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特許7536334電池モジュールおよびこれを含む電池パック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】電池モジュールおよびこれを含む電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6568 20140101AFI20240813BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240813BHJP
   H01M 10/617 20140101ALI20240813BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240813BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240813BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240813BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240813BHJP
【FI】
H01M10/6568
H01M10/613
H01M10/617
H01M10/625
H01M10/647
H01M10/6556
H01M50/204 401H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022549520
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 KR2021002900
(87)【国際公開番号】W WO2021215654
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-08-17
(31)【優先権主張番号】10-2020-0048915
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ソプ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュンヨブ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ミュンキ・パク
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0021608(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0138412(KR,A)
【文献】特表2019-516225(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0236314(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/52-10/667
H01M50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層された電池セル積層体、
前記電池セル積層体を収納するモジュールフレーム、および
前記モジュールフレームの底部の下に位置するヒートシンクを含み、
前記底部は前記ヒートシンクの上部プレートを構成し、
前記ヒートシンクは、前記底部よりも前記電池セル積層体から離れた位置に設けられ、前記底部と接合する下部プレートを含み、
前記下部プレートには、前記電池セル積層体から離れる方向に陥没した陥没部が形成されており、
前記陥没部と前記底部との間に冷媒の流路が形成され、
前記底部に、前記電池セル積層体が位置した方向に突出した凸パターン部が形成され、
前記凸パターン部は、前記底部の一面と垂直な方向から見た時、前記陥没部と対応するように位置し、前記陥没部が形成されない前記下部プレートの部分とは対応しないように位置し、
前記凸パターン部は一方向に沿って伸びている形状である、電池モジュール。
【請求項2】
前記底部は前記冷媒と接触する、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記凸パターン部は、前記底部中の前記凸パターン部が形成されていない領域に比べて、前記電池セル積層体の近くに位置し、且つ、前記ヒートシンクから離れて位置する、請求項1又は2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記モジュールフレームの前記底部と前記電池セル積層体の間に位置する熱伝導性樹脂層をさらに含み、
前記凸パターン部に対応する前記熱伝導性樹脂層の厚さは、前記凸パターン部が形成されていない領域に対応する前記熱伝導性樹脂層の厚さに比べて薄い、請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記凸パターンは前記電池セルの積層方向と垂直な方向に沿って伸びている形状である、請求項1から4のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記凸パターンは前記電池セルの積層方向と平行な方向に沿って伸びている形状である、請求項1から4のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記陥没部には前記底部に向かって突出した突出パターンが形成された、請求項からのいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記モジュールフレームは、前記底部の一部が突出して形成されたモジュールフレーム突出部を含み、
前記ヒートシンクは、前記ヒートシンクの一辺から前記モジュールフレーム突出部が位置した部分に突出したヒートシンク突出部を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記モジュールフレーム突出部は、前記モジュールフレームの一側で互いに離隔して位置する第1モジュールフレーム突出部と第2モジュールフレーム突出部を含み、
前記第1モジュールフレーム突出部上に冷媒注入ポートが配置され、前記第2モジュールフレーム突出部上に冷媒排出ポートが配置される、請求項に記載の電池モジュール。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項による電池モジュールを含む電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2020年4月22日付韓国特許出願第10-2020-0048915号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は電池モジュールおよびこれを含む電池パックに関するものであって、より具体的には、冷却性能が向上した電池モジュールおよびこれを含む電池パックに関するものである。
【背景技術】
【0003】
現代社会では携帯電話機、ノートパソコン、キャムコーダー、デジタルカメラなどの携帯型機器の使用が日常化するにつれて、前記のようなモバイル機器関連分野の技術に対する開発が活発になっている。また、充放電の可能な二次電池は化石燃料を使用する既存のガソリン車両などの大気汚染などを解決するための方案であって、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(P-HEV)などの動力源として用いられているところ、二次電池に対する開発の必要性が高まっている。
【0004】
現在商用化された二次電池としてはニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあり、このうちのリチウム二次電池はニッケル系列の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらなくて充放電が自由であり、自己放電率が非常に低くエネルギー密度が高いという長所で脚光を浴びている。
【0005】
このようなリチウム二次電池は主にリチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として使用する。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板がセパレータを挟んで配置された電極組立体、および電極組立体を電解液と共に密封収納する電池ケースを備える。
【0006】
一般に、リチウム二次電池は外装材の形状によって、電極組立体が金属缶に内装されている缶型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内装されているパウチ型二次電池に分類できる。
【0007】
小型機器に用いられる二次電池の場合、2-3個の電池セルが配置されるが、自動車などのような中大型デバイスに用いられる二次電池の場合は、多数の電池セルを電気的に連結した電池モジュール(Battery module)が用いられる。このような電池モジュールは多数の電池セルが互いに直列または並列に連結されて電池セル積層体を形成することによって容量および出力が向上される。また、一つ以上の電池モジュールは、BMS(Battery Management System)、冷却システムなどの各種制御および保護システムと共に装着されて電池パックを形成することができる。
【0008】
二次電池は、適正温度より高まる場合、二次電池の性能が低下することがあり、ひどい場合、爆発や発火の危険もある。特に、多数の二次電池、即ち、電池セルを備えた電池モジュールや電池パックは、狭い空間で多数の電池セルから出る熱が合算されて温度がさらに速くてひどく上がることがある。言い換えれば、多数の電池セルが積層された電池モジュールとこのような電池モジュールが装着された電池パックの場合、高い出力を得ることができるが、充電および放電時、電池セルから発生する熱を除去することが容易でない。電池セルの放熱が十分に行われない場合、電池セルの劣化が速くなりながら寿命が短くなり、爆発や発火の可能性が大きくなる。
【0009】
さらに、車両用バッテリーパックに含まれるバッテリーモジュールの場合、直射光線に頻繁に露出され、夏季や砂漠地域のような高温条件に置かれることがある。
【0010】
したがって、電池モジュールや電池パックを構成する場合、安定的でありながらも効果的な冷却性能を確保することは非常に重要であると言える。
【0011】
図1は従来の電池モジュールに対する斜視図であり、図2図1の切断線A-A’に沿って切断した断面図である。特に、図2は電池モジュールの下に位置した熱伝達部材およびヒートシンクを追加的に示した。
【0012】
図1および図2を参照すれば、従来の電池モジュール10は複数の電池セル11が積層されて電池セル積層体20を形成し、電池セル積層体20はモジュールフレーム30に収納される。
【0013】
前述の通り、複数の電池セル11を含むため電池モジュール10は充放電過程で多量の熱を発生させる。冷却手段として、電池モジュール10は電池セル積層体20とモジュールフレーム30の底部31の間に位置した熱伝導性樹脂層40を含むことができる。また、電池モジュール10がパックフレームに装着されて電池パックを形成する時、電池モジュール10の下に熱伝達部材50およびヒートシンク60を順次に配置することができる。熱伝達部材50は放熱パッドであってもよく、ヒートシンク60は内部に冷媒流路を形成することができる。
【0014】
電池セル11から発生した熱が、熱伝導性樹脂層40、モジュールフレーム30の底部31、熱伝達部材50およびヒートシンク60を順次に経て電池モジュール10の外部に伝達される。
【0015】
しかし、従来の電池モジュール10の場合、前記のように熱伝達経路が複雑で、電池セル11から発生した熱が効果的に伝達されにくい。モジュールフレーム30自体が熱伝導特性を低下させることがあり、モジュールフレーム30、熱伝達部材50およびヒートシンク60それぞれの間に形成できるエアーギャップ(Air gap)などの微細な空気層も熱伝導特性を低下させる要因になることがある。
【0016】
電池モジュールに対しては小型化や容量増大のような他の要求も続いているので、冷却性能を高めながらもこのような多様な要求事項を共に満足することができる電池モジュールを開発することが実質的に必要であると言える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明が解決しようとする課題は、冷却性能が向上した電池モジュールおよびこれを含む電池パックを提供するためのものである。
【0018】
しかし、本発明の実施形態が解決しようとする課題は上述の課題に限定されず、本発明に含まれている技術的な思想の範囲で多様に拡張できる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一実施形態による電池モジュールは、複数の電池セルが積層された電池セル積層体、前記電池セル積層体を収納するモジュールフレーム、および前記モジュールフレームの底部の下に位置するヒートシンクを含み、前記底部は前記ヒートシンクの上部プレートを構成し、前記ヒートシンクと前記底部が冷媒の流路を形成し、前記底部に、前記電池セル積層体が位置した方向に突出した凸パターン部が形成される。
【0020】
前記底部は、前記冷媒と接触できる。
【0021】
前記凸パターン部は、前記底部中の前記凸パターン部が形成されていない領域に比べて、前記電池セル積層体の近くに位置し、且つ、前記ヒートシンクから離れて位置してもよい。
【0022】
前記電池モジュールは、前記モジュールフレームの前記底部と前記ヒートシンクの間に位置する熱伝導性樹脂層をさらに含み、前記凸パターン部に対応する前記熱伝導性樹脂層の厚さは、前記凸パターン部が形成されていない領域に対応する前記熱伝導性樹脂層の厚さに比べて薄くてもよい。
【0023】
前記凸パターン部の少なくとも一部は、一方向に沿って伸びている形状であってもよい。
【0024】
前記凸パターン部の少なくとも一部は、前記電池セルの積層方向と垂直な方向に沿って伸びている形状であってもよい。
【0025】
前記凸パターン部の少なくとも一部は、前記電池セルの積層方向と平行な方向に沿って伸びている形状であってもよい。
【0026】
前記ヒートシンクは、前記モジュールフレームの前記底部と接合する下部プレートおよび下側に陥没形成された陥没部を含むことができる。
【0027】
前記陥没部と前記底部の間に前記冷媒の流路が形成できる。
【0028】
前記凸パターン部は、前記底部の一面と垂直な方向から見た時、前記陥没部と対応するように配置することができる。
【0029】
前記陥没部には前記底部に向かって突出した突出パターンが形成できる。
【0030】
前記モジュールフレームは、前記底部一部が突出して形成されたモジュールフレーム突出部を含むことができ、前記ヒートシンクは、前記ヒートシンクの一辺から前記モジュールフレーム突出部が位置した部分に突出したヒートシンク突出部を含むことができる。
【0031】
前記モジュールフレーム突出部は前記モジュールフレーム一側で互いに離隔して位置する第1モジュールフレーム突出部と第2モジュールフレーム突出部を含むことができ、前記第1モジュールフレーム突出部上に冷媒注入ポートが配置され、前記第2モジュールフレーム突出部上に冷媒排出ポートが配置されてもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明の実施形態によれば、モジュールフレームとヒートシンクの一体化された電池モジュール構造によって冷却性能が向上できる。
【0033】
また、モジュールフレームの底部にパターン構造を形成して、冷媒流路の空間を確保し、モジュールフレームの剛性を補強することができる。
【0034】
本発明の効果は以上で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】従来の電池モジュールに対する斜視図である。
図2図1の切断線A-A’に沿って切断した断面図である。
図3】本発明の一実施形態による電池モジュールを示す斜視図である。
図4図3の電池モジュールの分解斜視図である。
図5図3の電池モジュールをz軸方向に沿って電池モジュールの下から上に見た斜視図である。
図6図3の切断線B-B’に沿って切断した断面の一部を示した部分断面図である。
図7】本発明の変形された実施形態であって、ヒートシンクを除去しz軸方向に沿って電池モジュールを下から上に見た斜視図である。
図8】本発明の変形された実施形態であって、ヒートシンクを除去しz軸方向に沿って電池モジュールを下から上に見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付した図面を参照して本発明の様々な実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。本発明は様々の異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0037】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付けるようにする。
【0038】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示されたところに限定されるのではない。図面において様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のために、一部層および領域の厚さを誇張されるように示した。
【0039】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分“の上に”または“上に”あるという時、これは他の部分“の直上に”ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分“の直上に”あるという時には中間に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分“の上に”または“上に”あるということは基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に向かって“の上に”または“上に”位置することを意味するのではない。
【0040】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を“含む”という時、これは特に反対になる記載がない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0041】
また、明細書全体で、“平面上”という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、“断面上”という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0042】
図3は、本発明の一実施形態による電池モジュールを示す斜視図である。図4は、図3の電池モジュールの分解斜視図である。図5は、図3の電池モジュールをz軸方向に沿って電池モジュールの下から上に見た斜視図である。
【0043】
図3および図4を参照すれば、本発明の一実施形態による電池モジュール100は、複数の電池セル110が積層された電池セル積層体120、電池セル積層体120を収納するモジュールフレーム200、およびモジュールフレーム200の底部210aの下に位置するヒートシンク300を含む。モジュールフレーム200の底部210aはヒートシンク300の上部プレートを構成し、ヒートシンク300と底部210aが冷媒の流路を形成する。底部210aに電池セル積層体120が位置した方向に突出した凸パターン部212が形成される。
【0044】
まず、電池セル110はパウチ型電池セルであってもよい。このようなパウチ型電池セルは、樹脂層と金属層を含むラミネートシートのパウチケースに電極組立体を収納した後、前記パウチケースのシーリング部を熱融着して形成されることができる。この時、電池セル110は長方形のシート型構造に形成することができる。
【0045】
このような電池セル110は複数個で構成でき、複数の電池セル110は相互電気的に連結されるように積層されて電池セル積層体120を形成する。特に、図4に示されているように、x軸と平行な方向に沿って複数の電池セル110が積層できる。
【0046】
電池セル積層体120を収納するモジュールフレーム200は、上部カバー220およびU字型フレーム210を含むことができる。
【0047】
U字型フレーム210は、底部210a、および底部210aの両端部で上向延長された二つの側面部210bを含むことができる。底部210aは電池セル積層体120の下面をカバーすることができ、側面部210bは電池セル積層体120の両側面をカバーすることができる。
【0048】
上部カバー220は、U字型フレーム210によって囲まれる前記下面および前記両側面を除いた残りの上面(z軸方向)を囲む一つの板状型構造に形成できる。上部カバー220とU字型フレーム210は互いに対応する角部位が接触した状態で、溶接などによって結合されることによって、電池セル積層体120を上下左右にカバーする構造を形成することができる。上部カバー220とU字型フレーム210によって電池セル積層体120を物理的に保護することができる。このために上部カバー220とU字型フレーム210は所定の強度を有する金属材質を含むことができる。
【0049】
一方、具体的に図示しなかったが、変形例によるモジュールフレーム200は、上面、下面および両側面が一体化された金属板材形態のモノフレームであってもよい。即ち、U字型フレーム210と上部カバー220が相互結合される構造でなく、押出成形で製造されて上面、下面および両側面が一体化された構造であってもよい。
【0050】
エンドプレート400は、モジュールフレーム200の開放された互いに対応する両側(y軸方向)に位置して電池セル積層体120をカバーするように形成できる。このようなエンドプレート400は、外部の衝撃から電池セル積層体120およびその他の電装品を物理的に保護することができる。
【0051】
一方、具体的に図示しなかったが、電池セル積層体120とエンドプレート400の間にはバスバーが装着されるバスバーフレームおよび電気的絶縁のための絶縁カバーなどを配置することができる。
【0052】
本実施形態によるモジュールフレーム200は、モジュールフレーム200の底部210aが延長されてエンドプレート400を過ぎるように形成されたモジュールフレーム突出部211を含むことができる。この時、モジュールフレーム突出部211の上面部と連結される冷却ポート500によって流入および排出される冷媒が、モジュールフレーム突出部211を通ってヒートシンク300に供給およびヒートシンク300から排出できる。
【0053】
具体的には、本実施形態による冷却ポート500は冷媒注入ポート500aと冷媒排出ポート500bを含み、冷媒注入ポート500aと冷媒排出ポート500bはパック冷媒供給管(図示せず)およびパック冷媒排出管(図示せず)とそれぞれ連結できる。モジュールフレーム突出部211はモジュールフレーム200一側で第1モジュールフレーム突出部と第2モジュールフレーム突出部を含み、冷媒注入ポート500aは前記第1モジュールフレーム突出部上に配置され、冷媒排出ポート500bは前記第2モジュールフレーム突出部上に配置できる。
【0054】
以下では、図4および図5を参照して、本実施形態によるヒートシンクについて具体的に説明する。
【0055】
図4および図5を参照すれば、モジュールフレーム200の底部210aはヒートシンク300の上部プレートを構成し、ヒートシンク300の陥没部340とモジュールフレーム200の底部210aが冷媒の流路を形成することができる。
【0056】
具体的には、ヒートシンク300はモジュールフレーム200の下部に形成され、ヒートシンク300は、ヒートシンク300の骨格を形成しモジュールフレーム200の底部210aと接合される下部プレート310および冷媒が流動する経路である陥没部340を含むことができる。また、ヒートシンク300はヒートシンク300の一辺からモジュールフレーム突出部211が位置した部分に突出したヒートシンク突出部300Pを含むことができる。
【0057】
ヒートシンク突出部300Pとモジュールフレーム突出部211は互いに溶接などの方法で直接結合できる。
【0058】
ヒートシンク300の陥没部340は、下部プレート310が下側に陥没形成された部分に該当する。陥没部340は冷媒流路が伸びる方向を基準にして垂直にxz平面またはyz平面に切断した断面がU字型であるU字型管であってもよく、前記U字型管の開放された上側に底部210aが配置されてもよい。ヒートシンク300が底部210aと接しながら、陥没部340と底部210aの間の空間が冷媒が流動する領域、即ち、冷媒の流路になる。これにより、モジュールフレーム200の底部210aが前記冷媒と接触することになる。
【0059】
ヒートシンク300の陥没部340の製造方法に特別な制限はないが、板状型のヒートシンク300に対して陥没形成された構造を設けることによって、上側が開放されたU字型陥没部340を形成することができる。
【0060】
このような陥没部340は、ヒートシンク突出部300Pのうちの一つから他の一つにつながることになる。パック冷媒供給管(図示せず)と冷媒注入ポート500aを通じて供給された冷媒は、前記第1モジュールフレーム突出部とヒートシンク突出部300Pの間を経て陥没部340と底部210aの間の空間に最初流入する。その後、冷媒は陥没部340に沿って移動し、前記第2モジュールフレーム突出部とヒートシンク突出部300Pの間を経て冷媒排出ポート500bとパック冷媒排出管(図示せず)を通じて排出される。
【0061】
一方、モジュールフレーム200の底部210aと電池セル積層体120の間に熱伝導性樹脂(Thermal resin)を含む熱伝導性樹脂層600(図6参照)が配置されてもよい。熱伝導性樹脂層600は、熱伝導性樹脂(Thermal resin)を底部210aに塗布し、塗布された熱伝導性樹脂が硬化して形成できる。
【0062】
前記熱伝導性樹脂は熱伝導性接着物質を含むことができ、具体的には、シリコン(Silicone)素材、ウレタン(Urethan)素材、およびアクリル(Acrylic)素材のうちの少なくとも一つを含むことができる。前記熱伝導性樹脂は、塗布時には液状であるが、塗布後に硬化して電池セル積層体120を構成する一つ以上の電池セル110を固定する役割を果たすことができる。また、熱伝導特性が優れて電池セル110から発生した熱を迅速に電池モジュールの下側に伝達することができる。
【0063】
図2に示された従来の電池モジュール10は、電池セル11から発生した熱が熱伝導性樹脂層40、モジュールフレーム30の底部31、熱伝達部材50およびヒートシンク60の冷媒を順次に経て電池モジュール10の外部に伝達される。また、ヒートシンク60の冷媒の流路はヒートシンク60内部に位置する。
【0064】
反面、本実施形態による電池モジュール100は、モジュールフレーム200とヒートシンク300の冷却一体型構造を実現して、冷却性能をより向上させることができる。モジュールフレーム200の底部210aがヒートシンク300の上部プレートに対応する役割を果たすことによって冷却一体型構造を実現することができる。直接冷却による冷却効率が上昇し、ヒートシンク300がモジュールフレーム200の底部210aと一体化された構造によって、電池モジュール100および電池モジュール100が装着された電池パック上の空間活用率をより向上させることができる。
【0065】
具体的には、電池セル110から発生した熱が電池セル積層体120と底部210aの間に位置する熱伝導性樹脂層600、モジュールフレーム200の底部210a、冷媒を経て電池モジュール100の外部に伝達できる。従来の不必要な冷却構造を無くすことによって、熱伝達経路が単純化され、各層の間のエアーギャップを減らすことができるため冷却効率や性能が増大できる。特に、底部210aがヒートシンク300の上部プレートとして構成されて、底部210aが直ちに冷媒と当接するため冷媒を通じたより直接的な冷却が可能であるという長所がある。従来は、図2に示したように、底部31と冷媒の間に熱伝達部材50およびヒートシンク60の上部構成が位置して冷却効率が低下することと比較できる。
【0066】
また、不必要な冷却構造を無くすことによって電池モジュール100の高さが減少して、原価節減が可能であり、空間活用度を高めることができる。さらに、電池モジュール100がコンパクトに配置できるので、電池モジュール100を複数含む電池パックの容量や出力を増大させることができる。
【0067】
一方、モジュールフレーム200の底部210aは、ヒートシンク300中の陥没部340が形成されていない下部プレート310部分と溶接によって接合できる。本実施形態は、モジュールフレーム200の底部210aとヒートシンク300の冷却一体型構造によって、前述の冷却性能向上だけでなくモジュールフレーム200に収容された電池セル積層体120の荷重を支持し電池モジュール100の剛性を補強する効果を有することができる。だけでなく、下部プレート310とモジュールフレーム200の底部210aは溶接結合などにより密封されることによって、下部プレート310内側に形成された陥没部340で冷媒が漏れることなく流動することになる。
【0068】
効果的な冷却のために、図5に示されているように、モジュールフレーム200の底部210aに対応する全領域にわたって陥没部340が形成されることが好ましい。このために、陥没部340は少なくとも一回曲げられて一側から他側につながることになる。特に、モジュールフレーム200の底部210aに対応する全領域にわたって陥没部340が形成されるために、陥没部340は数回曲げられることが好ましい。モジュールフレーム200の底部210aに対応する全領域にわたって形成された冷媒流路の開始点から終了点まで冷媒が移動することによって、電池セル積層体120の全領域に対する効率的な冷却が行われることになる。
【0069】
一方、前記冷媒は冷却のための媒介物であって、特別な制限はないが、冷却水であってもよい。
【0070】
以下では、図4図6を参照して、本発明の一実施形態による凸パターン部212について具体的に説明する。
【0071】
図6は、図3の切断線B-B’に沿って切断した断面の一部を示した部分断面図である。特に、底部210aに形成された凸パターン部212を重点的に示した。
【0072】
図4図6を参照すれば、前述の通り、本実施形態によるモジュールフレーム200の底部210aに電池セル積層体120が位置した方向に突出した凸パターン部212が形成される。凸パターン部212は底部210a中の一部が上向突出して形成された部分に該当する。言い換えれば、ヒートシンク300の陥没部340が下側に陥没して形成できる反面、凸パターン部212はそれと反対方向に突出して形成できる。
【0073】
これにより、凸パターン部212は、底部210a中の凸パターン部212が形成されていない領域に比べて、電池セル積層体120の近くに位置し、且つ、ヒートシンク300から遠くに形成できる。特に、凸パターン部212は、ヒートシンク300の陥没部340と対応して位置するように形成できる。凸パターン部212を設けることによって、凸パターン部212と陥没部340の間の距離を他の底部210aの領域に比べて相対的に遠く形成することができ、これによって凸パターン部212と陥没部340の間の冷媒Cの流量を増加させることができる。陥没部340に沿って流れる冷媒Cの流量を増やすことができるので、電池モジュール100の冷却性能をより向上させることができる。
【0074】
また、凸パターン部212が形成された底部210aは一種のビード(bead)構造を形成するものであるので、電池モジュール100の下部に対する剛性を補強する効果を有することができる。
【0075】
また、前述の通り、モジュールフレーム200の底部210aと電池セル積層体120の間に熱伝導性樹脂層600が位置し、凸パターン部212を形成することによって、熱伝導性樹脂層600を形成する熱伝導性樹脂の所要量が減少して原価節減が可能になる。
【0076】
以下では、図7および図8を参照して、本発明の変形された実施形態による凸パターン部212a、212bの方向について具体的に説明する。
【0077】
図7および図8は、それぞれ本発明の変形された実施形態であって、ヒートシンクを除去しz軸方向に沿って電池モジュールを下から上に見た斜視図である。電池モジュールを下から上に見ることによって、上向突出した凸パターン部212a、212bは凹んだ構造に見える。
【0078】
まず、図7図4および図5と共に参照すれば、本発明の一実施形態による凸パターン部212aの少なくとも一部は一方向に沿って伸びている形状であってもよい。より具体的には、凸パターン部212aの少なくとも一部は電池セル110の積層方向(x軸と平行な方向)と垂直な方向に沿って伸びている形状であってもよい。
【0079】
その次に、図8図4および図5と共に参照すれば、本発明の他の一実施形態による凸パターン部212bの少なくとも一部は他の一方向に沿って伸びている形状であってもよい。より具体的には、凸パターン部212bの少なくとも一部は電池セル110の積層方向(x軸と平行な方向)と平行な方向に沿って伸びている形状であってもよい。
【0080】
一方、先に説明した通り、ヒートシンク300の陥没部340が数回曲げられて一側から他側につながることになる。この時、図5図7および図8を参照すれば、凸パターン部212a、212bは、底部210aの一面と垂直な方向から見た時、陥没部340と対応するように配置できる。また、下部プレート310とは対応しないように配置できる。
【0081】
具体的には、図7での凸パターン部212aは、底部210aの一面と垂直な方向から見た時、陥没部340中の電池セル110の積層方向と垂直な方向に沿って伸びる部分に対応して位置するように形成できる。図8での凸パターン部212bは底部210aの一面と垂直な方向から見た時、陥没部340中の電池セル110の積層方向と平行な方向に沿って伸びる部分に対応して位置するように形成できる。先に説明した通り、ヒートシンク300の下部プレート310とモジュールフレーム200の底部210aが溶接によって接合でき、底部210aの一面と垂直な方向から見た時、凸パターン部212a、212bを陥没部340と対応して位置するように形成することによって、冷媒Cの流量を増やすと同時に下部プレート310と底部210aの溶接領域を確保することができる。即ち、凸パターン部212a、212bを下部プレート310の領域と回避して設計することによって、下部プレート310と底部210aの溶接が円滑に行われることになる。
【0082】
一方、図4を再び参照すれば、本実施形態によるヒートシンク300の陥没部340には突出パターン340Dが形成できる。本実施形態による電池セル積層体120のように積層される電池セルの数が従来と比べて多く増える大面積電池モジュールの場合、冷媒流路の幅がさらに広く形成されることがあって温度偏差がさらに大きいこともある。大面積電池モジュールでは、従来の一つの電池モジュール内に大略12個~24個の電池セルが積層された場合に対比して、大略32個~48個の電池セルが一つの電池モジュール内に積層されている場合を含むことができる。このような場合、本実施形態による突出パターン340Dは冷却流路の幅を実質的に縮小させる効果を発生させて圧力降下を最少化し同時に冷媒流路幅間の温度偏差を減らすことができる。したがって、均一な冷却効果を実現することができる。
【0083】
本実施形態で前、後、左、右、上、下のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は説明の便宜のためのものに過ぎず、対象になる事物の位置や観測者の位置などによって変わることがある。
【0084】
前述の本実施形態による一つまたはそれ以上の電池モジュールは、BMS(Battery Management System)、冷却システムなどの各種制御および保護システムと共に装着されて電池パックを形成することができる。
【0085】
前記電池モジュールや電池パックは多様なデバイスに適用できる。具体的には、電気自転車、電気自動車、ハイブリッドなどの運送手段に適用できるが、これに制限されず、二次電池を使用することができる多様なデバイスに適用可能である。
【0086】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
【符号の説明】
【0087】
100:電池モジュール
200:モジュールフレーム
210:U字型フレーム
212、212a、212b:凸パターン部
300:ヒートシンク
340:陥没部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8