(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】車両管理サーバ、駐車料金算出システムおよびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0645 20230101AFI20240813BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240813BHJP
【FI】
G06Q30/0645
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2020042414
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】表原 徹
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-079460(JP,A)
【文献】特開2017-130174(JP,A)
【文献】特開2010-237411(JP,A)
【文献】特開2014-222477(JP,A)
【文献】特開2018-197909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車車室の管理を実行する駐車車室管理サーバに対して、会員制にて会員ユーザに対するサービス対象車両の貸出を管理するとともに前記の駐車車室の駐車料金を演算する車両管理サーバであって、
前記の駐車車室においては、その駐車車室を利用しようとする車両が前記の駐車車室へ入庫する際に当該車両の車両ナンバーを撮影する車両ナンバー撮影手段を備えており、
前記の車両管理サーバは、
サービス対象車両の貸出状態に関するデータを蓄積している車両管理データベースと、
前記の車両ナンバー撮影手段が撮影した車両ナンバー画像を入庫時刻とともに取得する車両ナンバー受信手段と、
その車両ナンバー受信手段が受信した車両ナンバー画像から貸出専用に割り当てられた専用文字を抽出して車両種類を判断する車両種類判断手段と、
その車両種類判断手段が車両ナンバー画像から専用文字を抽出した場合には、その車両ナンバーに該当するサービス対象車両の貸出状態を前記の車両管理データベースから抽出
し、前記の入庫時刻において前記サービス対象車両を利用していた会員ユーザが前記のサービス対象車両の利用を開始した時刻をサービス対象車両利用開始時刻として取得する利用開始時刻取得手段と、
前記のサービス対象車両の未精算の入庫時刻のうち最も早い入庫時刻を未精算入庫時刻として取得する未精算入庫時刻取得手段と、
前記の利用開始時刻取得手段が取得したサービス対象車両利用開始時刻が、前記の未精算入庫時刻取得手段が取得した未精算入庫時刻以前であるか否かを判断する演算用時刻判断手段と、
前記のサービス対象車両利用開始時刻が前記未精算入庫時刻以前であると前記の演算用時刻判断手段が判断した場合には、前記の未精算入庫時刻取得手段が取得した未精算入庫時刻を用いる一方、
前記のサービス対象車両利用開始時刻が前記の未精算入庫時刻以前ではないと前記の演算用時刻判断手段が判断した場合には、未精算の入庫時刻のうち最も遅い入庫時刻を用いて駐車料金を演算する駐車料金演算手段と、
を備えた車両管理サーバ。
【請求項2】
前記の会員ユーザに係る属性データを蓄積した会員データベースを備え、
前記のサービス対象車両利用開始時刻が前記の未精算入庫時刻以前ではないと前記の演算用時刻判断手段が判断した場合には、前記の未精算入庫時刻において前記のサービス対象車両を利用していた会員ユーザへ未精算の駐車料金がある旨の連絡をするための未精算データを、前記の会員データベースへ蓄積することとした
請求項1に記載の車両管理サーバ。
【請求項3】
駐車車室を利用しようとする車両が前記の駐車車室へ入庫する際に当該車両の車両ナンバーを撮影する車両ナンバー撮影手段と、
その駐車車室の駐車料金の精算を実行する精算機と、
その車両ナンバー撮影手段が撮影した車両ナンバーを用いて、前記の駐車車室に関する管理を実行する駐車車室管理サーバと、
サービス対象車両の貸出状態に関するデータを蓄積している車両管理データベースを備えた車両管理サーバと、
を備えた駐車料金算出システムであって、
前記の車両管理サーバは、
前記の車両ナンバー撮影手段が撮影した車両ナンバー画像を入庫時刻とともに取得する車両ナンバー受信手段と、
その車両ナンバー受信手段が受信した車両ナンバー画像から貸出専用に割り当てられた専用文字を抽出して車両種類を判断する車両種類判断手段と、
その車両種類判断手段が車両ナンバー画像から専用文字を抽出した場合には、その車両ナンバーに該当するサービス対象車両の貸出状態を前記の車両管理データベースから抽出
し、前記の入庫時刻において前記サービス対象車両を利用していた会員ユーザが前記のサービス対象車両の利用を開始した時刻をサービス対象車両利用開始時刻として取得する利用開始時刻取得手段と、
前記のサービス対象車両の未精算の入庫時刻のうち最も早い入庫時刻を未精算入庫時刻として取得する未精算入庫時刻取得手段と、
前記の利用開始時刻取得手段が取得したサービス対象車両利用開始時刻が、前記の未精算入庫時刻取得手段が取得した未精算入庫時刻以前であるか否かを判断する演算用時刻判断手段と、
前記のサービス対象車両利用開始時刻が前記の未精算入庫時刻以前であると前記の演算用時刻判断手段が判断した場合には、前記の未精算入庫時刻取得手段が取得した未精算入庫時刻を用いる一方、
前記のサービス対象車両利用開始時刻が前記の未精算入庫時刻以前ではないと前記の演算用時刻判断手段が判断した場合には、未精算の入庫時刻のうち最も遅い入庫時刻を用いて駐車料金を演算する駐車料金演算手段と、
を備え、
前記の駐車車室管理サーバは、前記の駐車料金演算手段が演算した駐車料金データを受信し、前記の精算機へその駐車料金データを出力させる駐車料金送受信手段を備えた
駐車料金算出システム。
【請求項4】
前記の会員ユーザに係る属性データを蓄積した会員データベースを備え、
前記のサービス対象車両利用開始時刻が前記の未精算入庫時刻以前ではないと前記の演算用時刻判断手段が判断した場合には、前記の未精算入庫時刻において前記のサービス対象車両を利用していた会員ユーザへ未精算の駐車料金がある旨の連絡をするための未精算データを、前記の会員データベースへ蓄積することとした
請求項3に記載の駐車料金算出システム。
【請求項5】
駐車車室の管理を実行する駐車車室管理サーバに対して、会員制にて会員ユーザに対するサービス対象車両の貸出を管理するとともに前記の駐車車室の駐車料金を算出して連絡する車両管理サーバの制御プログラムであって、
前記の駐車車室においては、その駐車車室を利用しようとする車両が前記の駐車車室へ入庫する際に当該車両の車両ナンバーを撮影する車両ナンバー撮影手段を備え、
前記の車両管理サーバには、サービス対象車両の貸出状態に関するデータを蓄積している車両管理データベースを備え、
前記の制御プログラムは、
前記の車両ナンバー撮影手段が撮影した車両ナンバー画像を入庫時刻とともに取得する車両ナンバー受信手順と、
その車両ナンバー受信手順にて受信した車両ナンバー画像から貸出専用に割り当てられた専用文字を抽出して車両種類を判断する車両種類判断手順と、
その車両種類判断手順にて車両ナンバー画像から専用文字を抽出した場合には、その車両ナンバーに該当するサービス対象車両の貸出状態を前記の車両管理データベースから抽出
し、前記の入庫時刻において前記サービス対象車両を利用していた会員ユーザが前記のサービス対象車両の利用を開始した時刻をサービス対象車両利用開始時刻として取得する利用開始時刻取得手順と、
前記のサービス対象車両の未精算の入庫時刻のうち最も早い入庫時刻を未精算入庫時刻として取得する未精算入庫時刻取得手順と、
前記の利用開始時刻取得手順にて取得したサービス対象車両利用開始時刻が、前記の未精算入庫時刻取得手順にて取得した未精算入庫時刻以前であるか否かを判断する演算用時刻判断手順と、
前記のサービス対象車両利用開始時刻が前記未精算入庫時刻以前であると前記の演算用時刻判断手順にて判断した場合には、前記の未精算入庫時刻取得手順にて取得した未精算入庫時刻を用いる一方、前記のサービス対象車両利用開始時刻が前記の未精算入庫時刻以前ではないと前記の演算用時刻判断手順にて判断した場合には、未精算の入庫時刻のうち最も遅い入庫時刻を用いて駐車料金を演算する駐車料金演算手順と、
を前記の車両管理サーバに実行させることとしたコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記の車両管理サーバには、前記の会員ユーザに係る属性データを蓄積した会員データベースを備え、
前記のサービス対象車両利用開始時刻が前記の未精算入庫時刻以前ではないと前記の演算用時刻判断手順にて判断した場合には、前記の未精算入庫時刻において前記のサービス対象車両を利用していた会員ユーザへ未精算の駐車料金がある旨の連絡をするための未精算データを、前記の会員データベースへ蓄積する未精算データ書き込み手順を、
を前記の車両管理サーバに実行させることとした請求項5に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車券を発行しない駐車場において、カーシェアリングなどの車両共有サービスに基づく車両を駐車させた場合に発生する駐車料金トラブルを抑制することが可能な情報通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
時間貸しの駐車場は、最も典型的なものとして、駐車場の入口で駐車券を受け取り、その駐車券を出庫の際に提示し、入庫した時刻と出庫の時刻との差分を駐車時間として駐車料金を精算する、というものである。無人化を図るため、精算機と阻止手段(例えば、ロック板や遮断機)を備え、駐車場の車室へ車両が入庫すると阻止手段が働き、精算機にて精算を済ませると阻止手段が解除されて出庫可能となる。
【0003】
近年の画像処理技術の進歩、通信インフラなどの充実や低コスト化に伴い、駐車場の入口などに設置したカメラにてナンバープレートを撮影し、その撮影映像と撮影時刻を用いて、駐車料金の算出や精算手続きの管理などを実行する駐車場(以下、「ゲートレス駐車場」と略記する)も出てきた。すなわち、ゲートレス駐車場とは、ロック板や遮断機といった阻止手段の設置を省略し、精算機とカメラにて駐車料金の精算に関わる手続を完結させている。
【0004】
たとえば、特許文献1では、ロック板を備えずに、駐車車室の入出庫の管理が可能な技術が開示されている。このような駐車場においては、駐車券を廃止できるので、発券機が不要となる。また、発券機に用いる紙の補充などのメンテナンスが不要となるというメリットもある。
【0005】
図1を用いて、より具体的に説明する。まず、駐車場ユーザ(車両の運転者)は、駐車場における空いている車室へ車両を入庫させる(a)。続いて、駐車場の入口や車室の前後付近に設置された専用カメラが、車両番号を撮影する。その撮影画像は、OCR処理にて電子化するとともに、タイムスタンプにて時刻データとともにデータセンターへ送信する(b)。駐車場ユーザは、事前精算機に自らの車両番号を入力すると、データセンターが照合作業を実行し、時刻データに基づいて駐車料金を算出し、精算を促す(c)。
【0006】
たとえば、特許文献2では、ナンバープレートの認識に失敗した場合、課金が行えなくなってしまうという問題に対処するため、駐車場の利用者(車両の運転者)を識別する装置において、利用者の識別精度を向上させる技術が開示されている。
【0007】
図2および
図3を用いて、ゲートレス駐車場における精算機とカメラ、駐車車室管理サーバについて、現状における一般令を詳細に説明する。
【0008】
図2では、ゲートレス駐車場における精算機とカメラにて駐車料金の精算をする前提としての入庫の確認について、ハードウェアおよびそのハードウェア間の情報処理をブロック図で示している。
駐車場を予約したいユーザが、自らの端末の送信機能(予約データ送信手段)にて、車両ナンバーを含む予約データを送信する。駐車車室管理サーバにおいては、その予約データを受信し、駐車車室データベースへ格納する(予約が不能である場合については省略)。
【0009】
予約日時にユーザが自らの端末の送信機能(入庫連絡送信手段)にて入庫の連絡を入れると、駐車車室管理サーバ(の入庫受信手段)が入庫連絡を受信し、入庫時刻である時刻データ(A)を、その入庫データに係る駐車車庫へ設置されている精算機へ送信する。
【0010】
精算機においては、時刻データ受信手段が時刻データ(A)を受信し、ユーザの車両ナンバーをカメラ(車両ナンバー撮影手段)が撮影して車両ナンバー写真を取得する。時刻データ(A)と車両ナンバー写真を、精算機の入庫データ送信手段が駐車車室管理サーバへ送信する。
【0011】
時刻データ(A)と車両ナンバー写真を駐車車室管理サーバの入庫データ受信手段が受信したら、予約データに係る車両ナンバーとを入庫確認手段が照合して、入庫を確認する。確認結果は、確認結果送信手段が精算機へ送信し、精算機の結果受信手段が受信する。
【0012】
精算機においては、予約した車両が入庫した場合、その車両のナンバーを車両ナンバー撮影手段が撮影し、その撮影時刻を実入庫時刻データ(B)として精算機へ送る。そして、精算機の入庫データ送信手段を介して駐車車室管理サーバへ送信する。
【0013】
駐車車室管理サーバは、入庫データとしての入庫ナンバー写真と実入庫時刻データ(B)を用いて、予約に係るデータを蓄積した駐車車室データベースを参照し、入庫確認手段が入庫を確認する。確認結果は精算機へ送信する。
精算機では、実入庫時刻データ(B)または予約時の時刻データ(A)に基づいて駐車時間を算出し、駐車料金の精算に用いる。
【0014】
図3では、出庫時に駐車場ユーザが精算機にて精算する手順を示している。
駐車場ユーザは、出庫する車両ナンバーの入力を精算機から求められる。車両ナンバーを入力すると、駐車車室管理サーバへ車両ナンバーが送られ、駐車料金を算出して返信される(a)。その算出された駐車料金データを受信した精算機が駐車料金を駐車場ユーザに伝える。駐車場ユーザは、その駐車料金を支払い(b)、駐車場から出庫させる(c)。
【0015】
なお、前述の説明では、駐車場の予約場面から説明している。しかし、予約無しにゲートレス駐車場へ車両を入庫させ、駐車場を利用した後に駐車料金を精算して出庫させる、という場合であっても、入庫時に車両ナンバーの撮影がなされるので、出庫時に適正な精算が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】特開2018-163536号公報
【文献】特許第5846565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、会員制のカーシェアリングサービスやレンタカーサービスの利用者(以下、「会員ユーザ」と略記する)が、借りた車両(以下、「サービス対象車両」とする)を、ゲートレス駐車場へ駐車した場合、以下のような問題が発生することがある。その問題について、
図4を用いて以下説明する。
【0018】
会員ユーザは、カーシェアリングサービスやレンタカーサービスの事業者に対して、予め属性情報およびサービス対価の支払い方法を登録している。そのため、その事業者と提携している駐車場の駐車料金は、カーシェアリングサービスやレンタカーサービスの利用料金と合算して精算することができる場合がある。
【0019】
合算されて精算されることに慣れてしまっている会員ユーザは、利用したゲートレス駐車場についても合算されて精算されるであろう、と勘違いすることがある。その場合、そのゲートレス駐車場の駐車料金を精算せずに出庫させてしまう。
また、ゲートレス駐車場自体の利用方法が分からず、料金を支払わないで出庫してしまうケースも発生している。この場合は、利用方法が分からなかったユーザのみの責任とするのは、合理的ではない。
【0020】
カーシェアリングサービスやレンタカーサービスの車両は、当然のことながら、同じ車両を異なる利用者(会員ユーザ)が使うこととなる。 一方、駐車車室管理サーバでは、車両ナンバーにて駐車場の利用状態を管理している。
さて、会員ユーザ(L)がゲートレス駐車場にて精算せずに出庫させてしまったとする(
図4(a))。そしてその後、異なる次の会員ユーザ(M)が同じゲートレス駐車場へ入庫させたとする(
図4(b))。この場合、次の会員ユーザ(M)に対して、会員ユーザ(L)の利用料金と会員ユーザ(M)の利用料金とが合算されて請求されてしまう事態となる(
図4(c))。未精算の車両が出入りを繰り返した場合には、最初に入庫させた時刻を駐車車室の利用開始時刻として駐車料金が演算されるからである。
【0021】
図4に示すような事例は稀であろう、と当初は考えられたが、実際の運用を継続していると、予想反して多く発生することが判明した。カーシェアリングの拠点となる所定のカーシェアリングステーションを中心とした場合、そのカーシェアステーションにてサービス対象車両を借りる会員ユーザがどのような利用をするか、という利用パターンが一致することは稀ではない。そのため、会員ユーザが前述した勘違いによって未精算にて出庫させてしまうことが一定の割合で起きてしまうようであると、統計的に把握および推測できる。
【0022】
特許文献1~2に開示された技術は、いずれも駐車場の管理運営者の利便性に貢献しているものの、上述したような会員ユーザ(L)が引き起こしてしまう問題を解消することができない。
【0023】
本発明が解決しようとする課題は、駐車券を発行しない駐車場において、カーシェアリングなどの車両共有サービスに基づく車両を駐車させた場合に発生する駐車料金トラブルを抑制することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前述した課題を解決するため、第一から第六の発明を提供する。
【0025】
(第一の発明)
第一の発明は、駐車車室の管理を実行する駐車車室管理サーバに対して、会員制にて会員ユーザに対するサービス対象車両の貸出を管理するとともに前記の駐車車室の駐車料金(の算出に用いるデータ)を演算する車両管理サーバに係る。
前記の駐車車室においては、その駐車車室を利用しようとする車両が前記の駐車車室へ入庫する際に当該車両の車両ナンバーを撮影する車両ナンバー撮影手段を備えており、
前記の車両管理サーバは、
サービス対象車両の貸出状態に関するデータを蓄積している車両管理データベースと、
前記の車両ナンバー撮影手段が撮影した車両ナンバー画像を入庫時刻とともに取得する車両ナンバー受信手段と、
その車両ナンバー受信手段が受信した車両ナンバー画像から貸出専用に割り当てられた専用文字を抽出して車両種類を判断する車両種類判断手段と、
その車両種類判断手段が車両ナンバー画像から専用文字を抽出した場合には、その車両ナンバーに該当するサービス対象車両の貸出状態を前記の車両管理データベースから抽出し、その貸出状態の利用開始時刻と前記の入庫時刻とに矛盾があるかないかを判断する貸出状態判断手段と、
その貸出状態判断手段が矛盾なしと判断した場合には前記の入庫時刻を用い、矛盾があると判断した場合には最新の入庫時刻を用いて駐車料金を演算する駐車料金演算手段と、
を備える(
図5、
図6参照)。
【0026】
(用語説明)
「車両ナンバー」とは、ナンバープレートにおける4桁の数字のほか、「あ~わ」の平仮名記号や駐留軍人用車両のアルファベット、ナンバー登録前の暫定仮ナンバーを含める。更に、地域名、車種番号までを含めても良い。
「車両ナンバー撮影手段」は、車両ナンバーのみを撮影する場合の他、車種などを特定できるように車両全体を撮影する場合もある。
【0027】
「入庫時刻」とは、車両ナンバー撮影手段による車両ナンバーの撮影時刻である場合の他、車両が車室(またはその車室がある駐車場)へ入ったことを検知する入庫検知手段が備えられている場合には、その入庫検知手段が検知した入庫時刻を使っても良い(
図10参照)。
「専用文字」とは、たとえば、レンタカーやカーシェアリング車両に割り当てられる「わ」や「れ」やその他指定車両番号等である。
「車両種類判断手段」は、平仮名記号が「わ」または「れ」であるか否か、および自動車販売会社などの試乗車・複数のメンバーでシェアする社有車や個人間カーシェアなどを予め登録しておき、その登録の有無で判断することとなる。
【0028】
「貸出状態判断手段」による矛盾の有無の判断は、以下のような場合に、矛盾有りと判断する。たとえば、車両管理データベースから抽出した貸出状態について、駐車料金の算出に用いる車両ナンバー撮影に係る入庫時刻と、その入庫時刻に当該車両を借りているユーザの名前が不一致である場合である。また、たとえば、車両管理サーバがサービス対象車両から所定頻度で得ている位置データを組み合わせて用いれば、矛盾の有無を判断しやすい。
【0029】
(作用)
駐車車室を利用しようとする車両が前記の駐車車室へ入庫する際、車両ナンバー撮影手段が当該車両の車両ナンバーを撮影する。
車両ナンバー撮影手段が撮影した車両ナンバー画像は、入庫時刻とともに、車両管理サーバの車両ナンバー受信手段が取得する。車両種類判断手段は、受信した車両ナンバー画像を用いて、貸出専用に割り当てられた専用文字を抽出して車両種類を判断する。
専用文字を抽出した場合には、その車両ナンバーに該当するサービス対象車両の貸出状態を前記の車両管理データベースから抽出する。そして、その貸出状態の利用開始時刻と前記の入庫時刻とに矛盾があるかないかを、貸出状態判断手段が判断する。
【0030】
駐車料金演算手段は、矛盾がない場合には前記の入庫時刻を用いて、矛盾がある場合には最新の入庫時刻を用いて駐車料金を算出させる。
貸出状態判断手段による矛盾がないと判断した場合は、車両のナンバーを撮影した最初の入庫時刻に基づいた駐車料金を算出させる。算出した駐車料金は、駐車車室管理サーバへ送信する。
【0031】
サービス対象車両を現在使用している会員ユーザ(M)よりも前に使用していた別の会員ユーザ(L)が、駐車料金を精算せずに出庫させていた場合、車両管理データベースによる貸出状態の確認によって、現在使用している会員ユーザ(M)が使用を開始した時刻と入庫時刻とに矛盾があると判断できる。その場合、現在使用している会員ユーザ(M)の駐車料金は、自分が入庫した入庫時刻にて駐車料金が算出される(
図4参照)。
【0032】
(第一の発明のバリエーション)
第一の発明は、以下のように形成することができる。
すなわち、前記の会員ユーザに係る属性データを蓄積した会員データベースを備え、
前記の貸出状態判断手段が矛盾ありと判断した場合には、矛盾に係る貸出状況の時間帯に当該サービス対象車両を利用していた会員ユーザへ未精算の駐車料金がある旨の連絡をするための未精算データを、前記の会員データベースへ蓄積することとするのである(
図8参照)。
【0033】
(第二の発明)
第二の発明は、駐車車室の管理を実行する駐車車室管理サーバに対して、会員制にて会員ユーザに対するサービス対象車両の貸出を管理するとともに前記の駐車車室の駐車料金の算出に用いるデータを決定する車両管理サーバに係る。
前記の駐車車室においては、その駐車車室を利用しようとする車両が前記の駐車車室へ入庫する際に当該車両の車両ナンバーを撮影する車両ナンバー撮影手段を備えており、
前記の車両管理サーバは、
サービス対象車両の貸出状態に関するデータを蓄積している車両管理データベースと、
前記の車両ナンバー撮影手段が撮影した車両ナンバー画像を入庫時刻とともに取得する車両ナンバー受信手段と、
その車両ナンバー受信手段が受信した車両ナンバー画像から貸出専用に割り当てられた専用文字を抽出して車両種類を判断する車両種類判断手段と、
その車両種類判断手段が車両ナンバー画像から専用文字を抽出した場合には、その車両ナンバーに該当するサービス対象車両の貸出状態を前記の車両管理データベースから抽出し、その貸出状態の利用開始時刻と前記の入庫時刻とに矛盾があるかないかを判断する貸出状態判断手段と、
その貸出状態判断手段が矛盾なしと判断した場合には前記の入庫時刻を用い、矛盾があると判断した場合には入庫時刻を決定する入庫時刻決定手段と、
を備える(
図7、
図8参照)。
【0034】
第一の発明が駐車料金を演算する(その後、精算機へ駐車料金データを送信する)のに対して、第二の発明は、駐車料金の演算の根拠となる入庫時刻を決定する(その後、入庫決定時刻データを駐車車室管理サーバまたは精算機へ送信する)。
【0035】
(第三の発明)
第三の発明は、第一の発明に係る車両管理サーバに対して、精算機およびその精算機が精算をさせる駐車車室管理サーバを加えた駐車料金算出システムに係る。
すなわち、駐車車室を利用しようとする車両が前記の駐車車室へ入庫する際に当該車両の車両ナンバーを撮影する車両ナンバー撮影手段と、
その駐車車室の駐車料金の精算を実行する精算機と、
その車両ナンバー撮影手段が撮影した車両ナンバーを用いて、前記の駐車車室に関する管理を実行する駐車車室管理サーバと、
サービス対象車両の貸出状態に関するデータを蓄積している車両管理データベースを備えた車両管理サーバと、を備える。
前記の車両管理サーバは、 前記の車両ナンバー撮影手段が撮影した車両ナンバー画像を入庫時刻とともに取得する車両ナンバー受信手段と、
その車両ナンバー受信手段が受信した車両ナンバー画像から貸出専用に割り当てられた専用文字を抽出して車両種類を判断する車両種類判断手段と、
その車両種類判断手段が車両ナンバー画像から専用文字を抽出した場合には、その車両ナンバーに該当するサービス対象車両の貸出状態を前記の車両管理データベースから抽出し、その貸出状態の利用開始時刻と前記の入庫時刻とに矛盾があるかないかを判断する貸出状態判断手段と、
その貸出状態判断手段が矛盾なしと判断した場合には前記の入庫時刻を用い、矛盾があると判断した場合には最新の入庫時刻を用いて駐車料金を演算する駐車料金演算手段と、
を備え、
前記の駐車車室管理サーバは、前記の駐車料金演算手段が演算した駐車料金データを受信し、前記の精算機へその駐車料金データを出力させる駐車料金送受信手段を備える。
【0036】
(第三の発明のバリエーション)
第三の発明は、前記の会員ユーザに係る属性データを蓄積した会員データベースを備え、
前記の貸出状態判断手段が矛盾ありと判断した場合には、矛盾に係る貸出状況の時間帯に当該サービス対象車両を利用していた会員ユーザへ未精算の駐車料金がある旨の連絡をするための未精算データを、前記の会員データベースへ蓄積することとしてもよい(
図8参照)。
【0037】
(第四の発明)
第四の発明は、第二の発明に係る車両管理サーバに対して、精算機およびその精算機が精算をさせる駐車車室管理サーバを加えた駐車料金算出システムに係る。
すなわち、駐車車室を利用しようとする車両が前記の駐車車室へ入庫する際に当該車両の車両ナンバーを撮影する車両ナンバー撮影手段と、
その駐車車室の駐車料金の精算を実行する精算機と、
その車両ナンバー撮影手段が撮影した車両ナンバーを用いて、前記の駐車車室に関する管理を実行する駐車車室管理サーバと、
サービス対象車両の貸出状態に関するデータを蓄積している車両管理データベースを備えた車両管理サーバと、を備える。
前記の車両管理サーバは、
サービス対象車両の貸出状態に関するデータを蓄積している車両管理データベースと、
前記の車両ナンバー撮影手段が撮影した車両ナンバー画像を入庫時刻とともに取得する車両ナンバー受信手段と、
その車両ナンバー受信手段が受信した車両ナンバー画像から貸出専用に割り当てられた専用文字を抽出して車両種類を判断する車両種類判断手段と、
その車両種類判断手段が車両ナンバー画像から専用文字を抽出した場合には、その車両ナンバーに該当するサービス対象車両の貸出状態を前記の車両管理データベースから抽出し、その貸出状態の利用開始時刻と前記の入庫時刻とに矛盾があるかないかを判断する貸出状態判断手段と、
その貸出状態判断手段が矛盾なしと判断した場合には前記の入庫時刻を用い、矛盾があると判断した場合には入庫時刻を決定する入庫時刻決定手段と、
を備える。
前記の駐車車室管理サーバは、前記の入庫時刻決定手段が決定した入庫決定時刻データを受信し、その入庫決定時刻データを用いて駐車料金を演算する駐車料金演算手段を備える。
【0038】
(第五の発明)
第五の発明は、第一の発明に係る車両管理サーバを制御するコンピュータプログラムであって、
駐車車室の管理を実行する駐車車室管理サーバに対して、会員制にて会員ユーザに対するサービス対象車両の貸出を管理するとともに前記の駐車車室の駐車料金を算出して連絡する車両管理サーバの制御プログラムに係る。
前記の駐車車室においては、その駐車車室を利用しようとする車両が前記の駐車車室へ入庫する際に当該車両の車両ナンバーを撮影する車両ナンバー撮影手段を備えており、
前記の車両管理サーバには、サービス対象車両の貸出状態に関するデータを蓄積している車両管理データベースを備えている。
前記の制御プログラムは、前記の車両ナンバー撮影手段が撮影した車両ナンバー画像を入庫時刻とともに取得する車両ナンバー受信手順と、
その車両ナンバー受信手順にて受信した車両ナンバー画像から貸出専用に割り当てられた専用文字を抽出して車両種類を判断する車両種類判断手順と、
その車両種類判断手順にて車両ナンバー画像から専用文字を抽出した場合には、その車両ナンバーに該当するサービス対象車両の貸出状態を前記の車両管理データベースから抽出し、その貸出状態の利用開始時刻と前記の入庫時刻とに矛盾があるかないかを判断する貸出状態判断手順と、
その貸出状態判断手順にて矛盾なしと判断した場合には前記の入庫時刻を用い、矛盾があると判断した場合には最新の入庫時刻を用いて駐車料金を算出させる駐車料金演算手順と、
を前記の車両管理サーバに実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0039】
(第五の発明のバリエーション)
第五の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の車両管理サーバには、前記の会員ユーザに係る属性データを蓄積した会員データベースを備え、
前記の貸出状態判断手順にて矛盾ありと判断した場合には、矛盾に係る貸出状況の時間帯に当該サービス対象車両を利用していた会員ユーザへ未精算の駐車料金がある旨の連絡をするための未精算データを、前記の会員データベースへ蓄積する未精算データ書き込み手順を、
を前記の車両管理サーバに実行させることとしてもよい(
図8参照)。
【0040】
(第六の発明)
第六の発明は、第二の発明に係る車両管理サーバを制御するコンピュータプログラムであって、
駐車車室の管理を実行する駐車車室管理サーバに対して、会員制にて会員ユーザに対するサービス対象車両の貸出を管理するとともに前記の駐車車室の駐車料金を算出して連絡する車両管理サーバの制御プログラムに係る。
前記の駐車車室においては、その駐車車室を利用しようとする車両が前記の駐車車室へ入庫する際に当該車両の車両ナンバーを撮影する車両ナンバー撮影手段を備えており、
前記の車両管理サーバには、サービス対象車両の貸出状態に関するデータを蓄積している車両管理データベースを備えている。
前記の制御プログラムは、前記の車両ナンバー撮影手順にて撮影した車両ナンバー画像を入庫時刻とともに取得する車両ナンバー受信手順と、
その車両ナンバー受信手順にて受信した車両ナンバー画像から貸出専用に割り当てられた専用文字を抽出して車両種類を判断する車両種類判断手順と、
その車両種類判断手順にて車両ナンバー画像から専用文字を抽出した場合には、その車両ナンバーに該当するサービス対象車両の貸出状態を前記の車両管理データベースから抽出し、その貸出状態の利用開始時刻と前記の入庫時刻とに矛盾があるかないかを判断する貸出状態判断手順と、
その貸出状態判断手順にて矛盾なしと判断した場合には前記の入庫時刻を用い、矛盾があると判断した場合には入庫時刻を決定して駐車料金の演算に用いる入庫時刻決定手順と、
を前記の車両管理サーバに実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0041】
第五の発明との相違点としては、第六の発明が駐車料金を算出する(その後、精算機へ駐車料金データを送信する)のに対して、第六の発明は、駐車料金の算出の根拠となる入庫時刻を決定して算出する(その後、精算機へ入庫決定時刻データを送信する)点である。
【0042】
第五および第六の発明に係るコンピュータプログラムを格納したコンピュータから、通信回線を通じて他の端末手段へ伝送することも可能である。
また、第後および第六の発明に係るコンピュータプログラムを記録媒体へ記憶させて提供することもできる。 ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-R、DVD-R、USBメモリなどである。
【発明の効果】
【0043】
第一および第二の発明によれば、駐車券を発行しない駐車場において、カーシェアリングなどの車両共有サービスに基づく車両を駐車させた場合に発生する駐車料金トラブルを抑制する車両管理サーバを提供することができた。
第三および第四の発明によれば、駐車券を発行しない駐車場において、カーシェアリングなどの車両共有サービスに基づく車両を駐車させた場合に発生する駐車料金トラブルを抑制する駐車料金算出システムを提供することができた。
第五および第六、駐車券を発行しない駐車場において、カーシェアリングなどの車両共有サービスに基づく車両を駐車させた場合に発生する駐車料金トラブルを抑制する車両管理サーバの制御プログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】駐車券を発行しない駐車場への入庫手順を示す概念図である。
【
図2】駐車券を発行しない駐車場を予約してから入庫を確認するまでを示すブロック図である。
【
図3】駐車券を発行しない駐車場を出庫させる前に駐車料金を精算する手順を示す概念図である。
【
図4】車両共有サービスの会員ユーザが過大請求をされてしまう場合を示す概念図である。
【
図5】本発明に係る第一の実施形態を示すブロック図である。
【
図6】第一の実施形態を示すフローチャートである。
【
図11】本発明が実施される駐車場(複数)と駐車料金算出システムとの関係を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明を図面および実施形態に基づいて、説明する。ここで使用する図面は、
図5から
図11である。実線の矢印は有線通信、二点破線の矢印は無線通信を示す。なお、
図1から
図4は、背景技術およびその問題点を説明するために用いているので、必要に応じて参照する。
本実施形態の前提として、駐車場(または駐車車室)は、駐車しようとする車両の車両ナンバーを撮影するカメラと、駐車サービスの利用者に対する対価を精算してもらうための精算機とが設置されている。すなわち、本実施形態で説明する駐車場(または駐車車室)は、いわゆるゲートレス駐車場である。
【0046】
(
図5、
図6)
図5では、前述した駐車場に設置されたカメラ(車両ナンバー撮影手段)および精算機、カメラおよび精算機とのデータ通信をする駐車車室管理サーバ、およびカーシェアリングやレンタカーサービスで用いるサービス対象車両を管理する車両管理サーバの関係を示している。
図6では、
図5に示した構成に基づいたフローチャートを示している。
【0047】
前記の車両管理サーバには、予め会員登録をした会員へサービス対象車両を貸し出すためのデータ管理などを実行するため、サービス対象車両に関わるデータを管理する車両管理データベースや、会員に関わるデータを管理する会員データベース(
図5では図示を省略)を備えている。
【0048】
カメラは、駐車場の入口または駐車車室に設置されており、駐車しようとする車両が入ってくる際に、車両ナンバーを撮影する(S1)。そのカメラには無線送信機能が備えられており、その無線送信機能によって、撮影した車両ナンバーの画像データを、その撮影時刻(駐車車室の利用を開始した「入庫時刻」となる)とともに駐車車室管理サーバへ送信する(S1)。
【0049】
駐車車室管理サーバでは、受信した画像データおよび撮影時刻データを車両管理サーバにおける車両ナンバー受信手段へ転送する。車両管理サーバでは、画像データをデジタル化処理する(S2)。デジタル化処理は、駐車車室管理サーバで実行することとしても良い。
【0050】
デジタル化処理された車両ナンバーの中に、専用文字が含まれているか否か(たとえば、「わ」や「れ」が含まれているか否か)を車両種別判断手段が判断する(S3)。含まれている場合には、車両管理データベースを参照することで、その専用文字を含む車両ナンバーに関する貸出状態を、貸出状態判断手段がチェックする。
【0051】
なお、車両管理データベースに存在しない車両ナンバーである場合には、その車両管理サーバに係るカーシェアリングおよびレンタカー業者が保有する車両ではないので、専用文字が含まれていない場合と同じ処理手順となる(
図6の処理手順としては図示を省略)。
【0052】
車両ナンバーの中に専用文字が含まれ、且つ車両管理データベースに存在する車両ナンバーである場合には、貸出状態判断手段によって、該当するサービス対象車両の利用開始時刻と、車両ナンバーに係る撮影時刻との間に矛盾がないかどうか、判断する(S5)。
【0053】
たとえば、カーシェアリングサービスに用いられるサービス対象車両(車両ナンバーの中に専用文字が含まれる)が、会員ユーザ(L)によって使われ、上記した実施形態に係るゲートレス駐車場を利用したものの、未精算で当該駐車場から出庫してしまったとする(
図4(a))。このとき、ゲートレス駐車場のカメラによる入庫時刻は13:15だったとする。
その後、会員ユーザ(L)はサービス対象車両を返却し、別の会員(M)が15:30から同じサービス対象車両の利用を開始し、会員ユーザ(L)が利用した同じ駐車場へ15:45に入庫させ、16:45に出庫させようとしたとする。
【0054】
上記の場合、車両種類判断手段は、「専用文字」が含まれていると判断するので、その車両ナンバーに係るサービス対象車両の利用状況を車両管理データベースにて確認する。その確認手順によって、現在のサービス対象車両の利用者は会員(M)であると確認できる。カメラによる入庫時刻は、13:15と15:45の2つが存在するが、13:15の入庫時刻は会員(M)の運転による入庫ではないことを把握できる。この場合、駐車料金演算手段は、15:45の入庫時刻を用いて駐車料金を演算するのである。
【0055】
なお、サービス対象車両には、GPS機能を搭載しており、所定の頻度で車両管理サーバへ車両位置データを送信している。したがって、車両管理サーバにおける車両管理データベースには、時刻データを含む車両位置データが蓄積される。この車両位置データを、前述の入庫時刻データと組み合わせることで、矛盾の有無の判断に正確性を増すことができる。
【0056】
駐車料金演算手段は、矛盾があるとした場合、最新の入庫時刻を用いて駐車料金を算出する(S6)。
矛盾がない場合、あるいは車両ナンバーの中に専用文字が含まれていない場合には、撮影時刻を入庫時刻として駐車料金を演算する(S7)。
演算された駐車料金は、駐車車室管理サーバへ送られ、駐車場管理データベースから必要なデータを引き出し、精算機の出力パネルやスピーカを介して駐車料金を出力させる。
【0057】
図5および
図6に示した実施形態によれば、以下のような効果がある。
すなわち、会員ユーザ(L)がゲートレス駐車場にて精算せずに出庫させてしまったとする(
図4(a))。そしてその後、異なる次の会員ユーザ(M)が同じゲートレス駐車場へ入庫させたとする(
図4(b))。この場合であっても、次の会員ユーザ(M)に対して、会員ユーザ(L)の利用料金と会員ユーザ(M)の利用料金とが合算されて請求されてしまうことはない。
【0058】
(
図7)
図7に示す実施形態について、
図5に示した実施形態との相違点を中心に説明する。
図7に示す実施形態では、車両管理サーバにおいて駐車料金を演算するのではなく、駐車料金の算出根拠となる入庫時刻を決定する入庫時刻決定手段を、駐車料金演算手段の代わりに備えている。駐車料金演算手段は、駐車車室管理サーバに備えている。
【0059】
(
図8)
図8に示す実施形態については、
図5および
図7に示した実施形態との相違点を中心に説明する。
図8に示す実施形態では、車両管理サーバにおいても駐車車室管理サーバにおいても駐車料金を演算せず、精算機に駐車料金を演算させる。すなわち、車両管理サーバでは貸出状態の矛盾を判断し、駐車車室管理サーバにおいて駐車料金の算出根拠となる入庫時刻を決定する入庫時刻決定手段を備える。
そして、精算機には、駐車車室管理サーバにて決定された入庫時刻を受信する入庫時刻受信手段と、駐車料金演算手段とを備えるのである。
【0060】
車両管理データベースは、サービス対象車両の位置データを所定頻度で蓄積している。したがって、駐車場料金を未払いの会員が利用していた時間帯の中で、当該駐車場にサービス対象車両が位置していた時間帯を割り出すことができる。それを用いて、未払いの駐車料金を推定し、未払いの駐車料金を合理的に演算しても良い。
【0061】
(
図9)
図9に示す実施形態は、駐車車室管理サーバを車両管理サーバが兼ねた場合である。2つの機能をひとつのサーバが兼ねることで、構成がシンプルとなる。
【0062】
(
図10)
図10に示す実施形態は、駐車場の車室が多い、駐車場が物理的に広いなどの場合に、駐車場の入口ではなく、駐車車室毎に入庫検知手段(例えば重量センサ)を備えているような場合である。この場合は、カメラが車両ナンバーを撮影した時刻を入庫時刻とするのではなく、入庫検知手段が入庫時刻データを取得し、駐車車室管理サーバへ送信することとしている。
【0063】
(
図11)
図11では、駐車車室管理サーバと車両管理サーバとを併せて駐車料金算出システムという概念で捉えた状態を示す。
更に、駐車料金算出システムは、駐車場A,B,Cといった複数の駐車場を一括して管理していることをも示している。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、駐車場の運営業、駐車場の運営に必要な精算機やカメラの製造業、カーシェアリングやレンタカーのサービス業、サーバの製造業、サーバにおいて用いられるアプリケーションプログラムを作成するソフトウェアサービス業、などにおいて、利用可能性を有する。