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  • 特許-皮膚外用剤組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】皮膚外用剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/891 20060101AFI20240813BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20240813BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240813BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/31
A61Q19/00
A61Q19/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020066249
(22)【出願日】2020-04-01
(65)【公開番号】P2021161085
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 将行
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 志洋
(72)【発明者】
【氏名】進邦 あゆみ
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-017317(JP,A)
【文献】特開2016-155786(JP,A)
【文献】特開2001-278729(JP,A)
【文献】特開平10-045536(JP,A)
【文献】特開2011-026263(JP,A)
【文献】特開2002-322043(JP,A)
【文献】特開2010-174099(JP,A)
【文献】特表2017-516591(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0004132(US,A1)
【文献】国際公開第2020/054827(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/067360(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/891
A61K 8/31
A61Q 19/00
A61Q 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)下記式(6)で表されるシリコーン変性ポリノルボルネン 0.1~30質量%、
【化1】
式中、e、fは繰り返し単位数であり、それぞれ独立に1以上の整数である。
(B)1気圧下、40℃、60%R.H.で30分乾燥後の揮発率が65%以上である揮発性油であって、少なくとも、(B1)イソドデカン 3~50質量%、及び、(B2)ヘキサメチルジシロキサン 15~95質量%を含む揮発性油
を含有する皮膚外用剤組成物。
【請求項2】
式(6)中、eとfの割合が、e/f=20/80~90/10(mol/mol)である請求項記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項3】
成分(B)の含有量が、30~99質量%である請求項1又は2記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項4】
成分(B1)及び(B2)の合計量に対する成分(B2)の質量割合(B2)/((B1)+(B2))が、0.3~0.98である請求項1~のいずれか1項記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項5】
成分(A)のポリマーの溶媒が、(B1)イソドデカンである請求項1~のいずれか1項記載の皮膚外用剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢によって人の皮膚にはシワが多くなる。これは皮膚の老化現象の一部であり、皮膚組織の変化、紫外線を浴びた影響など複数の因子に左右される。
従来、皮膚のシワを目立たなくするためのスキンケア商品などが検討されているが、その改善効果は極めて低く、シワの悩みを持つ女性の満足度は得られていなかった。
一方、化粧膜の均一性や化粧料の持ちを向上させることを目的として、膜形成性ポリマーを配合した化粧料が知られている。例えば、特許文献1には、ポリシクロオレフィン重合体の骨格に所定の官能基を導入した膜形成性ポリマーを含有する化粧料が、化粧もちや感触が良好であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-17317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、膜形成性ポリマーを含有する化粧料では、シワ改善効果が十分ではなく、塗布時ののびが重く、塗布しにくく、塗布後に違和感があるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、特定の膜形成性ポリマーに、特定の2種の揮発性油を組合わせて用いることにより、高い収縮性を維持して、シワを改善するとともに、塗布時ののびが良く、塗布しやすく、塗布後に違和感がない皮膚外用剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)ノルボルナン構造を含有するポリマー 0.1~30質量%、
(B)1気圧下、40℃、60%R.H.で30分乾燥後の揮発率が14%以上である揮発性油であって、少なくとも、(B1)揮発性炭化水素油、及び、(B2)揮発性シリコーン油を含む揮発性油
を含有する皮膚外用剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の皮膚外用剤組成物は、シワを改善することができるとともに、塗布時ののびが良く、塗布しやすく、塗布後に違和感がないものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例において、シワ改善効果を評価するときに、各皮膚外用剤組成物を塗布する形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<成分(A)>
本発明で用いる成分(A)は、ノルボルナン構造を含有するポリマーである。
成分(A)を含有する組成物をシワ周辺部の皮膚に塗布するなどして適用し、次いで乾燥させた際に、成分(A)を含む膜が収縮し、これとともに該膜に密着した皮膚表面が収縮する。この作用により、シワを生じている部分の皮膚が伸ばされるので、シワを目立たなくすることができる。また成分(A)は耐屈曲性にも優れることから、成分(A)を含む膜はひび割れを起こしにくく、かつ、皮膚形状に追従した状態で収縮しやすい。そのため、成分(A)を含む膜が収縮する際にも、該膜と皮膚表面との十分な密着性を得ることができる。
【0010】
本発明においてノルボルナン構造とは、下記式で示される構造を意味する。成分(A)は、ポリマー中の任意の部位に該式で示される構造を有していればよい。
【0011】
【化1】
【0012】
成分(A)は分子中に上記ノルボルナン構造を有するポリマーであれば特に制限はないが、前述の作用機構により皮膚のシワを伸ばして目立たなくさせ、十分なシワ改善効果を得る観点(以下、「皮膚のシワ改善効果」ともいう)から、成分(A)はノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーであることが更に好ましい。
【0013】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーとしては、下記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位を有するポリマーが挙げられる。
【0014】
【化2】
【0015】
式中、R1はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下のアルキル基であり、Xは下記式(i)で表される基である。aは1以上3以下の整数であり、bは0以上2以下の整数である。
【0016】
【化3】
【0017】
式中、R2はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、cは1以上5以下の整数である。
【0018】
【化4】
【0019】
式中、R1、R2及びbは前記と同じであり、dは2以上5以下の整数である。
【0020】
前記一般式(1)中、R1はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下のアルキル基であり、皮膚のシワ改善効果及び汎用性の観点から、メチル基、エチル基、n-プロピル基、ブチル基、又はペンチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
Xは前記式(i)で表される基であり、式(i)中、R2はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下の炭化水素基である。皮膚のシワ改善効果の観点及び汎用性の観点から、R2は好ましくは炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上12以下のアリール基であり、より好ましくは炭素数1以上12以下のアルキル基又はフェニル基、更に好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基、より更に好ましくはメチル基である。cは1以上5以下の整数であり、汎用性の観点から、c=1が好ましい。すなわちXは、好ましくはトリメチルシロキシ基である。
aは1以上3以下の整数であり、例えばa=2の繰り返し単位とa=3の繰り返し単位が混合して存在する重合体であってよい。汎用性の観点から、aは3であることが好ましい。bは0以上2以下の整数であり、同様の観点から、好ましくは0、1又はこれらの組み合わせであり、0がより好ましい。
【0021】
前記一般式(2)中、R1、R2及びbは前記と同じである。dは2以上5以下の整数であり、汎用性の観点から、d=2が好ましい。一般式(2)における環状シリコーン構造は、同様の観点から、R1及びR2がメチル基であり、dが2又は3であることが好ましい。すなわち一般式(2)における環状シリコーン構造は、好ましくは下記式(4)又は(5)で示される構造である。
【0022】
【化5】
【0023】
皮膚のシワ改善効果の観点から、ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー中の前記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位の割合は、該ポリマー中の全繰り返し単位数のうち、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上である。また、上限は100%であり、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下、更に好ましくは70%以下である。ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー中の前記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位数の具体的範囲は、該ポリマー中の全繰り返し単位数のうち、好ましくは10~100%、より好ましくは10~95%、更に好ましくは30~90%、より更に好ましくは50~70%である。
【0024】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーは、前記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位に加えて、下記一般式(3)で表される繰り返し単位を有してもよい。
【0025】
【化6】
【0026】
式中、R3~R6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上10以下の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基及びハロゲン化炭化水素基から選ばれる置換基、又は、オキセタニル基、アルコキシカルボニル基、ポリオキシアルキレン基、ポリグリセリル基、又はアルコキシシリル基である。R3~R6から選ばれる2つの基は、互いに結合して脂環構造、芳香環構造、カルボイミド基又は酸無水物基を形成していてもよい。bは前記と同じである。
【0027】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー中の上記一般式(3)で表される繰り返し単位の割合は、皮膚のシワ改善効果の観点から該ポリマー中の全繰り返し単位数のうち、好ましくは90%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは50%以下である。また上記一般式(3)で表される繰り返し単位を含む場合、その割合は、該ポリマー中の全繰り返し単位数のうち、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは30%以上である。ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー中の前記一般式(3)で表される繰り返し単位数の具体的範囲は、該ポリマー中の全繰り返し単位数のうち、好ましくは5~90%、より好ましくは10~70%、更に好ましくは30~50%である。
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー中の上記一般式(1)~(3)で表される繰り返し単位の割合は、1H-NMR測定により求めることができる。
【0028】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーとしては、シリコーン変性ポリノルボルネンが好ましく、より好ましくは下記式(6)で表されるシリコーン変性ポリノルボルネンである。
【0029】
【化7】
【0030】
式中、e、fは繰り返し単位数であり、それぞれ独立に1以上の整数である。
皮膚のシワ改善効果の観点から、一般式(6)中のeとfの割合は、好ましくはe/f=20/80~90/10(mol/mol)、より好ましくは30/70~80/20(mol/mol)であり、更に好ましくは50/50~70/30(mol/mol)である。
【0031】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーの数平均分子量Mnは、収縮性と耐屈曲性とを両立する観点及び皮膚のシワ改善効果の観点から、好ましくは5万以上、より好ましくは10万以上、更に好ましくは20万以上であり、好ましくは200万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは80万以下、より更に好ましくは60万以下である。ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーの数平均分子量Mnの具体的範囲は、好ましくは5万~200万、より好ましくは10万~150万、更に好ましくは20万~80万、より更に好ましくは20万~60万である。
当該ポリマーの数平均分子量Mnは、ポリスチレンを標準物質としたゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)法により測定でき、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
【0032】
成分(A)は、例えば、ノルボルナン構造を含有するか又はノルボルナン構造を形成し得る環状オレフィンモノマーを公知の方法で付加重合させて得られる。
例えば、成分(A)が前記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位を有するノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーであれば、下記一般式(1a)又は(2a)で表される環状オレフィンモノマーを付加重合させて得ることができる。さらに、下記一般式(3a)で表される環状オレフィンモノマーを共重合させてもよい。
【0033】
【化8】
【0034】
式中、R1はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下のアルキル基であり、Xは下記式(i)で表される基である。aは1以上3以下の整数であり、bは0以上2以下の整数である。
【0035】
【化9】
【0036】
式中、R2はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、cは1以上5以下の整数である。
【0037】
【化10】
【0038】
式中、R1、R2及びbは前記と同じであり、dは2以上5以下の整数である。
【0039】
【化11】
【0040】
式中、R3~R6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上10以下の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基及びハロゲン化炭化水素基から選ばれる置換基、又は、オキセタニル基、アルコキシカルボニル基、ポリオキシアルキレン基、ポリグリセリル基、又はアルコキシシリル基である。R3~R6から選ばれる2つの基は、互いに結合して脂環構造、芳香環構造、カルボイミド基又は酸無水物基を形成していてもよい。bは前記と同じである。
【0041】
上記一般式(3a)で表される環状オレフィンモノマーを共重合させる場合、その使用量は、皮膚のシワ改善効果の観点から、重合に使用する全モノマーを100モル%として、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下、更に好ましくは50モル%以下であり、また、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは30モル%以上である。
【0042】
前記式(6)で表されるシリコーン変性ポリノルボルネンは、下記式(6a)で表されるトリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネンと、ノルボルネンとを付加重合させて得ることができる。
【0043】
【化12】
【0044】
皮膚のシワ改善効果の観点から、トリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネンと、ノルボルネンとの共重合比は、好ましくは20/80~90/10(mol/mol)、より好ましくは30/70~80/20(mol/mol)であり、更に好ましくは50/50~70/30(mol/mol)である。
【0045】
なお、前記一般式(1)~(3)、及び前記式(6)において示される繰り返し単位は、いずれも原料モノマーである環状オレフィンモノマーの2,3-付加構造単位を示すものであるが、該環状オレフィンモノマーの付加重合による2,7-付加構造単位となっているものが含まれていてもよい。
【0046】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーとしては、ノルボルネン/トリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネン)コポリマーが好ましく、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第16版,第2巻,2016年,p.2274):NORBORNENE/TRIS(TRIMETHYLSILOXY)SILYLNORBORNENE COPOLYMERで表記される化合物である。
市販のノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーとしては、信越化学工業(株)製「NBN-30-ID」(ノルボルネン/トリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネン)コポリマーのイソドデカン溶液)等が挙げられる。
【0047】
成分(A)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、固形分の含有量は、皮膚のシワ改善効果の観点から、全組成中に0.1質量%以上であり、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、4質量%以上がさらに好ましく、30質量%以下であり、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、18質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A)の固形分の含有量は、全組成中に0.1~30質量%であり、1~25質量%が好ましく、3~20質量%がより好ましく、4~18質量%がさらに好ましい。
【0048】
<成分(B)>
本発明で用いる成分(B)は、1気圧下、40℃、60%R.H.で30分乾燥後の揮発率が14%以上である揮発性油である。成分(B)を含有させると、成分(A)を含有する組成物の乾燥速度が向上することにより乾燥過程での成分(A)の収縮が加速して、皮膚のシワを伸ばして目立たなくする効果がより向上する。
上記効果を得る観点から、成分(B)は、1気圧下、40℃、60%R.H.で30分乾燥後の揮発率が、好ましくは18%以上、より好ましくは25%以上、更に好ましくは30%以上、より更に好ましくは45%以上、より更に好ましくは65%以上、より更に好ましくは80%以上、より更に好ましくは95%以上である。また、上限は100%である。
成分(B)の揮発率は、試料0.5gを直径40mmのガラス製シャーレに入れ、1気圧下、60%R.H.の環境下で、40℃にて30分静置して乾燥させて、乾燥前の試料質量をW0(g)、乾燥後の試料質量をW1(g)とし、{(W0-W1)/W0}×100の値として求める。この値が大きいほど揮発速度が速く、乾燥しやすいことを意味する。
なお、成分(B)として2種以上の揮発性油を用いてもよい。
上記揮発率は、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
【0049】
成分(B)は、皮膚のシワ改善効果を高める観点から、揮発率が上記範囲となる揮発性油であって、少なくとも、(B1)揮発性炭化水素油及び(B2)揮発性シリコーン油を含むものである。
(B1)揮発性炭化水素油としては、イソドデカン(揮発率33%)等が挙げられる。
成分(B1)の揮発性炭化水素油は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、皮膚のシワを改善する観点から、全組成中に0.1質量%以上であるのが好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましく、3質量%以上がより更に好ましく、6質量%以上がより更に好ましく、98質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましく、40質量%以下がより更に好ましく、35質量%以下がより更に好ましい。また、成分(B1)の含有量は、全組成中に0.1~98質量%であるのが好ましく、1~70質量%がより好ましく、2~50質量%が更に好ましく、3~40質量%がより更に好ましく、6~35質量%がより更に好ましい。
なお、本発明において、成分(A)のポリマーの溶媒として、成分(B1)の揮発性炭化水素油を用いるのが好ましい。
【0050】
また、(B2)揮発性シリコーン油としては、ヘキサメチルジシロキサン(揮発率100%)、メチルトリメチコン、25℃における動粘度が2cSt以下のジメチルポリシロキサン等が挙げられ、ヘキサメチルジシロキサン、メチルトリメチコン及びオクタメチルジメチルポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。なお当該動粘度は、例えばウベローデ粘度計を用いて測定できる。
皮膚のシワ改善効果を高める観点から、成分(B2)は、より好ましくは、ヘキサメチルジシロキサン、及び、25℃における動粘度が1.5cSt以下のジメチルポリシロキサンからなる群から選ばれる1種以上であり、更に好ましくは、ヘキサメチルジシロキサン、及び、25℃における動粘度が1cSt以下のジメチルポリシロキサンからなる群から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくは、ヘキサメチルジシロキサンである。
【0051】
ヘキサメチルジシロキサン、及び、25℃における動粘度が2cSt以下のジメチルポリシロキサンの市販品としては、信越化学工業社製の「KF-96L-0.65cs」(ヘキサメチルジシロキサン)、「TMF-1.5」、「KF-96L-1cs」(オクタメチルトリシロキサン)、「KF-96L-1.5cs」、「KF-96L-2cs」、東レ・ダウコーニング社製の「SH200C Fluid 1cs」、「SH200C Fluid 1.5cs」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製の「TSF451-0.65」、旭化成ワッカーシリコーン社製の「BELSIL DM0.65」等が挙げられる。
【0052】
成分(B2)の揮発性シリコーン油は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、シワを改善することができるとともに、塗布時ののびが良く、塗布しやすく、塗布後、乾燥中の違和感を抑制する観点から、全組成中に0.5質量%以上であるのが好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、15質量%以上がより更に好ましく、50質量%以上がより更に好ましく、98質量%以下が好ましく、97質量%以下がより好ましく、96質量%以下が更に好ましく、95質量%以下がより更に好ましく、90質量%以下がより更に好ましい。また、成分(B2)の含有量は、全組成中に0.5~98質量%であるのが好ましく、5~97質量%がより好ましく、10~96質量%が更に好ましく、15~95質量%がより更に好ましく、50~90質量%がより更に好ましい。
【0053】
本発明において、成分(B1)及び(B2)の合計量に対する成分(B2)の質量割合(B2)/((B1)+(B2))は、シワを改善することができるとともに、塗布時ののびが良く、塗布しやすく、塗布後、乾燥中の違和感を抑制する観点から、0.3以上であるのが好ましく、0.5以上がより好ましく、0.6以上が更に好ましく、0.98以下が好ましく、0.95以下がより好ましく、0.9以下が更に好ましい。また、成分(B1)及び(B2)の合計量に対する成分(B2)の質量割合(B2)/((B1)+(B2))は、0.3~0.98であるのが好ましく、0.5~0.95がより好ましく、0.6~0.9が更に好ましい。
【0054】
成分(B)は、成分(B1)及び(B2)を含み、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、皮膚のシワ改善効果を高める観点から、全組成中に1質量%以上であるのが好ましく、15質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましく、50質量%以上がより更に好ましく、70質量%以上がより更に好ましく、99質量%以下が好ましく、98質量%以下がより好ましく、97質量%以下が更に好ましく、96質量%以下がより更に好ましく、95質量%以下がより更に好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に1~99質量%であるのが好ましく、15~98質量%がより好ましく、30~97質量%が更に好ましく、50~96質量%がより更に好ましく、70~95質量%がより更に好ましい。
【0055】
本発明において、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、皮膚のシワ改善効果の観点から、0.002以上であるのが好ましく、0.02以上がより好ましく、0.04以上が更に好ましく、0.05以上がより更に好ましく、1以下が好ましく、0.7以下がより好ましく、0.4以下が更に好ましく、0.2以下がより更に好ましい。また、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、0.002~1が好ましく、0.02~0.7がより好ましく、0.04~0.4が更に好ましく、0.05~0.2がより更に好ましい。
【0056】
<成分(C)>
本発明の皮膚外用剤組成物は、さらに、(C)界面活性剤を含有することができ、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤が好ましい。
成分(C)の界面活性剤としては、通常の皮膚外用剤に用いられるものであれば制限されないが、揮発性油に溶解し、べたつきを抑え、経時での塗膜の剥がれや白化を抑制する観点から、非イオン界面活性剤が好ましい。
非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロースエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、アルキルグリセリルエーテル変性シリコーン、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン、ポリオキシアルキレン・フルオロアルキル共変性シリコーン等が挙げられる。
【0057】
これらのうち、水並びに水溶性成分の油中への分散・溶解性を高める観点から、シリコーン界面活性剤が好ましく、アルキルグリセリルエーテル変性シリコーン、ポリオキシアルキレン変性シリコーンを1種又は2種以上含むことがより好ましく、ポリオキシアルキレン変性シリコーンを含むことがさらに好ましい。
ポリオキシアルキレン変性シリコーンとしては、例えば、東レ・ダウコーニング社製のSH3771M、SH3772M、SH3773M、SH3775M、SH3749、DC5200や、信越化学工業社製のKF-6011、KF-6012、KF-6013、KF-6015、KF-6016、KF6017、KF-6004等の市販品を用いることができる。
【0058】
非イオン界面活性剤は、水並びに水溶性成分の油中への分散・溶解性を高める観点から、HLB値が1以上、7以下であるのが好ましく、HLB値が2以上、6以下がより好ましい。
【0059】
ここで、HLB(親水性-親油性のバランス〈Hydrophilic-Lypophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、非イオン界面活性剤については、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。
2種以上の非イオン界面活性剤から構成される混合界面活性剤のHLBは、次のようにして求められる。混合界面活性剤のHLBは、各非イオン界面活性剤のHLB値をその配合比率に基づいて相加算平均したものである。
【0060】
混合HLB=Σ(HLBx×Wx)/ΣWx
HLBxは、非イオン界面活性剤XのHLB値を示す。
Wxは、HLBxの値を有する非イオン界面活性剤Xの重量(g)
【0061】
非イオン界面活性剤は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、揮発性油に溶解し、べたつきを抑える観点から、全組成中に30質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましく、3質量%以下がより更に好ましく、1質量%以下がより更に好ましい。
【0062】
<成分(D)>
本発明の皮膚外用剤組成物は、さらに、(D)不揮発性油を含有することができる。不揮発性とは、油剤1gを直径48mmのガラスシャーレに広げ、25℃、常圧で24時間放置後の質量減少率が1%以下のものをいう。
成分(D)の不揮発性油としては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも良く、液状、ペースト状、固形状のいずれでも良い。例えば、エステル油、炭化水素油、エーテル油、高級アルコール、シリコーン油、固形ワックス等が挙げられる。
【0063】
エステル油としては、例えば、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸トリシクロデカンメチル、ラウリン酸ヘキシル、リンゴ酸オクチルドデシル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソブチル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、リシノレイン酸オクチルドデシル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、炭酸プロピレン等のモノエステル油;コハク酸ジ2-へチルヘキシル、コハク酸ビスエトキシジグリコール、ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロパンジオール、ジイソノナン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸プロパンジオール、リンゴ酸ジイソステアリル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール等のジエステル油;トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ホホバ油、トリ2-ヘチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリメリト酸トリトリデシル、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、アボガド油、ヒマワリ油等のトリエステル油;テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット等が挙げられる。
【0064】
炭化水素油としては、例えば、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、ワセリン等が挙げられる。
エーテル油としては、例えば、セチルジメチルブチルエーテル、ジカプリリルエーテル等が挙げられる。
【0065】
高級アルコールとしては、炭素数10~24の直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニル基を有するものが挙げられ、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、オレイルアルコール等が挙げられる。
シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アクリル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。
【0066】
固形ワックスとしては、25℃において固体の油性成分で、例えば、キャンデリラロウ、ライスワックス、サンフラワーワックス、カルナウバロウ、木ロウ等の植物性ワックス;ミツロウ、鯨ロウ等の動物性ワックス;モンタンワックス、オゾケライト等の鉱物系ワックス;マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、セレシン等の石油系ワックス;硬化ひまし油、水素添加ホホバ油、12-ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、シリコーンワックス、フッ素系ワックス、ポリエチレンワックス、合成ミツロウ等の合成ワックス;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸等の脂肪酸;セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、水添ジリノレイルアルコール等の高級アルコールなどが挙げられる。
【0067】
成分(D)は、塗布時ののびが良く、塗布後の違和感がない観点から、エステル油、炭化水素油、シリコーン油を含むのが好ましく、なかでも25℃で液状の不揮発性油が好ましい。
【0068】
成分(D)としては、塗布時ののびが良く、塗布後の違和感がない観点から、少なくとも、(D1)エステル油を1種又は2種以上含むのが好ましく、モノエステル油、ジエステル油、トリエステル油がより好ましく、少なくともジエステル油を含むのが更に好ましく、25℃で液状のジエステル油がより更に好ましい。
【0069】
成分(D)は、1種又は2種以上を組合せて用いることができ、含有量は、塗布時ののびが良く、塗布後の違和感がない観点から、全組成中に0.001質量%以上であるのが好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましい。また、成分(D)の含有量は、全組成中に0.001~20質量%が好ましく、0.01~10質量%がより好ましく、0.1~2質量%が更に好ましい。
【0070】
<その他の成分>
本発明において、水の含有量は、皮膚のシワ改善効果を維持しつつ、べたつかない使用感を得る観点から、全組成中に50質量%以下であるのが好ましく、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、5質量%以下がより更に好ましく、1質量%以下がより更に好ましい。
【0071】
本発明の皮膚外用剤組成物は、前記の成分のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、通常使用される各種の成分を任意で使用することができる。これらの成分としては、例えば、前記以外の油性成分、粉体、水溶性高分子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ビタミン剤、防腐剤、pH調整剤、香料、植物エキス類、保湿剤、着色剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤等が挙げられる。
【0072】
本発明の皮膚外用剤組成物は、通常の方法により製造することができる、油性組成物、乳化組成物等のいずれの形態にも適用することができる。製剤としては、液状、乳液状、ペースト状、クリーム状、ジェル状、固形状、シート状等として適用することができる。
本発明の皮膚外用剤組成物は、化粧品、医薬部外品、医薬品用途として用いることができ、ローション、乳液、クリーム、美容液、分散液、ジェル、軟膏、パック、ムース、エアゾール、パップ剤、洗浄料等のスキンケア化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料;化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料などとして適用することができる。
皮膚外用剤組成物を収容する容器としては、ボトル、ジャー、チューブ、ポンプ、シリンジ容器、ミスト容器、ピロー容器等が挙げられる。
【0073】
上述した実施形態に関し、本発明は、更に以下の組成物を開示する。
【0074】
<1>次の成分(A)及び(B):
(A)ノルボルナン構造を含有するポリマー 0.1~30質量%、
(B)1気圧下、40℃、60%R.H.で30分乾燥後の揮発率が14%以上である揮発性油であって、少なくとも、(B1)揮発性炭化水素油、及び、(B2)揮発性シリコーン油を含む揮発性油
を含有する皮膚外用剤組成物。
【0075】
<2>成分(A)が、好ましくは、ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーであって、下記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位を有するポリマーがより好ましい、前記<1>記載の皮膚外用剤組成物。
【0076】
【化13】
【0077】
式中、R1はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下のアルキル基であり、Xは下記式(i)で表される基である。aは1以上3以下の整数であり、bは0以上2以下の整数である。
【0078】
【化14】
【0079】
式中、R2はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、cは1以上5以下の整数である。
【0080】
【化15】
【0081】
式中、R1、R2及びbは前記と同じであり、dは2以上5以下の整数である。
【0082】
<3>成分(A)が、好ましくは、下記式(6)で表されるシリコーン変性ポリノルボルネンであって、ノルボルネン/トリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネン)コポリマーがより好ましい、前記<1>又は<2>記載の皮膚外用剤組成物。
【0083】
【化16】
【0084】
式中、e、fは繰り返し単位数であり、それぞれ独立に1以上の整数である。
【0085】
<4>成分(A)において、式(6)中、eとfの割合が、好ましくはe/f=20/80~90/10(mol/mol)であって、30/70~80/20(mol/mol)がより好ましく、50/50~70/30(mol/mol)が更に好ましい、前記<3>記載の皮膚外用剤組成物。
<5>成分(A)の含有量が、好ましくは、全組成中に1質量%以上であって、3質量%以上がより好ましく、4質量%以上が更に好ましく、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、18質量%以下が更に好ましい、前記<1>~<4>のいずれか1記載の皮膚外用剤組成物。
【0086】
<6>成分(B)において、1気圧下、40℃、60%R.H.で30分乾燥後の揮発率が、好ましくは18%以上であって、25%以上がより好ましく、30%以上が更に好ましく、45%以上がより更に好ましく、65%以上がより更に好ましく、80%以上がより更に好ましく、95%以上がより更に好ましい、前記<1>~<5>のいずれか1記載の皮膚外用剤組成物。
<7>成分(B1)が、好ましくは、イソドデカンである、前記<1>~<6>のいずれか1記載の皮膚外用剤組成物。
<8>成分(B1)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.1質量%以上であって、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましく、3質量%以上がより更に好ましく、6質量%以上がより更に好ましく、98質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましく、40質量%以下がより更に好ましく、35質量%以下がより更に好ましい、前記<1>~<7>のいずれか1記載の皮膚外用剤組成物。
<9>成分(A)のポリマーの溶媒として、成分(B1)の揮発性炭化水素油を用いるのが好ましい、前記<1>~<8>のいずれか1記載の皮膚外用剤組成物。
【0087】
<10>成分(B1)が、好ましくは、ヘキサメチルジシロキサン、メチルトリメチコン、25℃における動粘度が2cSt以下のジメチルポリシロキサンからなる群から選ばれる1種以上であって、ヘキサメチルジシロキサン、及び、25℃における動粘度が1.5cSt以下のジメチルポリシロキサンからなる群から選ばれる1種以上でがより好ましく、ヘキサメチルジシロキサン、及び、25℃における動粘度が1cSt以下のジメチルポリシロキサンからなる群から選ばれる1種以上が更に好ましく、ヘキサメチルジシロキサンがより更に好ましい、前記<1>~<9>のいずれか1記載の皮膚外用剤組成物。
<11>成分(B2)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.5質量%以上であって、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、15質量%以上がより更に好ましく、50質量%以上がより更に好ましく、98質量%以下が好ましく、97質量%以下がより好ましく、96質量%以下が更に好ましく、95質量%以下がより更に好ましく、90質量%以下がより更に好ましい、前記<1>~<10>のいずれか1記載の皮膚外用剤組成物。
【0088】
<12>成分(B1)及び(B2)の合計量に対する成分(B2)の質量割合(B2)/((B1)+(B2))が、好ましくは、0.3以上であって、0.5以上がより好ましく、0.6以上が更に好ましく、0.98以下が好ましく、0.95以下がより好ましく、0.9以下が更に好ましい、前記<1>~<11>のいずれか1記載の皮膚外用剤組成物。
<13>成分(B)の含有量が、好ましくは、全組成中に1質量%以上であって、15質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましく、50質量%以上がより更に好ましく、70質量%以上がより更に好ましく、99質量%以下が好ましく、98質量%以下がより好ましく、97質量%以下が更に好ましく、96質量%以下がより更に好ましく、95質量%以下がより更に好ましい、前記<1>~<12>のいずれか1記載の皮膚外用剤組成物。
<14>成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)が、好ましくは、0.002以上であって、0.02以上がより好ましく、0.04以上が更に好ましく、0.05以上がより更に好ましく、1以下が好ましく、0.7以下がより好ましく、0.4以下が更に好ましく、0.2以下がより更に好ましい、前記<1>~<13>のいずれか1記載の皮膚外用剤組成物。
【0089】
<15>次の成分(A)及び(B):
(A)ノルボルナン構造を含有シリコーン変性ポリマー 0.1~30質量%、
(B)1気圧下、40℃、60%R.H.で30分乾燥後の揮発率が14%以上である揮発性油であって、少なくとも、(B1)揮発性炭化水素油、及び、(B2)揮発性シリコーン油を含む揮発性油 0.1~99質量%
を含有する皮膚外用剤組成物。
<16>次の成分(A)及び(B):
(A)ノルボルナン構造を含有シリコーン変性ポリマー 0.1~30質量%、
(B)1気圧下、40℃、60%R.H.で30分乾燥後の揮発率が14%以上である揮発性油であって、少なくとも、(B1)揮発性炭化水素油、及び、(B2)揮発性シリコーン油を含み、成分(B1)及び(B2)の合計量に対する成分(B2)の質量割合(B2)/((B1)+(B2))が、0.3~0.98である揮発性油 0.1~99質量%
を含有する皮膚外用剤組成物。
【0090】
<17>次の成分(A)及び(B):
(A)ノルボルナン構造を含有シリコーン変性ポリマー 0.1~30質量%、
(B)1気圧下、40℃、60%R.H.で30分乾燥後の揮発率が14%以上である揮発性油であって、少なくとも、(B1)イソドデカン、及び、(B2)ヘキサメチルジシロキサン、メチルトリメチコン及びオクタメチルジメチルポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上を含む揮発性油 0.1~99質量%
を含有する皮膚外用剤組成物。
【0091】
<18>さらに、界面活性剤を含有するのが好ましく、非イオン界面活性剤がより好ましく、HLB1~7の非イオン界面活性剤が更に好ましい、前記<1>~<17>のいずれか1記載の皮膚外用剤組成物。
<19>非イオン界面活性剤の含有量が、好ましくは、全組成中に30質量%以下であって、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましく、3質量%以下がより更に好ましく、1質量%以下がより更に好ましい、前記<18>記載の皮膚外用剤組成物。
【0092】
<20>さらに、不揮発性油を含有するのが好ましく、エステル油、炭化水素油、シリコーンから選ばれる1種以上を含むのがより好ましく、少なくとも、エステル油を含むのが更に好ましく、少なくともジエステル油を含むのがより更に好ましい、前記<1>~<19>のいずれか1記載の皮膚外用剤組成物。
<21>不揮発性油の含有量が、好ましくは、全組成中に0.001質量%以上であって、0.01質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましい、前記<20>記載の皮膚外用剤組成物。
<22>水の含有量が、好ましくは、全組成中に50質量%以下であって、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、5質量%以下がより更に好ましく、1質量%以下がより更に好ましい、前記<1>~<21>のいずれか1記載の皮膚外用剤組成物。
【実施例
【0093】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。なお本実施例において、各種測定及び評価は以下の方法により行った。
また、実施例4及び5は参考例である。
【0094】
(揮発率)
試料0.5gを直径40mmのガラス製シャーレに入れ、1気圧下、60%R.H.の環境下で、40℃に設定したホットプレート上に30分静置して乾燥させた。乾燥前の試料質量をW0(g)、乾燥後の試料質量をW1(g)とし、{(W0-W1)/W0}×100の値を揮発率(%)とした。この値が大きいほど揮発速度が速く、乾燥しやすいことを意味する。
【0095】
(シワ改善効果)
専門パネラー5名により、図1に示す形態で、顔の半面の口元のほうれい線を挟むように各組成物0.2gを指で塗布した。室温(25℃)で10分乾燥させた後、シワ善効果を、以下の基準で官能評価した。結果は、5名の合計点で示した。
5:シワがかなり薄くなった。
4:シワが薄くなった。
3:シワがやや薄くなった。
2:シワが残ってあまり変わらない。
1:変化なし。
【0096】
(塗布時ののび)
専門パネラー5名により、各組成物を肌に塗布したとき、塗布時ののびについて、以下の基準で官能評価した。結果は、5名の合計点で示した。
5;のびが非常に良い。
4;のびが良い。
3;のびがやや良い。
2;のびがやや重い。
1;のびが重い。
【0097】
(ハンドリング)
専門パネラー5名により、各組成物を肌に塗布したときのハンドリング(塗布しやすさ)について、以下の基準で官能評価した。結果は、5名の合計点で示した。
5;非常にハンドリングしやすい。
4;ハンドリングしやすい。
3;ややハンドリングしやすい。
2;ハンドリングしにくい。
1;非常にハンドリングしにくい。
【0098】
(塗布後の違和感のなさ)
専門パネラー5名により、各組成物を肌に塗布して乾燥した後、違和感のなさを、以下の基準で官能評価した。結果は、5名の合計点で示した。
5;違和感が全くない。
4;違和感がほとんどない。
3;違和感がややある。
2;違和感がある。
1;違和感がかなりある。
【0099】
実施例1~6、比較例1~2
表1に示す組成の皮膚外用剤組成物を製造し、シワ改善効果、塗布時ののび、ハンドリング、塗布後の違和感のなさを評価した。結果を表1に併せて示す。
【0100】
(製造方法)
成分(A)、(B)、その他成分を混合した油相成分をディスパーで分散後、ホモミキサーで撹拌することにより、皮膚外用剤組成物を得た。
【0101】
【表1】
【0102】
表1中、*1~*8は下記のとおりである。
*1:信越化学工業社製「NBN-30-ID」(下記式(6)においてe/f=60/40(mol/mol)、Mn=36万のノルボルネン/トリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネン)コポリマーのイソドデカン溶液、有効分濃度:30質量%)
【0103】
【化17】
【0104】
*2:*1の信越化学工業社製「NBN-30-ID」を50℃で24時間減圧乾燥し、固形分を得た。得られた固形分とデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)(信越化学工業社製「KF-995」)を常温で攪拌し、均一溶液を得た。固形分の割合は、30%とした。
*3:*1の信越化学工業社製「NBN-30-ID」を50℃で24時間減圧乾燥し、得られた固形分を使用した。
*4:丸善石油化学社製「マルカゾールR」
*5:信越化学工業社製「KF-96L-0.65cs」
*6:信越化学工業社製「KF-96L-1cs」
*7:信越化学工業社製「TMF-1.5」
*8:信越化学工業社製「KF-995」
【0105】
実施例7及び8
実施例1~6と同様にして、表2に示す組成の皮膚外用剤組成物を製造した。
得られた皮膚外用剤組成物はいずれも、シワ改善効果に優れるとともに、塗布時ののびが良く、塗布しやすく、塗布後に違和感がない。
【0106】
【表2】
【0107】
実施例9
表1に示す実施例1の組成の皮膚外用剤組成物(液状)を製造し、ミスト容器に充填した。このミスト容器から、顔のほうれい線及びその周辺部位に皮膚外用組成物を噴霧した。その結果、シワ改善効果に優れるとともに、塗布時ののびが良く、塗布しやすく、塗布後に違和感がない。
図1