(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】シート給送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/26 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
B65H1/26 330
(21)【出願番号】P 2020054545
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片渕 友貴
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-064811(JP,A)
【文献】特開2019-059610(JP,A)
【文献】特開2014-065611(JP,A)
【文献】特開2018-076138(JP,A)
【文献】特開2015-187040(JP,A)
【文献】特開2000-247458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積載するためのシート収納トレイと、
前記シート収納トレイがスライド可能に取り付けられる装置本体と、
前記装置本体に対して前記シート収納トレイの
幅方向における位置を規制する規制機構と、を備えるシート給送装置であって、
前記規制機構は、
前記装置本体に設けられている係合部と、
前記シート収納トレイに設けられ、前記係合部と係合するストッパ部材と、を有し、
前記シート収納トレイは、前記装置本体に収納された場合に前記装置本体に対して位置を決めるための位置決め部材であって、前記ストッパ部材と異なる位置決め部材を有し、
前記ストッパ部材は、前記シート収納トレイがスライドする方向と交差する
前記幅方向に移動可能に構成され、前記装置本体に対して前記シート収納トレイの前記
幅方向の位置を決める
ように構成されており、前記シート収納トレイが前記装置本体に収納された場合に前記装置本体に対して離れていることを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記ストッパ部材は、前記シート収納トレイを前記装置本体から引き出す方向のスライドを規制するスライド規制位置と、前記係合部と係合する状態から退避し前記シート収納トレイを前記装置本体から着脱可能にする退避位置と、の間を移動できるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記ストッパ部材は、前記スライド規制位置から前記退避位置へ向かう退避方向の移動量を規制する規制部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記ストッパ部材は、前記シート収納トレイが前記装置本体から引き出されている状態での前記退避位置において、前記装置本体に対する前記シート収納トレイの前記
幅方向の位置を決めるように構成されていることを特徴とする請求項2または3に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記装置本体は、前記装置本体に対する前記シート収納トレイの前記
幅方向の位置を規
制する凸部を有し
前記凸部は、前記係合部の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記凸部は、前記係合部よりも前記シート収納トレイを引き出す方向の側に設けられていることを特徴とする請求項
5に記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記ストッパ部材を前記装置本体に対して前記
幅方向へ付勢するための弾性部材を有することを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項8】
前記装置本体は、前記シート収納トレイを引き出す際に前記ストッパ部材が接するガイド部材を有しており、
前記係合部は、前記ガイド部材に設けられていることを特徴とする請求項1乃至
7のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成部等にシートを給送するシート給送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のプリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置は、画像を形成するための媒体を収納し給送するシート給送装置を備えている。また、大型の画像形成装置では、多量のシートを装置に供給するために、メインのシート給送装置とは別に大容量のシート給送装置を備えているものが考案されている。
【0003】
このようなシート給送装置は、シートを追加することができるように、シート収納トレイが装置本体からスライドして引き出されるように構成されている。シート収納トレイは、シート給送装置の装置本体に設けられた案内部材に対してスライド自在な被案内部材を備えており、被案内部材に摺動部材が設けられることで装置本体に対してスムーズに動作することが可能になっている(特許文献1参照)。これにより、シート収納トレイの操作性が向上する。また、ユーザーがシート収納トレイを引き出した際にシート収納トレイが装置本体から脱落しないように、スライド位置を規制するためのストッパが設けられているシート給送装置が考案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-50081号公報
【文献】特開2017-134334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の摺動部材や特許文献2に記載のストッパは個別に設けられているため、装置のコストが増加する要因になっていた。また、特許文献2に記載のストッパの構成では、装置本体からシート収納トレイを取り外す際にユーザーがシート収納トレイを持ち上げる必要がある。そのため、大容量のシート収納トレイにおいては、トレイ内に積載されるシートが多くシート収納トレイ全体が重くなるため、着脱の際の作業性が低下する。
【0006】
本発明は、装置本体に対するシート収納トレイの着脱性の改善を図ることができる技術を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態に係るシート給送装置は、
シートを積載するためのシート収納トレイと、
前記シート収納トレイがスライド可能に取り付けられる装置本体と、
前記装置本体に対して前記シート収納トレイの幅方向における位置を規制する規制機構と、を備えるシート給送装置であって、
前記規制機構は、
前記装置本体に設けられている係合部と、
前記シート収納トレイに設けられ、前記係合部と係合するストッパ部材と、を有し、
前記シート収納トレイは、前記装置本体に収納された場合に前記装置本体に対して位置を決めるための位置決め部材であって、前記ストッパ部材と異なる位置決め部材を有し、
前記ストッパ部材は、前記シート収納トレイがスライドする方向と交差する前記幅方向に移動可能に構成され、前記装置本体に対して前記シート収納トレイの前記幅方向の位置を決めるように構成されており、前記シート収納トレイが前記装置本体に収納された場合に前記装置本体に対して離れていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置本体に対するシート収納トレイの着脱性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態におけるシート給送装置単体の斜視図である。
【
図2】シート給送装置からシート収納トレイをスライドした状態の斜視図である。
【
図3】シート給送装置の斜視図およびフレームレールの詳細図である。
【
図4】第1の実施形態におけるシート収納トレイ単体の斜視図である。
【
図5】第1の実施形態におけるトレイレールを上部から見たときのB-B断面図である。
【
図6】第1の実施形態におけるシート収納トレイがシート給送装置に収納されている状態を上部から見た断面図であるである。
【
図7】第1の実施形態におけるスライド途中のシート収納トレイを上部から見た断面図、およびストッパ部材近傍の詳細図である。
【
図8】第1の実施形態におけるスライド途中のシート収納トレイを上部から見た断面図、およびフレームスペーサ近傍の詳細図である。
【
図9】第1の実施形態におけるスライド途中でガタ分よった状態のシート収納トレイを上部から見たフレームスペーサおよびストッパ部材の詳細図である。
【
図10】第1の実施形態におけるスライド規制位置にあるシート収納トレイを上部から見た断面図である。
【
図11】第1の実施形態におけるユーザー操作によりスライド規制状態を解除した状態の断面図である。
【
図12】第1の実施形態におけるユーザー操作によりスライド規制状態を解除した状態の断面図である。
【
図13】第2の実施形態におけるシート収納トレイ単体の斜視図である。
【
図14】第2の実施形態におけるトレイレールを上部から見たときのC-C断面図である。
【
図15】第2の実施形態におけるスライド途中のシート収納トレイを上部から見た断面図、およびストッパ部材近傍の詳細図である。
【
図16】第2の実施形態におけるスライド途中でガタ分よった状態のシート収納トレイを上部から見たフレームスペーサおよびストッパ部材の詳細図である。
【
図17】第2の実施形態におけるスライド規制位置にあるシート収納トレイを上部から見た断面図である。
【
図18】第2の実施形態におけるユーザー操作によりスライド規制状態を解除した状態の断面図である。
【
図19】第2の実施形態におけるユーザー操作によりスライド規制状態を解除した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施形態に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0011】
[第1の実施形態]
画像形成装置本体に装着される第1の実施形態に係るシート給送装置について説明する。
図1は、シート給送装置100の全体を示す斜視図である。
図2は、シート給送装置本体1からシート収納トレイ2をスライドした状態の斜視図である。本実施形態のシート給
送装置100は、画像形成装置へシートを供給するためにシートを積載するシート収納トレイ2がスライド方向Xにスライド可能に設けられている。
【0012】
次に、シート給送装置本体1(以下、装置本体1と表記する。)、シート収納トレイ2(以下、トレイ2と表記する。)の詳細な構成について説明する。装置本体1について
図3を用いて説明を行う。
図3(a)は、装置本体1の斜視図、
図3(b)は、
図3(a)におけるフレームレール101の領域Aの詳細図である。
【0013】
箱形の装置本体1は、装置本体1からトレイ2をスライド可能に出し入れし、かつ装置本体1に対してトレイ2の上下位置を決めるための一対のフレームレール101を備えている。一対のフレームレール101は、トレイ2を挟むように、装置本体1の内側の空間の対向する内側面にそれぞれ設けられている。フレームレール101には、
図3(b)に示されるトレイ2のスライド位置を規制するための規制部102と、装置本体1に対してトレイ2のスムーズなスライドを可能にするための摺動部材であるフレームスペーサ103およびベアリング107が取り付けられている。
【0014】
フレームスペーサ103は、装置本体1に設けられるフレームレール101と、トレイ2に設けられるトレイレール204(後述の
図4参照)との側面同士の直接摺動を防止し、トレイ2のスムーズなスライドを可能にする。また、フレームスペーサ103は、トレイ2を挟むように設置されている一対のフレームレール101にそれぞれ設けられることで、装置本体1とトレイ2の製品幅方向のクリアランスを決めている。
【0015】
フレームスペーサ103は、フレームレール101の製品正面側(装置本体1の開口側)に配置されている。装置本体1の後側面には、トレイ2が装置本体1に収納された際のスライド方向Xの位置を決めるための突き当て部104と、製品幅方向Yの位置を決めるためのフレーム位置決め部105とが設けられている。製品幅方向Yはスライド方向Xと直交する方向であって、シート給送装置100の設置面と平行な方向である。通常想定されるシート給送装置100の設置状態として水平面が上記設置面となる。装置本体1の底部には、装置本体1を机や台に設置する際に本体を支えるための足106が設けられている。
【0016】
トレイ2について、
図4を用いて説明する。
図4は、トレイ2単体の斜視図である。トレイ2はシートを収納するためのトレイフレーム201と、シートを積載するための不図示のシート積載板とを有する。トレイフレーム201は、装置本体1からトレイ2を引き出すためのハンドル部202を有するカバー203が取り付けられている。トレイフレーム201とカバー203とにより上方が開放された箱形の構造体を構成しており、その内部にシートが積載収容される。トレイフレーム201の両側面には、フレームレール101と係合して装置本体1に対してトレイ2をスライド可能に出し入れし、かつ装置本体1に対してトレイ2の上下位置を決めるための一対のトレイレール204が設けられている。
【0017】
トレイレール204には、トレイ2を引き出す際のX方向のスライドを規制するためのストッパ部材205が設けられている。また、ユーザーが任意にトレイ2のスライド規制を解除し、装置本体1からトレイ2を着脱可能にするための操作部208が設けられている。
【0018】
次に、
図5を用いてストッパ部材205の動作について説明を行う。
図5は、
図4に示すトレイレール204を上部(方向X及び方向Yと直交する高さ方向Z)から見た場合のB-B断面図である。トレイレール204に設けられているストッパ部材205は、フレームレール101に設けられる規制部102(
図3参照)と係合することで、引き出し方
向へのスライドを規制する。また、ストッパ部材205は、ストッパシャフト206を回動中心として回動可能に取り付けられており、弾性部材としてのバネ207によって対向するフレームレール101側に付勢されている。
【0019】
ストッパ部材205は、トレイ2がスライド中にフレームレール101と接触する接触部205aと、フレームレール101にある規制部102(
図3参照)と係合し、トレイ2のスライドを規制するストッパ部205bと、が設けられている。また、ストッパ部材205の一定以上の回動を規制するための回動規制部210は、接触部205aとストッパシャフト206との間に設けられており、トレイフレーム201に突き当たることで、ストッパ部材205の回動量を規定している。
【0020】
次に本実施形態におけるストッパ部材205の動作に関して、
図6~
図12を用いて詳細に説明を行う。
図6(a)は、トレイ2が装置本体1に収納されている状態を上部から見た断面図、
図6(b)は、
図6(a)の領域Bの詳細図である。
図7(a)は、スライド途中の状態のトレイ2を上部から見た断面図、
図7(b)は、
図7(a)の領域Cのフレームスペーサ103近傍の詳細図である。
図8(a)はスライド途中の状態のトレイ2を上部から見た断面図、
図8(b)は、
図8(a)の領域Dのストッパ部材205の詳細図である。
【0021】
図9(a)は、トレイ2がガタ分よった状態にあるスライド途中のフレームスペーサ103近傍の詳細図、
図9(b)は、トレイ2がガタ分よった状態にあるスライド途中のストッパ部材205近傍の詳細図、
図9(c)は、
図9(b)の領域Eの詳細図である。
図10(a)は、スライド規制位置にあるトレイ2を上部から見たときの断面図、
図10(b)は、
図10(a)に示す領域Fの詳細図である。
【0022】
図11(a)は、ユーザー操作によりスライド規制状態を解除している状態の断面図、
図11(b)は、
図11(a)に示す領域Hの詳細図、
図11(c)は、
図11(a)に示す領域Gの詳細図である。なお、
図11(a)~
図11(c)では、トレイ2が装置本体1に対して中心に位置する状態である。
図12(a)は、ユーザー操作によりスライド規制状態を解除している状態の断面図、
図12(b)は、
図12(a)に示す領域Iの詳細図である。なお、
図12(a)、
図12(b)では、トレイ2が装置本体1に対して片側によってフレームスペーサ103とトレイレール204が接触している状態である。
【0023】
図6(a)に示すように、装置本体1にトレイ2が収納されている状態(完全に収納されている状態)では、フレーム位置決め部105およびトレイ位置決め部211が嵌合し、装置本体1に対してトレイ2の製品幅方向Yの位置が決まる。このとき、
図6(b)に示すように、ストッパ部材205は、フレームレール101から離れた状態になっており、製品幅方向Yに対して位置が決められていない。
【0024】
また、
図7、
図8に示すように、トレイ2が収納位置(
図6に示す完全収納状態)からスライド規制位置(
図10に示す状態)の間の区間にある状態では、フレームスペーサ103とトレイレール204およびストッパ部材205とフレームレール101によって、装置本体1に対するトレイ2の製品幅方向Yの位置が決められる。
図7(b)に示されるようにトレイ2が製品幅方向Yにおいて装置本体1の中心にある場合、装置前側(トレイ2が引き出される側)におけるフレームレール101とトレイレール204との間は、フレームスペーサ103の突出量D1と、フレームスペーサ103とトレイレール204間のクリアランスD2と、を加えた距離となる。
【0025】
また、
図8(b)に示すように、装置後側においては、ストッパ部材205はバネ207によってフレームレール101に付勢されている。つまり、ストッパ部材205の接触
部205aは、フレームレール101に接触した状態である。ただし、
図8(c)に示すように、ストッパ部材205の回動規制部210とトレイフレーム201との間にはクリアランスD3が形成されている状態である。
【0026】
次に、
図9を用いてトレイ2がクリアランスD2分製品幅方向Yに移動した状態について説明する。装置前側においては、
図9(a)に示すようにフレームスペーサ103とトレイレール204が接触し、トレイ2の製品幅方向Yの位置が規制される。一方、装置後側においては、
図9(b)、
図9(c)に示すように、ストッパ部材205にバネ207による付勢力以上の力が加わった場合、ストッパ部材205がクリアランスD3分回動し(
図8(c)参照)、回動規制部210がトレイフレーム201に突き当たる。このとき、ストッパ部材205の接触部205aは、トレイレール204からD4分突出した状態になっている。
【0027】
これにより、トレイレール204がフレームレール101に接触することなくストッパ部材205によって製品幅方向Yの位置が決められるため、ストッパ部材205がスペーサ部材の役割を果たす。このとき、接触部205aのトレイレール204からの突出量D4はD1≧D4に設定されている。
【0028】
図10(a)に示されるように、トレイ2が引き出され、スライド規制位置まで移動した場合、トレイ2に設けられたストッパ部材205は、
図10(b)に示されるように、バネ207による付勢力によってフレームレール101側に設けられた規制部102へ回動する。これにより、規制部102とストッパ部205bが係合し、トレイ2の引き出し方向(スライド方向X)へのスライドが規制される。
【0029】
図11(a)に示すように、スライド規制状態(
図10参照)にあるトレイ2を装置本体1から取り外すために、ストッパ部材205が解除位置にくるようにストッパ部材205を操作する場合、ユーザーはストッパ部材205にある操作部208を操作する。該操作は、具体的には、本実施形態では操作部208を押し込む操作となる。ストッパ部材205を付勢しているバネ圧力以上の力で操作部208が操作された場合、ストッパ部材205はストッパシャフト206を回転中心に回動し、
図11(b)に示すように、回動規制部210がトレイフレーム201に突き当たるまで操作される。
図11の状態にある場合、ストッパ部材205の接触部205aとフレームレール101の間には、
図11(c)に示すようにD2+D1-D4≧0のクリアランスがある。そのため、スライド規制を解除することができ、トレイ2をスライド方向Xにスライドさせることで装置本体1からトレイ2を取り外し可能になる。
【0030】
実際には、
図12(a)に示すように、フレームスペーサ103がトレイレール204に接触している状態での取り外しが行われることがある。突出量D1と突出量D4とを極力同程度の値にすることで、装置本体1とトレイ2のガタつきを低減することができる。フレームスペーサ103と規制部102が離れて配置されている場合、トレイ2がフレームスペーサ103を中心に回転してしまい、フレームスペーサ103から離れた距離にある規制部102近傍のトレイレール204とのクリアランスは突出量D1より小さくなってしまう。
【0031】
そのため、本実施形態における構成では、
図12(b)に示すように、フレームスペーサ103をフレームレール101の規制部102付近に配置する。これにより、トレイの姿勢にかかわらずフレームスペーサ103でクリアランスが保証されるため、装置本体1からトレイ2の取り外しが可能になる。
【0032】
以上の動作により、本実施形態のシート給送装置は、シート収納トレイ側に持つストッ
パ部材とスペーサ部材を同一の部品(ストッパ部材205)で構成することができるため、装置のコスト低減を行うことができる。また、シート収納トレイ2をシート給送装置本体1から取り外す際のスライド位置規制解除をストッパ部材205の操作で行えるため、シート収納トレイ2を持ち上げることなく着脱が可能になるため着脱性が向上する。
【0033】
[第2の実施形態]
画像形成装置本体に装着される第2の実施形態に係るシート給送装置について説明する。なお、第1の実施形態と同じ機能のものに関しては説明を適宜省略する。
【0034】
第2の実施形態に係るシート収納トレイ3(以下、トレイ3と表記する。)について、
図13、
図14を用いて説明する。
図13は、トレイ3単体の斜視図である。トレイ3は、シートを収納するためのトレイフレーム301と、シートを積載するための不図示のシート積載板とを有する。トレイフレーム301は、装置本体1からトレイ3を引き出すためのハンドル部302を有するカバー303が取り付けられている。トレイフレーム301の両側面には、フレームレール101と係合して装置本体1に対してトレイ3をスライド可能に出し入れし、かつ装置本体1に対してトレイ3の上下位置を決めるためのトレイレール304が設けられる。
【0035】
トレイレール304には、トレイ3を引き出す際のX方向のスライドを規制するためのストッパ部材305が設けられている。また、ユーザーが任意にトレイ3のスライド規制を解除し、装置本体1からトレイ3を着脱可能にするための操作部310が設けられている。
【0036】
次に、
図14を用いてストッパ部材305の動作について説明を行う。
図14は、
図13に示すトレイレール304を上部から見た場合のC-C断面図である。トレイレール304に設けられているストッパ部材305は、フレームレール101に設けられる規制部102(
図3参照)と係合することで、トレイ3のスライド位置を規制する。また、ストッパ部材305は、スライド溝306とトレイレール304に設けられるスライドガイド307によってスライド可能に取り付けられており、バネ308によって対向するフレームレール101側に付勢されている。
【0037】
ストッパ部材305は、トレイ3がスライド中にフレームレール101と接触する接触部305aと、フレームレール101にある規制部102と係合し、トレイ3のスライドを規制するストッパ部305bと、が設けられている。ストッパ部材305の一定以上のスライドを規制するためのスライド規制部309は、トレイフレーム301に突き当たることで、ストッパ部材305のスライド量を規定している。
【0038】
次に本実施形態におけるストッパ部材305の動作に関して、
図15~
図19を用いて詳細に説明を行う。
図15(a)は、スライド途中の状態のトレイ3を上部から見た断面図、
図15(b)は、
図15(a)の領域D’のストッパ部材305近傍の詳細図、
図15(c)は、
図15(b)の領域E’の詳細図である。
【0039】
図16(a)は、トレイ3がガタ分よった状態にあるスライド途中のフレームスペーサ103近傍の詳細図、
図16(b)は、トレイ3がガタ分よった状態にあるスライド途中のストッパ部材205近傍の詳細図、
図16(c)は、
図16(b)の領域E’の詳細図である。
図17(a)は、スライド規制位置にあるトレイ3を上部から見たときの断面図、
図17(b)は、
図17(a)に示す領域F’の詳細図である。
【0040】
図18(a)は、ユーザー操作によりスライド規制状態を解除している状態の断面図、
図18(b)は、
図18(a)に示す領域G’の詳細図、
図18(c)は、
図18(a)
に示す領域H’の詳細図である。なお、
図18(a)~
図18(c)では、トレイ3が装置本体1に対して中心に位置する状態である。
図19(a)は、ユーザー操作によりスライド規制状態を解除している状態の断面図、
図19(b)は、
図19(a)に示す領域I’の詳細図である。なお、
図19(a)、
図19(b)では、トレイ3が装置本体1に対して片側によってフレームスペーサ103とトレイレール304が接触している状態である。
【0041】
図15(a)に示すように、トレイ3がスライドされている状態にあるとき、
図15(b)に示すように、ストッパ部材305は弾性部材としてのバネ308によってフレームレール101に付勢されている。つまり、ストッパ部材305の接触部305aは、フレームレール101に接触した状態である。ただし、
図15(c)に示すように、ストッパ部材305のスライド規制部309とトレイフレーム301との間にはクリアランスD’3が形成されている状態である。
【0042】
次に、
図16を用いてトレイ3がクリアランスD2分製品幅方向Yに移動した状態について説明する。装置前側においては、
図16(a)に示すようにフレームスペーサ103とトレイレール304が接触し、トレイ3の製品幅方向Yの位置が規制される。一方、装置後側においては、
図16(b)、
図16(c)に示すように、ストッパ部材305にバネ308による付勢力以上の力が加わった場合、ストッパ部材305がクリアランスD’3分スライドし(
図15(c)参照)、スライド規制部309がトレイフレーム301に突き当たる。このとき、ストッパ部材305の接触部305aは、トレイレール304からD’4分突出した状態になっている。
【0043】
これにより、トレイレール304がフレームレール101に接触することなくストッパ部材305によって製品幅方向Yの位置が決められるため、ストッパ部材305がスペーサ部材の役割を果たす。このとき、接触部305aのトレイレール304からの突出量D’4はD1≧D’4に設定されている。
【0044】
図17(a)に示されるように、トレイ3が引き出され、スライド状態からスライド規制位置まで移動した場合、トレイ3に設けられたストッパ部材305は
図17(b)に示されるように、バネ308による付勢力によってトレイフレーム301側に設けられた規制部102へスライド移動する。これにより、規制部102とストッパ部305bが係合し、トレイ3の引き出し方向(スライド方向X)へのスライドが規制される。
【0045】
図18(a)に示すように、スライド規制状態(
図17参照)にあるトレイ3を装置本体1から取り外すために、ストッパ部材305が解除位置にくるようにストッパ部材305を操作する場合、ユーザーはストッパ部材305にある操作部310を操作する。該操作は、具体的には、本実施形態では操作部310を押し込む操作となる。ストッパ部材305を付勢しているバネ圧力以上の力で操作部310が操作された場合、ストッパ部材305はY方向にスライド移動し、
図18(c)に示すように、スライド規制部309がトレイフレーム301に突き当たるまで操作される。
図18の状態にある場合、ストッパ部材305のストッパ部305bとフレームレール101の間には、
図18(b)に示すようにD2+D1-D’4≧0のクリアランスがある。そのため、スライド規制を解除することができ、トレイ3をスライド方向Xにスライドさせることで装置本体1からトレイ3を取り外し可能になる。
【0046】
実際には、
図19(a)に示すように、フレームスペーサ103がトレイレール304に接触している状態での取り外しが行われることがある。突出量D1と突出量D4’は極力同程度の値にすることで、装置本体1とトレイ3のガタつきを低減することができる。フレームスペーサ103と規制部102が離れて配置されている場合、トレイ3がフレー
ムスペーサ103を中心に回転してしまい、フレームスペーサ103から離れた距離にある規制部102近傍のトレイレール304とのクリアランスは突出量D1より小さくなってしまう。
【0047】
そのため、本実施形態における構成では、
図12(b)に示すように、フレームスペーサ103をフレームレール101の規制部102付近に配置する。これにより、トレイの姿勢にかかわらずフレームスペーサ103でクリアランスが保証されるため、装置本体1からトレイ3の取り外しが可能になる。
【0048】
以上の動作により、本実施形態のシート給送装置は、シート収納トレイ側に持つストッパ部材とスペーサ部材を同一の部品(ストッパ部材305)で構成することができるため、装置のコスト低減を行うことができる。また、シート収納トレイ3をシート給送装置本体1から取り外す際のスライド位置規制解除をストッパ部材305の操作で行えるため、シート収納トレイ3を持ち上げることなく着脱が可能になるため着脱性が向上する。
【0049】
以下に、上述の実施形態に記載のシート給送装置の例を列挙する。なお、本発明を実施するに当たり、上記で示した各実施形態に記載の構成や配置を、矛盾がない範囲において適宜選択して、組み合わせることは可能である。
【0050】
(1)本発明のある態様のシート給送装置100は、シートを積載するためのシート収納トレイ2(又はシート収納トレイ3)と、シート収納トレイ2がスライド可能に取り付けられる装置本体1と、シート収納トレイ2を装置本体1から引き出す際の位置を規制する規制機構と、を備える。規制機構は、装置本体1に設けられている係合部としての規制部102と、シート収納トレイ2に設けられ、規制部102と係合するストッパ部材205と、を有する。ストッパ部材205は、シート収納トレイ2がスライドするスライド方向Xと交差する交差方向(製品幅方向Y)に移動可能に構成され、装置本体1に対してシート収納トレイ2の製品幅方向Yの位置を決める。
【0051】
これにより、シート収納トレイ2を装置本体1から引き出す際の位置を規制しつつ、装置本体1に対してシート収納トレイ2の製品幅方向Yの位置を決めるストッパ部材205により、シート収納トレイ2を着脱できる。
【0052】
ストッパ部材205は、シート収納トレイ2を装置本体1から引き出す方向のスライドを規制するスライド規制位置(
図10(b)に示す位置)と、規制部102と係合する状態から退避しシート収納トレイ2を装置本体1から着脱可能にする退避位置(
図12(b)に示す位置)と、の間を移動できるように構成されている。これにより、ストッパ部材205を操作するだけで、簡易にシート収納トレイ2を装置本体1から取り外すことができる。
【0053】
ストッパ部材205は、スライド規制位置から退避位置へ向かう退避方向の移動量を規制する回動規制部210が設けられている。これにより、ストッパ部材205の移動量が大きすぎて他の部材と干渉することを防止できる。
【0054】
ストッパ部材205は、シート収納トレイ2が装置本体1から引き出されている状態での退避位置において、装置本体1に対するシート収納トレイ2の製品幅方向Yの位置を決めるように構成されていてもよい。これにより、シート収納トレイ2を装置本体1から引き出した状態でのガタつきを抑制できる。
【0055】
シート収納トレイ2は、装置本体1に収納された場合に装置本体1に対して位置を決めるためのフレーム位置決め部211を有している。フレーム位置決め部211は、ストッ
パ部材205と異なる部材である。これにより、シート収納トレイ2が装置本体1に収納された状態から引き出された状態までスライドする間に、装置本体1に対するシート収納トレイ2の位置決めを複数の部材で担うことができる。例えば、ストッパ部材205は、シート収納トレイ2が装置本体1に収納された場合に装置本体1に対して離れていてもよい。
【0056】
装置本体1は、装置本体1に対するシート収納トレイ2の製品幅方向Yの位置を規制する凸部としてのフレームスペーサ103を有している。フレームスペーサ103は、規制部102の近傍に設けられている。これにより、シート収納トレイ2がフレームスペーサ103を中心に回転しにくくなる。
【0057】
フレームスペーサ103は、ストッパ部材205よりもシート収納トレイ2を引き出す方向の側に設けられている。換言すると、ストッパ部材205は装置本体1の奥側、フレームスペーサ103は装置本体1の手前側に設けられている。
【0058】
シート給送装置100は、ストッパ部材205を装置本体1に対して製品幅方向Yへ付勢するためのバネ207を有している。これにより、ストッパ部材205を装置本体1に対して製品幅方向Yへ移動する力を簡易な構成で常に発生させることができる。
【0059】
装置本体1は、シート収納トレイ2を引き出す際にストッパ部材205が接するガイド部材としてのフレームレール101を有している。また、規制部102は、フレームレール101に形成された開口である。
【符号の説明】
【0060】
1…シート給送装置本体、2,3…シート収納トレイ、100…シート給送装置、101…フレームレール、102…規制部、103…フレームスペーサ、104…突き当て部、105…フレーム位置決め部、201…トレイフレーム、204…トレイレール、205…ストッパ部材、205a…接触部、205b…ストッパ部、206…ストッパシャフト、207…バネ、208…操作部、210…回動規制部、211…トレイ位置決め部