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特許7536462電子機器、表示制御装置、表示制御方法、および、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】電子機器、表示制御装置、表示制御方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/69 20230101AFI20240813BHJP
   G06F 3/0484 20220101ALI20240813BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20240813BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
H04N23/69
G06F3/0484
H04N23/63
G09G5/00 530T
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020021807
(22)【出願日】2020-02-12
(65)【公開番号】P2021129178
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】羽田 充宏
(72)【発明者】
【氏名】村上 則明
(72)【発明者】
【氏名】高井 翔平
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 尭範
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-180914(JP,A)
【文献】特開2015-039052(JP,A)
【文献】特開2004-193933(JP,A)
【文献】特開2005-292691(JP,A)
【文献】特開2006-154164(JP,A)
【文献】特開2008-035332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/69
G06F 3/04845
H04N 23/63
G09G 5/36
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と、記憶装置と、制御装置とを備える電子機器であって、
前記制御装置は、前記記憶装置から取得した動画から、当該動画に含まれる被写体および当該被写体の各々に関する被写体情報を抽出する処理を行い、
前記被写体情報は、前記動画における、(i)前記被写体の大きさ、(ii)前記被写体の位置、(iii)前記被写体の顔の有無、および、(iv)前記被写体の顔の表情、に関する情報を含んでおり、
前記制御装置は、
前記被写体情報に基づいて、前記動画に含まれる前記被写体の各々のスコアを算出する処理と、
前記スコアに基づいて、前記動画に含まれる前記被写体の各々から拡大表示対象を選択する処理と、
前記動画を、前記拡大表示対象が含まれる領域を拡大して前記表示装置に表示させる処理を行うことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記被写体情報は、前記動画における、(i)前記被写体の動き、(ii)前記被写体の向き、(iii)前記被写体の数、(iv)前記被写体の明るさ、および、(v)前記被写体の構図、の少なくとも何れか1つに関する情報をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記動画を前記表示装置に表示させる処理において、ユーザの操作に応じて、前記動画の全体表示と、前記動画に含まれる前記被写体の拡大表示とを切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記動画から前記被写体および前記被写体情報を抽出する処理において、前記動画に含まれる前記被写体の拡大表示に切り替えられたことに応じて、前記動画から前記被写体および前記被写体情報を抽出することを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
表示装置を制御する表示制御装置であって、
動画から、当該動画に含まれる被写体および当該被写体の各々に関する被写体情報を抽出する抽出部を備えており、
前記被写体情報は、前記動画における、(i)前記被写体の大きさ、(ii)前記被写体の位置、(iii)前記被写体の顔の有無、および、(iv)前記被写体の顔の表情、に関する情報を含んでおり、
前記表示制御装置は、
前記被写体情報に基づいて、前記動画に含まれる前記被写体の各々のスコアを算出するAIエンジンと、
前記スコアに基づいて、前記動画に含まれる前記被写体の各々から拡大表示対象を選択する選択部と、
前記動画を、前記拡大表示対象が含まれる領域を拡大して前記表示装置に表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項6】
表示装置を制御する表示制御方法であって、
動画から、当該動画に含まれる被写体および当該被写体の各々に関する被写体情報を抽出する抽出ステップを含んでおり、
前記被写体情報は、前記動画における、(i)前記被写体の大きさ、(ii)前記被写体の位置、(iii)前記被写体の顔の有無、および、(iv)前記被写体の顔の表情、に関する情報を含んでおり、
前記表示制御方法は、
前記被写体情報に基づいて、前記動画に含まれる前記被写体の各々のスコアを算出する算出ステップと、
前記スコアに基づいて、前記動画に含まれる前記被写体の各々から拡大表示対象を選択する選択ステップと、
前記動画を、前記拡大表示対象が含まれる領域を拡大して前記表示装置に表示させる表示制御ステップと、
を含むことを特徴とする表示制御方法。
【請求項7】
請求項5に記載の表示制御装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記抽出部、前記AIエンジン、前記選択部、および前記表示制御部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、表示制御装置、表示制御方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動画の一部を追尾して別に表示する技術が知られている。例えば、特許文献1には、動画に写る人物の中から追尾対象として選択された第1の人物の画像を第1の表示領域に表示させ続けるとともに、再生中の時刻において動画に写っている第2の人物の画像を第2の表示領域に表示させる表示制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-220724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術には、ユーザが自ら追尾対象とする被写体を見つけて、選択する操作が必要になるという問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、ユーザが操作することなく、被写体を拡大表示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る電子機器は、表示装置と、記憶装置と、制御装置とを備える電子機器であって、前記制御装置が、前記記憶装置から取得した動画から、当該動画に含まれる被写体および当該被写体の各々に関する情報を抽出する処理と、前記動画に含まれる被写体の各々に関する情報を参照して、前記動画に含まれる被写体から拡大表示対象を選択する処理と、前記動画を、前記拡大表示対象が含まれる領域を拡大して前記表示装置に表示させる処理と、を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、ユーザが選択することなく、被写体を拡大表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1に係る表示システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態1に係る表示システムの機能構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態1に係る表示制御装置の処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態1に係る表示装置の画面の例を示す図である。
図5】本発明の実施形態1に係る表示装置の画面の例を示す図である。
図6】本発明の実施形態1に係る表示装置の画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1について、詳細に説明する。
【0010】
本実施形態に係る表示システム(電子機器)1は、動画撮影時にズームするのではなく、動画再生時にズームして再生する。表示システム1は、既存の物体認識技術、構図判定技術、個人認識技術などを用いて、動画再生時に追尾対象(ズーム対象の被写体)を決定する。これにより、ユーザが追尾対象を探してタップすることなく、ズームイン再生を実現することができる。
【0011】
(表示システム1の構成)
図1は、本実施形態に係る表示システム1のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、表示システム1は、表示装置2、表示制御装置(制御装置)3、および、記憶装置4を備えている。
【0012】
表示装置2は、所定の解像度(表示解像度)で画像を表示する表示装置である。表示装置2は、例えば、有機EL(electro luminescent)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、または、プロジェクターなどで構成される。
【0013】
表示制御装置3は、表示装置2を制御する装置であり、表示装置2および記憶装置4に接続され、例えば、集積回路(例えば、SoC(System-on-a-chip)など)で構成される。表示制御装置3は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、PCなどの本体である。なお、表示制御装置3は、表示以外の他の制御(通信制御等)も行ってもよい。
【0014】
記憶装置4は、各種情報を記憶する。記憶装置4は、例えば、表示制御装置3に内蔵または外部接続されるHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などである。記憶装置4は、表示システム1が動作するために必要なプログラム(オペレーションシステム、アプリケーションなど)、データ(ユーザデータを含む)を記憶している。
【0015】
(表示制御装置3のハードウェア構成)
表示制御装置3は、CPU33(Central Processing Unit)、GPU34(Graphics Processing Unit)、および、メモリ35を備える。
【0016】
CPU33は、アプリケーションの動作等、各種演算処理を行う。GPU34は、画像処理に関する処理を行う。メモリ35は、演算処理および画像処理に必要な情報を一時的に記憶するメモリである。
【0017】
なお、表示装置2は、表示制御装置3を備えた構成であってもよい。この場合、表示装置2は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、PCなどの本体である。
【0018】
(表示制御装置3の機能構成)
図2は、本実施形態に係る表示システム1の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、表示制御装置3は、制御部32を備えている。制御部32は、表示制御部31、選択部321、抽出部322、および、AIエンジン323を備えている。記憶装置4は、動画データ(動画)41を記憶する。
【0019】
表示制御部31は、記憶装置4に記憶されている動画データ41を表示装置2に表示させる処理を行う。選択部321からズーム領域情報を取得したときには、表示制御部31は、当該ズーム領域情報を参照して、拡大表示対象になる被写体が含まれる領域をズームイン(拡大)して動画データ(動画)41を表示装置2に表示させる。ズーム領域情報には、被写体が含まれる領域の範囲、および、当該領域の拡大率が含まれる。なお、表示制御部31は、被写体が含まれる領域をズームアウト(縮小)してもよい。
【0020】
選択部321は、動画データ41に含まれる被写体の各々に関する情報を参照して、動画データ41に含まれる被写体から拡大表示対象を選択する処理を行う。詳細には、選択部321は、拡大表示対象を選択する処理において、抽出部322から取得した、AIエンジン323の認識結果を利用して、動画データ41におけるズーム領域を選択し、ズーム領域の範囲を含むズーム領域情報を作成する。そして、選択部321は、拡大表示対象として選択した被写体が含まれる領域の拡大率を決定し、当該拡大率を上記ズーム領域情報に追加して、当該ズーム領域情報を表示制御部31に出力する。
【0021】
抽出部322は、記憶装置4に記憶されている動画データ41から、当該動画データ41に含まれる被写体および当該被写体の各々に関する被写体情報(情報)を抽出する処理を行う。当該被写体情報は、被写体の名称、被写体の大きさ、被写体の位置、被写体における顔の有無、被写体の顔の表情、被写体の動き、被写体の向き、被写体の数、被写体の明るさ、および、被写体の構図情報の少なくとも何れか1つを含む。詳細には、抽出部322は、AIエンジン323を制御する部分として、表示制御部31から取得した動画データ41をAIエンジン323に解析させて、AIエンジン323の認識結果を選択部321に出力する。
【0022】
なお、被写体の名称とは、被写体の種類(人、犬、猫など)を含み、被写体が人である場合には、当該被写体の個人名を含むものとする。
【0023】
また、被写体の構図情報とは、動画のフレームの構図情報であって、被写体およびその背景によって規定される構図の良し悪しを意味し、より詳細には当該構図に関する評価値を含むことが好ましい。
【0024】
AIエンジン323は、それぞれに固有の方法により動画データを解析して、動画データ41に含まれる被写体に関する認識結果を、抽出部322を通じて選択部321に出力する。例えば、AIエンジン3231は、動画データ41において構図判定を行う。構図判定とは、ズーム後の画像の、構図に関する評価値が所定値以上か否かを判定することである。AIエンジン3231は、一般によい構図であると認識されている画像を学習し、そのような画像に近い動画データ41に高いスコア(評価値)を付与する。
【0025】
AIエンジン3232は、動画データ41において物体認識を行う。物体認識とは、動画データ41において、人、犬、猫などの特定の物体を認識することである。AIエンジン3233は、動画データ41において個人認識を行う。個人認識とは、動画データ41において、予め登録されている人物を認識することである。
【0026】
なお、AIエンジン323の個数に制限はなく、AIエンジン323は、上記以外の判定方法、認識方法が行ってもよい。また、AIエンジン323は、個人認識を行わなくてもよい。すなわち、個人認識を行うAIエンジン3233は、実装されていなくてもよい。
【0027】
(表示制御装置3の処理)
図3は、本実施形態に係る表示制御装置3の処理を示すフローチャートである。図4~5は、本実施形態に係る表示装置2の画面21の例を示す図である。以下、図3図6を参照しながら、表示制御装置3の処理について説明する。
【0028】
表示制御装置3の処理は、例えば、ユーザがスマートフォンなどにインストールされた動画再生アプリを起動することにより開始される。動画再生アプリが起動されると、表示制御部31は、動画を再生する。すなわち、表示制御部31は、記憶装置4に記憶されている動画データ41をズームせずにそのままのサイズで表示装置2に表示させる。
【0029】
そして、表示制御部31は、動画を表示装置2に表示させる処理において、動画を再生しながら、ユーザの操作に応じて、前記動画の全体表示と、前記動画に含まれる被写体の拡大表示とを切り替える。表示制御部31は、動画再生処理が、動画データ41の被写体を拡大表示するズームモードに移行したことに応じて、AIエンジン323を利用して決定された領域をズームイン再生する。なお、表示制御装置3は、動画再生機能が搭載された機器である。
【0030】
(ステップS301)
表示制御装置3の制御部32は、AIエンジン323を起動する。この場合、抽出部322が、表示制御装置3のCPUの性能、メモリの容量などに応じて、少なくとも1つのAIエンジン323(1つでもよいし、複数でもよい)を起動する。
【0031】
(ステップS302)
制御部32は、動画再生処理がズームモードであるか否かを判定する。表示制御装置3は、例えば、図4に示すように、ユーザが被写体の拡大表示のために操作するズームイン再生ボタン22を、表示装置2の画面21に表示させる。そして、ズームイン再生ボタン22をユーザがタッチした場合に、表示制御装置3の動画再生処理がズームモードに移行する。なお、ユーザがズームイン再生ボタン22を再度タッチした場合、または、ズームイン再生が所定時間行われた場合に、ズームモードが解除される。
【0032】
動画再生処理がズームモードである場合(ステップS302のYES)、制御部32は、ステップS303の判定を実行する。すなわち、抽出部322は、動画から被写体および当該被写体の各々に関する情報を抽出する処理において、動画データ41に含まれる被写体の拡大表示に切り替えられたことに応じて、動画データ41から被写体および当該被写体の各々に関する情報を抽出する(抽出ステップ)。一方、動画再生処理がズームモードでない場合(ステップS302のNO)、制御部32は、ステップS307の処理を実行する。
【0033】
(ステップS303)
制御部32の抽出部322は、既にステップS301において起動しているAIエンジン323を用いて、そのときに再生中の動画データ41にズーム対象が存在するか否かを判定する。ズーム対象の存否判定は、AIエンジン323によって異なる。
【0034】
例えば、AIエンジン3231は、動画データ41を拡大した画像に構図としてよい(構図に関する評価値が所定値以上である)ものがあるか否かを判定する。「動画データ41を拡大した画像」とは、AIエンジン3231以外のAIエンジンが抽出した物体、人物などを含む領域を拡大した場合の画像である。
【0035】
AIエンジン3232は、動画データ41に人、犬、猫などの特定の物体があるか否かを判定する。AIエンジン3233は、動画データ41に予め登録されている人物がいるか否かを判定する。なお、制御部32は、上記以外の方法により、ズーム対象の存否判定を行ってもよい。
【0036】
動画データ41にズーム対象が存在する場合(ステップS303のYES)、制御部32は、ステップS304の判定を実行する。この場合、例えば、図5に示すように、画面21は、当該被写体がズーム対象であることを示す、実線および破線の矩形枠を表示する。なお、ズーム対象を示す矩形枠は、必ずしも表示しなくてもよい。動画データ41にズーム対象が存在しない場合(ステップS303のNO)、制御部32は、ステップS307の処理を実行する。
【0037】
(ステップS304)
制御部32は、AIエンジン323を用いて、動画データ41がズーム条件を満たしているか否かを判定する。これは、ステップS303で動画データ41に存在すると判定した、1以上のズーム対象が実際に拡大表示すべきものか否かをさらに判定するものである。
【0038】
例えば、AIエンジン323は、各ズーム対象の、下記条件ごとのスコアを算出する。抽出部322は、算出したスコアを選択部321に出力する。選択部321は、下記条件の優先順位に応じて、ズーム対象ごとに各スコアを重み付けして合計し、その合計値によって、ズーム対象ごとにズーム条件を満たしているか否かを判定する。選択部321は、特に、被写体の大きさ、被写体の位置、被写体における顔の有無、および、被写体の顔の表情に関する評価を行って、ズーム対象ごとにスコアを算出してもよい。
・被写体の大きさ(所定の大きさ以上)
・被写体が写っている位置(画像全体の中心付近)
・被写体における顔の有無(顔が含まれているか否か)
・被写体の顔の表情(笑顔か否か)
・被写体の動き
・被写体の向き
・被写体の数
・被写体の明るさ
・被写体の構図
動画データ41がズーム条件を満たしている場合(ステップS304のYES)、制御部32は、ステップS305の処理を実行する。動画データ41がズーム条件を満たしていない場合(ステップS304のNO)、制御部32は、ステップS307の処理を実行する。
【0039】
(ステップS305)
制御部32の選択部321は、ズーム条件を満たした1以上のズーム対象から実際の拡大表示対象を選択する(選択ステップ)。選択部321は、ステップS304において算出した、各条件のスコアの合計値が大きいズーム対象を選択してもよい。例えば、図5に示すように、選択部321は、実線の矩形枠23に含まれる被写体を拡大表示対象として選択する。
【0040】
そして、選択部321は、選択した拡大表示対象のズーム領域情報を表示制御部31に出力する。表示制御部31は、選択部321からズーム領域情報を取得し、当該ズーム領域情報に従って、動画データ41の再生を、拡大表示対象が含まれる領域を拡大して表示させるズームイン再生に切り替える(表示制御ステップ)。例えば、表示制御部31は、図5の矩形枠23内の領域を拡大した画像を含む、図6に示す画面21に切り替える。
【0041】
なお、ズームイン再生中には、表示制御部31は、AIエンジン323を用いて、選択した拡大表示対象を追尾して、当該拡大表示対象が含まれる領域を拡大して表示装置2に表示させる。
【0042】
動画データ41のフレームに拡大表示対象が含まれなくなった場合に、制御部32は、改めてステップS303およびS304の判定を行う。新たな拡大表示対象が特定された場合、表示制御部31は、ズームイン再生を行う。ズーム対象が存在しない、または、ズーム条件を満たされない場合、表示制御部31は、ズームモードを解除して、そのままのサイズでの動画再生を行う。
【0043】
(ステップS306)
制御部32は、動画再生を終了させるか否かを判定する。例えば、制御部32は、動画再生アプリの画面においてユーザが再生終了を指示する操作を行ったか否かを判定する。
【0044】
動画再生を終了させる場合(ステップS307のYES)、制御部32は、動画再生アプリを終了させて、一連の動画再生処理を終了する。動画再生を終了させない場合(ステップS307)、制御部32は、ステップS302の判定に戻る。
【0045】
なお、制御部32は、所定の時間ごとにステップS303およびS304の判定を行うようにしてもよい。これによれば、所定の時間ごとに、動画の状況に応じてズーム対象を切り替えることができる。
【0046】
(ステップS307)
動画再生処理がズームモードでない、動画データ41にズーム対象が存在しない、または、動画データ41がズーム条件を満たしていない場合、制御部32は処理せず、選択部321は表示制御部31に何も出力しない。従って、表示制御部31は、ズームインせず、そのままのサイズでの再生を続行することになる。
【0047】
なお、動画データ41にズーム対象が存在しない、または、動画データ41がズーム条件を満たしていない場合には、表示制御部31は、ユーザに指示されたズームイン再生ができなかった旨を表示装置2に表示させてもよい。
【0048】
また、動画データ41に複数のズーム対象の被写体がある場合、ユーザの操作により、ズーム領域情報を参照し、現在の追尾対象(拡大対象)の被写体から、次に優先度が高い(スコアの合計値が大きい)被写体に拡大対象を切り替えることを可能にしてもよい。
【0049】
(実施形態1の効果)
本実施形態に係る表示制御装置3は、被写体から得られる情報から追尾対象および拡大率を算出し、ズーム領域情報(被写体を囲うズーム枠の位置、被写体ID等のズーム用の情報)を生成する。被写体IDとは、ズーム対象の被写体が複数ある場合でも、各被写体を識別可能とするための識別子である。表示制御装置3は、上記ズーム領域情報を参照して、元の撮影動画から、追尾対象をズームした動画を生成しながら再生する。従って、再生時にズームするため、動画撮影時は、ズームを気にせず撮影できる。
【0050】
上記によれば、動画再生時に追尾対象を決定して、当該追尾対象に対してズームインを行うので、ユーザは、自身で追尾対象を見つけて選択する操作の必要がなくなる。
【0051】
〔ソフトウェアによる実現例〕
表示制御装置3の制御ブロック(制御部32の各部)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0052】
後者の場合、表示制御装置3は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0053】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る電子機器は、表示装置と、記憶装置と、制御装置とを備える電子機器であって、前記制御装置が、前記記憶装置から取得した動画から、当該動画に含まれる被写体および当該被写体の各々に関する情報を抽出する処理と、前記動画に含まれる被写体の各々に関する情報を参照して、前記動画に含まれる被写体から拡大表示対象を選択する処理と、前記動画を、前記拡大表示対象が含まれる領域を拡大して前記表示装置に表示させる処理と、を行う。
【0054】
前記構成によれば、ユーザが操作することなく、被写体を拡大表示することができる。
【0055】
本発明の態様2に係る電子機器は、上記態様1において、前記情報は、前記被写体の大きさ、前記被写体の位置、被写体における顔の有無、前記被写体の顔の表情、前記被写体の動き、前記被写体の向き、前記被写体の数、前記被写体の明るさ、および、前記被写体の構図の少なくとも何れか1つを含むこととしてもよい。
【0056】
本発明の態様3に係る電子機器は、上記態様1または2において、前記拡大表示対象を選択する処理において、前記拡大表示対象として選択した被写体が含まれる領域の拡大率を決定することとしてもよい。
【0057】
前記構成によれば、決定した拡大率を用いて、被写体が含まれる領域を拡大して見せることができる。
【0058】
本発明の態様4に係る電子機器は、上記態様1から3において、前記動画を前記表示装置に表示させる処理において、ユーザの操作に応じて、前記動画の全体表示と、前記動画に含まれる被写体の拡大表示とを切り替えることとしてもよい。
【0059】
前記構成によれば、ユーザは、動画の全体表示と、被写体の拡大表示とを、簡単に切り替えることができる。
【0060】
本発明の態様5に係る電子機器は、上記態様4において、前記動画から前記被写体および前記情報を抽出する処理において、前記動画に含まれる被写体の拡大表示に切り替えられたことに応じて、前記動画から前記被写体および前記情報を抽出することとしてもよい。
【0061】
前記構成によれば、被写体の拡大表示に必要な情報を提供することができる。
【0062】
本発明の態様6に係る表示制御装置は、表示装置を制御する表示制御装置であって、動画から、当該動画に含まれる被写体および当該被写体の各々に関する情報を抽出する抽出部と、前記動画に含まれる被写体の各々に関する情報を参照して、前記動画に含まれる被写体から拡大表示対象を選択する選択部と、前記動画を、前記拡大表示対象が含まれる領域を拡大して前記表示装置に表示させる表示制御部と、を備えている。
【0063】
本発明の態様7に係る表示制御方法は、表示装置を制御する表示制御方法であって、動画から、当該動画に含まれる被写体および当該被写体の各々に関する情報を抽出する抽出ステップと、前記動画に含まれる被写体の各々に関する情報を参照して、前記動画に含まれる被写体から拡大表示対象を選択する選択ステップと、前記動画を、前記拡大表示対象が含まれる領域を拡大して前記表示装置に表示させる表示制御ステップと、を含んでいる。
【0064】
本発明の各態様に係る表示制御装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記表示制御装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記表示制御装置をコンピュータにて実現させる表示制御装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0065】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 表示システム(電子機器)
2 表示装置
3 表示制御装置(制御装置)
31 表示制御部
41 動画データ(動画)
321 選択部
322 抽出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6