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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】光学機器。
(51)【国際特許分類】
   G03B 9/02 20210101AFI20240813BHJP
   G02B 7/08 20210101ALI20240813BHJP
   G03B 7/095 20210101ALI20240813BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20240813BHJP
   H04N 23/75 20230101ALI20240813BHJP
【FI】
G03B9/02 B
G02B7/08 C
G03B7/095
H04N23/55
H04N23/75
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020083860
(22)【出願日】2020-05-12
(65)【公開番号】P2021179497
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】中道 貴仁
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-040045(JP,A)
【文献】特開2006-215399(JP,A)
【文献】特開2017-017901(JP,A)
【文献】特開2019-056643(JP,A)
【文献】米国特許第04952859(US,A)
【文献】特開平11-285294(JP,A)
【文献】特開2019-041536(JP,A)
【文献】特開2015-022136(JP,A)
【文献】特開2020-027175(JP,A)
【文献】特開2014-095852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 9/02
G02B 7/08
G03B 7/095
H04N 23/55
H04N 23/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絞り羽根を駆動して光量を調節する絞りを駆動するステッピングモータを制御する制御手段と、
前記絞りの駆動状態を取得する取得手段と、
フォーカスレンズと、を有し、
前記制御手段は、
第1の方向への前記絞りのAE制御中に、前記絞りを前記第1の方向から第2の方向に反転するように駆動する際に、
前記絞りの駆動状態が所定条件を満たさない場合は、前記ステッピングモータを前記第1の方向への駆動後に所定待ち時間が経過してから前記第2の方向に駆動し、
前記駆動状態が前記所定条件を満たす場合は、前記ステッピングモータを前記第1の方向への駆動後に前記所定待ち時間の経過を待たずに前記第2の方向に駆動することを特徴とする光学機器
【請求項2】
前記制御手段は、前記駆動状態が前記所定条件を満たす場合は、前記ステッピングモータを前記第1の方向への駆動後に待ち時間を設けることなく前記第2の方向に駆動することを特徴とする請求項1に記載の光学機器
【請求項3】
前記駆動状態は、前記絞りの駆動速度であり、
前記所定条件は、前記駆動速度が所定速度以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学機器
【請求項4】
前記駆動状態は、前記絞りにおいて発生している動摩擦力の大きさであり、
前記所定条件は、前記動摩擦力が所定摩擦力以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光学機器
【請求項5】
前記所定待ち時間は、前記絞りの駆動が停止したときに該絞りの安定を待つために前記ステッピングモータを励磁する時間を少なくとも含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の光学機器
【請求項6】
前記所定待ち時間は、前記絞りの駆動量または駆動速度に応じた時間であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の光学機器
【請求項7】
前記絞りの駆動状態は、該絞りのF値であり、
前記所定条件は、前記F値が所定F値以下であることを特徴とする請求項に記載の光学機器
【請求項8】
前記所定待ち時間は、前記絞りによる光量の変化がない時間であることを特徴とする請求項またはに記載の光学機器
【請求項9】
前記モータは、ステッピングモータであり、
前記所定条件は、前記ステッピングモータが脱調を生じない条件であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の光学機器
【請求項10】
絞り羽根を駆動して光量を調節する絞りを駆動するステッピングモータを制御するコンピュータに、
前記絞りの駆動状態を取得するステップと、
第1の方向への前記絞りのAE制御中に、前記絞りを前記第1の方向から第2の方向に反転するように駆動する際に、
前記絞りの駆動状態が所定条件を満たさない場合は、前記ステッピングモータを前記第1の方向への駆動後に所定待ち時間が経過してから前記第2の方向に駆動し、
前記駆動状態が前記所定条件を満たす場合は、前記ステッピングモータを前記第1の方向への駆動後に前記所定待ち時間の経過を待たずに前記第2の方向に駆動するステップとを含む処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学機器等の各種装置において被駆動物を駆動するモータを制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラや交換レンズ等の光学機器では、ステッピングモータ(パルスモータ)等のモータの駆動力によってレンズや絞り等の光学素子を駆動する。このようなモータを駆動する際に、過負荷、急激な速度変化、さらに駆動方向を反転する反転駆動によって、ステータの励磁信号とロータの回転との同期が失われる脱調と呼ばれる現象が生じる場合がある。反転駆動時の脱調を回避するためには、反転前の駆動後に安定待ち励磁と呼ばれる励磁を所定時間行ってから反転後の駆動を開始する必要がある。ただし、光学機器においては、光学素子の駆動に対して高い応答性が求められており、安定待ち励磁は応答性を低下させる要因となる。
【0003】
特許文献1には、ステッピングモータの駆動を停止してから、次の駆動を開始するまでの間にギアのバックラッシュ分を事前に駆動しておくことで、次の駆動の応答性を改善する技術が開示されている。
【0004】
また、ステッピングモータによって絞りを反転駆動する際に、カメラが行う露出制御(AE制御)の開始に対して絞りによる反転後の露出の変化が安定待ち励磁の時間だけ遅れると、撮像画像の露出が変動する。特に動画撮像ではこのような露出の変動が記録される。
【0005】
特許文献2には、最新の絞り値から所定時間の経過後の絞り値を交換レンズからカメラに通知し、カメラにおいて所定時間の経過後の絞り値に基づいてAE制御を行うことで、露出の変動を低減する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4196121号公報
【文献】特開2017-3830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、モータの反転駆動時における応答性を改善することができない。
【0008】
また特許文献2に開示された技術では、絞りを反転駆動する場合において正しく絞り値を予測することができない。このため、露出のちらつきを低減することが難しい。
【0009】
本発明は、モータを反転駆動する際に高い応答性を実現可能なモータ制御装置および光学機器を提供する。また本発明は、光学素子の反転駆動時における露出の変動を低減することができるようにした撮像装置およびレンズ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面としての光学機器は、絞り羽根を駆動して光量を調節する絞りを駆動するステッピングモータを制御する制御手段と、絞りの駆動状態を取得する取得手段と、フォーカスレンズと、を有する。制御手段は、第1の方向への絞りのAE制御中に、絞りを第1の方向から第2の方向に反転するように駆動する際に、絞りの駆動状態が所定条件を満たさない場合は、ステッピングモータを第1の方向への駆動後に所定待ち時間が経過してから第2の方向に駆動し、駆動状態が所定条件を満たす場合は、ステッピングモータを第1の方向への駆動後に所定待ち時間の経過を待たずに第2の方向に駆動することを特徴とする。
【0016】
また本発明の他の一側面としてのコンピュータプログラムは、絞り羽根を駆動して光量を調節する絞りを駆動するステッピングモータを制御するコンピュータに、絞りの駆動状態を取得するステップと、ステッピングモータを第1の方向への絞りのAE制御中に、絞りを第1の方向から第2の方向に反転するように駆動する際に、絞りの駆動状態が所定条件を満たさない場合は、ステッピングモータを第1の方向への駆動後に所定待ち時間が経過してから第2の方向に駆動し、駆動状態が所定条件を満たす場合は、ステッピングモータを第1の方向への駆動後に所定待ち時間の経過を待たずに第2の方向に駆動するステップとを含む処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、モータを反転駆動する際に高い応答性を実現することができる。また本発明によれば、光学素子の反転駆動時における露出の変動を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施例1のカメラシステムの構成を示すブロック図。
図2】実施例1における露出のちらつきを示す図。
図3】実施例1における露出変化と絞りアクチュエータの駆動電圧波形を示す図。
図4】実施例1においてカメラ本体が行うAE制御処理を示すフローチャート。
図5】F値操作による露出のちらつきを示す図。
図6】実施例1における別のAE制御処理を示すフローチャート。
図7】実施例1におけるAE制御時の露出変化を示す図。
図8】実施例2におけるさらに別のAE制御処理を示すフローチャート。
図9】実施例3におけるF値と動摩擦力との関係を示す図。
図10】実施例3におけるレンズユニットが行う処理を示すフローチャート。
図11】実施例3における反転駆動条件のテーブルデータを示す図。
図12】実施例3における露出変化と絞りアクチュエータの駆動電圧波形を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明の実施例1におけるカメラシステムの構成を示している。カメラシステムは、交換レンズ(光学機器およびレンズ装置)としてのレンズユニット100 と、該レンズユニット100が着脱可能および通信可能に装着された撮像装置としてのカメラ本体200とにより構成されている。レンズユニット100は、カメラ本体200に設けられたマウント300に対して機械的および電気的に装着される。カメラ本体200は、マウント300に設けられた電源端子部を介してレンズユニット100に電源を供給する。
【0026】
レンズユニット100 は、被写体からの光の入射方向(被写体側)から順に、フィールドレンズ101、変倍(ズーム)レンズ102、絞り(光量調節)ユニット114、アフォーカルレンズ103およびフォーカス(焦点調節)レンズ104を含む撮像光学系を有する。撮像光学系は、リアフォーカスタイプの光学系である。
【0027】
ズームレンズ102とフォーカスレンズ104はそれぞれ、レンズ保持枠105、106により保持されている。レンズ保持枠105、106は、不図示のガイド軸によって撮像光学系の光軸が延びる矢印方向(光軸方向)に移動可能に支持されており、ズームモータ107およびフォーカスモータ108により光軸方向に駆動される。ズームモータ107およびフォーカスモータ108はステッピングモータであり、ステータコイルに印加される駆動パルス信号に同期してロータを回転させるモータである。ズームモータ107およびフォーカスモータ108にはそれぞれ、ズーム駆動回路111およびフォーカス駆動回路113からの駆動パルス信号(駆動電圧)が印加される。
【0028】
レンズマイコン(レンズ制御手段)116は、CPU等のマイクロプロセッサにより構成され、カメラ本体200内のカメラマイコン(カメラ制御手段)207から与えられる各種指令に応じてレンズユニット100の動作全体の制御を司る。ズームレンズ102の位置は、可変抵抗やエンコーダ等を用いて構成された不図示のズーム位置検出器により検出され、レンズマイコン116内でデジタルデータに変換される。レンズマイコン116は、ズームレンズ102の位置が変化すると、像面位置の変動を補正するためのフォーカスレンズ104の位置を示す電子カムデータに従ってフォーカス駆動回路113に駆動信号を出力する。これにより、ステッピングモータ108が駆動されてフォーカスレンズ104が移動し、撮像光学系の合焦状態が維持される。なお、ズームレンズ102およびフォーカスレンズ104を駆動するモータは、DCモータや圧電素子を振動子として用いた振動型モータであってもよい。
【0029】
また、レンズマイコン116は、レンズ通信部(レンズ通信手段)110とマウント300に設けられた通信端子部を介してカメラマイコン207との通信を行う。
【0030】
絞りユニット114は、開口径を変化させるための絞り羽根114a、114bを備える。レンズマイコン116は、カメラマイコン207から与えられる駆動指令に含まれるF値に応じて絞り駆動回路112に駆動信号を出力する。駆動信号を受けた絞り駆動回路112は、絞りアクチュエータ109を駆動して絞り羽根114a、114bを開閉方向に移動させる。絞りアクチュエータ109は、ステッピングモータであり、被駆動物(光学素子)としての絞りユニット114(絞り羽根114a、114b)を駆動する。なお、以下の説明において、絞りユニット114の駆動、駆動方向および駆動速度はそれぞれ、絞りアクチュエータ109の駆動、駆動方向および駆動速度に相当する。
【0031】
絞り羽根114a、114bの位置(F値)は、絞り位置センサ115により検出されてレンズマイコン116に入力される。絞り位置検出センサ115は、絞り羽根114a、114bの位置を検出することができればどのようなものでもよく、絶対位置を検出する絶対位置センサ(アブソリュート型エンコーダ)でもよいし、相対位置を検出する相対位置センサ(インクリメント型エンコーダ)でもよいし、発光部と受光部が対向する位置に配置された光学式フォトインタラプタでもよい。
【0032】
カメラ本体200は、撮像素子201、A/D変換回路202、信号処理回路203、記録部204、AE制御部(露出制御手段)205、表示部206、カメラマイコン207、カメラ通信部(カメラ通信手段)208およびモード切替部209を有する。
【0033】
撮像素子201は、CCDセンサやCMOSセンサ等の光電変換素子であり、レンズユニット100の撮像光学系により形成される被写体像を撮像(光電変換)してアナログ撮像信号を出力する。A/D変換回路202は、アナログ撮像信号をデジタル撮像信号に変換して信号処理回路203に出力する。信号処理回路203は、デジタル撮像信号に対して各種の画像処理を行って画像データを生成する。また信号処理回路203は、画像データのフォーカス状態を示すフォーカス情報や画像データの露出状態を示す輝度情報を生成したり、画像データを記録形式のデータに変換したりする。信号処理回路203にて生成された画像データは、記録部204にて記録されたり表示部206に表示されたりする。
【0034】
カメラマイコン207は、不図示の撮影指示スイッチや設定関連スイッチからの入力に応じたカメラ本体200の制御を行う。またカメラマイコン207は、ズームレンズ102、絞りユニット114およびフォーカスレンズ104の駆動指令や各種レンズデータの送信指令等をカメラ通信部208およびマウント300の通信端子部を介してレンズマイコン116に送信したり、各種レンズデータをレンズマイコン116から受信したりする。
【0035】
モード切替部209は、ユーザ操作に応じて撮像モード(絞り優先モード、シャッタ優先モード、静止画モード、動画モード等)を切り替える。
【0036】
AE制御部205は、不図示の測光センサを備えており、撮像素子201に入射する光量を測定し、測定された光量(測光値)を用いて画像データの露出が適正になるように露出制御、すなわち絞りユニット114のF値の設定や撮像素子201に対する露出(シャッタスピードおよびISO感度)の制御を行う。以下の説明において、撮像素子201に対する露出制御をAE制御という。
【0037】
カメラマイコン207は、例えば絞り優先モードが設定されている場合には、ユーザが選択したF値を含む駆動指令をカメラ通信部208を介してレンズマイコン116に送信し、レンズマイコン116は絞り駆動回路112を介して絞りユニット114を選択されたF値になるように制御する。AE制御部205は、絞りユニット114のF値に基づいてシャッタスピードや撮像素子201のISO感度を設定する。
【0038】
前述したように、AE制御部205によるAE制御では、絞りユニット114のF値の変化に対応する光量の変化に応じてシャッタスピードやISO感度を制御する。このため、絞りユニット114による光量変化のタイミングとシャッタスピードやISO感度を制御するタイミングとを合わせることが重要となる。特に動画撮像においてこれらの制御のタイミングがずれると露出の変動(ちらつき)が発生し、撮像動画にそれが記録されることになる。
【0039】
図2は、露出のちらつきの例を示す。図中の破線はAE制御による露出の変化を、点線は絞りユニット114による露出の変化を、実線は実際に記録される露出(以下、実際の露出という)の変化を示す。AE制御による露出の変化と絞りユニット114による露出の変化を足し合わせたものが実際の露出の変化となる。
【0040】
図2に示すように、時間t0においてAE制御による露出の変化が開始され、それよりも遅れた時間t1において絞りユニット114による露出の変化が開始された場合は、時間t0~t1において実際の露出が適正露出からずれる。この後、時間t1~t2では、実際の露出が適正露出からずれた状態に保たれる。そして時間t2においてAE制御による露出の変化が終了されたにもかかわらず、絞りユニット114による露出の変化が時間t3まで続けられると、時間t2~t3においても実際の露出が変化する。これらの時間t0~t1および時間t2~t3において実際の露出が一定ではなく変化することを、露出のちらつきという。
【0041】
AE制御による露出の変化と絞りユニット114による露出の変化の開始タイミングがずれる原因の1つとして、絞りユニット114の反転駆動時に絞りアクチュエータ109の安定待ち励磁を行うことによる遅延が挙げられる。絞りユニット114の反転駆動は、絞りユニット114を絞り込み方向およびその逆の開放方向のうち一方に駆動した直後に他方に駆動するというように駆動方向を反転させることである。
【0042】
図3は、絞りユニット114を絞り込み方向への駆動後に開放方向に駆動される場合の絞りアクチュエータ(ステッピングモータ)109の駆動電圧の波形を示す。
【0043】
時間T0において、カメラマイコン207からの絞り込み方向(第1の方向)への駆動指令を受けたレンズマイコン116は、絞り駆動回路112を介して絞りユニット114を同方向に駆動する。絞り込み方向への駆動中の時間T1において、カメラマイコン207からの開放方向への駆動指令を受けたレンズマイコン116は、絞りユニット114の絞り込み方向への駆動を停止させ、時間T1から時間T2までの間、絞りアクチュエータ109の安定待ち励磁を行った後、絞りユニット114を時間T3まで開放方向(第2の方向)に駆動する。なお、絞りユニット114の駆動方向を開放方向(第1の方向)から絞り込み方向(第2の方向)に反転させる場合も同様である。
【0044】
このように、絞りユニット114を反転駆動する場合には、駆動方向の反転前の駆動を一度停止させて絞りアクチュエータ109の安定待ち励磁を行った後に反転後の駆動を行う必要がある。安定待ち励磁は、絞りユニット114の駆動を停止させたときに該絞りユニット114を安定させるために絞りアクチュエータ109をその停止位置に維持させるように行う絞りアクチュエータ109の励磁(通電)である。
【0045】
具体的には、絞り羽根114a、114bの駆動停止時のバウンドを抑えるためや、反転後の駆動時の脱調(絞り駆動回路112が出力する駆動信号に対して絞り羽根114a、114bの駆動が同期できなくなる状態)を生じさせないためや、反転後の駆動時の絞り羽根114a、114bの停止精度を担保するために必要な励磁である。安定待ち励磁を行っている間は、絞り羽根114a、114bは駆動されないため、光量は変化しない。
【0046】
一方、カメラマイコン207は、絞りユニット114(絞りアクチュエータ109)が安定待ち励磁を行うことを知らないため、AE制御を時間T1から開始する。しかし、前述した通り、絞りユニット114の反転後の駆動は安定待ち励磁の時間だけ遅れるため、図2で説明したような露出のちらつきが生じる。
【0047】
図4のフローチャートは、カメラマイコン207が絞りユニット114の反転駆動を指示する際に通常行う処理を示す。ここでは、撮像モードが、ユーザがF値を設定する絞り優先モードである場合について説明する。コンピュータとしてのカメラマイコン207は、コンピュータプログラムに従って本処理を実行する。図5は、図4に示した各ステップ(S)におけるAE制御による露出の変化(破線)、絞りユニット114による露出の変化(点線)および実際の露出の変化(実線)を示す。
【0048】
(S100)カメラマイコン207は、レンズマイコン116から現在のF値の情報を通信により取得する。
【0049】
(S101)カメラマイコン207は、測光を行い、S100で取得したF値に基づいて測光値を決定する。
【0050】
(S102)カメラマイコン207は、ユーザによるF値の変更操作が行われたか否かを確認する。F値が変更されていない場合は、再度、所定周期ごとにS100およびS101の処理を繰り返す。F値が変更された場合はS103に進む。
【0051】
(S103)カメラマイコン207は、現在の測光値に基づいて撮像素子201のISO感度とシャッタスピードを決定する。
【0052】
(S104)カメラマイコン207は、S102にて変更されたF値と絞りユニット114の駆動速度を含む駆動指令をレンズマイコン116に送信する。該駆動指令を受けたレンズマイコン116は、絞り駆動回路112を通じて絞りユニット114(絞りアクチュエータ109)を変更されたF値まで絞り込み方向に駆動する。AE制御部205は、絞りユニット114の変更されたF値への駆動に要する時間を予めレンズマイコン116から通信により取得しておくか自身で計算しておく。以下、S102にてユーザにより絞りユニット114の絞り込み方向にF値が変更された場合について説明する。
【0053】
(S105)カメラマイコン207は、レンズマイコン116に絞りユニット114の駆動指令を送信したタイミングからAE制御部205にAE制御を開始させる。図5に示すように、このタイミングからAE制御による露出の変化と絞りユニット114による露出の変化が開始される。これらの露出の変化の開始タイミングが一致しているため、実際の露出としては適正露出が継続される。
【0054】
(S106)カメラマイコン207は、S104で決定された絞りユニット114の駆動に要する時間が未経過か否か、つまりはAE制御を継続するか否かを確認する。AE制御を継続する場合はS107に進み、終了する場合は本処理を終了する。
【0055】
(S107)カメラマイコン207は、AE制御を継続するため、レンズマイコン116から現在のF値の情報を通信により取得する。
【0056】
(S108)カメラマイコン207は測光を行い、S107にて取得したF値に基づいて測光値を決定する。
【0057】
(S109)カメラマイコン207は、ユーザによるF値の変更操作が行われたか否かを確認する。F値が変更されていない場合は、S106に戻って再度、AE制御を継続するか否かを確認する。一方、F値が変更された場合はS110に進む。
【0058】
(S110)カメラマイコン207は、カメラマイコン207は、現在の測光値に基づいて撮像素子201のISO感度とシャッタスピードを決定する。
【0059】
(S111)カメラマイコン207は、S109にて変更されたF値と絞りユニット114の駆動速度を含む駆動指令をレンズマイコン116に送信する。該駆動指令を受けたレンズマイコン116は、絞り駆動回路112を通じて絞りユニット114(絞りアクチュエータ109)を変更されたF値まで開放方向に駆動する。AE制御部205は、絞りユニット114の変更されたF値までの駆動に要する時間を予めレンズマイコン116から通信により取得しておくか自身で計算しておく。
【0060】
以下、S109にてユーザにより絞りユニット114の開放方向にF値が変更された場合について説明する。この場合、図5に示すように、絞りユニット114のS104からの絞り込み方向への駆動が一度停止されて絞りアクチュエータ109の安定待ち励磁を行い、その後に変更されたF値まで絞りユニット114を開放方向に駆動する。
【0061】
(S112)カメラマイコン207は、S111で絞りユニット114の駆動指令をレンズマイコン116に送信したタイミングからAE制御部205にAE制御を開始させる。図5に示すように、AE制御部205はこのタイミングから反転後のAE制御を開始する。この結果、AE制御による露出変化と絞りユニット114による露出変化のタイミングがずれるため、露出のちらつきが生じる。その後、AE制御の終了タイミングと絞りユニット114の駆動終了タイミングもずれるため、再度、露出のちらつきが生じる。
【0062】
図6のフローチャートは、絞りユニット114の反転駆動を指示する際に上述した露出のちらつきを低減させるためにカメラマイコン207が行う処理を示している。ここでも、撮像モードが絞り優先モードである場合について説明する。カメラマイコン207は、コンピュータプログラムに従って本処理を実行する。図7は、図6に示した各ステップ(S)におけるAE制御による露出の変化(破線)、絞りユニット114による露出の変化(点線)および実際の露出の変化(実線)を示す。
【0063】
S200からS208の処理は、図4に示したS100からS108の処理と同じである。
【0064】
(S209)カメラマイコン207は、ユーザによるF値の変更操作が行われたか否かを確認する。F値が変更されていない場合は、S206に戻って再度、AE制御を継続するか否かを確認する。一方、F値が変更された場合はS210に進む。
【0065】
(S210)カメラマイコン207は、レンズマイコン116から現在の絞りユニット114(絞りアクチュエータ109)の駆動ステータスを通信により取得する。駆動ステータスは、絞りユニット114の通電状態であり、駆動中、駆動終了および保持通電中等である。
【0066】
(S211)カメラマイコン207は、レンズマイコン116に対して所定待ち時間としての安定待ち励磁時間の情報の送信を要求する。該要求を受信したレンズマイコン116は、安定待ち励磁時間の情報をカメラマイコン207に送信する。安定待ち励磁時間には、安定待ち励磁の時間だけでなく、レンズマイコン116とカメラマイコン207間での通信による遅延時間や、レンズ通信部110が絞りユニット114の駆動指令を受信してからレンズマイコン116が絞り駆動回路112に駆動信号を出力するまでの遅延時間を含んでもよい。また安定待ち励磁時間は、絞りユニット114の駆動量や駆動速度に応じた時間としてもよい。安定待ち励磁時間の情報は、安定待ち励磁時間を直接示す情報に限らず、安定待ち励磁時間に変換可能な情報であってもよい。すなわち、レンズマイコン116からカメラマイコン207に送信される情報は、安定待ち励磁時間に関する情報であればよい。この後、S212に進む。S212およびS213は、図4に示したS110およびS111の処理と同じである。
【0067】
(S214)カメラマイコン207は、絞りユニット114が絞り込み方向に駆動中であるか否かを判定する。絞り込み方向に駆動中である場合はS215に進み、そうでない場合はS216に進む。
【0068】
(S215)カメラマイコン207は、現在のF値がS209でユーザにより変更されたF値である目標F値より小さい、すなわちまだ絞りユニット114を絞り込み方向に駆動するか否かを判定する。現在のF値が目標F値より小さい場合はレンズマイコン116に目標F値を送信(指示)した後にS219に進む。一方、現在のF値が目標F値より大きい、すなわち絞りユニット114の絞り込み方向への駆動を終了して開放方向への駆動を行う場合は、その開放方向の目標F値をレンズマイコン116に指示した後にS217に進む。
【0069】
(S217)カメラマイコン207は、レンズマイコン116に対して開放方向の目標F値を指示した(つまりは絞りユニット114の開放方向への駆動を指示した)後、S211で取得した安定待ち励磁時間だけ待つ。そしてS219に進む。
【0070】
(S219)カメラマイコン207は、AE制御部205にAE制御を開始させる。図7に示すように絞りユニット114を反転駆動する場合は、S217において安定待ち励磁時間だけAE制御の開始が遅れるため、絞りユニット114による露出の変化の開始タイミングとAE制御による露出の変化の開始タイミングとが一致する。この結果、露出のちらつきを抑制して実際の露出を適正露出に維持することができる。絞りユニット114を反転駆動しない場合は、絞りユニット114は停止せずに目標F値まで駆動されるため、AE制御の開始タイミングを遅らせる必要はない。
【0071】
本実施例によれば、レンズマイコン116がカメラマイコン207に安定待ち励磁時間を通知し、絞りユニット114が反転駆動される場合は安定待ち励磁時間だけAE制御の開始を遅らせることで露出のちらつきを低減することができる。
【実施例2】
【0072】
次に、本発明の実施例2について説明する。カメラシステムの構成は実施例1と同じである。本実施例では、絞りユニット114が反転駆動される場合に安定待ち励磁を行うことなく反転後の駆動を行っても脱調せず、かつ停止精度を保証する場合について説明する。
【0073】
図8のフローチャートは、本実施例においてカメラマイコン207が行う処理を示している。カメラマイコン207は、コンピュータプログラムに従って本処理を実行する。
【0074】
(S300)カメラマイコン207は、レンズマイコン116から、安定待ち励磁を行わずに絞りユニット114を反転駆動しても絞りアクチュエータ109が脱調せず、かつ停止精度を保証できる駆動速度の上限値または範囲(所定駆動速度:以下、待ちなし反転可能速度という)の情報を通信により取得する。ここにいう絞りユニット114の停止精度は、安定待ち励磁を行って絞りユニット114を反転駆動した場合と同等の停止精度である。なお、待ちなし反転可能速度の情報は、待ちなし反転可能速度を直接示す情報に限らず、待ちなし反転可能速度に変換可能な情報であってもよい。すなわち、待ちなし反転可能速度に関する情報であればよい。
【0075】
(S301)カメラマイコン207は、レンズマイコン116から現在のF値の情報を通信により取得する。
【0076】
(S302)カメラマイコン207は、測光を行い、S301で取得したF値に基づいて測光値を決定する。
【0077】
(S303)カメラマイコン207は、ユーザによるF値の変更操作が行われたか否かを確認する。F値が変更されていない場合は、再度、所定周期ごとにS300およびS301の処理を繰り返す。F値が変更された場合はS304に進む。
【0078】
(S304)カメラマイコン207は、現在の測光値に基づいて撮像素子201のISO感度とシャッタスピードを決定する。
(S305)カメラマイコン207は、モード切替部209にて撮像モードとしての動画モードが選択されているか否かを判定する。動画モードが選択されている場合はS306に進み、そうでない(静止画モードが選択されている)場合はS307に進む。
【0079】
(S306)カメラマイコン207は、S300で取得した待ちなし反転可能速度以下の駆動速度での絞りユニット114(絞りアクチュエータ109)の駆動指令をレンズマイコン116に送信する。そしてS308に進む。
【0080】
(S307)カメラマイコン207は、待ちなし反転可能速度を超える駆動速度を含む任意の駆動速度での絞りユニット114の駆動指令をレンズマイコン116に送信する。そしてS308に進む。
【0081】
(S308)カメラマイコン207は、S306またはS307にてレンズマイコン116に絞りユニット114の駆動指令を送信したタイミングでAE制御部205にAE制御を開始させる。
【0082】
本実施例では、動画モードにおいて待ちなし反転可能速度以下の駆動速度での絞りユニット114の駆動を指令するため、絞りユニット114は安定待ち励磁を行うことなく反転駆動される。この結果、反転駆動時にAE制御による露出変化の開始タイミングと絞りユニット114による露出変化の開始タイミングが一致し、動画中の露出のちらつきは発生しない。一方、静止画モードにおいては、露出のちらつきよりも連写速度を優先するために、絞りユニット114に対して待ちなし反転可能速度を超える駆動速度での駆動を許容する。
【実施例3】
【0083】
次に、本発明の実施例3について説明する。カメラシステムの構成は実施例1と同じである。ただし、実施例1のような交換型のレンズユニットに代えて、撮像光学系がカメラ本体と一体となったカメラ(光学機器または撮像装置)に本実施例を適用してもよい。本実施例では、絞りユニット114を反転駆動する場合において、該絞りユニット114の駆動状態が所定条件を満たす場合は安定待ち励磁を行わないようにすることで露出のちらつきを低減させる。
【0084】
上記所定条件、すなわち安定待ち励磁を行わずに反転駆動を行っても脱調が発生せず、駆動後の停止精度も保証できる絞りユニット114の駆動状態の条件としては、反転前の駆動速度が所定速度以下であること(以下、第1の条件という)や、反転前のF値が所定F値以下であること(以下、第2の条件という)が挙げられる。
【0085】
第1の条件について説明する。絞りユニット114を反転駆動する際には、反転前の絞りユニット114(絞りアクチュエータ109)の駆動速度を急激に0まで減じた(絞りアクチュエータ109を停止させた)後にそれまでとは反対方向に絞りユニット114を駆動する。反転前の駆動速度を0に急減させる際に発生する慣性力が大きいほど、言い換えれば反転前の駆動速度が速いほど、絞りアクチュエータ109の励磁相と本来の絞り羽根114a、114bの位置とにずれが生じて脱調が発生する可能性が高くなる。逆に言えば、反転前の駆動速度が所定速度以下の場合は、安定待ち励磁を行わずに反転駆動を行っても脱調は発生しない。このため、反転前の駆動速度が所定速度(実施例3にいう待ちなし反転可能速度に相当する)以下であることを所定条件の1つとする。
【0086】
なお、所定速度は絞りユニット114および絞りアクチュエータ109の個体ごとに設定してもよいし、絞りアクチュエータ109であるステッピングモータの種類や絞りユニット114の構造・形状等に応じて設定してもよい。
【0087】
次に、第2の条件について説明する。図9に示すように、F値が大きくなるほど、絞り羽根114a、114b同士の接触面積が増加してそれらの間に発生する動摩擦力が増加する。このため、F値が大きいほど反転後に脱調を回避するための駆動力(トルク)が大きくなる。つまり、反転前のF値が大きいほど、安定待ち励磁を行わなければ脱調する可能性が高くなる。逆に言えば、反転前のF値が所定F値以下の場合は、安定待ち励磁を行わずに反転駆動を行っても脱調は発生しない。このため、反転前のF値が所定F値以下であることをもう1つの所定条件とする。なお、この条件は、絞りユニット114における反転前の動摩擦力が所定摩擦力以下であることと同義である。
【0088】
第1および第2の条件における所定速度および所定F値は、予めレンズマイコン116内の不図示のメモリに記憶させておけばよい。また、図11に示すように所定速度(図では駆動速度)と所定F値との関係をテーブルデータとしてメモリに記憶させておいてもよい。所定速度および所定F値が相関を持つ場合にはこのようにテーブルデータとして記憶しておくことで、第1および第2の条件の成立可否を容易に判定することが可能となる。
【0089】
図10のフローチャートは、本実施例においてコンピュータとしてのレンズマイコン116が行う処理を示している。レンズマイコン116は、コンピュータプログラムに従って本処理を実行する。制御手段および取得手段としてのレンズマイコン116と駆動手段としての絞り駆動回路112によりモータ制御装置が構成される。
【0090】
(S400)レンズマイコン116は、カメラマイコン207から絞りユニット114の駆動指令があったか否かを確認する。絞りユニット114の駆動指令がない場合はこの確認を繰り返し、駆動指令があった場合はS401に進む。
【0091】
(S401)レンズマイコン116は、絞りユニット114が現在駆動中か否かを判定する。駆動中である場合はS403に進み、駆動中でない(停止中である)場合はS402に進む。
【0092】
(S402)レンズマイコン116は、停止中であった絞りユニット114の上記駆動指令により指示されたF値への駆動を開始する。
【0093】
(S403)レンズマイコン116は、現在の絞りユニット114の駆動方向と上記駆動指令により指示されたF値に対応する駆動方向とを比較して、駆動方向を反転するか否かを判定する。駆動方向を反転する場合はS405に進み、反転しない場合はS404に進む。
【0094】
(S404)レンズマイコン116は、絞りユニット114の目標F値を上記駆動指令により指示されたF値に変更する。これにより、絞りユニット114は、現在の駆動方向のまま新たな目標F値に駆動される。
【0095】
(S405)レンズマイコン116は、現在の絞りユニット114の駆動速度が所定速度以下か否か、すなわち第1の条件を満たすか否かを判定する。駆動速度が所定速度以下である場合はS406に進み、駆動速度が所定速度を超える場合はS407に進む。
【0096】
(S406)レンズマイコン116は、安定待ち励磁時間の経過を待たずに絞りユニット114の目標F値を上記駆動指令により指示されたF値に変更する。これにより、絞りユニット114は、安定待ち励磁が行われることなく駆動方向が反転されて新たな目標F値に駆動される。
【0097】
(S407)レンズマイコン116は、現在のF値を計算する。
【0098】
(S408)レンズマイコン116は、現在のF値が所定F値以下か否か、すなわち第2の条件を満たすか否かを判定する。現在のF値が所定F値以下の場合はS406に進み、所定F値より大きい場合はS408に進む。S406では、前述したようにレンズマイコン116は安定待ち励磁時間の経過を待たずに絞りユニット114の目標F値を上記駆動指令により指示されたF値に変更する。絞りユニット114は、安定待ち励磁が行われることなく駆動方向が反転されて新たな目標F値に駆動される。
【0099】
S406およびS408の処理を行った場合の露出の変化と絞りユニット114の駆動電圧の波形を図12に示す。図12に示すように、絞りユニット114の駆動方向を反転させるタイミングにおいて第1または第2の条件を満たしている場合に安定待ち励磁を行わないことにより、絞りユニット114による露出変化とAE制御による露出変化とが一致するため、露出のちらつきは生じない。
【0100】
(S409)レンズマイコン116は、絞りアクチュエータ109の安定待ち励磁を行う。安定待ち励磁時間が経過するとS410に進む。
【0101】
(S410)レンズマイコン116は、絞りユニット114の駆動方向を反転させて該絞りユニット114を上記駆動指令により指示されたF値に駆動する。
【0102】
本実施例によれば、絞りユニット114を反転駆動する際に所定条件を満たすか否かによって安定待ち励磁を行う(安定待ち励磁時間の経過を待つ)か否かを切り替える。安定待ち励磁を行わずに反転駆動することで絞りユニット114の高い応答性を確保することができ、安定待ち励磁を行うことで露出のちらつきを低減することができる。
【0103】
なお、所定条件を満たす場合であっても、所定条件を満たさない場合よりも短い時間だけ安定待ち励磁を行ってもよい。
【実施例4】
【0104】
以下、本発明の実施例4について説明する。カメラシステムの構成は実施例1と同じである。
【0105】
本実施例では、絞りユニット114の反転駆動に際して、絞りアクチュエータ109に駆動方向の反転後に印加する駆動電圧を反転前に印加する駆動電圧より高くして、反転後の駆動力(トルク)を反転前よりも増加させる。これにより、絞りユニット114を反転駆動する際に安定待ち励磁を行わなくても(すなわち、待ち時間を設けることなく)、脱調を発生させず、かつ停止精度を担保することができる。このとき、反転後の駆動電圧を反転前の駆動電圧よりも高くできない条件下では、絞りユニット114の反転前の駆動後、安定待ち励磁時間が経過してから反転後の駆動を行えばよい。
【0106】
また、安定待ち励磁を行うタイミングのみ絞りアクチュエータ109に印加する電圧を上げることで、一旦停止中の絞り羽根114a、114bのバウンドを素早く収束させることができ、安定待ち励磁時間を短縮することができる。
【0107】
なお、上記各実施例では、反転駆動を行う被駆動物が光学素子としての絞りユニットである場合について説明したが、被駆動物はズームレンズやフォーカスレンズ等の絞りユニット以外の光学素子であってもよいし、さらに光学素子以外の物であってもよい。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0108】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0109】
100 レンズユニット
109 絞りアクチュエータ(ステッピングモータ)
112 駆動回路
114 絞りユニット
116 レンズマイコン
200 カメラ本体
207 カメラマイコン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12