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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】段ボール製棺
(51)【国際特許分類】
   A61G 17/007 20060101AFI20240813BHJP
   A61G 17/00 20060101ALI20240813BHJP
   B32B 3/28 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
A61G17/007
A61G17/00 Z
B32B3/28 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019039342
(22)【出願日】2019-03-05
(65)【公開番号】P2020141785
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-11-08
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】519045398
【氏名又は名称】株式会社日本コフィン
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平山 八広
【合議体】
【審判長】中屋 裕一郎
【審判官】鎌田 哲生
【審判官】小川 恭司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-200579(JP,A)
【文献】特開2000-72135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 17/00-21/00
B32B 1/00-43/00
B65D 5/00- 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダンボールを構成材とする棺であり、
棺本体の側壁、及び蓋体のうち少なくともいずれか一方が段ボールで構成されており、
前記段ボールは、外装面に配される化粧層を備えており、外装面の反対側の内面には、折り曲げ用ではない、線状の切れ込みが配されており、
前記段ボールは、第1ライナー、及び第1波状体を含む第1層と、
第2波状体を含む第2層と、
第1層と第2層とを仕切る仕切板とを有しており、
前記切れ込みは、第1ライナー、及び第1波状体を貫通し、仕切板は貫通しない深さであり、
前記切れ込みは、側壁又は蓋体の外装面の反対側の内面に、側壁又は蓋体の短手方向に沿って設けられる段ボール製棺。
【請求項2】
線状の切れ込みは、棺本体の側壁の縦方向に設けられており、棺本体の側壁の下端に達しないように余部を設けた長さである請求項1に記載の段ボール製棺。
【請求項3】
線状の切れ込みは、蓋体の短手方向及び長手方向の両方に配されている請求項1又は2に記載の段ボール製棺。
【請求項4】
蓋体の内面には、蓋の自重を支える補強材が配置される請求項1ないしのいずれかに記載の段ボール製棺
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール製の棺に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は檜、樅、又は桐などの木材で構成した棺が主流であったが、近年では、段ボールで構成した棺が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1又は2には、段ボールを構成材とし、棺本体の縁部又は棺の蓋の縁部を、棺の内側に折り返した構造を有する棺が開示されている。段ボールを折り曲げて棺の形状となす際には、V字状の溝を段ボールの裏側に設けて、このV字状の溝を利用して、段ボールを折り曲げている。
【0004】
また、特許文献3には、段ボールを構成材とし、棺の側壁の内側に厚さ2~15mm程度の木質材料からなる補助板を貼着した棺が開示されている。この棺では、棺の底壁、側壁又は天井壁などに補助板が貼着されているため、段ボール製の壁の長さや幅が天気や湿度の影響をうけて変化することが防止されるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-22916号公報
【文献】実用新案登録第3144211号公報
【文献】特開2010-119797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1又は特許文献2のような、段ボール製の棺では、湿度の変化によって、棺を構成する段ボールが変形することにより、棺の側壁や棺の蓋などに反りが発生することがあった。
【0007】
また、段ボールが露出したままでは見栄えが悪いため、段ボールの外側に木目などの模様を有する化粧シートを貼着することがある。化粧シートは、段ボールの外側の面にのみ貼り付けて、段ボールの内側の面には貼り付けられないことが多い。化粧シートは、温度又は湿度の変化や時間の経過によって伸縮することがある。段ボールの外側にのみ化粧シートが貼着されている場合、段ボールの内側の面と外側の面とで伸縮率が相違することとなり、段ボールがより反りやすくなってしまう。
【0008】
特許文献3のように、木製の補助板を貼着すれば、段ボールの反りを防止することができる可能性がある。しかしながら、補助板を段ボール貼着する工程が増えるため、製造工程が煩雑になるし、棺の重量も増加してしまう。
【0009】
本発明は、構造が簡素であり、棺を構成する段ボールの反りを防止した段ボール製棺を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ダンボールを構成材とする棺であり、棺本体の側壁、及び蓋体のうち少なくともいずれか一方が段ボールで構成されており、前記段ボールは、外装面に配される化粧層を備えており、外装面の反対側の内面には、折り曲げ用ではない、線状の切れ込みが配されており、前記線状の切込によって段ボールで構成される側壁、又は蓋体の反りを防止した段ボール製棺により、上記の課題を解決する。この段ボール製棺では、外装面には化粧層が配されているため、段ボールの質感を感じさせない棺とすることができる。化粧層の反対側の面には、線状の切れ込みが配されているため、化粧層の伸縮や、湿度又は温度の変化による段ボールの反りを防止して、棺の外観を美しく保つことが可能である。段ボールの反りは、切れ込みによって、防止される。反りを防止するために木製の補助板などを貼着する構成に比して、構造が簡素であるため、その製造も簡素化することができる。
【0011】
上記の段ボール製棺において、前記段ボールは、第1ライナー、第1波状体、を含む第1層と、第2波状体を含む第2層と、第1層と第2層とを仕切る仕切板とを有しており、前記切込は、第1ライナー、及び第1波状体を貫通し、仕切板は貫通しない深さとすることが好ましい。これにより、段ボールの反りを防止すると共に、棺を構成する材である段ボールの強度が過度に低下することを防止することができる。
【0012】
上記の段ボール製棺において、線状の切れ込みは、棺本体の側壁の縦方向に設けられており、棺本体の側壁の下端に達しないように余部を設けた長さとすることが好ましい。これにより、棺の側壁の反りを防止すると共に、棺の底部の周辺の強度が過度に低下することを防止することができる。
【0013】
上記の段ボール製棺において、線状の切れ込みは、蓋体の短手方向及び長手方向の両方に配されるものとすることが好ましい。これにより、化粧層の伸縮や、湿度又は温度の変化による、蓋体の長手方向及び短手方向における、反りを防止することができる。
【0014】
上記の段ボール製棺において、蓋体の内面には、蓋の自重を支える補強材が配置された構成とすることが好ましい。補強材により、蓋の自重を支えることによって、化粧層の伸縮や湿度又は温度の変化ではなく、蓋の自重によって生じる蓋の撓みを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、構造が簡素であり、棺を構成する段ボールの反りを防止した段ボール製棺を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】段ボール製棺の一実施形態を示す斜視図である。
図2図1の段ボール製棺に使用する段ボールの拡大断面図である。
図3図1の段ボール製棺の棺本体を示す斜視図である。
図4図3のAA部分における断面図である。
図5図1の段ボール製棺の棺本体の表面を示す斜視図である。
図6図1の段ボール製棺の棺本体の裏面を示す斜視図である。
図7図6のBB部分における断面図である。
図8図6のCC部分における断面図である。
図9図3の棺本体を分解した状態を示す斜視図である。
図10図9のDD部分における断面図、すなわち第2の外装材の縦断面図である。
図11図9に示した第1の第1の内装材を展開した状態を示す斜視図である。
図12図9に示した、第1の内装材と、第2の内装材とを、展開かつ分解した状態を示す斜視図である。
図13図6に示した蓋体を分解した状態を示す斜視図である。
図14図13のEE部分における断面図、すなわち第4の外装材の縦断面図である。
図15図6に示した蓋体を分解した状態を示す斜視図である。
図16図6に示した蓋体にカバーを取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、段ボール製棺の一実施形態について、図面を参照して、説明する。
【0018】
本実施形態の段ボール製棺1(以下、単に「棺」と称する。)は、段ボールを構成材としており、図1に示したように、棺本体11と、蓋体12とから構成される。棺1は、棺本体11と、蓋体12との両方が段ボールで構成されている。そして、その棺本体11の側壁を構成する段ボール及び蓋体12を構成する段ボールは、棺1の外装面に配される化粧層13を備えており、外装面の反対側の内面には、折り曲げ用ではない、線状の切れ込み14が配されている。線状の切れ込みという場合、切れ込みが破線状に断続的に設けられた形状を含むものとする。
【0019】
棺本体11を構成する段ボール及び蓋体12を構成する段ボールは、共に、図2に示したように、第1ライナー81及び第1波状体82を含む第1層83と、第2波状体84及び第2ライナー85を含む第2層86と、第1層83と第2層86とを仕切る仕切板87とを有している。そして、前記切れ込み14は、第1ライナー81及び第1波状体82を貫通し、仕切板87は貫通しない深さとされている。第2波状体84及び第2ライナー85は、切れ込み14が貫通していない形状とされているため、第2層86は無傷の状態とされている。無傷の第2層86を残すことにより、棺1の強度が向上するようにしている。一方、第1層83には切れ込み14が設けられている。切れ込みによって、湿気又は温度の変化に伴う段ボールの収縮が分断され、小さい範囲に細分化される。これによって、湿気又は温度の変化に伴う段ボールの収縮に起因する段ボールの反りや、化粧層を有する面と化粧層を有しない面との収縮率の相違などに起因する段ボールの反りが低減される。そして、段ボールの反りに起因する棺1の側壁や蓋体の変形が低減される。
【0020】
上記の実施形態に係る棺1では、第1層83及び第2層86を有する段ボールを使用した。例えば、第2波状体84と第2ライナー85との間に、第2仕切板と、第3波状体と配置して、第3層を有する段ボールを使用してもよい。このように、棺の構成材として使用する段ボールは、2層以上の複数層の段ボールとしてもよいし、単層の段ボールとしてもよい。
【0021】
線状の切れ込みを設ける本数や、線状の切れ込みの方向は、特に限定されず、棺本体又は蓋体の反りを防止することが可能な本数や方向に設ければよい。例えば、後述する蓋体と同様に格子状になるように設けてもよい。本実施形態の棺1では、図3に示したように、棺本体11に関しては、棺1の外装面の反対側の内面(内装面)に、複数条の切れ込み14を棺の短手方向(縦方向)に沿って設けている。これにより、側壁の長手方向における反りを主に防止し、側面の強度が過度に低下しないように構成されている。切れ込み14は、側壁の下端に達しないように余部141を設けた長さとされている。これにより、棺本体11の底部分の強度が極端に低下しないようにしている。棺の底部分には、ご遺体の荷重が集中するため、強度を高める必要がある。上述のように、余部141を設けることによって、棺本体11の底部分における強度の低下を防ぐことができる。なお、図面では、隠れた構造は、破線で示している。
【0022】
本実施形態の棺1では、図7及び図8に示したように、蓋体12に関しては、棺1の外装面の反対側の内面に、複数条の切れ込み14を棺の短手方向及び長手方向の両方に沿うように設けており、長手方向の切れ込み14と、短手方向の切れ込み14とが交差し、格子状になるようにしている。これにより、蓋体12の長手方向及び短手方向の両方における反りを防止することができるようにされている。切れ込み14を設ける方向や、切れ込み14を設ける本数は、特に限定されず、例えば、蓋体12の長手方向及び短手方向の少なくともいずれか一方に沿う方向に設けてもよい。
【0023】
蓋体12に関しては、その内面に線状の切れ込み14を設けることにより、湿気又は気温の変化や化粧層を設けた面と化粧層を設けていない面とにおける収縮率の相違などに起因する段ボールの反りを防止することができる。しかし、蓋体の寸法によっては、蓋体の自重によって、蓋体が撓む場合がある。棺1では、そのような蓋体12の自重による撓みを防ぐために、蓋体の内面に蓋の自重を支える補強材として、図6ないし図8に示したように、木製の梁15を配置している。
【0024】
図6ないし図8に示したように、木製の梁15は、蓋体12の短手方向に沿って複数本設けられており、その一端部と他端部とが蓋体の内面に接する状態で固定されている。補強材は、蓋体12の自重を支えて、その重みによる蓋の撓みを抑えることができるものであればよい。したがって、例えば、梁を棺の長手方向に沿って設けてもよい。湿気等による蓋体12の反りを防止するものではないので、上記のような棒状の梁15を所定の間隔をあけて設ければ、補強材を使用することによる、棺1の重量の増加を低減することができる。補強材として、木製や合成樹脂製の板を蓋体の裏面に貼着してもよいが、軽量化の観点からは、上述の梁を使用することが好ましい。
【0025】
図8に示したように、本実施形態の棺1で使用した梁15は、梁15が蓋体12の内面に接面する側における一端部と他端部とを切り取った形状となっており、梁15の中ほどに凸部151を備える形状となっている。蓋体12は、その自重によって、中ほどの部分が撓みやすい。このため、梁15は、短手方向における中ほどに設けた凸部151が蓋体12の内面に接面していることが好ましく、一端部と他端部とは、梁の重量を小さくするために、切り取った形状とすることが好ましい。
【0026】
化粧層は、段ボールの上に積層することにより、段ボールの外観を隠すことができるものであればよい。本実施形態の棺1では、化粧層13として、木目調の模様を有するプラスチックシートと、その裏面に配される粘着剤層とを有するものを使用している。模様は木目調のものに限定されず適宜のものとすることができるし、色彩のみの無模様としてもよい。また、化粧層は、紙製のシートで構成してもよい。
【0027】
上記の実施形態の段ボール製棺1においては、棺本体11を構成する段ボールと、蓋体12を構成する段ボールとの両方に、複数の切れ込み14が配されている。切れ込み14は、蓋体を構成する段ボール及び棺本体を構成する段ボールのうち少なくともいずれか一方に設ければよい。
【0028】
以下、棺1の詳細な構成について説明する。図9に示したように、棺本体11は、長手方向に沿って延びる一対の側壁161と底板162とが一体とされた第1の外装材16と、第1の外装材16の長手方向における両端部の開口部を閉じる第2の外装材17(妻材)とを含む。側壁161の外装面には、化粧層13として木目調シートが貼着されている。第2の外装材17の外装面にも、化粧層13として木目調シートが貼着されている。そして、第1の外装材16の側壁161に貼着された木目調シートの木目の方向と、第2の外装材17に貼着された木目調シートの木目の方向とは、一致するように貼着されている。このため、側壁161と第2の外装材17とを観察したときに、木目の方向が一致しており、天然木材を使用した棺であるかのような印象を生じさせることができる。
【0029】
図11に示したように、第1の外装材16には、底板162と一対の側壁161との境界部に折り曲げ用の溝18が設けられている。折り曲げ用の溝18は、線状である。溝の形状は、段ボールを折り曲げるのに適したものであればよく、本実施形態の棺1では、V字状の溝を採用している。図2等に示したように、上述の反りを防止するための切れ込み14もV字状の溝としている。このため、段ボールに折り曲げ用の溝18と反り防止用の切れ込み14とを形成する際に、両者を同じ切削装置を使用することができる。これにより、製造工程をより簡易化している。なお反り防止用の切れ込みは、段ボールの折り曲げ部以外の部分に設けられる。
【0030】
本実施形態の棺1では、第1の外装材16は、断面がコの字状の板材が棺の長手方向に沿って延びる形状であり、長手方向における両端部に開口部が設けられた形状である。蓋体12も同様に、断面がコの字状の板材が棺の長手方向に沿って延びる形状であり、長手方向における両端部に開口部が設けられた形状である。蓋体12の側壁191は、第1の外装材の側壁161に比して短い形状とされている。
【0031】
第2の外装材17は、第1の外装材16の開口部を閉じることができる形状であればよく、本実施形態の棺1では、図9及び図10に示したように、開口部を有する枠体171に対して、化粧層13を積層したダンボール172を内嵌した形状のものを使用しており、棺の長手方向に沿う視点から見て、長方形状とされている。枠体171には、突縁部173が設けられており、図9において矢印で示したように、第1の外装材16の折り曲げた一対の側壁161と底板162とによって形成される両端部の開口部に対して枠体171の突縁部173を嵌め込むことによって、第2の外装材17を第1の外装材16に対して固定する。
【0032】
蓋体12も、棺本体11の第1外装材と第2外装材と同様に構成されている。図13及び図14示したように、蓋体12は、長手方向に沿って延びる一対の側壁191と天板192とが一体とされた第3の外装材19と、第3の外装材19の長手方向における両端部の開口部を閉じる第4の外装材20(妻材)とを含む。側壁191及び天板192の外装面には、化粧層13として木目調シートが貼着されている。第4の外装材20の外装面にも、化粧層13として木目調シートが貼着されている。そして、第3の外装材19である側壁191に貼着された木目調シートの木目の方向と、第4の外装材20に貼着された木目調シートの木目の方向とは、一致するように貼着されている。このため、第3の外装材19の側壁191と第4の外装材20とを観察したときに、木目の方向が一致しており、木材を使用した棺であるかのような印象を与える。
【0033】
図13に示したように、第3の外装材19には、天板192と一対の側壁191との境界部に折り曲げ用の溝18が設けられている。折り曲げ用の溝18は、線状である。溝の形状は、段ボールを折り曲げるのに適したものであればよく、本実施形態の棺1では、V字状の溝を採用している。
【0034】
第4の外装材20は、第3の外装材19の開口部を閉じることができる形状であればよく、本実施形態の棺1では、開口部を有する枠体201に対して、化粧層13を積層したダンボール202を内嵌した形状のものを使用している。枠体201には、突縁部203が設けられており、図13において矢印で示したように、第3の外装材19の折り曲げた一対の側壁191と底板192とによって形成される両端部の開口部に対して枠体201の突縁部203を嵌め込むことによって、第4の外装材20を第3の外装材19に対して固定する。
【0035】
図1に示したように、第1の外装材16と第2の外装材17とを嵌め合わせて構成した棺本体11と、第3の外装材19と第4の外装材20とを嵌め合わせて構成した蓋体12とを、合わせると、第2の外装材17の枠体171及び突縁部173と、第4の外装材20の枠体201及び突縁部203とが当接する。棺本体11に対して蓋体12を被せる際には、段ボール同士が接触するのではなく、枠体同士、及び突縁部同士がそれぞれ当接することになるため、棺1の剛性感が向上する。これにより、棺本体に対して蓋体を被せる際の感触が段ボール特有の感触となることを防いでいる。
【0036】
図3及び図9に示しように、棺本体11の側壁161の上端部には、縁の補強材164が嵌められている。本実施形態の棺1では、縁の補強材164は、断面がコの字状の長尺部材であり、側壁161の上端部に嵌め込むことができる形状とされている。
【0037】
同様に蓋体12の側壁191の下端部には、図6ないし図8に示したように、縁の補強材194が嵌められている。本実施形態の棺1では、縁の補強材194は、断面がコの字状の長尺部材であり、側壁191の下端部に嵌め込むことができる形状とされている。このため、棺本体11に対して蓋体12を被せた際には、縁の補強材164と縁の補強材194とが当接し、棺本体11の側壁161と蓋体の側壁191とが当接する部分においても剛性感が損なわれないようにされている。
【0038】
図3図9、及び図12に示したように、本実施形態の棺1では、棺本体の内面に、第1の内装材22と、第2の内装材23とを固定している。第1の内装材22と、第2の内装材23とは、長手方向に対して対称で一対の関係となっている。第1の内装材22は、図12に示したように、底板222と、一対の側壁221と、底板222と一対の側壁221の境界線となる折り曲げ用のV字状の溝18とを含み、底板222に対して一対の側壁221を上方に折り曲げた状態で第1の外装材16における棺の底板162(図9)に対して固定される。第2の内装材23は、側壁232と、一対の突縁部231と、側壁232と一対の突縁部231の境界線となるV字状の折り曲げ用の溝18とを有する。第2の内装材23は、側壁232に対して一対の突縁部231を略直角に折り曲げた状態で、一対の突縁部231を、第1の内装材22の一対の側壁221に対して、外側から固定する。さらに、第2の内装材23の突縁部231は、第1の外装材16の一対の側壁161の内面に対して固定される。第2の内装材23は、第2の外装材17の段ボール172(図10)に対して固定してもよい。このように本実施形態の棺1では、第1の内装材22及び第2の内装材23によって、補強されている。
【0039】
図4に示したように、第1の内装材22の側壁221と、第1の外装材16の側壁161との間には、第2の内装材23の突縁部231と同程度の隙間が形成されている。この構造により、第1の内装材22の側壁221に、仮に歪みや反りが生じたとしても、その影響が、第1の外装材16の側壁161に及びにくいようになっている。上述の通り、第1の内装材22の側壁221は、第2の内装材23の突縁部231を介して、第1の外装材16の一対の側壁161に対して固定されているので、補強効果が得られるようにされている。
【0040】
本実施形態の棺1では、第1の内装材22は、断面がコの字状の板材が棺の長手方向に沿って延びる形状であり、棺の上方からの視点においては長方形状であり、第1の外装材16に内包される形状であり、第1の内装材22の側壁221の長さは、第2の外装材16の側壁161に比して短くなる形状とされている。そして、一対の第1の内装材22との間、棺の中ほどには、図3に示したように、隙間が配されている。この隙間によって、第1の内装材22に歪みが生じた場合に、一方の内装材22の歪みが、他方の内装材22に伝達されないようにされている。第2の内装材23は、棺1の長手方向に沿う視点から見て長方形状であり、第2の外装材17の突縁部173に、第2の内装材23の側壁232が内包される形状となっている。
【0041】
本実施形態の棺1は、図16に示したように、蓋体12の内面又は棺本体11の内面に、装飾用のカバー124を取り付けて使用される。このため、蓋体12の内面や棺本体11の内面には、段ボールや切れ込みなどは一切視認されず、木製の棺と遜色ない外観となっている。カバーは、例えば、サテンなどの布地で構成することができる。
【0042】
本実施形態の棺1の蓋体12には、図1に示したように、開閉可能に構成された扉が設けられており、第1扉301と第2扉302とを開くことで、蓋体に設けた貫通孔からご遺体の顔を見ることができるようになっている。
【0043】
上記の実施形態に係る棺1では、蓋体12を構成する天板192と、一対の側壁191と、第4の外装材20の段ボール202は、いずれも、複数層からなる段ボールから構成されている。そして、蓋体12を構成する天板192と、一対の側壁191と、第4の外装材20の段ボール202は、いずれもその外装面が化粧層13で覆われている。
【0044】
上記の実施形態に係る棺1では、棺本体11を構成する第1の外装材16の側壁161及び底板162と、第2の外装材17の段ボール172と、第1の内装材22の側壁221及び底板222と、第2の内装材23の側壁232及び突縁部231とは、いずれも複数層からなる段ボールから構成されている。そして、第1の外装材16の側壁161と、第2の外装材17のダンボール172は、いずれもその外装面が化粧層13で覆われている。
【0045】
上記の実施形態に係る棺1は、棺本体11に対して蓋体12を被せた状態において、直方体状である。棺の形状はこれに限定されず、例えば、蓋体の天板を曲面として構成してもよいし、蓋体及び棺本体の平面視の形状が楕円形となるようにしてもよいし、棺の角が丸くなるように角取りした形状になるようにしてもよい。
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