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特許7536356電池モジュールおよびそれを含む電池パック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】電池モジュールおよびそれを含む電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/218 20210101AFI20240813BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240813BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20240813BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20240813BHJP
   H01M 50/264 20210101ALI20240813BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240813BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240813BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240813BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20240813BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALI20240813BHJP
【FI】
H01M50/218
H01M50/204 401H
H01M50/211
H01M50/262 E
H01M50/264
H01M50/548 301
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/653
H01M10/6551
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023505432
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-21
(86)【国際出願番号】 KR2022000252
(87)【国際公開番号】W WO2022149888
(87)【国際公開日】2022-07-14
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0003176
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・キョン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジュンヨブ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】スビン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ホング・ハン
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-018915(JP,A)
【文献】特開2012-160543(JP,A)
【文献】特表2022-521945(JP,A)
【文献】特開2003-323874(JP,A)
【文献】特開2010-244894(JP,A)
【文献】特開2008-277085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 50/50
H01M 10/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層された電池セル積層体;および
前記電池セル積層体の前面、後面および両側面をカバーする弾性部材を含み、
前記弾性部材は下部が開放され、前記電池セル積層体の下面が外部に露出され、
前記電池セルは突出した電極リードを含み、
前記電極リードは、前記電池セルから互いに対向する方向に突出した第1電極リードおよび第2電極リードを含む、
電池モジュール。
【請求項2】
前記弾性部材は前記電池セル積層体の前記前面、前記後面および前記両側面に沿って連続して繋がる、
請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記第1電極リードおよび前記第2電極リードは、前記電池セル積層体の前記前面および前記後面に位置する、
請求項に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記電池セルの間に位置する冷却フィンをさらに含む、
請求項1~のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記冷却フィンが前記電池モジュールの下面から突出している、
請求項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記電池セル積層体の前記前面と前記弾性部材の間に位置する第1センシングブロックおよび前記電池セル積層体の前記後面と前記弾性部材の間に位置する第2センシングブロックをさらに含む、
請求項1~のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記電池セル積層体の前記両側面と前記弾性部材の間に位置する側面パッドをさらに含む、
請求項1~のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の電池モジュール;
前記電池モジュールを収納するパックフレーム;および
前記電池モジュールと前記パックフレームの底部の間に位置する熱伝導性樹脂層を含み、
前記電池セル積層体の下面が前記熱伝導性樹脂層と接触する、
電池パック。
【請求項9】
前記電池セルの間に位置する冷却フィンをさらに含み、
前記冷却フィンが前記電池セル積層体の下面から延びて前記熱伝導性樹脂層と接触する、
請求項に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は2021年1月11日付韓国特許出願第10-2021-0003176号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は電池モジュールおよびそれを含む電池パックに関し、より具体的には冷却性能が向上した電池モジュールおよびそれを含む電池パックに関する。
【背景技術】
【0003】
現代社会では携帯電話、ノートパソコン、カムコーダ、デジタルカメラなどの携帯型機器の使用が日常化するにつれて、前記のようなモバイル機器と関連する分野の技術に対する開発が活発に進められている。また、充放電が可能な二次電池は化石燃料を使用する既存のガソリン車両などの大気汚染などを解決するための方案として、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(P-HEV)などの動力源として用いられるため、二次電池に対する開発の必要性が高まっている。
【0004】
現在、商用化されている二次電池としてはニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあるが、その中でリチウム二次電池はニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起きず、充放電が自由で、自己放電率が非常に低くてエネルギ密度が高い長所から脚光を浴びている。
【0005】
このようなリチウム二次電池は主にリチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として使用する。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板がセパレータを間に置いて配置された電極組立体および電極組立体を電解液と共に密封収納する電池ケースを備える。
【0006】
一般にリチウム二次電池は外装材の形状によって、電極組立体が金属缶に内蔵されている缶型二次電池と電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内蔵されているパウチ型二次電池に分類することができる。
【0007】
小型機器に用いられる二次電池の場合、2~3個の電池セルが配置されるが、自動車などのような中大型デバイスに用いられる二次電池の場合は、多数の電池セルを電気的に連結した電池モジュール(Battery module)が用いられる。このような電池モジュールは多数の電池セルが互いに直列または並列に連結されて電池セル積層体を形成することによって容量および出力が向上する。また、一つ以上の電池モジュールはBMS(Battery Management System)、冷却システムなどの各種制御および保護システムと共に取り付けられて電池パックを形成することができる。
【0008】
二次電池は、適正温度より高くなる場合、二次電池の性能が低下し得、はなはだしい場合は爆発や発火の危険性もある。特に、多数の二次電池、すなわち電池セルを備えた電池モジュールや電池パックは狭い空間で多数の電池セルから出る熱が合算されて温度がより急激に上がり得る。言い換えれば、多数の電池セルが積層された電池モジュールとこのような電池モジュールが取り付けられた電池パックの場合、高い出力を得ることができるが、充電および放電時の電池セルで発生する熱を除去することは容易でない。電池セルの放熱がきちんと行われない場合、電池セルの劣化が早くなることにより寿命が短くなって、爆発や発火の可能性が大きくなる。
【0009】
さらに、車両用電池パックに含まれる電池モジュールの場合、直射光線にしばしば露出し、夏や砂漠地域のような高温条件に置かれ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、冷却性能および熱伝達性能が向上した電池モジュールおよびそれを含む電池パックを提供することにある。
【0011】
しかし、本発明の実施形態が解決しようとする課題は、上述した課題に限定されず、本発明に含まれた技術的思想の範囲で多様に拡張することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態による電池モジュールは、複数の電池セルが積層された電池セル積層体;および前記電池セル積層体の前面、後面および両側面をカバーする弾性部材を含む。前記弾性部材は下部が開放され、前記電池セル積層体の下面が外部に露出される。
【0013】
前記弾性部材は前記電池セル積層体の前記前面、前記後面および前記両側面に沿って連続して繋がり得る。
【0014】
前記電池セルは突出した電極リードを含み得、前記電極リードは、前記電池セルから互いに対向する方向に突出した第1電極リードおよび第2電極リードを含み得る。
【0015】
前記第1電極リードおよび前記第2電極リードは、前記電池セル積層体の前記前面および前記後面に位置し得る。
【0016】
前記電池モジュールは、前記電池セルの間に位置する冷却フィンをさらに含み得る。
【0017】
前記冷却フィンが前記電池モジュールの下面から突出し得る。
【0018】
前記電池モジュールは、前記電池セル積層体の前記前面と前記弾性部材の間に位置する第1センシングブロックおよび前記電池セル積層体の前記後面と前記弾性部材の間に位置する第2センシングブロックをさらに含み得る。
【0019】
前記電池モジュールは、前記電池セル積層体の前記両側面と前記弾性部材の間に位置する側面パッドをさらに含み得る。
【0020】
本発明の一実施形態による電池パックは、前記電池モジュール;前記電池モジュールを収納するパックフレーム;および前記電池モジュールと前記パックフレームの底部の間に位置する熱伝導性樹脂(Thermal resin)層を含む。前記電池セル積層体の下面は前記熱伝導性樹脂層と接触する。
【0021】
前記電池パックは、前記電池セルの間に位置する冷却フィンをさらに含み得、前記冷却フィンは前記電池セル積層体の下面から延びて前記熱伝導性樹脂層と接触し得る。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施形態によれば、電池セル積層体の下面を露出させる構造で、熱伝達経路を単純化して冷却性能を向上させることができる。
【0023】
また、弾性部材が電池セル積層体を包み連続して繋がる構造を形成して、電池セルのスウェリングを抑制することができ、電池セルの積層方向での電池モジュールの変形を防止することができる。
【0024】
本発明の効果は以上で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態による電池モジュールを示す斜視図である。
図2図1の電池モジュールに対する分解斜視図である。
図3図2の電池モジュールに含まれた電池セルを示す斜視図である。
図4図2の電池モジュールに含まれた電池セル積層体と冷却フィンを示す斜視図である。
図5】本発明の比較例による電池モジュールを示す斜視図である。
図6図5の切断線A-A’に沿って切断した断面を示す断面図である。
図7図1の電池モジュールの前面部分を拡大して示す部分斜視図である。
図8図7の電池モジュールの前面部分を正面から見た図である。
図9】本発明の一実施形態による電池パックに対する分解斜視図である。
図10図9の切断線B-B’に沿って切断した断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付する図面を参照して本発明の様々な実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は様々な異なる形態で実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0027】
本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素に対しては同じ参照符号を付ける。
【0028】
また、図面に示す各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜上任意に示したので、本発明は必ずしも示されたところに限定されない。図面で複数の層および領域を明確に表現するために厚さを誇張して示した。そして図面で、説明の便宜上一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0029】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「上に」または「の上に」あるという時、これは他の部分の「すぐ上に」ある場合だけでなくその中間にまた他の部分がある場合も含む。逆にある部分が他の部分の「すぐ上に」あるという時には中間に他の部分が存在しないことを意味する。また、基準になる部分「上に」または「の上に」あるというのは基準になる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力の逆方向に向かって「上に」または「の上に」位置することを意味するものではない。
【0030】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対の意味を示す記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0031】
また、明細書全体で、「平面上」という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0032】
図1は本発明の一実施形態による電池モジュールを示す斜視図である。図2図1の電池モジュールに対する分解斜視図である。図3図2の電池モジュールに含まれた電池セルを示す斜視図である。図4図2の電池モジュールに含まれた電池セル積層体と冷却フィンを示す斜視図である。
【0033】
図1ないし図4を参照すると、本発明の一実施形態による電池モジュール100は、複数の電池セル110が積層された電池セル積層体200および電池セル積層体200の前面、後面および両側面をカバーする弾性部材700を含む。弾性部材700は下部が開放され、電池セル積層体200の下面が外部に露出される。ここで前面は電池セル積層体200のy軸方向の面を意味し、後面は電池セル積層体200の-y軸方向の面を意味し、両側面はそれぞれ電池セル積層体200のx軸および-x軸方向の面を意味する。また、下面は電池セル積層体200の-z軸方向の面を意味し、上面は電池セル積層体200のz軸方向の面を意味する。ただし、これは説明の便宜上指称した面であり、対象になる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得る。後述するが、電池セル積層体200の前面および後面は電池セル110の突出した第1および第2電極リード111,112が位置する面であり得る。
【0034】
まず、電池セル110はパウチ型電池セルであることが好ましく、長方形のシート状構造で形成されることができる。本実施形態による電池セル110は突出した第1および第2電極リード111,112を含む。具体的には、本実施形態による電池セル110は第1および第2電極リード111,112がセル本体113を基準として互いに対向して一端部114aと他端部114bからそれぞれ突出している構造を有する。より詳細には第1および第2電極リード111,112は電極組立体(図示せず)と連結され、前記電極組立体(図示せず)から電池セル110の外部に突出する。第1および第2電極リード111,112は互いに異なる極性であって、一例として、そのうちの一つは正極リード111であり得、他の一つは負極リード112であり得る。すなわち、一つの電池セル110を基準として正極リード111と負極リード112が互いに対向する方向に突出し得る。
【0035】
一方、電池セル110は、セルケース114に電極組立体(図示せず)を収納した状態でセルケース114の両端部114a,114bとこれらを連結する一側部114cを接着することにより製造されることができる。換言すれば、本実施形態による電池セル110は総3ケ所のシーリング部を有し、シーリング部は熱融着などの方法でシーリングされる構造であり、残りの他の一側部は連結部115からなる。セルケース114は樹脂層と金属層を含むラミネートシートからなる。
【0036】
このような電池セル110は複数で構成され、複数の電池セル110は相互電気的に接続されるように積層されて電池セル積層体200を形成する。特に、図1および図2に示すようにx軸と平行な方向に沿って複数の電池セル110が積層されることができる。そのため、第1電極リード111および第2電極リード112はそれぞれy軸方向と-y軸方向に突出することができる。すなわち、第1電極リード111および第2電極リード112は電池セル積層体200の前記前面および前記後面に位置することができる。
【0037】
本実施形態による弾性部材700は電池セル積層体200の前記前面、前記後面および前記両側面に沿って連続して繋がることができる。複数の電池セル110が繰り返し充放電される過程で、その内部の電解質が分解されてガスが発生して電池セル110が膨らむ現象、すなわちスウェリング(Swelling)現象が発生し得る。特に、各電池セル110は電池セル110の積層方向(x軸と平行な方向)にスウェリングが起き得る。本実施形態では、弾性を有する弾性部材700が電池セル積層体200の前記前面、前記後面および前記両側面に沿って連続して繋がるので電池セル110のスウェリングを抑制することができ、電池セル110の積層方向での電池モジュール100の変形を最小化することができる。
【0038】
また、本実施形態による電池モジュールは、モジュールフレームとエンドプレートが除去されたモジュール-レス(module-less)構造を形成することができる。モジュールフレームやエンドプレートに代わって、本実施形態による電池モジュール100は弾性部材700によりその形態が維持および固定されることができる。モジュールフレームとエンドプレートが除去されることにより、電池セル積層体200をモジュールフレームの内部に収納する工程やモジュールフレームとエンドプレートを組み立てる工程のように精密なコントロールが求められる複雑な工程が不必要である。また、除去されたモジュールフレームとエンドプレートだけ電池モジュール100の重量を大きく減らし得る長所を有する。また、本実施形態による電池モジュール100はモジュールフレームの除去により、電池パックの組み立て工程時の再作業性が有利である長所を有するが、従来のモジュールフレームを有する電池モジュールはモジュールフレームの溶接構造により不良が発生しても再作業が不可能であることと比較することができる。
【0039】
また、電池セル積層体200の上面および下面が外部に露出するが、モジュールフレームによって囲まれることより熱発散に効果的であるので冷却性能が向上することができる。ここで、上面は電池セル積層体200のz軸方向の面を意味し、下面は電池セル積層体200の-z軸方向の面を意味する。
【0040】
図5は本発明の比較例による電池モジュールを示す斜視図である。図6図5の切断線A-A’に沿って切断した断面を示す断面図である。
【0041】
図5および図6を参照すると、本発明の比較例による電池モジュール10は複数の電池セル11が積層された電池セル積層体20および電池セル積層体20を包む弾性部材70を含む。この時、本実施形態による電池モジュール100とは異なり、弾性部材70が電池セル積層体20の上面、下面および両側面を包む。すなわち、電極リード11Lが形成された電池セル積層体20の前面と後面を除いた面を弾性部材70が包む。ここでも同様に、前面は電池セル積層体20のy軸方向の面を意味し、後面は電池セル積層体20の-y軸方向の面を意味し、両側面はそれぞれ電池セル積層体20のx軸および-x軸方向の面を意味する。また、下面は電池セル積層体20の-z軸方向の面を意味し、上面は電池セル積層体20のz軸方向の面を意味する。電池セル11の電極リード11Lは電池セル積層体20の前面と後面に位置する。
【0042】
具体的に図示していないが、電池セル積層体20がモジュールフレームに収納されるかモジュールフレームなしで直接パックフレームに取り付けられるが、この場合、いずれも電池セル積層体20の下面には熱伝導性樹脂層13が位置することができる。
【0043】
本比較例では、図6に示すように、電池セル11で発生した熱が弾性部材70を経て熱伝導性樹脂層13に伝達される。また、電池セル11と弾性部材70の間にはエアギャップ(Air gap)のように熱伝達阻害要素が発生し得る。これとは異なり、本実施形態による電池モジュール100は、弾性部材700が電池セル積層体200の前面、後面および両側面をカバーし、下部が開放されたため、電池セル積層体200の下面が露出する。そのため、電池セル110が後述する熱伝導性樹脂層と直接接触することができる。本実施形態による弾性部材700は電池セル積層体200の上面と下面でない、第1および第2電極リード111,112が位置した電池セル積層体200の前面と後面をカバーするように構成される点で本比較例による弾性部材70と差異がある。熱伝達経路が単純化され、エアギャップ(Air gap)のように熱伝達阻害要素が発生する余地がないので、本実施形態による電池モジュールは本比較例による電池モジュールに比べて向上した冷却および放熱性能を有する。
【0044】
一方、このような弾性部材700は所定の弾性力を有するものであれば、その素材に特に制限はないが、一例として高分子ポリマー合成素材、FRB(Fiber-reinforced plastic)などの複合材料および金属合金の少なくとも一つを含むことができる。
【0045】
一方、図1および図2を再び参照すると、本実施形態による電池モジュール100は電池セル積層体200の前記両側面と弾性部材700の間に位置する板状の側面パッド600をさらに含むことができる。モジュールフレームとエンドプレートが除去される代わりに側面パッド600が電池セル積層体200の前記両側面に配置され、電池モジュール100の剛性を補完し、電池セル110と弾性部材700の間に緩衝機能を行うことができる。このような側面パッド600にはフォーム素材のパッドを適用することができる。
【0046】
一方、図2および図4を再び参照すると、本実施形態による電池モジュール100は電池セル110の間に位置する冷却フィン300をさらに含むことができる。図2および図4では一つの冷却フィン300のみを図示したが、電池セル110の間それぞれに本実施形態による冷却フィン300がすべて位置することができる。
【0047】
冷却フィン300は熱伝導度が高い金属素材を含むことができる。具体的な素材の制限はなく、一例としてアルミニウム(Al)を含むことができる。熱伝導度が高い冷却フィン300を電池セル110の間に配置して直接付着して冷却面を広げることができる。そのため、冷却性能が向上する。
【0048】
一方、上述したように、電池セル積層体200の下面が外部に露出されるが、本実施形態による冷却フィン300は電池セル積層体200の下面から突出することができる。そのため、本実施形態による冷却フィン300は後述する熱伝導性樹脂層と直接接触することができる。電池セル110の間に配置された冷却フィン300を直接熱伝導性樹脂層と接触させることによって、電池モジュールの熱排出性能を極大化させることができる。
【0049】
以下では、図7および図8などを参照して、第1および第2センシングブロックおよびLVセンシング組立体について詳しく説明する。
【0050】
図7図1の電池モジュールの前面部分を拡大して示す部分斜視図である。図8図7の電池モジュールの前面部分を正面から見た図である。ただし、図7および図8は説明の便宜上弾性部材が省略された場合を示した。
【0051】
図2図3図7および図8を共に参照すると、本発明の一実施形態に他の電池モジュール100は第1センシングブロック410および第2センシングブロック420を含むことができる。第1センシングブロック410は電池セル積層体200の前記前面と弾性部材700の間に位置することができ、第2センシングブロック420は電池セル積層体200の前記後面と弾性部材700の間に位置することができる。
【0052】
このような第1センシングブロック410と第2センシングブロック420は電気的絶縁を示す素材を含み得、一例としてプラスチック素材、高分子素材または複合素材を含むことができる。また、第1センシングブロック410と第2センシングブロック420は一種のバスケット形状を有し、電池セル積層体200の前記前面および前記後面をそれぞれ覆うように構成されることができる。
【0053】
以下では、説明の繰り返しを避けるために図7図8に示す第1センシングブロック410を基準として説明するが、第2センシングブロック420にも同一ないし類似の構造が適用されることができる。
【0054】
上述したように、電極リード111,112が電池セル積層体200の前記前面と前記後面に位置することができる。第1センシングブロック410にはスリット410Sが形成されることができ、第1センシングブロック410が配置されるとき電極リード111,112がこのようなスリット410Sを通過することができる。次に、少なくとも2個の電極リード111,112同士が曲がって接合されて電極リード接合体110Lを形成することができる。具体的には、隣接する電池セル110に対して同じ方向に突出した電極リード111,112がその電極リード111,112の突出方向と垂直な方向に曲がって、互いに接合されて電極リード接合体110Lを形成することができる。そのため、電極リード接合体110Lの一面は、電池セル110から電極リード111,112が突出する方向(y軸方向)と垂直であり得る。この時、互いに同じ極性の電極リード同士が接合されることもでき、互いに異なる極性の電極リード同士が接合されることもできる。換言すれば、電池セル110間の並列連結を実現するために互いに同じ極性の電極リード同士が接合することができ、また、電池セル110間の直列接続を実現するために互いに異なる極性の電極リード同士が接合することができる。これは電池モジュールの設計によって変わり得る。
【0055】
一方、電池セル積層体200の外側に位置する電池セル110の電極リード111,112は端子バスバー500と連結されることができる。従来の電池モジュールがバスバーを介して電極リードを互いに連結することとは異なり、本実施形態による電極リード111,112は互いに直接接合され、そのうちの一部が端子バスバー500と連結されることによって、HV(High Voltage)連結を形成することができる。ここで、HV連結は電力を供給するための電源の役割の連結であって、電池セル間の連結や電池モジュール間の連結を意味する。本実施形態によるHV連結構造で、バスバーおよびバスバーが取り付けられるバスバーフレームは除去されることができる。
【0056】
一方、本実施形態による電池モジュール100は電池セルの電圧情報伝達のためのLV(Low Voltage)センシング組立体900を含むことができる。LVセンシング組立体900は、第1センシングブロック410および第2センシングブロック420の少なくとも一つに位置することができる。具体的には、第1センシングブロック410のうち電池セル積層体200と対向する面の反対面にLVセンシング組立体900が位置することができる。同様に、具体的に図示していないが、第2センシングブロック420のうち電池セル積層体200と対向する面の反対面にLVセンシング組立体900が位置することができる。
【0057】
LVセンシング組立体900はLV(Low voltage)連結のためのものであり、ここでLV連結は電池セルの電圧を感知して制御するためのセンシング連結を意味する。LVセンシング組立体900を介して電池セル110の電圧情報と温度情報が外部BMS(Battery Management System)に伝達されることができる。このようなLVセンシング組立体900は電極リード接合体110Lと連結されることができる。
【0058】
LVセンシング組立体900は、LVコネクタ910、LVコネクタ910と電極リード111,112を連結する連結部材920および連結部材920の一端に位置して電極リード111,112に接合される接合プレート930を含むことができる。
【0059】
LVコネクタ910は複数の電池セル110を制御するために外部の制御装置と信号を送受信するように構成されることができる。連結部材920は軟性プリント回路基板(FPCB:Flexible Printed Circuit Board)またはフレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)であり得る。複数の電池セル110から測定された電圧および温度情報が、連結部材920とLVコネクタ910を介して外部のBMS(Battery Mamagement System)に伝達されることができる。すなわち、LVコネクタ910と連結部材920を含むLVセンシング組立体900は各電池セル110の過電圧、過電流、過発熱などの現象を検出して、制御することができる。接合プレート930は連結部材920の一端に位置して、電気伝導性を有する金属素材で構成されることができる。このような接合プレート930を電極リード111,112に接合することによって、連結部材920と電極リード111を電気的、物理的に連結することができる。具体的には、接合プレート930の一側は連結部材920を貫通した後曲がることによって連結部材920と結合され、接合プレート930の他側は板状で構成されて電極リード111,112と接合、特に溶接接合されることができる。
【0060】
一方、上述したように、電池セル110はx軸方向に沿って積層されて電池セル積層体200を形成することができ、そのため電極リード111,112はそれぞれy軸方向と-y軸方向に突出することができる。この時、上述したように、少なくとも2個の電極リード111,112同士が曲がって接合されて電極リード接合体110Lを形成することができる。このような電極リード接合体110LにLVセンシング組立体900の接合プレート930が直接接合され、LVセンシング組立体900と電極リード111,112が互いに連結されることができる。本実施形態による電池モジュール100はHV連結とLV連結がそれぞれ行わず、一度に行われることができるので、生産性向上を期待することができ、バスバーフレームなどの構成を除去することができ、よりコンパクトな構成の電池モジュール100を製造できる長所を有する。
【0061】
電極リード接合体110Lを形成するための電極リード111,112間の接合や電極リード接合体110Lと接合プレート930の間の接合において、電気的な連結が可能であればその接合方式に特に制限はなく、一例として溶接接合が行われることができる。また、y軸方向に突出した電極リード111,112を基準として説明したが、-y軸方向に突出した電極リード111,112に対しても同様に電極リード接合体およびLVセンシング組立体900の構造が形成されることができる。
【0062】
一方、図1および図2に示すように、本実施形態による弾性部材700は電極リード111,112、すなわち電極リード接合体110Lをカバーすることができる。構造上電極リード接合体110Lが第1センシングブロック410や第2センシングブロック420の外側に位置するが、このような電極リード接合体110Lを弾性部材700がカバーすることによって、外部環境から電極リード111,112に対する1次的な保護が可能である。
【0063】
以下では図9および図10を参照して、本発明の一実施形態による電池パックについて詳しく説明する。
【0064】
図9は本発明の一実施形態による電池パックに対する分解斜視図である。図10図9の切断線B-B’に沿って切断した断面を示す断面図である。この時、図10は、図9の電池モジュール100、熱伝導性樹脂層1300およびパックフレーム1100の底部1110が図9とは異なり互いに接触した状態であることを仮定してその断面を示ず図である。
【0065】
図9および図10を参照すると、本発明の一実施形態による電池パック1000は電池モジュール100、電池モジュール100を収納するパックフレーム1100および電池モジュール100とパックフレーム1100の底部1110の間に位置する熱伝導性樹脂(Thermal resin)層1300を含む。
【0066】
電池モジュール100は先立って説明したとおり、電池セル積層体200、弾性部材700を含む。電池モジュール100に係る説明は前述した内容と重複するため省略する。
【0067】
電池パック1000はパックフレーム1100を覆う上部カバー1200をさらに含むことができる。すなわち、多数の電池モジュール100がパックフレーム1100と上部カバー1200の間に収納されることができる。
【0068】
熱伝導性樹脂層1300は、底部1110に熱伝導性樹脂(Thermal resin)を塗布して形成されることができる。具体的には、前記熱伝導性樹脂を底部1110上に塗布し、その上に本実施形態による電池モジュール100を位置させた後、前記熱伝導性樹脂が硬化して熱伝導性樹脂層1300が形成されることができる。
【0069】
前記熱伝導性樹脂は熱伝導性接着物質を含み得、具体的にはシリコーン(Silicone)素材、ウレタン(Urethan)素材およびアクリル(Acrylic)素材の少なくとも一つを含むことができる。前記熱伝導性樹脂は、塗布時には液状であるが、塗布後に硬化して電池セル積層体200を構成する複数の電池セル110を固定する役割を行うことができる。また、熱伝導特性に優れて電池モジュール100で発生した熱を迅速に底部1110に伝達して電池パック1000の過熱を防止することができる。
【0070】
図2図9および図10を参照すると、上述したように、本実施形態による電池モジュール100はモジュールフレームとエンドプレートが除去されたモジュール-レス(module-less)構造を形成することができ、弾性部材700の下部が開放されて電池セル積層体200の下面が露出する。電池パック1000で電池セル積層体200の下面は前記熱伝導性樹脂層1300と接触する。そこで、電池セル110で発生した熱が熱伝導性樹脂層1300を経てそのままパックフレーム1100の底部1110に伝達されることができる。モジュールフレームがある従来のモデルや図5に示す弾性部材70を含むモデルの場合、電池セルで発生した熱がいくつの層を経て電池モジュールの外部に排出されるので熱伝達経路が複雑である。すなわち、電池セルから発生した熱が効果的に伝達されにくく、各層の間に形成されることができるエアギャップ(Air gap)などの微細な空気層が熱伝達を妨げ得る。これとは異なり、本実施形態による電池セル110は図10に示すように熱伝導性樹脂層1300と直接接触するので、電池モジュール100の下側方向への熱伝達経路が単純化され、エアギャップなどの空気層の発生の可能性を減らすことができる。したがって、電池モジュール100およびそれを含む電池パック1000の冷却性能を高めることができる。
【0071】
また、本実施形態による冷却フィン300は電池セル積層体200の下面から延びて熱伝導性樹脂層1300と接触する。電池セル積層体200の下面が露出しているので、電池セル110の間に位置する冷却フィン300が直接底部1110上の熱伝導性樹脂層1300と接触することができる。電池セル110と対面する冷却フィン300を直接熱伝導性樹脂層1300と接触するように構成することによって、熱排出性能を極大化させることができる。
【0072】
一方、モジュールフレームが除去されたモジュール-レス(module-less)構造において、構造的安全性のために露出する電池セル110を固定することが必須である。そこで、本実施形態による電池パック1000は電池モジュール100を構成するそれぞれの電池セル110が熱伝導性樹脂層1300に接触した状態で固定されるので、構造的安全性を補完することができる。
【0073】
また、不必要な冷却構造を除去して原価節減が可能である。また、電池パック1000の高さ方向に対する部品の個数が減るので空間活用度を高めることができ、電池モジュールの容量や出力を増大させることができる。
【0074】
本実施形態で前、後、左、右、上、下のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は説明の便宜のためのものであり、対象になる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得る。
【0075】
前述した本実施形態による一つまたはそれ以上の電池モジュールは、BMS(Battery Management System)、冷却システムなどの各種制御および保護システムと共に取り付けられて電池パックを形成することができる。
【0076】
前記電池モジュールや電池パックは多様なデバイスに適用することができる。具体的には、電気自転車、電気自動車、ハイブリッドなどの運送手段に適用できるが、これに制限されず、二次電池を使用できる多様なデバイスに適用することが可能である。
【0077】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0078】
100 電池モジュール
110 電池セル
200 電池セル積層体
700 弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10