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特許7536220幸福度モデル生成装置、幸福度計算装置、幸福度計算システム、幸福度モデル生成方法、幸福度計算方法、幸福度モデル生成プログラム、及び幸福度計算プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】幸福度モデル生成装置、幸福度計算装置、幸福度計算システム、幸福度モデル生成方法、幸福度計算方法、幸福度モデル生成プログラム、及び幸福度計算プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240809BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2024534455
(86)(22)【出願日】2023-02-13
(86)【国際出願番号】 JP2023004844
【審査請求日】2024-06-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 隆義
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 輔祐太
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 理子
(72)【発明者】
【氏名】南 和宏
(72)【発明者】
【氏名】田辺 新一
(72)【発明者】
【氏名】深和 佑太
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-174010(JP,A)
【文献】特開2014-167717(JP,A)
【文献】特開2007-280049(JP,A)
【文献】特開2022-134690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象人に対して幸福度調査アンケートを実施した結果に基づいて前記対象人の幸福度を推定するモデルであって、前記対象人の仕事に関係がある因子と、前記対象人の私生活に関係がある因子である第1私生活因子と、前記対象人の私生活に関係がある因子のうち前記第1私生活因子には含まれない因子である第2私生活因子との3つの因子から幸福度を説明するモデルである幸福度モデルを構築するためのアンケートをモデル構築用アンケートとして構築するアンケート内容構築部と、
前記モデル構築用アンケートのアンケート項目のうち前記モデル構築用アンケートを実施した結果に基づいて抽出された幸福度を把握するアンケート項目と、前記モデル構築用アンケートのアンケート項目のうち前記モデル構築用アンケートを実施した結果に基づいて抽出された幸福度と相関があるアンケート項目とに基づいて前記幸福度モデルを構築する幸福度モデル構築部と
を備え、
前記幸福度調査アンケートは、前記幸福度モデルに対して入力する情報を取得するためのアンケートである幸福度モデル生成装置。
【請求項2】
前記モデル構築用アンケートのアンケート項目の文言は、前記モデル構築用アンケートの回答者が前記回答者にとっての最高の状態からの乖離をイメージして回答することができるような文言である請求項1に記載の幸福度モデル生成装置。
【請求項3】
前記幸福度モデル構築部は、共分散構造分析を用いて前記幸福度モデルを構築する請求項1又は2に記載の幸福度モデル生成装置。
【請求項4】
対象人に対して幸福度調査アンケートを実施した結果に基づいて前記対象人の幸福度を推定するモデルであって、前記対象人の仕事に関係がある因子と、前記対象人の私生活に関係がある因子である第1私生活因子と、前記対象人の私生活に関係がある因子のうち前記第1私生活因子には含まれない因子である第2私生活因子との3つの因子から幸福度を説明するモデルである幸福度モデルと、前記幸福度調査アンケートを前記対象人に対して実施した結果とを用いて前記対象人の幸福度を算出する幸福度算出部
を備え、
前記幸福度調査アンケートは、前記幸福度モデルに対して入力する情報を取得するためのアンケートである幸福度計算装置。
【請求項5】
前記幸福度モデルにおいて、複数の項目が階層化されており、前記複数の項目の各項目に対応する寄与率が設定されており、
前記幸福度計算装置は、さらに、
前記幸福度モデルが示す項目のうち算出された幸福度に対する寄与率が高寄与基準値以上である項目と、前記幸福度モデルが示す項目のうち算出された幸福度に対する寄与率が低寄与基準値以下である項目との少なくともいずれかを抽出する集計値比較部
を備える請求項4に記載の幸福度計算装置。
【請求項6】
各々が前記幸福度モデルである複数の幸福度モデルが用意されており、前記複数の幸福度モデルの各幸福度モデルは個人属性に応じて用意されたモデルであるとき、
前記幸福度計算装置は、さらに、
前記対象人の個人属性に応じて前記複数の幸福度モデルの中から幸福度モデルを選択する幸福度モデル選定部
を備え、
前記幸福度算出部は、選択された幸福度モデルを用いて前記対象人の幸福度を算出する請求項4又は5に記載の幸福度計算装置。
【請求項7】
前記幸福度計算装置は、さらに、
客観性があるデータである客観データに基づいて、前記幸福度調査アンケートのアンケート項目のうち少なくとも一部のアンケート項目の回答を推定するアンケート推定部
を備える請求項4又は5に記載の幸福度計算装置。
【請求項8】
前記幸福度計算装置は、さらに、
算出された幸福度を示すデータから成る時系列データを格納する幸福度データベースと、
前記幸福度データベースに格納されている時系列データに基づいて幸福度の変化を判定する幸福度変化判定部と
を備える請求項4又は5に記載の幸福度計算装置。
【請求項9】
前記幸福度計算装置は、さらに、
算出された幸福度に基づいて、対象建造物における環境目標値を決定する環境目標値決定部と、
決定された環境目標値に基づいて前記対象建造物の設備を制御する設備パラメータを設定する設備パラメータ設定部と
を備える請求項4又は5に記載の幸福度計算装置。
【請求項10】
請求項9に記載の幸福度計算装置と、
前記対象建造物の設備であって、設定された設備パラメータに従って制御される設備である対象設備と
を備える幸福度計算システム。
【請求項11】
コンピュータが、対象人に対して幸福度調査アンケートを実施した結果に基づいて前記対象人の幸福度を推定するモデルであって、前記対象人の仕事に関係がある因子と、前記対象人の私生活に関係がある因子である第1私生活因子と、前記対象人の私生活に関係がある因子のうち前記第1私生活因子には含まれない因子である第2私生活因子との3つの因子から幸福度を説明するモデルである幸福度モデルを構築するためのアンケートをモデル構築用アンケートとして構築し、
前記コンピュータが、前記モデル構築用アンケートのアンケート項目のうち前記モデル構築用アンケートを実施した結果に基づいて抽出された幸福度を把握するアンケート項目と、前記モデル構築用アンケートのアンケート項目のうち前記モデル構築用アンケートを実施した結果に基づいて抽出された幸福度と相関があるアンケート項目とに基づいて前記幸福度モデルを構築する幸福度モデル生成方法であって、
前記幸福度調査アンケートは、前記幸福度モデルに対して入力する情報を取得するためのアンケートである幸福度モデル生成方法。
【請求項12】
コンピュータが、対象人に対して幸福度調査アンケートを実施した結果に基づいて前記対象人の幸福度を推定するモデルであって、前記対象人の仕事に関係がある因子と、前記対象人の私生活に関係がある因子である第1私生活因子と、前記対象人の私生活に関係がある因子のうち前記第1私生活因子には含まれない因子である第2私生活因子との3つの因子から幸福度を説明するモデルである幸福度モデルと、前記幸福度調査アンケートを前記対象人に対して実施した結果とを用いて前記対象人の幸福度を算出する幸福度計算方法であって、
前記幸福度調査アンケートは、前記幸福度モデルに対して入力する情報を取得するためのアンケートである幸福度計算方法。
【請求項13】
対象人に対して幸福度調査アンケートを実施した結果に基づいて前記対象人の幸福度を推定するモデルであって、前記対象人の仕事に関係がある因子と、前記対象人の私生活に関係がある因子である第1私生活因子と、前記対象人の私生活に関係がある因子のうち前記第1私生活因子には含まれない因子である第2私生活因子との3つの因子から幸福度を説明するモデルである幸福度モデルを構築するためのアンケートをモデル構築用アンケートとして構築するアンケート内容構築処理と、
前記モデル構築用アンケートのアンケート項目のうち前記モデル構築用アンケートを実施した結果に基づいて抽出された幸福度を把握するアンケート項目と、前記モデル構築用アンケートのアンケート項目のうち前記モデル構築用アンケートを実施した結果に基づいて抽出された幸福度と相関があるアンケート項目とに基づいて前記幸福度モデルを構築する幸福度モデル構築処理と
をコンピュータである幸福度モデル生成装置に実行させる幸福度モデル生成プログラムであって、
前記幸福度調査アンケートは、前記幸福度モデルに対して入力する情報を取得するためのアンケートである幸福度モデル生成プログラム。
【請求項14】
対象人に対して幸福度調査アンケートを実施した結果に基づいて前記対象人の幸福度を推定するモデルであって、前記対象人の仕事に関係がある因子と、前記対象人の私生活に関係がある因子である第1私生活因子と、前記対象人の私生活に関係がある因子のうち前記第1私生活因子には含まれない因子である第2私生活因子との3つの因子から幸福度を説明するモデルである幸福度モデルと、前記幸福度調査アンケートを前記対象人に対して実施した結果とを用いて前記対象人の幸福度を算出する幸福度算出処理
をコンピュータである幸福度計算装置に実行させる幸福度計算プログラムであって、
前記幸福度調査アンケートは、前記幸福度モデルに対して入力する情報を取得するためのアンケートである幸福度計算プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、幸福度モデル生成装置、幸福度計算装置、幸福度計算システム、幸福度モデル生成方法、幸福度計算方法、幸福度モデル生成プログラム、及び幸福度計算プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人の幸福度を可視化した結果を、オフィスワーカーのパフォーマンス向上に役立てる研究がなされている。
非特許文献1は、ウェアラブルデバイスを用いて収集した活動量から身体活動の継続時間の頻度分布を分析し、分析した頻度分布のあり方からユーザの幸福度を推定する技術を開示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】“ウエアラブル技術による幸福感の計測―知識労働やサービス業務の生産性を飛躍させるテクノロジー―”、日立評論、2015年6・7月合併号 pp.78-83、株式会社日立製作所.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1が開示している技術によれば、活動量の分布から幸福度を推定することができるが、幸福度に影響する要因を特定することができないという課題がある。
本開示は、幸福度を推定する技術において、幸福度に影響する要因を特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る幸福度モデル生成装置は、
対象人に対して幸福度調査アンケートを実施した結果に基づいて前記対象人の幸福度を推定するモデルであって、前記対象人の仕事に関係がある因子と、前記対象人の私生活に関係がある因子である第1私生活因子と、前記対象人の私生活に関係がある因子のうち前記第1私生活因子には含まれない因子である第2私生活因子との3つの因子から幸福度を説明するモデルである幸福度モデルを構築するためのアンケートをモデル構築用アンケートとして構築するアンケート内容構築部と、
前記モデル構築用アンケートのアンケート項目のうち前記モデル構築用アンケートを実施した結果に基づいて抽出された幸福度を把握するアンケート項目と、前記モデル構築用アンケートのアンケート項目のうち前記モデル構築用アンケートを実施した結果に基づいて抽出された幸福度と相関があるアンケート項目とに基づいて前記幸福度モデルを構築する幸福度モデル構築部と
を備え、
前記幸福度調査アンケートは、前記幸福度モデルに対して入力する情報を取得するためのアンケートである。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、幸福度モデル構築部は、3つの因子から幸福度を説明する幸福度モデルを構築する。ここで、構築された幸福度モデルを用いて対象人の幸福度を推定することができる。従って、本開示によれば、幸福度を推定する技術において、幸福度に影響する要因を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1に係る幸福度モデル生成装置100の構成例を示す図。
図2】幸福度モデル141を説明する図。
図3】実施の形態1に係る幸福度計算装置200の構成例を示す図。
図4】実施の形態1に係る幸福度モデル生成装置100のハードウェア構成例を示す図。
図5】実施の形態1に係る幸福度モデル生成装置100の動作を示すフローチャート。
図6】実施の形態1に係る幸福度計算装置200の動作を示すフローチャート。
図7】実施の形態1の変形例に係る幸福度モデル生成装置100のハードウェア構成例を示す図。
図8】実施の形態2に係る幸福度計算装置200の構成例を示す図。
図9】実施の形態2に係る幸福度計算装置200の動作を示すフローチャート。
図10】実施の形態3に係る幸福度モデル生成装置100の構成例を示す図。
図11】実施の形態3に係る幸福度計算装置200の構成例を示す図。
図12】実施の形態3に係る幸福度モデル生成装置100の動作を示すフローチャート。
図13】実施の形態3に係る幸福度計算装置200の動作を示すフローチャート。
図14】実施の形態4に係る幸福度計算システム90の構成例を示す図。
図15】実施の形態4に係る幸福度計算システム90の動作を示すフローチャート。
図16】実施の形態5に係る幸福度計算装置200の構成例を示す図。
図17】実施の形態5に係る幸福度計算装置200の動作を示すフローチャート。
図18】実施の形態6に係る幸福度計算装置200の構成例を示す図。
図19】実施の形態6に係る幸福度計算装置200の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態の説明及び図面において、同じ要素及び対応する要素には同じ符号を付している。同じ符号が付された要素の説明は、適宜に省略又は簡略化する。図中の矢印はデータの流れ又は処理の流れを主に示している。また、「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」又は「サーキットリー」に適宜読み替えてもよい。
【0009】
実施の形態1.
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係る幸福度モデル生成装置100の構成例を示している。幸福度モデル生成装置100は、図1に示すように、アンケート内容構築部110と、アンケート収集部120と、アンケート結果抽出部130と、幸福度モデル構築部140と、幸福度モデル出力部150とを備える。
【0011】
アンケート内容構築部110は、アンケート111を構築する。
アンケート内容構築部110は、アンケートのテンプレートを用いてアンケート111を構築してもよい。アンケート内容構築部110は、テンプレートを用いる場合において、具体例として、テンプレートから質問内容を選定し、テンプレートが示す質問文の形式を変換する。ここで、友人の数に関する質問、又は年収に関する質問等は定量的に回答することもできる質問であるものの、友人の数に基づく幸福度の評価、又は年収に基づく幸福度の評価等には個人差がある。そこで、質問を「xxは理想的ですか」という表現の質問に変更することにより、回答者に、回答者にとっての最高の状態からの乖離をイメージして質問に回答してもらう。最高の状態は、非現実的な理想状態であってもよく、現実的な理想状態であってもよい。なお、「xxに満足していますか」という表現の質問は、最低限の状態からの乖離を回答者にイメージさせてしまうことがあり、幸福度に関する個人差が表現されにくい質問であるために推奨されない。即ち、モデル構築用アンケートのアンケート項目の文言は、モデル構築用アンケートの回答者が回答者にとっての最高の状態からの乖離をイメージして回答することができるような文言である。
【0012】
アンケート111は、幸福度モデル141を構築するためのアンケートであり、モデル構築用アンケートとも呼ばれる。この際、アンケート内容構築部110は、質問内容を選定し、選定した質問内容に対応する質問文を作成する。アンケート111は、通常は多数の項目から成る。幸福度モデル141は、対象人に対して幸福度調査アンケートを実施した結果に基づいて対象人の幸福度を推定するモデルであって、対象人の仕事に関係がある因子と、対象人の第1私生活因子と、対象人の第2私生活因子との3つの因子から幸福度を説明するモデルである。第1私生活因子は、私生活に関係がある因子である。第2私生活因子は、私生活に関係がある因子のうち第1私生活因子には含まれない因子である。幸福度調査アンケートは、幸福度モデル141に対して入力する情報を取得するためのアンケートであり、幸福度を把握するアンケート項目と、幸福度と相関があるアンケート項目とから成る。
アンケート111には、幸福度を把握するアンケート項目と、幸福度と相関があるアンケート項目とが含まれる。
幸福度を把握するアンケート項目は、幸福度モデル141によって求めた幸福度の確からしさ確認するために実施するアンケート項目である。幸福度を把握するアンケート項目は、具体例として、「人生満足尺度」に関するアンケート項目と、「幸せの4つの因子」に関するアンケート項目との少なくともいずれかから成る。「人生満足尺度」の具体例は[参考文献1]に記載されている。「幸せの4つの因子」の具体例は[参考文献2]に記載されている。
幸福度と相関があるアンケート項目は、モデル構築用アンケートを実施した結果のうち、幸福度との相関が見られた項目である。
【0013】
[参考文献1]
E.DIENER、et al.、“The Satisfaction With Life Scale”、Journal of Personality Assessment、1985,49,1、pp.71-75
[参考文献2]
前野隆司著、「幸せのメカニズム 実践・幸福学入門」、講談社、2013年12月
【0014】
アンケート収集部120は、多数の人からのアンケート111の回答を収集する。
【0015】
アンケート結果抽出部130は、アンケート収集部120が収集したアンケート111の回答から、幸福度を把握するアンケート項目の結果と、幸福度と相関があるアンケート項目の結果とを抽出する。
【0016】
幸福度モデル構築部140は、アンケート結果抽出部130が抽出した結果を用いて、プライベートとワーキングとコミュニティとの3つの因子に分かれるように共分散構造分析等の方法を用いて幸福度モデル141を構築する。具体的には、幸福度モデル構築部140は、モデル構築用アンケートのアンケート項目のうちモデル構築用アンケートを実施した結果に基づいて抽出された幸福度を把握するアンケート項目と、モデル構築用アンケートのアンケート項目のうちモデル構築用アンケートを実施した結果に基づいて抽出された幸福度と相関があるアンケート項目とに基づいて幸福度モデル141を構築する。
【0017】
幸福度モデル出力部150は、幸福度モデル構築部140が構築した幸福度モデル141を出力する。
【0018】
図2は、幸福度モデル141の具体例を示している。幸福度モデル141は、各個人の幸福度を、「プライベート」と「ワーキング」と「コミュニティ」との3つの因子から説明するモデルである。「ワーキング」は各個人の仕事に直接的に関係がある因子である。「プライベート」は、各個人の仕事に直接的には関係がない因子のうち、個人の努力、又は個人の日常的な活動等により変更することができる事象に対応する因子である。「コミュニティ」は、各個人の仕事に直接的には関係がない因子のうち、「プライベート」には当たらない因子である。「コミュニティ」は、具体例として、行政事業に対応する因子、社会の評価に対応する因子、又は、他人によって設定された内容に対応する因子である。なお、「ワーキング」は仕事に関係がある因子に当たる。「プライベート」は第1私生活因子に当たる。「コミュニティ」は第2私生活因子に当たる。また、図2の最も左の列に対応するアンケート項目は、幸福度と相関があるアンケート項目に当たる。
3つの因子の各々には幸福度に対する寄与率が与えられている。幸福度モデル141は、統計的に有意な数のモデル構築用アンケートの結果に基づいて共分散構造分析等を用いて各寄与率を求めることにより生成される。また、幸福度モデル141において、「プライベート」と「ワーキング」と「コミュニティ」との各々はさらに複数の因子に分解され、分解前の各因子と分解後の各因子との関係に対して寄与率が設定されている。なお、幸福度モデル141において、複数の項目が階層化されており、複数の項目の各項目に対応する寄与率が設定されている。幸福度モデル141の階層数は5以上であってもよい。幸福度モデル141の末端の層にアンケート結果を入力すると、入力した結果が集計されて最終的に幸福度が算出される。また、各因子の場所を適宜変更してもよい。具体例として、「余暇の過ごし方」をプライベートに属すものとしてもよい。
【0019】
幸福度の計算式の具体例は[数式1]に示す通りである。ここで、Hは幸福度の計算値を示し、Pはプライベート内のアンケート結果集計値を示し、Wは「ワーキング」内のアンケート結果集計値を示し、Cは「コミュニティ」内のアンケート結果集計値を示し、αは「プライベート」因子の寄与率を示し、βは「ワーキング」因子の寄与率を示し、γは「コミュニティ」因子の寄与率を示し、xは「プライベート」内の各項目のアンケート結果集計値を示し、yは「ワーキング」内の各項目のアンケート結果集計値を示し、zは「コミュニティ」内の各項目のアンケート結果集計値を示し、aは「プライベート」内の各項目の寄与率を示し、bは「ワーキング」内の各項目の寄与率を示し、cは「コミュニティ」内の各項目の寄与率を示し、d,e,fはアンケート寄与率を示し、s,t,uはアンケート結果を示す。
【0020】
[数式1]
H=αP+βW+γC
ここで、
P=a1x1+a2x2+…、W=b1y1+b2y2+…、C=c1z1+c2z2+…
である。
また、
x1=d1s1+d2s2+…、x2=d6s6+d7s7+…、…
y1=e1t1+e2t2+…、y2=e6t6+e7t7+…、…
z1=f1u1+f2u2+…、z2=f6u6+f7u7+…、…
である。
【0021】
図3は、幸福度計算装置200の構成例を示している。幸福度計算装置200は、図3に示すように、アンケート収集部210と、幸福度算出部220と、幸福度表示部230とを備える。
【0022】
アンケート収集部210は、幸福度を調査するためのアンケートであって、各個人に回答してもらったアンケートを収集する。アンケート収集部210が収集するアンケートを幸福度調査アンケートとも呼ぶ。アンケート収集部210は、個人毎にアンケート結果を収集してもよく、複数人に回答してもらったアンケートをまとめて収集してもよい。なお、幸福度調査アンケートはアンケート111とは通常は異なる。幸福度調査アンケートは、アンケート111の一部の質問から成ってもよい。幸福度調査アンケートの各アンケート項目は、具体例として5段階評価で回答する項目である。
【0023】
幸福度算出部220は、アンケート収集部210が収集したアンケートと、幸福度モデル141とを用いて幸福度を算出する。即ち、幸福度算出部220は、幸福度モデル141と、幸福度調査アンケートを対象人に対して実施した結果とを用いて対象人の幸福度を算出する。幸福度は、アンケート結果を総合的に判断した結果に当たる。幸福度は、具体例として[参考文献1]に示す手法を利用して算出される値である。
【0024】
幸福度表示部230は、幸福度算出部220が算出した幸福度を表示する。
【0025】
図4は、本実施の形態に係る幸福度モデル生成装置100のハードウェア構成例を示している。幸福度モデル生成装置100はコンピュータから成る。幸福度モデル生成装置100は複数のコンピュータから成ってもよい。
【0026】
幸福度モデル生成装置100は、本図に示すように、プロセッサ11と、メモリ12と、補助記憶装置13と、入出力IF(Interface)14と、通信装置15等のハードウェアを備えるコンピュータである。これらのハードウェアは、信号線19を介して適宜接続されている。
【0027】
プロセッサ11は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)であり、かつ、コンピュータが備えるハードウェアを制御する。プロセッサ11は、具体例として、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、又はGPU(Graphics Processing Unit)である。
幸福度モデル生成装置100は、プロセッサ11を代替する複数のプロセッサを備えてもよい。複数のプロセッサはプロセッサ11の役割を分担する。
【0028】
メモリ12は、典型的には揮発性の記憶装置であり、具体例としてRAM(Random Access Memory)である。メモリ12は、主記憶装置又はメインメモリとも呼ばれる。メモリ12に記憶されたデータは、必要に応じて補助記憶装置13に保存される。
【0029】
補助記憶装置13は、典型的には不揮発性の記憶装置であり、具体例として、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、又はフラッシュメモリである。補助記憶装置13に記憶されたデータは、必要に応じてメモリ12にロードされる。
メモリ12及び補助記憶装置13は一体的に構成されていてもよい。
【0030】
入出力IF14は、入力装置及び出力装置が接続されるポートである。入出力IF14は、具体例として、USB(Universal Serial Bus)端子である。入力装置は、具体例として、キーボード及びマウスである。出力装置は、具体例として、ディスプレイである。
【0031】
通信装置15は、レシーバ及びトランスミッタである。通信装置15は、具体例として、通信チップ又はNIC(Network Interface Card)である。
【0032】
幸福度モデル生成装置100の各部は、他の装置等と通信する際に、入出力IF14及び通信装置15を適宜用いてもよい。
【0033】
補助記憶装置13は幸福度モデル生成プログラムを記憶している。幸福度モデル生成プログラムは、幸福度モデル生成装置100が備える各部の機能をコンピュータに実現させるプログラムである。幸福度モデル生成プログラムは、メモリ12にロードされて、プロセッサ11によって実行される。幸福度モデル生成装置100が備える各部の機能は、ソフトウェアにより実現される。
【0034】
幸福度モデル生成プログラムを実行する際に用いられるデータと、幸福度モデル生成プログラムを実行することによって得られるデータ等は、記憶装置に適宜記憶される。幸福度モデル生成装置100の各部は記憶装置を適宜利用する。記憶装置は、具体例として、メモリ12と、補助記憶装置13と、プロセッサ11内のレジスタと、プロセッサ11内のキャッシュメモリとの少なくとも1つから成る。なお、データという用語と情報という用語とは同等の意味を有することもある。記憶装置は、コンピュータと独立したものであってもよい。
メモリ12及び補助記憶装置13の機能は、他の記憶装置によって実現されてもよい。
【0035】
本明細書に記載されているいずれのプログラムも、コンピュータが読み取り可能な不揮発性の記録媒体に記録されていてもよい。不揮発性の記録媒体は、具体例として、光ディスク又はフラッシュメモリである。本明細書に記載されているいずれのプログラムも、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
幸福度計算装置200のハードウェア構成は、幸福度モデル生成装置100のハードウェア構成と同様である。
【0036】
***動作の説明***
幸福度モデル生成装置100の動作手順は幸福度モデル生成方法に相当する。また、幸福度モデル生成装置100の動作を実現するプログラムは幸福度モデル生成プログラムに相当する。
幸福度計算装置200の動作手順は幸福度計算方法に相当する。また、幸福度計算装置200の動作を実現するプログラムは幸福度計算プログラムに相当する。
【0037】
図5は、幸福度モデル生成装置100の動作の一例を示すフローチャートである。図5を用いて幸福度モデル生成装置100の動作を説明する。
【0038】
(ステップS111)
アンケート収集部120は、アンケート111を収集する。
【0039】
(ステップS112)
アンケート結果抽出部130は、アンケート収集部120が収集したアンケート111から幸福度を把握するアンケート項目の結果を抽出する。
【0040】
(ステップS113)
アンケート結果抽出部130は、アンケート収集部120が収集したアンケート111から幸福度と相関があるアンケート項目の結果を抽出する。
【0041】
(ステップS114)
幸福度モデル構築部140は、アンケート結果抽出部130が抽出した結果を用いて、プライベートと、ワーキングと、コミュニティとの3つの因子に幸福度が分解されるように共分散構造分析等により計算して幸福度モデル141を構築する。
【0042】
(ステップS115)
幸福度モデル出力部150は、幸福度モデル構築部140が構築した幸福度モデル141を出力する。
【0043】
図6は、幸福度計算装置200の動作の一例を示すフローチャートである。図6を用いて幸福度計算装置200の動作を説明する。
【0044】
(ステップS211)
アンケート収集部210は、個人毎にアンケートを収集する。
【0045】
(ステップS212)
幸福度算出部220は、幸福度モデル141が示す寄与率に基づき、アンケート収集部210が収集したアンケートが示す結果を用いて、アンケートに回答した個人の幸福度を算出する。
【0046】
(ステップS213)
幸福度表示部230は、幸福度算出部220が算出した個人の幸福度を表示する。
【0047】
***実施の形態1の効果の説明***
本実施の形態によれば、各因子の寄与率を示す幸福度モデル141を用いて幸福度を推定する。そのため、本実施の形態によれば、幸福度を推定する技術において、幸福度に影響する要因を特定することができる。
【0048】
***他の構成***
<変形例1>
図7は、本変形例に係る幸福度モデル生成装置100のハードウェア構成例を示している。
幸福度モデル生成装置100は、プロセッサ11、プロセッサ11とメモリ12、プロセッサ11と補助記憶装置13、あるいはプロセッサ11とメモリ12と補助記憶装置13とに代えて、処理回路18を備える。
処理回路18は、幸福度モデル生成装置100が備える各部の少なくとも一部を実現するハードウェアである。
処理回路18は、専用のハードウェアであってもよく、また、メモリ12に格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。
【0049】
処理回路18が専用のハードウェアである場合、処理回路18は、具体例として、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はこれらの組み合わせである。
幸福度モデル生成装置100は、処理回路18を代替する複数の処理回路を備えてもよい。複数の処理回路は、処理回路18の役割を分担する。
【0050】
幸福度モデル生成装置100において、一部の機能が専用のハードウェアによって実現されて、残りの機能がソフトウェア又はファームウェアによって実現されてもよい。
【0051】
処理回路18は、具体例として、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせにより実現される。
プロセッサ11とメモリ12と補助記憶装置13と処理回路18とを、総称して「プロセッシングサーキットリー」という。つまり、幸福度モデル生成装置100の各機能構成要素の機能は、プロセッシングサーキットリーにより実現される。
幸福度計算装置200の構成は本変形例と同様の構成であってもよい。他の実施の形態に係る各装置についても、本変形例と同様の構成であってもよい。
【0052】
実施の形態2.
以下、主に前述した実施の形態と異なる点について、図面を参照しながら説明する。
【0053】
***構成の説明***
図8は、本実施の形態に係る幸福度計算装置200の構成例を示している。幸福度計算装置200は、図8に示すように集計値比較部240をさらに備える。
【0054】
集計値比較部240は、幸福度モデル141における各集計値を比較することにより、得点が比較的高い因子と、得点が比較的低い因子との少なくともいずれかを閾値処理等により選出する。具体例として、集計値比較部240は、幸福度モデル141が示す項目のうち算出された幸福度に対する寄与率が高寄与基準値以上である項目と、幸福度モデル141が示す項目のうち算出された幸福度に対する寄与率が低寄与基準値以下である項目との少なくともいずれかを抽出する。高寄与基準値と低寄与基準値との各々はどのように定められてもよい。
【0055】
本実施の形態に係る幸福度表示部230は、集計値比較部240によって選出された項目を表示する。図8において、幸福度に対する寄与率が比較的高い項目として「プライベート」と「ワーキング」とが表示されており、幸福度に対する寄与率が比較的低い項目として「コミュニティ」が表示されている。
【0056】
***動作の説明***
図9は、幸福度計算装置200の動作の一例を示すフローチャートである。図9を用いて幸福度計算装置200の動作を説明する。
【0057】
(ステップS221)
集計値比較部240は、集計値の結果を比較し、集計値が閾値以上である項目を抽出する。
【0058】
(ステップS222)
集計値比較部240は、集計値の結果を比較し、集計値が閾値以下である項目を抽出する。
【0059】
(ステップS223)
幸福度表示部230は、集計値比較部240によって抽出された閾値以上である項目と、集計値比較部240によって抽出された閾値以下である項目とを別々に表示する。
【0060】
***実施の形態2の効果の説明***
本実施の形態によれば、幸福度モデル141によって幸福度が網羅的に構造化されていることを利用して算出された値を比較することにより、幸福度に対する寄与度が比較的高い因子と、幸福度に対する寄与度が比較的低い因子とを特定することができる。
【0061】
実施の形態3.
以下、主に前述した実施の形態と異なる点について、図面を参照しながら説明する。
本実施の形態では、幸福度モデル141を様々な個人属性ごとに事前に作成し、個人属性に基づいて最も適切な幸福度モデル141を用いる。個人属性は、具体例として性別及び年齢の組合せにより定まる。
【0062】
***構成の説明***
図10は、本実施の形態に係る幸福度モデル生成装置100の構成例を示している。幸福度モデル生成装置100は、図10に示すように、アンケート内容構築部110とアンケート結果抽出部130とを備えず、また、アンケート抽出部160をさらに備える。
【0063】
アンケート抽出部160は、個人属性ごとに、幸福度を把握するアンケート項目の結果と、幸福度と相関があるアンケート項目の結果とを抽出する。
【0064】
図11は、本実施の形態に係る幸福度計算装置200の構成例を示している。幸福度計算装置200は、実施の形態1に係る幸福度計算装置200と比較して、個人属性判定部250と、幸福度モデル選定部260とをさらに備える。また、各々が幸福度モデル141である複数の幸福度モデルが用意されており、複数の幸福度モデルの各幸福度モデル141は個人属性に応じて用意されたモデルである。
【0065】
個人属性判定部250は、アンケート収集部210が収集したアンケートに記載された個人属性を読み取り、読み取った個人属性を示す情報を幸福度モデル選定部260に提示する。
【0066】
幸福度モデル選定部260は、個人属性判定部250から提示された個人属性情報に基づいて複数の幸福度モデルの中から最も適切な幸福度モデル141を選定し、選定した幸福度モデル141を幸福度算出部220に通知する。即ち、幸福度モデル選定部260は、対象人の個人属性に応じて複数の幸福度モデルの中から幸福度モデル141を選択する
【0067】
本実施の形態に係る幸福度算出部220は、幸福度モデル選定部260から通知された幸福度モデル141を用いて幸福度を算出する。即ち、幸福度算出部220は、幸福度モデル選定部260によって選択された幸福度モデル141を用いて対象人の幸福度を算出する。
【0068】
***動作の説明***
図12は、幸福度モデル生成装置100の動作の一例を示すフローチャートである。図12を用いて幸福度モデル生成装置100の動作を説明する。
【0069】
(ステップS131)
アンケート抽出部160は、アンケート収集部120が収集したアンケート111から、属性ごとに、幸福度を把握するアンケート項目の結果を抽出する。
【0070】
(ステップS132)
アンケート抽出部160は、アンケート収集部120が収集したアンケート111から、属性ごとに、幸福度と相関があるアンケート項目の結果を抽出する。
【0071】
図13は、幸福度計算装置200の動作の一例を示すフローチャートである。図13を用いて幸福度計算装置200の動作を説明する。
【0072】
(ステップS231)
個人属性判定部250は、アンケート収集部210が収集したアンケートから個人属性を抽出する。
【0073】
(ステップS232)
幸福度モデル選定部260は、複数の幸福度モデルの中から、個人属性判定部250が抽出した個人属性に応じた幸福度モデル141を選択する。
【0074】
***実施の形態3の効果の説明***
本実施の形態によれば、個人属性に応じて適切な幸福度モデル141を選択することができるため、より正確に幸福度を推定することができる。
【0075】
実施の形態4.
以下、主に前述した実施の形態と異なる点について、図面を参照しながら説明する。
本実施の形態では、幸福度が最大化するように建造物における環境の目標を設定し、設定した目標に合わせて設備を制御する。
【0076】
***構成の説明***
図14は、本実施の形態に係る幸福度計算システム90の構成例を示している。幸福度計算システム90は、幸福度計算装置200と、設備システム400とを備える。
幸福度計算装置200は、実施の形態1に係る幸福度計算装置200と比較して、環境目標値決定部270と、設備パラメータ設定部280とをさらに備える。
設備システム400は、建造物等が備える設備を管理するシステムである。設備は、具体例として、照明装置と空気調和機と換気システムとから成る。設備システム400は対象設備を備える。対象設備は、対象建造物の設備であって、設備パラメータ設定部280によって設定された設備パラメータに従って制御される設備である。対象建造物は、具体例としてオフィスビルである。
【0077】
環境目標値決定部270は、算出された幸福度に基づいて、対象建造物における環境目標値を決定する。具体例として、幸福度モデル141の中から労働環境に関わるアンケート結果を確認し、確認したアンケート結果から環境に対する問題点を抽出し、抽出した問題点を改善するための環境目標値を決定する。具体例として、温熱環境に対する満足度に関するアンケート結果が良くない場合、環境目標値決定部270は、適切な温熱環境になるように部屋の目標温度を決定する。環境目標値決定部270は、適切な目標温度を算出する際、具体例としてPMV(Predicted Mean Vote)のような温熱モデルを活用する。
【0078】
設備パラメータ設定部280は、環境目標値決定部270によって決定された環境目標値に基づいて、設備システム400において用いられるパラメータを設定する。即ち、設備パラメータ設定部280は、対象建造物の設備を制御する設備パラメータを設定する。
【0079】
***動作の説明***
図15は、幸福度計算システム90の動作の一例を示すフローチャートである。図15を用いて幸福度計算システム90の動作を説明する。
【0080】
(ステップS241)
環境目標値決定部270は、幸福度モデル141において環境制御に関係する因子の計算結果を参照して環境目標値を決定する。
【0081】
(ステップS242)
設備パラメータ設定部280は、環境目標値決定部270が決定した環境目標値よりも幸福度モデル141における計算結果が低い場合、環境目標値が達成されるように設備パラメータを設定する。この際、設備パラメータ設定部280は、幸福度に対する寄与率又は相関が高い設備パラメータから順に調整してもよい。
【0082】
(ステップS243)
設備システム400は、設備パラメータ設定部280によって設定されたパラメータに従い設備を制御する。
【0083】
***実施の形態4の効果の説明***
以上のように、本実施の形態によれば、幸福度が一定値以上になるように設備を制御することができる。そのため、本実施の形態によれば、設備を利用する各利用者の幸福度を十分に高めることができる。
【0084】
実施の形態5.
以下、主に前述した実施の形態と異なる点について、図面を参照しながら説明する。
本実施の形態では、客観データから一部のアンケート結果を推定することにより、アンケート項目を減らしつつ幸福度を算出する。
【0085】
***構成の説明***
図16は、本実施の形態に係る幸福度計算装置200の構成例を示している。幸福度計算装置200は、図16に示すように、実施の形態1に係る幸福度計算装置200と比較して、客観データ収集部290と、アンケート推定部300とをさらに備える。
【0086】
客観データ収集部290は、客観データを収集する。客観データは、客観性があるデータであり、具体例として、ウェアラブルデバイスが取得した身体情報と、環境センサが取得した温度情報とから成る。
【0087】
アンケート推定部300は、客観データ収集部290が収集した客観データに基づいて、各個人の回答であって、幸福度調査アンケートのアンケート項目のうち少なくとも一部のアンケート項目の回答を推定する。アンケート推定部300は、具体例として、客観データに基づいて各個人の健康状態を推定し、また、客観データに基づいて各個人の環境満足度を推定し、推定した結果に基づいて、少なくとも一部のアンケート項目の回答を推定する。この際、アンケート推定部300は、具体例として、室温情報と、PMVのような温冷感を推定する方式とを活用する。
なお、幸福度調査アンケートを実施する際に、アンケート推定部300が回答を推定するアンケート項目を幸福度調査アンケートから削除したアンケートを用いてもよい。
【0088】
***動作の説明***
図17は、幸福度計算装置200の動作の一例を示すフローチャートである。図17を用いて幸福度計算装置200の動作を説明する。
【0089】
(ステップS251)
客観データ収集部290は、客観データを収集する。
【0090】
(ステップS252)
アンケート推定部300は、客観データ収集部290が収集した客観データに基づいて、少なくとも一部のアンケート項目の回答を推定する。
【0091】
***実施の形態5の効果の説明***
本実施の形態によれば、客観データに基づいてアンケート結果を推定するためにアンケート項目を減らすことができる。そのため、本実施の形態によれば、ユーザがアンケートに回答する負担を減らすことができる。
【0092】
実施の形態6.
以下、主に前述した実施の形態と異なる点について、図面を参照しながら説明する。
【0093】
***構成の説明***
図18は、本実施の形態に係る幸福度計算装置200の構成例を示している。幸福度計算装置200は、図18に示すように、実施の形態1に係る幸福度計算装置200と比較して、幸福度データベース310と、幸福度変化判定部320とをさらに備える。
幸福度データベース310は、幸福度算出部220によって算出された幸福度を示すデータから成る時系列データを格納するデータベースであり、時系列の幸福度データを記録するデータベースである。幸福度データベース310は、各個人についての時系列データを格納してもよい。
幸福度変化判定部320は、幸福度データベース310に格納されている時系列データに基づいて幸福度の変化を判定する。
本実施の形態に係る幸福度表示部230は、幸福度変化判定部320が判定した幸福度の変化を表示してもよい。
【0094】
***動作の説明***
図19は、幸福度計算装置200の動作の一例を示すフローチャートである。図19を用いて幸福度計算装置200の動作を説明する。
【0095】
(ステップS261)
幸福度算出部220は、算出した幸福度を示す全データを時系列データとして幸福度データベース310に格納する。
【0096】
(ステップS262)
幸福度変化判定部320は、幸福度データベース310に格納されているデータを参照して幸福度の時系列変化を判定し、幸福度が悪化した期間と、幸福度が改善した期間との少なくともいずれかを判定する。
【0097】
***実施の形態6の効果の説明***
以上のように、本実施の形態によれば、幸福度の時系列変化を確認することができる。
【0098】
***他の実施の形態***
前述した各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
また、実施の形態は、実施の形態1から6で示したものに限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。フローチャート等を用いて説明した手順は適宜変更されてもよい。
【符号の説明】
【0099】
11 プロセッサ、12 メモリ、13 補助記憶装置、14 入出力IF、15 通信装置、18 処理回路、19 信号線、90 幸福度計算システム、100 幸福度モデル生成装置、110 アンケート内容構築部、111 アンケート、120 アンケート収集部、130 アンケート結果抽出部、140 幸福度モデル構築部、141 幸福度モデル、150 幸福度モデル出力部、160 アンケート抽出部、200 幸福度計算装置、210 アンケート収集部、220 幸福度算出部、230 幸福度表示部、240 集計値比較部、250 個人属性判定部、260 幸福度モデル選定部、270 環境目標値決定部、280 設備パラメータ設定部、290 客観データ収集部、300 アンケート推定部、310 幸福度データベース、320 幸福度変化判定部、400 設備システム。
【要約】
幸福度モデル生成装置(100)は、アンケート内容構築部(110)と幸福度モデル構築部(140)とを備える。アンケート内容構築部(110)は、対象人に対して幸福度調査アンケートを実施した結果に基づいて対象人の幸福度を推定する幸福度モデルであって、対象人の仕事に関係がある因子と、対象人の私生活に関係がある因子である第1私生活因子と、対象人の私生活に関係がある因子のうち第1私生活因子には含まれない第2私生活因子との3つの因子から幸福度を説明する幸福度モデルを構築するためのアンケートをモデル構築用アンケートとして構築する。幸福度モデル構築部(140)は、モデル構築用アンケートのアンケート項目のうち、幸福度を把握するアンケート項目と、幸福度と相関があるアンケート項目とに基づいて幸福度モデルを構築する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19