(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】カードホルダ
(51)【国際特許分類】
G09F 1/10 20060101AFI20240813BHJP
A47F 5/00 20060101ALI20240813BHJP
G09F 7/10 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
G09F1/10 H
A47F5/00 E
G09F7/10
(21)【出願番号】P 2020184340
(22)【出願日】2020-11-04
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】岩田 貴雄
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】実公昭27-002536(JP,Y1)
【文献】特開2005-304846(JP,A)
【文献】特開2008-312279(JP,A)
【文献】特開2005-073847(JP,A)
【文献】特開2017-064166(JP,A)
【文献】特開2009-145860(JP,A)
【文献】特開2018-183495(JP,A)
【文献】特開2012-103563(JP,A)
【文献】実開昭57-187468(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00-8/02
G09F 1/00-5/04
7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品陳列什器に取り付けられて、商品情報を記載されたカードをケース部に収容して視認可能な状態に保持するカードホルダであって、
前記ケース部には、前記カードを挿入するための挿入口が、上面と一側面との何れか一方に配置され、
前記ケース部の内側前面と内側後面とには、前記カードの前面と後面とに部分的に当接して、前記カードの少なくとも一部を前記ケース部への挿入方向である第1方向から見て前方に反った形状に変形させる部分当接部が少なくとも一つずつ設けられてい
て、
前記挿入口は、前記カードを平坦な状態で受け入れ可能に構成され、
複数の前記部分当接部のうち前記カードの前面に当接する前側部分当接部には、前記挿入口に近づくに従って前側に位置するように傾斜する前側傾斜部が備えられ、
複数の前記部分当接部のうち前記カードの後面に当接する後側部分当接部には、前記挿入口に近づくに従って後側に位置するように傾斜する後側傾斜部が備えられているカードホルダ。
【請求項2】
商品陳列什器に取り付けられて、商品情報を記載されたカードをケース部に収容して視認可能な状態に保持するカードホルダであって、
前記ケース部には、前記カードを挿入するための挿入口が、上面と一側面との何れか一方に配置され、
前記ケース部の内側前面と内側後面とには、前記カードの前面と後面とに部分的に当接して、前記カードの少なくとも一部を前記ケース部への挿入方向である第1方向から見て前方に反った形状に変形させる部分当接部が少なくとも一つずつ設けられていて、
前記ケース部の後面から突出してから屈曲し、前記ケース部の後面との間に外付カードが差し込まれる差込溝を有する外付フックと、
前記ケース部の後面から突出して、前記差込溝の両端の開口に対向し、前記外付フックと協働して前記外付カードを反った形状に変形させる1対の後面突部と、を有するカードホルダ。
【請求項3】
商品陳列什器に取り付けられて、商品情報を記載されたカードをケース部に収容して視認可能な状態に保持するカードホルダであって、
前記ケース部には、前記カードを挿入するための挿入口が、上面と一側面との何れか一方に配置され、
前記ケース部の前壁は、左右方向の中央部が最も前側に位置するように前方に反った形状をなし、
前記ケース部の内側前面と内側後面とには、前記カードの前面と後面とに部分的に当接して、前記カードを左右方向の中央部が最も前側に位置するように前方に反った形状に変形させる部分当接部が少なくとも一つずつ設けられているカードホルダ。
【請求項4】
商品陳列什器に取り付けられて、商品情報を記載されたカードをケース部に収容して視認可能な状態に保持するカードホルダであって、
前記ケース部には、前記カードを挿入するための挿入口が、上面と一側面との何れか一方に配置され、
前記ケース部の前壁は、前記カードの前記ケース部への挿入方向である第1方向から見て前記第1方向と直交する第2方向の中央部が最も前側に位置するように前方に反った形状をなし、
前記ケース部の内側前面と内側後面とには、前記カードの前面と後面とに部分的に当接して、前記カードを前記第2方向の中央部が最も前側に位置するように前方に反った形状に変形させる部分当接部が少なくとも一つずつ設けられているカードホルダ。
【請求項5】
商品陳列什器に取り付けられて、商品情報を記載されたカードをケース部に収容して視認可能な状態に保持するカードホルダであって、
前記ケース部の前壁は、前記カードのうち外縁部より内側全体を前方から覆い、
前記ケース部には、前記カードを挿入するための挿入口が、上面と一側面との何れか一方に配置され、
前記ケース部の内側前面と内側後面とには、前記カードの前面と後面とに部分的に当接して、前記カードの少なくとも一部を前記ケース部への挿入方向である第1方向から見て前方に反った形状に変形させる部分当接部が少なくとも一つずつ設けられているカードホルダ。
【請求項6】
前記挿入口の開口縁に前記ケース部を前後に貫通する溝部を備える請求項1から5の何れか1の請求項に記載のカードホルダ。
【請求項7】
前記ケース部の後壁の外縁部には、隣り合う面に亘って配され、前記カードの後面を露出させる切欠部が備えられ、前記カードのうち前記切欠部により後面が露出した部分の前面を前記ケース部の前壁で覆う請求項1から6の何れか1の請求項に記載のカードホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、商品陳列棚に取り付けられて、商品情報カードを保持するカードホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のカードホルダとして、商品情報を記載されたカードを挿入口からスライド挿入可能なものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のカードホルダにおいては、カードが抜け落ちてしまうことを抑制することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた発明の第1態様は、商品陳列什器に取り付けられて、商品情報を記載されたカードをケース部に収容して視認可能な状態に保持するカードホルダであって、前記ケース部には、前記カードを挿入するための挿入口が、上面と一側面との何れか一方に配置され、前記ケース部の内側前面と内側後面とには、前記カードの前面と後面とに部分的に当接して、前記カードの少なくとも一部を前記ケース部への挿入方向である第1方向から見て前方に反った形状に変形させる部分当接部が少なくとも一つずつ設けられているカードホルダである。
【0006】
発明の第2態様は、複数の前記部分当接部のうち前記カードの前面に当接する前側部分当接部における前記カードとの当接面は、前記カードの後面に当接する後側部分当接部における前記カードとの当接面に対し、同一平面内に納まるように配置されるか、又は、後方に配置されている第1態様に記載のカードホルダである。
【0007】
発明の第3態様は、前記挿入口は、前記カードを平坦な状態で受け入れ可能に構成され、複数の前記部分当接部のうち前記カードの前面に当接する前側部分当接部には、前記挿入口に近づくに従って前側に位置するように傾斜する前側傾斜部が備えられ、複数の前記部分当接部のうち前記カードの後面に当接する後側部分当接部には、前記挿入口に近づくに従って後側に位置するように傾斜する後側傾斜部が備えられている第1態様又は第2態様に記載のカードホルダである。
【0008】
発明の第4態様は、前記ケース部の前壁は、前記第1方向から見て中央部が最も前側に位置するように前方に反った形状をなし、複数の前記部分当接部は、前記カードを前記第1方向から見て中央部が最も前側に位置するように前方に反った形状に変形させる第1態様から第3態様の何れか1の態様に記載のカードホルダである。
【0009】
発明の第5態様は、前記挿入口の開口縁に前記ケース部を前後に貫通する溝部を備える第1態様から第4態様の何れか1の態様に記載のカードホルダである。
【0010】
発明の第6態様は、前記ケース部の後壁の外縁部には、隣り合う面に亘って配され、前記カードの後面を露出させる切欠部が備えられ、前記カードのうち前記切欠部により後面が露出した部分の前面を前記ケース部の前壁で覆う第1態様から第5態様の何れか1の態様に記載のカードホルダである。
【0011】
発明の第7態様は、前記ケース部の後面から突出してから屈曲し、前記ケース部の後面との間に外付カードが差し込まれる差込溝を有する外付フックと、前記ケース部の後面から突出して、前記差込溝の両端の開口に対向し、前記外付フックと協働して前記外付カードを反った形状に変形させる1対の後面突部と、を有する第1態様から第6態様の何れか1の態様に記載のカードホルダである。
【発明の効果】
【0012】
発明の第1態様によれば、ケース部に収容されたカードが複数の部分当接部により第1方向から見て反った形状に変形するので、その変形による弾性力が第1方向と直交する方向にかかり(カードが部分当接部に押し付けられる力が働き)、摩擦によりカードが挿入口方向に移動しにくくなり、カードの抜け落ちが抑制される。
【0013】
発明の第2態様によれば、複数の部分当接部のうちカードの前面に当接する前側部分当接部における前記カードとの当接面は、カードの後面に当接する後側部分当接部におけるカードとの当接面に対し、同一平面内に納まるように配置されるか、又は、後方に配置されているので、カードを反らせやすくなり、カードが強固に保持される。
【0014】
発明の第3態様によれば、前側部分当接部及び後側部分当接部に、挿入口に近づくに従って傾斜した前側傾斜部及び後側傾斜部が備えられているので、カードを挿入口から奥側へ挿入することで、前側傾斜部及び後側傾斜部に誘導されてカードをスムーズに反らせることができる。
【0015】
発明の第4態様によれば、ケース部の前壁が中央部が最も前側に位置するように前方に反った形状をなし、カードも中央部が最も前側に位置するように前方に反った形状に変形するので、端部が前方に沿っているものや後方に反っているものよりも、カードを前方から視認しやすくなる。
【0016】
発明の第5態様によれば、挿入口の開口縁にケース部を前後に貫通する溝部が設けられているので、カードの第1方向の長さがケース部内の第1方向の長さよりも小さい場合に、カードを奥側へ押し込みやすくなる。
【0017】
発明の第6態様によれば、カードのうち切欠部から露出している部分を操作してカードを取り出すことができる。
【0018】
発明の第7態様によれば、1つのカードホルダで、カードと外付カードとの両方を保持可能となるので、商品陳列什器に2つのカードホルダを取り付ける場合よりも取り付けスペースのコンパクト化が図られる。また、外付カードも沿った状態に変形するので、外付カードの抜け落ちが防がれる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図12】商品陳列棚に取り付けられている状態のカードホルダの側断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、
図1から
図13に基づいて本開示のカードホルダ10について説明する。
図1に示される本開示のカードホルダ10は、透明な樹脂からなり、商品情報が記載された商品情報カード100(特許請求の範囲中の「カード」に相当する)を視認可能にケース部11に収容した状態で、小売店等の商品陳列棚110(特許請求の範囲中の「商品陳列什器」に相当する)に取り付けられて使用される。以降、特記しない限り、
図1における左右をカードホルダ10の左右とする。
【0021】
ケース部11は、上方に開放した偏平ケース状をなし、前壁12と後壁20との間が1対の側壁25と下壁30とにより連絡されてなる。ケース部11の上端開口は、商品情報カード100を抜き差し可能な挿入口11Aとなっている。
【0022】
図2及び
図3に示すように、カードホルダ10は、ケース部11における後壁20の後面に、棚取付部60を備えている。棚取付部60は、ケース部11を上下方向で略3分割する位置に、左右方向の全体から後方へ突出した、上側取付部60Aと下側取付部60Bとを有している。上側取付部60Aは、後壁20の後面から後方へ延びたのち下方へ屈曲していて、後壁20との間に、断面形状が円の下に台形を重ねた形状をなす棚受容凹部60Uを形成する(
図4参照)。また、下側取付部60Bは、左右方向に延びた突条をなしている。
【0023】
図2に示すように、下壁30には、左右方向の中央に、平面視四角形の貫通孔30Kが形成されている。
図4に示すように、貫通孔30Kの前後方向の幅は、ケース部11の前壁12と後壁20との間の幅と同一である。つまり、貫通孔30Kは、ケース部11の前壁12と後壁20との間の空間をそのまま下方へ延長されてなる。
【0024】
図1及び
図5に示すように、前壁12は、長方形板を上方から見て左右方向の中央部が最も前側に位置するように前方に反らせた形状をなしている。一方、後壁20は平坦になっている。
図2及び
図3に示すように、後壁20には、右上角部に、四角形状に切り欠かれた切欠部21が形成されている。切欠部21は、後壁20における棚取付部60の上側取付部60Aより上方のうち、右端部から左右方向の長さの1/4~1/5の範囲に亘って設けられ、かつ、右側の側壁25まで延長されている。また、
図1及び
図6に示すように、ケース部11の前壁12及び後壁20のうち挿入口11A側端部には、左右方向の中央にケース部11を前後に貫通する溝部12M,20Mが形成されている。
【0025】
さて、本実施形態のカードホルダ10は、ケース部11の内部に、複数の当接突条13,22(特許請求の範囲中の「部分当接部」に相当する)を備えている。具体的には、
図5及び
図7に示すように、ケース部11の内部には、前壁12から内側に突出した1対の前側当接突条13(特許請求の範囲中の「前側部分当接部」に相当する)と、後壁20から内側に突出した1対の後側当接突条22(特許請求の範囲中の「後側部分当接部」に相当する)と、が形成されている。
図7及び
図8に示すように、前側当接突条13は、前壁12と両側壁25との両角部の内側に、下壁30から上端寄り位置までに亘って形成されている。また、前側当接突条13のうち下側取付部60Bより少し下方の高さより上方部分は、挿入口11Aに近づくに従って前側に位置するように傾斜する前側傾斜部13Aとなっている。なお、1対の前側当接突条13のうち右側(切欠部21側)の前側傾斜部13の上端は、切欠部21よりも僅かに下方に配されている。
【0026】
図7及び
図9に示すように、1対の後側当接突条22は、後壁20のうち左右方向の端部寄り位置に、則ち、1対の前側当接突条13の間に配され、下壁30から上側取付部60Aの上端部付近の高さまで延びている。後側当接突条22の上端は、左側の前側当接突条13の上端より下方に、かつ、右側の前側当接突条13の上端より僅かに上方に位置している。また、後側当接突条22のうち下側取付部60Bより少し下方の高さより上方部分は、挿入口11Aに近づくに従って後側に位置するように傾斜する後側傾斜部22Aとなっている。
【0027】
図9に示すように、前側当接突条13と後側当接突条22とは、前側傾斜部13A及び後側傾斜部22Aの途中部分より下方が、前後方向で重なっている。換言すれば、前側当接突条13の後端部は、後側当接突条22の前端部よりも後方に位置している。これにより、ケース部11に収容された商品情報カード100は、
図5に示すように、前側当接突条13と後側当接突条22とに部分的に当接し、前壁12に沿うように前方に反った状態に変形する。また、ケース部11の挿入口11A側部分は、上述したように前側当接突条13及び後側当接突条22が設けられておらず、商品情報カード100を平坦な状態で受け入れ可能になっている。
【0028】
図2及び
図3に示すように、カードホルダ10は、ケース部11における後壁20の後面に、棚取付部60と共に、広告保持部50を有している。広告保持部50は、後壁20との間に差込溝50Uを形成する外付フック51を有している。
図4に示すように、外付フック51は、上側取付部60Aと共通してケース部11の後面から突出したのち、上側取付部60Aが下方へ屈曲する位置で上方へ屈曲し、僅かにケース部11の後面から離れるように延びている。外付フック51の上端部は、ケース部11の上端部よりも僅かに下方に位置し、かつ、差込溝50Uの開口が大きくなるように後方へ折れ曲がっている。
図2及び
図3に示すように、外付フック51は、ケース部11の上辺部のうち切欠部21を除く部分の両端部寄り位置同士の間に配されている。
【0029】
広告保持部50は、さらに、ケース部11の後面のうち外付フック51を左右方向で挟む位置から突出した1対の後面突部52を有している。後面突部52は、左右方向から見て角を丸めた三角形状をなしている。
図4及び
図5に示すように、1対の後面突部52は、差込溝50Uの両端の開口に対向し、左右方向から見ると外付フック51と僅かに重なっている。なお、1対の後面突部52のうち左側の後面突部52は、左側の側壁25から延長して形成されている。この広告保持部50は、商品を宣伝するための商品広告カード101(所謂POPカード等。特許請求の範囲中の「外付カード」に相当する)を保持可能になっている。商品広告カード101は、差込溝50Uに上方から差し込まれると、外付フック51と1対の後面突部52とにより上方から見て前方に反るように変形する。
【0030】
また、
図1に示すように、本実施形態のカードホルダ10は、ケース部11の下端部に、補助保持部31を有している。
図1及び
図8に示すように、補助保持部31は、ケース部11の左右方向の両端部に配され、下壁30から前方へ延長して延びた水平部31Aと、水平部31Aの前端から上方へ起立したフック部31Bと、を有している。フック部31Bの後面は、ケース部11の前壁12の側縁部より僅かに前方に配されていて、フック部31Bの後面の上端部は、前方へ傾斜したテーパー部31Cとなっている。また、ケース部11の前壁12のうち補助保持部31と対応する部分には、切欠き12Kが形成されている。
【0031】
図10に示すように、補助保持部31のフック部31Bは、ケース部11の前壁12の中央部と前後方向で一部重なっている。これにより、広告保持部50に一端部を保持された商品広告カード101の他端部がケース部11の前壁12と補助保持部31との間に差し込まれると、その他端部も前方に反るように変形する。また、ケース部11より大きい商品情報カード100を補助保持部31に保持させることも可能であるし、広告保持部50を用いずに、商品広告カード101を補助保持部31に保持させることも可能である。
【0032】
カードホルダ10は射出成形により製造される。詳細には、
図11に示すように、外側金型120に、薄板状の内側金型121を収容した状態で樹脂が射出されて製造される。このとき、下壁30の貫通孔30Kが形成される箇所では、内側金型121が外側金型120に突き当てられるので、内側金型121が樹脂が射出される圧力により変形することが防がれる。
【0033】
本実施形態のカードホルダ10の構成は以上である。次に、カードホルダ10の作用効果について説明する。上述したように、カードホルダ10は、商品情報カード100をケース部11に収容した状態で、商品陳列棚110に取り付けられて使用される。
図12に示すように、商品陳列棚110は、例えば、水平板110Aの先端から上方へ起立壁110Bが突出した形状をなし、カードホルダ10は、起立壁110Bを棚受容凹部60U内に受容し、起立壁110Bの前面に下側取付部60Bが当接した状態で取り付けられる。カードホルダ10が商品陳列棚110に取り付けられた状態では、カードホルダ10の前面が僅かに上方を向くように傾くので、商品情報カード100を前方から視認しやすくなっている。なお、予め商品情報カード100を収容したカードホルダ10を商品陳列棚110に取り付けてもよいし、空のカードホルダ10を商品陳列棚110に取り付けた後に、商品情報カード100を収容してもよい。
【0034】
商品情報カード100は、挿入口11Aに上方から差し込まれ、そのまま奥側へ(下方へ)スライドさせることで、カードホルダ10のケース部11内に収容される。このとき、商品情報カード100は、挿入口11Aから下方へ向かうと、前側当接突条13及び後側当接突条22により、左右方向の中央部が前方へ、両端部が後方へ誘導される。これにより、商品情報カード100は、前方へ反った形状に変形し、商品情報カード100の変形による弾性力が前後方向にかかる(前側当接突条13及び後側当接突条22側へ押し付ける力が働く)ので、商品情報カード100がスライド方向に移動しにくくなり、商品情報カード100の抜け落ちが防がれる。
【0035】
また、前側当接突条13及び後側当接突条22には前側傾斜部13A及び後側傾斜部22Aが形成されているので、商品情報カード100を奥側へスライドさせるだけでスムーズに反らせることができる。しかも、前側当接突条13及び後側当接突条22は、上下方向の途中から下方へ延びていて、挿入口11Aは商品情報カード100を平坦な状態で受け入れ可能となっているので、商品情報カード100の挿入口11Aへの差し込みもスムーズに行える。
【0036】
そして、ケース部11の前壁12及び後壁20には、溝部12M,20Mが形成されているので、商品情報カード100の高さ(上下方向の長さ)が、ケース部11内の高さよりも小さい場合は、商品情報カード100を奥側へ押し込みやすくなり、商品情報カード100を前側当接突条13及び後側当接突条22に当接させやすくなる。また、商品情報カード100の高さが、下壁30まで押し込まれた時に溝部12M,20Mから露出する大きさであれば、その露出している部分を摘んで商品情報カード100を取り外すことが可能となる。
【0037】
また、ケース部11の後壁20には、右側の側壁25までに亘って切欠部21が形成されているので、商品情報カード100のうち切欠部21から露出している部分を操作することで、商品情報カード100を容易に取り外せる。また、商品情報カード100のうち切欠部21から露出している部分は、前壁12に前方から覆われているので、その部分の変形が抑制される。また、切欠部21が後壁20に配されているので、前壁12に配されている場合よりも見栄えが悪くなることが防がれる。また、切欠部21が右側に配されているので右利きの作業者が前方から作業しやすくなっている。
【0038】
また、ケース部11の下壁30に貫通孔30Kが形成されているので、この貫通孔30Kと溝部12M,20Mとに指を掛けると、カードホルダ10が手から滑りにくく、カードホルダ10の商品陳列棚110への着脱作業が容易になる。
【0039】
本実施形態では、前側当接突条13及び後側当接突条22により商品情報カード100が上方から見て前方に反り、かつ、前壁12も上方から見て前方に反っているので、商品情報カード100を前方から視認しやすくなっている。
【0040】
また、カードホルダ10には、広告保持部50が設けられていて、1つのカードホルダで、商品情報カード100と商品広告カード101との両方を保持可能となるので、商品陳列棚110に2つのカードホルダを取り付ける場合よりも取り付けスペースのコンパクト化が図られる。広告保持部50に取り付けられた商品広告カード101は、フック部31Bと後面突部52とにより前方に反るように変形するので、その変形による弾性力が前後方向にかかり、商品広告カード101の保持が強固となり、商品広告カード101の抜け落ちが防がれる。また、広告保持部50の差込溝50Uは上方に向かって広がっていて、後面突部52は三角形状で上面が傾斜しているので、商品広告カード101を広告保持部50に差し込みやすくなっている。
【0041】
また、本実施形態では、ケース部11の下端部に、補助保持部31を有していて、商品広告カード101を、一端部を広告保持部50に保持する一方、他端部をケース部11の下端部に保持し、商品情報カード100を隠すように取り付けることが可能である。このとき、商品広告カード101の他端部がケース部11の前壁12と補助保持部31とにより前方に反るように変形するので、その変形による弾性力が前後方向にかかり、商品広告カード101の他端部の保持も強固となり、商品広告カード101の抜け落ちがより防がれる。
【0042】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、カードホルダ10が透明樹脂により構成されていたが、非透過性で、前壁12が商品情報カード100を露出させる枠状になった構成であってもよい。
【0043】
(2)上記実施形態では、挿入口11Aがケース部11の上面に配された構成であったが、側面に配された構成であってもよい。この場合、前側当接突条13及び後側当接突条22は左右方向に延びた構成となる。
【0044】
(3)棚形状の商品陳列什器ではなく、商品を吊り下げたり、立てかけたりする形態の商品陳列什器に取り付けられる構成であってもよい。
【0045】
(4)前側当接突条13の後端部と後側当接突条22の前端部とが同一平面内に納まるように配置されていてもよいし、前側当接突条13の後端部が後側当接突条22の前端部より商品情報カード100の板厚未満分前方に配されていてもよい。この場合であっても、商品情報カード100が反った形状になり、商品情報カード100の抜け落ちが防がれる。
【0046】
(5)上記実施形態では、商品情報カード100が上方から見て前方に反る構成であったが、後方に反る構成であってもよい。即ち、1対の後側当接突条22の間に前側当接突条13が配される構成であってもよい。
【0047】
(6)広告保持部50が設けられていなくてもよい。
【0048】
(7)上記実施形態では、カードホルダ10が一体成形品であったが、例えば、前壁12を有する前側部品と後壁20を有する後側部品とが別々に成形され、それらを組み合わせる構成であってもよい。また、前壁12と後壁20とがヒンジにより接続され、折り曲げることでカードホルダ10となる構成であってもよい。
【0049】
(8)上記実施形態では、上下方向に延びた前側当接突条13及び後側当接突条22が設けられていたが、前側部分当接部と後側部分当接部とが上下方向でずれて配置されていてもよい。
【0050】
(9)前側当接突条13及び後側当接突条22がケース部11の上端まで延びていてもよい。
【0051】
(10)上記実施形態では、商品情報カード100が、左右方向の中央部が最も前側に位置するように全体的に前方に反っていたが、一部が前方に反る構成であってもよい。
【0052】
(11)前側当接突条13は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。同様に、後側当接突条22も、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、前側当接突条13の数と後側当接突条22の数とは異なっていてもよい。
【0053】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0054】
10 カードホルダ
11 ケース部
11A 挿入口
12 前壁
12M,20M 溝部
13 前側当接突条(前側部分当接部)
13A 前側傾斜部
20 後壁
21 切欠部
22 後側当接突条(後側部分当接部)
22A 後側傾斜部
31 補助保持部
50 広告保持部
51 外付フック
52 後面突部
100 商品情報カード(カード)
101 商品広告カード(外付カード)
110 商品陳列棚(商品陳列什器)