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特許7536315作動マイクロピクセレーションおよび動的密度制御を用いた物体のデジタル製造のための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】作動マイクロピクセレーションおよび動的密度制御を用いた物体のデジタル製造のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/165 20170101AFI20240813BHJP
   B29C 64/277 20170101ALI20240813BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20240813BHJP
   B29C 64/40 20170101ALI20240813BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240813BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240813BHJP
【FI】
B29C64/165
B29C64/277
B29C64/393
B29C64/40
B33Y10/00
B33Y50/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021555035
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 US2020021378
(87)【国際公開番号】W WO2020185553
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】62/817,431
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517352005
【氏名又は名称】トリオ ラブズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TRIO LABS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】アダム ティー シー スティージ
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-532613(JP,A)
【文献】特表2018-520028(JP,A)
【文献】特開2013-241320(JP,A)
【文献】特開2008-184623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元物体の製造方法であって、
粉末材料と結合剤材料の混合組成物を含むビルド材料をビルド表面へ供給する段階と、
前記の供給されたビルド材料から前記結合剤材料の一部又は前記ビルド材料の液体成分の一部を除去することによって前記ビルド表面に供給される前記ビルド材料の粉末装填密度を増大させる段階と、
前記ビルド材料へ選択的に照射して前記ビルド材料の一部の物理状態を変化させる段階、
を有し、
前記ビルド材料へ選択的に照射する段階は、前記ビルド材料上に画像を投影することで、前記結合剤材料又は前記ビルド材料の液体成分の一部が固化されるように前記ビルド材料の一部を変更する段階を含む、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記ビルド材料を前記ビルド表面へ供給する段階は、前記ビルド材料を混合前流体として供給する段階を含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、複数の材料層を順次生成する段階と、前記複数の材料層を放射して物体を生成する段階を有する方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記ビルド材料を選択的に放射する段階は、前記物体が流体の貫流を可能にする構造を有する放射パターンで前記ビルド材料を放射する段階を含む、方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法であって、前記ビルド材料を前記ビルド表面へ供給する段階は、
前記ビルド材料をビルド材料のバットまで低下させる段階と、
前記ビルド表面をビルド材料の前記バットから離れるように段階的に移動させる段階、
を含む方法。
【請求項6】
請求項2に記載の方法であって、前記ビルド材料を前記ビルド表面へ供給する段階は、
前記ビルド表面上に材料の層を供給する段階と、
前記ビルド表面を像生成システムから離れる方向に段階的に移動させる段階、
を含む方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、ドクターブレードを用いて前記ビルド表面上に供給される前記ビルド材料の条件を調節する段階を有する、方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、膜を用いて前記ビルド表面上に供給される前記ビルド材料の層を平坦化及び分配する段階を有する、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、層生成中に前記膜を剛性表面で安定化させる段階を有する、方法。
【請求項10】
請求項4に記載の方法であって、前記ビルド材料の粉末装填密度を増大させる段階は、前記ビルド表面全体に流体を流す段階を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記ビルド材料の粉末装填密度を増大させる段階は、ビルド中の前記物体を貫くように流体を流す段階を含む、方法。
【請求項12】
請求項2に記載の方法であって、前記ビルド材料の粉末装填密度を増大させる段階は、超音波撹拌を用いて前記粉末材料を密集化する段階を含む、方法。
【請求項13】
請求項2に記載の方法であって、前記ビルド材料の粉末装填密度を増大させる段階は、前記結合剤材料の少なくとも1つの成分の少なくとも一部を揮発させる段階を含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記少なくとも1つの成分は揮発性有機溶媒である、方法。
【請求項15】
請求項3に記載の方法であって、前記ビルド材料の粉末装填密度を増大させる段階は、所与の層からある量の結合剤を除去することで前記層が有孔性構造を有するようにする段階を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、平成31年3月12日に出願された米国仮特許出願第62/817,431号の優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本明細書に開示される主題は、一般に、物体の固体自由形状製造に関する。より具体的には、本明細書で開示される主題は、1つ以上のタイプの材料の組合せを含む、金属、プラスチック、セラミック、および複合材料からの物体の固体自由形状製造のためのシステム、デバイス、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書に記載される実施形態は、一般に、金属、プラスチック、セラミック、および1つ以上のタイプの材料の組み合わせを含む複合材料から物体を固体自由形状で製造するためのデバイスおよび方法に関する。
【0004】
固体自由形状製造(SFF)、3Dプリンティング(3DP)、直接デジタル製造(DDM)、および固形画像としても知られる添加剤製造(AM)は、視覚的に実証的で機能的な部品の両方を試作する広く採用されている方法となっている。場合によっては、これは、製造のための費用効果の高い手段にもなっている。デジタル・モデルに基づいて成分を生産する多種多様な手段が存在し、いずれも完全な設計サイクルに要する時間とコストを削減した。これにより、多くの産業におけるイノベーションのペースが向上した。
【0005】
一般的に、SFFはレイヤ表面方式で達成され、ここでデジタルモデルは水平スライスに分割され、各スライスはビルド表面上の2D画像として生成される。これらのスライスの逐次製造は、ディジタルモデルで表される3次元物体を集合的に構成する薄い層が凝集した集合体を生成する。CNC(Computer Numerically Controlled)機械加工、射出成形、その他の手段のような伝統的な製造技術とは対照的に、SFFは生産時間とコストを著しく削減し、伝統的な手段による少量生産が非常に高価になる研究開発目的に広く採用されてきた。加えて、SFF装置は、一般に、CNC機械と比較した場合、作動するのにあまり専門的な知識を必要としない。CNC機械から製造される個々の部品のコストは一般に高く、これは段取り時間が長くなり、機械動作のコストが高くなるためである。CNCで製造された部品は、しばしば、SFFで製造された部品よりも、より強力で詳細な特徴を有し、それは、幾つかの用途に望ましいものとなるであろう。SFF技法がCNC生産部品の解像度と機能性で部品を生産できるまでは、部品生産におけるSFFの使用は制約が残るであろう。
【0006】
粉末射出成形(PIM)は、従来他の成形法では不可能であった材料で高精度部品を製造する手段として広く採用されてきた量産技術である。粉末を樹脂結合剤とブレンドして射出原料を形成し、これをプラスチック射出成形と同様に金型に射出する。製造された部品は、「グリーン」部品と呼ばれる粉末複合部品であり、グリーン部品は脱結合剤と呼ばれる工程にかけられ、結合剤の大部分が除去され、得られた部品は「ブラウン」部品と呼ばれる。次に、この褐色部分に熱処理を施して、粉末粒子を一緒に焼結させる。この処理中に部品が収縮し、粉末粒子間の空隙が除去される。それらの最終結果は、ほぼ完全な密度を有する部品である。利用された粉末供給原料の組成に応じて、99.5%を超える密度を達成するために、さらなる後処理が利用されてもよい。
【0007】
SFFのための最も一般的な技術の幾つかは、ステレオリソグラフィー(SLA)、選択的析出モデリング(SDM)、融合析出モデリング(FDM)、および選択的レーザ焼結(SLS)を含む。これらのアプローチは、それらが使用することができる材料のタイプ、層が生成される様式、およびその後に生成される部品の解像度および品質において変化する。典型的には、層は、バルク材料堆積法または選択的材料堆積法で製造される。層製造のためにバルク堆積法を用いる技術において、層画像形成は、典型的には、熱的、化学的、または光学的プロセスによって達成される。1つの技術である結合剤ジェットがあり、これは、インクジェットプリントヘッドを利用して、結合剤を粉末床に堆積させて、PIMプロセスにおいて前述のグリーン部品と同様の部品を生成する。このグリーン部品は、最終部品を製造するために、同じ方法で後処理することができる。残念ながら、グリーン部品部品を製造するプロセスの不完全性のために、このプロセスを通して製造された最終部材は、特に表面仕上げになったときに、高精度の用途のための許容範囲を満たさないことが多い。さらに、結合剤噴射プロセスの精度および速度が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
様々な用途のための成分(例えば、プラスチック、金属、およびセラミック部品)を製造するための、固体自由形状製造のためのデバイスおよび関連する方法の実施形態が、本明細書に開示される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一部の実施形態では、本願明細書で開示されている当該SFF方法及び装置は、デジタルモデルの3次元固体表現を製造するために材料の層を受ける表面と、ビルド材料の必要な層を堆積する(複数の)手段と、前記ビルド材料をデジタルモデルに含まれるデータを表す断面の像にする(複数の)手段を備える。一の実施形態では、前記ビルド材料は粒子状材料と光硬化性樹脂材料で構成される。ビルド表面でこれらの材料が結合することで、粉末複合部品の製造に用いられてきた上述の装置のレオロジー上の制約が克服される。他の実施形態では、前記ビルド材料は、ポリマー部材を製造する光硬化性樹脂材料である。他の実施形態では、前記材料はビルドプロセスに先だって混合され、かつ、混合物の密度は前記ビルドプロセス中に変更されることで、プリント部品の特性が最適化されてよい。
【0010】
それに加えて一部の実施形態では、後述する方法及び装置は、前記ビルド材料のうちの一を粒子状材料(たとえばセラミック、プラスチック、又は金属)として利用してよい。この装置から生成された部品は、前記ビルドプロセスが隣接する粒子間間での結合を促進した後に処理されてよい。前記処理は、熱処理、化学処理、及び圧力処理、並びにこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。この製造プロセスと処理プロセスの結果は、稠密性金属部品、稠密性セラミック部品、稠密性プラスチック部品、有孔性金属部品、有孔性セラミック部品、有孔性プラスチック部品、稠密性複合プラスチック部品、及び1種類以上の材料を含む複合部品を含むが、これらに限定されない。
【0011】
粒子状材料の材料堆積は複数の手段-ブレード機構による拡散、粉末計量システムとブレード機構の組み合わせによる拡散、粉末計量システムとローラー機構の組み合わせによる拡散、搬送面上での静電的堆積をそれに続く前記ビルド表面への堆積を含むがこれらに限定されない-によって実現され得る。光硬化性材料(たとえば樹脂)の注入は、特化された注入ビルドプラットフォームによってビルド中の部材の本体を介した注入によって実現され得る。他の材料堆積方法及びその場材料混合方法は以降で説明する。
【0012】
加えて粉末と結合剤のスラリー混合体の層の生成方法は、スプレー堆積、ポンプシステムによる前記材料の供給、又は、粘性流体を供給する他の方法を含んでよい。層の生成はさらに、ブレード、膜の像生成窓、固体表面により強化される膜による条件の調節又は、層の厚さと均一性を制御する他の方法を含んでよい。
【0013】
層の像生成は複数の手段-たとえば反射ピクセルシフトシステムが投影系の実効解像度を増大させるのに利用されるプログラム可能な面光源(たとえばDLP投影機)を含むがこれに限定されない-によって実現されてよい。画素がマイクロレンズシステムによって変更されることで、前記像生成プロセスの解像度はさらに改善され得る。
【0014】
さらに一の態様では、所与の3次元物体を表すデジタルデータに従って物体が光硬化性樹脂材料を用いて製造可能な固体自由形状製造装置が供される。
【0015】
他の態様では、粒子状材料と光硬化性樹脂材料で構成される複合物体を生成し得るSFF装置が供される。
【0016】
他の態様では、材料の層を生成するバルク堆積法を利用するSFF装置が供される。
【0017】
他の態様では、粒子状材料と光硬化性樹脂材料とを結合して材料の複合層を生成するSFF装置が供される。
【0018】
他の態様では、材料成分の互換性を可能にすることで広範な材料の組み合わせの利用を可能にするSFF装置が供される。
【0019】
他の態様では、粉末層のその場注入による複合層の生成を実現するSFF装置が供される。
【0020】
他の態様では、注入プラットフォームを用いて材料のその場結合を行うSFF装置が供される。
【0021】
他の態様では、解像度の改善を実現するためにマイクロピクセル化を利用するSFF装置が供される。
【0022】
他の態様では、解像度の改善を実現するためにピクセルシフト手段を利用するSFF装置が供される。
【0023】
他の態様では、SFF装置によって生成される物体は、熱的、化学的、又は機械的に処理されることで、材料成分の内部接合が改善されてよい。
【0024】
他の態様では、フィードバックシステムが、材料堆積の速さを最適化するのに用いられ得る。
【0025】
他の態様では、プリント部品内での粒子装填密度を増大させるために前記ビルドプロセス中に変更される混合供給原料が用いられてよい。
【0026】
他の態様では、プリント部品は、高い最終密度を実現するための熱処理前に表面の品質を改善するために化学処理されてよい。
【0027】
本発明のさらなる特徴は、添付の図面と併せて以下の本発明の詳細な説明からより容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1】本開示の主題の一実施形態による、固体自由形状製造のための機械の立面斜視図である。
図2図1の機械の下から見た斜視図である。
図3】第2の構成における図1の機械の斜視図である。
図4図3の機械の断面図である。
図5】第3の構成における図3の機械の断面図である。
図6図1の機械の別の実施形態の立面斜視図である。
図7図6の機械の断面図である。
図8】製造プロセス中の図6の機械の拡大断面図である。
図9図6の機械によって構築されている部品の概略図である。
図10図1における機械の潜在的実施形態において利用されるマイクロミラーアレイの第1の構成の立面斜視図である。
図11】第2の構成における図10のマイクロミラーアレイの立面斜視図である。
図12図1における機械の潜在的実施形態において使用され得るような、マイクロピクセル化およびピクセルシフトシステムの概略図である。
図13】反射ビーム誘導システムの概略図である。
図14】屈折ビーム誘導システムの概略図である。
図15図14のシステムの代替実施形態の概略図である。
図16図8のシステムの一実施例の立面斜視図である。
図17図16のシステムの正面斜視図である。
図18】第2の構成における図16のシステムの立面斜視図である。
図19】第3の構成における図16のシステムの立面斜視図である。
図20図16における像生成システムの潜在的実施形態において使用されるマイクロLEDアレイの第1の構成の立面斜視図である。
図21図20におけるマイクロLEDアレイの第2の構成の立面斜視図である。
図22図16における像生成システムの潜在的実施形態において使用されるLCDマスク像生成システムの立面斜視図である。
図23】ピクセルシフト像生成システムを使用して投影されたピクセルの上面図である。
図24】第2の構成における、図23内の画素の上面図である。
図25】第3の構成における、図23内の画素の上面図である。
図26】第4の構成における、図23内の画素の上面図である。
図27図16のシステムによって投影された画素の上面図である。
図28図16のシステムによって投影された画素の別の上面図である。
図29図12の微小混合システムの別の実施形態の立面斜視図である。
図30図29のシステムの下から見た斜視図である。
図31】マイクロピクセルラスタリング経路の上面図である。
図32】第2のマイクロピクセル・ラスタリング経路の上面図である。
図33】第3のマイクロピクセル・ラスタリング経路の上面図である。
図34】本開示の主題の実施形態による、固体自由形状製造のための機械の第2の実施形態の立面斜視図である。
図35図34の機械の断面図である。
図36図34の機械によって使用され得る運搬プロセスの第1の工程の概略図である。
図37図34の機械によって使用され得る運搬プロセスの第2の工程の概略図である。
図38図34の機械によって使用され得る運搬プロセスの第3の工程の概略図である。
図39図34の機械によって使用され得る運搬プロセスの第4の工程の略図である。
図40】本開示の主題の実施形態による、固体自由形状製造のための機械の第3の実施形態の立面斜視図である。
図41図40の機械の拡大図である。
図42図40の機械で使用され得る材料堆積システムの立面斜視図である。
図43図42における材料堆積システムの下方からの斜視図である。
図44図40における機械によって使用され得る運搬プロセスの第1の工程の概略図である。
図45図40の機械によって使用され得る運搬プロセスの第2の工程の概略図である。
図46図40の機械によって使用され得る運搬プロセスの第3の工程の概略図である。
図47図40の機械によって使用され得る代替材料運搬プロセスの第1工程の概略図である。
図48図40の機械によって使用され得る代替材料運搬プロセスの第2工程の概略図である。
図49】本開示の主題の実施形態による、固体自由形状製造のための機械の第4の実施形態の立面斜視図である。
図50図49の機械によって使用され得る材料堆積システムの正面図である。
図51図50における材料堆積システムの立面斜視図である。
図52】本開示の主題の前の実施形態のうちの1つ以上で使用することができる材料ハンドリング過程を示す概略フローチャートである。
図53図34の機械で製造することができる物体の立面斜視図である。
図54図53の物体の第1の層を製造するために使用することができる画像の上面図である。
図55図53の物体の第2の層を製造するために使用することができる画像の上面図である。
図56図34の機械によって製造された物体内の樹脂流動を変調する方法における第1のステップの上面図である。
図57図34の機械によって製造された物体内の樹脂流動を変調する方法における第2のステップの上面図である。
図58図34の機械によって製造された物体内の樹脂流動を変調する方法における第3の工程の上面図である。
図59図34の機械によって製造された物体の周りの樹脂流を変調する方法の上面図である。
図60図34の機械で使用するための材料堆積システムの第1の実施形態の立面斜視図である。
図61図60における材料堆積システムの第2の実施形態の拡大断面図である。
図62図34の機械内で使用するビルド表面の代替実施形態の立面斜視図である。
図63図34の機械で使用するための材料堆積システムの第2の実施形態の立面斜視図である。
図64図34の機械で使用するための材料堆積システムの第3の実施形態の立面斜視図である。
図65図64のシステムに描かれたイメージングアレイの立面斜視図である。
図66図65のイメージングアレイの下からの斜視図である。
図67】第2の構成における図65のイメージングアレイの斜視図である。
図68図65におけるイメージングアレイによって投影される画素の上面図である。
図69図65におけるイメージングアレイの第2の構成によって投影される画素の上面図である。
図70図64のシステムに描かれた気相モジュールの断面図である。
図71図34の機械で使用するための材料堆積システムの第4の実施形態の立面斜視図である。
図72図71の機械によって使用され得る運搬プロセスの第1の工程の概略図である。
図73図71の機械によって使用され得る運搬プロセスの第2の工程の概略図である。
図74図71の機械によって使用され得る運搬プロセスの第3の工程の概略図である。
図75図71の機械によって使用され得る運搬プロセスの第4の工程の略図である。
図76図34の機械で使用するための材料堆積システムの第5の実施形態の立面斜視図である。
図77図76のシステムに描写されるような微小液滴堆積システムの下方からの斜視図である。
図78図76におけるシステムによって堆積された材料の断面図である。
図79】前述のシステムのいずれかによって製造することができる部品の立面斜視図である。
図80図79における部品の製造の第1工程における粉末粒子分布および可能な硬化パターンの断面模式図である。
図81図79における部品の製造の第2工程における粉末粒子分布の断面模式図である。
図82】前述のシステムのうちの1つ以上によって構築され得る部品および支持構造の立面斜視図である。
図83】前述のシステムのうちの1つ以上によって構築され得る部品および支持構造のアレイの立面斜視図である。
図84】第2の構成における図83の部品および支持構造のアレイの立面斜視図である。
図85】支持構造をプリントおよび焼結処理に統合するためのプロセスを描写する概略的なフローチャートである。
図86】プリントされた部品を脱バインドするプロセスを示す概略フローチャートである。
図87】プリントされた部品を後処理するための方法を示す概略フローチャートである。
【図面の詳細な説明】
【0029】
立体リソグラフィ(SLA)製造は、3次元物体を製造するために、フォトポリマー樹脂および放射線の重合源を利用する。図1図5は、この概念を実施するシステム(100)を示す。この実施態様では、ビルドプラットフォーム(102)は、樹脂(110)を含有するバット(104)内に降ろされる。画像(105)は、樹脂(110)の一部を固化させて層状に固形成分(112)を形成するために、投影ユニット(106)によって窓(108)を通して樹脂(110)に投影される。所定の層が少なくとも部分的に硬化された後、プラットホーム(102)は上方に移動して、樹脂(110)が部品(112)の下を流れて次の層のための材料を提供することを可能にする。
【0030】
このシステムは、一般に、任意のフォトポリマー樹脂材料またはフォトポリマー樹脂と粉末との混合物を処理するために使用することができる。場合によっては、この方法によって粉末複合部材を製造することができ、その後、この粉末複合部材を後処理して、ポリマー結合剤を除去し、粉体原料を焼結して固形成分にすることができる。問題の粉末材料は、一般に、金属もしくはセラミック、または焼結可能な材料の任意の組み合わせであってもよい。
【0031】
粉末複合部材が製造されている場合、および樹脂材料が高い粘度を有する多くの場合、材料の流動性によって提示されるこのプロセスの速度制限がある。図5は、構築される部品(112)および槽(104)内の樹脂(110)に剪断力を加えるために移動されるビルド槽(104)を示す。この剪断作用は、最も新たに硬化した層を窓(108)から切り離すのを助け、また、次の層を生成するために、追加の材料を部品(112)の下に強制的に流す。
【0032】
図6図8は、このシステムの代替実施形態を示しており、ビルドプラットフォーム(102)は、有孔性ビルド表面と、ビルド中またはそこから吸引される部品(114)にポンプで送り込まれる流体のために内部に含まれる流体経路とを有する。一実施形態では、部品(114)は、有孔性内部構造を有する部品(114)を用いて、前述したものと同様の方法で構築される。樹脂(110)は、ビルドプラットフォーム(102)および部品(114)を通ってポンプ輸送され、ビルド槽(114)に収集され得る。この余分な樹脂供給源からの圧力は、層が硬化された後に、部品(114)をビルド窓(108)から分離するのを助けることができる。最終固体部品を製造するために、部品(114)を後硬化させて、ビルドプロセスが完了した後にその中に残っている任意の樹脂(110)を固化させることができる。張り出した特徴への流体接続を維持するために、支持構造(116)は、支持構造(116)が中空の全体構造を有するように、部品(114)の任意の張り出した特徴の下に構築されてもよく、プリントされる部品(114)の張り出した特徴への流体連通を可能にする有孔性面を有してもよい。
【0033】
図9は、図6図8のシステムが高密度粉末複合部材を製造するために利用され得る方法を示す。典型的には、スラリーベースのシステムでは、密度は制限される。より高い粉末負荷は密度を増加させ、これはプリント粉末複合部品から焼結される最終部品の品質を増加させることができるが、粉末装填の増加もスラリー粘度を増加させ、製造プロセスを減速させる。図9に示されるプロセスでは、低粘度スラリーを使用して、焼結され得る高密度部分を製造してもよい。
【0034】
粉末(118)を樹脂(110)中に懸濁させてスラリーを形成する。新たな層が形成されると、樹脂(110)は、構築される部品(117)を通して吸引される。これは、樹脂が除去されるにつれて粉末負荷率を増加させ、部品に充填された粉末(118)は、元のスラリーに懸濁された粉末(118)よりも密に充填されることになる。部品(117)中の粉末(118)は、樹脂(110)が部品(117)を通って流れることを可能にしながら、粉末(118)を適所に固定する硬化格子構造(119)によって適所に保持される。最終的に焼結されて固形の最終部品になる粉末を一緒に結合しながら、液体樹脂が流れることを可能にする有孔性部品を構築するための追加の方法を、さらに説明する。
【0035】
樹脂材料を硬化させるための最も一般的な像生成システムの1つは、図10および図11に示すようなデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)である。DMDアレイ内のアクチュエータに電荷を印加することによって、個々のミラー(122)は、これらのミラー(122)から反射する光が最終画像に含まれるか、または吸収体に捨てられるように回転されてもよい。これらのシステムは、同時に材料の全層を硬化することができ、生産速度を大幅に増加させるという点で、レーザベースのシステムに比べて大きな利点がある一方で、ビルド領域および精度に限界がある。一般に、DMDシステムからの画像は、各ピクセルを任意の幅、偶数分のミクロンまでにするように焦点を合わせることができる。しかし、システムは利用可能な画素数によって制限される。ほとんどの高解像度チップには、約1000x2000 画素のアレイがある。10ミクロンの画素サイズが所望される場合、これは、1cm×2cmの像生成領域を生成する。10ミクロンの解像度は、3Dプリンターから現在利用できない表面仕上げおよび機能性のレベルに変換されるので、プリント部品には非常に望ましいが、1cm×2cmのビルド面積は、多くの用途には不十分である。この制限を回避するいくつかの方法があり、複数のプロジェクタを使用すること、および/またはプロジェクタをビルド領域の周りで移動させて複数の露光を実行し、その合計がビルド領域の完成画像を構成する。複数の画像を生成するためにプロジェクタを移動することは、非常に精密な機械的作動システムを必要とし、生産プロセスを減速させる。
【0036】
複数のプロジェクタを使用すると、各プロジェクタによって生成される画像が、少なくとも投影ユニット自体の横方向の寸法と同等の大きさである場合にのみ、有効なビルド領域が増加する。そうしないと、プロジェクタによって生成される画像間に著しいギャップが生じる。少数のプロジェクタの場合、互いに位置合わせされた画像を生成するためにミラーおよび他の光学素子を使用するためのより精巧な選択肢があるが、一般に、これは、より大きな生産面積に対してスケーラブルではない。プロジェクタのアレイが使用されてもよく、ここで、各プロジェクタは小さな画像を生成するが、アレイは、ビルド領域を完全に画像化するために複数の画像を生成するように集合的に作動される。この方法は、精度作動システムを必要とするより極端な問題を有し、生産速度の低下という問題を依然として有するであろう。
【0037】
理想的な構成は、投影ユニットのアレイであり、各投影ユニットは、投影ユニットが占める物理的なフットプリントと少なくとも同程度の大きさの画像を生成し、各投影ユニットが達成する精度は、目標コンポーネント精度と一致する。一般に、これらの特性を有する単一の投影ユニットでさえも、光学3Dプリントシステムのための精度および速度の大幅な改善を構成するであろう。
【0038】
図12は、この目標を達成するシステムの要素を示す。図12は、このシステムの単一画素の光学的挙動の概略図である。光源(124)は、「オン」または「オフ」位置のいずれかに回転することができる画素(122)を照明し、この画素(122)からの励起光は、画素(122)が「オン」位置にあるときにマイクロレンズ(126)に結像される。これにより、画素の画像は、像生成面(130)上で見られるように、その公称サイズよりも小さいサイズに集束される。フォーカスされた画像が公称サイズよりも小さい量は、光源の解像度の限界が、生成されるべき物体形状の所望の解像度を達成するのに十分でない状況など、用途の要件に応じて選択することができる。いくつかの実施形態では、例えば、各照明源によって生成された画像によってカバーされる照明領域は、それぞれの画素領域の合計サイズより少なくとも20%小さいが、当業者は、画像サイズのより大きなまたはより小さな縮小が、像生成システムの最終解像度を調整するために選択され得ることを認識するであろう。
【0039】
しかしながら、この構成では、画素の画像のサイズは、完全な画像を生成するには小さすぎるであろうし、そのような画素は、像生成面(130)を完全に覆うために、小さく、正確な増分だけシフトできなければならない。この目的のために、屈折ピクセルシフト素子(128)が使用される。屈折ピクセルシフト素子(128)が回転すると、画素の画像は横方向にシフトされる。屈折ピクセルシフト元素(128)の時計回りの回転は、画素画像の左への横方向のシフトを生じさせ、一方、屈折ピクセルシフト元素(128)の反時計回りの回転は、画素画像の右への横方向のシフトを生じさせる。
【0040】
ほとんどの画像処理システムでは、画素のサイズは、画像内の画素ピッチにほぼ一致する。つまり、隣接する画素間の中心間距離である。DMDチップ上のマイクロミラー間のギャップからの損失を無視すると、50ミクロンの画素間隔を有するそのような装置からの投影された画素アレイは、50ミクロン幅の画素を有することになる。明確化の目的のために、このタイプの画素画像は「飽和」画素画像と呼ばれるであろう。ピクセルシフトは、サブピクセル化とも呼ばれ、ピクセルベースの像生成システムの有効解像度を改善するための一般的な方法である。典型的には、これは、複数の画像を異なる位置に投影することによって達成される。ここで、シリーズ内の後続画像間の位置シフトは、1画素の幅よりも小さい。画像を見るための投影システムの場合には、これらが重なり合って、より滑らかで、わずかにより精密な合成画像を形成する。反応性材料を硬化させるための投影システムの場合、これらの重なり合う画像は、静的画素アレイで可能であるよりも滑らかな特徴を生成することができる。
【0041】
従来のピクセル・シフト・システムは、通常、画像をシフトするためにミラー、またはDMD自体のマイクロアクチュエータを使用し、これらのシステムは、ピクセルを細分することができる限られた程度を有し、ピクセルのサイズを基本的に変更せず、これは、多くの重なり合うピクセル画像によって画定される画像のエッジを必要とする。これは、特に感光性材料の硬化が必要とされる場合に、高精度画像形成用途にとって望ましくない、画像の縁部における光強度の傾きを生成し得る。この挙動は、図23~26の文脈においてより詳細に議論される。
【0042】
本明細書に記載されるシステムは、従来のピクセルシフトシステムに勝るいくつかの重要な利点を有する。第1に、画素サイズは画素ピッチよりも著しく小さい。これは、ピクセルサイズに対してピクセルピッチが大きいにもかかわらず、より小さなピクセルの飽和アレイが使用されたかのように、照射された材料の硬化応答が挙動することを意味し、これにより、より大きな合計像生成領域が可能になる。第2に、ピクセルシフトシステムは、屈折要素を使用して、画素画像をシフトする。この構成は、反射システムまたはマイクロアクチュエータを必要とするものと比較して、はるかに高い固有精度を有する。反射システムからのエキシジェントビームの偏向は、システム内の反射要素の回転の2倍であるので、ビーム配置のために1度の角度精度が要求される場合、これを適切に制御するためには0.5度の角度精度を持つ回転システムが必要である。典型的には、結像面上のビーム配置を1ミクロン以下の精度に制御するためには、マイクロ度の角度精度が必要とされることがあり、これを達成することは困難である。
【0043】
図13および図14は、この精度の違いを示している。図13のような反射ビーム誘導システムでは、入射ビーム(142)が特定の角度位置(148、150)で反射物体に当たる。第1の位置(148)では、第1の励起ビーム(146)が生成され、第2の位置(150)では、第2の励起ビーム(144)が生成される。これらのエキシジェントビーム(144、146)は、次に、結像面(130)に当たる。このシステムでは、エクシジェントビーム(144,146) の角度偏向は、反射要素(148,150) の角度偏向の2 倍になる。前述したように、これは、作動システムに対する精度の負担を増大させる。比較によって、図14は、屈折ビーム誘導システムを示し、ここで、ビームをある角度だけ偏向するのではなく、特定の距離だけ横方向にオフセットされる。入射ビーム(152)が屈折素子(158,160)に当たって、冷媒素子(158,160)の入射面および冷媒面で屈折し、変位した冷媒ビーム(154,156)を生成し、それが結像面(130)に当たる。屈折システムは、精密な制御のために、ビーム移動に対するアクチュエータ移動のはるかに良い比を提供する。屈折系は、屈折要素の0.1度以上の回転が、1ミクロン以下のオーダーの横方向並進を引き起こすように構成されてもよい。この関係は、指定された厚さおよび屈折率の屈折要素を使用することによって調整することができるが、一般に、サブミクロンピクセルシフトに必要な角度精度のレベルは、標準的な検流計または他の回転アクチュエータによって容易に達成することができる。
【0044】
最後に、多くの反応性材料の硬化応答は非線形であり、放射能強度を2倍にすると、必要とされる露光時間が2倍を超えて短縮されることが理解される。このようにして、より高い強度を使用することは、有意な硬化応答を達成するために必要とされる線量を実際に減少させ、これは、エネルギー消費を減少させ、そして製造プロセスの全体的な速度を増加させる。どのようなピクセルシフトシステムも、シフトシステム自体の機械的作動および制御に対してある程度の時間損失を被るであろうが、このシステムは、入射放射線を著しく集中させ、この損失を補償するのに十分な硬化時間を減少させ得る。いくつかの構成では、入射放射線を集中させることによって得られる速度は、屈折シフト要素の運動の制御に対する損失を補償する以上のものであり、前述の精度およびスケーラビリティのゲインとともに、全体速度の正味のゲインを生成することができる。
【0045】
前述の図14からの屈折ピクセルシフトシステムでは、単一プレート(158,160)を使用して、入射ビーム(152)をシフトさせた。これは、単色光源に対しては適切であるが、一般に、光学材料は、異なる波長において変化する屈折率を有し、これは、この装置が、他のすべての要因が一定に保持されるために、その波長に応じて異なる量だけ入射ビーム(152)をシフトさせることを意味する。材料の光屈折応答を完全に特性化するためには、屈折率-波長曲線を決定しなければならない。この曲線が平坦な線ではないという事実は、従来の光学系において色収差をもたらすものである。典型的には、これは、2つの基準波長に対して同じ屈折効果を有するように較正することができる異なる屈折率-波長曲線を有するレンズのシステムである、色消し二重項を使用することによって克服される。色消し三つ組は、代わりに3つのレンズを使用し、3つの基準波長で較正される類似のシステムである;より高い複雑度のシステムが使用されてもよいが、ほとんど必要ではない。
【0046】
また、単色光源を使用する場合でも、シフト機構として屈折パネルを使用することに一定の制約があることにも留意する必要がある。実質的に近軸光線の場合、回転角とビーム変位との関係は実質的に直線的であり;この関係は非近軸光線に対して非直線的になる。このことを考慮すると、このシフト機構を使用する像生成システムの理想的な実装は、画像源近軸光線のみを収集するように制約される。これは、場合によっては、システムの集光効率および全体的な光出力を低下させることがあり、これらの欠点を軽減するために、特定の実施形態に他の変更を加えることができる。
【0047】
同様のアプローチがここで取られてもよく、図15に示されている。この例は、色消し二重屈折ピクセルシフトシステムを示す。このシステムでは、一次シフト窓(160)が入射ビーム(152)を量D1だけシフトする。次に、第2のシフト窓(170)が、第1の窓(160)から出射ビーム(164)を量D2だけ戻すようにシフトする。従って、全変位Dは、D1とD2との間の差である。システムは、2つの基準波長において、Dが同一であるように較正されてもよい。一般に、任意の目標変位Dに対して、両方の基準波長に対してこの変位を生じる両方の窓(160,170)に対して適切な角度回転が存在するであろう。したがって、これらの波長付近のスペクトルの領域に対する色収差は最小限に抑えられる。このアプローチは、無彩色三つ組またはより複雑なシステムの設計に一般化可能であるが、用途に応じて必要ではない。
【0048】
一般に、色収差を低減するための以前のシステムは、標的ビルド表面上でXおよびY方向の両方にシフトする画素に適用することができ、光源がダイクロイックまたは多色性である場合に有用であり、これは、像生成システムの光出力を最大化するために必要であり得る。
【0049】
図16~19は、2つの回転アクチュエータ(202、206)によって駆動される2つの屈折シフト要素(204、208)を含み、結像面(130)上で垂直方向と水平方向の両方にフォーカスされたピクセル画像(212)を移動させる、このシステムの実施を示す。簡単にするために、これらの図では、5つの画素のみの経路が示されている。この画像化表面(130)は、一般に、ステレオリソグラフィーシステム(100)内のビルド槽(104)内の窓(108)であってもよく、または照射に応答して実質的に状態を変化させる材料を含む任意の他の表面であってもよく、または単に、高解像度画像を生成するのに有用な任意の表面であってもよい。このシステムを改良するために他の光学素子が使用されてもよいが、本明細書に示される光学素子は、所望の効果を生み出すために、実質的に最小セットの素子を含んでもよい。
【0050】
このシステムでは、投影ユニット(106)がピクセルをマイクロレンズアレイ(210)上に投影する。マイクロレンズアレイ(210)上に投影される画像は、一般に、近接して飽和したピクセルのアレイである。マイクロレンズアレイ(210)は、この飽和画像を不飽和画像に変換し、ここで、画素画像(212)は、像生成面(130)に投影された画像における画素ピッチよりも小さい任意の量であり得る。例えば、多くのSFFシステムでは、50ミクロン以上の画素サイズが使用されるが、これは、画像を生成する投影ユニットのサイズにほぼ一致する画像を生成するためである。このサイズの複数の画像は、隣接する画像間に隙間なく大きなビルド領域を完全に画像化する投影ユニットのアレイによって生成され得る。しかしながら、特定のビルドプロセスのために10ミクロンの精度が必要とされる場合、この従来の像生成システムでは十分ではない。マイクロレンズアレイ(210)は、画素ピッチに対する画素サイズの5:1の低下を生成するものを利用することができる。そのように、横断する10ミクロンのピクセルは、隣接するピクセルの中心間の間隔が50ミクロンで生成されてもよい。
【0051】
水平シフトアクチュエータ(206)の回転作動は、水平屈折ピクセルシフト要素(208)の回転を生成し、これは、画素画像(212)の水平シフトをもたらすであろう。垂直シフトアクチュエータ(202)の回転作動は、垂直屈折ピクセルシフト要素(204)の回転を生成し、これは、画素画像(212)の垂直シフトをもたらすことになる。本質的に、このシステムは、レーザーイメージングシステムと同様に振る舞い、ここで、レーザービームによって生成されたスポットは像をトレースアウトするために像生成表面の周りを移動させることができ、スポットサイズは、高解像度画像を生成するために非常に小さくなるように集束させることができる。鍵となる差は、このシステムが、大面積を非常に迅速に像生成するために、タンデムに移動する何百万もの集束ビームを効果的に有することである。加えて、前の例における明細書を使用して、像生成面における光度は、飽和画素アレイを有するシステムに対して、25倍以上増加されてもよい。目標領域を完全に結像するためには25回の別々の露光が必要とされるが、この光度の増加は結像速度の正味の増加をもたらす。加えて、ピーク光度が像生成面において達成されるという事実は、このシステムをホログラフィー用途に有利なものとすることもできる。
【0052】
一般に、前述のシステムのいずれかは、アレイのピッチが各光源のサイズよりも大きい照明光源のアレイを利用することができる。電位源の代替的な実施形態が図20~22に示されている。図20は、マイクロLED(214)のアレイを示すが、図21は、装置の光学効率を最適化するために、マイクロレンズ(215)の対応するアレイを有するそのようなアレイを示す。図22は、LCDマスク(217)を通して輝く光源(216)を描いており、個々の開口はグリッド内で間隔を置いている。これらの開口部の画像は、投影光学系(218)によって転写され、ディスプレイ表面上にピクセル像(219)を生成することができる。前述のシステムと同様に、屈折ピクセルシフトは、ディスプレイ領域の高解像度完成像を生成するために利用されてもよい。
【0053】
従来のピクセルシフトの欠点のより詳細な分析は、図23~26によって実証される。簡単のために、これらの像は、画素の飽和アレイが、垂直方向および水平方向の両方で、画素幅の1/2だけシフトされるシステムを描いている。より錯体サブピクセル化の挙動は、この分析から外挿され得る。図23は、像生成面(230)上に投影された4つの画素(232、234、236、238)のセットを示す。線(240)は硬化領域の理想的な境界を示し、硬化部分は線(240)の右側にある。この分析は、主として、反応性材料を硬化させるために使用される画像形成用途に関連し、分析を単純化するために図示されていない他の画素もこのアレイで使用されることが理解される。これらの図では、4 つの異なる投影画像に対応する4 つの異なるピクセル位置が示されている。各画像は、標的材料を硬化させるために必要なエネルギー線量の25%を送達し、4つの画像全てにおいて露光された領域のみが完全に硬化した材料を有するようになる。図示されている4つの画素(232、234、236、238)の上下に他の画素があることを知ると、飛球線(240)の右側の全ての材料が実際に適切な照射線量を受けると推測することができる。しかしながら、幾つかの画素(232、236)は、図23及び図25において分割されており、従って、それらは、標的領域(244、248)内の領域及び標的領域(242、246)の外側の領域を照射している。これの効果は、画素の半分の幅で、境界全体(240) に沿って延びる、標的境界(240)の左にある領域の照射である。投薬量は、必要とされる硬化投薬量の50%であるが、これは、問題の材料の特性に依存して、材料をなお部分的に硬化させ得る。この場合、ピクセルシフト距離は画素幅の1/2であった。一般化のために、これを2:1のサブピクセル化比を有する状況と呼ぶ。より高いサブピクセル化率では、エネルギー線量勾配は、100%エネルギー線量から0%エネルギー線量までのより多くの工程を含むので、この場合よりも滑らかになる。一般に、飽和画素アレイを使用する任意のサブピクセル化システムには、常にエネルギー線量勾配が存在する。
【0054】
対照的に、図27および28は、ピクセルシフトを使用する像生成システム内にマイクロレンズアレイを導入する効果を示す。前述のように、これは飽和画素アレイ(252)を取り、それを不飽和画素アレイ(252)に変換する。これらの図は、ピクセルサイズを5:1低下したシステムを描いており、ピクセルシフトは、これらのマイクロピクセルが、すべての必要な位置(254)に到達して、標的領域を完全に像生成することを可能にし得る。本質的に、このシステムは、公称利用可能な画素の25倍の数の投影ユニットのように振る舞う。一般に、この精度の増幅はずっと高くなり、精度が何桁も向上する可能性がある。以下、この技術をマイクロピクセル化(micropixelation)と呼ぶことにする。
【0055】
図28に示されるように、異なるシフト位置での多重露光は、画素の飽和アレイによって生成されるものと類似の画像を生成し得る。これは、各画像を露光する前に、シフトシステムを作動させ、新しい位置に沈降させることを必要とする場合があり、これは、像生成プロセスを遅くする可能性がある。このシステムを用いた画像化のための代替的な技術をさらに説明する。
【0056】
前の実施態様における投影ユニット(106)の重要な要素は、光源(124)およびマイクロミラーのアレイ(122)であった。これは、一般に、図29および30に概略的に示され、図20~21で前述したように、マイクロLEDのアレイと置き換えることができる。加えて、ラスタリングパターンが像生成プロセス中に使用される場合、等しい高さおよび幅を有しない画素画像を有することは有益であり得る。ラスタリング中の一次運動が水平の場合、ピクセルを動かしている間にオンまたはオフにすることで画像に導入されるぼやけを減らすために、その高さに対して幅が縮小したピクセルを持つと便利な場合がある。これを達成するために、非点収差特性を有するマイクロレンズ(221)を使用することができる。この概略図では、表現LED (220)が表現レンズ(221)の一次面(222)を照らす。次に、マイクロLED (220)からの照射は、マイクロレンズ(221)の二次面(223)を出て、結像面(224)に到達する。この場合、二次レンズ面(223)の曲率は、一次レンズ面(222)の曲率よりも大きく、1以外のアスペクト比を有する画素画像を生成する。非点マイクロ画素のアレイは、屈折ピクセルシフト機構または他の画素作動機構と共に使用されて、任意に大きな表面を像生成してもよい。
【0057】
前述のもののいずれかのようなシステムを使用することは、また、像生成面(130)上のピクセル画像(212)をシフトさせるための最適経路を決定する機会を提供する。前述した前の例で、10ミクロンの画素を使用して、50ミクロンの幅の領域を像生成することができる。図31図33は、これを実施するためのいくつかのオプションを示しており、マイクロピクセル(262)が画素領域(260)を横切る。画素領域(260)は、マイクロピクセル化が実施されなかった場合に画素(262)が占める領域を意味すると理解される。最も単純な選択肢は、マイクロピクセル(262)をそのピクセルドメイン(260)の左上隅で開始させ、右上隅に渡って移動させ、10ミクロンだけ下に移動させ、次いで、そのドメイン(260)の左側に戻ってシフトさせ、図31に示されるように、処理中の前後ラスタリングパターンをトレースし、図32および33に示される他の可能性は、斜めにラスタリングすること、螺旋パターンで移動すること、または特定の用途に有用であるように実質的に適切な照射を提供する任意の他のパターンを含むことであり得る。マイクロピクセルは、動作中にオンまたはオフにされて、像生成プロセスの速度を増加させてもよい。
【0058】
一般に、標準的なピクセルシフトとマイクロピクセル化を組み合わせて使用することもできる。各照明源によって投影される公称画素サイズよりも小さい領域に画像を再分割するピクセルシフトシステムをも利用する、各照明源(先に定義されたように、不飽和画像を生成し得る源)のサイズよりも大きいピッチ寸法を有する格子パターンにおける照明源のアレイを有するシステムを有することが有利であろう。各照明源が小さいほど、結果として得られる画像の解像度は高くなるが、像生成源から直接高い分解能を達成することは、極めて多数の画素を同時にレンダリングすることができるドライバシステムを必要とするという課題を生じる。マイクロピクセル化装置を用いることにより、少ないピクセルを同時にレンダリングする必要があり、逐次画像により高解像度が達成される。解像度を増加させるためにピクセルシフトが使用される程度は、一般に、用途に応じて、マイクロピクセル化自体によって本来達成される解像度よりも細かくてもよい。例えば、マイクロLEDチップが、30umピッチで間隔を置いた10umピクセルで製造され、投影光学系が、チップから投影表面への線状画像サイズの4:1の増加をもたらす場合、これは、像生成表面での120umピッチ上に40umピクセルをもたらすことになる。10umの解像度が所望される場合、10umだけシフトされた複数の露光が利用され、これは、前述のように、画像のエッジにおいてエネルギー線量勾配を生成する。しかし、エネルギー勾配はそれほど厳しくなくなり、画像は、120um画素が10um刻みでシフトされた場合よりも全体的に鮮明になるであろう。さらに、この解像度は、もしマイクロLEDアレイ内の画素が2.5um広いであれば、当然に達成することができたが、LEDからの発電出力は、チップ面積にほぼ比例するので、これは、10um画素を使用した装置のほぼ1/16の光パワーの正味の出力をもたらすことになる。従って、特定の用途のために、画像の鮮鋭度を全体的な照明強度とバランスさせるために、マイクロピクセル化と従来のサブピクセル化との組み合わせを使用することが可能である。
【0059】
部品のデジタル生産のための代替SFFシステムは、図34および35に記載される。このシステムで実施されるプロセスには、粉末析出、粉末注入、および照射という3つの重要なステップが含まれる。粉末計量モジュール(302)は、第1のステップのために使用されてもよく、注入プラットホーム(304)は、第2のステップのために使用されてもよく、投影ユニット(106)は、第3のステップのために使用されてもよい。粉末計量モジュール(302)は、一般に、制御された量の粉末を堆積させて平坦な層を生成することができる任意のシステムとすることができる。注入プラットホーム(304)は、有孔性上面(306)と、粉末堆積モジュール(302)によって堆積された粉末に樹脂を供給するための樹脂流路(308)とを含む。このシステムでは、毛管作用と適用されるポンピング圧力との組み合わせが、樹脂を粉末の次の層に提供する。樹脂は、投影ユニット(106)によって硬化されて、粉末を一緒に結合させて粉末複合構成要素を生成してもよく、粉末複合構成要素は、脱離および焼結によって後処理されて、粉体原料から作製された近接固体物体を生成してもよい。
【0060】
図36~39は、このプロセスをより詳細に説明する。粉末の第1の層(310)が注入プラットホーム(304)上に堆積された後、粉末(310)を注入するために樹脂が提供される(312)。典型的には、この樹脂(312)は、粉末のさらなる層を妨害することなく、粉末層(310)を一緒に結合するのに十分なだけ注入される。粉末の第2の層(314)を第1の層(310)上に堆積させることができ、樹脂レベル(312)を追加の注入によって上昇させることができる。このプロセスは、ビルドプロセスが完了するまで繰り返すことができる。
【0061】
図40~43は、高密度粉末複合部品を高速で製造するという目標を達成するために代替アプローチを使用するいくつかのシステムを描いている。次に樹脂を注入される乾燥粉末を堆積させるのではなく、低密度スラリーをビルドプラットフォーム上に堆積させ、そのスラリーの密度を、画像に露光してスラリーの一部を硬化させ、その中の粉末を一緒に結合させる前に増加させる。図40は、このプロセスを実施するための1つのシステムを示す。
【0062】
このシステムでは、材料堆積モジュール(302)は、ビルドプラットフォーム(304)を横切ることができるように取り付けられる。固定ローラー(318、326)は、各固定ローラー(318、326)に接続されたフィルム(320、328)を用いて、材料堆積モジュール(302)の両側に取り付けられる。これらのフィルム(320、328)の各々は、レベリングローラー(322、324)の周りを通過し、自動的に後退するリール(314、316)に巻き取られる。したがって、材料堆積モジュール(302)がプラットホームを横断すると、一方のリールはフィルムを分配し、他方はそれを後退させる。スラリー材料は、材料堆積モジュール(302)によってプラットホーム(304)上に堆積させることができ、その後、スラリーは、フィルムによって平坦な層に平坦化され、フィルム内の張力によって平坦に維持される。代替の実施形態(図示せず)は、材料堆積システム(302)のいずれかの側に単にリコーティングブレードを使用して、スラリーの層を平らにする。この場合、硬化処理は、硬化処理が起こることを可能にするために適切な光量を関連する波長で透過させる、フィルムを通って投影する画像形成ユニット(106)からの画像によって開始されてもよい。
【0063】
別の層生産システムが図42~43に示されている。層の厚さによっては、平坦な層を作るために上記張力付きフィルムシステムを使用することが困難な場合がある。フィルム張力は、問題の層が特に薄い場合には、大きな面積にわたる層の変動を制御するのに不適切である場合がある。図42図43に示すシステムでは、フィルム(336)は、層の分布および平坦化プロセスの間、剛性ブロック(334)内の細孔(338)を通して加えられる真空圧力によって、剛性ブロック(334)上に保持される。図43において、このフィルム(336)は、剛性ブロック(334)の詳細を示すために除去されている。フィルム(336)は、丸いフィルムマウント(330,332)によって両端で適所に保持される。このアセンブリは、材料堆積モジュール(302)によって堆積されたスラリー材料を一括して平坦化し、分配することができる。層が形成されると、真空源をオフにし、剛性ブロック(334)を後退させて、フィルム(336)を通してスラリー材料の画像形成を可能にすることができる。
【0064】
図44~48は、以前のシステムに記載された材料運搬方法の概略図を示す。以前のシステムと同様に、有孔性ビルドプラットホームは、プラットホームおよび構築される部品の両方を通る流体の流れを可能にする有孔性部分を構築するために使用されるであろう。これらのシステムでは、粉末(310)と樹脂(312)の低密度ブレンドがビルドビルド表面(304)上に堆積される。過剰の樹脂(312)を除去し、スラリーの有効粉末充填密度を増加させ、それによって粉末(310)を緻密化するために、有孔性ビルドビルド表面(304)を通してスラリーに真空圧を加える。ビルドプラットホーム(304)の流体出力に真空圧力を印加することは、1つの選択肢であるが、一般に、ビルド領域の上側領域とビルドプラットホーム(304)の下側/内側領域との間に圧力差を生じさせる任意の手段は、所望の効果を生じるのに十分であろう。例えば、密閉されたビルド領域に正圧を加えることができる。極端な場合には、図46に示すように、全ての過剰な樹脂(312)は、樹脂(312)が粉末粒子(310)間の接点にのみ見られるように除去されてもよい。この場合、後述する格子像生成技術を使用する必要はなく、この流体排出処理は本質的に有孔性の構造を残すので、部品内の流体経路は、固形硬化画像を使用した場合であっても利用可能なままである。以前のシステムで行われてきたように、完全な物体を製造するために、材料の複数の層を同様の方法で製造し、緻密化することができ、次いで、これを焼結して結合剤を除去し、金属またはセラミック材料からなる近接固体物体を製造することができる。さらに、この種の堆積プロセスは、超音波撹拌によって増大させることができる。超音波攪拌源は、リコータブレード、フィルム、フィルムのための補強機構、またはビルドビルド表面(304)または別の源であってもよい。
【0065】
図44~46では、スラリーは開放雰囲気に曝されるが、前述のシステムの多くでは、スラリーを平らにするためにフィルムが使用され、このフィルムを通して画像形成が行われる。図44~46に記載されるプロセスを実施するために、前述のように、材料堆積システムおよび再コーティングブレードが使用されるであろう。なお、スラリーを開放雰囲気で堆積させた場合には、真空圧力を加えることなくスラリーを緻密化させることができる場合がある。スラリーが粘度低下剤(VRA)を含む場合、ビルド領域は、そのような成分の蒸発を促進するために加熱されてもよい。この場合、VRAは、堆積速度を増加させるためにスラリーの粘度を低下させる有機溶媒である可能性があり、次いで、堆積された材料層のその場高密度化を促進するために蒸発する可能性がある。
【0066】
図47および48は、スラリー材料の層を平らにし、分配するためにフィルム(340)が使用されるアプローチを示す。層の高密度化は、前述のものと本質的に同じであるが、主な違いは、フィルムが、粉末が固化された後の樹脂の排出を制限することができることである。この抵抗は、プリントシステムによって検出することができ、粉末圧密が生じたことを判定するために使用することができる。このフィードバック機構は、このプロセスの特定の実施に依存して有用であり得るが、フィルムは、別の層が生成され得る前に、硬化された材料から剥がされなければならず、これは、プリント速度を低下させ得る。これらのプロセスの各々の利点は、特定の用途のための特定の実施に大きく依存する。
【0067】
図49は、粉末複合材料成分を製造するための別のアプローチを利用するシステムを示す。送り込みリール(344)、ガイドローラ(348,350)、及び送り出しリール(342)が、フィルム(346)をビルド面(304)に供給するように配置される。フィルム(346)は、一般に、少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの光開始剤とのブレンドであり、1つ以上の可塑剤、ならびに室温で固体であるが、加熱されたビルドプラットホーム(304)に暴露すると溶融することができる粉体原料の可能な添加を伴う。ビルドプラットフォーム(304)と接触しているフィルム(346)の少なくとも一部は溶融し得るが、フィルム(346)の残りは固形のままであり、その結果、送出リール(342)は、未使用のフィルム(346)を拾い上げ、追加のフィルム(346)をビルド領域に引き込んで、追加の層の構築を可能にし得る。このシステムによる部品の製造は、先に説明したもの、特に図44~48に類似している。フィルムの少なくとも一部が溶融されると、プロセスは図44~46に従って進行する。高密度化は有利であり得るが、光画定可能な三次元物体を生成する目的で少なくとも部分的に相転移を受ける固体供給原料の出現は、それ自体が新規なシステムである。このようにして製造された部品は、未硬化材料を液体状態に保つために高温にある間に除去された過剰の材料を有するか、または未変性(例えば、未重合)材料を溶解することができるが、重合材料に影響を及ぼさない溶媒に曝される。この目的のための例示的な一量体は、ノルボルネンであり、これは、室温で固体であり、50℃で約0.75mPa*sの粘度を有し、重合された場合に約300℃のガラス転移温度を有することができる。さらに、アクリレートまたはエポキシドまたは他の重合性モノマーを、材料の通常の貯蔵条件では固体であるが、温度がいくらか、理想的には60~100℃の範囲内に上昇したときに流体になる非反応性成分と組み合わせて使用することができる。例えば、パラフィンワックスは25℃では固体であるが、100℃では非常に低い粘度の液体である。高分子量ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールもまた、このタイプの材料ブレンドのための実行可能な選択肢である。一般に、貯蔵温度で固体であり、より高い操作温度で液体であり、光重合性モノマー成分を含有する任意の材料は、本主題の実施形態であると考えられる。本明細書に記載されるもののような系において、結合剤配合物は、一般に、70重量%未満の非反応性希釈剤、PI系として使用される少なくとも2重量%の1つ以上の成分を含むと理解され得、そして組成物の残りは、PI系によって重合され得る1つ以上のモノマーまたはオリゴマーであり得、ここで、配合物は、35℃未満の第1の貯蔵温度で固体であり、そして35℃を超える第2の操作温度で2000cps未満の粘度を有する。金属またはセラミック成分を製造する目的でこのような結合剤から配合された原料は、一般に、前述のようにその場緻密化が使用される場合、45%未満の容量粉末負荷を有すると理解され、ここで、その場緻密化後に45%を超える容量負荷が達成可能であり、またはその場緻密化が使用されない場合、40%を超える容量粉末負荷が達成可能である。
【0068】
図49に図示されたシステムの二重膜を用いることも可能である。一の層は酸素透過性であり得る透明ポリマーフィルムであり、他の層は前述の光重合性材料で作られてもよい。この場合、プロセスは、図47~48に示されるシステムと同様であり、透明フィルムが、造形材料が入射照射によって硬化される像生成窓として使用される。
【0069】
図50~51は、図49のシステムの代替実施形態を示しており、送り込みおよび送り出しリールを使用するのではなく、このシステムは、2つの送りローラ(364、366)によって加熱されたビルドビルド表面(304)に供給されるより厚いフィルム(360)が装填された単一の送りリール(362)を利用する。溶融プール(368)は、フィルム(360)がビルドビルド表面(304)に接触するときに形成される。ブレード(372)は、スラリー(370)の均一な層を生成するために、溶融プール(368)を平らにするために使用される。固体供給原料の使用は、一般に、他の材料のために容易に切り替えられ、貯蔵中に液体スラリーよりも効果的に粉末媒体を懸濁状態に保つことができるビルド材料を提供することができる。ここではフィルムが固体原料として描かれているが、一般に、ペレットまたは他の形状因子を使用することが有利であり得るが、操作の原理は同じままである。
【0070】
さらに、結合剤材料の固体コーティングを有する金属粉末からなる粉末供給原料を使用することによって、図50~51に記載されたものと同様の利点を有するシステムを実施することが可能である。結合剤材料は、一般に、前述のタイプであってもよく、ここで、それは、重合工程を開始するために照射される前に相変化を受け、その結果、過剰の未重合材料が、おそらく高温である間に、溶媒によって除去されてもよい。コーティングされた粉末の使用は、静電粉末析出の使用を可能にするという利点を有し、静電粉末析出は、一般に、性質が非導電性であるか、または性質が非導電性であるコーティングを少なくとも有する粉末材料に限定される。さらに、コーティングの厚さは、粉末が加熱されたビルドビルド表面上に堆積され、結合剤材料が溶融したときに、層が粉末の重量下で固化し、さらなる高密度化が必要とされないようなものであってもよい。代替の構成では、より厚いコーティングを使用することができ、高密度化も実施され、このようにして原料中の粒子のサイズを増大させることによって、凝集を低減することができ、原料のレオロジー特性を改善することができる。
【0071】
図52は、前述の図の多くの様々な実施形態に示されている製造プロセスの一般化されたバージョンを示す。従来のスラリーベースのSLA製造の固有の粘度/速度制限を克服するために、スラリーを堆積させて材料の層を生成し、その後、スラリーの1つ以上の成分の蒸発、吸引によるスラリーの液体成分の一部の除去、または吸引によるスラリーの液体成分のかなりの大部分の除去を含むがこれらに限定されないいくつかの方法のいずれかによって、この堆積材料の密度を変更する。濃度変更に続いて、画像がビルド領域上に投影され、スラリーの少なくとも一部を選択的に変更してスラリーの液体成分を固化させ、このプロセスが繰り返されて、層状に部品を製造する。
【0072】
図53は、前述のシステムのうちの1つ以上を使用して製造することができる部材(400)を示す。図54および55は、粉末を一緒に結合して部材(400)を形成し、また樹脂が粉末の次の層に流れることを可能にする格子構造を形成するために使用され得る硬化パターン(404、406)を示す。場合によっては、多かれ少なかれ樹脂が後続の層に流れることを可能にするために、組み立てプロセス中に組み立てられた物体の格子構造を変化させることが望ましいことがある。図56~58は、これを実施する1つの方法を示す。図56は、ビルド表面(402)上に投影された格子構造(408)を示す。図57は、樹脂加速度ゾーン(410)を示し、このゾーン内では、後続の層への樹脂の流れを増加させることが望ましい。図58は、このゾーン(410)内の樹脂流動の増加を可能にする変更された格子パターン(412)を示す。一般に、所与の層内の格子パターンに対する局所的な変更は、ビルドプロセスが始まる前、ビルドプロセス中であるが問題の層が製造される前、または問題の層を製造するプロセス中に行うことができる。
【0073】
図59は、ビルドプロセスにおいて流体の流れを制御することができる追加の画像化方法を示す。構築される部品の外側の区域に流量制限特徴(414)を追加することは、流体流量がこの区域を横切ってより均一になるように、ビルド区域を横切る流体流量を調整する役割を果たすことができる。流体が有孔性粉末複合部品を通って流れる前述のシステムのいずれにおいても、均一性を最適化するための流体流量の調整が望ましく、流量制限機構(414)の特徴は、この端部を達成するための1つの方法である。一般に、流れ制限機構(414)は、相互に接続されることなく、流体が流れることができる有効面積を減少させ、その結果、追加の物体が生成され、次いで、ビルドプロセスの終了後の洗浄工程中に除去される必要がある。流量制限器が所定のレイヤー内で、かつ1つのレイヤーから次のレイヤーまで厳密に互いに素である限り、流量制限器のいかなる幾何学的形状も、このフロー・レギュレーションの方法に対して可能である。このようにして、クリーニングプロセス中に比較的容易に洗い流されるが、その理由は、クリーニングプロセス中にクリーニングプロセスは、結合されていない材料として効果的に振る舞うからであり、何故ならば、クリーニングプロセスは、何らかの有意な構造的完全性を有する結合体積の材料を生成するのに十分な構造を与えられていないからである。
【0074】
さらに、図59は、全体としてプリント領域内に流体流を封じ込めるために一般的に使用され得る境界特徴(416)を含む。この境界特徴(416)は、乾燥粉末析出の後に注入する場合に、余剰粉末への流体の流れを制限することができ、低密度スラリーが析出され、次いで圧力勾配によって緻密化される場合のように、層緻密化中に別個の流路を提供する役割を果たすことができ、または一般に、その区域の目標ビルド区域または小区域への流れを制限するために使用することができる。この境界線は、部品または部品が構築されるにつれて構築されるため、既存の粉体層融合システムで一般的であるように、ビルドプラットホームが収容ピストンであるシステムに存在するように、関連するビルド領域内の粉体析出を乱すエッジ効果は存在しない。
【0075】
図60~78は、前述のシステムを改善することができる、材料運搬のための複数のシステムおよびそれに関連する成分を示す。一般に、SFFシステムの要件を満たす平坦な層を製造するための計量粉末は、単一のモジュールで実現可能であっても実現可能でなくてもよい。図60は、平坦な層を製造するために、粉末計量システム(502)および粉末計量システム(502)によって堆積された粉末を状態調節するために使用され得る一対のローラー(530、532)を使用するシステムを示す。2つのローラ(530,532)を有することにより、組立体が造形面(520)に対してどの方向に移動しているかにかかわらず、粉末を調整することができ、材料運搬プロセスを促進することができる。
【0076】
図61は、粉末の層の堆積を必要とする前述のシステムのいずれかで使用することができる粉末堆積のためのシステムを示す。一般に、粉末堆積システムで考慮すべき設計上の制約はいくつかあり、速度、信頼性、品質、および建設される部品や機械自体への潜在的な悪影響に関連している。前述のシステムでは、粉末計量システムが、粉末の層を生成するためにローラと組み合わせて使用されてきた。しかしながら、粉末があまりにも迅速に計量供給される場合、粉末は、ビルド表面上に重力供給されるときにエアロゾル化し得る。図61は、ビルド表面(520)上に堆積されるときにエアロゾル化粉末の流れを制限し(506)、すでに部分的に調整されている粉末の平坦な層(508)を生成し、次いで、ローラ(530)によってさらに圧縮されて、高密度を有する粉末の均一な層(510)を生成することができる退出シュラウド(504)を有する粉末計量システム(502)を示す。そのようなシュラウド(504)を使用することにより、システムが動作する許容速度を増加させる一方で、粉末(506)がビルド面積から逃げて、他の機械的および/または電気的システムに干渉するのを防止することができる。このシュラウド(504)の利点は、粉体(508)の層を事前調整するためのエッジの存在、および堆積されている粉体(506)がシュラウドによって完全に囲まれているという2つの態様に由来する。これは、片側に閉じ込めを提供するが、粉末を一般に構築環境にさらしたままにし、より大きな程度のエアロゾル化を可能にする、通常のドクターブレードとは異なる。完全なエンクロージャは、予備調整の機能を、潜在的にエアロゾル化された粉末のより大きな程度の封じ込めと組み合わせる。
【0077】
図62は、より良好な粉末封じ込めを可能にする、前述のシステムに対する別の向上を示す。改変された構築プラットフォーム(520)は、エアロゾル化された粉末がプラットフォームから逃げるのを防ぐために周辺環境を吸引し得るベント(522)、ならびに所与の層のために堆積される任意の余分な粉末を収集するための粉末収集ポケット(524)を有する。これらのさらなる向上は、全体の製造システムにおいて粉体が許容される場所を管理し、したがって、システムの作動/制御要素への粉体の侵入から発生し得るいかなる損傷も防止する。
【0078】
場合によっては、本質的に繊維状であるか、または非球形粒子を含有する材料を使用することができる。例えば、いくつかのセラミックは、細長い粒子を用いて製造されてもよく、製造された部材におけるこれらの粒子の配向は、特定の異方性の機械的特性を生成するために望ましい場合がある。図63は、材料の層を調整し、細長い粒子を整列させるために隆起ローラ(534,536)が使用される、このクラスの材料により適合されたシステムを示す。一般に、隆起、櫛状突起、または細長い粒子と相互作用し、整列するように設計された他の機構で構成された任意のローラが、ここで使用されてもよい。
【0079】
図64は、以前の図に示される画像化ユニット(106)および/または注入プラットホーム(504)の必要性を排除する、はるかに精巧な材料ハンドリングシステムを描写する。このシステムでは、粉末計量システム(502)が粉末を堆積させ、ローラ(530,532)が粉末層を調整し、気相樹脂モジュール(540,542)が粉末に樹脂を注入し、マイクロLEDアレイ(550,552)が樹脂を硬化させて粉体原料を結合させる。このシステムは、生産プロセスを促進するために、以前のシステムと同様に対称的である。材料堆積がビルド表面(520)に対して右に移動するとき、一次ローラ(530)、一次気相樹脂モジュール(540)、及び一次マイクロLEDアレイ(550)が使用される。材料堆積システムがビルド表面(520)に対して左に移動するとき、二次ローラ(532)、二次気相樹脂モジュール(542)、及び二次マイクロLEDアレイ(552)が使用される。このようにして、材料堆積モジュールは、連続する層の製造の間に遅延を伴わずに、ビルド表面(520)を前後に横断してもよい。
【0080】
図65~67は、一次マイクロLEDアレイ(550)をより詳細に示す。マイクロLEDアレイ(550)は、マイクロLED(554)のアレイと、マイクロレンズ(556)のアレイとから構成される。そのように、各LEDは、LED自体よりも実質的に小さいスポットを生成することができる。マイクロLEDの各列は、多くとも1スポット幅だけ前の列に対して横方向にシフトされ、列の数は、構築領域全体が像生成され得るような数である。このシステムによって投影される画像は、図68に示される。プラットホームを横切るアレイ全体の移動と結合された、各行の横方向のシフトは、前述の屈折ピクセルシフトシステムのシフト効果に取って代わる。加えて、このシステムは、解像度および硬化応答を最適化するために、前述の非点光学系を使用してもよい。図69は、この実施形態による非点マイクロLEDシステムのアレイによって生成される画像を示す。
【0081】
図70は、一次気相樹脂モジュール(540)を示す。このモジュールは、液体樹脂を蒸気に変換し、次いで、この蒸気は、粉末の層によって吸収され得、ここで、この樹脂は、凝縮して液体形態に戻り、そしてそれは、照射されて、粉体原料を一緒に結合する。蒸気送出システムを使用することによって、プロセスによって必要とされる樹脂の量を低減し、材料処理プロセス全体を促進することが可能であり得る。この実施形態では、樹脂供給ライン(544)が樹脂をモジュール(540)内に運ぶ。樹脂は、樹脂を蒸発元素(549)に均一に塗布するために、中心樹脂チャネル(546)から複数のチャネル(548)に分配される。気化元素は、一般に、超音波振動、熱エネルギー、または気化元素(549)と接触している樹脂を近接液体状態から近接気化状態に変換させる他の手段によって作動させることができる。さらに、蒸気は、気化要素(549)に印加される電圧、蒸気が曝される二次帯電要素に印加される電圧、電子銃または他の電荷源への露光、または蒸気液滴を構築領域に静電的に引きつけさせるための任意の他の利用可能な手段によって静電的に帯電され得、構築領域は、一般に、電気的に接地され得るか、またはそうでなければ電気的に操作されて、所望の挙動を生成し得る。
【0082】
図71は、一次粉末計量システム(502)または二次粉末計量システム(503)のいずれかから粉末を析出させる前に、気相樹脂モジュール(540)が樹脂を析出させる材料析出システムの代替構成を示す。粉体層は、材料堆積システムの移動方向に応じて、一次ローラ(330)又はセカンダリローラ(532)のいずれかによって調整することができる。この構成では、粉末の前に樹脂気相をビルド表面(520)上に堆積させ、粉末層の塗布前に樹脂気相を合体させて液膜にする。次いで、樹脂は、粉末の重量およびローラー(530,532)の力を使用して、ボトムアップ様式で粉末に浸透させられ、注入プロセスを促進する。
【0083】
図72~75は、図71のシステムで実施されるプロセスをより詳細に示す。樹脂(590)のフィルムがビルド表面(520)上に堆積され、続いて粉末(592)の第1の層が堆積されるにつれて樹脂(590)が注入される。一般に、樹脂フィルム(590)の厚さは、粉末層(592)を実質的に結合するのに必要な十分な樹脂(590)のみが提供されるように、粉末層(592)の厚さよりも実質的に薄い。層の一部が硬化された後、追加の樹脂(594)が堆積され、粉末の第2の層(596)が堆積され、注入され得るように樹脂レベルを上昇させる。これは、構築プロセスが完了するまで、樹脂および粉末のさらなる析出を伴って繰り返されてもよい。
【0084】
図76は、粉末析出の前に樹脂析出が起こるという点で、図71の構成と同様の構成を示す。重要な違いは、気相樹脂モジュール(540)ではなく、樹脂微小液滴析出アレイ(560)が利用されることである。樹脂マイクロ液滴析出アレイ(560)は、図77により詳細に示されており、マイクロ液滴ディスペンサー(562)のアレイは、システムがビルド表面(520)を横切るときに樹脂の液滴を析出させるために使用される。これは、所与の領域に堆積される樹脂の量に対するある程度の制御を提供するので、構築領域の特定の領域における樹脂の深さは、制御され得、所与の粉末層において不均等な量の注入を生成する。これは、部分層のプリントを効果的に可能にすることによって、垂直方向のプリント解像度を改善するために有用であり得る。その領域の照射を制限し、従って樹脂結合剤の硬化深さを制限することによって、通常の層の頂部にある部分層をプリントすることは比較的簡単であるが、通常の層の底部にある部分層をプリントすることは、典型的には不可能である。このシステムは、このタイプの硬化挙動を達成することを可能にする。図78は、このようなプロセスの結果を示し、樹脂境界(580)は、ビルド表面(520)を横切って変化し、異なるレベルで粉末粒子(570)を結合する。この描写は、プロセスの概略図であること、ならびに構築プロセスにおいて使用されるほとんどの粉末が、最大粒径が一般に粉末の層の厚さよりも小さい、異なる粒径の分布を有することを認識すると、この変化する樹脂境界(580)は、一般に、プリント部品の同様に変化する境界に変換される。
【0085】
従来の微小液滴析出システムで達成可能な液滴のサイズに制約がある場合、析出時に蒸発し得るキャリア媒体内の樹脂液滴の懸濁液からなる微小液滴を析出させ、樹脂液滴を合体させてフィルムにすることが有利であり得る。例えば、液滴噴射システムは、典型的には、ピコリットルのオーダーの液滴に制限され得るが、フェムトリットルのオーダーの懸濁液中に液滴を生成することが可能であり得る。このようにして、微小液滴堆積システムからの直接堆積で可能であるよりも薄い樹脂膜を生成することができる。
【0086】
以前の図では、分数層を製造するための方法が記載されている。これは、結合剤組成、硬化雰囲気、および結合剤材料を硬化させるために使用される光の波長を制御することによって、他の手段によっても達成され得る。一般に、より短い波長の光は、酸素阻害を克服するその優れた能力のために、感光性材料の表面での硬化においてより有効である。したがって、層の上部は、高強度の短波長UV光に短時間露光することによって硬化させることができる。層のより深い部分は、より低い強度の長波長UV光へのより長い露光によって、層の上部を硬化させることなく硬化させることができる。さらに、蛍光触媒を結合剤配合物に添加して、硬化の深さを増加させ、材料の層の様々な深さの選択的硬化を可能にすることができる。
【0087】
クマリン色素の家庭は、スペクトルのUVおよび青色部分において特に有効であり、かなり高い量子収率、ならびに500nm未満の吸収および発光ピークの両方を有する。500nm未満で感受性である光開始剤、蛍光色素、および単色または多色像生成システムを利用して、それぞれが有益な効果を有する、多くの構成が可能である。最も単純な場合は、光開始剤(PI)系、蛍光染料、およびモノマー系を有する配合物であり、ここで、PI系は、蛍光染料のスペクトルの吸収および発光領域の両方において感受性である。このようなシステムを使用すると、特に、これが非常に高い体積負荷率を有する粉体原料のための結合剤として使用される場合、所与の層において硬化される必要がある全ての領域に対する直接的な視線は不可能であり、蛍光染料は、そうでなければアクセスできない結合剤のさらなる領域にアクセスするための手段として作用する。このように蛍光色素を光学触媒として使用することにより、硬化処理中の有効光学浸透深さを増大させることができ、これにより、材料の層を一緒に結合させるのに必要な露光時間を短縮することもできる。本明細書に記載されるものなどの系において、製剤は、一般に、0.25重量%未満の蛍光色素、PI系として使用される少なくとも2重量%の1つ以上の成分を含有すると理解され得、組成物の残りは、PI系によって重合され得る1つ以上のモノマーまたはオリゴマーであり得る。
【0088】
別の構成は、重合が起こり得る少なくとも2つの波長領域、これら2つの領域の間に吸収ピークを有する蛍光色素、およびPI系の長波長領域内の発光ピークを有するPI系を含有する結合剤である。より短い波長のPIは、一般に、結合剤材料の表面におけるフリーラジカル系において一般的である酸素阻害効果によってあまり影響されない。このシステムでは、蛍光色素の吸収領域未満であるがPIシステムの少なくとも2つの波長領域のうちの第1の波長領域内にある短い波長への露光は、材料の層の表面で重合を引き起こし、この露光のタイミングは、層の上部のみが硬化されるように制御されてもよい。さらに、蛍光色素の吸収帯内の波長への暴露は、層の底部セクションにおける材料を硬化するために利用され得、一方、酸素阻害は、層の上部セクションにおける重合を防止する。このようにして、分別層の重合を達成することができる。本明細書に記載されるもののような系において、製剤は、一般に、第1の波長で励起され得る0.25重量%未満の蛍光色素、第1の波長で実質的に不感受性であり、第1の波長より短い第2の波長で感受性である少なくとも0.1重量%の第1の光開始剤、第1および第2の波長のいずれかより長い第3の波長で感受性であり、蛍光色素の発光バンド内に実質的に含まれる少なくとも0.1重量%の第2の光開始剤、およびPI系によって重合され得る少なくとも1つのモノマーまたはオリゴマーを含むと理解され得る。
【0089】
分別層制御を達成するための別の方法は、PI系および複数種類の官能基を有するモノマー系の使用を含む。例えば、開環重合または他の手段によりカチオン系により重合され得るエポキシド、オキセタン、または他のモノマーと共に、フリーラジカル系により重合性アクリレート単量体または他のモノマーの混合物は、フリーラジカルおよびカチオン型の両方のPIを含有するPI系と組み合わせて使用され得る。この系において、カチオン性PIが短波長で感受性であり、フリーラジカルPIがより長い波長で感受性である場合、先に記載されたものと同様の挙動が達成され得る。短波長への暴露は、層の表面で重合を開始するために使用され得、一方、長波長への暴露は、層の表面下で硬化するために使用され得る。カチオン性PIの吸収領域よりも長い波長に吸収帯を有し、フリーラジカルPIの吸収領域内に発光帯を有する蛍光染料を使用して、層の底部領域の硬化を促進することもできる。アクリレート官能基およびエポキシド官能基(または他の類似の基)の両方を有するハイブリッド一量体もまた、この文脈において使用され得る。
【0090】
図79~87は、様々な方法でそのような部品を改善することができるプリント部品を処理するためのいくつかの方法を説明している。図79~81は、表面仕上げを改善することができる方法を示す。一般に、プリント後に焼結され得る粉末複合部品を製造するための以前の方法の多くでは、プリント物内の粉末粒度に基づいて公称許容され得るよりも、幾何学的形状に対するより微細な制御を提供するために、画像化解像度を提供することが可能である。図79は、この挙動が観察され得る1つの目的(600)を示す。図80は、この物体(600)の断面を、この物体(600)をプリントするために粉末(602)を一緒に結合するために使用され得る硬化パターン(604)と共に示す。この図から分かるように、いくつかの粉末粒子(602)は、硬化パターン(604)によって画定された物体の表面を越えて突出する。この場合、硬化パターン(604)の境界は、マスクとして作用することができ、部品は、部品(600)の表面を超えて突出する粉末粒子(602)の部分を除去するために電解研磨することができる。このプロセスの結果を図81に示すが、場合によっては、部品(600)の光学的に画定された表面自体が有孔性であってもよく、したがって、部品(600)への浸透を防止するために、適切な粘度および表面張力特性を有する電解物を選択しなければならない。除去される材料は最小限であり、十分にマスクされているので、このプロセスは、迅速に、最小限の追加の製造コストで実行され得る。
【0091】
図82は、前述のシステムのいずれかによって製造することができる部品(610)、ならびに部品(610)とは別個にまたは関連して製造することができる支持構造(612)を示す。この部分(610)は、焼結中に支持されない場合、著しく変形する突出部を含む。支持構造体(612)の上面(614)を焼結抑制溶液で被覆し、それを部品(610)のオーバーハングの下に位置決めすることによって、支持構造体(612)は、焼結中に部品(610)のオーバーハングを支持するのを補助することができる。酸化剤を支持構造体(612)の上面(614)に使用して、この表面(614)を酸化させて、焼結中に部品(610)への付着を防止する一方で、部品(610)の変形も防止することができる。
【0092】
図83~84は、前述の方法のいずれかを通じてプリントされた洗浄および焼結部品の自動化を改善するための方法を示す。図83は、支持構造(630)と組み合わせてバッチでプリントされた部品(620)のアレイを示す。図84は、プリント後に部品から余剰構築材料を除去する処理中に補助することができる追加の支持構造(632)を示す。前述の装置の多くでは、プリントプロセスが終了した後、プリント部品を取り囲む未硬化材料が存在する。これは、溶媒浴中での洗浄によって除去することができる。図84に描かれるシステムでは、2つの支持構造(630、632)は、部品(620)に接着せず、洗浄中に部品(620)を所定位置に保持することができるラックとして作用し、さらに、単純なピックアンドプレースオートメーションシステムがそれらを焼結のために別のラックに移動させることができるようにそれらの位置を維持する。加えて、下部支持構造(630)は、図82に記載される方法で処理される場合、焼結中に支持体として使用されてもよく、一般に、多くの部品の後処理を同時に容易にするために、任意の非接着支持構造が、部品のアレイと関連してプリントされてもよく、したがって、製造効率が向上する。
【0093】
図85は、図82で使用されるプロセスを概略フローチャートとして示し、支持構造は、1つ以上の部品と一体的にまたは独立してプリントされてもよく、焼結中に部品への接着を抑制するように処理され、焼結プロセス中に支持体として使用される。これは、このプリント・アンド・焼結法によって生成され得る幾何学的形状のタイプを効果的に増加させることができる。
【0094】
図86は、プリントされた部品を後処理するための追加の方法を示す。伝統的に、未焼結部品は、焼結のための部品を調製するために、結合剤材料の実質的な部分を除去するために、熱的に、溶媒で、または触媒プロセスで処理される。しかしながら、特に結合剤材料の一部が結合剤中の他の成分よりも高い揮発性を有する場合には、真空圧に曝すことによって結合剤の一部を除去することが可能であり得る。これは、前述したシステムのいずれにおいても、脱離のための高速で低温のシステムを提供することができる。この方法は、有孔性部品が製造される前述のシステムに特に適用可能であり、部品に組み込まれた有孔性構造は、部品の歪みまたは破壊なしに、揮発した結合剤材料の迅速な放出を可能にする。
【0095】
図87は、プリントされた部品を後処理するための追加の方法を示す。これまでに記載されたシステムは、多種多様な結合剤配合物を潜在的に使用することができるが、複数のタイプのモノマーおよび複数の硬化処理との特定のブレンドを使用することが有利であり得る。特に、配合物中の少なくとも1つのモノマーが光重合プロセス(一次モノマー)によって重合され得、別のモノマー(二次モノマー)が熱プロセスによって重合され得、一次モノマーを硬化させることによって形成されたポリマー(一次ポリマー)が、二次モノマーを硬化させることによって形成されたポリマー(二次ポリマー)が水溶性ではなく、二次ポリマーが不活性雰囲気または還元雰囲気中できれいに分解する能力を有する溶媒に水溶性である場合、これは、焼結金属部品を製造するために様々な反応性金属粉末と共に使用され得る。1つのそのような例は、第一のモノマー/ポリマーとしてアクリレート系を使用し、第二のモノマー/ポリマーとしてオレフィン系を使用することができる。溶媒脱結合剤は、このような配合物中の一次ポリマーを除去するための1つの選択肢であるが、二次ポリマーに悪影響を及ぼすことなく一次ポリマーを除去することができる任意の配合物を有利に使用することができる。これは、焼結中に酸素に暴露することができない金属にとって特に興味深く、最も容易に光重合可能な材料は、焼結プロセスにおいて金属を処理するための典型的な雰囲気である不活性雰囲気または還元雰囲気中で分解することができない場合がある。
【0096】
本明細書では、システムの特定の組合せを示したが、前述のサブシステムの任意の組合せを同様の目的で実施することができる。前述の方法またはシステムのいずれかに従って、粉末析出、粉末注入、および照射を提供する任意のシステムは、本主題の実施形態であると理解され得る。
【0097】
本主題は、その趣旨および本質的な特徴から逸脱することなく、他の形態で実施することができる。したがって、記載された実施形態は、すべての点で、例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。本主題を、特定の好ましい実施形態に関して説明したが、当業者に明らかな他の実施形態も、本主題の範囲内である。
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