(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】半導体素子
(51)【国際特許分類】
H01L 33/38 20100101AFI20240813BHJP
H01L 33/42 20100101ALI20240813BHJP
【FI】
H01L33/38
H01L33/42
(21)【出願番号】P 2020085731
(22)【出願日】2020-05-15
【審査請求日】2023-05-11
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】598061302
【氏名又は名称】晶元光電股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Epistar Corporation
【住所又は居所原語表記】21,Li-hsin Rd.,Science-based Industrial Park,Hsinchu 300,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ヤオ-ルゥ
(72)【発明者】
【氏名】リアオ,ウェヌ-ルゥー
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ユン-フ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シアン
(72)【発明者】
【氏名】チェヌ,モン-ヤン
(72)【発明者】
【氏名】パン,ユヌ-シン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,イ
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-231014(JP,A)
【文献】特開2010-153814(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0114988(US,A1)
【文献】特開2015-228497(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0039168(KR,A)
【文献】特開2017-204640(JP,A)
【文献】特開2011-035017(JP,A)
【文献】特開2011-243956(JP,A)
【文献】特開2014-086727(JP,A)
【文献】特開2014-082364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00ー33/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子であって、
第一側及び前記第一側に対向する第二側を有する導電層;
前記導電層の前記第一側に位置する活性領域;
前記導電層の前記第二側に位置し、且つ金属酸化構造及び金属構造を含む導電反射構造であって、前記金属酸化構造は前記導電層と前記金属構造との間に位置し、前記金属構造は第一金属層及び第二金属層を有し、前記第一金属層は前記第二金属層と前記金属酸化構造との間に位置する、導電反射構造;
前記導電層と前記金属酸化構造との間に位置する接触層;及び
前記導電層と前記金属酸化構造との間に位置する誘電材料層を含み、
前記第一金属層は第一幅を有し、前記第二金属層は前記第一幅よりも大きい第二幅を有
し、前記活性領域は前記第一幅よりも小さい第三幅を有する、半導体素子。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体素子であって、
前記誘電材料層は第一領域及び第二領域を有し、前記第一領域は前記活性領域とオーバーラップしており、前記第二領域は前記活性領域とはオーバーラップしない、半導体素子。
【請求項3】
請求項
2に記載の半導体素子であって、
前記
第二金属層は、垂直方向において前記第二領域とオーバーラップしている部分を有する、半導体素子。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体素子であって、
前記第一金属層は側壁を有し、前記第二金属層は前記側壁に直接接触している、半導体素子。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体素子であって、
前記第二金属層は前記金属酸化構造に直接接触している、半導体素子。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体素子であって、
前記
第二金属層はAg又はAuを含む、半導体素子。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体素子であって、
上面図において、前記接触層は2次元の点状の分布を有する、半導体素子。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体素子であって、
前記接触層は半導体材料を含む、半導体素子。
【請求項9】
請求項1に記載の半導体素子であって、
前記金属酸化構造は前記第一幅よりも大きい第三幅を有する、半導体素子。
【請求項10】
請求項1に記載の半導体素子であって、
前記活性領域に位置し、且つ前記活性領域に電気接続される第一電極をさらに含む、半導体素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子に関し、特に、半導体素子、例えば、発光ダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の用途がかなり広く、関連する材料の開発及び研究も持続的に行われている。例を挙げて言えば、第3族及び第5族元素を含むIII-V族半導体材料は、各種類の光電半導体素子、例えば、発光ダイオード(Light emitting diode、LED)、レーザーダイオード(Laser diode、LD)、太陽電池(Solar cell)などに応用することができ、また、照明、医療、表示、通信、センシング、電源システムなどの分野でも用いられ得る。そのうち、半導体素子の1つとしての発光ダイオードは、消費電力が低く、使用寿命が長いなどの利点があるので、各種類の分野で大量応用されている。一方、科学技術の発展に伴い、現在のところ、半導体素子についての研究開発のニーズが依然として多く存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、半導体素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の内容によれば、半導体素子が提供され、それは、ベース、半導体構造、及び導電反射構造を含む。ベースは、第一側及び第一側に相対する第二側を有する。半導体構造は、ベースの第一側に位置する。導電反射構造は、ベースの第二側に位置する。導電反射構造は、金属酸化構造及び金属構造を含む。金属酸化構造は、金属構造とベースとの間に位置する。金属酸化構造は、第二側の表面に直接接触する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】一実施例における半導体素子の構造の上面図である。
【
図1B】
図1Aにおける半導体素子のA-A’線に沿った断面構造を示す図である。
【
図1C】一実施例における半導体素子の断面構造を示す図である。
【
図1D】一実施例における半導体素子の断面構造を示す図である。
【
図1E】一実施例における半導体素子の断面構造を示す図である。
【
図1F】一実施例における半導体素子の断面構造を示す図である。
【
図1G】一実施例における半導体素子の断面構造を示す図である。
【
図1H】一実施例における半導体素子の断面構造を示す図である。
【
図1I】一実施例における半導体素子の断面構造を示す図である。
【
図1J】一実施例における半導体素子の断面構造を示す図である。
【
図2A】一実施例における半導体素子の構造の上面図である。
【
図2B】
図2Aにおける半導体素子のB-B’線に沿った断面構造を示す図である。
【
図3】一実施例における半導体素子の断面構造を示す図である。
【
図4A】一実施例における半導体素子の断面構造を示す図である。
【
図4B】一実施例におけるパターン化された金属構造を示す図である。
【
図4D】一実施例におけるパターン化された金属構造を示す図である。
【
図5】一実施例における半導体素子の断面構造を示す図である。
【
図6】一実施例における半導体素子の断面構造を示す図である。
【
図7】一実施例における半導体素子のパッケージ構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、幾つかの実施例を説明することにより、当業者が本発明をより容易に理解し得るようにする。なお、これらの実施例は、例示に過ぎず、本発明を限定するものでない。また、当業者は、ニーズに応じて、以下に記載の実施例を調整しても良く、例えば、プロセスの順序を変更し、及び/又は、幾つかのステップを増減しても良い。
【0007】
特別な説明がない限り、一般式InGaAsがInz1Ga1-z1Asを表し、そのうち、0<z1<1であり;一般式InAlAsがInz2Al1-z2Asを表し、そのうち0<z2<1であり;InGaAsPがInz3Ga1-z3Asz4P1-z4を表し、そのうち、0<z3<1、0<z4<1であり;AlGaInAsが(Alz5Ga(1-z5))z6In1-z6Asを表し、そのうち、0<z5<1、0<z6<1であり;一般式AlGaInPが(Alz7Ga(1-z7))z8In1-z8Pを表し、そのうち、0<z7<1、0<z8<1である。本発明の内容による半導体素子が含む各層の組成及び添加物は、任意の適切な方式で分析することにより得ることができ、例えば、二次イオン質量分析計(secondary ion mass spectrometer、SIMS)を用いても良く、また、各層の厚さも、任意の適切な方式で分析することにより得ることもでき、例えば、透過型電子顕微鏡(transmission electron microscopy、TEM)又は走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)を使っても良い。また、本発明の内容に言及されている各添加物は、故意添加又は不故意添加のものであっても良い。故意添加は、例えば、エピタキシャル成長期間内でイン・サイチュ(in-situ)ドーピングを行うこと、及び/又は、エピタキシャル成長後にP型又はN型ドーパントを用いて植え込み(implanting)プロセスを実行することにより行われる。不故意添加は、例えば、製造プロセスにおいて生じることである。
【0008】
当業者は、以下に説明する各実施例を基に他の構成を追加しても良い。例を挙げて言えば、特別な説明がない限り、「第一層(又は構造)が第二層(又は構造)に位置する」というような記述は、第一層(又は構造)が第二層(又は構造)に直接接触する実施例を含んでも良く、第一層(又は構造)と第二層(又は構造)との間に他の構造があり、2つが互いに直接接触しない実施例を含んでも良い。また、理解すべきは、各層(又は構造)の上下位置関係なども、異なる方位からの観察により変わることがあるということである。さらに、本発明の内容では、「実質的にXからなる」層又は構造というような記述は、該層又は構造の主な組成がXであることを表すが、添加物(dopant)や不可避不純物(impurity)も含むことを排除しない。
【0009】
図1Aは、一実施例における半導体素子10の構造の上面図である。
図1Bは、
図1Aにおける半導体素子10のA-A’線に沿った断面構造を示す図である。
【0010】
本発明の内容による半導体素子10は、半導体発光素子、例えば、発光ダイオード(Light emitting diode、LED)又はレーザーダイオード(Laser diode、LD)であっても良く、或いは、検出素子、例えば、光電ダイオード(photodiode、PD)などであっても良い。幾つかの実施例では、半導体素子10は、垂直型半導体発光素子である。半導体素子10は、単一ヘテロ構造(single heterostructure、SH)、ダブルヘテロ構造(double heterostructure、DH)、両面ダブルヘテロ構造(double-side double heterostructure、DDH)、又は多重量子井戸(multiple quantumwells、MQW)構造を含んでも良い。本実施例における半導体素子10は、ベース100、半導体構造102、導電反射構造104及び第一電極110を含む。ベース100は、第一側100a及び第一側100aに対向する第二側100bを有する。半導体構造102は、ベース100の第一側100aに位置し、且つ導電反射構造104は、ベース100の第二側100bに位置する。本実施例では、半導体素子10は、矩形状であり、且つ長さa及び幅bを有する。一実施例では、半導体素子10の長さa及び幅bは、ほぼ等しくても良い。幾つかの実施例では、長さa及び幅bは、それぞれ、100μm以上500μm以下であっても良く、例えば、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm又は450μmである。
【0011】
ベース100は、導電基板であっても良く、GaAs(Gallium Arsenide)、InP(Indium Phosphide)、SiC(Silicon carbide)、GaP、ZnO、GaN、AlN、Ge、Siなどを含む。ベース100は、添加物を有し、且つ添加濃度を有しても良い。添加物は、非金属元素(例えば、C、S、Siなど)又は金属元素(例えば、Fe、Znなど)であっても良い。ベース100の添加濃度は、5x1017cm-3~5x1018cm-3の範囲内にあっても良く、好ましくは、3x1018cm-3以下であり、より好ましくは、2.5x1018cm-3以下又は2x1018cm-3以下である。幾つかの実施例では、ベース100の添加濃度が1x1018cm-3以上のときに、基板が良好な導電性を有するように確保することができる。幾つかの実施例では、ベース100の添加濃度が3x1018cm-3以下の範囲内にあるときに、半導体素子は、より良い発光効率を有する。ベース100は、成長基板又は支持基板であっても良い。具体的には、半導体構造102は、エピタキシャル成長により得られても良く、ベース100は、例えば、半導体構造102を生成させるための成長基板であっても良く、或いは、ベース100は、成長基板除去後に、接着層(bonding layer)を用いて半導体構造102に接続される支持基板であっても良い。
【0012】
半導体素子10が発光素子のときに、半導体構造102は、放射線(radiation)を発することができる。上述の放射線は、非コヒーレント光(Non-coherent light)又はコヒーレント光(Coherent light)であっても良い。上述の放射線は、好ましくは、赤色光又は赤外線、例えば、近赤外線(Near Infrared、NIR)である。上述の放射線は、近赤外線のときに、800nm~2000nmの間にあるピーク波長(peak wavelength)、例えば、810nm、850nm、910nm、940nm、1050nm、1070nm、1100nm、1200nm、1300nm、1400nm、1450nm、1550nm、1600nm、1650nm、1700nmなどを有する。ベース10は、上述の放射線に対して透明、半透明又は不透明であっても良い。半導体素子10からの放射線の波長が1000nmよりも大きいときに、ベース10は、上述の放射線に対して、好ましくは、30%よりも大きい透過率を有し、又は、30%以下の吸収率を有する。幾つかの実施例では、ベース100は、60μm以上250μm以下の厚さ、例えば、100μm、130μm、140μm、150μm、160μm、170μm、180μm、200μm又は230μmを有しても良い。
【0013】
半導体構造102は、第一半導体層102a、第二半導体層102b、及び第一半導体層102aと第二半導体層102bとの間に位置する活性領域102cを含む。半導体構造102は、第一幅を有しても良く、ベース100は、第一幅よりも大きい第二幅を有しても良い。第一半導体層102a及び第二半導体層102bは、それぞれ、活性領域102cの両側に位置し、且つ活性領域102cに隣接する。第一半導体層102a及び第二半導体層102bは、相反する導電型を有し、これにより、電子及び正孔、或いは、正孔及び電子を提供する。例えば、第一半導体層102aの導電型は、n型であり、第二半導体層102bの導電型は、p型であり、又は、第一半導体層102aの導電型は、p型であり、第二半導体層102bの導電型は、n型である。第一半導体層102a及び第二半導体層102bの材料は、Al、Ga、As、P又はInを含んでも良く、且つ好ましくは、Nを含まない。好ましくは、第一半導体層102a及び第二半導体層102bの材料は、それぞれ、Al、Ga、As、P及びInからなる群より選択される少なくとも2つを含む。具体的には、第一半導体層102a及び第二半導体層102bは、それぞれ、二元(binary)、三元(ternary)又は四元(quaternary)のIII-V族半導体材料、例えば、InP、GaAs、InGaAs、InAlAsなどを含んでも良い。好ましくは、第一半導体層102a及び第二半導体層102bは、実質的に、二元、三元又は四元のIII-V族半導体材料(例えば、InP、GaAs、InGaAs又はInAlAs)からなる。一実施例では、第一半導体層102a及び第二半導体層102bの組成材料は、同じであり、例えば、第一半導体層102a及び第二半導体層102bは、すべて、InP、GaAs、InGaAs又はInAlAsを含む。また、第一半導体層102a及び第二半導体層102bの導電型も、異なる添加物を添加すること調整することができ、例えば、Mg、Zn、C、Si、Teなどを添加しても良い。一実施例では、第一半導体層102aにおける添加物は、Siを含み、第二半導体層102bにおける添加物は、Znを含む。活性領域102cは、III-V族半導体材料を含んでも良く、好ましくは、Al、Ga、As、P又はInを含み、且つ好ましくは、Nを含まない。例を挙げて言えば、活性領域102cは、四元のIII-V族半導体材料、例えばInGaAsP、AlGaInAsなどを含んでも良い。好ましくは、活性領域102cは、実質的に、四元のIII-V族半導体材料からなり、例えば、実質的に、InGaAsP又はAlGaInAsからなる。
【0014】
導電反射構造104は、金属酸化構造106及び金属構造108を含んでも良い。導電反射構造104は、活性領域102cからの放射線を反射することで、放射線が第一半導体層102a向かって半導体素子10の外へ射出するようにさせることができる。本実施例では、金属酸化構造106は、ベース100の第二側100bの表面に直接接触する。
図1Bに示すように、金属酸化構造106は、ベース100の第二側100bの表面を完全に覆っても良い。金属酸化構造106は、単一層又は複数層により構成されても良い。好ましくは、活性領域102cからの放射線は、金属酸化構造106に対して80%以上の透過率を有し、より好ましくは、90%以上の透過率を有する。金属酸化構造106は、単一層又は複数層により構成されても良く、好ましくは、二層又は三層の材料からなる。また、金属酸化構造106は、導電性を有し、金属構造108及びベース100と電気接続することができる。金属酸化構造106の材料は、金属酸化物、例えば、ITO、InO、SnO、CTO、ATO、AZO、ZTO、GZO、IWO、ZnO、IZOなどを含んでも良い。好ましくは、金属酸化構造106は、実質的に、金属酸化物(例えば、ITO、InO、SnO、CTO、ATO、AZO、ZTO、GZO、IWO、ZnO又はIZO)からなる。幾つかの実施例では、金属酸化構造106の設置は、半導体素子における電流の分布の向上に有利である。
【0015】
金属構造108は、単一層又は複数層により構成されても良く、且つ金属構造108は、外部電源と電気接続され得る。金属構造108の材料は、金属又は合金を含んでも良い。金属構造108が複数層により構成されるときに、各層の材料は、それぞれ、異なる金属又は合金を含んでも良く、好ましくは、各層の材料は、実質的に、異なる金属又は合金からなる。幾つかの実施例では、金属構造108は、3層以上の金属又は合金層により構成される。金属又は合金は、In、Sn、Al、Au、Pt、Zn、Ag、Ti、Pb、Ge、Cu、Ni、W、Pt、AuBe、AuGe、AuZn、PbSn及びGeAuNiからなる群より選択されても良い。一実施例では、金属構造108は、Ag、Ti、Pt及びAuのうちの少なくとも1つを含む。好ましくは、金属構造108は、実質的に、金属又は合金(例えば、In、Sn、Al、Au、Pt、Zn、Ag、Ti、Pb、Ge、Cu、Ni、W、Pt、AuBe、AuGe、AuZn、PbSn又はGeAuNi)からなる。一実施例では、金属構造108には、金属酸化構造106に隣接する少なくとも1つの反射層(例えば、Ag又はAu層)が含まれ、反射層は、活性領域102cからの放射線を反射するために用いられ得る。一実施例では、金属構造108には、Ag、Ti、Pt及びAuのうちの少なくとも2種類の金属層が含まれ、例えば、Ag/Ti、Ti/Pt/Au、Ag/Ti/Pt/Au、Ag/Ti/Pt/Ti/Pt/Au、Au/Ti/Pt/Au又はAu/Ti/Pt/Ti/Pt/Auが含まれる。一実施例では、好ましくは、金属構造108は、実質的に、Ag/Ti/Pt/Au、Ag/Ti/Pt/Ti/Pt/Au、Au/Ti/Pt/Au又はAu/Ti/Pt/Ti/Pt/Auからなる。
【0016】
幾つかの実施例では、導電反射構造104は、電極として外部電源と電気接続されても良い。即ち、導電反射構造104は、活性領域102cからの放射線を反射する機能及び電流を伝導する機能を同時に具備する。また、半導体素子10では、金属構造108は、ベース100の下表面又は金属酸化構造106の下表面を完全又は部分的に覆うことができる。幾つかの実施例では、導電反射構造104は、金属酸化構造106を含まず、金属構造108のみを含んでも良く、金属構造108は、ベース100の第二側100bの表面に直接接触することができる。
【0017】
第一電極110は、半導体構造102に位置し、外部電源及び活性領域102cと電気接続するために用いられる。第一電極110は、主電極110a及び延伸電極110bを含む。
図1Aに示すように、半導体素子の第一電極110は、1つの主電極110a及び複数の延伸電極110bを含んでも良い。延伸電極110bの数は、例えば、4つ以上である。本実施例では、主電極110aは、円形を有し、且つ各延伸電極110bは、T字型を有する。
図1Aでは、主電極110aは、半導体素子10の中央位置に位置し、複数の延伸電極110bは、主電極110aの外側を取り囲み、且つそれぞれ主電極110aと接続される。主電極110aは、50μm~150μmの範囲内にある幅(主電極110aが円形を有するときにその直径である)を有しても良い。延伸電極110bは、1μm~10μmの範囲内にある幅を有しても良い。延伸電極110bの幅は、好ましくは、主電極110aの幅の1/10以下である。第一電極110の材料は、金属酸化物、金属又は合金を含んでも良い。金属酸化物は、例えば、ITO、InO、SnO、CTO、ATO、AZO、ZTO、GZO、IWO、ZnO、IZOなどを含んでも良い。金属は、例えば、Ge、Be、Zn、Au、Pt、Ti、Al、Ni、Cuなどであっても良い。合金は、これらの金属からなる群より選択される少なくとも2つを含んでも良く、例えば、GeAuNi、BeAu、GeAu、ZnAuなどである。
【0018】
図1Cは、一実施例における半導体素子20の断面構造を示す図である。本実施例では、金属酸化構造106は、第一金属酸化層106a及び第二金属酸化層106bを含み、且つ金属構造108は、単一層である。第一金属酸化層106aは、ベース100に隣接し、且つベース100の第二側100bの表面と直接接触する。第二金属酸化層106bは、第一金属酸化層106aと隣接し、且つ金属構造108に接する。第二金属酸化層106bの厚さは、第一金属酸化層106aの厚さよりも大きく又は小さくても良い。第一金属酸化層106a及び第二金属酸化層106bの材料は、同じであっても良く、異なっても良い。第一金属酸化層106aは、第一導電材料を含み、第二金属酸化層106bは、第二導電材料を含む。一実施例では、第一金属酸化層106aの抵抗率は、第二金属酸化層106bの抵抗率よりも小さい。第一金属酸化層106a及び第二金属酸化層106bは、それぞれ、金属酸化物を含んでも良い。金属酸化物は、ITO、InO、SnO、CTO、ATO、AZO、ZTO、GZO、IWO、ZnO、IZOなどからなる群より選択されても良い。一実施例では、第一金属酸化層106a及び第二金属酸化層106bは、少なくとも1つの同じ金属元素、例えば、Inを有する。一実施例では、第一金属酸化層106aは、ITOを含み、第二金属酸化層106bは、IZOを含む。
【0019】
本実施例における他の層又は構造の位置、相対関係及び材料組成などの内容及び構造の変化例について、すべて、前述の実施例において詳細について説明したので、ここでは、詳しい説明を省略する。
【0020】
図1Dは、一実施例における半導体素子30の断面構造を示す図である。本実施例では、本実施例の金属酸化構造106は、単一層であり、金属構造108は、複数層であり、第一金属層108a及び第二金属層108bを含む。第一金属層108a及び第二金属層108bの材料は、同じであっても良く、異なっても良い。第一金属層108a及び第二金属層108bは、実質的に、それぞれ、金属又は合金からなっても良い。金属又は合金は、In、Sn、Al、Au、Pt、Zn、Ag、Ti、Pb、Ge、Cu、Ni、W、Pt、AuBe、AuGe、AuZn、PbSn及びGeAuNiからなる群より選択されても良い。一実施例では、第一金属層108a又は第二金属層108bのうちの1つがパターン化され得る。例を挙げて言うと、パターン化された第一金属層108aは、ベース100の中央位置に位置し、金属酸化構造106を部分的に覆っても良く、第二金属層108bは、第一金属層108aを覆い、且つ金属酸化構造106に接しても良い。換言すると、第一金属層108aは、第二金属層108b及び/又は金属酸化構造106の幅よりも小さい幅を有する。これにより、第一金属層108aが外部環境(例えば、空気)に直接接触することによる損傷(例えば、酸化)によって反射の効果が低下することを避け得る。なお、本実施例における他の層又は構造の位置、相対関係及び材料組成などの内容及び構造の変化例について、すべて、前述の実施例において詳細に説明したから、ここでは、詳しい説明を省略する。
【0021】
図1Eは、一実施例における半導体素子40の断面構造を示す図である。本実施例では、金属酸化構造106及び金属構造108は、それぞれ、複数層を含む。
図1Eに示すように、金属酸化構造106は、第一金属酸化層106a及び第二金属酸化層106bを含み、金属構造108は、第一金属層108a及び第二金属層108bを含む。なお、第一金属酸化層106a、第二金属酸化層106b、第一金属層108a及び第二金属層108bを構成する材料及び構造の変化例について、前の各実施例における説明を参照することができる。
【0022】
図1F、
図1G及び
図1Hは、それぞれ、本発明の実施例における半導体素子50、半導体素子60及び半導体素子70の断面構造を示す図である。
【0023】
図1Fの実施例では、導電反射構造104とベース100との間にさらに接触層112が含まれる。幾つかの実施例では、接触層112は、金属酸化構造106とベース100との間の電気接続特性をさらに改善するために用いられ、例えば、抵抗率を減少させるなどである。なお、導電反射構造104を構成する材料及び構造の変化例について前述の各実施例における説明を参照することができる。接触層112の材料は、半導体材料、金属又は合金を含んでも良い。半導体材料は、化合物の半導体(compound semiconductor)、例えば、二元の第3族や第5族の半導体材料(GaAs、GaPなど)、又は、元素の半導体(element semiconductor)、例えば、Siなどを含んでも良い。金属又は合金は、例えば、In、Sn、Al、Au、Pt、Zn、Ag、Ti、Pb、Ge、Cu、Ni、W、Pt、AuBe、AuGe、AuZn、PbSn及びGeAuNiからなる群より選択されても良い。幾つかの実施例では、導電反射構造104がインジウムの金属酸化物(例えば、ITOなど)を含むときに、接触層112は、導電性を有する半導体材料、例えば、Siを含んでも良い。
【0024】
一実施例では、接触層112は、ベース100の第二側100bの表面を、
図1Fに示すように完全に覆っても良い。一実施例では、接触層112は、パターン化され、且つベース100の第二側100bの表面の一部を覆う。例えば、接触層112は
図1Gに示すように覆っても良い。一実施例によれば、上面図において、接触層112は、2次元(two-dimensional)の点状の分布を有しても良い。
【0025】
一実施例では、金属酸化構造106とベース100との間に接触層112以外にさらに誘電材料層114が含まれても良い。
図1Hに示すように、パターン化された接触層112及び誘電材料層114は、すべて、ベース100と直接接触する。この実施例では、ベース100の第二側100bの表面において、接触層112と誘電材料層114との間に距離がある。導電反射構造104における金属酸化構造106は、接触層112及び誘電材料層114を共形的に(conformally)覆う。誘電材料層114の材料は、SiO
2、MgF
2、SiN
x、Al
2O
3又はその組み合わせであっても良い。第一金属層108aは、パターン化された金属層であっても良く、導電反射構造104の中央に位置し、且つ金属酸化構造106を部分的に覆い、第二金属層108bは、第一金属層108aを覆い、且つ金属酸化構造106に接しても良い。なお、本実施例における他の層又は構造の位置、相対関係及び材料組成などの内容及び構造の変化例について、すべて、前述の実施例において詳細に説明したので、ここでは、詳しい説明を省略する。
【0026】
図1Iは、本発明の他の一実施例における半導体素子80の断面構造を示す図である。
図1I図に示すように、この実施例では、金属酸化構造106とベース100との間に接触層112が無い。誘電材料層114’は、ベース100の第二側100bの表面を部分的に覆っても良い。本実施例では、誘電材料層114’は、パターン化された層である。誘電材料層114’の材料は、SiO
2、MgF
2、SiN
x、Al
2O
3又はその組み合わせであっても良い。
図1Iに示すように、パターン化された誘電材料層114’は、ベース100と直接接触しても良い。第一金属酸化層106aは、誘電材料層114’及びベース100を共形的に覆っても良い。第二金属酸化層106bは、第一金属酸化層106aを覆っても良い。半導体素子80作動時に、第一金属酸化層106aがベース100と直接接触する部分は、導電領域であり、電流経路を形成することができる。幾つかの実施例では、パターン化された誘電材料層114’を形成することで、半導体素子80の電流拡散及び発光均一性をさらに改善することができる。なお、本実施例における他の層又は構造の位置、相対関係及び材料組成などの内容及び構造の変化例について、すべて、前述の実施例において詳細に説明したから、ここでは、詳しい説明を省略する。
【0027】
図1Jは、一実施例における半導体素子90の断面構造を示す図である。本実施例では、半導体素子90は、金属酸化構造106を有せず、且つ金属構造108とベース100との間に誘電材料層114’’が含まれる。金属構造108は、第一金属層108a及び第二金属層108bを含む。
図1Jに示すように、誘電材料層114’’は、ベース100の第二側100bの表面を部分的に覆い、例えば、ベース100の表面の半導体素子90寄りの辺縁を覆う。第一金属層108aは、誘電材料層114’’を覆い、且つベース100と直接接触しても良い。誘電材料層114’’の材料は、SiO
2、MgF
2、SiN
x、Al
2O
3又はその組み合わせであっても良い。なお、第一金属層108a及び第二金属層108bを構成する材料及び構造の変化例について、前述の各実施例における説明を参照することができる。また、本実施例における他の層又は構造の位置、相対関係及び材料組成などの内容及び構造の変化例について、すべて、前述の実施例において詳細に説明したから、ここでは、詳しい説明を省略する。
【0028】
図2Aは、一実施例における半導体素子90aの構造の上面図である。
図2Bは、
図2Aにおける半導体素子90aのB-B’線に沿った断面構造を示す図である。
【0029】
本実施例の半導体素子90aは、さらに、保護層116を含み、保護層116は、少なくとも半導体構造102の側壁を覆う。
図2Bに示すように、本実施例の保護層116は、ベース100の上表面の一部、半導体構造102の側壁、及び半導体構造102の上表面の一部を覆う。保護層116の材料は、Siの窒化物又は酸化物、例えば、SiO
2、SiN
xを含んでも良い。保護層116の厚さは、1000Å~8000Åの範囲内にあっても良く(例えば、1500Å、2000Å、3000Å、6000Å、6500Å、7000Å又は7500Åである)、これにより、良い保護効果を得ることができる。また、
図2Aの上面図及び
図2Bの断面図に示すように、保護層116とベース100との接触部分は、幅d1を有しても良く、保護層116は、幅d2を有しても良く、好ましくは、幅d1及び幅d2は、1<d2/d1≦3を満足し、例えば、d2/d1は、1.2、1.5、1.8、2、2.5又は2.8である。幾つかの実施例では、保護層116の設置により、半導体構造102の損傷を避け、輝度の減衰を緩め、半導体素子の使用寿命を延ばすことができる。なお、本実施例における導電反射構造104は、本発明の任意の実施例に記載のものであっても良い。また、本実施例に中の他の層又は構造の位置、相対関係及び材料組成などの内容及び構造の変化例について、すべて、前述の実施例において詳細に説明したから、ここでは、詳しい説明を省略する。
【0030】
図3は、一実施例における半導体素子90bの断面構造を示す図である。本実施例は、保護層のもう1つの実施態様を提供する。第3図に示すように、本実施例の保護層116’は、ベース100の一部、半導体構造102の側壁、及び半導体構造102の上表面を覆う。本実施例では、半導体構造102は、粗化された上表面を有し、保護層116’は、粗化された上表面を共形的に覆い、且つ第一電極110を接触しても良い。一実施例では、保護層116’は、第一電極110における主電極110aの上表面の一部を覆う。例えば、保護層116’は、主電極110a上表面の面積の20%以下又は10%以下を覆っても良い。一実施例では、保護層116’は、第一電極110における主電極110a上表面の一部及び延伸電極110bを覆う。一実施例では、保護層116’は、主電極110aの上表面を覆わず、延伸電極110bのみを覆う。保護層116’の材料は、Siの窒化物又は酸化物、例えば、SiO
2、SiN
xを含んでも良い。保護層の厚さは、1000Å~8000Åの範囲内にあっても良い(例えば、1500Å、2000Å、3000Å、6000Å、6500Å、7000Å又は7500Åである)。
【0031】
本実施例における導電反射構造104は、本発明の任意の実施例に記載のものであっても良い。また、本実施例における他の層又は構造の位置、相対関係及び材料組成などの内容及び構造の変化例について、すべて、前述の実施例において詳細に説明したので、ここでは、詳しい説明を省略する。
【0032】
図4Aは、一実施例における半導体素子90cの断面構造を示す図である。
図4Aに示すように、本実施例の導電反射構造104は、金属酸化構造106及びパターン化された金属構造108を含む。もう1つの実施例では、導電反射構造104は、金属酸化構造106を含まず、金属構造108をベース100に直接形成しても良い。上述から分かるように、パターン化された金属構造108は、金属酸化構造106又はベース100を覆って金属酸化構造106又はベース100に直接接触しても良い。パターン化された金属構造108は、単一金属層又は複数金属層により構成されても良い。金属層の材料は、金属又は合金を含んでも良い。なお、金属層を構成する材料及び構造の変化例などについて、前述の各実施例における説明を参照することができる。
【0033】
図4Bは、一実施例におけるパターン化された金属構造を示す図である。パターン化された金属構造108は、複数のユニットパターン120を含んでも良い。各ユニットパターン120は、第一図形122及び/又は第二図形124を含んでも良い。第一図形122及び第二図形124は、それぞれ、楕円形、円形、三角形、矩形状及び多辺形からなる群より選択されても良い。
図4Bに示すように、各ユニットパターン120は、複数の矩形状(方形格子状)(第一図形122)及び/又は複数の円形(第二図形124)により構成されても良い。複数のユニットパターン120は、重複配列された後に
図4Bに示すようなパターンを形成することができる。
図4Bは、4つのみのユニットパターン120を示している。一実施例では、パターン化された金属構造108の面積と、ベース100の表面(例えば、第二側100bの表面)との面積の比は、20%~80%の範囲内にあっても良く、例えば25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%又は75%である。
図4Bに示すのは、例示に過ぎず、当業者が理解すべきは、実際には、半導体素子のサイズなどが異なることにより、パターン化された金属構造108におけるユニットパターン120の個数が異なり、また、半導体素子の辺縁に位置するパターンが後続の素子製造プロセスにおいて切断されることにより、ユニットパターン120の一部だけが残る可能性もあるということである。
【0034】
図4Cは、
図4Bにおけるユニットパターン120の拡大図である。
図4Cに示すように、ユニットパターン120の輪郭は、矩形状を呈し、また、長さL
0及び幅W
0を有する。長さL
0及び幅W
0は、それぞれ、120nm~200nmの範囲内にあっても良く、例えば、140nm、160nm又は180nmである。ユニットパターン120は、ユニットパターン120の中心点Cを通過する仮想線C1及び仮想線C2により、第一領域120a、第二領域120b、第三領域120c及び第四領域120dに分けられる。仮想線C1及び仮想線C2は、互いに垂直であり、且つ中心点Cで交差する。第一領域120a及び第三領域120cのパターンは、互いに対称であっても良く、第二領域120b及び第四領域120dのパターンは、互いに対称であっても良い。本実施例では、第一領域120a及び第三領域120cのパターンは、中心点Cに関して互いに対称であり、第二領域120b及び第四領域120dのパターンは、中心点Cに関して互いに対称である。第一領域120a及び第二領域120bのパターンは、異なる。本実施例では、第一領域120a、第二領域120b、第三領域120c及び第四領域120dは、互いに接し、且つ第一領域120a、第二領域120b、第三領域120c及び第四領域120dには、それぞれ、第一図形122がある。
図4C図に示すように、第一図形122は、線幅Wを有する中空矩形状であっても良い。線幅Wは、1nm~10nmの範囲内にあっても良く、例えば、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm又は9nmである。第一図形122は、長さL
1及び幅W
1を有しても良い。長さL
1及び幅W
1は、それぞれ、50nm~100nmの範囲内にあっても良く、例えば、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm又は95nmである。
【0035】
第一領域120a及び第三領域120cは、それぞれ、第二図形124をさらに含み、それは、第一図形122の中に位置し、第一図形122により取り囲まれる。第二図形124は、例えば、楕円形、円形、三角形、矩形状又は多辺形である。本実施例では、第二図形124は、第一図形122と異なり、且つ矩形状でない。第二図形124が楕円形のときに、その長軸の長さは、R
1であり、短軸の長さは、R
2であり、且つR
1>R
2である。第二図形124が円形のときに、R
1は、R
2に等しい。R
1及びR
2は、それぞれ、20nm~60nmの範囲内にあっても良く、例えば、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm又は55nmである。一実施例では、ユニットパターン120は、正方形の輪郭を有し、即ち、長さL
0は、幅W
0に等しい。一実施例では、第一領域120a、第二領域120b、第三領域120c及び第四領域120dの中の第一図形122の輪郭は、すべて、正方形であり(即ち、長さL
1は幅W
1に等しい)、且つ第二図形124は、円形である(即ち、R
1=R
2である)。
図4Cに示すように、本実施例では、第二領域120b及び第四領域120dは、第一図形122のみを有し、第二図形124を有しない。
【0036】
一実施例では、ユニットパターン120の輪郭により限定される領域の面積がA
0であり(
図4Cに示すようなユニットパターン120の長さL
0と幅W
0との乗算による面積)、ユニットパターン120の中のすべての第一図形122及び第二図形124の面積の総和がA
1である(
図4Cに示すような斜線領域の面積の総和)ときに、好ましくは、次のような条件を満たし、即ち、20%≦(A
1/A
0)*100%≦75%である。例えば、(A
1/A
0)*100%は、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%又は75%である。これにより、半導体素子の光電特性をさらに改善することができ、例えば、発光強度及び接触特性を兼備することで半導体素子の順方向電圧(forward voltage,vf)値を小さくすることができる。
【0037】
幾つかの実施例では、20%≦(A1/A0)*100%≦75%のときに、50mAの電流における半導体素子の順方向電圧値vfは、0.8V~0.95Vの範囲内にあっても良く、例えば、0.85V又は0.9Vであり、半導体素子の発光パワーは、少なくとも、2mW~4mWの範囲内にあり、例えば、2.5mW、2.8mW、3mW、3.2mW、3.5mWなどである。
【0038】
図4Dは、一実施例におけるパターン化された金属構造108を示す図である。
【0039】
図4Dを参照する。それは、一実施例における半導体素子90cの下面図である。一番外の点線枠は、半導体素子90cにおけるベース100の輪郭線を表し、それは、ベース100の複数の側辺により構成される。本実施例のベース100は、側辺S1、側辺S2、側辺S3及び側辺S4を含む。
図4Dに示すように、パターン化された金属構造108は、複数のユニットパターン120が重複配列されることにより構成されるパターンを含んでも良い。そのうち、ユニットパターン120は、側辺Sを有し、且つ側辺Sから水平方向に沿って延伸して仮想線S0を得ることができる。ベース100の複数の側辺のうち、側辺Sに一番近いのは、側辺S3である。
図4Dに示すように、側辺S3と仮想線S0との間には、夾角θがあっても良く、好ましくは、0°<θ<90°であり、例えば、10°、15°、20°、25°、30°、35°、40°、45°、50°、55°、60°、65°、70°、75°、80°又は85°である。これにより、半導体素子の製造プロセスでは、切断プロセスを行うときに金属構造108を破壊する可能性を下げることができる。
【0040】
図4Dに示すのは、例示に過ぎず、当業者が理解すべきは、実際には、半導体素子のサイズなどが異なることにより、パターン化された金属構造108におけるユニットパターン120の個数が異なり、また、半導体素子の辺縁に位置するパターンが切断されることにより、ユニットパターン120の一部だけが残る可能性もあるということである。なお、本実施例における他の層又は構造の位置、相対関係及び材料組成などの内容及び構造の変化例について、すべて、前述の実施例において詳細に説明したので、ここでは、詳しい説明を省略する。
【0041】
図5は、一実施例の半導体素子90dの断面構造を示す図である。本実施例の半導体素子90dは、被覆層126をさらに含み、それは、金属酸化構造106及び/又は金属構造108を保護するために用いられる。
図5に示すように、被覆層126は、ベース100の側壁及び一部の上表面、並びに導電反射構造104の側壁を覆っても良い。幾つかの実施例では、被覆層126の材料は、Siの窒化物又は酸化物、例えば、SiO
2、SiN
xなどを含んでも良い。幾つかの実施例では、被覆層126の材料は、金属の酸化物、例えば、アルミの酸化物(例えば、Al
2O
3)を含んでも良い。幾つかの実施例では、被覆層126は、例えば、ALD(atomic layer deposition)方式で形成されても良い。幾つかの実施例では、金属構造108が、高い活性の金属元素、例えば、銀(Ag)などを含むときに、被覆層126の存在は、金属構造108の、環境の要因(例えば、高温、高湿など)による劣化を改善し、半導体素子の信頼性を向上させることができる。なお、本実施例における導電反射構造104は、本発明の任意の実施例に記載のものであっても良い。また、本実施例における他の層又は構造の位置、相対関係及び材料組成などの内容及び構造の変化例について、すべて、前述の実施例において詳細に説明したので、ここでは、詳しい説明を省略する。
【0042】
図6は、一実施例の半導体素子90eの断面構造を示す図である。本実施例の半導体素子90eは、ベース100、半導体構造102、導電反射構造104、第一電極110及び第二電極111を含む。ベース100は、第一側100a及び第一側100aに相対する第二側100bを有する。本実施例の半導体素子90eは、水平型素子であり、ベース100の同じ側(例えば、第一側100a)に位置する第一電極110及び第二電極111を含む。第一電極110及び第二電極111は、外部電源及び半導体構造102と電気接続するために用いられる。
【0043】
半導体構造102は、ベース100の第一側100aに位置し、且つ第一半導体層102a、第二半導体層102b、及び第一半導体層102aと第二半導体層102bとの間に位置する活性領域102cを含む。第一電極110は、第一半導体層102aに位置し、第二電極111は、第二半導体層102bに位置する。ベース100は、前述の導電材料を含む導電基板であっても良く、また、導電基板でなくても良く、例えば、サファイアのような絶縁材料を含んでも良い。なお、本実施例における導電反射構造104は、本発明の任意の実施例に記載のものであっても良い。また、本実施例における各層又は構造の位置、相対関係及び材料組成などの内容及び構造の変化例について、すべて、前述の実施例において詳細に説明したので、ここでは、詳しい説明を省略する。
【0044】
図7は、一実施例の半導体素子のパッケージ構造を示す図である。
【0045】
図7を参照する。パッケージ構造600は、半導体素子60、パッケージ基板61、載置体63、接続線65、接触構造66及びパッケージ材料層68を含む。パッケージ基板61は、セラミック又は玻璃材料を含んでも良い。パッケージ基板61には、複数の貫通孔62がある。貫通孔62に導電性材料、例えば、金属などを充填しても良く、これにより、導電及び/又は放熱を助けることができる。載置体63は、パッケージ基板61の一方側の表面に位置し、且つ導電性材料、例えば、金属を含む。接触構造66は、パッケージ基板61の他方側の表面に位置する。本実施例では、接触構造66は、第一接触パッド66a及び第二接触パッド66bを含み、且つ第一接触パッド66a及び第二接触パッド66bは、貫通孔62により、載置体63と電気接続され得る。一実施例では、接触構造66は、放熱パッド(thermal pad)(図示せず)をさらに含んでも良く、放熱パッドは、例えば、第一接触パッド66aと第二接触パッド66bとの間に位置する。
【0046】
半導体素子60は、載置体63に位置する。本実施例では、半導体素子60を例とするが、実際には、それは、本発明の任意の実施例に記載の半導体素子であっても良い。本実施例では、載置体63は、第一部分63a及び第二部分63bを含み、半導体素子60は、接続線65により、載置体63の第二部分63bと電気接続される。接続線65の材質(材料)は、金属を含んでも良く、例えば、金、銀、銅、アルミ又はそのうちの少なくとも1つの元素を含む合金である。パッケージ材料層68は、半導体素子60を覆い、半導体素子60を保護する効果を有する。具体的には、パッケージ材料層68は、樹脂材料、例えば、エポキシ樹脂(epoxy)、シリコーン樹脂(silicone)などを含んでも良い。パッケージ材料層68は、半導体素子60からの第一光を第二光に変換する複数の波長変換粒子(図示せず)を含んでも良い。第二光の波長は、第一光の波長よりも大きい。
【0047】
以上のことから、本発明の実施例により、半導体素子を提供することができ、それは、良好な光電特性を有し、例えば、発光効率、波長安定性、素子信頼性などを向上させることができる。本発明による半導体素子は、照明、医療、表示、通信、検出、電源システムなどの分野における製品、例えば、照明器具、監視器、携帯電話、タブレットコンピュータ、車載用計器盤、テレビ、検出器、コンピュータ、ウェアラブルデバイス(例えば、腕時計、ブレスレット、ネックレスなど)、交通信号機、屋外表示器、医療装置などに応用することができる。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されず、本発明の趣旨を離脱しない限り、本発明に対するあらゆる変さらには本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0049】
10、20、30、40、50、60、70、80、90、90a、90b、90c、90d、90e:半導体素子
100:ベース
100a:第一側
100b:第二側
102:半導体構造
102a:第一半導体層
102b:第二半導体層
102c:活性領域
104:導電反射構造
106:金属酸化構造
106a:第一金属酸化層
106b:第二金属酸化層
108:金属構造
108a:第一金属層
108b:第二金属層
110:第一電極
111:第二電極
110a:主電極
110b:延伸電極
112:接触層
114、114’、114’’:誘電材料層
116、116’:保護層
120:ユニットパターン
120a:第一領域
120b:第二領域
120c:第三領域
120d:第四領域
122:第一図形
124:第二図形
126:被覆層
600:パッケージ構造
61:パッケージ基板
62:貫通孔
63:載置体
63a:第一部分
63b:第二部分
65:接続線
66:接触構造
66a:第一接触パッド
66b:第二接触パッド
68:パッケージ材料層
A-A’、B-B’:線
C:中心点
C1、C2、S0:仮想線
a、L0、L1:長さ
b、W0、W1:幅
W:線幅
R1:長軸の長さ
R2:短軸の長さ
S、S1、S2、S3、S4:側辺
θ:角度