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特許7536413地図表示装置、地図表示装置の制御方法、および地図表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】地図表示装置、地図表示装置の制御方法、および地図表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/10 20060101AFI20240813BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20240813BHJP
   G06T 11/60 20060101ALI20240813BHJP
   G01V 1/28 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
G09B29/10 A
G09B29/00 F
G06T11/60 300
G01V1/28
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023077291
(22)【出願日】2023-05-09
(62)【分割の表示】P 2019152216の分割
【原出願日】2019-08-22
(65)【公開番号】P2023104939
(43)【公開日】2023-07-28
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【弁理士】
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(72)【発明者】
【氏名】天野 寿
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-018041(JP,A)
【文献】特開2010-054702(JP,A)
【文献】特開2009-169173(JP,A)
【文献】特開2005-208893(JP,A)
【文献】特開2002-267761(JP,A)
【文献】特開平11-144168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 29/00
G01C 21/00-21/36
G06F 3/01, 3/048-3/04895
G06T 11/00
G01V 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大震度の位置と震源地の位置とを少なくとも含む地震情報を取得する取得部と、
取得した前記地震情報を地図上に重畳して表示デバイスに表示させる表示制御部と、を有し、
前記表示制御部は、取得した前記地震情報に含まれる最大震度の位置の情報が1つの場合、当該位置を前記地図の中心位置に設定し、
前記表示制御部は、取得した最大震度の位置の情報が複数の場合であって、
各々の最大震度の位置を結ぶ第1の図形に前記震源地の位置が含まれる場合は、前記震源地の位置を考慮せずに、前記第1の図形の重心位置に前記地図の中心位置を設定し、
前記第1の図形に前記震源地の位置が含まれない場合は、各々の最大震度の位置と前記震源地の位置とを結ぶ第2の図形の重心位置に前記地図の中心位置を設定する、地図表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記地震情報に基づいて前記地図の表示縮尺を決定する、請求項記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記地震情報に基づいて、前記表示デバイスに提供する前記地図の表示範囲を決定し、
前記地図の表示範囲は、前記表示デバイスの表示範囲よりも大きい、請求項記載の地図表示装置。
【請求項4】
地図表示装置の制御方法であって、
最大震度の位置と震源地の位置とを少なくとも含む地震情報を取得する取得工程と、
取得した前記地震情報を地図上に重畳して表示デバイスに表示させる表示制御工程と、を有し、
前記表示制御工程において取得した前記地震情報に含まれる最大震度の位置の情報が1つの場合、当該位置を前記地図の中心位置に設定するように制御し、
前記表示制御工程において、取得した最大震度の位置の情報が複数の場合であって、
各々の最大震度の位置を結ぶ第1の図形に前記震源地の位置が含まれる場合は、前記震源地の位置を考慮せずに、前記第1の図形の重心位置に前記地図の中心位置を設定し、
前記第1の図形に前記震源地の位置が含まれない場合は、各々の最大震度の位置と前記震源地の位置とを結ぶ第2の図形の重心位置に前記地図の中心位置を設定すように制御する地図表示装置の制御方法。
【請求項5】
コンピュータに、
最大震度の位置と震源地の位置とを少なくとも含む地震情報を取得する取得機能、取得した前記地震情報を地図上に重畳して表示デバイスに表示させる表示制御機能、を実現させ、
前記表示制御機能は、取得した前記地震情報に含まれる最大震度の位置の情報が1つの場合、当該位置を前記地図の中心位置に設定し、
前記表示制御機能は、取得した最大震度の位置の情報が複数の場合であって、
各々の最大震度の位置を結ぶ第1の図形に前記震源地の位置が含まれる場合は、前記震源地の位置を考慮せずに、前記第1の図形の重心位置に前記地図の中心位置を設定し、
前記第1の図形に前記震源地の位置が含まれない場合は、各々の最大震度の位置と前記震源地の位置とを結ぶ第2の図形の重心位置に前記地図の中心位置を設定する、地図表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、利用者による簡単な操作で、電子地図上の所望の位置およびその周辺
地域における各種の地盤情報を、利用者に提供する技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-54702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、地図の視認性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る地図表示装置は、
地図を記憶する記憶手段と、
最大震度を少なくとも含む地震情報を取得する取得手段と、
前記地震情報を前記地図上に重畳して表示手段に表示する表示制御手段と、を有し、
前記表示制御手段は、前記地震情報に含まれる最大震度の数に応じて、前記表示手段に表示する前記地図の中心位置を異ならせる、ことを特徴とする。
そのほか、本発明は、以下の形態として実現することが可能である。最大震度の位置と震源地の位置とを少なくとも含む地震情報を取得する取得部と、取得した前記地震情報を地図上に重畳して表示デバイスに表示させる表示制御部と、を有し、前記表示制御部は、取得した前記地震情報に含まれる最大震度の位置の情報が1つの場合、当該位置を前記地図の中心位置に設定し、前記表示制御部は、取得した最大震度の位置の情報が複数の場合であって、各々の最大震度の位置を結ぶ第1の図形に前記震源地の位置が含まれる場合は、前記震源地の位置を考慮せずに、前記第1の図形の重心位置に前記地図の中心位置を設定し、前記第1の図形に前記震源地の位置が含まれない場合は、各々の最大震度の位置と前記震源地の位置とを結ぶ第2の図形の重心位置に前記地図の中心位置を設定する、地図表示装置。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】地図表示システムの構成例を示す図である。
図2】地図情報記憶部のデータ構成例を示す図である。
図3】透過率テーブルの構成例を示す図である。
図4】地図表示装置の処理動作例を示す図である。
図5】地図の中心位置、地図の表示範囲を決定する例を説明する図である。
図6】地図表示装置の処理動作例を示す図である。
図7】利用者端末で表示する地図画像の構成例を示す図である。
図8】地図の中心位置を決定する変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図に
おいて、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0008】
<地図表示システムの構成例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態に係る地図表示システムの構成例について説明
する。図1は、本実施形態に係る地図表示システムの構成例を示す図である。
【0009】
本実施形態に係る地図表示システムは、図1に示すように、利用者端末1、地図表示装
置2、情報提供装置3がネットワークNWを介して接続して構成する。ネットワークNW
は、有線、無線を問わずあらゆる通信形態が適用可能である。
【0010】
情報提供装置3は、地震などの災害情報を地図表示装置2に送信し、地図表示装置2は
、災害情報を災害情報記憶部223に記憶する。災害情報には、災害の大きさの度合いを
示す値が含まれる。例えば、災害情報が地震の場合は、最大震度が含まれる。
【0011】
利用者端末1は、災害情報の表示要求を地図表示装置2に送信する。地図表示装置2は
、利用者端末1から災害情報の表示要求を受け付けた場合に、表示対象の災害情報を災害
情報記憶部223から取得する。地図表示装置2は、表示対象の災害情報に含まれる値の
中で、災害の大きさが最も大きい度合いを示す値の数に応じて、利用者端末1の表示部に
表示する地図の中心位置を異ならせる。例えば、表示対象の災害情報が地震の場合、利用
者端末1の表示部に表示する地図上には、最大震度が発生した地点を表示する。このため
、地図上に表示する最大震度の数が1つの場合は、その最大震度の表示位置を、表示対象
の地図の中心位置に設定する。また、地図上に表示する最大震度が複数の場合は、各々の
最大震度の表示位置を包含するポリゴンを作成し、そのポリゴンの重心位置を、表示対象
の地図の中心位置に設定する。これにより、地図上に表示する最大震度の地点が複数存在
する場合でも、各々の最大震度の地点を基に、表示対象の地図の中心位置を設定し、利用
者端末1の表示部で、最大震度が発生した複数地点の情報を含む地図を表示することがで
きる。その結果、地図の視認性を向上させることができる。以下、本実施形態の地図表示
システムを構成する各装置の構成例について説明する。
【0012】
<情報提供装置3の構成例>
情報提供装置3は、津波、地震、台風、土砂災害、竜巻、河川の氾濫などの災害情報を
地図表示装置2に提供する装置である。災害情報は、気象庁、防災情報共有システム(SI
P4Dともいう)などが提供する情報であってもよい。情報提供装置3は、サーバなどの装
置があげられる。情報提供装置3は、制御部31、記憶部32を有して構成する。
【0013】
制御部31は、情報提供装置3の各部を制御する。記憶部32は、各種情報を記憶する。
本実施形態の情報提供装置3は、災害情報を記憶部32に記憶し、その記憶部32に記憶
した災害情報を地図表示装置2に提供する。地震の場合は、例えば、地震発生時刻、震源
地、深さ、規模、震源地の緯度・経度や地名、最大震度、最大震度の緯度・経度や地名、
各地域の地震観測地点の震度などの情報が含まれる。
【0014】
<利用者端末1の構成例>
利用者端末1は、利用者が使用する端末である。利用者端末1は、スマートフォン、P
Cなどの装置があげられる。利用者端末1は、制御部11、記憶部12、入出力部13、
位置情報取得部14を有して構成する。
【0015】
制御部11は、利用者端末1の各部を制御する。制御部11は、利用者端末1の利用者
に対して、地図情報を提供する。例えば、制御部11は、地図上に表示する災害情報の種
類などのパラメータを指定し、地図の表示要求を地図表示装置2に送信し、地図表示装置
2から表示対象地図の情報を取得し、入出力部13を介して利用者端末1に地図を表示す
る。制御部11が地図の表示要求を地図表示装置2に送信するトリガーとしては、例えば
、災害情報の種類の表示切替操作を利用者端末1が受け付けた場合、過去に発生した災害
情報の一覧の中から表示対象の災害情報の表示要求操作を利用者端末1が受け付けた場合
などがあげられる。
【0016】
記憶部12は、利用者端末1で使用する各種情報を記憶する。入出力部13は、利用者
端末1と利用者との間の情報の入出力に使用される種々のインターフェースである。入出
力部13としては、例えば、入力部としてのタッチパネル、操作ボタン、マイク、出力部
としてのタッチパネル、液晶パネル、スピーカなどがあげられる。入出力部13は、地図
を表示する表示部として機能する。位置情報取得部14は、利用者端末1の現在位置を取
得する。位置情報取得部14は、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星か
らの電波や基地局からの情報を受信し、利用者端末1の現在位置を検知し、その検知した
現在位置のデータ(例えば、緯度、経度、高さなどのデータ)を取得する。高さのデータ
は、気圧センサなどを用いて取得してもよい。位置情報取得部14は、歩行者自律航法(
Pedestrian Dead Reckoning)などを用いて自己位置推定を行ってもよい。
【0017】
<地図表示装置2の構成例>
地図表示装置2は、地図情報を利用者端末1に提供する装置である。地図表示装置2は
、サーバなどの装置があげられる。地図表示装置2は、制御部21、記憶部22を有して
構成する。
【0018】
制御部21は、地図表示装置2の各部を制御するほか、情報取得部211、情報抽出部
212、情報受付部213、地図表示制御部214として機能する。
【0019】
情報取得部211は、情報提供装置3から災害情報などを取得する。情報取得部211
は、取得した災害情報を後述する災害情報記憶部223に災害情報種別毎に記憶する。本
実施形態の地図表示装置2は、災害情報記憶部223に記憶した各種の災害情報を利用者
端末1に提供することができる。
【0020】
情報抽出部212は、後述する地図情報記憶部221に記憶された地図データを基に、
地図に含まれる注記情報の中から、当該地図上に表示する災害情報よりも優先的に表示す
る注記情報を抽出する。そして、情報抽出部212は、上記抽出した注記情報のみで構成
する注記レイヤを作成する。抽出する注記情報は、災害情報の種類によって異ならせても
よい。例えば、災害情報の種類が地震などの場合は、都道府県名、市区町村名に関する注
記情報を抽出する。災害情報の種類が河川の氾濫などの場合は、河川名に関する注記情報
を抽出する。これにより、災害情報に関係する注記情報を当該災害情報よりも優先的に地
図上に表示することができる。また、情報抽出部212は、地図に含まれる注記情報の中
から、上記抽出した注記情報を削除し、上記抽出した注記情報が含まれない背景地図(ベ
ース地図ともいう)を作成する。情報抽出部212は、上記作成した背景地図、注記レイ
ヤを表示縮尺、災害情報種類に紐付けて地図情報記憶部221に記憶する。災害情報種類
は、災害情報の種類を識別するための情報である。
【0021】
情報受付部213は、利用者端末1から地図の表示要求などを受け付ける。地図の表示
要求には、地図上に表示する災害情報の種類などの情報が含まれる。
【0022】
地図表示制御部214は、情報受付部213が受け付けた地図の表示要求に含まれる災
害情報の種類を特定する。また、地図表示制御部214は、表示対象の災害情報を基に、
利用者端末1に提供する地図の表示範囲を特定する。特定する地図の表示範囲は、利用者
端末1の表示範囲よりも一定範囲大きな領域(例えば、表示範囲+バッファなど)として
もよい。これにより、利用者端末1で表示された地図を動かしても再取得することなく地
図を表示することができる。また、地図表示制御部214は、表示対象の災害情報を基に
、利用者端末1に提供する地図の表示縮尺を決定する。
【0023】
また、地図表示制御部214は、後述する透過率情報記憶部224に記憶されている透
過率テーブルの中から、上記決定した表示縮尺に対応する透過率を特定し、その特定した
透過率を表示対象の災害情報に設定する。また、地図表示制御部214は、表示対象の災
害情報の種類と当該災害情報の内容に応じた表示色を災害情報に設定する。例えば、災害
情報の種類が地震の場合は、以下のように設定する。
【0024】
震度が1の場合は表示色を水色に設定する。震度が2の場合は表示色を緑色に設定する
。震度が3の場合は表示色を黄色に設定する。震度が4の場合は表示色を橙色に設定する
。震度が5の場合は表示色を赤色に設定する。なお、上記設定は一例であり、震度の情報
を更に細分化し(例えば、震度5弱、震度5強などに更に細分化する)、その細分化した
各震度に対して任意の色を設定してもよい。これにより、地図表示制御部214は、各震
度の大きさの度合いに応じた表示色を設定することができる。
【0025】
また、地図表示制御部214は、地図情報記憶部221に記憶されている背景地図、注
記レイヤの中から、上記決定した表示縮尺及び災害情報の種類に該当する背景地図、注記
レイヤを取得する。そして、表示制御部215は、上記取得した背景地図上に、上記設定
した透過率及び表示色の災害情報が存在し、上記災害情報上に、上記取得した注記レイヤ
が存在する地図画像の情報を利用者端末1に送信し、利用者端末1に表示する。
【0026】
記憶部22は、地図表示装置2で使用する各種情報を記憶する。記憶部22は、地図情
報記憶部221、経路情報記憶部222、災害情報記憶部223、透過率情報記憶部22
4を含んでいる。
【0027】
地図情報記憶部221は、図2に示すように、表示用の地図データを表示縮尺に対応付
けて記憶する。例えば、地図データを1/1500、1/3000、1/8000、1/21000、1/75000、1/15
万、1/30万、1/90万、広域(例えば、1/150万)、全国(例えば、1/780万)の表示縮尺に
対応付けて記憶する。地図データには、背景地図を構成するために必要な地形、建物、道
路、施設、注記などの情報が含まれており、その情報は表示縮尺毎に異なっている。例え
ば、道路を例に具体的に説明すると、表示縮尺が小さい場合には高速道路や国道などの主
要道路と当該道路に付帯する注記のみを地図データに含め、表示縮尺が中程度である場合
には上記に加えて更に県道と主要な市町道と当該道路に付帯する注記を地図データに含め
、表示縮尺が大きい場合には上記に加えて更に細街路や当該道路に付帯する注記を地図デ
ータに含める。
【0028】
また、地図情報記憶部221は、図2に示すように、上述した情報抽出部212が作成
した背景地図及び注記レイヤを、表示縮尺及び災害情報種類に対応付けて記憶する。
【0029】
経路情報記憶部222は、道路ネットワークデータを記憶する。道路ネットワークデー
タには、ノードと、ノード間をつなぐリンクと、が含まれる。各リンクには、そのリンク
が表す道路の距離、平均移動時間(旅行時間ともいう)が、リンクコストとして対応付け
られている。道路ネットワークデータは、移動手段(例えば、徒歩、自動車、自転車など
)別に記憶している。
【0030】
災害情報記憶部223は、情報取得部211が取得した各種災害情報を記憶する。
【0031】
透過率情報記憶部224は、透過率テーブルを記憶する。透過率テーブルは、図3に示
すように、表示縮尺に対して透過率を登録したテーブルであり、各表示縮尺に対して登録
される透過率は、表示縮尺が大きいほど大きくなるように設定されている。
【0032】
<地図表示装置2の処理動作例>
次に、図4を参照しながら、地図表示装置2で行う処理動作例について説明する。図4
は、最大震度が発生した地点を含む地震情報を地図上に表示する際の処理動作例について
説明する。
【0033】
地図表示装置2は、利用者端末1から地震情報の表示要求を受け付けた場合(ステップ
S1/Yes)、表示対象の地震情報を災害情報記憶部223から取得する(ステップS
2)。例えば、利用者端末1は、地図表示装置2の災害情報記憶部223に記憶されてい
る地震情報の一覧表の中から表示対象の地震情報を選択し、地震情報の表示要求を地図表
示装置2に送信する。この場合、地図表示装置2は、利用者端末1から受け付けた表示対
象の地震情報を災害情報記憶部223から取得する。なお、利用者端末1は、表示対象の
地震情報を選択せず、地震情報の表示要求を地図表示装置2に送信してもよい。この場合
、地図表示装置2は、災害情報記憶部223に記憶されている最新の地震情報を取得する
【0034】
地図表示装置2は、表示対象の地震情報に含まれる最大震度が1つか否かを判定する(
ステップS3)。最大震度が1つの場合は(ステップS3/Yes)、最大震度の表示位
置が表示対象の地図の中心となるように設定する(ステップS4)。例えば、震度に関す
る情報(例えば、震度1、震度2などの情報)を250mメッシュ単位に区分して記憶し
ていると仮定する。この場合、250mメッシュ単位の震度に関する情報を基に、最大震
度の情報が存在するメッシュを特定し、そのメッシュが1つか否かを判定する。最大震度
の情報が存在するメッシュが1つの場合は、そのメッシュの中心座標が表示対象の地図の
中心となるように設定する。これにより、例えば、表示対象の地震情報に含まれる最大震
度が震度5であり、その震度5のメッシュが1つだけの場合は、その震度5のメッシュの
表示位置を表示対象の地図の中心に設定することができる。
【0035】
次に、地図表示装置2は、ステップS4で設定した中心位置で、かつ、予め定められた
表示縮尺の地図上に地震情報を重畳した地図画像を作成し、その地図画像の情報を利用者
端末1に送信し、利用者端末1の表示部で表示する(ステップS5)。これにより、地図
表示装置2は、表示対象の地震情報に含まれる最大震度が1つの場合は、その最大震度の
表示位置を中心とした地図を利用者端末1に出力し、利用者端末1の表示部に表示するこ
とができる。
【0036】
地図表示装置2は、ステップS3において、表示対象の地震情報に含まれる最大震度が
複数存在する場合は(ステップS3/No)、各々の最大震度の表示位置を包含するポリ
ゴンを作成し、そのポリゴンの重心位置を地図の中心に設定する(ステップS6)。例え
ば、図5に示すように、250mメッシュ単位で管理する震度に関する情報の中に、最大
震度の情報が存在するメッシュが3つ存在するとする。図5では、符号100で示す3つ
のメッシュが、最大震度の情報が存在するメッシュとする。この場合、各々のメッシュ1
00の中心座標101、102、103を結ぶポリゴン200を作成する。そして、その
作成したポリゴン200の重心位置201を地図の中心に設定する。ポリゴン200の重
心位置は、公知の算出方法を用いて算出することができる。これにより、例えば、表示対
象の地震情報に含まれる最大震度が震度5であり、その震度5のメッシュが複数存在する
場合は、その震度5の各々のメッシュの表示位置を基に、表示対象の地図の中心を決定す
ることができる。
【0037】
次に、地図表示装置2は、ポリゴン200を包含する矩形を算出し、その算出した矩形
に含まれる地図を利用者端末1の表示部に表示可能な表示縮尺を決定する(ステップS7
)。例えば、図5に示すように、ポリゴン200を包含する矩形300を算出し、その算
出した矩形300の左下座標301、右上座標302を算出し、その算出した座標位置3
01、302を基に、矩形300内の地図を利用者端末1の表示部に表示可能な表示縮尺
を決定する。これにより、矩形300内の地図を表示可能な表示縮尺を決定することがで
きる。なお、図5では、矩形300は、最大震度を表示する各々のメッシュ100の外形
を包含するようにしている。しかし、最大震度を表示する各々のメッシュ100の中心座
標101、102、103を包含する矩形を算出するようにしてもよい。また、図5では
、矩形300内の地図を利用者端末1の表示部に表示可能な表示縮尺を決定しているが、
少なくとも最大震度の表示位置を含む地図を利用者端末1の表示部に表示可能な表示縮尺
を決定することが可能であればよく、例えば、図5に示すように、矩形300を所定の倍
率で拡大した矩形303を算出し、その矩形303内の地図を利用者端末1の表示部に表
示可能な表示縮尺を決定してもよい。なお、矩形に含まれる地図を利用者端末1の表示部
に表示可能な表示縮尺が複数存在する場合は、その複数の表示縮尺の中で、表示縮尺が最
も大きい表示縮尺を選択するようにしてもよい。これにより、矩形に含まれる地図の視認
性が最も高い表示縮尺にすることができる。
【0038】
次に、地図表示装置2は、ステップS6で設定した中心位置で、かつ、ステップS7で
決定した表示縮尺の地図上に地震情報を重畳した地図画像を作成し、その地図画像の情報
を利用者端末1に送信し、利用者端末1の表示部で表示する(ステップS8)。これによ
り、地図表示装置2は、利用者端末1から表示要求を受け付けた地震情報に含まれる最大
震度の地点が複数存在する場合であっても、その各々の最大震度の地点を基に、利用者端
末1の表示部に表示する地図の中心位置を決定し、その決定した中心位置の地図を利用者
端末1に出力し、利用者端末1の表示部に表示することができる。
【0039】
次に、図6を参照しながら、地図表示装置2で行う別の処理動作例について説明する。
図6は、災害情報を地図上に表示する際の処理動作例を示す図である。
【0040】
地図表示装置2は、利用者端末1から災害情報の表示要求を受け付けた場合(ステップ
A1/Yes)、表示要求に含まれる災害情報の種類を基に、表示対象の災害情報を災害
情報記憶部222から取得する(ステップA2)。災害情報には、災害の大きさの度合い
を示す値が含まれる。例えば、上述した地震の場合は、最大震度が含まれることになる。
【0041】
地図表示装置2は、表示対象の災害情報に含まれる値の中で、災害の大きさが最も大き
い度合いを示す値(最大値)が1つか否かを判定する(ステップA3)。最大値が1つの
場合は(ステップA3/Yes)、その最大値の表示位置を地図の中心位置に設定する(
ステップA4)。次に、利用者端末1の表示部に表示する地図の表示縮尺を決定する(ス
テップA5)。例えば、地図表示装置2において災害情報種別毎に予め決められた表示縮
尺を基に、表示対象の災害情報に応じた表示縮尺を決定する。
【0042】
また、ステップA3において、災害の大きさが最も大きい度合いを示す値が複数の場合
は(ステップA3/No)、各々の最大値の表示位置を包含するポリゴンを作成し、その
ポリゴンの重心位置を地図の中心位置に設定する(ステップA6)。
【0043】
次に、地図表示装置2は、ポリゴンを包含する矩形を算出し、その算出した矩形内の地
図を利用者端末1の表示部に表示可能な表示縮尺を決定する(ステップA7)。
【0044】
次に、地図表示装置2は、透過率情報記憶部224に記憶されている透過率テーブルの
中から、上記決定した表示縮尺に対応する透過率を特定し、その特定した透過率を表示対
象の災害情報に設定する(ステップA8)。例えば、決定した表示縮尺が1/3000の場合は
図3を参照し、表示縮尺が1/3000に対応する透過率である65%を特定し、その特定した
65%の透過率を災害情報に設定する。これにより、災害情報は、65%の透過率で地図上に
表示することになる。
【0045】
次に、地図表示装置2は、地図情報記憶部221に記憶された地図データを基に、上記
決定した表示縮尺の地図に含まれる注記情報の中から、当該地図上に表示する災害情報よ
りも優先的に表示する注記情報を抽出する。そして、上記抽出した注記情報のみで構成す
る注記レイヤを作成する(ステップA9)。
【0046】
また、地図表示装置2は、上記決定した表示縮尺の地図に含まれる注記情報の中から、
上記抽出した注記情報を削除した背景地図を作成する(ステップA10)。
【0047】
次に、地図表示装置2は、上記作成した背景地図上に、上記設定した透過率の災害情報
が存在し、当該災害情報上に、上記作成した注記レイヤが存在する地図画像の情報を利用
者端末1に送信し、利用者端末1で表示する(ステップA11)。
【0048】
地図表示装置2は、ステップA11の処理により、図7に示すように、背景地図→災害
情報→注記レイヤの順で構成する地図画像を利用者端末1で表示することができる。
【0049】
<本実施形態の地図表示システムの作用・効果>
本実施形態の地図表示装置2は、表示対象の災害情報に含まれる最大値(災害の大きさ
が最も大きい度合いを示す値ともいう)の数に応じて、災害情報を表示する地図の中心位
置を異ならせる。具体的には、最大値が1つの場合は、その最大値の表示位置を地図の中
心位置に設定する。また、最大値が複数の場合は、各々の最大値の表示位置を包含するポ
リゴンを作成し、そのポリゴンの重心位置を地図の中心位置に設定する。これにより、災
害の大きさが最も大きい地点(最大値の地点ともいう)の情報を含む災害情報を地図上に
表示する際に、最大値の数に応じて好適な地図の中心位置を決定することができる。その
結果、地図の視認性を向上させることができる。
【0050】
例えば、本実施形態において、表示対象の災害情報が地震の場合、利用者端末1の表示
部に表示する地図上には、最大震度が発生した地点を表示する。このため、地図上に表示
する最大震度の数が1つの場合は、その最大震度の表示位置を、利用者端末1の表示部に
表示する地図の中心位置に設定する。また、地図上に表示する最大震度が複数の場合は、
各々の最大震度の表示位置を包含するポリゴンを作成し、そのポリゴンの重心位置を、利
用者端末1の表示部に表示する地図の中心位置に設定する。これにより、地図上に表示す
る最大震度の地点が複数存在する場合でも、各々の最大震度の地点を基に、表示対象の地
図の中心位置を設定し、利用者端末1の表示部で、最大震度が発生した複数地点の情報を
含む地図を表示することができる。
【0051】
また、本実施形態では、利用者端末1に表示する地図の表示縮尺に応じた注記情報(注
記レイヤともいう)を災害情報よりも優先的に地図上に表示する。その結果、本実施形態
の地図表示装置2は、地図上に災害情報を表示した場合でも、注記情報の視認性を向上さ
せることができる。
【0052】
また、本実施形態の地図表示装置2は、利用者端末1に表示する地図の表示縮尺に応じ
た透過率で設定した災害情報を地図上に表示し、その災害情報上に注記情報を表示する。
その結果、本実施形態の地図表示装置2は、災害情報と注記情報との双方の視認性を高め
ることができる。例えば、地図の表示縮尺を小さくして広域地図を表示した場合は、色が
はっきりとした災害情報上に特定の注記情報が表示されるため、災害情報と注記情報との
双方の視認性を高めることができる。また、地図の表示縮尺を大きくして詳細地図を表示
した場合は、地図上に広範囲にわたって表示される災害情報上に特定の注記情報が表示さ
れるため、災害情報と注記情報との双方の視認性を高めることができる。
【0053】
<変形例>
上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上述した実施形態のみに本発明
の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施
した形態での実施が可能である。
【0054】
(変形例1)
上述した実施形態では、図5に示すように、表示対象の災害情報に含まれる各々の最大
値の表示位置101、102、103を包含するポリゴン200を作成し、そのポリゴン
200の重心位置を地図の中心位置に設定している。しかし、図8に示すように、ポリゴ
ン200を包含する矩形300を算出し、その矩形300の対角線同士が交差する交点4
00を地図の中心位置に設定してもよい。この場合も、災害情報に含まれる最大値の数に
応じて好適な地図の中心位置を決定し、災害情報を表示することができる。
【0055】
(変形例2)
上述した実施形態では、表示対象の災害情報に含まれる最大値の数に応じて、災害情報
を表示する地図の中心位置を異ならせることにしている。しかし、災害情報が地震の場合
は、震源地の情報も含まれるため、最大震度の表示位置だけでなく、震源地の表示位置も
考慮して地図の中心位置を設定するようにしてもよい。例えば、震源地の表示位置が、図
5に示す最大震度の中心座標101、102、103を結ぶポリゴン200内に含まれて
いる場合は、震源地の表示位置を考慮せずに、ポリゴン200の重心位置を地図の中心位
置に設定する。また、震源地の表示位置が、最大震度の中心座標101、102、103
を結ぶポリゴン200内に含まれていない場合は、その震源地の表示位置も含めた新たな
ポリゴンを作成し、そのポリゴンの重心位置を地図の中心位置に設定する。これにより、
震源地の表示位置も考慮して地図の中心位置を設定することができる。
【0056】
(変形例3)
上述した実施形態では、地図表示装置2は、図3に示す表示縮尺に応じた透過率を登録
した透過率テーブルを参照し、表示対象の地図の表示縮尺に対応する透過率を特定し、そ
の特定した透過率を災害情報に設定するようにしている。しかし、表示縮尺及び災害情報
種類に応じた透過率を登録した透過率テーブルを用いるようにしても良い。これにより、
地図表示装置2は、地図の表示縮尺だけでなく、災害情報種類別に異なる透過率を設定す
ることができる。
【0057】
(変形例4)
上述した実施形態では、利用者端末1に表示する地図の表示縮尺に応じた注記情報(注
記レイヤともいう)を災害情報よりも優先的に地図上に表示するようにしている。しかし
、災害情報よりも優先的に表示する情報は、注記情報だけでなく、行政区画の境界線、道
路形状、河川形状などの地図を構成する各種の描画情報としてもよい。この場合、災害情
報よりも優先的に表示する描画情報は、災害情報に応じて異ならせてもよい。例えば、災
害情報が地震などの場合は、行政区画の境界線や名称などを災害情報よりも優先的に表示
する。また、災害情報が河川の氾濫の場合は、河川形状や河川名称などを災害情報よりも
優先的に表示する。これにより、ユーザが地図上で災害情報と共に把握したい描画情報を
その災害情報よりも優先的に地図上に表示することができる。
【0058】
(変形例5)
上述した本実施形態の利用者端末1、地図表示装置2、情報提供装置3を構成する各部
の制御動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用い
て実行することも可能である。
【0059】
ソフトウェアを用いて処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラム
を、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして
実行させることが可能である。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータ内のメ
モリにインストールして実行させることが可能である。
【0060】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROMに予め記録しておく
ことが可能である。あるいは、プログラムは、リムーバブル記録媒体に一時的、あるいは
、永続的に記録しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆ
るパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。リムーバブル記録媒体は、
磁気ディスク、半導体メモリなどの各種記録媒体があげられる。
【0061】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインス
トールすることになる。また、ダウンロードサイトからコンピュータに無線で転送するこ
とになる。また、ネットワークを介してコンピュータに有線で転送することになる。
【0062】
プログラムの形態としては、クラウド等によるネット上のサーバからの利用もありえる
。一部のプログラムのみをコンピュータに転送して利用する形態もありえる。
【0063】
(変形例6)
上述した実施形態の地図表示システムを構成する各部は、上述した実施形態で説明した
処理動作に従って時系列的に処理を実行するだけに限定するものでない。例えば、処理を
実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に処理を実行す
るように構築することも可能である。また、上述した実施形態の地図表示システムの各機
能を複数の情報処理装置の協働によって実現してもよく、上述した記憶部22、32に記
憶した情報のうちの少なくとも一部は、他の装置の内部/外部記憶装置に記憶されていて
もよく、例えばクラウド上に構築されていてもよい。
【0064】
(変形例7)
以上の実施形態の全部又は一部に記載された態様は、地図の視認性の向上、処理速度の
向上、処理精度の向上、使い勝手の向上、データを利用した機能の向上又は適切な機能の
提供その他の機能向上又は適切な機能の提供、データ及び/又はプログラムの容量の削減
、装置及び/又はシステムの小型化等の適切なデータ、プログラム、記録媒体、装置及び
/又はシステムの提供、並びにデータ、プログラム、装置又はシステムの制作・製造コス
トの削減、制作・製造の容易化、制作・製造時間の短縮等のデータ、プログラム、記録媒
体、装置及び/又はシステムの制作・製造の適切化のいずれか一つの課題を解決する。
【符号の説明】
【0065】
1 利用者端末
11 制御部
12 記憶部
13 入出力部
14 位置情報取得部
2 地図表示装置
21 制御部
211 情報取得部
212 情報抽出部
213 情報受付部
214 地図表示制御部
22 記憶部
221 地図情報記憶部
222 経路情報記憶部
223 災害情報記憶部
224 透過率情報記憶部
3 情報提供装置
31 制御部
32 記憶部
NW ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8