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特許7536259自動車車体構造の欠陥を検出するアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】自動車車体構造の欠陥を検出するアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
G01N21/88 J
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022514772
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 EP2020074974
(87)【国際公開番号】W WO2021048066
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】19196820.5
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522085518
【氏名又は名称】プルーブ ステーション
【氏名又は名称原語表記】PROOV STATION
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100205833
【弁理士】
【氏名又は名称】宮谷 昂佑
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル ティサンディエール
(72)【発明者】
【氏名】セドリック ベルナール
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル ペレト メイヤー
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0012350(US,A1)
【文献】特開昭64-038638(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0174071(US,A1)
【文献】特表2002-508071(JP,A)
【文献】特開2010-185820(JP,A)
【文献】特開平11-271038(JP,A)
【文献】特開平10-009841(JP,A)
【文献】特開平08-184567(JP,A)
【文献】米国特許第05911500(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/84-G01N21/958
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDream3)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体、その下部構造、及びそのタイヤの欠陥を検出するアセンブリであって、後方から前方へ縦方向に前記自動車を通過させるような形状の、逆U字形断面を有するガントリを備え、該ガントリは、2つの側方自由端間に横方向に延びる内面を含み、且つ前記自動車の前記ガントリの通過中に前記自動車の前記車体を均一に照明するのに適した光源を含み、前記ガントリは、前記内面の全長にわたって横方向に延びる少なくとも1つの不透明ストリップを含み、前記アセンブリは、前記ガントリの下を通過中の前記自動車の前記車体の画像を撮影するように少なくとも縦向に前記ガントリから離れて設置された複数のカメラと、該複数のカメラにより撮影された前記画像を受け取るのに適していると共に、これらの画像に従って、前記車体での前記不透明ストリップの反射を解析すること、及び前記車体での前記光源の射により強調された欠陥を前記画像において直接認識することにより、前記車体の欠陥を検出するのに適している検出部材とを備え、
前記アセンブリは、前記ガントリの々のに、縦方向と平行に前記ガントリの前記後方に延びる後方取付け構造であり、前記複数のカメラのうち前記ガントリを通過する際の前記自動車の側面及び背面の画像を取得するような向きの後方検出カメラを形成する少なくともいくつかの取付けを可能にする、後方取付け構造を備え
各後方取付け構造は、複数の前記後方検出カメラのうち鉛直方向に間隔を置いた後方検出カメラ群を支持する垂直材を含み、各後方取付け構造は、各々が垂直材からガントリに向かって延び、各々が複数の前記後方検出カメラのうち少なくとも1つの後方検出カメラを支持する鉛直方向に間隔を置いた複数の横材を含むアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の検出アセンブリにおいて、前記内面は、横方向に弓形であることを特徴とする検出アセンブリ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の検出アセンブリにおいて、該検出アセンブリは、前記ガントリの部に、前記ガントリの方に延びるミラー用の1つの取付け構造と、前記複数のカメラのうち縦軸と平行に前記ミラーの方向を向いた上部カメラを形成するカメラの取付け用の別の取付け構造とを備え、前記ミラーは、前記ガントリを通過する際の前記自動車の上部の画像を前記上部カメラに向けて反射させるのに適した角度を有することを特徴とする検出アセンブリ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の検出アセンブリにおいて、該検出アセンブリは、前記ガントリと致して取り付けられた前方取付け構造であり、前記複数のカメラのうち前記ガントリを通過する際の前記自動車の前部の画像を取得するような向きの前方検出カメラを形成する少なくともいくつかの取付けを可能にするのに適した、前方取付け構造を備えることを特徴とする検出アセンブリ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の検出アセンブリにおいて、該検出アセンブリは、前記ガントリの下で地面に設置されることが意図されると共に、20°~90°の角度に向き且つ前記自動車の前記下部構造の画像の取得を可能にするための少なくとも1台の下部カメラを備えた、取外し可能なモジュールを備えることを特徴とする検出アセンブリ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の検出アセンブリにおいて、該検出アセンブリは、前記ガントリの前記後方及び/又は前記前方に延びる、前記自動車を通過させる縦方向の不透明アーチを形成する光アイソレーションデバイスを備えることを特徴とする検出アセンブリ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の検出アセンブリにおいて、前記複数のカメラは、前記車体での前記不透明ストリップの反射を解析するための画像の取得を可能にする少なくとも1台の高速又は中速カメラと、前記車体の欠陥を直接認識するのに適した画像を取得する少なとも1台の高解像度カメラとを含む検出アセンブリ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の検出アセンブリにおいて、該検出アセンブリは、自動車が前記ガントリに接近すると該ガントリの前記内面の前記光源の起動を制御するよう設計された、前記自動車用の少なくとも1つの接近検出部材を備えることを特徴とする検出アセンブリ。
【請求項9】
請求項8に記載の検出アセンブリにおいて、前記接近検出部材は、自動車の接近を検出するように縦方向で前記ガントリの前記後方を向いた深度センサ又はライダリモートセンサを含むことを特徴とする検出アセンブリ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の検出アセンブリにおいて、前記光源は、半透明壁で覆われた発光ダイオードのマトリクス配列から形成されることを特徴とする検出アセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載の検出アセンブリにおいて、前記発光ダイオードのマトリクス配列は、前記内面に横方向に固定されたLEDテープの縦方向に連続したストリップからなることを特徴とする検出アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体、その下部構造、及び場合によってはタイヤの欠陥を検出するアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、自動車分野での様々な使用に適用される。
【0003】
第1に、本発明は、製造ラインを離れる車体の欠陥の検出に適用される。
【0004】
具体的には、車両の製造後に、品質管理が実行されることが当業者には既知である。この品質管理は、特に車体に欠陥が見られないことを確実にすることを目的としている。
【0005】
このような管理は、目視点検を行う品質管理スペシャリストにより通常は実行されるが、これは比較的冗長であり信頼性がない場合がある。
【0006】
本発明は、詳細な在庫書類の作成を自動化できることが望ましい、貸出し後の車両の返却の分野にも適用される。
【0007】
本発明は、より包括的には、車両の外観状況を点検する必要が生じる全ての自動車販売に適用される。これは概して、自動車の寿命中の責任の移転を含む。
【0008】
さらに、本発明は、例えば衝突又は霰等の偶発的事象後の自動車の車体の損傷の自動検出の分野にも適用される。
【0009】
その目的で、移動光学手段の三角測量及び得られた値と所定の基準値との比較により、車体の修理の目的で車体上の特徴点を測定するシステムを記載した、「損傷修理中に車両上の点を測定するシステム」という特許文献1が既知である。
【0010】
しかしながら、このような解決手段では、自動車の全タイプの表面欠陥を検出することは不可能であり、解析された全車両の参照データを取得する必要がある。
【0011】
さらに、偽陽性検出の概念は、この検出類型には含まれない。上記システムは、損傷と、損傷と解釈され得る車体の外部要素との区別を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】国際公開2006/052684号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、類型又は検査条件に関係なく全てのタイプの自動車に適合できる、より信頼性の高い解決手段が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
提案されるのは、自動車の車体の外装及び外観的態様(車体、下部構造、フロントガラス、タイヤ)の全体にわたる欠陥を検出するアセンブリであって、後方から前方へ縦方向に自動車を通過させるような形状の、逆U字形断面を有するガントリを備え、当該ガントリは、2つの側方自由端間に横方向に延びる内面を含み、且つ自動車の通過中に自動車の車体を実質的に均一に照明するのに適した光源を含み、上記ガントリは、内面の全長にわたって横方向に延びる少なくとも1つの不透明ストリップを含み、上記アセンブリは、ガントリの下を通過中の自動車の車体の画像を撮影するように少なくとも1つの縦方向にガントリから離れて設置された複数のカメラと、上記複数のカメラにより撮影された上記画像を受け取るのに適していると共に、これらの画像に従って、一方では車体での上記不透明ストリップの反射を解析すること、他方では車体での光源の反射の観察により強調された欠陥を上記画像において直接認識することにより、車体の欠陥を検出するのに適している検出部材とを備えるアセンブリである。
【0015】
したがって、デフレクトメトリ解析及び車体の画像の直接解析の両方により、車体欠陥を検出することを可能にする、比較的単純な構造を得ることが可能である。
【0016】
有利な点として、非限定的には、内面は横方向に弓形である。したがって、内面に鋭角がないので比較的均一な照明を確保することが可能である。
【0017】
有利な点として、非限定的には、アセンブリは、ガントリの各側に、縦方向と平行にガントリの後方に延びる後方取付け構造であり、複数のカメラのうち上記ガントリを通過する際の自動車の側面及び背面の画像を取得するような向きの後方検出カメラを形成する少なくともいくつかの取付けを可能にするのに適した、後方取付け構造を備える。したがって、特に短い焦点距離を必要としない比較的従来通りの光学系を用いて、自動車の車体でのデフレクトメトリラインを形成するストリップの反射を特に伴う車体の側部及び後部の画像を容易に取得することが可能である。
【0018】
有利な点として、非限定的には、アセンブリは、ガントリの上部に、上記ガントリと一致して取り付けられるミラー用の1つの取付け構造と、複数のカメラのうち縦軸と平行にミラーの方向を向いた上部カメラを形成するカメラの取付け用の別の取付け構造とを備え、上記ミラーは、上記ガントリを通過する際の自動車の上部の画像を上記上部カメラに向けて反射させるのに適した角度を有する。したがって、光ビームの反曲により得られる距離効果により、比較的低いガントリで、ボンネット及びルーフを含む自動車の上部の画像を容易に取得することが可能である。したがって、ボンネットとルーフとの間の変動範囲に関して且つ様々なタイプの車両に関して、比較的最適な取得品質を確保しつつ、比較的安価なカメラ光学系を用いることが可能である。これにより、オートフォーカスがなく鮮鋭領域があるレンズを用いて、上記特定の車両の全体の高さの変動を網羅することを可能にすることができる。
【0019】
有利な点として、非限定的には、アセンブリは、縦方向と平行にガントリの前方に延びる前方取付け構造であり、複数のカメラのうち上記ガントリを通過する際の自動車の前部の画像を取得するような向きの前方検出カメラを形成する少なくともいくつかの取付けを可能にするのに適した、前方取付け構造を備える。したがって、車両の前部及びサイドフェンダの画像を得ることも可能である。
【0020】
有利な点として、非限定的には、アセンブリは、ガントリの付近で地面に設置されることが意図されると共に、実質的に20°~90°の角度に向き且つ自動車の下部構造の画像の取得を可能にするための少なくとも2台の下部カメラを備えた、取外し可能なモジュールを備える。したがって、比較的容易に自動車の下部構造の画像を得ることも可能である。
【0021】
有利な点として、非限定的には、アセンブリは、ガントリの前方及び/又は後方に延びる、自動車を通過させる縦方向の不透明アーチを形成する光アイソレーションデバイスを備える。したがって、アセンブリの外部からの光干渉のリスクを減らすことにより、欠陥の検出を最適化することが可能である。これにより、標準化された撮影環境の形成が可能である。
【0022】
有利な点として、非限定的には、複数のカメラは、車体での上記不透明ストリップの反射を解析するための画像の取得を可能にする高速又は中速カメラと、車体の欠陥を認識するのに適した画像を取得する高解像度カメラとを含む。
【0023】
有利な点として、非限定的には、アセンブリは、自動車がガントリに接近するとガントリの上記光源の起動を制御するよう設計された、自動車用の少なくとも1つの検出部材を備える。したがって、自動車の存在又は接近に従って照明期間を選択することにより、ガントリの消費電力を最適化し且つ光源の電子コンポーネントの加熱を低減することが可能である。
【0024】
有利な点として、非限定的には、検出部材は、自動車の接近を検出するように縦方向でガントリの後方を向いた深度センサを含む。したがって、自動車の接近を比較的容易に検出すると共に車両の位置に従って撮影シーケンスをトリガすることが可能である。したがって、Xセンチメートル毎に1回で撮影が標準化され、これにより前進移動の変動(非線形速度、車両の停止等)に対処することが可能である。
【0025】
有利な点として、非限定的には、光源は、半透明壁で覆われた発光ダイオードのマトリクス配列から形成される。したがって、消費電力が少なく信頼性が比較的高い強力で均一な照明を得ることが可能である。
【0026】
有利な点として、非限定的には、発光ダイオードのマトリクスアレイは、内面に横方向に固定、例えば接着されたLEDテープの縦方向に連続したストリップからなる。したがって、比較的強力で比較的維持が容易なLEDマトリクスアレイを得ることが可能である。
【0027】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照して、非限定的な指標として示す本発明の特定の一実施形態の以下の説明を読めば、明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態による自動車の車体の欠陥を検出するアセンブリの図である。
図2図1の実施形態によるアセンブリのガントリの後方からの別の図である。
図3図1の実施形態によるアセンブリの右後方構造の詳細図である。
図4図1の実施形態によるガントリの後部のアセンブリの側面図である。
図5】自動車の下部構造用の取外し可能なモジュール、検出部材、及び光アイソレーションデバイスを特に示す、外部のカメラ及びミラー構造のないアセンブリの簡略側面図である。
図6】本発明の実施形態によるアセンブリのガントリの右側のカメラ構造の概略側面図である。
図7a】可動のデフレクトメトリストリップを備えた、本発明の代替的な一実施形態の後部からの一概略正面図である。
図7b図7aに示す本発明の実施形態の別の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1図6は、本発明の同じ実施形態に関し、同時に解説される。
【0030】
自動車20の車体の欠陥を検出するアセンブリ1が、ガントリ10と、複数のカメラ30~45と、図示しない検出部材とを備える。
【0031】
自動車20の車体が意味するのは、自動車の外部シートメタル部品である。本発明は、例えば工場を離れる前の品質管理に関して、又は貸出返却の状況での自動車の状態の点検に関して、車体又は塗装面の欠陥を検出することを目的としている。
【0032】
しかしながら、本発明は、自動車の窓及びフロントガラス及びサイドミラーの欠陥、並びに自動車の下部構造の欠陥の検出にも適している。しかしながら、説明を簡単にするために、車体という用語のみに言及する。
【0033】
本発明において、ガントリ10は、地面に静止するように設置される。自動車は、運転により、又は製造ラインの状況ではコンベヤ上での自動車の移動により、ガントリを通過する。
【0034】
ガントリ10は、ガントリ10の後方101からガントリ10の前方102へ縦方向Xに上記自動車20を通過させるような形状の、逆U字形断面のフレームを形成する。
【0035】
その目的で、ガントリ10は、2メートル~5メートル、ここでは乗用車を通過させるように2.50メートルの高さを有する。
【0036】
ガントリ10は、ここでは横軸Yに沿って横方向に延び且つ2つの側方自由端111、112間に延びるアーチの形態の、内面11を含む。
【0037】
換言すれば、内面11はガントリ10の内装表皮を形成する。
【0038】
2つの側方自由端111、112は、地面に載ってガントリ10の内面11用のスタンドを形成し得るか、又は代替的な一実施形態によれば、地面から離れるように足に載り得る。
【0039】
内面11は、ガントリ10の下を通過する際の自動車20の車体を実質的に均一に照明するのに適した光源12を含む。
【0040】
ガントリ10の弓形は、車体の均一な照明を確保するために有利である。しかしながら、例えばガントリ10のフレーム103の形状に一致した鋭角を有する内面11を設けることも可能であり、これは照明条件の制御の改善を伴う。
【0041】
光源12は、ここでは、内面11により形成されたアーチに沿ってこのアーチの全長にわたって横軸Yと平行に内面11に取り付けられた、連続したLEDストリップの形態で作製された発光ダイオード、略してLEDのマトリクスアレイである。
【0042】
LEDストリップは、内面11の縦方向の奥行きX全体にわたって、ここでは実質的に1.50メートルにわたって、縦軸Xに沿って30mm~100mmの間隔で、例えば実質的に55mmずつ相互に離間している。
【0043】
このLEDマトリクスアレイは、その場合、半透明のプレキシガラス材料又は任意の他の半透明材料の壁で覆われることで、照明の表面平滑化を確保することを可能にする。
【0044】
したがって、強力で比較的均一な照明を得ることで、ガントリ10の下を通過する自動車の車体を確実に照明できるようにすることが可能である。
【0045】
不透明ストリップ13が、光源12、ここではプレキシガラス壁で覆われたLEDマトリクス配列に、例えば接着剤により取り付けられる。
【0046】
この不透明ストリップ13は、デフレクトメトリライン13を形成するように、内壁11により形成されたアーチに沿ってアーチの全長にわたって光源12上に延びる。
【0047】
具体的には、この不透明ストリップ13の目的は、光源12により生成された強い照明とは異なりガントリ10の下を通過する車両の車体で反射されるようにすることである。
【0048】
デフレクトメトリの技術は、自動車20の車体で反射するライン13の変形を観測することにあり、これによりシートメタルの凹み又は欠陥を比較的容易に検出することが可能である。シートメタルが凹んでいる場合、反射したライン13は湾曲して、損傷領域の周りで実質的に渦巻である特徴的な形状を示す傾向にある。
【0049】
不透明ストリップ13は、ここでは、縦方向Xで内面11の実質的に中央に設置される。
【0050】
本発明は、単一の不透明ストリップ13に限定されず、例えば、縦方向に相互に離間した複数の不透明ストリップ13を設けることが可能である。
【0051】
本発明の好ましい一実施形態によれば、内面11は、デフレクトメトリによる解析中に、特にこの解析がコンピュータにより実施される場合に容易に認識可能である視覚シグネチャを作り出すように、相互に僅かに離間した、例えばストリップの最も狭い部分の幅以下の間隔の、異なる幅の複数の平行な不透明ストリップ13を特徴とする。
【0052】
不透明ストリップは、ガントリの複数の位置に、例えば図1に示すように、1つの群は後方から前方への方向でのガントリの中央に、別の群はガントリの前方付近に設置してもよい。
【0053】
別のストリップ群を、既にある群に加えて又はその代わりに、例えばガントリの後方付近に設置することもできる。
【0054】
アセンブリ1は、ガントリ10の下を通過する自動車20の車体の画像を撮影するように設置された複数のカメラ30~45も備える。
【0055】
本発明は、以下に記載するように内面11の付近へのカメラの規定の一配置に限定されず、車体の画像、特に自動車20の車体、特に光源12と直接一致する自動車20の部分でのライン13の反射を撮影するのに適した、カメラ30~45の任意の配置を設けることができる。
【0056】
本発明のこの実施形態において、アセンブリ1は、ガントリ10の各側に、縦方向Xと平行にガントリ10の後方に延びる後方取付け構造2、3、それぞれ左2及び右3を備える。
【0057】
各後方取付け構造、それぞれ左2及び右3は、自動車20の車体の左側及び右側それぞれの画像と、自動車の後部の左後部及び右後部それぞれにかけての画像とを撮影することが意図される、後方カメラ31~36と称するカメラの取付けを可能にするのに適している。
【0058】
自動車の車体の画像のより良好な取得を確保するために、各後方構造2、3は、異なる高さで、ここでは非限定的な例としてそれぞれ地面から50cm及び地面から1.5mで重なった複数の横材301、302、ここでは2つの横材301、302と、図3に示すような垂直材303とを含むので、各カメラが自動車の車体の一部の画像を取得することができる。
【0059】
しかしながら、横材の数及び垂直材の数は、用いられるカメラの光学的制約を考慮して、特にその焦点距離及び視野に従って、ガントリから様々な距離にカメラを位置決めする必要に応じて増やすことができる。
【0060】
横材301、302又は垂直材303に後方カメラを位置決めする様々な高さ、及び必要なカメラの数は、用いられるカメラの焦点距離及び視野により規定される。
【0061】
目的は、車体の全高が、特に車体欠陥のアルゴリズム的検出を可能にするのに十分な鮮鋭度で、各後方構造2、3のカメラの視野内にあることを確実にすることである。
【0062】
後方カメラは、ここでは、縦方向Xで内面11の近位縁115から50cm~1mの距離だけ離れている。
【0063】
各後方構造2、3の各カメラは、上記ガントリを通過する際の車両の後部の画像を取得するような向きである。
【0064】
カメラは、自動車20の車体の一部を比較的鮮鋭に撮影するように、カメラの焦点距離及び視野に従った内面11の近位縁115からの向き及び距離にされる。
【0065】
各後方構造2、3は、特に、ここでは例として4024×3036画素の解像度を有する2台の白黒高解像度カメラと、ここでは例として1920×1200画素の低解像度を有する4台の高速カメラとを備え、これにより、デフレクトメトリ及び車体の画像の直接解析により実施される様々なタイプの検出で最適な結果を得ることが可能である。
【0066】
有利な例として、図示するように、全ての構造が併せてアセンブリ1に設置される。
-車両の右側の検査用に4台、自動車の左側の検査用に4台、自動車のボンネット及びルーフの検査用に4台を含む、12台の高速カメラ、
-車両の左後部の検査用に2台、右後部の検査用に2台、右前部の検査用に2台、自動車の左前部の検査用に2台を含む、8台の高解像度カメラ。
【0067】
自動車の下部構造を解析するための取外し可能なモジュール52用の2台の高速カメラもある。
【0068】
したがって、後方構造は、図3を参照すると、右又は左の各側に、4台の高速カメラ31~33、36を備えた垂直材と、高速カメラ35、37をそれぞれ備えた2つの横材301、302とを含む。
【0069】
換言すれば、20台のカメラがガントリに設置され得ることで、確実でロバストな解析を得ることが可能になる。
【0070】
高速カメラ、又は一代替例によれば中速カメラは、「POC」、すなわち石又は砂利による衝撃等のシートメタルの小さな凹みを検出するために、デフレクトメトリによる解析のための画像取得を行うことを可能にする。
【0071】
高解像度カメラ、又は一代替例によれば中解像度カメラに関しては、特に擦り傷及び塗装欠陥を検出するために直接画像処理を行うことを可能にする。
【0072】
設置された高速及び高解像度カメラは、この実施形態では、画像のデジタル記憶のサイズを減らすために白黒カメラだが、カラーカメラとすることもできる。
【0073】
カメラの取得の品質及び頻度は、車体欠陥の検出に望ましい粒状性に従って選択され得る。
【0074】
アセンブリ1は、後方構造2、3と同様に、図6に右側60について示すような前方構造60も備える。しかしながら、本発明は、一方は右側60にあり他方は図示しない左側にある、2つの前方構造60を備える。
【0075】
この前方構造60は、自動車の前方側部、自動車の前部、及びフロントフェンダを見ることが意図されたカメラ61、62がそれぞれに取り付けられた2つの横材60を含む。その目的で、前方構造60は、前部の高さが概して相対的に低い乗用車に関しては、車両の実質的な高さである必要はない。
【0076】
しかしながら、トラックトレーラ等の車高の高い車両の欠陥を検出するためのガントリ10の場合、前方構造60は、自動車の正面全体の画像を取得するために後方構造2、3について記載したように上昇させることができる。
【0077】
アセンブリ1は、ガントリ10の上部108に、ガントリの前方102に延びるミラー6用の取付け構造、及び縦軸Xと実質的に平行にミラー6の方向を向いた上方カメラ41~43の取付け用の、ガントリと一致した別の取付け構造も備える。
【0078】
この実施形態において、4台の上方カメラ、ここでは白黒カメラ、例えば高速カメラが設置される。
【0079】
ミラー6は、内壁11の横方向長さと実質的に等しい横方向長さYにわたって延びる。
【0080】
この実施形態において、ミラー6は、縦方向Xでガントリ10の実質的に50cm前方に設置され、鉛直軸Zに対して実質的に40°の角度を有する。
【0081】
ミラー6は、ガントリ10の下を通過する際の自動車20の上部の像を上方カメラ41~43に向けて反射することを可能にする角度を規定するような向きである。
【0082】
したがって、カメラに対して、比較的低いガントリで自動車のルーフの画像を取得するのに十分な距離を得ることが可能である。
【0083】
これにより、比較的長い焦点距離を有する比較的安価なカメラを用いることが特に可能となる。
【0084】
アセンブリ1は、地面に、この実施形態ではガントリ10の下の地面に載ることが意図され且つ少なくとも1台のカメラ53を備えた取外し可能なモジュール52も備える。
【0085】
しかしながら、いくつかの代替的な実施態様によれば、取外し可能なモジュール52は、地面の別の位置に、例えばガントリ10の前方又は後方に設置してもよい。
【0086】
取外し可能なモジュール52のカメラ53は、地面に対して実質的に20°~90°の角度に向いており、ガントリ10の下を通過する際の自動車20の下部構造の画像の取得を可能にする。
【0087】
特に、下部構造の色の解析により液漏れ等の問題を検出することが可能なので、取外し可能なモジュールにはカラーカメラが好ましい。
【0088】
本発明の特定の一実施形態によれば、アセンブリは、ガントリの後方101及び/又は前方102に延びる縦方向の不透明アーチの形態の光アイソレーションデバイス51も備える。
【0089】
換言すれば、光アイソレーションデバイス51は、自動車が入るトンネルを形成し、暗所を作ってガントリの下の照明のより良好な制御を可能にする。
【0090】
この実施形態において、ガントリ10は、ガントリ10の後方101及び前方102の各側に1m~5m、例えば3mの長さにわたってトンネルとして取り付けられた2つの不透明のターポリン51を備える。
【0091】
アセンブリ1は、図5を参照すると、自動車がガントリに接近するとガントリ10の上記光源11の起動を制御する、自動車用の検出部材50も備える。
【0092】
したがって、光源の選択的な起動を確保して、消費電力を減らし且つ電子コンポーネントの、特に用いられるLEDの加熱を制限できるようにすることが可能である。
【0093】
ここで、検出部材は、自動車の接近を検出してガントリの起動及びカメラのトリガを制御する3D深度センサである。
【0094】
3Dセンサは、自動車の接近を検出するように、ガントリの高さ50、地面の前方50’、又は地面の後方50’’に設置することができ、3Dセンサの位置決めは、各設置の構造制約に応じて自由である。
【0095】
各カメラは、3Dセンサにより検出された車両の前進移動に従って画像取得を制御され得る。したがって、自動車の前進移動速度に従って取得画像数を調整することが可能である。
【0096】
本発明の特定の一実施態様によれば、検出部材は、「light detection and ranging(光検出・測距)」又は「laser detection and ranging(レーザ検出・測距)」の頭字語からのライダリモートセンサを含み得る。
【0097】
特に、ライダリモートセンサは、ガントリ10を通した自動車の進入及び前進移動を検出するように、ライダ検出ビームがガントリ10の内部をカバーするのに適した距離だけガントリ10の前方102に対して離間して、ガントリ10の前方で上部構造に取り付けられる。
【0098】
例えば、ライダリモートセンサは、ガントリの正面から約1m~2mの縦方向距離に設置され得る。
【0099】
しかしながら、ライダのこの特定の位置決めは、唯一の考えられる位置ではなく、当業者は、ガントリの下の自動車の前進移動を測定するように任意の適当な場所にリモートセンサを位置決めすることができる。
【0100】
本発明は、ライダによるリモートセンシングのみに限定されず、レーダ等の他のタイプのリモートセンシングを含み得る。
【0101】
ライダ、レーダ、又は3Dセンサ等の検出部材は、ガントリ10の付近又は下で自動車の到着を検出するのに限定されない。これらはさらに、画像の最適な取得を得る、したがって記憶メモリが散らかり検出性能が低下するという欠点のある画像の過剰取得又は検出品質を低下させる取得不足を回避するために、自動車の前進移動速度に従って様々なカメラの取得頻度を同期させることを可能にする。
【0102】
最後に、アセンブリは、検出部材、ここではカメラからの画像を取得し記憶する手段及び計算手段を含むコンピュータを備える。
【0103】
検出部材は、その場合、複数のカメラにより撮影された画像を受け取り、デフレクトメトリと称する車体での上記不透明ストリップ12の反射を解析することによる検出法と、車体の欠陥を上記画像において直接認識することによる検出法とを実施する。
【0104】
直接認識が意味するのは、車体の画像中の欠陥を、デフレクトメトリ解析を用いずに自動認識するのに適した画像解析法、又は機械学習法である。
【0105】
場合によっては、特に自動車の背面が鉛直壁を有する場合、この面でデフレクトメトリ検出に関する問題が起こる。具体的には、ガントリ10の下の自動車20の通過中に、この面でのラインの反射を正確に投影することができず、自動車の鉛直背面の特定の領域がラインを反射しない。
【0106】
その目的で、図7a及び図7bを参照すると、内面11の曲率に実質的に一致したアーチの形態の可動ストリップ700が設置され、これは、ガントリ10の内面11の両側に延びる2つの縦方向レール701、702に取り付けられる。
【0107】
可動ストリップ700は、その場合、ガントリの2つの横縁115、116間で2つの縦方向レールに沿って並進可能であるような形状である。
【0108】
可動ストリップ700は、ガントリ10の自動車20の位置に従って且つ自動車20の前進移動速度に従って可動ストリップ700の位置を移動させるように、縦方向Xに沿った並進を制御される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b