(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】性状判定装置、データベース生成装置、性状判定方法及びデータベース生成方法
(51)【国際特許分類】
F16K 37/00 20060101AFI20240813BHJP
F16K 51/00 20060101ALI20240813BHJP
F16K 31/122 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
F16K37/00 F
F16K51/00 F
F16K31/122
F16K37/00 D
F16K37/00 J
(21)【出願番号】P 2020205626
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】592115504
【氏名又は名称】金子産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】青山 文明
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-092110(JP,A)
【文献】特開2002-130531(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0283918(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105782548(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 37/00
F16K 51/00
F16K 31/122
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の使用環境にて使用される主弁と、前記主弁に連結された弁軸を駆動する駆動装置と、前記駆動装置に対して駆動流体の給排を制御する電磁弁とから構成される流体圧駆動弁の性状を組立検査時に判定する性状判定装置であって、
複数種の前記使用環境と、複数種の前記主弁と、複数種の前記駆動装置と、1又は複数種の前記電磁弁との組合せ毎に、前記組立検査時に前記流体圧駆動弁にて所定の開閉操作が行われたときの動作状態の基準となる判定基準データと、前記組立検査後に当該流体圧駆動弁にて前記開閉操作が行われたときの前記動作状態から導出される前記性状の基準となる性状基準データとがそれぞれ登録されたデータベースを記憶する記憶部と、
新たに組み立てられた前記流体圧駆動弁を前記組立検査の判定対象とするとき、前記データベースを参照し、当該流体圧駆動弁を構成する前記使用環境と前記主弁と前記駆動装置と前記電磁弁との組合せに対応付けられた前記判定基準データ及び前記性状基準データを取得する基準データ取得部と、
前記判定対象とする前記流体圧駆動弁にて前記開閉操作が行われたときの前記動作状態を判定対象データとして取得する判定対象データ取得部と、
前記判定基準データと前記判定対象データとを比較し、その比較結果と前記性状基準データとに基づいて前記判定対象とする前記流体圧駆動弁の前記性状を判定する性状判定部と、を備え、
前記性状判定部は、
前記性状として、前記流体圧駆動弁の余寿命を判定し、
前記判定基準データと前記判定対象データとを比較したときの類似度が高いほど、前記判定対象とする前記流体圧駆動弁の前記余寿命が前記性状基準データにて基準とされる前記余寿命に近いと判定する、
性状判定装置。
【請求項2】
前記判定基準データ及び前記判定対象データは、
所定期間中における前記主弁の弁開度の時系列データ、及び、前記所定期間中に前記電磁弁から前記駆動装置に給排される前記駆動流体の電磁弁出力側圧力の時系列データを前記動作状態として少なくとも含む、
請求項1に記載の性状判定装置。
【請求項3】
前記判定基準データ及び前記判定対象データは、
所定期間中に前記弁軸に作用する作用トルクの時系列データを前記動作状態として少なくとも含む、
請求項1又は請求項2に記載の性状判定装置。
【請求項4】
所定の使用環境にて使用される主弁と、前記主弁に連結された弁軸を駆動する駆動装置と、前記駆動装置に対して駆動流体の給排を制御する電磁弁とから構成される流体圧駆動弁の性状を組立検査時に判定する性状判定装置であって、
前記組立検査時に前記流体圧駆動弁にて所定の開閉操作が行われたときの動作状態の基準となる判定基準データと、前記組立検査後に当該流体圧駆動弁にて前記開閉操作が行われたときの前記動作状態から導出される前記性状の基準となる性状基準データとを記憶する記憶部と、
新たに組み立てられた前記流体圧駆動弁を前記組立検査の判定対象とするとき、当該流体圧駆動弁にて前記開閉操作が行われたときの前記動作状態を判定対象データとして取得する判定対象データ取得部と、
前記判定基準データと前記判定対象データとを比較し、その比較結果と前記性状基準データとに基づいて前記判定対象とする前記流体圧駆動弁の前記性状を判定する性状判定部と、を備え、
前記性状判定部は、
前記性状として、前記流体圧駆動弁の余寿命を判定し、
前記判定基準データと前記判定対象データとを比較したときの類似度が高いほど、前記判定対象とする前記流体圧駆動弁の前記余寿命が前記性状基準データにて基準とされる前記余寿命に近いと判定する、
性状判定装置。
【請求項5】
所定の使用環境にて使用される主弁と、前記主弁に連結された弁軸を駆動する駆動装置と、前記駆動装置に対して駆動流体の給排を制御する電磁弁とから構成される流体圧駆動弁の性状を組立検査時に判定するために用いられるデータベースを生成するデータベース生成装置であって、
複数種の前記使用環境と、複数種の前記主弁と、複数種の前記駆動装置と、1又は複数種の前記電磁弁との組合せ毎に、前記組立検査時に前記流体圧駆動弁にて所定の開閉操作が行われたときの動作状態の基準となる判定基準データと、前記組立検査後に前記開閉操作が行われたときの前記動作状態より導出される当該流体圧駆動弁の性状
として前記流体圧駆動弁の余寿命を表す性状基準データとをそれぞれ対応付けて登録可能な前記データベースを記憶する記憶部と、
前記データベースへの登録対象とする前記流体圧駆動弁を構成する前記使用環境と前記主弁と前記駆動装置と前記電磁弁との組合せに対して、当該流体圧駆動弁にて取得された前記判定基準データ及び前記性状基準データを対応付けて前記データベースに登録するデータベース登録部と、を備え、
データベース生成装置。
【請求項6】
所定の使用環境にて使用される主弁と、前記主弁に連結された弁軸を駆動する駆動装置と、前記駆動装置に対して駆動流体の給排を制御する電磁弁とから構成される流体圧駆動弁の性状を組立検査時に判定する性状判定方法であって、
新たに組み立てられた前記流体圧駆動弁を前記組立検査の判定対象とするとき、複数種の前記使用環境と、複数種の前記主弁と、複数種の前記駆動装置と、1又は複数種の前記電磁弁との組合せ毎に、前記組立検査時に前記流体圧駆動弁にて所定の開閉操作が行われたときの動作状態の基準となる判定基準データと、前記組立検査後に当該流体圧駆動弁にて前記開閉操作が行われたときの前記動作状態から導出される前記性状の基準となる性状基準データとがそれぞれ登録されたデータベースを参照し、前記判定対象とする前記流体圧駆動弁を構成する前記使用環境と前記主弁と前記駆動装置と前記電磁弁との組合せに対応付けられた前記判定基準データ及び前記性状基準データを取得する基準データ取得工程と、
前記判定対象とする前記流体圧駆動弁にて前記開閉操作が行われたときの前記動作状態を判定対象データとして取得する判定対象データ取得工程と、
前記判定基準データと前記判定対象データとを比較し、その比較結果と前記性状基準データとに基づいて前記判定対象とする前記流体圧駆動弁の前記性状を判定する性状判定工程と、を備え、
前記性状判定工程は、
前記性状として、前記流体圧駆動弁の余寿命を判定し、
前記判定基準データと前記判定対象データとを比較したときの類似度が高いほど、前記判定対象とする前記流体圧駆動弁の前記余寿命が前記性状基準データにて基準とされる前記余寿命に近いと判定する、
性状判定方法。
【請求項7】
所定の使用環境にて使用される主弁と、前記主弁に連結された弁軸を駆動する駆動装置と、前記駆動装置に対して駆動流体の給排を制御する電磁弁とから構成される流体圧駆動弁の性状を組立検査時に判定するために用いられるデータベースを生成するデータベース生成方法であって、
新たに組み立てられた前記流体圧駆動弁を前記データベースへの登録対象とするとき、
前記組立検査時に前記登録対象とする前記流体圧駆動弁にて所定の開閉操作が行われたときの動作状態の基準となる判定基準データと、前記組立検査後に当該流体圧駆動弁にて前記開閉操作が行われたときの前記動作状態から導出される前記性状
として前記流体圧駆動弁の余寿命の基準となる性状基準データとを取得する登録データ取得工程と、
前記登録対象とする前記流体圧駆動弁を構成する前記使用環境と前記主弁と前記駆動装置と前記電磁弁との組合せに対して、当該流体圧駆動弁にて取得された前記判定基準データ及び前記性状基準データを対応付けて前記データベースに登録するデータベース登録工程と、を備える、
データベース生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、性状判定装置、データベース生成装置、性状判定方法及びデータベース生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁弁により駆動流体を制御し、駆動装置により駆動される弁軸を介して主弁を開閉する流体圧駆動弁が知られている。例えば、特許文献1には、プラント設備の配管に使用される流体圧駆動弁として、設備に異常が発生したような緊急時に、電磁弁により駆動流体を制御して駆動装置を介してボールバルブ(主弁)を閉じることにより、配管を流れる流体を遮断する緊急遮断弁装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるような、プラント設備に用いられる緊急遮断弁等の流体圧駆動弁においては、プラント設備全体の稼働率・信頼性を向上させるためには、予期しない異常が発生しないことが好ましい。そのため、このような流体圧駆動弁にあっては、異常が発生した際にその異常を把握する事後保全のみならず、異常の兆候を把握する予兆保全を実現することが望まれている。
【0005】
ここで、流体圧駆動弁は、その構成部品として、主弁と駆動装置と電磁弁とを備え、主弁が使用される使用環境や流体圧駆動弁に要求される仕様等に基づいて、複数種の主弁と、複数種の駆動装置と、複数種の電磁弁とから特定の組合せが選定されることで組み立てられる。その際、同一の組合せで構成された流体圧駆動弁であっても、各構成部品の個体差、流体圧駆動弁として組み立てられたときの組立誤差、流体圧駆動弁が使用される使用環境等に起因して、個々の流体圧駆動弁が有する性状は異なる。そのため、個々の流体圧駆動弁に対して将来的に異常が発生する時期や箇所を予測することが難しく、予兆保全を実現するための障壁となっていた。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、新たに組み立てられた個々の流体圧駆動弁が有する性状を把握することを可能とする性状判定装置、データベース生成装置、性状判定方法及びデータベース生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る性状判定装置は、
所定の使用環境にて使用される主弁と、前記主弁に連結された弁軸を駆動する駆動装置と、前記駆動装置に対して駆動流体の給排を制御する電磁弁とから構成される流体圧駆動弁の性状を組立検査時に判定する性状判定装置であって、
複数種の前記使用環境と、複数種の前記主弁と、複数種の前記駆動装置と、1又は複数種の前記電磁弁との組合せ毎に、前記組立検査時に前記流体圧駆動弁にて所定の開閉操作が行われたときの動作状態の基準となる判定基準データと、前記組立検査後に当該流体圧駆動弁にて前記開閉操作が行われたときの前記動作状態から導出される前記性状の基準となる性状基準データとがそれぞれ登録されたデータベースを記憶する記憶部と、
新たに組み立てられた前記流体圧駆動弁を前記組立検査の判定対象とするとき、前記データベースを参照し、当該流体圧駆動弁を構成する前記使用環境と前記主弁と前記駆動装置と前記電磁弁との組合せに対応付けられた前記判定基準データ及び前記性状基準データを取得する基準データ取得部と、
前記判定対象とする前記流体圧駆動弁にて前記開閉操作が行われたときの前記動作状態を判定対象データとして取得する判定対象データ取得部と、
前記判定基準データと前記判定対象データとを比較し、その比較結果と前記性状基準データとに基づいて前記判定対象とする前記流体圧駆動弁の前記性状を判定する性状判定部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る性状判定装置によれば、基準データ取得部が、新たに組み立てられた流体圧駆動弁を組立検査の判定対象としてデータベースを参照し、当該流体圧駆動弁を構成する使用環境と主弁と駆動装置と電磁弁との組合せに対応付けられた判定基準データ及び性状基準データを取得し、判定対象データ取得部が、判定対象とする流体圧駆動弁にて開閉操作が行われたときの動作状態を判定対象データとして取得し、性状判定部が、判定基準データと判定対象データとを比較し、その比較結果と性状基準データとに基づいて判定対象とする流体圧駆動弁の性状を判定する。
【0009】
ここで、判定基準データは、判定対象とする流体圧駆動弁と同一の組合せで構成された流体圧駆動弁の組立検査時の動作状態を表すデータであり、判定対象データは、判定対象とする流体圧駆動弁の組立検査時の動作状態を表すデータである。そのため、性状判定部が、これらを比較することで、上記2つの流体圧駆動弁における組立検査時の動作状態の違いが取得される。
【0010】
そして、性状基準データは、判定対象とする流体圧駆動弁と同一の組合せで構成された流体圧駆動弁の性状(組立検査後の動作状態から導出される)を表すデータである。そのため、性状判定部が、その比較結果(上記2つの流体圧駆動弁における組立検査時の動作状態の違い)と、判定対象とする流体圧駆動弁と同一の組合せで構成された流体圧駆動弁の性状とに基づいて、判定対象とする流体圧駆動弁の性状を判定することで、判定対象とする流体圧駆動弁の性状は、判定対象とする流体圧駆動弁と同一の組合せで構成された流体圧駆動弁の性状を基準にして、組立検査時の動作状態の違いが反映された状態で取得される。したがって、流体圧駆動弁が新たに組み立てられたときに、個々の流体圧駆動弁が有する性状を把握することできる。
【0011】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る流体圧駆動弁1の組立検査支援システム100の一例を示す全体構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る流体圧駆動弁1の一例を示す概略構成図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る流体圧駆動弁1の一例を示す概略ブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るデータベース生成装置6及び性状判定装置7を構成するコンピュータ200の一例を示すハードウエア構成図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るデータベース生成装置6及び試験設備8の一例を示す概略ブロック図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るデータベース生成装置6及び組立検査設備9Aの一例を示す概略ブロック図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るデータベース2の一例を示すデータ構成図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るデータベース生成装置6による、仮想的な流体圧駆動弁1Aを用いた場合のデータベース生成方法の一例を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の実施形態に係るデータベース生成装置6による、実際の流体圧駆動弁1Bを用いた場合のデータベース生成方法の一例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の実施形態に係る性状判定装置7及び組立検査設備9Bの一例を示す概略ブロック図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る性状判定装置7による性状判定方法の一例を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の実施形態に係るデータベース2の変形例を示すデータ構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る流体圧駆動弁1の組立検査支援システム100の一例を示す全体構成図である。
【0015】
組立検査支援システム100において支援の対象である流体圧駆動弁1は、例えば、プラント設備やインフラ設備等の実設備において各種のガスや石油等の制御流体が流れる配管11に設置される。流体圧駆動弁1は、例えば、実設備に何らかの異常が発生したような緊急停止時に、配管11の流れを遮断するための緊急遮断弁として使用される。なお、流体圧駆動弁1が設置される実設備や用途は、上記の例に限られない。
【0016】
流体圧駆動弁1は、その主要な構成として、配管11の途中に配置される主弁3と、主弁3に連結された弁軸12を駆動する駆動装置4と、駆動装置4に対して駆動流体の給排を制御する電磁弁5とから構成される。また、流体圧駆動弁1自体に異常が発生した場合、上記のような緊急遮断弁としての機能が損なわれるため、流体圧駆動弁1は、所定の状態診断条件に従って流体圧駆動弁1の状態(例えば、異常の有無、余寿命等)を監視するための状態診断機能を備える。
【0017】
流体圧駆動弁1を構成する構成部品としての主弁3、駆動装置4、及び、電磁弁5には、各種の特徴(構造、サイズ、材質、性能等)に応じて、複数種の主弁3(31、32、…、3q)と、複数種の駆動装置4(41、42、…、4r)と、複数種の電磁弁5(51、52、…、5s)とがそれぞれ存在する。また、流体圧駆動弁1が使用される使用環境10は、配管11に流れる制御流体の種類や圧力、使用場所の状況(屋外か屋内か、外気温、湿度等)等の各種の条件が異なるため、複数種の使用環境10(101、102、…、10p)が想定される。なお、添え字p、q、r、sは、任意の整数であり、使用環境10、主弁3、駆動装置4及び電磁弁5の種類の数をそれぞれ示す。
【0018】
そのため、流体圧駆動弁1は、使用環境10に応じて流体圧駆動弁1の仕様が決定されるとともに、その流体圧駆動弁1の仕様を満たす構成部品として、主弁3の種類と、駆動装置4の種類と、電磁弁5の種類とが選定される。そして、流体圧駆動弁1は、それぞれの種類が選定された組合せに応じて、主弁3、駆動装置4、及び、電磁弁5を組み立てることで製造される。種類は、例えば、機種名、型名、型番等で特定される。
【0019】
上記のようにして新たに組み立てられた流体圧駆動弁1は、組立検査の判定対象とされ
て、例えば、外観、構造、寸法、耐圧、漏れ、動作状態等の複数の検査項目に基づいて組立検査が実施される。各検査項目には、組立検査の合否を判定するための基準がそれぞれ設定される。
【0020】
特に、動作状態に関する検査項目では、組立検査時に流体圧駆動弁1にて所定の開閉操作が行われたときの動作状態の基準となる判定基準データとともに、組立検査後に当該流体圧駆動弁1にて開閉操作が行われたときの動作状態から導出される性状の基準となる性状基準データとが設定される。そして、新たに組み立てられた流体圧駆動弁1を組立検査の判定対象とするとき、当該流体圧駆動弁1にて開閉操作が行われたときの動作状態が判定対象データとして計測されて、判定基準データ及び性状基準データと判定対象データとに基づいて組立検査が実施される。なお、性状基準データの詳細は後述する。
【0021】
流体圧駆動弁1の組立検査支援システム100は、組立検査時の基準となる判定基準データ及び性状基準データを設定するためのデータベース2を生成し、そのデータベース2を用いて流体圧駆動弁1の組立検査を支援するシステムとして機能する。
【0022】
組立検査支援システム100は、その主要な構成として、流体圧駆動弁1の性状を判定するために用いられるデータベース2を生成するデータベース生成装置6と、データベース2を用いて流体圧駆動弁1の性状を組立検査時に判定する性状判定装置7とを備える。
【0023】
データベース生成装置6は、使用環境10と主弁3と駆動装置4と電磁弁5との組合せ毎に、状態基準データ及び性状基準データを登録可能なデータベース2を備え、データベース2に登録された状態基準データ及び性状基準データを性状判定装置7に提供する。
【0024】
性状判定装置7は、データベース生成装置6から提供されたデータベース2を参照し、データベース2に登録された状態基準データ及び性状基準データと、流体圧駆動弁1で計測された状態診断データとに基づいて、流体圧駆動弁1の性状を組立検査時に判定する。
【0025】
流体圧駆動弁1の性状は、例えば、組立検査時を基準の時点とする流体圧駆動弁1の余寿命を表す。性状基準データは、組立検査後に試験設備又は実設備に設置された流体圧駆動弁1にて開閉操作が行われたときの動作状態に基づいて異常な状態と判定されたときに、組立検査時から異常発生検出時までの期間を当該流体圧駆動弁1の余寿命としてデータ化したものである。
【0026】
組立検査は、流体圧駆動弁1が新たに組み立てられた後に行われる工場出荷前の検査だけでなく、流体圧駆動弁1のオーバーホールや部品交換の後に行われる検査も含む。
【0027】
以下では、まず、組立検査支援システム100による支援の対象である流体圧駆動弁1の詳細を説明し、次に、データベース生成装置6及び性状判定装置7の詳細を説明する。
【0028】
(流体圧駆動弁1)
図2は、本発明の実施形態に係る流体圧駆動弁1の一例を示す概略構成図である。流体圧駆動弁1は、主弁3と、駆動装置4と、電磁弁5とを備えて構成される。
【0029】
図2に示す流体圧駆動弁1は、エアーレスクローズ方式が採用されている。定常運転時は、空気供給源13から電磁弁5を介して駆動装置4に空気A(給気)を供給することで、主弁3が開操作され、緊急停止時や試験運転時は、駆動装置4から電磁弁5を介して空気A(排気)を排出することで、主弁3が閉操作される。なお、流体圧駆動弁1は、エアーレスオープン方式を採用したものでもよく、その場合には、駆動装置4に空気Aを供給することで閉操作され、駆動装置4から空気Aを排出することで主弁3を開操作される。
【0030】
流体圧駆動弁1には、空気Aの流路として、空気供給源13及び電磁弁5の間を接続する第1の空気配管130と、電磁弁5及び駆動装置4の間を接続する第2の空気配管131とが設けられる。なお、駆動流体は、上記の空気Aに限られず、他の気体でもよいし、液体(例えば、油)でもよい。
【0031】
流体圧駆動弁1には、外部装置14及び電磁弁5の間で各種のデータを送受信する通信ケーブル140と、外部電源15から電磁弁5に電力を供給する電力ケーブル150とが接続される。
【0032】
外部装置14は、流体圧駆動弁1との間で各種の情報を送受信する装置である。外部装置14は、例えば、設備管理用のコンピュータ(ローカルサーバ及びクラウドサーバを含む)、作業者用のコンピュータ、データ保存用の記憶装置や記憶媒体等で構成される。なお、外部装置14及び電磁弁5の間の通信は、任意の通信規格が採用され、無線通信でもよい。
【0033】
図2に示す主弁3には、ボールバルブが採用されている。主弁3は、その具体的な構成として、配管11の途中に配置される弁箱30と、弁箱30内に回動可能に設けられたボール状の弁体31とを備え、弁体31の上部には、弁軸12が連結されている。弁軸12が0度~90度に回動されることに応じて弁箱30内で弁体31が回動し、主弁3の全開状態(
図2に示す状態)と全閉状態が切り替えられる。なお、主弁3として用いられる弁は、ボールバルブに限られず、例えば、バタフライバルブやその他のオンオフ弁であってもよい。
【0034】
図2に示す駆動装置4には、単作動式のエアシリンダ機構が採用されている。駆動装置4は、その具体的な構成として、スプリング室47及びシリンダ室48を有するシリンダ40と、シリンダ40内に往復直線移動可能に設けられピストンロッド41を介して連結された一対のピストン42A、42Bと、第1のピストン42A側のスプリング室47に設けられたコイルばね43と、第2のピストン42B側のシリンダ室48に接続された空気給排口44と、シリンダ40を径方向に沿って貫通するように配置された弁軸12とピストンロッド41とが直交する部分に設けられた伝達機構45とを備える。なお、駆動装置4は、単作動式に限られず、例えば、複作動式等の他の形式で構成されていてもよい。
【0035】
第1のピストン42Aは、コイルばね43により主弁3を閉じる方向に付勢される。第2のピストン42Bは、空気給排口44から供給された空気A(給気)によりコイルばね43の付勢力に抗して主弁3を開く方向に押圧される。伝達機構45は、ラックアンドピニオン機構、スコッチヨーク機構、リンク機構、カム機構等で構成されており、ピストンロッド41の往復直線運動を回動運動に変換して弁軸12に伝達するものである。
【0036】
図2に示す電磁弁5には、2ポジションでノーマルクローズタイプ(通電時「開」、非通電時「閉」)の三方電磁弁が採用されている。電磁弁5は、その具体的な構成として、収容部50の内部に、空気Aが流れる流路を切り替えるスプール部51と、通電状態(通電時又は非通電時)に応じてスプール部51を変位させるソレノイド部52と、電磁弁5の各部の物理量や状態量を計測するセンサ群53とを備える。なお、電磁弁5は、2ポジションでノーマルクローズタイプの三方電磁弁に限られず、3ポジションでもよく、ノーマルオープンタイプでもよく、四方電磁弁等でもよく、任意の組み合わせに基づく各種の形成で構成されていてもよい。
【0037】
収容部50は、屋内型又は防爆型の電磁弁5のハウジングとして機能する。収容部50は、弁軸12(第3の軸12c)が挿入される軸挿入口500と、通信ケーブル140及
び電力ケーブル150が挿入されるケーブル挿入口501とを備える。
【0038】
スプール部51は、空気供給源13に第1の空気配管130を介して接続される入力ポート510と、駆動装置4に第2の空気配管131を介して接続される出力ポート511と、駆動装置4からの排気を排出する排気ポート512とを備える。
【0039】
ソレノイド部52は、通電時に、入力ポート510と出力ポート511との間を連通するように、スプール部51を変位させ、非通電時に、出力ポート511と排気ポート512との間を連通するように、スプール部51を変位させる。
【0040】
センサ群53は、収容部50の内部の各所に配置される。センサ群53は、例えば、入力ポート510に連通する第1の流路502を流れる空気Aの流体圧を計測する第1の圧力センサ530と、出力ポート511に連通する第2の流路503を流れる空気Aの流体圧を計測する第2の圧力センサ531と、弁軸12(第3の軸12c)が回動するときの回動角度を計測し、その回動角度に応じて主弁3の弁開度情報を取得する主弁開度センサ532とを備える。
【0041】
主弁開度センサ532は、例えば、磁気センサにより構成されており、弁軸12(第3の軸12c)に取り付けられた永久磁石120が発生する磁気の強さを計測し、その磁気の強さに応じて主弁3の弁開度情報を取得する。
【0042】
弁軸12は、回動可能なシャフト状に形成され、第1の軸12aと、第2の軸12bと、第3の軸12cとから構成される。第1の軸12aの両端部は、カップリングやコネクタ等を介して第2の軸12b及び第3の軸12cにそれぞれ連結されて、第1の軸12a、第2の軸12b及び第3の軸12cは同軸上に配置される。第1の軸12aは、駆動装置4を貫通するように配置され、駆動装置4により駆動される。第2の軸12bは、第1の軸12aに連結されるとともに主弁3に連結される。第3の軸12cは、第1の軸12aに連結されるとともに電磁弁5の収容部50に挿入されて軸支される。弁軸12は、駆動装置4により第1の軸12aが駆動されることに同期して、全体として回動運動を行う。
【0043】
上記の構成を有する流体圧駆動弁1において、電磁弁5が通電状態である場合には、空気供給源13からの空気A(給気)が、第1の空気配管130、入力ポート510、出力ポート511及び第2の空気配管131の順に流れて、空気給排口44に供給されることで、第2のピストン42Bが押圧されてコイルばね43が圧縮する。そして、コイルばね43の圧縮に応じてピストンロッド41が移動した分だけピストンロッド41及び伝達機構45を介して第1の軸12a(弁軸12)が回動されると、弁箱30内で弁体31が回動し、主弁3が全開状態に操作される。
【0044】
一方、電磁弁5が非通電状態である場合には、シリンダ40内の空気A(排気)が、空気給排口44から第2の空気配管131、出力ポート511及び排気ポート512の順に流れて、外気に排出されることで、第2のピストン42Bの押圧力が低下し、コイルばね43が圧縮状態から復元する。そして、コイルばね43の復元に応じてピストンロッド41が移動した分だけ伝達機構45を介して第1の軸12a(弁軸12)が回動されると、弁箱30内で弁体31が回動し、主弁3が全閉状態に操作される。
【0045】
図3は、本発明の実施形態に係る流体圧駆動弁1の一例を示す概略ブロック図である。電磁弁5は、
図3に示すように、電気的な構成例として、上記のソレノイド部52及びセンサ群53の他に、電磁弁5を制御する制御部54と、外部装置14と通信するための通信部55と、外部電源15に接続される電源回路部56とを備える。
【0046】
センサ群53は、上記の第1の圧力センサ530、第2の圧力センサ531、主弁開度センサ532の他に、ソレノイド部52に対する供給電圧を計測する電圧センサ533と、ソレノイド部52における通電時の電流値及び非通電時の抵抗値を計測する電流・抵抗センサ534と、収容部50の内部温度を計測する温度センサ535と、ソレノイド部52が発生する磁気の強さを計測する磁気センサ536とを備える。
【0047】
また、センサ群53は、各部の動作履歴に関する情報を取得するセンサ群として、流体圧駆動弁1の稼働時間としてソレノイド部52に対する通電時間の合計及び現在の通電連働時間の少なくとも一方を計測する稼働時間計(タイマ)537と、電磁弁5、駆動装置4及び主弁3それぞれの作動回数を計数する作動カウンタ(カウンタ)538とを備える。
【0048】
なお、センサ群53は、上記のようにセンサが個別に設けられたものに限られず、特定のセンサが他のセンサの機能を兼ねることで、その他のセンサが個別に設けられていなくてもよい。例えば、磁気センサ536が、ソレノイド部52が発生する磁気の強さを計測するとともに、その磁気の強さに基づいてソレノイド部52における通電時の電流値を求めることで、電流・抵抗センサ534が個別に設けられていなくてもよい。また、コントローラ540が、センサの機能を内蔵したり、センサの機能の一部を実現したりしてもよく、例えば、コントローラ540が、稼働時間計537及び作動カウンタ538を内蔵することで、稼働時間計537及び作動カウンタ538が個別に設けられていなくてもよい。
【0049】
制御部54、通信部55及び電源回路部56は、例えば、汎用又は専用のコンピュータ(後述の
図4参照)で構成される。
【0050】
制御部54は、センサ群53により計測された流体圧駆動弁1の各部の物理量や状態量を示す情報を処理するとともに、流体圧駆動弁1の各部を制御するコントローラ540と、ソレノイド部52の通電状態を制御し、試験運転時における主弁3の開閉操作を行うバルブテストスイッチ541とを備える。
【0051】
コントローラ540には、流体圧駆動弁1の状態(例えば、異常の有無、余寿命等)を診断する状態診断装置57が組み込まれており、コントローラ540は、状態診断機能を実現する。なお、状態診断装置57の全て又は一部の機能は、他の機器、例えば、外部装置14や流体圧駆動弁1に接続された他の装置で実現されてもよい。
【0052】
バルブテストスイッチ541は、所定の試験運転条件が満たされた場合にコントローラ540からの指令を受けて、所定の開閉操作を行う試験運転として、流体圧駆動弁1のストロークテストを実行する。
【0053】
ストロークテストは、例えば、フルストロークテスト及びパーシャルストロークテストのいずれかにより実行される。フルストロークテストは、主弁3を全開状態において通電状態から非通電状態に切り替えることで全閉状態に操作し、全閉状態において非通電状態から通電状態に切り替えることで全開状態に戻すことで実行される。パーシャルストロークテストは、主弁3を全閉状態に操作することなく(すなわち、実設備を停止することなく)、主弁3を全開状態において通電状態から非通電状態に切り替えることで所定の開度まで部分的に閉じて、部分的な閉状態において非通電状態から通電状態に切り替えることで全開状態に戻すことで実行される。
【0054】
なお、試験運転条件としては、例えば、管理者により設定値として指定された実行頻度
(例えば、1年に1回)による実行時期や特定の指定日時が到来したり、外部装置14からの実行命令を受け付けたり、電磁弁5に設けられた試験実行ボタン(不図示)が管理者により操作されたりした場合に、試験運転条件を満たすものとして、試験運転(ストロークテスト)が実行されるようにすればよい。
【0055】
状態診断装置57は、試験運転(ストロークテスト)が実行されたときに、センサ群53により計測された流体圧駆動弁1の各部の物理量や状態量を示す計測結果情報に基づいて、流体圧駆動弁1が、正常な状態であるか、異常な状態であるかを判定(診断)する。そして、状態診断装置57は、そのときの診断時刻、計測結果情報及び診断結果等を含む状態診断データを外部装置14に送信する。
【0056】
なお、異常な状態は、例えば、異常の具体的な内容や度合いに応じた複数の異常な状態を含んでいてもよい。この場合、状態診断装置57は、流体圧駆動弁1Bの状態として、正常な状態であるか、複数の異常な状態のうちのいずれに該当するかを判定する。
【0057】
また、異常な状態は、判定時点において異常の発生が判明したような事後的な異常だけなく、判定時点では正常と判断される許容範囲ではあるが、将来的な異常の発生が予見されたような異常の兆候も含んでいてもよい。この場合、状態診断装置57は、流体圧駆動弁1の状態として、正常な状態であるか、予め設定された余寿命の期間(例えば、数時間、数日、数ヶ月、又は、数年等)以内の異常な状態であるかを判定する。さらに、状態診断装置57は、流体圧駆動弁1Bの状態として、正常な状態であるか、予め設定された複数の余寿命の期間以内の異常な状態のうちのいずれに該当するかを判定してもよい。
【0058】
図4は、本発明の実施形態に係るデータベース生成装置6及び性状判定装置7を構成するコンピュータ200の一例を示すハードウエア構成図である。
【0059】
データベース生成装置6及び性状判定装置7のそれぞれは、汎用又は専用のコンピュータ200により構成される。コンピュータ200は、
図4に示すように、その主要な構成要素として、バス210、プロセッサ212、メモリ214、入力デバイス216、表示デバイス218、ストレージ装置220、通信I/F(インターフェース)部222、外部機器I/F部224、I/O(入出力)デバイスI/F部226、及び、メディア入出力部228を備える。なお、上記の構成要素は、コンピュータ200が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0060】
プロセッサ212は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU、MPU、GPU、DSP等)で構成され、コンピュータ200全体を統括する制御部として動作する。メモリ214は、各種のデータ及びプログラム230を記憶し、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM、フラッシュメモリ等)とで構成される。
【0061】
入力デバイス216は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン等で構成される。表示デバイス218は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等で構成される。入力デバイス216及び表示デバイス218は、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置220は、例えば、HDD、SSD等で構成され、オペレーティングシステムやプログラム230の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0062】
通信I/F部222は、インターネットやイントラネット等のネットワーク240に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う。外部機器I/F部224は、プリンタ、スキャナ等の外部機器250に有
線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器250との間でデータの送受信を行う。I/OデバイスI/F部226は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス260に接続され、I/Oデバイス260との間で、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う。メディア入出力部228は、例えば、DVDドライブ、CDドライブ等のドライブ装置で構成され、DVD、CD等のメディア270に対してデータの読み書きを行う。
【0063】
上記構成を有するコンピュータ200において、プロセッサ212は、プログラム230をメモリ214のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス210を介してコンピュータ200の各部を制御する。なお、プログラム230は、メモリ214の代わりに、ストレージ装置220に記憶されていてもよい。プログラム230は、インストール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式でCD、DVD等の非一時的な記録媒体に記録され、メディア入出力部228を介してコンピュータ200に提供されてもよい。プログラム230は、通信I/F部222を介してネットワーク240経由でダウンロードすることによりコンピュータ200に提供されてもよい。また、コンピュータ200は、プロセッサ212がプログラム230を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FPGA、ASIC等のハードウエアで実現するものでもよい。
【0064】
コンピュータ200は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、任意の形態の電子機器である。コンピュータ200は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよい。コンピュータ200は、データベース生成装置6及び性状判定装置7以外の他の装置に適用されてもよい。
【0065】
(データベース生成装置6)
図5及び
図6は、本発明の実施形態に係るデータベース生成装置6の一例を示す概略ブロック図である。
図7は、本発明の実施形態に係るデータベース2の一例を示すデータ構成図である。
【0066】
データベース生成装置6は、データベース2への登録対象とする流体圧駆動弁1A、1Bを構成する使用環境10と主弁3と駆動装置4と電磁弁5との組合せ(登録対象の組合せ)毎に、登録対象とする流体圧駆動弁1A、1Bにて所定の開閉操作が行われたときの動作状態を計測することで判定基準データ及び性状基準データを収集する。データベース生成装置6は、
図5、
図6に示すように、記憶部60と、初期試験データ取得部61と、組立検査データ取得部62と、耐久試験データ取得部63と、運転データ取得部64と、データベース登録部65とを備える。
【0067】
データベース生成装置6は、有線通信又は無線通信により各種の装置やシステムと通信可能に構成され、例えば、外部装置14、性状判定装置7、試験設備8、組立検査設備9A、登録対象とする流体圧駆動弁1A、1B等と接続される。なお、データベース生成装置6は、外部装置14を介して流体圧駆動弁1A、1Bと接続されてもよい。また、試験設備8及び組立検査設備9Aは複数でもよい。
【0068】
試験設備8は、登録対象の組合せに対応する仮想的な流体圧駆動弁1Aに対して初期試験及び耐久試験を実施するための設備である。試験設備8は、
図5に示すように、作業者用端末装置80と、仮想負荷部81とを備える。
【0069】
仮想負荷部81は、複数種の主弁3と複数種の使用環境10との各組合せに対して、使用環境10にて主弁3が駆動されたときの負荷状態を仮想的に再現可能な装置で構成される。仮想負荷部81は、例えば、ディスクブレーキ装置で構成され、第2の軸12bに連結される。ディスクブレーキ装置は、第2の軸12bに対する制動力を調整することで、
登録対象とする使用環境10にて登録対象とする主弁3が駆動されたときに第2の軸12bに作用する負荷状態を再現する。
【0070】
登録対象の組合せに対応する仮想的な流体圧駆動弁1Aは、登録対象とする使用環境10及び主弁3を再現する負荷状態が設定された仮想負荷部81と、登録対象とする駆動装置4及び電磁弁5とから構成される。すなわち、仮想的な流体圧駆動弁1Aは、仮想負荷部81と、仮想負荷部81に第1の軸12a及び第2の軸12bを介して連結された登録対象の駆動装置4と、第1の軸12aに連結された第3の軸12cが挿入される登録対象の電磁弁5とから構成される。
【0071】
組立検査設備9Aは、登録対象の組合せに対応する実際の流体圧駆動弁1Bに対して組立検査を実施するための設備である。組立検査設備9Aは、
図6に示すように、作業者用端末装置90と、使用環境再現部91とを備える。
【0072】
使用環境再現部91は、実設備における配管11を模擬した模擬配管92を備え、模擬配管92に流れる制御流体の流体圧を調節することで、複数種の使用環境10を仮想的に再現する。
【0073】
登録対象の組合せに対応する実際の流体圧駆動弁1Bは、登録対象とする主弁3と駆動装置4と電磁弁5とが弁軸12で連結されることで新たに組み立てられて、制御流体の流体圧が登録対象とする使用環境10を再現するように調節された模擬配管92に設置されることで構成される。
【0074】
データベース生成装置6は、例えば、
図4に示すコンピュータ200で構成される。この場合、記憶部60は、ストレージ装置220で構成され、初期試験データ取得部61、組立検査データ取得部62、耐久試験データ取得部63、運転データ取得部64及びデータベース登録部65は、プロセッサ212等で構成される。
【0075】
記憶部60は、データベース2等の各種のデータを記憶する。データベース2は、
図7に示すように、複数種の使用環境10と、複数種の主弁3と、複数種の駆動装置4と、1又は複数種の電磁弁5との組合せ毎に、判定基準データ及び性状基準データをそれぞれ対応付けて登録可能に構成される。データベース2は、新たなレコードを登録するだけでなく、登録済みのレコードを検索、抽出して参照したり、更新又は削除したりすることが可能である。
【0076】
なお、
図7に示すデータベース2では、説明の簡略化のため、使用環境10、主弁3、駆動装置4及び電磁弁5の各フィールドのデータとして符号を記載したが、使用環境10のフィールドには、使用環境10の条件を特定する情報が入力され、主弁3、駆動装置4及び電磁弁5のフィールドには、それぞれの種類を特定する情報(例えば、機種名、型名、型番等)がそれぞれ入力される。
【0077】
初期試験データ取得部61は、登録対象の組合せに対応する仮想的な流体圧駆動弁1Aの初期試験時(試験設備8にて実施)において、仮想的な流体圧駆動弁1Aにて開閉操作が行われたときの動作状態を判定基準データとして取得する。
【0078】
組立検査データ取得部62は、登録対象の組合せに対応する実際の流体圧駆動弁1Bの組立検査時(組立検査設備9Aにて実施)において、実際の流体圧駆動弁1Bにて開閉操作が行われたときの動作状態を判定基準データとして取得する。
【0079】
初期試験データ取得部61及び組立検査データ取得部62が判定基準データをそれぞれ
取得する際の開閉操作は、共通のストロークテストにより実施される。なお、開閉操作は、複数回行われてもよく、その場合には、初期試験データ取得部61及び組立検査データ取得部62は、各回のデータを平均化したり、代表のデータを選択したりすることで判定基準データを取得すればよい。
【0080】
初期試験データ取得部61及び組立検査データ取得部62は、仮想的な流体圧駆動弁1A及び実際の流体圧駆動弁1Bを構成する電磁弁5にそれぞれ接続されて、電磁弁5のセンサ群53により計測された計測結果に基づいて判定基準データをそれぞれ取得する。
【0081】
この場合、初期試験データ取得部61及び組立検査データ取得部62は、仮想的な流体圧駆動弁1A及び実際の流体圧駆動弁1Bにて開閉操作が行われたときの動作状態として、開閉操作における主弁3の弁開度の時系列データ、及び、開閉操作中に電磁弁5から駆動装置4に給排される空気Aの電磁弁出力側圧力の時系列データを少なくとも含む判定基準データをそれぞれ取得する。
【0082】
主弁3の弁開度は、主弁開度センサ532により計測される。空気Aの電磁弁出力側圧力は、電磁弁5から駆動装置4に給排される空気Aの圧力であって、電磁弁5から駆動装置4に空気Aが供給されるときの空気A(給気)の圧力と、駆動装置4から電磁弁5を介して外気に空気Aが排出されるときの空気A(排気)の圧力とを含む。空気Aの電磁弁出力側圧力は、第2の圧力センサ531により計測される。
【0083】
また、データベース生成装置6が、試験設備用のセンサ群66を備える場合には、初期試験データ取得部61及び組立検査データ取得部62は、試験設備用のセンサ群66により計測された計測結果に基づいて判定基準データをそれぞれ取得してもよい。試験設備用のセンサ群66は、例えば、第1の軸12aと第2の軸12bとの間に作用する第1の作用トルクを計測する第1のトルクセンサ660Aと、第1の軸12aと第2の軸12bとの間に作用する第1の作用トルクを計測する第2のトルクセンサ660Bの少なくとも一方を含む。
【0084】
この場合、初期試験データ取得部61及び組立検査データ取得部62は、仮想的な流体圧駆動弁1A及び実際の流体圧駆動弁1Bにて開閉操作が行われたときの動作状態として、主弁3の弁開度の時系列データ及び空気Aの電磁弁出力側圧力の時系列データに加えて又は代えて、開閉操作中に弁軸12に作用する作用トルクの時系列データを少なくとも含む判定基準データをそれぞれ取得する。作用トルクは、第1のトルクセンサ660A及び第2のトルクセンサ660Bの少なくとも一方により計測される。
【0085】
時系列データは、所定期間内の異なる複数の時点でそれぞれ計測された複数のデータで構成されたものであり、例えば、所定のサンプリング周期で取得される。本実施形態では、主弁3の弁開度の時系列データ、空気Aの電磁弁出力側圧力の時系列データ、及び、作用トルクの時系列データは、同一のサンプリング周期及び同一の位相(位相差がない状態)で複数の時点で計測されたものとするが、サンプリング周期及び位相の少なくとも一方が異なるものでもよい。
【0086】
所定期間は、主弁3の開閉操作が行われる期間であり、例えば、流体圧駆動弁1におけるストロークテストを実行したときの実行期間に相当する。所定期間は、ストロークテストの実行期間のうちテスト開始からテスト終了までの全期間でもよいし、そのうちの一部の期間でもよい。したがって、所定期間は、例えば、フルストロークテストの全期間(全開状態→全閉状態→全開状態)やパーシャルストロークテストの全期間(全開状態→部分的な閉状態態)でもよいし、フルストロークテストの一部の期間(全開状態→全閉状態、又は、全閉状態→全開状態等)やパーシャルストロークテストの一部の期間(全開状態→
部分的な閉状態、部分的な閉状態→全開状態等)でもよいし、これらに限られない。
【0087】
オプションとして、判定基準データは、主弁開度センサ532及び第2の圧力センサ531以外のセンサ群53により計測された計測結果に基づいて取得されてもよい。例えば、判定基準データは、空気供給源13から電磁弁5に供給される空気Aの電磁弁入力側圧力の時系列データ、空気Aの電磁弁入力側圧力と電磁弁出力側圧力との差圧の時系列データ、ソレノイド部52の制御パラメータ(供給電圧、通電時の電流値、非通電時の抵抗値、磁気の強さ等)の時系列データ、電磁弁5の温度の時系列データ、流体圧駆動弁1の総稼働時間、流体圧駆動弁1に対して最後に電源が投入されてからの稼働時間、主弁3の作動回数、駆動装置4の作動回数、電磁弁5(主にソレノイド部52)の作動回数、及び、主弁3の開閉時間をさらに含むものでもよい。
【0088】
耐久試験データ取得部63は、試験設備8に設置された仮想的な流体圧駆動弁1Aにて開閉操作を繰り返し行う耐久試験(加速試験でもよい)を実施し、状態診断機能により異常な状態と判定したときに、開閉操作の回数や動作状態から当該流体圧駆動弁1Aの余寿命(初期試験時を基準とする)を推定し、その余寿命を性状基準データとして取得する。
【0089】
運転データ取得部64は、実設備の配管11に設置された実際の流体圧駆動弁1Bにて試験運転(ストロークテスト)が実施されて、異常な状態と判定されたことを示す状態診断データを当該流体圧駆動弁1B(状態診断装置57)から受信したときに、状態診断データに含まれる各種の情報(診断時刻、計測結果情報、診断結果等)から当該流体圧駆動弁1Bの余寿命(組立検査時を基準とする)を判定し、その余寿命を性状基準データとして取得する。
【0090】
データベース登録部65は、仮想的な流体圧駆動弁1Aを構成する使用環境10と主弁3と駆動装置4と電磁弁5との組合せに対して、仮想的な流体圧駆動弁1Aにて取得された判定基準データ及び性状基準データを対応付けてデータベース2に登録する。すなわち、データベース登録部65は、初期試験データ取得部61が判定基準データを取得したときの仮想的な流体圧駆動弁1Aを構成する登録対象の組合せと、その判定基準データとを対応付けた新たなレコード(
図7における1行分のデータ)をデータベース2に登録(追加)し、その後、耐久試験データ取得部63が性状基準データを取得したときに、その性状基準データを同一のレコードに登録する。
【0091】
データベース登録部65は、実際の流体圧駆動弁1Bを構成する使用環境10と主弁3と駆動装置4と電磁弁5との組合せに対して、実際の流体圧駆動弁1Bにて取得された判定基準データ及び性状基準データを対応付けてデータベース2に登録する。すなわち、データベース登録部65は、組立検査データ取得部62が判定基準データを取得したときの実際の流体圧駆動弁1Bを構成する登録対象の組合せと、その判定基準データとを対応付けた新たなレコード(
図7における1行分のデータ)をデータベース2に登録(追加)し、その後、運転データ取得部64が性状基準データを取得したときに、その性状基準データを同一のレコードに登録する。
【0092】
(データベース生成方法)
図8は、本発明の実施形態に係るデータベース生成装置6による、仮想的な流体圧駆動弁1Aを用いた場合のデータベース生成方法の一例を示すフローチャートである。
【0093】
まず、ステップS100において、作業者が、
図5に示す試験設備8の作業者用端末装置80を操作し、登録対象とする仮想的な流体圧駆動弁1Aを構成する使用環境10と主弁3と駆動装置4と電磁弁5との組合せ(登録対象の組合せ)を指定すると、データベース生成装置6のデータベース登録部65は、その指定操作を受け付ける。
【0094】
次に、ステップS110において、作業者が、試験設備8の仮想負荷部81に対して、登録対象とする駆動装置4及び電磁弁5を取り付ける。このとき、仮想負荷部81と登録対象の駆動装置4とは、第1の軸12a及び第2の軸12bを介して連結されるとともに、登録対象の駆動装置4と登録対象の電磁弁5とは、第1の軸12a及び第3の軸12cを介して連結される。また、必要に応じて、第1のトルクセンサ660Aが、第1の軸12a及び第2の軸12bの間に取り付けられるとともに、第2のトルクセンサ660Bが、第1の軸12a及び第3の軸12cの間に取り付けられる。
【0095】
次に、ステップS120において、作業者が、仮想負荷部81に対して登録対象とする使用環境10及び主弁3の組合せを再現する負荷状態を設定することにより、登録対象の組合せに対応する仮想的な流体圧駆動弁1Aが構成される。なお、仮想負荷部81が、負荷状態を自動で設定可能に構成されている場合には、仮想負荷部81は、ステップS100で指定された登録対象の組合せに応じたデータに従って負荷状態を自動で設定する。
【0096】
次に、ステップS130において、作業者が、作業者用端末装置80を操作し、設定作業が完了した旨を入力すると、初期試験データ取得部61が、その設定完了操作を受け付けて、仮想的な流体圧駆動弁1Aにて開閉操作を実施する。開閉操作は、例えば、初期試験データ取得部61から電磁弁5のバルブテストスイッチ541に指令を送信することで、ストロークテストにより実施される。
【0097】
そして、ステップS140において、初期試験データ取得部61は、ステップS130と並行して、その開閉操作が行われたときに、電磁弁5のセンサ群53により計測された計測結果に基づいて判定基準データを取得する。初期試験データ取得部61は、例えば、主弁開度センサ532及び第2の圧力センサ531によりそれぞれ計測された計測結果に基づいて、判定基準データとして、主弁3の弁開度の時系列データ及び空気Aの電磁弁出力側圧力の時系列データを取得する。
【0098】
次に、ステップS150において、データベース登録部65は、ステップS100で指定された登録対象の組合せに対して、ステップS140で取得された判定基準データを対応付けてデータベース2に登録する。
【0099】
次に、ステップS160において、作業者が、作業者用端末装置80を操作し、耐久試験の実施を指示すると、仮想的な流体圧駆動弁1Aにて開閉操作を繰り返し行う耐久試験が実施される。
【0100】
次に、ステップS170において、耐久試験データ取得部63は、耐久試験において開閉操作が行われたときの動作状態に基づいて異常な状態と判定したときに、開閉操作の回数や動作状態から仮想的な流体圧駆動弁1Aの余寿命(初期試験時を基準とする)を推定し、その余寿命を性状基準データとして取得する。
【0101】
次に、ステップS180において、データベース登録部65は、ステップS100で指定された登録対象の組合せに対して、ステップS170で取得された性状基準データを対応付けてデータベース2に登録する。そして、
図8に示すデータベース生成方法を終了する。データベース生成方法において、ステップS140、S170が登録データ取得工程、ステップS150、S180がデータベース登録工程に相当する。なお、
図8に示すデータベース生成方法は、登録対象の組合せ毎にそれぞれ実行される。
【0102】
図9は、本発明の実施形態に係るデータベース生成装置6による、実際の流体圧駆動弁1Bを用いた場合のデータベース生成方法の一例を示すフローチャートである。
【0103】
まず、ステップS200において、作業者が、
図6に示す組立検査設備9Aの作業者用端末装置90を操作し、登録対象とする実際の流体圧駆動弁1Bを構成する使用環境10と主弁3と駆動装置4と電磁弁5との組合せ(登録対象の組合せ)を指定すると、データベース生成装置6のデータベース登録部65は、その指定操作を受け付ける。
【0104】
次に、ステップS210において、作業者が、組立検査設備9Aの模擬配管92に対して、登録対象とする主弁3、駆動装置4及び電磁弁5を取り付ける。また、必要に応じて、第1のトルクセンサ660A及び第2のトルクセンサ660Bが取り付けられる。
【0105】
次に、ステップS220において、作業者が、登録対象とする使用環境10を再現する制御流体の流体圧に使用環境再現部91を調節することにより、登録対象の組合せに対応する実際の流体圧駆動弁1Bが構成される。なお、使用環境再現部91が、流体圧を自動で調節可能に構成されている場合には、使用環境再現部91は、ステップS200で指定された登録対象の組合せに応じたデータに従って流体圧を自動で調節する。
【0106】
次に、ステップS230において、作業者が、作業者用端末装置90を操作し、設定作業が完了した旨を入力すると、組立検査データ取得部62が、その設定完了操作を受け付けて、実際の流体圧駆動弁1Bにて開閉操作を実施する。開閉操作は、ステップS130と同様に、ストロークテストにより実施される。
【0107】
そして、ステップS240において、組立検査データ取得部62は、ステップS230と並行して、その開閉操作が行われたときに、電磁弁5のセンサ群53により計測された計測結果に基づいて判定基準データを取得する。組立検査データ取得部62は、例えば、主弁開度センサ532及び第2の圧力センサ531によりそれぞれ計測された計測結果に基づいて、判定基準データとして、主弁3の弁開度の時系列データ及び空気Aの電磁弁出力側圧力の時系列データを取得する。
【0108】
次に、ステップS250において、データベース登録部65は、ステップS200で指定された登録対象の組合せに対して、ステップS240で取得された判定基準データを対応付けてデータベース2に登録する。
【0109】
次に、ステップS260において、流体圧駆動弁1Bは、模擬配管92から取り外されて、組立検査設備9Aでの組立検査を終了する。なお、組立検査設備9Aでは、判定基準データを取得するだけでなく、各種の検査項目に基づいて組立検査を実施するが、ここでの説明は省略する。そして、組立検査設備9Aでの組立検査に合格した実際の流体圧駆動弁1Bは、実設備の配管11に設置されて、例えば、緊急遮断弁として使用される。
【0110】
次に、ステップS270において、実設備の配管11に設置された流体圧駆動弁1Bは、所定の試験運転条件が満たされると、状態診断装置57によりストロークテストを実施する。
【0111】
次に、ステップS280において、運転データ取得部64は、ストロークテストにおいて開閉操作が行われたときの動作状態に基づいて異常と判定された状態診断データを流体圧駆動弁1B(状態診断装置57)から受信すると、その状態診断データから当該流体圧駆動弁1Bの余寿命(組立検査時を基準とする)を推定し、その余寿命を性状基準データとして取得する。
【0112】
次に、ステップS290において、データベース登録部65は、ステップS200で指定された登録対象の組合せに対して、ステップS280で取得された性状基準データを対
応付けてデータベース2に登録する。そして、
図9に示すデータベース生成方法を終了する。データベース生成方法において、ステップS240、S280が登録データ取得工程、ステップS250、S290がデータベース登録工程に相当する。なお、
図9に示すデータベース生成方法は、登録対象の組合せ毎にそれぞれ実行される。
【0113】
以上のように、本実施形態に係るデータベース生成装置6及びデータベース生成方法によれば、試験設備8にて、登録対象とする使用環境10及び主弁3の組合せに応じた負荷状態が仮想負荷部81により再現されることで仮想的な流体圧駆動弁1Aが構成される。これにより、仮想的な流体圧駆動弁1Aを用いて判定基準データ及び性状基準データが取得される。
【0114】
また、組立検査設備9Aにて、実際の流体圧駆動弁1Bを用いて判定基準データが取得された後、実際の流体圧駆動弁1Bが実設備に設置されてストロークテストが実施されることで性状基準データが取得される。これにより、実際の流体圧駆動弁1Bを用いて判定基準データ及び性状基準データが取得される。
【0115】
したがって、使用環境10、主弁3、駆動装置4、及び、電磁弁5という4つの要素からなる登録対象の組合せ毎に、判定基準データ及び性状基準データを簡単に収集することができる。
【0116】
(性状判定装置7)
図10は、本発明の実施形態に係る性状判定装置7及び組立検査設備9Bの一例を示す概略ブロック図である。
【0117】
性状判定装置7は、所定の使用環境10にて使用される主弁3と駆動装置4と電磁弁5とが選定されて、新たに組み立てられた流体圧駆動弁1Cを組立検査の判定対象とするとき、当該流体圧駆動弁1Cを構成する使用環境10と主弁3と駆動装置4と電磁弁5との組合せ(判定対象の組合せ)に基づいてデータベース2を参照し、判定対象とする流体圧駆動弁1Cの性状を組立検査時に判定する。性状判定装置7は、
図10に示すように、記憶部70、基準データ取得部71と、判定対象データ取得部72と、性状判定部73と、出力処理部74とを備える。
【0118】
性状判定装置7は、有線通信又は無線通信により各種の装置やシステムと通信可能に構成され、例えば、外部装置14、データベース生成装置6、組立検査設備9B、判定対象とする流体圧駆動弁1C等と接続される。なお、性状判定装置7は、外部装置14を介して流体圧駆動弁1Cと接続されてもよい。また、組立検査設備9Bは複数でもよい。
【0119】
組立検査設備9Bは、判定対象とする流体圧駆動弁1Cに対して組立検査を実施するための設備である。組立検査設備9Bは、
図6に示す組立検査設備9Aと同様に構成され、作業者用端末装置90と、使用環境再現部91とを備える。
【0120】
判定対象の組合せに対応する流体圧駆動弁1Cは、判定対象とする主弁3と駆動装置4と電磁弁5とが弁軸12で連結されることで新たに組み立てられて、制御流体の流体圧が判定対象とする使用環境10を再現するように調節された模擬配管92に設置されることで構成される。
【0121】
性状判定装置7は、例えば、
図4に示すコンピュータ200で構成される。この場合、記憶部70は、ストレージ装置220で構成され、基準データ取得部71、判定対象データ取得部72、性状判定部73及び出力処理部74は、プロセッサ212等で構成される。
【0122】
記憶部70は、データベース2等の各種のデータを記憶する。データベース2は、任意の通信網又は記憶媒体を介してデータベース生成装置6から提供されたものである。その場合、データベース2は、全てのデータを含んでいてもよいし、一部のデータに限定されたものでもよい。
【0123】
基準データ取得部71は、記憶部70に記憶されたデータベース2を参照し、判定対象とする流体圧駆動弁1Cを構成する使用環境10と主弁3と駆動装置4と電磁弁5との組合せ(判定対象の組合せ)に対応付けられた判定基準データ及び性状基準データを取得する。なお、データベース2は、データベース生成装置6の記憶部60に記憶されたデータベース2を参照してもよい。
【0124】
例えば、性状判定装置7が、
図10の実線の枠で示すように、判定対象の組合せ(使用環境10
2、主弁3
2、駆動装置4
2、電磁弁5
2)を特定した場合には、
図7に示すデータベース2において、ID「4」に対応付けられた判定基準データ「Data4A」、「Data4B」及び性状基準データ「Data4C」を取得する。なお、判定対象の組合せを示す流体圧駆動弁1の仕様データが、流体圧駆動弁1の組立時に電磁弁5のコントローラ540や記憶部70に記憶されてもよく、その場合、基準データ取得部71は、仕様データを参照し、判定対象の組合せを特定してもよい。
【0125】
判定対象データ取得部72は、判定対象とする流体圧駆動弁1Cにて開閉操作が行われたときの動作状態を判定対象データとして取得する。判定対象データ取得部72が判定対象データを取得する際の開閉操作は、例えば、ストロークテストにより実施される。なお、開閉操作は、複数回行われてもよく、その場合には、判定対象データ取得部72は、各回のデータを平均化したり、代表のデータを選択したりすることで判定基準データを取得すればよい。
【0126】
判定対象データ取得部72は、判定対象とする流体圧駆動弁1Cを構成する電磁弁5に接続されて、電磁弁5のセンサ群53により計測された計測結果に基づいて判定対象データを取得する。この場合、判定対象データ取得部72は、判定対象とする流体圧駆動弁1Cにて開閉操作が行われたときの動作状態として、開閉操作における主弁3の弁開度の時系列データ、及び、開閉操作中に電磁弁5から駆動装置4に給排される空気Aの電磁弁出力側圧力の時系列データを少なくとも含む判定対象データを取得する。
【0127】
なお、判定対象データ取得部72は、電磁弁5のセンサ群53に接続されるが、判定基準データに含まれるデータの種類や形式に合わせて、センサ群53の一部に接続されてもよいし、センサ群53の全てに接続されてセンサ群53の計測結果から判定対象データとして取得するデータを選択してもよい。
【0128】
性状判定部73は、判定基準データと判定対象データとを比較し、その比較結果と性状基準データとに基づいて判定対象とする流体圧駆動弁1Cの性状を判定する。
【0129】
判定対象とする流体圧駆動弁1Cの性状を判定する手法は、判定基準データ及び判定対象データに含まれるデータの種類や形式に合わせて適宜選択される。
【0130】
判定基準データ及び判定対象データが、動作状態として、主弁3の弁開度の時系列データ及び空気Aの電磁弁出力側圧力の時系列データを含むものであるとき、性状判定部73は、判定基準データと判定対象データとを比較したときの類似度に基づいて流体圧駆動弁1Cの性状を判定する。
【0131】
また、判定基準データが、作用トルクの時系列データを含むものであるとき、性状判定部73は、判定対象データに含まれる主弁3の弁開度の時系列データ及び空気Aの電磁弁出力側圧力の時系列データを所定の推定式や学習モデルに入力することで作用トルクの時系列データを推定し、判定基準データ(作用トルクの時系列データ)とその推定した作用トルクの時系列データとを比較したときの類似度に基づいて流体圧駆動弁1Cの性状を判定する。
【0132】
類似度は、例えば、判定基準データに含まれる時系列データと、判定対象データに含まれる時系列データとをそれぞれ時間推移のグラフで表したときの各時刻における両データの差分値を求め、各時刻の差分値を合計した合計値や、各時刻の差分値に対する統計値(例えば、平均値、標準偏差等)に基づいて算出される。この場合、合計値や統計値が小さいほど類似度が高くなるものとして算出される。なお、類似度は、例えば、各グラフを代表する統計値(例えば、回帰式の回帰係数等)の差分値を求め、その差分値に基づいて算出されてもよい。
【0133】
そして、性状判定部73が、例えば、流体圧駆動弁1Cの性状として余寿命を判定する場合には、判定基準データと判定対象データとを比較し、そのときの類似度に基づいて性状基準データにて基準とされる余寿命を補正することにより、判定対象とする流体圧駆動弁1Cの余寿命を判定する。具体的には、性状判定部73は、判定基準データと判定対象データとを比較したときの類似度が高いほど、判定対象とする流体圧駆動弁1Cの余寿命は、性状基準データにて基準とされる余寿命に近いと判定する。
【0134】
性状判定部73による性状の判定は、判定対象の組合せと同一の組合せで構成された登録対象の流体圧駆動弁1A、1Bの組立検査時に取得された判定基準データと、判定対象とする流体圧駆動弁1Cの組立検査時に取得された判定対象データとの類似度が高い場合には、判定対象とする流体圧駆動弁1Cの余寿命は、判定基準データが取得された登録対象の流体圧駆動弁1A、1Bの余寿命(性状基準データが表す余寿命)と近い傾向にあるという特性を利用したものである。
【0135】
また、性状判定部73は、比較結果の類似度が低い場合において、判定対象データが判定基準データに対して安全側(異常発生のリスクが少ない側)に振れているときには、判定対象とする流体圧駆動弁1Cの余寿命は性状基準データにて基準とされる余寿命よりも長いと判定し、判定対象データが判定基準データに対して危険側(異常発生のリスクが高い側)に振れているときには、判定対象とする流体圧駆動弁1Cの余寿命は性状基準データにて基準とされる余寿命よりも短いと判定する。
【0136】
出力処理部74は、性状判定部73の判定結果として、判定対象とする流体圧駆動弁1Cの性状判定情報を出力する出力処理を行う。具体的な出力手段は、種々の手段を採用することが可能である。出力処理部74は、例えば、性状判定情報を、表示や音で作業者に報知したり、流体圧駆動弁1Cの性状判定履歴として、例えば、記憶部70に記憶したり、データベース生成装置6、作業者用端末装置90、外部装置14等に送信したりしてもよい。
【0137】
(性状判定方法)
図11は、本発明の実施形態に係る性状判定装置7による性状判定方法の一例を示すフローチャートである。
【0138】
まず、ステップS300において、作業者が、組立検査設備9Bの作業者用端末装置90を操作し、組立検査の判定対象とする流体圧駆動弁1Cを構成する使用環境10と主弁3と駆動装置4と電磁弁5との組合せ(判定対象の組合せ)を指定すると、性状判定装置
7の基準データ取得部71は、その指定操作を受け付ける。
【0139】
次に、ステップS310において、作業者が、
図10に示す組立検査設備9Bの模擬配管92に対して、判定対象とする主弁3、駆動装置4及び電磁弁5を取り付ける。
【0140】
次に、ステップS320において、作業者が、判定対象とする使用環境10を再現する制御流体の流体圧に使用環境再現部91を調節することにより、判定対象の組合せに対応する流体圧駆動弁1Cが構成される。なお、使用環境再現部91が、流体圧を自動で調節可能に構成されている場合には、使用環境再現部91は、ステップS300で指定された判定対象の組合せに応じたデータに従って流体圧を自動で調節する。
【0141】
次に、ステップS330において、作業者が、作業者用端末装置90を操作し、設定作業が完了した旨を入力すると、判定対象データ取得部72が、その設定完了操作を受け付けて、流体圧駆動弁1Cにて開閉操作を実施する。開閉操作は、例えば、判定対象データ取得部72から電磁弁5のバルブテストスイッチ541に指令を送信することで、ストロークテストにより実施される。
【0142】
そして、ステップS340において、判定対象データ取得部72は、ステップS330と並行して、その開閉操作が行われたときに、電磁弁5のセンサ群53により計測された計測結果に基づいて判定対象データを取得する。判定対象データ取得部72は、例えば、主弁開度センサ532及び第2の圧力センサ531によりそれぞれ計測された計測結果に基づいて、判定基準データとして、主弁3の弁開度の時系列データ及び空気Aの電磁弁出力側圧力の時系列データを取得する。
【0143】
なお、ここでの判定対象とする流体圧駆動弁1Cは、データベース2への登録対象とする流体圧駆動弁1Bとして扱うことも可能である。この場合、性状判定装置7が、判定対象データ取得部72が取得した判定対象データと、判定対象の組合せを示す仕様データとをデータベース生成装置6に送信することで、組立検査データ取得部62が、その判定対象データを判定基準データとして取得し、データベース登録部65が、その仕様データに応じた登録対象の組合せに対して、組立検査データ取得部62が取得した判定基準データを対応付けてデータベース2に登録すればよい。
【0144】
次に、ステップS350において、基準データ取得部71は、ステップS300で指定された判定対象の組合せに基づいてデータベース2を参照し、判定対象の組合せに対応付けられた判定基準データ及び性状基準データを取得する。
【0145】
次に、ステップS360において、性状判定部73は、ステップS350で取得した判定基準データとステップS340で取得した判定対象データとを比較し、その比較結果とステップS350で取得した性状基準データとに基づいて判定対象とする流体圧駆動弁1Cの性状を判定する。
【0146】
次に、ステップS370において、出力処理部74は、ステップS360における性状判定部73の判定結果である流体圧駆動弁1Cの性状判定情報を出力し、
図11に示す一連の性状判定方法を終了する。性状判定方法において、ステップS350が基準データ取得工程、ステップS340が判定対象データ取得工程、ステップS360が性状判定工程、ステップS370が出力処理工程に相当する。
【0147】
以上のように、本実施形態に係る性状判定装置7及び性状判定方法によれば、性状判定部73が、判定基準データと判定対象データと比較することで、判定対象とする流体圧駆動弁1Cと同一の組合せで構成された流体圧駆動弁の組立検査時の動作状態(判定基準デ
ータ)と、判定対象とする流体圧駆動弁1Cにおける流体圧駆動弁の組立検査時の動作状態(判定対象データ)との違いが取得される。そして、性状判定部73が、その比較結果(上記2つの流体圧駆動弁における組立検査時の動作状態の違い)と性状基準データとに基づいて判定対象とする流体圧駆動弁1Cの性状を判定することで、判定対象とする流体圧駆動弁1Cの性状は、判定対象とする流体圧駆動弁と同一の組合せで構成された流体圧駆動弁の性状(性状基準データ)を基準にして、組立検査時の動作状態の違いが反映された状態で取得される。したがって、流体圧駆動弁が新たに組み立てられたときに、個々の流体圧駆動弁が有する性状を把握することできる。
【0148】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【0149】
上記実施形態では、流体圧駆動弁1を構成する主弁3が複数種である場合について説明したが、主弁3は1種でもよい。流体圧駆動弁1を構成する駆動装置4が複数種である場合について説明したが、駆動装置4は1種でもよい。上記実施形態では、流体圧駆動弁1を構成する電磁弁5が複数種である場合について説明したが、電磁弁5は1種でもよい。
【0150】
上記実施形態では、データベース生成装置6と、性状判定装置7とが別々の装置であるものとして説明したが、データベース生成装置6及び性状判定装置7は、1つの装置として構成されてもよい。
【0151】
(データベース2の変形例)
図12は、本発明の実施形態に係るデータベース2の変形例を示すデータ構成図である。
図12に示すデータベース2では、
図7に示す使用環境10及び主弁3のフィールドに代えて、負荷状態L(L
1、L
2、…、L
t)(添え字tは、任意の整数であり、負荷状態Lの種類の数を示す)のフィールドを有する。負荷状態Lのフィールドには、使用環境10及び主弁3の組合せに応じたデータとして、例えば、第2の軸12b(弁軸12)が0度~90度の範囲で回動されたときの負荷の大きさや変化量が登録される。
【0152】
データベース生成装置6のデータベース登録部65が、登録対象の組合せに対して判定データを対応付けて、
図12に示すデータベース2に登録する場合(
図8のステップS150又は
図9のステップS150)、ステップS120にて仮想負荷部81に対して設定された負荷状態Lを、データベース2(負荷状態Lのフィールド)に登録するか、又は、ステップS220にて使用環境再現部91を調節した後に第2の軸12bを手動で回動させたときの負荷状態L(例えば、仮設置のトルクセンサ等を用いて計測する)を、データベース2(負荷状態Lのフィールド)に登録する。
【0153】
性状判定装置7の性状判定部73が、
図12に示すデータベース2を用いて判定対象とする流体圧駆動弁1Cの性状を判定する場合(
図11のステップS360)、ステップS320にて使用環境再現部91を調節した後に第2の軸12bを手動で回動させたときの負荷状態L(例えば、仮設置のトルクセンサ等を用いて計測する)が、使用環境10及び主弁3の組合せに応じたデータとして性状判定装置7に入力される。そして、ステップS350において、基準データ取得部71が、
図12に示すデータベース2を参照し、判定対象とする流体圧駆動弁1Cを構成する負荷状態L(使用環境10と主弁3とを内在)と駆動装置4と電磁弁5との組合せ(判定対象の組合せ)に対応付けられた判定基準データを取得する。
【0154】
例えば、作業者による負荷状態Lの計測結果が、負荷状態L
2に一致(所定の範囲内の
場合に一致するものとしてもよい)する場合、性状判定装置7は、
図10の実線の枠で示すように、判定対象の組合せ(負荷状態L
2(使用環境10
2及び主弁3
2の組合せに相当)、駆動装置4
2、電磁弁5
2)を特定し、
図12に示すデータベース2において、ID「4」に対応付けられた判定基準データ「Data4A」、「Data4B」を取得する。そして、ステップS360以降の工程は、上記実施形態と同様のため説明を省略する。
【0155】
(性状判定装置7の変形例)
上記実施形態では、性状判定装置7が、組合せ毎に判定基準データ及び性状基準データが登録されたデータベース2(
図7、
図12)を参照して流体圧駆動弁1の性状を判定するものとして説明した。これに対し、性状判定装置7は、このようなデータベース2を参照せずに流体圧駆動弁1の性状を判定するようにしてもよい。この場合、性状判定装置7の記憶部70は、例えば、特定の組合せに対応する判定基準データ及び性状基準データを記憶し、判定対象データ取得部72が、新たに組み立てられた流体圧駆動弁1(特定の組合せに対応)を組立検査の判定対象とするとき、当該流体圧駆動弁1にて開閉操作が行われたときの動作状態を判定対象データとして取得し、性状判定部73が、判定基準データと判定対象データとを比較し、その比較結果と性状基準データとに基づいて判定対象とする流体圧駆動弁の性状を判定する。
【0156】
(プログラム)
本発明は、
図4に示すコンピュータ200を、上記実施形態に係るデータベース生成装置6が備える各部として機能させるプログラム(データベース生成プログラム)230の態様で提供することができる。また、本発明は、
図4に示すコンピュータ200を、上記実施形態に係る性状判定装置7が備える各部として機能させるプログラム(性状判定プログラム)230の態様で提供することができる。
【符号の説明】
【0157】
1、1A~1C…流体圧駆動弁、2…データベース、3…主弁、4…駆動装置、
5…電磁弁、6…データベース生成装置、7…性状判定装置、8…試験設備、
9A、9B…組立検査設備、10…使用環境、11…配管、
12…弁軸、12a…第1の軸、12b…第2の軸、12c…第3の軸、
13…空気供給源、14…外部装置、15…外部電源、
30…弁箱、31…弁体、
40…シリンダ、41…ピストンロッド、42A…第1のピストン、
42B…第2のピストン、43…コイルばね、44…空気給排口、
45…伝達機構、47…スプリング室、48…シリンダ室、
50…収容部、51…スプール部、52…ソレノイド部、53…センサ群、
54…制御部、55…通信部、56…電源回路部、57…状態診断装置、
60…記憶部、61…初期試験データ取得部、
62…組立検査データ取得部、63…耐久試験データ取得部、
64…運転データ取得部、65…データベース登録部、66…センサ群、
70…記憶部、71…基準データ取得部、72…判定対象データ取得部、
73…性状判定部、74…出力処理部、
80…作業者用端末装置、81…仮想負荷部、
90…作業者用端末装置、91…使用環境再現部、92…模擬配管
100…組立検査支援システム、120…永久磁石、
130…第1の空気配管、131…第2の空気配管、
140…通信ケーブル、150…電力ケーブル、200…コンピュータ、
500…軸挿入口、501…ケーブル挿入口、502…第1の流路、
503…第2の流路、510…入力ポート、511…出力ポート、512…排気ポート、
530…第1の圧力センサ、531…第2の圧力センサ、532…主弁開度センサ、
533…電圧センサ、534…抵抗センサ、535…温度センサ、
536…磁気センサ、537…稼働時間計、538…作動カウンタ、
540…コントローラ、541…バルブテストスイッチ、
660A…第1のトルクセンサ、660B…第2のトルクセンサ