(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/00 20240101AFI20240809BHJP
【FI】
G06Q50/00 300
(21)【出願番号】P 2024037550
(22)【出願日】2024-03-11
【審査請求日】2024-03-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 徹
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-509947(JP,A)
【文献】特開2003-345888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの行動を示す行動情報であって、所定のコミュニティに参加する複数のユーザそれぞれの行動情報を学習した行動学習モデルであって、行動情報を入力とし、入力された行動情報が示すユーザの行動が当該コミュニティに所属するユーザの行動と推定される程度を示す程度情報を出力するよう学習された行動学習モデルを記憶する記憶部と、
前記コミュニティに参加していないユーザの行動を示す行動情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した行動情報を前記行動学習モデルに入力し、程度情報を出力させる評価部と、
前記評価部が出力させた程度情報に基づいて、当該ユーザに前記コミュニティの情報を通知するか否かを判定する判定部と、
前記判定部が当該ユーザに通知することを判定する場合、当該ユーザの情報端末に前記コミュニティに関する情報を表示させるよう制御する表示制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、事前学習された汎用言語モデルである汎用学習モデルであって、行動情報を入力として、程度情報を出力するよう構成された汎用学習モデルをさらに記憶し、
前記行動学習モデルは、前記汎用学習モデルを前記所定のコミュニティに参加する複数のユーザの行動情報に基づいてファインチューニングした学習済みモデルであり、
前記評価部は、前記行動情報を前記汎用学習モデルに入力し、程度情報をさらに出力させ、
前記判定部は、前記評価部が前記行動学習モデルに出力させた程度情報と、前記評価部が前記汎用学習モデルに出力させた程度情報と、に基づいて、前記取得部が取得した行動情報が対象とするユーザに前記コミュニティの情報を通知するか否かを判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記評価部が前記行動学習モデルに出力させた程度情報と、前記評価部が前記汎用学習モデルに出力させた程度情報と、の大小関係が所定の条件を満たす場合に、前記取得部が取得した行動情報が対象とするユーザに前記コミュニティの情報を通知するか否かを判定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記憶部は、複数の異なるコミュニティそれぞれについて、各コミュニティに参加する複数のユーザの行動を示す行動情報を学習した複数の行動学習モデルを記憶し、
前記評価部は、前記取得部が取得した行動情報を複数の行動学習モデルそれぞれに入力し、各行動学習モデルが対象とするコミュニティについての程度情報をそれぞれ出力させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記評価部が出力させた各コミュニティについての程度情報に基づいて、前記取得部が取得した行動情報が対象とするユーザにいずれかのコミュニティの情報を通知するか否かを判定し、
前記表示制御部は、前記判定部がコミュニティの情報を通知することを判定した場合、複数の異なるコミュニティのうち、前記評価部が出力させた程度情報のうち、最もユーザが属する程度が高いことを示す程度情報が対象とするコミュニティに関する情報を前記ユーザの情報端末に表示させるよう制御する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記コミュニティに参加していない複数のユーザそれぞれの行動情報を取得し、
前記評価部は、前記取得部が取得した複数のユーザそれぞれの行動情報を前記行動学習モデルに入力し、当該行動情報が対象とする複数のユーザそれぞれについての程度情報を出力させ、
前記情報処理装置は、
前記評価部が出力させた複数のユーザそれぞれについての程度情報に基づいて、前記取得部が取得した行動情報のうち前記行動学習モデルに学習させる行動情報を特定する特定部と、
前記特定部が特定した行動情報を前記行動学習モデルにさらに学習させる学習部と、
をさらに有する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記コミュニティに参加していないユーザの複数の行動情報を取得し、
前記評価部は、前記複数の行動情報を前記行動学習モデルに入力し、当該行動情報それぞれについての程度情報を出力させ、
前記情報処理装置は、
前記評価部が出力させた前記複数の行動情報それぞれに対応する程度情報に基づいて、前記複数の行動情報のうち前記行動学習モデルに学習させる行動情報を特定する特定部と、
前記特定部が特定した行動情報を前記行動学習モデルにさらに学習させる学習部と、
をさらに有する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記コミュニティに参加していないユーザの複数の行動情報を取得し、
前記評価部は、前記取得部が取得した前記複数の行動情報を前記行動学習モデルに入力し、程度情報を出力させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが実行する、
ユーザの行動を示す行動情報であって、所定のコミュニティに参加していないユーザの行動を示す行動情報を取得する取得ステップと、
前記取得するステップにおいて取得した行動情報を、記憶部が記憶する、前記所定のコミュニティに参加する複数のユーザそれぞれの行動情報を学習した行動学習モデルであって、行動情報を入力とし、入力された行動情報が示すユーザの行動が当該コミュニティに所属するユーザの行動と推定される程度を示す程度情報を出力するよう学習された行動学習モデルに入力し、程度情報を出力させる評価ステップと、
前記評価ステップにおいて出力された程度情報に基づいて、前記取得ステップにおいて取得された行動情報に対応するユーザに前記コミュニティの情報を通知するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて、当該ユーザに通知することを判定する場合、当該ユーザの情報端末に前記コミュニティに関する情報を表示させるよう制御する表示制御ステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
ユーザの行動を示す行動情報であって、所定のコミュニティに参加していないユーザの行動を示す行動情報を取得する取得ステップと、
前記取得するステップにおいて取得した行動情報を、記憶部が記憶する、前記所定のコミュニティに参加する複数のユーザそれぞれの行動情報を学習した行動学習モデルであって、行動情報を入力とし、入力された行動情報が示すユーザの行動が当該コミュニティに所属するユーザの行動と推定される程度を示す程度情報を出力するよう学習された行動学習モデルに入力し、程度情報を出力させる評価ステップと、
前記評価ステップにおいて出力された程度情報に基づいて、前記取得ステップにおいて取得された行動情報に対応するユーザに前記コミュニティの情報を通知するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて、当該ユーザに通知することを判定する場合、当該ユーザの情報端末に前記コミュニティに関する情報を表示させるよう制御する表示制御ステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
SNS(Social Networking Service)において、ユーザが閲覧しているグループと異なるグループに関する情報を推薦するグループ推薦装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術においては、ユーザが閲覧しているグループに属する他のユーザが属するグループに基づいてユーザに推薦する情報を決定するため、ユーザに適さないグループに関する情報が提供されるという問題が生じる場合があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザの行動に基づいてユーザに適した情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置においては、ユーザの行動を示す行動情報であって、所定のコミュニティに参加する複数のユーザそれぞれの行動情報を学習した行動学習モデルであって、行動情報を入力とし、入力された行動情報が示すユーザの行動が当該コミュニティに所属するユーザの行動と推定される程度を示す程度情報を出力するよう学習された行動学習モデルを記憶する記憶部と、前記コミュニティに参加していないユーザの行動を示す行動情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した行動情報を前記行動学習モデルに入力し、程度情報を出力させる評価部と、前記評価部が出力させた程度情報に基づいて、当該ユーザに前記コミュニティの情報を通知するか否かを判定する判定部と、前記判定部が当該ユーザに通知することを判定する場合、当該ユーザの情報端末に前記コミュニティに関する情報を表示させるよう制御する表示制御部と、を有する。
【0007】
前記記憶部は、事前学習された汎用言語モデルである汎用学習モデルであって、行動情報を入力として、程度情報を出力するよう構成された汎用学習モデルをさらに記憶し、前記行動学習モデルは、前記汎用学習モデルを前記所定のコミュニティに参加する複数のユーザの行動情報に基づいてファインチューニングした学習済みモデルであり、前記評価部は、前記行動情報を前記汎用学習モデルに入力し、程度情報をさらに出力させ、前記判定部は、前記評価部が前記行動学習モデルに出力させた程度情報と、前記評価部が前記汎用学習モデルに出力させた程度情報と、に基づいて、前記取得部が取得した行動情報が対象とするユーザに前記コミュニティの情報を通知するか否かを判定してもよい。
【0008】
前記判定部は、前記評価部が前記行動学習モデルに出力させた程度情報と、前記評価部が前記汎用学習モデルに出力させた程度情報と、の大小関係が所定の条件を満たす場合に、前記取得部が取得した行動情報が対象とするユーザに前記コミュニティの情報を通知するか否かを判定してもよい。
【0009】
前記記憶部は、複数の異なるコミュニティそれぞれについて、各コミュニティに参加する複数のユーザの行動を示す行動情報を学習した複数の行動学習モデルを記憶し、前記評価部は、前記取得部が取得した行動情報を複数の行動学習モデルそれぞれに入力し、各行動学習モデルが対象とするコミュニティについての程度情報をそれぞれ出力させてもよい。
【0010】
前記判定部は、前記評価部が出力させた各コミュニティについての程度情報に基づいて、前記取得部が取得した行動情報が対象とするユーザにいずれかのコミュニティの情報を通知するか否かを判定し、前記表示制御部は、前記判定部がコミュニティの情報を通知することを判定した場合、複数の異なるコミュニティのうち、前記評価部が出力させた程度情報のうち、最もユーザが属する程度が高いことを示す程度情報が対象とするコミュニティに関する情報を前記ユーザの情報端末に表示させるよう制御してもよい。
【0011】
前記取得部は、前記コミュニティに参加していない複数のユーザそれぞれの行動情報を取得し、前記評価部は、前記取得部が取得した複数のユーザそれぞれの行動情報を前記行動学習モデルに入力し、当該行動情報が対象とする複数のユーザそれぞれについての程度情報を出力させ、前記情報処理装置は、前記評価部が出力させた複数のユーザそれぞれについての程度情報に基づいて、前記取得部が取得した行動情報のうち前記行動学習モデルに学習させる行動情報を特定する特定部と、前記特定部が特定した行動情報を前記行動学習モデルにさらに学習させる学習部と、をさらに有してもよい。
【0012】
前記取得部は、前記コミュニティに参加していないユーザの複数の行動情報を取得し、前記評価部は、前記複数の行動情報を前記行動学習モデルに入力し、当該行動情報それぞれについての程度情報を出力させ、前記情報処理装置は、前記評価部が出力させた前記複数の行動情報それぞれに対応する程度情報に基づいて、前記複数の行動情報のうち前記行動学習モデルに学習させる行動情報を特定する特定部と、前記特定部が特定した行動情報を前記行動学習モデルにさらに学習させる学習部と、をさらに有してもよい。
【0013】
前記取得部は、前記コミュニティに参加していないユーザの複数の行動情報を取得し、前記評価部は、前記取得部が取得した前記複数の行動情報を前記行動学習モデルに入力し、程度情報を出力させてもよい。
【0014】
本発明の第2の態様の情報処理方法においては、コンピュータが実行する、ユーザの行動を示す行動情報であって、所定のコミュニティに参加していないユーザの行動を示す行動情報を取得する取得ステップと、前記取得するステップにおいて取得した行動情報を、記憶部が記憶する、前記所定のコミュニティに参加する複数のユーザそれぞれの行動情報を学習した行動学習モデルであって、行動情報を入力とし、入力された行動情報が示すユーザの行動が当該コミュニティに所属するユーザの行動と推定される程度を示す程度情報を出力するよう学習された行動学習モデルに入力し、程度情報を出力させる評価ステップと、前記評価ステップにおいて出力された程度情報に基づいて、前記取得ステップにおいて取得された行動情報に対応するユーザに前記コミュニティの情報を通知するか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて、当該ユーザに通知することを判定する場合、当該ユーザの情報端末に前記コミュニティに関する情報を表示させるよう制御する表示制御ステップと、を有する。
【0015】
本発明の第3の態様のプログラムにおいては、コンピュータに、ユーザの行動を示す行動情報であって、所定のコミュニティに参加していないユーザの行動を示す行動情報を取得する取得ステップと、前記取得するステップにおいて取得した行動情報を、記憶部が記憶する、前記所定のコミュニティに参加する複数のユーザそれぞれの行動情報を学習した行動学習モデルであって、行動情報を入力とし、入力された行動情報が示すユーザの行動が当該コミュニティに所属するユーザの行動と推定される程度を示す程度情報を出力するよう学習された行動学習モデルに入力し、程度情報を出力させる評価ステップと、前記評価ステップにおいて出力された程度情報に基づいて、前記取得ステップにおいて取得された行動情報に対応するユーザに前記コミュニティの情報を通知するか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて、当該ユーザに通知することを判定する場合、当該ユーザの情報端末に前記コミュニティに関する情報を表示させるよう制御する表示制御ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザの行動に基づいてユーザに適した情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態にかかる情報処理システムSの概要を説明するための図である。
【
図2】情報処理装置1の構成を示すブロック図である。
【
図3】評価部132の処理の一例を説明するための図である。
【
図4】評価部132の処理の一例を説明するための図である。
【
図5】評価部132の処理の一例を説明するための図である。
【
図6】情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[情報処理システムSの概要]
図1は、実施形態にかかる情報処理システムSの概要を説明するための図である。情報処理システムSは、ファンコミュニティ(以下、「所定のコミュニティ」という場合がある)を管理するためのシステムである。ファンコミュニティは、特定の商品、サービス、ブランド、趣味、人物、グループ等を愛好するユーザが交流するためのコミュニティである。より具体的には、ファンコミュニティは、参加するユーザが画像、テキスト等を投稿し、他のユーザの投稿を閲覧し、評価し、コメント等をすることによりユーザ同士が交流するSNSである。一例として、情報処理システムSは、情報処理装置1及び情報端末2を有する。
【0019】
情報処理装置1は、ファンコミュニティを管理する装置である。情報処理装置1は、テーマごとに設定された複数のコミュニティそれぞれを管理してもよい。情報処理装置1は、ユーザの情報端末2から投稿を受け付け、コミュニティに投稿された情報を情報端末2に表示させる。情報処理装置1は、ユーザの行動とコミュニティとの親和性を評価し、コミュニティとの親和性の高いユーザに加入を促すメッセージを送信する。
【0020】
情報端末2は、ユーザが使用する端末である。情報端末2は、スマートフォン、タブレット又はパーソナルコンピュータである。情報端末2は、例えばユーザのコミュニティへの投稿を情報処理装置1に送信し、情報処理装置1から取得した情報を表示する。
【0021】
情報処理システムSにおける処理を説明する。情報処理装置1は、所定のコミュニティに加入していないユーザ(以下、「対象ユーザ」と言う)の行動情報を取得する。行動情報は、ユーザの行動を示す情報である。行動情報は、一例として、ユーザがSNSへ投稿した文章、商品の購入履歴又はユーザが使用するデバイスのログである。
【0022】
情報処理装置1は、行動学習モデルを記憶する。行動学習モデルはユーザの行動とコミュニティとの親和性を評価するための学習済みモデルである。行動学習モデルは、行動情報を入力とし、入力された行動情報が示すユーザの行動についての程度情報を出力するよう学習されている。行動学習モデルは、所定のコミュニティに参加する複数のユーザそれぞれの行動情報を教師データとして学習している。程度情報は、行動情報が示すユーザの行動がコミュニティに所属するユーザの行動と推定される程度を示す情報である。行動学習モデルは、汎用的な自然言語処理モデルである汎用学習モデルにコミュニティに参加するユーザの行動情報をあらかじめ学習させることで生成されている。
【0023】
情報処理装置1は、取得した行動情報を行動学習モデルに入力し、程度情報を出力させる。情報処理装置1は、行動学習モデルが出力した程度情報に基づいて、対象ユーザにコミュニティの情報を通知するか否かを判定する。情報処理装置1は、コミュニティの情報を通知することを判定する場合、情報端末2にコミュニティに関する情報を表示させる。コミュニティに関する情報は例えばコミュニティへの加入を促すメッセージである。
【0024】
情報処理システムSがこのように構成されることで、ユーザの行動に基づいてユーザに適した情報を提供することができることが期待できる。
【0025】
[情報処理装置1の構成]
図2は、情報処理装置1の構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。制御部13は、取得部131、評価部132、判定部133、表示制御部134、特定部135及び学習部136を有する。
【0026】
通信部11は、ネットワークを介して他の装置とデータの送受信をするための通信インターフェースである。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。
【0027】
記憶部12は、行動学習モデルを記憶する。記憶部12は、ユーザを識別するためのユーザID(Identification)と、当該ユーザが加入するコミュニティを示す情報と、を関連付けたユーザ情報を記憶していてもよい。
【0028】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部131、評価部132、判定部133、表示制御部134、特定部135及び学習部136として機能する。
【0029】
取得部131は、コミュニティに参加していないユーザの行動を示す行動情報を取得する。一例として、取得部131は、別のコミュニティに参加しているユーザの行動情報を取得する。行動情報は、一例として、投稿するユーザのユーザID、投稿先のコミュニティを示すコミュニティID及び投稿する内容を含む。取得部131は、情報端末2から判定対象のユーザの行動情報を取得する。評価部132は、取得部131が取得した行動情報を行動学習モデルに入力し、程度情報を出力させる。
【0030】
図3を参照して、評価部132の処理の一例を説明する。一例として、評価部132は、取得部131が取得した行動情報A1をトークン(T1~T6)に分解する。トークンは自然言語として処理される最少の単位であり、文字、単語又は特定の商品の購入履歴やデバイスログが示す内容等に対応するベクトルである。評価部132は、行動情報から分解して生成されたトークンを自己回帰的に行動学習モデルに入力し、程度情報を出力させる。この場合、程度情報は、それ以前に入力されたトークンが与えられた場合に、入力されたトークンが連続する条件付き確率である。一例として、評価部132は、それぞれのトークンについて行動学習モデルが出力した条件付き確率の総乗を程度情報として判定部133に入力する。
【0031】
図2に戻り、判定部133は、評価部132が出力させた程度情報に基づいて、当該ユーザにコミュニティの情報を通知するか否かを判定する。一例として、判定部133は、評価部132が出力した程度情報が所定の閾値以上である場合に、対象ユーザにコミュニティの情報を通知することを判定してもよい。
【0032】
表示制御部134は、判定部133が当該ユーザに通知することを判定する場合、当該ユーザの情報端末2にコミュニティに関する情報を表示させるよう制御する。表示制御部134は、判定部133が対象ユーザにコミュニティに関する情報を通知することを判定する場合、一例として、ユーザがコミュニティに加入することを勧めるためのメッセージを情報端末2に表示させるよう制御する。
【0033】
情報処理装置1がこのように構成されることで、ユーザの行動に基づいてユーザに適した情報を提供することができる。
【0034】
情報処理装置1は、同一のユーザの複数の行動情報に基づいて程度情報を出力させるよう構成されてもよい。
図4を参照してこの場合の評価部132の処理の一例を説明する。取得部131は、コミュニティに参加していないユーザの複数の行動情報(A11及びA12)を取得する。評価部132は、取得部131が取得した複数の行動情報を行動学習モデルに入力し、程度情報を出力させる。一例として、評価部132は、コミュニティに参加していないユーザの情報端末2から所定の期間内に取得された行動情報を行動学習モデルに同時に入力する対象とする。所定の期間は行動情報を関連付けるために予め設定された期間であり、例えば数時間や1日等である。
【0035】
評価部132は、取得部131が取得した行動情報それぞれを分解してトークン(T11からT17)を生成する。
図4に示す例の場合、評価部132は行動情報A11に基づいてトークンT11からトークンT16を生成し、行動情報A12に基づいてトークンT17を生成する。評価部132は、生成したトークンT11からT17を行動学習モデルに入力し、程度情報を出力させる。
【0036】
情報処理装置1が行動情報を組み合わせてユーザの行動を評価することで、ユーザにコミュニティの情報を通知するべきか否かをより高い精度で判定できることが期待できる。
【0037】
汎用的な学習モデルが出力した程度情報と行動学習モデルが出力した程度情報とに基づいてユーザに情報を通知するかを判定するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0038】
汎用的な学習モデルが出力した程度情報との差に基づいて、ユーザにコミュニティに関する情報を通知するか否かを判定するよう情報処理装置1が構成されてもよい。この場合、行動学習モデルは、汎用学習モデルを所定のコミュニティに参加する複数のユーザの行動情報に基づいてファインチューニングした学習済みモデルである。汎用学習モデルは、事前学習された汎用言語モデルである。汎用学習モデルは、大量のデータセットに基づいて自然言語処理を実行可能に学習されている。汎用学習モデルは、行動情報を入力として、程度情報を出力するよう構成されている。記憶部12は、汎用学習モデルを記憶する。
【0039】
行動習モデルは、汎用学習モデルと比較して特定のコミュニティに属するユーザの行動情報を教師データとして学習されているため、所定のコミュニティに属するユーザの行動情報が入力された場合に、より所定のコミュニティに属する尤もらしさが高いことを示す程度情報を出力することが期待される点において汎用学習モデルと異なる。
【0040】
評価部132は、取得部131が取得した行動情報を汎用学習モデルに入力し、程度情報を出力させる。判定部133は、評価部132が行動学習モデルに出力させた程度情報と、評価部132が汎用学習モデルに出力させた程度情報と、に基づいて、取得部131が取得した行動情報が対象とするユーザにコミュニティの情報を通知するか否かを判定する。一例として、評価部132は、行動学習モデルが出力した程度情報と、汎用学習モデルが出力した程度情報と、の差を算出し、算出した差が所定の閾値以上である場合にユーザにコミュニティの情報を通知することを判定してもよい。
【0041】
また、判定部133は、評価部132が行動学習モデルに出力させた程度情報と、評価部132が汎用学習モデルに出力させた程度情報と、の大小関係が所定の条件を満たす場合に、取得部131が取得した行動情報が対象とするユーザにコミュニティの情報を通知するか否かを判定する。
【0042】
一例として、汎用学習モデルが出力した程度情報と、行動学習モデルが出力した程度情報と、の比に基づいてユーザにコミュニティの情報を通知するかを判定部133が判定してもよい。例えば、汎用学習モデルが出力した程度情報をP0、行動学習モデルが出力した程度情報をPLとした場合、判定部133は、PL/P0が所定の閾値以上である場合に対象ユーザにコミュニティの情報を通知することを判定する。
【0043】
情報処理装置1がこのように構成されることで、ユーザの行動がコミュニティに属するユーザの行動との親和性が高い場合にユーザにコミュニティに関する情報を通知することができる。
【0044】
情報処理装置1が複数の異なるコミュニティを管理していてもよい。
図5を参照してこの場合の情報処理装置1における処理について説明する。記憶部12は、複数の異なるコミュニティそれぞれについて、各コミュニティに参加する複数のユーザの行動を示す行動情報を学習した複数の行動学習モデル(M
i(i=1…n))を記憶する。
【0045】
評価部132は、取得部131が取得した行動情報を複数の行動学習モデル(Mi)それぞれに入力し、各行動学習モデルが対象とするコミュニティについての程度情報(PLi(i=1…n))をそれぞれ出力させる。このように構成されることで、複数の異なるコミュニティそれぞれについてのコミュニティとの親和性を評価することができる。
【0046】
さらに、複数の異なるコミュニティそれぞれについての程度情報に基づいて、いずれのコミュニティの情報をユーザに通知するかを決定するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
判定部133は、評価部132が出力させた各コミュニティについての程度情報に基づいて、取得部131が取得した行動情報が対象とするユーザにいずれかのコミュニティの情報を通知するか否かを判定する。一例として、判定部133は、複数のコミュニティそれぞれについて出力させた程度情報(PLi)について閾値を超えたか否かを判定し、いずれかの程度情報(PLi)が閾値を超えた場合にユーザにコミュニティの情報を通知することを判定してもよい。また、判定部133は、複数のコミュニティそれぞれについて出力させた程度情報(PLi)について、汎用学習モデルが出力した程度情報との比(PLi/P0)を算出し、いずれかの比が閾値を超えるか否かに基づいてユーザにコミュニティの情報を通知することを判定してもよい。
【0047】
表示制御部134は、判定部133がコミュニティの情報を通知することを判定した場合、複数の異なるコミュニティのうち、評価部132が出力させた程度情報のうち、最もユーザが属する程度が高いことを示す程度情報が対象とするコミュニティに関する情報をユーザの情報端末2に表示させるよう制御する。なお、表示制御部134は、評価部132が出力させた程度情報の降順に予め定められた件数(例えば3件、5件又は10件)のコミュニティに関する情報をユーザの情報端末2に表示させるよう制御してもよい。また、表示制御部134は、程度情報が閾値を超えたコミュニティそれぞれの情報をユーザの情報端末2に表示させるよう制御してもよい。
【0048】
コミュニティに参加していないユーザであって、コミュニティに属するユーザの行動と親和性の高いユーザの行動情報を行動学習モデルにさらに学習させることで、行動学習モデルの判定精度を向上させることができる。
【0049】
取得部131は、コミュニティに参加していない複数のユーザそれぞれの行動情報を取得する。評価部132は、取得部131が取得した複数のユーザそれぞれの行動情報を行動学習モデルに入力し、当該行動情報が対象とする複数のユーザそれぞれについての程度情報を出力させる。
【0050】
特定部135は、評価部132が出力させた複数のユーザそれぞれについての程度情報に基づいて、取得部131が取得した行動情報のうち行動学習モデルに学習させる行動情報を特定する。一例として、特定部135は、所定の閾値以上であることを示す程度情報を出力するために入力された行動情報を、行動学習モデルに学習させる行動情報として特定してもよい。また、行動学習モデルが出力した程度情報と、同一の行動情報に基づいて汎用学習モデルが出力した程度情報と、の比が所定の閾値以上である行動情報を行動学習モデルに学習させる行動情報として特定部135は特定してもよい。学習部136は、特定部135が特定した行動情報を行動学習モデルにさらに学習させる。
【0051】
また、単一のユーザの複数の行動情報を行動学習モデルに学習させるよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0052】
取得部131は、コミュニティに参加していないユーザの複数の行動情報を取得する。
評価部132は、取得部131が取得した複数の行動情報を行動学習モデルに入力し、当該行動情報それぞれについての程度情報を出力させる。
【0053】
特定部135は、評価部132が出力させた複数の行動情報それぞれに対応する程度情報に基づいて、複数の行動情報のうち行動学習モデルに学習させる行動情報を特定する。特定部135が行動学習モデルに学習させる行動情報を特定する方法は上述したとおりである。そして、学習部136は、特定部135が特定した行動情報を行動学習モデルにさらに学習させる。
【0054】
[情報処理装置1における処理の流れ]
図6は、情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
図6に示すフローチャートは、コミュニティの加入を促すメッセージを送信可能になった時点から開始している。
【0055】
取得部131は、行動情報を取得する(S01)。評価部132は、取得した行動情報を行動学習モデルに入力し、程度情報を出力させる(S02)。評価部132は、取得した行動情報を汎用学習モデルに入力し、程度情報を出力させる(S03)。
【0056】
判定部133は、行動学習モデルが出力した程度情報と、汎用学習モデルが出力した程度情報と、に基づいて、ユーザにコミュニティの情報を通知するか否かを判定する(S04)。
【0057】
判定部133がユーザにコミュニティの情報を通知することを判定する場合(S04におけるYES)、行動情報が対象とするユーザの情報端末2にコミュニティの情報を表示させ(S05)、情報処理装置1は処理を終了する。
【0058】
判定部133がユーザにコミュニティの情報を通知することを判定しない場合(S04におけるNO)、情報処理装置1は処理を終了する。
【0059】
[情報処理装置1による効果]
情報処理装置1がこのように構成されることで、ユーザの行動に基づいてユーザに適した情報を提供できることが期待できる。
【0060】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0061】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0062】
1 情報処理装置
2 情報端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 取得部
132 評価部
133 判定部
134 表示制御部
135 特定部
136 学習部
【要約】 (修正有)
【課題】ユーザの行動に基づいてユーザに適した情報を提供する情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置1は、ユーザの行動を示す行動情報を入力とし、入力された行動情報が示すユーザの行動が当該コミュニティに所属するユーザの行動と推定される程度を示す程度情報を出力するよう学習された行動学習モデルを記憶する記憶部12と、コミュニティに参加していないユーザの行動を示す行動情報を取得する取得部131と、取得部131が取得した行動情報を行動学習モデルに入力し、程度情報を出力させる評価部132と、評価部132が出力させた程度情報に基づいて、当該ユーザにコミュニティの情報を通知するか否かを判定する判定部133と、判定部133が当該ユーザに通知することを判定する場合、当該ユーザの情報端末2にコミュニティに関する情報を表示させるよう制御する表示制御部134と、を有する。
【選択図】
図2