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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】リンク機構
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20240813BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20240813BHJP
【FI】
B25J19/00 F
H02J50/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020162209
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022054929
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-07-19
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「ミリ波帯におけるロボット等のワイヤフリー化に向けた無線制御技術の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】393031586
【氏名又は名称】株式会社国際電気通信基礎技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 和伸
(72)【発明者】
【氏名】清水 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 和司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義規
【審査官】稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-200750(JP,A)
【文献】特開2010-36286(JP,A)
【文献】特開2018-64002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
H02J 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のリンクと、
前記第1のリンクに関節によって連結された第2のリンクと、
前記第1のリンクにおける前記第2のリンクとの連結箇所に着脱可能に取り付けられる送電側ボビンと、
前記送電側ボビンに巻線が巻回された送電コイルと、
前記第2のリンクにおける前記第1のリンクとの連結箇所に着脱可能に取り付けられる受電側ボビンと、
前記受電側ボビンに巻線が巻回された受電コイルと、を備え、
前記送電側ボビンは、
外周側に巻線が巻回される筒状部と、
当該筒状部の軸方向における両端にそれぞれ設けられた円筒形状のフランジ部と、を有しており、
前記第1のリンクは、前記送電側ボビンの一方のフランジ部が着脱可能に取り付けられる円柱形状の凹部が設けられている取付部を有しており、
前記受電側ボビンは、
外周側に巻線が巻回される筒状部と、
当該筒状部の軸方向における両端にそれぞれ設けられた円筒形状のフランジ部と、を有しており、
前記第2のリンクは、前記受電側ボビンの一方のフランジ部が着脱可能に取り付けられる円柱形状の凹部が設けられている取付部を有しており、
前記送電コイルから前記受電コイルに、非接触電力伝送で電力が伝送される、リンク機構。
【請求項2】
前記送電側ボビン及び前記受電側ボビンがそれぞれ前記第1及び第2のリンクに取り付けられた際に、前記送電コイル及び前記受電コイルは、前記関節の軸方向において対面する配置となっている、請求項1記載のリンク機構。
【請求項3】
前記送電側ボビン及び前記受電側ボビンがそれぞれ前記第1及び第2のリンクに取り付けられた際に、前記送電コイル及び前記受電コイルは、一方のコイルの外周側に他方のコイルが位置する配置となっている、請求項1記載のリンク機構。
【請求項4】
第1のリンクと、
前記第1のリンクに関節によって連結された第2のリンクと、
前記第1のリンクにおける前記第2のリンクとの連結箇所に着脱可能に取り付けられる送電側ボビンと、
前記送電側ボビンに巻線が巻回された送電コイルと、
前記第2のリンクにおける前記第1のリンクとの連結箇所に着脱可能に取り付けられる受電側ボビンと、
前記受電側ボビンに巻線が巻回された受電コイルと、を備え、
前記送電側ボビン及び前記受電側ボビンはそれぞれ、外周側に巻線が巻回される筒状部を有しており、
前記筒状部の外周面には、当該筒状部の軸方向に延びる溝が設けられており、
前記送電コイル及び前記受電コイルの巻線の少なくとも一端は、前記溝を介して引き出され
前記送電コイルから前記受電コイルに、非接触電力伝送で電力が伝送され、リンク機構。
【請求項5】
前記筒状部の外周面には、複数の前記溝が設けられている、請求項4記載のリンク機構。
【請求項6】
前記筒状部の外周面と内周面との間に、軸方向に延びる貫通孔が設けられており、前記送電コイル及び前記受電コイルの巻線の少なくとも一端は、当該貫通孔を介して引き出される、請求項4または請求項5記載のリンク機構。
【請求項7】
前記筒状部において前記溝の内周側に前記貫通孔がそれぞれ設けられている、請求項6記載のリンク機構。
【請求項8】
第1のリンクと、
前記第1のリンクに関節によって連結された第2のリンクと、
前記第1のリンクにおける前記第2のリンクとの連結箇所に着脱可能に取り付けられる送電側ボビンと、
前記送電側ボビンに巻線が巻回された送電コイルと、
前記第2のリンクにおける前記第1のリンクとの連結箇所に着脱可能に取り付けられる受電側ボビンと、
前記受電側ボビンに巻線が巻回された受電コイルと、を備え、
前記送電側ボビンにおける軸方向の一端側の端面と、当該端面に対向する前記第1のリンクの面との一方には、前記関節の回転軸と同軸になるように送電側の環状電極が設けられており、他方には前記送電側ボビンが前記第1のリンクに取り付けられた場合に、前記送電側の環状電極に接触する電極が設けられており、
前記受電側ボビンにおける軸方向の一端側の端面と、当該端面に対向する前記第2のリンクの面との一方には、前記関節の回転軸と同軸になるように受電側の環状電極が設けられており、他方には前記受電側ボビンが前記第2のリンクに取り付けられた場合に、当該受電側の環状電極に接触する電極が設けられており、
前記送電コイルから前記受電コイルに、非接触電力伝送で電力が伝送され、リンク機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節部分において非接触電力伝送を行うリンク機構に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省力化のためにロボットアームを使用することが多くなっている。ロボットアームはモータやセンサを内蔵しているため、モータに電力を供給するための配線、モータを制御するための配線、センサからの情報を伝送するための配線などが用いられており、配線が極めて多い。また、ロボットアームには可動する部分があるため、度重なる屈曲による断線事故や、線噛みによる断線事故が多くなる。
【0003】
また、配線は実装スペースを圧迫すると共に、可動範囲を限定する要因にもなる。さらに、ロボットアームを製造する際に、配線ミスが発生する可能性もある。このように、ロボットアームの設計、製造、保守の面で、配線は様々なトラブルの原因になりうる。このようなトラブルを解消するため、ロボットアームなどの可動部分を含むリンク機構において、配線を無線化することが求められている。
【0004】
例えば、特許文献1では、一対のコイルを介してロボットアームの関節部分において、無線で電力伝送を行っている。そのような電力伝送を行うことによって、配線を減らすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-176692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非接触電力伝送で用いるコイルは、伝送する電力の大きさに応じて、好適な巻き数などが変化する。しかしながら、特許文献1に記載されたロボットアームでは、関節部分に電力伝送用のコイルが組み込まれているため、そのコイルを変更するのが容易ではないという問題があった。
【0007】
一般的に言えば、複数のリンクが関節によって連結されたリンク機構における関節部分での非接触電力伝送において、コイルの変更をより容易にしたいという要望があった。
【0008】
本発明は、上記状況に応じてなされたものであり、関節部分における非接触電力伝送に用いられるコイルを容易に変更することができるリンク機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一態様によるリンク機構は、第1のリンクと、第1のリンクに関節によって連結された第2のリンクと、第1のリンクにおける第2のリンクとの連結箇所に着脱可能に取り付けられる送電側ボビンと、送電側ボビンに巻線が巻回された送電コイルと、第2のリンクにおける第1のリンクとの連結箇所に着脱可能に取り付けられる受電側ボビンと、受電側ボビンに巻線が巻回された受電コイルと、を備え、送電コイルから受電コイルに、非接触電力伝送で電力が伝送される、ものである。
【0010】
このような構成により、送電側ボビン及び受電側ボビンが着脱可能になっているため、送電コイルや受電コイルを容易に交換することができる。そのため、例えば、用途や負荷に応じて、非接触電力伝送における効率が最適となるコイルを使用することができる。また、関節部分に設けられたコイルのボビンは、機械的な摩耗等が避けられないが、着脱可能とすることによって、メンテナンスが容易になるというメリットもある。
【0011】
また、本発明の一態様によるリンク機構では、送電側ボビン及び受電側ボビンがそれぞれ第1及び第2のリンクに取り付けられた際に、送電コイル及び受電コイルは、関節の軸方向において対面する配置となっていてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様によるリンク機構では、送電側ボビン及び受電側ボビンがそれぞれ第1及び第2のリンクに取り付けられた際に、送電コイル及び受電コイルは、一方のコイルの外周側に他方のコイルが位置する配置となっていてもよい。
【0013】
このような構成により、関節の軸方向において、送電コイル及び受電コイルをよりコンパクトに配置することができるようになる。
【0014】
また、本発明の一態様によるリンク機構では、送電側ボビン及び受電側ボビンはそれぞれ、外周側に巻線が巻回される筒状部を有しており、筒状部の外周面には、筒状部の軸方向に延びる溝が設けられており、送電コイル及び受電コイルの巻線の少なくとも一端は、溝を介して引き出されてもよい。
【0015】
このような構成により、溝を介してコイルの巻線を引き出すことができるため、送電コイル及び受電コイルにおいて、軸方向の一端側に巻線の両端が存在するようにすることができる。また、コイルの引き出し線を溝に配置することができるため、その引き出し線の位置がずれることを防止することもできる。
【0016】
また、本発明の一態様によるリンク機構では、筒状部の外周面には、複数の溝が設けられてもよい。
【0017】
このような構成により、例えば、コイルの両端の引き出し線をそれぞれ異なる溝に配置することによって、コイルの巻き数を整数以外にすることもでき、コイルの巻き数の自由度が高まることになる。
【0018】
また、本発明の一態様によるリンク機構では、筒状部の外周面と内周面との間に、軸方向に延びる貫通孔が設けられており、送電コイル及び受電コイルの巻線の少なくとも一端は、貫通孔を介して引き出されてもよい。
【0019】
このような構成により、例えば、溝及び貫通孔を介してコイルの巻線を引き出すことができるため、引き出し線の取り回しがより容易になるというメリットがある。
【0020】
また、本発明の一態様によるリンク機構では、筒状部において溝の内周側に貫通孔がそれぞれ設けられてもよい。
【0021】
このような構成により、例えば、溝を介してボビンの一端側に引き出された引き出し線を、貫通孔を介して他端側に引き出すことができる。
【0022】
また、本発明の一態様によるリンク機構では、送電側ボビンにおける軸方向の一端側の端面と、端面に対向する第1のリンクの面との一方には、関節の回転軸と同軸になるように送電側の環状電極が設けられており、他方には送電側ボビンが第1のリンクに取り付けられた場合に、送電側の環状電極に接触する電極が設けられており、受電側ボビンにおける軸方向の一端側の端面と、端面に対向する第2のリンクの面との一方には、関節の回転軸と同軸になるように受電側の環状電極が設けられており、他方には受電側ボビンが第2のリンクに取り付けられた場合に、受電側の環状電極に接触する電極が設けられてもよい。
【0023】
このような構成により、ボビンをリンクに取り付ける際に、ボビンの角度を考慮しなくてもよくなり、取り付ける際の作業性がよくなる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様によるリンク機構によれば、関節部分における非接触電力伝送に用いられるコイルを容易に変更することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態によるリンク機構の構成を示す模式図
図2】同実施の形態によるリンク機構の関節部分を示す断面図
図3A】同実施の形態における受電側ボビン及び取付部を示す斜視図
図3B】同実施の形態における受電側ボビンの平面図
図3C】同実施の形態における受電側ボビンの底面図
図4A】同実施の形態における受電側ボビンに設けられた環状電極を示す図
図4B】同実施の形態における取付部に設けられた電極を示す図
図5】同実施の形態における他の一例の受電側ボビン及び取付部を示す斜視図
図6】同実施の形態によるリンク機構の関節部分の他の一例を示す断面図
図7】同実施の形態によるリンク機構の関節部分の他の一例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明によるリンク機構について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素は同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態によるリンク機構は、第1及び第2のリンクの関節部分に着脱可能な送電側ボビン及び受電側ボビンを有しており、その送電側ボビン及び受電側ボビンに巻線が巻回された送電コイル及び受電コイル間で、非接触電力伝送を行うものである。
【0027】
図1は、本実施の形態によるリンク機構1の構成を示す模式図である。図2は、リンク機構1の関節部分の構造を示す断面図である。なお、図2において、駆動手段13の内部構造は省略している。図3Aは、受電側ボビン21、及び取付部25を示す斜視図である。図3Bは、受電側ボビン21の送電側ボビン11と対向するフランジ部42の端面を示す図である。図3Cは、受電側ボビン21の第2のリンク20側のフランジ部43の端面を示す図である。なお、図3Cでは、環状電極51、52を取り外した状態のフランジ部43を示している。図4Aは、受電側ボビン21における環状電極51、52の取り付けられたフランジ部43を示す図である。図4Bは、受電側ボビン21の装着時に環状電極51、52と接触する電極53、54を有する取付部25を示す図である。
【0028】
本実施の形態によるリンク機構1は、第1のリンク10と、第1のリンク10に着脱可能に取り付けられる送電側ボビン11と、送電側ボビン11に巻線が巻回された送電コイル12と、第1のリンク10に関節によって連結された第2のリンク20と、第2のリンク20に着脱可能に取り付けられる受電側ボビン21と、受電側ボビン21に巻線が巻回された受電コイル22と、ハンド部30とを備える。
【0029】
なお、図1では、説明の便宜上、リンク機構1が、連結された2個のリンクを有する場合について説明するが、リンク機構1は、直列に連結された3個以上のリンクを有するものであってもよい。リンク機構1は、例えば、ロボットアームであってもよく、ロボットアーム以外であってもよい。後者の場合には、リンク機構1は、例えば、4足歩行ロボットの脚であってもよく、ヒューマノイドロボットの腕や脚であってもよく、クレーンなどのリンク機構であってもよい。なお、本実施の形態では、第1のリンク10が基端側のリンクであり、第2のリンク20が、第1のリンク10の先端側に連結されたリンクであるとする。
【0030】
第1及び第2のリンク10、20は、例えば、直線状に延びた棒状の形状を有するものであってもよい。なお、第1及び第2のリンク10、20の長手方向の長さは、例えば、同じであってもよく、または、異なっていてもよい。また、第1のリンク10の基端側は、例えば、他のリンクに接続されていてもよく、または、ベースなどに固定されていてもよい。
【0031】
第1のリンク10は、駆動手段13と、制御回路14と、送電側ボビン11が着脱可能に取り付けられる取付部15と、関節の回転軸である軸部材16と、リンク部材18とを備える。第2のリンク20は、駆動手段23と、制御回路24と、受電側ボビン21が着脱可能に取り付けられる取付部25と、ハンド部30の回転軸である軸部材26と、円筒カバー27と、リンク部材28とを備える。リンク部材18、28は、直線状に延びた形状を有しており、例えば、第1及び第2のリンク10、20の筐体であってもよい。
【0032】
送電側ボビン11は、第1のリンク10における第2のリンク20との連結箇所に着脱可能に取り付けられる。本実施の形態では、送電側ボビン11が、第1のリンク10の取付部15に着脱可能に取り付けられる場合について主に説明する。送電コイル12は、非接触電力伝送で用いられる送電用のコイルである。
【0033】
受電側ボビン21は、第2のリンク20における第1のリンク10との連結箇所に着脱可能に取り付けられる。本実施の形態では、受電側ボビン21が、第2のリンク20の取付部25に着脱可能に取り付けられる場合について主に説明する。受電コイル22は、非接触電力伝送で用いられる受電用のコイルである。
【0034】
送電側ボビン11及び受電側ボビン21がそれぞれ第1及び第2のリンク10、20に装着された際に、送電コイル12及び受電コイル22は、図1図2で示されるように、関節の軸方向、すなわち軸部材16の長手方向において、対面する配置となっていてもよい。送電コイル12及び受電コイル22は、例えば、中心軸が関節の軸と同軸になると共に、関節の軸方向において、所定の間隔だけ離れていてもよい。そのように送電コイル12及び受電コイル22が配置されることによって、送電コイル12から受電コイル22に、非接触電力伝送で電力が伝送されることになる。すなわち、送電コイル12から送電された電力が、受電コイル22で受電されることになる。
【0035】
なお、送電コイル12と受電コイル22との間で行われる非接触電力伝送の方式は問わない。その非接触電力伝送の方式は、例えば、電磁誘導方式や磁界共振方式などの磁界結合方式であってもよく、非接触電力伝送のその他の方式であってもよい。
【0036】
また、送電コイル12と受電コイル22との間で非接触電力伝送と共に、制御信号などの通信も行われてもよい。なお、この通信は、送電コイル12から受電コイル22に対して行われてもよく、または、その逆であってもよい。このように、関節部分において制御信号などの通信も非接触で行われることによって、制御信号等の伝送のための配線も不要となり、リンク機構1におけるさらなるワイヤレス化を実現することができる。
【0037】
駆動手段13は、第1のリンク10の基端側または先端側の関節を回転させる。本実施の形態では、駆動手段13が、先端側の関節を回転させる場合について主に説明する。駆動手段13は、例えば、モータ等であってもよい。なお、駆動手段13は、軸部材16を直接回転させてもよく、プーリやベルト、ギヤ、減速機などを介して回転させてもよい。
【0038】
制御回路14は、駆動手段13に電力を供給する。また、制御回路14は、送電コイル12から、先端側の第2のリンク20に電力を送電する。具体的には、電力が送電コイル12から第2のリンク20の受電コイル22に非接触で伝送される。制御回路14は、駆動手段13を駆動するための電力、及び第2のリンク20に送電する電力を、例えば、ベースなどを介して商用電源から受け取ってもよく、または、第1のリンク10の基端側に接続されている他のリンクから、非接触電力伝送によって受電してもよい。後者の場合には、制御回路14は、非接触電力伝送によって受電した電力について、電圧や電流の調整を行って、駆動手段13や送電コイル12に供給してもよい。なお、制御回路14は、例えば、受電した交流電力を一度、直流に変換してから、電圧や電流の調整を行ってもよい。また、例えば、駆動手段13が直流モータである場合には、直流電力が駆動手段13に送られてもよい。また、駆動手段13がパルスモータや交流モータである場合には、制御回路14は、直流電力を交流電力に変換して駆動手段13に送ってもよい。
【0039】
軸部材16は、関節の回転軸である。送電側ボビン11及び受電側ボビン21を交換可能にするため、軸部材16は、例えば、第2のリンク20、または駆動手段13に対して着脱可能に取り付けられてもよい。
【0040】
軸部材16は、例えば、磁性体の部材であってもよく、そうでなくてもよい。軸部材16が磁性体の部材である場合には、送電側ボビン11及び受電側ボビン21がそれぞれ第1及び第2のリンク10、20に装着された際に、軸部材16が送電コイル12及び受電コイル22の中心に位置することが好適である。磁性体である軸部材16は、送電コイル12から受電コイル22に非接触電力伝送が行われる際に両コイルの結合を促進するコアとなる。なお、磁性体である軸部材16は、例えば、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性体であってもよく、それらの合金であってもよく、その他の磁性体であってもよい。コイルの結合を促進する観点からは、磁性体としてフェライトを用いることが好適である。一方、フェライトは強度が低いため、フェライトを樹脂で覆った棒状の部材を、軸部材16として用いてもよい。フェライトを覆う樹脂は、高強度であることが好適である。強度の高い樹脂は特に限定されるものではないが、例えば、エンジニアリング・プラスチック、スーパーエンジニアリング・プラスチック等であってもよい。
【0041】
なお、第2のリンク20の駆動手段23、及び制御回路24は、駆動手段23が先端側のリンクではなく、ハンド部30を回転させる以外は、第1のリンク10の駆動手段13、及び制御回路14と同様のものであり、それらの説明を省略する。また、第2のリンク20の先端側にも他のリンクが関節によって連結されている場合には、駆動手段23によって先端側の関節が回転されてもよく、第2のリンク20から先端側のリンクに非接触電力伝送が行われてもよい。
【0042】
次に、第1のリンク10側の送電側ボビン11、送電コイル12、及び取付部15、並びに第2のリンク20側の受電側ボビン21、受電コイル22、及び取付部25についてより詳細に説明する。なお、送電側ボビン11、送電コイル12、及び取付部15と、受電側ボビン21、受電コイル22、及び取付部25とは、実質的に同様のものであるため、ここでは、受電側ボビン21、受電コイル22、及び取付部25について主に説明する。
【0043】
図3Aで示されるように、受電側ボビン21は、外周側に巻線22aが巻回される筒状部41と、筒状部41の軸方向における両端にそれぞれ設けられたフランジ部42、43とを有する。受電コイル22は、例えば、巻線22aの整列巻きによって形成されてもよく、他の巻き方によって形成されてもよい。本実施の形態では、筒状部41、及びフランジ部42、43が円筒形状である場合について主に説明する。受電側ボビン21には、筒状部41の軸方向に延びる中心貫通孔21aが設けられている。筒状部41の軸方向とは、円筒形状である筒状部41の中心軸の方向である。受電側ボビン21が第2のリンク20の取付部25に装着された際に、軸部材16が中心貫通孔21aを通ることになる。
【0044】
筒状部41の外周面21bには、筒状部41の軸方向に延びる溝44が複数設けられている。本実施の形態では、6個の溝44が外周面21bに均等な間隔で設けられている場合、すなわち筒状部41の中心軸方向から見た際に中心軸を中心として溝44が60度ごとに設けられている場合について主に説明するが、溝44の個数は、例えば、1個でもよく、または、2個以上の任意の個数であってもよい。例えば、8個の溝44が、筒状部41の中心軸を中心として45度ごとに設けられていてもよい。また、外周面21bに複数の溝44が設けられている場合に、それらの間隔は均等であってもよく、または、そうでなくてもよい。溝44は、例えば、半円柱形状であってもよく、その他の形状であってもよい。溝44の両端はそれぞれ、フランジ部42の孔46、及びフランジ部43の孔47に繋がっている。したがって、受電側ボビン21の軸方向の一端側の端面から、他端側の端面までが、溝44、及び溝44の両端の孔46、47を介して繋がることになる。受電コイル22の巻線22aの少なくとも一端は、溝44を介して引き出されてもよい。図3Aでは、受電コイル22の一端側の引き出し線22bが、溝44及び孔46を介してフランジ部42側の端面に引き出され、他端側の引き出し線22cが、溝44の端部及び孔47を介してフランジ部43側の端面に引き出される場合について示している。
【0045】
筒状部41の外周面21bと内周面21cとの間には、筒状部41の軸方向に延びる貫通孔45が設けられていてもよい。すなわち、貫通孔45が、筒状部41の側壁内(筒壁内)に設けられていてもよい。その貫通孔45の両端は、受電側ボビン21の軸方向の両端面、すなわちフランジ部42、43の端面に開口していてもよい。また、図3B図3Cで示されるように、貫通孔45は、それぞれ溝44と同数設けられており、筒状部41において、溝44の内周側に貫通孔45がそれぞれ設けられていてもよい。このように、溝44、及びその両端側の孔46、47と、溝44の内周側の貫通孔45とを用いて、例えば、図3A図3B図3Cで示されるように、溝44を介してフランジ部42側にガイドされた引き出し線22bを、その溝44の内周側の貫通孔45を介してフランジ部43側に引き出すことができ、受電コイル22の巻線22aの両端を、受電側ボビン21の一端側にまとめることができる。また、溝44が存在することによって、筒状部41の外周面21bにおいて、軸方向の全体にわたって巻線22aを巻回しなくてもよいことになる。すなわち、筒状部41の外周面21bにおいて巻線22aを任意の回数だけ巻回し、その後に溝44を介して巻線22aの端部を引き出すことができる。また、筒状部41の外周面21bに複数の溝44が設けられている場合には、受電コイル22の巻線22aの巻き数を、整数以外にすることもできる。例えば、巻き数を10.5回や10.3回などにすることもできる。また、引き出し線22bを溝44に配置することによって、引き出し線22bの位置ずれを防止することもできる。また、引き出し線22bがフランジ部42側において折り返されることによって、引き出し線22bがフランジ部42において長さ方向にずれないようにすることができ、引き出し線22bまたは巻線22aの取り回しが容易になる。なお、引き出し線22b、22cのずれを防止するため、例えば、引き出し線22b、22cを、粘着テープや接着剤などを用いて固定してもよい。
【0046】
なお、図3Bで示されるように、フランジ部42の端面には、複数の貫通孔45及び複数の孔46の開口部を繋ぐように、溝部48が設けられている。したがって、孔46や貫通孔45を介して引き出し線22bをガイドする際にも、端面から外側に引き出し線22bが飛び出ることがないようにすることができる。そのため、例えば、第1及び第2のリンク10、20の関節が回転する際に受電側ボビン21のフランジ部42側の端面が他の構成、例えば、後述する中板32と擦れる場合であっても、引き出し線22bが擦り切れないようにすることができる。
【0047】
また、図3Cで示されるように、フランジ部43の端面には、複数の貫通孔45の開口部を繋ぐ円環状の溝部49と、複数の孔47の開口部を繋ぐ円環状の溝部50とが設けられている。そして、図4Aで示されるように、溝部49の開口を覆うように円環状の環状電極51が設けられ、溝部50の開口を覆うように円環状の環状電極52が設けられている。環状電極51、52は、受電側ボビン21が取付部25に取り付けられた際に、関節の回転軸と同軸となってもよい。すなわち、環状電極51、52の中心が、関節の回転軸上となってもよい。なお、引き出し線22bの端部は、環状電極51に接続され、引き出し線22cの端部は、環状電極52に接続されているものとする。また、環状電極51、52は、フランジ部43の端面と同一面上となるように設けられた平面状の電極であってもよい。
【0048】
取付部25には、受電側ボビン21のフランジ部43が嵌め込まれる円柱形状の凹部25aが設けられている。その凹部25aにフランジ部43が嵌め合わされることによって、受電側ボビン21が第2のリンク20に装着される。なお、円柱形状の凹部25aの軸方向の長さは、フランジ部43の軸方向の長さと同じであってもよい。また、フランジ部43の軸方向の長さが、フランジ部42の軸方向の長さよりも長くなっているため、受電側ボビン21が取付部25に取り付けられた際に、より安定することになる。なお、フランジ部42、43の軸方向の長さは同じであってもよい。
【0049】
受電側ボビン21が取付部25に取り付けられた場合に、受電側ボビン21は、例えば、取付部25に対して相対的に移動可能となっていてもよく、または、そうでなくてもよい。前者の場合には、フランジ部43は、凹部25aに単に挿入されるだけであって、受電側ボビン21は、関節の回転等に応じて取付部25に対して動くことになる。一方、後者の場合には、受電側ボビン21が取付部25に取り付けられた際には、両者は相対的に移動しないことになる。この場合には、例えば、ボルトやスナップフィットなどを用いて受電側ボビン21が第2のリンク20に着脱可能に装着されてもよく、凹部25aの内周面に設けられたねじ溝に、フランジ部43の外周面に設けられたねじ山を螺合させることによって、受電側ボビン21が第2のリンク20に着脱可能に装着されてもよく、その他の方法によって受電側ボビン21が第2のリンク20に着脱可能に装着されてもよい。
【0050】
図4Bで示されるように、取付部25の凹部25aにおける底面25cの中心には、軸部材16が通る中心貫通孔25bが設けられている。また、底面25cには、受電側ボビン21が取付部25に取り付けられた際に、環状電極51、52にそれぞれ接触する電極53、54が設けられている。電極53、54は、環状電極51、52の周方向の一部に相当する箇所に設けられており、環状電極51、52側に付勢されていることが好適である。受電側ボビン21が取付部25に取り付けられた際に、電極53、54と、環状電極51、52とがそれぞれ確実に接触するためである。そのため、電極53、54は、例えば、板バネ状の電極であってもよい。電極53、54は、配線によって制御回路24に接続されていてもよい。このように、環状電極51、52と、電極53、54とが接触することによって、受電コイル22が第2のリンク20と電気的に接続されるため、受電側ボビン21を中心軸周りに任意の角度となるように取付部25に取り付けることができ、受電側ボビン21を取付部25に取り付ける際の作業性が向上することになる。なお、受電側ボビン21や取付部25の電極以外の部分は、例えば、樹脂によって構成されてもよい。
【0051】
ここでは、受電側ボビン21側に環状電極51、52が設けられており、取付部25側に、電極53、54が設けられている場合について説明したが、逆であってもよい。例えば、取付部25側に環状電極が設けられており、受電側ボビン21側における、環状電極の周方向の一部に相当する箇所に電極が設けられていてもよい。このように、受電側ボビン21における軸方向の一端側の端面(例えば、フランジ部43側の端面)と、その端面に対向する第2のリンク20の面(例えば、取付部25の底面25c)との一方に、関節の回転軸と同軸になるように環状電極が設けられており、他方には受電側ボビン21が第2のリンク20に取り付けられた場合に、環状電極に接触する電極が設けられていてもよい。
【0052】
なお、受電コイル22と第2のリンク20との電気的な接続は、環状電極、及び環状電極に接触する電極以外を用いて実現されてもよい。例えば、受電コイル22の巻線22aの両端が、取付部25の凹部25aなどに設けられた端子に手作業で接続されることによって、受電コイル22と第2のリンク20とが電気的に接続されてもよい。
【0053】
図2で示されるように、送電コイル12及び受電コイル22が関節の軸方向において対面するように送電側ボビン11及び受電側ボビン21が取付部15、25にそれぞれ装着された際に、送電側ボビン11と受電側ボビン21との間に、乾性潤滑剤の塗布された円盤状の中板32が配置されてもよい。なお、中板32の中心には、軸部材16が通過する孔が設けられているものとする。また、装着された送電側ボビン11及び受電側ボビン21がそれぞれ取付部15、25に対して相対的に移動可能となっている場合には、中板32は、送電側ボビン11と受電側ボビン21との間のスペーサとして用いられてもよい。一方、装着された送電側ボビン11及び受電側ボビン21がそれぞれ取付部15、25に対して相対的に移動可能となっていない場合には、中板32はなくてもよい。
【0054】
また、取付部25の凹部25aと反対側の面は、リンク部材28に固定されているものとする。また、送電側ボビン11、送電コイル12、取付部15、受電側ボビン21、受電コイル22、取付部25を覆うように、円筒カバー27が設けられている。円筒カバー27は、軸方向の一端がリンク部材28、または取付部25に取り付けられてもよい。また、リンク部材18に固定された取付部15のリンク部材18側の端部の外周側には、周方向に沿って窪み部15aが設けられており、円筒カバー27の第1のリンク10側の端部には、その窪み部15aに嵌るように、内周側に突出した突出部27aが周方向に沿って設けられていてもよい。なお、送電側ボビン11及び受電側ボビン21を交換することができるように、円筒カバー27は、例えば、リンク部材28に着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0055】
次に、リンク機構1の動作について説明する。制御回路14に供給された電力は、送電コイル12及び受電コイル22を介して制御回路24に供給される。また、制御回路14から供給された電力に応じて、駆動手段13は、軸部材16を回転させる。その結果、関節部分において、第2のリンク20が第1のリンク10に対して回転されることになる。また、制御回路24に供給された電力は、駆動手段23に供給される。そして、駆動手段23が軸部材26を回転させることによって、ハンド部30が回転されることになる。
【0056】
また、例えば、ハンド部30が消費電力の多い別のエンドエフェクタに交換されることによって、または、第2のリンク20の先端側にさらに別のリンクが接続されることによって、第1のリンク10から第2のリンク20により多くの電力を伝送しなければならなくなった場合には、送電コイル12及び受電コイル22を交換することになる。そのような場合には、まず、円筒カバー27や軸部材16を取り外し、その後に、取付部15、25からそれぞれ送電側ボビン11及び受電側ボビン21を取り外す。なお、コイルの巻線の両端が、取付部15、25側の端子に接続されている場合には、その接続を外してもよい。そして、新しい構成に応じた送電コイル12及び受電コイル22がそれぞれ巻回された送電側ボビン11及び受電側ボビン21を、取付部15、25に取り付ける。その後、軸部材16や円筒カバー27を装着することによって、送電コイル12及び受電コイル22の交換が完了することになる。
【0057】
以上のように、本実施の形態によるリンク機構1によれば、関節部分において非接触電力伝送によって電力を伝送できるため、関節部分における電力伝送用の配線が不要になる。また、非接触電力伝送用のコイルが、リンクに対して取り外し可能に設けられている送電側ボビン11及び受電側ボビン21に巻回されていることによって、リンク機構1の先端側において必要とされる電力量が変わることなどに応じて、非接触電力伝送用のコイルを簡単に交換することができる。例えば、リンクがユニット化されており、任意の個数のリンクを直列に連結できる場合には、基端側のリンク間で伝送される電力の方が、先端側のリンク間で伝送される電力より大きくなければならないが、本実施の形態によるリンク機構1では、各関節において、伝送される電力量に応じた適切なコイルとなるようにすることができる。また、送電側ボビン11や受電側ボビン21が摩耗した場合にも、それらを簡単に交換することができる。したがって、メンテナンスが容易になり、リンク機構1の機械寿命を延ばすことができる。
【0058】
なお、本実施の形態では、筒状部41において、溝44の内周側にそれぞれ貫通孔45が設けられている場合について説明したが、そうでなくてもよい。溝44の内周側以外の箇所に貫通孔が設けられていてもよい。また、溝44の個数と、貫通孔45の個数とは同じでなくてもよい。例えば、貫通孔45の個数は、溝44の個数よりも少なくてもよい。この場合には、例えば、溝44及び孔46を介してフランジ部42側の端面にガイドされた引き出し線22bは、その孔46に近い貫通孔45を介してフランジ部43側の端面に引き出されてもよい。
【0059】
また、本実施の形態では、巻線22aの一端がフランジ部43側に引き出される際に、フランジ部42側の端面、及び貫通孔45を介して引き出される場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。送電側ボビン11及び受電側ボビン21は、貫通孔45を有していなくてもよい。この場合には、例えば、図5で示されるように、巻線22aの引き出し線22bは、巻線22aの内周側の溝44を介してフランジ部43側に引き出され、フランジ部43の孔47を介してフランジ部43の端面側に引き出されてもよい。この場合には、フランジ部42には、孔46や溝部48が設けられていなくてもよい。
【0060】
また、本実施の形態では、送電側ボビン11及び受電側ボビン21が軸方向の両端にフランジ部42、43等を有する場合について説明したが、そうでなくてもよい。送電側ボビン11及び受電側ボビン21が軸方向の両端にフランジ部が設けられていなくてもよい。この場合には、送電側ボビン11及び受電側ボビン21は、筒状部41のみを有していてもよい。なお、その筒状部41の外周面21bに1個または2個以上の溝44が設けられていてもよいことは上記のとおりである。また、筒状部41の外周面21bに溝44が設けられていなくてもよい。この場合には、筒状部41の外周面21bまたは内周面21cにおいて、コイルの引き出し線を粘着テープや接着剤などで固定してもよい。
【0061】
また、本実施の形態では、送電側ボビン11及び受電側ボビン21が、取付部15、25を介して第1及び第2のリンク10、20にそれぞれ装着される場合について説明したが、そうでなくてもよい。第1及び第2のリンク10、20はそれぞれ取付部15、25を有していなくてもよい。この場合には、送電側ボビン11及び受電側ボビン21は、別の方法によって、それぞれ第1及び第2のリンク10、20に着脱可能に設けられてもよい。受電側ボビン21は、例えば、スナップフィットなどによってリンク部材28に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0062】
また、本実施の形態では、送電側ボビン11及び受電側ボビン21がそれぞれ第1及び第2のリンク10、20に取り付けられた際に、送電コイル12及び受電コイル22が対面する配置となっている場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。送電側ボビン11及び受電側ボビン21がそれぞれ第1及び第2のリンク10、20に取り付けられた際に、送電コイル12及び受電コイル22は、一方のコイルの外周側に他方のコイルが位置する配置となってもよい。この場合に、両コイルは、例えば、同軸となっていてもよく、または、そうでなくてもよい。図6は、送電側ボビン11及び受電側ボビン21がそれぞれ取付部15、25に取り付けられた際に、受電コイル22の外周側に、送電コイル12が位置する配置となっている関節部分の一例を示す断面図である。図6では、送電コイル12及び受電コイル22は、同軸になっている。この場合には、送電側ボビン11及び受電側ボビン21は、それぞれ取付部15、25との相対的な位置が変化しないように装着されることが好適である。なお、図6では、受電コイル22の外周側に、送電コイル12が位置する配置となっている場合について示しているが、送電側ボビン11及び受電側ボビン21がそれぞれ取付部15、25に取り付けられた際に、送電コイル12の外周側に、受電コイル22が位置する配置となっていてもよい。このように、一方のコイルの外周側に他方のコイルが位置する配置となっている場合には、関節部分において、関節の軸方向の長さをより短くすることもできうる。
【0063】
また、図7で示されるように、駆動手段13を、送電側ボビン11及び取付部15の中心貫通孔の内部に配置してもよい。このように、送電側ボビン11及び受電側ボビン21がそれぞれ着脱可能に第1及び第2のリンク10、20に取り付けられており、また、適切な非接触電力伝送を実現することができるのであれば、関節部分の構成は、上記説明に限定されるものではなく、種々の構成を考えることができる。
【0064】
また、本実施の形態では、受電側ボビン21の筒状部41が円筒形状であり、その筒状部41の外周面21bに巻線22aが巻回されることによって、円筒形状の受電コイル22が形成される場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。筒状部41は、例えば、多角筒形状であってもよい。なお、多角筒形状の軸方向に垂直な断面における筒壁の形状は、例えば、正三角形状、正方形状、正五角形状、正六角形状などの正多角形状であってもよい。送電側ボビン11についても同様である。
【0065】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上より、本発明の一態様によるリンク機構によれば、コイルを容易に変更できるという効果が得られ、関節において非接触電力伝送を行うリンク機構として有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 リンク機構
10 第1のリンク
11 送電側ボビン
12 送電コイル
20 第2のリンク
21 受電側ボビン
22 受電コイル
44 溝
45 貫通孔
51、52 環状電極
53、54 電極
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7