(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】エアゾール化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/25 20060101AFI20240813BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240813BHJP
A61Q 15/00 20060101ALI20240813BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20240813BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/86
A61Q15/00
A61K8/39
A61K8/37
(21)【出願番号】P 2020094722
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【氏名又は名称】藤井 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】米水 龍也
(72)【発明者】
【氏名】野口 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】蛭間 有喜子
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-101545(JP,A)
【文献】特開平05-097629(JP,A)
【文献】特開2006-182719(JP,A)
【文献】特開2002-114661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油性の原液と噴射剤とからなるエアゾール化粧料であって、
前記原液が、
(A)比表面積が
10m
2/g以下であるシリカと、
(B)界面活性剤と
を含
み、
前記噴射剤が液化石油ガスであり、
(B)界面活性剤が、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、オレイン酸ソルビタン、およびトリイソステアリン酸ポリグリセリルからなる群から選択される1種もしくは2種以上である、エアゾール化粧料。
【請求項2】
(A)シリカの平均粒径が1~20μmである、請求項
1に記載のエアゾール化粧料。
【請求項3】
(B)界面活性剤の配合量が、
前記原液の全量に対して、0.1~3質量%である、請求項1
または2に記載のエアゾール化粧料。
【請求項4】
(B)界面活性剤が、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である、請求項
1~3のいずれか一項に記載のエアゾール化粧料。
【請求項5】
油性成分の配合量が、前記原液の全量に対して、52.35質量%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアゾール化粧料。
【請求項6】
前記原液が水を含まない、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアゾール化粧料。
【請求項7】
(C)分散剤をさらに含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載のエアゾール化粧料。
【請求項8】
(C)分散剤がステアリン酸カルシウムである、請求項
7に記載のエアゾール化粧料。
【請求項9】
比表面積が100m
2/gより大きいシリカをさらに含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載のエアゾール化粧料。
【請求項10】
クロルヒドロキシアルミニウムをさらに含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載のエアゾール化粧料。
【請求項11】
デオドラントスプレーである、請求項1~1
0のいずれか一項に記載のエアゾール化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原液と噴射剤とからなるエアゾール化粧料であって、該原液が、比表面積が100m2/g以下であるシリカと、界面活性剤とを含む、エアゾール化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
デオドラントスプレーには、汗を吸収できるように吸水性の高い多孔質シリカが使用されることが多く、この多孔質シリカを化粧料中に分散させるために界面活性剤を配合することが必要である。しかし、多孔質シリカは界面活性剤を吸着する性質があることから、特に多孔質シリカのみを配合すると、十分な分散性を得られず、多孔質シリカの堆積速度が早くなってスプレーの使用始めから終わりまで均一に噴射できないという問題が生じる。化粧料中の界面活性剤の増量により、分散性を向上させ粉末を十分に分散させることが可能であるが、その場合には、再分散性が低下するという問題が生じる。
【0003】
これまでに、シリカなどの無機粉体および界面活性剤を含有する制汗デオドラント(剤)組成物が知られているが(特許文献1および2参照)、分散性や再分散性の観点からは更なる改良が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-102271号公報
【文献】特開2016-117698号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明者らは、驚くべきことに、エアゾール化粧料に、比表面積が100m2/g以下であるシリカと、界面活性剤とを含有させることにより、粉末の分散性および再分散性の点で優れたエアゾール化粧料を提供できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づくものである。
【0006】
従って、本発明は、原液と噴射剤とからなるエアゾール化粧料であって、該原液が、比表面積が100m2/g以下であるシリカと、界面活性剤とを含む、エアゾール化粧料を開示する。
【0007】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)原液と噴射剤とからなるエアゾール化粧料であって、該原液が、
(A)比表面積が100m2/g以下であるシリカと、
(B)界面活性剤と
を含む、エアゾール化粧料。
(2)(A)シリカの比表面積が50m2/g以下である、(1)に記載のエアゾール化粧料。
(3)(A)シリカの比表面積が10m2/g以下である、(1)に記載のエアゾール化粧料。
(4)(A)シリカの平均粒径が1~20μmである、(1)~(3)のいずれかに記載のエアゾール化粧料。
(5)(B)界面活性剤の配合量が、原液の全量に対して、0.1~3質量%である、(1)~(4)のいずれかに記載のエアゾール化粧料。
(6)(B)界面活性剤が、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、オレイン酸ソルビタン、およびトリイソステアリン酸ポリグリセリルからなる群から選択される1種もしくは2種以上である、(1)~(5)のいずれかに記載のエアゾール化粧料。
(7)(B)界面活性剤が、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である、(6)に記載のエアゾール化粧料。
(8)噴射剤が液化石油ガスである、(1)~(7)のいずれかに記載のエアゾール化粧料。
(9)(C)分散剤をさらに含む、(1)~(8)のいずれかに記載のエアゾール化粧料。
(10)(C)分散剤がステアリン酸カルシウムである、(9)に記載のエアゾール化粧料。
(11)比表面積が100m2/gより大きいシリカをさらに含む、(1)~(10)のいずれかに記載のエアゾール化粧料。
(12)クロルヒドロキシアルミニウムをさらに含む、(1)~(11)のいずれかに記載のエアゾール化粧料。
(13)デオドラントスプレーである、(1)~(12)のいずれかに記載のエアゾール化粧料。
【0008】
本発明のエアゾール化粧料を用いることにより、粉末の分散性および再分散性の両立を図ることができる点で有利である。
【発明の具体的説明】
【0009】
本発明は、原液と噴射剤とからなるエアゾール化粧料であって、該原液が、(A)比表面積が100m2/g以下であるシリカと、(B)界面活性剤とを含むエアゾール化粧料である。
【0010】
本発明のエアゾール化粧料に含まれる噴射剤は、エアゾール製品全般に用い得る噴射剤であれば、特に限定されるものではないが、例えば、各種の液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、液化石油ガスとジメチルエーテルの混合物や、圧縮ガス等が用いられ得る。LPGはプロパン、ブタン、イソブタンを主成分とする液化石油ガスである。これらの中でも、本発明のエアゾール化粧料に含まれる噴射剤は、噴射性、溶解性の観点から、液化石油ガスが好ましい。
【0011】
本発明のエアゾール化粧料に含まれる原液は、(A)比表面積が100m2/g以下であるシリカと、(B)界面活性剤とを含むものである。以下に原液に含まれる各成分について説明する。
【0012】
本発明のエアゾール化粧料の原液に含まれるシリカの比表面積は、100m2/g以下であるが、50m2/g以下であることが好ましく、10m2/g以下であることがより好ましい。比表面積は77Kにおける粉末への窒素吸着量を測定して、BET法で解析して比表面積を算出することができる。本発明のエアゾール化粧料の原液に含まれるシリカとしては、100m2/g以下であれば特に限定されるものではないが、市販品としては、例えば、シフォンシルP-3R(日揮触媒化成株式会社製)が挙げられる。
【0013】
本発明のエアゾール化粧料の原液に含まれるシリカの平均粒径は、特に限定されるものではないが、1~20μmであることが好ましく、5~15μmであることがより好ましく、7~12μmであることがさらに好ましい。粉末の平均粒径は、レーザー回折・散乱法に準拠して測定することができる。
【0014】
本発明のエアゾール化粧料の好ましい態様によれば、本発明のエアゾール化粧料の原液に含まれるシリカの比表面積が10m2/g以下であり、かつ本発明のエアゾール化粧料の原液に含まれるシリカの平均粒径が1~20μmであるエアゾール化粧料が提供される。
【0015】
本発明のエアゾール化粧料の原液は、比表面積が100m2/g以下であるシリカを含むものであるが、比表面積が100m2/gより大きい(広い)シリカをさらに含んでいてもよい。本発明のエアゾール化粧料の原液に比表面積が100m2/gより大きいシリカをさらに含む場合、そのシリカの比表面積は、例えば、150~300m2/g程度であってもよい。また、本発明のエアゾール化粧料の原液に比表面積が100m2/gより大きいシリカをさらに含む場合、本発明のエアゾール化粧料の原液に含まれる比表面積が100m2/g以下であるシリカと、比表面積が100m2/gより大きいシリカとの質量比(比表面積が100m2/g以下であるシリカ:比表面積が100m2/gより大きいシリカ)は、特に限定されるものではないが、好ましくは25:1~1:1であり、より好ましくは20:1~2:1である。
【0016】
本発明のエアゾール化粧料の原液に含まれる粉末成分として、上記シリカの他にも、タルク、酸化亜鉛、酸化チタン、マイカ、カオリン、粘土鉱物等の無機粉末や、セルロース、変性セルロース、デンプン、変性デンプン等の有機粉末が含まれていてもよい。
【0017】
本発明のエアゾール化粧料の原液に含まれるシリカの配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、原液の全量に対して1~20質量%であり、より好ましくは、原液の全量に対して3~15質量%である。
【0018】
本発明のエアゾール化粧料の原液に含まれる界面活性剤の配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、原液の全量に対して0.1~3質量%であり、より好ましくは、原液の全量に対して0.3~2質量%である。
【0019】
本発明のエアゾール化粧料の原液に含まれる界面活性剤には、特に限定されるものではないが、イオン性界面活性剤(アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両性界面活性剤)および非イオン性界面活性剤の1種もしくは2種以上が含まれてもよく、さらにこれらの4種の界面活性剤に加えて、高分子界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、および天然界面活性剤も本発明のエアゾール化粧料の原液に含まれる界面活性剤の範囲に含まれる。
【0020】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸塩(例えば、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸トリエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ベヘン酸ナトリウム、ベヘン酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸塩(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン等);アルキル硫酸塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等);α-オレフィンスルホン酸塩(例えば、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸カリウム等);N-アシルアミノ酸塩(例えば、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ラウロイル-L-グルタミン酸アンモニウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ラウロイルサルコシンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルサルコシンナトリウム、N-ラウロイル-N-メチルβ-アラニンカリウム等);アシルイセチオン酸塩(例えば、N-ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、N-ラウロイルイセチオン酸カリウム等);N-アシルアルキルタウリン塩(例えば、N-ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、N-ラウロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸メチルタウリンカリウム等);スルホコハク酸エステル塩(例えば、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム等);N-アシルポリペプチド塩(例えば、ヤシ油脂肪酸加水分解コラーゲンカリウム等);アルキルエーテルリン酸塩(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム等);ヒドロキシエーテルカルボン酸塩(例えば、ドデカン-1,2-ジオール酢酸エーテルナトリウム等);アルキルエーテルカルボン酸塩(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸塩等)等が挙げられる。
【0021】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジオレイルジメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、酢酸ラウリン酸アミドブチルグアニジン、酢酸ミリスチン酸アミドブチルグアニジン、酢酸パルミチン酸アミドブチルグアニジン、ジステアリルジメチルアンモニウムサルフェート、ステアリルエチルジヒドロキシエチルアンモニウムエチルサルフェート、N-ヤシ油脂肪酸L-アルギニンエチル・DL-ピロリドンカルボン酸塩、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジプロピルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジプロピルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド等が挙げられる。
【0022】
両性界面活性剤としては、例えば、カルボベタイン型両性界面活性剤(例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、オクチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、セチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン、セチルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等);スルホベタイン型両性界面活性剤(例えば、ヤシ油アルキルスルホベタイン、ラウリルスルホベタイン等);アンホ(ジ)酢酸型両性界面活性剤(例えば、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N-カルボキシメトキシエチル-N-カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム等);アルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤(例えば、ラウリルアミノジ酢酸ナトリウム、ヤシ油アルキルアミノジ酢酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム等);アミノ酸系両性界面活性剤(例えば、N-[3-アルキル(12,14)オキシ-2-ヒドロキシプロピル]-L-アルギニン塩酸塩等)等が挙げられる。
【0023】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、POEソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等);POEグリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等);POE脂肪酸エステル類(例えば、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等)、POEアルキルエーテル類(例えば、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(例えば、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等)、プルロニック類(例えば、プルロニック等)、テトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等)、POEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等)、POEミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POEソルビットミツロウ等)、アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等)、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸、オレイン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ポリグリセリル等が挙げられる。本発明のエアゾール化粧料の原液に含まれる界面活性剤として、好ましくは、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、オレイン酸ソルビタン、およびトリイソステアリン酸ポリグリセリルからなる群から選択される1種もしくは2種以上であり、特に好ましくは、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である。トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、例えば、トリイソステアリン酸PEG-5水添ヒマシ油(HLB値2)、トリイソステアリン酸PEG-10水添ヒマシ油(HLB値4)、トリイソステアリン酸PEG-15水添ヒマシ油(HLB値5)、トリイソステアリン酸PEG-20水添ヒマシ油(HLB値6)、トリイソステアリン酸PEG-30水添ヒマシ油(HLB値7)、トリイソステアリン酸PEG-40水添ヒマシ油(HLB値8)等が挙げられ、これらの中でもトリイソステアリン酸PEG-20水添ヒマシ油が特に好ましい。
【0024】
高分子界面活性剤としては、例えば、アクリル系単量体、メタアクリル系単量体、スチレン系単量体、ビニル系単量体、カルボキシル含有エチレン性不飽和単量体の中から選択される1種または2種以上の共重合体で構成され、前記単量体の具体例としては、例えば、アクリル系、メタアクリル系単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシ(メタ)アクリレート、エトキシ(メタ)アクリレート、ブトキシ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、アクリル(メタ)アミド類が挙げられ、スチレン系単量体としては、例えばスチレン、αメチルスチレン、スチレンスルフォン酸等が挙げられ、ビニル系単量体としては、例えば酢酸ビニル、ビニルエーテル類が挙げられ、カルボキシ含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、ケイ皮酸が挙げられる。
【0025】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、シリコーン鎖分岐型メチルポリシロキサン共重合体、アルキル鎖分岐型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体、アルキル鎖・シリコーン鎖分岐型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体、架橋型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン、アルキル基含有架橋型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン、分岐型ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリグリセリン変性シリコーン、アルキル基含有架橋型ポリグリセリン変性シリコーン、アルキル基分岐型ポリグリセリン変性シリコーン等が挙げられる。
【0026】
天然界面活性剤としては、例えば、リン脂質、レシチン、リゾレシチン、ラノリン、コレステロール、サポニン(例えば、キラヤサポニン、ダイズサポニン、ユッカサポニン、エンジュサポニン、ビートサポニン、アズキサポニン、ニンジンサポニン、茶種サポニン、ヘチマサポニン、ツボクササポニン等)、ペクチン、グリチルリチン酸またはその塩等が挙げられる。
【0027】
本発明のエアゾール化粧料の原液には、油相成分が含まれていてもよい。本発明のエアゾール化粧料の原液に含まれる油相成分としては、通常化粧料、医薬部外品等に用いられる炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油、液体油脂、固体油脂、ロウ、香料等が挙げられる。
【0028】
炭化水素油としては、例えば、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソパラフィン、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0029】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0030】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等)、分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)-2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0031】
合成エステル油としては、例えば、オクタン酸オクチル、ノナン酸ノニル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ピバリン酸トリプロピレングリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、ジイソステアリン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート-2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、エチルヘキサン酸セチル等が挙げられる。
【0032】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等)、環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)、アクリルシリコーン類等が挙げられる。
【0033】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0034】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0035】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0036】
香料としては、動物または植物より得られる天然香料と、化学的合成手段によって製造される合成香料、およびそれらの混合物である調合香料が挙げられ、特に限定されない。香料を配合することで、香りの持続性に優れた化粧料を得ることができる。
【0037】
香料としては、具体的には、メントール、乳酸メンチル、アセチベノール、アニスアルデヒド、アネトール、アミルアセテート、アミルサリシレート、アリルアミルグリコレート、アリルカプロエート、アルデヒドC6~20、アンブレットライド、アンブレットリド、アンブロキサン、イオノン、イソイースーパー、オイゲノール、オウランチオール、ガラクソリド、カローン、クマリン、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、サンダロア、サンタロール、サンデラ、シクラメンアルデヒド、シス-3-ヘキセニルアセテート、シス-3-ヘキセノール、シトラール、シトロネリルアセテート、シトロネロール、シネオール、ジハイドロミルセノール、ジャスモラクトン、シンナミックアルコール、シンナミックアルデヒド、スチラリルアセテート、セドリルアセテート、セドロール、ダマスコン、ダマセノン、デカラクトン、テルピニルアセテート、テルピネオール、トナリッド、トナリド、トリプラール、ネロール、バクダノール、バニリン、ヒドロキシシトロネラール、フェニルエチルアセテート、フェニルエチルアルコール、ヘキシルサリシレート、ベチベリルアセテート、ヘディオン、ヘリオトロピン、ヘリオナール、ベルトフィックス、ベンジルアセテート、ベンジルサリシレート、ベンジルベンゾエート、ペンタリッド、ペンタリド、ボルニルアセテート、マイオール、ムスクケトン、メチルアンスラニレート、メチルジヒドロジャスモネート、ヤラヤラ、ライムオキサイド、リナリルアセテート、リナロール、リモネン、リラール、リリアール、ローズオキサイド、ロジノール、アンジェリカオイル、アニスオイル、アルモアゼオイル、バジルオイル、ベイオイル、ベルガモットオイル、カラムスオイル、カンファーオイル、カナンガオイル、カルダモンオイル、カッシアオイル、セダーウッドオイル、セロリオイル、カモミールオイル、シナモンオイル、クローブオイル、コリアンダーオイル、クミンオイル、ディルオイル、エレミオイル、エストラゴンオイル、ユーカリオイル、フェンネルオイル、フェヌグリークオイル、ガルバナムオイル、ゼラニウムオイル、ジンジャーオイル、グレープフルーツオイル、ガヤックウッドオイル、ヒバオイル、ヒノキオイル、ジュニパーベリーオイル、ラバンジンオイル、ラベンダーオイル、レモンオイル、ライムオイル、マンダリンオイル、ジラムオイル、モミザオイル、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、ミルオイル、ミルトルオイル、ナツメグオイル、オークモスオイル、オリバナムオイル、オポポナックスオイル、オレンジオイル、パセリオイル、パチュリオイル、ペッパーオイル、ペリラオイル、プチグレンオイル、ネロリオイル、オレンジフラワーオイル、ピメントオイル、オールスパイスオイル、パインオイル、ローズオイル、ローズマリーオイル、クラリセージオイル、セージオイル、サンダルウッドオイル、スチラックスオイル、タジェオイル、タイムオイル、チュベローズオイル、バレリアンオイル、ベチバーオイル、バイオレットリーフオイル、ウィンターグリーンオイル、ワームウッドオイル、イランイランオイル、ユズオイル、カッシーアブソリュート、ジュネアブソリュート、ヒヤシンスアブソリュート、インモルテルアブソリュート、ジャスミンアブソリュート、ジョンキルアブソリュート、ナルシスアブソリュート、ローズアブソリュート、バイオレットリーフアブソリュート、ベンベンゾイン等が挙げられる。
【0038】
本発明のエアゾール化粧料の原液には、比表面積が100m2/g以下であるシリカおよび界面活性剤に加えて、さらに分散剤として金属石鹸を含むことが好ましい。分散剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸カルシウム、ミリスチン酸亜鉛、ステリン酸アルミニウム等が挙げられ、これらの中でもステアリン酸カルシウムが好ましい。
【0039】
本発明のエアゾール化粧料の原液に分散剤が含まれる場合、本発明のエアゾール化粧料の原液に含まれる分散剤の配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、原液の全量に対して0.1~5質量%であり、より好ましくは、原液の全量に対して0.2~3質量%であり、さらに好ましくは、原液の全量に対して0.3~2質量%である。
【0040】
本発明のエアゾール化粧料には、制汗剤、殺菌剤、および/または消臭剤を配合してもよい。本発明の好ましい態様としては、本発明のエアゾール化粧料は、デオドラントスプレーである。また、本発明の別の好ましい態様としては、本発明のエアゾール化粧料は、制汗スプレーである。
【0041】
本発明のエアゾール化粧料に含まれてもよい制汗剤としては、例えば、クロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、フェノールスルホン酸アルミニウム、β-ナフトールジスルホン酸アルミニウム、過ホウ酸ナトリウム、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、ジルコニウムクロロハイドレート、硫酸アルミニウムカリウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、塩基性臭化アルミニウム、アルミニウムナフタリンスルホン酸、塩基性ヨウ化アルミニウム、酸化亜鉛が挙げられ、これらの一種または二種以上が配合されてもよく、好ましくは、酸化亜鉛および/またはクロルヒドロキシアルミニウムが配合され、より好ましくは、クロルヒドロキシアルミニウムが配合される。
【0042】
本発明のエアゾール化粧料に含まれてもよい殺菌剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、3,4,4-トリクロロカルバニリド(T.C.C)、トリエチルサイトレート(T.E.C)、塩化ベンゾトニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、レゾルシン、フェノール、ソルビン酸、サリチル酸、ヘキサクロロフェン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、銀担持ゼオライト、銀担持シリカなどが挙げられ、これらの一種または二種以上が配合されてもよく、好ましくは、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノールが配合され、より好ましくは、イソプロピルメチルフェノールが配合される。
【0043】
本発明のエアゾール化粧料に含まれてもよい消臭剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化亜鉛複合粉末、表面疎水化処理酸化亜鉛、活性炭、緑茶抽出物などの植物抽出物等が挙げられ、これらの一種または二種以上が配合されてもよく、好ましくは、酸化亜鉛、酸化亜鉛複合粉末または表面疎水化処理酸化亜鉛が配合される。
【0044】
本発明のエアゾール化粧料には、上記成分の他に、例えば、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調製剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、水等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0045】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0046】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラアビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0047】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0048】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
【0049】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVA、PVM、PVP、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0050】
紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等);3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール;2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン等が挙げられる。
【0051】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0052】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D-エリトロース、D-エリトルロース、D-トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L-アラビノース、D-キシロース、L-リキソース、D-アラビノース、D-リボース、D-リブロース、D-キシルロース、L-キシルロース等);六炭糖(例えば、D-グルコース、D-タロース、D-ブシコース、D-ガラクトース、D-フルクトース、L-ガラクトース、L-マンノース、D-タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプッロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボース、6-デオキシ-L-ガラクトース、6-デオキシ-L-マンノース等);アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等が挙げられる。
【0053】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
【0054】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等が挙げられる。
【0055】
アミノ酸として、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0056】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3ープロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0057】
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0058】
pH調製剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
【0059】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、Eおよびその誘導体、パントテン酸およびその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
【0060】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0061】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0062】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【実施例】
【0063】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。配合量は特記しない限り、質量%で示す。
【0064】
試験例1:エアゾール化粧料の分散性の評価
下記の実施例1~2および比較例1~5のエアゾール化粧料についての「粉末の再分散性」について評価を行った。分散性は、下記の実施例1~2および比較例1~5について、下記の評価基準に基づいて評価した。堆積速度に関しては、3回測定を行い、その平均値を用いた。ここで、分散性が高いとは、粉末の堆積速度が遅く、粉末がガス中に分散された状態が長時間持続することを意味する。一方、分散性が低いとは、粉末の堆積速度が速く、粉末がガス中に分散された状態が短時間しか持続しないことを意味する。ここで、堆積速度とは、24時間静置後の粉末が容器に沈殿しているときの粉末の高さをhとし、容器の底に沈殿した粉末を十分に振盪して分散した後に静置させて、粉末の堆積面がh/2になるまでの時間(秒)を意味するとした。
【0065】
<粉末の分散性の評価基準>
A:堆積速度が15秒以上である
B:堆積速度が15秒未満である
【0066】
【0067】
表1の結果から、本発明による実施例1および2は、いずれも評価結果が「A」であり、高い分散性を示すことが分かった。
一方、実施例1および2と同じ粉末(シフォンシルP-3R(比表面積が3m2/gである))を使用しているものの界面活性剤(トリイソステアリン酸PEG-20水添ヒマシ油(トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油))を含有していない比較例1では評価結果が「B」であり、分散性が低かった。実施例1および2とは別の粉末(サンスフェアL-51(比表面積が290m2/gである)またはサティニアM5(比表面積が160m2/gである))を使用し、界面活性剤(トリイソステアリン酸PEG-20水添ヒマシ油)を含有していない比較例2および4でも、評価結果が「B」であり、分散性が低かった。
また、実施例1と同量のトリイソステアリン酸PEG-20水添ヒマシ油を使用しているものの、実施例1とは別の粉末(サンスフェアL-51(比表面積が290m2/gである)またはサティニアM5(比表面積が160m2/gである))を使用した比較例3および5では評価結果が、「B」であり、分散性が低かった。
【0068】
試験例2:エアゾール化粧料の分散性および再分散性の評価
下記の実施例3~4および比較例6~7のエアゾール化粧料について、「粉末の分散性」、「粉末の再分散性」、「使用性(サラサラ感)」、および「使用性(べたつきの無さ)」について評価を行った。「粉末の分散性」については、上記の試験例1に記載の評価基準に基づき、「粉末の再分散性」、「使用性(サラサラ感)」、および「使用性(べたつきの無さ)」については下記の評価基準に基づいて評価した。堆積速度に関しては、3回測定を行い、その平均値を用いた。ここで、再分散性が高いとは、少ない振盪回数で分散状態となることを意味し、再分散性が低いとは、分散状態となるまでの振盪回数が多くなることを意味する。
【0069】
<粉末の再分散性の評価基準>
A:振盪15回以内で再分散可能
B:振盪15回以上20回未満で再分散可能
C:振盪20以上25回未満で再分散可能
D:振盪25回以上で再分散可能
【0070】
<使用性(サラサラ感)の評価基準>
A:実施例3と同等のサラサラ感がある
B:実施例3と同等のサラサラ感がない
【0071】
<使用性(べたつきの無さ)の評価基準>
A:実施例3と同等のべたつきの無さである
B:実施例3と比較するとべたつきがある
【0072】
【0073】
表2の結果から、実施例3~4(シフォンシルP-3R(比表面積が3m2/gである))を含むエアゾール化粧料では、比較例6~7の比表面積がより大きいシリカのみを用いた場合と比較して、優れた使用性、良好な分散性および再分散性を示すことが分かった。また、比較例6~7のように比表面積がより大きいシリカのみを用いた場合には、界面活性剤の配合量を増加させても、分散性および再分散性の両立を図ることができないことが分かった。
【0074】
試験例3:製品処方粉末での吸水性の評価
エアゾール化粧料中の粉末部分の下記の処方例1~4についての吸水性について評価した。
処方例1~4中の吸水量は、JIS5101-13-1吸油量の測定方法を元に、試薬を精製あまに油から精製水に変更し、吸水量の測定方法に用いた。測定試料を測定板(ガラス板または大理石板)に取り、精製水をビュレットから一回4、5滴ずつ徐々に加える。その都度、パレットナイフで精製水を試料に練り込む。これを繰り返し、精製水および試料の塊ができるまで滴下を続ける。以後、1滴ずつ滴下し、完全に混練するようにして繰り返す。ペーストが滑らかな硬さになったところを終点とする。このペーストは、割れたり、ぼろぼろになったりせず広げることができ、かつ測定板に軽く付着する程度のものとする。試料が失われないよう操作者は最大限の努力を払う。ビュレットの値を読み取り、使用した量を記録する。終点までの操作に要する時間は20~25分間となるようにする。吸水量の比較が必要な場合には、受渡当事者間で合意された比較試料についても同じ方法で吸水量を測定する。
【0075】
結果の表示方法:吸水量は、試料100g当たりのmLまたは試料100g当たりのgで表し、それぞれ、下記式を用いて算出した。
W=100V/m
[式中、
W:吸水量(mL/100gまたはg/100g)
V:消費した精製水量(mlまたはg)
m:試料の質量(g)]。
【0076】
【0077】
表3の結果から、製品処方粉末中に疎水性粉末(ナイロン SP-500)を配合した場合には、製品処方粉末中にシリカを配合した場合と比較して吸水性が著しく低下することが分かる。一方、製品処方粉末中にシリカを用いた場合には、シリカの比表面積の広狭により吸水量に殆ど違いはないことが分かった。
すなわち、本発明のエアゾール化粧料は、粉末の分散性および再分散性の両立を図ることができ、かつ吸水性の点でも比表面積の広いシリカと同等の吸水性を確保できることが分かった。