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  • 特許-ロータリー耕うん装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】ロータリー耕うん装置
(51)【国際特許分類】
   A01B 33/16 20060101AFI20240813BHJP
   A01B 33/10 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
A01B33/16
A01B33/10 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024085284
(22)【出願日】2024-05-27
【審査請求日】2024-05-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524199925
【氏名又は名称】安羅岡 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179811
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】安羅岡 信一
【審査官】小林 直暉
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-009605(JP,A)
【文献】実開昭62-091904(JP,U)
【文献】特開平6-153603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転する回転刃を備えたロータリーと、
耕す深さを安定させる耕深安定機具と
を有し、
前記耕深安定機具は、前記ロータリーの両端側にそれぞれ設置され、下方に向かって延伸した2つの固定具と、前記固定具の先端に取り付けられ、前記ロータリーが地面を耕している状態において、ロータリー耕うん装置の進行方向下方に向かって傾斜した刃面を備えた刃部とを有し、
前記ロータリーが地面を耕している際において、前記刃部の進行方向先端が前記回転刃の回転円よりも進行方向側にあり、
前記耕深安定機具のロータリー耕うん装置の幅方向におけるA-A’縦断面における、前記刃面と前記固定具との角度θ は、95~130°である
ロータリー耕うん装置。
【請求項2】
前記ロータリーが地面を耕している際において、前記刃部の進行方向先端が前記回転刃の回転円よりも地面側にある
請求項1に記載のロータリー耕うん装置。
【請求項3】
前記ロータリーの側面側から平面視した場合において、前記刃面と前記固定具との角度θは、95~130°である
請求項1に記載のロータリー耕うん装置。
【請求項4】
前記刃部の最大長さLは、70~180mmである
請求項1に記載のロータリー耕うん装置。
【請求項5】
前記刃部の最大幅Wは、20~80mmである
請求項1に記載のロータリー耕うん装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリー耕うん装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、土地を耕すための種々の耕うん装置が開発されてきている。例えば、ロータリー耕うん装置では、トラクターの後部に当該装置を装着して、ロータリーの回転刃を回転させることで土地を耕すよう構成されている。このようなロータリー耕うん装置は、一般的に自重でロータリーを土地に押しつけて耕すため、牽引するトラクターの速度によって、耕す深さ(以下、単に耕深ともいう)にばらつきが生じるという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するために、例えば、地面の凹凸を検知するリアカバーセンサーと耕深目標値を設定する耕深設定ダイヤルと車速を検出するための走行速度検知センサーと耕耘装置と該検知の出力をフィードバックし、耕深設定手段で設定した目標深さとなるよう昇降機構を制御するコントローラを有したトラクターにおいて、該耕耘装置であるリフトアームの昇降を、車速が設定速度A以下では不感帯は狭く一定幅とし、設定速度B以上では不感帯は広く一定幅とし、設定速度Aと設定速度Bの間では該車速に応じて変更するロータリー耕うん装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-320251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のようなロータリー耕うん装置は、耕深を制御することは可能であっても、制御が複雑で、装置自体が高価となるといった問題があった。また、装置そのものも複雑な構造となり、整備が煩雑となる問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、複雑な制御や複雑な構造を必要とせず、耕深のばらつきを抑制することが可能なロータリー耕うん装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の回転する回転刃を備えたロータリーと、
耕す深さを安定させる耕深安定機具と
を有し、
前記耕深安定機具は、前記ロータリーの両端側にそれぞれ設置され、下方に向かって延伸した2つの固定具と、前記固定具の先端に取り付けられ、前記ロータリーが地面を耕している状態において、ロータリー耕うん装置の進行方向下方に向かって傾斜した刃面を備えた刃部とを有し、
前記ロータリーが地面を耕している際において、前記刃部の進行方向先端が前記回転刃の回転円よりも進行方向側にあり、
前記耕深安定機具のロータリー耕うん装置の幅方向におけるA-A’縦断面における、前記刃面と前記固定具との角度θ は、95~130°である
ロータリー耕うん装置である。
【発明の効果】
【0008】
複雑な制御や複雑な構造を必要とせず、耕深のばらつきを抑制することが可能なロータリー耕うん装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のロータリー耕うん装置の好適な実施形態を示した側面図である。
図2図1に示すロータリー耕うん装置が備える耕深安定機具の斜視図である。
図3図1に示すロータリー耕うん装置が備える耕深安定機具の拡大側面図(a)およびA-A’縦断面(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のロータリー耕うん装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明のロータリー耕うん装置の好適な実施形態を示した側面図、図2は、図1に示すロータリー耕うん装置が備える耕深安定機具の斜視図、図3は、図1に示すロータリー耕うん装置が備える耕深安定機具の拡大側面図(a)およびA-A’縦断面(b)である。
【0011】
本実施形態では、ロータリー耕うん装置1は、図1に示すように、トラクター2で牽引して使用するものであるが、これに限定されない。ロータリー耕うん装置1は、複数の耕うん爪(回転刃)31を有するロータリー3と、ロータリー3の両端側(トラクター2の車幅方向の両端側)にそれぞれ設置された耕深安定機具4とを有してる。また、本実施形態に係るロータリー耕うん装置1は、トラクター2と接続するためのリンク5と、トラクター2からの動力をロータリー3に伝える動力取出軸6と、ロータリー3の前に取り付けられたゲージ輪7とを有している。また、ロータリー耕うん装置1は、油圧により上下に移動可能となっている。
【0012】
ロータリー3は、複数の耕うん爪31と、ロータリー3の幅方向の一端部に設けられたチェーンケース32と、ロータリー3の幅方向の一端部に設けられたベアリング部(図示せず)と、両端に設けられた2枚の側板33とを有している。複数の耕うん爪31は、軸を中心に回転するよう構成されている。また、チェーンケース32は、チェーンを備えた駆動部を備えており、動力取出軸6からの動力がチェーンケース32内の駆動部に伝えられることにより、耕うん爪31を回転させるよう構成されている。また、2枚の側板33の間には、均平板(図示せず)が設けられている。耕うん爪31としては、例えば、ナタ爪、L型爪、花形爪、正逆爪等が挙げられる。また、回転刃は、図示の爪状のものに限定されず、例えば、ディスク状であってもよい。すなわち、ロータリー3はディスクロータリーであってもよい。
【0013】
耕深安定機具4は、ロータリー3の両端側(チェーンケース32側とその反対のベアリング部側、すなわち、トラクター2の車幅方向の両端側)にそれぞれ1つずつ設けられている。耕深安定機具4は、図2及び3に示すように、固定具41と、刃部42とを有している。固定具41は、ロータリー3のトラクター2の進行方向の端部近傍に取付部材により取り付けられており、下方に向かって延伸している棒状の部材である。固定具41の下方側の先端には、刃面421を備えた刃部42が設けられている。刃部42は、図1に示すように、ロータリー耕うん装置1が地面を耕している状態において、ロータリー耕うん装置1の進行方向(以下単に進行方向という。)の下方に向かって傾斜した刃面421を備えている。また、刃部42は、刃部42の進行方向側の先端が、耕うん爪(回転刃)31の回転円、すなわち、耕うん爪31の先端が描く円よりも、進行方向側にあるよう構成されている。このような構成とすることにより、トラクター2の速度を上げた場合であっても、ロータリー耕うん装置1が浮き上がるのを抑制することができる。その結果、複雑な制御を必要とせずに、トラクター2の速度による耕深のばらつきを抑制することができる。また、刃部42は、刃部42の進行方向側の先端が、耕うん爪31の回転円、すなわち、耕うん爪31の先端が描く円よりも、地面側にあるよう構成されていることが好ましい。これにより、トラクター2の速度による耕深のばらつきをより効果的に抑制することができる。なお、図示の構成では、固定具41が、チェーンケース32及びベアリング部の横に取り付けられているが、取付位置はこれに限定されず、他の任意の場所に取り付けてもよい。
【0014】
ロータリー3の側面側から平面視した場合において、刃面421と固定具41との角度θ図3(a)に示すθ)は、95~130°であることが好ましく、100~120°であることがより好ましく、105~115°であることがさらに好ましい。これにより、ロータリー耕うん装置1の浮き上がりをより効果的に抑制することができる。
また、耕深安定機具4のA-A’縦断面(ロータリー耕うん装置1の幅方向における縦断面)における、前記刃面と前記固定具との角度θは、95~130°であることが好ましく、100~120°であることがより好ましく、105~115°であることがさらに好ましい。これにより、ロータリー耕うん装置1の浮き上がりをさらに効果的に抑制することができる。
【0015】
刃部42の最大長さLは、70~180mmであることが好ましく、80~170mmであることがより好ましい。また、刃部42の最大長さLは、チェーンケース32側とベアリング部側とで異なっていてもよい。この場合、チェーンケース32側の刃部42の最大長さLは、90~180mmであることが好ましく、110~170mmであることがより好ましく、ベアリング部側の刃部42の最大長さLは、70~140mmであることが好ましく、80~120mmであることがより好ましい。また、刃部42の最大幅Wは、20~80mmであることが好ましく、30~70mmであることがより好ましく、40~60mmであることがさらに好ましい。
【0016】
また、刃部42の幅は、進行方向に向かって漸減するよう構成されていてもよい。また、刃部42の長さは、ロータリー3の幅方向内側に向かって漸減するよう構成されていてもよい。これにより、刃部42の先端が地面に潜りやすくなり、速度によるロータリー耕うん装置1の浮き上がりをさらに効果的に抑制することができる。
【0017】
ゲージ輪7は、ゲージ輪ホルダー71によって、ロータリー耕うん装置1に取り付けられている。ゲージ輪7は、ゲージ輪ホルダー71に設けられた穴の位置によって高さを調整することが可能となっている。ゲージ輪7の高さを調整することにより、耕うん深さを調整可能となっている。
【0018】
以上、本発明のロータリー耕うん装置1について、好適な実施形態を基に説明したが、本発明はこれに限定されない。
【符号の説明】
【0019】
1 ロータリー耕うん装置
2 トラクター
3 ロータリー
31 耕うん爪(回転刃)
32 チェーンケース
33 側板
4 耕深安定機具
41 固定具
42 刃部
421 刃面
5 リンク
6 動力取出軸
7 ゲージ輪
71 ゲージ輪ホルダー
【要約】
【課題】複雑な制御及び複雑な構造を必要とせず、耕深のばらつきを抑制することが可能なロータリー耕うん装置を提供する。
【解決手段】ロータリー耕うん装置は、複数の回転する回転刃を備えたロータリーと、耕す深さを安定させる耕深安定機具とを有し、前記耕深安定機具は、前記ロータリーの両端側にそれぞれ設置され、下方に向かって延伸した2つの固定具と、前記固定具の先端に取り付けられ、前記ロータリーが地面を耕している状態において、ロータリー耕うん装置の進行方向下方に向かって傾斜した刃面を備えた刃部とを有し、前記ロータリーが地面を耕している際において、前記刃部の進行方向先端が前記回転刃の回転円よりも進行方向側にある。
【選択図】図1

図1
図2
図3