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特許7536378ロールペーパーホルダ及びロールペーパーホルダシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】ロールペーパーホルダ及びロールペーパーホルダシステム
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/34 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
A47K10/34 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024102781
(22)【出願日】2024-06-26
【審査請求日】2024-06-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524242933
【氏名又は名称】株式会社HiLab
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】平野 智資
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-048716(JP,A)
【文献】特開2020-039478(JP,A)
【文献】特表2011-505222(JP,A)
【文献】特開2005-006967(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0227970(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯棒支持部材と、前記芯棒支持部材に支持された芯棒と、前記芯棒が中心穴に挿入されたロールペーパーの上面を抑える蓋とを備えたロールペーパーホルダであって、
前記ロールペーパーが引出された際の引出し力を検出するペーパー引出し力検出手段と、
前記ペーパー引出し力検出手段が検出した引出し力に応じて前記ロールペーパーにアシスト回転力を作用させる回転アシスト手段とを備えたことを特徴とするロールペーパーホルダ。
【請求項2】
前記ロールペーパーの引出し停止を検出すると、予め決められた時間経過後に、前記回転アシスト手段を駆動して前記ロールペーパーの先端を前記蓋の先端より所定量送り出すことを特徴とする請求項1に記載のロールペーパーホルダ。
【請求項3】
前記ペーパー引出し力検出手段は、前記ロールペーパーが引出された際のトルクを検出するトルク検出センサを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロールペーパーホルダ。
【請求項4】
前記回転アシスト手段は、前記ロールペーパーの内周面をロックするロック手段と、前記ロック手段を介して前記ロールペーパーにアシスト回転力を作用させる駆動源と、前記ペーパー引出し力検出手段が検出した引出し力に応じて前記駆動源の回転を制御する制御部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のロールペーパーホルダ。
【請求項5】
前記ペーパー引出し力検出手段と、前記回転アシスト手段は、前記芯棒に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のロールペーパーホルダ。
【請求項6】
前記ペーパー引出し力検出手段と、前記ロック手段を除く前記回転アシスト手段は、前記芯棒支持部材に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のロールペーパーホルダ。
【請求項7】
通信部を有し、請求項1に記載のロールペーパーホルダと、
前記ロールペーパーホルダと前記通信部を介してデータ授受ができる操作端末とを備え、前記操作端末から前記ロールペーパーホルダに指示を送ることができることを特徴とするロールペーパーホルダシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレットペーパーなどを回転自在に支持するロールペーパーホルダ及びロールペーパーホルダシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロールペーパーホルダは、一対の芯棒支持部材と、一対の芯棒支持部材の間に支持された芯棒と、芯棒が中心穴に挿入されたロールペーパー(トイレットペーパー)の上面を抑える蓋とを備えている。トイレットペーパーは、芯棒に回転自在に装着される。
【0003】
使用者がトイレットペーパーの先端を把持して、ロールペーパーホルダよりトイレットペーパーを引き出そうとすると、途中でトイレットペーパーが切れる場合がある。これには、次の要因が考えられる。
【0004】
トイレットペーパーの厚さ、シングルダブルなどで強度にバラツキがあり、強度が弱いトイレットペーパーが切れることが考えられる。トイレットペーパーを上から抑える蓋の抑え力が強過ぎ、トイレットペーパーに大きな張力が作用することが考えられる。単に、使用者のトイレットペーパーの引出し力が強過ぎ、トイレットペーパーに大きな張力が作用することが考えられる。
【0005】
また、従来、次のようなロールペーパーホルダが提案されている。下記する特許文献1のロールペーパーホルダは、スイッチと、蓋の内面側に設けられ、最外周のトイレットペーパーの面に当接する駆動ローラとを有する。スイッチをオンにすると、モータの回転によって駆動ローラが回転し、駆動ローラの回転力でトイレットペーパーが連れ回り、トイレットペーパーが引き出される。
【0006】
下記する特許文献2のロールペーパーホルダは、スイッチと、巻回されたトイレットペーパーより引き出された先端側を挟持する2組の一対のローラとを有している。スイッチをオンにすると、各組の一対のローラがモータの回転によって回転し、各組の一対のローラの間をトイレットペーパーが移動して、トイレットペーパーが引き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実開平3-48588号公報
【文献】特許第3456649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した各従来例では、ロールペーパーホルダを使用するには、使用者はスイッチを操作し、トイレットペーパーが自動で引き出されるのを待つ必要がある。そのため、汎用のロールペーパーホルダの使用方法とは異なるため、使い勝手が悪い。
【0009】
また、上記した各従来例では、トイレットペーパーの引出し時には、駆動ローラや一対のローラからの摩擦力による張力がトイレットペーパーに作用する。この張力は使用者がトイレットペーパーを把持して引き出す場合に作用する張力と同じ力である。そのため、強度の弱いトイレットペーパーであると、使用者がトイレットペーパーを把持して引き出す場合と同様に、トイレットペーパーが切れる虞がある。
【0010】
ここで、トイレットペーパーに作用させる摩擦力を弱く設定すると、トイレットペーパーが引き出されない虞がある。以上より、トイレットペーパーが途中で切れることなく、確実に引き出すことができないという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、使い勝手が良く、しかも、トイレットペーパーが途中で切れることなく確実に引き出すことができるロールペーパーホルダ及びロールペーパーホルダシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以上の問題に鑑みてなされたもので、(1)芯棒支持部材と、前記芯棒支持部材に支持された芯棒と、前記芯棒が中心穴に挿入されたロールペーパーの上面を抑える蓋とを備えたロールペーパーホルダであって、前記ロールペーパーが引出された際の引出し力を検出するペーパー引出し力検出手段と、前記ペーパー引出し力検出手段が検出した引出し力に応じて前記ロールペーパーにアシスト回転力を作用させる回転アシスト手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
(2)上記(1)において、前記ロールペーパーの引出し停止を検出すると、予め決められた時間経過後に、前記回転アシスト手段を駆動して前記ロールペーパーの先端を前記蓋の先端より所定量送り出すことを特徴とする。
【0014】
(3)上記(1)又は(2)において、前記ペーパー引出し力検出手段は、前記ロールペーパーが引出された際のトルクを検出するトルク検出センサを有することを特徴とする。
【0015】
(4)上記(1)において、前記回転アシスト手段は、前記ロールペーパーの内周面をロックするロック手段と、前記ロック手段を介して前記ロールペーパーにアシスト回転力を作用させる駆動源と、前記ペーパー引出し力検出手段が検出した引出し力に応じて前記駆動源の回転を制御する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0016】
(5)上記(1)において、前記ペーパー引出し力検出手段と、前記回転アシスト手段は、前記芯棒に設けられていることを特徴とする。
【0017】
(6)上記(4)において、前記ペーパー引出し力検出手段と、前記ロック手段を除く前記回転アシスト手段は、前記芯棒支持部材に設けられていることを特徴とする。
【0018】
(7)通信部を有し、上記(1)に記載のロールペーパーホルダと、前記ロールペーパーホルダと前記通信部を介してデータ授受ができる操作端末とを備え、前記操作端末から前記ロールペーパーホルダに指示を送ることができることを特徴とするロールペーパーホルダシステムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、使用者がロールペーパーの先端側を把持してロールペーパーを引き出し、引き出した分を切断して使用するため、汎用のものと同様な使い方であり、使い勝手が良い。又、使用者の引出し力に応じたアシスト回転力が付加されてロールペーパーが引き出されるため、ロールペーパーには小さい張力しか作用しない。以上より、使い勝手が良く、しかも、トイレットペーパーが途中で切れることなく確実に引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図面は、本開示に係る本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
図1】第1実施形態を示し、ロールペーパーホルダの全体斜視図である。
図2】第1実施形態を示し、ロールペーパーホルダの分解斜視図である。
図3】第1実施形態を示し、(a)はロールペーパーの斜視図、(b)は芯棒の斜視図である。
図4】第1実施形態を示し、ロールペーパーホルダの概略断面図である。
図5】第1実施形態を示し、ロールペーパーホルダの回路ブロック図である。
図6】第1実施形態を示し、ロールペーパーホルダの制御フローチャートである。
図7】第2実施形態を示し、ロールペーパーホルダシステムの回路ブロック図である。
図8】第3実施形態を示し、ロールペーパーホルダの全体斜視図である。
図9】第4実施形態を示し、ロールペーパーホルダの全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら各実施形態について詳細に説明する。本実施形態では既に公知である技術は説明を省略する。また、発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示したものであって、本発明の技術的思想は、下記のものに特定されるものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において、種々の変更を加えることができる。特に、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0022】
(第1実施形態)
図1図6は本発明の第1実施形態を示す。図1及び図2に示すように、ロールペーパーホルダ1は、背面板2と、背面板2の両側より前方に突出する一対の芯棒支持部材3と、一対の芯棒支持部材3に支持された芯棒4と、背面板2の上面部に取り付けされた蓋5とを備えている。
【0023】
背面板2は、壁(図示せず)に固定されている。一対の芯棒支持部材3は、一定の間隔を置いて配置されている。一対の芯棒支持部材3には、軸支持部3aがそれぞれ設けられ、一対の軸支持部3aに芯棒4の両端が回転自在に支持されている。各軸支持部3aと芯棒4の端部は、シール、磁石、留め金等で回転自在に支持される。芯棒4には、ロールペーパー(トイレットペーパー等)10の中心穴10aが隙間を有する状態で挿入されている。ロールペーパー10は、長尺のペーパーが中心穴10aの周囲を隙間なく巻回されている。また、ロールペーパー10は、ロック手段12(図4参照)により芯棒4に固定されており、芯棒4の回転と共に回転する。
【0024】
詳細には、芯棒4の外径D1(図3(b)に示す)は、ロールペーパー10の中心穴10aの直径D2(図3(a)に示す)より十分に小さく設定されている。尚、芯棒4の幅W1(図3(b)に示す)は、ロールペーパー10の幅W2(図3(a)に示す)より大きく設定されている。
【0025】
蓋5は、その基端側が背面板2の上端部に回転自在に支持されている。蓋5の先端側は、ロールペーパー10の最外周のペーパー部位上に載置されている。これにより、蓋5の自重がロールペーパー10の最外周のペーパー部位に作用し、振動、微小な回転力等によってロールペーパー10が自然に回転しないように保持されている。
【0026】
図4に詳しく示すように、芯棒4の外周には、ロールペーパー10の内周面を押圧してロールペーパー10をロックできるロック手段12が設けられている。ロック手段12は、円周方向の2箇所以上に設けられ、芯棒4のラジアル方向に突出自在な複数の押圧部12aと、各押圧部12aを突出位置に付勢する付勢手段(例えばバネ)とを有する。ロック手段12は、2箇所以上の押圧部12aがロールペーパー10の中心穴10aの内周面を押圧することによってロールペーパー10をロックする。ロック手段12は、ラジアル方向に突出した押圧部12aが縮径方向に退出することによってロールペーパー10の押圧を解除し、ロールペーパー10を芯棒4より抜くことができる。尚、図4は、押圧部12aがロールペーパー10の中心穴10aの内周面を押圧し、ロールペーパー10をロックしている状態を示している。
【0027】
又、ロック手段12は、下記する出力ロッド19の回転に伴って回転する芯棒4と共に回転するよう構成されている。つまり、ロールペーパー10は、ロック手段12にロックされた状態では、芯棒4(ロック手段12)の回転によって一体となって回転する。
【0028】
芯棒4の内部には、電池15と、センサ及び基板部16と、駆動源であるモータ17と、モータ17の回転を減速するギアボックス18と、ギアボックス18の回転出力を芯棒4に伝達する出力ロッド19とが配置されている。
【0029】
図5に詳しく示すように、センサ及び基板部16には、ペーパー引出し力検出手段であるトルク検出センサ20と、回転数検出センサ21と、電子部品を搭載する回路基板(図示せず)とが配置されている。トルク検出センサ20は、ロールペーパー10に作用する回転トルクを検出する。回転数検出センサ21は、ロールペーパー10の回転数を検出する。
【0030】
電子部品を搭載した回路基板(図示せず)は、制御部30等を含む制御系を構成する。この制御系については、下記に詳述する。
【0031】
芯棒4には、上記した構成部品等によって、トルク検出センサ(ペーパー引出し力検出手段)20が検出した引出し力に応じてロールペーパー10にアシスト回転力を作用させる回転アシスト手段11が構成されている。
【0032】
回転アシスト手段11は、上記したロック手段12と、ロック手段12を介してロールペーパー10にアシスト回転力を作用させるモータ17と、モータ17の回転数・回転トルクを調整して出力ロッド19(ひいては芯棒4)に伝達するギアボックス18と、トルク検出センサ20が検出した引出し力に応じてモータ17の回転を制御する制御部30とから構成されている。制御部30は、ロールペーパー10に作用する検出トルク値の例えば半分のトルク値をアシスト回転トルクして出力するようモータ17を制御する。尚、制御部30は、アシスト回転トルクを自由に調整可能である。
【0033】
次に、ロールペーパーホルダ1の制御系を説明する。制御部30は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を含む。プロセッサーは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。制御部30は、記憶部31に記憶されている制御プログラムを上記プロセッサーによって実行する。
【0034】
制御部30は、ロールペーパーホルダ1の全体制御を司る。制御部30には、トルク検出センサ20、回転数検出センサ21、操作部22の出力が入力され、制御部30は、ロック手段12、モータ17、ギアボックス18の動作を制御する。制御部30は、操作部22との間でデータ授受が信号線等によって可能である。操作部22は、制御部30への各種指令を入力可能であり、スピーカ33及び信号ランプ34と共に、例えば芯棒4の外面に設けられている。
【0035】
又、制御部30は、操作部22からの指令などに基づいて、ペーパー引出量算出部32、スピーカ33、信号ランプ34の動作を制御する。ペーパー引出量算出部32は、検出トルク値よりロールペーパー10の回転中心からロールペーパー10の最外周までの概算距離を算出し、概算距離Rと回転数検出センサが検出する回転数Nより概算のペーパー引出量(2πR×N)を算出する。
【0036】
ここで、ロールーペーパー10の径が大きい場合(ロールーペーパー10の使い始め)には、トルク検出センサ20の検出トルク値は大きく、回転数検出センサー21の検出回転数は小さくなり。逆に、ロールーペーパーで10の径が小さい場合(ロールーペーパー10の使い終わり)には、トルク検出センサ20の検出トルク値は小さく、回転数検出センサー21の検出回転数は大きくなる。従って、ロールペーパー10の回転中心からロールペーパー10の最外周までの概算距離Rは、このような検出トルク値と検出回転数値の関係を判断要素として推定すれば、より正確な値を算出できる。
【0037】
次に、ロールペーパーホルダ1の作用を、図6の制御フローチャートを参照して説明する。図6に示すように、制御部30は、トルク検出センサ20の検出トルク値より、使用者によってロールペーパー10の引出しが開始されたか否かを常時チェックする(ステップS1)。
【0038】
制御部30は、トルク検出センサ20の検出トルク値(ゼロ値以外)を検出すると、使用者がロールペーパー10の引出しを開始したと判断し、当該検出トルク値に応じたアシスト回転トルクをロールペーパー10に作用させるようモータ17を駆動制御する(ステップS2)。
【0039】
制御部30は、例えば検出トルク値の半分をアシスト回転トルクとしてモータ17を駆動する。これにより、ロールペーパー10には、使用者の引出し動作による回転トルク値からアシスト回転トルク分を差し引いたトルクしか作用しないため、ロールペーパー10に作用する張力が小さなものになり、ロールペーパー10が切れる等の不具合が発生しない。
【0040】
制御部30は、トルク検出センサ20の検出トルク値がアシスト回転トルク値と同じ値にまで降下したか否かをチェックし(ステップS3)、降下しない間は使用者がロールペーパー10の引出しを続行していると判断し、検出トルク値に応じたアシスト回転トルクの出力を続行する(ステップS2)。
【0041】
制御部30は、トルク検出センサ20の検出トルク値がアシスト回転トルク値と同じ値にまで降下したことを検出すると、使用者がロールペーパー10の引出しを停止したと判断し(ステップS3)、モータ17の駆動を停止する(ステップS4)。なお、モータ17の駆動軸を停止状態から動かないようにロックしてもよい。
【0042】
次に、制御部30は、モータ17の駆動を停止してから規定時間が経過したか否かをチェックする(ステップS5)。規定時間は、使用者がロールペーパー10の切断を完了するための猶予時間(例えば1分程度)である。制御部30は、モータ17の停止から規定時間が経過したことを検出すると、モータ17を一定時間だけ駆動し、一定量だけロールペーパー10の送り出しを行う(ステップS6)。これにより、ロールペーパー10の先端は、蓋5の先端より一定量だけ出た位置で停止する。従って、次の使用時には、ロールペーパー10の先端側を容易に摘むことができる。
【0043】
以上説明したように、ロールペーパーホルダ1は、ロールペーパー10が引出された際の引出し力を検出するトルク検出センサ(ペーパー引出し力検出手段)20と、トルク検出センサ(ペーパー引出し力検出手段)20が検出した引出し力に応じてロールペーパー10にアシスト回転力を作用させる回転アシスト手段11とを備えている。
【0044】
従って、ロールペーパーホルダ1の使用者がロールペーパー10の先端側を把持してロールペーパー10を引き出し、引き出した分を切断してロールペーパー10を使用するため、使い方が汎用のロールペーパーホルダと同じであり、使い勝手が良い。又、使用者の引出し力に応じたアシスト回転力が付加されてロールペーパー10が引き出されるため、ロールペーパー10にはアシスト回転力を差し引いた小さい張力しか作用しない。以上より、使い勝手が良く、しかも、ロールペーパー10が途中で切れることなく確実に引き出すことができる。
【0045】
使用者によるロールペーパー10の引出し停止を検出すると、予め決められた時間経過後に、回転アシスト手段11を駆動してロールペーパー10の先端を蓋5の先端より所定量送り出す。従って、次の使用時には、ロールペーパー10の先端側を容易に摘むことができ、使い勝手が良い。つまり、ロールペーパー10の先端が蓋5の先端面と同じ位置にあると、使用者はロールペーパー10の先端側を容易に摘むことができないが、ロールペーパー10の先端が蓋5の先端面より出た位置にあると、ロールペーパー10の先端側を容易に摘むことができる。
【0046】
ペーパー引出し力検出手段であるトルク検出センサ20と回転アシスト手段11は、芯棒4に設けられている。従って、汎用のロールペーパーホルダから本実施形態のものに設計変更する場合には、芯棒4の交換のみで良い。ペーパー引出し力検出手段であるトルク検出センサ20と回転アシスト手段11は、芯棒4にのみ設けるのではなく、芯棒4以外の部品にも分散配置して、ロールペーパーホルダ1との一体設計としても良い。尚、ロールペーパーホルダ1との一体設計の例は、下記する第3、第4実施形態に示す。又、操作部22、スピーカ33及び信号ランプ34も、芯棒4ではないホールペーパーホルダ1に設けても良い。
【0047】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態を示す。第2実施形態のロールペーパーホルダシステムは、ロールペーパーホルダ1Aと操作端末(例えばスマートフォン)40とを備えている。第2実施形態のロールペーパーホルダ1Aは、前記第1実施形態とほぼ同一構成であるため、同一構成箇所の重複説明を省略し、異なる構成のみ説明する。尚、図7において、前記第1実施形態と同一構成箇所には同一符号を付して構成の明確化を図る。
【0048】
即ち、第2実施形態のロールペーパーホルダ1Aでは、制御部30には通信部35が接続されている。ロールペーパーホルダ1Aの制御部30は、通信部35によりネットワーク等を介して操作端末(例えばスマートフォン)40とデータの授受ができるよう構成されている。
【0049】
操作端末40は、ロールペーパーホルダ1Aに種々の指令を送ることができる。制御部30は、操作端末40からの指令を受信すると、指令内容を実行するべく各部を制御する。
【0050】
操作端末40がロールペーパーホルダ1Aに送る指令としては、使用者によるロールペーパー10の引出し力の設定をする・しないの選択、アシスト回転力の設定をする・しないの選択、ロールペーパー10の引出し量(使用量)の設定をする・しないの選択等である。そして、使用者によるロールペーパー10の引出し力の設定をする場合には、その設定値、アシスト回転力の設定をする場合には、その設定値、ロールペーパー10の引出し量(使用量)の設定をする場合には、その設定値を指令できる。
【0051】
又、操作端末40がロールペーパーホルダ1Aに送る指令としては、スピーカ33によるアナウンスを行う・行わないの選択、スピーカ33によるアナウンス内容等もある。スピーカ33によるアナウンスを行う設定では、ロールペーパー10の引出量が設定引出し量に達した旨、引出しを停止する旨、切断補助のために逆回転する旨などのアナウンス内容である。
【0052】
操作端末40がロールペーパーホルダ1Aに送る指令としては、次の内容を含んでも良い。一定の引出量を検出すると、自動で所定の設定量を出してしまうか否かの有無、一回の使用量の設定を超えた時の動作として、スピーカ警告、アシスト停止、逆回転(切断補助を含む)を行うか否か、切断判断後の動作として、送り出しの有無、送り出し量、使用量のアナウンスを行うか否か、スピーカ33や信号ランプ34によるアナウンス内容として電池警告を含むか否か等である。操作端末40側の設定になりますが、使用量のグラフ化、使用量積算に応じたストック切れの警告を行う内容としても良い。
【0053】
使用者によるロールペーパー10の引出し力の設定を行った場合には、使用者に作用するロールペーパー10の引出し力が設定値になるようアシスト回転力が調整される。従って、使用者がロールペーパー10の引出しを行う際には、常に一定の引出し力でロールペーパー10を引出すことができる。
【0054】
アシスト回転力の設定を行った場合には、モータ17によるアシスト回転力が常に一定の設定値に調整される。従って、使用者がロールペーパー10の引出しを行う際には、常に一定のアシスト回転力を受けてロールペーパー10を引出すことができる。
【0055】
ロールペーパー10の引出し量(使用量)の設定を行った場合には、ペーパー引出量算出部32が検出トルク値と回転数検出センサ21から概算のペーパー引出量を算出する。そして、この概算のペーパー引出量が設定したペーパー引出量に達すると、ロールペーパー10の引出量が設定した引出し量に達した旨、使用者にロールペーパー10の引出しを停止する旨等がスピーカ33でアナウンスされる。これにより、使用者がロールペーパー10の引出しを停止し、設定長さのロールペーパー10を得ることができる。
【0056】
つまり、ロールペーパー10の引出し量(使用量)の設定がない場合(図6の動作フロー参照)には、使用者は現時点で必要と考える長さ分だけロールペーパー10を自由に引き出せる。ロールペーパー10の引出し量(使用量)の設定がある場合には、使用者は予め必要と考えるロールペーパー長さだけ引き出せる。ロールペーパー10の無駄防止に貢献する。
【0057】
以上、第2実施形態のロールペーパーホルダシステムは、前記第1実施形態と同一構成で、かつ、通信部35を有するロールペーパーホルダ1Aと、ロールペーパーホルダ1Aに通信部35を介してデータ授受ができる操作端末40とを備え、操作端末40からロールペーパーホルダ1Aに指示を送ることができる。従って、第1実施形態の効果に加えて、操作端末40によって遠隔操作でロールペーパーホルダ1Aに各種の指令を行うことができ、使い勝手が良い。
【0058】
(第3実施形態)
第3実施形態のロールペーパーホルダシステムは、前記第2実施形態と同様に、通信部(図示せず)を有するロールペーパーホルダ1Bと、操作端末(図示せず)とを備えている。
【0059】
図8に示すように、第3実施形態のロールペーパーホルダ1Bは、前記第2実施形態のものと比較して、次の構成が相違する。即ち、一方の芯棒支持部材3には、電池15、センサ及び基板部16、通信部35が内蔵されている。又、一方の芯棒支持部材3には、モータ17からの回転を伝達する入力側ギア18aと入力側ギア18aに噛み合う出力側ギア18bが設けられている。出力側ギア18bは、芯棒支持部材3の軸支持部(図示せず)に一体に設けられている。軸支持部は、前記第2実施形態とは異なり、芯棒支持部材3に対して回転自在に支持されている。
【0060】
他の構成は、前記第2実施形態と同様であるため、同一構成箇所には合一符号を付して重複説明を省略する。
【0061】
第3実施形態では、モータ17からの回転が入力側ギア18a、出力側ギア18bを介して軸支持部(図示せず)及び芯棒4に伝達され、芯棒4がロック手段(図示せず)と一体に回転される。
【0062】
以上、第3実施形態のロールペーパーホルダシステムは、前記第2実施形態と同様に、通信部(図示せず)を有するロールペーパーホルダ1Bと、ロールペーパーホルダ1Bに通信部(図示せず)を介してデータ授受ができる操作端末(図示せず)とを備え、操作端末からロールペーパーホルダ1Bに指示を送ることができる。従って、第1実施形態の効果に加えて、操作端末によって遠隔操作でロールペーパーホルダ1Bに各種の指令を行うことができ、使い勝手が良い。
【0063】
ペーパー引出し力検出手段であるトルク検出センサ(図示せず)と、ロック手段を除く回転アシスト手段(図示せず)は、芯棒支持部材3に設けられている。芯棒支持部材3は、芯棒4内の収容スペースに比べて広い収容スペースを確保できるため、部品配置の自由度、部品選択の自由度が高い。
【0064】
(第4実施形態)
第4実施形態のロールペーパーホルダシステムは、前記第2実施形態と同様に、通信部(図示せず)を有するロールペーパーホルダ1Cと、操作端末(図示せず)とを備えている。
【0065】
図9に示すように、第4実施形態のロールペーパーホルダ1Cは、前記第3実施形態のものと比較して、芯棒支持部材3に、スピーカ33と信号ランプ34が設けられている。信号ランプ34は,使用者が容易に見える位置に配置されている。
【0066】
又、第4実施形態では、一対の芯棒支持部材3の間で、且つ、蓋5の内面側のスペースに電池15が配置されている。前記第3実施形態の電池15は、扁平形(例えばボタン電池)であるが、第4実施形態の電池15は、乾電池等の大型電池である。尚、芯棒4には、第3実施形態と同様に、芯棒4と一体に回転するロック手段(図示せず)が設けられている。
【0067】
他の構成は、前記第3実施形態と同様であるため、同一構成箇所には合一符号を付して重複説明を省略する。
【0068】
第4実施形態では、モータ17からの回転が入力側ギア18a、出力側ギア18bを介して軸支持部(図示せず)及び芯棒4に伝達され、芯棒4がロック手段(図示せず)と一体に回転される。
【0069】
以上、第4実施形態のロールペーパーホルダシステムは、前記第3実施形態と同様に、通信部(図示せず)を有するロールペーパーホルダ1Cと、ロールペーパーホルダ1Cに通信部(図示せず)を介してデータ授受ができる操作端末(図示せず)とを備え、操作端末からロールペーパーホルダ1Cに指示を送ることができる。従って、第1実施形態の効果に加えて、操作端末によって遠隔操作でロールペーパーホルダ1Cに各種の指令を行うことができ、使い勝手が良い。
【0070】
ペーパー引出し力検出手段であるトルク検出センサ(図示せず)と、ロック手段を除く回転アシスト手段(図示せず)は、芯棒支持部材3に設けられている。芯棒支持部材3は、芯棒4内の収容スペースに比べて広い収容スペースを確保できるため、部品配置の自由度、部品選択の自由度が高い。
【0071】
(変形例など)
前記各実施形態では、制御部30は、ロールペーパー10に作用する検出トルク値の例えば半分のトルク値をアシスト回転トルクとするようモータ17を制御したが、アシスト回転トルクの値はロールペーパー10の作用する検出トルク値未満の値であれば良い。
【0072】
前記各実施形態では、ペーパー引出量算出部32は、検出トルク値よりロールペーパー10の回転中心からロールペーパー10の最外周までの概算距離Rを算出し、概算距離Rと回転数検出センサ21からの回転数Nより概算のペーパー引出量(2πR×N)を算出した。しかし、ロールペーパー10の回転中心からロールペーパー10の最外周までの距離はロールペーパー10の使用状況によって異なる。そのため、ロールペーパー10の回転中心からロールペーパー10の最外周までの距離を検出する距離検出手段を設け、距離検出手段が検出した検出距離R’と回転数検出センサ21が検出した回転数Nよりペーパー引出量(2πR’×N)を算出することにより、正確なペーパー引出量を算出できる。また、ロールペーパーホルダ1側にロールペーパー10の送り出し量を直接に検出するセンサ等を設ければ、正確なペーパー引出量を算出できる。
【0073】
前記各実施形態では、ロールペーパー10の引出し開始及び引出し停止をトルク検出センサ20の検出値より検出したため、部品点数の削減、構成の単純化になる。
【0074】
前記第1、第2実施形態では、回転アシスト手段11は、ロック手段12と、駆動源であるモータ17と、ギアボックス18と、制御部30とから構成されているが、ギアボックス18を設けることなく高トルクのモータ17の回転を出力ロッド19(ひいては芯棒4)に直接伝達するようにしても良い。
【0075】
前記各実施形態では、スピーカ33を用いて上記したアナウンス内容の全部又は一部を行なえば、更に使い勝手が良くなる。信号ランプ34を用いて上記したアナウンス内容の全部又は一部を行なえば、更に使い勝手が良くなる。
【0076】
前記各実施形態において、ロールペーパー10の送り出しを全て終了した後(例えば、ロールペーパー10の先端を蓋5の先端より一定量だけ送り出した後(例えば、図6のステップS6の後)に、芯棒4の回転ロック等によって、ロールペーパー10の回転をロックするようにすれば、ロールペーパー10が切断し易くなり、片手でも切断することができる。
【0077】
前記各実施形態において、電池15がなくなった場合等によって、ロック手段12への電磁力がなくなると、押圧部12aが縮径方向に退出し、ロールペーパー10の内周面への押圧が解除される。この場合には、本発明に係るロールペーパーホルダ1,1A~1Cは、通常のロールペーパーホルダのように使用できる。
【0078】
前記各実施形態では、モータ17の回転によって、芯棒4とロック手段12が一体となって回転するよう構成したが、芯棒4に設けたロック手段12が芯棒4の回りを回転するよう構成しても良い。
【0079】
前記実施形態の変形例として、蓋5の内面側にロールペーパー10の引っ掛かり部を設け、使用者によるロールペーパー10の引出しが完了した後、ロールペーパー10を所定量送り出すに際して、蓋5の先端より送り出されるロールペーパー10の部位が引っ掛かり部からの摩擦によって少しめくり上がるようにしても良い。このようにすると、次の使用時において、ロールペーパー10の先端側を更に把持し易くなり、更に使い勝手が良い。
【0080】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施形態の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0081】
1,1A~1C ロールペーパーホルダ
3 芯棒支持部材
4 芯棒
5 蓋
10 ロールペーパー
10a 中心穴
11 回転アシスト手段
12 ロック手段
17 モータ(駆動源)
20 トルク検出センサ(ペーパー引出し力検出手段)
30 制御部

【要約】
【課題】使い勝手が良く、しかも、トイレットペーパーが途中で切れることなく確実に引き出すことができるロールペーパーホルダを提供する。
【解決手段】一対の芯棒支持部材3と、一対の芯棒支持部材3に支持された芯棒4と、芯棒4が中心穴に挿入されたロールペーパー10の上面を抑える蓋とを備えたロールペーパーホルダ1であって、ロールペーパー10が引出された際の引出し力を検出するトルク検出センサと、トルク検出センサが検出した引出し力に応じてロールペーパー10にアシスト回転力を作用させる回転アシスト手段11とを備えている。
【選択図】図4

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9