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特許7536492シート排出装置、シート処理装置及び画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】シート排出装置、シート処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/10 20060101AFI20240813BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
B65H31/10
G03G15/00 460
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020066671
(22)【出願日】2020-04-02
(65)【公開番号】P2021160912
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 春紀
(72)【発明者】
【氏名】青野 和彦
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-206259(JP,A)
【文献】特開2001-026359(JP,A)
【文献】特開2010-111511(JP,A)
【文献】特開2003-341909(JP,A)
【文献】特開2004-123290(JP,A)
【文献】特開2009-001421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00-31/40
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを排出する排出手段と、
前記排出手段により排出されたシートが積載される積載部と、
前記積載部を昇降させる昇降手段と、
前記積載部に積載されたシートの、前記排出手段のシート排出方向における後端と当接可能であり、前記昇降手段が前記積載部を昇降させる際に前記積載部と共に移動しない第1当接部材と、
前記積載部に積載されたシートの前記後端と当接可能であり、前記第1当接部材に対して移動可能な第2当接部材と、を備え、
前記第2当接部材は、前記積載部が第1位置から前記第1位置より下方の第2位置を通過して下降する場合に、前記積載部が前記第2位置を通過するまでは前記積載部に追従せず、前記積載部が前記第2位置を通過すると前記積載部に追従して移動し、
前記第2当接部材が前記積載部に積載されたシートの前記後端と接触する接触部の少なくとも一部は、前記第1当接部材が前記積載部に積載されたシートの前記後端と接触した場合の接触部に比べて、前記シート排出方向の下流に突出している、
ことを特徴とするシート排出装置。
【請求項2】
前記第2当接部材を上方側に付勢する付勢手段と、
前記第2当接部材を位置決めするための位置決め部と、をさらに備え、
前記積載部が前記第2位置より上方に位置する場合、前記第2当接部材が前記位置決め部と当接することで所定位置に位置決めされ、
前記積載部が前記第2位置より下方に位置する場合、前記積載部に設けられた係合部が前記第2当接部材に設けられた被係合部に係合した状態で、前記第2当接部材が前記所定位置より下方で前記積載部に追従して移動する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項3】
前記被係合部は、前記積載部の昇降方向と交差する方向に突出した突起であり、
前記係合部は、前記突起の上面に当接し、前記積載部の下降に伴って前記第2当接部材を下方に押圧する、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート排出装置。
【請求項4】
前記第2当接部材は、前記第1当接部材によりスライド可能に支持されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項5】
前記第1当接部材は、前記シート排出方向の下流側から見て前記積載部の昇降方向に沿った直線状に延びるスライド方向に沿って前記第2当接部材を案内する第1案内部を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載のシート排出装置。
【請求項6】
前記第1当接部材は、前記シート排出方向の下流側から見て曲線状に延びるスライド方向に沿って前記第2当接部材を案内する第2案内部を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載のシート排出装置。
【請求項7】
記シート排出方向及び前記積載部の昇降方向の双方に交差する方向に並んで設けられた複数の前記第2当接部材を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項8】
前記積載部に積載されたシートの前記後端と当接可能であり、前記第1当接部材に対して移動可能な第3当接部材をさらに備え、
前記第3当接部材は、前記積載部が前記第1位置から前記第2位置より下方の第3位置を通過して下降する場合に、前記積載部が前記第3位置を通過するまでは前記積載部に追従せず、前記積載部が前記第3位置を通過すると前記積載部に追従して移動し、
前記積載部が前記第3位置にある状態で、前記第3当接部材は前記第2当接部材より上方の領域で前記積載部に積載されたシートの前記後端と当接可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項9】
前記第2当接部材が前記積載部に積載されたシートの前記後端と接触する接触部は、前記第3当接部材が前記積載部に積載されたシートの前記後端と接触する接触部に比べて、前記シート排出方向の下流に突出している、
ことを特徴とする請求項に記載のシート排出装置。
【請求項10】
前記第1当接部材は、前記積載部の昇降方向及び前記シート排出方向に交差する方向において前記第2当接部材とは異なる位置に設けられたリブであって、前記積載部の昇降方向に沿って延びるリブを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項11】
前記第1当接部材は、前記排出手段を支持する筐体の、前記シート排出方向における下流側の側面の少なくとも一部を構成している、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項12】
シートを処理する処理手段と、
前記処理手段により処理されたシート、及び、前記処理手段による処理を行わないシートの少なくとも一方を排出する請求項1乃至11のいずれか1項に記載のシート排出装置と、
を備えることを特徴とするシート処理装置。
【請求項13】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により画像形成されたシートを排出する請求項1乃至11のいずれか1項に記載のシート排出装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを排出するシート排出装置、シートに処理を施すシート処理装置、及びシートに画像を形成する画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置において、画像が形成されたシートを排出するシート排出装置において、シートが積載された状態で昇降可能なトレイ等の積載部が用いられている。積載部に対してシート排出方向の上流側に位置する部材(例えば、画像形成装置の筐体)には、積載部に排出されたシートの後端に当接してシート位置を規制するためのシート当接部が設けられている。
【0003】
シートが積載されている状態で積載部が昇降すると、シートの後端がシート当接部と擦れることで、異音やシート後端部のダメージといった問題が発生する可能性がある。特許文献1には、排出トレイに対してシート排出方向の上流側にシート後端と当接可能なベルト部材を配置した構成が記載されている。この文献によると、ベルト部材が排出トレイ上のシートに摩擦されることで、排出トレイの昇降に連動してベルト部材が回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-308507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記文献に記載の構成では、排出トレイの位置に関わらず、ベルト部材が排出トレイの昇降に連動する構成となっていた。
【0006】
本発明は、従来の技術をさらに発展させたものであり、シートの擦れによる問題の発生を低減可能な新たなシート排出装置、シート処理装置及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、シートを排出する排出手段と、前記排出手段により排出されたシートが積載される積載部と、前記積載部を昇降させる昇降手段と、前記積載部に積載されたシートの、前記排出手段のシート排出方向における後端と当接可能であり、前記昇降手段が前記積載部を昇降させる際に前記積載部と共に移動しない第1当接部材と、前記積載部に積載されたシートの前記後端と当接可能であり、前記第1当接部材に対して移動可能な第2当接部材と、を備え、前記第2当接部材は、前記積載部が第1位置から前記第1位置より下方の第2位置を通過して下降する場合に、前記積載部が前記第2位置を通過するまでは前記積載部に追従せず、前記積載部が前記第2位置を通過すると前記積載部に追従して移動し、前記第2当接部材が前記積載部に積載されたシートの前記後端と接触する接触部の少なくとも一部は、前記第1当接部材が前記積載部に積載されたシートの前記後端と接触した場合の接触部に比べて、前記シート排出方向の下流に突出している、ことを特徴とするシート排出装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シートの擦れによる問題の発生を低減可能な新たなシート排出装置、シート処理装置及び画像形成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1に係る画像形成システムの概略図。
図2】実施例1に係るシート排出部の斜視図(a)及び概略図(b)。
図3】実施例1に係るシート排出部の断面図(a)及び側面図(b)。
図4】実施例1に係るシート排出部の動作を表す図(a、b)。
図5】実施例1に係るシート排出部の動作を表す図(a、b)。
図6】実施例2に係るシート排出部の斜視図(a)及び断面図(b)。
図7】実施例2に係るシート排出部の動作を表す図(a、b)。
図8】実施例2に係るシート排出部の動作を表す図(a、b)。
図9】実施例3に係るシート排出部の一部を示す図(a、b)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための例示的な形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
以下の説明において、シート排出装置がシートを排出する際のシート排出方向の水平成分をY方向とし、Y方向に交差するシートの幅方向(画像形成時の主走査方向)をX方向とし、鉛直方向をZ方向とする。X方向、Y方向及びZ方向は、好ましくは互いに直交する。
【実施例1】
【0012】
図1は本実施形態に係る画像形成システム1Sの概略図である。本実施例の画像形成システム1Sは、画像形成装置1、画像読取装置2、原稿送り装置3及び後処理装置4によって構成される。画像形成システム1Sは、記録材であるシートに画像を形成し、必要に応じて後処理装置4によってシートに処理を施して出力する。以下、各装置の簡単な動作を説明した後、後処理装置4について詳細な説明を行う。
【0013】
原稿送り装置3は、原稿トレイ18に載置された原稿を画像読取部16、19に搬送する。画像読取部16、19はそれぞれ原稿面から画像情報を読み取るイメージセンサであり、1度の原稿搬送で原稿の両面の読み取りが行われる。画像情報を読み取られた原稿は原稿排出部20に排出される。また、画像読取装置2は駆動装置17により画像読取部16を往復移動させることで、原稿台ガラスにセットされた静止原稿(ブックレット原稿などの原稿送り装置3が使用できない原稿を含む)から画像情報を読み取ることができる。
【0014】
画像形成装置1は、直接転写方式の画像形成部1Bを備えた電子写真装置である。画像形成部1Bは、感光ドラム9を備えたカートリッジ8と、カートリッジ8の上方に配置されたレーザスキャナユニット15と、を備えている。画像形成動作を行う場合、回転する感光ドラム9の表面が帯電させられ、レーザスキャナユニット15が画像情報に基づいて感光ドラム9を露光することでドラム表面に静電潜像を書き込む。感光ドラム9に担持された静電潜像は帯電したトナー粒子によってトナー像に現像され、感光ドラム9と転写ローラ10とが対向する転写部にトナー像が搬送される。画像形成装置1のコントローラ(後述のプリンタ制御部100)は、画像読取部16,19によって読み取られた画像情報又は外部のコンピュータからネットワークを介して受信した画像情報に基づいて画像形成部1Bによる画像形成動作を実施する。
【0015】
画像形成装置1には、記録材としてのシートを1枚ずつ所定の間隔で給送する給送装置6を複数備えている。給送装置6から給送されたシートはレジストレーションローラ7にて斜行を補正された後に転写部に搬送され、転写部において、感光ドラム9に担持されたトナー像を転写される。シート搬送方向における転写部の下流には定着ユニット11が配置されている。定着ユニット11は、シートを挟持して搬送する回転体対と、トナー像を加熱するためのハロゲンランプ等の発熱体とを有し、シート上のトナー像を加熱及び加圧することで画像の定着処理を行う。
【0016】
画像形成されたシートを画像形成装置1の外部に排出する場合、定着ユニット11を通過したシートは水平搬送部14を介して後処理装置4に搬送される。両面印刷において第1面の画像形成が終了したシートの場合、定着ユニット11を通過したシートは反転ローラ12に受け渡され、反転ローラ12によってスイッチバック搬送され、再搬送部13を介して再びレジストレーションローラ7に搬送される。そして、再び転写部及び定着ユニット11を通過することで第2面に画像を形成された後、水平搬送部14を介して後処理装置4に搬送される。
【0017】
上記の画像形成部1Bはシートに画像を形成する画像形成手段の一例であり、感光体に形成したトナー像を中間転写体を介してシートに転写する中間転写方式の電子写真ユニットを用いてもよい。また、インクジェット方式やオフセット印刷方式の印刷ユニットを画像形成手段として用いてもよい。
【0018】
(後処理装置)
後処理装置4は、シートに綴じ処理を施す綴じ処理部4Aを有し、画像形成装置1から受け取ったシートに綴じ処理を施してシート束として排出する。また、後処理装置4は、画像形成装置1から受け取ったシートに綴じ処理を施さずに単に排出することもできる。なお、綴じ処理部4Aはシートに処理を施す処理手段の一例であり、綴じ処理部4Aに代えて、又は綴じ処理部4Aに追加して、パンチ処理を行う処理部や折り処理を行う処理部を配置してもよい。
【0019】
後処理装置4には、シートを搬送する搬送路として受入パス81、内排出パス82、第1排出パス83及び第2排出パス84が設けられており、シートを排出する排出先として上段の排出部300A及び下段の排出部300Bが設けられている。受入パス81は、後処理装置4の外部からシートを受け入れて搬送する搬送路として機能する。第1排出パス83は、画像形成装置1から受け取ったシートを上段の排出部300Aに排出する搬送路(第1搬送路)として機能する。内排出パス82は、第1搬送路から分岐して、第1搬送路において反転搬送されるシートを綴じ処理部4Aへ向けて搬送する搬送路(第2搬送路)として機能する。第2排出パス84は、綴じ処理部4Aに送られたシートを下段の排出部300Bに排出する搬送路(第3搬送路)として機能する。
【0020】
受入パス81には、入口ローラ21、バッファ前ローラ22、入口センサ27及び横位置検知センサが配置されている。第1排出パス83には反転手段としての排出反転ローラ24が配置されている。内排出パス82には、内排出ローラ26、中間搬送ローラ28、蹴り出しローラ29及び中間積載前センサ38が配置されている。第2排出パス84には束排出ローラ36が配置されている。以上の各ローラは、シートを搬送する搬送手段として機能する。入口センサ27及び中間積載前センサ38は、いずれも、シート処理装置内の搬送路における所定の検知位置でシートの通過を検知するシート検知手段の例である。入口センサ27及び中間積載前センサ38としては、後述するように、光を用いて検知位置におけるシートの有無を検出する光学センサを用いることができる。
【0021】
以下、後処理装置4におけるシートの搬送経路を説明する。ただし、排出反転ローラ24を含むバッファ部4Bによるバッファ動作、及び綴じ処理部4Aの詳細な構成及びその動作については後述する。
【0022】
画像形成装置1の水平搬送部14から排出されるシートは、入口ローラ21によって受け取られ、受入パス81を通ってバッファ前ローラ22へ向けて搬送される。入口センサ27は、入口ローラ21とバッファ前ローラ22との間の検知位置においてシートを検知する。また、横位置検知センサは、入口センサ27の検知位置とバッファ前ローラ22との間で、シートの幅方向(X方向)におけるシート位置(以下、シートの横位置とする)を検知する。バッファ前ローラ22は、入口ローラ21から受け取ったシートを第1排出パス83へ向けて搬送する。
【0023】
なお、入口センサ27がシートの後端の通過を検知した後の所定のタイミングで、バッファ前ローラ22はシートの搬送速度を水平搬送部14における搬送速度より速い速度まで加速する。また、入口ローラ21によるシートの搬送速度を水平搬送部14よりも大きく設定し、バッファ前ローラ22よりも上流の入口ローラ21で搬送速度を加速してもよい。この場合、水平搬送部14の搬送ローラとこれを駆動するモータとの間にワンウェイクラッチを設置し、入口ローラ21によってシートが引っ張られたとしても搬送ローラが空転するように構成すると好適である。
【0024】
シートの排出先が上段の排出部300Aの場合、排出手段(第1の排出手段)としての排出反転ローラ24はバッファ前ローラ22から受け取ったシートを排出部300Aに排出する。この場合、シート後端がバッファ前ローラ22を通過した後の所定のタイミングで排出反転ローラ24は所定の排出速度まで減速する。
【0025】
シートの排出先が下段の排出部300Bの場合、排出反転ローラ24はバッファ前ローラ22から受け取ったシートのスイッチバック搬送を行ってシートを内排出パス82に搬送する。排出反転ローラ24によるシートの排出方向において排出反転ローラ24よりも上流側で受入パス81及び内排出パス82が第1排出パス83から分岐する分岐部には、逆流防止弁23が配置されている。逆流防止弁23は、排出反転ローラ24によってスイッチバックされたシートが受入パス81に逆流することを規制する機能を有する。
【0026】
内排出パス82に配置された内排出ローラ26、中間搬送ローラ28及び蹴り出しローラ29は、排出反転ローラ24から受け取ったシートを順に受け渡しながら綴じ処理部4Aへ向けて搬送する。中間積載前センサ38は、中間搬送ローラ28と蹴り出しローラ29との間でシートを検知する。
【0027】
綴じ処理部4Aは、本実施例の綴じ手段であるステイプラ51を有し、内排出パス82から受け取った複数枚のシートを整合した後、ステイプラ51によってシート束の所定位置を綴じる。綴じ処理部4Aによって綴じられたシート束は、第3搬送路としての第2排出パス84を介して束排出ローラ36に受け渡され、排出手段(第2の排出手段)としての束排出ローラ36によって排出部300Bに排出される。
【0028】
上記の上段及び下段の排出部300A,300Bは、いずれもシートを排出するシート排出装置の一例である。なお、排出部300A,300Bは、いずれも、所定枚数のシートを排出する度に、シートの幅方向におけるシートの排出位置を複数の位置の間で変更する排出方法(ジョグ排出とも呼ばれる)を行う機能を有する。
【0029】
排出部300A,300Bの各々には、シートが積載される積載部としてのトレイ302が設けられている。トレイ302は、後述の昇降機構により、いずれも後処理装置4の装置本体40に対して上下に移動可能(昇降可能)である。本実施例のトレイ302は、画像形成システム1Sの正面(図1の視点で手前側)から見て、装置本体40に対して実質的に鉛直方向に昇降する。なお、装置本体40は、後処理装置4の枠体や外装部材を含み、綴じ処理部4Aや搬送路を収容すると共にトレイ302を移動可能に支持している筐体を指す。
【0030】
排出部300A,300Bの各々には、トレイ302に積載されたシートの上面位置(シートの積載高さ)を検知するための検知手段としてシート面検知センサ305cが設けられている。シート面検知センサ305cは、所定の検知高さにおけるシートの有無に応じて出力信号が変化するように構成され、例えばトレイ上方の空間を検知高さでX方向に横切るレーザ光を用いた透過型光電センサを用いることができる。また、排出部300A,300Bの各々には、トレイ上のシートの有無を検知するためのシート有無センサ302fが設けられている。シート有無センサ302fは、トレイ上の検知位置にシートがあるか否かに応じて出力信号が変化するように構成される。シート有無センサ302fは、例えばトレイ上に突出して配置されたフラグ部材(図2(a)も参照)と、シートに押圧されてフラグ部材が揺動したことを検知するフォトインタラプタを用いることができる。
【0031】
後処理装置4の制御部は、シート面検知センサ305c及びシート有無センサ302fの検知結果に基づいて後述の昇降機構の動作を制御することで、排出部300A,300Bにおけるトレイ302の高さを制御する。具体的には、トレイ302上にシートが無いことをシート有無センサ302fの検知結果が示している場合、トレイ302は所定のホームポジションに維持される。排出反転ローラ24又は束排出ローラ36によりシートが排出されてトレイ302に積載されていくと、トレイ302上のシートの積載高さが上がっていく。そして、所定の検知高さにシートがあることをシート面検知センサ305cの検知結果が示す度に、トレイ302がA2,B2方向に所定量下降するように昇降機構が駆動される。
【0032】
トレイ302からシートが取り除かれたことをシート面検知センサ305cの検知結果が示した場合、トレイ302がA1,B1方向に上昇してホームポジションに戻るように昇降機構が駆動される。また、トレイ302が昇降可能範囲の下限位置に到達した状態でシート面検知センサ305cがシートを検知した場合等、トレイ302が満載状態と判断すると、制御部はシートを排出できないと判断して画像形成動作を中断する。
【0033】
このような昇降制御により、排出部300A,300Bにおいては、基本的に、排出反転ローラ24又は束排出ローラ36から排出されたシートがトレイ302上のシートの上面まで落下するZ方向の距離が一定の範囲に収まる。このことはトレイ302からシートが脱落したり整列性が著しく乱れたりすることを抑制して、シートの積載量が多くなっても安定した積載状態を維持することに貢献する。
【0034】
実施例1に係るシート排出装置としての排出部300について、図2(a、b)、図3(a、b)、図4(a、b)及び図5(a、b)を用いて説明する。以下で説明する排出部300の構成は、例えば上記の後処理装置4における上段の排出部300Aとして好適に使用される。加えて、排出部300は後処理装置4における下段の排出部300Bとしても使用可能である。
【0035】
図2(a)は排出部300の斜視図であり、図2(b)はトレイ302の昇降機構330を表す概略図である。図3(a)は、図2(a)のA-A線の位置(後述のスライド壁306の1つを横断する位置)を通るY-Z平面で排出部300を切断した断面図である。図3(b)は、排出部300をX方向から見た側面図である。
【0036】
図2(a、b)に示すように、排出部300は、排出ローラ対301と、トレイ302と、昇降機構330と、を備えている。また、排出部300は、装置本体40のY方向の側壁305に設けられた積載壁305gと、積載壁305gに対して移動可能なスライド壁306と、を含んでいる。排出ローラ対301は、装置本体40内の搬送路を搬送されてきたシート(綴じ処理等によりシート束となったものを含む)を排出する排出手段の一例である。なお、排出ローラ対301は、図1の排出反転ローラ24としても使用してもよく、束排出ローラ36として使用してもよい。トレイ302は、排出手段によって排出されたシートが積載される積載部の一例である。
【0037】
以下、排出ローラ対301がシートを挟持して送り出す方向をシート排出方向Dとする。本実施例におけるシート排出方向Dは、Y方向の一方側に向かってZ方向上方に傾斜した方向である。また、装置本体40に対するトレイ302の昇降方向は、水平面に対して交差する方向であり、本実施例では実質的にZ方向と同一方向である。
【0038】
トレイ302は、シートを支持する支持部としての支持面302bを有している。支持面302bの少なくとも一部は、Y方向に関して装置本体40から離れる方向(図中右方向)に向かってZ方向上方に傾斜している。支持面302bの傾斜により、排出ローラ対301から排出されてトレイ302に落下したシートは装置本体40の側壁305に向かって移動するため、トレイ302におけるシートの整列性が向上する。また、支持面302bの傾斜により、トレイ302に積載されているシートが支持面302bから受ける垂直抗力は、側壁305に向かうY方向の成分を含むことになる。
【0039】
トレイ302は、ステイ303を介して昇降機構330に連結されている。昇降機構330は、駆動源としての昇降モータ331と、駆動プーリ333、従動プーリ334及び昇降ベルト336からなるベルト伝動部と、を含む。昇降ベルト336は、Z方向に離れて配置された駆動プーリ333及び従動プーリ334に張架されている。駆動プーリ333及び従動プーリ334は、装置本体40のフレーム部材により回転可能に支持されている。駆動プーリ333は昇降モータ331に駆動されて回転し、従動プーリ334は昇降ベルト336の回転に追従して回転する。また、ステイ303は、固定具337を介して昇降ベルト336に固定されている。
【0040】
上記の昇降機構330により、トレイ302は昇降モータ331の回転に伴って昇降する。この場合において、昇降モータ331の回転方向に応じてトレイ302の移動方向(上昇又は下降)が定まり、昇降モータ331の回転量に応じてトレイ302の移動距離が定まり、昇降モータ331の回転速度に応じてトレイ302の移動速度が定まる。従って、後処理装置4の制御部は、昇降モータ331の制御を通じてトレイ302の昇降動作を制御することができる。
【0041】
なお、本実施例では昇降手段の一例としてベルト式の昇降機構330を例示したが、他の昇降手段を用いてもよい。例えば、トレイ302にモータ及びモータに駆動されるピニオンを配置し、ピニオンを装置本体40に設けられたラックに噛み合わせて、トレイ302がラック上を自走することで昇降する構成としてもよい。また、昇降手段によるトレイ320の昇降方向は、Z方向に対して傾斜していてもよい。
【0042】
装置本体40の側壁305は、トレイ302に積載されたシートの後端(シート排出方向Dの上流端)と当接可能な積載壁305gと、X方向における積載壁305gの両側に設けられたフレーム部305f,305fと、を含む。積載壁305gは、概ね、トレイ302の昇降方向(Z方向)及びシートの幅方向(X方向)に広がっている。フレーム部305f,305fは、Z方向に見てL字状の部材等、昇降機構330及びトレイ302並びにトレイ302上に最大積載量で積載されたシートの重量を支持可能な強度を有する部材であると好適である。
【0043】
積載壁305gは、装置本体40の枠体に対して固定されており、トレイ302が昇降した場合でも移動しない部材である。つまり、積載壁305gは、積載部に積載されたシートの後端と当接可能(接触可能)な本実施例の第1当接部材として機能する。ただし、積載壁305gを装置本体40内にアクセスするために開閉可能としたり、フレーム部305fに対して着脱可能とする等、トレイ302の昇降に追従する移動以外の態様で積載壁305gを移動可能とすることは差し支えない。
【0044】
積載壁305gは、X方向及びZ方向に広がるベース面からY方向の一方側(シート排出方向Dの下流側)に突出する複数のリブ305bを有している。各リブ305bは、トレイ302の昇降方向に沿って略Z方向に延びている。リブ305bの稜線部は、トレイ302に積載されたシートの後端と接触する接触部となる。
【0045】
(スライド壁)
図2(a)及び図3(a、b)に示すように、排出部300には積載壁305gに対して移動可能な第2当接部材としてのスライド壁306,306が設けられている。本実施例のスライド壁306,306は、X方向における排出部300の中央位置に対してX方向に関して対称な位置に2つ設けられている。
【0046】
2つのスライド壁306,306は、X方向の位置が異なる以外は実質的に同様の構成を備えている。即ち、各スライド壁306は、トレイ302に積載されたシートの後端と接触する接触部306bと、スライド壁306の位置制御に関する被押圧部306a及び当接面306cと、を備えている。
【0047】
接触部306bの少なくとも一部は、積載壁305gのリブ305bに対してY方向の一方側(シート排出方向Dの下流側)に突出している。具体的には、図3(a)の拡大部分に示すように、接触部306bが、X方向に見てトレイ302の昇降方向に沿って略Z方向に延びる主面306b1と、主面306b1の上方側に隣接する傾斜面306b2と、を有している。傾斜面306b2は、主面306b1の上端からZ方向上方に向かってY方向の他方側(シート排出方向Dの上流側)に傾斜した方向に延びる。傾斜面306b2の上端は、Y方向におけるリブ305bの先端位置よりY方向の他方側(シート排出方向Dの上流側)に退避していると好適である。傾斜面306b2を設けることで、リブ305bとスライド壁306との間に段差が生じることを防いでシート後端の引っ掛かりを低減することができる。
【0048】
スライド壁306は、接触部306bとは反対側の面の少なくとも一部において、積載壁305gにZ方向に沿って形成されたスリット状のガイド溝305s(図2(a)、図3(a))に係合している。スライド壁306は、ガイド溝305sの範囲内で、トレイ302の昇降方向に沿って略Z方向に移動可能である。ガイド溝305sは、シート排出方向Dの下流側から見てトレイ302の昇降方向に沿って直線状に延びるスライド方向に沿ってスライド壁306を案内する案内部(第1案内部)として機能する。
【0049】
図3(a)に模式的に示すように、スライド壁306は付勢手段としてのバネ部材307によってスライド方向における上方側に向かって付勢されている。バネ部材307は、例えば、軸線方向を略Z方向に向けた状態で配置され、スライド壁306に設けられた第1接続部306dと、第1接続部306dより上方に設けられた積載壁305gの第2接続部305hとを接続する引張バネを用いることができる。また、バネ部材307は、積載壁305gに対して装置本体40の内側(図中右側)に配置される。
【0050】
積載壁305gは、スライド壁306の当接面306cが突き当たる突き当て部305aを有している。突き当て部305aは、スライド壁306の当接面306cと当接することでバネ部材307の付勢力に抗してスライド壁306を位置決めする位置決め部として機能する。以下、突き当て部305aにより位置決めされたスライド壁306の位置を、スライド壁306の初期位置とする。
【0051】
また、図3(a)に示すように、トレイ302は、スライド壁306の被押圧部306aを押圧して、トレイ302に連動してスライド壁306を移動させるための押圧部302aを有している。押圧部302aは本実施例の係合部として機能し、被押圧部306aは本実施例の被係合部として機能する。本実施例の被押圧部306aは、トレイ302の昇降方向であるZ方向に交差するY方向に突出した突起であり、押圧部302aは突起の上面に当接して下方に押圧することが可能である。
【0052】
以下、トレイ302がホームポジションから下降する際にトレイ302の押圧部302aがスライド壁306の被押圧部306aと最初に当接した時点のトレイ302の位置を、トレイ302の連動開始位置とする。言い換えると、連動開始位置とは、トレイ302の昇降に追従してスライド壁306が移動する状態とスライド壁306が追従しない状態との境界となる、昇降方向におけるトレイ302の位置を指す。トレイ302のホームポジションは本実施例の第1位置であり、トレイ302の連動開始位置は本実施例の第2位置である。
【0053】
なお、トレイ302の昇降範囲の下限位置は、連動開始位置よりZ方向下方である。スライド壁306の移動範囲を規定するガイド溝305sの長さ等は、トレイ302が連動開始位置と下限位置との間で昇降する間はスライド壁306がトレイ302に追従して(連動して)移動できるように設定すると好適である。また、トレイ302の昇降範囲の上限位置は、ホームポジションと一致していてもよく、例えばホームポジションより上方であってもよい。
【0054】
次に、図4(a、b)及び図5(a、b)を用いてスライド壁306の動作について説明する。図4(a)の左側は、図3(a)において破線で囲った範囲を表しており、図4(a)の右側はその一部を拡大した拡大図である。図4(b)及び図5(a、b)の左側及び右側も、同様の範囲を表している。
【0055】
図4(a)はトレイ302がホームポジションに位置しており、排出ローラ対301により次々に排出されるシートがトレイ302に積載され始めたときの様子を示している。この時点では、トレイ302の押圧部302aはスライド壁306の被押圧部306aから上方に離間した位置にある。シートがトレイ302に既に積載されているシート束の上面に落下すると、トレイ302の傾斜により、シートはシート排出方向Dの上流側に移動して、後端が積載壁305gのリブ305bに当接することで停止する。従って、トレイ302には、リブ305bにシートの後端位置が規制された状態でシートが積載されていく。
【0056】
図4(b)は、図4(a)の状態からトレイ302に積載されたシートの上面がシート面検知センサ305cの検知高さを超えたことでトレイ302の下降動作が行われた後の状態を示している。トレイ302が下降したことで、シートの上面はシート面検知センサ305cの検知位置より下方に移動している。この時点では、トレイ302はホームポジションと連動開始位置の間にあり、トレイ302の押圧部302aは、依然としてスライド壁306の被押圧部306aから上方に離間している。
【0057】
ここで、図4(a)のホームポジションから図4(b)の位置までトレイ302が下降する際に、トレイ302に積載されているシートの後端はスライド壁306の接触部306bや積載壁305gのリブ305bに摺擦する。しかしながら、この段階でトレイ302に積載されているシートの量は比較的少なく、トレイ302の傾斜によってシートに作用するシート排出方向Dの上流向きの力は比較的小さい。そのため、トレイ302の下降によってシート後端がスライド壁306及びリブ305bと摺擦しても、異音が発生したりシート後端部にダメージが生じたりする可能性は低い。
【0058】
図5(a)は、図4(b)の位置からさらにトレイ302が下降して連動開始位置に到達した時点の様子を表している。即ち、この時点で、トレイ302の押圧部302aがスライド壁306の被押圧部306aと当接する。これにより、スライド壁306は、トレイ302の下降に追従してZ方向の下方にスライドし始める。
【0059】
ここで、トレイ302が図4(b)の連動開始位置にある状態で、スライド壁306の接触部306bがトレイ302の支持面302bに対して上方に突出する高さをスライド壁306の壁面高さM1とする。より正確には、壁面高さM1とは、トレイ302が連動開始位置にある状態で、シート排出方向Dにおける支持面302bの上流端の高さh1から、スライド壁306の接触部306bの上端高さh2までの、トレイ302の昇降方向の距離である。スライド壁306の壁面高さM1は、トレイ302に積載されたシート束の中でスライド壁306がシートの後端を保持することが可能な最大のシート量を表している。
【0060】
トレイ302が連動開始位置より下方に下降するとき、スライド壁306はトレイ302に追従して(連動して)下方にスライドする。そのため、トレイ302に積載されているシート束のうち、スライド壁306の壁面高さM1以下のシートは、後端をスライド壁306の接触部306bに保持されており、積載壁305gのリブ305bと摺擦せずに移動する。従って、スライド壁306の壁面高さM1までのシートに関して、リブ305bとの摺擦による異音が発生したりシート後端部にダメージが生じたりすることを抑制可能である。
【0061】
図5(b)は、図5(a)の状態からトレイ302がさらに下降して連動開始位置より下方に位置するときの様子を示している。この時点では、トレイ302にはスライド壁306の壁面高さM1よりも多く(高く)シートが積載されているものとする。スライド壁306の壁面高さM1までのシートについては、上述の通り、シート後端がスライド壁306に保持された状態で積載壁305gとは基本的に摺擦せずに移動する。
【0062】
ところで、スライド壁306の壁面高さM1を超えて積載されているシートについては、トレイ302の下降に伴ってシート後端が積載壁305gのリブ305bと摺擦する可能性がある。しかし、シート後端が積載壁305g又はスライド壁306と当接する力の大きさ(F1,F2)は、トレイ302に積載されたシート束においてより上層に位置するシートの方が、より下層に位置するシートよりも小さくなる(F2<F1)。
【0063】
このことは、以下のように説明できる。
・シート束中の各シートには、重力によるZ方向下向きの力G1,G2と、自身より下のシート(最下位のシートの場合は支持面302b)から受ける力(垂直抗力)N1,N2とが作用している。
・力N1,N2の向きは、支持面302bの傾斜により、Z方向に対してY方向の他方側(シート排出方向Dの上流側)に傾斜した方向である。
・トレイ302が移動していないとき、Z方向に関する力の釣合により、力N1,N2のZ方向成分は力G1,G2と等しい。
・ここで、重力による力G1,G2は、対象とするシート自身の重量だけでなく、その上に積み重なっている他のシートの重量が加わった力である。そのため、より下層のシートに作用する力G1は、より上層のシートに作用する力G2より大きくなる(G1>G2)。
・従って、より下層のシートに作用する力N1は、より上層のシートに作用する力N2より大きなものとなる(N1>N2)。
・その結果、シート後端を積載壁305g又はスライド壁306に押し付けようとする力(力N1,N2のY方向成分)は、より下層のシートに作用する力F1が大きく、より上層のシートに作用するF2が小さくなる(F1>F2)。
・なお、実際にはシート間の摩擦も各シートに作用しているが、シート後端が積載壁305g又はスライド壁306に当接する力の大きさに上記のような差が生じることは変わらない。
【0064】
以上のことから、スライド壁306の壁面高さM1を超えて積載されたシートは、壁面高さM1までのシートがスライド壁306に当接する力(F1)に比べて弱い力(F2)で、積載壁305gと接触することが分かる。つまり、トレイ302に比較的多量に積載されたシート束の下層が、トレイ302の下降時にシートと積載壁等と強く摺擦して異音の主な発生源となることが分かる。従って、トレイ302の下降に伴って、スライド壁306の壁面高さM1を超えて積載されたシートの後端が積載壁305gのリブ305bと摺擦したとしても、シートの振動による異音やシート後端部のダメージは生じにくい。
【0065】
(本実施例の利点)
本実施例によれば、トレイ302がホームポジションから連動開始位置を通過して下降する場合に、トレイ302が連動開始位置より下方に位置するときはスライド壁306がトレイ302に追従して(連動して)移動する。言い換えると、本実施例の第2当接部材は、積載部が第1位置から第1位置より下方の第2位置を通過して下降する場合に、積載部が第2位置を通過するまでは積載部に追従せず、積載部が第2位置を通過すると積載部に追従して所定位置より下方に移動する。
【0066】
これにより、シート後端と積載壁305g等の固定された当接部材との摺擦による異音又はシートのダメージ等の問題が生じやすい、トレイ302上に比較的多量のシート束が積載された状態において摺擦による異音等の発生を低減できる。このため、トレイ302の昇降範囲の一部でスライド壁306をトレイ302に追従させる簡易な構成により、シートと当接部材の摺擦による異音等の発生を効果的に抑制することができる。
【0067】
また、本実施例のスライド壁306は、積載壁305gにスライド可能に支持された部材であるため、例えば複数のプーリに張架したベルト部材を用いる場合に比べて簡易な構成でシートの摺擦による異音等の発生を抑制できる。
【0068】
(変形例)
本実施例では、Z方向に延びる細長い板状のスライド壁306,306を2つ使用しているが、第2当接部材の形状及び数は適宜変更可能である。例えば、本実施例のスライド壁306,306をX方向につなげて1枚の幅広の板状としたものを用いてもよい。
【実施例2】
【0069】
実施例2に係るシート排出装置としての排出部300について、図6(a、b)、図7(a、b)及び図8(a、b)を用いて説明する。以下で説明する排出部300の構成は、例えば上記の後処理装置4における下段の排出部300Bとして好適に使用される。つまり、実施例1の排出部300を図1の後処理装置4における上段の排出部300Aとして使用し、後処理装置4における下段の排出部300Bとして好適に使用することができる。ただし、本実施例の排出部300を後処理装置4における段の排出部300Aとして使用してもよい。以下、実施例1と同一の符号を付した要素は実施例1と実質的に同一の構成及び作用を有するものとする。
【0070】
図6(a)は本実施例に係る排出部300の斜視図であり、図6(b)は、図6(a)の線の位置(後述のスライド壁316の1つを横断する位置)を示している。
【0071】
図6(a、b)に示すように、排出部300は、排出ローラ対311と、トレイ302と、を備えている。また、排出部300は、装置本体40のY方向の側面に設けられた積載壁305g及びスライド壁316を含んでいる。排出ローラ対311は、排出手段の他の一例である。トレイ302は、実施例1と同様の昇降機構330により、積載壁305gに対して略Z方向に昇降可能である。
【0072】
図6(a)に示すように、本実施例の排出部300には積載壁305gに対して移動可能な第2当接部材としての第1スライド壁316,316と、積載壁305gに対して移動可能な第3当接部材としての第2スライド壁317,317とが設けられている。第1スライド壁316,316は、X方向における排出部300の中央位置に対してX方向に関して対称な位置に2つ設けられている。また、第2スライド壁317,317は、X方向における排出部300の中央位置に対してX方向に関して対称な位置で、スライド壁316,316の外側に2つ設けられている。
【0073】
第1スライド壁316,316の構成は、実施例1のスライド壁306,306と同様である。即ち、各第1スライド壁316は、積載壁305gに設けられたガイド溝305sに沿って略Z方向にスライド可能である。各第1スライド壁316は、トレイ302が連動開始位置より上方に位置するときは、図6(b)に示すようにバネ部材307(図2(a))の付勢力によって積載壁305gの突き当て部305aに突き当てられて初期位置に位置決めされる。また、各第1スライド壁316は、トレイ302が連動開始位置より下方に位置するときは、トレイ302の押圧部302aがスライド壁316の被押圧部316aを押圧することでトレイ302に追従して昇降する。
【0074】
第2スライド壁317,317の構成は、連動開始位置の設定が第1スライド壁316,316と異なる以外は、第1スライド壁316,316と同様である。つまり、各第2スライド壁317は、トレイ302に積載されたシートの後端に接触する接触部317bと、トレイ302の押圧部302aに押圧される突起である被押圧部317aと、積載壁305gの突き当て部305aと当接する当接面とを有する。各第2スライド壁317は、積載壁305gに設けられたガイド溝305sに沿って略Z方向にスライド可能である。
【0075】
各第2スライド壁317は、トレイ302がホームポジションより下方の位置(スライド壁316の連動開始位置を第1連動開始位置としたときの第2連動開始位置)より上方に位置するときは、図6(a、b)の初期位置に位置する。このとき、実施例1と同様のバネ部材(図2(a)のバネ部材307)の付勢力によって、第2スライド壁317は積載壁305gの突き当て部305aに突き当てられて初期位置に位置決めされる。また、各第2スライド壁317は、トレイ302が第2連動開始位置より下方に位置するときは、トレイ302の押圧部302aが被押圧部317aを押圧することでトレイ302に追従して昇降する。
【0076】
なお、第1スライド壁316の接触部316bは、第2スライド壁317の接触部317bに比べて、Y方向の一方側(シート排出方向Dの下流側)に突出している。また、第2スライド壁317の接触部317bは、積載壁305gのリブ305bに対してY方向の一方側に突出している。
【0077】
トレイ302のホームポジションは本実施例の第1位置であり、第1スライド壁316の第1連動開始位置は本実施例の第2位置であり、第2スライド壁317の第2連動開始位置は本実施例の第3位置である。
【0078】
ここで、トレイ302がホームポジションから下降する場合に第1スライド壁316,316の連動が始まるトレイ位置(第1連動開始位置)に比べて、第2スライド壁317,317の連動が始まるトレイ位置(第2連動開始位置)の方が下方に設定される。具体的には、第1スライド壁316,316及び第2スライド壁317,317がいずれも初期位置にある状態で、第2スライド壁317の被押圧部317aが第1スライド壁316の被押圧部316aより下方に位置する構成としている。この構成により、後述するように、トレイ302の下降時に押圧部302aが第2スライド壁317の被押圧部317aに当接するタイミングは、押圧部302aが第1スライド壁316の被押圧部316aに当接するタイミングより遅れる。
【0079】
図7(a、b)及び図8(a、b)を用いて、第1スライド壁316,316及び第2スライド壁317,317の動作について説明する。図7(a、b)及び図8(a、b)は、図7(a)の左側は、図6(b)において破線で囲った範囲を表しており、図7(a)の右側はその一部を拡大した拡大図である。図7(b)及び図8(a、b)の左側及び右側も、同様の範囲を表している。
【0080】
図7(a)はトレイ302がホームポジションに位置しており、排出ローラ対301により次々に排出されるシートがトレイ302に積載され始めたときの様子を示している。この時点では、トレイ302の押圧部302aは第1スライド壁316及び第2スライド壁317の被押圧部316a,317aから上方に離間した位置にある。シートがトレイ302に既に積載されているシート束の上面に落下すると、トレイ302の傾斜により、シートはシート排出方向Dの上流側に移動して、後端が積載壁305gのリブ305bに当接することで停止する。従って、トレイ302には、シートのリブ305bに後端位置が規制された状態でシートが積載されていく。
【0081】
図7(a)のホームポジションから第1連動開始位置までトレイ302が下降する間、トレイ302に積載されているシートの後端は第1スライド壁316の接触部316bや積載壁305gのリブ305bに摺擦する。しかし、この段階でトレイ302に積載されているシートの量は比較的少ないため、異音等の問題が生じる可能性は低い。
【0082】
図7(b)は、トレイ302が第1連動開始位置まで下降した状態を示している。この時点で、トレイ302の押圧部302aが第1スライド壁316の被押圧部316aと当接し、第1スライド壁316がトレイ302の下降に追従して下降する状態となる。図8(a)は、図7(b)の状態からトレイ302が第1連動開始位置と第2連動開始位置との間の位置まで下降した時点の様子を示している。図7(b)と比べると、第1スライド壁316がトレイ302の下降に追従して下方に移動していることが分かる。一方、トレイ302の押圧部302aは依然として第2スライド壁317の被押圧部317aからは上方に離間しており、第2スライド壁317は初期位置に留まっている。
【0083】
ここで、トレイ302が図7(b)の第1連動開始位置にある状態で、第1スライド壁316の接触部316bがトレイ302の支持面302bに対して上方に突出する高さを第1スライド壁316の壁面高さM2とする。トレイ302上のシート束のうち、第1スライド壁316の壁面高さM2までのシートは、後端を第1スライド壁316に保持されるため、基本的に積載壁305gのリブ305bとは接触しない。そのため、実施例1で説明した場合と同様に、トレイ302が第1連動開始位置より下方で昇降する場合、第1スライド壁316の壁面高さM2までのシートは基本的に積載壁305gと摺擦しない。
【0084】
なお、トレイ302が第1連動開始位置と第2連動開始位置との間で昇降する場合、第1スライド壁316の壁面高さM2を超えて積載されたシートの後端は積載壁305gのリブ305bと摺擦する。しかし、上述したように、トレイ302に積載されたシート束においてより上層に位置するシートが積載壁305gに当接する力は、より下層に位置するシートが第1スライド壁316に当接する力よりも小さい(図5(b)参照)。そのため、第1スライド壁316の壁面高さM2を超えて積載されたシートの後端が、トレイ302の昇降によって積載壁305gのリブ305bと摺擦したとしても、異音等の問題は発生しにくい。
【0085】
また、第1スライド壁316が第2スライド壁317よりも突出しているため、トレイ302が第1連動開始位置と第2連動開始位置との間で昇降する間に、第1スライド壁316の壁面高さM2までのシートは基本的に第2スライド壁317と摺擦しない。
【0086】
図8(b)は、トレイ302がさらに第2連動開始位置まで下降した状態を示している。この時点で、トレイ302の押圧部302aが第2スライド壁317の被押圧部317aと当接し、第1スライド壁316及び第2スライド壁317がトレイ302の下降に追従して下降する状態となる。
【0087】
ここで、トレイ302が図8(b)の第2連動開始位置にある状態で、第2スライド壁317の接触部317bがトレイ302の支持面302bに対して上方に突出する高さを第2スライド壁317の壁面高さM3とする。トレイ302上のシート束のうち、第1スライド壁316の壁面高さM2から第2スライド壁317の壁面高さM3までの範囲(M3-M2)のシートは、後端を第2スライド壁317に保持されるため、基本的に積載壁305gのリブ305bとは接触しない。つまり、第3当接部材としての第2スライド壁317の接触部317bは、第2当接部材としての第1スライド壁316の接触部316bよりも上方の領域(M3-M2)でシートの後端と当接可能である。そのため、トレイ302が第2連動開始位置より下方で昇降する場合、第2スライド壁317の壁面高さMまでのシートは基本的に積載壁305gと摺擦しない。
【0088】
なお、トレイ302が第2連動開始位置より下方で昇降する場合、第2スライド壁317の壁面高さM3を超えて積載されたシートの後端は積載壁305gのリブ305bと摺擦する。しかし、トレイ302に積載されたシート束においてより上層に位置するシートが積載壁305gに当接する力は、より下層に位置するシートが第1スライド壁316又は第2スライド壁317に当接する力よりも小さい。そのため、第2スライド壁317の壁面高さM3を超えて積載されたシートの後端が、トレイ302の昇降によって積載壁305gのリブ305bと摺擦したとしても、異音等の問題は発生しにくい。
【0089】
以上説明した通り、本実施例では、第2当接部材としての第1スライド壁316とは別に、積載部の下降に追従して移動することが可能な第3当接部材としての第2スライド壁317を設けている。これにより、実施例1と同様にシートの摺擦による異音等の発生を抑制することができる。
【0090】
さらに、本実施例によれば、トレイ302に積載されたシートが少量の場合及び多量の場合のいずれにおいても、シートの摺擦による異音等の発生を抑制する能力を向上可能である。例えば、実施例1の構成でスライド壁306の壁面高さM1を大きくして積載壁305gに接触しないシート量を増やそうとすると、トレイ302がスライド壁306の連動開始位置に到達するまでに積載されるシート量が増える。その結果、スライド壁306がトレイ302に追従して移動し始める前に、シートとスライド壁306との摺擦により異音等の問題が生じることが考えられる。これに対して、スライド壁306の壁面高さM1を小さくすると、壁面高さM1を超えて積載されるシートの割合が多くなり、シートと積載壁305gとの摺擦により異音等の問題が生じることが考えられる。
【0091】
これに対し、本実施例では、トレイ302への連動が開始する際のトレイ302上のシート積載量の水準が異なる2種類のスライド壁316,317を併用したことで、このような不都合を回避することができる。即ち、第1スライド壁316よりも上方の領域でシートの後端に当接する第2スライド壁317を設けたため、第1スライド壁316のみを設けた場合に比べて、多量のシートがトレイ302に積載された状態でもシートの摺擦による異音等の発生を抑制できる。また、トレイ302におけるシートの積載量が比較的少ないときは、第2スライド壁317が初期位置に留まったままで第1スライド壁316がトレイ302に追従し始めることで、シートの摺擦による異音等の発生を抑制できる。
【0092】
(変形例)
なお、トレイ302の第1連動開始位置と第2連動開始位置の違いを生じさせる手段は、被押圧部316a,317aのZ方向の位置を異ならせる上記の構成に限らない。例えば、トレイ302の押圧部302aを、第1スライド壁316の被押圧部316aを押圧する領域と第2スライド壁317の被押圧部317aを押圧する領域とでZ方向の高さが異なる形状とすることが考えられる。
【0093】
また、本実施例では、第2スライド壁317がトレイ302に直接押圧されて追従する構成としたが、第2スライド壁317が、第1スライド壁316を介してトレイ302の下降に追従する構成としてもよい。例えば、第2スライド壁317の被押圧部317aをX方向に突出させることで、第1スライド壁306の被押圧部31aの下面に押圧されるようにしてもよい。また、本実施例では壁面高さが異なる2種類のスライド壁を使用したが、互いに壁面高さが異なる3種類以上のスライド壁を使用してもよい。
【実施例3】
【0094】
実施例3に係るシート排出装置としての排出部300について、図9(a、b)を用いて説明する。以下で説明する排出部300の構成は、例えば上記の後処理装置4における上段又は下段の排出部300A,300Bとして好適に使用される。以下、実施例1と同一の符号を付した要素は実施例1と実質的に同一の構成及び作用を有するものとする。
【0095】
図9(a、b)は、いずれも、トレイ302を取り外した状態の排出部300をY方向の一方側(シート排出方向Dの下流側)から見た様子を表す。排出部300は、第1当接部材としての積載壁305gを備える側壁305と、第2当接部材としてのスライド壁326,326と、を有する。
【0096】
スライド壁326,326は、X方向における排出部300の中央位置に対してX方向に関して対称な位置に2つ設けられている。各スライド壁326は、トレイ302に積載されたシートの後端に接触する接触部326bと、トレイ302の押圧部302a(図3(a))に押圧される被押圧部326aと、積載壁305gの突き当て部305a(図3(a))と当接する当接面とを有する。接触部326bは、積載壁305gのリブ305bに比べてY方向の一方側(シート排出方向Dの下流側)に突出している。また、各スライド壁326は、積載壁305gに設けられたガイド溝325sに沿ってスライド可能である。
【0097】
ここで、第2案内部としてのガイド溝325sは、シート排出方向Dの下流側から見て曲線状に延びている。図示した例では、ガイド溝325sはシート排出方向Dの下流側から見て上下に延びる円弧として形成されている。各スライド壁326は、ガイド溝325sの長手方向における少なくとも2箇所でガイド溝325sと係合されている。そのため、スライド壁326,326は、曲線状に延びるガイド溝325s,325sの長手方向に沿ったスライド方向にスライド可能な状態で積載壁305gに支持されている。また、各スライド壁326は、実施例1と同様のバネ部材(図2(a)のバネ部材307)の付勢力によって上方に付勢されている。
【0098】
図9(a)は、スライド壁326が初期位置に位置している様子を示している。図9(b)は、トレイ302の下降に追従してスライド壁326が初期位置から下方へ移動した様子を示している。以下、トレイ302がホームポジションからスライド壁326の連動開始位置を超えて下方に移動する場合の動作を説明する。
【0099】
トレイ302がホームポジションに位置するとき、バネ部材の付勢力により、スライド壁326は初期位置に位置決めされている。この時点では、トレイ302の押圧部302aはスライド壁326の被押圧部326aから上方に離間した位置にある。トレイ302がホームポジションからスライド壁326の連動開始位置まで下降する間、スライド壁326は初期位置に留まる。このとき、トレイ302上のシートはスライド壁326の接触部326bや積載壁305gのリブ305bに摺擦する。しかし、この段階でトレイ302に積載されているシートの量は比較的少なく、トレイ302の傾斜によってシートに作用するシート排出方向Dの上流向きの力は比較的小さいため、シートの摺擦による異音等の問題は発生しにくい。
【0100】
トレイ302がスライド壁326の連動開始位置に到達すると、トレイ302の押圧部302aがスライド壁326の被押圧部326aに当接することで、スライド壁326はトレイ302の下降に追従して(連動して)移動する状態となる。そして、図9(b)に示すように、スライド壁326はトレイ302の下降に伴って初期位置よりも下方に移動する。
【0101】
ここで、トレイ302がスライド壁326の連動開始位置にある状態で、スライド壁326の接触部326bがトレイ302の支持面302bに対して上方に突出する高さをスライド壁326の壁面高さM4とする。トレイ302が連動開始位置より下方で下降するとき、スライド壁326はトレイ302に追従して(連動して)下方にスライドする。そのため、トレイ302に積載されているシート束のうち、スライド壁326の壁面高さM4以下のシートは、後端をスライド壁326の接触部326bに保持されており、積載壁305gのリブ305bと摺擦せずに移動する。従って、スライド壁326の壁面高さM4までのシートに関して、積載壁305gのリブ305bとの摺擦による異音が発生したりシート後端部にダメージが生じたりすることを抑制可能である。また、壁面高さM4を超えて積載されたシートはトレイ302の昇降に伴ってリブ305bと摺擦するが、このようなシートがリブ305bと当接する力は比較的小さいため、摺擦による異音等の問題は発生しにくい。
【0102】
このように、スライド壁326の移動方向が曲線的である構成を用いても、実施例1と同様に、トレイ302の昇降に伴ってシートの摺擦による異音等の問題が発生することを低減できる。
【0103】
(その他の実施例)
以上の実施例1~3で説明した構成は例示であり、例えば、第2当接部材又は第3当接部材として用いたスライド壁(306,316,317,326)の、トレイ302の昇降方向の長さや、トレイ302に連動する範囲を変更してもよい。
【0104】
また、上記の各実施例では、トレイ302の一部がスライド壁に当接して下方に押圧することでスライド壁がトレイ302の昇降に追従して移動する構成を説明したが、他の係合方法でトレイ302とスライド壁の連動を実現してもよい。例えば、トレイ302がスライド壁に当接すると、トレイ302及びスライド壁がトレイ302の昇降方向に関して相対移動不能にロックされる機構を設けることが考えられる。このようなロック機構としては、例えばトグル機構やスナップフィットがある。
【0105】
また、上記の各実施例では、第2当接部材として積載壁305gに対してスライド移動するスライド壁を例示したが、例えば、第2当接部材として回動軸を中心に回動(揺動)する部材を用いてもよい。この場合、回動軸から離れた外周部に接触部を設けて、トレイ302の昇降に追従して接触部が上下に移動するように構成する。
【0106】
上記の各実施例では、画像形成システムの一部を構成するシート処理装置に設けられたシート排出装置について説明したが、本技術は、シートを扱う他の装置におけるシート排出装置として適用可能である。例えば、シート処理装置を含まない画像形成システムにおいて、画像形成装置本体から画像形成されたシートを排出するシート排出装置が挙げられる。
【符号の説明】
【0107】
1B…画像形成手段(画像形成部)/1S…画像形成システム/4…シート処理装置(後処理装置)/4A…処理手段(綴じ処理部)/24,36,301,311…排出手段(排出反転ローラ、束排出ローラ、排出ローラ対)/302…積載部(トレイ)/302a…係合部(押圧部)/305a…位置決め部(突き当て部)/305g…第1当接部材(積載壁)/305s…第1案内部(ガイド溝)/306,316,326…第2当接部材(スライド壁、第1スライド壁)/306a…被係合部(被押圧部)/307…付勢手段(バネ部材)/317…第3当接部材(第2スライド壁)/325s…第2案内部(ガイド溝)/330…昇降手段(昇降機構)/D…シート排出方向
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
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図9