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特許7536419マイクロミキサ管に耐摩耗性を伴うろうコーティングを提供する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】マイクロミキサ管に耐摩耗性を伴うろうコーティングを提供する方法
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/04 20060101AFI20240813BHJP
   B01F 23/23 20220101ALI20240813BHJP
   B01F 25/40 20220101ALI20240813BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20240813BHJP
   B23K 20/12 20060101ALI20240813BHJP
   B23K 31/02 20060101ALI20240813BHJP
   F01D 25/24 20060101ALI20240813BHJP
   F02C 7/22 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
F23R3/04
B01F23/23
B01F25/40
B23K1/00 330P
B23K20/12 G
B23K31/02 310C
F01D25/24 R
F02C7/22 C
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018018794
(22)【出願日】2018-02-06
(65)【公開番号】P2018169150
(43)【公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-01-27
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】15/427,831
(32)【優先日】2017-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】デチャオ・リン
(72)【発明者】
【氏名】シュリーカーンス・チャンドルデュ・コットリンガム
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・リー・トリソン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・キュイ
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】河端 賢
【審判官】倉橋 紀夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0167983(US,A1)
【文献】特開2001-162367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/00
F23R 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンシステム(10)のマイクロミキサ組立体(16)であって、当該マイクロミキサ組立体(16)が、
受け入れ径(32)を有する少なくとも1つの開口部(30)を含むプレート(17)と、
流れを受け入れ、流れを燃焼器(12)に拡散させるための入口(38)及び出口(40)を有する少なくとも1つのマイクロミキサ管(20)であって、前記少なくとも1つのプレート(17)の開口部(30)の前記受け入れ径(32)内に適合するように構成される径(36)を有する外面を含み、その外面の少なくとも一部分に、ろう合金粉末をろう付けしてなる耐摩耗性コーティングを備える少なくとも1つのマイクロミキサ管(20)と
を備えており、前記少なくとも1つのマイクロミキサ管(20)が、前記プレート(17)の開口部(30)を貫通して挿入され、の外面の位置で、前記少なくとも1つの開口部(30)において前記プレート(17)に連結される、マイクロミキサ組立体(16)。
【請求項5】
タービンシステム(10)のマイクロミキサ組立体(16)を組立てる方法であって、流れを受け入れ、流れを燃焼器(12)に拡散させるための入口(38)及び出口(40)を有する少なくとも1つのマイクロミキサ管(20)の外面の少なくとも一部分に、表面処理を施すステップであって、該表面処理を施すステップが、ろう合金粉末を付着させ、次いで真空ろう付け処理を行ってろう合金粉末をろう付けしてなる耐摩耗性コーティングを形成することを含む、ステップと、
前記耐摩耗性コーティングを有する少なくとも1つのマイクロミキサ管(20)をプレート(17)の受け入れ開口部(30)の中に挿入するステップと、
前記少なくとも1つのマイクロミキサ管(20)と前記プレート(17)とを連結するステップと
を含む方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのマイクロミキサ管(20)と前記耐摩耗性コーティングとの間及び前記耐摩耗性コーティング上のいずれか又は両方に、ボンディングコート層及び熱コーティングの一方又は両方を適用することを更に含む、請求項5乃至請求項10のいずれか1項に記載のタービンシステム(10)のマイクロミキサ組立体(16)を組立てる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造した物品、及びマイクロミキサ部品及び物品を製造するための方法を目的とする。より詳細には、本発明の実施形態は、タービンエンジンの燃焼器部品などの、摩耗保護された部品及び物品に関し、更に詳細には、高度に摩耗保護されたマイクロミキサ管、及び1つ又は複数のマイクロミキサプレートを伴うその組立体に関し、マイクロミキサ管は性能を向上させ、かつ摩耗に関連する故障を軽減するための摩耗保護を有する。
【背景技術】
【0002】
通常タービンエンジンは、入ってくる空気の流れを圧縮する1つ又は複数の部品を含み、その圧縮した空気の流れを、燃料の加圧流と混合する燃焼器に送達して、その混合物に点火して燃焼ガスの流れを作り出す。タービンシステムの燃焼器は、燃料プレナム、吸気口、及び1つ又は複数のセグメント化した混合管の束を形成する多くの混合管と連通する、ベースノズル構造を通常含む、マイクロミキサ組立体を含むことが多い。ベースノズル構造は、燃料を燃料プレナムに供給する。燃料は、燃料プレナムを出て混合管に入る。空気は吸気口を介して混合管の中に導かれ、燃料と混合して空気/燃料混合物を作り出す。空気/燃料混合物は、混合管を出て下流の燃焼チャンバに入る。この燃焼ガスの流れはタービンを駆動して、電力発電などのための機械的仕事を生成する。タービンエンジンは、任意の種々の燃料を使用してよく、ニューヨーク州スケネクタディのGeneral Electric Companyが提供するような、任意の複数の異なるタービンエンジンから選択され得る。いくつかの特定の実施形態において、マイクロミキサ組立体は、複数の管及び少なくとも第1のエンドプレートを含む。第1のエンドプレートは、穴開け又は切込みによる複数の穴を有し、その中で各々の管の第1の端部が終端する。エンドプレートの複数の穴は、その開口部内に配設される複数の管の数と対応する。
【0003】
各種の方法によれば、プレートの開口部内のマイクロミキサ管の組立体は、組立体を安定させ、プレート内の管の振動を最小限に抑えるために、プレートの開口部内のマイクロミキサ管を固定するプロセスを要する。いくつかの事例において、この固定は摩擦溶接によって実現され、他の事例においては、金及び/又はニッケルを含み得る比較的高価なろう付け用溶加材を使用することによって実現される。このようなプロセスは時間がかかり、かつ高価であって、常に所望の結果が得られるとは限らない。したがって、動作中のプレートの開口部内における管の振動は、最終的に金属損失及び管先端の故障の一因となる摩耗をもたらす場合があり、これは次に、燃焼器の非効率性、及び故障の可能性となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2013/0241089号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明の態様によれば、タービンシステムのマイクロミキサ組立体は、受け入れ径を備える少なくとも1つの開口部を有するプレートと、少なくとも1つのマイクロミキサ管であって、流れを受け入れ、流れを燃焼器に拡散させるための入口及び出口を有する、少なくとも1つのマイクロミキサ管とを含み、少なくとも1つのマイクロミキサ管は少なくとも1つのプレートの開口部の受け入れ径内に適合するよう構成される外径を有する外面を含み、少なくとも1つの管は、摩耗を軽減させるための表面処理と適応され、表面処理は少なくともろう付けされた耐摩耗コーティングを備える。
【0006】
本発明の別の態様によれば、タービンシステムの耐摩耗マイクロミキサ組立体を組立てる方法が提供される。この方法は、少なくとも1つのマイクロミキサ管の少なくとも一部分に表面処理を適用することを含み、この表面処理は、ろう合金を適用し、その後ろう付けされた耐摩耗性コーティングを形成する処理を備える。この方法は、マイクロミキサ管の直近に、少なくとも1つのボンディングコート層を適用することを任意選択で更に含み、この層の上にろう付けされた耐摩耗層が適用される。この方法は、マイクロミキサ管の材料とろう付けされた耐摩耗層との間、若しくはろう付けされた耐摩耗層の上のいずれか、又は両方に、遮熱コーティングのような少なくとも1つの耐熱コーティングを任意選択で適用することを更に含む。表面処理されたマイクロミキサ管を、プレートの受け入れ開口部に挿入することも含まれる。任意選択で、マイクロミキサ管とプレートとの間のしっかりした係合のための固定手段を適用することも更に含まれ、この手段は、エキスパンダを用いて、管の内壁に径方向の力を加えて、管の外径とプレートの受け入れ開口部との間に少なくとも1つの動作可能な接続を形成することを、任意選択で含む。
【0007】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の原理を例として示す添付の図面を共に、以下の好ましい実施形態のより詳細な説明から、明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ヘッドエンドに位置されるマイクロミキサ組立体を有するタービンシステムの、斜視図である。
図2】プレートの開口部内に配設されるマイクロミキサ管、及びマイクロミキサ管内に配設されるエキスパンダの、上部断面図である。
図3】表面処理されたマイクロミキサ管の作成方法、及び向上した耐摩耗マイクロミキサ組立体を組立てる方法を示す、フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
製造方法、並びにマイクロミキサ管及び組立体を含む、燃焼マイクロミキサ管の摩耗管理のための物品が提供される。本明細書で開示される特徴のうちの1つ又は複数を含まない物品及び方法と比較して、本開示の実施形態は、部品の動作寿命を延ばすために追加の摩耗保護特徴を提供して、高価な材料を使用する必要性、及び燃焼器部品を組立てて固定するプロセスを最小限に抑え、タービンの部品の使用可能な寿命を延ばすことを可能にし、タービンの部品の実施形態を使用するガスタービンシステムをより効率的にして、高価ではない基本部品材料、又はそれらの組み合わせを使用可能にする。特に本開示の実施形態は、本明細書で開示された特徴のうちの1つ又は複数を含まないプロセス及び物品と比較して、著しく摩耗を軽減する利点を有効にして、それによって金属損失及び管先端の故障に対処し、したがって部品の寿命及びタービンの連続した作動を向上させる。
【0010】
次に図1を参照すると、燃焼器セクション12及びヘッドエンド14を有するタービンシステム10の、燃焼部品の代表的な実施形態が示される。ヘッドエンド14は、燃焼器セクション12の上流位置に近接して配設され、マイクロミキサ組立体16を含む。マイクロミキサ組立体16は、全体的に径方向かつ周縁に延びるプレート17を含み、いくつかの実施形態においては複数のセクター18を有し、その各々は複数の管20を備える。燃焼器セクション12は、上流端24まで延びる外側ライナー22によって画定される。流れスリーブ26は、外側ライナー22の径方向外側に離隔され、かつ外側ライナー22を囲んで包む。空気の流れは、外側ライナー22及び流れスリーブ26によって画定された空気経路内の上流を、外側ライナー22の上流端24まで通過する。示された実施形態は代表的なものに過ぎず、マイクロミキサ組立体の代替の特徴を含む燃焼部品の他の例が、当技術分野で知られており、したがって示される本実施形態は限定ではないことを理解されたい。
【0011】
燃焼器の動作において、外側ライナー22に対流冷却を提供するために、作動流体が、外側ライナー22の外側に沿って流れスリーブ26の経路を流れ抜けることができる。流体が燃焼器のエンドカバーに達すると、流体は方向を逆転させ、管20の少なくとも一部を流れ抜け、そこで燃焼器セクション12に注入される前に燃料と混合される。一般的に、管20は、軸方向に下流端から離された上流端を含み、本発明によれば、本明細書の下記で説明するように、管20の各々は、1つ又は複数のプレート17の中に挿入する、少なくとも端部がろう付けされる。
【0012】
図2を参照すると、プレート17の上部断面及び複数の管の中の管20が図示され、管20はプレート17の受け入れ開口部30内に配設されて示される。プレート17は、プレート17を貫通して相対的に軸方向に延びる、複数の受け入れ開口部を含み、それらは各々、管20が挿入できるように寸法が決められた受け入れ径32を有するように構成される。具体的には、管20は内径34、外径36、入口38、及び出口40を備える。受け入れ開口部30の受け入れ径32内に挿入されるように、管20の外径36の寸法が決められる。
【0013】
いくつかの実施形態において、管20は、管20の外壁部分とプレートの受け入れ開口部30との間で、摩擦溶接を形成するのを容易にするように寸法が決められ、かつ適応される。いくつかのこのような実施形態によれば、図2に示されるようにマイクロミキサ管20は、管20の内径34に近い寸法に決められた外径54を有する、少なくとも1つのエキスパンダヘッド52を含むエキスパンダ50を受け入れるように、適応されてよい。エキスパンダ50はシャフト部分56を備える。シャフト部分56は、タービンシステム10の軸方向と相対的に一致する長手方向58に延び、その長さに沿って配設される少なくとも1つのエキスパンダヘッド52を伴う。エキスパンダヘッド52の機能は、プレート17の受け入れ開口部30と摩擦溶接を形成するのに望ましい管20の中の位置に、制御可能に配設されることである。管がプレートの開口部内に係合する代替の手段があり、摩擦溶接のためのエキスパンダ手段は単なる1つの例であって、したがって本開示に関して非限定であることを、理解されたい。
【0014】
複数の管の各々及びプレートは通常、1600°F(871℃)を超え得る温度を有する領域において機能するのに好適な、耐久性のある材料で形成される。このような材料は、ステンレス鋼及び/又はHastelloy(登録商標)Xなどのニッケル基合金で構成されてよい。本明細書で説明した前述の金属は、単なる例示であって非限定である。各種の非限定の例において、管及びプレートは、例えばステンレス鋼、ニッケル基合金、鉄基合金、又は他の好適な金属若しくは金属材料などの、任意の好適な材料を含んでよい。
【0015】
本開示によれば、マイクロミキサ管、特に1つ又は複数のマイクロミキサプレートと係合する管端部の、耐摩耗性を改善するための方法が提供される。次に図3を参照すると、本開示による方法の代表的なフロー図が提供される。ろう付けは、任意の好適なろう付け技法によって実現され得る。本明細書で用いられる、ろう付けという用語は、基体としてのマイクロミキサ管の表面処理に関し、そのプロセスは加工物を接合することを含まず、むしろ、ろう溶加材をマイクロミキサ管の表面に直接付けることによって実施され、利点を実現することを理解されたい。本発明によるいくつかの実施形態において、真空ろう付けの技法が用いられる。本明細書で用いられるように、真空ろう付けは、清潔、上質、フラックスフリーのろう付け接合、並びに高い一体性及び強度を有する表面をもたらす利点を提供するプロセスを意味し、指す。このプロセスは、約8×10-4トールの圧力で真空チャンバ容器の内側で実施され、いくつかの実施形態では8×10-4トール以下で実施される。温度は、通常約1500°F~約2300°Fの範囲の継続的な熱によって加工物に均一性が保たれ、それによって、加熱と冷却とのサイクルが起こる他の方法によって引き起こされ得る応力を、軽減又は排除する。
【0016】
したがって、一実施形態において、ろう付けは、約8×10-4トールで、及びろう付け温度は約1500°F~約2300°F、約1500°F~約1800°F、約2000°F~約2300°F、約1800°F~約2300°F、約1800°F~約2100°F、又は任意の好適な組み合わせ、部分的組み合わせ、範囲、又はその部分範囲で、単一ステップの真空ろう付けとして実現される。一実施形態において、ろう付け期間は、約1分~約30分、約5分~約30分、約15分~約30分、約20分~約30分、約10分、約15分、約20分、約30分、又は任意の好適な組み合わせ、部分的組み合わせ、範囲、又は部分的範囲である。
【0017】
一実施形態によれば、この方法は表面処理を少なくとも1つのマイクロミキサ管の少なくとも一部分に適用し、この処理は、粉末のろう材料の1つ又は混合物を、マイクロミキサ管の全体又は一部分に適用することによるろう付けされた耐摩耗性コーティングを備え、その後に真空ろう付けが続く。このような方法に従って、粉末のろう材料は、公知の又は新規の低融点材料を備えており、特にステンレス鋼で形成された管と共に使用するために、このような管基材には、ろう粉末とは特に融和性がある。もちろん、他の管基材が使用されてよく、したがって他のろう材料が選択されてよく、それが低融点又は低融点以外であってよく、ろう付け方法が真空ろう付け以外であってもよいことを、理解されたい。
【0018】
したがって、各種の実施形態に従って、ろう付けコーティング表面処理のために選択されるろう粉末の材料は、非限定として、金属合金、ニッケル及びコバルト基の超合金を含む超合金、合金、及びそれらの組み合わせを含む任意の好適なろう材料であってよい。ニッケル基合金の好適な例は、(ニューヨーク州ウェストベリーに位置するSulzer Metcoから、Amdry DF4Bとして市販される)Ni0.6715Cr0.140.0275Co0.1Al0.035Ta0.0250.001の(質量)式、又は(ミシガン州マディソンハイツに位置するWall Colmonoyを含む多くの供給者から、BNi-5として市販される)Ni0.71Cr0.019Si0.10の(質量)式を有し得る。ろう層によって、マイクロミキサ管の表面とプレートの開口部の内面との間で、約0.0005インチ~約0.008インチの嵌め合い公差が可能となり得る。ろう表面処理は、管上の小さい隙間及び表面の欠陥部を充填してよく、各種実施形態において、ろコーティングは、ろう付け処理されない従来のマイクロミキサ管と比較して、より大きい耐摩耗性を付与する向上した表面硬度を提供する。
【0019】
本開示の1つの例で、マイクロミキサ管の選択として、耐摩耗性を与えるためにろう材料によって表面処理される。このような代表的な実施形態において、質量で約22.5%~約24.25%のCr、約0.3%以下(例えば約0.15%~約0.3%)のTi、約6.5%~約7.5%のW、約9%~約11%のNi、約3%~約4%のTa、約0.65%以下(例えば約0.55%~約0.65%)のC、約2%~約3%のB、約1.3%のFe,約0.4%以下のSi、約0.1%以下のMn、約0.02%以下のS、及びコバルトの残部の組成物を有する、マイクロミキサ管部品をろう付けするのに好適な低融点材料(MM509B)が選択され得る。別の好適な低融点材料は、質量で約14%のCr、約9%のCo、約4%のAl、約2.5%のB、及びニッケルの残部の組成物を有する。別の好適な低融点材料は、質量で約15.3%のCr、約10.3%のCo、約3.5%のTa、約3.5%のAl、約2.3%のB、及びニッケルの残部の組成物を有する。更に他の例として、本開示によるろう付けに好適な合金として、BN12及びBN19から選択される材料が挙げられる。
【0020】
このような実施形態によれば、表面処理されたマイクロミキサ管には、上述のような低融点ろうコーティング材料を使用した、約2mm~3mmの範囲のコーティング厚のろう付け表面処理が提供される。ろう付け処理は、外観的に改変された表面特性を与え、向上した表面硬度をもたらす。本開示に従って、マイクロミキサ管の表面処理は、約1mm~約5mm厚の範囲でよく、各種実施形態において、厚さは1mm、2mm、3mm、4mm、及び5mmであってよく、それらの間の少数部は0.1mm~0.5mmである。
【0021】
う材料は、単体で使用されてよく、又は組み合わせて使用されてもよいことを、理解されたい。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書で使用されるろう粉末は、MM509BとBN12との組み合わせ、又はMM509BとBN19との組み合わせを含み得る。
【0022】
方法は、マイクロミキサ管の直近に、少なくとも1つのボンディングコート層を適用することを任意選択で更に含み、この層の上にろう付けされた耐摩耗層が適用される。この方法は、マイクロミキサ管の材料とろう付けされた耐摩耗層との間、若しくはろう付けされた耐摩耗層の上のいずれか、又は両方に、遮熱コーティングのような少なくとも1つの耐熱コーティングを適用することを、任意選択で更に含む。管をプレートの受け入れ開口部に挿入することも含まれる。任意選択で、管とプレートとの間をしっかり係合するための固定手段を適用することも更に含まれ、この手段は、エキスパンダを用いて、管の内壁に径方向の力を加えて、管の外径とプレートの受け入れ開口部との間に少なくとも1つの動作可能な接続を形成することを、任意選択で含む。
【0023】
マイクロミキサ管の本表面処理の技術的利点として、混合管の寿命が大きく延びること、並びに管及び燃焼器の故障率が低減されることが挙げられる。別の利点は、補修に関連付けられるコストが減少することである。
【0024】
本発明を、好ましい実施形態を参照して説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく各種の変形が成され、均等物が、好ましい実施形態の要素と代替えされ得ることを、当業者は理解するであろう。更に、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本発明の教示に適応するために、多くの変更が成され得る。したがって、本発明は、本発明を実施するために企図された最良のモードとして開示された特定の実施形態に限定しないよう意図されているが、本発明は、添付の特許請求の範囲に入る全ての実施形態を含むものとする。
【0025】
最後に、代表的な実施態様を以下に示す。
[実施態様1]
タービンシステム(10)のマイクロミキサ組立体(16)であって、
受け入れ径(32)を有する少なくとも1つの開口部(30)を含むプレート(17)と、
少なくとも1つのマイクロミキサ管(20)であって、流れを受け入れ、前記流れを燃焼器(12)に拡散させるための入口(38)及び出口(40)を有し、前記少なくとも1つのプレート(17)の開口部(30)の前記受け入れ径(32)内に適合するように構成される径(36)を有する外面を含み、その外面(36)の少なくとも一部分に耐摩耗処理を備え、前記プレート(17)の開口部(30)を貫通して挿入され、任意選択でその外面(36)の位置で、前記少なくとも1つの開口部(30)において前記プレート(17)と動作可能に連結される、少なくとも1つのマイクロミキサ管(20)と、
を備える、マイクロミキサ組立体(16)。
[実施態様2]
複数のプレート(17)の開口部(30)、及びそれを貫通して挿入される複数のマイクロミキサ管(20)を備える、実施態様1記載のマイクロミキサ組立体(16)。
[実施態様3]
前記少なくとも1つのマイクロミキサ管(20)のうちの1つ又は複数が、前記プレート(17)に動作可能に連結される、実施態様2記載のマイクロミキサ組立体(16)。
[実施態様4]
前記少なくとも1つのマイクロミキサ管(20)のうちの1つ又は複数と、前記プレート(17)との間の連結方式がろう付けである、実施態様3記載のマイクロミキサ組立体(16)。
[実施態様5]
前記少なくとも1つのマイクロミキサ管(20)のうちの1つ又は複数と、前記プレート(17)との間の連結方式が摩擦溶接である、実施態様3記載のマイクロミキサ組立体(16)。
[実施態様7]
前記表面処理が保護コーティングを備える、実施態様3記載のマイクロミキサ組立体(16)。
[実施態様8]
タービンシステム(10)のマイクロミキサ組立体(16)を組立てる方法であって、表面処理摩耗層を少なくとも1つのマイクロミキサ管(20)の少なくとも一部分に適用することであって、前記処理は、ろう合金粉末を付着して、その後ろう付けされた耐摩耗性コーティングを形成するための真空ろう付け処理を含む、適用することと、前記少なくとも1つの表面処理したマイクロミキサ管(20)をプレート(17)の受け入れ開口部(30)の中に挿入することと、任意選択で前記マイクロミキサ管(20)と前記プレート(17)とを固定することと、を含む方法。
[実施態様9]
前記少なくとも1つのマイクロミキサ管(20)が、ステンレス鋼及びニッケル基合金から選択される材料を備える、実施態様8記載のタービンシステム(10)のマイクロミキサ組立体(16)を組立てる方法。
[実施態様10]
前記少なくとも1つのマイクロミキサ管(20)が、前記プレート(17)に動作可能に連結される、実施態様8記載のタービンシステム(10)のマイクロミキサ組立体(16)を組立てる方法。
[実施態様11]
前記少なくとも1つのマイクロミキサ管(20)と、前記プレート(17)との間の連結方式がろう付けである、実施態様10記載のタービンシステム(10)のマイクロミキサ組立体(16)を組立てる方法。
[実施態様12]
前記少なくとも1つのマイクロミキサ管(20)と、前記プレート(17)との間の連結方式が真空ろう付けである、実施態様11記載のタービンシステム(10)のマイクロミキサ組立体(16)を組立てる方法。
[実施態様13]
前記少なくとも1つのマイクロミキサ管(20)と、前記プレート(17)との間の連結方式が摩擦溶接である、実施態様12記載のタービンシステム(10)のマイクロミキサ組立体(16)を組立てる方法。
[実施態様14]
前記ステップが、複数のマイクロミキサ管(20)について繰り返される、実施態様8記載のタービンシステム(10)のマイクロミキサ組立体(16)を組立てる方法。
[実施態様15]
摩擦溶接は、エキスパンダ(50)を用いて、径方向の力を前記管(20)の内壁(34)に加えて、前記少なくとも1つのマイクロミキサ管(20)の外面(36)と、前記プレート(17)の前記受け入れ開口部(30)との間に、少なくとも1つの動作可能な接続を形成することによって実現される、実施態様14記載のタービンシステム(10)のマイクロミキサ組立体(16)を組立てる方法。
[実施態様16]
前記少なくとも1つのマイクロミキサ管(20)と、前記表面処理摩耗層との間のいずれか又は両方に、ボンディングコート層及び遮熱コーティングのうちの1つ又は複数を適用することを更に含む、実施態様8記載のタービンシステム(10)のマイクロミキサ組立体(16)を組立てる方法。
【符号の説明】
【0026】
10 タービンシステム
12 燃焼器、燃焼器セクション
14 ヘッドエンド
16 マイクロミキサ組立体
17 プレート
18 セクター
20 マイクロミキサ管
22 外側ライナー
24 上流端
26 流れスリーブ
30 開口部
32 受け入れ径
34 内径、内壁
36 外径、外面
38 入口
40 出口
50 エキスパンダ
52 エキスパンダヘッド
54 外径
56 シャフト部分
58 長手方向
図1
図2
図3