が位置する平面に近づくように折り曲げられる。ソケット導体は、屈曲箇所で引き続きソケット上部ハウジングの近傍の下方までに延在し、再度ソケットコネクタのX軸が位置する平面に近づくように屈曲してソケット上部ハウジングに近づくように延在し、ソケット上部ハウジングの導体取付孔位置の直下までに延在した際に、ソケット導体は垂直上向きに屈曲することによって、曲げ戻り構造に対して屈曲構造を全体として形成する。垂直上向きに屈曲した後のソケット導体は、引き続き上向きに延在しており、当該延在された部分にソケット上部ハウジングと組み立てて干渉する少なくとも1つの係合点が設けられる。ソケット導体は、引き続き上向きにソケット上部ハウジングの係合点干渉領域から延出した後、プラグ導体とドッキングするスライド挿入領域として延在する。一実施例において、ソケット導体は、回路基板と溶接される溶接脚部からプラグ導体とドッキングするスライド挿入部に至る全領域内において、少なくとも1箇所の幅及び厚さ変化領域が同時に存在する。
【0039】
一実施例において、ソケット導体は、一定の間隔で列に配列され、合計2列に配列される。配列時には、2列のソケット導体のR形状の中間屈曲部は、電気コネクタの中心部位に向かって屈曲される。配列時には、2列のソケット導体のR形状の中間屈曲部は、ソケットコネクタのX軸が位置する平面に近づくように屈曲される。2列の導体同士の間には、下記のZ方向における位置ずれが存在し、位置ずれは、少なくとも1つのPIN間隔を有する。各列の導体は、接地-信号-信号-接地の信号配列方式によって、ソケット上部ハウジングの下方に配列されてから、ソケット接地導体を用いてソケットコネクタ内の各ソケット信号導体中の全ての接地導体及び各ソケット電源導体中の全ての接地導体を少なくとも1回導通させる。ソケット導体の溶接脚部は、回路基板に溶接されて回路基板に固定される。ソケット導体はソケット下部ハウジングに組み立てられるとともに、ソケット導体の溶接脚部に近づくように固定されているので、ソケット下部ハウジングはソケット導体の溶接脚部に追従して共に回路基板に固定されると同時に、ソケット導体のスライド挿入部はソケット上部ハウジングに組み立てられ、ソケット上部ハウジングはR形状の屈曲部によってソケット導体の溶接脚部に連結される。この時、R形状の屈曲部(即ち、中間屈曲部)は、ソケット上部ハウジングとソケット下部ハウジングとによって取り囲まれた内部空間に浮設される。導体の材料(例えば銅)自体に変形能力があるため、プラグコネクタがソケットコネクタに挿入されると、プラグコネクタとソケットコネクタの中心位置に制限値内のオフセットが発生しても、プラグハウジングは、そのガイド溝とソケット上部ハウジングのガイド柱との相互ガイド作用により、ソケット上部ハウジングの中心線をその中心線に実質的に重なるように強制的にガイドする。この時、R形状の屈曲部(即ち、中間屈曲部)が変形し、上部ハウジングの中心線を原点とする一定の範囲の円周内で、プラグコネクタとソケットコネクタという2つのコネクタ間の信頼的な電気的接続を実現する。R形状の屈曲部の線形変形により、浮設されたプラグ導体、プラグ溶接脚と回路基板との溶接部位、及びソケット溶接脚と回路基板との溶接部位に対する、取付偏差による応力を低減することができ、効果的で信頼的な電気的接続を実現することができる。また、各実施例において、ソケット上部ハウジングとソケット下部ハウジングとの間には、構造上の上限部位があるため、ソケットコネクタとプラグコネクタとの接続偏差範囲が設定値を超えることを防止することができる。上部ハウジングと下部ハウジングとの間の間隙によって、ソケット上部ハウジングがプラグハウジングのガイドに従って移動する際に、ある程度移動すると、ソケット下部ハウジングに接触して、ソケット下部ハウジングによって阻止されるので、ソケット導体の材料降伏強度を超えて回復不能な変形又はコネクタの破損が発生することを防止することができる。
【0040】
更に、ソケット信号導体構造は、順に接続されたソケット信号溶接脚部、中間屈曲部、及び信号導体スライド挿入部を含み、ソケット信号溶接脚部は、回路基板と溶接するために用いられ、中間屈曲部には、接続された曲げ戻り構造と屈曲構造とが形成される。中間屈曲部のソケット信号溶接脚部に隣接する位置には、ソケット下部ハウジングに密接に接触してソケット下部ハウジングを固定するための第1の干渉領域が設けられ、信号導体スライド挿入部は、プラグコネクタのプラグ信号導体構造と導通し、信号導体スライド挿入部の中間屈曲部に隣接する位置には、ソケット上部ハウジングに密接に接触してソケット上部ハウジングを固定するための第2の干渉領域が設けられる。曲げ戻り構造及び屈曲構造は、第1の干渉領域がソケット下部ハウジング密接に接触するとともに、第2の干渉領域がソケット上部ハウジングに密接に接触する際に、ソケット下部ハウジングとソケット上部ハウジングとの間から浮動して露出することによって、高振動環境において、前記曲げ戻り構造及び/又は前記屈曲構造が前記ソケット下部ハウジングに対して離隔して設けられる。即ち、前記曲げ戻り構造及び前記屈曲構造が前記第1の干渉領域及び前記第2の干渉領域を介して前記ソケット下部ハウジングとソケット上部ハウジングとの間に間接的に接続され、高振動環境において相対的に独立した3つの振動領域を形成し、3つの振動領域は、それぞれ、前記ソケット下部ハウジング、前記曲げ戻り構造、及び前記屈曲構造である。このような設計により、ソケット信号導体構造が基板対基板接続に応用される際に、ソケット信号溶接脚部は溶接して固定され、信号導体スライド挿入部はプラグコネクタと相互挿入されてプラグコネクタに着脱可能に相対的に固定され、ソケット上部ハウジング及びソケット下部ハウジングは2つの干渉領域を介してソケット信号導体構造に固定されることによって、一方では、曲げ戻り構造及び屈曲構造のような2重の振動減衰を巧みに設計して、高振動環境に適しており、他方では、導体の材料自体に変形能力があるため、基板対基板接続の時の中心位置に所定の範囲内のオフセット量が発生しても、ソケット信号導体構造とプラグ信号導体構造との効果的な接続及び導通を効果的に確保することができる。更に、上記構造が簡単であるため、一定の低温環境及び高温環境での動作に適している。更に、一実施例において、中間屈曲部の少なくとも一部は、浮遊している。このような設計により、中間屈曲部の一部が浮遊しているため、浮動状態を形成するため、即ち、他の部分とハードコンタクトしていないため、高振動環境におけるクッション性及び衝撃吸収性に有利であり、振動のハードな伝達を回避できる。また、中間屈曲部はソケット信号導体構造の一部でもあるため、一定の低温環境及び高温環境での高振動状態への適応に有利であり、信号伝送の精度を確保し、大量のデータ伝送でのパケットロスの問題を回避し、高速の信号伝送に特に適している。各実施例において、高振動環境の振動周波数は、2000Hz以下であり、加速度は、150m/s2以下である。上記低温環境の温度は、-55℃以上である。上記高温環境の温度は、+125℃以下である。即ち、上記高低温環境は、-55℃~+125℃の応用環境である。
【0041】
ソケット上部ハウジングとソケット下部ハウジングとの取り付けを容易にするために、一実施例において、第1の干渉領域はソケット下部ハウジングに密接に接触し、第2の干渉領域はソケット上部ハウジングに密接に接触して、ソケットハウジングを固定する。一実施例において、中間屈曲部は、R形状を有し、そのうちの1箇所の屈曲部分を曲げ戻り構造とし、もう1箇所の屈曲部分を屈曲構造とする。曲げ戻り構造及び屈曲構造は、第1の干渉領域がソケット下部ハウジング密接に接触するとともに、第2の干渉領域がソケット上部ハウジングに密接に接触する際に、ソケット下部ハウジングの外部に露出する。このような設計により、ソケット下部ハウジングがソケット信号導体構造に固定されている際に、曲げ戻り構造及び屈曲構造は、2箇所の浮動状態を形成し、ソケット信号導体構造の取付位置からの振動は、まず曲げ戻り構造、次に屈曲構造、そしてプラグコネクタに伝達される。逆の場合、プラグコネクタからの振動は、まず屈曲構造、次に曲げ戻り構造、そしてソケット信号導体構造の取付位置に伝達される。2箇所の浮動状態の衝撃吸収を経たため、一定の低温環境及び高温環境での高振動状態への適応に有利である。また、導体の材料自体に変形能力があるため、基板対基板接続の時の中心位置に所定の範囲内のオフセット量が発生しても、ソケット信号導体構造とプラグ信号導体構造(例えばプラグ信号導体)との効果的な接続及び導通を効果的に確保することができる。各実施例において、所定の範囲は、半径が0.5mm~0.8mmである円形空間である。
【0042】
浮動振動減衰効果を向上させるために、一実施例において、曲げ戻り構造及び屈曲構造は、異なる平面に位置する。一実施例において、中間屈曲部には、第1の直線セグメント、第2の屈曲セグメント、第3の直線セグメント、第4の屈曲セグメント、第5の直線セグメント、第6の屈曲セグメント、第7の直線セグメント、第8の屈曲セグメント、及び第9の直線セグメントが順に設けられる。ここで、第1の直線セグメントは、ソケット信号溶接脚部に接続され、第1の直線セグメントには、第1の干渉領域が設けられ、第2の屈曲セグメント、第3の直線セグメント、第4の屈曲セグメント、第5の直線セグメント、及び第6の屈曲セグメントは、共に曲げ戻り構造を形成し、第7の直線セグメント、第8の屈曲セグメント、及び第9の直線セグメントは、共に屈曲構造を形成し、第9の直線セグメントは、信号導体スライド挿入部に接続される。一実施例において、第1の直線セグメントの延在方向は、信号導体スライド挿入部の延在方向と平行である。このような設計により、一方では、空間的に革新的であり、複数の方向から複数の角度で浮動振動減衰して振動エネルギーを放出することができ、他方では、曲げ戻り構造及び屈曲構造によって、全体的な平行な第1の直線セグメント及び信号導体スライド挿入部を形成することにより、ソケット下部ハウジング及びソケット下部ハウジングに適応して、標準化された方法でソケット信号導体構造に固定される。
【0043】
浮動振動減衰効果をより良く向上させるために、一実施例において、第1の直線セグメントの延在方向とソケット信号溶接脚部の延在方向とは、第1の挟み角αを形成し、第9の直線セグメントの延在方向と信号導体スライド挿入部の延在方向とは、第2の挟み角βを形成し、第1の直線セグメントの延在方向と第3の直線セグメントの延在方向とは、第2の屈曲セグメントで第3の挟み角γを形成し、第5の直線セグメントの延在方向と第7の直線セグメントの延在方向とは、第6の屈曲セグメントで第4の挟み角δを形成し、第7の直線セグメントの延在方向と第9の直線セグメントの延在方向とは、第8の屈曲セグメントで第5の挟み角εを形成する。また、第1の挟み角αは、90度以上であり、第2の挟み角βは、90度以上であり、第3の挟み角γは、90度よりも大きく、第4の挟み角δは、90度以上であり、及び/又は、第5の挟み角εは、90度以上である。更に、一実施例において、第4の屈曲セグメントは、半円形又は半楕円形である。このような設計により、中間屈曲部の各屈曲形状を標準化し、第1の挟み角α~第5の挟み角εを直角又は鈍角に設計することにより、振動エネルギーの適切な放出に有利である上で、コネクタ材料自体の強度及び応力に対する影響をできるだけ軽減し、屈曲して形成された浮動振動減衰状態がソケット信号導体構造の材料降伏強度に適応するように確保して、製品の通常の設計寿命を保証し、大量のデータの高速伝送の効果を保証する。
【0044】
理解されるものとしては、プラグコネクタとソケットコネクタとの接続は、複数、ひいては大量のソケット信号導体構造を必要とし、各ソケット信号導体構造はプラグコネクタとソケットコネクタとを接続する際に形成された3次元の環境に存在する。そのため、3次元の環境において浮動振動減衰効果を向上させるために、一実施例において、曲げ戻り構造の中心線は、スライド挿入部の延在方向に傾斜している。一実施例において、曲げ戻り構造は、溶接脚部に対して一定の長さだけ延在した後、溶接脚部に近づく方向に折り曲げられる。一実施例において、曲げ戻り構造は、第1の直線セグメントとソケット信号溶接脚部とによって共に形成された平面からオフセットして設けられ、及び/又は、平面に対してねじれるように設けられる。一実施例において、第4の屈曲セグメントは、当該平面からオフセットして設けられるか、又は、当該平面に対してねじれるように設けられる。このような設計により、各ソケット信号導体構造は3次元の空間(例えば空間直交座標系に対して)で複数の角度の振動減衰方向を形成し、異なる平面で振動力を放出することに有利であるため、基板対基板接続の時の中心位置に所定の範囲内のオフセット量が発生しても、振動がソケット信号導体構造の複数の位置から放出されるため、電気的接触が抜けにくくなり、ソケット信号導体構造とプラグ信号導体構造との効果的な接続及び導通を効果的に確保することができる。
【0045】
振動エネルギーの放出を容易にする観点から見ると、一実施例において、第1の直線セグメント、第3の直線セグメント、第5の直線セグメント、第7の直線セグメント、及び/又は、第9の直線セグメントには、第2の屈曲セグメント、第4の屈曲セグメント、第6の屈曲セグメント、及び/又は、第8の屈曲セグメントに対して、少なくとも1つの幅又は厚さの変化調整部位が設けられ、及び/又は、中間屈曲部は、その直線セグメントと屈曲セグメントとが隣接する位置には、形状変化領域が設けられる。更に、一実施例において、変化調整部位は、拡幅化、厚肉化、狭幅化、又は薄型化の構造を有する。更に、一実施例において、各形状変化領域は、階段状に徐々に変化する。更に、一実施例において、少なくとも1つの直線セグメント又は少なくとも1つの屈曲セグメントは、その自体の中央セグメントに、形状変化領域が更に設けられる。更に、一実施例において、少なくとも1つの形状変化領域は、他の形状変化領域と階段方向における差異を有する。このような設計により、各変化調整部位は、いずれも振動の伝送を追加的に遮断し、振動エネルギーの放出に有利である。
【0046】
ソケット信号導体構造の製造を容易にするために、一実施例において、ソケット信号溶接脚部、中間屈曲部、及び信号導体スライド挿入部は、一体成形される。一実施例において、ソケット信号溶接脚部、中間屈曲部、及び信号導体スライド挿入部は、一体成形され、中間屈曲部は、R形状を有する。一実施例において、前記第4の屈曲セグメントの中心線は、前記第1の直線セグメントと前記溶接脚部によって共に形成されたXY平面と交差する。一実施例において、第4の屈曲セグメントは、対称的構造であるとともに、その中心線は平面と交差し、及び/又は、第1の直線セグメント、第2の屈曲セグメント、第3の直線セグメント、第4の屈曲セグメント、第5の直線セグメント、第6の屈曲セグメント、第7の直線セグメント、第8の屈曲セグメント、及び第9の直線セグメントは、一体成形される。このような設計により、ソケット信号導体構造の生産と製造に有利であり、ソケット信号導体構造の生産コストの削減にも有利であり、生産効率が向上する。
【0047】
一実施例において、信号導体スライド挿入部には、接続された接続セグメントと挿入セグメントとが設けられる。挿入セグメントは、プラグコネクタのプラグ信号導体構造と導通するために用いられ、接続セグメントは、中間屈曲部に接続されるとともに、屈曲構造に隣接し、接続セグメントには、第2の干渉領域が設けられる。更に、一実施例において、挿入セグメントは、挿入接続によりプラグコネクタのプラグ信号導体構造と導通するために用いられる。本実施例において、ソケット信号溶接脚部の延在方向をX方向 (ソケット信号溶接脚部が位置する平面をX軸が位置する平面と呼ぶことができる。) とし、中間屈曲部の第1の直線セグメントの延在方向をY方向 (第1の直線セグメントが位置する平面をY軸が位置する平面と呼ぶことができる。) とすると、ソケット信号溶接脚部の延在方向と第1の直線セグメントの延在方向とはXY平面を形成することができる。ソケット信号溶接脚部と中間屈曲部との接続位置には、XY平面に位置する直角が形成されるが、他の実施例において、鋭角又は鈍角が形成されてもよい。曲げ戻り構造は、X方向に曲げられるとともに、更にXY平面に垂直なZ方向にも偏向されたり、ねじれたりする。即ち、本実施例において、曲げ戻り構造は、第1の直線セグメントとソケット信号溶接脚部とが共に形成するXY平面からオフセットするとともに、XY平面に対してねじれるように設けられる。理解されるものとしては、ソケット信号溶接脚部と中間屈曲部との接続位置には、XY平面に位置する直角が形成される際に、Y方向はX方向に垂直であり、即ち、平面直角座標系が形成される。更に、接続セグメントと挿入セグメントとが隣接する位置には、形状変化領域として第1の遷移領域が設けられる。
【0048】
各実施例において、干渉領域は、第1の干渉領域及び第2の干渉領域を含む。各干渉領域は、少なくとも2つの干渉位置を有し、干渉位置は、中間屈曲部又は信号導体スライド挿入部に突設され、即ち、第1の干渉領域の少なくとも2つの干渉位置は、中間屈曲部に突設され、第2の干渉領域の少なくとも2つの干渉位置は、信号導体スライド挿入部に突設される。このような設計により、ソケット上部ハウジング及びソケット下部ハウジングは、2つの干渉領域の複数の干渉位置によってソケット信号導体構造に固定され、ソケット下部ハウジングとプラグコネクタとをソケット信号導体構造の中間屈曲部の一部のみによって接続することに有利であり、曲げ戻り構造及び屈曲構造のような2重の振動減衰作用により、振動エネルギーをより良く放出し、ソケットコネクタ及びプラグコネクタの振動力の伝達を低減することができる。
【0049】
一実施例において、電気コネクタは、
図1に示されるように、着脱可能に接続されたプラグコネクタ1000とソケットコネクタ2000とを備え、その接続状態は
図2を参照されたい。ソケットコネクタ2000には、ソケット上部ハウジング2100、ソケット下部ハウジング2200、ソケット溶接補強脚2400、ソケット接地導体2600、2組のソケット信号導体2300、及び2組のソケット電源導体2500が設けられる。プラグコネクタ1000には、プラグハウジング1100、プラグ溶接補強脚1400、プラグ接地導体1600、2組のプラグ信号導体1300、及び2組のプラグ電源導体1500が設けられる。
【0050】
図3を併せて参照すると、2組のソケット信号導体2300は、対向して配置される。各組のソケット電源導体2500及び各組のソケット信号導体2300には、いずれも中間屈曲部が設けられる。一部のソケット信号位置決め凸部2320は、浮遊しており、一部のソケット信号位置決め凸部2320は、ソケット接地導体2600に当接して接地を実現し、ソケット下部ハウジング2200は、ソケット上部ハウジング2100に対して2組のソケット信号導体2300及び2組のソケット電源導体2500のみによって接続されるため、浮動接続と呼ばれる。
【0051】
更に、2組のソケット電源導体2500も、位置ずれで配置される。更に、
図4及び
図5に示されるように、2組のソケット信号導体2300は、対向して配置されるとともに、位置ずれで配置され、2組のソケット電源導体2500も、対向して配置されるとともに、位置ずれで配置される。
図4に示されるように、一方の組のソケット信号導体2300の1番目のソケット信号導体構造は、他方の組のソケット信号導体2300の2番目のソケット信号導体構造に対向している。
図5に示されるように、ソケット信号導体2300中のソケット信号導体構造は、2つおきにソケット接地導体2600に接続される。
【0052】
図6に示されるように、ソケットコネクタには、ソケット上部ハウジング2100、ソケット下部ハウジング2200、ソケット接地導体2600、2つのソケット溶接補強脚2400、2組のソケット信号導体2300、及び2組のソケット電源導体2500が設けられ、ソケット下部ハウジング2200の両端には、1つのソケット溶接補強脚2400がそれぞれ設けられ、ソケット溶接補強脚2400は、ソケット上部ハウジング2100に係合して固定される。
図7を併せて参照すると、各組のソケット電源導体2500は、少なくとも2つのソケット電源導体構造2501を含み、各ソケット電源導体構造2501には、少なくとも1つのソケット電源取付干渉位置2510が設けられ、各組のソケット信号導体2300は、並べて配置された複数のソケット信号導体構造2301を含み、各ソケット信号導体構造2301には、少なくとも1つのソケット信号取付干渉位置2310が設けられ、ソケット下部ハウジング2200は、各ソケット信号取付干渉位置2310及び各ソケット電源取付干渉位置2510に係合して取り付けられる。更に、
図7に示されるように、隣接するソケット電源導体構造2501は、一体に設けられた取付部位を有し、ソケット電源取付干渉位置2510は、取付部位に設けられる。
【0053】
ソケット下部ハウジング2200及びソケット上部ハウジング2100は、いずれもソケット信号導体2300及びソケット電源導体2500のを含むソケット導体と組み立てるための2列の孔位置を有し、ソケット下部ハウジングの1列の各孔位置は、ソケット上部ハウジングの1列の各孔位置に1対1で対応し、ソケット下部ハウジングのもう1列の各孔位置は、ソケット上部ハウジングのもう1列の各孔位置に1対1で対応する。ソケット電源導体2500は、ソケット下部ハウジング2200及びソケット上部ハウジング2100内に挿入され、ソケット接地導体2600は、ソケット上部ハウジング2100の取付溝内に取り付けられ、ソケット上部ハウジング2100は、ソケット下部ハウジング2200の内部に位置する。ソケット信号導体2300がソケット下部ハウジング2200及びソケット上部ハウジング2100に取り付けられた後、ソケット導体のスライド挿入部の下方に設けられた凸部(即ち、位置決め凸部)は、プラグコネクタ1000のプラグ接地導体1600に干渉して接触する同時に、更にソケット信号導体2300がソケット信号導体2300の組立方向の反対方向に脱落することを防止する役割を果たすことができる。このような設計により、長時間の振動環境下、又は機械的衝撃を受けた時、又は温度が変化する時に、ソケット接地導体2600がソケット上部ハウジング2100から脱落しないように確保することに有利である。
【0054】
図3、
図7、及び
図10を組み合わせて分かるように、各組のソケット電源導体2500は、少なくとも2つのソケット電源導体構造2501を含み、各ソケット電源導体構造2501には、少なくとも1つのソケット電源取付干渉位置2510が設けられる。ソケット導体構造は、ソケット信号導体構造2301とソケット電源導体構造2501とを含み、中間屈曲部を有し、中間屈曲部の屈曲方向は、プラグ信号導体構造1309又はプラグコネクタ1000のプラグ電源導体1500に向かっている。
図4、
図5及び
図7を組み合わせて分かるように、各組のソケット信号導体2300中の各ソケット信号導体構造2301について、ソケット接地導体2600は、2つのソケット信号導体構造2301おきに1つのソケット信号導体構造2301に接続される。
【0055】
図8及び
図9に示されるように、プラグコネクタには、プラグハウジング1100、プラグ接地導体1600、2つのプラグ溶接補強脚1400、2組のプラグ信号導体1300、及び2組のプラグ電源導体1500が設けられる。
図10を併せて参照すると、2組のプラグ信号導体1300は、対向して配置されるとともに、位置ずれで配置され、2組のプラグ電源導体1500も、対向して配置されるとともに、位置ずれで配置される。一方の組のプラグ信号導体1300の1番目のプラグ信号導体構造1309は、他方の組のプラグ信号導体1300の2番目のプラグ信号導体構造1309に対向している。プラグコネクタ1000には、プラグ溶接補強脚1400が設けられ、プラグ溶接補強脚1400は、プラグハウジング1100に着脱可能に設けられる。
図10を併せて参照すると、プラグ信号導体1300は、2つのプラグ信号導体構造おきに1つのプラグ接地導体1600に接続される。更に、位置ずれで配置された2組のプラグ信号導体1300において、プラグ接地導体1600の延在方向に沿って、一方の組のプラグ信号導体1300の1番目のプラグ信号導体構造1309と、他方の組のプラグ信号導体1300の1番目のプラグ信号導体構造1309と、の位置ずれ距離L1は、同じ組のプラグ信号導体構造1309の間隔L2又は中心距離L3以上である。同様に、位置ずれで配置された2組のソケット信号導体2300において、ソケット接地導体2600の延在方向に沿って、一方の組のソケット信号導体2300の1番目のソケット信号導体構造2301と、他方の組のソケット信号導体2300の1番目のソケット信号導体構造2301と、の位置ずれ距離L1は、同じ組のソケット信号導体構造2301の間隔L2又は中心距離L3以上である。
【0056】
具体的には、プラグハウジング1100の、プラグ信号導体1300を取り付けるための取付孔位置は、2列あり、プラグ信号導体1300を取り付けるための各列の孔位置は、いずれも等間隔で分布し、2列の取付孔位置同士の間は、位置ずれがあり、少なくとも1つのPIN間隔(即ち、隣接するプラグ信号導体構造間の間隔)だけ位置がずれている。プラグ信号導体1300はプラグハウジング1100内に挿入され、各列のプラグ信号導体1300同士の間の間隔は、いずれも等間隔であり、2列のプラグ信号導体1300は、ソケットコネクタ2000のソケット信号導体2300のスライド挿入部とドッキングする弾性変形部1320を有し、弾性変形部1320は、プラグコネクタの外側に向かって延在している。プラグ信号導体1300は、少なくとも1箇所の係合点、即ちプラグ信号導体干渉位置1390を有する。各プラグ電源導体1500は、少なくとも1つのプラグ電源導体干渉位置1510を有する。各プラグ信号導体干渉位置1390及び各プラグ電源導体干渉位置1510には、少なくとも1箇所の幅又は厚さの変化があり、当該変化の領域は係合点領域と呼ばれ、プラグハウジング1100とハードな干渉を形成する。プラグ電源導体1500はプラグハウジング1100内に挿入され、プラグ電源導体1500とプラグ信号導体1300との間、及びプラグ電源導体1500とプラグ電源導体1500との間の間隔は、伝送される電流の大きさ及びオスソケット電圧に応じて、対応的に設定され、本発明の各実施例においては、これに対して特に限定しない。プラグ接地導体1600を用いて、接地-信号-信号-接地-信号-信号-接地の配列方式に従って、プラグコネクタ中の接地の役割を果たすプラグ信号導体(即ち、プラグ信号導体構造1309)を相互接続する。プラグ接地導体1600とプラグ信号導体1300の導通部位との間は、少なくとも1つのプラグ信号導体構造間の間隔が位置ずれる(即ち、少なくとも1つのPIN間隔が位置ずれる)。当該導通部位をプラグ接地端部と呼ぶことができ、例えば、当該プラグ接地端部は、いくつかの一定のPIN間隔(隣接する2つのソケット信号導体構造間の間隔が1つのPINである)おきに周期的に配列され、
図11に示されるように、プラグ接地導体1600の第1のプラグ接地端部1601と第3のプラグ接地端部1603とは、2つのPIN間隔をおいている。
【0057】
図11を併せて参照すると、一方の組のプラグ信号導体1300には、第1のプラグ信号導体構造1301、第3のプラグ信号導体1303、第5のプラグ信号導体1305、及び第7のプラグ信号導体1307などの規則的に配列されたプラグ信号導体構造が設けられ、他方の組のプラグ信号導体1300には、第2のプラグ信号導体1302、第4のプラグ信号導体1304、第6のプラグ信号導体1306、及び第8のプラグ信号導体1308などの規則的に配列されたプラグ信号導体構造が設けられる。
図12及び
図13を併せて参照すると、プラグ接地導体1600には、第1のプラグ接地端部1601、第2のプラグ接地端部1602、第3のプラグ接地端部1603、第4のプラグ接地端部1604、及び第5のプラグ接地端部1605などが設けられる。ここで、第1のプラグ接地端部1601、第3のプラグ接地端部1603、及び第5のプラグ接地端部1605などのプラグ接地端部は、1列に規則的に配列され、第2のプラグ接地端部1602、及び第4のプラグ接地端部1604などのプラグ接地端部は、もう1列に規則的に配列される。第1のプラグ信号導体構造1301は接地端として第1のプラグ接地端部1601に接続され、その後、2つのプラグ信号導体構造を間隔とし、即ち、第3のプラグ信号導体1303及び第5のプラグ信号導体1305は接地せず、第7のプラグ信号導体1307は接地端として第3のプラグ接地端部1603に接続される。このように推論する。第2のプラグ信号導体1302と第1のプラグ信号導体構造1301とは、対向して配置されるとともに、位置ずれで配置され、第2のプラグ信号導体1302は接地端として第2のプラグ接地端部1602に接続され、その後、2つのプラグ信号導体構造を間隔とし、即ち、第4のプラグ信号導体1304及び第6のプラグ信号導体1306が接地せず、第8のプラグ信号導体1308は接地端として第4のプラグ接地端部1604に接続される。このように推論する。
【0058】
上記の各図面を組み合わせて分かるように、2組のソケット信号導体2300は、位置ずれで配置され、各組のソケット信号導体2300は、複数のソケット信号導体構造2301を含み、各ソケット信号導体構造2301には、少なくとも1つのソケット信号取付干渉位置2310が設けられ、各ソケット電源導体2500には、少なくとも1つのソケット電源取付干渉位置2510が設けられる。ソケット下部ハウジング2200は、各ソケット信号取付干渉位置2310及び各ソケット電源取付干渉位置2510に係合して取り付けられる。ソケット接地導体2600は、ソケット下部ハウジング2200に固定されるとともに、各組のソケット信号導体2300中の一部のソケット信号導体構造2301に接続され、ソケット上部ハウジング2100は、挿入接続(例えば係合)によってソケット下部ハウジング2200に取り付けられる。プラグコネクタ1000の2組のプラグ信号導体1300も、位置ずれで配置され、2組のプラグ信号導体1300中の各プラグ信号導体構造1309は、プラグコネクタ1000とソケットコネクタ2000との接続状態で電気的接触を実現するために、2組のソケット信号導体2300の各ソケット信号導体構造2301に1対1で対応する。
【0059】
2組のプラグ電源導体1500は、2組のソケット電源導体2500にそれぞれ密接に当接し、同様に、2組のプラグ信号導体1300は、2組のソケット信号導体2300にそれぞれ密接に当接する。プラグハウジング1100は、2組のプラグ電源導体1500及び2組のプラグ信号導体1300によって2組のソケット電源導体2500及び2組のソケット信号導体2300にそれぞれ当接して(又は挿入接続、係合接続と呼ぶ)、ソケット上部ハウジング2100に接続される。ソケット上部ハウジング2100も、2組のソケット信号導体2300及び2組のソケット電源導体2500によってソケット下部ハウジング2200に接続される。そのため、ソケット上部ハウジング2100のプラグハウジング1100に対する位置は、導体間の密接な当接によって相対的に固定されるものである。ソケット信号導体構造2301及びソケット電源導体構造2501の中間屈曲部は、固定されず、使用環境である程度の移動が発生するため、ソケット下部ハウジング2200は、ソケット上部ハウジング2100に対して浮動し、一定の位置範囲内で移動可能であると理解してもよい。そのため、プラグコネクタ1000とソケットコネクタ2000とは浮動して着脱可能に接続されていると理解されてもよい。
【0060】
図9、
図12及び
図14を併せて参照すると、各プラグ信号導体構造1309には、少なくとも1つのプラグ信号導体干渉位置1390が設けられる。各プラグ電源導体1500には、少なくとも1つのプラグ電源導体干渉位置1510が設けられる。プラグハウジング1100は、各プラグ信号導体干渉位置1390及び各プラグ電源導体干渉位置1510に係合して取り付けられ、プラグ接地導体1600は、プラグハウジング1100に固定されるとともに、各組のプラグ信号導体1300中の一部のプラグ信号導体構造1309に接続される。
【0061】
図15及び
図16を併せて参照すると、プラグ信号導体構造1309には、信号導体溶接脚部1310、弾性変形部1320、及び信号導体溶接脚部1310と弾性変形部1320との間に位置する信号導体位置決め凸部1340が設けられる。本実施例においては、信号導体位置決め凸部1340に対応する信号導体位置決め孔1330が更に設けられ、弾性変形部1320は、プラグコネクタ1000とソケットコネクタ2000とが接続された状態で対応するソケット信号導体構造2301に弾性的に当接して電気的接触を実現するために用いられ、信号導体位置決め凸部1340は、プラグ接地導体1600のプラグ接地端部又はプラグハウジング1100に当接するために用いられる。本実施例において、プラグ信号導体構造1309は、プラグ信号導体干渉位置1390に隣接する又はそれから離れる位置に少なくとも1つの幅又は厚さの調整部位が設けられ、プラグ信号導体構造1309には、協力して共にプラグハウジング1100を取り付けて固定するための信号導体第1の干渉位置1350、信号導体第2の干渉位置1360、信号導体第3の干渉位置1370、及び信号導体第4の干渉位置1380が設けられる。
【0062】
一実施例において、車載電子装置は、いずれかの実施例に記載の電気コネクタを備える。一実施例において、車載電子装置は、ナビゲーション、サウンドプレーヤー、ビデオプレーヤー、エアコン、及び監視装置などを含む。一実施例において、前記電気コネクタは、前記車載電子装置の浮動基板対基板の接続箇所に用いられる。
【0063】
更に、上記の説明から分かるように、ソケットコネクタは、革新的に、R形状の屈曲を有するソケット導体形状を使用し、ソケット導体の溶接脚部は、回路基板に溶接される。ソケット下部ハウジングは、ソケット導体の溶接脚部に近い係合点干渉部に取り付けられる。ソケット下部ハウジングの両端に取り付けられた補強溶接脚によって、ソケット下部ハウジングは、ソケット導体に固定され得、更に回路基板に固定される。プラグコネクタとソケットコネクタとの中心線に偏差が発生した後に、2つのコネクタをドッキングさせる時に、ソケット導体がR形状の屈曲部を有するため、R形状の屈曲部は変形可能であり、組立寸法誤差及び応力を吸収することができる。なお、R形状の屈曲部には変形を分散可能な位置が複数存在するため、ソケット導体は総変形をよりバランスよくその複数の部位に分散することができ、これによりソケット導体が変形した際の導体の特性インピーダンスの変化の大きさを効果的に低減し、より良い高速データ伝送の性能を実現することができる。また、ソケットコネクタのソケット導体及びプラグコネクタのプラグ導体にはいずれも少なくとも1つの厚さ又は幅の変化が存在するため、導体の力学性能の最適化を実現できるほか、導体信号伝送の信号完全性の最適化を実現でき、電気コネクタの大きな取付許容差状態での電気性能が制御可能な状態にあるように確保することができる。更に、導体の配列について、ソケットコネクタ及びプラグコネクタは、いずれも、革新的に2列の並べて配列された導体を位置ずれて配列し、少なくとも1つのPIN間隔だけ位置がずれているとともに、2列の導体間で、少なくとも1つの追加の接地導体を用いて2列の導体中のシールド接地の役割を果たす全ての導体を導通させ、これにより、電気コネクタにおいて肩対肩及び面対面で配置された差動ペア間のクロストークの低減を実現し、電気コネクタの大きな取付許容差状態での電気性能が制御可能な状態にあるように確保することができる。
【0064】
実際の測定では、電気コネクタは、取付誤差が大きく、高振動環境、高温環境などを含む悪い場面での使用環境での信頼的な接続を実現できるほか、10Gbps以上の信号伝送能力を備え、且つ、信号伝送に加えて、ソケット導体を設計することにより、電気コネクタはより大きな電流を伝送することができる。
【0065】
なお、本発明の他の実施例は、上記各実施例における技術的特徴を互いに組み合わせて形成された、実施可能な電気コネクタ及び車載電子装置を更に含む。
【0066】
上記の実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることができ、説明を簡潔にするために、上記の実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせを全て説明していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、全て本明細書に記載された範囲内にいると見なすべきである。上記の実施例は、本願のいくつかの実施形態を示しているに過ぎず、その叙述は具体的かつ詳細であるが、本願の発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。当業者であれば、本願の思想から逸脱することなく、本願の範囲に含まれるいくつかの変形および改善を行うことができることに留意されたい。したがって、本願の特許の範囲は、添付の特許請求の範囲に従うものとする。
【符号の説明】
【0067】
1000 プラグコネクタ、2000 ソケットコネクタ、2100 ソケット上部ハウジング、2200 ソケット下部ハウジング、2300 ソケット信号導体、2400 ソケット溶接補強脚、2500 ソケット電源導体、2600 ソケット接地導体、1100 プラグハウジング、1300 プラグ信号導体、1400 プラグ溶接補強脚、1500 プラグ電源導体、1600 プラグ接地導体、1301 第1のプラグ信号導体構造、1302 第2のプラグ信号導体、1303 第3のプラグ信号導体、1304 第4のプラグ信号導体、1305 第5のプラグ信号導体、1306 第6のプラグ信号導体、1307 第7のプラグ信号導体、1308 第8のプラグ信号導体、1309 プラグ信号導体構造、1601 第1のプラグ接地端部、1602 第2のプラグ接地端部、1603 第3のプラグ接地端部、1604 第4のプラグ接地端部、1605 第5のプラグ接地端部、1310 信号導体溶接脚部、1320 弾性変形部、1330 信号導体位置決め孔、1340 信号導体位置決め凸部、1350 信号導体第1の干渉位置、1360 信号導体第2の干渉位置、1370 信号導体第3の干渉位置、1380 信号導体第4の干渉位置、1390 プラグ信号導体干渉位置、1510 プラグ電源導体干渉位置、2301 ソケット信号導体構造、2310 ソケット信号取付干渉位置、2320 ソケット信号位置決め凸部、2501 ソケット電源導体構造、2510 ソケット電源取付干渉位置、L1 位置ずれ距離、L2 間隔、L3 中心距離。