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特許7536230ポリウレタン弾性繊維およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】ポリウレタン弾性繊維およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 6/70 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
D01F6/70 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020177919
(22)【出願日】2020-10-23
(65)【公開番号】P2022069010
(43)【公開日】2022-05-11
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】502179282
【氏名又は名称】東レ・オペロンテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186484
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 満
(72)【発明者】
【氏名】高山 弘
(72)【発明者】
【氏名】原 昌嗣
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-144266(JP,A)
【文献】国際公開第97/005309(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/066592(WO,A1)
【文献】特開2009-024320(JP,A)
【文献】特開2010-236150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のポリウレタンAおよび添加剤Bを含むポリウレタン弾性繊維。
ポリウレタンA:ポリマージオールと、ジイソシアネートと、鎖伸長剤とを、出発物質とし、骨格中に3級アミンを有しないポリウレタン
添加剤B:ジオールおよび/またはジアミンと、ジイソシアネートとを、出発物質とし、骨格中に非芳香族炭素とのみ結合した3級アミン窒素を有し、前記3級アミン窒素はスルホン酸化合物がイオン結合しスルホン酸アミンを形成しているポリウレタンまたはポリウレア。
【請求項2】
前記添加剤Bが、出発物質であるジオールが3級アミン含有ジオールを主成分として含むポリウレタンまたはポリウレアである請求項1に記載のポリウレタン弾性繊維。
【請求項3】
前記添加剤Bが、出発物質であるジアミンが3級アミン含有ジアミンを主成分として含むポリウレタンまたはポリウレアである請求項1または2に記載のポリウレタン弾性繊維。
【請求項4】
前記添加剤Bにおけるスルホン酸化合物の分子量が96以上300以下である請求項1~3のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
【請求項5】
前記添加剤Bの含有量が0.1重量%以上10重量%以下である請求項1から4のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
【請求項6】
前記添加剤Bの末端基がN,N-ジアルキルセミカルバジドである請求項1から5のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
【請求項7】
以下のポリウレタンAおよび添加剤Bを含む紡糸原液を紡糸するポリウレタン弾性繊維の製造方法。
ポリウレタンA:ポリマージオールと、ジイソシアネートと、鎖伸長剤とを、出発物質とし、骨格中に3級アミンを有しないポリウレタン
添加剤B:ジオールおよび/またはジアミンと、ジイソシアネートとを、出発物質とし、骨格中に非芳香族炭素とのみ結合した3級アミン窒素を有し、前記3級アミン窒素はスルホン酸化合物がイオン結合しスルホン酸アミンを形成しているポリウレタンまたはポリウレア。
【請求項8】
以下の紡糸原液aに添加剤溶液bおよび添加剤溶液cを含有させてポリウレタンAおよび添加剤Bを含む紡糸原液とした後、紡糸する請求項7に記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法。
紡糸原液a:前記ポリウレタンAを含有する紡糸原液
添加剤溶液b:ジオールおよび/またはジアミンと、ジイソシアネートとを、出発物質とし、骨格中に非芳香族炭素とのみ結合した3級アミン窒素を有するポリウレタンまたはポリウレアを含有する添加剤の溶液
添加剤溶液c:分子量96以上300以下のスルホン酸化合物を含有する添加剤の溶液
【請求項9】
前記添加剤溶液bおよび添加剤溶液cを混合し、3級アミンとスルホン酸がイオン結合したスルホン酸アミン塩構造を分子構造中に有する添加剤Bを含有する添加剤溶液dとした後、前記紡糸原液aと添加剤溶液dとを混合して紡糸原液とし、紡糸する請求項に記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン弾性繊維およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリウレタン弾性繊維を構成するポリウレタンとしては、鎖伸長剤に主としてジオールが用いられるポリウレタンウレタンと、鎖伸長剤に主としてジアミンが用いられるポリウレタンウレアに大別される。
【0003】
前者(ポリウレタンウレタン)から構成されるポリウレタン弾性繊維は高強度、高伸度を有し、さらに特許文献1には、糸物性が経時変化しにくいポリウレタン弾性繊維の例が示されている。しかし、特許文献1の記載の技術では、発明の効果を得るための原料ポリオールとして、特定の汎用品ではない共重合ポリオールを用いる必要がある。
【0004】
一方、後者(ポリウレタンウレア)から構成されるポリウレタン弾性繊維は高伸度を有しているが、強度については前者対比劣っていた。さらに前者対比で糸物性が経時変化しやすいことから、在庫管理や該繊維を製品に加工する際の加工条件の管理に課題があり、安定した生地物性や生地品質の布帛をえることが困難であった。
【0005】
すなわち、汎用の原料を用いた従来のポリウレタン弾性繊維において、糸物性が経時変化しにくいポリウレタンウレタンまたはポリウレタンウレアから構成されるポリウレタン弾性繊維は存在しなかった。
【0006】
なお、特許文献2には、ポリウレタンウレア製造における停止剤として、特定の化合物を使用するポリウレタンウレア弾性繊維により、ポリウレタンウレア溶液粘度の上昇が抑制されることが開示されている。
【0007】
また、特許文献3には、分子中にスルホン酸基を一つ以上含有するベンゾフェノン系紫外線吸収剤を含有するポリウレタン弾性繊維の例が示されている。特に該紫外線吸収剤におけるスルホン酸基は、その一部がナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属との塩であっても良いことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平11-81045
【文献】特開2003-155624
【文献】特開2011-144491
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、ポリウレタン弾性繊維特有のストレッチ性を有し、かつ、糸物性が経時変化しにくい汎用の原料を用いたポリウレタン弾性繊維は存在しなかったのである。そこで、糸物性と糸物性の経時安定性に優れたポリウレタン弾性繊維およびその製造方法を提供することを目的とする。さらに、そのようにして得られるポリウレタン弾性繊維を用いることにより、在庫管理や該繊維の加工条件管理を容易とし、安定した生地物性や生地品質の布帛を得ることのできるポリウレタン弾性繊維およびその製造方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記の課題を解決するため、以下のいずれかの手段を採用する。
(1)以下のポリウレタンAおよび添加剤Bを含むポリウレタン弾性繊維。
ポリウレタンA:ポリマージオールと、ジイソシアネートと、鎖伸長剤とを、出発物質とし、骨格中に3級アミンを有しないポリウレタン
添加剤B:ジオールおよび/またはジアミンと、ジイソシアネートとを、出発物質とし、骨格中に非芳香族炭素とのみ結合した3級アミン窒素を有し、前記3級アミン窒素はスルホン酸化合物がイオン結合しスルホン酸アミンを形成しているポリウレタンまたはポリウレア。
(2)前記添加剤Bが、出発物質であるジオールが3級アミン含有ジオールを主成分として含むポリウレタンまたはポリウレアである前記(1)に記載のポリウレタン弾性繊維。
(3)前記添加剤Bが、出発物質であるジアミンが3級アミン含有ジアミンを主成分として含むポリウレタンまたはポリウレアである前記(1)または(2)に記載のポリウレタン弾性繊維。
(4)前記添加剤Bにおけるスルホン酸化合物の分子量が96以上300以下である前記(1)から(3)のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
(5)前記添加剤Bの含有量が0.1重量%以上10重量%以下である前記(1)から(4)のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
(6)前記添加剤Bの末端基がN,N-ジアルキルセミカルバジドである前記(1)から(5)のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
(7)以下のポリウレタンAおよび添加剤Bを含む紡糸原液を紡糸するポリウレタン弾性繊維の製造方法。
ポリウレタンA:ポリマージオールと、ジイソシアネートと、鎖伸長剤とを、出発物質とし、骨格中に3級アミンを有しないポリウレタン
添加剤B:ジオールおよび/またはジアミンと、ジイソシアネートとを、出発物質とし、骨格中に非芳香族炭素とのみ結合した3級アミン窒素を有し、前記3級アミン窒素はスルホン酸化合物がイオン結合しスルホン酸アミンを形成しているポリウレタンまたはポリウレア。
(8)以下の紡糸原液aに添加剤溶液bおよび添加剤溶液cを含有させてポリウレタンAおよび添加剤Bを含む紡糸原液とした後、紡糸する前記(7)に記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法。
紡糸原液a:前記ポリウレタンAを含有する紡糸原液
添加剤溶液b:ジオールおよび/またはジアミンと、ジイソシアネートとを、出発物質とし、骨格中に非芳香族炭素とのみ結合した3級アミン窒素を有するポリウレタンまたはポリウレアを含有する添加剤の溶液
添加剤溶液c:分子量96以上300以下のスルホン酸化合物を含有する添加剤の溶液
(9)前記添加剤溶液bおよび添加剤溶液cを混合し、3級アミンとスルホン酸がイオン結合したスルホン酸アミン塩構造を分子構造中に有する添加剤Bを含有する添加剤溶液dとした後、前記紡糸原液aと添加剤溶液dとを混合して紡糸原液とし、紡糸する前記(7)に記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明のポリウレタン弾性繊維は、従来のポリウレタン弾性繊維と比較して実使用領域における回復応力が高く、かつ、永久歪率が低いものであるので、この弾性繊維を使用した衣服などは、脱着性、フィット性、着用感などに優れたものとなる。また、この弾性繊維は機械物性の経時安定性に優れているので、この繊維を単独又は他の繊維と組み合わせて高次加工する場合、カバーリングや編成や織機などの工程通過性において優れたものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の本発明について、さらに詳細を述べる。
【0013】
まず、本発明で使用されるポリウレタンについて述べる。
【0014】
以下においては、ポリマージオールと、ジイソシアネートと、鎖伸長剤とを、出発物質とする骨格中に3級アミンを有しないポリウレタンを「ポリウレタンA」と記し、ジオールおよび/またはジアミンと、ジイソシアネートとを、出発物質とし、骨格中に非芳香族炭素とのみ結合した3級アミン窒素を有し、前記3級アミン窒素はスルホン酸化合物がイオン結合しスルホン酸アミンを形成しているポリウレタンまたはポリウレアを「添加剤B」と記す。なお、「ポリウレタン」は、ポリウレタンウレタンとポリウレタンウレアの両方を含むものとする。
【0015】
ポリウレタンAおよび添加剤Bを含有したポリウレタン弾性繊維を得る方法は、ポリウレタンAおよび添加剤Bを含む紡糸原液を紡糸するポリウレタン弾性繊維の製造方法であれば任意の方法でよく、特に限定されるものではない。例えば、ポリウレタンAを含む紡糸原液aと添加剤Bを含む添加剤溶液dとを個々に調製し、これら2つを混合して紡糸原液を得る方法でもよい。また他の方法として、ポリウレタンAを含む溶液中に添加剤Bの構成原料を投入し、ポリウレタンAを含む紡糸原液aに添加剤溶液bと添加剤溶液cとを混合することにより添加剤Bを生成せしめることにより、ポリウレタンAと添加剤Bとを含有した紡糸原液とし、これを紡糸してポリウレタンを得る方法でもよい。
【0016】
本発明に使用されるポリウレタンAは、ポリマージオールと、ジイソシアネートと、鎖伸長剤とを、出発物質とし、骨格中に3級アミンを有しないものであれば任意のものでよく、特に限定されるものではない。ここで、ポリマージオールと、ジイソシアネートと、鎖伸長剤とを出発物質とするとは、得られるポリウレタン重合体がそれぞれの成分に由来する構造を有することを表す。すなわち、本明細書においてポリマージオールとジイソシアネートと鎖伸長剤とを出発物質として得られるポリウレタン重合体の構造を特定するための表記であって、異なる原料から同等の構造が形成されたものであってもよく、原料自体を特定するものではない。同様に、同原料にて合成する場合であっても、その合成法も特に限定されるものではない。
【0017】
ポリウレタンAとしては、例えば、ポリマージオールとジイソシアネートと低分子量ジアミンとからなるポリウレタンウレアであってもよく、また、ポリマージオールとジイソシアネートと低分子量ジオールとからなるポリウレタンウレタンであってもよい。さらに、鎖伸長剤として水酸基とアミノ基を分子内に有する化合物を使用したポリウレタンウレアであってもよい。また、骨格中に3級アミンを有しないポリウレタンとしては、ポリウレタンが、(1)ポリマージオールとジイソシアネートと低分子量ジオールとからなるポリウレタンウレタンである場合、(2)ポリマージオールとジイソシアネートと低分子量ジアミンとからなるポリウレタンウレアにおいて、低分子量ジアミン中のアミンが、1級アミンおよび/または2級アミンのみの場合、(3)鎖伸長剤として水酸基とアミノ基を分子内に有する化合物を使用したポリウレタンウレアにおいて、水酸基とアミノ基を分子内に有する化合物中のアミンが、1級アミンおよび/または2級アミンのみの場合、(4)ポリマージアミンとジイソシアネートと低分子量ジオールとからなるポリウレタンウレアにおいて、ポリマージアミン中のアミンが、1級アミンおよび/または2級アミンのみの場合、(5)ポリマージオールとポリマージアミンとジイソシアネートと低分子量ジアミンとからなるポリウレタンウレアにおいて、ポリマージアミンおよび低分子量ジアミン中のアミンが、1級アミンおよび/または2級アミンのみの場合が挙げられる。なお、本発明の効果を妨げない範囲で3官能性以上の多官能性のグリコールやイソシアネート等が出発物質として使用されることも好ましい。
【0018】
ここで、本発明におけるポリウレタンを構成する代表的な構造単位について述べる。
【0019】
ポリウレタンを構成する構造単位のポリマージオールとしては、ポリエーテル系ジオール、ポリエステル系ジオール、ポリカーボネートジオール等が好ましい。そして、特に柔軟性、伸度を糸に付与する観点からポリエーテル系ジオールが使用されることが好ましい。
【0020】
ポリエーテル系ジオールとしては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールの誘導体、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、PTMGと略す)、テトラヒドロフラン(THF)および3-メチルテトラヒドロフランの共重合体である変性PTMG(以下、3M-PTMGと略する)、THFおよび2,3-ジメチルTHFの共重合体である変性PTMG、特許第2615131号公報等に開示される側鎖を両側に有するポリオール、THFとエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドが不規則に配列したランダム共重合体等が好ましく使用される。これらポリエーテル系ジオールを1種または2種以上混合もしくは共重合して使用してもよい。
【0021】
また、耐摩耗性や耐光性を得る観点からは、ブチレンアジペート、ポリカプロラクトンジオール、特開昭61-26612号公報等に開示されている側鎖を有するポリエステルポリオール等のポリエステル系ジオールや、特公平2-289516号公報等に開示されているポリカーボネートジオール等が好ましく使用される。
【0022】
こうしたポリマージオールは単独で使用してもよいし、2種以上混合もしくは共重合して使用してもよい。
【0023】
ポリマージオールの分子量は、糸にした際の伸度、強度、耐熱性等を得る観点から、数平均分子量が1000以上8000以下のものが好ましく、1800以上6000以下がより好ましい。この範囲の分子量のポリオールが使用されることにより、伸度、強度、弾性回復力、耐熱性に優れた弾性繊維を容易に得ることができる。なお、分子量はGPCで測定し、ポリスチレンにより換算する。
【0024】
次にジイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略す)、トリレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアネートベンゼン、キシリレンジイソシアネート、2,6-ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが、特に耐熱性や強度の高いポリウレタンを合成するのに好適である。さらに脂環族ジイソシアネートとして、例えば、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(以下、H12MDIと称する。)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,4-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,6-ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、ヘキサヒドロキシリレンジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、オクタヒドロ1,5-ナフタレンジイソシアネート等が好ましい。脂肪族ジイソシアネートは、特にポリウレタン弾性繊維の黄変を抑制する際に有効に使用できる。そして、これらのジイソシアネートは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
次に、上記したようなポリマージオールとジイソシアネートからポリウレタンAを合成するにあたって用いられる鎖伸長剤としては、低分子量ジアミンおよび低分子量ジオールのうちの少なくとも1種を使用するのが好ましい。なお、低分子量ジアミンを使用する場合、化合物中のアミンが、1級アミンおよび/または2級アミンのみの化合物である必要がある。また、低分子量ジオールとして、エタノールアミンのような水酸基とアミノ基を分子中に有する化合物であって、化合物中のアミンが、1級アミンおよび/または2級アミンのみの化合物を使用してもよい。
【0026】
好ましい低分子量ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p-フェニレンジアミン、p-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、p,p’-メチレンジアニリン、1,3-シクロヘキシルジアミン、ヘキサヒドロメタフェニレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、ビス(4-アミノフェニル)ホスフィンオキシド等が挙げられる。これらの中から1種または2種以上が使用されることが好ましい。特に好ましくはエチレンジアミンである。エチレンジアミンを用いることにより伸度および弾性回復性、さらに耐熱性に優れた糸を容易に得ることができる。これらの鎖伸長剤に架橋構造を形成することのできるトリアミン化合物、例えば、ジエチレントリアミン等を効果が失わない程度に加えてもよい。
【0027】
低分子量ジオールとしては、エチレングリコール、1,3プロパンジオール、1,4ブタンジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート、1-メチル-1,2-エタンジオール等が代表的なものである。これらの中から1種または2種以上が使用されることが好ましい。特に好ましくはエチレングリコール、1,3プロパンジオール、1,4ブタンジオールである。これらを用いると、ジオール伸長のポリウレタンとしては耐熱性がより高くなり、また、より強度の高い糸を得ることができるのである。
【0028】
さらに、ポリウレタンAには、末端封鎖剤が1種または2種以上混合使用されることも好ましい。末端封鎖剤としては、ジメチルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、イソプロピルメチルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルメチルアミン、イソブチルメチルアミン、イソペンチルメチルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン等のモノアミン、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、シクロペンタノール等のモノオール、フェニルイソシアネート等のモノイソシアネート等が好ましい。
【0029】
本発明に用いられるポリウレタンAの分子量は、耐久性や強度の高い繊維を得る観点から、数平均分子量として30000以上150000以下の範囲であることが好ましい。なお、分子量はGPCで測定し、ポリスチレンにより換算する。
【0030】
本発明においては、以上のような基本構成を有するポリウレタンAを含むポリウレタン弾性繊維に、ジオールおよび/またはジアミンと、ジイソシアネートとを、出発物質とし、骨格中に非芳香族炭素とのみ結合した3級アミン窒素を有し、前記3級アミン窒素はスルホン酸化合物がイオン結合しスルホン酸アミン塩を形成しているポリウレタンまたはポリウレアである添加剤Bを含有させることで、ポリウレタン弾性繊維が元来有している伸縮性を阻害することなく、糸物性と糸物性の経時安定性に優れたポリウレタン弾性繊維およびその製造方法を提供することが可能となる。ここで、ジオールおよび/またはジアミンと、ジイソシアネートとを出発物質とするとは、得られるポリウレタンまたはポリウレアの重合体がそれぞれの成分に由来する構造を有することを表す。すなわち、本明細書においてジオールおよび/またはジアミンと、ジイソシアネートとを出発物質として得られるポリウレタンまたはポリウレアの重合体の構造を特定するものであって、異なる原料から同等の構造が形成されたものであってもよく、原料自体を特定するものではない。同様に、同原料にて合成する場合であっても、その合成法も特に限定されるものではない。
【0031】
前記添加剤Bは、その骨格中に3級アミンを有する。即ち、骨格中に3級アミンを有するポリウレタンまたはポリウレアとしては、第3級窒素含有ジオールを主成分とするジオールおよび/または第3級窒素含有ジアミンを主成分とするジアミンとジイソシアネートとを出発物質とするポリウレタンまたはポリウレアの重合体である。また、添加剤Bとして、N,N-ジアルキルセミカルバジド末端基を有することも好ましい。第3級窒素を主鎖に有し、かつ末端にN,N-ジアルキルセミカルバジドを有する化合物は低濃度のN,N-ジアルキルセミカルバジドであっても染色時における高耐熱性を発揮することができ、ポリウレタン弾性繊維をより高強伸度なものにできる。
【0032】
前記第3級窒素含有ジオールの好ましい具体的としては、例えば、N-メチル-N,N-ジエタノールアミン、N-メチル-N,N-ジプロパノールアミン、N-メチル-N,N-ジイソプロパノールアミン、N-ブチル-N,N-ジエタノールアミン、N-t-ブチル-N,N-ジエタノールアミン、N-オクタデカン-N,N-ジエタノールアミン、N-ベンジル-N,N-ジエタノールアミン、N-t-ブチル-N,N-ジイソプロパノールアミン等、およびビスヒドロキシエチルピペラジン、ビスヒドロキシイソプロピルピペラジン等のピペラジン誘導体等も使用することができる。この中で特に好ましいのはN-t-ブチル-N,N-ジエタノールアミンまたはN-ベンジル-N,N-ジエタノールアミンである。
【0033】
前記第3級窒素含有ジアミンの好ましい具体的としては、例えば、N-メチル-3,3’-イミノビス(プロピルアミン)、N-ブチル-アミノビス-プロピルアミン、N-メチル-アミノビス-エチルアミン、N-t-ブチル-アミノビス-プロピルアミン、ピペラジン-N,N’-ビス(3-アミノプロピル)およびピペラジン-N,N’-ビス(2-アミノエチル)等を使用することができる。この中で特に好ましいのは、N-メチル-3,3’-イミノビス(プロピルアミン)またはピペラジン-N,N’-ビス(3-アミノプロピル)である。
【0034】
前記の添加剤Bに用いられるジイソシアネートの好ましい具体的としては、例えば、メチレン-ビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、およびダイマー酸から誘導されるDDI等の脂肪族ジイソシアネート等を使用することができる。この中で特に好ましいのは、メチレン-ビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)またはイソホロンジイソシアネート等である。
【0035】
前述のように、添加剤Bの末端基はセミカルバジド基であることが好ましい。セミカルバジド基を添加剤Bの末端に導入する方法は既知の方法を適用することができるが、その1例として、置換ヒドラジン等をジイソシアネートと反応させて末端セミカルバジド基とするのが好ましい。この場合、置換ヒドラジンの好ましい具体的としては、例えば、N,N-ジメチルヒドラジン、N,N-ジエチルヒドラジン、N,N-ジプロピルヒドラジン、N,N-ジイソプロピルヒドラジン、N,N-ジブチルヒドラジン、N,N-ジイソブチルヒドラジン、N,N-ジヒドロキシエチルヒドラジン、およびN,N-ジヒドロキシイソプロピルヒドラジン等を使用することができる。この中で特に好ましいのは、N,N-ジメチルヒドラジンおよびN,N-ジヒドロキシエチルヒドラジンである。
【0036】
前記の添加剤Bとして特に好ましいのは、N-t-ブチル-N,N-ジエタノールアミンとメチレン-ビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)の反応によって生成せしめたポリウレタンまたはN-t-ブチル-N,N-ジエタノールアミン、メチレン-ビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)の反応によって生成せしめたポリウレタンにN,N-ジメチルヒドラジンを末端に反応させたポリウレタン、およびN-メチル-3,3’-イミノビス(プロピルアミン)とメチレン-ビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)の反応によって生成せしめたポリウレア等である。N-t-ブチル-N,N-ジエタノールアミンとメチレン-ビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)との比率は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、例えば、1:1.00から1:1.30の比率での反応によって生成せしめたものが好ましく、より好ましくは1:1.02から1:1.20の比率である。
【0037】
本発明において、添加剤Bに含まれる3級アミン由来のスルホン酸アミン塩は、スルホン酸化合物がイオン結合することにより形成される。本発明におけるスルホン酸化合物とは、スルホン酸基を有する化合物を表し、該スルホン酸基のHが解離状態にあってもよく、また、スルホン酸化合物が水和物であってもよい。
【0038】
前記スルホン酸化合物は、添加剤Bの骨格中に存在する3級アミンへの立体選択性およびポリウレタン分子鎖との立体障害の最適化という観点から、分子量96以上300以下であることが好ましい。より好ましくは分子量96以上200以下である。
【0039】
前記スルホン酸化合物としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、デカンスルホン酸、オクタデカンスルホン酸、シクロヘキシルスルホン酸などの脂肪族スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、モノクロロベンゼンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸などの芳香族スルホン酸、ビニルスルホン酸、ドデセンスルホン酸、テトラデセンスルホン酸、ヘキサデセンスルホン酸等の不飽和脂肪族スルホン酸等が挙げられる。分子内にアニオン性基であるスルホン酸と、カチオン性基であるアンモニウム塩を共に有するスルホベタイン類であってもよい。また、これらのスルホン酸化合物は本発明の効果を損なわない限り任意の置換基を有していてもよいし、これらを単独ないし2種以上を用いてもよい。特に好ましいスルホン酸としては、脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸である。
【0040】
また、本発明において、ポリウレタン弾性繊維の収率向上という観点から、添加剤Bが3級アミン含有ジオールと、有機ジイソシアネートを主たる出発物質とするポリウレタンであることが好ましく、より好ましくは3級アミン含有ジオールと、有機ジイソシアネートを主たる出発物質とするポリウレタンで、該ポリウレタンが末端基にN,N‘-ジアルキルセミカルバジド末端基を有する場合である。
【0041】
上記のようなポリウレタン弾性繊維に含まれる添加剤Bの含有量は、0.1重量%以上10重量%以下の範囲であることが好ましい。添加剤Bの含有量0.1重量%以上であれば、ポリウレタン弾性繊維の糸物性の経時変化を安定化させるのに、十分な濃度で添加剤Bが存在するということになる。ポリウレタン弾性繊維として、より良好な実使用領域における回復応力が得られるという観点からは、添加剤Bの含有量が2.0重量%以上5.0重量%以下の範囲が好ましい。なお、かかる添加剤Bの含有量は、ポリウレタン弾性糸について1H-NMR、元素分析、イオンクロマトグラフ、GPC等の種々の分析法にて同定および定量することができる。
【0042】
本発明のポリウレタン弾性繊維には、各種安定剤や顔料等が含有されていてもよい。例えば、耐光剤、酸化防止剤等にBHTや住友化学工業株式会社製の“スミライザー”(登録商標)GA-80等のヒンダードフェノール系薬剤、各種のチバガイギー社製“チヌビン”(登録商標)等のベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系薬剤、住友化学工業株式会社製の“スミライザー”(登録商標)P-16等のリン系薬剤、各種のヒンダードアミン系薬剤、酸化鉄、酸化チタン等の各種顔料、ハイドロタルサイト類化合物、フンタイト、ハイドロマグネサイト、トルマリン等の鉱物、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カーボンブラック等の無機物、フッ素系またはシリコーン系樹脂粉体、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、また、銀や亜鉛やこれらの化合物等を含む殺菌剤、消臭剤、またシリコーン、鉱物油等の滑剤、酸化セリウム、ベタインやリン酸系等の各種の帯電防止剤等が含まれることも好ましく、またこれらがポリマーと反応させられることも好ましい。そして、特に光や各種の酸化窒素等への耐久性をさらに高めるには、例えば、日本ヒドラジン株式会社製のHN-150等の酸化窒素補足剤、住友化学工業株式会社製の“スミライザー”(登録商標)GA-80等の熱酸化安定剤、住友化学工業株式会社製の“スミソーブ”(登録商標)300♯622等の光安定剤が使用されることも好ましい。また、これら各種安定剤や顔料を配合する場合には、その糸中への分散性を向上させ、紡糸を安定化させる等の目的で、例えば、脂肪酸、脂肪酸エステル、ポリオール系有機物等の有機物、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤またはこれらの混合物で表面処理された無機薬品を用いることも好ましい。
【0043】
次に本発明のポリウレタン弾性繊維の製造方法について詳細に説明する。
【0044】
本発明ポリウレタン弾性繊維の製造方法は、以下のポリウレタンAおよび添加剤Bを含む紡糸原液を紡糸するポリウレタン弾性繊維の製造方法である。
ポリウレタンA:ポリマージオールと、ジイソシアネートと、鎖伸長剤とを、出発物質とし、骨格中に3級アミンを有しないポリウレタン。
添加剤B:ポリマージオールおよび/またはポリマージアミンと、ジイソシアネートとを、出発物質とし、骨格中に非芳香族炭素とのみ結合した3級アミン窒素を有し、前記3級アミン窒素はスルホン酸化合物がイオン結合しスルホン酸アミンを形成しているポリウレタン。
【0045】
ポリウレタンAと添加剤Bとを含有する紡糸原液を得る方法としては、任意の方法でよく、特に限定されるものではない。
【0046】
例えば、以下の紡糸原液aに添加剤溶液bおよび添加剤溶液cを含有させてポリウレタンAおよび添加剤Bを含む紡糸原液とした後、紡糸するポリウレタン弾性繊維の製造方法が挙げられる。
紡糸原液a:前記ポリウレタンAを含有する紡糸原液
添加剤溶液b:ポリマージオールおよび/またはポリマージアミンと、ジイソシアネートとを、出発物質とし、骨格中に非芳香族炭素とのみ結合した3級アミン窒素を有するポリウレタンまたはポリウレアを含有する添加剤
添加剤溶液c:分子量96以上300以下のスルホン酸化合物を含有する添加剤
また、別の方法として、例えば、ポリウレタンAを含む紡糸原液aと添加剤Bを含有する添加剤溶液dを個々に調製し、紡糸原液aに添加剤溶液dを混合してポリウレタンを得る方法でもよい。この際、添加剤溶液dは前記添加剤溶液bおよび添加剤溶液cを混合し、3級アミンとスルホン酸がイオン結合したスルホン酸アミン塩構造を分子構造中に有する添加剤Bとすることにより得ることができる。
【0047】
また、ポリウレタンAの製法は、溶融重合法でも溶液重合法のいずれであってもよく、他の方法であってもよい。しかし、より好ましいのは溶液重合法である。溶液重合法の場合には、ポリウレタンにゲル等の異物の発生が少なく、紡糸しやすく、低繊度のポリウレタン弾性繊維を得やすい。また、当然のことであるが、溶液重合の場合、溶液にする操作が省けるという利点がある。
【0048】
そして本発明に特に好適なポリウレタンAとしては、ポリマージオールとして数平均分子量が1800以上6000以下のPTMG、ジイソシアネートとしてMDI、鎖伸長剤としてエチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミンのうちの少なくとも1種を使用して合成されたものが挙げられる。
【0049】
ポリウレタンAは、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチルピロリジノン(NMP)等やこれらを主成分とする溶剤の中で、上記の原料を用い合成することにより得られる。例えば、こうした溶剤中に、各原料を投入、溶解させ、適度な温度に加熱し反応させてポリウレタンとする、いわゆるワンショット法、また、ポリマージオールとジイソシアネートを、まず溶融反応させ、しかる後に、反応物を溶剤に溶解し、前記の鎖伸長剤と反応させてポリウレタンとする方法等が、特に好適な方法として採用される。
【0050】
ポリウレタンAの鎖伸長剤にジオールを用いる場合、耐熱性に優れたものを得るという観点から、ポリウレタンの高温側の融点を200℃以上260℃以下の範囲に調節することが好ましい。代表的な方法は、ポリマージオール、MDI、ジオールの種類と比率をコントロールすることにより達成される。ポリマージオールの分子量が低い場合には、MDIの割合を相対的に多くすることにより、高温の融点が高いポリウレタンを得ることができ、同様にジオールの分子量が低いときはポリマージオールの割合を相対的に少なくすることにより、高温の融点が高いポリウレタンを得ることができる。
【0051】
ポリマージオールの分子量が1800以上の場合、高温側の融点を200℃以上にするには、(MDIのモル数)/(ポリマージオールのモル数)=1.5以上の割合で、重合を進めることが好ましい。
【0052】
なお、かかるポリウレタンAの合成に際し、アミン系触媒や有機金属触媒等の触媒が1種もしくは2種以上混合して使用されることも好ましい。
【0053】
アミン系触媒としては、例えば、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサンジアミン、ビス-2-ジメチルアミノエチルエーテル、N,N,N’,N’,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルグアニジン、トリエチレンジアミン、N,N’-ジメチルピペラジン、N-メチル-N’-ジメチルアミノエチル-ピペラジン、N-(2-ジメチルアミノエチル)モルホリン、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、N,N-ジメチルアミノエタノール、N,N,N’-トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N-メチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N-ジメチルアミノヘキサノール、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0054】
また、有機金属触媒としては、オクタン酸スズ、二ラウリン酸ジブチルスズ、オクタン酸鉛ジブチル等が挙げられる。
【0055】
こうして得られるポリウレタンAを含む紡糸原液aにおけるポリウレタンの濃度は、通常、30質量%以上80質量%以下の範囲が好ましい。
【0056】
添加剤溶液bは、ポリマージオールおよび/またはポリマージアミンと、ジイソシアネートとを、出発物質とし、骨格中に非芳香族炭素とのみ結合した3級アミンを分子構造中に有するポリウレタンまたはポリウレアを含有する添加剤溶液である。添加剤溶液bにおける前記ポリウレタンまたはポリウレアの濃度は、通常、30質量%以上80質量%以下の範囲が好ましい。なお、添加剤溶液bに含まれる前記ポリウレタンまたはポリウレアの製法は、出発物質が異なる点を除いて前記ポリウレタンAの製法に準じる。
【0057】
添加剤溶液cは、分子量96以上300以下のスルホン酸化合物を含有する添加剤溶液である。添加剤溶液cに含有されるスルホン酸化合物は、添加剤Bの説明において詳述したとおりである。添加剤溶液cにおける前記スルホン酸の濃度は、通常、10質量%以上50質量%以下の範囲が好ましい。
【0058】
添加剤溶液dは、前記添加剤溶液bおよび添加剤溶液cを混合し、3級アミンとスルホン酸がイオン結合したスルホン酸アミン塩構造を分子構造中に有する添加剤Bを含有する。添加剤溶液dにおいて、前記添加剤Bの濃度は、通常、30質量%以上80質量%以下の範囲が好ましい。
【0059】
本発明のポリウレタン弾性繊維の製造方法においては、ポリウレタンAを含む紡糸原液aに添加剤Bを含む添加剤dの溶液を添加することにより、ポリウレタン紡糸原液を得ることが好ましい。添加剤Bを含む添加剤dの溶液をポリウレタンA溶液へ添加する場合、任意の方法が採用できる。その代表的な方法としては、スタティックミキサーによる方法、撹拌による方法、ホモミキサーによる方法、2軸押し出し機を用いる方法等各種の手段が採用できる。
【0060】
なお、紡糸条件に応じ、ポリウレタン溶液の紡糸に適した粘度に制御する観点から、ジメチルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、イソプロピルメチルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルメチルアミン、イソブチルメチルアミン、イソペンチルメチルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン等のモノアミン、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、シクロペンタノール等のモノオール、フェニルイソシアネート等のモノイソシアネート等の末端封鎖剤が1種または2種以上混合して使用されることも好ましく行われる。
【0061】
以上のように構成した紡糸原液を、たとえば乾式紡糸、湿式紡糸、もしくは溶融紡糸し、巻き取ることで、本発明における基本的な繊維を得ることができる。中でも、細物から太物まであらゆる繊度において安定に紡糸できるという観点から、乾式紡糸が好ましい。
【0062】
本発明のポリウレタン弾性繊維の繊度、断面形状等は特に限定されるものではない。例えば、糸の断面形状は円形であってもよく、また扁平であってもよい。
【0063】
そして、乾式紡糸方式についても特に限定されるものではなく、所望する特性や紡糸設備に見合った紡糸条件等を適宜選択して紡糸すればよい。
【0064】
たとえば、本発明のポリウレタン弾性繊維の永久歪率と応力緩和は、特にゴデローラーと巻取機の速度比の影響を受けやすいので、糸の使用目的に応じて適宜決定されるのが好ましい。すなわち、所望の永久歪率と応力緩和を有するポリウレタン弾性繊維を得る観点から、ゴデローラーと巻取機の速度比は1.10以上1.65以下の範囲として巻き取ることが好ましい。また、紡糸速度は、得られるポリウレタン弾性繊維の強度を向上させる観点から、250m/分以上であることが好ましい。
【実施例
【0065】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、実施例に記載の発明に限定されるものではない。
【0066】
<評価方法>
[1]弾性繊維の特性
弾性繊維の特性として、基本特性および経時安定性を測定するにあたり、インストロン4502型引張試験機を用い、以下の条件で試料糸の引張テストを実施した。
【0067】
すなわち、5cm(L1)の試料を50cm/分の引張速度で300%伸長を5回繰り返し、5回目の300%伸長時の応力を(G1)とした。次に、試料の長さを300%伸長のまま30秒間保持した。30秒間保持後の応力を(G2)とした。次に試料の伸長を回復せしめ応力が0になった際に試料の長さを(L2)とした。さらに6回目に試料が切断されるまで伸長した。この破断時の応力を(G3)、破断時の試料長さを(L3)とした。また、前記の5回目の30秒間保持後の回復時における歪みと応力をプロットして曲線を描き、200%歪み時の応力を(P-200)として、所定の繊度(22dtex)の伸縮特性における実使用領域における回復応力を(G4)として算出した。
測定回数はn=3で測定し、それらの平均値を採用して、前記特性を算出した。
【0068】
(1)弾性繊維の基本特性
弾性繊維の基本特性として、破断強度、実使用領域における回復応力、永久歪率を測定した。以下、上記特性は下式により算出される。
・破断強度(cN)=(G3)
・実使用領域における回復応力(cN)=(G4)
・永久歪率(%)=100×((L2)-(L1))/(L1)
(2)弾性繊維の経時変化安定性
弾性繊維の経時安定性として、実使用領域強度経時変化比、永久歪率経時変化比を測定した。なお、紡糸により試験糸を採取した日を0日とし、温度21℃、湿度60%で保管の後、1日後および3ヵ月後の試験糸の物性を測定することにより、上記特性を下式により算出した。
・実使用領域強度経時変化比(%)=[(紡糸3ヶ月後の糸の実使用領域における回復応力)/(紡糸1日後の糸の実使用領域における回復応力)]×100
・永久歪率経時変化比(%)=[(紡糸3ヶ月後の糸の永久歪率)/(紡糸1日後の糸の永久歪率)]×100
さらに、ポリウレタン弾性繊維の下記特性値が紡糸1日後と紡糸3ヵ月後とで変化が小さいものが、経時変化安定性が優れているものと判定した。すなわち、実使用領域強度経時変化比、永久歪率経時変化比について、それぞれ90%以上120%未満を経時安定性が特に優れているとして◎と判定し、85%以上90%未満または120%以上125%未満を経時安定性が優れているとして○判定とし、85%未満または125%以上を経時安定性に課題が残るものとして×と判定した。
【0069】
[2]弾性繊維の紡糸性
紡糸を連続して48時間行い、その時の糸切れ回数を紡糸性判定の指標とした。すなわち、48時間の連続紡糸において、糸切れ回数が2回未満を◎と判定した。48時間中、糸切れ回数が2回以上でかつ24時間中の糸切れ回数が2回未満を○と判定した。
【0070】
[実施例1]
・紡糸原液aの調製
ポリマージオールとしてPTMG(分子量1800)、ジイソシアネートとしてMDI、鎖伸長剤としてエチレンジアミン、末端封鎖剤としてジエチルアミンを出発物質とするポリウレタン重合体のDMAc溶液(35質量%)を常法により調製し、A1とした。
【0071】
・添加剤溶液bの調製
3級アミン窒素を有するジオールとしてt-ブチルジエタノールアミンと、ジイソシアネートとしてメチレン-ビス-(4-シクロヘキシルイソシアネ-ト)とを出発物質とするポリウレタン(デュポン社製“メタクロール”(登録商標)2462)のDMAc溶液(濃度35質量%)を調製し、これをT1とした。
【0072】
・添加剤溶液cの調製
スルホン酸化合物としてp-トルエンスルホン酸一水和物(以下、PTSAと略す)のDMAc溶液(濃度35質量%)を調製し、これをS1とした。
【0073】
・添加剤溶液dの調製
T1を90重量%、S1を10重量%の割合で均一に混合した後、窒素雰囲気下30℃で1時間混合を続けることによって、T1の3級アミン部分がスルホン酸アミン塩化した添加剤Bと、未反応のPTSAとの混合物のDMAc溶液(濃度35質量%)を得た後、これをヘキサン抽出およびトルエン洗浄を繰り返すことにより、未反応のスルホン酸化合物を除去し、添加剤Bである固形物を得た。この固形物をDMAcに溶解させ、添加剤BのDMAc溶液(濃度35質量%)を調製し、これをB1とした。
【0074】
・添加剤溶液eの調製
さらに、その他の添加剤として、p-クレゾールおよびジビニルベンゼンの縮合重合体(デュポン社製“メタクロール”(登録商標)2390)のDMAc溶液(35質量%)を調製し、これをZ1とした。
【0075】
・紡糸原液の調製
A1、B1、Z1をそれぞれ98.9質量%、0.1質量%、1質量%で均一に混合して紡糸原液とし、これをゴデローラーと巻取機の速度比1.4として520m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻き取り、22dtex、モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維の100g巻糸体を得た。ポリウレタン弾性繊維の組成を表1、各種特性を表2に示す。
【0076】
[実施例2]
A1、B1、Z1をそれぞれ97質量%、2質量%、1質量%で均一に混合して紡糸原液とし、これをゴデローラーと巻取機の速度比1.4として520m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻き取り、22dtex、モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維の100g巻糸体を得た。ポリウレタン弾性繊維の組成を表1、各種特性を表2に示す。
【0077】
[実施例3]
A1、B1、Z1をそれぞれ94質量%、5質量%、1質量%で均一に混合して紡糸原液とし、これをゴデローラーと巻取機の速度比1.4として520m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻き取り、22dtex、モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維の100g巻糸体を得た。ポリウレタン弾性繊維の組成を表1、各種特性を表2に示す。
【0078】
[実施例4]
A1、B1、Z1をそれぞれ89質量%、10質量%、1質量%で均一に混合して紡糸原液とし、これをゴデローラーと巻取機の速度比1.4として520m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻き取り、22dtex、モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維の100g巻糸体を得た。ポリウレタン弾性繊維の組成を表1、各種特性を表2に示す。
【0079】
[実施例5]
A1、B1、Z1をそれぞれ79質量%、20質量%、1質量%で均一に混合して紡糸原液とし、これをゴデローラーと巻取機の速度比1.4として520m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻き取り、22dtex、モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維の100g巻糸体を得た。ポリウレタン弾性繊維の組成を表1、各種特性を表2に示す。
【0080】
[実施例6]
実施例1の方法に準拠し、S1の代わりとして3-[[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホン酸のDMAc溶液(濃度35質量%)を調製し、これをS2とし、T1およびS2よりなる添加剤BのDMAc溶液であるB2(濃度35質量%)調製した。
【0081】
A1、B2、Z1をそれぞれ97質量%、2質量%、1質量%で均一に混合して紡糸原液とし、これをゴデローラーと巻取機の速度比1.4として520m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻き取り、22dtex、モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維の100g巻糸体を得た。ポリウレタン弾性繊維の組成を表1、各種特性を表2に示す。
【0082】
[実施例7]
実施例1の方法に準拠し、S1の代わりとして2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸1水和物のDMAc溶液(濃度35質量%)を調製し、これをS3とし、T1およびS3よりなる添加剤BのDMAc溶液であるB3(濃度35質量%)を調製した。
【0083】
A1、B3、Z1をそれぞれ97質量%、2質量%、1質量%で均一に混合して紡糸原液とし、これをゴデローラーと巻取機の速度比1.4として520m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻き取り、22dtex、モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維の100g巻糸体を得た。ポリウレタン弾性繊維の組成を表1、各種特性を表2に示す。
【0084】
[実施例8]
実施例1に記載のT1の代わりとして、t-ブチルジエタノールアミンとメチレン-ビス-(4-シクロヘキシルイソシアネ-ト)との6~8の繰り返し数を持つ付加物で、構造の末端にN,N-ジメチルヒドラジンを反応させることにより、末端にジメチルセミカルバジドを形成させた重合体を用い、そのDMAc溶液(濃度35質量%)を調製し、これをT2とした。
【0085】
実施例1の方法に準拠し、T2およびS1よりなる添加剤BのDMAc溶液であるB4(濃度35質量%)を調製した。
【0086】
A1、B4、Z1をそれぞれ97質量%、2質量%、1質量%で均一に混合して紡糸原液とし、これをゴデローラーと巻取機の速度比1.4として520m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻き取り、22dtex、モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維の100g巻糸体を得た。ポリウレタン弾性繊維の組成を表1、各種特性を表2に示す。
【0087】
[実施例9]
ポリウレタンAとして、分子量2100のPTMG、MDI、エチレングリコールおよび末端封鎖剤として1-ブタノールからなるポリウレタンウレタン重合体のDMAc溶液(35質量%)を常法により調製し、A2とした。
【0088】
A2、B1、Z1をそれぞれ98.9質量%、0.1質量%、1質量%で均一に混合して紡糸原液とし、これをゴデローラーと巻取機の速度比1.5として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻き取り、20dtex、モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維の50g巻糸体を得た。ポリウレタン弾性繊維の組成を表1、各種特性を表2に示す。
【0089】
[実施例10]
A2、B1、Z1をそれぞれ97質量%、2質量%、1質量%で均一に混合して紡糸原液とし、これをゴデローラーと巻取機の速度比1.5として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻き取り、20dtex、モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維の50g巻糸体を得た。ポリウレタン弾性繊維の組成を表1、各種特性を表2に示す。
【0090】
[実施例11]
A2、B1、Z1をそれぞれ94質量%、5質量%、1質量%で均一に混合して紡糸原液とし、これをゴデローラーと巻取機の速度比1.5として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻き取り、20dtex、モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維の50g巻糸体を得た。ポリウレタン弾性繊維の組成を表1、各種特性を表2に示す。
【0091】
[実施例12]
A2、B1、Z1をそれぞれ89質量%、10質量%、1質量%で均一に混合して紡糸原液とし、これをゴデローラーと巻取機の速度比1.5として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻き取り、20dtex、モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維の50g巻糸体を得た。ポリウレタン弾性繊維の組成を表1、各種特性を表2に示す。
【0092】
[実施例13]
A2、B2、Z1をそれぞれ97質量%、2質量%、1質量%で均一に混合して紡糸原液とし、これをゴデローラーと巻取機の速度比1.5として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻き取り、20dtex、モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維の50g巻糸体を得た。ポリウレタン弾性繊維の組成を表1、各種特性を表2に示す。
【0093】
[実施例14]
A2、B3、Z1をそれぞれ97質量%、2質量%、1質量%で均一に混合して紡糸原液とし、これをゴデローラーと巻取機の速度比1.5として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻き取り、20dtex、モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維の50g巻糸体を得た。ポリウレタン弾性繊維の組成を表1、各種特性を表2に示す。
【0094】
[実施例15]
A2、B4、Z1をそれぞれ97質量%、2質量%、1質量%で均一に混合して紡糸原液とし、これをゴデローラーと巻取機の速度比1.5として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻き取り、20dtex、モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維の50g巻糸体を得た。ポリウレタン弾性繊維の組成を表1、各種特性を表2に示す。
【0095】
[比較例1]
A1、Z1をそれぞれ99質量%、1質量%で均一に混合して紡糸原液とし、これをゴデローラーと巻取機の速度比1.4として520m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻き取り、22dtex、モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維の100g巻糸体を得た。ポリウレタン弾性繊維の組成を表1、各種特性を表2に示す。
【0096】
[比較例2]
A1、T1、Z1をそれぞれ97質量%、2質量%、1質量%で均一に混合して紡糸原液とし、これをゴデローラーと巻取機の速度比1.4として520m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻き取り、22dtex、モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維の100g巻糸体を得た。ポリウレタン弾性繊維の組成を表1、各種特性を表2に示す。
【0097】
[比較例3]
ポリウレタン構造を有さないスルホン酸アミン塩として三洋化成(株)社製の“ネオジャーミDFS”(ジデシルジメチルアンモニウム3フッ化メチルスルホン酸塩)を用い、スルホン酸アミン塩のDMAc溶液(濃度35質量%)としてD2を調製した。
【0098】
A1、D2、Z1をそれぞれ97質量%、2質量%、1質量%で均一に混合して紡糸原液とし、これをゴデローラーと巻取機の速度比1.4として520m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻き取り、22dtex、モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維の100g巻糸体を得た。ポリウレタン弾性繊維の組成を表1、各種特性を表2に示す。
【0099】
[比較例4]
A2、Z1をそれぞれ99質量%、1質量%で均一に混合して紡糸原液とし、これをゴデローラーと巻取機の速度比1.5として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻き取り、20dtex、モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維の50g巻糸体を得た。ポリウレタン弾性繊維の組成を表1、各種特性を表2に示す。
【0100】
[比較例5]
A2、T1、Z1をそれぞれ97質量%、2質量%、1質量%で均一に混合して紡糸原液とし、これをゴデローラーと巻取機の速度比1.5として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻き取り、20dtex、モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維の50g巻糸体を得た。ポリウレタン弾性繊維の組成を表1、各種特性を表2に示す。
【0101】
[比較例6]
A2、D2、Z1をそれぞれ97質量%、2質量%、1質量%で均一に混合して紡糸原液とし、これをゴデローラーと巻取機の速度比1.5として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻き取り、20dtex、モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維の50g巻糸体を得た。ポリウレタン弾性繊維の組成を表1、各種特性を表2に示す。
【0102】
表1、表2では、「ポリウレタン弾性繊維」を「弾性繊維」と略記する。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】