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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】電力線装着型電流センサー
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/18 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
G01R15/18 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2024046901
(22)【出願日】2024-03-22
【審査請求日】2024-03-22
(31)【優先権主張番号】10-2024-0038102
(32)【優先日】2024-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524111237
【氏名又は名称】イージー コリア
【氏名又は名称原語表記】EG KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュー チョルボム
(72)【発明者】
【氏名】キム ボンジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム チャンハ
(72)【発明者】
【氏名】キム テウ
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-200631(JP,A)
【文献】特開2022-167857(JP,A)
【文献】特開2016-217732(JP,A)
【文献】特開2020-067401(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1981640(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-0897229(KR,B1)
【文献】特開2017-191106(JP,A)
【文献】特開2006-105955(JP,A)
【文献】特開2007-163228(JP,A)
【文献】特開2015-052471(JP,A)
【文献】特開2007-292716(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111257652(CN,A)
【文献】国際公開第2023/158760(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層及び前記絶縁層の両面に形成された導体層を含む第1基板と、
前記第1基板の前記絶縁層と前記導体層を貫通するように形成され、内壁に導電膜を有する複数のビアホール(Via HoLe)及び前記導体層に前記複数のビアホールを電気的に接続するように形成した線路パターニングで成された少なくとも一つ以上のコイルを含むセンサー部と、
前記センサー部が電流を測定する対象である電力線を装着する絶縁性の装着部材と、
前記センサー部が測定した電流の大きさを示す信号を外部に出力する回路を有する第2基板と、
を備え、
前記複数のビアホールは、第1方向に並んだ二つの列で形成され、
前記線路パターニングは、前記並んだ二つの列で形成された前記複数のビアホールをらせん状に電気的に接続して前記第1方向を中心軸に前記コイルを成すように前記絶縁層の両面の前記導体層に形成され、
前記第1基板は、前記装着部材における前記第2基板が設けられた位置よりも、前記電力線における前記第1基板の最も大きな面と平行な領域に近い位置において前記装着部材に装着されるように構成された、
電力線装着型電流センサー。
【請求項2】
前記センサー部は、前記中心軸が互いに平行に形成された複数のコイルを含み、
前記複数のコイルは、並列または直列に電気的に接続された、
請求項に記載の電力線装着型電流センサー。
【請求項3】
第1側に開口部を有するボックス型に構成された導電性材質の遮蔽ケースをさらに備え、
前記第1基板は、四角形の四か所の角にL字溝が形成され、対向する両側が前記L字溝の長さだけ突出する十字形状に形成され、
前記遮蔽ケースは、前記第1基板の前記第1方向と直交する第2方向に突出した両側が嵌められるように前記開口部の前記第2方向に対向する両側に形成した凹部を有し、
前記第1基板は、前記第2方向に突出した両側が前記開口部の前記凹部に嵌め込まれると、前記第1方向の両側が前記開口部に挿入され、前記開口部を塞ぐように形成された、
請求項1又は2に記載の電力線装着型電流センサー。
【請求項4】
前記装着部材は、前記遮蔽ケースの前記開口部が挿入されるように一面が開放されたボックス型に構成され、外側面の一部に前記電力線に固定される締結部を有する
請求項に記載の電力線装着型電流センサー。
【請求項5】
前記第1基板上に装着され、前記センサー部と電気的に接続されて前記コイルからの出力を受信して、当該出力に対して所定の信号処理を施すことにより前記電力線に流れる電流の大きさを表す電流信号を出力するための回路部をさらに備える、
請求項に記載の電力線装着型電流センサー。
【請求項6】
前記第2基板上に装着され、前記センサー部と電気的に接続されて前記コイルからの出力を受信して、当該出力に対して所定の信号処理を施すことにより前記電力線に流れる電流の大きさを表す電流信号を出力するための回路部をさらに備え、
前記第2基板は、前記第1基板の前記第2方向に突出した両側を除いた部分と同一の大きさで形成され、前記第1基板と所定の締結部材で締結されて前記遮蔽ケースの内部に挿入されるように形成された、
請求項に記載の電力線装着型電流センサー。
【請求項7】
前記遮蔽ケースは、前記回路部に電源を供給するための電源線を通過させるための電源供給口及び前記回路部からの信号出力線を通過させるための信号出力口を含む、
請求項に記載の電力線装着型電流センサー。
【請求項8】
前記電力線は、バスバー(Busbar)を含み、
前記装着部材の前記締結部は、前記バスバーが挿入されて締結されるレール状の溝を有する、
請求項に記載の電力線装着型電流センサー。
【請求項9】
前記電力線は、バスバー(Busbar)を含み、
前記装着部材の前記締結部は、前記バスバーが挿入されて締結されるクリップ状の溝を有する、
請求項に記載の電力線装着型電流センサー。
【請求項10】
前記装着部材の前記第1方向の幅は前記バスバーの幅に相当し、
前記第1基板の前記第1方向の幅は前記バスバーの幅以下である、
請求項に記載の電力線装着型電流センサー。
【請求項11】
前記装着部材は、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向の内側の長さが、前記遮蔽ケースの前記第3方向の外側の長さと同等に形成された、
請求項に記載の電力線装着型電流センサー。
【請求項12】
前記装着部材は、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向の内側の長さが、前記遮蔽ケースの前記第3方向の外側の長さより短く形成された、
請求項に記載の電力線装着型電流センサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力線装着型電流センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
電流センサーは、被測定導線に流れる電流を感知するセンサーで、その感知方式によって、シャント(Shunt)抵抗を用いる抵抗検出方式と導線周辺の磁界を用いる磁界検出方式に分けられる。そのうち、磁界検出方式は、変流器(Current Transformer:CT)を用いるセンサーとホール素子(Hall EleMent)を用いるセンサーに分けられる。
【0003】
CT素子は、変圧器の原理を利用するので、電流が時間的に変化するAC電流の測定に主に適用される。導線に電流が流れると、その周辺に磁界が形成され、環状のCTの内部を導線が通過するように配置すれば導線の周辺の磁界によってCTのコイルに誘導電流が流れることになる。
【0004】
ホール素子は、電流に直交する方向に磁界を加えると電流と磁界に直交する方向に起電力が発生するホール効果を利用する素子で、このようなホール効果を利用するセンサーをホールセンサーと呼び、磁性をもつ物体の磁界変化で検出信号が発生する。
【0005】
磁界検出方式のもう一つの形態であるロゴスキーコイル方式の電流センサーは、測定電流の周囲に発生する交流磁界によって空芯コイルで誘導される電圧を変換して電流を測定する。即ち、測定導体(1次側)に流れる交流電流による磁界が空芯コイルと鎖交することで空芯コイルに誘導電圧が発生し、この誘導電圧は測定電流の時間微分値になるので積分器を通過させることで測定電流に比例する信号が出力される。
【0006】
さらに他の方式では、交流電流が流れる電力導線と所定の離隔距離をおいてセンサー部を配置し、電力導線に流れる交流によって発生する誘導起電力によりセンサー部で発生する電磁波を測定して交流電流を検出する電流センサーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国特許公報第10-1981640号
【文献】韓国特許公報第10-0897229号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、磁界検出方式の電流センサーは電力線がコアの内部を貫通する形態を取るので、既に設置されている電力線に簡単に装着する形での実装が不可能であり、さらに実装面積が大きいと言う短所がある。
【0009】
さらに、電流センサーのサイズを小型化するためには特許文献1に記載されている電流センサーまたはホール素子を用いる電流センサーを想定することができるが、特許文献1に記載されている電流センサーは電力導線と並んで配置される非コイル性の測定導線でセンサー部を構成するので、低電流(例えば、1A以下)測定時の測定感度が顕著に落ちるという問題がある。
【0010】
さらに、ホール素子は磁気コアが必要なので小型化に限界があるのみならず(例えば、特許文献2参照)、磁気信号に敏感に反応するのでノイズを完全に遮蔽しない限り隣り合う電力線の活性状態で発生する誘導磁気がノイズとして流入し、結果的に測定誤差が増加する問題がある。
【0011】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、低電流測定時に高感度を維持しながらノイズの影響を最小化し、センサー自体のサイズを小型化できる電力線装着型電流センサーを提供することを目的とする。
【0012】
本発明の解決課題は以上で言及されたものに限定されず、言及されていない他の解決課題は下記の記載から当該技術分野における通常の知識を有した者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の少なくとも一つの実施例においては、絶縁層及び前記絶縁層の両面に形成された導体層を含む基板と、前記基板の前記絶縁層と前記導体層を貫通するように形成され、内壁に導電膜を有する複数のビアホール(Via HoLe)及び前記導体層に前記複数のビアホールを電気的に接続するように形成した線路パターニングで成された少なくとも一つ以上のコイルを含むセンサー部と、を備え、前記複数のビアホールは、第1方向に並んだ二つの列で形成され、前記線路パターニングは、前記並んだ二つの列で形成された前記複数のビアホールをらせん状に電気的に接続して前記第1方向を中心軸に前記コイルを成すように前記絶縁層の両面の前記導体層に形成され、前記基板は、前記コイルの前記中心軸が電流を測定する対象である電力線と交差する方向において前記基板の第1面が前記電力線に近接して装着されるように構成された、電力線装着型電流センサーを提供する。
【0014】
本発明の少なくとも一つの実施例においては、絶縁材質の基板と、前記基板に第1方向に並んで形成された二列の貫通孔と、前記二列の貫通孔を介して絶縁被覆された導線がらせん状に巻かれて前記第1方向を中心軸としてなされた少なくとも一つ以上のコイルを含むセンサー部と、を備え、前記基板は、前記コイルの前記中心軸が電流を測定する対象である電力線と交差する方向において前記基板の第1面が前記電力線に近接して装着されるように構成された、電力線装着型電流センサーを提供する。
【0015】
本発明の少なくとも一つの実施例においては、絶縁材質の基板と、前記基板上に装着され、絶縁被覆された導線を第1方向を中心軸にらせん状に巻いて形成された少なくとも一つ以上のコイルを含むセンサー部と、を備え、前記基板は、前記コイルの前記中心軸が電流を測定する対象である電力線と交差する方向において前記基板の第1面が前記電力線に近接して装着されるように構成された、電力線装着型電流センサーを提供する。
【0016】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記センサー部は、前記中心軸が互いに平行に形成された複数のコイルを含み、前記複数のコイルは、並列または直列に電気的に接続される。
【0017】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記コイルは、中心部に鉄心コアを含む。
【0018】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記電力線装着型電流センサーは、第1側に開口部を有するボックス型に構成された導電性材質の遮蔽ケースをさらに備え、前記基板は、四角形の四か所の角にL字溝が形成され、対向する両側が前記L字溝の長さだけ突出する十字形状に形成され、前記遮蔽ケースは、前記基板の前記第1方向と直交する第2方向に突出した両側が嵌められるように前記開口部の前記第2方向に対向する両側に形成した凹部を有し、前記基板は、前記第2方向に突出した両側が前記開口部の前記凹部に嵌め込まれると、前記第1方向の両側が前記開口部に挿入され、前記開口部を塞ぐように形成される。
【0019】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記電力線装着型電流センサーは、前記遮蔽ケースの前記開口部が挿入されるように一面が開放されたボックス型に構成され、外側面の一部に前記電力線に固定される締結部を有する、絶縁材質の装着部材をさらに備える。
【0020】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記電力線装着型電流センサーは、前記基板上に装着され、前記センサー部と電気的に接続されて前記コイルからの出力を受信して、当該出力に対して所定の信号処理を施すことにより前記電力線に流れる電流の大きさを表す電流信号を出力するための回路部をさらに備える。
【0021】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記電力線装着型電流センサーは、別途の基板上に装着され、前記センサー部と電気的に接続されて前記コイルからの出力を受信して、当該出力に対して所定の信号処理を施すことにより前記電力線に流れる電流の大きさを表す電流信号を出力するための回路部をさらに備え、前記別途の基板は、前記基板の前記第2方向に突出した両側を除いた部分と同一の大きさで形成され、前記基板と所定の締結部材で締結されて前記遮蔽ケースの内部に挿入されるように形成される。
【0022】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記遮蔽ケースは、前記回路部に電源を供給するための電源線を通過させるための電源供給口及び前記回路部からの信号出力線を通過させるための信号出力口を含む。
【0023】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記電力線は、バスバー(Busbar)を含み、前記装着部材の前記締結部は、前記バスバーが挿入されて締結されるレール状の溝を有する。
【0024】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記電力線は、バスバー(Busbar)を含み、前記装着部材の前記締結部は、前記バスバーが挿入されて締結されるクリップ状の溝を有する。
【0025】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記装着部材の前記第1方向の幅は前記バスバーの幅に相当し、前記基板の前記第1方向の幅は前記バスバーの幅以下である。
【0026】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記装着部材は、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向の内側の長さが、前記遮蔽ケースの前記第3方向の外側の長さと同等に形成される。
【0027】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記装着部材は、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向の内側の長さが、前記遮蔽ケースの前記第3方向の外側の長さより短く形成される。
【発明の効果】
【0028】
本発明の少なくとも一つの実施例によれば、低電流測定時に高感度を維持しながらノイズの影響を最小化し、センサー自体のサイズを小型化できる電力線装着型電流センサーを提供できるという効果を奏する。
【0029】
本発明の効果は以上で言及されたものなどに限定されず、言及されていない他の効果は下記の記載から当該技術分野における通常の知識を有した者に明確に理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーをバスバーに装着した状態を示す斜視図である。
図2】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーをバスバーに装着した状態を示す正面図、平面図、下面図、左側面図、及び右側面図である。
図3】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーをバスバーに装着する様子を示す斜視図である。
図4】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーの分解斜視図である。
図5】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーのセンサー部の斜視図である。
図6】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーのセンサー部の第1面及び第2面を示す平面図である。
図7】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーのセンサー部のコイル形成形態を示す透視図である。
図8】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーをバスバーに装着した状態を示す側断面図である。
図9】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーの組み立てる様子を示す分解斜視図である。
図10】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーと特許文献1に記載されている電流センサーの電流感知性能を比較するための測定グラフである。
図11】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーのノイズ特性を示す測定グラフである。
図12】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーの非飽和特性を示す測定グラフである。
図13】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーのセンサー部のコイル形成形態を示す透視図である。
図14】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照し、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電力線装着型電流センサーについて詳しく説明する。
【0032】
図1は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100をバスバー(Busbar)200に装着した状態を示す斜視図である。図2は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100をバスバー200に装着した状態を示す正面図、平面図、下面図、左側面図、及び右側面図である。図3は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100をバスバー200に装着する様子を示す斜視図である。図4は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100の分解斜視図である。図5は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100のセンサー部110の斜視図である。図6は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100のセンサー部110の第1面及び第2面を示す平面図である。
【0033】
図1ないし図6に示すように、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100は、絶縁層を挟んで絶縁層の両面に形成した導体層を含む基板111及び基板111の絶縁層と導体層を貫通するように形成され、その内壁に導電膜117を形成した複数のビアホール(Via HoLe)112及び導体層に複数のビアホール112を接続するように形成した線路パターニング113で成される少なくとも一つ以上のコイルC1~C4を含むセンサー部110で構成される。
【0034】
本発明の少なくとも一つの実施例において、基板111は、絶縁層と導体層が基板の形に積層され、導体層のパターニングを介して所望の回路を構成することができる印刷回路基板(Printed Circuit Board:PCB)を含む。
【0035】
本発明の少なくとも一つの実施例において、複数のビアホール112は、図5及び図6に示すように、第1方向(図5に示す例ではy方向)に並んだ二つの列で形成される。
【0036】
図5及び図6では、複数のビアホール112が第1方向にジグザグ状に並んだ二つの列で形成されるいるが、線路パターニング113を介して複数のビアホール112をらせん状のコイル形状に接続するための配置で、線路パターニング113を介して複数のビアホール112をらせん状のコイル形状に電気的に接続可能な限り、ジグザグ状でも一直線でも並んだ二列に形成することも可能であり、どのような形態も本発明のジグザグ状に含まれる。
【0037】
即ち、図5に示す例では、X方向における第1位置に複数のビアホール112が配置されており、X方向における第2位置に複数のビアホール112が配置されている。第1位置の複数のビアホール112のY方向における位置と、第2位置の複数のビアホール112のY方向における位置とは異なっているが、それぞれのY方向における位置が一致していてもよい。
【0038】
換言すれば、複数のビアホール112が第1方向に一直線で並んだ二列で形成した場合、必要に応じて一方のビアホールの数が一つ多くまたは少なく形成されることもあり、どの場合でも線路パターニング113は複数のビアホール112を少なくとも一方の面では斜線で接続するのでジグザグと言う表現を用いるのであって、並んで二つの列に形成する限りジグザグ状と一直線状は同一の形態と見なすことができる。
【0039】
本発明の少なくとも一つの実施例において、線路パターニング113は、上記のような意味で並んだ二列で形成した複数のビアホール112をらせん状に電気的に接続し、第1方向を中心軸としてコイルC1~C4を成すように絶縁層の両面の導体層に形成される。
【0040】
本発明の少なくとも一つの実施例において、複数のビアホール112と線路パターニング113で形成した少なくとも一つ以上のコイルC1~C4を含む基板111は、コイルC1~C4の中心軸が電流を測定する対象となる電力線と交差する方向において基板111の第1面が電力線(図1ないし図3に示す例ではバスバー200)に近接して装着されるように構成される。「近接して装着」される構成は、例えば、基板111が電流センサー100(図4の装着部材120)の内壁面に接した状態で装着される構成である。
【0041】
即ち、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100は、図1ないし図4に示すように、電流を測定する対象である電力線(図1ないし図3に示す例では、バスバー200)をバイパスするかまたは切断せずにありのままの状態でセンサー部110の第1面が電力線に並んで近接するように電力線に装着され、電力線に流れる電流を測定することができる。
【0042】
図1ないし図4では、電流を測定する対象である電力線として板状のバスバー200を例として図示しているが、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100は、板状または環状のバスバー、一般的な導線などを含むあらゆる形の電力線に適用することが可能である。
【0043】
本発明の少なくとも一つの実施例において、図5及び図6に示すように、センサー部110は、中心軸が互いに略平行に形成した複数のコイルC1~C4を含み、複数のコイルC1~C4は、並列または直列に接続される。
【0044】
センサー部110は、コイルC1~C4に誘導される誘導電流によってバスバー200に流れる電流量を感知するので、誘導電流量が多ければ多いほど感度が高くなる。従って、中心軸が互いに平行に形成された複数のコイルC1~C4を並列に接続することで誘導電流量を増加させるか、または直列に接続することで誘導起電力を増加させて感度を向上させることができる。
【0045】
図5及び図6は、上記のような形態で制作したセンサー部110の実際のイメージで、厚さ2mm、y方向とx方向の長さが7mmx22mmであるPCB上に複数のビアホール112と線路パターニング113を形成して巻線数7回のコイルC1、巻線数5回のコイルC2、巻線数5回のコイルC3、及び巻線数7回のコイルC4を形成している。
【0046】
図5及び図6に示すセンサー部110で、形成した四つのコイルC1~C4は互いに直列に接続され、与えられた大きさの基板111でバスバー200に流れる電流によって発生する磁束による誘導起電力を最大化するように構成される。
【0047】
図7は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100のセンサー部110のコイル形成形態を示す透視図である。
【0048】
図7に示すように、基板111に第1方向(y方向)にジグザグ状または一直線状に並んだ二つの列に形成した複数のビアホール112の内部には導電膜117が形成されているので、両側のビアホール112をらせん状に電気的に接続するように線路パターニング113を形成すれば、図7の矢印の下に示すように、始点Sと終点Eの間のらせん構造で全体の長さL、長軸の長さaを有するコイルC1が形成される。ここで、コイルC1の短軸の長さbは基板111の厚さに相当する。
【0049】
本発明の少なくとも一つの実施例において、コイルC1~C4は、中心部に鉄心コア(不図示)を含むことができる。コアレスコイルの場合は飽和しない長所がある反面、鉄心コアを有するコイルの場合は鉄心の磁束密度が最大になると飽和される短所があるが感度が向上する長所がある。
【0050】
本発明の少なくとも一つの実施例において、電流センサー100は、図4に示すように、第1側に開口部132を有するボックス型に構成された導電性(金属)材質の遮蔽ケース130をさらに備える。
【0051】
本発明の少なくとも一つの実施例において、基板111は、四角形の四か所の角にL字溝116が形成され、対向する両側がL字溝116の長さだけ突出する十字形状に形成される。
【0052】
遮蔽ケース130は、基板111の第1方向と直交する第2方向(x方向)に突出した両側が嵌められるように開口部132の第2方向に対向する両側に形成した凹部131を有し、基板111の第2方向に突出した両側が開口部132の凹部131に嵌め込まれると、第1方向の両側が開口部132に挿入され、開口部132を塞ぐように構成される。
【0053】
従って、センサー部110がバスバー200に近接するように遮蔽ケース130をバスバー200に装着すると、遮蔽ケース130がセンサー部110の外側面(バスバー200の反対側)を遮蔽し、バスバー200がバスバー200側を遮蔽する機能をする。
【0054】
上記のような構造で、バスバー200に電流が流れるときに発生する磁束がセンサー部110のコイルC1~C4の内部に入るようにしながらセンサー部110の四方を遮蔽するので、センサー部110の幅(第1方向の長さ)をバスバー200の幅以下に設定する必要がある。
【0055】
本発明の少なくとも一つの実施例において、遮蔽ケース130の内部で、センサー部110はバスバー200で発生する磁束が最も効率よく伝達される方向に配置され、バスバー200で発生する磁気の変化がより効率的に感知されるようにする。
【0056】
本発明の少なくとも一つの実施例において、電流センサー100は、図1ないし図4に示すように、遮蔽ケース130の開口部132側が挿入されるように一面が開放されたボックス型に構成され、外側面の一部にバスバー200が固定される締結部121を有する、絶縁材質の装着部材120をさらに備える。
【0057】
図1ないし図4に示す例では、L字形状に曲がった厚さ2mm、幅10mmの板状(Plate Type)のバスバー200を用いて、装着部材120の側面に締結部121を形成して装着部材120に挿入された電流センサー100をバスバー200に装着しているが、これは本発明を説明するための一つの実施例であり、装着部材120の側面または底面に締結部121を形成することで、一字型のバスバー、環状のバスバー、または適正な厚さを有する電線などにも適用可能である。
【0058】
図1ないし図4に示す例で、装着部材120の幅はバスバー200の幅より若干広い約11mmの幅で形成されている。
【0059】
図8は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100をバスバー200に装着した状態を示す側断面図である。
【0060】
図8に示すように、センサー部110が形成された基板111を開口部132を覆う形で遮蔽ケース130に装着した後に、電流センサー100が内側に向くようにして遮蔽ケース130を装着部材120に挿入し、電流センサー100がバスバー200に近接するようにバスバー200に装着すると、バスバー200に電流が流れる際に発生する磁束Mがセンサー部110のコイルCを通過しながら誘導電流に変換される。
【0061】
即ち、センサー部110のコイルCは、バスバー200に電流が流れる際に発生する磁束Mを誘導させる誘導コイルとして機能することになる。
【0062】
バスバー200に交流電流が流れると、バスバー200の周辺に発生する磁束MはコイルCの内部に流れ、これによるコイルCの内部の磁束変化はコイルCを介して誘導電流または誘導起電力に変換されて出力される。従って、このような誘導電流または誘導起電力を演算することでバスバー200に流れる電流量を算出することができる。
【0063】
即ち、図4及び図8に示すように、遮蔽ケース130は、基板111の第1方向と直交する第2方向(x方向)に突出した両側が嵌められるように開口部132の第2方向に対向する両側に凹部131を含み、基板111の第2方向に突出した両側が開口部132の凹部131嵌め込まれると、第1方向の両側が開口部132に挿入されて開口部132を塞ぐようになるので、センサー部110がバスバー200に近接するように遮蔽ケース130をバスバー200に装着すると、遮蔽ケース130がセンサー部110の外側面(バスバー200の反対側)を遮蔽し、バスバー200がバスバー200側を遮蔽するように機能する。
【0064】
即ち、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100は、遮蔽ケース130に基板111を装着し、これを装着部材120に挿入して図8に示すようにバスバー200に装着すると、装着部材120の底面を挟んでセンサー部110のすべての方向を遮蔽ケース130とバスバー200が遮蔽する構造を有する。
【0065】
上記のような構造で、バスバー200に電流が流れるときに発生する磁束がコイルCに入るようにしながらセンサー部110の四方を遮蔽するので、センサー部110の幅(第1方向の長さ)はバスバー200の幅以下に設定する必要がある。
【0066】
以上のような本発明の構成によれば、バスバー200から伝達される電磁波ノイズを遮蔽ケース130によって遮断し、バスバー200で発生する磁気変化は主に遮蔽ケース130の内部で磁束Mがセンサー部110に伝達されて感知するので、外部ノイズの影響を最小化することができる。
【0067】
図9は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100の組み立てる様子を示す分解斜視図である。
【0068】
本発明の少なくとも一つの実施例において、電流センサー100は、基板111状に装着され、センサー部110と電気的に接続され、コイルC1~C4からの出力を受信して所定の信号処理を介して電力線に流れる電流の大きさを表す電流信号を出力するための回路部をさらに備える。
【0069】
本発明の少なくとも一つの実施例において、回路部は、基板111上のセンサー部110から出力される誘導電流量または誘導起電力を情報量として演算し、演算の結果を外部に伝達することができる。
【0070】
図9に示す例では、別途の基板115状に装着され、センサー部110と電気的に接続され、コイルC1~C4からの出力を受信して所定の信号処理を介して電力線に流れる電流の大きさを表す電流信号を出力するための回路部を含む場合を示す。
【0071】
ここで、別途の基板115は、基板111の第2方向に突出した両側を除いた部分と同一の大きさで形成され、基板111と所定の締結部材で締結されて遮蔽ケース130の内部に挿入されるように形成される。
【0072】
従って、センサー部110が装着された基板111と回路部が装着された別途の基板115を所定の締結部材を用いて物理的及び電気的に接続し、図9に示す方向に遮蔽ケース130に挿入すると、別途の基板115は遮蔽ケース130の内部に挿入され、基板111は第2方向に突出した両側が凹部131に嵌め込まれて開口部132を塞ぐように遮蔽ケース130に装着される。
【0073】
即ち、基板111を遮蔽ケース130の凹部131に嵌め込むと、図9に示すように、遮蔽ケース130の開口部132の面L1と電流センサー100の外側面L2が略同一面になる。
【0074】
本発明の少なくとも一つの実施例において、電流センサー100は、電力線に流れる電流を感知するためのコイルC1~C4を含むセンサー部110とセンサー部110の出力端に接続されてノイズを除去するためのフィルター部とフィルター部(不図示)を通った信号を増幅させるためのアンプ部(不図示)を含む回路部で構成される。
【0075】
電流センサー100のコイルC1~C4は、電流が流れる電力線に近接するように装着されることで、電力線で発生した磁界がコイルの内部に入って正弦波誘導電流を出力する電流感知部である。
【0076】
フィルター部は、誘導電流を低域フィルター(Low Pass Filter)を経て一定周波数を基準に低い周波数信号は通過させ、高い周波数信号を除去する機能をする。フィルター部はアンプ部の出力端にもあり、アンプ部を通過した信号は高域フィルター(High Pass Filter)を経て、DC成分のノイズが除去され、一定周波数以下の信号を除去する機能をする。
【0077】
アンプ部は、低域フィルターを経た信号を差動増幅器を用いて(約1000倍程度)増幅して正弦波を出力する。増幅率は、必要に応じて設定することができる。
【0078】
本発明の少なくとも一つの実施例において、基板111または別途の基板115には、回路部からの信号を外部に出力するための信号出力端子118及び回路部に電力を供給するための電源供給端子119が電気的に接続される。
【0079】
本発明の少なくとも一つの実施例において、遮蔽ケース130は、回路部に電源を供給するための電源線を通過させるための電源供給口(不図示)及び回路部からの信号出力線を通過させるための信号出力口(不図示)を含む。
【0080】
本発明の少なくとも一つの実施例において、装着部材120の締結部121は、バスバー200が挿入されて締結されるレール状の溝を有する。即ち、図4及び図9に示すように電流センサー100を構成し、図3に示すようにレール状の溝に板状のバスバー200を挿入し、図1に示すように、センサー部110がバスバー200に近接するように電流センサー100がバスバー200に装着される。
【0081】
本発明の少なくとも一つの実施例において、装着部材120の締結部121は、バスバー200が挿入されて締結されるクリップ状の溝を有する。
【0082】
この構造は、例えば、図4に示す装着部材120の締結部121でバスバー200を外側から支持するL字形状の部分が装着部材120と合う部分で折曲部(不図示)を形成することで外側に回転可能に構成される。
【0083】
従って、例えば、図1ないし図3に示すようなL型のバスバーではなく、一字型のバスバーまたは環型のバスバーの場合にも用いることができる。
【0084】
本発明の少なくとも一つの実施例において、装着部材120の幅はバスバー200の幅に相当し、基板111の第1方向の幅はバスバー200の幅より狭く形成される。
【0085】
本発明の少なくとも一つの実施例において、装着部材120は、第1方向及び第2方向に直交する第3方向の内側の長さ(開口部から底までの内側の長さ)が、遮蔽ケース130の第3方向の外側の長さ(開口部から底までの外側の長さ)と同等に形成される(図8参照)。
【0086】
このようにすることで、センサー部110及び回路部を含む遮蔽ケース130と装着部材120が一体となった電流センサー100を構成することができる。
【0087】
本発明の少なくとも一つの実施例において、装着部材120は、第1方向及び第2方向に直交する第3方向の内側の長さ(開口部から底までの内側の長さ)が、遮蔽ケース130の第3方向の外側の長さ(開口部から底までの外側の長さ)より短く形成される。
【0088】
この構造は、装着部材120の締結部121に問題が発生するか、センサー部110または回路部に問題が発生した場合に、遮蔽ケース130と装着部材120を容易に分離できるというメリットがある。
【0089】
図10は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100と特許文献1に記載されている電流センサーの電流感知性能を比較するための測定グラフである。
【0090】
図10に示すように、両方ともに300Aまでセンサーの出力が飽和することなく線形に増加しているが、1A以下の領域を拡大して見ると、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100はセンサーの出力が依然として線形に増加しているのに対し、特許文献1に記載されている電流センサーはセンサーの出力に変化がないことが分かる。
【0091】
即ち、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100が、電流の増加に伴うセンサー出力の傾きのみならず、1A以下の低電流領域においても依然としてリニアなセンサー出力を示しているので、感度の面でより優れた長所をもっていると言える。
【0092】
図11は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100のノイズ特性を示す測定グラフである。
【0093】
図11に示すグラフは、0Aと10Aの電流が電力線に流れる際に電力線に装着した電流センサー100の出力電圧波形をオシロスコープで測定したものである。一般に、バスバーに適用される電流センサーが0Aのときに正弦波の形を確認しにくいほどのノイズが含まれるのに対し、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100は、0Aの場合でもはっきりとした正弦波を出力するので、ノイズによる影響をほとんど受けないことが分かる。
【0094】
図12は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100の非飽和特性を示す測定グラフである。
【0095】
図12に示すグラフは、定格仕様40/5Aの商用CTと本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100の特性を比較したものである。電力線に流れる電流を増加させると、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100は非飽和特性を示すのに対し、CTは50A付近から飽和特性を示している。
【0096】
図1ないし図9に示す電流センサー100はPCBを用いて、内壁に導電膜を形成した複数のビアホールと線路パターニングを介してコイルを形成する例を示しているが、センサー部のコイルを絶縁被覆された導線で形成することもできる。
【0097】
図13は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーのセンサー部のコイル形成形態を示す透視図である。
【0098】
図13に示すように、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーは、絶縁材質の基板1311、基板1311に第1方向(y方向)に並んで形成した二列の貫通孔1312、及び二列の貫通孔1312を介して絶縁被覆導線1313をらせん状に巻いて第1方向を中心軸とする少なくとも一つ以上のコイルC1を含むセンサー部で構成される。
【0099】
本発明の少なくとも一つの実施例において、基板1311は、コイルC1の中心軸が電流を測定する対象である電力線と交差する方向において、基板1311の第1面が電力線に近接して装着されるように構成される。
【0100】
本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーは、センサー部に用いるコイルを、ビアホールと線路パターニングではなく、絶縁被覆された導線でコイルを形成した以外には図6に示す電流センサー100と同一の構造を取ることができる。
【0101】
図14は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーの分解斜視図である。
【0102】
図14に示すように、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーは、絶縁材質の基板1411及び基板1411状に装着され、絶縁被覆された導線を第1方向を中心軸としてらせん状に巻いて形成された少なくとも一つ以上のコイル1412を含むセンサー部で構成される。
【0103】
本発明の少なくとも一つの実施例において、基板1411は、コイル1412の中心軸が電流を測定する対象である電力線と交差する方向において基板1411の第1面(この場合はコイル1412が配置された面)が電力線に近接して装着されるように構成される。
【0104】
図14に示す電流センサーは、基板1411上に装着した回路部1414及び遮蔽ケース1430をさらに含む。
【0105】
本発明の少なくとも一つの実施例において、センサー部は、誘導コイルとして機能するコイル1412で構成され、必要に応じて鉄心コア1413を含むこともできる。
【0106】
図14に示すように、遮蔽ケース1430は、一面に開口部1431を有するボックス型で形成され、内部に外部からの電磁波ノイズが浸透しないように導電性材料で構成される。
【0107】
バスバー1400は、例えば、線路間の電源を接続するもので、図14に示すように遮蔽ケース1430の開口部1431を覆って遮蔽ケース1430と締結される。
【0108】
即ち、遮蔽ケース1430が内部に収容空間を有し、バスバー1400がカバーになる構造で内部を密閉したチャンバーが形成される。このために、遮蔽ケース1430にはバスバー1400との締結のための貫通孔1434を有する締結部1433が形成され、バスバー1400には貫通孔1410が形成される。
【0109】
図14に示す電流センサーのセンサー部は、バスバー1400に電流が流れる際に発生する磁束を誘導電流に変換する機能をし、バスバー1400の磁束を誘導する誘導コイルであるコイル1412で構成される。
【0110】
このような構造により、バスバー1400に交流電流が流れると、バスバー1400の周辺に発生する磁束がコイル1412の内部に流れ、これによるコイル1412の内部の磁束変化はコイル1412に誘導電流または誘導起電力に変換されて出力される。従って、このような誘導電流または誘導起電力を演算することでバスバー1400に流れる電流量を算出することができる。
【0111】
以上のような本発明の構成によれば、バスバー1400の外部から伝わる電磁波ノイズは遮蔽ケース1430によって遮断され、バスバー1400で発生する磁気変化は遮蔽ケース1430の内部で磁束がセンサー部に伝わり、外部ノイズによる影響を最小化することができる。
【0112】
センサー部は、上記のようにコイル1412に誘導される誘導電流によってバスバー1400に流れる電流量を感知するので、誘導電流量が多ければ多いほど感度が高くなる。従って、本発明の少なくとも一つの実施例において、センサー部に含まれるコイル1412を図14に示すように遮蔽ケース1430内に複数個設けることができる。
【0113】
この場合、それぞれのコイル1412で誘導電流が発生するので、これらを並列に接続することで誘導電流量を増加させるか、または直列に接続することで誘導起電力を増加させて感度を向上させることができる。
【0114】
本発明の少なくとも一つの実施例において、遮蔽ケース1430の一方には端子用貫通孔1432が形成され、基板1411の出力端子1415は端子用貫通孔1432を介して突出し、遮蔽ケース1430の内部を密閉するように構成される。
【0115】
図14に示す電流センサーも、図13に示す電流センサーと同様に、センサー部に用いるコイルを基板上に絶縁被覆された導線で形成した以外には図6に示す電流センサー100と同一の構造を取ることができる。
【0116】
以上説明したように、本発明の少なくとも一つの実施例によれば、低電流測定時に高感度を維持しながらノイズの影響を最小化し、センサー自体のサイズを小型化できる電力線装着型電流センサーを提供することができる。
【0117】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0118】
100:電流センサー
110:センサー部
111:基板
112:ビアホール(Via HoLe)
113:線路パターニング
114:センサー出力端子
115:別途の基板(回路部)
116:L字溝
117:導電膜
118:信号出力端子
119:電源供給端子
120:装着部材
130:遮蔽ケース
131:凹部
1311:基板
1312:貫通孔
1313:絶縁被覆導線
1400:バスバー
1411:基板
1412:コイル
1413:鉄心コア
1414:回路部
1430:遮蔽ケース
1431:開口部
1433:締結部
C、C1、C2、C3、C4:コイル
M:磁束
【要約】
【課題】低電流測定時に高感度を維持しながらノイズの影響を最小化し、サイズを小型化できる電力線装着型電流センサーを提供する。
【解決手段】電力線装着型電流センサーは、絶縁層及び導体層を含む基板と、基板の絶縁層と導体層を貫通するように形成され、内壁に導電膜を有する複数のビアホール及び導体層に複数のビアホールを電気的に接続するように形成した線路パターニングで成された少なくとも一つ以上のコイルを含むセンサー部と、を備える。複数のビアホールは、第1方向に並んだ二つの列で形成され、線路パターニングは、並んだ二つの列で形成した複数のビアホールをらせん状に電気的に接続して第1方向を中心軸にコイルを成すように絶縁層の両面の導体層に形成され、基板は、コイルの中心軸が電流を測定する対象である電力線と交差する方向において基板の第1面が電力線に近接して装着されるように構成される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14