(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】廃合わせガラスの再生処理方法
(51)【国際特許分類】
B29B 17/02 20060101AFI20240813BHJP
B29B 17/04 20060101ALI20240813BHJP
B29B 17/00 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
B29B17/02 ZAB
B29B17/04
B29B17/00
(21)【出願番号】P 2024025117
(22)【出願日】2024-02-22
【審査請求日】2024-02-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514082295
【氏名又は名称】マスダ商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100174573
【氏名又は名称】大坂 知美
(74)【代理人】
【識別番号】100076576
【氏名又は名称】佐藤 公博
(72)【発明者】
【氏名】増田 幸次
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-104928(JP,A)
【文献】特開2002-186952(JP,A)
【文献】特開2007-276492(JP,A)
【文献】特開2004-269278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 17/02
B29B 17/04
B29B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板とガラス板との間に設けられた
ポリビニルブチラール又はエチレンビニルアセテート樹脂のプラスチックフィルム材を有する合わせガラスの廃ガラスをガラス材料とガラス微細粉末含有プラスチック材料用とに再生処理する廃ガラスの再生処理方法であって、
ほぼ手のひら大に破砕された前記合わせガラスの廃ガラスを
ふるい目のそれぞれの最大径が10~50mmのスクリーン付きハンマークラッシャーで前記スクリーンを通過できる大きさに粉砕し、得られた微細ガラスと微細ガラス付きフィルム材とをふるい目のそれぞれの最大径が5~15mmのふるい機に通し、当該ふるい機を通過した微細ガラスを採取し、ふるい上に残った微細ガラス付きフィルム材を、ふるい目のそれぞれの最大径が5~20mmのスクリーン付き粉砕機で粉砕し、当該粉砕機のスクリーンを通して微細ガラス付きフィルム材を採取
し、
得られた微細ガラスをガラス製品に形成し、
得られた微細ガラス付きフィルム材を溶融成形して、微細ガラス粉末入りペレットとし、
当該ペレットを製造する際に、微細ガラス付きフィルム材に対しポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルから選ばれた少なくとも1種を1~20重量%添加して溶融成形しペレットを製造する
廃ガラスの再生処理方法。
【請求項2】
ガラス板とガラス板との間に設けられたポリビニルブチラール又はエチレンビニルアセテート樹脂のプラスチックフィルム材を有する合わせガラスの廃ガラスをガラス材料とガラス微細粉末含有プラスチック材料用とに再生処理する廃ガラスの再生処理方法であって、
ほぼ手のひら大に破砕された前記合わせガラスの廃ガラスを
ふるい目のそれぞれの最大径が10~50mmのスクリーン付きハンマークラッシャーで前記スクリーンを通過できる大きさに粉砕し、得られた微細ガラスと微細ガラス付きフィルム材とをふるい目のそれぞれの最大径が5~15mmのふるい機に通し、当該ふるい機を通過した微細ガラスを採取し、ふるい上に残った微細ガラス付きフィルム材を、ふるい目のそれぞれの最大径が5~20mmのスクリーン付き粉砕機で粉砕し、当該粉砕機のスクリーンを通して微細ガラス付きフィルム材を採取し、
得られた微細ガラスをガラス製品に形成し、
前記で得られた微細ガラス付きフィルム材をふるい目のそれぞれの最大径が0.5~8mmのふるい機に通し、当該ふるい機を通過した粒状の微細ガラス付きフィルム材とふるい機上に残った微細ガラス付きフィルム材を分けて採取
し、
前記ふるい機上に残った微細ガラス付きフィルム材を溶融成形して、微細ガラス粉末入りペレットとし、
当該ペレットを製造する際に、微細ガラス付きフィルム材に対しポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルから選ばれた少なくとも1種を1~20重量%添加して溶融成形しペレットを製造する
廃ガラスの再生処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの車両用ガラス、建築ガラス、ソーラパネル、パチンコゲーム台などに使用されている2枚のガラス板の間にプラスチックフィルム(プラスチックフィルム含有複合材も含む)などが介在したいわゆる合わせガラスの廃ガラスをガラス材料と、微細ガラス粒子の付いたプラスチックフィルム材料ないし微細ガラス粒子の混入したプラスチック材料などのガラスやプラスチック用資源として再生処理する廃合わせガラスの再生処理方法(当該資源の利用方法を含む意味)に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両のフロントガラス、建築物の防犯用窓ガラス、ソーラパネル、などに合わせガラス(ガラスとガラスの間に中間膜としてのプラスチックフィルムまたはプラスチックフィルム複合材を備えたもの)が多く採用されている。(以下かかる中間膜をまとめて「フィルム材」と略称することあり)。この合わせガラスの代表的な例の車両のフロントガラスは、車両の内側に面するガラス板と、その外側に面するガラス板と、一対のガラス板の間に介在された中間膜(プラスチックフィルム材)とを備え、この中間膜として例えばポリビニルブチラール(PVB)から形成されたものが用いられている。ソーラパネルなどは中間膜に樹脂膜としてEVA樹脂膜(エチレンビニルアセテート樹脂膜)などが用いられている。
【0003】
近年、地球環境のクリーンな維持のために、資源の再利用が推進されており、廃棄すべき合わせガラス、製造工程において不良品となった合わせガラスなど(以下、「廃合わせガラス」とも称する。)を、ガラス板の部分(以下、「ガラス材」とも称する。)とプラスチックフィルム材の部分とに分離し、これらを再利用しようとする試みが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
従来の再処理方法では、廃合わせガラスを破砕してガラス材とガラス付きフィルム材とに選別し、選別したガラス付きフィルム材については、更に次のように処理してプラスチック材料とガラス材とを得るようにしている。即ち、ガラス付きフィルム材を有機溶剤に浸漬させて融解させ、このフィルム材に付着している微細なガラス片を分離し、更にこのガラス片が分離したフィルム材の溶液から有機溶剤を蒸発させてフィルム材の破砕片を回収する。
【0005】
そして、回収したフィルム材の破砕片に付着防止材(例えば、炭酸カルシウムなど)を混合して粉砕機(例えば、高速回転ミル)を用いて微粉砕し、付着防止材を用いることによって、この微粉砕の際のフィルム材が引っ付いて結合し塊状になってしまうことを防止している。その後、フィルム材及び付着防止材の混合物に弾性マトリックス材(例えば、ゴム・アスファルト系材料)を混練機を用いて分散混練して制震材を形成し、このようにしてガラス付きフィルム材を再生処理して制震材として再利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の再生処理方法では、ガラス付きフィルム材を再生処理する際に、まず有機溶剤を用いてガラス粒子を除去し、その後フィルム材に付着防止材を混合し、これらの混合物を粉砕機を用いて小さく粉砕している。それ故に、ガラス付きフィルム材を再生処理するのに、有機溶剤、付着防止材などを用いた処理が必要となり、これによって、再生処理するための処理コストが高くなり、またその再生処理工程が複雑になり、更にこの再生処理に時間を要するという問題がある。
【0008】
カレット(ガラス製品をリサイクルする際に破砕した状態のガラスくず)メーカーが合わせガラスを大まかに破砕し(通常人間の大人の手のひら程度の大きさに破砕される)、破砕の際にプラスチックフィルムから離脱したガラスは、ガラスメーカー又はカレットメーカーが採取し、ガラス製品の再生に採用しているが、当該プラスチックフィルムの方には、なおガラス破片が付着しているガラス付きフィルム材が処理されずに廃棄されている。
【0009】
本発明は、かかるガラスメーカー又はカレットメーカーが破砕した後の廃ガラス付きフィルム材(産業廃棄物に該当する)をより小さく粉砕し、この廃ガラス付きフィルム材の粉砕の際に生じるフィルムから離脱した微細ガラス粒子を選別採取して、グラスウール、その他のガラス製品に再利用するための資源を提供するとともに、上記離脱した微細ガラス粒子以外の、微細ガラス付きフィルム材において、付着しているガラス微粒子の粒子径を微細にすることにより、前記微細ガラス付きフィルム材を溶融押し出しなどによりプラスチックペレットを経由して、溶融成形などによりガラス微粒子含有の補強プラスチック成型品を提供できる原料となる微細ガラス付きフィルムにする方法を提供し、また、この際、別途採取される粒子状に細かくなった微細ガラス付きフィルムは、合成樹脂などの添加剤として使用でき、資源の無駄を防止することができる廃合わせガラスの再生処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の廃ガラスの再生処理方法は、ガラス板とガラス板との間に設けられたプラスチックフィルム材を有する合わせガラスの廃ガラスをガラス材料とガラス微細粉末含有プラスチック用材料とに再生処理する廃ガラスの再生処理方法であって、
ほぼ手のひら大に破砕された前記合わせガラスの廃ガラスを
ふるい目のそれぞれの最大径が10~50mmのスクリーン付きハンマークラッシャーで前記スクリーンを通過できる大きさに粉砕し、得られた微細ガラスと微細ガラス付きフィルム材とをふるい目のそれぞれの最大径が5~15mmのふるい機に通し、当該ふるい機を通過した微細ガラスを採取し、ふるい上に残った微細ガラス付きフィルム材をふるい目のそれぞれの最大径が5~20mmのスクリーン付き粉砕機で粉砕し、当該粉砕機のスクリーンを通して微細ガラス付きフィルム材を採取することからなる、廃ガラスの再生処理方法である。
これら採取した微細ガラスは、ガラスの再生原料となり、また、微細ガラス付きフィルム材は、溶融成形などにより微細ガラス粉末含有の補強プラスチックの原料となる。
【0011】
(2)更に、本発明においては、前記(1)項で得られた微細ガラスをガラス製品に形成する廃ガラスの再生処理方法とすることができる。これにより廃ガラスからグラスウール、ガラス瓶その他のガラス製品を製造でき、ガラス材料資源を節約できる。
【0012】
(3)更に、本発明においては、前記(1)項で得られた微細ガラス付きフィルム材を溶融成形して、微細ガラス粉末入りペレットとする廃ガラスの再生処理方法を採用することにより、プラスチック材料としての再使用を可能とすることができる。
【0013】
(4)更に、本発明においては、前記(3)項に記載の微細ガラス付きフィルム材を溶融成形しペレットを製造する際に、微細ガラス付きフィルム材に対しポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ホワイトカーボン、タルク、天然ゴム、合成ゴムから選ばれた少なくとも1種を1~20重量%添加して溶融成形しペレットを製造することにより、ペレット同士がくっつきあって塊状になってしまうことを防止できる。
【0014】
(5)更に、本発明の廃ガラスの再生処理方法においては、前記(1)項で得られた微細ガラス付きフィルム材を、ふるい目のそれぞれの最大径が0.5~8mmのふるい機に通し、当該ふるい機を通過した粒状の微細ガラス付きフィルム材とふるい機上に残った微細ガラス付きフィルム材を分けて採取することにより、より粒度が調整され、ゴミなどが取り除かれ、より純度が向上したものを要求するプラスチック成型メーカーの要求に適合できる微細ガラス付きフィルム材を用いたプラスチック成型用素材が提供でき好ましい。またふるいを通過した粒状の微細ガラス付きフィルム材は、プラスチック用の添加剤として利用できる。
【0015】
(6)更に、本発明においては、前記(5)項で得られた微細ガラス付きフィルム材を溶融成形して、微細ガラス粉末入りペレットとする廃ガラスの再生処理方法を採用することにより、粒度が調整され、よりゴミなどが取り除かれ、より純度が向上したものを要求するプラスチック成型メーカーの要求に適合できるペレットが提供でき好ましい。
【0016】
(7)また、前記(6)項記載の微細ガラス付きフィルム材を溶融成形しペレットを製造する際に、微細ガラス付きフィルム材に対しポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、天然ゴム、合成ゴム、ホワイトカーボン、タルクから選ばれた少なくとも1種を1~20重量%添加して溶融成形しペレットを製造する廃ガラスの再生処理方法とすることにより、ペレット同士がくっつきあって塊状になってしまうことを防止でき好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の廃合せガラスの再生処理方法によれば、ガラスメーカーやカレットメーカーが合わせガラスを大まかに破砕し、合わせガラスのフィルムから剥がれ落ちたガラスをガラスメーカーやカレットメーカーが採取し、残りのほぼ手のひらサイズのガラス付きフィルムである廃合わせガラスを比較的簡便な方法により、微細ガラス材と微細ガラス付きフィルム材とを採取することができ、微細ガラス材はガラス材料として再利用することができ、また粉砕工程後の微細なガラス粒子付きフィルム材はプラスチック材料として再利用することができ、廃合わせガラスをガラス材料と微細ガラス入り補強プラスチック材料に再生することにより、ガラスやプラスチック用資源として再利用することができる。またこれらを使用してガラス製品やガラス微粒子入りプラスチック製品とすることができ、廃棄される資源を再利用し、資源の無駄を少なくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
カレットメーカーや不良品ができてしまったガラスメーカーが合わせガラスを大まかに通常人間の大人の手のひら程度の大きさに破砕し、破砕の際に合わせガラスのプラスチックフィルムから離脱したガラスは、ガラスメーカー又はカレットメーカーが採取し、ガラス製品の再生に利用するが、破砕の際にガラス片がプラスチックフィルムから離脱せずに残っている合わせガラスは、処理されずに廃棄されている。
【0019】
本発明は、かかるガラスメーカー又はカレットメーカーが破砕した後、廃棄処分にする廃合わせガラスをより小さく粉砕し、この廃ガラス付きフィルム材の粉砕の際に生じるフィルムから離脱した微細ガラス粒子を採取し、グラスウールなどのガラス製品に再利用するための資源を提供し、また、微細ガラス粒子が離脱していない微細ガラス付きフィルム材において、フィルムも含めて付着しているガラス粒子の粒子径を微細にすることにより、前記微細ガラス付きフィルム材を溶融押し出しなどによりプラスチックペレットを経由して、溶融成形などによりガラス微粒子含有プラスチック成型品を提供できる原料となる微細ガラス付きフィルムにする方法を提供し、再利用可能な資源を提供し、資源の無駄を防止することができる廃合わせガラスの再生処理方法を提供する。
【0020】
本発明の廃ガラスの再生処理方法においては、ほぼ手のひらサイズに破砕された前記合わせガラスの廃ガラスを、ふるい目のそれぞれの最大径が10~50mm、好ましくは10~20mmのスクリーン付きハンマークラッシャーで前記スクリーンを通過できる大きさに粉砕する。ハンマークラッシャーとしては、それ自体周知の市販されているものでよく、例えば、所定方向に回転されるロータと、このロータに設けられたハンマーと、廃ガラスの移動を阻止する固定板とを備えたものを用いることができ、ロータの回転を利用してハンマーでもって廃ガラスに衝撃を与えることにより、この廃ガラスを小さく破砕する。
【0021】
通常、ガラス付きプラスチックフィルムを粉砕すると、フィルム成分同士がくっついて、塊状になるが、フィルム上に微粒子状の微細なガラス粒子が付着していると、かかる塊状化を防止できる。
【0022】
ハンマークラッシャーで粉砕して得られた微細ガラスと微細ガラス付きフィルム材とを次にふるい目のそれぞれの最大径が5~15mm、好ましくは、8~10mmのふるい機に通し、当該ふるい機を通過した微細ガラスは、採取して、ガラス再生原料に使用できる。なお上記ハンマークラッシャーでは、微細ガラス粒子が上記ふるい機を通過する程度に粉砕することが好ましい。通常、このハンマークラッシャーでの粉砕では、粉砕された微細ガラス粒子は、微細ガラス粒子付きプラスチックフィルムよりも小さくなる。上記ふるい機でふるい分けする工程でふるい目を通過して得られた微細ガラスを採取し、ガラス製品に形成することにより、例えば、採取したこれら微細廃ガラスからグラスウール、ガラス瓶その他のガラス製品を製造でき、ガラス材料資源を節約できる。
【0023】
一方、上記ふるい上に残った微細ガラス付きフィルム材は、ふるい目のそれぞれの最大径が5~20mm好ましくは8~10mmのスクリーン付き粉砕機で更に粉砕し、当該粉砕機のスクリーンを通して微細ガラス付きフィルム材を採取する。この粉砕機での粉砕は、粉砕された微細ガラス付きフィルムが上記粉砕機のスクリーンを通過する大きさに粉砕する。かくして採取した微細ガラス付きフィルム材は、溶融成形などにより微細ガラス粉末の入った補強プラスチックの原料としてもよい。
【0024】
なお、微細ガラス付きフィルム材を、上記粉砕機で粉砕する場合の粉砕機としては、特に限定するものではないがいわゆる一軸粉砕機(例えば(株)ホーライ製)等が使用できる。
【0025】
上記粉砕機のスクリーンを通して得られた微細ガラス付きフィルム材は、例えば溶融成形して、微細ガラス粉末入りペレットとすることにより、プラスチック材料としての再使用を可能とすることができる。微細ガラス付きフィルム材を溶融成形してペレットとする場合には、80~160メッシュのスクリーン付き溶融押し出し機を用いて押し出し機のつまりを防止することが好ましい。
【0026】
この微細ガラス付きフィルム材を溶融成形しペレットを製造する際に、微細ガラス付きフィルム材に対しポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、天然ゴム、合成ゴム、ホワイトカーボン、タルクから選ばれた少なくとも1種を1~20重量%、好ましくは3~8重量%添加して溶融成形しペレットを製造することにより、ペレット同士がくっつきあって塊状になってしまうことを防止できる。
【0027】
なお、かかるペレットを射出成型機などでプラスチック成型品に成形する場合には、インジェクションのノズルが詰まらないよう、80~160メッシュのスクリーンを射出成型機に取り付けておくことも好ましい。
【0028】
更に、本発明の廃ガラスの再生処理方法においては、前述した方法、すなわちほぼ手のひら大に破砕された前記合わせガラスの廃ガラスを、ふるい目のそれぞれの最大径が10~50mm、好ましくは10~20mmのスクリーン付きハンマークラッシャーで前記スクリーンを通過できる大きさに粉砕し、得られた微細ガラスと微細ガラス付きフィルム材とをふるい目のそれぞれの最大径が5~15mm、好ましくは8~10mmのふるい機に通し、当該ふるい機を通過した微細ガラスは採取し、ふるい上に残った微細ガラス付きフィルム材を各ふるい目の最大径が5~20mm、好ましくは8~10mmのスクリーンを有する粉砕機で粉砕し前記スクリーンを通して微細ガラス付きフィルム材を採取する(ここまでを仮に前工程とする)、かくして採取した微細ガラス付きフィルム材を、ふるい目のそれぞれの最大径が0.5~8mm、好ましくは1~2mmのふるい機に通し、当該ふるい機を通過した粒状の微細ガラス付きフィルム材とふるい機上に残った微細ガラス付きフィルム材に分けて採取する(これを仮に追加処理工程とする)ことにより、より粒度が調整され、ゴミなどが取り除かれ、より純度が向上したものを要求するプラスチック成型メーカーの要求に適合できる微細ガラス付きフィルム材、それをペレット化したプラスチックペレット、それを用いて成形した微細ガラス粒子入りの強化プラスチック成型品とすることもできる。
【0029】
一方、当該ふるい機を通過した微細ガラス付きフィルムは、細粒状なのでプラスチックの添加剤として使用できる。上記でふるいを通過した「粒状の微細ガラス付きフィルム材」とは、ふるいを通過した「微細ガラス付きフィルム材」個々の全体形状が粒状であることを意味している(粒状が微細ガラスを修飾する意味ではない)。
【0030】
なお、上記前工程で使用するスクリーン付きハンマークラッシャーやふるい機は先に説明したものが使用できる。
【0031】
このように、前工程と追加処理工程の全工程を通って得られた微細ガラス付きフィルム材も、溶融成形して、微細ガラス粉末入りペレットとすることにより、プラスチック材料としての再使用を可能とすることができる。微細ガラス付きフィルム材を溶融成形してペレットとする場合には、前述したと同様に80~160メッシュのスクリーン付き溶融押し出し機を用いて押し出し機のつまりを防止することが好ましい。
【0032】
この前工程と追加処理工程の全工程を通って得られた微細ガラス付きフィルム材を溶融成形しペレットを製造する際にも、前述したと同様に、微細ガラス付きフィルム材に対しポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、天然ゴム、合成ゴム、ホワイトカーボン、タルクから選ばれた少なくとも1種を1~20重量%、好ましくは3~8重量%添加して溶融成形しペレットを製造することにより、ペレット同士がくっつきあって塊状になってしまうことを防止できる。
【0033】
なお、かかるペレットを射出成型機などでプラスチック成型品に成形する場合にも、インジェクションのノズルが詰まらないよう、80~160メッシュのスクリーンを射出成型機に取り付けておくことが好ましい。
【0034】
前工程のみで得られた微細ガラス粒子付きフィルム材並びに前工程と追加処理工程の全工程を経て得られた微細ガラス粒子付きフィルム材は、微細ガラス粒子入りプラスチック材料として再利用され、このプラスチック材料を用いて所望のプラスチック加工工程によって、例えばプラスチック製の敷板、車止め、鉄筋敷、シート材などを製造することができ、また樹脂の増量剤、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、天然ゴム、合成ゴムなどの増量剤としても用いることができる。
【0035】
このプラスチック材料としての微細ガラス粒子付きフィルム材は、前述したようにペレットの原材料として用いることができ、この場合、ペレット加工工程が遂行される。このペレット加工工程においては、微細ガラス粒子付きフィルム材からチップ状のペレットを製造するペレット製造機(ペレット製造用溶融押し出し機)が用いられる。このペレット製造機としては、それ自体周知の市販されているものでよく、例えば、プラスチック材料としてのガラス付きフィルム材フィルムを構成するプラスチックを溶かす溶融部と、溶融されたプラスチック材料を押し出す押出部と、押し出されたプラスチック材料を切断する切断部とを備えたものを用いることができ、このようなペレット製造機を用いることにより、プラスチック材料からチップ状のペレットを製造することができる。
【0036】
尚ペレット製造機には、押出ノズルのつまりを防止するため、前述したように、80~160メッシュのスクリーンを押出ノズルより手前の部分に設けておくことが好ましい。
【0037】
製造されたペレットは、ペレットの形態で再利用され、このペレットを用いて所望のプラスチックの溶融成形機によって、例えばプラスチック製のスペーサ、シート材料、自動車のバンパー、ハンガーなどを製造することができ、また、前述したと同様に、樹脂の増量剤、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ABS樹脂ポリ塩化ビニル、天然ゴム、合成ゴムなどの増量剤としても用いることができる。
【0038】
上述した廃ガラスの再生処理方法では、廃合わせガラスを上述した前工程のみ、ないしは前工程と追加処理工程の全工程によってガラス材と微細ガラス粒子付きフィルム材に破砕し、再利用に適したガラス材料と微細ガラス粒子付きフィルム材とを得ることができる。そして、この微細ガラス粒子付きフィルム材は再利用に適したプラスチック材料とすることができる。また、粉砕されてフィルム材から離脱したガラス粒子は、ガラス成型品に処理することができる。追加処理工程でふるい機のふるいを通過した、粒状の微細ガラス粒子付きフィルム材は、合成樹脂の添加剤として使用できる。
【0039】
なお、上述した微細ガラス粒子付きフィルム材のフィルムに付着している微細ガラスの粒子径は、特に限定するものではないが、顕微鏡で上から観察し各ガラス粒子それぞれの最大径を測定し、観測したガラス微粒子100個分の算術平均値の粒子径が100~200μmの微細ガラス粒子付きフィルム材が好ましい。このような微細ガラス粒子付きフィルム材は、プラスチック成型品に成形する場合に、ガラス粒子付きであっても成形も容易であり、強化プラスチックとしても好適である。
【0040】
以上、本発明に従う廃ガラスの再生処理方法の一実施形態について説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【要約】
【課題】合わせガラスをガラスやプラスチック用資源として再生処理する方法を提供する。
【解決手段】 ほぼ手のひら大に破砕された合わせガラスの廃ガラスを、各ふるい目の最大径が10~50mmのスクリーン付きハンマークラッシャーで前記スクリーンを通過できる大きさに粉砕し、得られた微細ガラスと微細ガラス付きフィルム材とを各ふるい目の最大径が5~15mmのふるい機に通し、当該ふるい機を通過した微細ガラスを採取し、ふるい上に残った微細ガラス付きフィルム材を各ふるい目の最大径が5~20mmスクリーンを有する粉砕機で粉砕し前記スクリーンを通して微細ガラス付きフィルム材を採取することからなる廃ガラスの再生処理方法、並びに、上記で得られた微細ガラス付きフィルム材を更に各ふるい目の最大径が0.5~8mmのふるい機に通し、当該ふるい機を通過させて微細ガラス付きフィルム材と粒状の微細ガラス付きフィルム材とを採取する廃ガラスの再生処理方法。
【選択図】なし