IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サノヤス・エンジニアリング株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-エレベーター用扉、及びエレベーター 図1
  • 特許-エレベーター用扉、及びエレベーター 図2
  • 特許-エレベーター用扉、及びエレベーター 図3
  • 特許-エレベーター用扉、及びエレベーター 図4
  • 特許-エレベーター用扉、及びエレベーター 図5
  • 特許-エレベーター用扉、及びエレベーター 図6
  • 特許-エレベーター用扉、及びエレベーター 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】エレベーター用扉、及びエレベーター
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/30 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
B66B13/30 B
B66B13/30 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020103449
(22)【出願日】2020-06-16
(65)【公開番号】P2021195230
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】592217141
【氏名又は名称】サノヤス・エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100195752
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 一正
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】山本 儀
(72)【発明者】
【氏名】向井 毅三
(72)【発明者】
【氏名】小林 直弥
(72)【発明者】
【氏名】秋山 貴樹
【審査官】山田 拓実
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-098848(JP,A)
【文献】実開平02-007267(JP,U)
【文献】特開平07-228461(JP,A)
【文献】実開平03-009375(JP,U)
【文献】特開2000-355480(JP,A)
【文献】特開2004-338851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 9/00-9/193;
13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの搬器に設置可能な横開式のエレベーター用扉であって、
上端部及び下端部のそれぞれに同一の滑動部材を備え、
前記滑動部材は、垂直軸回りに回転する横ローラと水平軸回りに回転する縦ローラをそれぞれ複数有したことを特徴とするエレベーター用扉。
【請求項2】
上下方向における中央部に開閉用取手を備えたことを特徴とする請求項1に記載のエレベーター用扉。
【請求項3】
エレベーターの搬器に設置可能な横開式のエレベーター用扉であって、
上端部及び下端部のそれぞれに同一の滑動部材を備え、
上端部から距離Aの位置に開放禁止用の被ロック部を備えるとともに、下端部から距離Aの位置にも開放禁止用の前記被ロック部を備えたことを特徴とするエレベーター用扉。
【請求項4】
上方及び下方に窓を備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のエレベーター用扉。
【請求項5】
上端部及び下端部それぞれに同一の滑動部材を備えたエレベーター用扉と、
前記滑動部材を滑動させるレールを前記エレベーター用扉の上下に設けた搬器と、を備え、
前記滑動部材は、垂直軸回りに回転する横ローラと水平軸回りに回転する縦ローラをそれぞれ複数有したことを特徴とするエレベーター。
【請求項6】
上端部及び下端部それぞれに同一の滑動部材を備えたエレベーター用扉と、
前記滑動部材を滑動させるレールを前記エレベーター用扉の上下に設けた搬器と、を備え、
前記レールを前記搬器における一の側面の上下、及び前記一の側面と異なる他の側面の上下に設け、
前記一の側面における上下の前記レールに滑動する一の側面用の前記エレベーター用扉と、前記他の側面における上下の前記レールに滑動する他の側面用の前記エレベーター用扉と、を有し、
前記一の側面用の前記エレベーター用扉と前他の側面用の前記エレベーター用扉とは、同一形状かつ同一サイズであるとともに、互いに上下逆向きであることを特徴とするエレベーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーター用扉、及びエレベーターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電所等(バイオマス・排熱回収ボイラー等)や揚程の高い煙突等には、保守・点検・作業用の人荷共用で、かつ2方向から乗り降りが可能なエレベーターが設置されている。
【0003】
特許文献1には、2方向から乗り降りが可能なエレベーターが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1:特許第6072204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のもの等、従来のエレベーター用の扉は、設置する場所により開き方向やサイズが異なり、それぞれ個別の扉を用意する必要があって、製造上の手間がかかり、製作間違いの原因となるとともに工期が長くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決して、2方向に扉を有する場合や開閉方向が異なる場合であっても共通の扉を使用できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、エレベーターの搬器に設置可能な横開式のエレベーター用扉であって、
上端部及び下端部のそれぞれに同一の滑動部材を備え
前記滑動部材は、垂直軸回りに回転する横ローラと水平軸回りに回転する縦ローラをそれぞれ複数有したことを特徴とするエレベーター用扉を提供するものである。
【0008】
この構成により、2方向に扉を有する場合や開閉方向が異なる場合であっても共通の扉を使用できるようにすることができる。
【0011】
エレベーター用扉であって、上下方向における中央部に開閉用取手を備えた構成としてもよい。
【0012】
この構成により、当該エレベーター用扉を上下逆にしてもエレベーター搬器に設置できる。
【0013】
上記課題を解決するために本発明は、エレベーターの搬器に設置可能な横開式のエレベーター用扉であって、
上端部及び下端部のそれぞれに同一の滑動部材を備え、
上端部から距離Aの位置に開放禁止用の被ロック部を備えるとともに、下端部から距離Aの位置にも開放禁止用の前記被ロック部を備えたことを特徴とするエレベーター用扉を提供するものである。
【0014】
この構成により、当該エレベーター用扉を上下逆にしてもエレベーターが各階に停止するとき以外に被ロック部をロックして扉が開くことを防止できる。
【0015】
エレベーター用扉であって、上方及び下方に窓を備えた構成としてもよい。
【0016】
この構成により、当該エレベーター用扉を上下逆にしても適切な位置に窓を配置できる。
【0017】
上記課題を解決するために本発明は、上端部及び下端部それぞれに同一の滑動部材を備えたエレベーター用扉と、
前記滑動部材を滑動させるレールを前記エレベーター用扉の上下に設けた搬器と、を備え、
前記滑動部材は、垂直軸回りに回転する横ローラと水平軸回りに回転する縦ローラをそれぞれ複数有したことを特徴とするエレベーターを提供するものである。
【0018】
この構成により、2方向に扉を有する場合や開閉方向が異なる場合であっても共通の扉を使用できるようにすることができる。
【0019】
上記課題を解決するために本発明は、上端部及び下端部それぞれに同一の滑動部材を備えたエレベーター用扉と、
前記滑動部材を滑動させるレールを前記エレベーター用扉の上下に設けた搬器と、を備え、
前記レールを前記搬器における一の側面の上下、及び前記一の側面と異なる他の側面の上下に設け、
前記一の側面における上下の前記レールに滑動する一の側面用の前記エレベーター用扉と、前記他の側面における上下の前記レールに滑動する他の側面用の前記エレベーター用扉と、を有し、
前記一の側面用の前記エレベーター用扉と前他の側面用の前記エレベーター用扉とは、同一形状かつ同一サイズであるとともに、互いに上下逆向きであることを特徴とするエレベーターを提供するものである。
【0020】
この構成により、2方向に扉を有する場合であっても共通の扉を使用できるようにすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のエレベーター用扉、及びエレベーターにより、2方向に扉を有する場合であっても共通の扉を使用できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施例1におけるエレベーターの搬器を説明する図である。
図2】本発明の実施例1におけるエレベーター用扉を説明する図である。
図3】本発明の実施例1におけるエレベーター用扉が閉状態にある図である。
図4】本発明の実施例1におけるエレベーター用扉が開状態にある図である。
図5】本発明の実施例1におけるエレベーター用扉がレールに係合している状態を説明する断面図である。
図6】本発明の実施例1におけるエレベーターが上昇中におけるエレベーター用扉のロック部を説明する図である。
図7】本発明の実施例1におけるエレベーターが各階での停止状態におけるエレベーター用扉のロック部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0023】
本発明の実施例1について、図1図7を参照して説明する。図1は、本発明の実施例1におけるエレベーターの搬器を説明する図である。図2は、本発明の実施例1におけるエレベーター用扉を説明する図である。図3は、本発明の実施例1におけるエレベーター用扉が閉状態にある図である。図4は、本発明の実施例1におけるエレベーター用扉が開状態にある図である。図5は、発明の実施例1におけるエレベーター用扉がレールに係合している状態を説明する断面図である。図6は、本発明の実施例1におけるエレベーターが上昇中におけるエレベーター用扉のロック部を説明する図である。図7は、本発明の実施例1におけるエレベーターが各階での停止状態におけるエレベーター用扉のロック部を説明する図である。
【0024】
実施例1におけるエレベーターは、図示しないガイドに沿って、搬器10が上昇又は下降する。搬器10は、駆動フレーム6に、人荷を積載する搬器本体7が取付けられた構造を有している。そして、駆動フレーム6がガイドに沿って上昇、下降することで、搬器本体7が上昇、下降する。
【0025】
図2(a)は、搬器10の左側面図、図2(b)は、搬器10の正面図、図2(c)は、搬器10の右側面図を示している。実施例1における搬器10は、左側面の前扉1及び後扉2とでエレベーター用扉を構成し、右側面の前扉1及び後扉2とでエレベーター用扉を構成している。そして、右側面のエレベーター用扉(前扉1、後扉2)と左側面のエレベーター用扉(前扉1、後扉2)とは上下逆向きに設置されている。すなわち、左側面のエレベーター用扉(前扉1及び後扉2)を上下逆にして、右側面に取付けることができる。搬器10に取付けた状態では、左側面におけるエレベーター用扉(前扉1及び後扉2)は、右から左方向に開く横開きであり、右側面におけるエレベーター用扉(前扉1及び後扉2)は、左から右方向に開く横開きである。左側面における前扉1も右側面における前扉1も開く方向に移動させると後扉2に係合して、後扉2も開く方向に移動するように構成している。
【0026】
実施例1においては、左側面も右側面も同じ構造のエレベーター用扉(前扉1、後扉2)を使用するために、滑動部材8、被ロック部3、窓4、及び開閉用取手5が特徴を有している。
【0027】
まず、エレベーター用扉、つまり前扉1、後扉2のそれぞれ上端部及び下端部に扉開閉用の同一の滑動部材8を備えている。実施例1における滑動部材8は、垂直軸回りに回転する横ローラ8Aと、水平軸回りに回転する縦ローラ8Bをそれぞれ複数含んでいる(図5図6参照)。そして、搬器10には、エレベーター用扉(前扉1、後扉2)を設置する位置の上方及び下方に同一形状、同一サイズの前扉用レール11と後扉用レール12が設けられており、この前扉用レール11と後扉用レール12に滑動部材8の横ローラ8Aと縦ローラ8Bとがそれぞれ係合して滑動することにより、エレベーター用扉(前扉1、後扉2)は開方向又は閉方向に移動することができる。
【0028】
なお、実施例1においては、滑動部材8として、横ローラ8Aと縦ローラ8Bとを設ける構成としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、吊り扉構造においても扉の上端部及び下端部に同一のローラ等の滑動部材を備えた構成としてもよい。さらに、ローラではなく、デルリン(登録商標)のような滑りやすい部材で滑動部材8を構成してもよい。
【0029】
次に、被ロック部3について説明する。実施例1における被ロック部3は、エレベーター用扉における前扉1の閉方向(図3の-x方向)の端部近辺の上方及び下方に設けられ、前扉1の厚み方向(図3のy方向)に水平に取付けられた棒状片からなる。また、2つの被ロック部3が設けられる上下方向(z方向)の位置は、前扉1の上端部からの距離と下端部からの距離が共にAであり、閉方向(-x方向)端部からの距離が共にBである。この被ロック部3に、搬器10に設けられたロック部9Aが図6の構成では反時計方向に回動することで係合してエレベーター用扉(前扉1、後扉2)が開放することを防ぎ、ロック部9Aが図6の構成では時計方向に回動することで係合が解除されてエレベーター用扉(前扉1、後扉2)が開放可能とされる(図6図7参照)。
【0030】
ロック部9Aは、略L型で一方の端部に被ロック部3に係合する凹部を備え、他方の端部に回動可能なローラを備えている。また、図6におけるロック部9Aは、バネ力により常時反時計方向に付勢されており、搬器10が上昇中又は下降中は、エレベーター用扉(前扉1、後扉2)が開放されることを防いでいる。搬器10が各階の停止位置に近づくと、図6に示す略台形形状を有したロック部駆動片9Bにロック部9Aが徐々に係合して時計方向に回動し、被ロック部3のロックが解除されてエレベーター用扉(前扉1、後扉2)を開くことが可能となる(図7参照)。
【0031】
実施例1においては、被ロック部3をエレベーター用扉における前扉1の上端から距離Aの位置、及び下端から距離A(図3図4参照)の位置であって閉方向(-x方向)端部から同一距離B(図3図4参照)に設けていることにより、エレベーター用扉(前扉1、後扉2)を上下逆向きにして搬器10に設置してもロック部駆動片9Bにロック部9Aが係合することができ、エレベーター用扉(前扉1、後扉2)の開放及び開放禁止を制御することができる。なお、図6図7のエレベーター用扉(前扉1、後扉2)を上下逆向きにした場合は、被ロック部3は+x方向の端部近辺に位置することになるから、ロック部9A及びロック部駆動片9Bはエレベーター用扉(前扉1、後扉2)の+x方向に設けておく必要がある。
【0032】
なお、実施例1においては、被ロック部3を棒状片で構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、鈎構造の部材としてもよいし、他の構造としてもよい。少なくともロック部が係合する構造であればよい。
【0033】
次に、窓4について説明する。エレベーター用扉における前扉1には、上方及び下方における左右方向中央部に2つの窓4が設けられている。窓の大きさは特に規定されないが、搬器10に搭乗する人が外部を観察できる程度の大きさであればよく、形状は略四角形である。これにより、エレベーター用扉(前扉1、後扉2)を上下逆向きにして搬器10に設置しても搬器10に搭乗する人が外部を観察することができる。
【0034】
なお、実施例1においては、2つの窓4を上方及び下方における左右方向中央部に設ける構成としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、左右方向中央部ではなく左方向や右方向に偏った位置の上方及び下方に設けてもよい。また、上方及び下方にそれぞれ設けるのではなく、上方から下方までをカバーする大きな窓を設けてもよい。また、2つの窓4の形状は略四角形でなくてもよく、いずれか一方又は両方が略三角形や円形状であってもよい。
【0035】
次に、開閉用取手5について説明する。開閉用取手5はエレベーター用扉における前扉1の閉方向(図3の-x方向)の近くであって、上下方向の中央部に設けられている。この開閉用取手5を横方向に引くことにより人力でエレベーター用扉(前扉1、後扉2)を開放し、また閉めることができる。開閉用取手5を前扉1の上下方向の中央部に設けたことにより、エレベーター用扉(前扉1、後扉2)を上下逆向きにして搬器10に設置しても開閉用取手5が開放や閉鎖がしやすい位置に配置することができる。
【0036】
なお、実施例1においては、エレベーター用扉を前扉1と後扉2とからなる構成としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、前扉1のみからなるように構成してもよい。
【0037】
また、窓4を前扉1に設ける構成としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、後扉2にも窓4を1つ、又は2つ設けるように構成してもよい。
【0038】
さらに、実施例1においては、搬器10の2ヶ所にエレベーター用扉(前扉1、後扉2)を設けた構成としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、1ヶ所のみにエレベーター用扉(前扉1、後扉2)を設けた構成としてもよい。この場合、開閉方向が逆になってもエレベーター用扉(前扉1、後扉2)を上下逆向きに搬器10に設置することができる。このため、工期やコストが節約できる。また、搬器10の3ヶ所以上にエレベーター用扉(前扉1、後扉2)を設ける構成としてもよい。
【0039】
このように、実施例1においては、エレベーターの搬器に設置可能な横開式のエレベーター用扉であって、
上端部及び下端部のそれぞれに同一の滑動部材を備えたことを特徴とするエレベーター用扉により、2方向に扉を有する場合や開閉方向が異なる場合であっても共通の扉を使用できるようにすることができる。
【0040】
また、上端部及び下端部のそれぞれに同一の滑動部材を備えたエレベーター用扉と、
前記滑動部材を滑動させるレールを前記エレベーター用扉の上下に設けた搬器と、を備えたことを特徴とするエレベーターにより、2方向に扉を有する場合や開閉方向が異なる場合であっても共通の扉を使用できるようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明におけるエレベーター用扉、及びエレベーターは、エレベーターの分野に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0042】
1:前扉 2:後扉 3:被ロック部 4:窓 5:開閉用取手
6:駆動フレーム 7:搬器本体
8:滑動部材 8A:横ローラ 8B:縦ローラ
9A:ロック部 9B:ロック部駆動片
10:搬器
11:前扉用レール 12後扉用レール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7