(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】レーザ加工方法、レーザ加工機、プログラム、及び、コンピュータ読出可能媒体
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20240809BHJP
【FI】
B23K26/00 N
(21)【出願番号】P 2024536503
(86)(22)【出願日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 JP2023046693
【審査請求日】2024-06-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000114787
【氏名又は名称】ヤマザキマザック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142871
【氏名又は名称】和田 哲昌
(74)【代理人】
【識別番号】100094743
【氏名又は名称】森 昌康
(74)【代理人】
【識別番号】100175628
【氏名又は名称】仁野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 伸浩
(72)【発明者】
【氏名】冨田 竜也
(72)【発明者】
【氏名】松岡 慧
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-88163(JP,A)
【文献】特開2000-202677(JP,A)
【文献】特開2002-210577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルからレーザ光を照射してワークを加工する加工工程と、
前記レーザ光の出力を停止する待機工程と、
を含み、
前記待機工程は、前記待機工程を間に挟まない前記加工工程の累積時間が所定の閾値時間を超えたときに開始さ
れ、
前記待機工程は、前記待機工程に切り替わった直後の前記ノズルの位置を復帰目標位置として記憶することをさらに含み、
前記待機工程は、前記ノズルの位置を前記復帰目標位置から離れた待機位置に変更することをさらに含み、
前記加工工程は、前記ノズルの位置を前記待機位置から前記復帰目標位置に戻すことをさらに含む、
レーザ加工方法。
【請求項2】
前記加工工程は、金メッキが表面に施された前記ノズルの貫通孔を通して、前記レーザ光を照射することを含む、請求項1に記載のレーザ加工方法。
【請求項3】
前記閾値時間は、前記レーザ光の出力強度、及び、前記ノズルの先端の開口径と前記ノズルにおいて前記レーザ光の出力密度が所定の閾値を超える径との割合に基づいて定められる、請求項
1に記載のレーザ加工方法。
【請求項4】
前記待機工程は、前記加工工程において前記ノズルが加熱された度合いに応じた待機時間の間、行われる、請求項
1に記載のレーザ加工方法。
【請求項5】
前記待機時間は、前記レーザ光の出力強度、前記ノズルの先端の開口径と前記ノズルにおいて前記レーザ光の出力密度が所定の閾値を超える径との割合、並びに、前記累積時間に基づいて定められる、請求項4に記載のレーザ加工方法。
【請求項6】
前記待機工程は、前記待機位置に設けられた冷却装置によって前記ノズルを冷却させることをさらに含む、
請求項
1に記載のレーザ加工方法。
【請求項7】
前記加工工程は、前記加工工程開始時に、前記復帰目標位置から外れた再開位置においてピアッシングした後に前記復帰目標位置に前記ノズルを移動させることをさらに含む、
請求項
1に記載のレーザ加工方法。
【請求項8】
前記加工工程は、前記ノズルの移動方向に向かって右側もしくは左側のいずれか一方側に製品部分が存在することに基づいて前記ノズルの位置を補正することをさらに含み、
前記再開位置は、前記復帰目標位置に対して前記一方側と反対の他方側に位置する、
請求項
7に記載のレーザ加工方法。
【請求項9】
前記一方側は、加工プログラムの工具径補正のコードに基づいて決定される、
請求項
8に記載のレーザ加工方法。
【請求項10】
ノズルからレーザ光を照射してワークを加工する加工工程と、
前記レーザ光の出力を停止する待機工程と、
を含み、
前記待機工程は、前記待機工程を間に挟まない前記加工工程の累積時間が所定の閾値時間を超えたときに開始され、
前記加工工程は、加工プログラムにおいて設定された加工単位毎に前記ノズルを移動させ、前記ワークを加工させることを含み、
前記累積時間が前記閾値時間を超えたときに前記ノズルの位置が前記加工単位の端点から所定の距離以下である切替禁止領域にある場合、前記ノズルの位置が前記切替禁止領域を過ぎるまで前記レーザ光によって加工されるまで前記加工工程を継続させ、前記ノズルの位置が前記切替禁止領域を過ぎた後に、前記待機工程が開始される
、
レーザ加工方法。
【請求項11】
前記加工工程と前記待機工程とは、ともに、アシストガスを前記ノズルから噴射することと、前記ノズルに設けられたノズル冷却回路に冷媒を流すこととの少なくとも1つによって前記ノズルを冷却することをさらに含む、
請求項
1に記載のレーザ加工方法。
【請求項12】
請求項1から
11のいずれか1つのレーザ加工方法を実行するように構成させる制御回路と、
前記レーザ光を出力するように構成されるレーザ発振器と、
前記ノズルと、
前記ノズルを移動させるように構成される移動機構と、
を備えるレーザ加工機。
【請求項13】
レーザ加工機の制御回路による実行時に、請求項1から
11のいずれか1つのレーザ加工方法を前記制御回路に実行させる指示を備えるプログラム。
【請求項14】
レーザ加工機の制御回路による実行時に、請求項1から
11のいずれか1つのレーザ加工方法を前記制御回路に実行させる指示を備えるコンピュータ読出可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工方法、レーザ加工機、プログラム、及び、コンピュータ読出可能媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工では、レーザの照射に伴い、ノズルの温度が上昇して、ノズルが熱膨張してノズルとワーク間の距離と静電容量との関係が変化することにより、加工に悪影響が生じることがある。これを防止するために、ノズルに冷却水を流すための流路を設けて加工中に冷却水を流すことによって温度上昇を抑える方法が提案されている(例えば、特許文献1)。他の方法として、レーザ集光レンズのマウント部分またはその下面にレーザに対する反射率の高い金属メッキ(例えば、金メッキやニッケルクロムメッキ)を施すことによってレーザ光の吸収を抑え、温度上昇を抑える方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平02‐006185号公報
【文献】特許第4812172号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、レーザ光の出力が高くなっており、上述の方法を施したとしても、ノズルの昇温を十分抑えることが困難であり、連続加工を安定して行うことが困難となってきている。
【0005】
本願に開示される技術の目的は、レーザ光が高出力化されてもノズルを効果的に冷却し、連続加工を安定して行うことが可能なレーザ加工方法、レーザ加工機、プログラム、及び、コンピュータ読出可能媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様に係るレーザ加工方法は、ノズルからレーザ光を照射してワークを加工する加工工程と、レーザ光の出力を停止する待機工程と、を含む。待機工程は、待機工程を間に挟まない加工工程の累積時間が所定の閾値時間を超えたときに開始される。
【0007】
本開示の第2態様によれば、第1態様によるレーザ加工方法では、加工工程は、金メッキが表面に施されたノズルの貫通孔を通して、レーザ光を照射することを含む。
【0008】
本開示の第3態様によれば、第1態様または第2態様によるレーザ加工方法では、閾値時間は、レーザ光の出力強度、及び、ノズルの先端の開口径とノズルにおいてレーザ光の出力密度が所定の閾値を超える径との割合に基づいて定められる。
【0009】
本開示の第4態様によれば、第1態様から第3態様のいずれかによるレーザ加工方法では、待機工程は、加工工程においてノズルが加熱された度合いに応じた待機時間の間、行われる。
【0010】
本開示の第5態様によれば、第4態様によるレーザ加工方法では、待機時間は、レーザ光の出力強度、ノズルの先端の開口径とノズルにおいてレーザ光の出力密度が所定の閾値を超える径との割合、並びに、累積時間に基づいて定められる。
【0011】
本開示の第6態様によれば、第1態様から第5態様のいずれかによるレーザ加工方法では、待機工程は、待機工程に切り替わった直後のノズルの位置を復帰目標位置として記憶することをさらに含む。待機工程は、ノズルの位置を復帰目標位置から離れた待機位置に変更することをさらに含む。加工工程は、ノズルの位置を待機位置から復帰目標位置に戻すことをさらに含む。なお、待機位置は、復帰目標位置から上方に離間した位置か、水平方向にワークから離れた位置か、復帰目標位置から上方に離間し、且つ、水平方向にワークから離れた位置であることが好ましい。
【0012】
本開示の第7態様によれば、第6態様によるレーザ加工方法では、待機工程は、待機位置に設けられた冷却装置によってノズルを冷却させることをさらに含む。
【0013】
本開示の第8態様によれば、第6態様または第7態様によるレーザ加工方法では、加工工程は、加工工程開始時に、復帰目標位置から外れた再開位置においてピアッシングした後に復帰目標位置にノズルを移動させることをさらに含む。
【0014】
本開示の第9態様によれば、第8態様によるレーザ加工方法では、加工工程は、ノズルの移動方向に向かって右側もしくは左側のいずれか一方側に製品部分が存在することに基づいてノズルの位置を補正することをさらに含む。再開位置は、復帰目標位置に対して一方側と反対の他方側に位置する。
【0015】
本開示の第10態様によれば、第9態様によるレーザ加工方法では、一方側は、加工プログラムの工具径補正のコードに基づいて決定される。
【0016】
本開示の第11態様によれば、第1態様から第10態様のいずれかによるレーザ加工方法では、加工工程は、加工プログラムにおいて設定された加工単位毎にノズルを移動させ、ワークを加工させることを含む。累積時間が閾値時間を超えたときにノズルの位置が加工単位の端点から所定の距離以下である切替禁止領域にある場合、ノズルの位置が切替禁止領域を過ぎるまで加工工程を継続させ、ノズルの位置が切替禁止領域を過ぎた後に、待機工程が開始される。
【0017】
本開示の第12態様によれば、第1態様から第11態様のいずれかによるレーザ加工方法では、加工工程と待機工程とは、ともに、アシストガスを前記ノズルから噴射することと、ノズルに設けられたノズル冷却回路に冷媒を流すこととの少なくとも1つによってノズルを冷却することをさらに含む。
【0018】
本開示の第13態様によるレーザ加工機は、第1態様から第12態様のいずれか1つによるレーザ加工方法を実行するように構成させる制御回路と、レーザ光を出力するように構成されるレーザ発振器と、ノズルと、ノズルを移動させるように構成される移動機構と、を備える。
【0019】
本開示の第14態様によるプログラムは、レーザ加工機の制御回路による実行時に、第1態様から第12態様のいずれか1つによるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える。
【0020】
本開示の第15態様によるコンピュータ読出可能媒体は、レーザ加工機の制御回路による実行時に、第1態様から第12態様のいずれか1つによるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える。
【0021】
第1態様に係るレーザ加工方法、第1態様によるレーザ加工方法を実行するように構成させる制御回路を備える第13態様によるレーザ加工機、第1態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第14態様によるプログラム、及び、第1態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第15態様によるコンピュータ読出可能媒体では、待機工程を間に挟まない加工工程の累積時間が所定の閾値時間を超えたときに待機工程が開始されるため、連続したレーザ加工においてもノズルの温度が上昇しすぎないタイミングでノズルを冷却することができ、安定した高精度のレーザ加工を実現することができる。
【0022】
第2態様に係るレーザ加工方法、第2態様によるレーザ加工方法を実行するように構成させる制御回路を備える第13態様によるレーザ加工機、第2態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第14態様によるプログラム、及び、第2態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第15態様によるコンピュータ読出可能媒体では、金メッキによりノズルの材質の酸化が防止される。このため、レーザ光がノズルの材質に吸収されることが抑止され、金メッキによりレーザが反射されるようになるので、経年使用してもレーザ出力が変化しない。
【0023】
第3態様に係るレーザ加工方法、第3態様によるレーザ加工方法を実行するように構成させる制御回路を備える第13態様によるレーザ加工機、第3態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第14態様によるプログラム、及び、第3態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第15態様によるコンピュータ読出可能媒体では、レーザ光の出力強度、ノズルの先端の開口孔の径とノズルにおいてレーザ光の出力密度が所定の閾値を超える径との割合、並びに、ノズルの上昇温度に基づいてノズルが吸収する熱量が定まるため、ノズルの温度が所定温度を超えたときに待機工程が開始されるようにレーザ加工機を制御することができる。
【0024】
第4態様に係るレーザ加工方法、第4態様によるレーザ加工方法を実行するように構成させる制御回路を備える第13態様によるレーザ加工機、第4態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第14態様によるプログラム、及び、第4態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第15態様によるコンピュータ読出可能媒体では、加工工程においてノズルが加熱された度合いに応じた待機時間の間ノズルの冷却がされるため、ノズルの温度を所定の温度以下になるまで冷却されるため、長時間の安定した高精度のレーザ加工を実現することができる。
【0025】
第5態様に係るレーザ加工方法、第5態様によるレーザ加工方法を実行するように構成させる制御回路を備える第13態様によるレーザ加工機、第5態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第14態様によるプログラム、及び、第5態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第15態様によるコンピュータ読出可能媒体では、レーザ光の出力強度、ノズルの先端の開口孔の径とノズルにおいてレーザ光の出力密度が所定の閾値を超える径との割合、並びに、累積時間に基づいてノズルの上昇温度が定まるため、ノズルの温度を所定の温度以下になるまで冷却するのに必要な時間だけ待機時間を設けることができる。
【0026】
第6態様に係るレーザ加工方法、第6態様によるレーザ加工方法を実行するように構成させる制御回路を備える第13態様によるレーザ加工機、第6態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第14態様によるプログラム、及び、第6態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第15態様によるコンピュータ読出可能媒体では、待機工程において復帰目標位置から離れた待機位置にノズルの位置を変更することによって、ワークが加熱されたことによる輻射熱をノズルが受けることを抑止することができる。その結果、ノズルの冷却効率を上昇させ、待機時間を短縮することができる。
【0027】
第7態様に係るレーザ加工方法、第7態様によるレーザ加工方法を実行するように構成させる制御回路を備える第13態様によるレーザ加工機、第7態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第14態様によるプログラム、及び、第7態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第15態様によるコンピュータ読出可能媒体では、冷却装置によってノズルを冷却することによって待機時間を短縮することができる。
【0028】
第8態様に係るレーザ加工方法、第8態様によるレーザ加工方法を実行するように構成させる制御回路を備える第13態様によるレーザ加工機、第8態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第14態様によるプログラム、及び、第8態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第15態様によるコンピュータ読出可能媒体では、レーザ出力やアシストガスの圧力が安定しない加工工程開始時に復帰目標位置で加工してしまうと不必要な発熱が生じ、製品表面に傷をつけてしまう恐れがあるから、復帰目標位置から外れた再開位置においてピアッシングした後に復帰目標位置にノズルを移動させることによって製品表面における加工品質を向上させることができる。
【0029】
第9態様に係るレーザ加工方法、第9態様によるレーザ加工方法を実行するように構成させる制御回路を備える第13態様によるレーザ加工機、第9態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第14態様によるプログラム、及び、第9態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第15態様によるコンピュータ読出可能媒体では、製品部分の外側に確実に再開位置を設定することができる。
【0030】
第10態様に係るレーザ加工方法、第10態様によるレーザ加工方法を実行するように構成させる制御回路を備える第13態様によるレーザ加工機、第10態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第14態様によるプログラム、及び、第10態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第15態様によるコンピュータ読出可能媒体では、汎用的に使用されているEIA/ISOプログラムコードを使用するため、多くの加工プログラムにおいて本レーザ加工方法を適用することが容易となる。
【0031】
第11態様に係るレーザ加工方法、第11態様によるレーザ加工方法を実行するように構成させる制御回路を備える第13態様によるレーザ加工機、第11態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第14態様によるプログラム、及び、第11態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第15態様によるコンピュータ読出可能媒体では、製品の角部(corner)を構成する可能性が高い加工単位の終点に近い部分を避けて加工工程と待機工程との切替を行うことができる。製品の角部は熱がたまりやすく、角部付近で加工工程と待機工程との切替が行われると溶け落ちて加工不良になる恐れがある。加工単位の終点に近い部分を避けて加工工程と待機工程との切替を行うことによってこのような加工不良を抑止することができる。
【0032】
第12態様に係るレーザ加工方法、第12態様によるレーザ加工方法を実行するように構成させる制御回路を備える第13態様によるレーザ加工機、第12態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第14態様によるプログラム、及び、第12態様によるレーザ加工方法を制御回路に実行させる指示を備える第15態様によるコンピュータ読出可能媒体では、加工工程においてもアシストガスか冷媒によってノズルを冷却することにより、加工中のノズルの温度の上昇を抑えることができる。
【発明の効果】
【0033】
本願に開示される技術によれば、ノズルを効果的に冷却し、連続加工を安定して行うことが可能なレーザ加工方法、レーザ加工機、プログラム、及び、コンピュータ読出可能媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、実施形態に係るレーザ加工機の外観構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るレーザ加工機のレーザヘッドの断面図である。
【
図3】
図3は、
図2の切断面線III-III’による断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る光ファイバーの内部構成図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかるレーザ光の出力例を示す。
【
図6】
図6は、実施形態にかかるトーチから先のレーザ光の模式図である。
【
図8】
図8は、レーザ加工の加工プログラムの一例である。
【
図9】
図9は、第1実施形態にかかるレーザ加工方法のフローチャートである。
【
図10】
図10は、Z方向から見た第1実施形態にかかるノズルの移動軌跡の例を示す。
【
図11】
図11は、X方向から見た第1実施形態にかかるノズルの移動軌跡の例を示す。
【
図12】
図12は、X方向から見た第1実施形態にかかるノズルの移動軌跡の変形例を示す。
【
図13】
図13は、第2実施形態にかかるレーザ加工方法のフローチャートである。
【
図14】
図14は、Z方向から見た第2実施形態にかかるノズルの移動軌跡の例を示す。
【
図15】
図15は、Y方向から見た第2実施形態にかかるノズルの移動軌跡の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。なお、図中において同じ符号は、対応するまたは実質的に同一の構成を示している。
<第1実施形態>
<レーザ加工機1の構成>
図1は、本発明の実施形態に係るレーザ加工機1の外観構成を示す概略構成図である。
図1に示すX軸は、レーザ加工機1の奥行方向に沿い、Y軸は、レーザ加工機1の幅方向に沿い、Z軸は、レーザ加工機1の高さ方向に沿っている。以下、X軸、Y軸、及び、Z軸に沿う方向を、それぞれX方向、Y方向、及び、Z方向と呼称する。
図1に示されるように、レーザ加工機1は、台座(base)10、第1ガイドレール11、コラム12、第2ガイドレール13、サドル14、オイルノズル15、第1バルブ16、レーザヘッド(laser head)20、レーザ発振器40、光ファイバー45、及び、数値制御装置(numerical control apparatus)6を備える。レーザ加工機1は、台座10上の板金(metal plate)MPを加工するための装置である。板金MPは、好ましくは、軟鋼であるが、SUS、アルミニウム鋼、真鍮、銅であってもよい。また、板金MPの板厚は、好ましくは、16mm~60mmであるが、その大きさに制限されない。なお、板金MPのことをワークWと呼称してもよい。台座10は、複数の突条(elongated projections)を備えてもよい。台座10上のY方向の両端には、X方向に沿って伸びる一対の第1ガイドレール11が取付けられており、第1ガイドレール11上には、コラム12が第1ガイドレール11上を移動自在に取り付けられている。コラム12は、例えば、第1ガイドレール11とコラム12とのいずれかに設けられたモータなどの駆動装置D1による駆動力によって、第1ガイドレール11上を移動する。
【0036】
コラム12には、X軸に直交するY軸に沿って第2ガイドレール13が設けてあり、サドル14がY方向に移動自在に取り付けられる。サドル14は、例えば、第2ガイドレール13とサドル14とのいずれかに設けられたモータなどの駆動装置D2による駆動力によって、第2ガイドレール13上を移動する。図示していないが、コラム12は蛇腹状のカバーで覆われてもよい。サドル14には、X軸及びY軸に垂直なZ軸に沿うZ方向に移動自在にレーザヘッド20が取り付けられる。レーザヘッド20は、例えば、サドル14とレーザヘッド20とのいずれかに設けられたモータなどの駆動装置D3による駆動力によって、サドル14上を移動する。レーザヘッド20は、台座10上の板金MPを加工するように構成されている。レーザヘッド20は、レーザ発振器40から送られてくるレーザ光が導入される光学系を備える。光学系は、レーザ光を平行な光束にするための図示しないコリメーションユニットを含む。レーザヘッド20は、レーザ加工のためのレーザノズル28を含む。なお、レーザノズル28を単にノズルと称してもよい。
【0037】
オイルノズル15は、後述するピアッシングの際にワークWにオイルを噴射するように構成される。オイルは、図示しないオイルタンクに貯留される。第1バルブ16は、図示しないポンプからオイルノズル15に送るオイルの量を調整するように構成される。
図1では、オイルノズル15及び第1バルブ16は、サドル14に取り付けられている例が挙げられているが、台座10に取り付けられてもよい。レーザ発振器40は、板金MPを加工するためのレーザ光を出力するように構成される。光ファイバー45は、レーザ発振器40から出力されたレーザ光をレーザヘッド20に供給するために、レーザ発振器40とレーザヘッド20とを伸縮自在に接続する。光ファイバー45は、レーザ発振器40からのレーザ光を受ける第1端45aと、その反対の第2端45bとを有する。数値制御装置6は、ハードウェアプロセッサやメモリなどを含む制御回路7を有する。制御回路7は、制御プログラム8と加工プログラム9とを実行し、板金MPを加工するように、レーザ発振器40、駆動装置D1~D3、第1バルブ16、並びに、後述する第2バルブ17及び第3バルブ37を制御するように構成される。例えば、加工プログラム9は、EIA/ISOプログラムコードで記載されており、制御プログラム8は、加工プログラム9のプログラムコードを解析し、設定データ8aを参照しながら、レーザ発振器40、駆動装置D1~D3、第1バルブ16、並びに、後述する第2バルブ17及び第3バルブ37を制御するための制御信号を生成するプログラムである。設定データ8aは、加工プログラム9のコードの各パラメータに対応するレーザ発振器40、駆動装置D1~D3、第1バルブ16、並びに、後述する第2バルブ17及び第3バルブ37への出力を記述する。制御プログラム8は、例えば、ライブラリである。以降の実施形態において、駆動装置D1~D3を総称して移動機構(transfer mechanism)TMと呼ぶ。移動機構TMは、レーザノズル28を移動させるように構成される。
【0038】
図2は、実施形態に係るレーザ加工機1のレーザヘッド20の断面図である。
図2は、レーザヘッド20の光学系を説明するために、レーザノズル28から照射されるレーザ光の光軸Ax3を通る切断面でレーザヘッド20を切断した断面図を示している。
図2を参照すると、レーザヘッド20は、ヘッド本体21と、上部ユニット22と、下部ユニット23とを有する。上部ユニット22は、ヘッド本体21に取り付けられる。上部ユニット22は、コネクタ25を含む。コネクタ25は、光ファイバー45の第2端45bをレーザヘッド20に取り付けるためのコネクタである。
【0039】
下部ユニット23は、ヘッド本体21に取り付けられる。下部ユニット23は、光ファイバー45の第2端45bに対向して設けられ、光ファイバー45を透過して出るレーザ光をワークWに向けて絞るように構成されるレンズ24を備える。つまり、レーザ加工機1は、レンズ24を備える。なお、
図2には示されていないが、コネクタ25とレンズ24との間には、光ファイバー45の第2端45bから出た光を絞るための別途のレンズが設けられてもよい。下部ユニット23の先端にはレーザノズル28が取り付けられる。上部ユニット22、ヘッド本体21、下部ユニット23、及び、レーザノズル28には、レーザ光を通すための光路27が設けられている。
【0040】
図2に示されるように、レーザ加工機1は、ヘッド本体21に第2バルブ17を備える。第2バルブ17は、レーザノズル28にガスを送るように構成される。制御回路7は、第2バルブ17を制御するように構成される。このガスは、好ましくは、ワークWの溶融を促進するための酸素ガスであるが、空気、窒素ガス、アルゴンガスであってもよい。以降の実施形態では、第2バルブ17から送られるガスをアシストガスAGと呼ぶ。アシストガスAGは、ガスストレージ18(
図1参照)に貯留されており、図示しないポンプによって、ガス供給路19を介して、レーザノズル28に送られる。レーザノズル28は、レンズ24によって絞られた光と、ワークWに吹き付けるためのガスとが通過する貫通孔28hを有する。好ましくは、レーザノズル28は、銅から成る。好ましくは、レーザノズル28の表面のうち、貫通孔28hを形成する表面には金メッキ28mが施されている。金メッキ28mと銅の表面との間にはニッケルメッキが施されていると、銅と金との間で起こる拡散が防止されるためにさらに好ましい。好ましくは、レーザノズル28の残りの表面には、クロムメッキが施されている。これによって、レーザノズル28の酸化が防止され、レーザ光がレーザノズル28に吸収されやすくなることが抑止される。さらに、金メッキ28mは、レーザ光の反射率が高いため、レーザエネルギーの損失が少ないためさらに望ましい。なお、レーザノズル28の材質は、銅以外の金属であってもよく、レーザノズル28の表面にメッキが施されてなくてもよい。
【0041】
さらに、
図2を参照すると、レーザノズル28は先端28eを有し、貫通孔28hは先端28eにおいて開口28pを形成する。
図3は、
図2の切断面線III-III’による断面図である。
図2及び
図3に示されるように、レーザ加工機1は、ヘッド本体21に第3バルブ37を備える。第3バルブ37は、上述するポンプからレーザノズル28に送る冷媒の量を調整するように構成される。制御回路7は、第3バルブ37を制御するように構成される。冷媒は、好ましくは、外気である。冷媒は、図示しない外気取入口から取り入れられ、冷媒供給路38を介して、レーザノズル28に送られる。レーザノズル28は、冷媒が通過するノズル冷却回路33を有する。ノズル冷却回路33は、一次環状路34と複数の直線上の排出路35と二次環状路36とを備える。冷媒供給路38から流入される冷媒は、貫通孔28hを取り囲む一次環状路34に送られる。その後、冷媒は、排出路35を介して、一次環状路34から一次排出口35eに向けて送られる。一次排出口35eは二次環状路36に接続されており、冷媒は、二次環状路36からレーザ光の光軸Ax3に対して径方向に延びる排出路36eを介して排出される。つまり、冷媒は、レーザノズル28の側方に排出される。なお、冷媒がレーザ光の光軸Ax3に対して略径方向に排出されるのであれば、二次環状路36や排出路36eが省略されてもよい。例えば、排出路36eが二次環状路36の外側部全体に設けられるような凹み(recess)構造であってもよい。また、ノズル冷却回路33の形状は、
図2及び
図3に示された形状に限られない。実開平02‐006185号公報に示されるような循環型のノズル冷却回路であってもよく、その場合、冷媒は、冷却水などのように液体であってもよい。
【0042】
図4は、実施形態に係る光ファイバー45の内部構成図である。光ファイバー45は、透過部47と、リフレクタ49とを含む。透過部47は、円柱状であって、レーザ光を透過するように構成される。リフレクタ49は、透過部47の外周を覆うチューブ状の部材で、透過部47との界面でレーザ光を反射するように構成される。
図5は、レーザ光RLの光軸Ax1と光ファイバー45の中心軸Ax2とを一致させた場合のレーザ光RLの出力例を示す。
図5は、光ファイバー45の図の右側に、レーザ出力密度の大きさを示す。
図5では、グラフの線が右に行くほどレーザ出力密度が大きいことを示す。
図5は、レーザ出力密度がガウス分布に従うように分布する例を示している。
図5に示されるように、レーザ出力密度は、光ファイバー45の中心軸Ax2付近が最大でなだらかに低下している。
【0043】
図6は、実施形態にかかるレーザノズル28から先のレーザ光RLの模式図である。
図6に示されるように、レーザ光RLは、焦点位置FPで最も絞られ、ワークWの表面では少し広がった状態で入射される。一般的には、焦点位置FPは、ノズル先端28eより少し外側に設けられる。ここで、ノズル先端28eの開口28pのうち、レーザ出力密度が所定の閾値以上の部分を照射部分RPと呼び、残りの部分を周辺部分PPと呼ぶ。この照射部分RPの径DCCは、例えば、ISO 11446仕様にて規定されるD4σの値を使用することができる。D4σは、レーザ光RLの強度分布の標準偏差σの4倍に収まる強度分布を包含するように定められた出力密度の閾値を超える範囲を定めたものである。この径DCCは、測定器によって計測したり、光学解析ソフトを使用したりすることによって求められる。
図6では、周辺部分PPの径をDBC(以下、DBCを開口径と呼ぶ)として示しているが、開口径DBCはレーザノズル28の仕様から定められる。周辺部分PPは、レーザ光RLの光軸Ax3に対する径方向において照射部分RPを取り囲む。なお、アシストガスAGは、
図6に示されるように、照射部分RPと周辺部分PPとの両方に届くようにレーザノズル28から噴射される。
【0044】
以降の実施形態において、ノズル先端28eの開口径DBCとレーザノズル28においてレーザ光RLの出力密度が所定の閾値(D4σによって規定される閾値)を超える径DCCとの割合を面積占有率AOR[%]と呼ぶ。レーザ発振器40から出力されるレーザ光RLの出力強度をP[W]とし、レーザ出力密度がガウス分布に従うとすると、レーザ光RLによってレーザノズル28に加えられる単位時間あたりの熱量PH[W]は、以下の(式1)のように求められる。
PH=P×(1.82×AOR-100)/100 (式1)
この1.82倍は、99%のエネルギーが含まれるビーム径の大きさに基づく。なお、レーザ出力密度がガウス分布以外の他の分布に従ったり、照射部分RPを特定するために別の閾値(半値全幅、1/e2幅、ナイフエッジ幅)を用いたりする場合、面積占有率AORに掛ける倍率を99%以上のエネルギーが含まれるビーム径の大きさとなるように定めるとよい。
【0045】
レーザノズル28の加熱時間をt[秒]、加熱前のレーザノズル28の温度をT0[℃]、レーザノズル28の比熱をc[kJ/(kg・℃)]、レーザノズル28の密度をρ[kg/m3]、及び、レーザノズル28の体積をV[m3]とすると、加熱後のレーザノズル28の温度をT[℃]は、以下の(式2)のように求められる。
T‐T0=(PH‐POFF)×t/0.278cρV (式2)
(式2)のPOFFは、雰囲気、冷媒、アシストガスAGによる対流放熱を考慮した単位時間あたりの放熱量である。このPOFFは、経験的に求められる。
【0046】
ノズル先端28eとワークWとの距離LWが調整されることによって精度の高いレーザ加工が実現される。制御回路7は、米国公報2004-159643号公報に示された方法等のようにノズル先端28eとワークWとの間の静電容量を制御することによって、距離LWを調整することが可能である。レーザノズル28がレーザ光RLによって加熱され膨張すると、距離LWと上述する静電容量との関係が変化する。したがって、レーザノズル28がレーザ光RLによって加熱されることを抑止すると、長時間のレーザ加工であっても安定した精度で加工を行うことができる。
【0047】
図7は、設定データ8aの一例である。設定データ8aは、ワークWの材質、ワークWの厚さ、及び、アシストガスAGの組み合わせ毎に、ピアッシングの場合のレーザ光RLの出力強度P
P[W]、レーザ切削の場合のレーザ光RLの出力強度P
R[W]を設定する。この組み合わせは、例えば、EIA/ISOプログラムフォーマットでは、M622コードが呼び出されることによって設定される。
図7に示されるように、ピアッシングの場合のレーザ光RLの出力強度P
P[W]、レーザ切削の場合のレーザ光RLの出力強度P
R[W]は複数のレベルが設定されてもよい。このレベルのことを切削条件と呼ぶ。
図7は、10の切削条件が設定された例を示している。
【0048】
図8は、レーザ加工の加工プログラム9の一例である。
図9は、第1実施形態にかかるレーザ加工方法のフローチャートである。
図10は、第1実施形態にかかるレーザノズル28の移動軌跡の例を示す。
図8では、参照の便宜のために加工プログラム9の左側に「行番号:」を追加している。加工プログラム9を解析する制御プログラム8を実行する制御回路7は、以下の処理を実行する。つまり、制御回路7は、実施形態に係るレーザ加工方法を実行するように構成させる。行番号1はプログラム開始を示し、行番号2はプログラム番号を示す。行番号3のコードによって、制御プログラム8を実行する制御回路7は、M622コードからワークWの材質が軟鋼でワークWの厚さを25.0mmとし、アシストガスAGを酸素ガスという設定を読み込み、該当する設定データ8aを選択する。行番号4~6のコードによって、制御プログラム8を実行する制御回路7は、座標の決定など、初期設定を行う。
図8のステップST1において、制御プログラム8を実行する制御回路7は、行番号7の実行において、レーザ発振器40を起動する。具体的には、制御プログラム8を実行する制御回路7は、G600コードの切削条件S1によって指定されている強度P
P1[W]によってピアッシングを行うようにレーザ発振器40を制御する。このとき、制御プログラム8を実行する制御回路7は、ワークWへ向けて、第1バルブ16からオイルを噴射させる。さらに、制御プログラム8を実行する制御回路7は、第2バルブ17及び第3バルブ37を開き、アシストガスAGをレーザノズル28から噴射することと、レーザノズル28に設けられたノズル冷却回路33に冷媒を流すこととによってレーザノズル28を冷却することを開始する。
【0049】
行番号8のコードによって、制御プログラム8を実行する制御回路7は、レーザによる切削条件を設定する。同時に、ステップST2において、制御プログラム8を実行する制御回路7は、閾値時間tthを設定する。行番号8のG602コードは、切削条件の引数が省略されている。この場合、G600コードの切削条件S1を引き継いで、制御プログラム8を実行する制御回路7は、G602コードの切削条件S1によって指定されている強度PR1[W]を設定データ8aから求めて、強度PR1[W]で切削加工を行うようにレーザ発振器40を制御する。レーザ光RLの出力強度PR1[W]と冷却を開始すべきレーザノズル28の温度Tthとを読み込む。冷却を開始すべきレーザノズル28の温度Tthは、予め設定され、制御回路7のメモリに記憶されている。また、面積占有率AOR[%]は、ノズル先端28eの開口径DBCと、測定器や光学解析ソフトによって予め求められた径DCCとによって予め求められているので、制御プログラム8を実行する制御回路7は、レーザノズル28に加えられる単位時間あたりの熱量PH[W]を(式1)によって求めることができる。冷却を開始すべきレーザノズル28の温度をTthとすると、制御プログラム8を実行する制御回路7は、閾値時間tthを以下の(式3)によって算出することができる。
tth=0.278cρV(Tth‐T0)/(PH‐POFF) (式3)
このTthは、加熱によるレーザノズル28の変形によって静電容量が変化する恐れのある温度から一定のオフセットを引いた値である。(式3)から分かるように、閾値時間tthは、レーザ光RLの出力強度P、及び、レーザノズル28の先端28eの開口径DBCとレーザノズル28においてレーザ光RLの出力密度が所定の閾値を超える径DCCとの割合(面積占有率AOR)に基づいて定められる。
【0050】
ステップST3において、制御プログラム8を実行する制御回路7は、レーザノズル28からレーザ光RLを照射してワークWを加工する加工工程を実行する。具体的には、制御プログラム8を実行する制御回路7は、行番号9のコードによって工具径補正を行って、(―0.1,0,0)の位置にレーザノズル28を移動させる。制御プログラム8を実行する制御回路7は、行番号10~13のコードによってレーザノズル28を移動させる。つまり、加工工程は、金メッキ28mが表面に施されたレーザノズル28の貫通孔28hを通して、レーザ光RLを照射することを含む。また、すでに第2バルブ17及び第3バルブ37が開かれているため、加工工程は、アシストガスAGをレーザノズル28から噴射することと、レーザノズル28に設けられたノズル冷却回路33に冷媒を流すこととによってレーザノズル28を冷却することをさらに含む。なお、アシストガスAGの噴射とノズル冷却回路33に冷媒を流すこととの片方もしくは両方が加工工程において省略されてもよい。加工工程の実行中は、制御プログラム8を実行する制御回路7は、加工工程の累積時間tacmを計測する。なお、本実施形態及び以降の実施形態において1つの命令によってレーザノズル28が移動することにより行われる加工のことを加工単位と呼ぶ。加工プログラム9のようなEIA/ISOプログラムフォーマットで記述される加工プログラムの場合、1つの命令が1行単位で定まるため、1行毎に加工単位が定まることとなる。つまり、加工工程は、加工プログラム9において設定された加工単位毎にレーザノズル28を移動させ、ワークWを加工させることを含む。
【0051】
ステップST4において、制御プログラム8を実行する制御回路7は、加工工程が終了しているか否かを判定する。加工工程が終了していない場合(ステップST4でNo)、ステップST5に進む。ステップST5において、制御プログラム8を実行する制御回路7は、後述する待機工程を間に挟まない加工工程の累積時間tacmが所定の閾値時間tthを超えたか否かを判定する。累積時間tacmが所定の閾値時間tthを超えていないと(ステップST5でNo)、ステップST3に戻る。累積時間tacmが所定の閾値時間tthを超えると(ステップST5でYes)、ステップST6において、制御プログラム8を実行する制御回路7は、レーザ光RLの出力を停止する待機工程を開始する。つまり、待機工程は、待機工程を間に挟まない加工工程の累積時間tacmが所定の閾値時間tthを超えたときに開始される。待機工程において第3バルブ37が閉じられていないため、待機工程は、レーザノズル28に設けられたノズル冷却回路33に冷媒を流すことによってレーザノズル28を冷却することをさらに含む。なお、待機工程で、アシストガスAGをさらに噴射してもよい。待機工程でアシストガスAGを噴射することによって配管内にエアーが混入することが防止され、加工再開時に酸素純度が悪くなり加工不良を起こす可能性を低減できる。また、待機工程において、ノズル冷却回路33に冷媒を流さなくてもよい。ステップST6ではさらに、制御プログラム8を実行する制御回路7は、レーザノズル28の移動を停止する。
【0052】
図10は、Z方向から見た第1実施形態にかかるレーザノズル28の移動軌跡の例を示す。
図11は、X方向から見た第1実施形態にかかるレーザノズル28の移動軌跡の例を示す。
図10及び
図11は、
図8のプログラムコードの各行番号に対応するノズルの移動経路をR_<行番号>で示す。
図10は、行番号9に示されたレーザノズル28の初期位置をP_STとし、待機工程を開始するレーザノズル28の位置をP_RTとする。
図10、
図11の例では、行番号11に示されたコードの実行時に待機工程が開始される例を示しているが、行番号10~13のうちのどのコードの実行中において待機工程が開始されてもよい。
【0053】
ステップST6の後、ステップST7において、制御プログラム8を実行する制御回路7は、待機工程に切り替わった直後のレーザノズル28の位置(停止位置)を復帰目標位置P_RTとして記憶する。待機工程は、待機工程に切り替わった直後のレーザノズル28の位置(停止位置)を復帰目標位置P_RTとして記憶することをさらに含む。ステップST8において、制御プログラム8を実行する制御回路7は、待機工程の時間を規定する待機時間tsusを設定する。この待機時間tsusは(式3)に基づいて以下の(式4)に基づいて求められる。
tsus=(Thet‐T0)×0.278cρV/POFF (式4)
ここで、Thetは、加工工程においてレーザノズル28が加熱された度合いに応じた温度である。本実施形態ではThetはTthに等しい。したがって、(式2)を利用すると、(式4)は以下の(式5)のように表すことができる。
tsus≒(PH‐POFF)×tacm/POFF (式5)
(式5)から明らかなように、待機時間tsusは、レーザ光RLの出力強度P、レーザノズル28の先端28eの開口径DBCとレーザノズル28においてレーザ光RLの出力密度が所定の閾値を超える径DCCとの割合(面積占有率AOR)、並びに、累積時間tacmに基づいて定められる。なお、本実施形態においては、累積時間tacmは閾値時間tthに概ね等しい。
【0054】
ステップST9において、
図11に示されるように、制御プログラム8を実行する制御回路7は、レーザノズル28の位置を復帰目標位置P_RTから離れた待機位置P_SBに変更する。つまり、待機工程は、レーザノズル28の位置を復帰目標位置P_RTから離れた待機位置P_SBに変更することをさらに含む。
図11の例では、待機位置P_SBは、復帰目標位置P_RTからZ方向に高さHだけワークWから離れる方向にずれた位置である。この高さHは、ワークWが加熱されたことによる輻射熱をレーザノズル28が受けることを抑止するのに十分な高さである。
【0055】
ステップST10において、制御プログラム8を実行する制御回路7は、待機工程が開始してからの経過時間telpが待機時間tsus以上となったか否かを判定する。待機工程が開始してからの経過時間telpが待機時間tsus未満だと(ステップST10でNo)、ステップST10を繰り返す。待機工程が開始してからの経過時間telpが待機時間tsus以上だと(ステップST10でYes)、ステップST11において、制御プログラム8を実行する制御回路7は、加工工程を再開する。したがって、待機工程は加工工程においてレーザノズル28が加熱された度合いに応じた待機時間tsusの間行われることになる。その後、ステップST11において、制御プログラム8を実行する制御回路7は、レーザノズル28を復帰目標位置P_RTに移動させる。つまり、加工工程は、レーザノズル28の位置を待機位置P_SBから復帰目標位置P_RTに戻すことをさらに含む。復帰目標位置P_RTに移動した後、制御プログラム8を実行する制御回路7は、第1バルブ16を開いてワークWにオイルを噴射させることが望ましい。この際は、ステップST12において、制御プログラム8を実行する制御回路7は、レーザ発振器40を再起動してピアッシングを行う。その際、以前のG600コードに基づいて切削条件はS1に設定され、ピアッシングが行われることが望ましい。ステップST12の終了後、ステップST3に戻る。
【0056】
その後、再び、ステップST3において、制御プログラム8を実行する制御回路7は、残りの加工工程を実行する。その際、以前のG602コードに基づいて切削条件はS1に設定され、加工工程が行われることが望ましい。累積時間t
acmが閾値時間t
thを超える前に加工工程が終了する場合(ステップST4でYes)、本実施形態に係るレーザ加工方法を終了する。これは、制御プログラム8を実行する制御回路7は、行番号14のレーザ照射オフのコードを識別した時点で、加工工程が終了したと判定したのでよい。
<本実施形態におけるレーザ加工方法の特徴及び効果>
第1実施形態にかかるレーザ加工方法、当該レーザ加工方法を制御回路7に実行させる指示を備える制御プログラム8、及び、レーザ加工機1は、加工工程の累積時間t
acmが閾値時間t
thを超えると待機工程に移行するように構成されているので、レーザノズル28を効果的に冷却し、連続加工を安定して行うことを可能とする。
<第1実施形態の変形例>
上述の実施形態では、待機位置P_SBは、復帰目標位置P_RTから高さHだけワークWから離れる方向にずれた位置であったが、別の位置であってもよい。また、待機位置P_SBにレーザノズル28を冷却するための冷却装置30が別途設けられてもよい。
図12は、X方向から見た第1実施形態にかかるレーザノズル28の移動軌跡の変形例を示す。
図12を参照すると、待機位置P_SBは、復帰目標位置P_RTに対してY方向にもずれた場所であって、冷却装置30はレーザノズル28を挿入するための挿入口31と、挿入口31に冷媒を供給する冷媒供給路32とを含む。待機工程によって冷却装置30にてレーザノズル28を冷却する場合、(式5)の分母のP
OFFの値を大きくすることができるため、待機時間t
susを短縮することができる。したがって、総合的な加工時間を短縮することができ、加工効率を向上することができる。
<第2実施形態>
第1実施形態では、復帰目標位置P_RTでピアッシングしてレーザ加工を再開しているが、レーザ加工開始時はレーザの出力やアシストガスAGの出力が不安定なため、復帰目標位置P_RTから外れた再開位置P_RSにおいてピアッシングしてレーザ加工を再開することが加工品質を向上させるうえでさらに望ましい。第2実施形態に係るレーザ加工方法は、そのようなレーザノズル28の移動方法を含む。
図13は、第2実施形態にかかるレーザ加工方法のフローチャートである。
図14は、Z方向から見た第2実施形態にかかるレーザノズル28の移動軌跡の例を示す。
図15は、Y方向から見た第2実施形態にかかるレーザノズル28の移動軌跡の例を示す。
【0057】
図13では、第1実施形態と同じ処理においては同じ符号を付しており説明を省略する。ステップST2の終了後、ステップST21において、制御プログラム8を実行する制御回路7は、行番号9のコードによって工具径補正の設定を行う。行番号9では、G41コードが記述されている。これは、レーザノズル28の移動方向を向いて左側にノズル先端28eをずらすように補正することが指示されている。なお、加工プログラム9にG42コードが記述されている場合、レーザノズル28の進行方向を向いて右側にノズル先端28eをずらすように補正することが指示されることになる。ステップST3Aでは、制御プログラム8を実行する制御回路7は、ステップST3の処理に加えて、ステップST21によって設定された工具径補正の処理を行う。すなわち、加工工程は、レーザノズル28の移動方向に向かって右側もしくは左側のいずれか一方側に製品部分が存在することに基づいてレーザノズル28の位置を補正することを含む。この一方側は、加工プログラム9の工具径補正のコード(G41コード、または、G42コード)に基づいて決定される。
【0058】
累積時間t
acmが所定の閾値時間t
thを超えないと(ステップST5でNo)、制御プログラム8を実行する制御回路7は、ステップST21に戻って、ステップST21を再度実行する。累積時間t
acmが所定の閾値時間t
thを超えると(ステップST5でYes)、ステップST22において、制御プログラム8を実行する制御回路7は、レーザノズル28の位置は加工単位の端点から所定距離以下である切替禁止領域SPRにあるか否か判定する。この加工単位の端点とは、加工単位の開始点と加工単位の終了点の両方を含む。
図14では、切替禁止領域SPRを点線で囲んだ領域として示している。切替禁止領域SPRは、製品の角に近い領域で、熱がたまりやすい。したがって、切替禁止領域SPRで待機、再開すると、加工不良になる可能性が高い。このため、制御プログラム8を実行する制御回路7は、レーザノズル28の位置が切替禁止領域SPRにあるとき待機せず、レーザ加工を継続する。
【0059】
したがって、レーザノズル28の位置が加工単位の端点から所定距離以下である切替禁止領域SPRにあるとき(ステップST22でYes)、制御プログラム8を実行する制御回路7は、ステップST21に戻って、ステップST21を再度実行する。レーザノズル28の位置が加工単位の端点から所定距離以下である切替禁止領域SPRにないとき(ステップST22でNo)、制御プログラム8を実行する制御回路7は、ステップST6を実行する。つまり、本実施形態に係るレーザ加工方法では、累積時間tacmが閾値時間tthを超えたときにレーザノズル28の位置が加工単位の端点から所定の距離以下である切替禁止領域SPRにある場合、レーザノズル28の位置が切替禁止領域SPRを過ぎるまで加工工程を継続させ、レーザノズル28の位置が切替禁止領域SPRを過ぎた後に、待機工程が開始される。
【0060】
ステップST6の後、ステップST7Aにおいて、ステップST7の処理に加えて、再開位置P_RSを求める。この再開位置P_RSは、復帰目標位置P_RTに対して一方側と反対の他方側に位置する。つまり、工具径補正コードがG41コードのとき、制御プログラム8を実行する制御回路7は、レーザノズル28の移動方向に向かって復帰目標位置P_RTに対して左側に再開位置P_RSを設定する。工具径補正コードがG42コードのとき、制御プログラム8を実行する制御回路7は、レーザノズル28の移動方向に向かって復帰目標位置P_RTに対して右側に再開位置P_RSを設定する。再開位置P_RSと復帰目標位置P_RTとの距離は、経験的に加工精度が良くなる値が設定される。
【0061】
その後、ステップST8Aにおいて、制御プログラム8を実行する制御回路7は、待機時間t
susを(式5)に基づいて設定する。第1実施形態では、累積時間t
acmは閾値時間t
thに等しいとみなせるが、本実施形態では、累積時間t
acmは閾値時間t
thよりも長くなることがある。この待機時間t
susは、累積時間t
acmの長さに応じて設定される。ステップST9Aにおいて、制御プログラム8を実行する制御回路7は、レーザノズル28の位置を再開位置P_RSに基づいて定められた待機位置P_SBに変更する。
図15は、本実施形態に係る待機位置P_SBを示している。この待機位置P_SBは、再開位置P_RSからZ方向に高さHだけワークWから離れる方向にずれた位置である。なお、第2実施形態においても、待機位置P_SBは、第1実施形態と同じ位置であってもよい。
【0062】
待機工程が開始してからの経過時間telpが待機時間tsus以上だと(ステップST10でYes)、ステップST23において、制御プログラム8を実行する制御回路7は、加工工程を再開する。具体的には、制御プログラム8を実行する制御回路7は、レーザノズル28を再開位置P_RSに移動させる。再開位置P_RSに移動した後、制御プログラム8を実行する制御回路7は、第1バルブ16にワークWにオイルを噴射させることが望ましい。その後、ステップST12において、制御プログラム8を実行する制御回路7は、レーザ発振器40を再起動してピアッシングを行う。その際、以前のG600コードに基づいて切削条件はS1に設定され、ピアッシングが行われることが望ましい。ステップST24において、制御プログラム8を実行する制御回路7は、レーザ光RLを照射させながらレーザノズル28を復帰目標位置P_RTに移動させる。つまり、加工工程は、加工工程開始時に、復帰目標位置P_RTから外れた再開位置P_RSにおいてピアッシングした後に復帰目標位置P_RTにレーザノズル28を移動させることをさらに含む。その際、以前のG602コードに基づいて切削条件はS1に設定され、レーザ光RLを照射させながらレーザノズル28を復帰目標位置P_RTに移動させることが望ましい。ステップST24の終了後、制御プログラム8を実行する制御回路7は、ステップST21に戻って、ステップST21を再度実行する。
<本実施形態におけるレーザ加工方法の特徴及び効果>
第2実施形態にかかるレーザ加工方法、当該レーザ加工方法を制御回路7に実行させる指示を備える制御プログラム8、及び、レーザ加工機1は、復帰目標位置P_RTから少しずれた再開位置P_RSにおいてピアッシングしてレーザ加工を再開する。このため、安定したレーザ光RLで加工されるため、加工品質を向上させることができる。
<全実施形態における変形例>
第1実施形態にステップST22の処理が加えられ、ステップST8の処理に代え、第2実施形態のステップST8Aの処理がされてもよい。また、第2実施形態でステップST22の処理が削除され、ステップST8Aの処理に代え、第1実施形態のステップST8の処理がされてもよい。また、上述の実施形態では、G603コードによって切削条件が変更される場合の例を示していないが、G603コードによって加工工程途中でレーザ光RLの強度Pが変更される場合、そのタイミングでステップST2が実行され,変更された強度Pに基づいて閾値時間tthが再計算されるとよい。
【0063】
上述の実施形態では、設定データ8aがワークWの材質、ワークWの厚さ、及び、アシストガスAGの組み合わせ毎に設定され、M622コードの引数として、ワークWの材質、ワークWの厚さ、及び、アシストガスAGの組み合わせが設定されることによって、該当する設定データ8aが選択される例を示したが、設定データ8aが任意の識別子で区別可能な態様で用意され、M622コードの引数が当該識別子を含むことによって、
図7に示されるような切削条件の組が選択されてもよい。また、板金MPを加工するレーザ加工機1を挙げているが、パイプなどを加工するレーザ加工機にも適用できる。その場合、レーザヘッド20は、3次元加工が可能なようにX軸、Y軸それぞれに平行な回転軸周りに回動可能であってもよい。また、本出願に係るレーザ加工機1のレーザ光は、高出力されてなくてもよい。
【0064】
上述の制御プログラム8のロジックの一部または全ての機能が専用のプロセッサや集積回路によって実現されてもよい。上述の制御プログラム8は、制御回路7に内蔵されたメモリにとどまらず、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROMおよび磁気ディスク等のディスク、SDカード、USBメモリ、外付けハードディスクなど数値制御装置6などのコンピュータから取り外し可能で、数値制御装置6などのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されたものであってもよい。
【0065】
本願においては、「備える」およびその派生語は、構成要素の存在を説明する非制限用語であり、記載されていない他の構成要素の存在を排除しない。これは、「有する」、「含む」およびそれらの派生語にも適用される。
【0066】
「~部材」、「~部」、「~要素」、「~体」、および「~構造」という文言は、単一の部分や複数の部分といった複数の意味を有し得る。
【0067】
「第1」や「第2」などの序数は、単に構成を識別するための用語であって、他の意味(例えば特定の順序など)は有していない。例えば、「第1要素」があるからといって「第2要素」が存在することを暗に意味するわけではなく、また「第2要素」があるからといって「第1要素」が存在することを暗に意味するわけではない。
【0068】
程度を表す「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言は、実施形態に特段の説明がない限りにおいて、最終結果が大きく変わらないような合理的なずれ量を意味し得る。本願に記載される全ての数値は、「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言を含むように解釈され得る。
【0069】
本願において「A及びBの少なくとも一方」という文言は、Aだけ、Bだけ、及びAとBの両方を含むように解釈されるべきである。
【0070】
上記の開示内容から考えて、本発明の種々の変更や修正が可能であることは明らかである。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本願の具体的な開示内容とは別の方法で本発明が実施されてもよい。
【要約】
レーザ加工方法は、ノズルからレーザ光を照射してワークを加工する加工工程と、レーザ光の出力を停止する待機工程と、を含む。待機工程は、待機工程を間に挟まない加工工程の累積時間が所定の閾値時間を超えたときに開始される。