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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】部品装着機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/00 20060101AFI20240813BHJP
   H05K 7/00 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
H05K7/00 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019204355
(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公開番号】P2021077792
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-07-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 基生
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】黒田 英矢
(72)【発明者】
【氏名】石川 浩平
(72)【発明者】
【氏名】手島 康博
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-347797(JP,A)
【文献】特開平10-326982(JP,A)
【文献】国際公開第2018/198333(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付け部および本体側コネクタを有する本体と、
複数の電気コネクタを有する制御用の電装品と、
前記電装品を収容するとともに、前記取り付け部に取り付け可能な収容箱と、
前記収容箱の外面に設けられて複数の前記電気コネクタに接続されるとともに、前記本体側コネクタに嵌合可能な中継コネクタと、
前記収容箱を前記取り付け部に向けて案内するとともに、前記収容箱の移動に伴って前記中継コネクタが前記本体側コネクタに嵌合するように案内する案内部と、を備え、
前記中継コネクタおよび前記本体側コネクタの一方は、両者間の相対位置誤差を許容しつつ嵌合するフローティングコネクタであり、
前記本体は、その側面に開口する前記取り付け部を有し、ベース上の稼働位置からメンテナンス位置までスライド移動したときに、前記取り付け部が開放されて前記収容箱の交換作業が可能となる、
部品装着機。
【請求項2】
前記本体の前記稼働位置から前記メンテナンス位置までの往復スライド移動を自動で行う自動スライド装置をさらに備える、請求項1に記載の部品装着機。
【請求項3】
前記収容箱の前記取り付け部への取り付けおよび取り外しは、搬送車によって自動で行われる、請求項1または2に記載の部品装着機。
【請求項4】
前記案内部は、前記収容箱を前記取り付け部に向けて平行移動させるスライド案内部である、請求項1~のいずれか一項に記載の部品装着機。
【請求項5】
複数の前記電気コネクタの少なくとも一部は、相対的に少数の前記中継コネクタに集約して接続されている、請求項1~のいずれか一項に記載の部品装着機。
【請求項6】
複数の前記電気コネクタは、1個の前記中継コネクタに集約して接続されている、請求項に記載の部品装着機。
【請求項7】
前記収容箱は、放熱用の換気扇および換気孔の少なくとも一方を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の部品装着機。
【請求項8】
前記電装品は、部品を基板に装着する装着作業の実行を制御するCPU装置、および複数のモータの動作を制御するモータ制御装置の少なくとも一装置である、請求項1~のいずれか一項に記載の部品装着機。
【請求項9】
前記収容箱の取り付けおよび取り外しを自動で行う自動交換部をさらに備える、請求項1または2に記載の部品装着機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、制御用の電装品を備えた部品装着機に関する。
【背景技術】
【0002】
回路パターンが形成された基板に対基板作業を実施して、基板製品を量産する技術が普及している。対基板作業を実施する対基板作業機の代表例として、部品の装着作業を実施する部品装着機がある。一般的に、部品装着機は、基板搬送装置、部品供給装置、部品移載装置、およびCPU装置(制御装置)を備える。CPU装置は、基板搬送装置、部品供給装置、および部品移載装置等の動作を制御するものである。CPU装置と他装置の下位制御部との間は、配線で接続されており、各種の制御信号が伝送される。この種の制御用のCPU装置に関する技術例が特許文献1、2に開示されている。
【0003】
特許文献1の電線保護構造では、絶縁性のシート状材料で複数の電線をまとめて配線し、電線保護構造自体の交換を容易にしている。また、特許文献2のコントロール装置は、バックボードにコネクタで接続される複数のモジュールを有し、隣り合うモジュール同士のずれを吸収しつつ両者間をコネクタ接続させるフローティングコネクタ手段を具備したことを特徴とする。これによれば、バックボード以外の別ルートの電気的接続が可能になり、高機能化に必要な信号数を増やせる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-130808号公報
【文献】特開2007-335366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、部品装着機の基板搬送装置、部品供給装置、および部品移載装置等がそれぞれ有する下位制御部は、機内に分散配置されているため、CPU装置に接続される配線ルートが相違する。このため、特許文献1の電線をまとめて配線する技術や、特許文献2のバックボードを用いた接続の技術をCPU装置に適用することができない。一方、CPU装置は、複数の下位制御部との接続をそれぞれ受け持つ複数の電気コネクタを有する。そして、異常発生時やメンテナンス時にCPU装置を交換する際、複数の電気コネクタに接続される配線を全て付け外しする必要が生じる。このため、配線の付け外し作業に手間がかかり、その分だけ部品装着機の稼働効率が低下する。
【0006】
また、部品装着機内には、複数のモータの動作を制御するモータ制御装置が着脱可能に装備される。モータ制御装置は、複数のモータとの接続をそれぞれ受け持つ複数の電気コネクタを有する。このため、モータ制御装置の交換において、CPU装置と同様に、配線の付け外し作業に手間がかかるという問題点が発生する。以降では、CPU装置、モータ制御装置、およびこれらに類似する制御装置等をまとめて、制御用の電装品と呼称する。
【0007】
本明細書では、制御用の電装品を交換するときの配線の付け外し作業の手間を削減した部品装着機を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書は、取り付け部および本体側コネクタを有する本体と、複数の電気コネクタを有する制御用の電装品と、前記電装品を収容するとともに、前記取り付け部に取り付け可能な収容箱と、前記収容箱の外面に設けられて複数の前記電気コネクタに接続されるとともに、前記本体側コネクタに嵌合可能な中継コネクタと、前記収容箱を前記取り付け部に向けて案内するととともに、前記収容箱の移動に伴って前記中継コネクタが前記本体側コネクタに嵌合するように案内する案内部と、を備える部品装着機を開示する。
【発明の効果】
【0009】
本明細書で開示する部品装着機によれば、制御用の電装品が有する複数の電気コネクタは、電装品を収容する収容箱の外面に設けられた中継コネクタに予め接続される。そして、案内部は、収容箱を本体の取り付け部に向けて案内するととともに、収容箱の移動に伴って中継コネクタが本体側コネクタに嵌合するように案内する。このため、収容箱が取り付け部に取り付けられるときに、コネクタ同士が自動的に接続される。つまり、配線の接続作業が実質的に無くなる。さらに、収容箱を取り付け部から取り外すときに、配線の外し作業が実質的に無くなる。したがって、配線の付け外し作業の手間が削減される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】共通ベース上に第1実施形態の部品装着機を2台配置した構成を示す斜視図である。
図2】CPU装置の正面図である。
図3】CPU装置を収容した収容箱の斜視透視図である。
図4】収容箱を本体の取り付け部に取り付ける動作を説明する斜視図であり、収容箱は透視されている。
図5】自動交換部をさらに備える第2実施形態を模式的に説明する平面図である。
図6】自動交換部の動作を説明する平面図である。
図7】自動交換部の動作を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.第1実施形態の部品装着機1の全体構成
第1実施形態の部品装着機1の全体構成について、図1を参考にして説明する。図示されるように、共通ベース10上に2台の部品装着機1が左右に並んで配置される。2台の部品装着機1の各々は、共通ベース10上で前方向にスライド移動可能とされる。これにより、部品装着機1は、後側の稼働位置から前側のメンテナンス位置まで往復移動する。図中のX軸方向は、基板Kを搬入出する左右方向に相当する。また、Y軸方向は、水平面内でX軸方向に直交する前後方向に相当する。部品装着機1は、基板搬送装置3、部品供給装置4、部品移載装置5、およびCPU装置6(図2図4参照)などが本体2に組み付けられて構成される。
【0012】
基板搬送装置3は、部品装着機1の前後方向(Y軸方向)の中央付近に配置される。基板搬送装置3は、第1搬送装置31および第2搬送装置32が並設された、いわゆるダブルコンベアタイプの装置である。第1搬送装置31は、本体2上でX軸方向に平行に並設された一対のガイドレール、および基板を載置しつつガイドレールに案内されて輪転する一対のコンベアベルトなどにより構成される。第1搬送装置31は、装着実施位置まで搬送された基板を下側から押し上げて位置決めするクランプ装置を有する。第2搬送装置32は、第1搬送装置31と同様に構成される。
【0013】
部品供給装置4は、部品装着機1の前部に設けられる。部品供給装置4は、複数のフィーダ装置41がパレット上に着脱可能に一列に配列されて構成される。フィーダ装置41は、フィーダ本体42と、フィーダ本体42の前部に回転可能かつ脱着可能に装着された供給リール43とを有する。供給リール43には、複数の部品を一列に保持したテープ(図略)が巻回されている。このテープが引き出されて、部品が供給される。
【0014】
部品移載装置5は、X軸方向およびY軸方向に移動可能ないわゆるXYロボットタイプの装置である。部品移載装置5は、部品装着機1の後部から前部の部品供給装置4の上方にかけて配置される。部品移載装置5は、ヘッド駆動機構51および装着ヘッド52などで構成される。ヘッド駆動機構51は、装着ヘッド52をX軸方向およびY軸方向に駆動する。装着ヘッド52の下側に、1本または複数本の吸着ノズル(図略)が設けられる。吸着ノズルは、部品供給装置4から部品を吸着して、基板の装着座標位置に装着する。
【0015】
部品カメラ55は、基板搬送装置3と部品供給装置4との間の本体2の上面に、上向きに設けられる。部品カメラ55は、装着ヘッド52が部品供給装置4から基板の上方に移動する途中で、吸着ノズルの下端に吸着されている部品の状態を撮像して検出する。ノズルチェンジャ56は、本体2上の部品カメラ55に隣接する位置に設けられる。ノズルチェンジャ56は、複数個のノズル保持穴(図1では10個)にそれぞれ吸着ノズルを交換可能に保持する。装着ヘッド52は、ノズルチェンジャ56の上方に移動して、吸着ノズルを交換することができる。
【0016】
CPU装置6は、制御用の電装品の一形態であり、部品を基板に装着する装着作業の実行を制御する。CPU装置6は、本体2の内部に配置される。CPU装置6は、基板搬送装置3、部品供給装置4、部品移載装置5、および部品カメラ55がそれぞれ有する下位制御部と配線で接続される。CPU装置6は、さらに、操作パネル22と配線で接続される。操作パネル22は、本体2の上方のカバー21の前部に配置される。操作パネル22は、オペレータがCPU装置6にアクセスするための端末装置であり、操作スイッチや表示部を有する。なお、図1の手前側の部品装着機1において、カバー21、操作パネル22、および右側面の側板は、図示省略されている。
【0017】
CPU装置6は、基板搬送装置3、部品供給装置4、部品移載装置5、および部品カメラ55を制御して装着作業を進める。CPU装置6は、生産する基板製品の種類ごとに設定されたジョブデータに基づく制御を行う。ジョブデータは、基板に装着する部品の種類、数量、装着順序、および装着座標位置、ならびに使用する吸着ノズルなどを指定するデータである。
【0018】
2.CPU装置6の周りの構成
次に、CPU装置6の周りの構成について、図2図4を参考にして詳述する。図示されるように、CPU装置6は、概ね直方体形状である。CPU装置6は、その前面60に複数の電気コネクタ61を有する。従来技術において、CPU装置6を取り外す際に、複数の電気コネクタ61に接続された配線を全て外す必要があった。また、CPU装置6を取り付ける際に、配線を全て接続する必要があった。
【0019】
図2に便宜的に斜線で示されるように、CPU装置6が有する電気コネクタ61は、実際には20個以上ある。これらの電気コネクタ61は、配線ルートが相違し、あるいは、伝送される電力や情報の形態が相違する様々な配線に対応している。電気コネクタ61が多数であるため、配線の付け外し作業に数十分程度の手間がかかり、その分だけ部品装着機1の稼働効率が低下していた。また、同一形状の複数の電気コネクタ61に対して、配線を取り違えて接続するおそれがあった。
【0020】
ここで、CPU装置6は、市販の汎用のハードウェアに固有のソフトウェアがインストールされて構成されている。このため、複数の電気コネクタ61を相対的に少数の電気コネクタに集約したり、電気コネクタ61の形状を変更したりすることは、ハードウェアの改変を必要とするため、現実的に難しい。本第1実施形態では、配線の付け外し作業の手間を削減する対策として、CPU装置6の周りに収容箱62および中継コネクタ64を設け、本体2に取り付け部24および本体側コネクタ28を設け、さらに案内部7を設ける。
【0021】
図3および図4の透視図に示されるように、収容箱62は、CPU装置6よりも一回り大きな箱形状の部材であり、CPU装置6を収容する。収容箱62は、防塵性能が要求されない場合に、天板が省略されてもよい。収容箱62は、防塵性能が要求される場合に天板を有する。天板が存在することによってCPU装置6の温度上昇が過大になるおそれが生じる場合、温度上昇を抑制する放熱部が収容箱62に設けられる。放熱部として、放熱用の換気扇や換気孔63(図3に一部分のみ図示)などがある。
【0022】
中継コネクタ64は、収容箱62の裏側の外面の下部に設けられる。予め実施される配線作業において、中継コネクタ64は、複数の電気コネクタ61に配線65で接続される。図3および図4では、ひとつの配線65のみが図示され、他の配線は図示省略されている。
【0023】
複数の電気コネクタ61の少なくとも一部は、相対的に少数の中継コネクタ64に集約して接続されることが好ましい。特に、本第1実施形態において、全部の電気コネクタ61が、1個の中継コネクタ64に集約して接続される。複数の電気コネクタ61において用途が共通する接点は、中継コネクタ64のひとつの接点に集約して接続される。例えば、複数の電気コネクタ61の各電源用接点および各接地用接点は、中継コネクタ64のひとつの電源用接点および接地用接点に集約して接続される。これにより、中継コネクタ64の接点数の増加が抑制される。
【0024】
収容箱62を取り付ける取り付け部24は、本体2の前後方向の中間あたりの右側に設けられる。取り付け部24は、図4に示されるように、本体2の右側の側面25に開口する直方体形状の空間が区画されることによって形成される。取り付け部24の奥の下部に、本体側コネクタ28が設けられる。本体側コネクタ28は、中継コネクタ64に正対可能な位置に配置され、かつ、中継コネクタ64に嵌合可能な構造を有する。本体側コネクタ28が有する各接点は、前述した下位制御部や操作パネル22に接続されている。
【0025】
中継コネクタ64および本体側コネクタ28の一方は、両者間の相対位置誤差を許容しつつ嵌合するフローティングコネクタとされている。フローティングコネクタは、コネクタ本体に対して接点の位置変化を許容するものであり、公知の各種構造の適用が可能である。これにより、中継コネクタ64および本体側コネクタ28は、正対する位置関係から多少ずれても嵌合が可能となる。
【0026】
案内部7は、収容箱62を取り付け部24に向けて案内するとともに、収容箱62の移動に伴って中継コネクタ64が本体側コネクタ28に嵌合するように案内する。案内部7は、収容箱62を取り付け部24に向けて平行移動させるスライド案内部とされている。案内部7は、2本のレール71および4個のスライダー72の組み合わせによって構成される。
【0027】
2本のレール71は、取り付け部24を区画形成する本体2の底面27に離隔平行して設けられる。レール71は、例えば上面にローラーベアリングを有する棒形状に形成され、取り付け部24の入り口から奥に向かって延在する。一方、4個のスライダー72は、収容箱62の底面に左右2個ずつ設けられる。各スライダー72は、例えば棒形状のレール71が係入する凹部を下側にもつ。各スライダー72は、レール71に係合しつつ、低抵抗で摺動する。
【0028】
左右のスライダー72の離間ピッチは、2本のレール71の離間ピッチに一致している。これにより、右側の前後2個のスライダー72が右側のレール71に摺動したとき、同時に、左側の前後2個のスライダー72が左側のレール71に摺動する。スライダー72は、レール71から容易に逸脱せずにスライド移動して、収容箱62を直進させる案内作用を発揮する。
【0029】
3.CPU装置6の交換作業
次に、CPU装置6を収容した収容箱62の交換作業について説明する。収容箱62を取り付け部24に取り付ける場合、オペレータは、まず、共通ベース10上で部品装着機1を稼働位置からメンテナンス位置までスライド移動させる。すると、図4に示されるように、部品装着機1の本体2の右側の側面25および取り付け部24が開放される。次に、オペレータは、収容箱62を移動して、取り付け部24の入り口に正対させる。その次に、オペレータは、左右のスライダー72がそれぞれレール71に係合するように、収容箱62の位置および姿勢を調整する。
【0030】
最後に、オペレータは、図4の矢印M1に示されるように、収容箱62を押して、取り付け部24の奥の最終的な取り付け位置に進入させる。このとき、レール71およびスライダー72の案内作用により、収容箱62は安定して進んでゆく。さらに、レール71およびスライダー72の低抵抗の摺動作用により、収容箱62は、わずかな力で押されるだけで進む。
【0031】
収容箱62が取り付け位置まで進入すると、収容箱62の全体が本体2内に格納される。収容箱62の進入に伴い、中継コネクタ64は、本体側コネクタ28に自動的に嵌合する。つまり、配線の接続作業が実質的に無くなる。さらに、同一形状の複数の電気コネクタ61に対して配線を取り違えるおそれは生じない。なお、本体2は、取り付け位置にある収容箱62の移動を規制するロック機構(図略)を有する。収容箱62が取り付け位置まで進入したとき、ロック機構は、自動的に規制機能を発揮する。この後、部品装着機1は稼働位置に戻される。
【0032】
また、取り付け部24から収容箱62を取り外す場合、オペレータは、ロック機構を解除して、収容箱62を手前に引けばよい。このとき、レール71およびスライダー72の低抵抗の摺動作用および案内作用により、収容箱62は、わずかな力で引かれるだけで安定して引き出される。また、中継コネクタ64は、本体側コネクタ28から自動的に外れる。つまり、配線の外し作業が実質的に無くなる。
【0033】
第1実施形態の部品装着機1によれば、収容箱62が取り付け部24に取り付けられるときに、中継コネクタ64は、本体側コネクタ28に自動的に接続される。つまり、配線の接続作業が実質的に無くなる。さらに、収容箱62を取り付け部24から取り外すときに、中継コネクタ64が本体側コネクタ28から自動的に外れて、配線の外し作業が実質的に無くなる。したがって、配線の付け外し作業の手間が削減される。加えて、手間が削減された分だけ、部品装着機1の稼働の開始が早められるので、稼働効率が向上する。
【0034】
4.第2実施形態の部品装着機1の構成
次に、第2実施形態の部品装着機1の構成について、図5を参考にして、第1実施形態と異なる点を主に説明する。第2実施形態では、4個の共通ベース10が並んで配置され、換言すると8台の部品装着機1が並んで配置され、部品装着ラインが構成される。8台の部品装着機1は、通信線91を用いて上位コンピュータ9に通信接続され、上位コンピュータ9との間で情報信号を授受する。
【0035】
第2実施形態において、各部品装着機1のCPU装置6の周りの構成は、第1実施形態と同じである。第2実施形態では、8台の部品装着機1に対して、共通の自動交換部8が追加で設けられる。自動交換部8は、CPU装置6を収容した収容箱62を取り付け部24へ取り付ける動作、および取り外す動作を自動で行う機構である。自動交換部8は、図略の自動スライド装置、搬送路81、搬送車82、および保管棚83で構成される。自動スライド装置は、部品装着機1の稼働位置からメンテナンス位置までの往復スライド移動を自動で行う。
【0036】
搬送路81は、8台の部品装着機1の前側を横断して、床面に敷設される。搬送車82は、収容箱62を積載して搬送路81を走行する。搬送車82は、さらに、収容箱62を操作する図略の操作機構を有する。操作機構は、搬送車82に積載されている収容箱62を取り付け部24に向けて押し出す取り付け操作、および、取り付け部24内の収容箱62を引き出して搬送車82に積み込む取り外し操作を行う。搬送車82は、上位コンピュータ9からの無線通信92(図6参照)を用いた交換指令CDにしたがって走行し、かつ、交換指令CDにしたがって取り付け操作および取り外し操作を行う。
【0037】
保管棚83は、搬送路81の右端付近の傍らに配置される。保管棚83は、収容箱62を載置する複数の保管位置84をもつ。図5において、保管棚83の右側の保管位置84に予備の収容箱62が載置され、左側の保管位置84は空き状態になっている。搬送車82の操作機構は、搬送車82に積載されている収容箱62を保管位置84に載置する保管操作、および保管位置84にある収容箱62を搬送車82に積み込む積み込み操作を行う。搬送車82は、常時は収容箱62を積載せず、保管棚83の近傍に設定された待機位置(図5に示す)に停止している。
【0038】
5.第2実施形態におけるCPU装置6の交換動作
次に、自動交換部8によるCPU装置6の交換動作について、図5図7を参考にして説明する。CPU装置6は、自己監視機能を有し、自動復旧することができず交換が必要となる異常を検出する場合がある。この場合、CPU装置6は、カバー21上に設けられた異常ランプ29を点灯するとともに、異常情報ABを上位コンピュータ9に送信する。図5において、右から3番目の部品装着機1のCPU装置6が異常を検出している。なお、異常をオペレータに通知するために、異常ランプ29以外の方法手段が用いられてもよい。例えば、上位コンピュータ9は、オペレータが保持する携帯端末に異常情報ABを送信してもよい。また、CPU装置6の交換は、異常発生時以外、例えば定期点検などのメンテナンス時に行われてもよい。
【0039】
異常ランプ29の点灯時に、自動交換部8は、CPU装置6の交換が必要と認識して以下の交換動作を行う。まず、自動交換部8の自動スライド装置は、当該の部品装着機1をメンテナンス位置までスライド移動させる(図6および図7参照)。部品装着機1がメンテナンス位置に移動したとき、その取り付け部24は、搬送路81の真上に位置する。次に、自動スライド装置は、スライド移動が終了したことを上位コンピュータ9に通知する。この通知により、上位コンピュータ9は、CPU装置6を交換する準備が整ったことを認識する。
【0040】
次に、上位コンピュータ9は、無線通信92を用いて、交換指令CDを搬送車82に送信する。交換指令CDは、右から3番目の部品装着機1を対象として、異常を検出したCPU装置6を収容箱62(異常の収容箱62)とともに取り外す操作、および予備の収容箱62を取り付ける操作を順番に行うことを意味する。交換指令CDは、次に説明する一連の動作を一括した指令であり、あるいは、各動作を逐次進める複数の指令からなる。
【0041】
交換指令CDを受け取った搬送車82は、右から3番目の部品装着機1に相当する移動距離だけ走行して、図6に示されるように、当該の部品装着機1の取り付け部24に正対する。次に、操作機構が取り外し操作を行うと、異常の収容箱62は、取り付け部24から引き出されて搬送車82に積み込まれる。次に、搬送車82は、保管棚83まで走行する。次に、操作機構は、異常の収容箱62の保管操作、および、予備の収容箱62の積み込み操作を行う。これにより、搬送車82は、図7に示されるように、予備の収容箱62を積載した状態となる。
【0042】
その次に、搬送車82は、図7の矢印M2に示されるように再度走行して、当該の部品装着機1の取り付け部24に正対する。次に、操作機構が取り付け操作を行うと、積載されていた予備の収容箱62は、押し出されて取り付け部24に取り付けられる。次に、搬送車82は、無線通信92を用いて、CPU装置6(収容箱62)の交換が終了した報告FRを上位コンピュータ9に送信する。上位コンピュータ9は、交換が終了した旨を自動スライド装置に通知する。また、搬送車82は、待機位置に戻る。
【0043】
通知を受け取った自動スライド装置は、当該の部品装着機1をメンテナンス位置から稼働位置に戻す。これにより、部品装着機1は、再稼働が可能な状態に復帰する。第2実施形態において、第1実施形態と同様、CPU装置6に接続される配線の付け外し作業の手間が削減される。加えて、CPU装置6の交換動作自体が自動化されるので、顕著な省力化が達成される。なお、一連の交換動作の一部分にオペレータが関わってもよい。例えば、自動スライド装置に代え、異常ランプ29の点灯を視認したオペレータが部品装着機1をメンテナンス位置までスライド移動させ、上位コンピュータ9に通知してもよい。
【0044】
6.実施形態の応用および変形
なお、制御用の電装品は、CPU装置6に限定されず、複数の電気コネクタを有して複数のモータの動作を制御するモータ制御装置であってもよい。つまり、モータ制御装置を対象として、収容箱62、中継コネクタ64、取り付け部24、本体側コネクタ28、および案内部7が設けられてもよい。また、案内部7は、レール71とスライダー72の組み合わせ以外、例えば、レールと走行車輪の組み合わせや、ラックギヤ(直線歯車)とピニオンギヤ(小径歯車)の組み合わせにより構成されてもよい。
【0045】
さらに、第2実施形態において、搬送車82は、CPU装置6(収容箱62)の交換動作だけでなく、部品装着機1に関する他の動作、例えばフィーダ装置41の交換動作を併せて行う複合用途車とされていてもよい。第1および第2実施形態は、その他にも様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1:部品装着機 10:共通ベース 2:本体 22:操作パネル 24:取り付け部 28:本体側コネクタ 29:異常ランプ 3:基板搬送装置 4:部品供給装置 5:部品移載装置 6:CPU装置 61:電気コネクタ 62:収容箱 63:換気孔 64:中継コネクタ 7:案内部 71:レール 72:スライダー 8:自動交換部 81:搬送路 82:搬送車 83:保管棚 84:保管位置 9:上位コンピュータ 91:通信線 92:無線通信
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7