(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】貯蔵庫管理システム
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20240813BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
F25D23/00 301G
F25D23/00 301N
F25D11/00 101B
(21)【出願番号】P 2019195994
(22)【出願日】2019-10-29
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】横山 竜也
(72)【発明者】
【氏名】山本 凌大
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-228340(JP,A)
【文献】特開2004-326396(JP,A)
【文献】特開平10-259982(JP,A)
【文献】特開2004-278946(JP,A)
【文献】特開平07-103633(JP,A)
【文献】特開2002-139270(JP,A)
【文献】特開2018-194205(JP,A)
【文献】特開2018-204835(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2022372(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00 ~ 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を有する貯蔵庫本体と、前記貯蔵室の温度を調整する温度調整装置と、を備える貯蔵庫と、
前記貯蔵庫に係る異常を検知する異常検知部と、
電子メールを情報端末に送信するメール送信部と、を備え、
前記メール送信部は、前記異常検知部によって前記異常が検知された場合に、前記異常に対する対処方法が記載された電子メールである異常対処メールを前記情報端末に送信するものとされ、
前記温度調整装置は、前記貯蔵室を冷却することが可能な冷却装置とされ、
前記貯蔵庫は、凝縮器と、前記凝縮器を覆うエアフィルタと、前記冷却装置を構成すると共に前記エアフィルタを通じて吸引した空気を前記凝縮器に向かわせる凝縮器ファンと、前記凝縮器の温度を検知可能な凝縮器温度センサと、前記凝縮器の周囲温度を検知可能な周囲温度センサと、を備え、
前記異常検知部は、前記凝縮器温度センサの測定温度が所定温度以上である状態が所定時間継続した場合、及び前記凝縮器温度センサの測定温度から前記周囲温度センサの測定温度を引いた値が、所定値以上である状態が所定時間継続した場合において、前記エアフィルタが目詰まりしていると判定し、
前記メール送信部は、前記異常検知部によって前記エアフィルタが目詰まりしていると判定された場合に、前記エアフィルタの清掃を促す文言が記載されている前記異常対処メールを前記情報端末に送信する
ものとされ、
前記貯蔵庫は、前記貯蔵室の温度を検知する第1温度センサを備え、
前記温度調整装置は、前記第1温度センサで検知された第1検知温度が予め設定された設定温度となるように、その動作が制御され、
前記メール送信部は、前記第1温度センサとは異なる温度センサである第2温度センサによって検知された前記貯蔵室の温度である第2検知温度と、前記第1検知温度との差が所定値以上である場合、且つ前記第1検知温度と前記設定温度の差が前記第2検知温度と前記設定温度の差よりも大きい場合には、前記第1温度センサに異常が発生していることを通知する電子メールを前記情報端末に送信する、貯蔵庫管理システム。
【請求項2】
前記異常対処メールには、前記温度調整装置を構成する部品のうち前記異常が発生したと推測される部品の名称が記載されている請求項1に記載の貯蔵庫管理システム。
【請求項3】
前記異常検知部によって検知された前記異常が解消されたか否かを判定する異常解消判定部を備え、
前記メール送信部は、前記異常解消判定部によって前記異常が解消されたと判定された場合に、前記異常が解消されたことを通知する電子メールを前記情報端末に送信する請求項1又は請求項2に記載の貯蔵庫管理システム。
【請求項4】
前記メール送信部は、前記異常検知部によって前記異常が検知されている場合には、前記異常が発生していることを通知する電子メールを前記情報端末に所定時間毎に送信する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の貯蔵庫管理システム。
【請求項5】
現在時刻を計時する計時部を備え、
前記メール送信部は、前記計時部によって計時された現在時刻が所定時刻になった場合且つ前記異常検知部によって前記異常が検知されている場合には、前記異常が発生していることを通知する電子メールを前記情報端末に送信し、前記計時部によって計時された現在時刻が前記所定時刻になった場合且つ前記異常検知部によって前記異常が検知されていない場合には、前記異常が発生していないことを通知する電子メールを前記情報端末に送信する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の貯蔵庫管理システム。
【請求項6】
前記メール送信部は、前記異常検知部によって前記異常が検知された場合に、前記異常が発生していることを通知する電子メールを前記情報端末に送信する異常発生通知メール送信処理を実行するものとされ、
前記異常発生通知メール送信処理では、前記メール送信部は、前記異常が発生していることを通知する電子メールの送信先を、複数の前記情報端末の中から前記異常の種類に基づいて決定する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の貯蔵庫管理システム。
【請求項7】
現在時刻を計時する計時部を備え、
前記メール送信部は、前記異常検知部によって前記異常が検知された場合に、前記異常が発生していることを通知する電子メールを前記情報端末に送信する異常発生通知メール送信処理を実行するものとされ、
前記異常発生通知メール送信処理では、前記メール送信部は、前記異常が発生していることを通知する電子メールの送信先を、複数の前記情報端末の中から前記計時部によって計時された現在時刻に基づいて決定する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の貯蔵庫管理システム。
【請求項8】
前記貯蔵庫付近の人の存在を検知する人検知部を備え、
前記メール送信部は、前記異常検知部によって前記異常が検知された場合に、前記異常が発生していることを通知する電子メールを前記情報端末に送信する異常発生通知メール送信処理を実行するものとされ、
前記異常発生通知メール送信処理では、前記メール送信部は、前記異常が発生していることを通知する電子メールの送信先を、複数の前記情報端末の中から前記人検知部によって人の存在が検知されているか否かに基づいて決定する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の貯蔵庫管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵庫管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯蔵庫として、貯蔵室を冷却することが可能な冷凍ユニットを備える冷蔵庫が記載されている(下記特許文献1)。特許文献1に記載の冷蔵庫では、冷凍ユニット(温度調整装置)が備える各機器(圧縮機等)を動作させることで、貯蔵室の温度が略一定の温度となるように調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成のように貯蔵室の温度を調整するための温度調整装置を備える貯蔵庫において、貯蔵庫が備える各機器に異常が発生すると、貯蔵室の温度を調整することができず、貯蔵室内に貯蔵された貯蔵物の品質が低下する事態が懸念される。このため、温度調整装置を備える貯蔵庫において異常が発生した場合には、その異常に対してより迅速に対応することが求められている。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、貯蔵庫の異常が発生した場合において、その異常に対してより迅速に対応することが可能な貯蔵庫管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の貯蔵庫管理システムは、貯蔵室を有する貯蔵庫本体と、前記貯蔵室の温度を調整する温度調整装置と、を備える貯蔵庫と、前記貯蔵庫に係る異常を検知する異常検知部と、電子メールを情報端末に送信するメール送信部と、を備え、前記メール送信部は、前記異常検知部によって前記異常が検知された場合に、前記異常に対する対処方法が記載された電子メールである異常対処メールを前記情報端末に送信することに特徴を有する。
【0007】
情報端末の所有者は、異常対処メールを参照することで、その異常に対する対処方法を知ることができるため、対処方法を調べる必要がなく、より迅速な対応をすることができる。また、例えば、情報端末を貯蔵庫のユーザが所有するようにすれば、異常の種類によっては、異常に対する対処を貯蔵庫の近くにいるユーザ自身が実行することが可能となり、より迅速な対応をすることができる。
【0008】
また、前記異常対処メールには、前記温度調整装置を構成する部品のうち前記異常が発生したと推測される部品の名称が記載されているものとすることができる。これにより、異常が発生したと推測される部品を知ることができるため、より迅速な対応をすることができる。例えば、情報端末を貯蔵庫のメンテナンスを行うサービスマンが所有するようにすれば、異常が発生したと推測される部品の代替品を準備して貯蔵庫が設置されている場所に向かうことができるため、より迅速な対応をすることができる。
【0009】
また、前記異常検知部によって検知された前記異常が解消されたか否かを判定する異常解消判定部を備え、前記メール送信部は、前記異常解消判定部によって前記異常が解消されたと判定された場合に、前記異常が解消されたことを通知する電子メールを前記情報端末に送信するものとすることができる。情報端末の所有者は、異常が解消されたことを通知する電子メールを見ることで異常が解消されたことを知ることができ、安心感を得ることができる。
【0010】
また、前記メール送信部は、前記異常検知部によって前記異常が検知されている場合には、前記異常が発生していることを通知する電子メールを前記情報端末に所定時間毎に送信するものとすることができる。異常が発生していることを通知する電子メールが所定時間毎に送信されることで、情報端末の所有者は、異常が発生したことをより確実に知ることができる。
【0011】
また、現在時刻を計時する計時部を備え、前記メール送信部は、前記計時部によって計時された現在時刻が所定時刻になった場合且つ前記異常検知部によって前記異常が検知されている場合には、前記異常が発生していることを通知する電子メールを前記情報端末に送信し、前記計時部によって計時された現在時刻が前記所定時刻になった場合且つ前記異常検知部によって前記異常が検知されていない場合には、前記異常が発生していないことを通知する電子メールを前記情報端末に送信するものとすることができる。情報端末の所有者は、電子メールを見ることで、所定時刻に貯蔵庫に異常が発生しているか否かを確認することができる。つまり、所有者は定期的に貯蔵庫の状況を確認することができる。また、電子メールが所定時刻に送信されることから、メール送信部が正常に動作していることを情報端末の所有者が確認することができる。
【0012】
また、前記メール送信部は、前記異常検知部によって前記異常が検知された場合に、前記異常が発生していることを通知する電子メールを前記情報端末に送信する異常発生通知メール送信処理を実行するものとされ、前記異常発生通知メール送信処理では、前記メール送信部は、前記異常が発生していることを通知する電子メールの送信先を、複数の前記情報端末の中から前記異常の種類に基づいて決定するものとすることができる。
【0013】
上記構成によれば、異常の種類に基づいて複数の情報端末の中から、所定の情報端末のみに電子メールを送信することができる。例えば、2つの情報端末のうち、一方の情報端末を貯蔵庫のユーザが所有しており、他方の情報端末を貯蔵庫のメンテナンスを行うサービスマンが所有している場合には、ユーザが対処することが可能な異常に関しては、一方の情報端末に電子メールを送信し、ユーザが対処することが困難な異常に関しては、他方の情報端末に電子メールを送信することができるため、サービスマン及びユーザのうち、より適切な人物が異常の対処を行うことができる。
【0014】
また、現在時刻を計時する計時部を備え、前記メール送信部は、前記異常検知部によって前記異常が検知された場合に、前記異常が発生していることを通知する電子メールを前記情報端末に送信する異常発生通知メール送信処理を実行するものとされ、前記異常発生通知メール送信処理では、前記メール送信部は、前記異常が発生していることを通知する電子メールの送信先を、複数の前記情報端末の中から前記計時部によって計時された現在時刻に基づいて決定するものとすることができる。現在時刻に基づいて電子メールの送信先を決定することができる。例えば、2つの情報端末のうち、一方の情報端末を貯蔵庫のユーザが所有しており、他方の情報端末を貯蔵庫のメンテナンスを行うサービスマンが所有している場合には、ユーザが対処することが困難な時刻(夜間等)に異常が発生した場合には、他方の情報端末に電子メールを送信することができる。
【0015】
また、前記貯蔵庫付近の人の存在を検知する人検知部を備え、前記メール送信部は、前記異常検知部によって前記異常が検知された場合に、前記異常が発生していることを通知する電子メールを前記情報端末に送信する異常発生通知メール送信処理を実行するものとされ、前記異常発生通知メール送信処理では、前記メール送信部は、前記異常が発生していることを通知する電子メールの送信先を、複数の前記情報端末の中から前記人検知部によって人の存在が検知されているか否かに基づいて決定するものとすることができる。
【0016】
上記構成によれば、貯蔵庫付近の人の存在に基づいて電子メールの送信先を決定することができる。例えば、2つの情報端末のうち、一方の情報端末を貯蔵庫のユーザが所有しており、他方の情報端末を貯蔵庫のメンテナンスを行うサービスマンが所有しており、貯蔵庫付近に人がいない状況で異常が発生した場合には、ユーザはその貯蔵庫付近に居ないと考えられるため、一方の情報端末にメールを送信せず、他方の情報端末にメールを送信することができる。
【0017】
また、前記温度調整装置は,前記貯蔵室を冷却することが可能な冷却装置であるものとすることができる。冷却装置に係る異常に対して迅速に対処することができるため、所定の温度以上で品質が低下したり、変質したりする虞がある貯蔵物(例えば、薬品やアイスクリーム等)を貯蔵する際に好適である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、貯蔵庫の異常が発生した場合において、その異常に対してより迅速に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態1に係る貯蔵庫管理システムの構成を示すブロック図
【
図4】冷却貯蔵庫を示す断面図(側方から視た断面図)
【
図6】庫内温度センサ及び温度センサに係る制御部71(異常検知部71A)の処理を示すフローチャート
【
図7】温度センサに係る制御部40の処理を示すフローチャート
【
図8】異常が検知された場合のメール送信部の処理を示すフローチャート
【
図9】異常が解消された場合のメール送信部の処理を示すフローチャート
【
図10】異常が検知されている場合のメール送信部の処理を示すフローチャート
【
図11】現在時刻が所定時刻になった場合のメール送信部の処理を示すフローチャート
【
図19】実施形態2に係るメール送信部の処理を示すフローチャート
【
図20】実施形態3に係るメール送信部の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を
図1から
図18によって説明する。本実施形態では、貯蔵庫管理システム60として冷却貯蔵庫10を管理するものを例示する。貯蔵庫管理システム60は、
図1に示すように、冷却貯蔵庫10と、管理用コンピュータ70と、情報端末80と、情報端末90と、を備える。本実施形態では、
図3に示すように、冷却貯蔵庫10として、2ドア式の縦型のものを例示する。このような冷却貯蔵庫10は、例えば、薬品を貯蔵することが可能な保冷庫(薬用保冷庫)として用いられる。冷却貯蔵庫10は、
図3及び
図4に示すように、貯蔵室11を有する断熱性の箱体である貯蔵庫本体12と、貯蔵庫本体12の上方に設けられた機械室14と、を備える。貯蔵庫本体12は前方(
図4における左側)に開口されており、その開口は、水平方向に延びる仕切枠15によって仕切られている。これにより、貯蔵室11は、上下方向に配列された2つの開口部11A,11Aを有している。貯蔵室11に貯蔵される貯蔵物としては、薬品に限定されず適宜変更可能であるが、温度管理が必要な貯蔵物であることが好ましい。温度管理が必要な貯蔵物とは、所定の温度範囲外では品質が低下したり、変質したりする虞がある貯蔵物のことであり、上述した薬品の他、アイスクリーム等の冷凍食品を例示することができる。
【0021】
図4に示すように、貯蔵庫本体12には、上下方向に配列された2つの扉16,16が回動可能に取り付けられており、開口部11Aは扉16によって開閉可能な構成となっている。扉16は、
図3に示すように、その一部がガラス等の透明部材16Aによって構成されており、作業者は、透明部材16Aを通じて貯蔵室11内を視認することが可能となっている。また、貯蔵庫本体12は底面の四隅に設けられた脚13によって支持されている。また、貯蔵室11内には、水平方向に沿う形で棚板17が設けられており、貯蔵室11内に収容された貯蔵物は棚板17の上に載置可能となっている。機械室14には、凝縮器21、凝縮器ファン21A及び圧縮機22が、ユニット台23に載置された状態で収容されている。
【0022】
貯蔵庫本体12の上部には、冷却ダクトを兼ねたドレンパン24が、後方(
図4の右側)に向かうにつれて下降傾斜する形で配されている。これにより、ユニット台23とドレンパン24との間に冷却器室25が形成されている。冷却器室25においては、冷却器26が、ユニット台23の下面に取り付けられる形で配されている。冷却器26は、凝縮器21や圧縮機22と共に冷却サイクルを構成するものとされる。冷却サイクルは、圧縮機22と、凝縮器21と、図示しないキャピラリチューブ(又は膨張弁)と、冷却器26とが冷媒配管によって循環接続されることで主に構成されている。冷媒配管内には、例えば、プロパンやイソブタンからなる、空気よりも重い冷媒が封入されている。ドレンパン24の前側には、
図4に示すように、モータで駆動される庫内ファン27が設けられ、ドレンパン24の後側には、冷気の吹出部28が形成されている。
【0023】
冷却運転時には、圧縮機22、庫内ファン27及び凝縮器ファン21Aが駆動される。庫内ファン27の駆動により、
図4の矢印P1に示すように、貯蔵室11内の空気が冷却器室25内に吸引され、その後、冷却器26を通過する間に熱交換されて生成された冷気が、矢印P2に示すように吹出部28から貯蔵室11内に吹き出される。これにより、貯蔵室11内に冷気が循環供給されることで貯蔵室11が冷却される構成となっている。また、冷却器室25内において庫内ファン27の上方には、庫内温度センサ29が配されている。庫内温度センサ29は、庫内ファン27によって吸引された貯蔵室11内の空気の温度(貯蔵室11内の温度)を検知可能となっている。冷却器26の下面には、例えばシーズヒータからなる除霜ヒータ31が設けられている。除霜ヒータ31は、冷却器26に付着した霜を除去するために設けられている。また、機械室14には、凝縮器21を前方から覆う形でエアフィルタ33が収容されている。
【0024】
次に冷却貯蔵庫10の電気的構成について説明する。
図2に示すように、冷却貯蔵庫10は、制御部40を備える。制御部40には、表示部41、操作部42、記憶部43、計時部44、圧縮機22、凝縮器ファン21A、庫内ファン27、除霜ヒータ31、庫内温度センサ29、扉開閉検知センサ53、冷却器温度センサ35、凝縮器温度センサ51、周囲温度センサ30、通信部47がそれぞれ電気的に接続されている。制御部40は、例えば、CPUを主体に構成されており、記憶部43は、例えば、ROMやRAMなどによって構成されている。制御部40及び記憶部43は、例えばマイクロコンピュータ(マイコン)によって構成されているがこれに限定されない。計時部44は、現在時刻を計時することが可能となっている。制御部40は、記憶部43に記憶されたコンピュータプログラムを実行することで、制御部40に接続された各機器(圧縮機22、庫内ファン27、及び除霜ヒータ31など)の運転を制御することが可能となっている。なお、制御部40は、例えば、機械室14内に配置された電装箱18(
図5参照)内に収容されているが、これに限定されない。なお、本実施形態においては温度センサとして例えばサーミスタが用いられるがこれに限定されず、熱電対等を用いてもよい。
【0025】
機械室14の前面は、開閉可能なフロントパネル14A(
図3参照)によって構成されており、表示部41及び操作部42は、
図3及び
図5に示すように、オペレーションボックス32の前面に設けられている。オペレーションボックス32は、
図5に示すように、例えば、フロントパネル14Aの裏側に配されている。表示部41は、液晶パネルによって構成されている。操作部42は、押圧操作可能なボタンによって構成されている。また、オペレーションボックス32は、
図3に示すように、表示ランプ34を備える。作業者は、フロントパネル14Aに設けられた透明部材46(ガラスなど)を通じて前方から表示部41及び表示ランプ34を視認可能となっている。また、作業者は、フロントパネル14Aを開くことで、操作部42を操作することが可能となっている。作業者は、操作部42を操作することで、冷却貯蔵庫10の運転や各種設定(設定温度T1の変更など)を行うことができる。
【0026】
また、
図3に示すように、貯蔵庫本体12の開口縁部には、扉16の開閉を検知可能な扉開閉検知センサ53が設けられている。扉16において扉開閉検知センサ53に対応する箇所には、磁石53Aが設けられている。扉開閉検知センサ53は、磁石53Aが接近した場合(扉開閉検知センサ53と磁石53Aとの距離が所定距離以内になった場合)にオンになる磁気式の近接センサである。これにより、扉16が閉状態では扉開閉検知センサ53がオンになる。これにより、制御部40は、扉開閉検知センサ53がオンである場合に、扉16が閉状態であることを検知可能となっている。扉開閉検知センサ53は磁気式に限定されない。扉開閉検知センサ53として誘導形の近接センサを用いた場合には、磁石53Aの代わりに金属等の導体を設置すればよい。
【0027】
本実施形態では、制御部40は、圧縮機22、凝縮器ファン21A及び庫内ファン27を動作させることで貯蔵室11内を冷却する冷却運転と、冷却運転の後に行われ冷却器26に付着した霜を除霜する除霜運転と、をそれぞれ交互に実行するものとされる。冷却運転においては、制御部40は、庫内温度センサ29によって検知された検知温度TA1が予め設定された設定温度T1(庫内設定温度)よりも低くなると圧縮機22、凝縮器ファン21A及び庫内ファン27を停止させ、庫内温度センサ29によって検知された検知温度TA1が設定温度T1よりも高くなると、圧縮機22、凝縮器ファン21A及び庫内ファン27を駆動させる。これにより、貯蔵室11内の温度が設定温度T1付近で維持されるようになっている。
【0028】
つまり、冷却貯蔵庫10は、貯蔵室11を冷却することが可能な冷却装置20(貯蔵室の温度を調整する温度調整装置の一例)を備えている。冷却装置20には、冷却運転を実行するための機器(センサを含む)が含まれる。具体的には、本実施形態では、冷却装置20は、記憶部43と、圧縮機22と、凝縮器ファン21Aと、庫内ファン27と、庫内温度センサ29と、凝縮器温度センサ51と、周囲温度センサ30とを少なくとも備える。つまり、制御部40は、冷却装置20の動作を制御することが可能となっており、より詳しくは、冷却運転では、制御部40は、検知温度TA1が予め設定された設定温度T1となるように冷却装置20の動作を制御する。なお、設定温度T1は、作業者が操作部42を操作することで設定することが可能であり、設定された設定温度T1は記憶部43に記憶されている。
【0029】
除霜運転では、制御部40は、圧縮機22及び凝縮器ファン21Aを停止させると共に庫内ファン27を動作させるオフサイクルデフロストを実行する。オフサイクルデフロストは、所定時間(例えば6時間)毎に実行されるが、これに限定されない。また、冷却器26に設けられた冷却器温度センサ35(
図4参照)によって検知された冷却器26の温度が規定温度以下となった場合には、制御部40は、圧縮機22、凝縮器ファン21A及び庫内ファン27を停止させると共に除霜ヒータ31によって冷却器26を加熱するヒータデフロストを実行する。
【0030】
また、
図4に示すように、凝縮器21には、凝縮器21の温度を検知可能な凝縮器温度センサ51が取り付けられている。また、
図3の破線に示すように、オペレーションボックス32内には、機械室14内の温度(凝縮器21の周囲温度)を検知可能な周囲温度センサ30が収容されている。本実施形態では、
図4に示すように、凝縮器21を前方から覆う形でエアフィルタ33が設けられており、前側からエアフィルタ33、凝縮器21、凝縮器ファン21A、圧縮機22の順番で配列されている。また、冷却貯蔵庫10は、
図1に示すように、通信部47を備える。なお、
図1では、冷却貯蔵庫10においては、制御部40及び通信部47以外の機器を図示省略している。通信部47は、冷却貯蔵庫10を通信ネットワークN1(例えばインターネット)に接続するためのハードウェアインタフェースである。冷却貯蔵庫10は、通信ネットワークN1を介して管理用コンピュータ70と相互に通信可能となっている。制御部40は、冷却貯蔵庫10の動作に係るデータ(例えば、計時部44で計時した現在時刻、各温度センサ29,51,30で検知された検知温度、表示ランプ34の点灯状態等)を通信ネットワークN1を介して管理用コンピュータ70に送信することが可能となっている。
【0031】
管理用コンピュータ70(管理用サーバー)は、
図1に示すように、制御部71と、記憶部72と、表示部73と、操作部74と、通信部75と、を備えている。制御部71は、例えば、CPUを主体に構成されており、記憶部72は、例えば、ROMやRAMなどによって構成されている。制御部71は記憶部72に記憶されているプログラムを実行することによって制御部71に対して電気的に接続されている各機器(表示部73、操作部74、通信部75)を制御する。また、制御部71は、冷却貯蔵庫10から送信されたデータを記憶部72に記憶することが可能となっている。表示部73は例えば液晶ディスプレイなどの表示装置を主体に構成されている。操作部74はキーボードやマウスなどの入力機器を主体に構成されている。なお、表示部73及び操作部74がタッチパネルによって一体的に構成されていてもよい。通信部75は、管理用コンピュータ70を通信ネットワークN1に接続するためのハードウェアインタフェースである。なお、管理用コンピュータ70は、クラウドコンピューティング技術を用いることで実現されたクラウドサーバーであってもよい。
【0032】
また、
図1に示すように、貯蔵庫管理システム60は、温度測定装置61を備える。温度測定装置61は、制御部62と、温度センサ63と、通信部64と、を備える。温度センサ63は、
図4に示すように、貯蔵室11内の中央部付近に配されており、貯蔵室11の温度を検知することが可能となっている。つまり、温度センサ63は、庫内温度センサ29と異なる箇所に設けられている。通信部64は、温度測定装置61を通信ネットワークN1に接続するためのハードウェアインタフェースである。制御部62は、例えば、CPUを主体に構成されており、温度センサ63及び通信部64と電気的に接続されている。制御部62は、温度センサ63で検知された検知温度TA2(第2検知温度)を通信ネットワークN1を介して管理用コンピュータ70に送信する。なお、温度測定装置61には、電源装置65が接続されている。電源装置65は、冷却貯蔵庫10を動作させるための電源とは別の電源であり、温度測定装置61は、電源装置65から供給される電力によって動作するものとされる。
【0033】
図1に示すように、情報端末80は、制御部81と、記憶部82と、表示部83と、操作部84と、通信部85とを備える。このような情報端末80としては、例えば、携帯電話(スマートフォンを含む)やタブレット型の携帯情報端末を例示することができる。制御部81は、例えば、CPUを主体に構成されており、記憶部82は、例えば、ROMやRAMなどによって構成されている。制御部81は記憶部82に記憶されているプログラムを実行することによって制御部81に対して電気的に接続されている各機器(表示部83、操作部84、通信部85)を制御する。表示部83及び操作部84は例えばタッチパネルによって構成されている。通信部85は、情報端末80を通信ネットワークN1に接続するためのハードウェアインタフェースである。
【0034】
図1に示すように、情報端末90は、制御部91と、記憶部92と、表示部93と、操作部94と、通信部95と、を備える。このような情報端末90としては、例えば、携帯電話(スマートフォンを含む)やタブレット型の携帯情報端末を例示することができる。制御部91は、例えば、CPUを主体に構成されており、記憶部92は、例えば、ROMやRAMなどによって構成されている。制御部91は記憶部92に記憶されているプログラムを実行することによって制御部91に対して電気的に接続されている各機器(表示部93、操作部94、通信部95)を制御する。表示部93及び操作部94は例えばタッチパネルによって構成されている。通信部95は、情報端末90を通信ネットワークN1に接続するためのハードウェアインタフェースである。
【0035】
情報端末80,90はそれぞれ異なる人物が所有するものとされる。以下の説明では、冷却貯蔵庫10の利用者(以下の説明では顧客と呼ぶ)が情報端末80を所有し、冷却貯蔵庫10のメンテナンスを行うサービスマンが情報端末90を所有している場合を例示して説明する。情報端末80,90には、電子メールを閲覧することが可能なソフトウェアがインストールされており、情報端末80では、顧客のメールアドレス宛に送信された電子メールを表示部83に表示させて閲覧することができ、情報端末90では、サービスマンのメールアドレス宛に送信された電子メールを表示部93に表示させて閲覧することができる。
【0036】
制御部40は、冷却貯蔵庫10が備える各機器(冷却装置20を含む)にエラー(異常)が発生したか否かを判定することが可能となっている。つまり、制御部40は、冷却貯蔵庫10に係る異常を検知する異常検知部として機能するものとされる。制御部40が検知可能なエラーとしては、下記のエラーE11からエラーE13を例示することができる。制御部40は、エラーが発生していると判定した場合(エラーを検知した場合)には、そのエラーに割り当てられた番号であるエラー番号(例えばE11からE13のいずれか)を表示部41に表示すると共に、通信部47を介して、そのエラー番号を管理用コンピュータ70に送信する。つまり、エラー番号は、エラーが発生したこと及び発生したエラーの種類を管理用コンピュータ70に通知するための信号(エラー通知信号)である。これにより、管理用コンピュータ70の制御部71は、エラー番号を参照することで、冷却貯蔵庫10で発生したエラーの種類を判別することができる。
【0037】
(エラーE11)高温異常(庫内温度が高い)
制御部40は、庫内温度センサ29の検知温度(第1検知温度)が、設定温度T1より所定温度(例えば10℃)高い状態を所定時間(例えば2時間)継続した場合に高温異常(庫内温度が高い)であると判定する。
【0038】
(エラーE12)マイクロコンピュータの異常
制御部40は、マイクロコンピュータ(制御部40及び記憶部43を構成)に異常が発生していることを検知することができる。制御部40は、例えば、記憶部43に記憶されたコンピュータプログラムのチェックサム(ビットデータの合計値)を参照し、予め記憶されているチェックサムと一致しない場合にコンピュータプログラム(ひいてはマイクロコンピュータ)に異常が発生していると判定する。
【0039】
(エラーE13)表示ランプ点灯
本実施形態では、凝縮器ファン21Aが動作することで、エアフィルタ33を通じて吸引した空気が凝縮器21に向かい、凝縮器21が冷却される構成となっている。そして、空気がエアフィルタ33を通過する際には、埃や油汚れがエアフィルタ33に付着する結果、エアフィルタ33が目詰まりする事態が懸念される。制御部40は、下記判定条件(1)及び(2)を満たす場合に、エアフィルタ33が目詰まりしていると判定し、表示ランプ34を点灯させる。つまり、制御部40は、エアフィルタ33の異常(目詰まり)が発生しているか否かを判定することができる。表示ランプ34が点灯することで、エアフィルタ33が目詰まりしていることを使用者に報知することができる。
判定条件(1):凝縮器温度センサ51の測定温度が所定温度(例えば45℃)以上である状態が所定時間(例えば11分)継続した。
判定条件(2):凝縮器温度センサ51の測定温度から周囲温度センサ30の測定温度を引いた値が、所定値(例えば7℃)以上である状態が所定時間(例えば9分)継続した。
【0040】
エアフィルタ33が目詰まりすると、凝縮器ファン21Aによる凝縮器21の冷却が妨げられるため、凝縮器21の温度が上昇する。このため、凝縮器温度センサ51の測定温度に基づいてエアフィルタ33が目詰まりしているか否かを判定することができる。また、凝縮器21の周囲温度が高いとエアフィルタ33が目詰まりしていない状態であっても凝縮器21の温度が高くなる。このため、上記判定条件(2)を含むことで、エアフィルタ33が目詰まりしておらず機械室14内の温度が高い場合に、エアフィルタ33が目詰まりしていると誤判定する事態を抑制できる。また、制御部40は、定期的(例えば2週間毎)に表示ランプ34を点灯させることで、作業者にエアフィルタ33の清掃を促すようにしてもよい。
【0041】
管理用コンピュータ70の制御部71は、冷却貯蔵庫10から送信されたデータ(庫内温度センサ29で検知された検知温度TA1を含む)及び温度測定装置61から送信されたデータ(温度センサ63で検知された検知温度TA2)を記憶部72に記憶する。また、制御部71は、記憶部72に記憶されたデータを表示部73に表示することが可能となっている。また、制御部71は、異常検知部71Aと、電子メールを情報端末80,90に送信するメール送信部71Bと、冷却貯蔵庫10に係る異常が解消された否かを判定する異常解消判定部71Cと、を備える。
【0042】
異常検知部71Aは、検知温度TA1、検知温度TA2、設定温度T1に基づいて庫内温度センサ29の異常(冷却貯蔵庫10に係る異常の一例)を検知することができる。以下の説明では、異常検知部71Aで検知される庫内温度センサ29の異常をエラーE14と呼ぶ。
【0043】
具体的には、異常検知部71Aは、
図6に示すように、検知温度TA1と検知温度TA2の差が所定値T4以上である場合(
図6のステップS11で「YES」)、且つ検知温度TA1と設定温度T1の差が検知温度TA2と設定温度T1の差よりも大きい場合(
図6のステップS12で「YES」)には、庫内温度センサ29に異常が発生している(故障している)と判定する。そして、庫内温度センサ29に異常が発生していると判定した場合、制御部71は、冷却運転時に参照する温度センサを庫内温度センサ29から温度センサ63に切り替える指令(温度センサ切替指令)を冷却貯蔵庫10に送信する(
図6のステップS13)。
【0044】
図7に示すように、冷却貯蔵庫10の制御部40は、温度センサ切替指令を受信した場合(
図7のステップS21で「YES」)には、温度センサ63の検知温度TA2に基づいて冷却運転を実行する(
図7のステップS22)。具体的には、庫内温度センサ29で検知された検知温度TA1の代わりに温度センサ63で検知された検知温度TA2(第2検知温度)が設定温度T1となるように冷却装置20の動作を制御する。なお、その後、庫内温度センサ29の異常が解消された場合には、制御部40は、検知温度TA1に基づいて冷却運転を行う。
【0045】
なお、正常な状態では、検知温度TA1及び検知温度TA2は、貯蔵室11内の温度に近い値となるため、ほぼ同じ値となる。このため、検知温度TA1と検知温度TA2の差が所定値T4以上である場合には、庫内温度センサ29及び温度センサ63のうちいずれか一方に異常が発生していると考えることができる。そして、正常な状態では、検知温度TA1,TA2は設定温度T1に近い値となる。このため、検知温度TA1と設定温度T1の差が、検知温度TA2と設定温度T1の差よりも大きい場合には、庫内温度センサ29に異常が発生していると考えることができる。
【0046】
このように本実施形態では、冷却貯蔵庫10に係る異常(エラーE11~E14)を制御部40及び異常検知部71Aによって検知することができる。より詳しくは、制御部40は、エラーE11からエラーE13を検知することが可能な異常検知部であり、異常検知部71AはエラーE13を検知することが可能な異常検知部である。なお、異常検知部71Aは、冷却貯蔵庫10から送信されたデータに基づいて、上記したエラーE11からエラーE13の判定処理を行うことで、制御部40の代わりにエラーE11からエラーE13を検知してもよい。例えば、異常検知部71Aが、庫内温度センサ29の検知温度TA2の値に基づいて、エラーE11が発生しているか否かを判定することで、エラーE11を検知してもよい。また、制御部40が、異常検知部71Aとして機能するものであってもよい。つまり、冷却貯蔵庫10に係る異常を検知する異常検知部は、冷却貯蔵庫10及び管理用コンピュータ70のうちいずれか一方のみに設けられていてもよい。
【0047】
そして、管理用コンピュータ70のメール送信部71Bは、
図8に示すように、制御部40又は異常検知部71Aによって冷却貯蔵庫10に係る異常(エラーE11からE14のいずれか)が検知された場合(
図8のステップS31で「YES」)に、異常が発生していることを通知する電子メールを情報端末80,90に送信する(
図8のステップS32)。メール送信部71Bは、検知された異常に対応する電子メールを作成し、情報端末80,90に送信する。
【0048】
異常が発生していることを通知する電子メールの一例(メールM1からM5)を
図12から
図16に示す。なお、メール送信部71Bは、情報端末80,90の双方に電子メール(例えばメールM1からM5)を送信してもよいし、いずれか一方の情報端末のみに送信してもよい。また、メール送信部71Bは、発生したエラーの種類によって電子メール(例えばメールM1からM5)の送信先を決定してもよい(詳しくは後述)。
【0049】
また、メール送信部71Bは、1種類のエラーについて、情報端末80,90の各々に異なる文言の電子メールを送信してもよい。
図12のメールM1は、エラーE11(庫内温度が高い)が発生した場合に情報端末90(より詳しくはサービスマンのメールアドレス宛)に送信する電子メールの一例であり、
図13に示すメールM2は、エラーE11(庫内温度が高い)が発生した場合に情報端末80(より詳しくは顧客のメールアドレス宛)に送信する異常対処メールの一例である。
【0050】
図12のメールM1には、エラーが発生していることを通知する文言と共にそのエラーに対する対処方法が記載されている。つまり、メールM1は、異常検知部によって検知された異常に対する対処方法が記載された電子メールである異常対処メールの一例である。具体的には、メールM1には、エラー番号、エラーの内容、エラーの詳細説明、サービスマンが点検するための点検項目、エラーの解除方法等が記載されている。
【0051】
メールM1には、サービスマンが点検するための点検項目として、例えば以下の点検項目A、Bが記載されている。
(点検項目A)点検すべき部品の名称
点検すべき部品の名称として、メールM1では庫内温度センサや冷却サイクルを例示している。点検すべき部品の名称とは、言い換えると冷却装置20を構成する部品のうち異常が発生したと推測される部品の名称である。
(点検項目B)点検すべき設置状況(エラーの原因)
点検すべき設置状況とは、エラーの原因と推測される冷却貯蔵庫10の設置状況のことである。点検すべき設置状況として、メールM1では「周囲が高温、扉と貯蔵庫本体の間に隙間がある、扉開閉が頻繁、(貯蔵室11内に)温かいものが多く入っている等」の事項を例示している。
【0052】
図13のメールM2には、エラー番号、エラーの内容、調べるところ(異常の原因と推測される事項)、対処方法等が記載されている。このため、顧客はメールM2に記載されている対処方法を実行することで、エラーを解消することが可能となる。なお、メールM2の表示画面である表示部83には、
図13に示すように、顧客がサービスマンに連絡するために操作する操作ボタン83Aが表示されていてもよい。顧客が操作ボタン83Aをタッチ操作すると、制御部81は、管理用コンピュータ70に操作ボタン83Aが操作されたことを通知する。操作ボタン83Aが操作された場合には、管理用コンピュータ70のメール送信部71Bは、情報端末90にエラーE11が発生していることを通知する電子メール(例えばメールM2と同じ内容のメール)を送信する。これにより、仮に顧客がメールM2に記載されている対処方法を実行したが、エラーが解消されなかった場合等に、操作ボタン83Aを操作することで、サービスマンにエラーの発生を速やかに伝えることができる。
【0053】
図14のメールM3は、マイクロコンピュータ(マイコン、制御部40及び記憶部43を構成)に異常が発生していること(エラーE12)を通知する電子メールの一例である。
図15のメールM4は、表示ランプ34が点灯していること(エアフィルタ33の目詰まり、エラーE13)を通知する電子メールの一例である。メールM4では、エラーに対する対処方法として、「エアフィルタ33の清掃をして下さい。」の文言が記載されている。つまり、メールM4は、異常対処メールの一例である。
【0054】
図16に示すメールM5は、庫内温度センサ29に異常が発生していること(エラーE14)を通知する電子メールの一例である。つまり、メール送信部71Bは、検知温度TA1と検知温度TA2の差が所定値T4以上である場合且つ検知温度TA1と設定温度T1の差が検知温度TA2と設定温度T1の差よりも大きい場合に、庫内温度センサ29に異常が発生していることを通知する電子メール(メールM5)を情報端末80,90に送信する。つまり、メールM5は、第1温度センサ又は第2温度センサに異常が発生していることを通知する電子メールの一例である。なお、メール送信部71Bは、検知温度TA1と検知温度TA2の差が所定値T4以上である場合に、庫内温度センサ29又は温度センサ63に異常が発生していることを通知する電子メールを情報端末80,90に送信してもよい。なお、メールM3,M5に示すように、エラーに対する対処方法等が記載されていなくてもよい。なお、エラーに対する対処方法とは、エラーの原因を取り除く方法(例えばメールM4の「エアフィルタの清掃をして下さい」等)に限定されず、例えばメールM2の「貯蔵物を他の冷却貯蔵庫に移し替えて下さい」のように貯蔵物の保護を促すようなものも含まれる。
【0055】
異常解消判定部71Cは、制御部40又は異常検知部71Aによって検知された異常が解消されたか否かを判定する。具体的には、異常解消判定部71Cは、制御部40からのエラー番号の送信が停止した場合に制御部40によって検知された異常(エラーE11からE13のいずれか)が解消されたと判定する。なお、制御部40は、作業者によって操作部42が操作されたことや、冷却貯蔵庫10が備える各センサ(温度センサ等)から送信されたデータに基づいて、異常が解消されたと判定した場合に、管理用コンピュータ70へのエラー番号の送信を停止する。
【0056】
例えば、エラーE11が解消される条件としては、
図12に示すように、操作部42を構成する所定のボタンが所定の時間押されたことや、庫内温度センサ29の検知温度TA1が予め設定された設定上限温度まで低下したこと等を例示することができ、このような条件を満たした場合に、制御部40は、エラーE11が解消されたと判定し、管理用コンピュータ70へのエラー番号(E11)の送信を停止する。また、異常解消判定部71Cは、検知温度TA1と検知温度TA2の差が所定値T4(
図6のステップS11の所定値T4)より小さくなった場合に庫内温度センサ29に係る異常(エラーE14、異常検知部71Aによって検知された異常)が解消されたと判定することができる。
【0057】
メール送信部71Bは、
図9に示すように、異常解消判定部71Cによって異常が解消されたと判定された場合(
図9のステップS41で「YES」)に、異常が解消されたことを通知する電子メール(例えばメールM6)を情報端末80,90に送信する(
図9のステップS42)。
図17に示すメールM6は、エラーE11(高温異常)が発生した後、扉16を閉じたことで、エラーE11が解消されたことを通知する電子メールの一例である。なお、扉16を閉じたことは扉開閉検知センサ53によって検知することができる。また、異常が解消されたことを通知する電子メールとして、冷却貯蔵庫10が正常な状態であることを通知する電子メール(
図18のメールM7参照)を情報端末80,90に送信してもよい。なお、メール送信部71Bは、メールM6やメールM7を情報端末80,90の双方に送信してもよいし、いずれか一方の情報端末のみに送信してもよい。
【0058】
なお、メール送信部71Bは、冷却貯蔵庫10(又は温度測定装置61)から送信されたデータに基づいて電子メールを作成することができる。このため、例えば、メールM7に示すように、庫内温度(庫内温度センサの検知温度TA1)や設定温度T1を電子メールの文章中に記載することができる。
【0059】
また、メール送信部71Bは、
図10に示すように、制御部40又は異常検知部71Aによって異常が検知されている場合(
図10のステップS51で「YES」)、且つ前回その異常が発生していることを通知する電子メールを送信してから所定時間経過した場合(
図10のステップS52で「YES」)には、その異常が発生していることを通知する電子メール(例えばメールM1からM5のうち発生した異常に対応するメール)を情報端末80,90に送信する(
図10のステップS53)。つまり、メール送信部71Bは、異常が検知されている場合には、その異常が発生していることを通知する電子メールを情報端末80,90に所定時間毎に送信することができる。
【0060】
また、メール送信部71Bは、
図11に示すように、計時部44によって計時された現在時刻が所定時刻になった場合(
図11のステップS61で「YES」)且つ、制御部40又は異常検知部71Aによって異常が検知されている場合(
図11のステップS62で「YES」)には、その異常が発生していることを通知する電子メール(例えばメールM1からM5のうち発生した異常に対応するメール)を情報端末80,90に送信する(
図11のステップS63)。また、メール送信部71Bは、計時部44によって計時された現在時刻が所定時刻になった場合(
図11のステップS61で「YES」)且つ、制御部40及び異常検知部71Aによって異常が検知されていない場合(
図11のステップS62で「NO」)には、異常が発生していないことを通知する電子メール(例えば
図18に示すメールM7)を情報端末80,90に送信する(
図11のステップS64)。
【0061】
また、制御部40又は異常検知部71Aによって異常が検知された場合に、異常が発生していることを通知する電子メール(例えばメールM1~M5)を送信する処理を異常発生通知メール送信処理とした場合において、メール送信部71Bは、異常発生通知メール送信処理では、異常が発生していることを通知する電子メールの送信先を、情報端末80,90の中から異常の種類に基づいて決定することができる。メール送信部71Bは、例えば、顧客が対処することが可能な異常(例えばエラーE11やエラーE13)については、顧客の情報端末80のみに、その異常が発生していることを通知する電子メール(例えばメールM2やメールM4)を送信し、顧客が対処することが困難な異常(例えば上述したエラーE12,E14)については、サービスマンの情報端末90のみに、その異常が発生していることを通知する電子メール(例えばメールM3やメールM5)を送信するようにしてもよい。例えば、エラーE12(マイコンの故障)が検知された場合において、エラーE12は、顧客が対処することが困難な異常であるため、メール送信部71Bは、顧客の情報端末80には、メールM3を送信せず、サービスマンの情報端末90のみにメールM3を送信する。
【0062】
なお、冷却貯蔵庫10で発生する各エラーには、エラーを解消するための難易度に基づいてエラーレベルが設定されており、電子メールの送信先が、そのエラーレベルに基づいて決定されていてもよい。例えば、エラーレベルが低いエラー(例えばエラーE11やエラーE13)に係る電子メールは、顧客の情報端末80のみに送信され、エラーレベルが高いエラー(例えばエラーE12やエラーE14)に係る電子メールは、サービスマンの情報端末90のみに送信されるように設定されていてもよい。
【0063】
次に本実施形態の効果について説明する。本実施形態によれば、情報端末80,90の所有者は、異常対処メールを参照することで、その異常に対する対処方法を知ることができるため、対処方法を調べる必要がなく、より迅速な対応をすることができる。また、例えば、情報端末80を冷却貯蔵庫10のユーザ(顧客)が所有するようにすれば、異常の種類によっては、異常に対する対処を冷却貯蔵庫10の近くにいるユーザ自身が実行することが可能となり、より迅速な対応をすることができる。
【0064】
また、異常対処メール(例えばメールM1)には、冷却装置20を構成する部品のうち異常が発生したと推測される部品の名称が記載されている。これにより、異常が発生したと推測される部品を知ることができるため、より迅速な対応をすることができる。例えば、情報端末90を冷却貯蔵庫10のメンテナンスを行うサービスマンが所有するようにすれば、例えば、異常が発生したと推測される部品の代替品を準備して冷却貯蔵庫10が設置されている場所に向かうことができるため、より迅速な対応をすることができる。
【0065】
また、制御部40又は異常検知部71Aによって検知された異常が解消されたか否かを判定する異常解消判定部71Cを備え、メール送信部71Bは、異常解消判定部71Cによって異常が解消されたと判定された場合に、異常が解消されたことを通知する電子メール(例えばメールM6やメールM7)を情報端末80,90に送信する。情報端末80,90の所有者は、異常が解消されたことを通知する電子メールを見ることで異常が解消されたことを知ることができ、安心感を得ることができる。
【0066】
また、メール送信部71Bは、制御部40又は異常検知部71Aによって異常が検知されている場合には、異常が発生していることを通知する電子メールを情報端末80,90に所定時間毎に送信する。異常が発生していることを通知する電子メールが所定時間毎に送信されることで、情報端末80,90の所有者は、異常が発生したことをより確実に知ることができる。
【0067】
また、現在時刻を計時する計時部44を備え、メール送信部71Bは、計時部44によって計時された現在時刻が所定時刻になった場合、且つ制御部40又は異常検知部71Aによって異常が検知されている場合には、異常が発生していることを通知する電子メールを情報端末80,90に送信し、計時部44によって計時された現在時刻が所定時刻になった場合、且つ異常検知部(制御部40及び異常検知部71A)によって異常が検知されていない場合には、異常が発生していないことを通知する電子メールを情報端末80,90に送信する。情報端末80,90の所有者は、電子メールを見ることで、所定時刻に冷却貯蔵庫10に異常が発生しているか否かを確認することができる。つまり、所有者は定期的に冷却貯蔵庫10の状況を確認することができる。また、電子メールが所定時刻に送信されることから、メール送信部71Bが正常に動作していることを情報端末80,90の所有者が確認することができる。
【0068】
また、メール送信部71Bは、制御部40又は異常検知部71Aによって異常が検知された場合に、異常が発生していることを通知する電子メールを情報端末80,90に送信する異常発生通知メール送信処理を実行するものとされ、異常発生通知メール送信処理では、メール送信部71Bは、異常が発生していることを通知する電子メールの送信先を、複数の情報端末80,90の中から異常の種類に基づいて決定する。
【0069】
このようにすれば、異常の種類に基づいて複数の情報端末80,90の中から、所定の情報端末のみに電子メールを送信することができる。例えば、2つの情報端末80,90のうち、情報端末80を冷却貯蔵庫10のユーザ(顧客)が所有しており、情報端末90を冷却貯蔵庫10のメンテナンスを行うサービスマンが所有している場合には、ユーザが対処することが可能な異常に関しては、情報端末80に電子メールを送信し、ユーザが対処することが困難な異常に関しては、情報端末90に電子メールを送信することができるため、サービスマン及びユーザのうち、より適切な人物が異常の対処を行うことができる。
【0070】
また、温度調整装置は,貯蔵室11を冷却することが可能な冷却装置20である。冷却装置20に係る異常に対して迅速に対処することができるため、所定の温度以上で品質が低下したり、変質したりする虞がある貯蔵物(例えば、薬品やアイスクリーム等)を貯蔵する際に好適である。
【0071】
また、本実施形態では、貯蔵室11の温度を検知する庫内温度センサ29と、貯蔵室11の温度を検知する温度センサ63と、庫内温度センサ29で検知された検知温度TA1及び温度センサ63で検知された検知温度TA2を記憶する記憶部72と、を備える。庫内温度センサ29及び温度センサ63のうち、いずれか一方が故障した場合であっても、記憶部72に記憶された他方の温度センサによる検知温度を参照することで、貯蔵室11の正確な温度履歴を確認することができる。例えば、温度センサを1つのみ備える構成において検知温度を記憶する構成とした場合、温度センサが故障してしまうと、貯蔵室11の正確な温度履歴を確認することができないが、2つの温度センサ29,63を備えることから、このような事態を抑制できる。また、貯蔵室11が冷却されていたか否かを正確に確認することができるため、所定の温度以上で品質が低下したり、変質したりする虞がある貯蔵物(例えば、薬品やアイスクリーム等)を貯蔵する際に好適である。
【0072】
また、メール送信部71Bは、検知温度TA1と検知温度TA2の差が所定値T4以上である場合に、庫内温度センサ29(又は温度センサ63)に異常が発生していることを通知する電子メールを情報端末80,90に送信する。情報端末80,90の所有者は、電子メールを見ることで、庫内温度センサ29(又は温度センサ63)について異常が発生していることを知ることができ、その異常に対して、より迅速に対応することができる。
【0073】
また、冷却装置20の動作を制御する制御部40を備え、制御部40は、検知温度TA1が予め設定された設定温度T1となるように冷却装置20の動作を制御するものとされ、制御部40は、検知温度TA1と検知温度TA2の差が所定値T4以上である場合且つ検知温度TA1と設定温度T1の差が検知温度TA2と設定温度T1の差よりも大きい場合には、検知温度TA1の代わりに検知温度TA2が設定温度T1となるように冷却装置20の動作を制御する。
【0074】
検知温度TA1と検知温度TA2の差が所定値T4以上である場合且つ検知温度TA1と設定温度T1の差が検知温度TA2と設定温度T1の差よりも大きい場合には、庫内温度センサ29に異常が発生していると考えることができる。このため、制御部40は、検知温度TA1の代わりに検知温度TA2が予め設定された設定温度T1となるように冷却装置20の動作を制御する。つまり、制御部40は、異常が発生している庫内温度センサ29の検知温度TA1ではなく、正常な温度センサ63である温度センサ63の検知温度TA2に基づいて冷却装置20の動作を制御することができる。
【0075】
なお、冷却貯蔵庫10に係るエラーは上述したもの(エラーE11からエラーE14)に限定されない。例えば、冷却貯蔵庫10に係るエラーとして、下記のエラーE21からエラーE24を挙げることができ、メール送信部71Bは発生したエラーの種類に対応した文言の電子メールを情報端末80,90に送信することができる。エラーE21からエラーE24は、例えば制御部40によって検知されるが、異常検知部71AがエラーE21からエラーE24を検知してもよい。
【0076】
(エラーE21)低温異常(庫内温度が低い)
制御部40は、庫内温度センサ29の検知温度が、設定温度より所定温度低い状態を所定時間継続した場合に低温異常であると判定することができる。
(エラーE22)温度センサの異常(断線又は短絡)
制御部40は、各温度センサ30,35,51の異常を判定することができる。なお、温度センサとしてサーミスタを用いた場合には、制御部40は、例えば、温度センサの検知温度が予め設定された温度範囲外となった場合に温度センサが異常(断線又は短絡)であると判定することができる。
(エラーE23)ファンの異常
制御部40は、庫内ファン27や凝縮器ファン21Aの異常を判定することができる。より詳しくは、制御部40は、例えば、庫内ファン27(又は凝縮器ファン21A)を駆動させるファンモータの電流値が所定の電流値以上となった(過電流を検知した)場合に庫内ファン27(又は凝縮器ファン21A)が異常であると判定することができる。
(エラーE24)扉の長時間開放
制御部40は、扉開閉検知センサ53に基づいて扉16が開いた状態が所定時間継続した場合に、扉16の開放に係る異常として、扉16が長時間開放されていると判定することができる。
【0077】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を
図19によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、異常発生通知メール送信処理におけるメール送信部71Bの処理が上記実施形態と相違する。本実施形態の異常発生通知メール送信処理では、メール送信部71Bは、異常が発生していることを通知する電子メールの送信先を、複数の情報端末80,90の中から計時部44によって計時された現在時刻に基づいて決定する。具体的には、
図19に示すように、制御部40又は異常検知部71Aによって冷却貯蔵庫10に係る異常が検知された場合(
図19のステップS71で「YES」)には、メール送信部71Bは、現在時刻が所定範囲(例えば7時から20時の間)内であるか否かを判定する(
図19のステップS72)。
【0078】
メール送信部71Bは、異常を検知した時刻(現在時刻)が所定範囲(例えば7時から20時の間)内である場合(
図19のステップS72で「YES」)には、異常が発生していることを通知する電子メール(例えばメールM2やメールM4等)を例えば顧客の情報端末80に送信する(
図19のステップS73)。また、メール送信部71Bは、異常を検知した時刻(現在時刻)が所定範囲(例えば7時から20時の間)外である場合(
図19のステップS72で「NO」)には、異常が発生していることを通知する電子メール(例えばメールM2やメールM4等)を例えばサービスマンの情報端末90に送信する(
図19のステップS74)。
【0079】
本実施形態によれば、現在時刻に基づいて電子メールの送信先を決定することができる。例えば、2つの情報端末80,90のうち、一方の情報端末80を冷却貯蔵庫10のユーザ(顧客)が所有しており、他方の情報端末90を冷却貯蔵庫10のメンテナンスを行うサービスマンが所有している場合には、顧客が対処することが困難な時刻(夜間等)に異常が発生した場合には、情報端末80に電子メールを送信せず、情報端末90に電子メールを送信することができる。なお、上述した「現在時刻に基づいて決定する」とは、現在の時分秒のみに限定されず、現在の年月日や曜日に基づいて決定するものも含まれる。例えば、メール送信部71Bは、異常を検知した現在の曜日(現在時刻)が所定の曜日であるか否かによって、電子メールの送信先を決定してもよい。例えば、冷却貯蔵庫10が設置されている店舗の定休日(所定の曜日)に異常が検知された場合等には、顧客がその異常に対処することは困難であると考えられる。この場合、顧客が所有する情報端末80に電子メールを送信せず、サービスマンが所有する情報端末90に電子メールを送信するように設定すればよい。
【0080】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を
図20によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、異常発生通知メール送信処理におけるメール送信部71Bの処理が上記実施形態と相違する。本実施形態の異常発生通知メール送信処理では、メール送信部71Bは、異常が発生していることを通知する電子メールの送信先を、複数の情報端末80,90の中から冷却貯蔵庫10付近に人が居るか否か(人検知部によって人の存在が検知されているか否か)に基づいて決定する。
【0081】
具体的には、
図20に示すように、制御部40又は異常検知部71Aによって冷却貯蔵庫10に係る異常が検知された場合(
図20のステップS81で「YES」)には、メール送信部71Bは、冷却貯蔵庫10付近に人が居るか否かを判定する(
図20のステップS82)。なお、メール送信部71Bは、例えば、冷却貯蔵庫10付近に人が居るか否かを扉開閉検知センサ53に基づいて判定することができる。より詳しくは、制御部40又は異常検知部71Aによって異常が検知された時点から所定時間前(例えば数秒前)までに、扉16が開けられたこと(又は扉16が閉められたこと)が扉開閉検知センサ53によって検知されていた場合には、メール送信部71Bは、冷却貯蔵庫10付近に人が居ると判定する。つまり、扉開閉検知センサ53は、冷却貯蔵庫10付近の人の存在を検知する人検知部の一例である。なお、冷却貯蔵庫10付近の人の存在を検知する人検知部としては、扉開閉検知センサ53に限定されず、例えば、赤外線センサ等の人感センサを用いてもよい。
【0082】
メール送信部71Bは、例えば、冷却貯蔵庫10付近に人が居る場合(
図20のステップS82で「YES」)には、異常が発生していることを通知する電子メール(例えばメールM2やメールM4)を顧客の情報端末80に送信する(
図20のステップS83)。また、メール送信部71Bは、例えば、冷却貯蔵庫10付近に人が居ない場合(
図20のステップS82で「NO」)には、異常が発生していることを通知する電子メール(例えばメールM2やメールM4)をサービスマンの情報端末90に送信する(
図20のステップS84)。
【0083】
本実施形態によれば、冷却貯蔵庫10付近の人の存在に基づいて電子メールの送信先を決定することができる。例えば、2つの情報端末80,90のうち、一方の情報端末80を冷却貯蔵庫10のユーザ(顧客)が所有しており、他方の情報端末90を冷却貯蔵庫10のメンテナンスを行うサービスマンが所有している場合において、冷却貯蔵庫10付近に人(顧客)がいない状況で異常が発生した場合には、エラーレベル(エラーを解消するための難易度)に関わらず顧客がその異常に対処することが困難であることから、顧客が所有している情報端末80にメールを送信せず、サービスマンが所有している情報端末90にメールを送信することができる。
【0084】
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を
図21によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、サービスマンが所有している情報端末90の制御部91は、顧客へ送信する電子メール(例えばメールM8)の文言、及びその電子メールを送信するための操作ボタン93A(「お客様へこのメールを送信する」)を表示部93に表示することが可能となっている。サービスマンは、冷却貯蔵庫10で発生した異常を解消した後、この操作ボタン93Aを操作する。サービスマンが操作ボタン93Aをタッチ操作すると、制御部91は、管理用コンピュータ70(
図1参照)に操作ボタン93Aが操作されたことを通知する。管理用コンピュータ70の異常解消判定部71Cは、操作ボタン93Aが操作された場合に、制御部40又は異常検知部71Aによって検知された異常が解消された判定し、異常が解消されたことを通知する電子メール(例えば、
図21の表示部93に表示されたメールM8)を顧客の情報端末80に送信する。これにより、エラーが解消されたことを顧客に容易に伝えることができる。
【0085】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)冷却貯蔵庫10、管理用コンピュータ70は、例えば、インターネット以外の通信ネットワークN1によって通信可能に接続されていてもよい。例えば、冷却貯蔵庫10と管理用コンピュータ70とがローカルネットワークによって通信可能に接続されていてもよく、冷却貯蔵庫10と管理用コンピュータ70とが有線によって通信可能に接続されていてもよい。
(2)情報端末80,90は管理用コンピュータ70から送信される電子メールを受信して閲覧することが可能な機能を有するものであればよく、その形態は適宜変更可能である。また、情報端末の個数も2つに限定されず適宜変更可能である。
(3)計時部44は、管理用コンピュータ70に設けられていてもよい。
(4)上記実施形態では、貯蔵室11の温度を調整する温度調整装置として冷却装置20を例示したが、これに限定されない。温度調整装置として、ヒータで発生させた熱風を貯蔵室11に送ることで貯蔵室11を加熱することが可能な加熱装置を例示することができる。
(5)貯蔵室11内の温度を検知するための温度センサとして、庫内温度センサ29や温度センサ63とは別の温度センサをさらに備えていてもよい。
(6)冷却貯蔵庫10の制御部40が、メール送信部71B,異常解消判定部71Cとして機能するものであってもよい。
【符号の説明】
【0086】
10…冷却貯蔵庫(貯蔵庫)、11…貯蔵室、12…貯蔵庫本体、20…冷却装置(温度調整装置)、40…制御部(異常検知部)、44…計時部、53…扉開閉検知センサ(人検知部)、60…貯蔵庫管理システム、71A…異常検知部、71B…メール送信部、71C…異常解消判定部、80,90…情報端末