(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】二次電池廃分離膜を用いた複合樹脂組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/20 20060101AFI20240813BHJP
C08J 3/12 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
C08J3/20 Z CES
C08J3/12 A
(21)【出願番号】P 2023549793
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(86)【国際出願番号】 KR2021016226
(87)【国際公開番号】W WO2022103116
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0150476
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523154013
【氏名又は名称】カン、チャン ギ
【氏名又は名称原語表記】KANG,Chang-gee
【住所又は居所原語表記】(Namcheon-dong,Woosung Bora Apt.)#101-1006,54,Suyeong-ro 408beon-gil,Suyeong-gu Busan 48309,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】カン、チャン ギ
(72)【発明者】
【氏名】ハ、ヒョン ス
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111584795(CN,A)
【文献】特表2014-518432(JP,A)
【文献】特表2018-500739(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104868188(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/20
C08J 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)片面または両面にセラミック粒子またはアラミドがコーティングされた二次電池用廃分離膜を粉砕した後、体積を小さく圧縮粉砕する前処理段階と、
ii)前処理された廃分離膜素材を、ポリオレフィン系樹脂、改質剤及び添加剤と混合した後、溶融、混練及び押出する段階と、
iii)押出物をペレット状に加工する段階とを含み、
前記段階i)の前処理段階は、
i-a)廃分離膜片をオープン(Open)形態の圧延ロールで圧着させる方法、または
i-b)廃分離膜片を押出機に投入して塊(Lump)状に製造する方法のうちのいずれか一つを実施し、
前記段階ii)のポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリブテン-1(PB-1)、ポリオレフィンエラストマー(POE)、ポリイソブチレン(PIB)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)及びこれらの組合せからなる群から選択されるいずれか1種であり、0.01~300g/10分(190~230℃、2.16kg)程度の溶融指数を有し、
前記段階ii)の溶融、混練及び押出段階は、
ii-a)粉砕された廃分離膜素材、ポリオレフィン系樹脂、改質剤及び添加剤を押圧型ニーダーに投入し、押圧溶融し、均一に混練した後、押出する方法、または
ii-b)粉砕された廃分離膜素材、ポリオレフィン系重合体、改質剤及び添加剤をバンベリーミキサー(Banbury mixer)に入れて混練した後、押出機に投入して溶融押出する方法からなる群から選択されるいずれか一方法を実施する
ことを特徴とするセラミック粒子またはアラミドがコーティングされた二次電池用廃分離膜再生による複合樹脂ペレットの製造方法。
【請求項2】
前記段階i)の廃分離膜は、超高分子量ポリエチレン(ultrahigh molecular weight polyethylene、UHMWPE)を使用した分離膜原材を用いて片面または両面にセラミックコーティングまたはアラミドコーティングを実施する工程中に発生するスクラップまたは不良品、または2次電池の製造工程中に発生するスクラップまたは不良品である
請求項1に記載の複合樹脂ペレットの製造方法。
【請求項3】
前記段階iii)のペレット加工段階は、ストランド状の押出物を冷却固化させてペレット状に製造するか、または押出する面に回転カーターを用いてペレット状に製造する
請求項1に記載の複合樹脂ペレットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は片面または両面にセラミック粒子またはアラミドでコーティングされた二次電池廃分離膜を再生して複合樹脂ペレットまたは組成物を製造する方法、及びこの方法で製造された新組成の複合樹脂ペレットまたは組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池は、今まで商用化している二次電池のうち性能が最も優れた電池のうちの一つと認められている。このような優秀性によって、携帯電話、PC、各種の電動工具などのように、小型化及び軽量化が要求される各種の電気製品の電源に広く用いられている。また、最近では、電気自動車に対する用途に適用が拡がっている。これらの用途に使用するために、より容量が大きく、寿命が長く、かつ安全性が高いリチウムイオン二次電池の開発が要請されている。それで、リチウム二次電池の性能を改善するための努力がずっと傾けられており、特に正極と負極とを分離させて短絡を防止する分離膜に対する研究が活発に行われている。
【0003】
従来、手広く使用されているポリオレフィン(polyolefine)系の分離膜は高温熱的安全性及び物理的強度が低いので、150℃の温度で1時間程度露出されるとき、熱収縮率が50~90%になって分離膜の機能を喪失することになり、また外部衝撃の印加の際、内部短絡が発生する可能性が高い問題があった。このような問題点を補うために、最近普遍的に採択されている技術がセラミックまたはアラミドのコーティングである。
【0004】
例えば、特許文献1-5:韓国特許登録第10-739337号、同第10-754746号及び同第10-858214号、並びに韓国特許公開第10-2010-28009号及び同第10-2011-35847号には、ポリオレフィン系多孔性基材の少なくとも一面に無機物粒子及び高分子バインダーからなったコーティング液を塗布して多孔性活性層を形成する有機/無機複合セラミックコーティング分離膜が提案されている。前記特許に紹介されたセラミックコーティング分離膜は、セラミックコーティング層がない通常の分離膜に比べて熱的安全性が数等改善したものであると報告されている。また、韓国特許公開第10-2014-0048138号では、無機フィラーの代わりに有機フィラーを使用することで、疎水性粒子の製造によって水分を制御することも提案されている。
【0005】
しかし、このような二次電池の特性を高めるための複雑なコーティング過程中に不良品の発生率が高くなっており、最終製品が高い要求物性を満たすことができなくて使用不可のスクラップの発生も増加している趨勢である。
【0006】
最近で使用される高性能分離膜の場合、主に超高分子量ポリエチレンを使用し、パラフィン系オイルを加工助剤として押し出すことで、オイルが含まれたシートを製造し、冷却及び固化して相分離させた後、二軸延伸によって空隙を形成し、メチレンクロライドを用いてオイルを除去する段階によって分離膜原材を製造しており、耐熱性及び特性を高めるための方案として、セラミックまたはアラミドなどの素材を片面または両面にコーティングして製造している。
【0007】
コーティング分離膜の製造工程は非常に複雑であり、要求特性がややこしいので、品質均一性が落ちるエッジ部の場合はスクラップになり、生産されたコーティング分離膜も最終規格を満たすことができなくて使用することができない場合も多数発生しているが、粘度が非常に高い超高分子量ポリエチレンに非常に高い含量のセラミックまたはアラミドコーティング粒子が含まれた形態であるので、一般的な方法で再生ができなかった。よって、これまでは全部廃棄物として見なして焼却または埋込の過程で処理することにより、高価の処理費用が発生し、環境に対する負担も高いことが現実であった。
【0008】
したがって、本発明者らは、二次電池製造過程中に発生する、片面または両面にセラミック粒子またはアラミドがコーティングされた分離膜スクラップ、及び不良品である片面または両面にコーティングされた廃分離膜を用いて多様な用途に適用することができる新しい複合樹脂組成物を提供するとともに、経済的で効率的であり、環境に優しい工程によって加工性問題を解決する方法を開発することで本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国特許登録第10-739337号
【文献】韓国特許登録第10-754746号
【文献】韓国特許登録第10-858214号
【文献】韓国特許公開第10-2010-28009号
【文献】韓国特許公開第10-2011-35847号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、現在使用されるセラミックまたはアラミドでコーティングされた分離膜を再生処理することである。
【0011】
具体的には、本発明の目的は、片面または両面にセラミック粒子またはアラミドでコーティングされた二次電池廃分離膜を粉砕し、体積を小さく圧縮粉砕する前処理工程と、ポリオレフィン系素材、その他の改質剤及び添加剤と混合して溶融、混練及び押出する工程と、ペレット状に加工する工程とを含む、セラミック粒子またはアラミドでコーティングされた二次電池廃分離膜を再生して複合樹脂組成物を製造する方法を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、片面または両面にセラミック粒子またはアラミドでコーティングされた二次電池廃分離膜、ポリオレフィン系樹脂、及び選択的に改質剤または添加剤のうちのいずれか1種以上を含む複合樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明は、
i)片面または両面にセラミック粒子またはアラミドがコーティングされた二次電池用廃分離膜を粉砕した後、体積を小さく圧縮粉砕する前処理段階と、
ii)前処理された廃分離膜素材を、ポリオレフィン系樹脂、改質剤及び添加剤と混合した後、溶融、混練及び押出する段階と、
iii)押出物をペレット状に加工する段階とを含む、セラミック粒子またはアラミドがコーティングされた二次電池用廃分離膜を再生して複合樹脂ペレットを製造する方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、
前記段階i)の前処理段階で、
i-a)廃分離膜片をオープン(Open)形態の圧延ロールで圧着させる方法、または
i-b)廃分離膜片を押出機に投入して塊(Lump)状に製造する方法のうちのいずれか一つを実施する方法を提供する。
【0015】
また、本発明は、
前記段階ii)の溶融、混練及び押出段階で、
前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリブテン-1(PB-1)、ポリオレフィンエラストマー(POE)、ポリイソブチレン(PIB)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)及びこれらの組合せからなる群から選択されるいずれか1種であり、0.01~300g/10分(190~230℃、2.16kg)程度の溶融指数を有する方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、
前記段階ii)の溶融、混練及び押出段階で、
ii-a)粉砕された廃分離膜素材、ポリオレフィン系樹脂、改質剤及び添加剤を押圧型ニーダーに投入し、押圧溶融し、均一に混練した後、押出する方法、または
【0017】
ii-b)粉砕された廃分離膜素材、ポリオレフィン系重合体、改質剤及び添加剤をバンベリーミキサー(Banbury mixer)に入れて混練した後、押出機に投入して溶融押出する方法からなる群から選択されるいずれか一方法を実施する方法を提供する。
【0018】
また、本発明は、
前記段階iii)のペレット加工段階で、
多様な形態、すなわち、ストランド状の押出物を冷却固化させてペレット状に製造するか、または押出する面に回転カッターを直接用いてペレット状に製造する方法を提供する。
【0019】
また、本発明は、
前記本発明による製造方法によって製造されたセラミック粒子またはアラミが片面または両面にコーティングされた二次電池廃分離膜を含むペレット状の新しい再生複合樹脂ペレットを提供する。
【0020】
また、本発明は、
片面または両面にセラミック粒子またはアラミドがコーティングされた二次電池用廃分離膜を粉砕し、体積を小さく圧縮粉砕してなる前処理された廃分離膜素材10~99重量%と、ポリオレフィン系樹脂1~90重量%とを含む、複合樹脂ペレットを提供する。
【0021】
また、本発明は、
片面または両面にセラミック粒子またはアラミドがコーティングされた二次電池用廃分離膜を粉砕し、体積を小さく圧縮粉砕してなる前処理された廃分離膜素材10~99重量%と、ポリオレフィン系樹脂1~90重量%とを含む複合樹脂ペレットであって、
ここで、前記前処理された廃分離膜素材は、
i-a)廃分離膜片をオープン(Open)形態の圧延ロールで圧着させる方法、または
i-b)廃分離膜片を押出機に投入して塊(Lump)状に製造する方法のうちのいずれか一つを実施することによって得られたものであり、
【0022】
前記ポリオレフィン系樹脂は、
ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリブテン-1(PB-1)、ポリオレフィンエラストマー(POE)、ポリイソブチレン(PIB)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)及びこれらの組合せからなる群から選択されるいずれか1種であり、0.01~300g/10分(190~230℃、2.16kg)程度の溶融指数を有し、
【0023】
前記複合樹脂ペレットは、
ii-a)粉砕された廃分離膜素材、ポリオレフィン系樹脂、改質剤及び添加剤を押圧型ニーダーに投入して押圧溶融し、均一に混練した後、押出する方法、または
【0024】
ii-b)粉砕された廃分離膜素材、ポリオレフィン系重合体、改質剤及び添加剤をバンベリーミキサー(Banbury mixer)に入れて混練した後、押出機に投入して溶融押出する方法からなる群から選択されるいずれか一方法によって製造されたことを特徴とする、複合樹脂ペレットを提供する。
【0025】
また、本発明は、前記本発明による複合樹脂ペレットを含む複合樹脂組成物を提供する。
【0026】
また、本発明は、前記本発明による複合樹脂ペレットまたは組成物を含むパイプ、ギアまたは人造芝草を提供する。
【0027】
さらに、本発明は、前記本発明による複合樹脂ペレットまたは組成物を含む自動車内外装材、生活用品、産業用資材または建築用資材を提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、セラミック粒子またはアラミドが片面または両面にコーティングされた二次電池廃分離膜から新しい複合樹脂ペレットまたは組成物を製造する方法であって、二次電池製造過程中に発生するコーティング分離膜スクラップ及び不良品であるコーティング廃分離膜を用い、適切なポリオレフィン系樹脂、改質剤及び添加剤を最適の組成で投入することで、新しい複合樹脂ペレットまたは組成物を製造する経済的で効率的でありながら環境に優しい方法を提供する。
【0029】
本発明による新しい複合樹脂ペレットまたは組成物は、既存の多様な加工法によって自動車の内外装材、生活用品、産業用資材、建築用資材などの多様な分野で既存の複合素材を代替することができる経済性及び物性に優れた新素材としての適用が可能である。
【0030】
特に、本発明による新しい複合樹脂ペレットまたは組成物は、廃分離膜を活用することで、生産コストを低め、ホルムアルデヒドの刺激性匂いの発現がなく、優れた引張強度、卓越した衝撃強度を有するので、相対的に低い耐熱性によって、大きい耐熱性が要求されない場合、ポリアセタールを代替することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明に一実施例による二次電池廃コーティング分離膜を再生して複合樹脂組成物を製造する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0033】
この明細書で使用する技術用語及び科学用語において、他の定義がなければ、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が通常理解している意味を有する。
【0034】
本発明は、
i)片面または両面にセラミック粒子またはアラミドがコーティングされた二次電池用廃分離膜を粉砕した後、体積を小さく圧縮粉砕する前処理段階と、
ii)前処理された廃分離膜素材を、ポリオレフィン系樹脂、改質剤及び添加剤と混合した後、溶融、混練及び押出する段階と、
iii)押出物をペレット状に加工する段階とを含む、
セラミック粒子またはアラミドがコーティングされた二次電池用廃分離膜を再生して複合樹脂ペレットを製造する方法を提供する。
【0035】
前記製造方法において、前記段階i)は、コーティング分離膜が連続したフィルム状または薄くて面積の広い不規則片状として存在して再生のための工程への投入が大変難しいので、適切に粉砕/圧着するかまたは押出機に投入して塊状に製造した後、粉砕することで、異種原料との混練または後工程が容易になるようにする特性を付与するための段階である。
【0036】
前記段階i)の廃分離膜は、超高分子量ポリエチレン(ultrahigh molecular weight polyethylene、UHMWPE)を使用した分離膜原材を用いて片面または両面にセラミックコーティングまたはアラミドコーティングを実施する工程中に発生するスクラップまたは不良品、または2次電池の製造工程中に発生するスクラップまたは不良品であることが好ましい。
【0037】
前記段階i)の前処理段階は、
i-a)廃分離膜片をオープン(Open)形態の圧延ロールで圧着させる方法、または
i-b)廃分離膜片を押出機に投入して塊(Lump)状に製造する方法のうちのいずれか一つを実施することが好ましい。
【0038】
ここで、前記i-b)で、押出機はフィーディングゾーン(Feeding Zone)が改造された押出機であることが好ましい。
【0039】
前記製造方法において、前記段階ii)は、超高分子量ポリエチレン及び高含量のセラミック素材またはアラミド素材の混合物であり、単独では加工性の確保ができないので、後続の段階である押出ペレット化工程及び後加工ができるように加工性を付与するために最適化した分子量及び適切な含量のポリオレフィン系素材、その他の改質剤及び添加剤と混合及び溶融し、均一に混練して押出することで、容易な加工とともに目的とする特性を付与するための段階である。
【0040】
コーティング分離膜に使用される原材の主要成分である超高分子量ポリエチレンの高粘度によって単独では溶融押出ができないという事実と、またコーティング素材として使用されるセラミックまたはアラミドの含量が原材に使用された超高分子量ポリエチレン100重量部に対して20~200重量部の非常に高い含量で存在して、溶融状態で流動性を非常に阻害することによって再生ができないようにするという事実とによって、再生工程中に低粘度のペレットまたは粉体状のポリオレフィン系樹脂を均一に混合する場合、溶融粘度が低くなって加工が容易になることができる。しかし、分離膜原材に使用された超高分子量ポリエチレンの粘度が非常に高いから、低粘度のポリオレフィン系樹脂を混合した後、一般的な押出加工の場合、あまりにも大きい粘度差によって互いに均一に混合されることが難しくて一般的な押出加工ができないので、粘度が大きく異なる超高分子量ポリエチレン、ポリオレフィン系樹脂及び高含量のセラミックまたはアラミド複合物を均一に混合して加工性を改善することができる下記の二通りの溶融、混練及び押出段階を適用することが必要である。
前記段階ii)の溶融、混練及び押出段階は、
【0041】
ii-a)粉砕された廃分離膜素材、ポリオレフィン系樹脂、改質剤及び添加剤を押圧型ニーダーに投入し、押圧溶融し、均一に混練した後、押出する方法、または
【0042】
ii-b)粉砕された廃分離膜素材、ポリオレフィン系重合体、改質剤及び添加剤をバンベリーミキサー(Banbury mixer)に入れて混練した後、押出機に投入して溶融押出する方法からなる群から選択されるいずれか一方法を実施することが好ましい。
【0043】
前記段階ii)の溶融、混練及び押出段階で、
【0044】
前記ii-a)の高温押圧ニーディングを用いた方法は、前処理されたコーティング分離膜スクラップにMI0.01~100g/10分(190℃、2.16kg)程度の低分子量ポリオレフィン系樹脂及び添加剤/改質剤を添加した後、50℃~300℃、好ましくは100℃~250℃、より好ましくは150℃~200℃の高温、及び0.1~0.8MPa、好ましくは0.3~0.7MPa、より好ましくは0.4~0.6MPaの圧力で5~30分間均一に溶融及び混練した後、溶融及び混練された混合物塊を150~250℃の温度で1軸または二軸スクリュー押出機(SingleまたはTwin Screw Extruder)を用い、円形ダイスを通して多様な形態、例えば、ストランド状に押出するように実施することができる。
【0045】
前記ii-b)のバンベリーミキサー(Banbury mixer)を用いた方法は、粉砕された廃分離膜素材と流動性に優れたポリオレフィン系重合体及び改質剤/添加剤を乾燥状態でバンベリーミキサーの混練装置を用いて150℃~200℃の温度で均一に混練してなる塊状の混合物をコニカル型押出機に投入する。投入された押出物を円形ホールを有するダイスを通して多様な形態、例えば、ストランド状に押出するように実施することができる。
【0046】
前記段階ii)のポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリブテン-1(PB-1)、ポリオレフィンエラストマー(POE)、ポリイソブチレン(PIB)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)及びこれらの組合せからなる群から選択されるいずれか1種であることが好ましい。
【0047】
前記ポリエチレン(PE)は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びエチレン系共重合体であって、エチレン及びC3~C10アルファオレフィンのうちの少なくとも1種から誘導された共重合体及びこれらの組合せからなる群から選択されるものであり、溶融指数が0.01~300g/10分(190℃、2.16kg)、好ましくは0.1~200g/分、より好ましくは1~100g/分であることが好ましい。
【0048】
前記ポリプロピレン(PP)は、ホモポリプロピレン(Homo PP)、ランダムポリプロピレン(Random PP)、ブロックポリプロピレン(Block PP)、イソタクチックポリプロピレン(iPP)、シンジオタクチックポリプロピレン(sPP)、高溶融張力ポリプロピレン(HMS-PP)及びプロピレン系共重合体であって、プロピレン及びC2またはC4~C10アルファオレフィンのうちの少なくとも1種から誘導された共重合体及びこれらの組合せからなる群から選択されるものであり、溶融指数が0.01~300g/10分(230℃、2.16kg)、好ましくは0.1~200g/分、より好ましくは1~100g/分であることが好ましい。
前記段階ii)で、別に、特定の目的のために、前記組成の他に、改質剤0~50重量%及び/または添加剤0~30重量%を追加することができる。
【0049】
前記改質剤は、ポリエチレンワックス(PE Wax)、アタクチックポリプロピレン(APP)、アクリル系共重合体、無水マレイン酸系共重合体、EPR、TAFMER、またはエチレンオクタン(Ethylene Octane)/ブテン共重合体(Butene Copolymer)などを含むことができる。
【0050】
前記添加剤は、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ステアリン酸塩、ハイドロタルサイト、顔料、着色剤、充填剤(ウイスカー、木粉、リグニン、澱粉、天然及び合成シリカ、マグネシウム三水和物、アルミニウム三水和物、炭酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、帯電防止剤、難燃剤、スリップ剤、ブロック防止添加剤、抗微生物剤、核剤などを含むことができる。
【0051】
ここで、複合樹脂で発生し得る匂い(コーティング分離膜内に存在するバインダー(Binder)成分)を除去するために、ゼオライト(Zeolite)支持体にVOC除去物質を担持した製品0.01~10重量部を別に投入することもできる。
【0052】
前記製造方法において、前記段階iii)のペレット加工段階は、ストランド状に押出された押出物を空気中でまたは冷却水で冷却させて固化した後、回転カッターを用いてペレット状に製造する段階である。
【0053】
本発明による製造方法は、1)セラミックコーティングまたはアラミドコーティングの分離膜が連続したフィルム状、または薄くて面積の広い不規則片状として存在するから、再生のための工程への投入が大変難しいので、適切に粉砕/圧着するかまたは押出機に投入して塊状に製造した後、粉砕することで、異種原料との混練または後工程が容易になるようにする特性を付与するための段階と、2)セラミックコーティングまたはアラミドコーティングの分離膜が単独では加工性を確保することができないので、後続段階である押出ペレット化工程及び後加工ができるように加工性を付与するために、低粘度のポリオレフィン系素材、その他の改質剤及び添加剤と混合した後、溶融して溶融指数を高めることで、容易な加工とともに目的とする特性を付与するための段階とから構成されている。
【0054】
本発明による製造方法は、Iセラミックコーティングまたはアラミドコーティングの分離膜の工程性及び加工性を改善するために前処理する段階と、II粘度が異なる物質、改質剤及び添加剤を混合し、押圧ニーダーまたはバンベリーミキサーを用いて溶融指数を高める段階とを含む。
【0055】
本発明による製造方法は、上述した構成によって、従来では全量廃棄されているセラミックコーティングまたはアラミドコーティングされた廃分離膜から新しい複合樹脂組成物を製造する効果を有する。
【0056】
現在、セラミックコーティングまたはアラミドコーティングされた分離膜は、非コーティング分離膜とは違い、セラミックコーティングまたはアラミドコーティングの形態、厚さなどの低い加工性特性のため、再生自体が全然できなくて全量廃棄物として焼却または埋込されている実情である。従来では、廃分離膜に含有されたオイルを除去するために、熱処理及びメチレンクロライド処理技術が報告されているが、このようなオイル除去工程のみでセラミックコーティングまたはアラミドコーティングによる低加工性の問題を解決することはできない実情である。
【0057】
本発明では、押出及び射出ができない程度に著しく落ちる加工性の問題を解決するために、まず前処理した後、粘度の異なる物質、改質剤及び添加剤を混合し、押圧ニーダーまたはバンベリーミキサーを用いて溶融指数を高めた後、溶融及び押出に適した状態に製造する方式を用いた。実際に、本発明は、セラミックコーティングまたはアラミドコーティングされた廃分離膜から強度及び耐熱性などに優れた複合樹脂を製造することができることを実施例から確認した。
【0058】
また、本発明は、
片面または両面にセラミック粒子またはアラミドがコーティングされた二次電池用廃分離膜を粉砕し、体積を小さく圧縮粉砕することによって前処理された廃分離膜素材10~99重量%、及びポリオレフィン系樹脂1~90重量%を含む複合樹脂ペレットを提供する。
【0059】
前記複合樹脂ペレットは2種以上の混合物から製造されたものであり、溶融指数は0.05~100g/10分(190℃、2.16kg)程度であることが好ましい。
【0060】
前記廃分離膜は、超高分子量ポリエチレン(ultrahigh molecular weight polyethylene、UHMWPE)を使用した分離膜原材を用いた片面または両面にセラミックコーティングまたはアラミドコーティングを実施する工程中に発生するスクラップまたは不良品、または2次電池を製造する工程中に発生するスクラップまたは不良品であることが好ましく、前記スクラップまたは不良品は0.001~10g/10分(190℃、2.16kg)程度の溶融指数を有することが好ましい。
【0061】
前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリブテン-1(PB-1)、ポリオレフィンエラストマー(POE)、ポリイソブチレン(PIB)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)及びこれらの組合せからなる群から選択されるいずれか1種であることが好ましい。
【0062】
前記ポリエチレン(PE)は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びエチレン系共重合体であって、エチレン及びC3~C10アルファオレフィンのうちの少なくとも1種から誘導された共重合体及びこれらの組合せからなる群から選択されるものであり、溶融指数が0.01~300g/10分(190℃、2.16kg)、好ましくは0.1~200g/分、より好ましくは1~100g/分であることが好ましい。
【0063】
前記ポリプロピレン(PP)は、ホモポリプロピレン(Homo PP)、ランダムポリプロピレン(Random PP)、ブロックポリプロピレン(Block PP)、イソタクチックポリプロピレン(iPP)、シンジオタクチックポリプロピレン(sPP)、高溶融張力ポリプロピレン(HMS-PP)及びプロピレン系共重合体であって、プロピレン及びC2またはC4~C10アルファオレフィンのうちの少なくとも1種から誘導された共重合体及びこれらの組合せからなる群から選択されるものであり、溶融指数が0.01~300g/10分(230℃、2.16kg)、好ましくは0.1~200g/分、より好ましくは1~100g/分であることが好ましい。
【0064】
前記複合樹脂ペレットは、前記組成の他に、改質剤0~50重量%及び/または添加剤0~30重量%を追加することができる。
【0065】
前記改質剤は、ポリエチレンワックス(PE Wax)、アタクチックポリプロピレン(APP)、アクリル系共重合体、無水マレイン酸系共重合体、EPR、TAFMER、またはエチレンオクタン(Ethylene Octane)/ブテン共重合体(Butene Copolymer)などを含むことができる。
【0066】
前記添加剤は、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ステアリン酸塩、ハイドロタルサイト、顔料、着色剤、充填剤(ウイスカー、木粉、リグニン、澱粉、天然及び合成シリカ、マグネシウム三水和物、アルミニウム三水和物、炭酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、帯電防止剤、難燃剤、スリップ剤、ブロック防止添加剤、抗微生物剤、核剤などを含むことができる。
【0067】
ここで、複合樹脂で発生し得る匂い(コーティング分離膜内に存在するバインダー(Binder)成分)を除去するために、ゼオライト(Zeolite)支持体にVOC除去物質を担持した製品0.01~10重量部を別に投入することもできる。
【0068】
前記複合樹脂ペレットは前記本発明による製造方法で製造することが好ましい。
具体的には、前記複合樹脂ペレットは、
【0069】
片面または両面にセラミック粒子またはアラミドがコーティングされた二次電池用廃分離膜を粉砕し、体積を小さく圧縮粉砕することによって前処理された廃分離膜素材10~99重量%と、
ポリオレフィン系樹脂1~90重量%とを含む複合樹脂ペレットである。
【0070】
ここで、
前記前処理された廃分離膜素材は、
i-a)廃分離膜片をオープン(Open)形態の圧延ロールで圧着させる方法、または
i-b)廃分離膜片を押出機に投入して塊(Lump)状に製造する方法のうちのいずれか一つを実施することによって得られるものである。
【0071】
前記ポリオレフィン系樹脂は、
【0072】
ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリブテン-1(PB-1)、ポリオレフィンエラストマー(POE)、ポリイソブチレン(PIB)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)及びこれらの組合せからなる群から選択されるいずれか1種であり、0.01~300g/10分(190~230℃、2.16kg)程度の溶融指数を有する。
【0073】
前記複合樹脂ペレットは、
【0074】
ii-a)粉砕された廃分離膜素材、ポリオレフィン系樹脂、改質剤及び添加剤を押圧型ニーダーに投入し、押圧溶融し、均一に混練した後、押出する方法、または
【0075】
ii-b)粉砕された廃分離膜素材、ポリオレフィン系重合体、改質剤及び添加剤をバンベリーミキサー(Banbury mixer)に入れて混練した後、押出機に投入して溶融押出する方法からなる群から選択されるいずれか一方法を実施することによって製造することが好ましい。
【0076】
また、本発明は、前記本発明による複合樹脂ペレットを含む複合樹脂組成物を提供する。
【0077】
また、本発明は、前記本発明による複合樹脂ペレットまたは組成物を含むパイプ、ギアまたは人造芝草を提供する。
【0078】
さらに、本発明は、前記本発明による複合樹脂ペレットまたは組成物を含む自動車内外装材、生活用品、産業用資材または建築用資材を提供する。
【0079】
本発明による複合樹脂ペレットまたは組成物は、生産コストの側面で競争力が非常に優秀であり、良好な加工性及び物性によってパイプ、ギア、及び人造芝草に最適に適用することができるが、本発明の用途は前述したものに限定されるものではなく、自動車内外装材、生活用品、産業用資材、建築用資材などの多くの方面で多様な用途に適用可能である。
【0080】
本発明による複合樹脂ペレットまたは組成物は、ポリアセタール樹脂の物性と比較すると、相対的に低い溶融温度による耐熱性の側面で多少落ちるが、良好な機械的強度、非常に卓越した衝撃強度、低い摩擦係数、低い成形収縮率及び吸収率、優れた化学的性質を有することを確認することができるので、ポリアセタールが適用される自動車部品、ギア、ベアリングなどの多様な用途のうち耐熱性が大きく要求でない場合に代替して適用することができる。
【0081】
以下、本発明の理解を手伝うために実施例に基づいて詳細に説明する。ただ、下記の実施例は本発明の内容を例示するものであるだけで、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるものではない。本発明の実施例は当該分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供するものである。
<実施例1>
【0082】
後工程のための前処理工程によって粉砕された小さな分離膜スクラップ片をオープン(Open)形態の圧延ロールで圧縮して体積を減少させた後、クラッシャーに入れて小片に粉砕した。
【0083】
クラッシャーで粉砕された小片の原料を押圧ニーダーに入れ、温度180℃で0.55MPaの押圧の下で圧縮ニーディング作業を5分間実施して溶融ねりこ状に製造した。
【0084】
押圧ニーダーに投入して溶融ねりこ状になったコーティング分離膜スクラップ30重量部に対して、MI0.035、密度0.957の高密度ポリエチレン樹脂1(大韓油化F600)ペレット60重量部、及びMI0.85、密度0.956の高密度ポリエチレン樹脂2(大韓油化E308)10重量部を押圧ニーダーにさらに投入した後、温度200℃で0.55MPaの押圧の下で圧縮ニーディング作業をさらに20分間実施することで混合物塊を製造した。
【0085】
混合物塊は、L/D40、40φの同方向二軸スクリュー押出機(Twin Screw Extruder)を用い、シリンダー温度200℃で押出してストランドを形成し、冷却水を収容した水槽で冷却して固化させた後、回転カッターを用いて長さ5mmのペレットに製造した。
ペレット化した樹脂組成物を150トンの型締め力の射出成型機に入れて試片を製造した。
<実施例2>
【0086】
後工程のための前処理工程によって粉砕された分離膜スクラップ小片をフィーディングゾーン(Feeding Zone)の改造された押出機に投入し、200℃で溶融させて塊状に製造した後、冷却させ、冷却された塊をクラッシャーに入れて小片に粉砕したことを除き、後続の過程は前記<実施例1>と同様に実施した。
<実施例3>
後工程のための前処理工程は前記<実施例1>と同様な方法で小片に粉砕した。
【0087】
粉砕されたコーティング分離膜スクラップ30重量部に対して、MI0.035、密度0.957の100重量の高密度ポリエチレン樹脂1(大韓油化F600)ペレット60重量部、及びMI0.85、密度0.956の高密度ポリエチレン樹脂2(大韓油化E308)10重量部をバンベリーミキサーに入れ、高温で40rpmで10分間撹拌して均一に混合した。
【0088】
混合物をL/D40、40φ同方向二軸スクリュー押出機(Twin Screw Extruder)のホッパー(Hopper)に投入した後、シリンダー温度200℃で押出してストランドを形成し、冷却水を収容している水槽で冷却して固化させた後、回転カッターを用いて長さ5mmのペレットに製造したことを除き、前記<実施例1>と同様に実施した。
【0089】
<実施例4>
後工程のための前処理工程は前記<実施例2>と同様に小片に粉砕し、以後の過程は前記<実施例3>と同様に実施した。
<実施例5>
【0090】
押圧ニーダーに投入して溶融ねりこ状になったコーティング分離膜スクラップ70重量部に対して、MI0.85、密度0.956の高密度ポリエチレン樹脂3(大韓油化M690)ペレット30重量部を押圧ニーダーにさらに入れて均一混合したことを除き、前記<実施例1>と同様に実施した。
<実施例6>
【0091】
前記<実施例2>で製造された複合樹脂組成物ペレット30重量部及び高密度ポリエチレン170重量部をドライブレンディングで均一に混合した後、150トン型締め力の射出成型機で試片を製造したことを除き、前記<実施例1>と同様に実施した。
<実施例7>
【0092】
押圧ニーダーに投入して溶融ねりこ状になったコーティング分離膜スクラップ30重量部に対して、MI22(190℃)、密度0.914の鎖状低密度ポリエチレン樹脂(ロッテケミカルUJ900)ペレット70重量部を押圧ニーダーにさらに入れて均一に混合したことを除き、前記<実施例1>と同様に実施した。
<実施例8>
【0093】
押圧ニーダーに投入して溶融ねりこ状になったコーティング分離膜スクラップ30重量部に対して、MI22(190℃)、密度0.914の低密度ポリエチレン樹脂(ロッテケミカルXJ700)ペレット70重量部を押圧ニーダーにさらに入れて均一に混合したことを除き、前記<実施例1>と同様に実施した。
<実施例9>
【0094】
押圧ニーダーに投入して溶融ねりこ状になったコーティング分離膜スクラップ20重量部に対して、MI45(230℃)、密度0.91のポリプロピレン樹脂ホモポリプロピレン(Homo PP)(大韓油化HJ4045)ペレット70重量部を押圧ニーダーにさらに入れて均一に混合したことを除き、前記<実施例1>と同様に実施した。
<実施例10>
【0095】
押圧ニーダーに投入して溶融ねりこ状になったコーティング分離膜スクラップ20重量部に対して、MI28(230℃)、密度0.91のポリプロピレン樹脂(Random PP)(大韓油化RJ6428)ペレット70重量部を押圧ニーダーにさらに入れて均一に混合したことを除き、前記<実施例1>と同様に実施した。
<実施例11>
【0096】
押圧ニーダーに投入して溶融ねりこ状になったコーティング分離膜スクラップ20重量部に対して、MI30(230℃)、密度0.907のポリプロピレン樹脂(大韓油化SB9230)ペレット70重量部を押圧ニーダーにさらに入れて均一に混合したことを除き、前記<実施例1>と同様に実施した。
【0097】
<比較例1>
粉砕されたコーティング分離膜スクラップ100重量部のみを押圧ニーディングしたことを除き、前記<実施例1>と同様に実施した。
【0098】
<比較例2>
押圧ニーディング工程の際に温度を常温にして作業したことを除き、前記<実施例1>と同様に実施した。
【0099】
<比較例3>
後工程のための前処理工程がなしに分離膜スクラップ小片をそのまま用いたことを除き、前記<実施例3>と同様に実施した。
<比較例4>
【0100】
高密度ポリエチレン樹脂1(大韓油化F600)ペレット100重量部を直接150トン型締め力の射出成型機に入れて試片を製造したことを除き、前記<実施例1>と同様に実施した。
<比較例5>
【0101】
ポリプロピレン樹脂(大韓油化SB9230)ペレット100重量部を直接150トン型締め力の射出成型機に入れて試片を製造したことを除き、前記<実施例1>と同様に実施した。
<比較例6>
【0102】
ポリアセタール樹脂(韓国エンジニアリングプラスチックKEPITAL F20-30)ペレット100重量部を直接150トン型締め力の射出成型機に入れて試片を製造したことを除き、前記<実施例1>と同様に実施した。
<実験例1>
【0103】
前記<実施例1~11>及び<比較例1~6>で製造された試片に対して、試片上のセラミック粒子の分散性の比較のために、射出物の表面状態を比較し、物性は、試片製造の後、23℃、50%の恒温恒湿の下で48時間エージング(Aging)した後、測定した。
【0104】
物性測定方法はASTM規格で規定した試験方法に従って実施した。具体的には、溶融指数(Melt Index、MI)は、ASTM D1238に従って、190℃、2.16kg荷重の下で測定し、密度(Density)は、ASTM D1505に従って測定し、曲げ弾性率(Flexural Modulus)はASTM D790に従って測定し、引張強度(Tensile Strength)及び伸び率(Elongation)はASTM D638に従って測定し、硬度(Hardness)はASTM D785に従って測定した。
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
耐薬品性は◎>○>△>Xの順に低下することを意味する。
【0109】
耐磨耗性はサンドスラリー(Sand Slurry)法で重量減少(Weight Loss)を測定し、実施例5=100基準(相対値)、数値が低いほど優れる。
【0110】
前記表3の物性結果に示したように、コーティング分離膜スクラップを用いて製造した<実施例6>組成の複合樹脂は、ポリアセタール樹脂の物性と比較するとき、相対的に低い溶融温度による耐熱性の側面で多少落ちるが、良好な機械的強度、非常に卓越した衝撃強度、低い摩擦係数、低い成形収縮率及び吸収率、優れた化学的性質を現すことを確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0111】
エンジニアリングプラスチックとして多く適用されているポリアセタール樹脂の場合、引張強度、衝撃強度、耐磨耗性に優れ、摩擦抵抗が小さく、耐熱性に優れた特徴により、自動車部品、ギア、ベアリングなどの多様な用途に適用されているが、高い原料価格及びホルムアルデヒドの刺激性匂いの発現の問題によって、その適用に制約がある。一方、本発明で提示する新しい複合樹脂組成物の場合、廃分離膜を活用することで、生産コストを低め、ホルムアルデヒドの刺激性匂いの発現がなく、優れた引張強度、卓越した衝撃強度を有するので、相対的に低い耐熱性によって、耐熱性が大きく要求されない用途の場合、ポリアセタールを代替することができる十分な可能性を提供する。