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特許7536496キサンテン系色素、該色素を含有する着色組成物、カラーフィルター用着色剤およびカラーフィルター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】キサンテン系色素、該色素を含有する着色組成物、カラーフィルター用着色剤およびカラーフィルター
(51)【国際特許分類】
   C09B 11/28 20060101AFI20240813BHJP
   C09B 67/46 20060101ALI20240813BHJP
   C09D 7/41 20180101ALI20240813BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20240813BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
C09B11/28 G CSP
C09B67/46 A
C09D7/41
C09D201/00
G02B5/20 101
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020081063
(22)【出願日】2020-05-01
(65)【公開番号】P2020200444
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】P 2019108287
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005315
【氏名又は名称】保土谷化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】神田 大三
(72)【発明者】
【氏名】朴 眞姫
(72)【発明者】
【氏名】山縣 直哉
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-167554(JP,A)
【文献】特開2011-241372(JP,A)
【文献】特表2000-516580(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02889060(FR,A1)
【文献】特開2007-211226(JP,A)
【文献】Deal, Parker E.; Kulkarni, Rishikesh U.; et al.,Isomerically Pure Tetramethylrhodamine Voltage Reporters,Journal of the American Chemical Society,2016年,138(29),,9085-9088,
【文献】Liu, Shuhua; Zhang, Zhihua; Han, Mingyong,Gram-scale synthesis and biofunctionalization of silica-coated silver nanoparticles for fast colorimetric DNA detection,Analytical Chemistry ,2005年,77(8),,2595-2600
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 11/28
C09B 67/46
C09D 7/41
C09D 201/00
G02B 5/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるキサンテン系色素。
【化1】
[式中、R~Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、
または置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のヘテロ原子を含んでもよい単環、多環もしくは縮合環の芳香族炭化水素基を表し、
とR、またはRとRは前記アルキル基のとき、単結合を介して互いに結合して5員環または6員環を形成していてもよい。
およびRは、それぞれ独立に、―H、ハロゲン原子、―NO、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す。
およびRは、それぞれ独立に、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、
または置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のヘテロ原子を含んでもよい単環、多環もしくは縮合環の芳香族炭化水素基を表し、
とRは前記アルキル基のとき、単結合を介して互いに結合して5員環または6員環を形成していてもよい。
は、ハロゲン原子、―OH、―CN、―OCH、―OCONR1011、―SO 、―SOH、―SOM、―SO10、―SONR1011、―CONR1011、または置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のヘテロ原子を含んでもよい単環、多環もしくは縮合環の芳香族炭化水素基を表す。
nは1または2であり、nが2のとき、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
10およびR11は、それぞれ独立に、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、
または置換基を有していてもよい炭素原子数2~20の芳香族炭化水素基を表し、
10およびR11は前記アルキル基のとき、単結合を介して互いに結合して5員環または6員環を形成していてもよい
は有機カチオンまたは無機カチオンを表し、複数存在する場合、同一でも異なっていてもよい。
Anは(CF SO 、(C SO 、(C SO
(CN) 、または(PW 12 40 3- を表し、aは1~3の整数を表し、bは0~3の整数を表す。
ただし、一般式(1)は全体として電荷的に中性であるものとする。]
【請求項2】
前記一般式(1)において、
~R、R、R、R10およびR11が置換基を有していてもよい炭素原子数1~10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含んでもよい単環、多環もしくは縮合環の炭素原子数6~12の芳香族炭化水素基であり、
およびRが―H、―Cl、―Brまたは炭素原子数1~10の直鎖状のアルキル基であり、
が―F、―Cl、―Br、―CN、―OCONR1011、―SO 、―CONR1011、またはフェニル基である、
求項1に記載のキサンテン系色素。
【請求項3】
前記一般式(1)において、bが1~3の整数である、請求項1または請求項2に記載のキサンテン系色素。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のキサンテン系色素を含有する着色組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の着色組成物を含有するカラーフィルター用着色剤。
【請求項6】
請求項5に記載のカラーフィルター用着色剤を用いたカラーフィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キサンテン系色素、該色素を含有する着色組成物、該着色組成物を含有するカラーフィルター用着色剤および該着色剤を用いたカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶や電界発光(EL)表示装置およびCCDやCMOSの撮像素子に、カラーフィルターが用いられる。カラーフィルターは、ガラスや透明樹脂などの透光性基板上に、染色法、顔料分散法、印刷法、電着法などにより、色素薄膜や色素-樹脂複合体膜などの着色層を積層することによって製造される。
キサンテン系色素はその鮮明性からカラーフィルターの着色剤として用いられている化合物である(特許文献1~4など)。例えば、下記式(B-1)で表されるC.I.アシッドレッド289や下記式(B-2)で表されるC.I.アシッドレッド52などのキサンテン系色素をアゾピリドン系色素と併用することにより、優れた赤色色調が得られる(特許文献1)。ここで、C.I.とはカラーインデックスを意味する。
【0003】
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-265834号公報
【文献】特開2012-207224号公報
【文献】特開2010-254964号公報
【文献】特開2014-12814号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】「Chemical Communications」、(イギリス)、2015年、第51巻、p.4414-4416、Supporting Information
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在の表示装置の開発においては、常により高い性能(高精細、広色域、低電圧)が求められており、使用するカラーフィルターの性能(高透過率、高色純度などの色特性)に対する要求も高くなっている。カラーフィルターはその製造工程で加熱する必要があるため耐熱性が求められているが、カラーフィルターに用いられる色素、例えば、キサンテン系色素の耐熱性は十分とは言えなかった。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、耐熱性に優れたキサンテン系色素、該色素を含有する着色組成物、該着色組成物を含有するカラーフィルター用着色剤およびカラーフィルターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明のキサンテン系色素が、従来の色素と比べて耐熱性に優れていることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は以下を要旨とする。
【0009】
1.下記一般式(1)で表されるキサンテン系色素。
【0010】
【化2】
【0011】
[式中、R~Rは、それぞれ独立に、―H、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、
または置換基を有していてもよい炭素原子数2~20の、好ましくは炭素原子数6~20のヘテロ原子を含んでもよい単環、多環もしくは縮合環の芳香族炭化水素基を表し、
とR、またはRとRは単結合、二重結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して、または介さずに互いに結合して環を形成していてもよい。
およびRは、それぞれ独立に、―H、ハロゲン原子、―NO、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す。
およびRは、それぞれ独立に、―H、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、
または置換基を有していてもよい炭素原子数2~20の、好ましくは炭素原子数6~20のヘテロ原子を含んでもよい単環、多環もしくは縮合環の芳香族炭化水素基を表し、
とRは、単結合、二重結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して、または介さずに互いに結合して環を形成していてもよい。
は、ハロゲン原子、―OH、―CN、―OCH、―OCONR1011、―NO、―SO 、―SOH、―SOM、―SO10、―SONR1011、―COH、―COM、―CO10、―CONR1011、―CH=CHR10
置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、
置換基を有していてもよい炭素原子数2~20の、好ましくは炭素原子数6~20のヘテロ原子を含んでもよい単環、多環もしくは縮合環の芳香族炭化水素基、または
置換基を有していてもよい炭素原子数0~20のアミノ基を表す。
nは1~4の整数を表し、nが2以上のとき、複数存在するRは同一でも異なっていてもよく、単結合、二重結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して、または介さずに互いに結合して環を形成していてもよい。
10およびR11は、それぞれ独立に、―H、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、
または置換基を有していてもよい炭素原子数2~20の、好ましくは炭素原子数6~20のヘテロ原子を含んでもよい単環、多環もしくは縮合環の芳香族炭化水素基を表し、
10とR11は、単結合、二重結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して、または介さずに互いに結合して環を形成していてもよい。
Xは―O―、―S―または―Se―を表す。
Mは有機カチオンまたは無機カチオンを表し、複数存在する場合、同一でも異なっていてもよい。
Anはアニオンを表し、aは1~3の整数を表し、bは0~3の整数を表す。
ただし、一般式(1)は全体として電荷的に中性であるものとする。]
【0012】
2.前記一般式(1)において、
~R、R、R、R10およびR11が置換基を有していてもよい炭素原子数1~10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含んでもよい単環、多環もしくは縮合環の炭素原子数6~12の芳香族炭化水素基であり、
およびRが―H、―Cl、―Brまたは炭素原子数1~10の直鎖状のアルキル基であり、
が―F、―Cl、―Br、―CN、―OCONR1011、―NO、―SO 、―CONR1011、フェニル基または―N(Cであり、
nが1または2であり、Xが―O―または―S―であるキサンテン系色素。
【0013】
3.前記一般式(1)において、
Anが、Cl、Br、I、(CFSO、(CFSO
(CN)、(CN)、NC―S、(C
(CSO )O(C(C1225)(SO ))、
(C1225)(SO )、PF 、BF または
(PW12403-であり、かつ、bが1~3の整数であるキサンテン系色素。
【0014】
4.前記キサンテン系色素を含有する着色組成物。
【0015】
5.前記着色組成物を含有するカラーフィルター用着色剤。
【0016】
6.前記カラーフィルター用着色剤を用いたカラーフィルター。
【発明の効果】
【0017】
本発明のキサンテン系色素、該色素を含有する着色組成物は、耐熱性に優れ、カラーフィルター用着色剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。まず、前記一般式(1)で表されるキサンテン系色素について説明する。
【0019】
一般式(1)において、R~R11で表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」における「炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」としては、具体的に、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの直鎖状のアルキル基;
イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基などの分岐状のアルキル基があげられる。
【0020】
一般式(1)において、R~RおよびR~R11で表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数2~20の、好ましくは炭素原子数6~20のヘテロ原子を含んでもよい単環、多環もしくは縮合環の芳香族炭化水素基」における「炭素原子数2~20の、好ましくは炭素原子数6~20のヘテロ原子を含んでもよい単環、多環もしくは縮合環の芳香族炭化水素基」は、アリール基および縮合多環芳香族基を含み、「炭素原子数2~20の、好ましくは炭素原子数6~20のヘテロ原子を含んでもよい単環、多環もしくは縮合環の芳香族炭化水素基」としては、具体的に、フェニル基、ビフェニリル基、テルフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基(アントリル基)、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基があげられる。
【0021】
一般式(1)において、Rで表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」における「炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」としては、具体的に、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの直鎖状のアルキル基;
イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基などの分岐状のアルキル基などがあげられる。
一般式(1)において、Rで表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数2~20の、好ましくは炭素原子数6~20のヘテロ原子を含んでもよい単環、多環もしくは縮合環の芳香族炭化水素基」における「炭素原子数2~20の、好ましくは炭素原子数6~20のヘテロ原子を含んでもよい単環、多環もしくは縮合環の芳香族炭化水素基」としては、具体的に、
フェニル基、ビフェニリル基、テルフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基(アントリル基)、テトラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基(アリール基および縮合多環芳香族基を含む。)などがあげられる。
一般式(1)において、Rで表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数0~20のアミノ基」における「炭素原子数0~20のアミノ基」としては、具体的に、
アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジ(2-エチルヘキシル)基、ジ-t-ブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、エチルフェニルアミノ基、などがあげられる。
【0022】
一般式(1)において、R、RおよびRで表される「ハロゲン原子」としては、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、ヨウ素原子(I)などがあげられ、F、ClまたはBrが好ましく、ClまたはBrがより好ましい。
【0023】
一般式(1)において、R~R11で表される
「置換基を有する炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」または
~RおよびR~R11で表される「置換基を有する炭素原子数2~20の、好ましくは炭素原子数6~20のヘテロ原子を含んでもよい単環、多環もしくは縮合環の芳香族炭化水素基」、Rで表される「置換基を有していてもよい炭素原子数0~20のアミノ基」における「置換基」としては、具体的に、
重水素原子、―OH、―CN、―CF、―NO
―SO 、―SOH、―SOMで表されるスルホン酸基、または
―CO 、―COH、―COMで表されるカルボン酸基;
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;
炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;
炭素原子数3~20のシクロアルキル基;
炭素原子数2~20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基;
炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基;
炭素原子数3~20のシクロアルコキシ基または1-アダマンチルオキシ基、2-アダマンチルオキシ基;
炭素原子数1~20のアシル基;
炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;
炭素原子数2~20の複素環基;
炭素原子数6~20のアリールオキシ基;
無置換アミノ基;炭素原子数1~20の一置換もしくは二置換アミノ基、などがあげられる。これらの「置換基」は1つのみ含まれてもよく、複数含まれてもよく、複数含まれる場合は互いに同一でも異なっていてもよい。また、これら「置換基」はさらに、前記例示した置換基を有していてもよい。なお、「置換基」が炭素原子を含む場合、その炭素原子は、上記の「炭素原子数1~20」、「炭素原子数2~20」および「炭素原子数6~20」、「炭素原子数0~20」に算入される。また、これらの置換基同士が単結合、二重結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
【0024】
一般式(1)において、「M」で表される「有機カチオン」または「無機カチオン」が存在する場合、「有機カチオン」としては、具体的に、R12131415で表されるアンモニウムイオンがあげられ、R12~R15は、それぞれ独立に、―H、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素原子数2~20の、好ましくは炭素原子数6~20のヘテロ原子を含んでもよい単環、多環もしくは縮合環の芳香族炭化水素基を表し、単結合、二重結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して、または介さずに互いに結合して環を形成してもよい。なお、式中、R12~R15における「置換基」、「炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」および「炭素原子数2~20の、好ましくは炭素原子数6~20のヘテロ原子を含んでもよい単環、多環もしくは縮合環の芳香族炭化水素基」の詳細は、前記一般式(1)におけるR~R11と同様のものが適用される。また、「無機カチオン」としては、リチウムイオン、ナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオン、または、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオンなどのアルカリ土類金属イオンがあげられる。Mとしては、アルカリ金属イオンが好ましい。
【0025】
なお、一般式(1)においてR~R11で表される「置換基」を有する上記の各種の「基」において、「置換基」としてあげられている、
「炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、
「炭素原子数3~20のシクロアルキル基」、
「炭素原子数2~20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」、
「炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基」、
「炭素原子数3~20のシクロアルコキシ基」、
「炭素原子数1~20のアシル基」、
「炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基」、
「炭素原子数2~20の複素環基」、
「炭素原子数6~20のアリールオキシ基」、または
「炭素原子数1~20の一置換もしくは二置換アミノ基」としては、具体的に、
メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基などの直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;
シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基などのシクロアルキル基;
ビニル基、1-プロペニル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、1-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基などのアルケニル基、またはこれらが複数結合した直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、イソオクチルオキシ基などの直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基;
シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロデシルオキシ基などの炭素原子数3~20のシクロアルコキシ基;
ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、アクリリル基、ベンゾイル基などのアシル基;
フェニル基、ビフェニリル基、テルフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基(アントリル基)、テトラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;
チエニル基、フリル基(フラニル基)、ピロリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフラニル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、プリニル基、カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、ピリジル基、ピリミジリニル基、トリアジニル基、キノリル基、イソキノリル基、ナフチリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、ナフチリジニル基、カルボリニル基などの複素環基;
フェニルオキシ基、トリルオキシ基、ビフェニリルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントラセニルオキシ基、フェナントレニルオキシ基などのアリールオキシ基;
メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジ(2-エチルヘキシル)基、ジ-t-ブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などの直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または、芳香族炭化水素基を有する一置換もしくは二置換アミノ基、などがあげられる。
【0026】
一般式(1)において、RとR、RとR、RとR、R10とR11は、単結合、二重結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して、または介さずに互いに結合して環を形成していてもよく、それらの環は、5員環または6員環が好ましく、6員環がより好ましい。
【0027】
一般式(1)において、Xは、酸素原子(―O―)、硫黄原子(―S―)またはセレン原子(―Se―)を表し、―O―または―S―が好ましく、―O―がより好ましい。
【0028】
一般式(1)において、「a」は、一般式(1)中、下記一般式(1-C)で表される化合物(キサンテン系色素)の部分の数を表す。「An」はアニオンを表し、「b」はAnの数を表す。一般式(1)において、下記式(1-C)の分子が、分子全体で電荷の総和が1価以上のカチオンである場合、つまりbが1~3の整数の場合、対イオンとして、「An」で表される任意のアニオンと錯体を形成して使用することができる。ただし、一般式(1)で表される化合物において、aおよびbは、全体として電荷的に中性となるように選択される。aは1~3の整数を表し、1または2が好ましい。bは0~3の整数を表し、1~3の整数が好ましい。
【0029】
【化3】
【0030】
[式中、R~R、nおよびXは、前記一般式(1)における定義と同じである。]
【0031】
一般式(1)において、「An」は特に限定されず、例えば、ハロゲン化物イオンなどの無機アニオン、または有機アニオンがあげられる。具体的には、
Cl、Br、I;(CFSO、(CFSO
(CSO、(CSO
(CN)、(CN)、NC―S、(C
(CSO )O(C(C1225)(SO ))、
(C1225)(SO )、PF 、BF 、(PW12403-
CH(CH11OSO などのアルキル硫酸イオン、
CH(CH15SO などのアルカンスルホン酸イオン、
CF(CFSO などのペルフルオロアルカンスルホン酸イオン、
または、下記式(J-1)~(J-13)の構造式で示すアニオンなどがあげられる。
【0032】
【化4】
【0033】
【化5】
【0034】
【化6】
【0035】
【化7】
【0036】
一般式(1)において、R~Rとしては、―H、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素原子数6~12のヘテロ原子を含んでもよい単環、多環もしくは縮合環の芳香族炭化水素基が好ましい。
【0037】
一般式(1)において、RおよびRは、―H、―Cl、―Brまたは炭素原子数1~10の直鎖状のアルキル基が好ましい。
【0038】
一般式(1)において、RおよびRは、―H、置換基を有していてもよい炭素原子数1~10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素原子数6~12のヘテロ原子を含んでもよい単環、多環もしくは縮合環の芳香族炭化水素基が好ましい。
【0039】
一般式(1)において、Rは、―F、―Cl、―Br、―CN、―OCONR1011、―NO、―SO 、―CONR1011、フェニル基または―N(Cが好ましい。また、nはRの数を表し、1~4の整数を表すが、nは1または2が好ましい。
【0040】
一般式(1)で表されるキサンテン系色素は、例えば以下のように合成することができる。4-カルボキシフタル酸無水物などの、相当する置換基を有するフタル酸無水物誘導体と、N,N-ジブチル-3-アミノフェノールなどの、相当する置換基を有するアミノフェノール誘導体とを、トルエンおよびメタンスルホン酸などの溶液中、適切な加熱条件で縮合反応させて、下記一般式(X-1)で表される中間体が得られる(例えば、非特許文献1)。次に、下記一般式(X-1)と、N,N-ジプロピルアミンなどの、相当する置換基を有するアミン誘導体を、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスファート(HATU)などの縮合剤を用いることにより、下記一般式(X-2)で表される中間体が得られる。さらに下記一般式(X-2)と、本明細書に記載のAnに相当するアニオンを有する化合物(例えばビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(Li(CFSO、またはLiNTf)など)と、メタノールなどの溶液中、撹拌しカウンター交換を行うことで、一般式(1)で表される化合物を含有する生成物が得られる。なお、下記一般式(X-1)および(X-2)において、R~Rは、一般式(1)の定義と同じ定義を有する。
【0041】
【化8】
【0042】
一般式(1)で表される本発明のキサンテン系色素として好ましい化合物の具体例を以下の式(A-1)~(A-22)に示すが、これらの化合物に限定されない。なお、前記一般式(1-C)で表されるカチオン部を示しており、Anで表されるアニオン部は省略している。下記構造式では、水素原子を一部省略して記載しており、また、立体異性体が存在する場合も、その平面構造式を記載している。
【0043】
【化9】
【0044】
【化10】
【0045】
【化11】
【0046】
【化12】
【0047】
【化13】
【0048】
【化14】
【0049】
【化15】
【0050】
【化16】
【0051】
【化17】
【0052】
【化18】
【0053】
【化19】
【0054】
本発明のキサンテン系色素は、1種または分子構造の異なる2種以上を組み合わせて使用(例えば混合)してもよい。当該2種以上を使用する際は、キサンテン系色素全体に占める重量濃度比において、最も少ない方の1種のキサンテン系染料の重量濃度比は0.1~50重量%である。キサンテン系色素の種類は1種または2種であるのが好ましい。
【0055】
本発明の化合物の合成途中において、生成物を精製する方法としては、カラムクロマトグラフィーによる精製;シリカゲル、活性炭、活性白土などによる吸着精製;溶媒による再結晶や晶析法などの公知の方法があげられる。また必要に応じて、これらの化合物の同定、分析には、核磁気共鳴分析(NMR)、分光光度計による吸光度測定や紫外可視吸収スペクトル(UV-Vis)測定、熱重量測定-示差熱分析(TG-DTA)などを行うことができる。また、これらの方法は、得られた化合物の溶解性、色彩評価や耐熱性評価にも用いることができる。
【0056】
本発明の化合物を各種樹脂溶液と混合し、ガラス基板上に塗布することにより塗膜を作製できる。得られた塗膜について、分光測色計を用いて測色し、塗膜の色彩値を得ることで色彩評価を行うことができる。色彩値はCIE L表色系などが一般的に用いられる。具体的には、膜試料の色彩値L、a、bを測定し、適当な温度での加熱前後の色彩値の色差(ΔE ab)より、耐熱性を判断することができる。カラーフィルターに応用する場合、230℃前後の温度での色差を耐熱性の指標として用いることができる。色差ΔE abは、その値が小さいほど、熱分解による色の変色が少ないことを意味し、10以下が好ましく、3以下がより好ましい。
【0057】
本発明のキサンテン系色素、該色素を含有する着色組成物、該着色組成物を含有するカラーフィルター用着色剤は、カラーフィルター用着色剤およびカラーフィルターの製造工程において、樹脂などを含有する有機溶媒に良好に溶解または分散させる必要があるため、有機溶媒に対する溶解度や分散性が高いことが好ましい。有機溶媒としては、特に限定されないが、具体的には、酢酸エチル、酢酸-n-ブチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)などのエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)などのエーテルエステル類;アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;メタノール、エタノール、2-プロパノールなどのアルコール類;ジアセトンアルコール(DAA)など;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)などのアミド類;ジメチルスルホキシド(DMSO);クロロホルム(トリクロロメタン)、などがあげられる。これらの溶剤は、単独で用いても、2種類以上混合して用いてもよい。
【0058】
一般式(1)で表されるキサンテン系色素は、有機溶媒に溶解して調製した溶液を用いて、室温付近(例えば23~27℃)で測定する紫外可視吸収スペクトルの可視光領域(例えば、350~700nmの波長範囲)において最大の吸光度を示す、極大吸収波長が観測される。本発明においては、この極大吸収波長が、530nm~610nmの範囲にあることが好ましく、530nm~580nmの範囲にあることがより好ましい。なお、色素濃度は、0.005~0.02mmol/Lが好ましい。溶媒は、色素を溶解するものであれば限定されないが、溶解条件により紫外可視吸収スペクトルの吸収波長が大きくシフトしないものが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい。
【0059】
本発明のカラーフィルター用着色剤は、一般式(1)で表されるキサンテン系色素を少なくとも1種含有する着色組成物と、カラーフィルターの製造に一般的に使用される成分とを含む。一般的なカラーフィルターは、例えば、フォトリソグラフィー工程を利用した方法の場合、染料や顔料などの色素を樹脂成分(モノマー、オリゴマーを含む)や溶媒と混合して調製した液体を、ガラスや樹脂などの基板の上に塗布し、フォトマスクを用いて光重合させ、溶媒に可溶/不溶な色素-樹脂複合膜の着色パターンを作製し、洗浄後、加熱することにより得られる。また電着法や印刷法においても、色素を樹脂やその他の成分と混合したものを用いて着色パターンを作製する。よって、本発明のカラーフィルター用着色剤における具体的な成分としては、少なくとも1種の一般式(1)で表されるキサンテン系色素、その他の染料や顔料などの色素、樹脂成分、有機溶媒、および光重合開始剤などその他の添加剤があげられる。また、これらの成分から取捨選択してもよく、必要に応じて他の成分を追加してもよい。
【0060】
本発明のキサンテン系色素を含有する着色組成物をカラーフィルター用着色剤として用いる場合、各色用カラーフィルターに用いてもよいが、赤色カラーフィルター用着色剤として用いるのが好ましい。
【0061】
本発明のキサンテン系色素を含有するカラーフィルター用着色剤は、1種または2種以上のキサンテン系色素を単独で使用してもよく、色調の調整のために、他の染料または顔料などの公知の色素を混合してもよい。赤色カラーフィルター用着色剤に用いる場合、特に限定されないが、C.I.ピグメントレッド177、209、242、254、255、264、269、C.I.ピグメントオレンジ38、43、71などの赤色系顔料;その他の赤色系レーキ顔料;C.I.ピグメントイエロー138、139、150などの黄色系顔料;C.I.アシッドレッド88、C.I.ベーシックバイオレット10などの赤色染料、などがあげられる。青色カラーフィルター用着色剤に用いる場合、特に限定されないが、C.I.ベーシックブルー3、7、9、54、65、75、77、99、129などの塩基性染料;C.I.アシッドブルー9、74などの酸性染料;ディスパースブルー3、7、377などの分散染料;スピロン染料;シアニン系、インディゴ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、メチン系、トリアリールメタン系、インダンスレン系、オキサジン系、ジオキサジン系、アゾ系、本発明に属さないキサンテン系;その他の青色系レーキ顔料、などの青色系の染料または顔料があげられる。
【0062】
本発明のキサンテン系色素を含有するカラーフィルター用着色剤における他の色素の混合比は、キサンテン系色素(2種以上の場合にはそれらの合計)100重量部に対して5~2000重量部であるのが好ましく、10~1000重量部とするのがより好ましい。液状のカラーフィルター用着色剤中における染料などの色素成分の混合比は、着色剤全体に対して0.5~70重量%であるのが好ましく、1~50重量%であるのがより好ましい。
【0063】
本発明のカラーフィルター用着色剤における樹脂成分としては、これらを使用して形成されるカラーフィルター樹脂膜の製造方式や使用時に必要な性質を有するものであれば、公知のものを使用することができる。例えば、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、スチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエーテル樹脂、フェノール(ノボラック)樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂その他の透明樹脂、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、およびこれらの樹脂の複合体があげられ、これらのモノマーまたはオリゴマー成分とを適宜組み合わせて使用することができる。また、これらの樹脂の共重合体を組み合わせて使用することもできる。これらのカラーフィルター用着色剤における樹脂の含有量は、液状の着色剤の場合、5~95重量%であるのが好ましく、10~50重量%であるのがより好ましい。
【0064】
本発明の着色組成物は、カラーフィルター用着色剤としての性能を高めるために、化合物の他の成分として、界面活性剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、その他のカラーフィルター用着色剤の製造時に混合する添加剤、などの有機化合物などを添加することができる。ただし、着色組成物におけるこれらの添加剤の含有率は適量であることが好ましく、本発明の着色組成物の溶媒中の溶解性を低下させたり、もしくは必要以上に向上させたり、また、カラーフィルター製造時に用いる他の同種の添加剤の効果に影響しない範囲の含有率であることが好ましい。これらの添加物は、着色組成物の調製の任意のタイミングで投入することができる。
【0065】
本発明のカラーフィルター用着色剤におけるその他の添加剤としては、光重合開始剤や架橋剤などの樹脂の重合や硬化に必要な成分があげられ、また、液状のカラーフィルター用着色剤中の成分の性質を安定させるために必要な界面活性剤や分散剤などがあげられる。これらはいずれも、カラーフィルター製造用の公知のものを使用することができ、特に限定されない。カラーフィルター用着色剤の固形分全体におけるこれらの添加剤の総量の混合比は、5~60重量%であるのが好ましく、10~40重量%であるのがより好ましい。
【実施例
【0066】
以下、本発明の実施の形態について、実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。なお、下記合成実施例には、H-NMR分析(ブルカー社製核磁気共鳴装置、300MHz)により行った化合物の同定の結果を示している。
【0067】
[合成実施例1] 化合物(D-1)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。冷却管、撹拌装置、温度計を備えた1L容4つ口フラスコにトリメリット酸無水物28.8g(150.0mmol)、N,N-ジブチル-3-アミノフェノール80.4g(360.0mmol)、メタンスルホン酸375mL、トルエン150mLを加えた後、110℃で64時間撹拌した。反応混合物を室温(23~27℃)まで放冷した後、氷水4.2Lに注加し、室温で30分間撹拌した。混合物を減圧ろ過し、濾別した固体をメタノール500mLに溶解させ、1N塩酸水溶液5Lに滴下した。混合物を減圧ろ過して得た固体を80℃で終夜減圧乾燥し、下記中間体(100)(64.5g,収率62%)を得た。
【0068】
【化20】
【0069】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。冷却管、撹拌装置、温度計を備えた300mL容4つ口フラスコに前記中間体(100)5.7g(9.0mmol)、ジエチルアミン2.6g(36.0mmol)、HATU8.9g(23.4mmol)、トリエチルアミン1.9g(18.9mmol)、DMF90mLを加えた後、90℃で4時間撹拌した。反応混合物を室温(23~27℃)まで放冷した後、1N塩酸水溶液600mlに注加した。析出した固体を減圧ろ過して濾別し、水100mLに加え、室温で30分間撹拌した後、混合物を減圧ろ過した。濾別した固体として、下記中間体(101)を得た。
【0070】
【化21】
【0071】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。冷却管、撹拌装置、温度計を備えた300mL容4つ口フラスコに中間体(101)7.7g(9.0mmol)、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド5.2g(18.0mmol)、メタノール67mLを加えた後、60℃で30分撹拌した。次いで、水100mLを加えた後、70℃で30分攪拌した。反応混合物を室温(23~27℃)まで放冷した後、静置し、上澄み液を除去した。混合物を減圧ろ過して得た固体を80℃で終夜減圧乾燥し、化合物(D-1)(6.5g,収率73%)を暗赤色固体として得た。
【0072】
得られた暗赤色固体のNMR測定を行い、以下の65個の水素のシグナルを検出し、下記式(D-1)で表される化合物の構造と同定した。
【0073】
H-NMR(300MHz、CDCl):δ(ppm)=7.70-7.50(2H)、7.50-7.30(3H)、6.95(2H)、6.76(2H)、3.70-3.40(12H)、3.30-3.10(4H)、1.70(8H)、1.44(8H)、1.40-1.10(9H)、1.01(12H)、0.66(3H)。
【0074】
【化22】
【0075】
[合成実施例2] 化合物(D-2)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。冷却管、撹拌装置、温度計を備えた300mL容4つ口フラスコに3-クロロフタル酸無水物9.1g(50.0mmol)、N,N-ジブチル-3-アミノフェノール22.3g(360.0mmol)、メタンスルホン酸80mL、トルエン50mLを加えた後、110℃で54時間撹拌した。反応混合物を室温(23~27℃)まで放冷した後、氷水1Lに注加し、室温で30分間撹拌した。混合物を減圧ろ過し、濾別した固体をメタノール100mLに溶解させ、1N塩酸水溶液1Lに滴下した。混合物を減圧ろ過して得た固体を80℃で終夜減圧乾燥し、下記中間体(102)(22.4g,収率65%)を得た。
【0076】
【化23】
【0077】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。冷却管、撹拌装置、温度計を備えた300mL容4つ口フラスコに前記中間体(102)6.2g(9.0mmol)、ジエチルアミン2.6g(36.0mmol)、HATU4.4g(11.7mmol)、トリエチルアミン1.0g(9.9mmol)、DMF67mLを加えた後、90℃で4時間撹拌した。反応混合物を室温(23~27℃)まで放冷した後、1N塩酸水溶液500mLに注加した。析出した固体を減圧ろ過して濾別し、水100mLに加え、室温で30分間撹拌した後、混合物を減圧ろ過した。濾別した固体として、下記中間体(103)を得た。
【0078】
【化24】
【0079】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。冷却管、撹拌装置、温度計を備えた300mL容4つ口フラスコに中間体(103)6.7g(9.0mmol)、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド5.2g(18.0mmol)、メタノール67mLを加えた後、60℃で30分撹拌した。次いで、水100mLを加えた後、70℃で30分攪拌した。反応混合物を室温(23~27℃)まで放冷した後、静置し、上澄み液を除去した。混合物を減圧ろ過して得た固体を80℃で終夜減圧乾燥し、化合物(D-2)(7.2g,収率86%)を暗赤色固体として得た。
【0080】
得られた暗赤色固体のNMR測定を行い、以下の55個の水素のシグナルを検出し、下記式(D-2)で表される化合物の構造と同定した。
【0081】
H-NMR(300MHz、CDCl):δ(ppm)=7.68(1H)、7.60(1H)、7.30-7.20(3H)、7.00-6.70(4H)、3.70-2.70(12H)、1.80-1.30(16H)、1.00(15H)、0.67(3H)。
【0082】
【化25】

[合成実施例3] 化合物(D-3)の合成
【0083】
以下の反応は、窒素気流下で行った。冷却管、撹拌装置、温度計を備えた300mL容4つ口フラスコに前記中間体(100)5.7g(9.0mmol)、ジプロピルアミン3.6g(36.0mmol)、HATU8.9g(23.4mmol)、トリエチルアミン1.9g(18.9mmol)、DMF90mLを加えた後、90℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温(23~27℃)まで放冷した後、1N塩酸水溶液600mlに注加した。析出した固体を減圧ろ過して濾別し、水100mLに加え、室温で30分間撹拌した後、混合物を減圧ろ過した。濾別した固体として、下記中間体(105)を得た。
【0084】
【化26】
【0085】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。冷却管、撹拌装置、温度計を備えた1L容4つ口フラスコに中間体(105)8.2g(9.0mmol)、リンタングステン酸・n水和物13.6g(3.1mmol)、メタノール108mLを加えた後、60℃で30分撹拌した。次いで、水400mLを加えた後、混合物を減圧ろ過して得た固体を80℃で終夜減圧乾燥し、化合物(D-3)(14.0g,収率98%)を暗赤色固体として得た。
【0086】
得られた暗赤色固体のNMR測定を行い、以下の73個の水素のシグナルを検出し、下記式(D-3)で表される化合物の構造と同定した。
【0087】
H-NMR(300MHz、CDCl):δ(ppm)=7.70-7.58(2H)、7.50(1H)、7.25-7.05(4H)、6.97(2H)、3.70-3.50(8H)、3.30-2.70(7H)、1.70-1.30(22H)、1.00-0.65(24H)、0.41(3H)。
【0088】
【化27】
【0089】
[合成実施例4] 化合物(D-4)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。冷却管、撹拌装置、温度計を備えた300mL容4つ口フラスコにトリメリット酸無水物14.4g(75.0mmol)、N,N-ジプロピル-3-アミノフェノール34.8g(180.0mmol)、メタンスルホン酸187mL、トルエン75mLを加えた後、110℃で120時間撹拌した。反応混合物を室温(23~27℃)まで放冷した後、10%塩化ナトリウム水溶液2.1Lに注加し、室温で30分間撹拌した。混合物を減圧ろ過し、濾別した固体をジクロロメタン500mLに溶解させ、酢酸エチル1Lを加えた。混合物を70℃に加熱し500mLまで濃縮した。混合物を減圧ろ過して得た固体を80℃で終夜減圧乾燥し、下記中間体(106)(24.7g,収率52%)を得た。
【0090】
【化28】
【0091】
以下の反応は、窒素気流下で行った。冷却管、撹拌装置、温度計を備えた500mL容4つ口フラスコに前記中間体(106)6.4g(10.0mmol)、ジメチルアミン塩酸塩6.5g(80.0mmol)、HATU9.9g(26.0mmol)、トリエチルアミン4.2g(41.0mmol)、DMF200mLを加えた後、室温(23~27℃)で2時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷した後、1N塩酸水溶液400mlに注加した。析出した固体を減圧ろ過し、濾別した固体をメタノール100mLに溶解させ、水300mLを加えた。室温で30分間撹拌した後、混合物を減圧ろ過した。濾別した固体として、下記中間体(107)を得た。
【0092】
【化29】
【0093】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。冷却管、撹拌装置、温度計を備えた300mL容4つ口フラスコに中間体(107)7.4g(10.0mmol)、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド5.7g(26.0mmol)、メタノール75mLを加えた後、60℃で30分撹拌した。次いで、水400mLを加えた後、60℃で30分攪拌した。混合物を室温(23~27℃)まで放冷した後、静置し、上澄み液を除去した。混合物に水200mLを加えた後、室温で30分攪拌した。混合物を減圧ろ過して得た固体を80℃で終夜減圧乾燥し、化合物(D-4)(7.7g,収率88%)を暗赤色固体として得た。
【0094】
得られた暗赤色固体のNMR測定を行い、以下の49個の水素のシグナルを検出し、下記式(D-4)で表される化合物の構造と同定した。
【0095】
H-NMR(300MHz、CDCl):δ(ppm)=7.72(1H)、7.60(1H)、7.39(1H)、7.35-7.25(2H)、7.00-6.90(2H)、6.75(2H)、3.70-3.40(8H)、3.17(3H)、3.11(3H)、2.97(3H)、2.79(3H)、1.80-1.70(8H)、1.10-1.00(12H)。
【0096】
【化30】
【0097】
[合成実施例5] 化合物(D-5)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。冷却管、撹拌装置、温度計を備えた300mL容4つ口フラスコにトリメリット酸無水物1.9g(10.0mmol)、N,N-ジイソブチル-3-アミノフェノール5.3g(24.0mmol)、パラトルエンスルホン酸3.8g、トルエン20mLを加えた後、80℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温(23~27℃)まで放冷した後、10%塩化ナトリウム水溶液150mLに注加し、70℃で30分間撹拌した。混合物を室温まで放冷した後、1M塩酸水溶液を用いてpHを4に調整し、減圧ろ過して得た固体を80℃で終夜減圧乾燥し、下記中間体(108)(6.4g,収率83%)を得た。
【0098】
【化31】
【0099】
以下の反応は、窒素気流下で行った。冷却管、撹拌装置、温度計を備えた500mL容4つ口フラスコに前記中間体(108)5.7g(9.0mmol)、1,1’-カルボニルジイミダゾール5.8g(36.0mmol)、ジクロロメタン135mLを加えた後、室温で4時間攪拌した。反応混合物にジメチルアミン塩酸塩7.3g(90.0mmol)およびトリエチルアミン9.1g(90.0mmol)を加えた後、室温(23~27℃)で2時間撹拌した。反応混合物を1N塩酸水溶液100mLで3回洗浄し、ナトリウムジシアナミド2.4g(27.0mmol)および水100mlを加えた後、室温で1時間攪拌した。有機層を抽出し、ヘプタン400mlを加え30分攪拌した後、上澄み液を除去した。残った固体にジクロロメタン50mlを加え溶解させ、減圧ろ過して得た固体を80℃で終夜減圧乾燥し、化合物(D-5)(4.2g,収率65%)を暗赤色固体として得た。
【0100】
得られた暗赤色固体のNMR測定を行い、以下の57個の水素のシグナルを検出し、下記式(D-5)で表される化合物の構造と同定した。
【0101】
H-NMR(300MHz、CDCl):δ(ppm)=7.73(1H)、7.64(1H)、7.42(1H)、7.36-7.27(2H)、7.03-6.95(2H)、6.80-6.75(2H)、3.55-3.30(8H)、3.20-3.00(9H)、2.80(3H)、2.17(4H)、1.00(24H)。
【0102】
【化32】
【0103】
[合成実施例6] 化合物(D-6)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。冷却管、撹拌装置、温度計を備えた100mL容4つ口フラスコにトリメリット酸無水物2.50g(13.0mmol)、N-イソブチル-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-3-アミノフェノール7.12g(28.8mmol)、p-トルエンスルホン酸一水和物9.92g(52.2mmol)、トルエン50mLを加えた後、110℃で87時間撹拌した。反応混合物を室温(23~27℃)まで放冷し、静置した後、上澄み液を除去した。残渣を減圧乾燥した後、メタノール30mLに溶解させ、1N塩酸水溶液120mLに滴下した。混合物を減圧ろ過して得た固体を80℃で終夜減圧乾燥し、下記中間体(109)(6.92g,収率77%)を得た。
【0104】
【化33】
【0105】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。冷却管、撹拌装置、温度計を備えた100mL容4つ口フラスコに前記中間体(109)5.50g(8.00mmol)、テトラヒドロフラン50mLを入れた後、水冷下、15~30℃で塩化オキサリル6.15g(48.4mmol)を滴下しながら加えた。反応液を室温(23~27℃)で1時間撹拌した後、溶媒を減圧留去し、クロロホルム50mLに溶解させた。反応液に、水冷下、15~30℃でビス(2-メトキシエチル)アミン12.83g(96.32mmol)、トリエチルアミン16.20g(160.1mmol)を加えた後、室温(23~27℃)で2.5時間撹拌した。反応混合物に水(100mL)を加えた後、クロロホルム200mLで抽出した。有機層を水100mL、2N塩酸水溶液100ml、飽和食塩水100mLで順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧ろ過し、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ジクロロメタン/メタノール=40/1~10/1)で精製した後、室温で終夜減圧乾燥し、下記中間体(110)(6.82g,97%)を得た。
【0106】
【化34】
【0107】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。冷却管、撹拌装置、温度計を備えた100mL容4つ口フラスコに中間体(110)5.50g(6.24mmol)、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド2.20g(7.66mmol)、メタノール50mLを加えた後、室温(23~27℃)で3時間撹拌した。反応混合物の溶媒を減圧留去し、水200mLを加えた後、室温(23~27℃)で30分間攪拌した。反応混合物を静置し、上澄み液を除去した後、残渣を80℃で終夜減圧乾燥し、化合物(D-6)(6.76g,収率73%)を暗赤色固体として得た。
【0108】
得られた暗赤色固体のNMR測定を行い、以下の59個の水素のシグナルを検出し、下記式(D-6)で表される化合物の構造と同定した。
【0109】
H-NMR(300MHz、DMSO-d):δ(ppm)=7.79-7.55(3H)、7.53-7.30(6H)、4.98-4.65(4H)、3.79-3.38(16H)、3.31-3.08(11H)、2.83(3H)、2.68(2H)、2.16(2H)、0.93(12H)。
【0110】
【化35】
【0111】
[合成比較例1] 比較例化合物(E-1)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。冷却管、撹拌装置、温度計を備えた300mL容4つ口フラスコにローダミンB8.9g(20.0mmol)、ジプロピルアミン4.0g(40.0mmol)、HATU9.9g(26.0mmol)、トリエチルアミン4.0g(40.0mmol)、ジクロロメタン60mLを加えた後、室温で1時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、アセトニトリル100mLを加えた。減圧ろ過し不純物を除去した。ろ液を減圧濃縮し、酢酸エチル150mLを加えた後、室温で30分撹拌した。混合物にヘプタン100mLを加えた後、減圧ろ過した。濾別した固体として、下記中間体(104)を得た。
【0112】
【化36】
【0113】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。冷却管、撹拌装置、温度計を備えた100mL容4つ口フラスコに中間体(104)0.8g(1.2mmol)、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド1.0g(3.6mmol)、メタノール15mLを加えた後、60℃で30分撹拌した。次いで、水15mLを加えた後、70℃で30分撹拌した。反応混合物を室温(23~27℃)まで放冷した後、混合物を減圧ろ過して得た固体を80℃で終夜減圧乾燥し、化合物(E-1)(0.8g,収率83%)を暗赤色固体として得た。
【0114】
得られた暗赤色固体のNMR測定を行い、以下の44個の水素のシグナルを検出し、下記式(E-1)で表される化合物の構造と同定した。
【0115】
H-NMR(300MHz、ジメチルスルホキシド(DMSO)-d):δ(ppm)=7.75(2H)、7.59-7.52(2H)、7.19-7.13(4H)、6.96(2H)、3.66(8H)、3.03(2H)、2.91(2H)、1.47(2H)、1.21(12H)、0.86(2H)、0.74(3H)、0.44(3H)。
【0116】
【化37】
【0117】
[実施例1]
メタアクリル酸およびアクリル酸エステルの共重合体の2重量%N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)溶液5.0gと合成実施例1で得られた化合物(D-1)20mgを20mL容サンプル瓶に入れ、30分撹拌し、混合した。得られた着色樹脂溶液をシリンジフィルターでろ過し、ろ液をガラス基板上に塗布(製膜方法:ガラス上にろ液を1g滴下し、スピンコーターを使用し300rpmで10秒間製膜)し、100℃で2分間加熱して製膜した。作製した膜について、分光測色計(コニカミノルタ株式会社製、型番:CM-5)を用いて透過光による色彩値を測定した。その後、230℃で20分間加熱し、同様に色彩値を測定した。230℃での加熱前後の色彩値の色差(ΔE ab)を耐熱性の指標とし、下記の3段階で評価した結果を表1に合わせて示す。
「○」:ΔE ab≦3.0
「△」:3.0<ΔE ab≦10.0
「×」:ΔE ab>10.0
【0118】
[実施例2~6]
化合物(D-1)の代わりに合成実施例2~6で得られた化合物(D-2)、化合物(D-3)、化合物(D-4)、化合物(D-5)、及び化合物(D-6)のそれぞれを用いた以外は、実施例1と同様に作製した膜の加熱(230℃-20分)前後の色彩値の色差(ΔE ab)を測定し、評価した。結果を表1に示す。
【0119】
[比較例1]
化合物(D-1)の代わりに、本発明に属さない従来の色素化合物であり、合成実施例3で得られた化合物(E-1)を用いた以外は、実施例1と同様に作製した膜の加熱(230℃-20分)前後の色彩値の色差(ΔE ab)を測定し、評価した。結果を表1に示す。
【0120】
【表1】
【0121】
表1に示すように、本発明の実施例化合物のキサンテン系色素は製膜時における高い耐熱性を示し、本発明の色素を含有する着色組成物は、カラーフィルター用着色剤として実用上問題ない。また、本発明の実施例のキサンテン系色素は製膜時において比較例よりも高い耐熱性を有し、本発明の色素を含有する着色組成物は、カラーフィルター用着色剤として有用である。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明に係るキサンテン系色素を含有する着色組成物をカラーフィルター用着色剤として用いることにより、耐熱性に優れたカラーフィルターを作製することが可能である。