(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】(メタ)アクリレート化合物
(51)【国際特許分類】
C08F 20/20 20060101AFI20240813BHJP
C07C 33/26 20060101ALI20240813BHJP
C07D 213/65 20060101ALI20240813BHJP
C07C 69/54 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
C08F20/20
C07C33/26
C07D213/65
C07C69/54 Z CSP
(21)【出願番号】P 2019161155
(22)【出願日】2019-09-04
【審査請求日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2018203027
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110870
【氏名又は名称】山口 芳広
(74)【代理人】
【識別番号】100096828
【氏名又は名称】渡辺 敬介
(72)【発明者】
【氏名】田上 慶
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 輝伸
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 章人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 陽太
【審査官】久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-080203(JP,A)
【文献】特開2010-077038(JP,A)
【文献】Adrian WOICZECHOWSKI-POP et al.,Synthesis and StructuralAnalysis of Some Podands with C3 Symmetry,Synthetic Communications,2012年12月15日,Vol. 42, No. 24,pp.3579-3588,DOI:10.1080/00397911.2011.585732
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 20/20
C07C 69/54
C07C 33/26
C07D 213/65
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されることを特徴とする(メタ)アクリレート化合物。
【化1】
(上記一般式(1)中、Xはフェニレン基である。
Z
1乃至Z
3はそれぞれ独立にフェニル基、フェニレン基、炭素数1以上4以下のアルキレン基を有するフェニルアルキレン基及び炭素数1以上4以下のアルキレン基を有するヘテロアラルキレン基から選ばれ、前記ヘテロアラルキレン基が有するヘテロアリーレン基は、ピロール、ピリジン、ピラジンまたはピリミジンの環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基である。前記Z
1乃至Z
3で表される前記フェニル基、前記フェニレン基、前記フェニルアルキレン基、前記ヘテロアラルキレン基は、炭素数1以上4以下のアルキル基を有してもよい。
ただし、Z
1
乃至Z
3
としてフェニルアルキレン基又はヘテロアラルキレン基を選ぶ場合、中央の芳香環側に、フェニルアルキレン基/ヘテロアラルキレン基中のフェニレン部分/ヘテロアリーレン部分が結合する。
P
1乃至P
3はそれぞれ独立にアクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基から選ばれる。
Aはアリール基、ヘテロアリール基及びアリーレン基から選ばれ、前記ヘテロアリール基は、ピロール、ピリジン、ピラジンまたはピリミジンから誘導される1価の基である。
m及びnは0または1である。mが0のとき、nは0である。)
【請求項2】
下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリレート化合物。
【化2】
【請求項3】
下記一般式(3)で表されることを特徴とする請求項1または2に記載の(メタ)アクリレート化合物。
【化3】
【請求項4】
下記一般式(4)で表されることを特徴とす
る(メタ)アクリレート化合物。
【化4】
(上記一般式(4)中、R
1乃至R
3はそれぞれ独立に炭素数1以上4以下のアルキレン基から選ばれる。
P
1
乃至P
3
はそれぞれ独立にアクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基から選ばれる。)
【請求項5】
下記一般式(5)で表されることを特徴とする(メタ)アクリレート化合物。
【化5】
(上記一般式(5)中、Z
1乃至Z
3はそれぞれ独立にフェニル基、フェニレン基、炭素数1以上4以下のアルキレン基を有するフェニルアルキレン基及び炭素数1以上4以下のアルキレン基を有するヘテロアラルキレン基から選ばれ、前記ヘテロアラルキレン基が有するヘテロアリーレン基は、ピロール、ピリジン、ピラジンまたはピリミジンの環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基である。前記Z
1乃至Z
3で表される前記フェニル基、前記フェニレン基、前記フェニルアルキレン基、前記ヘテロアラルキレン基は、炭素数1以上4以下のアルキル基を有してもよい。
ただし、Z
1
乃至Z
3
としてフェニルアルキレン基又はヘテロアラルキレン基を選ぶ場合、中央の芳香環側に、フェニルアルキレン基/ヘテロアラルキレン基中のフェニレン部分/ヘテロアリーレン部分が結合する。
P
1乃至P
3はそれぞれ独立にアクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基から選ばれる。
Aはアリール基、ヘテロアリール基及びアリーレン基から選ばれ、前記ヘテロアリール基は、ピロール、ピリジン、ピラジンまたはピリミジンから誘導される1価の基である。
m及びnは0または1である。mが0のとき、nは0である。)
【請求項6】
下記一般式(6)で表されることを特徴とするヒドロキシ化合物(ただし、下記一般式(6)において、Xがm-フェニレン基であり、Z
1乃至Z
3がp-フェニレン基であり、Aがm-フェニレン基であり、m及びnが1である化合物を除く)。
【化6】
(上記一般式(6)中、Xはフェニレン基である。
Z
1乃至Z
3はそれぞれ独立にフェニル基、フェニレン基、炭素数1以上4以下のアルキレン基を有するフェニルアルキレン基及び炭素数1以上4以下のアルキレン基を有するヘテロアラルキレン基から選ばれ、前記ヘテロアラルキレン基が有するヘテロアリーレン基は、ピロール、ピリジン、ピラジンまたはピリミジンの環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基である。前記Z
1乃至Z
3で表される前記フェニル基、前記フェニレン基、前記フェニルアルキレン基、前記ヘテロアラルキレン基は、炭素数1以上4以下のアルキル基を有してもよい。
ただし、Z
1
乃至Z
3
としてフェニルアルキレン基又はヘテロアラルキレン基を選ぶ場合、中央の芳香環側に、フェニルアルキレン基/ヘテロアラルキレン基中のフェニレン部分/ヘテロアリーレン部分が結合する。
Aはアリール基、ヘテロアリール基及びアリーレン基から選ばれ、前記ヘテロアリール基は、ピロール、ピリジン、ピラジンまたはピリミジンから誘導される1価の基である。
m及びnは0または1である。mが0のとき、nは0である。)
【請求項7】
下記一般式(7)で表されることを特徴する請求項6に記載のヒドロキシ化合物。
【化7】
【請求項8】
下記一般式(8)で表されることを特徴する請求項6または7に記載のヒドロキシ化合物。
【化8】
【請求項9】
下記一般式(9)で表されることを特徴す
るヒドロキシ化合物。
【化9】
(上記一般式(9)中、R
1乃至R
3はそれぞれ独立に炭素数1以上4以下のアルキレン基から選ばれる。)
【請求項10】
下記一般式(10)で表されることを特徴とするヒドロキシ化合物
(ただし、下記一般式(10)において、Z
1
乃至Z
3
がp-フェニレン基であり、Aがp-フェニレン基であり、m及びnが1である化合物を除く)。
【化10】
(上記一般式(10)中、Z
1乃至Z
3はそれぞれ独立にフェニル基、フェニレン基、炭素数1以上4以下のアルキレン基を有するフェニルアルキレン基及び炭素数1以上4以下のアルキレン基を有するヘテロアラルキレン基から選ばれ、前記ヘテロアラルキレン基が有するヘテロアリーレン基は、ピロール、ピリジン、ピラジンまたはピリミジンの環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基である。前記Z
1乃至Z
3で表される前記フェニル基、前記フェニレン基、前記フェニルアルキレン基、前記ヘテロアラルキレン基は、炭素数1以上4以下のアルキル基を有してもよい。
ただし、Z
1
乃至Z
3
としてフェニルアルキレン基又はヘテロアラルキレン基を選ぶ場合、中央の芳香環側に、フェニルアルキレン基/ヘテロアラルキレン基中のフェニレン部分/ヘテロアリーレン部分が結合する。
Aはアリール基、ヘテロアリール基及びアリーレン基から選ばれ、前記ヘテロアリール基は、ピロール、ピリジン、ピラジンまたはピリミジンから誘導される1価の基である。
m及びnは0または1である。mが0のとき、nは0である。)
【請求項11】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート化合物を含むことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の樹脂組成物を重合してなることを特徴とする樹脂硬化物。
【請求項13】
基材上に、請求項12の樹脂硬化物が設けられていることを特徴とする光学素子。
【請求項14】
2つの基材の間に、請求項12の樹脂硬化物が設けられていることを特徴とする光学素子。
【請求項15】
筐体と、該筐体内に複数のレンズからなる光学系を備える光学機器であって、
前記複数のレンズの少なくとも1つが請求項13又は14に記載の光学素子であることを特徴とする光学機器。
【請求項16】
筐体と、該筐体内に複数のレンズからなる光学系と、該光学系を通過した光を受光する撮像素子と、を備える撮像装置であって、
前記複数のレンズの少なくとも1つが請求項13又は14記載の光学素子であることを特徴とする撮像装置。
【請求項17】
前記撮像装置がカメラであることを特徴とする請求項16に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリレート化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
高屈折率を有する樹脂材料は、従来のガラス材料と比較して高い加工性を有している。そのため、メガネレンズ、カメラ等のレンズ、光ディスク用レンズ、fθレンズ、画像表示媒体の光学系素子、光学膜、フィルム、基板、各種光学フィルター、プリズム、通信用光学素子等に幅広く応用が検討されている。
高屈折率を有する樹脂材料として、特許文献1ではトリアジン環含有重合体の光硬化型膜形成用組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の硬化膜は高屈折率であるが、μmオーダーの膜厚が求められる光学素子、マイクロレンズ等に用いるには透過率が低いという課題があった。
本発明は、この様な背景技術に鑑みて、高い屈折率特性を有し、なおかつ透過率が高い(メタ)アクリレート化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の(メタ)アクリレート化合物は、下記一般式(1)または(5)で表されることを特徴とする。
【0006】
【化1】
(上記一般式(1)中、Xはフェニレン基である。
Z
1乃至Z
3はそれぞれ独立にフェニル基、フェニレン基、炭素数1以上4以下のアルキレン基を有するフェニルアルキレン基及び炭素数1以上4以下のアルキレン基を有するヘテロアラルキレン基から選ばれ、前記ヘテロアラルキレン基が有するヘテロアリーレン基は、ピロール、ピリジン、ピラジンまたはピリミジンの環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基である。前記Z
1乃至Z
3で表される前記フェニル基、前記フェニレン基、前記フェニルアルキレン基、前記ヘテロアラルキレン基は、炭素数1以上4以下のアルキル基を有してもよい。
ただし、Z
1
乃至Z
3
としてフェニルアルキレン基又はヘテロアラルキレン基を選ぶ場合、中央の芳香環側に、フェニルアルキレン基/ヘテロアラルキレン基中のフェニレン部分/ヘテロアリーレン部分が結合する。
P
1乃至P
3はそれぞれ独立にアクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基から選ばれる。
Aはアリール基、ヘテロアリール基及びアリーレン基から選ばれ、前記ヘテロアリール基は、ピロール、ピリジン、ピラジンまたはピリミジンから誘導される1価の基である。
m及びnは0または1である。mが0のとき、nは0である。)
【0007】
【化2】
(上記一般式(5)中、Z
1乃至Z
3はそれぞれ独立にフェニル基、フェニレン基、炭素数1以上4以下のアルキレン基を有するフェニルアルキレン基及び炭素数1以上4以下のアルキレン基を有するヘテロアラルキレン基から選ばれ、前記ヘテロアラルキレン基が有するヘテロアリーレン基は、ピロール、ピリジン、ピラジンまたはピリミジンの環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基である。前記Z
1乃至Z
3で表される前記フェニル基、前記フェニレン基、前記フェニルアルキレン基、前記ヘテロアラルキレン基は、炭素数1以上4以下のアルキル基を有してもよい。
ただし、Z
1
乃至Z
3
としてフェニルアルキレン基又はヘテロアラルキレン基を選ぶ場合、中央の芳香環側に、フェニルアルキレン基/ヘテロアラルキレン基中のフェニレン部分/ヘテロアリーレン部分が結合する。
P
1乃至P
3はそれぞれ独立にアクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基から選ばれる。
Aはアリール基、ヘテロアリール基及びアリーレン基から選ばれ、前記ヘテロアリール基は、ピロール、ピリジン、ピラジンまたはピリミジンから誘導される1価の基である。
m及びnは0または1である。mが0のとき、nは0である。)
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、屈折率が高く、かつ透過率が高い(メタ)アクリレート化合物、並びに該化合物を用いた、樹脂組成物、樹脂硬化物、光学素子、光学機器、及び該化合物の中間体であるヒドロキシ化合物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る光学素子の一例を示す概略図である。
【
図2】本発明に係る撮像装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明につき実施の形態を挙げて詳細に説明する。
【0011】
<(メタ)アクリレート化合物、ヒドロキシ化合物>
本発明の一つの観点は、下記一般式(1)及び(5)で表される(メタ)アクリレート化合物である。なお、本明細書において、(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物及びメタアクリレート化合物のことを意味する。
【0012】
【0013】
(上記一般式(1)中、Xはフェニレン基である。
Z1乃至Z3はそれぞれ独立にフェニル基、ヘテロアリール基、フェニレン基、ヘテロアリーレン基、炭素数1以上4以下のアルキレン基を有するフェニルアルキレン基及び炭素数1以上4以下のアルキレン基を有するヘテロアラルキレン基から選ばれる。前記Z1乃至Z3で表される前記フェニル基、前記ヘテロアリール基、前記フェニレン基、前記ヘテロアリーレン基、前記フェニルアルキレン基、前記ヘテロアラルキレン基は、炭素数1以上4以下のアルキル基を有してもよい。
P1乃至P3はそれぞれ独立にアクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基から選ばれる。
Aはアリール基、ヘテロアリール基、アリーレン基及びヘテロアリーレン基から選ばれる。
m及びnは0または1である。mが0のとき、nは0である。)
【0014】
【0015】
(上記一般式(5)中、Z1乃至Z3はそれぞれ独立にフェニル基、ヘテロアリール基、フェニレン基、ヘテロアリーレン基、炭素数1以上4以下のアルキレン基を有するフェニルアルキレン基及び炭素数1以上4以下のアルキレン基を有するヘテロアラルキレン基から選ばれる。前記Z1乃至Z3で表される前記フェニル基、前記ヘテロアリール基、前記フェニレン基、前記ヘテロアリーレン基、前記フェニルアルキレン基、前記ヘテロアラルキレン基は、炭素数1以上4以下のアルキル基を有してもよい。
P1乃至P3はそれぞれ独立にアクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基から選ばれる。
Aはアリール基、ヘテロアリール基、アリーレン基及びヘテロアリーレン基から選ばれる。
m及びnは0または1である。mが0のとき、nは0である。)
【0016】
上記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物としては、下記一般式(2)乃至(4)で表される化合物が好ましい。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
(上記一般式(4)中、R1乃至R3はそれぞれ独立に炭素数1以上4以下のアルキレン基から選ばれる。)
【0021】
本発明者らは、高い屈折率と高い透過率を有する(メタ)アクリレート化合物を提供すべく鋭意検討を重ねた。その結果、(メタ)アクリレート化合物の芳香族炭化水素環または芳香族複素環の数と結合位置を調節することで、化合物が高い屈折率を有し、かつ高い透過率を示すことを見出した。芳香族炭化水素環または芳香族複素環が1,3,5位に各々結合した3価のベンゼンにおいて、該ベンゼンの1位と3位に結合する2価のフェニレンと該フェニレンと結合した芳香族炭化水素環または芳香族複素環を有し、かつ結合位置を調整することで、高い屈折率と高い透過率を示す。該2価のフェニレンと芳香族炭化水素環または芳香族複素環の結合位置が、少なくとも1つがメタ位であること、または少なくとも2つの結合位置が同一かつパラ位であることで高い屈折率を有し、かつ高い透過率を示すことを見出した。
【0022】
一般に、芳香族化合物に代表される長い共役構造を有する化合物は、汎用材料よりもバンドギャップが小さいため、紫外光領域の吸収端が可視光領域側にシフトしている。その影響により、長い共役構造を有する化合物は、高い屈折率を有するようになる。しかし、単純に芳香族化合物を連結して長い共役構造を構築するだけでは実用的な材料は得られない。例えば、大きな芳香族化合物では、合成性や他の化合物との相溶性、着色、可視光領域の短波長側で透過率が低下するという課題がある。そのため、光学用材料として利用する場合は透過率を向上させる観点から、共役構造の長さの調整が必要である。しかし、透過率を向上させるに、芳香族化合物の共役構造を短くしたりする、置換基の立体障害により分子間距離を広げたりすると屈折率の低下をも招く。本発明に係る、高い屈折率と高い透過率を兼ね備えた(メタ)アクリレート化合物について、本発明者らは以下のように考えている。芳香族炭化水素環または芳香族複素環が1,3,5位に各々結合した3価のベンゼンが、ベンゼンの1位と3位に結合する2価のフェニレンと該フェニレンと結合した芳香族炭化水素環または芳香族複素環を有することで高屈折率を示す。該3価のベンゼンと2価のフェニレンと芳香族炭化水素環または芳香族複素環はこれらが結合する際に、構造の安定化のために、ねじれて結合すると考えられる。ベンゼンの1位と3位に結合するフェニレンと芳香族炭化水素環または芳香族複素環がねじれて結合することで、分子間距離が広がるため、共役構造を長くしても、透過率の低下を抑制すると同時に屈折率を高めることができると考える。さらに、この構造に重合性官能基であるアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を導入することで、結晶性が低下して他の化合物や樹脂との相溶性が向上する。その結果、共役構造を延ばしても高い透過率を維持したまま、高屈折率を示すことができると考えている。
【0023】
上記一般式(1)乃至(5)において、Z1乃至Z3により表されるヘテロアリール基としては、例えば、ピロール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
上記一般式(1)乃至(5)において、Z1乃至Z3により表されるヘテロアリーレン基としては、例えば、ピロール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン等の環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
上記一般式(1)乃至(5)において、Z1乃至Z3により表されるヘテロアラルキレン基が有するヘテロアリーレン基としては、例えば、ピロール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン等の環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
上記一般式(1)乃至(5)において、Z1乃至Z3により表されるフェニルアルキレン基、ヘテロアラルキレン基が有する炭素数1以上4以下のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、iso-プロピレン基、n-ブチレン基等が挙げられる。好ましくはメチレン基、エチレン基、n-プロピレン基である。
【0027】
上記一般式(1)乃至(5)において、Z1乃至Z3により表されるフェニル基、ヘテロアリール基、フェニレン基、ヘテロアリーレン基、フェニルアルキレン基、ヘテロアラルキレン基が有してもよい、炭素数1以上4以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、iso-プロピル基等が挙げられる。より好ましくはメチル基、エチル基である。
【0028】
上記一般式(1)乃至(5)において、Aにより表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
上記一般式(1)乃至(5)において、Aにより表されるアリーレン基としては、例えばフェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、1-ナフチレン基、2-ナフチレン基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
上記一般式(1)乃至(5)において、Aにより表されるヘテロアリール基としては、例えば、ピロール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
上記一般式(1)乃至(5)において、Aにより表されるヘテロアリーレン基としては、例えば、ピロール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン等の環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
上記一般式(4)において、R1乃至R3により表される炭素数1以上4以下のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、iso-プロピレン基、n-ブチレン基等が挙げられる。好ましくはメチレン基、エチレン基、n-プロピレン基である。
【0033】
次に、表1乃至3に、本発明に係る化合物の具体例を示すが、本発明は、これらに限定されるわけではない。
【0034】
表1は、一般式(1)において、XとAがフェニレン基であり、かつX及びAの結合位置がメタ位の化合物の例である。
【0035】
【0036】
表2は、一般式(1)において、Xがフェニレン基であり、かつXの結合位置がメタ位またはオルト位の化合物の例である。
【0037】
【0038】
表3は、一般式(5)で表される化合物の例である。
【0039】
【0040】
本発明に係る(メタ)アクリレート化合物の製造方法について例を挙げて説明する。本発明の(メタ)アクリレート化合物の製造方法としては、特定の製造ルートに限定されず、どの様な製造方法でも採用することが可能であるが、下記一般式(6)または(10)で表されるヒドロキシ化合物を中間体として用いる方法が好ましい。
【0041】
【0042】
(上記一般式(6)中、Xはフェニレン基である。
Z1乃至Z3はそれぞれ独立にフェニル基、ヘテロアリール基、フェニレン基、ヘテロアリーレン基、炭素数1以上4以下のアルキレン基を有するフェニルアルキレン基及び炭素数1以上4以下のアルキレン基を有するヘテロアラルキレン基から選ばれる。前記Z1乃至Z3で表される前記フェニル基、前記ヘテロアリール基、前記フェニレン基、前記ヘテロアリーレン基、前記フェニルアルキレン基、前記ヘテロアラルキレン基は、炭素数1以上4以下のアルキル基を有してもよい。
Aはアリール基、ヘテロアリール基、アリーレン基及びヘテロアリーレン基から選ばれる。
m及びnは0または1である。mが0のとき、nは0である。)
【0043】
【0044】
(上記一般式(10)中、Z1乃至Z3はそれぞれ独立にフェニル基、ヘテロアリール基、フェニレン基、ヘテロアリーレン基、炭素数1以上4以下のアルキレン基を有するフェニルアルキレン基及び炭素数1以上4以下のアルキレン基を有するヘテロアラルキレン基から選ばれる。前記Z1乃至Z3で表される前記フェニル基、前記ヘテロアリール基、前記フェニレン基、前記ヘテロアリーレン基、前記フェニルアルキレン基、前記ヘテロアラルキレン基は、炭素数1以上4以下のアルキル基を有してもよい。
Aはアリール基、ヘテロアリール基、アリーレン基及びヘテロアリーレン基から選ばれる。
m及びnは0または1である。mが0のとき、nは0である。)
【0045】
上記一般式(6)で表されるヒドロキシ化合物としては、下記一般式(7)乃至(9)で表される化合物が好ましい。
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
(上記一般式(9)中、R1乃至R3はそれぞれ独立に炭素数1以上4以下のアルキレン基から選ばれる。)
【0050】
なお、一般式(6)乃至(10)における、Z1乃至Z3、A、R1乃至R3の具体例については、一般式(1)乃至(5)について説明したのと同様である。
【0051】
本発明における一般式(1)乃至(5)で表される(メタ)アクリレート化合物、一般式(6)乃至(10)で表されるヒドロキシ化合物は公知の合成方法を用いて合成することが可能である。合成ルートを以下に示す。以下の合成ルートにおいて、例えば、Zは「-Ph-CH2-」、Pは「-O-C(=O)-CH=CH2」等である。本発明の製造方法は、これらに限定されるわけではない。例えば、一般式(6)または(10)で表されるヒドロキシ化合物以外の中間体に、直接、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を導入する方法でもよい。
【0052】
【0053】
金属触媒によるカップリング反応は、任意に選択することが可能である。代表的な方法としては、銅を利用するウルマン反応、アミン等を利用するブッフバルト・ハートウィッグ反応、ホウ酸等を利用する鈴木カップリング、有機スズを利用するスティルカップリング、有機亜鉛を利用する根岸カップリング等が好適に用いられる。
【0054】
(メタ)アクリレート化反応は、任意に選択することが可能である。代表的な方法としては、(メタ)アクリル酸ハライドや(メタ)アクリル酸無水物を使用して水酸基をエステル化する方法、(メタ)アクリル酸の低級アルコールのエステルを使用するエステル交換反応、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの脱水縮合剤を使用して(メタ)アクリル酸と該ジオールとを脱水縮合させる直接エステル化反応、(メタ)アクリル酸と該ジオールを硫酸等の脱水剤存在下で加熱する方法などが好適に用いられる。
【0055】
<樹脂組成物、樹脂硬化物>
本発明に係る樹脂組成物は、上記本発明の(メタ)アクリレート化合物を含有する。また、本発明の樹脂硬化物は、本発明の樹脂組成物を重合してなる成形体である。本発明に係る樹脂組成物は、一種の(メタ)アクリレート化合物を含有しても、複数種の(メタ)アクリレート化合物を含有してもよい。すなわち、本発明に係る樹脂硬化物は、一般式(1)乃至(5)で表される(メタ)アクリレート化合物の単独重合体であっても共重合体であってもよい。
【0056】
また、本発明の(メタ)アクリレート化合物については、反応時や保存時に重合が進行しないように重合禁止剤を必要に応じて使用しても良い。重合禁止剤の例としては、p-ベンゾキノン、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,5-ジフェニルパラベンゾキノンなどのヒドロキノン類、テトラメチルピペリジニル-N-オキシラジカル(TEMPO)などのN-オキシラジカル類、t-ブチルカテコールなどの置換カテコール類、フェノチアジン、ジフェニルアミン、フェニル-β-ナフチルアミンなどのアミン類、ニトロソベンゼン、ピクリン酸、分子状酸素、硫黄、塩化銅(II)などを挙げることができる。この中でもヒドロキノン類、フェノチアジン及びN-オキシラジカル類が汎用性かつ重合抑制の点で好ましく、特にヒドロキノン類が好ましい。
【0057】
重合禁止剤の使用量は、(メタ)アクリレート化合物に対して、下限が、通常10ppm以上、好ましくは50ppm以上であり、上限が、通常10,000ppm以下、好ましくは1,000ppm以下である。少なすぎる場合は、重合禁止剤としての効果が発現しないか、発現しても効果が小さく、反応時や後処理工程での濃縮時に重合が進行するおそれがある。逆に、多すぎる場合には、例えば、後述する樹脂組成物を製造する際の不純物となり、また、重合反応性を阻害する等の悪影響を及ぼすおそれがある。
【0058】
本発明に係る樹脂組成物は、好ましくは、本発明の(メタ)アクリレート化合物と重合開始剤、上述の重合禁止剤、さらに必要に応じて光増感剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、酸化防止剤や樹脂または単量体を含有する組成物からなる。
【0059】
本発明の樹脂組成物に含有される(メタ)アクリレート化合物の含有量は、樹脂組成物全体に対して、1.0質量%以上99質量%以下、好ましくは50質量%以上99質量%以下が望ましい。
【0060】
重合開始剤には、光照射によりラジカル種を発生するものやカチオン種を発生するもの、熱によりラジカル種を発生するもの等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0061】
光照射によりラジカル種を発生する重合開始剤としては、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、4-フェニルベンゾフェノン、4-フェノキシベンゾフェノン、4,4’-ジフェニルベンゾフェノン、4,4’-ジフェノキシベンゾフェノン等であるがこれらに限定されない。
【0062】
また、光照射によりカチオン種を発生する重合開始剤としては、ヨードニウム(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヘキサフルオロフォスフェートが好適な重合開始剤として挙げられるがこれに限定されない。
【0063】
さらに、熱によりラジカル種を発生する重合開始剤としては、アゾビソイソブチルニトリル(AIBN)等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシネオヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオヘキサノエート、クミルパーオキシネオデカノエート等の過酸化物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0064】
光として紫外線等を照射して重合を開始させる場合には、公知の増感剤等を使用することもできる。増感剤の代表的なものとしては、ベンゾフェノン、4,4-ジエチルアミノベンゾフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2,2-ジエトキシアセトフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、アシルフォスフィンオキサイド等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0065】
なお、重合可能な樹脂成分に対する光重合開始剤等の重合開始剤の添加比率は、光照射量、さらには、付加的な加熱温度に応じて適宜選択することができる。また、得られる重合体の目標とする平均分子量に応じて、調整することもできる。本発明に係る樹脂組成物の重合(硬化)・成形に用いる光重合開始剤等の重合開始剤の添加量は、重合可能な成分に対して0.01質量%以上10.00質量%以下の範囲が好ましい。光重合開始剤等の重合開始剤は樹脂の反応性、光照射の波長によって1種類のみを使用することもできるし、2種類以上を併せて使用することもできる。
【0066】
耐光安定剤については、成形体の光学特性に大きな影響を及ぼさないものであれば特に制限は無く、代表的なものとして、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-[5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2,2’-メチルレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)]フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系材料、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸エチル、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル等のシアノアクリレート系材料、トリアジン系材料、オクタベンゾン、2,2’-4,4’-テトラヒドロベンゾフェノン等のベンゾフェノン系材料等を挙げることができる。耐光安定剤が光増感剤の役割を果たす場合もあり、その場合は添加しなくても良い。本発明に係る樹脂組成物の重合(硬化)・成形に用いる耐光安定剤の添加量は、重合可能な成分の全量に対して、0.01質量%以上10.00質量%以下の範囲が好ましい。
【0067】
耐熱安定剤としては、成形体の光学特性に大きな影響を及ぼさないものであれば特に制限は無く、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-ert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)]プロピオネート、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ベンゼンプロパン酸 3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ、C7-C9側鎖アルキルエステル、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、4,6-ビス(ドデシルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)]プロピオネート、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)]プロピオネート等のヒンダードフェノール系材料、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系材料、ジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネート等のイオウ系材料等を使用することができる。本発明に係る樹脂組成物の重合(硬化)・成形に用いる耐熱安定剤の添加量は、重合可能な成分の全量に対して、0.01質量%以上10.00質量%以下の範囲が好ましい。
【0068】
酸化防止剤としては、成形体の光学特性に大きな影響を及ぼさないものであれば特に制限は無く、代表的なものとして、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート等のヒンダードアミン系材料等が挙げられる。本発明に係る樹脂組成物の重合(硬化)・成形に用いる酸化防止剤の添加量は、重合可能な成分の全量に対して、0.01質量%以上10.00質量%以下の範囲が好ましい。
【0069】
本発明に係る樹脂組成物に利用できる樹脂または単量体としては、特に制限は無く、例えば、1,3-アダマンタンジオールジメタクリレート、1,3-アダマンタンジメタノールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、2(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソボニルメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-メタクリロイルオキシ)フェニル]フルオレン、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ブチキシエチルアクリレート、ブトキシメチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシメチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールビスグリシジルアクリレート、エチレングリコールビスグリシジルメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、2,2-ビス(4-アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノールFジアクリレート、ビスフェノールFジメタクリレート、1,1-ビス(4-アクリロキシエトキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-メタクリロキシエトキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-アクリロキシジエトキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-メタクリロキシジエトキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-アクリロキシエトキシフェニル)スルホン、1,1-ビス(4-メタクリロキシエトキシフェニル)スルホン、1,1-ビス(4-アクリロキシジエトキシフェニル)スルホン、1,1-ビス(4-メタクリロキシジエトキシフェニル)スルホン、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、メチルチオアクリレート、メチルチオメタクリレート、フェニルチオアクリレート、ベンジルチオメタクリレート、キシリレンジチオールジアクリレート、キシリレンジチオールジメタクリレート、メルカプトエチルスルフィドジアクリレート、メルカプトエチルスルフィドジメタクリレート等の(メタ)アクリレート化合物、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等のアリル化合物、スチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ジビニルベンゼン、3,9-ジビニルスピロビ(m-ジオキサン)等のビニル化合物、ジイソプロペニルベンゼン等であるがこれらに限定されない。
【0070】
また、前記樹脂または単量体は熱可塑性樹脂でもよく、例えば、エチレン単独重合体、エチレンとプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン等の1種又は2種以上のα-オレフィンとのランダム又はブロック共重合体、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルとの1種又は2種以上のランダム又はブロック共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外の1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン等の1種又は2種以上のα-オレフィンとのランダム又はブロック共重合体、1-ブテン単独重合体、アイオノマー樹脂、さらにこれら重合体の混合物などのポリオレフィン系樹脂;石油樹脂、テルペン樹脂などの炭化水素原子系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン6/66、ナイロン66/610、ナイロンMXDなどポリアミド系樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリルなどのスチレン,アクリロニトリル系樹脂;ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体などのポリビニルアルコール系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリケトン樹脂;ポリメチレンオキシド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0071】
本発明に係る樹脂組成物に含有される樹脂または単量体の含有量は、0.01質量%以上99質量%以下、好ましくは得られる樹脂組成物の屈折率特性や成形体の脆性を考慮すると0.01質量%以上50質量%以下であることが望ましい。
【0072】
<光学素子>
図1は、本発明の光学素子の例を示す概略図である。
図1(a)の光学素子は、樹脂組成物を硬化してなる樹脂硬化物である薄膜10が基材であるガラス基板20の片方の面上に設けられている。
図1(a)の光学素子を作製する方法としては、例えば、光透過性を有する基材上に膜厚の薄い層構造を形成する方法が採用される。具体的には、金属からなる型を基材から一定の距離を置いて設け、この型と基材との間にある空隙に流動性の樹脂組成物を充填してから、軽く抑えることで、型成形を行う。そして必要に応じてその状態に保ったまま樹脂組成物の重合を行う。
【0073】
かかる重合反応に供する光照射は、光重合開始剤を用いたラジカル生成に起因する機構に対応して、好適な波長の光、通常、紫外光もしくは可視光を用いて行う。例えば、基材として利用する光透過性材料、具体的にはガラス基板を介して、成形されている樹脂組成物のモノマー等の原料に対して、均一に光照射を実施する。照射光量は、光重合開始剤を利用したラジカル生成に起因する機構に応じて、また、含有される光重合開始剤の含有比率に応じて、適宜選択される。一方、かかる光重合反応による樹脂硬化物の作製においては、照射される光が型成形されているモノマー等の原料の全体に均一に照射されることがより好ましい。従って、利用される光照射は、基材に利用する光透過性材料、例えばガラス基板を介して、均一に行うことが可能な波長の光を選択することが一層好ましい。この際、光透過性材料の基材上に形成する樹脂硬化物の厚さを薄くすることは、本発明にはより好適である。
【0074】
図1(b)の光学素子は、樹脂硬化物である薄膜10が基材であるガラス基板30とガラス基板40との間に設けられている。
図1(b)の光学素子を作製する方法としては、例えば、2つの基材の間に未硬化の樹脂組成物等を流し込み、軽く抑えることで成形を行う。そしてこの状態に保ったまま未硬化の樹脂組成物の光重合を行う。それにより樹脂硬化物が基材に挟まれた光学素子を得ることができる。
【0075】
同様に、熱重合法により樹脂硬化物の作製を行うこともできる。この場合、全体の温度をより均一とすることが望ましく、光透過性材料の基材上に形成する樹脂硬化物の総厚を薄くすることは、本発明にはより好適なものとなる。また、形成する樹脂硬化物の総厚を厚くする場合には、より膜厚、樹脂成分の吸収、微粒子成分の吸収を考慮した照射量、照射強度、光源等の選択が必要である。
【0076】
<光学機器、撮像装置>
図2は、本発明の撮像装置の好適な実施形態の一例であり、本発明の光学機器の一例であるレンズ鏡筒(交換レンズ)が結合された一眼レフデジタルカメラの構成を示している。本発明の光学機器とは、双眼鏡、顕微鏡、半導体露光装置、交換レンズ等、本発明の光学素子を含む光学系を備える機器のことをいう。あるいは本発明の光学素子を通過した光によって画像を生成する機器のことをいう。
【0077】
また、本発明の撮像装置とは、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等のカメラシステムや、携帯電話機等の本発明の光学素子を通過した光を受光する撮像素子を備える電子機器のことをいう。なお、電子機器に搭載されるモジュール状の形態、例えばカメラモジュールを撮像装置とする場合もある。
【0078】
図2において、カメラ本体602と光学機器であるレンズ鏡筒601とが結合されているが、レンズ鏡筒601はカメラ本体602対して着脱可能ないわゆる交換レンズである。
【0079】
被写体からの光は、レンズ鏡筒601の筐体620内の撮影光学系の光軸上に配置された複数のレンズ603、605などからなる光学系を通過し、撮像素子に受光される。本発明の光学素子は例えば、レンズ603、605に用いることができる。
【0080】
ここで、レンズ605は内筒604によって支持されて、フォーカシングやズーミングのためにレンズ鏡筒601の外筒に対して可動支持されている。
【0081】
撮影前の観察期間では、被写体からの光は、カメラ本体の筐体621内の主ミラー607により反射され、プリズム611を透過後、ファインダレンズ612を通して撮影者に撮影画像が映し出される。主ミラー607は例えばハーフミラーとなっており、主ミラー607を透過した光はサブミラー608によりAF(オートフォーカス)ユニット613の方向に反射され、例えばこの反射光は測距に使用される。また、主ミラー607は主ミラーホルダ640に接着などによって装着、支持されている。不図示の駆動機構を介して、撮影時には主ミラー607とサブミラー608を光路外に移動させ、シャッタ609を開き、撮像素子610にレンズ鏡筒601から入射した撮影光像を結像させる。また、絞り606は、開口面積を変更することにより撮影時の明るさや焦点深度を変更できるよう構成される。
【実施例】
【0082】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、合成した生成物の分析は、NMR装置(日本電子(株)製JNM-ECA400(製品名))を用いて行った。
【0083】
[実施例1(化合物例T2の製造)]
(1)T2中間体の合成
【0084】
【0085】
窒素雰囲気下、1000mL三口フラスコに、1,3,5-トリス(3-ブロモフェニル)ベンゼン10.0g、3-(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸9.3g、炭酸ナトリウム9.73g、酢酸パラジウム0.042g、及び2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル0.18g、トルエン240mL、エタノール80mL、水80mLを入れ、加熱し8時間還流撹拌を行った。加熱後、室温まで放冷した後ヘキサン100mLを加え、1時間撹拌を行った後、ろ過を行った。得られたろ物を水、ヘキサンで洗浄した後、アセトンに溶解させ活性炭10.0gを加え室温下で30分撹拌を行った後、ろ過し、ろ液の溶剤を除去した。溶剤を除去して得られた租生成物をエタノールで洗浄、乾燥することでT2中間体6.2g(収率54%)を得た。得られた生成物について、1H-NMRによりその構造を確認した。
【0086】
1H-NMR(CDCl3):δ 1.83(br、3H)、4.80(s、6H)、7.39(d、3H)、7.48(t、3H)、7.58(t、3H)、7.61-7.63(m、3H)、7.64-7.66(m、3H)、7.70-7.74(m、6H)、7.92(s、3H)、7.94(t、3H)
【0087】
(2)T2の合成
【0088】
【0089】
窒素雰囲気下、500mL三口フラスコに、T2中間体6.0g、テトラヒドロフラン210mL、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.36g、トリエチルアミン5.5mL投入後、無水メタクリル酸4.9gを滴下し、加熱し20時間還流撹拌を行った。反応液をトルエンで希釈し、得られた有機層を酸性及び塩基性水溶液で洗浄した後、飽和食塩水及び無水硫酸マグネシウムで有機層を乾燥させた。溶剤を除去して得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することでT2を3.6g(収率45%)得た。生成物は1H-NMRによりその構造を確認した。
【0090】
1H-NMR(CDCl3):δ 1.98(t、9H)、5.20(s、6H)、5.58(dt、3H)、6.18(dt、3H)、7.41(d、3H)、7.49(t、3H)、7.59(t、3H)、7.64-7.66(m、9H)、7.72-7.74(m、3H)、7.91(s、3H)、7.92(t、3H)
【0091】
[実施例2(化合物例T1の製造)]
3-(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸を3-ヒドロキシフェニルボロン酸に代えた以外は実施例1と同様の反応、精製を行った。
【0092】
[実施例3(化合物例T6の製造)]
3-(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸を3-(2-ヒドロキシエチル)フェニルボロン酸に、無水メタクリル酸をアクリロイルクロリドに、アクリロイルクロリドの滴下温度を0℃に、還流撹拌を20℃で撹拌に代えた以外は実施例1と同様の反応、精製を行った。
【0093】
[実施例4(化合物例T7の製造)]
3-(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸を4-(3-ヒドロキシプロピル)フェニルボロン酸に、無水メタクリル酸をアクリロイルクロリドに、アクリロイルクロリドの滴下温度を0℃に、還流撹拌を20℃で撹拌に代えた以外は実施例1と同様の反応、精製を行った。
【0094】
[実施例5(化合物例T8の製造)]
3-(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸を2,6-ジメチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノールに代えた以外は実施例1と同様の反応、精製を行った。
【0095】
[実施例6(化合物例T9の製造)]
3-(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸を6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-ボロン酸に代えた以外は実施例3と同様の反応、精製を行った。
【0096】
[実施例7(化合物例T11の製造)]
(1)T11中間体1、T11中間体2の合成
【0097】
【0098】
(1-1)T11中間体1の合成
窒素雰囲気下、3L三口フラスコに1,3-ジブロモ-5-ヨードベンゼン15.0g、4-ビフェニルボロン酸17.2g、炭酸ナトリウム26.4g、トルエン1200mL、エタノール150mL、水150mL、テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム3.59gを順次添加し、70℃加熱還流下にて10時間撹拌した。室温まで放冷後反応液をクロロホルムで希釈し、水で3回洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶剤を除去して得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することでT11中間体1を10.9g(収率68%)得た。
【0099】
(1-2)T11中間体2の合成
窒素雰囲気下、500mL三口フラスコにT11中間体1を10.0g、ビス-ジオキサボロラン14.4g、酢酸カリウム15.2g、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン付加物1.05g、N,N-ジメチルホルムアミド200mL中に入れ、80℃まで加熱した後、その温度下で6時間撹拌を行った。室温まで冷却した後に水200mLを加え、1時間撹拌を行った後、ろ過を行った。得られたろ物を水で洗浄を行い、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することでT11中間体2を8.2g(収率51%)得た。
【0100】
(3)T11中間体3の合成
【0101】
【0102】
窒素雰囲気下、1L三口フラスコに1-ブロモ-3-ヨードベンゼン12.0g、3-(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸6.8g、炭酸ナトリウム27.0g、トルエン360mL、エタノール120mL、水120mL、テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム3.7gを順次添加し、70℃加熱還流下にて10時間撹拌した。室温まで放冷後、反応液をクロロホルムで希釈し、水で3回洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶剤を除去して得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することでT11中間体3を8.2g(収率73%)得た。
【0103】
(4)T11中間体4の合成
【0104】
【0105】
窒素雰囲気下、1000mL三口フラスコに、T11中間体2を7.0g、T11中間体3を8.2g、炭酸ナトリウム7.6g、酢酸パラジウム0.033g、及び2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル0.14g、トルエン210mL、エタノール70mL、水70mLを入れ、加熱し8時間還流撹拌を行った。加熱後、室温まで放冷した後ヘキサン100mLを加え、1時間撹拌を行った後、ろ過を行った。得られたろ物を水、ヘキサンで洗浄した後、アセトンに溶解させ活性炭10.0gを加え室温下で30分撹拌を行った後、ろ過し、ろ液の溶剤を除去した。溶剤を除去して得られた租生成物をエタノールで洗浄、乾燥することでT11中間体4を5.6g(収率65%)を得た。
【0106】
(5)T11の合成
【0107】
【0108】
窒素雰囲気下、500mL三口フラスコに、T11中間体4を6.0g、テトラヒドロフラン210mL、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.36g、トリエチルアミン5.5mL投入後、無水メタクリル酸4.8gを滴下し、加熱し20時間還流撹拌を行った。反応液をトルエンで希釈し、得られた有機層を酸性及び塩基性水溶液で洗浄した後、飽和食塩水及び無水硫酸マグネシウムで有機層を乾燥させた。溶剤を除去して得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することでT11を2.9g(収率42%)得た。
【0109】
[実施例8(化合物例T12の製造)]
4-ビフェニルボロン酸を2-ビフェニルボロン酸に代えた以外は実施例7と同様の反応、精製を行った。
【0110】
[実施例9(化合物例T16の製造)]
4-ビフェニルボロン酸を1-ナフタレンボロン酸に代えた以外は実施例7と同様の反応、精製を行った。
【0111】
[実施例10(化合物例T17の製造)]
4-ビフェニルボロン酸を2-ナフタレンボロン酸に代えた以外は実施例7と同様の反応、精製を行った。
【0112】
[実施例11(化合物例T18の製造)]
4-ビフェニルボロン酸を4-(4-ビフェニル)フェニルボロン酸に代えた以外は実施例7と同様の反応、精製を行った。
【0113】
[実施例12(化合物例T20の製造)]
4-ビフェニルボロン酸をT20中間体に、3-(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸を5-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-ボロン酸に、無水メタクリル酸の質量を1.5倍に代えた以外は実施例7と同様の反応、精製を行った。
【0114】
【0115】
[実施例13(化合物例T21の製造)]
4-ビフェニルボロン酸をT21中間体1に、T11中間体3をT11中間体3とT21中間体2の質量比率を50:50の混合物に、無水メタクリル酸の質量を1.5倍に代えた以外は実施例7と同様の反応、精製を行った。
【0116】
【0117】
[実施例14(化合物例T24の製造)]
4-ビフェニルボロン酸をT24中間体に、T11中間体3をT21中間体2に、無水メタクリル酸の質量を1.5倍に代えた以外は実施例7と同様の反応、精製を行った。
【0118】
【0119】
[実施例15(化合物例T25の製造)]
4-ビフェニルボロン酸をT21中間体1に、T11中間体3をT21中間体2に、無水メタクリル酸の質量を1.5倍に代えた以外は実施例7と同様の反応、精製を行った。
【0120】
[実施例16(化合物例T30の製造)]
4-ビフェニルボロン酸を3-ピリジルボロン酸にT11中間体3をT21中間体2に代えた以外は実施例7と同様の反応、精製を行った。
【0121】
[比較例1]
下記比較例化合物を合成した。
【0122】
【0123】
<評価>
実施例、比較例で得られた(メタ)アクリレート化合物について、下記の評価を行った。結果を表4に示す。
【0124】
(1)屈折率測定
厚さ1mmの高屈折ガラス(S-TIH11:HOYA社製)上に、厚さが300μmのスペーサーと、測定対象となる化合物、重合禁止剤(メトキシフェノール、富士フィルム和光純薬製)、重合開始剤(イルガキュア184(1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、BASF製)等を含む樹脂組成物を載置した。次に、石英ガラスを測定対象となる樹脂組成物上に載置し、スペーサーを介して厚さが300μmになるように押し広げた。サンプルに高圧水銀ランプ(UL750、HOYA CANDEO OPTRONICS(株))を照射することで2枚のガラス基板に挟まっている樹脂組成物を硬化させた。硬化後は反応を完結させるために100℃、5時間の加熱処理を行い、屈折率測定サンプルを作製した。屈折率測定サンプルの屈折率を、アッベ屈折計(カルニュー光学工業)を用いて測定し、以下の基準で評価した。なお、ガラス基板の屈折率は光学用組成物の硬化物よりも高いもの使う必要がある。
A:1.65以上
B:1.62以上1.65未満
D:1.62未満
【0125】
(2)透過率測定
上記(1)と同様にして、厚さ500μmの透過率測定サンプルと厚さ300μmの透過率測定サンプルを作製した。なお、厚さ300μmの透過率サンプルは屈折率測定サンプルを使用しても良い。それぞれの膜厚の透過率測定サンプルの透過率を、日立ハイテクノロジー社製分光光度計U-4000(製品名)で測定し、400nmでの内部透過率(500μm)に換算し、以下の基準で評価した。
A:85%以上
B:80%以上85%未満
C:75%以上80%未満
【0126】