(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/18 20120101AFI20240813BHJP
G06F 40/211 20200101ALI20240813BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
G06F40/211
(21)【出願番号】P 2024047395
(22)【出願日】2024-03-24
【審査請求日】2024-04-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518394776
【氏名又は名称】株式会社椿知財サービス
(74)【代理人】
【識別番号】100110788
【氏名又は名称】椿 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100124589
【氏名又は名称】石川 竜郎
(72)【発明者】
【氏名】椿 豊
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/125252(WO,A1)
【文献】特開2023-091529(JP,A)
【文献】特許第7421740(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0317994(US,A1)
【文献】米国特許第11610051(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 40/211
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを使って特許請求の範囲からその構成を示す図面を作成する情報処理装置であって、
特許請求の範囲を入力する入力手段と、
前記入力された特許請求の範囲を大規模言語モデルによって処理させ、前記入力された特許請求の範囲を図示する図面を作成することが可能なコードを取得する取得手段と、
前記取得手段で得られたコードに従って、前記入力された特許請求の範囲を図示するブロック図またはフローチャートを描画する描画手段とを備え、
前記入力された特許請求の範囲に構成要素が含まれるときは、その構成要素をブロックとして描画
し、
前記描画手段は、前記ブロックを複数描画し、処理の流れ、時系列、および信号の流れの少なくとも1つを表現するための矢印をブロック間に記載する、情報処理装置。
【請求項2】
前記描画手段は、前記ブロックの中にそのブロックに属するブロックを描画する、請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
コンピュータを使って特許請求の範囲からその構成を示す図面を作成する情報処理プログラムであって、
特許請求の範囲を入力する入力ステップと、
前記入力された特許請求の範囲を大規模言語モデルによって処理させ、前記入力された特許請求の範囲を図示する図面を作成することが可能なコードを取得する取得ステップと、
前記取得ステップで得られたコードに従って、前記入力された特許請求の範囲を図示するブロック図またはフローチャートを描画する描画ステップとをコンピュータに実行させ、
前記入力された特許請求の範囲に構成要素が含まれるときは、その構成要素をブロックとして描画し、
前記描画ステップは、前記ブロックを複数描画し、処理の流れ、時系列、および信号の流れの少なくとも1つを表現するための矢印をブロック間に記載する、情報処理プログラム。
【請求項4】
コンピュータを使って特許請求の範囲からその構成を示す図面を作成する情報処理方法であって、
特許請求の範囲をコンピュータに入力する入力ステップと、
前記入力された特許請求の範囲をコンピュータの大規模言語モデルによって処理させ、前記入力された特許請求の範囲を図示する図面を作成することが可能なコードを取得する取得ステップと、
前記取得ステップで得られたコードに従って、前記入力された特許請求の範囲を図示するブロック図またはフローチャートをコンピュータによって描画させる描画ステップと含み、
前記入力された特許請求の範囲に構成要素が含まれるときは、その構成要素をブロックとして描画し、
前記描画ステップは、前記ブロックを複数描画し、処理の流れ、時系列、および信号の流れの少なくとも1つを表現するための矢印をブロック間に記載する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許出願において特許請求の範囲は審査対象を定めるものであり、権利化後には権利範囲を定めるものである。両者において、特許請求の範囲に記載された文字情報を元に審査対象や権利範囲は決定される。
【0003】
例えば下記特許文献1には、特許文書の作成にかかる時間を減らせる特許文書作成装置、方法、コンピュータプログラム、コンピュータで読み取り可能な記録媒体、サーバー、およびシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許請求の範囲は一般の人にとって難解である場合が多い。また、特許請求の範囲から審査の対象や権利範囲を定めるのは熟練を要し、経験を積んだ者であっても時間を要する作業である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、コンピュータを使って特許請求の範囲からその構成を示す図面を作成する情報処理装置であって、特許請求の範囲を入力する入力手段と、前記入力された特許請求の範囲を大規模言語モデルによって処理させ、前記入力された特許請求の範囲を図示する図面を作成するための言語で書かれたコードを取得する取得手段と、前記取得手段で得られたコードに従って、前記入力された特許請求の範囲を図示するブロック図またはフローチャートを描画する描画手段とを備え、前記取得手段は、前記入力された特許請求の範囲に構成要素が含まれるときは、その構成要素をブロックとして描画する、情報処理装置を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明のプログラムの一実施形態におけるシステム構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】本実施の形態におけるコンピュータプログラムによって、ある特許請求の範囲の記載からDot言語で書かれたコードを出力し、それに基づいて描画を行った結果を示す図である。
【
図4】本実施の形態におけるコンピュータプログラムによって、ある特許請求の範囲の記載からMermaid言語で書かれたコードを出力し、それに基づいて描画を行った結果を示す図である。
【
図5】本実施の形態におけるコンピュータプログラムによって、ある特許請求の範囲の記載からMermaid言語で書かれたコードを出力し、それに基づいて描画を行った結果を示す図である。
【
図8】本実施の形態におけるコンピュータプログラムによって、ある特許請求の範囲の記載からDot言語で書かれたコードを出力し、それに基づいて描画を行った結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明のプログラムの一実施形態におけるシステム構成を示すブロック図である。
【0009】
本システムは、特許請求の範囲(請求項でもよい)を入力する入力部10、入力された特許請求の範囲をプロンプトとしてLLMに入力、分析し、コードに変換する変換部20、変換されたコードから図面を生成する描画部30、生成された図面を表示する表示部40を備える。このうち、一部の構成は外部コンピュータで実行されてもよい。すなわち本実施の形態の処理は、複数のコンピュータで分散処理されてもよい。
【0010】
特許請求の範囲を入力する入力部10は、特許請求の範囲とともに、画像(または画像を生成するためのコード)を生成するためのプロンプト文を入力することとしてもよい。また入力部10は、入力された特許請求の範囲に、適切なプロンプト文を自動的に付加して、入力された特許請求の範囲をLLMで分析しコードに変換する変換部20に送るようにしてもよい。特許請求の範囲をプロンプトとして入力し、それを変換部20に送信してもよい。
【0011】
変換部20は、図面作成用のコードだけでなく、その図面を説明するための文章を作成してもよい。このようにすることで、その特許請求の範囲をカバーする実施例を自動作成することができる。変換部20は、図面作成用のコードでなく画像データを直接生成してもよい。
【0012】
変換部20は、図面内のブロック(実線や点線で表されたボックス)内に、特許請求の範囲の構成要素名を記載してもよいし、その構成要素の説明も記載してもよい。説明のみを記載してもよい。構成要件以外の説明は、ブロックの外に記載することとしてもよい。ブロック間で要素(有体物や無体物)のやり取りが行われるのであれば、その流れを矢印で表してもよい。矢印の傍にその流れの要素名を記載してもよい。
【0013】
メインの構成要素(例えば装置のハードウェア構成)とサブの構成要素(ハードウェア間をやり取りされる信号など)があれば、メインであるかサブであるかをわかるようにブロックの表現形態を変えてもよい。線種を変えるなどである。種類ごとに構成要素を色分けしてもよい。メインの構成要素としては、ソフトウェアのモジュール、サブの構成要素としてはモジュール間をやり取りされる情報などを描画してもよい。ブロックを入れ子構造とし、ブロックの中にブロックを記載することとしてもよい。ブロック内に説明を書いてもよい。最上位の構成をブロックで表現し、その中に属する構成を、そのブロック内のブロックで図示してもよい。
【0014】
入力された特許請求の範囲が第一の言語で書かれたものであったとき、図面は第二の言語で書かれたものとしてもよい(機械翻訳を行ってもよい)。
【0015】
変換部20は、独立請求項のみ、または請求項1のみを処理することとしてもよいし、従属請求項も処理することとしてもよい。独立請求項と従属請求項を1つのシートに表現してもよい。従属関係がわかるように表現してもよい(例えば従属元から従属先へ向かう、もしくは逆に向かう矢印、または両者を結ぶ線などでブロックを結ぶことで、それぞれのブロックが示す請求項同士の従属関係を表現してもよい)。各請求項をサブグラフとして定義し、それらの間の従属関係を矢印で示してもよい。特許請求の範囲からフローチャートなどの処理を描くのであれば、通常の処理は長方形のブロックで描画し、条件分岐についてはひし形で表現してもよい。装置やシステムの構成や手段を長方形のブロックで表現し、その中で行われる処理をそのブロック内にフローとして表現してもよい。
【0016】
以下、本実施形態による図面作成の手順を説明する。まず、ユーザが入力部10を通じて特許請求の範囲を入力する。インターネットやレポジトリ、データベースなどから自動で入力されてもよい。入力された特許請求の範囲は(プロンプト文として、又は他のプロンプト文と共に)変換部20に送られ、そこでLLMによる言語分析が行われる。LLMは請求項の文章を解析し、発明の構成要素とその関係性を抽出する。次に、抽出された情報は図面作成用のコードに変換される。このコードには、図面の種類、構成要素の配置、接続関係などが定義される。変換部20などは、インターネットなどで接続された外部のコンピュータ等であってもよい。
【0017】
変換部20で生成されたコードは描画部30に渡され、そこで実際の図面が生成される。描画部30はコードに含まれる情報を基に、ブロック図またはフローチャートを描画する。この際、構成要素の配置や接続線の引き方などが自動的に最適化される。また、処理の流れ、時系列、および信号の流れを表現するための矢印が図面に記載される。生成された図面は、ベクターグラフィックス、ビットマップ、JPEG、GIFなどの様々な形式で出力することができる。また、Mermaid記法やDot言語のスクリプトとして出力することも可能である。これにより、生成された図面を他のソフトウェアで利用したり、Webページに埋め込んだりすることが容易になる。
【0018】
生成された図面は表示部40に送られ、ユーザに提示される。ユーザは必要に応じて図面を修正し、最終的な図面を得ることができる。図面の修正は、表示部40に備えられた編集機能を使って行うことができる。例えば、ブロックの位置や大きさの変更、接続線の追加・削除、テキストの編集などが可能である。また、図面の形式を変換したり、他のソフトウェアに出力したりすることもできる。
【0019】
図2は、本実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。まず、特許請求の範囲が入力される(S10)。次に、入力された請求項がLLMで分析され、図面作成用のコードに変換される(S20)。このコードに基づいて、ブロック図またはフローチャートが描画される(S30)。描画の際、図面の形式(ベクターグラフィックス、ビットマップ、JPEG、GIFなど)や出力形式(画像ファイル、Mermaid記法、Dot言語など)が指定される(S35)。また、処理の流れ、時系列、および信号の流れを表現するための矢印が図面に記載される。最後に、生成された図面が表示され(S40)、必要に応じてユーザによる修正が行われる(S50)。
図2には、各処理間の時間的な流れを表す矢印が記載されている。
【0020】
本実施形態によれば、特許請求の範囲から図面を作成する作業を大幅に自動化することが可能となる。これにより、特許出願の準備にかかる時間と手間を大幅に削減できる。また、LLMによる言語分析を用いることで、請求項の記述から発明の構成をより正確に抽出できるようになる。さらに、生成された図面を様々な形式で出力できるため、他のソフトウェアとの連携も容易である。
【0021】
LLMのアルゴリズムや図面生成の手法などは、他の方式に置き換えることも可能である。また、システムの構成も、
図1に示した以外の形態を取ることができる。例えば、入力部10と表示部40を一体化し、ユーザインターフェースを簡略化することもできる。
【0022】
上記説明とは逆に、画像、または画像を記述するコードを入力とし、それをLLMにより特許請求の範囲または実施の形態を説明するための文字データに変換することとしてもよい。
【0023】
本発明を実施するために、コンピュータが用いられる。コンピュータの具体例としては、パーソナルコンピュータ(デスクトップ、ラップトップ)、スマートフォン、タブレット、サーバー、ゲーム機、スマートウォッチ、家電(スマートテレビ、スマート冷蔵庫など)、制御システムなどが挙げられる。ここでは例えばクライアントコンピュータ(クライアント)として、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等が用いられる。クライアントからWEBブラウザを用いてサーバーにアクセスを行い、情報を送信することで、サーバーが情報の処理を行い、処理後の情報(HTML文書、JSON形式データなど)がクライアントに送られ、クライアントのWEBブラウザでその情報が表示される。また、処理は単一のコンピュータ内のみで行われてもよく、外部への情報の送受信がなくてもよい。
【0024】
処理後の情報は、電子メールやメッセンジャーソフトでクライアントに送られて表示されるようにしてもよい。クライアントからサーバーへの情報の送信も、電子メールやメッセンジャーソフトを介して行われるようにしてもよい。
【0025】
サーバーやクライアントは、インターネットに接続される。サーバーは、リクエストを送信してきたクライアントに対してデータを送信する。サーバーもクライアントもコンピュータであり、以下の構成要素を有する。
【0026】
中央処理装置(CPU): プログラム命令の実行やデータの処理を行う。CPUは複数のコアを持ち、それぞれが独立してタスクを処理することができる。
【0027】
メモリ(RAM): コンピュータが実行中のプログラムやデータを一時的に保持するための高速な記憶装置である。CPUが直接アクセスし、データの読み書きを行う。RAMは揮発性メモリであり、電源が切れるとデータが失われる。
【0028】
ストレージデバイス: 長期的なデータストレージを提供するデバイスであり、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などである。これらは、オペレーティングシステム、アプリケーション、ユーザーデータなどを保存する。
【0029】
マザーボード: すべてのハードウェアコンポーネントを接続し、電力供給やデータ通信を行う基板である。マザーボードにはCPUソケット、RAMスロット、拡張スロット、入出力ポートなどが設けられている。
【0030】
グラフィックス処理装置(GPU): グラフィックスや画像処理を行うための専用プロセッサである。GPUは3Dグラフィックスレンダリング、ビデオデコーディング/エンコーディング、機械学習タスクなどに使用される。
【0031】
電源装置(PSU): コンピュータのハードウェアコンポーネントに電力を供給する装置である。PSUは、AC電源をコンピュータが必要とするDC電圧に変換する。
【0032】
クーリングシステム: コンピュータの温度を管理し、オーバーヒートによる損傷を防ぐためのシステムである。クーリングシステムには、ヒートシンク、ファン、液体クーラーなどがある。
【0033】
入力デバイス: キーボード、マウス、タッチパッド、タッチスクリーンなど、ユーザーがコンピュータに情報を入力するためのデバイスである。
【0034】
出力デバイス: モニター、プリンター、スピーカーなど、コンピュータからの情報をユーザーに伝えるためのデバイスである。モニターは画像やテキストを表示し、プリンターはドキュメントを印刷し、スピーカーは音声を出力する。コンピュータからの情報をユーザーに伝えるためには、どの出力デバイスを採用してもよい。
【0035】
ネットワークインターフェイス: イーサネットポートやWi-Fiアダプタなど、コンピュータをネットワークに接続するためのインターフェイスである。これにより、インターネットへのアクセスやローカルネットワーク上のリソースの共有が可能となる。
【0036】
拡張カード: 追加の機能や性能向上を提供するために、マザーボードの拡張スロットに接続されるカードである。グラフィックスカード、サウンドカード、ネットワークカードなどがこれに該当する。
【0037】
光学ドライブ: CD、DVD、Blu-rayディスクなどの光学メディアを読み書きするためのデバイスである。コンピュータでは、光学ドライブが省略されることがある。
【0038】
ケース: コンピュータのハードウェアコンポーネントを保護し、配置するための筐体である。ケースは、ハードウェアへのアクセスや冷却システムをサポートし、コンピュータシステムのデザインや形状にも影響を与える。
【0039】
これらの構成要素は、コンピュータシステム全体を機能させるために互いに連携して動作する。ユーザーがコンピュータを使用する際には、これらのコンポーネントが連携してデータを処理し、タスクを実行し、情報を表示・出力する。
【0040】
以下に、1つのコンピュータを動作させるために重要ないくつかのソフトウェアを列挙し、それぞれの機能と動作を説明する。
【0041】
オペレーティングシステム (OS): コンピュータのハードウェアとソフトウェアリソースを管理し、ユーザーやアプリケーションがそれらにアクセスできるようにする基本的なソフトウェアである。Windows, macOS, Linuxなどが代表的なOSである。
【0042】
デバイスドライバ: コンピュータ内のハードウェアデバイスや周辺機器とオペレーティングシステム間の通信を担当するソフトウェアである。デバイスドライバは、キーボード、マウス、プリンター、グラフィックカードなどのハードウェアを正しく動作させるために必要である。
【0043】
システムソフトウェア: コンピュータの基本的な機能をサポートするソフトウェアで、ファイル管理、システム設定、ディスク管理、ネットワーク接続などを行う。例えば、ファイルエクスプローラーやディスクユーティリティがこれに該当する。
【0044】
セキュリティソフトウェア: コンピュータをセキュリティ上の脅威から保護するソフトウェアである。アンチウイルスソフトウェア、ファイアウォール、マルウェア対策ツールなどが含まれる。
【0045】
ウェブブラウザ: インターネット上のウェブページを表示し、ユーザーがオンライン情報を閲覧・検索できるようにするソフトウェアである。Google Chrome, Mozilla Firefox, Microsoft Edgeなどが代表的なウェブブラウザである。
【0046】
ユーティリティソフト: 文書作成、表計算、プレゼンテーション作成などの生産性向上に関連するタスクを実行するためのソフトウェア群である。本発明を実施するための処理を実行するソフトウェアもこれに該当する。
【0047】
通信ソフトウェア: メールクライアント、インスタントメッセンジャー、ビデオ会議ツールなど、コンピュータ上で通信を行うためのソフトウェアである。
【0048】
マルチメディアソフトウェア: 音声、画像、動画などのマルチメディアコンテンツの再生、編集、制作を行うためのソフトウェアである。
【0049】
バックアップソフトウェア: コンピュータ上のデータを定期的にバックアップし、データ喪失やシステム障害のリスクを軽減するソフトウェアである。
【0050】
開発ツール: プログラミング言語や開発フレームワークを使用して、ソフトウェアやアプリケーションの開発を行うためのツールである。統合開発環境(IDE)やテキストエディタ、バージョン管理システムなどが含まれる。
【0051】
これらのソフトウェアは、コンピュータを動作させるために必要な基本的な機能を提供し、ユーザーが様々なタスクを効率的に実行できるようにサポートする。それぞれのソフトウェアは、特定の目的に応じて設計されており、互いに連携してシステム全体の機能を向上させる。
【0052】
クライアントからのリクエストに応じて、サーバーがデータを返す処理は以下のようなものである。通信のプロトコルにはHTTP、HTTPSなどが用いられる。
【0053】
クライアント(通常はウェブブラウザ)が、URLやHTTPメソッド(GET, POSTなど)を指定してサーバーにHTTPリクエストを送信する。サーバーは、受信したHTTPリクエストを解析し、リクエストの内容に応じて処理を行う。
【0054】
サーバー側で必要なデータやリソースがあれば、サーバーは、データベースやファイルシステムなどからデータを取得する。サーバー側のプログラム(PHP, Python, Rubyなど)は、取得したデータやリソースをもとに処理を行い、結果を生成する。サーバーは、生成した結果(HTML, JSON, XMLなど)をクライアントに返すためのHTTPレスポンスを作成する。この際、ステータスコード(200 OK, 404 Not Foundなど)やヘッダー情報も設定される。サーバーは、作成したHTTPレスポンスを、クライアントに送信する。
【0055】
クライアントは、受信したHTTPレスポンスを解析し、適切な形式で表示や処理を行う。例えば、ウェブブラウザであればHTMLを表示し、JavaScriptであればJSONデータを処理する。
【0056】
これらのプロセスを通じて、クライアントからのHTTPリクエストに応じてサーバーがデータを返す処理が行われる。このようなやり取りを行うプロトコルがHTTP(HyperText Transfer Protocol)であり、ウェブ上で情報をやり取りすることが可能となる。なお前述の通り、クライアントとサーバーの通信にメッセンジャーソフトや電子メールを用いてもよい。
【0057】
なお、WEBブラウザにデータを表示させるのではなく、電子メールやメッセンジャー系のソフトウェアによってクライアント端末にデータを表示させることとしてもよい。
【0058】
本実施の形態では、コンピュータを使用して特許請求の範囲からその構成を示す図面を自動的に作成するコンピュータープログラム、および情報処理装置が提供される。発明の構成を視覚的に表現する図面の作成は重要な作業であるが、手作業では時間と手間がかかるため、本実施の形態におけるコンピュータープログラム、および情報処理装置は、特許請求の範囲を言語処理技術で分析し、自動的に図面を生成することで、この作業を大幅に効率化するものである。
【0059】
プログラムおよび情報処理装置は、大きく2つの手段を備える。第一の手段は、入力された特許請求の範囲を大規模言語モデル(LLM:Large Language Models)で分析し、図面作成用のコードに変換する変換手段である。すなわち、請求項の記述から発明の構成要素とその関係性を抽出するものである。LLMとしては、例えばGPT-3、BERT、XLNet、RoBERTaなどの自然言語処理に特化した深層学習モデルを用いることができる。これらのモデルは大量のテキストデータで事前学習されており、文脈を理解して意味のある情報を抽出する能力に優れている。変換手段では、LLMを用いて特許請求の範囲の文章構造を解析し、主語(主要な構成要素)、述語(要素間の関係性)、目的語(従属する構成要素)などを特定する。そして、これらの情報からコンピュータグラフィックスのためのベクターデータを生成するプログラムコード(例えばSVGコード)を出力する。
【0060】
第二の手段は、変換手段で得られたコードに従って、特許請求の範囲をブロック図またはフローチャートで図示する描画手段である。変換されたコードには、図面の種類(ブロック図かフローチャート)、各構成要素の配置、それらの接続関係などの情報が含まれる(このうち少なくとも一部は含まれなくてもよい)。描画手段はこの情報を基に、特許請求の範囲の内容を適切に表現する図面を自動生成する。この際、処理の流れ、時系列、および信号の流れを表現するための矢印が図面に記載される。描画手段の具体的な実装としては、PythonのMatplotlibやJavaScriptのD3.jsなどの可視化ライブラリを活用することが考えられる。これらのライブラリには、ベクターデータから図形を描画するための豊富な機能が用意されている。
【0061】
以上のように、本実施の形態におけるコンピュータープログラムおよび情報処理装置は、言語処理と図形描画の技術を組み合わせることで、特許請求の範囲から図面を自動生成するものである。変換手段においては、LLMによる高度な自然言語解析により、人手を介さずに請求項の内容を正確に理解し、図面化に必要十分な情報を抽出することができる。また、描画手段においては、コンピュータグラフィックスの技術を応用することで、抽出された情報を基に見やすく分かりやすい図面をプログラムが自律的に作成する。これにより、これまで手作業で行われていた図面作成の作業負担を大幅に軽減し、特許出願業務の効率化に寄与することができる。
【0062】
なお、図面作成用のコードに変換することなく、特許請求の範囲を処理することで、直接にベクターグラフィックス、ビットマップ、JPEG、GIF、SVGなどの様々な形式の画像データを作成することとしてもよい。この場合、LLMによる言語解析の結果を、描画ライブラリやデータ変換ライブラリに直接入力して図面化を行うことになる。例えば、LLMの出力を、SVGやPNGの画像データに変換するプログラムを実装することで、より直接的に図面を生成することができる。
【0063】
また、本発明は特許出願に必要な図面を作成するだけでなく、特許公開公報や特許公報記載の特許請求の範囲を図示するための処理に用いることもできる。すなわち、公開された特許文献をデータベースから取得し、そこに記載された請求項の記述を解析して図面化することで、既存の特許の内容を視覚的に分かりやすく表現することが可能となる。これにより、特許調査や先行技術調査の効率を高めることができると期待される。
(表示の例)
図3は、本実施の形態におけるコンピュータプログラムによって、ある特許請求の範囲の記載からDot言語で書かれたコードを出力し、それに基づいて描画を行った結果を示す図である。
【0064】
ここでは、特許請求の範囲の請求項1の記載内容に基づき、作図を行った結果が表示されている。請求項1には、「 コンピュータを使って特許請求の範囲からその構成を示す図面を作成する情報処理装置であって、
特許請求の範囲を入力する入力手段と、
前記入力された特許請求の範囲を大規模言語モデル(LLM)によって処理させ、前記入力された特許請求の範囲を図示する図面を作成するための言語で書かれたコードを取得する取得手段と、
前記取得手段で得られたコードに従って、前記入力された特許請求の範囲を図示するブロック図またはフローチャートを描画する描画手段とを備え、
前記取得手段は、前記入力された特許請求の範囲に構成要素が含まれるときは、その構成要素をブロックとして描画する、情報処理装置。」
が規定されていたものとする。この請求項の構成要素は、入力手段、取得手段、および描画手段の3つであり、それらがブロックとして図示される。また、各ブロック内にはそのブロックで実行される処理の各ステップが、フローチャートの形態で記載される。また、取得手段については、「前記入力された特許請求の範囲を大規模言語モデル(LLM)によって処理させ、前記入力された特許請求の範囲を図示する図面を作成するための言語で書かれたコードを取得する取得手段」というその構成を示す記載と、「前記取得手段は、前記入力された特許請求の範囲に構成要素が含まれるときは、その構成要素をブロックとして描画する」というその構成の動作、作用などを示す記載とが含まれる。この場合、「取得手段」のブロック内には前者のみについて記載し、後者はそのブロックの外に記載してもよいし、
図3に示されるように両者ともボックスの中に記載してもよい。前者の処理と後者の処理を別のフローチャートとして記載してもよいし、
図3のように1つのフローチャートとして記載してもよい。
【0065】
また、
図3のフローチャート部分のみを記載し、ブロックを描画しなくてもよい。
【0066】
図4は、本実施の形態におけるコンピュータプログラムによって、ある特許請求の範囲の記載からMermaid言語で書かれたコードを出力し、それに基づいて描画を行った結果を示す図である。
【0067】
ここでは
図3の記載に加えて、請求項のプリアンブル部分(「コンピュータを使って特許請求の範囲からその構成を示す図面を作成する情報処理装置であって、」の部分)も図示に含まれている。
【0068】
図5~7は、本実施の形態におけるコンピュータプログラムによって、ある特許請求の範囲の記載からMermaid言語で書かれたコードを出力し、それに基づいて描画を行った結果を示す図である。
図5~7は、見やすさの観点から1つの図を分割したものであり、本来は1つのシートに描かれた図である。
【0069】
ここでは、請求項1~5の請求項を含む特許請求の範囲を解析して図示した結果を示している。それぞれの請求項が最上位概念を示すブロックで示されている。請求項同士の従属関係は矢印で示されている。
【0070】
また、各請求項に含まれる構成要素が、その請求項を示すブロック内にブロックとして記載されている。ここでは構成要素を示すブロック内には、そのブロックの名称のみが記載されるものである。各ブロックの作用、動作などの説明は、そのブロックの近傍(またはそのブロックから出る矢印の付近)に描かれる。構成要素を示すブロック同士の関係は矢印で表される。例えば、ブロックAから信号や情報などがブロックBに送られる場合、ブロックAからブロックBに向かう矢印が表現され、送られる要素(信号や情報など)の名称や説明がその矢印にオーバーラップして、またはその矢印の近くに記載される。
【0071】
図に示されるように1つの請求項内の構成要素を示すブロック同士の関係が矢印で表され、また、異なる請求項内の構成要素を示すブロック同士の関係も矢印で表される。矢印を用いず、線を用いてもよい。線は直線でも曲線でも点線でもよい。
【0072】
また、ブロックから引き出し線を付して、そのブロックの説明を記載してもよい。特許請求の範囲とともに明細書(発明の実施の形態など)についてもLLMにより解析し、請求項に対応する実施の形態の用語、出現する位置(段落番号、ページ、行)などを表示してもよい。請求項内の構成要素に対応する実施の形態の用語、出現する位置(段落番号、ページ、行)などを表示してもよい。これらはその請求項、構成要素のブロック内に記載してもよいし、近傍に記載してもよい。また、図とは別途表形式で表示してもよい。
【0073】
また、請求項のブロックは、請求項1から順に並べて描画してもよいし、図に示されるように関係がわかりやすくするため、レイアウトの理由などの観点で、配列順を自動で決定してもよい。
【0074】
図8、9は、本実施の形態におけるコンピュータプログラムによって、ある特許請求の範囲の記載からDot言語で書かれたコードを出力し、それに基づいて描画を行った結果を示す図である。
図8、9は、見やすさの観点から1つの図を分割したものであり、本来は1つのシートに描かれた図である。
【0075】
ここでは、構成要素の種類に応じて、ブロックの形状を変えることとしている。また、請求項の従属関係を示す矢印は書かなくてもよい(構成要素同士の関係を、請求項を跨いで記載することで、従属関係がわかる場合など)。
(変形例1)
上記実施の形態では、特許請求の範囲から図面を生成する際に、LLMを用いて請求項の文章を解析し、図面作成用のコードを生成する方法を説明した。変形例1では、LLMの代わりに、ルールベースの自然言語処理技術を用いることとする。具体的には、請求項の文章に対して構文解析を行い、その結果得られた構文木から、主要な構成要素とその関係性を抽出するためのルールを定義する。このルールは、特許請求の範囲の記述方法に関する知見に基づいて、予め人手で作成しておくものとする。ルールベースの手法は、LLMと比較して汎用性は劣るものの、特定の文章構造に特化した解析を行うことができるため、請求項の記述に適していると考えられる。
(変形例2)
上記実施の形態では、特許請求の範囲から図面を生成する際に、ブロック図またはフローチャートの形式で表現することとした。変形例2では、これに加えて、回路図やシーケンス図など、他の種類の図面を生成することとする。回路図は、電気・電子回路の構成を表現するための図面であり、特許請求の範囲に回路の構成要素とその接続関係が記載されている場合に適している。一方、シーケンス図は、複数の構成要素間のインタラクションを時系列で表現するための図面であり、通信システムやソフトウェアの動作を請求項で説明している場合に有効である。図面の種類を拡張することで、より多様な技術分野の特許に対応することができる。
(変形例3)
上記実施の形態では、単一の特許請求の範囲から図面を生成することとした。変形例3では、複数の請求項を組み合わせて図面化することとする。特許請求の範囲は、独立請求項と従属請求項から構成されることがある。従属請求項は、独立請求項を引用しつつ、さらに限定を加えるものである。したがって、独立請求項と従属請求項を合わせて解析することで、発明の全体構成を表現する図面を生成することができる。この際、独立請求項から基本的な図面を作成し、従属請求項の内容を追加して図面を詳細化していく方法が考えられる。
【0076】
以上、本発明の変形例について説明した。変形例1では、LLMに代えてルールベースの自然言語処理技術を用いる方法を提案した。変形例2では、生成する図面の種類を拡張することで、様々な技術分野の特許に対応する方法を示した。変形例3では、複数の請求項を組み合わせて図面化する方法を説明した。これらの変形例は、上記実施の形態における図面の自動生成技術をさらに発展させるものであり、特許出願業務の効率化に寄与することが期待される。
【0077】
以下の事項で発明を限定することも可能である。
(限定事項1)
特許請求の範囲を解析する際に、自然言語処理に加えて、発明の属する技術分野に固有の用語や表現パターンを考慮することで、より精度の高い解析を行うこと。これにより、当該技術分野における発明の特徴をより的確に抽出し、図面に反映することができる。
(限定事項2)
図面を生成する際に、発明の構成要素間の関係性を表現するために、単なる矢印ではなく、関係性の種類に応じて異なる形状や色の矢印を使い分けること。例えば、データの流れを示す矢印と、制御の流れを示す矢印を区別することで、発明の動作をより詳細に表現することができる。
(限定事項3)
図面の自動生成において、ユーザーによる修正や調整を可能とするインターフェースを提供すること。具体的には、生成された図面に対して、ユーザーが構成要素の配置を変更したり、新たな要素を追加したりできる機能を備えることとする。これにより、完全な自動生成ではなく、人間の判断を含めた半自動的な図面作成が可能となる。
(限定事項4)
特許請求の範囲に記載された発明の効果を、図面中に文字情報として追加すること。発明の効果は、請求項の記載からは直接的に読み取れないことがあるため、明細書の記載も参照しながら、図面に付記することとする。これにより、発明の技術的意義をより明確に示すことができる。
(限定事項5)
請求項の記載に基づいて生成された図面を、明細書の記載と比較することで、両者の整合性をチェックする機能を備えること。具体的には、図面に含まれる構成要素や関係性が、明細書の記載から逸脱していないかを確認し、逸脱が見られた場合には警告を出力することとする。これにより、特許請求の範囲と明細書の記載の間に矛盾が生じることを防止できる。
(限定事項6)
特許請求の範囲に記載された数値範囲を、図面中に反映すること。例えば、請求項に「温度が50℃から100℃の範囲である」と記載されている場合、図面中の対応する箇所に、この温度範囲を明示することとする。これにより、発明の技術的特徴をより詳細に表現することができる。
【0078】
以上、発明を限定するための事項を6つ提案した。これらの事項は、特許請求の範囲の解析方法、図面の表現方法、ユーザーインターフェース、明細書との整合性チェックなど、様々な観点から発明の技術的特徴を明確化するものである。これらを組み合わせることで、より強固な特許権を取得することができると期待される。
【0079】
以下の発明の構成も可能である。
(具体例1:LLMを用いた請求項の生成)
図面から抽出された発明の構成をテキストデータに変換した後、それをLLMに入力することで、特許請求の範囲の文章を生成することも可能である。LLMとしては、GPT-3やT5などの大規模な言語モデルを用いることができる。これらのモデルは、大量の特許文献データで事前学習することで、特許請求の範囲の文章構造や表現パターンを学習している。したがって、発明の構成を表すテキストデータをLLMに入力すると、それを請求項の形式に従って自動的に言語化することができる。この際、LLMのファインチューニングを行うことで、より適切な文章生成が可能となる。
(具体例2:オントロジーを用いた請求項の生成)
特許請求の範囲の記載には、技術分野ごとに固有の用語や表現方法がある。そこで、あらかじめ各技術分野の知識を体系化したオントロジーを構築しておき、それを用いて請求項を生成する方法がある。オントロジーには、その技術分野における主要な概念や用語、それらの関係性などが記述されている。図面から抽出された発明の構成要素を、このオントロジーにマッピングすることで、適切な用語を選択し、技術分野に即した表現で請求項を記載することができる。また、オントロジーを利用することで、より詳細な発明の限定事項を請求項に追加することも可能となる。
(具体例3:ルールベースの請求項生成)
図面から特許請求の範囲を生成する際の文章構造や表現パターンを、ルールベースで定義する方法がある。例えば、「図面中の要素Aは、請求項の主要素として記載する」「要素Aと要素Bが接続されている場合、『AとBが接続された構成を備える』という表現を用いる」などのルールを予め定義しておく。そして、図面の解析結果に基づいて、これらのルールを適用することで、請求項の文章を生成する。ルールベースの手法は、LLMと比較して柔軟性は劣るが、請求項の記載方法を厳密に制御することができるというメリットがある。
(具体例4:複数の請求項の生成)
図面に含まれる情報量が多い場合、複数の請求項を生成することで、発明の構成を段階的に限定していく方法がある。具体的には、まず図面全体から発明の主要な構成要素を抽出し、それを独立請求項として記載する。次に、図面中の詳細な構成や動作に着目し、それらを限定事項として従属請求項に記載する。この際、独立請求項と従属請求項の関係性を適切に表現するために、「前記」などの表現を用いて、両者を関連付ける。複数の請求項を生成することで、発明の構成を多角的に保護することができる。
(具体例5:図面と明細書の組み合わせによる請求項の生成)
図面に加えて、明細書の記載内容も活用することで、より完成度の高い特許請求の範囲を生成する方法がある。まず、図面から発明の基本的な構成を抽出し、それを請求項の骨子として生成する。次に、明細書中から、図面には表れていない発明の詳細な説明や効果を抽出し、それらを請求項の記載に追加する。明細書の解析には、LLMやルールベースの手法を適用することができる。図面と明細書の情報を組み合わせることで、発明のより本質的な特徴を請求項に盛り込むことが可能となる。
【0080】
以上、図面から特許請求の範囲を自動生成するための具体的な方法を5つ提案した。LLMを活用する方法、オントロジーを用いる方法、ルールベースの方法、複数の請求項を生成する方法、図面と明細書を組み合わせる方法である。これらの方法を適切に選択し、組み合わせることで、より精度の高い特許請求の範囲の自動生成が可能となると考えられる。
【0081】
以下に他の実施の形態の構成についても説明する。
【0082】
本実施の形態では、特許請求の範囲に記載された発明の構成から、その実施の形態を自動的に生成するシステムが提供される。特許明細書における実施の形態は、特許請求の範囲に記載された発明を具体的に説明するための記載事項である。しかしながら、請求項の記載内容を詳細化し、明確かつ十分な説明を加えるためには、高度な知的作業が必要とされる。本実施の形態におけるシステムは、特許請求の範囲の記載を自然言語処理技術で分析し、その結果に基づいて実施の形態の文章を自動生成することで、この作業を大幅に効率化するものである。
【0083】
本システムは、大きく3つの機能ブロックから構成される。第一は、特許請求の範囲を解析し、発明の構成要素とその関係性を抽出する解析部である。第二は、解析結果に基づいて、実施の形態の文章を生成する生成部である。第三は、生成された文章の品質を評価し、必要に応じて修正を加える校正部である。以下、各機能ブロックの詳細を説明する。
(解析部の構成)
解析部には、特許請求の範囲の文章を入力として受け取り、それを言語処理の手法で分析するための複数のモジュールが含まれる。まず、形態素解析モジュールにおいて、請求項の文章を単語単位に分割し、各単語の品詞や変化形を特定する。次に、構文解析モジュールにおいて、単語間の係り受け関係を解析し、文章の構文構造を明らかにする。さらに、意味解析モジュールにおいて、構文構造に基づいて、発明の構成要素とその関係性を抽出する。この際、LLMを用いることで、高度な意味理解が可能となる。
(生成部の構成)
生成部は、解析部で得られた発明の構成に関する情報を、実施の形態の文章に変換するための機能を有する。具体的には、テンプレートベースの生成モジュールと、ニューラルネットワークベースの生成モジュールを組み合わせることで、より自然で可読性の高い文章を生成する。テンプレートベースの生成モジュールでは、予め用意された文章の雛形に、発明の構成要素を当てはめることで、実施の形態の基本的な記載を生成する。一方、ニューラルネットワークベースの生成モジュールでは、LLMを用いて、より詳細かつ柔軟な表現で実施の形態を説明する文章を生成する。両者の出力を適切に組み合わせることで、特許明細書の様式に則った実施の形態の記載が自動的に作成される。
(校正部の構成)
校正部は、生成された実施の形態の文章を評価し、その品質を改善するための機能を有する。具体的には、特許明細書の記載ルールに基づいて、文章の形式的な誤りを指摘する校正モジュールと、発明の技術的内容に基づいて、文章の意味的な誤りを指摘する校正モジュールから構成される。前者では、特許法上の記載要件に適合しているかどうかを判定し、必要に応じて修正を提案する。後者では、発明の構成要素間の関係性が適切に説明されているかどうかを判定し、不明確な点があれば追加の説明を付与する。校正部の機能により、自動生成された実施の形態の文章の品質を高めることができる。
【0084】
以上のように、本実施の形態におけるシステムは、特許請求の範囲の解析、実施の形態の生成、文章の校正という一連の処理を自動化するものである。解析部においては、自然言語処理の各種手法を適用することで、発明の構成に関する情報を詳細に抽出する。生成部においては、テンプレートベースの手法とニューラルネットワークベースの手法を組み合わせることで、特許明細書の様式に適合した説明文を効率的に作成する。校正部においては、特許法上の要件と発明の技術的内容の両面から文章の品質チェックを行うことで、自動生成された文章の完成度を高める。これらの機能ブロックを連携させることで、特許請求の範囲から発明の実施の形態を自動的に生成するためのシステムが実現される。
【0085】
本システムを利用することで、特許明細書の作成業務における人的負荷を大幅に軽減し、特許出願プロセスの効率化を図ることができる。また、発明の技術的内容を過不足なく説明した実施の形態を自動生成することで、特許権の質の向上にも寄与することが期待される。
【0086】
次に、発明の実施の形態から特許請求の範囲を自動生成するコンピュータープログラム、および情報処理装置の構成について詳細に説明する。
【0087】
本実施の形態では、特許明細書に記載された発明の実施の形態から、特許請求の範囲を自動的に生成するシステムが提供される。特許請求の範囲は、特許権の保護範囲を確定するための重要な記載事項であり、発明の構成を必要十分に限定する必要がある。しかしながら、実施の形態の記載から、発明の本質的な特徴を抽出し、適切な請求項を作成するためには、高度な知的作業が必要とされる。本実施の形態におけるシステムは、実施の形態の記載を自然言語処理技術で分析し、その結果に基づいて特許請求の範囲の文章を自動生成することで、この作業を大幅に効率化するものである。
【0088】
本システムは、大きく3つの機能ブロックから構成される。第一は、実施の形態の記載を解析し、発明の構成要素とその関係性を抽出する解析部である。第二は、解析結果に基づいて、特許請求の範囲の文章を生成する生成部である。第三は、生成された文章の品質を評価し、必要に応じて修正を加える校正部である。以下、各機能ブロックの詳細を説明する。
(解析部の構成)
解析部には、実施の形態の文章を入力として受け取り、それを言語処理の手法で分析するための複数のモジュールが含まれる。まず、形態素解析モジュールにおいて、文章を単語単位に分割し、各単語の品詞や変化形を特定する。次に、構文解析モジュールにおいて、単語間の係り受け関係を解析し、文章の構文構造を明らかにする。さらに、意味解析モジュールにおいて、構文構造に基づいて、発明の構成要素とその関係性を抽出する。この際、LLMを用いることで、高度な意味理解が可能となる。また、実施の形態には複数の実施例が記載されていることがあるため、それらを比較分析することで、発明の本質的な特徴を抽出する。
(生成部の構成)
生成部は、解析部で得られた発明の構成に関する情報を、特許請求の範囲の文章に変換するための機能を有する。具体的には、独立請求項を生成するモジュールと、従属請求項を生成するモジュールから構成される。独立請求項の生成では、実施の形態から抽出された発明の必須の構成要素を、所定の様式に従って記載する。この際、LLMを用いて、請求項の文章構造や表現パターンを学習させることで、より自然で適切な文章を生成することができる。一方、従属請求項の生成では、独立請求項の構成に加えて、実施の形態に記載された発明の好ましい構成や作用効果を限定事項として付加する。これにより、発明の構成を段階的に限定した請求項群が自動的に作成される。
(校正部の構成)
校正部は、生成された特許請求の範囲の文章を評価し、その品質を改善するための機能を有する。具体的には、特許法上の記載要件に基づいて、請求項の形式的な誤りを指摘する校正モジュールと、発明の技術的内容に基づいて、請求項の実質的な誤りを指摘する校正モジュールから構成される。前者では、請求項の記載様式が特許法施行規則に適合しているかどうかを判定し、必要に応じて修正を提案する。後者では、請求項の記載内容が実施の形態の記載から逸脱していないかどうかを判定し、不整合があれば修正を提案する。校正部の機能により、自動生成された特許請求の範囲の文章の品質を高めることができる。
【0089】
以上のように、本実施の形態におけるシステムは、発明の実施の形態の解析、特許請求の範囲の生成、文章の校正という一連の処理を自動化するものである。解析部においては、自然言語処理の各種手法を適用することで、発明の構成に関する情報を詳細に抽出する。生成部においては、独立請求項と従属請求項を適切に組み合わせることで、発明の必須の構成と好ましい構成を段階的に限定した請求項群を効率的に作成する。校正部においては、特許法上の要件と発明の技術的内容の両面から文章の品質チェックを行うことで、自動生成された文章の完成度を高める。これらの機能ブロックを連携させることで、発明の実施の形態から特許請求の範囲を自動的に生成するためのシステムが実現される。
【0090】
本システムを利用することで、特許明細書の作成業務における人的負荷を大幅に軽減し、特許出願プロセスの効率化を図ることができる。また、発明の必須の構成と好ましい構成を過不足なく限定した特許請求の範囲を自動生成することで、特許権の質の向上にも寄与することが期待される。
【0091】
さらに、過去の特許公開公報を参考にしてLLMで処理を行う変形例を説明する。
(変形例1:過去の特許公開公報を用いた文章生成モデルの学習)
本変形例では、特許請求の範囲や発明の実施の形態の文章を生成する際に、過去の特許公開公報に記載された文章を学習データとして用いることで、より自然で適切な文章を生成することを目的とする。具体的には、大量の特許公開公報から、特許請求の範囲と発明の実施の形態の対応関係を抽出し、それらを学習データとしてLLMに入力する。LLMは、この学習データから、特許請求の範囲と発明の実施の形態の文章構造や表現パターンを学習する。これにより、特許公開公報に頻出する記載様式に則した文章を生成することができる。また、特定の技術分野に関する特許公開公報を選択的に学習させることで、その技術分野に固有の用語や表現を適切に使用した文章生成が可能となる。
(変形例2:過去の特許公開公報を用いた発明の構成要素の抽出)
本変形例では、発明の実施の形態から特許請求の範囲を生成する際に、過去の特許公開公報から抽出した発明の構成要素の知識を活用することで、より適切な請求項の生成を目指す。具体的には、大量の特許公開公報から、請求項に記載された発明の構成要素とその上位概念・下位概念の関係を抽出し、それらを発明の構成要素のデータベースとして構築する。そして、実施の形態の解析時に、このデータベースを参照することで、発明の構成要素をより的確に抽出する。さらに、請求項の生成時には、抽出された構成要素を上位概念・下位概念の関係に基づいて組み合わせることで、発明の必須の構成と好ましい構成を適切に限定した請求項を作成する。これにより、発明の構成要素の記載が不十分な実施の形態からでも、過去の知見を活用して適切な請求項を生成することができる。
(変形例3:過去の特許公開公報を用いた請求項の記載様式の判定)
本変形例では、特許請求の範囲から発明の実施の形態を生成する際に、過去の特許公開公報から学習した請求項の記載様式の知識を活用することで、より適切な実施の形態の生成を目指す。具体的には、大量の特許公開公報から、請求項の記載様式とその適切性の関係を学習したLLMを用いて、生成された特許請求の範囲の文章の品質を判定する。そして、その判定結果に基づいて、実施の形態の生成時に、請求項の記載様式に適合した説明文を自動的に追加する。例えば、請求項に「~を備える」という表現が用いられている場合、実施の形態にはその構成を具体的に説明する文章を追加する。これにより、特許請求の範囲の記載内容と整合性のある実施の形態を効率的に生成することができる。
【0092】
以上、過去の特許公開公報を活用したLLMによる処理の変形例を3つ提案した。変形例1では、特許公開公報を学習データとして用いることで、より自然で適切な文章生成を可能とする。変形例2では、特許公開公報から発明の構成要素の知識を抽出し、それを請求項の生成に活用する。変形例3では、特許公開公報から請求項の記載様式の知識を学習し、それを実施の形態の生成に活用する。これらの変形例は、いずれも過去の知見を有効活用することで、特許明細書の自動生成の精度向上を図るものである。
【0093】
さらに、LLMを使って特許明細書と特許請求の範囲を出願前にチェックするコンピュータの構成について説明する。
【0094】
本実施の形態では、特許出願の前に、特許明細書と特許請求の範囲の記載内容を自動的にチェックするシステムが提供される。このシステムは、LLMを用いて、明細書と請求項の文章を解析し、その整合性や適切性を評価するものである。これにより、出願前に明細書と請求項の品質を改善し、特許権の成立可能性を高めることを目的とする。
【0095】
本システムは、大きく4つの機能ブロックから構成される。第一は、特許明細書と特許請求の範囲の文章を入力として受け取る入力部である。第二は、入力された文章を解析し、発明の構成要素とその関係性を抽出する解析部である。第三は、解析結果に基づいて、明細書と請求項の整合性や適切性を評価する評価部である。第四は、評価結果をユーザーに提示し、必要に応じて修正を提案する出力部である。以下、各機能ブロックの詳細を説明する。
(入力部の構成)
入力部は、ユーザーが作成した特許明細書と特許請求の範囲の文章を、テキストデータとして受け取るためのインターフェースを提供する。具体的には、ファイルのアップロードや、テキストのコピー&ペーストができる画面を備える。また、明細書と請求項を別々に入力できるようにし、それぞれの文章の区別を容易にする。
(解析部の構成)
解析部は、入力された明細書と請求項の文章を、LLMを用いて解析するための機能を有する。具体的には、形態素解析、構文解析、意味解析の各モジュールを備え、文章の構造や意味内容を詳細に分析する。特に、発明の構成要素とその関係性の抽出に重点を置き、明細書と請求項の対応関係を明らかにする。また、請求項の記載様式が特許法施行規則に適合しているかどうかもチェックする。
(評価部の構成)
評価部は、解析部の結果に基づいて、明細書と請求項の整合性や適切性を評価するための機能を有する。具体的には、以下の観点から評価を行う。
・発明の必須の構成要素が、明細書と請求項の両方に記載されているか
・請求項に記載された構成要素が、明細書において実施可能な程度に説明されているか
・請求項の記載が、明細書の記載によって裏付けられているか
・請求項の記載様式が、特許法施行規則に適合しているか
これらの評価項目について、LLMを用いてスコアリングを行い、明細書と請求項の品質を定量的に判定する。
(出力部の構成)
出力部は、評価部の結果をユーザーに提示し、明細書と請求項の修正を支援するためのインターフェースを提供する。具体的には、評価スコアが低い箇所を可視化し、その理由を説明するコメントを表示する。また、修正が必要な箇所について、LLMを用いて自動的に修正案を生成し、ユーザーに提示する。ユーザーは、これらの情報を参考にしながら、明細書と請求項の記載内容を改善していくことができる。
【0096】
以上のように、本実施の形態におけるシステムは、LLMを用いて特許明細書と特許請求の範囲の記載内容を自動的にチェックするものである。入力部において明細書と請求項の文章を受け取り、解析部においてそれらを詳細に分析する。そして、評価部において明細書と請求項の整合性や適切性を評価し、出力部においてその結果をユーザーに提示する。これらの機能ブロックを連携させることで、特許出願前に明細書と請求項の品質を効率的に改善するためのシステムが実現される。
【0097】
本システムを利用することで、特許出願の準備段階における人的負荷を大幅に軽減し、より質の高い特許出願書類の作成を支援することができる。また、明細書と請求項の整合性や適切性を出願前に確保することで、特許審査における拒絶理由の発生を未然に防ぎ、特許権の成立可能性を高めることが期待される。
【0098】
以下に、入力された特許請求の範囲を参考にして、新規性や進歩性の審査のために、LLMを用いて過去の文献をサーチするコンピュータの構成について説明する。
【0099】
本実施の形態では、特許出願された発明の新規性や進歩性を評価するために、LLMを用いて関連する過去の文献を効率的に検索するシステムが提供される。このシステムは、入力された特許請求の範囲の記載内容を解析し、その発明の特徴を表すキーワードを抽出する。そして、そのキーワードを用いて、過去の特許文献やその他の技術文献をサーチし、発明の新規性や進歩性に関連する文献を特定する。これにより、審査官の先行技術調査の負担を軽減し、審査の質の向上を図ることを目的とする。
【0100】
本システムは、大きく4つの機能ブロックから構成される。第一は、特許請求の範囲の文章を入力として受け取る入力部である。第二は、入力された文章を解析し、発明の特徴を表すキーワードを抽出する解析部である。第三は、抽出されたキーワードを用いて、過去の文献を検索する検索部である。第四は、検索結果をユーザーに提示し、発明の新規性や進歩性を評価するための情報を提供する出力部である。以下、各機能ブロックの詳細を説明する。
(入力部の構成)
入力部は、審査対象となる特許出願の請求項の文章を、テキストデータとして受け取るためのインターフェースを提供する。具体的には、特許出願番号を入力することで、対応する請求項の文章を特許公報データベースから自動的に取得する。また、請求項の文章を直接入力することも可能とする。
(解析部の構成)
解析部は、入力された請求項の文章を、LLMを用いて解析するための機能を有する。具体的には、形態素解析、構文解析、意味解析の各モジュールを備え、文章の構造や意味内容を詳細に分析する。特に、発明の構成要素とその関係性に着目し、その発明の特徴を表すキーワードを抽出する。キーワードの抽出には、請求項の文章だけでなく、明細書の記載内容も考慮する。また、LLMを用いて、抽出されたキーワードの同義語や関連語も生成し、検索の網羅性を高める。
(検索部の構成)
検索部は、解析部で抽出されたキーワードを用いて、過去の特許文献やその他の技術文献を検索するための機能を有する。具体的には、特許公報データベースや学術文献データベースに対して、キーワードを含む文献を検索する。この際、LLMを用いて、キーワードの組み合わせや表現の多様性を考慮することで、関連文献を幅広く収集する。また、検索結果の文献に対して、LLMを用いて内容の要約を生成し、発明との関連性を評価する。これにより、審査官が効率的に先行技術を把握できるようにする。
(出力部の構成)
出力部は、検索部で得られた文献の情報をユーザーに提示し、発明の新規性や進歩性の評価を支援するためのインターフェースを提供する。具体的には、検索結果の文献一覧を表示し、各文献の要約や発明との関連性のスコアを示す。また、文献中の発明の構成要素に相当する箇所をハイライトし、請求項の記載と対比できるようにする。さらに、LLMを用いて、発明の新規性や進歩性に関する所見を自動生成し、審査官の判断を支援する。審査官は、これらの情報を参考にしながら、先行技術調査の結果を取りまとめることができる。
【0101】
以上のように、本実施の形態におけるシステムは、LLMを用いて特許請求の範囲の記載内容を解析し、関連する過去の文献を効率的に検索するものである。入力部において請求項の文章を受け取り、解析部においてその発明の特徴を表すキーワードを抽出する。そして、検索部においてキーワードを用いて関連文献を検索し、出力部においてその結果をユーザーに提示する。これらの機能ブロックを連携させることで、特許審査における先行技術調査を支援するためのシステムが実現される。
【0102】
本システムを利用することで、審査官の先行技術調査の負担を大幅に軽減し、審査の効率化と質の向上を図ることができる。また、発明の新規性や進歩性に関する客観的な情報を提供することで、審査の公平性や一貫性の確保にも寄与することが期待される。
【0103】
以下に、特許請求の範囲に記載された発明が先行文献に対して新規性、進歩性を有するものであるかを審査するLLMを用いたコンピュータの構成について説明する。
【0104】
本実施の形態では、特許出願された発明の新規性や進歩性を、先行文献との比較に基づいて自動的に評価するシステムが提供される。このシステムは、LLMを用いて、特許請求の範囲に記載された発明の構成と、先行文献に記載された発明の構成を解析し、それらの差異を特定することで、新規性や進歩性の有無を判定するものである。これにより、審査官の判断を支援し、審査の効率化と質の向上を図ることを目的とする。
【0105】
本システムは、大きく5つの機能ブロックから構成される。第一は、特許請求の範囲と先行文献の文章を入力として受け取る入力部である。第二は、入力された文章を解析し、発明の構成要素とその関係性を抽出する解析部である。第三は、特許請求の範囲と先行文献の発明の構成を比較し、その差異を特定する比較部である。第四は、特定された差異に基づいて、新規性や進歩性の有無を評価する評価部である。第五は、評価結果をユーザーに提示し、審査官の判断を支援する出力部である。以下、各機能ブロックの詳細を説明する。
(入力部の構成)
入力部は、審査対象となる特許出願の請求項の文章と、関連する先行文献の文章を、テキストデータとして受け取るためのインターフェースを提供する。具体的には、特許出願番号と、先行文献の文献番号やURLを入力することで、それぞれの文章を特許公報データベースや文献データベースから自動的に取得する。
(解析部の構成)
解析部は、入力された請求項と先行文献の文章を、LLMを用いて解析するための機能を有する。具体的には、形態素解析、構文解析、意味解析の各モジュールを備え、文章の構造や意味内容を詳細に分析する。特に、発明の構成要素とその関係性に着目し、それらを統一的な形式で表現する。これにより、請求項と先行文献の発明の構成を、共通の基準で比較できるようにする。
(比較部の構成)
比較部は、解析部で抽出された請求項と先行文献の発明の構成を比較し、その差異を特定するための機能を有する。具体的には、LLMを用いて、請求項に記載された構成要素が、先行文献にも記載されているかどうかを判定する。また、構成要素間の関係性や、構成要素の具体的な内容についても比較し、請求項の発明が先行文献の発明と同一であるか、または先行文献の発明から容易に想到できるものであるかを評価する。
(評価部の構成)
評価部は、比較部で特定された差異に基づいて、請求項の発明の新規性や進歩性の有無を評価するための機能を有する。具体的には、請求項の発明が、先行文献の発明と比べて新たな構成要素を含んでいる場合、または既知の構成要素を組み合わせているが、その組み合わせが容易に想到できるものでない場合には、新規性や進歩性があると判定する。一方、請求項の発明が、先行文献の発明と同一である場合、または先行文献の発明から容易に想到できる場合には、新規性や進歩性がないと判定する。この判定には、LLMを用いて、当業者の技術常識も考慮する。
(出力部の構成)
出力部は、評価部の結果をユーザーに提示し、審査官の判断を支援するためのインターフェースを提供する。具体的には、請求項の発明と先行文献の発明の対比表を表示し、それぞれの構成要素の異同を明示する。また、新規性や進歩性の有無についての評価結果を、根拠となる先行文献の情報とともに示す。さらに、LLMを用いて、評価結果に関する説明文を自動生成し、審査官の理解を助ける。審査官は、これらの情報を参考にしながら、最終的な判断を下すことができる。
【0106】
以上のように、本実施の形態におけるシステムは、LLMを用いて特許請求の範囲と先行文献の記載内容を解析し、発明の新規性や進歩性を自動的に評価するものである。入力部において請求項と先行文献の文章を受け取り、解析部においてそれらの発明の構成を抽出する。そして、比較部において両者の差異を特定し、評価部においてその差異に基づいて新規性や進歩性の有無を判定する。最後に、出力部において評価結果をユーザーに提示する。これらの機能ブロックを連携させることで、特許審査における発明の特許性の判断を支援するためのシステムが実現される。
【0107】
本システムを利用することで、審査官の業務負担を大幅に軽減し、審査の効率化と質の向上を図ることができる。また、発明の新規性や進歩性の判断根拠を明確に示すことで、出願人に対する説明責任を果たすことにも寄与することが期待される。ただし、本システムはあくまでも審査官の判断を支援するためのツールであり、最終的な特許性の判断は、審査官の専門的知識と経験に基づいて行われるべきものであることに留意する必要がある。
【0108】
上記説明した本実施の形態において、コンピュータを使用して、発明の構成を示す図面から特許請求の範囲を自動的に作成するコンピュータープログラム、および情報処理装置が提供される。特許出願において、特許請求の範囲は、発明の技術的範囲を特定するための重要な記載事項である。しかしながら、図面の内容を言語化して適切な請求項を作成するためには、高度な知的作業が必要とされる。本実施の形態におけるコンピュータープログラム、および情報処理装置は、図面に含まれる情報を自然言語処理技術および画像認識技術を用いて解析し、その結果に基づいて特許請求の範囲を自動生成することで、この作業を大幅に効率化するものである。
【0109】
プログラムおよび情報処理装置は、大きく2つの手段を備える。第一の手段は、入力された図面をコンピュータビジョンのアルゴリズムで分析し、図面に含まれる構成要素とその関係性を抽出する解析手段である。解析手段では、物体検出、セグメンテーション、OCRなどの画像認識技術を用いて、図面中の各要素を特定し、それらのラベルを取得する。さらに、要素間の接続関係を示す線や矢印を認識することで、要素間の関係性を把握する。これにより、図面に表現された発明の構成を、コンピュータが理解可能な形式で抽出することができる。
【0110】
第二の手段は、解析手段で得られた発明の構成に関する情報を、特許請求の範囲の様式に従ってテキスト化する変換手段である。変換手段では、図面から抽出された構成要素を、請求項の主要素として記載する。また、構成要素間の関係性を、「~を備える」「~と接続される」などの表現を用いて言語化する。この際、請求項の記載方法に関する文法的ルールや、技術分野ごとの用語の使い方などを考慮することで、適切な文章を生成する。変換手段の出力は、特許請求の範囲の様式を満たすテキストデータとなる。
【0111】
以上のように、本実施の形態におけるコンピュータープログラムおよび情報処理装置は、図面の画像解析と自然言語生成の技術を組み合わせることで、図面から特許請求の範囲を自動作成するものである。解析手段においては、コンピュータビジョンアルゴリズムを用いることで、図面に描かれた発明の構成を正確に認識し、コンピュータが処理可能な形式で表現することができる。また、変換手段においては、抽出された発明の構成を言語化するためのルールを実装することで、特許請求の範囲の様式に適合したテキストを自動生成することができる。これにより、図面の内容を言語化する作業負担を大幅に軽減し、特許出願業務の効率化に寄与することができる。
【0112】
なお上述の説明において、図面の種類は、ブロック図やフローチャートに限らず、回路図や構造図など、発明の構成を表現する様々な図面に適用することができる。また、特許出願時の図面だけでなく、特許文献に掲載された図面を解析し、それに対応する特許請求の範囲を生成することも可能である。これにより、既存の特許の権利範囲を分析するための補助ツールとしても活用することができる。
【0113】
次に、特許請求の範囲に記載された構成と、それに対応する図面の要素とを対応付けて表示するマルチモーダルな実施例について説明する。
【0114】
本実施の形態では、特許明細書の理解を助けるために、特許請求の範囲に記載された発明の構成と、それに対応する図面の要素とを視覚的に対応付けて表示するシステムが提供される。このシステムは、LLMを用いて、請求項の文章と図面のイメージを解析し、両者の対応関係を特定することで、発明の構成をわかりやすく可視化するものである。これにより、特許明細書の内容を直感的に把握することができ、審査官や一般ユーザーの利便性の向上を図ることを目的とする。
【0115】
本システムは、大きく4つの機能ブロックから構成される。第一は、特許請求の範囲の文章と図面のイメージを入力として受け取る入力部である。第二は、入力された文章と図面を解析し、発明の構成要素とその関係性を抽出する解析部である。第三は、請求項の構成要素と図面の要素とを対応付ける対応付け部である。第四は、対応付けの結果を視覚的に提示する出力部である。以下、各機能ブロックの詳細を説明する。
(入力部の構成)
入力部は、特許明細書から特許請求の範囲の文章と図面のイメージを抽出し、それぞれをテキストデータと画像データとして受け取るためのインターフェースを提供する。具体的には、特許公報の文書ファイルやPDFファイルを入力することで、請求項の文章と図面を自動的に抽出する。また、請求項の文章と図面を別々にアップロードすることも可能とする。画像はベクターデータでもラスタデータでもよい。
(解析部の構成)
解析部は、入力された請求項の文章と図面のイメージを、LLMを用いて解析するための機能を有する。具体的には、請求項の文章に対しては、形態素解析、構文解析、意味解析の各モジュールを適用し、発明の構成要素とその関係性を抽出する。一方、図面のイメージに対しては、物体検出、セグメンテーション、OCRなどの画像認識技術を適用し、図面中の各要素を特定するとともに、それらのラベルを取得する。これにより、請求項と図面のそれぞれから、発明の構成に関する情報を抽出する。
(対応付け部の構成)
対応付け部は、解析部で抽出された請求項の構成要素と図面の要素とを対応付けるための機能を有する。具体的には、LLMを用いて、請求項の構成要素を表す単語やフレーズと、図面の要素のラベルとの意味的な類似性を評価する。そして、類似性が高い組み合わせを、対応する要素として特定する。また、請求項中の構成要素の関係性と、図面中の要素の位置関係とを比較することで、対応付けの精度を高める。これにより、請求項の文章と図面の間の対応関係を自動的に特定する。
(出力部の構成)
出力部は、対応付け部の結果を視覚的に提示するためのインターフェースを提供する。具体的には、請求項の文章と図面を並べて表示し、対応する構成要素と図面要素との間に線を引くことで、それらの対応関係を明示する。また、請求項の文章中の構成要素と、図面中の対応する要素とを、同じ色で強調表示することで、視覚的な対応付けを直感的に理解できるようにする。ユーザーは、これらの表示を通じて、特許請求の範囲に記載された発明の構成と、図面に示された具体的な実施形態との関係を容易に把握することができる。
【0116】
以上のように、本実施の形態におけるシステムは、LLMを用いて特許請求の範囲の文章と図面のイメージを解析し、両者の対応関係を視覚的に提示するものである。入力部において請求項の文章と図面を受け取り、解析部においてそれぞれの構成要素を抽出する。そして、対応付け部において請求項の構成要素と図面の要素とを対応付け、出力部においてその結果を視覚的に提示する。これらの機能ブロックを連携させることで、特許明細書の内容を直感的に理解するためのマルチモーダルなシステムが実現される。
【0117】
本システムを利用することで、特許明細書の記載内容をより簡単に把握することができ、審査官による審査の効率化や、一般ユーザーによる特許情報の活用の促進が期待される。また、請求項と図面の対応関係を明確に示すことで、発明の技術的範囲を正確に理解することにも寄与すると考えられる。ただし、本システムによる対応付けはあくまでも自動的な処理の結果であり、最終的な判断は、特許明細書の記載全体を考慮して、人間が行う必要があることに留意すべきである。
【0118】
以下に、特許請求の範囲の各構成要素と、それが記載されている発明の実施の形態の記載箇所とを対応付けるコンピュータの構成について説明する。
【0119】
本実施の形態では、特許明細書の理解を助けるために、特許請求の範囲に記載された発明の構成要素と、それに対応する発明の実施の形態の記載箇所とを自動的に対応付けて提示するシステムが提供される。このシステムは、LLMを用いて、請求項の文章と発明の実施の形態の文章を解析し、両者の対応関係を特定することで、発明の構成に関する記載を関連付けて示すものである。これにより、特許請求の範囲の記載内容を、発明の実施の形態の具体的な説明と照らし合わせて理解することができ、特許明細書の内容をより深く把握することが可能となる。
【0120】
本システムは、大きく4つの機能ブロックから構成される。第一は、特許請求の範囲と発明の実施の形態の文章を入力として受け取る入力部である。第二は、入力された文章を解析し、発明の構成要素とその関係性を抽出する解析部である。第三は、請求項の構成要素と実施の形態の記載箇所とを対応付ける対応付け部である。第四は、対応付けの結果をユーザーに提示する出力部である。以下、各機能ブロックの詳細を説明する。
(入力部の構成)
入力部は、特許明細書から特許請求の範囲と発明の実施の形態の文章を抽出し、それぞれをテキストデータとして受け取るためのインターフェースを提供する。具体的には、特許公報の文書ファイルやPDFファイルを入力することで、請求項と実施の形態の文章を自動的に抽出する。また、請求項と実施の形態の文章を別々にアップロードすることも可能とする。
(解析部の構成)
解析部は、入力された請求項と実施の形態の文章を、LLMを用いて解析するための機能を有する。具体的には、形態素解析、構文解析、意味解析の各モジュールを適用し、文章の構造や意味内容を詳細に分析する。特に、請求項については、発明の構成要素とその関係性に着目し、それらを統一的な形式で表現する。一方、実施の形態については、発明の構成要素がどのように具体的に実現されているかに着目し、その記載箇所を特定する。これにより、請求項と実施の形態のそれぞれから、発明の構成に関する情報を抽出する。
(対応付け部の構成)
対応付け部は、解析部で抽出された請求項の構成要素と、実施の形態の記載箇所とを対応付けるための機能を有する。具体的には、LLMを用いて、請求項の構成要素を表す単語やフレーズと、実施の形態の記載内容との意味的な類似性を評価する。そして、類似性が高い組み合わせを、対応する要素と記載箇所として特定する。また、請求項中の構成要素の関係性と、実施の形態における記載の前後関係とを比較することで、対応付けの精度を高める。これにより、請求項の各構成要素と、それが具体的に説明されている実施の形態の記載箇所とを自動的に対応付ける。
(出力部の構成)
出力部は、対応付け部の結果をユーザーに提示するためのインターフェースを提供する。具体的には、特許請求の範囲と発明の実施の形態の文章を並べて表示し、請求項の各構成要素と対応する実施の形態の記載箇所との間にリンクを設定する。ユーザーが請求項の構成要素をクリックすると、対応する実施の形態の記載箇所にジャンプするようにし、その逆も可能とする。また、請求項の構成要素と対応する実施の形態の記載箇所とを、同じ色で強調表示することで、視覚的な対応関係を直感的に理解できるようにする。ユーザーは、これらの機能を通じて、特許請求の範囲に記載された発明の構成と、その具体的な実施形態との関係を容易に把握することができる。
【0121】
以上のように、本実施の形態におけるシステムは、LLMを用いて特許請求の範囲と発明の実施の形態の文章を解析し、両者の対応関係を提示するものである。入力部において請求項と実施の形態の文章を受け取り、解析部においてそれぞれの構成要素や記載内容を抽出する。そして、対応付け部において請求項の構成要素と実施の形態の記載箇所とを対応付け、出力部においてその結果をユーザーに提示する。これらの機能ブロックを連携させることで、特許明細書の内容をより深く理解するためのシステムが実現される。
【0122】
本システムを利用することで、特許請求の範囲に記載された発明の構成を、発明の実施の形態の具体的な説明と関連付けて理解することができ、特許明細書の記載内容を的確に把握することが可能となる。これは、特許権の技術的範囲を正確に解釈する上で重要であり、特許情報の活用や特許審査の効率化に寄与することが期待される。ただし、本システムによる対応付けはあくまでも自動的な処理の結果であり、最終的な判断は、特許明細書の記載全体を考慮して、人間が行う必要があることに留意すべきである。
【0123】
以下に、特許出願に対して拒絶理由通知が発行された場合に、それに対して意見書と補正書を作成するシステムについて説明する。
【0124】
本実施の形態では、特許出願に対して拒絶理由通知が発行された場合に、その拒絶理由を解析し、それに応じた意見書と補正書を半自動的に作成するシステムが提供される。このシステムは、LLMを用いて、拒絶理由通知の内容を理解し、それに対する反論の論理を構築するとともに、必要な補正案を生成するものである。これにより、出願人や代理人の応答作業を支援し、効率的かつ効果的な特許権の取得を可能とすることを目的とする。
【0125】
本システムは、大きく5つの機能ブロックから構成される。第一は、拒絶理由通知の内容を入力として受け取る入力部である。第二は、入力された拒絶理由通知の内容を解析し、拒絶の根拠となる先行技術や法令の条項を特定する解析部である。第三は、拒絶理由に対する反論の論理を構築し、意見書の内容を生成する意見書生成部である。第四は、拒絶理由を解消するための補正案を生成する補正書生成部である。第五は、生成された意見書と補正書の内容をユーザーに提示し、必要に応じて修正を加えるための出力部である。以下、各機能ブロックの詳細を説明する。
(入力部の構成)
入力部は、特許庁から発行された拒絶理由通知の内容を、テキストデータとして受け取るためのインターフェースを提供する。具体的には、拒絶理由通知の文書ファイルやPDFファイルをアップロードすることで、その内容を自動的に抽出する。また、拒絶理由通知に引用されている先行技術文献の情報も、あわせて入力することが可能である。
(解析部の構成)
解析部は、入力された拒絶理由通知の内容を、LLMを用いて解析するための機能を有する。具体的には、形態素解析、構文解析、意味解析の各モジュールを適用し、拒絶理由通知の文章構造を分析する。そして、拒絶の根拠となる先行技術文献の特定部分や、特許法等の法令の条項を抽出する。また、拒絶理由通知において指摘された発明の構成要素と、先行技術に記載された構成要素とを比較し、それらの一致点と相違点を明らかにする。これにより、拒絶理由の内容を、コンピュータで処理可能な形式で整理する。
(意見書生成部の構成)
意見書生成部は、解析部で整理された拒絶理由の内容に基づいて、それに対する反論の論理を構築し、意見書の内容を生成するための機能を有する。具体的には、LLMを用いて、発明の構成要素と先行技術の構成要素との相違点に着目し、発明の新規性や進歩性を主張するための論理を組み立てる。また、拒絶理由通知で引用された法令の条項の解釈を分析し、それが本発明に適用されるべきではない理由を論じる。これらの論理を、意見書の様式に従って文章化することで、拒絶理由に対する反論を提示する。
(補正書生成部の構成)
補正書生成部は、解析部で整理された拒絶理由の内容に基づいて、それを解消するための補正案を生成するための機能を有する。具体的には、LLMを用いて、拒絶理由通知で指摘された発明の構成要素の不備や、先行技術との相違点が不明確な部分を特定し、それらを明確化するための補正案を提示する。また、発明の構成要素を限定することで、先行技術との差異を際立たせるような補正案も生成する。これらの補正案を、特許請求の範囲や明細書の記載に反映することで、拒絶理由を解消するための補正書を作成する。
(出力部の構成)
出力部は、意見書生成部と補正書生成部で生成された意見書と補正書の内容を、ユーザーに提示するためのインターフェースを提供する。具体的には、生成された意見書と補正書の文章を画面に表示し、ユーザーがそれらの内容を確認できるようにする。また、ユーザーが必要に応じて修正を加えられるように、編集機能も提供する。さらに、意見書と補正書の記載内容が、特許法等の法令の要件を満たしているかをチェックする機能も備え、ユーザーに不備がある箇所を通知する。ユーザーは、これらの機能を通じて、システムが生成した意見書と補正書の内容を精査し、最終的な提出物を完成させることができる。
【0126】
以上のように、本実施の形態におけるシステムは、LLMを用いて拒絶理由通知の内容を解析し、それに対する意見書と補正書を半自動的に作成するものである。入力部において拒絶理由通知の内容を受け取り、解析部においてその拒絶理由を整理する。そして、意見書生成部と補正書生成部において、拒絶理由に対する反論の論理と補正案を生成し、出力部においてその結果をユーザーに提示する。これらの機能ブロックを連携させることで、特許出願の拒絶理由対応を効率化するためのシステムが実現される。
【0127】
本システムを利用することで、拒絶理由通知への応答に要する時間と労力を大幅に削減することができ、特許権の取得をより迅速かつ確実なものとすることが可能となる。また、LLMを活用することで、従来は人間の専門知識に依存していた拒絶理由対応の作業を、一定の品質を保ちながら自動化することができる。ただし、本システムによる意見書と補正書の生成はあくまでも補助的なものであり、最終的な判断は、特許法等の法令の解釈や、発明の技術的意義を踏まえて、人間が行う必要があることに留意すべきである。
(その他の構成)
大規模言語モデル(LLM)を用いた特許請求の範囲の処理装置は、入力された特許請求の範囲の文章を、LLMを用いて解析する。LLMとしては、GPT-3、BERT、XLNet、RoBERTaなどの自然言語処理に特化した深層学習モデルを用いる。LLMによって、特許請求の範囲の文章構造を解析し、主語(主要な構成要素)、述語(要素間の関係性)、目的語(従属する構成要素)などを特定する。
【0128】
図面化のためのコード生成として、LLMによる解析の結果、特定された構成要素や関係性の情報から、コンピュータグラフィックスのためのベクターデータを生成するプログラムコード(例: SVGコード)を出力する。生成されるコードには、図面の種類(ブロック図 or フローチャート)、各構成要素の配置、それらの接続関係などの情報が含まれる。
【0129】
コードに基づく図面の描画として、生成されたコード(SVGなど)を基に、特許請求の範囲の内容を適切に表現する図面を自動生成する。図面の描画には、PythonのMatplotlibやJavaScriptのD3.jsなどの可視化ライブラリを用いる。描画の際、処理の流れ、時系列、信号の流れを表現するための矢印を図面に自動的に付加する。構成要素をブロックとして描画し、入れ子構造(ブロック内のブロック)も表現可能。
【0130】
1. LLMを用いた特許請求の範囲の解析
- 入力された特許請求の範囲の文章に対し、形態素解析、構文解析、意味解析を順次適用。
- 形態素解析では、文章を単語単位に分割し、各単語の品詞や変化形を特定。
- 構文解析では、単語間の係り受け関係を解析し、文章の構文木を生成。
- 意味解析では、構文木を基に、主語、述語、目的語などの意味役割を特定。
- LLMは、大量の特許文献で事前学習済みのモデルを使用。文章の意味理解に特化。
- LLMへの入力は、特許請求の範囲の文章をトークン化したものを使用。
- LLMの出力は、各単語の意味役割や、単語間の関係性を表すベクトル表現。
- これらのベクトル表現から、発明の構成要素とその関係性を抽出。
【0131】
2. 図面化のためのコード生成アルゴリズム
- LLMによる解析結果から、図面化に必要な情報を抽出。
- 抽出する情報は、構成要素の名称、それらの関係性、重要度など。
- これらの情報を基に、SVGのコードを生成。
- コード生成は、予め用意したテンプレートに、抽出した情報を当てはめる形で実行。
- テンプレートは、図面の種類(ブロック図、フローチャートなど)ごとに用意。
- 構成要素をSVGの矩形要素に、関係性を線や矢印の要素に変換。
- 要素の配置は、重要度に基づいて自動的に決定。
- 関係性の表現には、矢印の種類(実線、点線など)や色を使い分ける。
【0132】
3. 図面描画のアルゴリズム
- 生成されたSVGコードを、描画ライブラリに渡して図面を生成。
- 描画ライブラリとしては、PythonのMatplotlibやJavaScriptのD3.jsを使用。
- これらのライブラリは、SVGコードを解釈し、グラフィックスを生成する機能を持つ。
- 描画の際、構成要素の配置や、線・矢印の経路計算などを自動的に最適化。
- ブロック内のブロックの描画は、再帰的なアルゴリズムで実現。
- 複数の請求項を扱う場合は、それぞれの請求項を独立した図面として生成した上で、それらの関係性を示す全体図を生成。
【0133】
LLMによる自然言語処理と、SVGによるベクターグラフィックスの生成を組み合わせることで、特許請求の範囲から図面を自動生成するプロセスを実現する。
【0134】
上述のように特許請求の範囲を処理して図面を作成してもよいし、発明の実施の形態や実施例を処理して図面を作成してもよい。図面から特許請求の範囲、発明の実施の形態、実施例を作成してもよい。
【0135】
本実施の形態における処理やフローは、複数のソフトウェアにより実行されてもよい。
【0136】
上述の実施の形態、およびそれに含まれる要素(一部の構成、一部の処理)を組み合わせたり、入替えたりすることで新たな別の実施の形態とすることもできる。
【0137】
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアにより行っても、ハードウェア回路を用いて行ってもよい。また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD-ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザーに提供することにしてもよい。プログラムは、CPUなどのコンピューターにより実行される。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
【0138】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【要約】
【課題】特許請求の範囲は一般の人にとって難解である場合が多い。
【解決手段】コンピュータを使って特許請求の範囲からその構成を示す図面を作成する情報処理装置は、特許請求の範囲を入力する入力手段と、入力された特許請求の範囲を大規模言語モデルによって処理させ、入力された特許請求の範囲を図示する図面を作成するための言語で書かれたコードを取得する取得手段と、取得手段で得られたコードに従って、入力された特許請求の範囲を図示するブロック図またはフローチャートを描画する描画手段とを備え、取得手段は、入力された特許請求の範囲に構成要素が含まれるときは、その構成要素をブロックとして描画する。
【選択図】
図8