(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
A61H7/00 323E
(21)【出願番号】P 2022094596
(22)【出願日】2022-06-10
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】592009214
【氏名又は名称】大東電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】玉木 賢
(72)【発明者】
【氏名】趙 雄翔
(72)【発明者】
【氏名】清水 新策
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-314470(JP,A)
【文献】特開平05-042187(JP,A)
【文献】特開2012-081140(JP,A)
【文献】特開2002-248142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの施療部を挟み込むように
前記一つの施療部の左右にそれぞれ配備された左右一対のマッサージ部材と、
前記
左右一対のマッサージ部材の左右方向の間隔を調整する幅調整機構と、を備え、
前記幅調整機構は、
前記
左右一対のマッサージ部材の
一方に取り付けられるとともに、
前記一方のマッサージ部材を左右方向に移動可能にする幅調整部材と、
軸心が左右方向を向くように設けられるとともに、前記幅調整部材を介して前記マッサージ部材を左右方向に案内する案内軸と、を有
し、
前記幅調整部材は、
前記一方のマッサージ部材の左側に設けられる左の板部材と、前記一方のマッサージ部材の右側に設けられる右の板部材と、前記左右の板部材を連結する連結部材と、を有
し、左右の側方から前記一方のマッサージ部材を挟み込むように取り付けられており、前記案内軸に沿って案内される
ことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記幅調整機構は、
前記
左右一対のマッサージ部材の
他方に取り付けられるとともに、
前記他方のマッサージ部材を左右方向に移動可能にする幅調整部材を有
し、
前記幅調整部材は、
前記他方のマッサージ部材の左側に設けられる左の板部材と、前記他方のマッサージ部材の右側に設けられる右の板部材と、前記左右の板部材を連結する連結部材と、を有
し、左右の側方から前記他方のマッサージ部材を挟み込むように取り付けられており、前記案内軸に沿って案内される
ことを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記マッサージ部材の基端には、回転駆動力を揺動運動に変換する変換部が設けられていて、
前記変換部は、
回転駆動力を伝達する揉み駆動軸と、
前記揉み駆動軸に取り付けられ、且つ、当該揉み駆動軸とともに回転する回転ボス部と、
前記マッサージ部材の基端に設けられ、且つ、前記回転ボス部を外嵌する環状嵌合部と、を有し、
前記回転ボス部は、前記揉み駆動軸に対し左右方向に摺動自在に取り付けられており、
前記左の板部材及び前記右の板部材は、前記変換部の前記回転ボス部の外径よりも上下方向に長く形成され、かつ、前記マッサージ部材よりも上下方向に短く形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記案内軸は、前記幅調整部材を左右方向に亘って貫通するように設けられていて、
前記幅調整部材が前記案内軸上を左右方向に移動することで、前記マッサージ部材の左右方向の間隔を調整する構成とされている
ことを特徴とする請求項
3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記板部材は、前記マッサージ部材の基端を貫通して配備される揉み駆動軸を回避するための開口部があり、
前記連結部材には、左右方向を向く水平孔部が設けられていて、
前記案内軸は、前記水平孔部を貫通するように配備され、
前記幅調整部材が前記案内軸上を案内されることで、前記幅調整部材が取り付けられた前記マッサージ部材が左右方向に移動し、左右一対の前記マッサージ部材の左右方向の間隔を調整する構成とされている
ことを特徴とする請求項
4に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記案内軸の外周には、螺旋状の雄ネジが形成されていて、
前記水平孔部の内周には、前記案内軸の前記雄ネジが螺合する雌ネジが形成されていて、
前記案内軸が回転すると前記雄ネジと前記雌ネジの噛み合いにより、前記幅調整部材が前記案内軸上を案内されることで、前記幅調整部材が取り付けられた前記マッサージ部材が左右方向に移動し、左右一対の前記マッサージ部材の左右方向の間隔を調整する構成とされている
ことを特徴とする請求項
5に記載のマッサージ機。
【請求項7】
左右一対の前記マッサージ部材を備えた左足部用マッサージ部と、左右一対の前記マッサージ部材を備えた右足部用マッサージ部が、並行して左右に一対配備されていて、
前記案内軸は、左右方向に亘って配備される長尺の軸体であって、前記左足部用マッサージ部に備えられた前記幅調整部材の前記水平孔部と、前記右足部用マッサージ部に備えられた前記幅調整部材の前記水平孔部を貫通するように設けられていて、
前記案内軸が一方方向に回転すると前記雄ネジと前記雌ネジの噛み合いにより、前記左足部用マッサージ部の前記マッサージ部材と、前記右足部用マッサージ部の前記マッサージ部材が互いに離れる方向に移動し、
前記案内軸が逆方向に回転すると前記雄ネジと前記雌ネジの噛み合いにより、前記左足部用マッサージ部の前記マッサージ部材と、前記右足部用マッサージ部の前記マッサージ部材が互いに近接する方向に移動することで、前記マッサージ部材の左右方向の間隔を調整する構成とされている
ことを特徴とする請求項
6に記載のマッサージ機。
【請求項8】
前記案内軸は、前記左足部用マッサージ部側に形成された前記雄ネジに対して、前記右足部用マッサージ部側に形成された前記雄ネジが、回転方向が異なる逆ネジとされていて、
前記案内軸が回転すると前記雄ネジと前記雌ネジの噛み合いにより、前記左足部用マッサージ部の前記幅調整部材と、前記右足部用マッサージ部の前記幅調整部材が互いに近接離反するように移動することで、前記マッサージ部材の左右方向の間隔を調整する構成とされている
ことを特徴とする請求項
7に記載のマッサージ機。
【請求項9】
前記揉み駆動軸には、軸心に直交する方向の貫通孔が形成されていて、
前記貫通孔には、前記揉み駆動軸の径方向外側に突出する長さの摺動ピンが嵌入され、
前記回転ボス部には、前記揉み駆動軸が貫通する孔部が形成されていて、
前記孔部には、前記揉み駆動軸の軸心方向に沿って長溝形状に形成され且つ、前記摺動ピンが摺動可能に装入される案内溝が形成されていて、
前記案内溝と前記摺動ピンの左右方向の案内によって、前記回転ボス部が揉み駆動軸上を左右方向に直線状に摺動することにより、前記マッサージ部材は左右方向の間隔が調整される構成とされている
ことを特徴とする請求項
8に記載のマッサージ機。
【請求項10】
前記左の板部材及び前記右の板部材は、左右方向に沿った間隔が、前記変換部の左右方向に沿った幅と同じになるように取り付けられており、前記マッサージ部材を左右方向に揺動させる前記変換部に対して、前記変換部を左右から挟み込むように前記変換部に外嵌している
ことを特徴とする請求項
9に記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の施療部の幅や大きさなどに合わせて、左右から挟み込むマッサージ部材の間隔を調整することができるマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施療部(例えば、足部や脹脛などの下肢や腕部等)を挟み込むように配備され、その施療部に揉みや押圧などのマッサージ動作を付与する左右一対のマッサージ部材を備えたマッサージ機が市販されている。例えば、特許文献1は、足部や脹脛などの下肢に対して、左右一対のマッサージ部材が互いに近接離反することで、その下肢を押し込んだり揉んだりしてマッサージ動作を行うマッサージ機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、特許文献1に開示されたマッサージ機を用いれば、施療部に対し高いマッサージ効果を得ることができるものである。
ところが、周知のように、マッサージ機を使用する人それぞれ、足部(下肢)の大きさ、脹脛の太さ、腕部の太さなど施療部の幅や大きさが異なる場合がある。しかし、従来のマッサージ機では、左右一対のマッサージ部材の間は一定間隔とされていることが多い。
【0005】
例えば、使用者の脹脛が比較的に太い場合、マッサージ部材間の一定間隔は狭く感じる。そのマッサージ部材間に挿入すると、間隔が無理に広げられることとなり、マッサージ部材が外方向に反るようになる。この反るような状況では、マッサージ部材や揉み駆動軸などに想定外の負荷がかかり、スムーズなマッサージ動作を妨げる可能性がある。
一方、使用者の脹脛が比較的に細い場合、マッサージ部材間の一定間隔は広く感じる。そのマッサージ部材間に挿入すると、間隔が広くなるため、マッサージ部材が脹脛に接触しにくくなる。この状況では、脹脛に対してマッサージ部材の押し込みが弱くなる、すなわちマッサージ部材が適切な強さで揉むことができなくなり、十分なマッサージ効果を得られない可能性がある。
【0006】
このようなことから、使用者の施療部の幅や大きさなどに合わせて、左右から挟み込むマッサージ部材の間隔を調整することができる機構を備えてほしいとの要望が挙がっていた。
本発明は、上記問題点に鑑み、例えば、使用者の足部(下肢)の大きさ、脹脛の太さなど施療部の幅や大きさが異なる場合であっても、その幅や大きさに合わせて、左右から挟み込むマッサージ部材の間隔を調整する機構を備えることで、快適且つ効果的なマッサージを行うことを可能とするマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明にかかるマッサージ機は、施療部を挟み込むように配備された左右一対のマッサージ部材と、前記マッサージ部材の左右方向の間隔を調整する幅調整機構と、を備え、前記幅調整機構は、前記マッサージ部材の少なくとも一方に取り付けられるとともに、左右方向に移動可能にする幅調整部材と、軸心が左右方向を向くように設けられるとともに、前記幅調整部材を介して前記マッサージ部材を左右方向に案内する案内軸と、を有することを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記幅調整部材は、左右の側方から前記マッサージ部材を挟み込むように取り付けられていて、前記案内軸は、前記幅調整部材を左右方向に亘って貫通するように設けられていて、前記幅調整部材が前記案内軸上を左右方向に移動することで、前記マッサージ部材の左右方向の間隔を調整する構成とされているとよい。
好ましくは、前記幅調整部材は、左右の側方から前記マッサージ部材を挟み込む一対の
板部材と、当該一対の板部材を連結する連結部材と、を有し、前記板部材は、前記マッサージ部材の基端を貫通して配備される揉み駆動軸を回避するための開口部があり、前記連結部材には、左右方向を向く水平孔部が設けられていて、前記案内軸は、前記水平孔部を貫通するように配備され、前記幅調整部材が前記案内軸上を案内されることで、前記幅調整部材が取り付けられた前記マッサージ部材が左右方向に移動し、左右一対の前記マッサージ部材の左右方向の間隔を調整する構成とされているとよい。
【0009】
好ましくは、前記案内軸の外周には、螺旋状の雄ネジが形成されていて、前記水平孔部の内周には、前記案内軸の前記雄ネジが螺合する雌ネジが形成されていて、前記案内軸が回転すると前記雄ネジと前記雌ネジの噛み合いにより、前記幅調整部材が前記案内軸上を案内されることで、前記幅調整部材が取り付けられた前記マッサージ部材が左右方向に移動し、左右一対の前記マッサージ部材の左右方向の間隔を調整する構成とされているとよい。
【0010】
好ましくは、左右一対の前記マッサージ部材を備えた左足部用マッサージ部と、左右一対の前記マッサージ部材を備えた右足部用マッサージ部が、並行して左右に一対配備されていて、前記案内軸は、左右方向に亘って配備される長尺の軸体であって、前記左足部用マッサージ部に備えられた前記幅調整部材の前記水平孔部と、前記右足部用マッサージ部に備えられた前記幅調整部材の前記水平孔部を貫通するように設けられていて、前記案内軸が一方方向に回転すると前記雄ネジと前記雌ネジの噛み合いにより、前記左足部用マッサージ部の前記マッサージ部材と、前記右足部用マッサージ部の前記マッサージ部材が互いに離れる方向に移動し、前記案内軸が逆方向に回転すると前記雄ネジと前記雌ネジの噛み合いにより、前記左足部用マッサージ部の前記マッサージ部材と、前記右足部用マッサージ部の前記マッサージ部材が互いに近接する方向に移動することで、前記マッサージ部材の左右方向の間隔を調整する構成とされているとよい。
【0011】
好ましくは、前記案内軸は、前記左足部用マッサージ部側に形成された前記雄ネジに対して、前記右足部用マッサージ部側に形成された前記雄ネジが、回転方向が異なる逆ネジとされていて、前記案内軸が回転すると前記雄ネジと前記雌ネジの噛み合いにより、前記左足部用マッサージ部の前記幅調整部材と、前記右足部用マッサージ部の前記幅調整部材が互いに近接離反するように移動することで、前記マッサージ部材の左右方向の間隔を調整する構成とされているとよい。
【0012】
好ましくは、前記マッサージ部材の基端には、回転駆動力を揺動運動に変換する変換部が設けられていて、前記変換部には、前記揉み駆動軸が貫通して配備され、当該揉み駆動軸に対し左右方向に摺動自在に設けられているとよい。
好ましくは、前記変換部は、前記揉み駆動軸に取り付けられ、当該揉み駆動軸とともに回転する回転ボス部と、前記マッサージ部材の基端に設けられ且つ、前記回転ボス部を外嵌する環状嵌合部と、を有し、前記回転ボス部は、前記揉み駆動軸に対し左右方向に摺動自在に取り付けられているとよい。
【0013】
好ましくは、前記揉み駆動軸には、軸心に直交する方向の貫通孔が形成されていて、前記貫通孔には、前記揉み駆動軸の径方向外側に突出する長さの摺動ピンが嵌入され、前記回転ボス部には、前記揉み駆動軸が貫通する孔部が形成されていて、前記孔部には、前記揉み駆動軸の軸心方向に沿って長溝形状に形成され且つ、前記摺動ピンが摺動可能に装入される案内溝が形成されていて、前記案内溝と前記摺動ピンの左右方向の案内によって、前記回転ボス部が揉み駆動軸上を左右方向に直線状に摺動することにより、前記マッサージ部材は左右方向の間隔が調整される構成とされているとよい。
なお、本発明の最も好ましい実施形態は、一つの施療部を挟み込むように前記一つの施療部の左右にそれぞれ配備された左右一対のマッサージ部材と、前記左右一対のマッサージ部材の左右方向の間隔を調整する幅調整機構と、を備え、前記幅調整機構は、前記左右一対のマッサージ部材の一方に取り付けられるとともに、前記一方のマッサージ部材を左右方向に移動可能にする幅調整部材と、軸心が左右方向を向くように設けられるとともに、前記幅調整部材を介して前記マッサージ部材を左右方向に案内する案内軸と、を有し、前記幅調整部材は、前記一方のマッサージ部材の左側に設けられる左の板部材と、前記一方のマッサージ部材の右側に設けられる右の板部材と、前記左右の板部材を連結する連結部材と、を有し、左右の側方から前記一方のマッサージ部材を挟み込むように取り付けられており、前記案内軸に沿って案内される。
また好ましくは、前記幅調整機構は、前記左右一対のマッサージ部材の他方に取り付けられるとともに、前記他方のマッサージ部材を左右方向に移動可能にする幅調整部材を有し、前記幅調整部材は、前記他方のマッサージ部材の左側に設けられる左の板部材と、前記他方のマッサージ部材の右側に設けられる右の板部材と、前記左右の板部材を連結する連結部材と、を有し、左右の側方から前記他方のマッサージ部材を挟み込むように取り付けられており、前記案内軸に沿って案内されるとよい。
また好ましくは、前記マッサージ部材の基端には、回転駆動力を揺動運動に変換する変換部が設けられていて、前記変換部は、回転駆動力を伝達する揉み駆動軸と、前記揉み駆動軸に取り付けられ、且つ、当該揉み駆動軸とともに回転する回転ボス部と、前記マッサージ部材の基端に設けられ、且つ、前記回転ボス部を外嵌する環状嵌合部と、を有し、前記回転ボス部は、前記揉み駆動軸に対し左右方向に摺動自在に取り付けられており、前記左の板部材及び前記右の板部材は、前記変換部の前記回転ボス部の外径よりも上下方向に長く形成され、かつ、前記マッサージ部材よりも上下方向に短く形成されているとよい。
また好ましくは、前記左の板部材及び前記右の板部材は、左右方向に沿った間隔が、前記変換部の左右方向に沿った幅と同じになるように取り付けられており、前記マッサージ部材を左右方向に揺動させる前記変換部に対して、前記変換部を左右から挟み込むように前記変換部に外嵌しているとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、例えば、使用者の足部(下肢)の大きさ、脹脛の太さなど施療部の幅や大きさが異なる場合であっても、その幅や大きさに合わせて、左右から挟み込むマッサージ部材の間隔を調整する機構を備えることで、快適且つ効果的なマッサージを行うことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のマッサージ機の概略を模式的に示した図である。
【
図2】本発明のマッサージ機の内部構造を示した前方斜視図である。
【
図3】本発明のマッサージ機の内部構造を示した後方斜視図である。
【
図4】本発明のマッサージ機の内部構造を示した背面図である。
【
図5】右側の幅調整機構の構造を示した拡大図である。
【
図6】左側の幅調整機構の構造を示した拡大図である。
【
図7】右側の幅調整機構の構造を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかるマッサージ機1の実施形態を、図を参照して説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。また、図面に関して、見やすくするため、構成部品の一部を省略したり、仮想線などを用いて描いている。
本実施形態においては、本発明のマッサージ機1を説明するにあたり、下肢用マッサージ機1を例にあげて説明する。
【0017】
また、下肢用マッサージ機1の前後及び左右等の方向については、図面に示す通りである。これは下肢用マッサージ機1に下肢Lを挿入して、椅子などに着座した使用者から見た方向と一致する。以降の説明においては、図面において示す方向を、下肢用マッサージ機1を説明する際の方向とする。
本明細書において、人の下肢Lであって、膝下から踝K(足首K)までの部位を「脹脛(ふくらはぎ)C」と呼ぶこととする。また、踝Kより足先Sまでの部位を「足部F」と呼ぶこととする。なお、下肢Lの他の部位については、適宜説明する。
【0018】
本発明のマッサージ機1は、一対のマッサージ部材6a,6bの幅調整を可能とする幅調整機構12を備えていることに特徴がある。本実施形態では、幅調整機構12により、下肢Lの外足側の外側マッサージ部材6aを移動可能にした例とする。ただし、下肢Lの内足側の内側マッサージ部材6bを移動可能にしてもよいし、外足側と内足側の両方のマッサージ部材6a,6bを移動可能にしてもよい。
【0019】
本実施形態の下肢用マッサージ機1は、使用者の左右両方の膝下から足先までの下肢Lをマッサージの対象(施療部)とし、その下肢Lを構成する左右それぞれの脹脛Cと足部Fに対して挟み込むように揉むマッサージを行うものである。また、この下肢用マッサージ機1は、脹脛Cの後側及び足裏Uに対しても押圧マッサージを行えるものである。
さらに、本実施形態の下肢用マッサージ機1は、左右一対のマッサージ部材6の幅(間隔)を調整することができるものとなっている。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の下肢用マッサージ機1は、正面視すると略正方形状で且つ側面視すると長靴型となるようなケース体2を有したものとなっている。ケース体2の左右側壁には、下肢用マッサージ機1の持ち運びをできるようにする取手部が設けられている。なお、ケース体2の左右方向を幅方向とする。
ケース体2には、その前面に下肢Lを嵌め入れることができる施療凹部3が左右一対形成されている。つまり、施療凹部3は、左右に離れて並設されている。左側の施療凹部3に左の下肢Lを嵌め入れ、右側の施療凹部3に右の下肢Lを嵌め入れる。
【0021】
施療凹部3は、約上半部で前方及び上方へ向けて開放状に形成された上施療凹部3aと、約下半部で上方及び前方へ向けて開放状に形成された下施療凹部3bと、を有している。上施療凹部3aと下施療凹部3bは、上下で連通するように構成されている。上施療凹部3aに脹脛Cを嵌め入れ、それと同時に、下施療凹部3bに足部Fを嵌め入れることができる。
【0022】
上施療凹部3aと下施療凹部3bの内部には、スポンジやウレタン等によるクッション材(図示せず)が設けられている。また、上施療凹部3aと下施療凹部3bの開口(表面)には、伸縮性があり且つ適度な通気性を有する布やレザー等の内張材(図示せず)が設けられている。
図2に示すように、ケース体2の内部には、マッサージ機構4が格納されている。そのケース体2の内部には、マッサージ機構4を下方から支持する支持部材5が複数設けられている。本実施形態では、支持部材5は、ケース体2内部の左右側方と中央の3個、略等
間隔に設けられている。左右の支持部材5は、マッサージ機構4を構成する揉み駆動軸8の左右両端部を、ベアリングを介して回転自在に支持する。中央の支持部材5は、揉み駆動軸8が貫通している揉み駆動部8のギアケース34を支持する。この支持部材5の3点支持により、マッサージ機構4はケース体2内部の底面から浮いたような状態で格納されている。
【0023】
図2~
図4などに示すように、マッサージ機構4は、左右方向に離間して配備され、下肢Lの脹脛Cと足部Fに対して揉みマッサージ動作を付与する左右一対のマッサージ部材6と、軸心が左右方向(幅方向)を向くようにケース体2内の左右端部に亘って配備されている揉み駆動軸7と、その揉み駆動軸7を回転駆動させる揉み駆動部8と、揉み駆動軸7の回転駆動力をマッサージ部材6の揺動運動に変換する変換部9と、を有している。
【0024】
マッサージ部材6は、施療部(下肢L)を挟み込むように左右一対配備されている。具体的には、マッサージ部材6は、下肢Lの脹脛Cと足部Fに対して揉みマッサージ動作を付与するため、その脹脛Cと足部F挟み込むように左右方向(幅方向)に離間して配備されている。
マッサージ部材6は、接触面が脹脛Cから足部Fまでの形状に沿って凹凸部が形成された板状の部材であって、下肢Lの外足側に配備された外側マッサージ部材6aと、下肢Lの内足側に配備された内側マッサージ部材6bと、を有している。
【0025】
なお、外側マッサージ部材6aと内側マッサージ部材6bとの間隔を、左右一対のマッサージ部材6の幅とし、この幅(下肢Lを挿入することができる空間の左右の広さ)を幅調整機構12(詳細は後述)でマッサージ部材6を水平移動させることで、無段階で調整可能となる。
また、左右一対のマッサージ部材6a,6bは、脹脛Cに対して揉みマッサージ動作を付与する垂直マッサージ部10と、足部Fに対して揉みマッサージ動作を付与する水平マッサージ部11と、を有している。
【0026】
垂直マッサージ部10は、ケース体2内の下方から略垂直方向で且つ上方へ立ち上がるように設けられている。垂直マッサージ部10は、脹脛Cを側方から覆う形状とされていて、上端(先端)側は脹脛C上部を覆い、後端(基端)側は脹脛C下部を覆う。
外足側(外側マッサージ部材6a)の垂直マッサージ部10aは、脹脛Cの外側方を覆う形状とされている。内足側(内側マッサージ部材6b)の垂直マッサージ部10bは、脹脛Cの内側方を覆う形状とされている。
【0027】
左右一対の垂直マッサージ部10は、上施療凹部3a内に脹脛Cを挟み込むように配備され、その上施療凹部3a内に挿入された脹脛Cに対して、内側と外側の左右方向から押すように挟み込む揉みマッサージ動作を付与するものである。この垂直マッサージ部10の基端(下端)側には、揉み駆動軸7の回転駆動力を揺動運動に変換する変換部9が設けられている。
【0028】
水平マッサージ部11は、ケース体2内の後方から略水平方向で且つ前方へ突出するように設けられている。水平マッサージ部11は、足部Fを側方から覆う形状とされていて、前端(先端)側は足先Sを覆い、後端(基端)側は踵Kを覆う。
外足側(外側マッサージ部材6a)の水平マッサージ部11aは、足部F(足先Sから踵K)の外側方を覆う形状とされている。内足側(内側マッサージ部材6b)の水平マッサージ部11bは、足部F(足先Sから踵K)の内側方を覆う形状とされている。
【0029】
左右一対の水平マッサージ部11は、下施療凹部3b内に足部Fを挟み込むように配備され、その下施療凹部3b内に挿入された足部Fに対して、内側と外側の左右方向から押すように挟み込む揉みマッサージ動作を付与するものである。この水平マッサージ部11の基端(後端)側には、揉み駆動軸7の回転駆動力を揺動運動に変換する変換部9が設けられている。つまり、垂直マッサージ部10と水平マッサージ部11は、変換部9を間に介して、連結されている。
【0030】
本実施形態においては、マッサージ部材6は、脹脛Cから足部Fへとつながる下肢Lに沿うように、側面視でブーツ形状(略L字形状)に一体に形成されたものである。変換部9は、略L字形状のマッサージ部材6の屈曲部位に設けられている。
すなわち、マッサージ部材6は、垂直マッサージ部10が変換部9から上方へ略垂直に立ち上がるように設けられるとともに、水平マッサージ部11が変換部9から前方へ略水平に突出するように設けられている。なお、変換部9は、垂直マッサージ部10と水平マッサージ部11の基端より、やや後方に位置するように設けられている。また、この変換部9が取り付けられる部位を、マッサージ部材6全体の基端とする。
【0031】
さて、本実施形態のマッサージ機1は、左下肢L用のマッサージ部材6a,6bを備えた左足部用マッサージ部6Lと、右下肢L用のマッサージ部材6a,6bを備えた右足部用マッサージ部6Rが、並行して左右に一対配備されている。
図3~
図7などに示すように、マッサージ部材6の後側には、一対のマッサージ部材6の左右方向(幅方向)の間隔を無段階で調整する幅調整機構12が設けられている。
【0032】
まず、幅調整機構12の概要について述べる。
幅調整機構12は、マッサージ部材6aを水平移動させる幅調整部材13と、その幅調整部材13を水平方向に案内する案内軸14と、を有する。
幅調整部材13に雌ネジ19を設け且つ案内軸14に雄ネジ22を設けておき、その雄ネジ22と雌ネジ19の噛み合いにより、幅調整部材13は左右方向に案内軸14上を水平移動する。なお、本実施形態では、幅調整部材13を左右方向に移動させる案内軸14は、揉み駆動軸7とは別に設けている。
【0033】
また、マッサージ部材6aの基端に設けられた変換部9(揉み駆動軸7に対して偏心回転する部位)を、揉み駆動軸7に対し左右方向に移動自在に取り付ける。このとき、変換部9を幅調整部材13で挟み込み、幅調整部材13で変換部9の左右移動を制限するようにしておく。
これにより、変換部9を揉み駆動軸7に対し、マッサージ部材6aを左右方向に移動させることができるので、一対のマッサージ部材6a,6bの幅(間隔)の調整が可能となる。
【0034】
幅調整機構12については、さらに詳細に説明する。
本実施形態においては、幅調整機構12は、外側マッサージ部材6aの後側に設けられている。幅調整機構12は、外側マッサージ部材6aを幅方向に水平移動させる。つまり、本実施形態の幅調整機構12は、左足部用マッサージ部6Lの外側マッサージ部材6aと、右足部用マッサージ部6Rの外側マッサージ部材6aを、同時に幅方向に水平移動させることで、左下肢L用の幅と、右下肢L用の幅を調整可能とする。
【0035】
幅調整機構12は、マッサージ部材6の少なくとも一方に取り付けられるとともに、幅方向に移動可能にする幅調整部材13と、軸心が幅方向を向くように設けられるとともに、幅調整部材13を介してマッサージ部材6を幅方向に案内する案内軸14と、を有する。
幅調整部材13は、左右の側方からマッサージ部材6を挟み込むように取り付けられている。本実施形態においては、幅調整部材13は、左右一対配備されている。
【0036】
左側の幅調整部材13Lは、左足部用マッサージ部6Lの外側マッサージ部材6aの基端に取り付けられている。また、右側の幅調整部材13Rは、右足部用マッサージ部6Rの外側マッサージ部材6aの基端に取り付けられている。
幅調整部材13は、平面視で前方が開口したコ字形状の部材であって、上下と前方が開口された部材であり、マッサージ部材6の基端の後方から取り付けられる。幅調整部材13は、左右の側方からマッサージ部材6を挟み込む一対の板部材15と、当該一対の板部材15の後部を連結する連結部材16と、を有している。
【0037】
板部材15は、所定の板厚を備え、前方に向かって拡幅された台形状の部材である。板部材15は、上下方向を向く後方縁より前方縁の方が長いものとなっている。板部材15の前方縁の長さは、変換部9の環状嵌合部24の内径より大きいものとなっている。また、後方縁の長さは案内軸14の外径より大きいものとなっている。本実施形態における、板部材15の前後方向の長さは、側面視で、マッサージ部材6の変換部9の前端から、後側に配備される案内軸14の位置までの距離に対応するものである。
【0038】
左右一対の板部材15の間隔(幅調整部材13内の間隙)は、マッサージ部材6に取り
付けられた変換部9の幅と略同じである。つまり、幅調整部材13は、変換部9を外嵌するように取り付けられる。
板部材15は、マッサージ部材6の基端を貫通して配備される揉み駆動軸7を回避するための切り欠き部17が形成されている。切り欠き部17は、板部材15の前側から長手方向中途部までを開口したものである。切り欠き部17の上下方向の開口広さは、揉み駆動軸7が通過可能で且つ、変換部9の回転ボス部23の外径より大きいものとなっている。つまり、板部材15は、側面視で、前方が開口したU字形状の部材である。
【0039】
連結部材16は、左右一対の板部材15の後部において、その間で挟まれるように設けられている。つまり、連結部材16の幅方向の長さは、左右一対の板部材15の間隔と略同じである。また、連結部材16の上下方向の長さは、板部材15の後方縁の長さと略同じである。連結部材16が左右一対の板部材15の後部において一体成型されることで、連結部材16により左右一対の板部材15が連結されて幅調整部材13となる。
【0040】
また、連結部材16の側面視の大きさは、案内軸14の外径より大きいものとなっている。この連結部材16には、軸心が幅方向を向く水平孔部18が設けられている。水平孔部18は、連結部材16と左右一対の板部材15の後部を貫通して形成されている。水平孔部18の内径は、案内軸14の外径と略同じである。すなわち、水平孔部18には、案内軸14が貫通して配備される。
【0041】
水平孔部18の内周には、螺旋状の雌ネジ19が形成されている。この雌ネジ19には、後述する案内軸14に形成された雄ネジ22が螺合するようになっている。
本実施形態においては、左側の水平孔部18Lに形成された雌ネジ19Lには、後述する案内軸14の雄ネジ22Lが螺合する。また、右側の水平孔部18Rに形成された雌ネジ19Rには、後述する案内軸14の雄ネジ22Rが螺合する。なお、雌ネジ19Lと雌ネジ19Rは、逆ネジの関係(詳細は後述)となっている。
【0042】
案内軸14は、軸心が左右で且つ水平方向(幅方向)を向くように配備された長尺の軸体であり、ケース体2内の左端から右端に亘って配備されている。この案内軸14は、揉み駆動部8の後方(ケース体2内の後側中央)に設けられた支持部材20により支持されている。本実施形態においては、案内軸14は、揉み駆動軸7の後方であって、マッサージ部材6の基端後方に配備されている。
【0043】
また、本実施形態においては、案内軸14の右端に調整用グリップ21が取り付けられている。この調整用グリップ21を使用者が掴んで回転させることで、左足部用マッサージ部6Lの幅調整と、右足部用マッサージ部6Rの幅調整を行うことができる。
案内軸14は、幅調整部材13を幅方向に亘って貫通するように設けられている。本実施形態の案内軸14は、左足部用マッサージ部6L(左下肢L用の外側マッサージ部材6a)に備えられた幅調整部材13Lの水平孔部18Lを貫通するとともに、右足部用マッサージ部6R(右下肢L用の外側マッサージ部材6a)に備えられた幅調整部材13Rの水平孔部18Rを貫通して設けられている。
【0044】
案内軸14の外周には、螺旋状の雄ネジ22が形成されている。本実施形態では、案内軸14の左端側には、螺旋状の雄ネジ22Lが形成されている。この雄ネジ22Lは、左側の幅調整部材13Lの雌ネジ19Lに螺合する。また、案内軸14の右端側には、螺旋状の雄ネジ22Rが形成されている。この雄ネジ22Rは、右側の幅調整部材13Rの雌ネジ19Rに螺合する。
【0045】
また、この案内軸14は、左足部用マッサージ部6L側(左端側)に形成された雄ネジ22Lに対して、右足部用マッサージ部6R側に形成された雄ネジ22Rが、回転方向が異なる逆ネジとされている。それに応じて、雌ネジ19Lと雌ネジ19Rのそれぞれも回転方向が異なる逆ネジとされている。
理由として、雄ネジ22Lと雄ネジ22Rを逆ネジの関係とすることにより、案内軸14を回転させるだけで、左下肢L用の外側マッサージ部材6aと右下肢L用の外側マッサージ部材6aが同時に近接離反するようになり、簡単にマッサージ部材6の幅調整が可能となる。
【0046】
例えば、調整用グリップ21を一方方向に回して、案内軸14を一方方向に回転させる
と、雄ネジ22と雌ネジ19の噛み合いにより、幅調整部材13が案内軸14上を幅方向(左右方向)に案内されることで、左側の幅調整部材13Lが左方外側に移動すると同時に、右側の幅調整部材13Rが右方外側に移動するので、左足部用マッサージ部6Lの外側マッサージ部材6aと、右足部用マッサージ部6Rの外側マッサージ部材6aが互いに離れる方向に水平移動する。
【0047】
調整用グリップ21を逆方向に回して、案内軸14を逆方向に回転させると、雄ネジ22と雌ネジ19の噛み合いにより、幅調整部材13が案内軸14上を幅方向(左右方向)に案内されることで、左側の幅調整部材13Lが右方内側に移動すると同時に、右側の幅調整部材13Rが左方内側に移動するので、左足部用マッサージ部6Lの外側マッサージ部材6aと、右足部用マッサージ部6Rの外側マッサージ部材6aが互いに近接する方向に水平移動する。
【0048】
この動作により、幅調整部材13L,13Rが幅方向に移動し、左右一対の外側マッサージ部材6aの幅方向の間隔を無段階で調整する。
マッサージ部材6の基端には、揉み駆動軸7が貫通して設けられている。揉み駆動軸7は、軸心が幅方向を向くように配備された長尺の軸体であり、案内軸14の前方に設けられている。揉み駆動軸7は、案内軸14と同様に、ケース体2内の左端から右端に亘って配備されている。揉み駆動軸7は、ベアリングを介して、ケース体2内の左端と右端と中央に設けられた3つの支持部材5により支持されている。揉み駆動軸7は、左足部用マッサージ部6Lの基端と右足部用マッサージ部6Rの基端を左右方向に亘って、貫通するように設けられている。揉み駆動軸7は、揉み駆動部8が出力する回転駆動力により回転する。
【0049】
マッサージ部材6の基端には、回転駆動力を揺動運動に変換する変換部9が設けられている。この変換部9には、揉み駆動軸7が貫通して配備され、当該揉み駆動軸7に対し幅方向に摺動自在に設けられている。すなわち、幅調整機構12は、変換部9を幅方向に摺動自在にする機構を有している。
変換部9は、揉み駆動軸7に回転自在に取り付けられ且つ、当該揉み駆動軸7とともに一体回転する回転ボス部23と、マッサージ部材6の基端に設けられ且つ、回転ボス部23を外嵌する環状嵌合部24と、マッサージ部材6が揉み駆動軸7との同伴回転することを規制する規制部25と、を有している。回転ボス部23には、揉み駆動軸7が貫通して配備される孔部26が形成されている。
【0050】
図7に示すように、本実施形態においては、外側の回転ボス部23aの孔部26aには、幅調整機構12を構成する案内溝27が形成されている。案内溝27は、孔部26の外周に形成され且つ、揉み駆動軸7の軸心方向に沿って長溝形状に形成されている。
案内溝27は、開口が外側の回転ボス部23aの内壁面に形成され、その開口から外側(奥側)に向かって深く形成された矩形状の溝である。案内溝27は、孔部25を挟んで対向する位置に一対設けられ且つ、その孔部26と連通している。つまり、案内溝27は、幅方向外側に有底筒状に形成され且つ、軸心と交差する方向の断面が矩形状のキー溝のように形成されたものである。この案内溝27には、揉み駆動軸7に取り付けられる摺動ピン29が摺動可能に装入される。
【0051】
一方、揉み駆動軸7には、軸心に直交する方向の貫通孔28が形成されている。貫通孔28は、揉み駆動軸7の両端部より内側に形成されている。本実施形態においては、貫通孔28は、揉み駆動軸7の軸心に沿って並ぶように2個形成されている。本実施形態の貫通孔28は、外側マッサージ部材6aに対応する位置に設けられている。
貫通孔28には、摺動ピン29が嵌入される。摺動ピン29は、揉み駆動軸7の径方向外側に突出する長さを有するものである。その摺動ピン29の長さは、向かい合う一対の案内溝27の外縁間の長さと略同じである。貫通孔28に嵌入されることで、揉み駆動軸7に取り付けられた摺動ピン29は、案内溝27に摺動自在に挿入される。
【0052】
案内溝27の開口から幅方向外側の内壁面までの間が、外側の回転ボス部23aの摺動範囲である。摺動ピン29が固定状態で且つ案内溝27が移動可能とされているため、摺動ピン29に沿って案内溝27が揉み駆動軸7上を移動するものとなっている。
外側の回転ボス部23aの案内溝27と、揉み駆動軸7の摺動ピン29の幅方向の案内によって、外側の回転ボス部23aが揉み駆動軸7上を幅方向に直線状に摺動することにより、左右一対のマッサージ部材6a,6bの幅方向の間隔を無段階で調整することができる。
【0053】
すなわち、幅調整機構12は、変換部9を幅方向に摺動自在にするため、回転ボス部23aの孔部26に案内溝27を設け且つ、揉み駆動軸7の貫通孔28に摺動ピン29を取り付けて、案内溝27に摺動ピン29を摺動可能に装入することで、マッサージ部材6aの幅方向の移動を可能とする機構を有している。
本実施形態では、幅調整機構12は手動で行うものであるが、モータを設けて自動で案内軸14を回転させる構成としても良い。ただし、幅調整機構12を自動で行う場合、幅調整部材13の位置を検出するため、センサやリミットスイッチを備えるようにする。
【0054】
さて、変換部9は、マッサージ部材6の基端側に設けられている。本実施形態においては、変換部9は、ブーツ形状(略L字形状)とされているマッサージ部材6の屈曲部位(水平マッサージ部11と垂直マッサージ部10との間)に配備されている。
例えば、水平マッサージ部11aと垂直マッサージ部10aとの間に、外側の変換部9aが配備されている。また、水平マッサージ部11bと垂直マッサージ部10bとの間に、内側の変換部9bが配備されている。
【0055】
この変換部9は、揉み駆動軸7の回転駆動力を、水平マッサージ部11及び垂直マッサージ部10の近接離反動作(揺動運動)に変換し、マッサージ部材6に揉みマッサージ動作を伝達するものである。
回転ボス部23は、揉み駆動軸7とともに一体回転する。回転ボス部23の外周面には、揉み駆動軸7に対して傾斜状のカム面30を有している。このカム面30により、回転ボス部23は揉み駆動軸7の軸心に対して傾斜回転する。
【0056】
また、回転ボス部23の孔部26は、カム面30の回転軸心に対して偏心した軸心となっている。その孔部26に、揉み駆動軸7が貫通して配備されている。回転ボス部23は、揉み駆動軸7の軸心に対して偏心回転する。
回転ボス部23のカム面30の傾きについては、外側マッサージ部材6aと内側マッサージ部材6bの間において、相対逆向き(例えば、正面視でV字状)に、互いに傾斜している(例えば、
図4を参照)。外側の回転ボス部23aと、内側の回転ボス部23bは、相対逆向きで傾斜・偏心回転する。
【0057】
また、本実施形態の回転ボス部23は、摺動ピン29と案内溝27により、揉み駆動軸7に対し幅方向に摺動自在に取り付けられている。
環状嵌合部24は、マッサージ部材6の基端(屈曲部位)に形成されていて、回転ボス部23を相対回転自在な状態で外嵌する。例えば、外側マッサージ部材6aは、環状嵌合部24aが外嵌する回転ボス部23aの傾斜回転により、揺動運動をする。また、内側マッサージ部材6bは、環状嵌合部24bが外嵌する回転ボス部23bの傾斜回転により、揺動運動をする。
【0058】
規制部25は、環状嵌合部24の下方に配備されていて、その環状嵌合部24が回転ボス部23aに対して供回りすることを規制するものである(
図3、
図7などを参照)。規制部25は、環状嵌合部24の下部に設けられた規制ピン31と、その規制ピン31が摺動自在に嵌り込む規制溝32と、を有している。規制ピン31は、環状嵌合部24から下方向に突設された部材である。この規制ピン31と対向する位置には、規制溝32が設けられている。規制溝32は、ケース体2内の底面に設けられていて、左右方向に長い溝とされている。その規制溝32に規制ピン31が摺動自在に挿入されることで、規制ピン31は規制溝32内において左右方向に揺動する。
【0059】
上記の変換部9は、揉み駆動軸7の回転駆動力を揺動運動に変換し、一対の水平マッサージ部11a,11bの前部から後部の順に互いに近接させてゆき、続いて一対の垂直マッサージ部10a,10bの下部から上部の順に互いに近接させ、その後水平マッサージ部11a,11bの前部から後部の順に離反させてゆき、続いて垂直マッサージ部10a,10bの下部から上部の順に離反させる動作を繰り返し行う、近接離反動作(揉みマッサージ動作)を行わせる。
【0060】
すなわち、マッサージ部材6a,6bは、垂直マッサージ部10a,10bの倒れ込みにより、脹脛Cに対して挟み込みマッサージを付与するとともに、水平マッサージ部11a,11bの挟み込みにより、足部Fに対して挟み込みマッサージを付与する。
揉み駆動部8は、揉み駆動軸7を回転駆動させて、変換部9で揉み駆動軸7の回転駆動力を揺動運動に変換し、水平マッサージ部11と垂直マッサージ部10からなるマッサージ部材6に揉みマッサージ動作をさせることで、マッサージ機構4を駆動させる。
【0061】
揉み駆動部8は、回転駆動力を発生する駆動モータ33と、回転駆動力を所定の速度に減速して、揉み駆動軸7に伝達するギアケース34と、を有している。この揉み駆動部8は、ケース体2内の中央に設けられた支持部材8に支持されている。
駆動モータ33は、ケース体2内の上下方向中途部で且つ、右内側のマッサージ部材6aと左内側のマッサージ部材6aとの間(ケース体2内の略中央)に配備されている。駆動モータ33は、出力軸33aが後方向に突出するように配備されている。
【0062】
ギアケース34は、駆動モータ33の下方に配備されていて、複数のギア34aが格納されている。このギアケース34には、出力軸33aが挿入され、揉み駆動軸7が左右方向に貫通して備えられている。つまり、駆動モータ33の回転駆動力は、出力軸33aから出力され、下方のギアケース34で所定の速度に減速され、揉み駆動軸7に伝達されることとなる。
【0063】
さて、ケース体2内の底面には、土踏まずTなどの足裏Uに対して、押圧マッサージができる押圧マッサージ部材35が突設されている。この押圧マッサージ部材35は、水平マッサージ部11a,11bの挟み込みマッサージ動作のとき、足裏Uに対して、上方に向かって指圧するような押圧マッサージを付与する。また、押圧マッサージ部材35は、様々な足裏Uの大きさ(幅・長さなど)に合うように、一対の水平マッサージ部材11a,11bの間に複数設けるようにしてもよい。
【0064】
なお、マッサージ部材6の水平移動に伴い、足裏Uをマッサージする押圧マッサージ部材35を水平方向に移動可能な構成にしてもよい。例えば、水平マッサージ部材11にアーム部材を介して押圧マッサージ部材35を取り付けておくなどの構成が挙げられる。これにより、使用者の足部Fの幅に合わせて、押圧マッサージ部材35の位置を合わせることができるようになる。
【0065】
また、ケース体2内の後側壁には、脹脛Cの後側に対して、マッサージ動作を付与する後部マッサージ部材36が設けられている。なお、マッサージ部材6の水平移動に伴い、脹脛Cの後側をマッサージする後部マッサージ部材36も水平方向に移動可能な構成にしてもよい。これにより、使用者の脹脛Cの幅に合わせて、後部マッサージ部材36の位置を合わせることができるようになる。
【0066】
また、揉み駆動軸7には、図示はしないが、脹脛Cの後側~踝Kの後側に対して、マッサージ動作を付与する回転マッサージ部材が設けられていてもよい。
[作動態様]
次いで、本発明の下肢用マッサージ機1の作動態様について説明する。
まず、使用者は、下肢用マッサージ機1の外側方に設けられた調整用グリップ21を回して、幅調整機構12でマッサージ部材6の幅を調整する。
【0067】
下肢Lを施療凹部3に挿入する前に、例えば手で調整用グリップ21を一方方向に回して、マッサージ部材6の幅を広げる。具体的には、調整用グリップ21を一方方向に回すと、案内軸14が一方方向に回転する。
案内軸14の左端側に形成された雄ネジ22Lと、左側の幅調整部材13Lに設けられた雌ネジ19Lの噛み合いにより、幅調整部材13Lが案内軸14上を左方向外側に移動する。左足部用マッサージ部6Lの外側マッサージ部材6aは左方向外側に案内される。
【0068】
また、案内軸14の右端側に形成された雄ネジ22Rと、右側の幅調整部材13Rに設けられた雌ネジ19Rの噛み合いにより、幅調整部材13Rが案内軸14上を右方向外側に移動する。右足部用マッサージ部6Rの外側マッサージ部材6aは右方向外側に案内される。
つまり、雄ネジ22と雌ネジ19が逆ネジの構成であることにより、左側の幅調整部材13Lと右側の幅調整部材13Rの案内により、左足部用マッサージ部6Lの外側マッサージ部材6aと、右足部用マッサージ部6Rの外側マッサージ部材6aが同時に、互いに離れる方向(左右外側)に水平移動する。これにより、マッサージ部材6の幅が広がり、容易に下肢Lを施療凹部3に挿入させることができる。
【0069】
このようなマッサージ部材6の幅が広がった状態で、上施療凹部3aに脹脛Cを嵌め入れ、それと同時に、下施療凹部3bに足部Fを嵌め入れる。調整用グリップ21を逆方向に回して、案内軸14を逆方向に回転させる。
案内軸14の左端側に形成された雄ネジ22Lと、左側の幅調整部材13Lに設けられた雌ネジ19Lの噛み合いにより、幅調整部材13Lが案内軸14上を右方向内側に移動する。左足部用マッサージ部6Lの外側マッサージ部材6aは右方向内側に案内される。
【0070】
また、案内軸14の右端側に形成された雄ネジ22Rと、右側の幅調整部材13Rに設けられた雌ネジ19Rの噛み合いにより、幅調整部材13Rが案内軸14上を左方向内側に移動する。右足部用マッサージ部6Rの外側マッサージ部材6aは左方向内側に案内される。
つまり、雄ネジ22と雌ネジ19が逆ネジの構成であることにより、左側の幅調整部材13Lと右側の幅調整部材13Rの案内により、左足部用マッサージ部6Lの外側マッサージ部材6aと、右足部用マッサージ部6Rの外側マッサージ部材6aが同時に、互いに近接する方向(左右内側)に水平移動する。
【0071】
施療凹部3に挿入した下肢Lにマッサージ部材6が接触するまで、調整用グリップ21を回転させる。その下肢Lにマッサージ部材6が少し接触すると、調整用グリップ21の回転を止める。この動作により、幅調整部材13L,13Rが幅方向に移動し、左右一対の外側マッサージ部材6aの幅方向の間隔を無段階で調整することができ、下肢Lの幅に合わせてマッサージ部材6の幅(位置)を調整することができる。これで下肢用マッサージ機1の準備が完了となる。
【0072】
なお、調整用グリップ21に代えて、案内軸14をモータにより回転させるようにし、このモータを連続的ではなく、一定角度ごと(例えば90°ごと)や一定回転数ごと(例えば、5回転ごと)に停止させるようにする。そうすることで、幅調整部材13L,13Rを幅方向に有段階で移動させることが可能となる。また、調整用グリップ21を連続的に回転するものに代えて、段階的に回転する(例えば1回転ごとに回転する)部材へと変更することができる。そうすることで、案内軸14は連続的ではなく所定角度ごとに回転するために、幅調整部材13L,13Rを幅方向に有段階で移動させることができる。なお、モータや調整用グリップ21を連続的に回転させるようにすることで、幅調整部材13L,13Rを幅方向に無段階で移動させることができる。
【0073】
下肢用マッサージ機1に設けられた操作パネルのスイッチを操作して電源をONにし、揉み駆動部8を駆動させてマッサージ機構4を起動させる。揉み駆動部8により揉み駆動軸7が回転駆動する。
揉み駆動軸7の回転駆動力を変換部9a,9bで揺動運動に変換し、一対の水平マッサージ部11a,11bの前部から後部の順に互いに近接させてゆき、続いて一対の垂直マッサージ部10a,10bの下部から上部の順に互いに近接させ、その後水平マッサージ部11a,11bの前部から後部の順に離反させてゆき、続いて垂直マッサージ部10a,10bの下部から上部の順に離反させる動作を繰り返し行う、近接離反動作(揉みマッサージ動作)を行わせる。このようにして、
このように、一対のマッサージ部材6a,6bは、垂直マッサージ部10a,10bの倒れ込みにより、左右それぞれの脹脛Cに対して挟み込みマッサージを付与するとともに、水平マッサージ部11a,11bの挟み込みにより、左右それぞれの足部Fに対して挟み込みマッサージを付与する。
【0074】
本発明のマッサージ機1によれば、例えば、使用者の足部F(下肢L)の大きさ、脹脛Cの太さ、腕部の太さなど施療部の幅や大きさが異なる場合であっても、その幅や大きさに合わせて、左右から挟み込むマッサージ部材の間隔を調整する機構を備えることで、快
適且つ効果的なマッサージを行うことを可能とする。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
【0075】
特に、今回開示された実施形態において、明示されていない事項、例えば、作動条件や操作条件、構成物の寸法、重量などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
例えば、マッサージ機1に備えられているマッサージ部材6の長さや、マッサージ部材6(回転ボス部23のカム面30)の揉み駆動軸7に対する傾斜角度及び偏心度合い、左右一対のマッサージ部材6の離間距離などは、施療範囲を鑑み適宜変更可能である。
【0076】
また、本発明のマッサージ機1に備えられた幅調整機構12は、例えば、腕部を一対のマッサージ部材間に挿入し、その腕部に対してマッサージを行うマッサージ装置にも適用可能である。また、幅調整機構12は、椅子型マッサージ機に備えられている背部用マッサージ機構、首肩用マッサージ機、枕型マッサージ機など、偏心回転する軸で揉みマッサージ動作を行っている構造であれば適用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 マッサージ機(下肢用マッサージ機)
2 ケース体
3 施療凹部
4 マッサージ機構
5 支持部材
6 マッサージ部材
6a 外側マッサージ部材
6b 内側マッサージ部材
7 揉み駆動軸
8 揉み駆動部
9 変換部
10 垂直マッサージ部
11 水平マッサージ部
12 幅調整機構
13 幅調整部材
14 案内軸
15 板部材
16 連結部材
17 切り欠き部
18 水平孔部
19 雌ネジ
20 支持部材
21 調整用グリップ
22 雄ネジ
23 回転ボス部
24 環状嵌合部
25 規制部
26 孔部
27 案内溝
28 貫通孔
29 摺動ピン
L 下肢
C 脹脛(ふくらはぎ)
F 足部