IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アイヴィワークスの特許一覧

特許7536302薄膜蒸着工程を制御するための制御装置、及び方法
<図1>
  • 特許-薄膜蒸着工程を制御するための制御装置、及び方法 図1
  • 特許-薄膜蒸着工程を制御するための制御装置、及び方法 図2
  • 特許-薄膜蒸着工程を制御するための制御装置、及び方法 図3
  • 特許-薄膜蒸着工程を制御するための制御装置、及び方法 図4
  • 特許-薄膜蒸着工程を制御するための制御装置、及び方法 図5
  • 特許-薄膜蒸着工程を制御するための制御装置、及び方法 図6
  • 特許-薄膜蒸着工程を制御するための制御装置、及び方法 図7
  • 特許-薄膜蒸着工程を制御するための制御装置、及び方法 図8
  • 特許-薄膜蒸着工程を制御するための制御装置、及び方法 図9
  • 特許-薄膜蒸着工程を制御するための制御装置、及び方法 図10
  • 特許-薄膜蒸着工程を制御するための制御装置、及び方法 図11
  • 特許-薄膜蒸着工程を制御するための制御装置、及び方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】薄膜蒸着工程を制御するための制御装置、及び方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/54 20060101AFI20240813BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
C23C14/54
C23C16/52
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021054312
(22)【出願日】2021-03-26
(62)【分割の表示】P 2019100773の分割
【原出願日】2019-05-29
(65)【公開番号】P2021095642
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】10-2018-0133542
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 IV Works Co.,Ltd.Oct.2018 株式会社アイヴィワークス、平成30年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】519194995
【氏名又は名称】株式会社アイヴィワークス
【氏名又は名称原語表記】IVWorks Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】10-27, Expo-ro 339beon-gil, Yuseong-gu, Daejeon 34122, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】盧 英 均
【審査官】篠原 法子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0307163(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1828508(CN,A)
【文献】特開2014-216343(JP,A)
【文献】特開2018-141205(JP,A)
【文献】特表2017-510064(JP,A)
【文献】特開平06-037021(JP,A)
【文献】BENSAOULA A、ほか2名,The Use of Multilayer Neural Networks in Material Synthesis,IEEE Transactions on Semiconductor Manufacturing,米国,1998年08月,Vol.11 No.3,Page.421-431
【文献】CLARKE R、ほか4名,Controlling stress in cubic boron nitride coatings,Thin Solid Films,2001年11月01日,Vol.398/399,Page.137-141
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00-14/58
C23C 16/00-16/56
G06N 20/00
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜蒸着工程を制御するための制御装置であって、
第1機械学習アルゴリズムによって構築された相関モデルを格納する1つ以上のメモリと、
1つ以上のプロセッサと、を含み、
前記プロセッサは、
薄膜蒸着工程中に基板上の薄膜に照射して前記薄膜から反射された電子ビームにより形成される回折パターンのイメージを取得し、
前記イメージを前処理し、前記回折パターンのパターン類型、パターン間隔、及び前記薄膜から反射された電子ビームの強度を含む前処理されたデータを出力し、
前記相関モデルを用いて、前記回折パターンのイメージ及び前記前処理されたデータのうち少なくとも1つから前記薄膜の表面構造、結晶構造、原子組成、応力、及び蒸着速度のデータを含む工程中薄膜状態データを導き出すように構成され、
前記相関モデルと異なる他の相関モデルを用いて、導き出された前記工程中薄膜状態データ、薄膜蒸着装置の工程条件データ、及び前記薄膜蒸着装置の状態を指示するデータに基づいて前記薄膜の工程後薄膜状態データを導き出し、
前記工程後薄膜状態データに基づいて前記薄膜蒸着装置を制御し、
前記相関モデルは、前記回折パターンの前記パターン類型から前記薄膜の前記表面構造及び前記結晶構造を導き出し、前記回折パターンの前記パターン間隔から前記薄膜の前記原子組成及び前記応力を導き出し、前記薄膜から反射された前記電子ビームの前記強度から前記薄膜の前記蒸着速度を導き出すように構成され、
前記他の相関モデルは、前記薄膜蒸着装置の工程条件データ、前記薄膜蒸着装置の状態を指示するデータ及び前記工程中薄膜状態データを含む入力と、前記工程後薄膜状態データを含む出力間の相関関係を第2機械学習アルゴリズムによりモデリングするように学習される、
制御装置。
【請求項2】
前記相関モデルは、機械学習アルゴリズムにより、薄膜測定結果セット、前処理された測定データセット、及び工程中薄膜状態データセット間の相関関係をモデリングして構築されたものである、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記薄膜蒸着工程を行う薄膜蒸着装置、及び前記薄膜蒸着工程中に前記薄膜に前記電子ビームを照射し、前記薄膜から反射された前記電子ビームから前記回折パターンを測定する1つ以上の測定装置と通信する通信インターフェースを含む、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記メモリは、前記他の相関モデルを格納するように構成される、
請求項に記載の制御装置。
【請求項5】
薄膜蒸着工程を制御するための方法であって、
1つ以上のプロセッサにより、薄膜蒸着工程中に基板上の薄膜に照射されて前記薄膜から反射された電子ビームにより形成された回折パターンのイメージを取得する段階と、
前記プロセッサにより、前記イメージを前処理し、前記回折パターンのパターン類型、前記回折パターンのパターン間隔、及び前記薄膜から反射された前記電子ビームの強度を含む前処理されたデータを出力する段階と、
前記プロセッサにより、1つ以上のメモリに格納された相関モデルを用いて、前記回折パターンの前記イメージ及び前記前処理されたデータのうち少なくとも1つから前記薄膜の表面構造、結晶構造、原子組成、応力、及び蒸着速度のデータを含む工程中薄膜状態データを導き出す段階と、
前記相関モデルと異なる他の相関モデルを用い、導き出された前記工程中薄膜状態データ、薄膜蒸着装置の工程条件データ、及び前記薄膜蒸着装置の状態を指示するデータに基づいて前記薄膜の工程後薄膜状態データを導き出す段階と、
前記工程後薄膜状態データに基づいて前記薄膜蒸着装置を制御する段階を含み、
前記相関モデルは第1機械学習アルゴリズムによって構築され、
前記相関モデルは、前記回折パターンの前記パターン類型から前記薄膜の前記表面構造及び前記結晶構造を導き出す段階と、前記回折パターンの前記パターン間隔から前記薄膜の前記原子組成及び前記応力を導き出す段階と、前記薄膜から反射された前記電子ビームの前記強度から前記薄膜の前記蒸着速度を導き出す段階と、
前記他の相関モデルは、前記薄膜蒸着装置の工程条件データ、前記薄膜蒸着装置の状態を指示するデータ及び前記工程中薄膜状態データを含む入力と、前記工程後薄膜状態データを含む出力間の相関関係を第2機械学習アルゴリズムによりモデリングするように学習される段階と、
を含む方法。
【請求項6】
前記相関モデルは、機械学習アルゴリズムにより、薄膜測定結果セット、前処理された測定データセット、及び工程中薄膜状態データセット間の相関関係をモデリングして構築されたものである、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記メモリは、前記他の相関モデルを格納するように構成される、
請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薄膜蒸着工程を制御するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多様な薄膜蒸着方法により、処理室に収容された基板(waferまたはsubstrate)に薄膜が蒸着され得る。薄膜蒸着工程と関連し、薄膜の蒸着状態、薄膜蒸着装置の動作状態及び/または薄膜蒸着工程の工程条件などに関するデータが収集され得る。例えば、電子回折測定、X線回折分光などの方法を通じて、工程中薄膜の状態に関するデータが収集され得る。収集されるデータは、薄膜の状態確認、工程条件変更など多様な分析作業に活用され得る。
【0003】
収集されたデータは、人間であるユーザーにより分析され得る。ユーザーは、収集されたデータを解析し、解析された結果に基づいて工程条件などを変更することができる。しかし、ユーザーが、収集されるデータを総合的に考慮して薄膜または工程に対する分析作業を行うことは難しいこともある。薄膜蒸着工程において、多様な薄膜蒸着方法が用いられ得、薄膜蒸着工程に関して収集されるデータの種類もますます膨大となっていくためである。薄膜蒸着装置、薄膜の状態を測定する測定装置、薄膜蒸着装置の状態をセンシングするセンサのインターフェースもそれぞれ異なり得、ユーザーがこれを全て熟知することは容易ではないこともある。また、ユーザーの能力、専門性により、収集されたデータに対する分析結果が変わることがある。特に収集されるデータが定量化されていないデータである場合、分析結果に対するユーザー間の偏差が激しくなり、分析結果の信頼性が大きく落ちることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、機械学習(Machine Learning)を通じて薄膜蒸着工程を制御するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面として、薄膜蒸着工程を制御するための制御装置が提案され得る。本開示の一側面による制御装置は、薄膜蒸着工程を制御するための制御装置であって、相関モデルを格納する1つ以上のメモリと、1つ以上のプロセッサと、を含み、前記プロセッサは、薄膜蒸着工程中に基板上の薄膜に照射して前記薄膜から反射された電子ビームにより形成される回折パターンのイメージを取得し、前記イメージを前処理し、前記回折パターンのパターン類型、パターン間隔、及び前記薄膜から反射された電子ビームの強度を含む前処理されたデータを出力し、前記相関モデルを用いて、前記回折パターンのイメージ及び前記前処理されたデータのうち少なくとも1つから工程中薄膜状態データを導き出すように構成される。
【0006】
一実施例において、前記相関モデルは、機械学習アルゴリズムにより、薄膜測定結果セット、前処理された測定データセット、及び工程中薄膜状態データセット間の相関関係をモデリングして構築されたものである。
【0007】
一実施例において、前記工程中薄膜状態データは、前記薄膜の表面構造、結晶構造、原子組成、応力、及び蒸着速度のデータを含む。
【0008】
一実施例において、前記プロセッサは、前記相関モデルを用いて、前記回折パターンの前記パターン類型から前記薄膜の前記表面構造及び前記結晶構造を導き出し、前記相関モデルを用いて、前記回折パターンの前記パターン間隔から前記薄膜の前記原子組成及び前記応力を導き出し、前記相関モデルを用いて、前記薄膜から反射された前記電子ビームの前記強度から前記薄膜の前記蒸着速度を導き出すように構成される。
【0009】
一実施例において、前記薄膜蒸着工程を行う薄膜蒸着装置、及び前記薄膜蒸着工程中に前記薄膜に前記電子ビームを照射し、前記薄膜から反射された前記電子ビームから前記回折パターンを測定する1つ以上の測定装置と通信する通信インターフェースを含む。
【0010】
一実施例において、前記メモリは、機械学習アルゴリズムにより、前記薄膜蒸着工程の工程条件データセット、前記薄膜蒸着装置の状態を示すセンシングデータセット、工程中薄膜状態データセット、及び工程後薄膜状態データセット間の相関関係をモデリングして構築された他の相関モデルを格納するように構成され、前記プロセッサは、前記他の相関モデルを用いて、前記導き出された工程中薄膜状態データに基づいて、前記薄膜の工程後薄膜状態データを導き出すように構成される。
【0011】
本開示の一側面として、薄膜蒸着工程を制御するための方法が提案され得る。本開示の一側面による方法は、薄膜蒸着工程を制御するための方法であって、1つ以上のプロセッサにより、薄膜蒸着工程中に基板上の薄膜に照射されて前記薄膜から反射された電子ビームにより形成された回折パターンのイメージを取得する段階と、前記プロセッサにより、前記イメージを前処理し、前記回折パターンのパターン類型、前記回折パターンのパターン間隔、及び前記薄膜から反射された前記電子ビームの強度を含む前処理されたデータを出力する段階と、前記プロセッサにより、1つ以上のメモリに格納された相関モデルを用いて、前記回折パターンの前記イメージ及び前記前処理されたデータのうち少なくとも1つから工程中薄膜状態データを導き出す段階と、を含む。
【0012】
一実施例において、前記相関モデルは、機械学習アルゴリズムにより、薄膜測定結果セット、前処理された測定データセット、及び工程中薄膜状態データセット間の相関関係をモデリングして構築されたものである。
【0013】
一実施例において、前記工程中薄膜状態データは、前記薄膜の表面構造、結晶構造、原子組成、応力、及び蒸着速度のデータを含む。
【0014】
一実施例において、前記工程中薄膜状態データを導き出す段階は、前記相関モデルを用いて、前記回折パターンの前記パターン類型から前記薄膜の前記表面構造及び前記結晶構造を導き出す段階と、前記相関モデルを用いて、前記回折パターンの前記パターン間隔から前記薄膜の前記原子組成及び前記応力を導き出す段階と、前記相関モデルを用いて、前記薄膜から反射された前記電子ビームの前記強度から前記薄膜の前記蒸着速度を導き出す段階と、を含む。
【0015】
一実施例において、前記プロセッサにより、前記メモリに格納された他の相関モデルを用いて、前記導き出された工程中薄膜状態データに基づいて、前記薄膜の工程後薄膜状態データを導き出す段階を含み、前記他の相関モデルは、機械学習アルゴリズムにより、前記薄膜蒸着工程の工程条件データセット、前記薄膜蒸着工程の薄膜蒸着装置の状態を示すセンシングデータセット、工程中薄膜状態データセット、及び工程後薄膜状態データセット間の相関関係をモデリングして構築されたものである。
【発明の効果】
【0016】
本開示の多様な実施例によると、機械学習を通じて構築された相関モデルを用いて、制御装置は、薄膜蒸着工程の多様な変数を総合的に考慮した分析を行うことができる。
【0017】
本開示の多様な実施例によると、機械学習を通じて構築された相関モデルを用いて、制御装置は、薄膜蒸着工程に対する分析の信頼性を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本開示による制御装置が動作する過程の一実施例を示す図である。
図2図2は、本開示の多様な実施例による、制御装置のブロック図を示す図である。
図3図3は、本開示の一実施例による、第1相関モデルを示す図である。
図4図4は、本開示の一実施例による、薄膜測定結果を前処理する過程を示す図である。
図5図5は、本開示の一実施例による、第2相関モデルを示す図である。
図6図6は、本開示の一実施例による、回折パターンイメージから工程中薄膜状態データを導き出す過程を示す図である。
図7図7は、本開示の一実施例による、回折パターン類型別の実際の薄膜の表面構造を示す図である。
図8図8は、本開示の一実施例による、薄膜蒸着工程中にリアルタイムで取得される回折パターンイメージを示す図である。
図9図9は、本開示の一実施例による、第1相関モデルを用いて薄膜蒸着装置を制御する過程を示す図である。
図10図10は、本開示の一実施例による、工程後薄膜状態測定データを処理する過程を示す図である。
図11図11は、本開示の一実施例による、出力装置の表出画面を示す図である。
図12図12は、本開示による制御装置によって行われ得る、薄膜蒸着方法の一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本文書に記載された多様な実施例は、本開示の技術的思想を明確に説明する目的で例示されたものであり、これを特定の実施形態に限定しようとするものではない。本開示の技術的思想は、本文書に記載された各実施例の多様な変更(modifications)、均等物(equivalents)、代替物(alternatives)及び各実施例の全部または一部から選択的に組み合わせられた実施例を含む。また、本開示の技術的思想の権利範囲は、以下に提示される多様な実施例やこれに関する具体的説明に限定されない。
【0020】
技術的または科学的な用語を含め、本文書で用いられる用語は、異なって定義されない限り、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に一般に理解される意味を有し得る。
【0021】
本文書で用いられる「含む」、「含むことができる」、「備える」、「備えることができる」、「有する」、「有することができる」等のような表現は、対象になる特徴(例:機能、動作または構成要素など)が存在することを意味し、他の追加の特徴の存在を排除しない。即ち、このような表現は、他の実施例を含む可能性を内包する開放型用語(open-ended terms)と理解されるべきである。
【0022】
本文書で用いられる単数形の表現は、文脈上異なって意味しない限り、複数形の意味を含み得、これは請求項に記載された単数形の表現にも同様に適用される。
【0023】
本文書で用いられる「第1」、「第2」、または「第1に」、「第2に」等の表現は、文脈上異なって意味しない限り、複数の同種対象を指す場合において、ある対象を他の対象と区分するために用いられ、当該対象間の順序または重要度を限定するものではない。
【0024】
本文書で用いられる「A、B、及びC」、「A、B、またはC」、「A、B、及び/またはC」または「A、B、及びCのうち少なくとも1つ」、「A、B、またはCのうち少なくとも1つ」、「A、B、及び/またはCのうち少なくとも1つ」等の表現は、それぞれの羅列された項目または羅列された項目の可能な全ての組み合わせを意味し得る。例えば、「AまたはBのうち少なくとも1つ」は、(1)少なくとも1つのA、(2)少なくとも1つのB、(3)少なくとも1つのA及び少なくとも1つのBをいずれも指すことができる。
【0025】
本文書で用いられる「~に基づいて」という表現は、当該表現が含まれる語句または文章で記述される、決定、判断の行為または動作に影響を与える1つ以上の因子を記述するのに用いられ、この表現は当該決定、判断の行為または動作に影響を与える追加の因子を排除しない。
【0026】
本文書で用いられる、ある構成要素(例:第1構成要素)が他の構成要素(例:第2構成要素)に「連結されて」いるとか「接続されて」いるという表現は、前記ある構成要素が前記他の構成要素に直接的に連結または接続されていることのみでなく、新たな他の構成要素(例:第3構成要素)を媒介として連結または接続されていることを意味し得る。
【0027】
本文書で用いられた表現「~するように構成された(configured to)」は、文脈により、「~するように設定された」、「~する能力を有する」、「~するように変更された」、「~するように作られた」、「~をすることができる」等の意味を有し得る。当該表現は、「ハードウェア的に特別に設計された」という意味に制限されず、例えば、特定動作を行うように構成されたプロセッサとは、ソフトウェアを実行することによりその特定動作を行うことができる汎用プロセッサ(generic-purpose processor)を意味し得る。
【0028】
以下、添付の図面を参照して、本開示の多様な実施例を説明する。添付の図面及び図面に関する説明において、同一であるか、実質的に同等の(substantially equivalent)構成要素には、同一の参照符号が付与され得る。また、以下、多様な実施例の説明において、同一であるか、対応する構成要素を重複して記述することが省略され得るが、これは当該構成要素がその実施例に含まれないことを意味するものではない。
【0029】
図1は、本開示による制御装置が動作する過程の一実施例を示す図である。本開示による制御装置は、多様な実施例による制御装置100により具現され得る。本開示の多様な実施例による制御装置100は、機械学習により構築された相関モデルを用いて、収集されたデータから工程後薄膜状態に関するデータなどを導き出すことができる。これを通じて制御装置100は、薄膜の構造的特性の分析、薄膜の電気的特性の分析、薄膜の光特性の分析、データシミュレーションなどを行うことができる。
【0030】
具体的には、1つ以上の薄膜蒸着装置により薄膜蒸着工程が行われ得る。1つ以上の薄膜蒸着装置は、処理室110に収容された基板105に対して予め設定された工程条件データにより薄膜を蒸着することができる。本開示において、基板は、半導体チップなどの素子を実装することができる板ないし容器であって、基板は、集積回路の製作などのために用いられ得、シリコーンなどの素材で生成され得る。本開示において、薄膜は、多様な薄膜蒸着方法を通じて基板上に成長した単結晶膜を意味し得る。薄膜が蒸着された基板は、エピウエハ(epitaxial wafer)と呼ばれることもある。本開示において処理室は、薄膜蒸着リアクタ(reactor)または薄膜蒸着チャンバ(chamber)と呼ばれることもある。
【0031】
一実施例において、1つ以上の薄膜蒸着装置は、処理室110、基板ヒータ(substrate heater)120、シャッタ(shutter)130、ソースヒータ(source heater)140等を含むことができる。基板ヒータ120は、薄膜蒸着工程を行うために基板105の温度を調節することができる。シャッタ130は、ソースが処理室110内に放出される孔を開閉して、ソースの放出量を調節することができる。本開示においてソースは、薄膜の材料となる物質を意味し得る。ソースヒータ140は、ソースを加熱してソースが処理室110内に放出されるようにすることができる。一実施例において、1つ以上の薄膜蒸着装置は、制御装置100によりその動作がそれぞれ制御され得る。
【0032】
本開示において、工程条件データは、薄膜蒸着工程の工程条件に関する情報を意味し、具体的には、薄膜蒸着工程をなす物理的、化学的段階の順序、または薄膜蒸着工程と関連するか、工程が行われる環境と関連する変数を意味し得る。一実施例において、工程条件データは、薄膜蒸着工程のレシピ(recipe)に含まれることができる。一実施例において、薄膜蒸着工程の工程条件データは、ソースの種類、ソースの噴射量、ソースの噴射順序などを含むことができる。一実施例において、工程条件データは、必要に応じて調整され得る。
【0033】
一実施例において、1つ以上のセンサが1つ以上の薄膜蒸着装置の状態をセンシング(sensing)することができる。本開示においてセンサは、特定状態に対応するセンシングデータを生成または取得する装置であってもよい。センサは、対象の動作状態または環境状態に対応するデータを生成することができる。本開示においてセンシングは、感知ないし検出を意味し得る。一実施例において、1つ以上のセンサは、基板ヒータ120により加熱された基板105の温度を測定する温度センサ、シャッタ130の開閉動作で放出されるソースの量を測定する流量センサ及び/または圧力センサ、シャッタ130がソース放出口を開閉する速度を測定する速度センサ、ソースヒータ140により加熱されたソースの温度を測定する温度センサ、処理室110の温度を測定する温度センサ、処理室110の圧力を測定する圧力センサ、処理室110に残留した残留ガスを測定する残留ガス測定センサ170、及び/または処理室110内の基板105の位置を測定する位置センサなどを含むことができる。残留ガス測定センサ170が測定した残留ガスは、分子量の分析を通じて処理室110内の環境を確認するのに用いられ得る。一実施例において、センシングデータは、薄膜蒸着工程が進められるに伴い、リアルタイムで変化し得る。
【0034】
一方、1つ以上の測定装置は、薄膜蒸着工程中の薄膜の状態を多様な方式で測定することができる(例えば、in-situ測定)。測定により、1つ以上の測定装置は、多様な薄膜測定結果を取得することができる。取得された薄膜測定結果から、薄膜の結晶構造、薄膜の表面構造、薄膜の原子組成、薄膜蒸着速度、薄膜の応力(stress)等のデータが導き出され得る。
【0035】
1つ以上の測定装置は、例えば、電子照射または光照射方法により測定を行うことができる。一実施例において、電子照射方法には、高エネルギー反射電子回折(Reflection High Energy Electron Diffraction)測定法、反射電子顕微鏡(Reflection Electron Microscope)を用いた測定法、低エネルギー電子回折(Low Energy Electron Diffraction)測定法または電子顕微鏡(Scanning Electron Microscopy)を用いた測定法などがあり得る。一実施例において、光照射方法には、反射計(Reflectometer)を用いた測定法、赤外線温度センサ(Pyrometer)を用いた測定法、X線回折分光測定法、光干渉計を用いた測定法、レーザプロファイル測定法、光吸収・透過・反射を用いた測定法または光放出分光(Spectroscope)測定法などがあり得る。
【0036】
例えば、1つ以上の測定装置は、高エネルギー反射電子回折測定法により薄膜の状態を測定することができる。1つ以上の測定装置のうち電子銃(electron gun)150は、工程中の薄膜に電子ビームを照射することができる。電子ビームは、基板105上に蒸着される薄膜の表面により反射されるが、薄膜の結晶構造により反射された電子ビームは、回折パターンを形成することができる。回折パターンは、回折パターンイメージの形態で測定され得る(160)。形成された回折パターンは、1.0nm以下の分解能を有しており、薄膜蒸着工程中の薄膜の結晶構造を原子層レベルでモニタリングするのに用いられ得る。回折パターンイメージは、薄膜の結晶構造に関する情報を内包することができる。
【0037】
制御装置100は、1つ以上の薄膜蒸着装置、1つ以上のセンサ及び/または1つ以上の測定装置と通信することができる。制御装置100は、1つ以上のセンサからセンシングデータを取得することができる。センシングデータは、1つ以上のセンサが1つ以上の薄膜蒸着装置の少なくとも一部の状態をセンシングして生成されたデータであってもよい。制御装置100は、1つ以上の測定装置から、薄膜蒸着工程中の薄膜の状態に対する薄膜測定結果を取得することができる。
【0038】
制御装置100は、レシピを実行して、1つ以上の薄膜蒸着装置に薄膜蒸着工程を実行させることができる。一実施例において、制御装置100は、取得した薄膜測定結果に基づいて、当該薄膜蒸着工程中の薄膜の状態を示す工程中薄膜状態データを取得することができる。本開示において薄膜の状態とは、例えば、薄膜の表面構造、薄膜の結晶構造、薄膜の原子組成、薄膜の応力などを意味し得る。
【0039】
制御装置100は、第1相関モデルを用いて、前記取得したデータから当該薄膜の工程後薄膜状態を示す工程後薄膜状態データを導き出すことができる。具体的には、制御装置100は、工程条件データ、センシングデータ及び/または導き出された工程中薄膜状態データを第1相関モデルに入力することができる。第1相関モデルは、入力に対応して当該薄膜の工程後薄膜状態データを出力または計算することができる。即ち、制御装置100は、第1相関モデルから、当該薄膜の工程後薄膜状態データを導き出すことができる。一実施例において、制御装置100は、導き出された工程後薄膜状態データまたは工程条件データ、薄膜測定結果など多様な情報をユーザーに表出することができる。
【0040】
本開示による第1相関モデルは、薄膜蒸着工程と関連する多様なデータベースに基づいて構築されたものであってもよい。複数の実施例によると、第1相関モデルは、機械学習アルゴリズムにより、工程条件データセット(set)、センシングデータセット、工程中薄膜状態データセット及び/または工程後薄膜状態データセット間の相関関係をモデリングして構築された相関モデルであってもよい。ここでデータセットとは、該当データの集合を意味し得る。例えば、工程条件データセットは、複数の工程条件データを意味し得る。一実施例において、工程条件データセット、センシングデータセット、工程中薄膜状態データセット、及び/または工程後薄膜状態データセットは、工程中の基板105とは異なる、複数の基板に対して予め生成されたデータであってもよい。第1相関モデルは、入力された工程条件データ、センシングデータ、工程中薄膜状態データ及び/またはその他の情報に基づいて、当該薄膜の工程後薄膜状態データを導き出し、これを出力することができる。機械学習及び相関モデルのより具体的な事項については後述する。
【0041】
一実施例において、1つ以上の薄膜蒸着装置は、MBE(Molecular Beam Epitaxy)、PLD(Pulsed Laser Deposition)、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)、ALD(Atomic Layer Deposition)、蒸発(Evaporation)、スパッタリング(Sputtering)及び昇華(Sublimation)の中から選択された少なくとも1つの薄膜蒸着方法により、薄膜蒸着工程を行うことができる。
【0042】
一実施例において、薄膜蒸着工程は、複数の工程ライン(line)で同時に行われ得る。複数の工程ラインのそれぞれにおいて、薄膜蒸着工程は、1つ以上の薄膜蒸着装置によって行われ得る。複数の工程ラインのそれぞれは、識別番号により区分され得る。複数の工程ラインのそれぞれに対して同種の薄膜蒸着装置と同一の工程条件データが用いられるとしても、薄膜蒸着工程はそれぞれ異なって行われ得る。従って、複数の工程ラインのそれぞれに対して別途の第1相関モデル及び別途の第2相関モデルが構築され得る。第2相関モデルについては後述する。
【0043】
図2は、本開示の多様な実施例による制御装置のブロック図を示す図である。一実施例において、制御装置100は、1つ以上のプロセッサ210、1つ以上のメモリ220及び/または通信インターフェース230を含むことができる。一実施例において、制御装置100のこの構成要素のうち少なくとも1つが省略されるか、または他の構成要素が制御装置100に追加され得る。追加で(additionally)または代替として(alternatively)、一部の構成要素が統合されて具現されたり、単数または複数の個体で具現され得る。制御装置100の内、外部の構成要素のうち少なくとも一部の構成要素は、バス、GPIO(general purpose input/output)、SPI(serial peripheral interface)またはMIPI(mobile industry processor interface)等を介して互いに連結されて、データ及び/またはシグナルをやり取りすることができる。
【0044】
通信インターフェース230は、制御装置100とサーバまたは制御装置100と他の外部装置間の無線または有線通信を行うことができる。例えば、通信インターフェースは、eMBB(enhanced Mobile Broadband)、URLLC(Ultra Reliable Low-Latency Communications)、MMTC(Massive Machine Type Communications)、LTE(long-term evolution)、LTE-A(LTE Advance)、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)、GSM(Global System for Mobile communications)、CDMA(code division multiple access)、WCDMA(登録商標)(wideband CDMA)、WiBro(Wireless Broadband)、WiFi(wireless fidelity)、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth)、NFC(near field communication)、GPS(Global Positioning System)またはGNSS(global navigation satellite system)等の方式による無線通信を行うことができる。例えば、通信インターフェースは、USB(universal serial bus)、HDMI(登録商標)(high definition multimedia interface)、RS-232(recommended standard232)またはPOTS(plain old telephone service)等の方式による有線通信を行うことができる。一実施例において、通信インターフェース230は、1つ以上の薄膜蒸着装置、1つ以上のセンサ及び/または1つ以上の測定装置と通信を行うことができる。
【0045】
1つ以上のメモリ220は、多様なデータを格納することができる。メモリ220に格納されるデータは、制御装置100の少なくとも1つの構成要素により取得されたり、処理されたり、用いられたりするデータであって、ソフトウェア(例:命令、プログラムなど)を含むことができる。メモリ220は、揮発性及び/または非揮発性メモリを含むことができる。本開示において、命令ないしプログラムはメモリ220に格納されるソフトウェアであって、制御装置100のリソースを制御するためのオペレーティングシステム、アプリケーション及び/またはアプリケーションが制御装置のリソースを活用し得るように多様な機能をアプリケーションに提供するミドルウェアなどを含むことができる。1つ以上のメモリ220は、前述の第1相関モデル及び後述する他の相関モデルを格納することができる。また、1つ以上のメモリ220は、予め設定された工程条件データに従って薄膜蒸着工程を行うためのレシピを格納することができる。また、1つ以上のメモリ220は、1つ以上のプロセッサ210による実行時、1つ以上のプロセッサ210が演算を行うようにする命令を格納することができる。
【0046】
1つ以上のプロセッサ210は、ソフトウェア(例:命令、プログラムなど)を駆動してプロセッサ210に連結された制御装置100の少なくとも1つの構成要素を制御することができる。また、プロセッサ210は、本開示と関連する多様な演算、処理、データ生成、加工などの動作を行うことができる。また、プロセッサ210は、データなどをメモリ220からロードしたり、メモリ220に格納することができる。
【0047】
1つ以上のプロセッサ210は、メモリ220にアクセスして、前述のレシピを実行し、これにより、1つ以上の薄膜蒸着装置に薄膜蒸着工程を実行させることができる。また、1つ以上のプロセッサ210は、通信インターフェース230を制御して、1つ以上のセンサから、1つ以上の薄膜蒸着装置の少なくとも一部の状態をセンシングしたセンシングデータを取得することができる。また、1つ以上のプロセッサ210は、通信インターフェース230を制御して、1つ以上の測定装置から、薄膜蒸着工程中の薄膜に対する薄膜測定結果を受信することができる。1つ以上のプロセッサ210は、受信した薄膜測定結果に基づいて、当該薄膜蒸着工程中の薄膜に対する薄膜状態情報を取得することができる。1つ以上のプロセッサ210は、第1相関モデルを用いて、取得された工程条件データ、センシングデータ及び/または当該薄膜の工程中薄膜状態データから、当該薄膜の工程後薄膜状態データを導き出すことができる。
【0048】
一実施例において、1つ以上のプロセッサ210は、1つ以上の入力装置からユーザーが入力した命令の伝達を受けることができる。入力装置は、外部から制御装置100の少なくとも1つの構成要素に伝達するためのデータの入力を受ける装置であってもよい。例えば、入力装置は、マウス、キーボード、タッチパッドなどを含むことができる。一実施例において、1つ以上のプロセッサ210が入力装置から伝達を受ける情報は、ユーザーが入力した新たな工程条件、基板に対して工程後に測定された工程後薄膜状態測定データ、1つ以上の薄膜蒸着装置、センサまたは測定装置を制御するための信号などを含むことができる。
【0049】
また、一実施例において、1つ以上のプロセッサ210は、1つ以上の出力装置に多様な情報を伝達することができる。出力装置は、制御装置100から伝達を受けた多様な情報をユーザーに視覚的形態で提供する装置であってもよい。例えば、出力装置は、ディスプレイ、プロジェクター、ホログラムなどを含むことができる。一実施例において、1つ以上のプロセッサ210が出力装置に伝達する情報は、導き出された工程中薄膜状態データ、工程条件データ、薄膜測定結果などを含むことができる。
【0050】
一実施例において、制御装置100は、多様な形態の装置となり得る。例えば、制御装置100は、携帯用通信装置、コンピュータ装置、携帯用マルチメディア装置、ウェアラブル(wearable)装置または前述の装置のうち1つまたはそれ以上の組み合わせによる装置であってもよい。本開示の制御装置100は、前述の装置に限定されない。
【0051】
本開示による制御装置100の多様な実施例は、互いに組み合わせることができる。各実施例は、場合の数により組み合わせられ得、組み合わせて作られた制御装置100の実施例も本開示の範囲に属する。また、前述の本開示による制御装置100の内/外部の構成要素は、実施例により追加、変更、代替または削除され得る。また、前述の制御装置100の内/外部の構成要素は、ハードウェアコンポーネントで具現され得る。
【0052】
図3は、本開示の一実施例による、第1相関モデルを示す図である。前述の通り、第1相関モデル310は、機械学習アルゴリズムにより、工程条件データセット、センシングデータセット、工程中薄膜状態データセット及び/または工程後薄膜状態データセット間の相関関係をモデリングして構築された相関モデルであってもよい。薄膜の工程後薄膜状態データは、第1相関モデル310により導き出された(予測された)薄膜状態データであってもよい。一実施例において、第1相関モデル310は、前述のデータ以外に他のデータ、例えば、工程後基板に対して測定された工程後薄膜状態測定データとの相関関係をさらに考慮して構築されることもできる。
【0053】
本開示において機械学習は、データ及びデータを処理した経験を用いた学習を通じて、コンピュータソフトウェアがデータ処理能力を向上させることを意味し得る。機械学習は、相関モデルによって行われ得る。相関モデルは、データ間の相関関係をモデリングして構築されたものであって、相関関係は、複数のパラメータにより表現され得る。相関モデルは、与えられたデータから特徴を抽出して分析し、データ間の相関関係を導き出すが、このような過程を繰り返して相関モデルのパラメータを最適化していくことが機械学習であるといえる。例えば、データが相関モデルの入力及び出力対で与えられる場合、相関モデルは、入力と出力間のマッピング(相関関係)を学習することができる。または、入力データのみ与えられる場合にも、相関モデルは、与えられたデータ間の規則性を導き出してその関係を学習することもできる。一実施例において、機械学習アルゴリズムは、決定ツリー学習法、連関規則学習法、人工神経網、遺伝計画法、帰納論理計画法、サポートベクターマシン、クラスタリング、ベイズネットワーク、強化学習法、表現学習法及び/または同一性計測学習法の中から選択された少なくとも1つであってもよい。
【0054】
1つ以上のプロセッサ210は、第1相関モデル310に前述の工程条件データ320、センシングデータ325及び/または工程中薄膜状態データ330を入力することができる。第1相関モデル310は、入力された工程条件データ320、センシングデータ325、工程中薄膜状態データ330及び/またはその他のデータに基づいて、当該薄膜の工程後薄膜状態データ340を導き出す(予測する)ことができる。第1相関モデル310は、導き出された工程後薄膜状態データ340を出力することができる。
【0055】
一実施例において、1つ以上のプロセッサ210は、導き出された工程後薄膜状態データ340及び当該薄膜の規格(specification)を示す規格データ350に基づいて、現在、工程中にある当該薄膜が工程後に良品と判定される確率360を計算する(導き出す)ことができる。1つ以上のプロセッサ210は、導き出された工程後薄膜状態データ340を薄膜の規格データ350と比較することができる。薄膜の規格データは、1つ以上のメモリ220に格納されていてもよい。
【0056】
一実施例において、1つ以上のプロセッサ210は、計算された確率360が予め設定された基準値以下である場合、計算された確率360を示す知らせを1つ以上の出力装置に伝達することができる。予め設定された基準値は、1つ以上のメモリ220に格納されていてもよい。基準値は、実施例により異なって設定され得る。1つ以上の出力装置は、確率360を示す知らせをユーザーに表出することができる。一実施例において、表出される知らせは、計算された確率360の外に、基準値、規格データ350、工程条件データ320、工程中薄膜状態データ330及び/または第1相関モデル310により導き出された工程後薄膜状態データ340等をさらに含むこともできる。
【0057】
図4は、本開示の一実施例による、薄膜測定結果を前処理する過程を示す図である。前述の通り、1つ以上のプロセッサ210は、1つ以上の測定装置から受信した薄膜測定結果410に基づいて、当該薄膜の薄膜蒸着工程中の薄膜状態データを取得する(導き出す)ことができる。一実施例において、薄膜測定結果410から工程中薄膜状態データを取得する過程は、機械学習による第2相関モデルを用いて行われ得る。第2相関モデルについては後述する。第2相関モデルを用いるのに先立ち、1つ以上のプロセッサ210は、薄膜測定結果410を前処理(pre-processing)することができる。前処理過程において1つ以上のプロセッサ210は、薄膜測定結果410のうち一部をデータ変換アルゴリズムにより定量的データに変換して、前処理された測定データ460、480を取得することができる。
【0058】
具体的には、1つ以上のプロセッサ210は、取得された薄膜測定結果410が定量的データであるか否かを判断することができる(420)。本開示においてデータは、定量的データまたは定性的データであってもよい。定量的データは数値で表現され得るデータであって、定形化されたデータであり、統計的に分析が可能なデータであってもよい。定性的データは、自然言語による叙述で表現される範疇型データであって、非定型データであり、統計的な分析が容易ではないこともある。薄膜測定結果410が定量的データである場合、1つ以上のプロセッサ210は、該当データに別途のデータ変換過程を行わないこともある(422)。
【0059】
薄膜測定結果410が定性的データである場合、1つ以上のプロセッサ210は、薄膜測定結果410が定量的データへの変換が可能であるか判断することができる(430)。薄膜測定結果410が定量的データへの変換が不可能な場合、1つ以上のプロセッサ210は、該当データに別途のデータ変換過程を行わないこともある(432)。
【0060】
薄膜測定結果410が定量的データへの変換が可能な場合、1つ以上のプロセッサ210は、当該薄膜測定結果410を定量的データにデータ変換することができる(440)。一実施例において、データ変換は、一般的なデータ処理アルゴリズムにより行われ得る。一実施例において、データ変換過程440も、機械学習により構築された別途の相関モデルによって行われることもできる。
【0061】
一実施例において、本来定量的データである薄膜測定結果422及びデータ変換440を通じて定量化されたデータは、1つ以上のプロセッサ210によりソーティング(sorting)されたりトリミング(trimming)され得る(450)。データソーティング及び/またはトリミングされたデータは、前処理された測定データ460として用いられ得る。この前処理された測定データ460は、定量的データであってもよい。
【0062】
一実施例において、定量的データへの変換が不可能な薄膜測定結果432も、1つ以上のプロセッサ210によりソーティングされたりトリミングされ得る(470)。データソーティング及び/またはトリミングされたデータは、前処理された測定データ480として用いられ得る。この前処理された測定データ480は、定性的データであってもよい。
【0063】
一実施例において、データソーティング及び/またはトリミングの過程450、470には、一般的なソーティングアルゴリズムまたはトリミングアルゴリズムが用いられ得る。一実施例において、データソーティング及び/またはトリミング過程450、470は、省略され得る。
【0064】
図5は、本開示の一実施例による、第2相関モデルを示す図である。一実施例において、制御装置100は、薄膜測定結果410及び/または前処理された測定データ460、480から工程中の薄膜状態に関するデータ330を導き出すことができる。このために、機械学習により構築された第2相関モデル510が用いられ得る。
【0065】
具体的には、1つ以上のメモリ220は、第2相関モデル510をさらに格納することができる。第2相関モデル510は、機械学習アルゴリズムにより、薄膜測定結果セット、前処理された測定データセット、及び/または工程中薄膜状態データセット間の相関関係をモデリングして構築された相関モデルであってもよい。一実施例において、薄膜測定結果セット、前処理された測定データセット、及び/または工程中薄膜状態データセットは、工程中の基板105とは異なる、複数の基板に対して予め生成されたデータであってもよい。
【0066】
1つ以上のプロセッサ210は、第2相関モデル510を用いて、薄膜測定結果410、前処理された測定データ460、480及び/またはその他の情報から、当該薄膜の工程中薄膜状態に関するデータ330を導き出すことができる。具体的には、1つ以上のプロセッサ210は、薄膜測定結果410及び/または前処理された測定データ460、480を第2相関モデル510に入力することができる。1つ以上のプロセッサ210は、第2相関モデル510から、当該薄膜の工程中薄膜状態データを導き出すことができる。一実施例において、第2相関モデル510により導き出された工程中薄膜状態データ330は、前述の通り、第1相関モデル310に入力され得る。
【0067】
本実施例では、第1相関モデル310と第2相関モデル510が2つの別途のモデルとして構築されたものとして例示しているが、本開示はこれに限定されない。一実施例として、第1相関モデル310と第2相関モデル510の一部または全部が統合構築され得る。他の実施例として、第1相関モデル310と第2相関モデル510が3以上のサブモデルで構築されることもできる。
【0068】
図6は、本開示の一実施例による、回折パターンイメージから工程中薄膜状態データを導き出す過程を示す図である。一実施例において、薄膜測定結果410は、高エネルギー反射電子回折測定法により1つ以上の測定装置から取得された、回折パターンイメージであってもよい。
【0069】
一実施例において、1つ以上のプロセッサ210は、薄膜測定結果410である回折パターンイメージに基づいて、前処理された測定データ460、480である回折パターンのパターン類型、パターン間隔及び/または反射された電子ビームの強度を導き出すことができる。薄膜測定結果410から前処理された測定データ460、480を導き出す過程は、前述の通りである。一実施例において、回折パターン類型は定性的データ、パターン間隔及び/または反射された電子ビームの強度は定量的データであってもよい。
【0070】
一実施例において、1つ以上のプロセッサ210は、薄膜測定結果410である回折パターンイメージ及び/または前処理された測定データ460、480である回折パターンのパターン類型、パターン間隔、反射された電子ビームの強度から、工程中薄膜状態情報330を導き出す(予測する)ことができる。導き出される工程中薄膜状態情報330は、例えば、薄膜の表面構造、薄膜の結晶構造、薄膜の原子組成、薄膜の応力及び/または薄膜の蒸着速度を含むことができる。工程中薄膜状態情報330の導出過程は、前述の通り、第2相関モデル510を用いて行われ得る。例えば、1つ以上のプロセッサ210は、回折パターン類型から薄膜の表面構造及び/または薄膜の結晶構造を導き出すことができる。1つ以上のプロセッサ210は、パターン間隔から薄膜の原子組成及び/または薄膜の応力を導き出すことができる。また、1つ以上のプロセッサ210は、反射された電子ビームの強度から薄膜の蒸着速度を導き出すことができる。
【0071】
図7は、本開示の一実施例による、回折パターン類型別の実際の薄膜の表面構造を示す図である。前述の通り、回折パターン類型から実際の薄膜の表面構造が導き出され得る。回折パターン類型による実際の薄膜の表面構造の予測は、第2相関モデル510によって行われ得る。第2相関モデル510は、回折パターン類型と薄膜の表面構造間の相関関係を機械学習して、回折パターン類型から薄膜の予想表面構造を導き出すことができる。
【0072】
例えば、回折パターンが斑点(spots)類型である場合、薄膜の表面構造は、1つの平たい結晶表面(flat and single crystalline surface)を有するものと予測され得る(710)。回折パターンが縞(streaks)類型である場合、薄膜の表面構造は、小領域を有する平たい表面(flat surface with small domains)の形態であるものと予測され得る(720)。回折パターンが衛星型縞(satellite streaks)類型である場合、薄膜の表面構造は、2段階の階段式表面(two-level stepped surface)であるものと予測され得る(730)。回折パターンが変調された縞(modulated streaks)類型である場合、薄膜の表面構造は、複数の段階の階段式表面(multilevel stepped surface)であるものと予測され得る(740)。回折パターンが傾斜した縞(inclined streaks)類型である場合、薄膜の表面構造は、隣接表面(vicinal surface)形態であるものと予測され得る(750)。回折パターンが伝送型斑点(transmission spots)類型である場合、薄膜の表面構造は、3D島(3D islands)形態であるものと予測され得る(760)。
【0073】
図8は、本開示の一実施例による、薄膜蒸着工程中にリアルタイムで取得される回折パターンイメージを示す図である。一実施例において、薄膜蒸着工程中の薄膜に対して複数の回折パターンイメージが連続的に取得され得る。回折パターンイメージは、それぞれ該当する時間での薄膜の表面に関する情報を有することができる。連続的に取得された回折パターンイメージを、前述の過程により第2相関モデル510を通じて分析することにより、薄膜蒸着工程中の薄膜状態をリアルタイムで把握することができる。
【0074】
図9は、本開示の一実施例による、第1相関モデルを用いて薄膜蒸着装置を制御する過程を示す図である。一実施例において、制御装置100は、前述の第1相関モデル310を用いて、薄膜蒸着工程後に薄膜が所望の薄膜状態を有するようにするための、工程条件変更データ930及び/またはターゲットセンシングデータ940を導き出すことができる。本開示において工程条件変更データ930は、工程後薄膜状態データが所望の値を有するようにするために、現在の工程で用いられている工程条件データを変更した工程条件データであってもよい。本開示においてターゲットセンシングデータ940は、工程後薄膜状態データ340が所望の値を有するようにするために、1つ以上の薄膜蒸着装置の状態(例:動作状態)をセンシングした値の目標値を意味し得る。即ち、第1相関モデル310は、1つ以上の薄膜蒸着装置が導き出された工程条件変更データ930及び/またはターゲットセンシングデータ940に従って動作する場合、所望の工程後薄膜状態データ340に至ることができると判断することができる。
【0075】
具体的には、1つ以上のプロセッサ210は、工程条件データ320、センシングデータ325及び/または導き出された工程中薄膜状態データ330を第1相関モデル310に入力することができる。第1相関モデル310は入力に対応して、前述の工程条件変更データ930及び/またはターゲットセンシングデータ940を出力することができる。
【0076】
一実施例において、工程条件変更データ930及び/またはターゲットセンシングデータ940は、工程後薄膜状態データ340が前述の規格データ350にマッチングされるようにする工程条件データ及び/またはセンシングデータであってもよい。
【0077】
一実施例において、工程条件変更データ930及び/またはターゲットセンシングデータ940は、現在の工程中にある当該薄膜が工程後に良品と判定される確率360を前述の基準値以上にするための工程条件データ及び/またはセンシングデータであってもよい。
【0078】
1つ以上のプロセッサ210は、工程条件変更データ930及び/またはターゲットセンシングデータ940を用いて、1つ以上の薄膜蒸着装置を制御することができる。例えば、1つ以上のプロセッサ210は、工程条件変更データ930及び/またはターゲットセンシングデータ940に従って、基板ヒータ120、シャッタ130、ソースヒータ140、その他バルブなどを制御することができる。これにより、基板温度、ソース流量、処理室内の温度、その他圧力などが制御され得る。
【0079】
図10は、本開示の一実施例による、工程後薄膜状態測定データを処理する過程を示す図である。一実施例において、薄膜蒸着工程を終えた基板の薄膜状態が、処理室外部で測定され得る(ex-situ測定)。このような測定は、非接触式面抵抗ポイントまたはマップ測定、光ルミネセンス(photo luminescence)ポイントまたはマップ測定、AFM(Atomic Force Microscope)、パーティクルカウンタマップ測定、反射計ポイントまたはマップ測定、反り程度マップ測定、及び/またはX線回折分光ポイントまたはマップ測定を含むことができる。実施例により、このような測定過程は、外部測定サービスと呼ばれることもある。一実施例において、測定により取得された工程後薄膜状態測定データ1000は、サーバに格納され得る。
【0080】
一実施例において、1つ以上のプロセッサ210は、通信インターフェース230を制御してサーバから必要な情報を取得することができる。サーバから取得された情報は、1つ以上のメモリ220に格納され得る。一実施例において、サーバから取得される情報は、工程後薄膜状態測定データ1000を含むことができる。1つ以上のプロセッサ210は、予め設定されたAPI(Application Program Interface)を用いて、通信インターフェース230を介して、工程後薄膜状態測定データ1000等の情報をサーバから受信することができる。
【0081】
一実施例において、制御装置100は、サーバから取得された工程後薄膜状態測定データ1000と第1相関モデルにより導き出された(予測された)工程後薄膜状態データ340を比較することができる。比較を通じて、制御装置100は、第1相関モデル310を学習させることができる。具体的には、1つ以上のプロセッサ210は、前述の工程条件データ320、工程中薄膜状態データ330、工程後薄膜状態測定データ1000及び/または第1相関モデル310から導き出された工程後薄膜状態データ340を第1相関モデル310に入力することができる。第1相関モデル310は、入力されたデータ間の相関関係を導き出すことができる。第1相関モデル310は、導き出された相関関係を用いて、第1相関モデル310の相関関係を更新することができる。即ち、第1相関モデル310は、入力されたデータを用いて機械学習を行うことができる。
【0082】
一実施例において、薄膜蒸着工程を終えた基板の薄膜状態は、外部サービスにより測定されてサーバを介して制御装置100に伝達されるのではなく、1つ以上の測定装置により測定されて、すぐに制御装置100に伝達されることもできる。
【0083】
図11は、本開示の一実施例による、出力装置の表出画面を示す図である。前述の通り、1つ以上のプロセッサ210は、1つ以上の出力装置に多様な情報を伝達することができる。1つ以上の出力装置は、伝達を受けた多様な情報をユーザーに表出させることができる。
【0084】
具体的には、1つ以上のプロセッサ210は、工程条件データ320、工程中薄膜状態データ330、第1相関モデル310により導き出された工程後薄膜状態データ340、薄膜測定結果410、前処理された測定データ460、480、薄膜の規格データ350、当該薄膜が良品と判定される確率360、計算された確率360に対する基準値、1つ以上の薄膜蒸着装置のセンシングデータ325、工程条件変更データ930、ターゲットセンシングデータ940、工程後薄膜状態測定データ1000及び/または工程に用いられる薄膜蒸着方法の中から選択された少なくとも1つを、1つ以上の出力装置に伝達することができる。出力装置は、伝達を受けた前述のデータをユーザーに表出することができる。例えば、回折パターンイメージが薄膜測定結果410として、パターン類型、パターン間隔などが前処理された測定データ460、480として出力され得る。
【0085】
一実施例において、1つ以上のプロセッサ210は、制御装置100と1つ以上の薄膜蒸着装置、1つ以上の測定装置間の通信状況、動的にレンダリングされた薄膜蒸着工程のキネティックシミュレーション、工程中薄膜の結晶構造のシミュレーション及び/または1つ以上の薄膜蒸着装置の非正常な動作状態に関する知らせの中から選択された少なくとも1つを、1つ以上の出力装置に伝達することができる。出力装置は、伝達を受けた前述のデータをユーザーに表出することができる。
【0086】
一実施例において、出力装置を介して出力されるデータは、所定の統一されたデータ構造(例:テキストまたはグラフィック)に整理されて出力され得る。一実施例において、出力されるデータは、所定の形式によりレンダリングされるか、所定のレイアウトでフォーマッティングされて出力され得る。一実施例において、ユーザーが入力装置を介してデータ出力方式を入力すると、入力されたデータ出力方式に基づいて出力されるデータが表出され得る。例えば、出力装置は、工程条件データ320、規格データ350及び規格データ関連情報、1つ以上の薄膜蒸着装置及び1つ以上の測定装置の状態、外部測定サービス関連情報、及び/または用いられた測定方法などに関する情報を表出することができる(1110)。また、出力装置は、薄膜測定結果410及び/または前処理された測定データ460、480を表出することができる(1120)。また、出力装置は、1つ以上のプロセッサ210及び/または相関モデルにより導き出された結果を表出することができる(1130)。
【0087】
一実施例において、1つ以上の出力装置を介して多様なデータを出力することにより、ユーザーに1つ以上の薄膜蒸着装置を制御させたり、工程条件データ320等を修正させるように誘導することができる。また、データの出力を通じて、ユーザーに1つ以上の薄膜蒸着装置に対するメンテナンスを行わせるように誘導することができる。
【0088】
図12は、本開示による制御装置によって行われ得る、薄膜蒸着方法の一実施例を示す図である。本開示による薄膜蒸着方法は、コンピュータで具現された方法であってもよい。図示されたフローチャートで本開示による方法またはアルゴリズムの各段階が順次的な順序で説明されたが、各段階は順次的に行われる他に、本開示により任意に組み合わせ得る順序によって行われることもできる。本フローチャートによる説明は、方法またはアルゴリズムに変化または修正を加えることを除外せず、任意の段階が必須であるか好ましいということを意味しない。一実施例において、少なくとも一部の段階が並列的、反復的またはヒューリスティックに行われ得る。一実施例において、少なくとも一部の段階が省略されたり、他の段階が追加されたりすることができる。
【0089】
本開示による制御装置100は、薄膜蒸着工程を行うにおいて、本開示の多様な実施例による薄膜蒸着方法を行うことができる。本開示の一実施例による薄膜蒸着方法は、薄膜蒸着工程を実行させる段階S1210、薄膜測定結果を取得する段階S1220、薄膜測定結果から薄膜の工程中薄膜状態データを取得する段階S1230及び/または第1相関モデルを用いて、薄膜の工程後薄膜状態データを導き出す段階S1240を含むことができる。
【0090】
段階S1210において、1つ以上のプロセッサ210は、1つ以上のメモリ220にアクセスし、予め設定された工程条件データ320に従って薄膜蒸着工程を行うためのレシピを実行して、1つ以上の薄膜蒸着装置に薄膜蒸着工程を実行させることができる。段階S1220において、1つ以上のプロセッサ210は、工程中の薄膜の状態を測定して薄膜測定結果410を生成する1つ以上の測定装置から薄膜測定結果410を取得することができる。
【0091】
段階S1230において、1つ以上のプロセッサ210は、薄膜測定結果410から薄膜の工程中薄膜状態データ330を取得することができる。段階S1240において、1つ以上のプロセッサ210は、第1相関モデル310を用いて、工程条件データ320、センシングデータ325、及び工程中薄膜状態データ330から薄膜の工程後薄膜状態データ340を導き出すことができる。
【0092】
前述の通り、センシングデータ325は、1つ以上のセンサが薄膜蒸着装置の少なくとも一部の状態をセンシングして生成され得る。第1相関モデル310は、機械学習アルゴリズムにより、工程条件データセット、センシングデータセット、工程中薄膜状態データセット、及び/または工程後薄膜状態データセット間の相関関係をモデリングして構築された相関モデルであってもよい。工程条件データセット、センシングデータセット、工程中薄膜状態データセット、及び工程後薄膜状態データセットは、工程中の基板105とは異なる複数の基板に対して生成されたデータであってもよい。
【0093】
一実施例において、薄膜蒸着方法は、1つ以上のプロセッサ210が、工程後薄膜状態データ340及び1つ以上のメモリ220に格納された薄膜の規格データ350に基づいて、工程中の薄膜が工程後に良品と判定される確率360を計算する(導き出す)段階をさらに含むことができる。
【0094】
一実施例において、薄膜蒸着方法は、確率360が予め設定された基準値以下である場合、1つ以上のプロセッサ210が確率360を示す知らせを、1つ以上の出力装置に伝達する段階をさらに含むことができる。
【0095】
一実施例において、段階S1230は、1つ以上のプロセッサ210が、薄膜測定結果410のうち一部をデータ変換アルゴリズムにより定量的データに変換して、前処理された測定データ460、480を取得する段階を含むことができる。
【0096】
一実施例において、段階S1230は、1つ以上のプロセッサ210は、第2相関モデル510を用いて、薄膜測定結果410及び前処理された測定データ460、480のうち少なくとも1つから、工程中薄膜状態データ460、480を導き出す段階をさらに含むことができる。
【0097】
一実施例において、薄膜測定結果410は、1つ以上の測定装置が工程中の薄膜に照射した電子ビームが薄膜から反射されて形成される回折パターンを示す回折パターンイメージであってもよい。一実施例において、前処理された測定データ460、480は、回折パターンのパターン類型、パターン間隔または反射された電子ビームの強度の中から選択された少なくとも1つであってもよい。一実施例において、第2相関モデル510から導き出される工程中薄膜状態データ330は、工程中薄膜の表面構造、結晶構造、薄膜の応力、薄膜の原子組成または工程の薄膜蒸着速度の中から選択された少なくとも1つであってもよい。
【0098】
一実施例において、薄膜蒸着方法は、1つ以上のプロセッサ210が、工程条件データ320、センシングデータ325、工程中薄膜状態データ330、工程後薄膜状態データ340、薄膜測定結果410及び前処理された測定データ460、480のうち少なくとも1つを、1つ以上の出力装置に伝達する段階をさらに含むことができる。
【0099】
一実施例において、薄膜蒸着方法は、1つ以上のプロセッサ210が、第1相関モデル310を用いて、工程条件データ320、センシングデータ325、及び工程中薄膜状態データ330から、工程後薄膜状態データ340が規格データ350にマッチングされるようにする工程条件変更データ930及びターゲットセンシングデータ940のうち少なくとも1つを導き出す段階;及び/または工程条件変更データ930及びターゲットセンシングデータ940のうち少なくとも1つに基づいて、薄膜蒸着装置を制御する段階をさらに含むことができる。
【0100】
一実施例において、薄膜蒸着方法は、1つ以上のプロセッサ210が、第1相関モデル310を用いて、工程条件データ320、センシングデータ325、及び工程中薄膜状態データ330から、確率360を基準値以上にするための工程条件変更データ930及びターゲットセンシングデータ940のうち少なくとも1つを導き出す段階;及び/または工程条件変更データ930及びターゲットセンシングデータ940のうち少なくとも1つに基づいて、薄膜蒸着装置を制御する段階をさらに含むことができる。
【0101】
一実施例において、薄膜蒸着方法は、1つ以上のプロセッサ210が、予め設定されたAPIを用いて、通信インターフェース230を介して、サーバから工程後薄膜状態測定データ1000を受信する段階をさらに含むことができる。工程後薄膜状態測定データ1000は、工程後の薄膜を測定することにより取得された薄膜状態データであってもよい。
【0102】
一実施例において、薄膜蒸着方法は、1つ以上のプロセッサ210が、工程条件データ320、センシングデータ325、工程中薄膜状態データ330、工程後薄膜状態測定データ340、及び/または第1相関モデル310から導き出された工程後薄膜状態データ340を第1相関モデル310に入力し、機械学習アルゴリズムにより第1相関モデル310の相関関係を更新する段階をさらに含むことができる。
【0103】
一実施例において、1つ以上の薄膜蒸着装置は、MBE(Molecular Beam Epitaxy)、PLD(Pulsed Laser Deposition)、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)、ALD(Atomic Layer Deposition)、蒸発(Evaporation)、スパッタリング(Sputtering)、及び昇華(Sublimation)の中から選択された少なくとも1つの薄膜蒸着方法により薄膜蒸着工程を行うことができる。
【0104】
本開示の多様な実施例は、機器(machine)が読み取ることができる記録媒体(machine-readable recording medium)に記録されたソフトウェアで具現され得る。ソフトウェアは、前述の本開示の多様な実施例を具現するためのソフトウェアであってもよい。ソフトウェアは、本開示が属する技術分野のプログラマーにより、本開示の多様な実施例から推論され得る。例えば、ソフトウェアは、機器が読み取ることができる命令(例:コードまたはコードセグメント)またはプログラムであってもよい。機器は、記録媒体から呼び出された命令語により動作が可能な装置であって、例えば、コンピュータであってもよい。一実施例において、機器は、本開示の実施例による制御装置100であってもよい。一実施例において、機器のプロセッサは、呼び出された命令を実行して、機器の構成要素に当該命令に該当する機能を行わせることができる。一実施例において、プロセッサは、本開示の実施例による1つ以上のプロセッサ210であってもよい。記録媒体は、機器により読み取られることができる、データが格納される全ての種類の記録媒体(recording medium)を意味し得る。記録媒体は、例えば、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、光データ格納装置などを含むことができる。一実施例において、記録媒体は、1つ以上のメモリ220であってもよい。一実施例において、記録媒体は、ネットワークに連結されたコンピュータシステムなどに分散した形態として具現されることもできる。ソフトウェアは、コンピュータシステムなどに分散して格納されて、実行され得る。記録媒体は、非一時的(non-transitory)記録媒体であってもよい。非一時的記録媒体は、データが半永久的または臨時的に格納されることと関係がなく実在する媒体(tangible medium)を意味し、一時的(transitory)に伝播される信号(signal)を含まない。
【0105】
以上、多様な実施例により本開示の技術的思想を説明したものの、本開示の技術的思想は、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者が理解することができる範囲でなされ得る多様な置換、変形及び変更を含む。また、そのような置換、変形及び変更は、添付の請求の範囲内に含まれ得るものとして理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12