(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】調温装置及びジェラートサーバー
(51)【国際特許分類】
A23G 9/28 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
A23G9/28
(21)【出願番号】P 2020175271
(22)【出願日】2020-10-19
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】307013857
【氏名又は名称】株式会社ロッテ
(73)【特許権者】
【識別番号】594183299
【氏名又は名称】株式会社松尾製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤松 剛幸
(72)【発明者】
【氏名】秋山 直哉
(72)【発明者】
【氏名】神戸 寿史
(72)【発明者】
【氏名】市川 幹也
(72)【発明者】
【氏名】三池 貴久
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 恭平
【審査官】三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-157180(JP,A)
【文献】特開2005-130840(JP,A)
【文献】国際公開第2017/200022(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パック入りの物質を調温するための装置であって、
所定の長さを有し、一端は閉じていて、他端には流体の入出口を備え、流体の流入に伴って径が拡大するように膨張するチューブを含み、
前記チューブの長さ方向に直交方向に配列された複数の前記チューブを含むベース側チューブ列と、
前記チューブの長さ方向に直交方向に配列された複数の前記チューブを含み、前記ベース側チューブ列と所定の間隔を空けて対向するカバー側チューブ列と、
各前記チューブへの流体の流入及び流出を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記ベース側チューブ列と前記カバー側チューブ列との間に挟んだパック入りの物質の調温を行うために、各前記チューブを膨張・非膨張させて前記チューブの外周面を選択的にパック入りの物質に圧接・非圧接させることを特徴とする、調温装置。
【請求項2】
前記チューブは、前記チューブの長さ方向に見て、相対的に熱伝導率の高い外周面部と相対的に熱伝導率の低い外周面部とが、所定の割合で交互に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の調温装置。
【請求項3】
前記制御手段は、パック入りの物質の調温完了時に、前記ベース側チューブ列及び前記カバー側チューブ列の各前記チューブを、列の上端から下端へ向けて順次膨張させて膨張状態を維持させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の調温装置。
【請求項4】
前記ベース側チューブ列及び前記カバー側チューブ列の各前記チューブの対向面側にそれぞれ設けられ、各前記チューブの膨張・非膨張に伴って変位する複数の熱伝導調整板をさらに備え、
前記制御手段は、前記ベース側チューブ列と前記カバー側チューブ列との間に前記熱伝導調整板を介在して挟んだパック入りの物質の調温を行うために、各前記チューブを選択的に膨張・非膨張させて前記熱伝導調整板をパック入りの物質に圧接・非圧接させることを特徴とする、請求項1に記載の調温装置。
【請求項5】
前記熱伝導調整板は、所定の長さ及び幅を有する矩形の高い熱伝導性を有する金属板と、前記金属板のパック入りの物質に接触する面に設けられた低い熱伝導性を有する断熱部材とを含むことを特徴とする、請求項4に記載の調温装置。
【請求項6】
前記パック入りの物質は、パック入りアイスを含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の調温装置。
【請求項7】
前記熱伝導調整板は、前記断熱部材が前記金属板の前記接触する面に相対的に広範囲に設けられた第1調整板と、前記断熱部材が前記金属板の前記接触する面に相対的に狭範囲に配置された第2調整板とを含み、
前記ベース側チューブ列には、各前記チューブに対応して、前記第1調整板及び前記第2調整板が交互に隣接するように設けられ、
前記カバー側チューブ列には、各前記チューブに対応して、前記第1調整板及び前記第2調整板が、前記ベース側チューブ列とは逆の配列で交互に隣接するように設けられていることを特徴とする、請求項5に記載の調整装置。
【請求項8】
前記ベース側チューブ列及び前記カバー側チューブ列は、それぞれ、上下方向に各前記チューブが配列されており、
前記熱伝導調整板は、前記ベース側チューブ列の各前記チューブに合わせて上下方向に隣接された複数のベース側熱伝導調整板と、前記カバー側チューブ列の各前記チューブに合わせて上下方向に隣接された複数のカバー側熱伝導調整板とを含み、
前記ベース側熱伝導調整板は、上から下に向かって、前記第1調整板及び前記第2調整板が交互に配置され、かつ、最下方には、前記金属板の前記接触する面の全面が前記断熱部材で被われた第3調整板が設けられ、
前記カバー側熱伝導調整板は、上から下に向かって、前記第2調整板及び前記第1調整板が交互に配置され、かつ、最下方には、前記第3調整板が設けられていることを特徴とする、請求項7に記載の調整装置。
【請求項9】
パック入りアイスを調温し、調温後のアイスを絞り出すジェラートサーバーであって、
外形を区画するハウジングと、
前記ハウジングの上部に組み込まれた請求項1~8のいずれか一項に記載の調温装置と、
前記ハウジングの正面側下部に設けられ、パックから絞り出されるアイスを受け入れるカップを載置するためのカップ台と、
前記カップ台を前記ハウジングの前方へ繰り出すための繰り出し機構と、
前記繰り出し機構に連動して動作し、アイスが絞り出された後のパックを前記ハウジング内へ回収するための回収機構とを含む、ジェラートサーバー。
【請求項10】
パック入りアイスを調温する方法であって、
流体の流入に伴って径が拡大するように膨張するチューブを複数用い、複数の前記チューブが径方向に配列された第1のチューブ列と、前記第1のチューブ列と対向するように複数の前記チューブが径方向に配列された第2のチューブ列とを準備し、
前記第1のチューブ列と前記第2のチューブ列とによってパック入りアイスを挟み、
各前記チューブを膨張・非膨張させて前記チューブの外周面で選択的にパック入りアイスを押圧して揉みほぐす、パック入りアイスの調温方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パック入りの物質、特に冷凍食品、冷凍菓子や冷凍飲料を適温に調温して提供するための冷凍食品用調温装置に関する。また、この発明は、アイスクリームを調温してジェラートにして提供するためのジェラートサーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍食品であるアイスクリーム(冷菓)の市場には、「製品販売」および「メニュー販売」の2つの販売手法が存在している。すなわち、包装されたアイスクリームを冷凍状態(約-20℃)で冷凍庫に保存し、陳列して店頭販売または通信販売をする手法(「製品販売」という。)と、店舗にて液体原料を約-5℃に冷却し、盛り付けをして提供するソフトクリームの販売や、大容量アイスクリームから販売員がディッシャーを用いて盛り付けたり、小容量のショットアイスを店頭で盛り付けたり、またはアイスクリームに液体原料を混ぜてフローズンドリンクに加工して販売する手法(「メニュー販売」という。)とがある。
【0003】
このうち、滑らかで軟らかな食感のアイスクリーム(-15℃から-5℃)を提供できる「メニュー販売」は、製造許可および高額な初期投資が必要である。また、店舗スタッフの作業として「原料投入・調温管理・製造機器操作・接客提供・機器洗浄・衛生管理」を伴う。
現在使われているワンショットアイスシステムは、店頭製造の許可が不要で、専用の1食分使い切りアイスカートリッジと専用機器と専用冷凍庫とを用いることで、店舗スタッフの作業を簡便化し、主にサーバー機器操作・接客提供・簡易な機器手入れでの対応を可能としている。
【0004】
但し、アイスカートリッジは、冷凍流通(約-20℃)のため、店舗に専用冷凍ストッカーを置き、6時間以上かけて調温(約-12℃に調温)して軟らかくする必要がある。また、1度調温したアイスカートリッジは、1週間以内に提供する必要があり、それ以上置くと、アイスクリームの氷結晶が粗大化する。
特許文献1には、抽出容器に充填された冷菓を、抽出容器ごと加熱昇温させ、加圧プレッシャーによりもみ作業を行う冷菓の解凍抽出方法が開示されている。
【0005】
特許文献2には、冷凍したソフトクリームを、外気温風を熱吸収放熱板に吹き付けて半解凍した後、シャーベット状態にする圧縮動作と練り動作を行う調温方法が開示されている。
特許文献3、4には、冷凍硬化したアイスクリームを破砕歯車または歯形ローラによって破砕解凍する調温方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3433344号公報
【文献】特開2005-130840号公報
【文献】特開2004-129628号公報
【文献】特開2003-135005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
簡便な操作やメンテナンスで冷凍食品(冷凍アイスクリーム等)を短時間で調温でき、軟らかいアイスクリーム等を提供可能な機器ができれば、「調温冷凍庫不要」に伴う販売チャンスロスや在庫過多が減少し、品質向上が見込まれるだけでなく、滑らかで軟らかいアイスクリーム等を店頭で提供することができる。
また、家庭においても、滑らかで軟らかいアイスクリーム等を簡単に準備して楽しむことが可能となる。
【0008】
ところで、先行技術文献に開示された各調温方法や調温装置では、業務用に使用する場合でも家庭用に使用する場合でも、改良すべき余地が多々あり、満足のいく冷凍食品用調温装置が実現されているわけではない。
本発明は、係る背景のもとになされたもので、パック入りの物質、特に冷凍食品、冷凍菓子、冷凍飲料等のアイスクリーム類を短時間で調温でき、滑らかで軟らかい食品に加工できる冷凍食品用調温装置を提供することを主たる目的とする。
【0009】
また、本発明は、アイスクリームを調温して提供するジェラートサーバーを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、一局面から見ると、所定の長さを有し、一端は閉じていて、他端には流体の入出口を備え、流体の流入に伴って径が拡大するように膨張するチューブを含み、前記チューブの長さ方向に直交方向に配列された複数の前記チューブを含むベース側チューブ列と、前記チューブの長さ方向に直交方向に配列された複数の前記チューブを含み、前記ベース側チューブ列と所定の間隔を空けて対向するカバー側チューブ列と、各前記チューブへの流体の流入及び流出を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記ベース側チューブ列と前記カバー側チューブ列との間に挟んだパック入りの物質の調温を行うために、各前記チューブを膨張・非膨張させて前記チューブの外周面を選択的にパック入りの物質に圧接・非圧接させることを特徴とする、調温装置である。
【0011】
前記チューブは、前記チューブの長さ方向に見て、相対的に熱伝導率の高い外周面部と相対的に熱伝導率の低い外周面部とが、所定の割合で交互に配置されていてもよい。
本発明の制御手段は、パック入りの物質の調温完了時に、前記ベース側チューブ列及び前記カバー側チューブ列の各前記チューブを、列の上端から下端へ向けて順次膨張させて膨張状態を維持させていてもよい。
【0012】
本発明は、前記ベース側チューブ列及び前記カバー側チューブ列の各前記チューブの対向面側にそれぞれ設けられ、各前記チューブの膨張・非膨張に伴って変位する複数の熱伝導調整板をさらに備え、前記制御手段は、前記ベース側チューブ列と前記カバー側チューブ列との間に前記熱伝導調整板を介在して挟んだパック入りの物質の調温を行うために、各前記チューブを選択的に膨張・非膨張させて前記熱伝導調整板をパック入りの物質に圧接・非圧接させていてもよい。
【0013】
本発明の熱伝導調整板は、所定の長さ及び幅を有する矩形の高い熱伝導性を有する金属板と、前記金属板のパック入りの物質に接触する面に設けられた低い熱伝導性を有する断熱部材とを含んでいてもよい。
本発明における調温対象物であるパック入りの物質は、パック入りアイスであってもよい。
【0014】
本発明の熱伝導調整板は、前記断熱部材が前記金属板の前記接触する面に相対的に広範囲に設けられた第1調整板と、前記断熱部材が前記金属板の前記接触する面に相対的に狭範囲に配置された第2調整板とを含み、前記ベース側チューブ列には、各前記チューブに対応して、前記第1調整板及び前記第2調整板が交互に隣接するように設けられ、前記カバー側チューブ列には、各前記チューブに対応して、前記第1調整板及び前記第2調整板が、前記ベース側チューブ列とは逆の配列で交互に隣接するように設けられていてもよい。
【0015】
本発明は、前記ベース側チューブ列及び前記カバー側チューブ列は、それぞれ、上下方向に各前記チューブが配列されており、前記熱伝導調整板は、前記ベース側チューブ列の各前記チューブに合わせて上下方向に隣接された複数のベース側熱伝導調整板と、前記カバー側チューブ列の各前記チューブに合わせて上下方向に隣接された複数のカバー側熱伝導調整板とを含み、前記ベース側熱伝導調整板は、上から下に向かって、前記第1調整板及び前記第2調整板が交互に配置され、かつ、最下方には、前記金属板の前記接触する面の全面が前記断熱部材で被われた第3調整板が設けられ、前記カバー側熱伝導調整板は、上から下に向かって、前記第2調整板及び前記第1調整板が交互に配置され、かつ、最下方には、前記第3調整板が設けられていてもよい。
【0016】
本発明は、他の局面から見ると、パック入りアイスを調温し、調温後のアイスを絞り出すジェラートサーバーであって、外形を区画するハウジングと、前記ハウジングの上部に組み込まれた前記調温装置と、前記ハウジングの正面側下部に設けられ、パックから絞り出されるアイスを受け入れるカップを載置するためのカップ台と、前記カップ台を前記ハウジングの前方へ繰り出すための繰り出し機構と、前記繰り出し機構に連動して動作し、アイスが絞り出された後のパックを前記ハウジング内へ回収するための回収機構とを含んでいる。
【0017】
また、本発明は、さらに他の局面から見ると、流体の流入に伴って径が拡大するように膨張するチューブを複数用い、複数の前記チューブが径方向に配列された第1のチューブ列と、前記第1のチューブ列と対向するように複数の前記チューブが径方向に配列された第2のチューブ列とを準備し、前記第1のチューブ列と前記第2のチューブ列とによってパック入りアイスを挟み、各前記チューブを膨張・非膨張させて前記チューブの外周面で選択的にパック入りアイスを押圧して揉みほぐす、パック入りアイスの調温方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、パック入りの物質を短時間に調温可能であり、特に、パック入りアイス、スープ等の冷凍保存された食品を、約-12℃から0℃の軟らかく滑らかな状態に短時間で調温することができる。また、本発明によれば、冷凍状態の固形アイスを食べやすいジェラート状に調温して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るジェラートサーバー10のカバー12が閉じられた状態の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るジェラートサーバー10のカバー12が開かれた状態の斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係るジェラートサーバー10の構成概要を説明するための図解的な縦断面構造図である。
【
図4】
図4は、ベース側チューブユニット13の平面図である。
【
図5】
図5は、ベース側チューブユニット13の一部を分解して示す斜視図である。
【
図6】
図6は、ハウジング11内に設けられた水路32の構成例である。
【
図7】
図7(A)は、ジェラートサーバー10で調温されるパック入りアイスの一例を示す図解的な正面図であり、
図7(B)はパック入りアイスの一例を示す図解的な左側面図である。
【
図8】
図8(A)(B)(C)は、ベース側チューブユニット13及びカバー側チューブユニット14に備えられる熱伝導調整板23のより詳細な構成を説明する図である。
【
図9】
図9(A)は、ベース側チューブユニット13に配列された6枚の熱伝導調整板23の正面図であり、
図9(B)は、カバー側チューブユニット14に配列された6枚の熱伝導調整板23の正面図である。
【
図10】
図10は、ベース側チューブユニット13及びカバー側チューブユニット14でパック入りアイスを挟んで調温処理を行う様子を模式的に示す縦断面図である。
【
図11】
図11(A)(B)は、カップ台16及びシューター板45の動作を説明するための図解的な側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明をする。
図1及び
図2は、本発明の一実施形態に係るジェラートサーバー10の外観斜視図である。
図1は、カバー12が閉じられた状態の斜視図であり、
図2は、カバー12が開かれた状態の斜視図である。また、
図3は、本発明の一実施形態に係るジェラートサーバー10の構成概要を説明するための図解的な縦断面構造図である。
【0021】
図1~3を参照して、ジェラートサーバー10は、外形を構成するハウジング11と、ハウジング11の例えば前方上部に設けられたカバー12とを備えている。カバー12は、ハウジング11に対して、例えば左縁部を中心に右縁部を持ち上げて前方へ開くことができる構成とされている。
カバー12が開かれた状態において、ハウジング11の上部には、ベース側チューブユニット13が露出する。また、カバー12の開かれた内側には、カバー側チューブユニット14が露出する。ベース側チューブユニット13上にパック入りアイス(図示せず)をセットしてカバー12を閉じることにより、ベース側チューブユニット13及びカバー側チューブユニット14間にパック入りアイスが挟持されて、パック入りアイスに調温処理を施せる構成となっている。このように、ジェラートサーバー10は、ベース側チューブユニット13及びカバー側チューブユニット14を具備する調温ユニット15を備えている。
【0022】
ジェラートサーバー10には、調温ユニット15の下方に、カップ(図示せず)を載置するカップ台16が備えられている。カップ台16は、繰出機構17によって前方へスライドするように繰出されてもよい。また、ハウジング11内には、繰出機構17に連動して動作し、アイスが絞り出された後のパックを回収する回収機構18が設けられていてもよい。
【0023】
図4は、ベース側チューブユニット13の平面図であり、
図5は、ベース側チューブユニット13の一部を分解して示す斜視図である。
図4及び
図5を参照して、ベース側チューブユニット13は、ベースプレート21と、ベースプレート21上に配列された例えば6つのゴムチューブ22と、各ゴムチューブ22の上面側に取り付けられた熱伝導調整板23とを有している。
【0024】
ゴムチューブ22は、一例として、横方向に所定の長さの本体部220を有し、本体部220の例えば左側へ伸び出た一端221は閉じていて、本体部220の例えば右側へ伸び出た他端222には流体の入出口が備えられている。そして、他端222の入出口からの流体の流入に伴って本体部220はその径が拡大するように膨張し得る。
ゴムチューブ22の上面側には、本体部220の長さ方向に長手で、本体部220の直径と同等か、直径よりもやや大きな幅をした熱伝導調整板23が配置されている。熱伝導調整板23は、その一端231がゴムシート24によってゴムチューブ22の一端221に連結されている。また、熱伝導調整板23の他端232はゴムシート24によってゴムチューブ22の他端222に連結されている。このため、ゴムチューブ22に流体が流入されて本体部220の径が拡大するように膨張すると、本体部220の膨張に伴って熱伝導調整板23は上方へ押し上げられる。また、ゴムチューブ22に流入された流体が排出されると、本体部220の径が拉げ、本体部220の上面に沿って配置されている熱伝導調整板23は、本体部220と共に、下方へ沈む。
【0025】
ベースプレート21上には、例えば6つのゴムチューブ22が、ゴムチューブ22の長さ方向に直交方向に隣接して配列される。このため、ベースプレート21の一端縁側211には、6つのゴムチューブ22の各一端側を取り付けるための第1サブアセンブリ25が備えられている。また、ベースプレート21の他端縁側212には、6つのゴムチューブ22の各他端側を取り付けるための第2サブアセンブリ26が備えられている。
【0026】
第2サブアセンブリ26に取り付けられた各ゴムチューブ22の他端222には、それぞれ、ワンタッチ継手28が連結される。そして、当該ワンタッチ継手28を介して、後述する水路が連結される。
なお、
図5において、符号27で示す部材は、ゴムチューブ22の一端側及び他端側をそれぞれ第1サブアセンブリ25及び第2サブアセンブリ26に取り付ける為のホースバンドを示している。この実施形態では、ゴムチューブ22の第1サブアセンブリ25及び第2サブアセンブリ26への取り付けを、ホースバンド27を用いて行う構成を例示しているが、ホースバンド27を使う方法に替えて、ゴムチューブ22の両端部を圧縮固定する方法や接着固定する方法等の、他の固定方法を採用することもできる。
【0027】
図2及び
図3を参照して、カバー12に組み込まれたカバー側チューブユニット14は、上述したベース側チューブユニット13の構成と同じ構成である。そして、ベース側チューブユニット13に備えられた一例として6枚の熱伝導調整板23と、カバー側チューブユニット14に備えられた一例として6枚の熱伝導調整板23との間にパック入りアイスが挟まれて保持され、調温処理が施される。
【0028】
図3を参照して、ハウジング11内には、タンク30が備えられ、タンク30内には、流体の一例としての水が貯留されている。また、ハウジング11内には、タンク30内の水を汲出すためのポンプ31、水路32及び水路32の水の流れを調整するためのバルブユニット33が備えられている。
この実施形態では、タンク30に貯められた水をベース側チューブユニット13の各ゴムチューブ22及びカバー側チューブユニット14の各ゴムチューブ22へ与え、又、各ゴムチューブ22から水を排出することによって、各ゴムチューブ22を膨張・非膨張させる。そして、ゴムチューブ22の膨張・非膨張により、各ゴムチューブ22の上面に設けられた熱伝導調整板23がパック入りアイスを部分的に押圧し、又、押圧を解除することによって、パック入りアイスを柔軟に揉みながら、熱伝導調整板23によってパック内のアイスと熱交換をしつつ、パック内のアイスの部分的な液状化と凍結を繰り返して、パック入りアイスの調温を行う仕組である。
【0029】
なお、各ゴムチューブ22の上面に熱伝導調整板23が設けられておらず、例えばゴムチューブ22が剥き出しであってパック50と直接接触する場合であっても、ゴムチューブ22の膨張・非膨張により、運動エネルギーが熱エネルギーに変換されて、パック50内のアイスが揉みほぐされることで昇温させることが可能である。
図6に、ハウジング11内に設けられた水路32の構成例を示す。タンク30に貯留された水は、ポンプ31によって汲み出され、バルブユニット33へ与えられる。バルブユニット33には、一例として、6個のベース側ソレノイドバルブ331及び6個のカバー側ソレノイドバルブ332が備えられている。そして、ポンプ31からバルブユニット33への水路は12系統に分配されて、それぞれ、6個のベース側ソレノイドバルブ331及び6個のカバー側ソレノイドバルブ332に連結されている。又、6個のベース側ソレノイドバルブ331には、個別に、ベース側チューブユニット13の6つのゴムチューブ22が連結されている。同様に、6個のカバー側ソレノイドバルブ332には、個別に、カバー側チューブユニット14の6つのゴムチューブ22が連結されている。さらに、バルブユニット33において、6個のベース側ソレノイドバルブ331及び6個のカバー側ソレノイドバルブ332の排水側は、1系統に集合されて、タンク30へ戻されている。
【0030】
以上の構成であるから、12個のソレノイドバルブ331,332を個々に制御することにより、ベース側チューブユニット13の6つのゴムチューブ22及びカバー側チューブユニット14の6つのゴムチューブ22を個々独立的に膨張・非膨張させることができる。
図7(A)は、ジェラートサーバーで調温されるパック入りアイスの一例を示す図解的な正面図であり、
図7(B)はパック入りアイスの一例を示す図解的な左側面図である。
【0031】
パック入りアイスは、柔軟な袋状容器(以下「パック」という)50に封入されて冷凍された固形状態のアイスクリームである。
図7(A),(B)において薄着色をした部分ICEがパック50に封入されて冷凍された固形状態のアイスクリームを示している。
パック50は、柔軟な樹脂製、たとえば軟質プラスチックフィルム製であり、袋状容器の形態をしている。より具体的には、パック50は、正面視が角丸縦長長方形状の2枚のフィルムシート51,52の上方(上縁部)53および左右側方(左側縁部および右側縁部)54,55がたとえば熱融着により剥れることのないように接合されて形成された縦長矩形状の袋状収容室56を有する。フィルムシート51,52は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂を初めとする種々の樹脂材料を採用することができる。樹脂材料には、ナイロン(ポリアミド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)なども含まれる。また、フィルムシート51,52は、単層のフィルムシートに限られず、多層構造のフィルムシートとしてもよく、例えば、内層および外層がポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンで、中間層が環状オレフィンコポリマーの3層構造のフィルムシート等を採用することもできる。
【0032】
さらに、フィルムシートは、2枚のフィルムシート51,52に代えて、1枚のフィルムシートを折り重ね、その周縁部を熱融着して袋状収容室56を有する形態とすることもできる。
2枚のフィルムシート51,52の下方部57も熱融着により接合されているが、この下方部57は、切り取りガイド61から切り取り線62に沿って破り取れるようになっている。そして、下方部57が除去されると、パック50の下縁部には、出口に向かって幅が狭められた流出口58が開通する。アイスICEが封入された袋状収容室56と流出口58との間は、弱シール接合部59により封鎖されていてもよい。
【0033】
弱シール接合部59は、袋状収容室56内の圧力を高めることにより開封可能とされている。すなわち、袋状収容室56内に充填されたアイスクリームが冷凍状態の固体のときには、パック50を加圧しても袋状収容室56の内圧は高まらず、弱シール接合部59が開封することはないが、袋状収容室56内のアイスクリームが調温されて流動可能な状態になると、パック50を加圧するとその圧力は袋状収容室56内で流動可能になったアイスクリームを介して弱シール接合部59へ伝わり、弱シール接合部59は所定値以上の圧力が加わった時に開封する機構となっている。
【0034】
弱シール接合部59は、所定値以上の内圧で開封するように、弱めの強度で融着することにより形成することができる。一例としては、層間剥離が生じ易い3層構造の多層フィルム、例えばポリ環状オレフィンをポリエチレンで挟んだ構造の多層フィルムや、ポリプロピレンをポリエチレンで挟んだ構造の多層フィルムを用いてパック50を構成すると、弱シール接合部59は、所定値以上の内圧が加わったときに層間剥離を起こし、易開封性を実現できる。
【0035】
なお、パック50を構成するフィルムシートは、樹脂シートの代わりに、アルミフィルム、アルミ蒸着シート等を用いてもよい。また、シートの接合は、熱融着に限らず、接着剤を用いた接合としてもよい。
図8は、ベース側チューブユニット13及びカバー側チューブユニット14に備えられる熱伝導調整板23のより詳細な構成を説明する図である。
【0036】
この実施形態では、熱伝導調整板23は、
図8(A)に示す第1調整板23A、
図8(B)に示す第2調整板23B、及び
図8(C)に示す第3調整板23Cの3種類が使用される。
熱伝導調整板23(第1調整板23A、第2調整板23B及び第3調整板23C)は、共通の構成として、所定の長さ及び幅を有する矩形をし、高い熱伝導性を有する金属板、例えばアルミ板233を備えている。そして、このアルミ板233の表面、すなわちパック入りアイスに接触する面に、熱伝導を調整するために、断熱部材として例えば樹脂製のパッチが貼付されている。樹脂製のパッチの貼付に替えて、断熱塗装、樹脂(ゴムなど)の組付け、インサート成型といった方法により、金属板(アルミ板233)の表面に、断熱部材が設けられていてもよい。
【0037】
図8(A)に示す第1調整板23Aは、アルミ板233の表面中央に円形(一例として、この円は直径22mmであってもよい)樹脂パッチ234が貼付されている。
図8(B)に示す第2調整板23Bは、アルミ板233の表面の左右両側寄りの位置に、円形樹脂パッチ234がそれぞれ貼付されている。
図8(C)に示す第3調整板23Cは、アルミ板233の表面の全面に、樹脂パッチ235が貼付され、表面全面が樹脂パッチ235で被われている。
【0038】
図9(A)は、ベース側チューブユニット13に配列された6枚の熱伝導調整板23の正面図であり、
図9(B)は、カバー側チューブユニット14に配列された6枚の熱伝導調整板23の正面図である。
図9(A)に示すように、ベース側チューブユニット13には、縦に配列された6つのゴムチューブ22の前面にそれぞれ熱伝導調整板23が取り付けられているので、正面視において、6枚の熱伝導調整板23が縦に6枚並んだ状態となる。6枚の熱伝導調整板23を、上から下に向かって、順に、B1,B2,B3,B4,B5及びB6と称すると、B1,B3には第1調整板23A、B2,B4には第2調整板23B、B5,B6には第3調整板23Cが用いられている。なお、第3調整板23Cが用いられた熱伝導調整板B5とB6は、一体となっていてもよい。
【0039】
同様に、
図9(B)に示すように、カバー側チューブユニット14には、縦に配列された6つのゴムチューブ22の前面にそれぞれ熱伝導調整板23が取り付けられているので、正面視において、6枚の熱伝導調整板23が縦に6枚並んだ状態となる。6枚の熱伝導調整板23を、上から下に向かって、順に、C1,C2,C3,C4,C5及びC6と称すると、C1,C3には第2調整板23B、C2,C4には第1調整板23A、C5,C6には第3調整板23Cが用いられている。なお、第3調整板23Cが用いられた熱伝導調整板C5とC6は、一体となっていてもよい。
【0040】
図9(A)(B)において、1点鎖線でパック入りアイスの配置位置と接触位置を示す。参照符号50がパックであり、参照符号ICEがパックに封入されたアイスである。
本実施形態では、調温処理において、12枚の熱伝導調整板23が選択的にパック入りアイスに押圧されて、パック入りアイスとの間で熱交換が生じる。
図10は、ベース側チューブユニット13及びカバー側チューブユニット14でパック入りアイスを挟んで調温処理を行う様子を模式的に示す縦断面図である。
【0041】
図10では、B3,C3の熱伝導調整板23でパック入りアイスを押圧している状態を図解的に示す。本実施形態における調温処理では、調温目的・状態に応じて、どのゴムチューブ22をどの順番でどのくらい膨らませるかが制御され、それによって12枚の熱伝導調整板23が選択的にパック入りアイスに押圧されて、パック入りアイスとの間で熱交換が生じる。
【0042】
下記の表1は、ベース側チューブユニット13及びカバー側チューブユニット14における各ゴムチューブ22を膨張・非膨張させる制御をパターン化して一覧にしたものである。
【0043】
【0044】
パターンAでは、ベース側チューブユニット13の熱伝導調整板23のB2,B4,B6と、カバー側チューブユニット14の熱伝導調整板23のC1,C3,C5がパック入りアイスを加圧するように、ベース側のゴムチューブ2,4,6及びカバー側のゴムチューブ1,3,5を膨張させる。膨張時間は、一例として3.2秒間である。次に、ベース側のゴムチューブ1,3,5及びカバー側のゴムチューブ2,4,6を膨張させる。膨張時間は、一例として3.2秒間である。
【0045】
パターンBでは、ベース側チューブユニット13の熱伝導調整板23のB3と、カバー側チューブユニット14の熱伝導調整板23のC1,C5,C6がパック入りアイスを加圧するように、ベース側のゴムチューブ3及びカバー側のゴムチューブ1,5,6を膨張させる。膨張時間は一例として3.2秒間である。次に、ベース側のゴムチューブ1,5,6及びカバー側のゴムチューブ3を膨張させる。膨張時間は一例として3.2秒間である。
【0046】
パターンC及びパターンDは、調温されたアイスを絞り出す場合のゴムチューブ22の制御パターンを示す。
パターンCでは、ベース側のゴムチューブ4及びカバー側のゴムチューブ4を同時に膨張させる。次いで、ゴムチューブ4に加えて、ベース側及びカバー側のゴムチューブ5も膨張させる。さらに、ゴムチューブ4及び5に加え、ベース側及びカバー側のゴムチューブ6も膨張させる。各ゴムチューブ3,4,5の膨張時間差は、一例として、1.2秒間隔で行う。
【0047】
パターンDでは、ベース側ゴムチューブ及びカバー側ゴムチューブを、上方から下方へ向って、順に、膨張させていく。各ゴムチューブ1~6の膨張時間差は、一例として、1.2秒間隔で行う。
本実施形態の調温ユニット15では、具体的に、上記パターンBを1セット行い、続いてパターンAを3セット行うことにより、パック入りアイスを良好に調温できることが確認できた。
【0048】
また、調温後(パターンAを3セット行った後)、パターンC及びパターンDを行うことにより、調温後のアイスをパックから良好に絞り出せることが確認できた。
図1~
図3を再び参照して、ジェラートサーバー10には、ハウジング11の正面下方に、調温後にパックから絞り出されるアイスを受け入れるカップ(図示せず)を載置するためのカップ台16が設けられていてもよい。カップ台16は、調温ユニット15の下方に水平に配置される載置板161と、載置板161の後縁から垂直に立ち上がった背面板162とを含む、側面視L字形の部材であってもよい。
【0049】
カップ台16は、ハウジング11の正面下方に設けられたレールプレート41の上に設けられていて、レールプレート41に案内されて前方へスライド移動し、又、後方へスライド移動して戻る構成であってもよい。
カップ台16を上述のようにスライド移動させる構成としては、例えば、載置板161の下面に設けられ、スライド移動方向に伸びるラック軸42と、レールプレート41に設けられ、ラック軸42と螺合しているピニオンギヤ43と、ピニオンギヤ43を駆動するためのモータユニット44を例示することができる。
【0050】
本実施形態では、さらに、背面板162に連結されたシューター板45が設けられている。シューター板45の上端は、背面板162の上端と回動自在に連結されていて、シューター板45全体は、背面板162の上端から背面側後方へぶら下がった状態となっている。そして、シューター板45の下端は、レールプレート41の後端辺の下方まで伸びている。
【0051】
図11(A)(B)は、カップ台16及びシューター板45の動作を説明するための図解的な側面断面図である。
図11(A)に示すように、カップ台16がハウジング11の正面下方に収まった状態では、カップ台16にカップCを載置することができ、カップCは、調温されてパック50から絞り出されるアイスを受け入れることができる。この状態では、シューター板45は、カップ台16の背面板162の背面側にぶら下がった状態で存在している。
【0052】
図11(B)に示すように、カップCへのアイスの絞り出しが完了すると、カップCを取り出し易いように、カップ台16がハウジング11の前方へスライドして繰り出される。そして、最前方まで繰り出された状態では、背面板162の上端は、調温ユニット15のアイス絞り出し口よりも前方に位置する。
背面板162の上端には、シューター板45の上端が回動自在に連結されているから、背面板162の前方への移動に伴って、シューター板45の上端も前方へ移動する。一方、シューター板45の下方部は、レールプレート41の後端で前方への動きが規制されているから、シューター板45は、その上端が調温ユニット15のアイス絞り出し口よりも前方に位置し、シューター板45全体は、傾め後方へ上方から下方へ向って傾斜した落下ガイド面を形成する。
【0053】
それゆえ、調温ユニット15のアイス絞り出し口からアイスが絞り出された後の空になったパック50は、調温ユニット15から下方へ排出されると、シューター板45で案内されて、ハウジング11内の下方に区画されたダスト容器46に回収される。
ダスト容器46は、ハウジング11から引き出し可能に設けられ、ダスト容器46に貯まった空パックの排棄がし易くされていてもよい。
【0054】
なお、
図3に示すように、調温ユニット15の下端の絞り出し口に関連して、アイスが絞り出された後のパック50を排出するための一対のローラ47及びローラ47を駆動するためのモータ48が設けられていてもよい。一対のローラ47は、正面視において、パック50の左右両側を挟んで、パック50を下方へ繰り出すローラであってもよい。
また、調温ユニット15には、調温ユニット15にセットされたパック入りアイスのパック上部を係止するための係止部材49が設けられていてもよい。係止部材49は、一例として、ソレノイド及びソレノイドで動作するピンを例示することができる。
【0055】
[変形例]
本発明に係る調温装置の変形可能な態様について、以下に説明する。
調温装置は、
図1~3を参照して説明したように、ベース側チューブユニット13及びカバー側チューブユニット14を具備する調温ユニット15を含んでいる。そして、前述の実施形態では、ベース側チューブユニット13及びカバー側チューブユニット14には、各ゴムチューブ22の上面側に熱伝導調整板23が取り付けられたものを説明した。しかし、本発明に係る調温装置は、熱伝導調整板23を省略した態様であってもよい。
【0056】
熱伝導調整板23が設けられていない態様では、ゴムチューブ22に流体が流入されると、ゴムチューブ22の本体部220はその径が拡大するように膨張する。そして、膨張により、ゴムチューブ22の本体部220の外周面が直接パック入りアイスに圧接し、パック入りアイスを柔らかく押圧する。また、膨張・非膨張が繰り返されることにより、パック入りアイスはゴムチューブ22の本体部220の外周面で揉みほぐされるように加圧・非加圧される。これにより、パック内のアイスを昇温させて調温できる。
【0057】
上記の態様において、ゴムチューブ22に流入する流体として、例えば、40℃~50℃程度のぬるま湯を用いてもよい。その場合は、ゴムチューブ22内に充填されたぬるま湯とパック内のアイスとの間の熱交換が活発化して、アイスの調温が促進できる。
また、ゴムチューブ22の本体部220の外周面は、チューブの長さ方向に見て、相対的に熱伝導率の高い外周面部と相対的に熱伝導率の低い外周面部とが、交互に配置されていてもよい。一例として、シリコンゴムの筒部と導電性ゴムの筒部とが交互に繋がったチューブ本体部220が形成されていてもよい。
【0058】
本発明において、チューブに供給する流体は、上記実施形態で説明した水やぬるま湯等の液体に替え、空気等の気体を用いてもよい。
また、チューブは、流体が流入することにより所定の径になるように膨張し、流体が流出した状態では拉がる部材で作られていてもよい。
本発明は、さらに、パック入りアイスの調温だけではなく、例えばパックに入れて冷凍保存された食品(例えば、ポタージュスープ、ビシソワーズ等のスープ類やムース、ババロア等)の調温にも利用することができる。
【0059】
また、食品以外の物質、例えば接着剤や粘土等の調温にも利用することができる。
この発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1、2、3、4、5、6、22 ゴムチューブ
10 ジェラートサーバー
11 ハウジング
12 カバー
13 ベース側チューブユニット
14 カバー側チューブユニット
15 調温ユニット
16 カップ台
161 載置板
162 背面板
17 繰出機構
18 回収機構
21 ベースプレート
23 熱伝導調整板
233 アルミ板
234、235 樹脂パッチ
24 ゴムシート
25 第1サブアセンブリ
26 第2サブアセンブリ
27 ホースバンド
28 ワンタッチ継手
30 タンク
31 ポンプ
32 水路
33 バルブユニット
331 ベース側ソレノイドバルブ
332 カバー側ソレノイドバルブ
41 レールプレート
42 ラック軸
43 ピニオンギヤ
44 モータユニット
45 シューター板
46 ダスト容器
47 ローラ
48 モータ
49 係止部材
50 パック
56 袋状収容室
57 下方部
58 流出口
59 弱シール接合部