(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】工作機械の稼働状況表示装置
(51)【国際特許分類】
G05B 19/4063 20060101AFI20240813BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240813BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
G05B19/4063 L
G05B19/418 Z
B23Q17/00 E
(21)【出願番号】P 2020080328
(22)【出願日】2020-04-30
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000137856
【氏名又は名称】シチズンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 健士郎
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-280324(JP,A)
【文献】国際公開第2018/138925(WO,A1)
【文献】特開2013-115218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18 - 19/46
B23Q 17/00
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを工具で加工する際の前記ワーク1個あたりのサイクルタイムを前記ワーク毎に順次計測するサイクルタイム計測手段と該サイクルタイム計測手段で計測されたサイクルタイムを記憶するメモリーとを備えた工作機械の稼働状況を表示する、工作機械の稼働状況表示装置であって、
前記工作機械のメモリーに記憶された前記サイクルタイムを前記工作機械のメモリーとの間で共有して記憶するデータベースと、
該データベースに記憶された前記サイクルタイムを所定の集計期間で集計するサイクルタイム集計手段と、
該サイクルタイム集計手段による集計結果を前記集計期間における経時変化で表示する集計結果表示手段とを備え
、
前記集計結果が、前記集計期間を分割した所定の単位期間における所定のサイクルタイム幅毎の前記ワークの個数を含み、
前記集計結果表示手段が、各前記単位期間における前記ワークの加工総数に対する各前記単位期間における前記サイクルタイム幅毎の前記ワークの個数の比率を帯グラフ形式で前記単位期間と同一画面上に図示する、工作機械の稼働状況表示装置。
【請求項2】
前記集計結果表示手段が、前記集計結果を前記集計期間における経時変化で図示する、請求項1に記載の工作機械の稼働状況表示装置。
【請求項3】
前記データベースが、前記工作機械に対する作業内容と作業時刻とからなる作業ログを記憶し、
前記集計結果表示手段が、所定時刻における前記作業ログを表示する作業ログ表示部と、該作業ログ表示部に表示させる前記作業ログに対応する時刻を指示する作業ログ選択部とを有している、請求項
1または請求項2に記載の工作機械の稼働状況表示装置。
【請求項4】
前記データベースが、前記工作機械の稼働情報を記憶し、
前記集計結果表示手段が、所定時刻における前記工作機械の稼働情報を表示する稼働情報表示部と、該稼働情報表示部に表示させる前記工作機械の稼働情報に対応する時刻を指示する稼働情報選択部とを有している、請求項
1乃至請求項3のいずれか1項に記載の工作機械の稼働状況表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の稼働状況表示装置に関するものであって、特に、ワークを加工する工具を備えてワークを加工する工作機械の稼働状況表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークの1個あたりの加工時間であるサイクルタイムは、工場の生産性に直結する要因であることから、サイクルタイムの可視化が近年求められている。
従来、サイクルタイムを可視化する装置として、工具毎のサイクルタイムのデータおよび工具毎の切削時間のデータを記憶するメモリー部と、このメモリー部に記憶された各データを用いて工具毎のサイクルタイムおよび工具毎の切削時間を表示する表示部とを備えた可視化装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したサイクルタイムの可視化装置は、工具毎のサイクルタイムを表示するものであるため、工作機械の管理者は、工具変更に伴うサイクルタイムの変化を把握することができるが、工具変更以外の要因に伴うサイクルタイムの変化を検証することが難しいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、工具変更に伴うサイクルタイムの変化だけでなく工具変更以外でサイクルタイムに変化が生じた場合であってもサイクルタイムの変化要因を管理者が検証し易い工作機械の稼働状況表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1に、ワークを工具で加工する際の前記ワーク1個あたりのサイクルタイムを前記ワーク毎に順次計測するサイクルタイム計測手段と該サイクルタイム計測手段で計測されたサイクルタイムを記憶するメモリーとを備えた工作機械の稼働状況を表示する、工作機械の稼働状況表示装置であって、前記工作機械のメモリーに記憶された前記サイクルタイムを前記工作機械のメモリーとの間で共有して記憶するデータベースと、該データベースに記憶された前記サイクルタイムを所定の集計期間で集計するサイクルタイム集計手段と、該サイクルタイム集計手段による集計結果を前記集計期間における経時変化で表示する集計結果表示手段とを備え、前記集計結果が、前記集計期間を分割した所定の単位期間における所定のサイクルタイム幅毎の前記ワークの個数を含み、前記集計結果表示手段が、各前記単位期間における前記ワークの加工総数に対する各前記単位期間における前記サイクルタイム幅毎の前記ワークの個数の比率を帯グラフ形式で前記単位期間と同一画面上に図示することを特徴とする。
【0007】
第2に、前記集計結果表示手段が、前記集計結果を前記集計期間における経時変化で図示することを特徴とする。
【0009】
第3に、前記データベースが、前記工作機械に対する作業内容と作業時刻とからなる作業ログを記憶し、前記集計結果表示手段が、所定時刻における前記作業ログを表示する作業ログ表示部と、該作業ログ表示部に表示させる前記作業ログに対応する時刻を指示する作業ログ選択部とを有していることを特徴とする。
【0010】
第4に、前記データベースが、前記サイクルタイム以外の前記工作機械の稼働情報を記憶し、前記集計結果表示手段が、所定時刻における前記工作機械の稼働情報を表示する稼働情報表示部と、該稼働情報表示部に表示させる前記工作機械の稼働情報に対応する時刻を指示する稼働情報選択部とを有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以下の効果を奏することができる。
(1)データベースに共有されたサイクルタイムを所定の集計期間で集計するサイクルタイム集計手段と、このサイクルタイム集計手段による集計結果を集計期間における経時変化で表示する集計結果表示手段とを備えていることにより、集計結果表示手段が、サイクルタイムの変化を工作機械の管理者にとって確認しやすい状態で表示するため、工具変更に伴うサイクルタイムの変化だけでなく工具変更以外の保守メンテナンスや稼動トラブル等のサイクルタイムの変化要因によりサイクルタイムに変化が生じた場合であっても、稼働状況表示装置がサイクルタイム自体を表示する場合に比べて、工作機械の管理者が、工作機械の稼働状況を経時的な変化として把握して、サイクルタイムの変化要因を検証しやすくすることができる。
また、集計結果が、集計期間を分割した所定の単位期間における所定のサイクルタイム幅毎のワークの個数を含み、集計結果表示手段が、各単位期間におけるワークの加工総数に対する各単位期間におけるサイクルタイム幅毎のワークの個数の比率を帯グラフ形式で単位期間と同一画面上に図示することにより、各単位期間におけるワークの加工総数に対する各単位期間におけるサイクルタイム幅毎のワークの個数の比率が帯グラフとして可視化されるため、工作機械の管理者が、工場の生産性に影響を与えるサイクルタイムの傾向的な変化を帯グラフの長短で把握して、その変化要因をより簡便に検証することができる。
【0012】
(2)集計結果表示手段が、集計結果を集計期間における経時変化で図示することにより、集計期間における集計結果の経時変化が工作機械の管理者にとってさらに確認しやすい状態で表示されるため、工作機械の管理者が、工作機械の稼働状況を経時的な変化として把握してサイクルタイムの変化要因を検証することができる。
【0014】
(3)データベースが、工作機械に対する作業内容と作業時刻とからなる作業ログを記憶し、集計結果表示手段が、所定時刻における作業ログを表示する作業ログ表示部と、この作業ログ表示部に表示させる作業ログに対応する時刻を指示する作業ログ選択部とを有していることにより、工作機械の管理者が集計結果表示手段を見てサイクルタイムの変化を発見した際、サイクルタイムの変化が生じた時間帯の作業ログを確認可能となるため、工作機械の管理者が、サイクルタイムの変化要因を容易に特定することができる。
【0015】
(4)データベースが、サイクルタイム以外の工作機械の稼働情報を記憶し、集計結果表示手段が、所定時刻における工作機械の稼働情報を表示する稼働情報表示部と、この稼働情報表示部に表示させる工作機械の稼働情報に対応する時刻を指示する稼働情報選択部とを有していることにより、工作機械の管理者が集計結果表示手段を見てサイクルタイムの変化を発見した際、サイクルタイムの変化が生じた時間帯の工作機械の稼働情報を確認可能となるため、工作機械の管理者が、サイクルタイムの変化要因を容易に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例である稼働状況表示装置を組み込んだ工作機械の斜視図。
【
図2】
図1に示す稼働状況表示装置のシステム構成図。
【
図3】
図1に示す稼働状況表示装置のディスプレイに表示される図。
【
図4】
図1に示す稼働状況表示装置による工作機械の稼働状況の表示方法を示すフローチャート。
【
図5A】サイクルタイム集計手段による集計方法を説明する図。
【
図5B】サイクルタイム集計手段による集計方法を説明する図。
【
図6】
図1に示す稼働状況表示装置のディスプレイへの表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、ワークを工具で加工する際のワーク1個あたりのサイクルタイムをワーク毎に順次計測するサイクルタイム計測手段とこのサイクルタイム計測手段で計測されたサイクルタイムを記憶するメモリーとを備えた工作機械の稼働状況を表示する、工作機械の稼働状況表示装置であって、工作機械のメモリーに記憶されたサイクルタイムを工作機械のメモリーとの間で共有して記憶するデータベースと、このデータベースに記憶されたサイクルタイムを所定の集計期間で集計するサイクルタイム集計手段と、このサイクルタイム集計手段による集計結果を集計期間における経時変化で表示する集計結果表示手段とを備え、集計結果が、集計期間を分割した所定の単位期間における所定のサイクルタイム幅毎のワークの個数を含み、集計結果表示手段が、各単位期間におけるワークの加工総数に対する各単位期間におけるサイクルタイム幅毎のワークの個数の比率を帯グラフ形式で単位期間と同一画面上に図示することにより、工具変更に伴うサイクルタイムの変化だけでなく工具変更以外でサイクルタイムに変化が生じた場合であってもサイクルタイムの変化要因を管理者が検証し易いものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0018】
例えば、稼働状況表示装置は、工作機械に組み込まれていてもよいし、工作機械から離間された場所に配置されてもよい。
【実施例】
【0019】
以下、
図1乃至
図6に基づいて、本発明の実施例である工作機械の稼働状況表示装置について説明する。
図1は、本発明の実施例である稼働状況表示装置を組み込んだ工作機械の斜視図であり、
図2は、
図1に示す稼働状況表示装置のシステム構成図であり、
図3は、
図1に示す稼働状況表示装置のディスプレイに表示される図であり、
図4は、
図1に示す稼働状況表示装置による工作機械の稼働状況の表示方法を示すフローチャートであり、
図5A及び
図5Bは、サイクルタイム集計手段による集計方法を説明する図であり、
図6は、
図1に示す稼働状況表示装置のディスプレイへの表示例を示す図である。
【0020】
稼働状況表示装置100は、
図1に示すように、自動旋盤やマシニングセンタ(MC)等の工作機械10に取り付けられ、工作機械10から稼働状況を取得して表示する。
【0021】
工作機械10は、
図1および
図2に示すように、ワークを加工する加工室11と、ワーク1個あたりのサイクルタイム(以下、「サイクルタイム」という。)をワーク毎に順次計測するサイクルタイム計測手段12と、メモリー13とを備えている。
加工室11の内部には、ワークを加工する工具が設置されている。
サイクルタイム計測手段12は、1個のワークに対する所定の作業が開始されてから所定の作業が終了するまでの時間をサイクルタイムとしてワーク毎に順次計測する。
メモリー13は、サイクルタイム計測手段12で計測されたサイクルタイムを記憶する。
【0022】
稼働状況表示装置100は、
図2に示すように、データベース110と、サイクルタイム集計手段120と、集計結果表示手段としてのディスプレイ130とを備えている。
【0023】
データベース110は、工作機械10から取得した種々のデータを記憶する。
【0024】
サイクルタイム集計手段120は、データベース110に記憶されたサイクルタイムを後述する方法で所定の集計期間で集計する。
【0025】
ディスプレイ130は、
図1に示すように稼働状況表示装置100の前面側に配置されたタッチパネルである。
また、このディスプレイ130は、
図3に示すように、サイクルタイム集計手段120による集計結果を前述の集計期間における経時変化で表示する集計結果表示部131と、この集計結果表示部131に重ね合わせて表示される作業ログ表示部132および稼働情報表示部133と、集計結果表示部131の下部に表示される作業ログ選択部134と、集計結果表示部131の下部に表示される稼働情報選択部135とを有している。
【0026】
作業ログ表示部132は、作業ログ選択部134から指示された時刻における後述の作業ログを表示する。
【0027】
稼働情報表示部133は、稼働情報選択部135から指示された時刻における工作機械10の後述の稼働情報を表示する。
【0028】
作業ログ選択部134は、集計期間を所定の単位期間毎にプルダウンメニュー形式で表示し、かつユーザーが選択可能な形式になっている。ユーザーが、プルダウンで表示された期間を選択することで、その期間に行なった作業ログを作業ログ表示部132に指示する。
【0029】
稼働情報選択部135は、集計期間を所定の単位期間毎にプルダウンメニュー形式で表示し、かつユーザーが選択可能な形式になっている。ユーザーが、プルダウンで表示された期間を選択することで、その期間の稼働情報を稼働情報表示部133に指示する。
【0030】
次に、
図4に基づいて、このように構成された稼働状況表示装置100による工作機械10の稼働状況の表示方法について説明する。
【0031】
まず、稼働状況表示装置100は、接続されている工作機械10から所定の集計期間(例えば、24時間)分の複数のデータを取得して、データベース110に記憶する(ステップS1)。
【0032】
すなわち、稼働状況表示装置100は、工作機械10のメモリー13からサイクルタイムと、工作機械10に対する作業内容(例えば、工具交換、切粉の除去、制御プログラムの変更、操作履歴など)と作業時刻とからなる作業ログと、サイクルタイム以外の工作機械10の稼働情報(例えば、工作機械10で発生したアラーム情報、工作機械10のステータス、工作機械10が有する各種センサーの値など)とを取得し、データベース110はこれらの取得データを共有して記憶する。
【0033】
続いて、サイクルタイム集計手段120が、データベース110に共有されたサイクルタイムをすべて取得する(ステップS2)。
すなわち、集計期間のあいだにワークが1000個加工されていたのであれば、サイクルタイム集計手段120は、ワーク1000個分のサイクルタイムを取得する(具体例:
図5A)。
【0034】
続いて、サイクルタイム集計手段120は、データベース110から取得したサイクルタイムを集計する(ステップS3)。
具体的には、サイクルタイム集計手段120は、データベース110から取得したサイクルタイムを所定のサイクルタイム幅(例えば、0.4秒)で区分けし、サイクルタイム幅を上位の所定個数(例えば、49.4秒~49.8秒、49.8秒~50.2秒、50.2秒~50.6秒の3個)とそれ以外(例えば、49.4秒未満、50.6秒より長い)に分別する。
そして、集計期間を分割した単位期間(例えば、3時間)におけるサイクルタイム幅毎のワークの加工個数を集計する(具体例:
図5B)。
【0035】
続いて、ディスプレイ130の集計結果表示部131は、サイクルタイム集計手段120による集計結果(各単位期間におけるワークの加工総数に対する各単位期間におけるサイクルタイム幅毎のワークの個数の比率)を帯グラフにして、単位期間(開始時刻と終了時刻)と同一画面上に図示する(ステップS4)。
具体的には、集計結果表示部131は、集計結果を縦軸方向に帯グラフとしたものを表示し、横軸の目盛りに単位期間を表示する。
【0036】
このステップS1からステップS4を繰り返すことで、ディスプレイ130は、サイクルタイム集計手段120による集計結果を集計期間における経時変化で定期的に図示することになる。
ディスプレイ130の具体的な表示例は、
図6に示すとおりである。
【0037】
工作機械10の管理者は、このディスプレイ130の表示を確認することで、工作機械の稼働状況を経時的な変化として把握して、サイクルタイムの変化要因を検証する。
さらに、工作機械10の管理者は、サイクルタイムの割合が変化した時刻(以下、「異常時刻」という。)における作業ログを確認したい場合、作業ログ選択部134を操作して異常時刻を選択し、作業ログ表示部132に異常時刻における作業ログを表示させることができる。
同様に、異常時刻における工作機械10の稼働情報を確認したい場合、稼働情報選択部135を操作して異常時刻を選択し、稼働情報表示部133に異常時刻における稼働情報を表示させることができる。
【0038】
以上説明したように、本発明の一実施例である稼働状況表示装置100によれば、データベース110に記憶されたサイクルタイムを定期的に集計するサイクルタイム集計手段120と、このサイクルタイム集計手段120による集計結果を集計期間における経時変化で図示する集計結果表示手段であるディスプレイ130とを備えていることにより、ディスプレイ130が、サイクルタイムの変化を工作機械10の管理者にとって確認しやすい状態で図示するため、工具変更以外の保守メンテナンスや稼動トラブル等のサイクルタイムの変化要因によりサイクルタイムに変化が生じた場合であっても、稼働状況表示装置100がサイクルタイム自体を表示する場合に比べて、工作機械10の管理者が工作機械10の稼働状況を経時的な変化として把握して、サイクルタイムの変化要因を検証しやすくすることができる。
【0039】
また、集計結果が、集計期間を分割した所定の単位期間における所定のサイクルタイム幅毎のワークの個数を含み、ディスプレイ130が、各単位期間におけるワークの加工総数に対する各単位期間におけるサイクルタイム幅毎のワークの個数の比率を帯グラフ形式で単位期間と同一画面上に図示することにより、サイクルタイム幅毎のワークの個数の割合が、帯グラフとして可視化されるため、工作機械10の管理者が、工場の生産性に影響を与える工作機械10のサイクルタイムの傾向的な変化を帯グラフの長短で把握して、その変化要因をより簡便に検証することができる。
一般に、ワークを1000個加工する最中に一回サイクルタイムが10秒遅くなった場合、このサイクルタイム遅れの原因は比較的簡単に見つけることができる。
しかしながら、ワークを10個加工する最中に一回サイクルタイムが0.1秒遅くなった場合、サイクルタイム遅れが生じた事実を把握することすら困難となることが多い。
多くの場合、後者(ワークを10個加工する最中に一回サイクルタイムが0.1秒遅くなった場合)のほうが長期的な視点では工場の生産性へ与える影響は大きい。
そこで、稼働状況表示装置100は、サイクルタイム自体を表示するのではなくサイクルタイムの比率を表示している。
【0040】
また、データベース110が、工作機械10に対する作業内容と作業時刻とからなる作業ログを記憶し、ディスプレイ130が、所定時刻における作業ログを表示する作業ログ表示部132と、この作業ログ表示部132に表示させる作業ログに対応する時刻を指示する作業ログ選択部134とを有していることにより、工作機械10の管理者がディスプレイ130を見てサイクルタイムの変化を発見した際、サイクルタイムの変化が生じた時間帯の作業ログを確認可能となるため、工作機械10の管理者が、サイクルタイムの変化要因を容易に特定することができる。
【0041】
また、データベース110が、サイクルタイム以外の工作機械10の稼働情報を記憶し、ディスプレイ130が、所定時刻における工作機械10の稼働情報を表示する稼働情報表示部133と、この稼働情報表示部133に表示させる工作機械10の稼働情報に対応する時刻を指示する稼働情報選択部135とを有していることにより、工作機械10の管理者がディスプレイ130を見てサイクルタイムの変化を発見した際、サイクルタイムの変化が生じた時間帯の工作機械10の稼働情報を確認可能となるため、工作機械10の管理者が、サイクルタイムの変化要因を容易に特定することができる。
【0042】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、上記の実施例に限定されるものではない。
【0043】
例えば、本実施例では、稼働状況表示装置100は、工作機械10に取り付けられていたが、稼働状況表示装置100は、工作機械10から定期的に複数のデータを取得できれば、工作機械10と離間した場所に配置されていてもよい。
また、稼働状況表示装置100は、コンピューターやタブレット端末、スマートフォンといった情報端末のアプリケーションであってもよい。
【0044】
例えば、本実施例では、集計結果表示手段としてのディスプレイ130はタッチパネルであったが、タッチパネルではない単なる表示装置であってもよい。
【0045】
例えば、本実施例では、稼働状況表示装置100の集計結果表示部131が、サイクルタイム幅毎のワークの個数比率を帯グラフ形式で図示していたが、集計結果表示部131は、サイクルタイム集計手段120による集計結果を集計期間における経時変化で表示できれば、経時変化の表示方法は、帯グラフ以外であってもよい。
【0046】
例えば、本実施例では、単位期間は1時間を例示したが、単位期間は集計期間に対して等間隔であってもよいし、不等間隔であってもよい。
【0047】
例えば、本実施例では、稼働状況表示装置100が、作業ログと稼働情報とを表示可能であったが、いずれか一方のみを表示してもよい。
【0048】
例えば、本実施例では、作業ログ選択部134および稼働情報選択部135は、集計結果表示部131の下方に配置されていたが、作業ログ選択部134および稼働情報選択部135の配置場所は、これに限定されるものではない。
【0049】
例えば、本実施例では、作業ログ表示部132と稼働情報表示部133とが異なる位置に表示されるものであったが、同じ位置に表示されてもよいし、一方が、他方と一部重なっていてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10・・・工作機械
11・・・加工室
12・・・サイクルタイム計測手段
13・・・メモリー
100・・・稼働状況表示装置
110・・・データベース
120・・・サイクルタイム集計手段
130・・・ディスプレイ(集計結果表示手段)
131・・・集計結果表示部
132・・・作業ログ表示部
133・・・稼働情報表示部
134・・・作業ログ選択部
135・・・稼働情報選択部