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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】冷却庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20240813BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20240813BHJP
   F25D 29/00 20060101ALI20240813BHJP
   F25D 23/02 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
F25D23/00 302L
F25D23/00 302M
F25D11/00 101B
F25D29/00 Z
F25D23/02 306M
F25D23/02 306P
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2020100721
(22)【出願日】2020-06-10
(65)【公開番号】P2021196077
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 祐治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 亮太
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐基
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-006032(JP,A)
【文献】特開2019-049397(JP,A)
【文献】特開2009-041853(JP,A)
【文献】特開2010-025461(JP,A)
【文献】特開2009-228994(JP,A)
【文献】特開平07-265138(JP,A)
【文献】特開2002-364712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/00
F25D 11/00
F25D 29/00
F25D 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に開口を有する箱状の冷却庫本体と、
前記冷却庫本体内を冷却するための冷却装置と、
前記冷却装置によって生じた冷気を前記冷却庫本体内に循環供給するための庫内ファンと、
前記開口を覆うように設けられ開閉可能な扉と、
前記扉または前記冷却庫本体の少なくとも一方に当接して、前記冷却庫本体と前記扉との間に所定の隙間を発生するための当接部材と、
前記当接部材と接続され、前記当接部材を移動させるための当接部材駆動部と、
前記冷却装置、前記庫内ファン、前記当接部材駆動部の運転を制御する制御部と、
前記制御部によって運転が制御され、前記冷却庫本体内を加熱可能な庫内ヒーターと、
前記冷却庫本体内の温度を検出可能な庫内温度センサと、を備え、
前記制御部は、前記冷却庫本体内を乾燥する乾燥運転時に、
前記冷却装置を停止して、前記庫内ファン及び前記庫内ヒーターを作動すると共に、
前記当接部材を前記隙間が発生しない第1位置から前記隙間が発生する第2位置に移動させるように、前記当接部材駆動部を制御し、
前記庫内ヒーター及び前記庫内ファンの作動後に、
前記庫内温度センサの検出温度が第1閾値より小さい場合、前記当接部材の位置が前記第1位置となり、
前記庫内温度センサの検出温度が前記第1閾値以上の場合、前記当接部材の位置が前記第2位置となるように、前記当接部材駆動部を制御する冷却庫。
【請求項2】
前記扉は、自閉機能を有し、
前記制御部は、前記乾燥運転の開始から所定の第1設定時間の経過後に、
前記庫内ヒーター及び前記庫内ファンを停止すると共に、
前記当接部材を前記第2位置から前記第1位置に移動させるように、前記当接部材駆動部を制御する請求項1に記載の冷却庫。
【請求項3】
前記制御部は、前記乾燥運転の開始から第1設定時間の経過後に、
前記庫内ヒーター及び前記庫内ファンを停止し、
前記第1設定時間の終了から第2設定時間の経過後に、
前記当接部材を前記第2位置から前記第1位置に移動させるように、前記当接部材駆動部を制御する請求項1に記載の冷却庫。
【請求項4】
前記制御部は、前記乾燥運転時に、前記庫内ヒーター及び前記庫内ファンの作動後に、前記庫内温度センサの検出温度が前記第1閾値より大きな第2閾値以上の場合、前記庫内ヒーターを停止する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の冷却庫。
【請求項5】
前記制御部は、前記乾燥運転時に、前記庫内ヒーターの作動率を調整する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の冷却庫。
【請求項6】
前記制御部は、前記乾燥運転時に、前記庫内ファンを間欠的に作動させる請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の冷却庫。
【請求項7】
前記扉は、その一方の側縁部を揺動軸として揺動可能に前記冷却庫本体に取り付けられており、
前記扉は、前記冷却庫本体側の面の外縁部に配される磁気パッキンを有し、
前記磁気パッキンは、前記一方の側縁部と反対側の他方の側縁部に配された部分の磁力が、他の部分に比して小さいものとされる請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の冷却庫。
【請求項8】
前記扉は、その側縁部を揺動軸として揺動可能に前記冷却庫本体に取り付けられており、
前記扉は、その前記冷却庫本体側の面の外縁部において、前記側縁部以外の部分に突出部を有する請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の冷却庫。
【請求項9】
前記当接部材は、前記扉の前記冷却庫本体側の面に直接的に当接して、前記隙間を発生させる請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の冷却庫。
【請求項10】
前方に開口を有する箱状の冷却庫本体と、
前記冷却庫本体内を冷却するための冷却装置と、
前記冷却装置によって生じた冷気を前記冷却庫本体内に循環供給するための庫内ファンと、
前記開口を覆うように設けられ開閉可能な扉と、
前記扉または前記冷却庫本体の少なくとも一方に当接して、前記冷却庫本体と前記扉との間に所定の隙間を発生するための当接部材と、
前記当接部材と接続され、前記当接部材を移動させるための当接部材駆動部と、
前記冷却装置、前記庫内ファン、前記当接部材駆動部の運転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記冷却庫本体内を乾燥する乾燥運転時に、
前記冷却装置を停止して、前記庫内ファンを作動すると共に、
前記当接部材を前記隙間が発生しない第1位置から前記隙間が発生する第2位置に移動させるように、前記当接部材駆動部を制御し、
前記扉には、前記当接部材が当接可能な受け部が設けられており、
前記受け部は、前記当接部材が当接する被当接部と、前記扉に固定される固定部と、を有し、
前記固定部には、締結部材が挿入され、前記被当接部の位置を調整可能な長穴が設けられている冷却庫。
【請求項11】
前記当接部材及び前記受け部はそれぞれ、少なくとも互いに接触する部分が樹脂製である請求項10に記載の冷却庫。
【請求項12】
前記当接部材及び前記受け部はそれぞれ金属製であり、少なくとも互いに接触する部分が研磨加工されている請求項10に記載の冷却庫。
【請求項13】
前方に開口を有する箱状の冷却庫本体と、
前記冷却庫本体内を冷却するための冷却装置と、
前記冷却装置によって生じた冷気を前記冷却庫本体内に循環供給するための庫内ファンと、
前記開口を覆うように設けられ開閉可能な扉と、
前記扉または前記冷却庫本体の少なくとも一方に当接して、前記冷却庫本体と前記扉との間に所定の隙間を発生するための当接部材と、
前記当接部材と接続され、前記当接部材を移動させるための当接部材駆動部と、
前記冷却装置、前記庫内ファン、前記当接部材駆動部の運転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記冷却庫本体内を乾燥する乾燥運転時に、
前記冷却装置を停止して、前記庫内ファンを作動すると共に、
前記当接部材を前記隙間が発生しない第1位置から前記隙間が発生する第2位置に移動させるように、前記当接部材駆動部を制御し、
前記扉には、前記当接部材が当接可能な受け部が設けられており、
前記扉は、揺動軸回りに揺動可能に前記冷却庫本体に取り付けられると共に、
前記扉には、揺動可能な最大角度を規制するための規制部が設けられており、
前記規制部は、前記受け部を兼ねるものとされる冷却庫。
【請求項14】
前方に開口を有する箱状の冷却庫本体と、
前記冷却庫本体内を冷却するための冷却装置と、
前記冷却装置によって生じた冷気を前記冷却庫本体内に循環供給するための庫内ファンと、
前記開口を覆うように設けられ開閉可能な扉と、
前記扉または前記冷却庫本体の少なくとも一方に当接して、前記冷却庫本体と前記扉との間に所定の隙間を発生するための当接部材と、
前記当接部材と接続され、前記当接部材を移動させるための当接部材駆動部と、
前記冷却装置、前記庫内ファン、前記当接部材駆動部の運転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記冷却庫本体内を乾燥する乾燥運転時に、
前記冷却装置を停止して、前記庫内ファンを作動すると共に、
前記当接部材を前記隙間が発生しない第1位置から前記隙間が発生する第2位置に移動させるように、前記当接部材駆動部を制御し、
前記扉には、前記当接部材が当接可能な受け部が設けられており、
前記扉の開閉を検知するための扉開閉センサ、を備え、
前記扉開閉センサは、前記扉に配されるマグネット部と、前記冷却庫本体に配され前記マグネット部の近接を検知可能なセンサ本体部と、を有し、
前記マグネット部は、前記受け部を兼ねるものとされる冷却庫。
【請求項15】
前方に開口を有する箱状の冷却庫本体と、
前記冷却庫本体内を冷却するための冷却装置と、
前記冷却装置によって生じた冷気を前記冷却庫本体内に循環供給するための庫内ファンと、
前記開口を覆うように設けられ開閉可能な扉と、
前記扉または前記冷却庫本体の少なくとも一方に当接して、前記冷却庫本体と前記扉との間に所定の隙間を発生するための当接部材と、
前記当接部材と接続され、前記当接部材を移動させるための当接部材駆動部と、
前記冷却装置、前記庫内ファン、前記当接部材駆動部の運転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記冷却庫本体内を乾燥する乾燥運転時に、
前記冷却装置を停止して、前記庫内ファンを作動すると共に、
前記当接部材を前記隙間が発生しない第1位置から前記隙間が発生する第2位置に移動させるように、前記当接部材駆動部を制御し、
前記当接部材駆動部は、モーターであり、
前記当接部材は、前記モーターによって回転する回転体であり、
前記モーター及び前記回転体は、前記冷却庫本体の開口縁部の上部に取り付けられており、
前記開口縁部の上部を前方及び上方から覆うトップパネルを備え、
前記回転体の位置が前記第2位置にある状態において、前記扉の前面は、前記トップパネルの前面より後方に位置している冷却庫。
【請求項16】
前方に開口を有する箱状の冷却庫本体と、
前記冷却庫本体内を冷却するための冷却装置と、
前記冷却装置によって生じた冷気を前記冷却庫本体内に循環供給するための庫内ファンと、
前記開口を覆うように設けられ開閉可能な扉と、
前記扉または前記冷却庫本体の少なくとも一方に当接して、前記冷却庫本体と前記扉との間に所定の隙間を発生するための当接部材と、
前記当接部材と接続され、前記当接部材を移動させるための当接部材駆動部と、
前記冷却装置、前記庫内ファン、前記当接部材駆動部の運転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記冷却庫本体内を乾燥する乾燥運転時に、
前記冷却装置を停止して、前記庫内ファンを作動すると共に、
前記当接部材を前記隙間が発生しない第1位置から前記隙間が発生する第2位置に移動させるように、前記当接部材駆動部を制御し、
前記当接部材駆動部は、モーターであり、
前記当接部材は、前記モーターによって回転する回転体であり、
前記モーター及び前記回転体は、前記冷却庫本体の開口縁部の上部に取り付けられており、
前記回転体は、
前記モーターと連結され、上下方向に延在する回転軸部と、
前記回転軸部から前記回転軸部の延在方向と交わる方向に延出し、前記扉に設けられた受け部に当接可能な当接部と、
前記当接部が前記受け部に当接している状態において、前記回転軸部から前記回転軸部の延在方向と交わる方向に沿って後方に延出する延出部と、を有する冷却庫。
【請求項17】
前記回転体は、前記モーターの少なくとも一部を下方から覆うキャップ状をなし、樹脂からなる請求項16に記載の冷却庫。
【請求項18】
前記当接部は、前記回転軸部の下端部から延出し、前記延出部は、前記回転軸部の上端部から延出している請求項16に記載の冷却庫。
【請求項19】
前記モーターには、前記モーターを前記冷却庫本体に対して取り付けるための取付部材が接続されており、
前記当接部が前記受け部に当接している状態において、前記受け部に後方に向かう外力が加わった場合に、前記延出部は、その先端が前記取付部材の一部に当接するように配されている請求項18に記載の冷却庫。
【請求項20】
前方に開口を有する箱状の冷却庫本体と、
前記冷却庫本体内を冷却するための冷却装置と、
前記冷却装置によって生じた冷気を前記冷却庫本体内に循環供給するための庫内ファンと、
前記開口を覆うように設けられ開閉可能な扉と、
前記扉または前記冷却庫本体の少なくとも一方に当接して、前記冷却庫本体と前記扉との間に所定の隙間を発生するための当接部材と、
前記当接部材と接続され、前記当接部材を移動させるための当接部材駆動部と、
前記冷却装置、前記庫内ファン、前記当接部材駆動部の運転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記冷却庫本体内を乾燥する乾燥運転時に、
前記冷却装置を停止して、前記庫内ファンを作動すると共に、
前記当接部材を前記隙間が発生しない第1位置から前記隙間が発生する第2位置に移動させるように、前記当接部材駆動部を制御し、
前記当接部材駆動部は、モーターであり、
前記当接部材は、前記モーターによって回転する回転体であり、
前記モーター及び前記回転体は、前記冷却庫本体の開口縁部の上部に取り付けられており、
前記回転体の回転位置を検知するためのマイクロスイッチを備え、
前記モーターには、前記回転体と共に回転し、前記マイクロスイッチの導通状態を切替可能な位置検知板が設けられており、
前記制御部は、前記マイクロスイッチの導通状態に基づき、前記回転体の位置が前記第1位置にあるか、前記第2位置にあるかを判別する冷却庫。
【請求項21】
前方に開口を有する箱状の冷却庫本体と、
前記冷却庫本体内を冷却するための冷却装置と、
前記冷却装置によって生じた冷気を前記冷却庫本体内に循環供給するための庫内ファンと、
前記開口を覆うように設けられ開閉可能な扉と、
前記扉または前記冷却庫本体の少なくとも一方に当接して、前記冷却庫本体と前記扉との間に所定の隙間を発生するための当接部材と、
前記当接部材と接続され、前記当接部材を移動させるための当接部材駆動部と、
前記冷却装置、前記庫内ファン、前記当接部材駆動部の運転を制御する制御部と、
前記扉の開閉を検知するための扉開閉センサと、を備え、
前記制御部は、前記冷却庫本体内を乾燥する乾燥運転時に、
前記冷却装置を停止して、前記庫内ファンを作動すると共に、
前記当接部材を前記隙間が発生しない第1位置から前記隙間が発生する第2位置に移動させるように、前記当接部材駆動部を制御し、
前記当接部材駆動部は、ソレノイドであり、
前記当接部材は、前記ソレノイドによって直線運動する棒状体であり、
前記制御部は、前記乾燥運転時に、前記扉開閉センサの検出結果に基づき、前記扉が閉じられていると判別した場合に、前記ソレノイドの通電を停止する冷却庫。
【請求項22】
前記ソレノイドは、前記冷却庫本体の下方に配されて前記冷却装置の少なくとも一部が収容される機械室内に配されている請求項21に記載の冷却庫。
【請求項23】
前記機械室を前方から覆うフロントパネルを備え、
前記ソレノイドは、前記フロントパネルに覆われるように配されている請求項22に記載の冷却庫。
【請求項24】
前記冷却庫本体の開口縁部の上部を前方及び上方から覆うトップパネルを備え、
前記ソレノイドは、前記トップパネル内に配されている請求項21に記載の冷却庫。
【請求項25】
前記ソレノイドは、前記冷却庫本体を構成する壁内に埋設されている請求項21に記載の冷却庫。
【請求項26】
前記ソレノイドは、前記扉の下部に取り付けられている請求項21に記載の冷却庫。
【請求項27】
前記扉は、その側縁部を揺動軸として揺動可能に前記冷却庫本体に取り付けられており、
前記棒状体は、前記扉の上部または下部の中央位置に対して当接可能に設けられている請求項21から請求項26のいずれか1項に記載の冷却庫。
【請求項28】
前記ソレノイドは、その出力軸が上下方向に移動するように配されている請求項21から請求項27のいずれか1項に記載の冷却庫。
【請求項29】
前記制御部は、前記ソレノイドを間欠的に作動させる請求項21から請求項28のいずれか1項に記載の冷却庫。
【請求項30】
前記ソレノイドは、直流で駆動するDCソレノイドである請求項21から請求項29のいずれか1項に記載の冷却庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却貯蔵庫の一つとして、高温の食品を短時間で急速に冷却する急速冷却庫(いわゆるブラストチラー)が知られている。急速冷却庫では、食品を急速に冷却するために庫内ファンが高速で回転されるため、庫内ファンの風圧によって食品中の水分や油分等が庫内に飛び散ることがある。このため、急速冷却庫では使用者が手作業、または自動洗浄機能によって庫内を定期的に水で洗浄するという運用が行われている。そして、洗浄後は、水分を放置すると庫内にカビや雑菌が繁殖し易くなるため、庫内を乾燥させることが好ましい。
【0003】
特許文献1には、急速冷却庫の乾燥運転の一例が開示されている。特許文献1に記載の急速冷却庫は、庫内ヒーターに通電して庫内温度を上昇させつつ、庫内ファンを回転させて庫内を乾燥する。また、当該急速冷凍庫は、庫内で発生した水蒸気を排気するための排気パイプと、排気パイプを開閉する電磁弁(電気的駆動弁の一例)と、を備え、扉を閉めたまま乾燥運転を自動的に行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-49397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のように排気パイプ及び電気的駆動弁を設けると、その設置スペースを確保するために急速冷却庫の外形寸法が大きくなってしまい、また製造コストも増大してしまう。そこで、高コストの電気的駆動弁の代わりに、例えば風量調整用のダンパーと、ダンバーを開閉するアクチュエーター(例えば、モーター型、ソレノイド型)と、を用いて、これらを排気パイプの経路上に設ける構成にすれば、コストの大幅な増大は抑制できるが、外形寸法は大きくならざるを得ないのが実情である。
【0006】
本願明細書に記載の技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、外形寸法の増大を抑制しつつ、乾燥運転を自動的に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願明細書に記載の技術に関わる冷却庫は、前方に開口を有する箱状の冷却庫本体と、前記冷却庫本体内を冷却するための冷却装置と、前記冷却装置によって生じた冷気を前記冷却庫本体内に循環供給するための庫内ファンと、前記開口を覆うように設けられ開閉可能な扉と、前記扉または前記冷却庫本体の少なくとも一方に当接して、前記冷却庫本体と前記扉との間に所定の隙間を発生するための当接部材と、前記当接部材と接続され、前記当接部材を移動させるための当接部材駆動部と、前記冷却装置、前記庫内ファン、前記当接部材駆動部の運転を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記冷却庫本体内を乾燥する乾燥運転時に、前記冷却装置を停止して、前記庫内ファンを作動すると共に、前記当接部材を前記隙間が発生しない第1位置から前記隙間が発生する第2位置に移動させるように、前記当接部材駆動部を制御する。
【0008】
上記構成の冷却庫によれば、乾燥運転時に、制御部によって当接部材駆動部を制御して、当接部材を第1位置から第2位置に移動させることで、扉と冷却庫本体との間に所定の隙間を発生できるようになる。これにより、当該隙間を通じて、冷却庫本体内の水蒸気を外部に排気できるようになり、冷却庫本体内を自動的に乾燥できるようになる。また、当該隙間が排気経路となり、排気パイプ等を用いて排気経路を別途設ける必要がなくなるため、外形寸法の増大を抑制できる。さらには、電気的駆動弁のような高コスト部材が不要となるため、コストの大幅な増大も抑制できる。
【0009】
また、前記冷却庫は、前記制御部によって運転が制御され、前記冷却庫本体内を加熱可能な庫内ヒーターを備え、前記制御部は、前記乾燥運転時に前記庫内ヒーターを作動する。このようにすれば、乾燥運転時に、庫内ヒーターによって庫内温度を上昇させることができるようになり、乾燥時間を短縮化できるようになる。
【0010】
また、前記扉は、自閉機能を有し、前記制御部は、前記乾燥運転の開始から所定の第1設定時間の経過後に、前記庫内ヒーター及び前記庫内ファンを停止すると共に、前記当接部材を前記第2位置から前記第1位置に移動させるように、前記当接部材駆動部を制御する。このようにすれば、第1設定時間の経過後には、庫内ヒーター及び庫内ファンが停止されて温風の循環供給が停止されると共に、扉の自閉機能によって扉と冷却庫本体との隙間が閉じられるようになる。その結果、完全な自動乾燥運転が実現できるようになる。
【0011】
また、前記制御部は、前記乾燥運転の開始から第1設定時間の経過後に、前記庫内ヒーター及び前記庫内ファンを停止し、前記第1設定時間の終了から第2設定時間の経過後に、前記当接部材を前記第2位置から前記第1位置に移動させるように、前記当接部材駆動部を制御する。このようにすれば、第1設定時間の経過後には、庫内ヒーター及び庫内ファンが停止されて温風の循環供給が停止され、第2設定時間の経過後は、扉と冷却庫本体との隙間が閉じられるようになる。その結果、完全な自動乾燥運転が実現できるようになる。また、第2設定時間においては、庫内ヒーター及び庫内ファンが停止されつつ、隙間は生じたままとなるため、庫内ヒーター及び庫内ファンの消費電力を抑えつつ、温度が高い状態で庫内に残った水蒸気の排気を促進できるようになる。
【0012】
また、前記冷却庫は、前記冷却庫本体内の温度を検出可能な庫内温度センサを備え、前記制御部は、前記乾燥運転時に、前記庫内ヒーター及び前記庫内ファンの作動後に、前記庫内温度センサの検出温度が第1閾値より小さい場合、前記当接部材の位置が前記第1位置となり、前記庫内温度センサの検出温度が前記第1閾値以上の場合、前記当接部材の位置が前記第2位置となるように、前記当接部材駆動部を制御する。このようにすれば、乾燥運転時に、庫内温度が第1閾値未満の場合には、当接部材が第1位置にあり、扉と冷却庫本体との隙間が生じていないため、庫内温度を庫内ヒーターによって短時間で上昇できるようになる。また、短時間で庫内温度が上昇するため、庫内ヒーターの通電時間を減少できるようになる。その結果、庫内を効率的に乾燥でき、乾燥時間を短縮化できるようになる。
【0013】
また、前記制御部は、前記乾燥運転時に、前記庫内ヒーター及び前記庫内ファンの作動後に、前記庫内温度センサの検出温度が前記第1閾値より大きな第2閾値以上の場合、前記庫内ヒーターを停止する。このようにすれば、乾燥運転時に、庫内温度が第2閾値以上になると、庫内ヒーターが停止し、冷却庫本体の構成部材(具体的には樹脂製の構成部材)が高温によって損傷してしまう事態を抑制できるようになる。
【0014】
また、前記制御部は、前記乾燥運転時に、前記庫内ヒーターの作動率を調整する。乾燥運転時に、扉と冷却庫本体との隙間を通じて排出された水蒸気が、冷却庫本体の開口縁部で結露し、結露水が設置床面に滴下しまう恐れがある。そこで、庫内ヒーターの作動率を調整することで、庫内温度の急激な上昇を抑え、単位時間当たりの水蒸気排出量、ひいては結露水を抑制できるようになる。冷却庫本体の開口縁部の結露を抑制するには、開口縁部に結露防止用ヒーターを設ける方法が知られているが、それに比べて、エネルギー消費を低減できる。
【0015】
また、前記制御部は、前記乾燥運転時に、前記庫内ファンを間欠的に作動させる。このように庫内ファンを間欠的に作動させる(オンオフを繰り返す)ことで、単位時間当たりの水蒸気排出量、ひいては結露の発生を抑制できるようになる。これにより、上記同様に、エネルギー消費を低減しつつ、冷却庫本体の開口縁部の結露を抑制可能となる。
【0016】
また、前記扉は、その一方の側縁部を揺動軸として揺動可能に前記冷却庫本体に取り付けられており、前記扉は、前記冷却庫本体側の面の外縁部に配される磁気パッキンを有し、前記磁気パッキンは、前記一方の側縁部と反対側の他方の側縁部に配された部分の磁力が、他の部分に比して小さいものとされる。このようにすれば、揺動軸となる側縁部(例えば左側縁部)と反対側の側縁部(例えば右側縁部)に配された磁気パッキンの密着力が小さくなるため、扉と冷却庫本体との隙間を生じるために必要な力を減少できるようになる。その結果、当該隙間がより生じやすくなる。
【0017】
また、前記扉は、その側縁部を揺動軸として揺動可能に前記冷却庫本体に取り付けられており、前記扉は、その前記冷却庫本体側の面の外縁部において、前記側縁部以外の部分に突出部を有する。扉と冷却庫本体との隙間を通じて冷却庫本体内の水蒸気を排気するようにすると、庫内ファンの騒音も隙間から外部に漏れやすくなってしまう。そこで、扉の背面(冷却庫本体側の面)の外縁部に突出部を設けることで、騒音が突出部によって遮断され漏れにくくなる。
【0018】
また、前記当接部材は、前記扉の前記冷却庫本体側の面に直接的に当接して、前記隙間を発生させる。このようにすれば、扉に当接部材を受けるための受け部が不要となるため、従来の扉を使用することができる。また、仮に扉に受け部を設ける場合に比べて、扉の清掃が容易になる。
【0019】
また、前記扉には、前記当接部材が当接可能な受け部が設けられている。このようにすれば、当接部材が受け部に当接して扉を押すことで、扉と冷却庫本体との隙間を容易に発生できるようになる。
【0020】
また、前記受け部は、前記当接部材が当接する被当接部と、前記扉に固定される固定部と、を有し、前記固定部には、締結部材が挿入され、前記被当接部の位置を調整可能な長穴が設けられている。このようにすれば、長穴における締結部材(具体的にはネジ)の挿入位置を調整することで、被当接部の位置を調整できるようになる。その結果、扉と冷却庫本体との隙間の大きさを調整できるようになり、例えば隙間を大きくすることで乾燥時間の短縮化が可能となる。
【0021】
また、前記当接部材及び前記受け部はそれぞれ金属製であり、少なくとも互いに接触する部分が研磨加工されている。当接部材及び受け部において、互いに接触する部分が金属製である場合、使用を重ねると摩耗粉やバリが発生しやすくなってしまう。そこで、当該部分を研磨加工しておくことで、このような事態を抑制できるようになる。
【0022】
また、前記当接部材及び前記受け部はそれぞれ、少なくとも互いに接触する部分が樹脂製である。当接部材及び受け部において、互いに接触する部分が金属製である場合、使用を重ねると摩耗粉やバリが発生しやすくなってしまう。そこで、当該部分を樹脂製とすることで、このような事態を抑制できるようになる。
【0023】
また、前記扉は、揺動軸回りに揺動可能に前記冷却庫本体に取り付けられると共に、前記扉には、揺動可能な最大角度を規制するための規制部が設けられており、前記規制部は、前記受け部を兼ねるものとされる。このようにすれば、扉に設けられた揺動可能な最大角度を規制するための規制部が受け部を兼ねることができるようになるため、部品点数を削減できる。
【0024】
また、前記冷却庫は、前記扉の開閉を検知するための扉開閉センサ、を備え、前記扉開閉センサは、前記扉に配されるマグネット部と、前記冷却庫本体に配され前記マグネット部の近接を検知可能なセンサ本体部と、を有し、前記マグネット部は、前記受け部を兼ねるものとされる。このようにすれば、扉に設けられた扉開閉センサ用のマグネット部が受け部を兼ねることができるようになるため、部品点数を削減できる。
【0025】
また、前記当接部材駆動部は、モーターであり、前記当接部材は、前記モーターによって回転する回転体であり、前記モーター及び前記回転体は、前記冷却庫本体の開口縁部の上部に取り付けられている。このようにすれば、当接部材及び当接部材駆動部を好適に設けることができる。
【0026】
また、前記開口縁部の上部を前方及び上方から覆うトップパネルを備え、前記回転体の位置が前記第2位置にある状態において、前記扉の前面は、前記トップパネルの前面より後方に位置している。このようにすれば、回転体が第2位置にあり、扉と冷却庫本体との隙間が生じている場合であっても、扉の前面は、トップパネルの前面より突出しないものとなる。その結果、乾燥運転時に、扉が冷却庫の前方に飛び出して、使用者の邪魔になってしまう事態を抑制できる。
【0027】
また、前記回転体は、前記モーターと連結され、上下方向に延在する回転軸部と、前記回転軸部から前記回転軸部の延在方向と交わる方向に延出し、前記扉に設けられた受け部に当接可能な当接部と、前記当接部が前記受け部に当接している状態において、前記回転軸部から前記回転軸部の延在方向と交わる方向に沿って後方に延出する延出部と、を有する。当接部が受け部に当接している状態において、使用者が誤って扉を閉じようとすると、当接部には、扉の受け部を介して後方に向かう外力が加わることとなる。そして、その後方に向かう外力が、当接部と接続されている回転軸部に過剰にかかると、回転軸部、ひいてはこれと連結されているモーターの出力軸の破損を招く恐れがある。そこで、回転軸部から後方に延出する延出部を設けることで、外力からの荷重を、延出部、ひいては延出部が突き当たる他の部材で受けるようにすることができる。その結果、回転軸部にかかる荷重を低減でき、回転軸部、モーターの出力軸が破損する事態を抑制できるようになる。
【0028】
また、前記回転体は、前記モーターの少なくとも一部を下方から覆うキャップ状をなし、樹脂からなる。このようにすれば、キャップ状の回転体により、扉と冷却庫本体との隙間から排気される水蒸気が、モーター側に流入してしまう事態を抑制できるようになる。
【0029】
また、前記当接部は、前記回転軸部の下端部から延出し、前記延出部は、前記回転軸部の上端部から延出している。このようにすれば、回転体がいわゆるクランク形状となる。その結果、扉の受け部を介して当接部に加わる外力からの荷重を、延出部、ひいては延出部が突き当たる他の部材で受けるようにする上で好適となる。
【0030】
また、前記モーターには、前記モーターを前記冷却庫本体に対して取り付けるための取付部材(具体的にはブラケット)が接続されており、前記当接部が前記受け部に当接している状態において、前記受け部に後方に向かう外力が加わった場合に、前記延出部は、その先端が前記取付部材の一部に当接するように配されている。このようにすれば、後方に向かう外力からの荷重を、延出部が当接する取付部材の一部で受けるようにすることができる。その結果、回転軸部にかかる荷重を低減でき、回転軸部、ひいてはモーターの回転軸が破損する事態を抑制できるようになる。
【0031】
また、前記冷却庫は、前記回転体の回転位置を検知するためのマイクロスイッチを備え、前記モーターには、前記回転体と共に回転し、前記マイクロスイッチの導通状態を切替可能な位置検知板が設けられており、前記制御部は、前記マイクロスイッチの導通状態に基づき、前記回転体の位置が前記第1位置にあるか、前記第2位置にあるかを判別する。このようにすれば、制御部は、マイクロスイッチの導通状態に基づき、回転体の回転位置を検知できるようになる。位置検知板によって、例えば回転体が第1位置にある場合には、マイクロスイッチが非導通、回転体が第2位置にある場合には、マイクロスイッチが導通、と切り替えることで、回転体が第1位置にあるか、第2位置にあるかを制御部が判別できるようになる。
【0032】
また、前記当接部材駆動部は、ソレノイドであり、前記当接部材は、前記ソレノイドによって直線運動する棒状体である。このようにすれば、当接部材及び当接部材駆動部を好適に設けることができる。
【0033】
また、前記ソレノイドは、前記冷却庫本体の下方に配されて前記冷却装置の少なくとも一部が収容される機械室内に配されている。このようにすれば、ソレノイドは機械室内に配されるため外部に露出せず、使用者が誤って他の部材を衝突させたりすることがなくなり、適切に保護できるようになる。
【0034】
また、前記冷却庫は、前記機械室を前方から覆うフロントパネルを備え、前記ソレノイドは、前記フロントパネル内に配されている。このようにすれば、棒状体の形状を直線状に簡素化できるようになる。
【0035】
また、前記冷却庫は、前記冷却庫本体の開口縁部の上部を前方及び上方から覆うトップパネルを備え、前記ソレノイドは、前記トップパネル内に配されている。このようにすれば、ソレノイドは露出せずにトップパネル内に配されるため、使用者が誤って他の部材を衝突させたりすることがなくなり、適切に保護できるようになる。
【0036】
また、前記ソレノイドは、前記冷却庫本体を構成する壁内に埋設されている。このようにすれば、ソレノイドは露出せずに壁内に配されるため、使用者が誤って他の部材を衝突させたりすることがなくなり、適切に保護できるようになる。
【0037】
また、前記ソレノイドは、前記扉の下部に取り付けられている。このようにすれば、棒状体の形状を簡素化できるようになり、棒状体の先端を冷却庫本体の開口縁部に直接的に当接しやすくなる。
【0038】
また、前記扉は、その側縁部を揺動軸として揺動可能に前記冷却庫本体に取り付けられており、前記棒状体は、前記扉の上部または下部の中央位置に対して当接可能に設けられている。このようにすれば、扉が右側縁部を揺動軸とする場合(左開き)、左側縁部を揺動軸とする場合(右開き)のいずれであっても、扉と冷却庫本体との隙間を形成しやすくなる。
【0039】
また、前記ソレノイドは、その出力軸が上下方向に移動するように配されている。このようにすれば、ソレノイドの出力軸に連結される棒状体を上下方向に移動するように構成できる。その結果、ソレノイドの通電停止後は、棒状体が自重によって下方に移動し第1位置に戻りやすくなるため、第2位置から第1位置への移動が容易になり、自閉能力が低い扉であっても閉じやすくできる。
【0040】
また、前記制御部は、前記ソレノイドを間欠的に作動させる。このようにすれば、ソレノイドの温度上昇を抑え、温度ヒューズの作動閾値温度を低く設定できるようになるため、異常時により安全に機械停止できるようになる。また、ソレノイドの消費電力を削減できると共に、ソレノイドを長寿命化できるようになる。
【0041】
また、前記ソレノイドは、直流で駆動するDCソレノイドである。このようにすれば、ソレノイド通電時の衝撃音を抑制できる。また、ソレノイドを連続通電しても温度上昇を抑えられるようになる。
【0042】
また、前記冷却庫は、前記扉の開閉を検知するための扉開閉センサを備え、前記制御部は、前記乾燥運転時に、前記扉開閉センサの検出結果に基づき、前記扉が閉じられていると判別した場合に、前記ソレノイドの通電を停止する。このようにすれば、乾燥運転時に、扉が閉じられている場合に、ソレノイドの異常発生を抑制できるようになる。その結果、異常発生時用の部品(ソレノイドに内蔵されたヒューズ)の交換頻度を削減できるようになる。
【発明の効果】
【0043】
本願明細書に記載の技術によれば、外形寸法の増大を抑制しつつ、乾燥運転を自動的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】第1実施形態に係る冷却庫の正面図
図2】冷却庫の側面図
図3図2のIII-III線断面図
図4】扉を開いた状態において、ヒンジ部材周辺を拡大した斜視図(図1の囲み線IV周辺を拡大した斜視図)
図5】扉を後方から視た斜視図
図6】受け部の斜視図
図7図1のVII-VII線で切断した斜視図
図8】トップパネルを外した状態において、アクチュエーター機構周辺(図2の囲み線VIII周辺)を拡大した側面図
図9】アクチュエーター機構の側面図
図10】アクチュエーター機構の斜視図
図11】回転体が第1位置にある状態を模式的に示す上面図
図12】回転体が第2位置にある状態を模式的に示す上面図
図13】位置検知板、及びマイクロスイッチの非導通状態を示す断面図
図14】位置検知板、及びマイクロスイッチの導通状態を示す断面図(図7のXIV線断面図)
図15】制御系統を示すブロック図
図16】乾燥運転の動作を示すタイミングチャート
図17】第2実施形態に係る乾燥運転の動作を示すタイミングチャート
図18】第5実施形態に係る扉を後方から視た斜視図
図19】第6実施形態に係る回転体の斜視図
図20】第6実施形態に係る冷却庫について、トップパネルを外し、アクチュエーター機構周辺を拡大した側面図
図21】第7実施形態に係る冷却庫について、トップパネルを外し、アクチュエーター機構周辺を拡大した側面図
図22】第8実施形態に係る乾燥運転において、扉の操作を模式的に示す上面図
図23】第9実施形態に係る冷却庫の正面図
図24】第9実施形態に係るアクチュエーター機構周辺を拡大し、棒状体が第1位置にある状態を示す側面図
図25】第9実施形態に係るアクチュエーター機構周辺を拡大し、棒状体が第2位置にある状態を示す側面図
図26】第9実施形態に係るアクチュエーター機構の斜視図
図27】第9実施形態に係る制御系統を示すブロック図
図28】第9実施形態に係る乾燥運転の動作を示すタイミングチャート
図29】第13実施形態に係るアクチュエーター機構周辺を拡大し、棒状体が第1位置にある状態を示す側面図
図30】第13実施形態に係るアクチュエーター機構周辺を拡大し、棒状体が第2位置にある状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0045】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る冷却庫10について、図1から図16を参照して説明する。図1から図14の各図面の一部には、X軸、Y軸、及びZ軸を示しており、各軸方向が各図で共通した方向となるように描かれている。また、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向とする。
【0046】
冷却庫10は、図1及び図2に示すように、全体として直方体状をなしており、高温の食品を低温(例えば+3℃程度)に短時間で冷却する急速冷却庫(いわゆるブラストチラー(ラピッドチラーを含む))である。冷却庫10は、本体11(冷却庫本体の一例)と、機械室13と、断熱性の扉30と、脚部14と、を備える。また冷却庫10は、洗浄水により洗浄した本体11内(庫内)を自動的に乾燥する自動乾燥機能を有しており、これを実現するためにアクチュエーター機構70を備えている。
【0047】
本体11は、前面が開口された箱状をなし、図3に示すように、発泡ウレタン等の断熱材を充填した壁によって構成されている。機械室13は、本体11の下方に配されており、その内部には機械類が収容されている。扉30は、図1及び図2に示すように、本体11の前面開口を覆うように設けられており、正面から見て右側には取っ手31が設けられている。扉30は、その左側縁部30Bを中心(揺動軸)として揺動開閉するように、本体11の開口縁部の左部11Bに取り付けられている。脚部14は、機械室13の下面に設けられ、冷却庫10を下側から支持している。
【0048】
本体11の正面における上部(開口縁部の上部11A)の中央には、図1に示すように、操作パネル53が設けられている。操作パネル53には、各種の操作ボタンを有する操作部51と、情報を表示する表示部52と、が設けられている。操作パネル53は、例えばタッチパネル機能(入力位置検出機能)を備えており、表示部52と操作部51とが一体的に設けられていても構わない。使用者は、操作部51を操作することによって冷却庫10の運転モード(冷却運転、乾燥運転等)の選択、運転開始の指示等を行うことができる。表示部52には現在の運転モードや各種のメッセージなどが表示される。なお、本体11の天井壁は、図1及び図2に示すように、上方からトップパネル12で覆われている。トップパネル12は、開口縁部の上部11Aを上方、及び操作パネル53を除く前方から覆っている。
【0049】
また、冷却庫10は、図1に示すように、扉30の開閉を検知する扉開閉センサ16を備える。扉開閉センサ16は、近接センサ(具体的にはリードスイッチ)であって、被検知部であるマグネット部16Aと、センサ本体部16Bと、を有する。マグネット部16Aは、扉30の上部の内部に配されている。センサ本体部16Bは、トップパネル12内に配されている。センサ本体部16Bがマグネット部16Aの近接を検知することで、扉30の開閉が検知可能となっている。
【0050】
本体11内には、図3に示すように、多段のトレイ受け27と、蒸発器ケース21と、ファンケース22と、が収容されている。トレイ受け27には、食品を載置するためのトレイが前方から出し入れされる。トレイ内の食品には、芯温センサ40(図15、具体的にはサーミスタ)が差し込まれて、食品の温度が検知される。芯温センサ40は、リード線を介して本体11に接続されているものとされる。蒸発器ケース21及びファンケース22は、庫内においてトレイ受け27の正面視左側に配されており、蒸発器ケース21は本体11の左側の壁、後側の壁、及び扉30との間に所定の間隔を空けて配されている。蒸発器ケース21は、左右両側が開放されており、その内側には蒸発器(冷却器)23が収容されている。蒸発器23は、並行する複数のフィンと、それらを貫通するように多重に折り返される冷媒管と、を有している。
【0051】
また、蒸発器23には、図3に示すように、庫内ヒーター24が取り付けられている。庫内ヒーター24は、棒状の電熱線を多重に折り返すことによって形成されている。庫内ヒーター24は、蒸発器23に付着した霜を加熱して溶かしたり、庫内が洗浄された場合に庫内を乾燥させたりするために用いられる。庫内温度センサ25(具体的にはサーミスタ、図15)は、庫内の温度を検知するためのものであり、蒸発器ケース21の外側(庫内後側)に配されている。
【0052】
ファンケース22は、図3に示すように、蒸発器ケース21の右側に連結されている。ファンケース22は、左右両側が開放されており、その内部には、蒸発器23によって冷却された空気を庫内に循環させるための庫内ファン28が配されている。庫内ファン28は庫内を冷却する時(冷却運転時)、庫内を乾燥させる時(乾燥運転時)、及び除霜運転時に蒸発器23に向かって風を送り出す方向に回転する。
【0053】
機械室13は、図1から図3に示すように、上方が本体11の底壁によって覆われ、前方がフロントパネル13Aによって覆われている。機械室13には、図3に示すように、庫内を冷却するための冷却装置(冷凍装置)60の一部、冷却庫10の各部に電力を供給する電源等が収容されている。冷却装置60は主に、圧縮機66、凝縮器、凝縮器ファン67、減圧器(例えば膨張弁)、蒸発器23で構成されている。圧縮機66、凝縮器、凝縮器ファン67及び減圧器は機械室13に収容されており、蒸発器23は既述したように蒸発器ケース21に収容されている。圧縮機66、凝縮器、蒸発器23は、冷媒が循環するように冷媒管65によって連結され、既知の冷凍サイクルを形成している。蒸発器23内の冷媒と庫内の空気との間で熱交換が行われることによって庫内が冷却される。
【0054】
本体11の底壁の概ね中央には、図3に示すように、庫内を洗浄した洗浄水を排水するための排水口17が設けられている。底壁の上面は、排水口17に向かって傾斜するテーパ面となっている。排水口17には、排水口キャップが庫内側から着脱可能に取り付けられている。排水口17の下方には、樹脂パイプを介して、排水を外部に排水するためのドレンホース15が接続されている。
【0055】
次に、扉30について詳しく説明する。扉30は、図4に示すように、ヒンジピン18Aを備えるヒンジ部材18によって、本体11の開口縁部の左部11Bの上端部及び下端部に揺動可能に取り付けられている。ヒンジ部材18は、既知の軸ずれヒンジであって、これにより扉30は開いた状態から自閉する(自閉機能を有する)ようになっている。ヒンジ部材18は、リフトヒンジ等、扉30を自閉可能に取付けられる他の種類のヒンジであっても構わない。
【0056】
扉30の下部において、ヒンジ部材18と隣接する部分には、図4に示すように、ドアストッパー32(規制部の一例)がネジ止め固定されている。ドアストッパー32は、扉30の揺動可能な最大角度を規制する。ドアストッパー32は、扉30の下面にネジ止め固定される留め部32Aと、留め部32Aから立ち下がる立下り部32Bと、有する。扉30が開いて揺動角度(扉30が閉じた状態からの回転角度)が大きくなると、立下り部32Bが、ヒンジ部材18に形成された規制面18Bに突き当たるようになる。これにより、扉30の揺動角度が所定の角度以下となるように規制されている。
【0057】
扉30は、図5に示すように、矩形の板状をなしており、その上面には、断面L字状の受け部(ストッパー)36が設けられている。受け部36は、扉30の上面のうち、揺動軸となる左側縁部30Bと反対に位置する右側縁部30D側に配されている。受け部36は、当接部材(具体的には後述する回転体72)を扉30に対して当接させるための被当接部材である。回転体72が受け部36に当接することで、扉30が前方に押されて閉じた状態からわずかに開き、扉30と本体11との間に所定の隙間Gが生じるように構成されている(図12)。
【0058】
また扉30は、図5に示すように、背面30S(本体11側の面)の外縁部に沿って枠状の磁気パッキン33を有する。磁気パッキン33は、本体11の開口縁部に埋設された磁気部材に吸着されるようになっている。これにより、扉30が本体11の開口縁部に密着して、本体11の開口が密閉される。磁気パッキン33は、枠状を構成する4つの辺部、すなわち上辺部33A、左側辺部33B、下辺部33C、右側辺部33Dからなる。磁気パッキン33のうち右側辺部33Dの磁力は、他の部分(上辺部33A、左側辺部33B、及び下辺部33C)の磁力より小さく調整されている。このようにすれば、磁気パッキン33の右側辺部33Dは、本体11の開口縁部との密着が解除されやすくなる。その結果、回転体72が受け部36に当接して、扉30を前方に押し出すために必要な力を減少でき、隙間Gを発生しやすくなる。
【0059】
受け部36は、図6に示すように、扉30の上面にネジ止め固定される固定部36Aと、固定部36Aから垂直に立ち上がり、回転体72が当接される被当接部36Bと、を有する。固定部36Aには、ネジ(締結部材の一例)が挿入される長穴36A1が二つ形成されている。長穴36A1におけるネジの挿入位置を調整することで、被当接部36Bの位置、ひいては扉30と本体11との隙間Gの大きさを調整可能となる。
【0060】
続いて、アクチュエーター機構70について説明する。アクチュエーター機構70は、図1及び図7に示すように、トップパネル12内に配されており、本体11の開口縁部の上部11Aにおいて正面視右側に取り付けられている。アクチュエーター機構70は、図7から図10に示すように、モーター71(当接部材駆動部の一例)と、回転体72(当接部材の一例)と、マイクロスイッチ75と、位置検知板76と、ブラケット78(取付部材の一例)と、を備える。モーター71は、電力の供給を受けて回転駆動する。回転体72は、モーター71の駆動によって回転し、その先端72B1が扉30の受け部36に当接可能となっている。なお、図7から図10において、回転体72は、網掛して明示化されている。また、図1図2、及び図7から図10では、扉30は、わずかに開き、本体11との間にわずかな隙間Gを生じている状態(回転体72が第2位置にある状態)が図示されている。マイクロスイッチ75は、回転体72の回転位置を検知するために設けられている。位置検知板76は、回転体72と共に回転し、マイクロスイッチ75の導通状態を切替するために設けられている。ブラケット78は、アクチュエーター機構70を本体11の開口縁部に取り付けるための取付部材である。
【0061】
回転体72は、図9に示すように、クランク形状をなす板状部材であって、回転軸部72Aと、当接部72Bと、延出部72Cと、を有する。回転軸部72Aは、上下方向に延在してモーター71の出力軸71Aと連結されている。回転軸部72Aは、図7に示すように、アクチュエーター機構70を下方から覆うカバー部材19の挿入孔19Aを通って上下方向に延在している。当接部72Bは、回転軸部72Aの下端部72A1から回転軸部72Aの延在方向と交わるように延出しており、その先端72B1が、回転によって扉30の受け部36に当接可能な延出長を有している。当接部72Bは、図11及び図12に模式的に示すように、モーター71の回転駆動によって回転軸部72Aを中心として回転し、受け部36に当接する。これにより、扉30が前方に押し出されて、わずかに開き、扉30と本体11との間に隙間Gが生じる。
【0062】
回転体72及び受け部36は、金属製であって、少なくとも互いに当接して接触する部分は研磨加工されているものとされる。または、回転体72及び受け部36は、少なくとも互いに当接して接触する部分が樹脂製であっても構わない。これにより、使用によって接触部分に摩耗粉やバリが発生する事態を抑制しやすくなる。
【0063】
ここで、回転体72の回転位置について、第1位置及び第2位置を次のように定義する。第1位置は、図11に示すように、当接部72Bの延出方向が左右方向(X軸方向)に沿っており、当接部72Bが受け部36に当接せず、隙間Gが形成されていない位置(通常位置)とする。また、第2位置は、図12に示すように、当接部72Bの延出方向が前後方向(Y軸方向)に沿っており、当接部72Bが受け部に当接して、隙間Gが形成されている位置(隙間形成位置)とする。ここで、隙間Gの大きさ(扉30の磁気パッキン33から、本体11の開口縁部に設けられた磁気パッキン33と密着する板金面までの前後方向(Y軸方向)の距離、図8参照)は、例えば7mm程度と小さく、最大でも、扉30の前面30Fがトップパネル12の前面12Fより後方に位置するものとされる(図2)。これにより、隙間Gが発生している際に、扉30が冷却庫10の前方に飛び出し、使用者の邪魔になってしまう事態を回避できる。
【0064】
延出部72Cは、図9に示すように、回転軸部72Aの上端部72A2から回転軸部72Aの延在方向と交わるように延出している。延出部72Cの延出方向は、当接部72Bの延出方向と逆方向であって、回転体72が第2位置にある状態において後方に向かうように形成されている。
【0065】
ブラケット78は、図7から図10に示すように、第1板部78Aと、第2板部78Bと、第3板部78Cと、を有する。第1板部78Aは、モーター71が載置されるモーター載置板73と接続され、モーター71を支持している。第2板部78Bは、第1板部78Aの後端部から下方に延出しており、本体11の開口縁部の上部11Aにネジ止め固定されている。第2板部78Bの下部には、切欠部78B1が形成されている。第3板部78Cは、第2板部78Bの切欠部78B1以外の下端部から前方に突出して、カバー部材19に載置されている。
【0066】
ところで、回転体72が第2位置にある場合、使用者が誤って扉30を閉じようとすると、当接部72Bには、扉30の受け部36を介して後方に向かう外力が加わることとなる(図9に当該外力の向きを矢線F1で示す)。そして、その後方に向かう外力が、当接部72Bと接続されている回転軸部72Aに過剰にかかると、回転軸部72A、及び回転軸部72Aと連結されるモーター71の出力軸71Aの破損を招く恐れがある。そこで、本実施形態では、回転軸部72Aから延出する延出部72Cを設け、当該外力による荷重をブラケット78で受けるように、ブラケット78に切欠部78B1が形成されている。受け部36に対して後方に向かう外力が加わると、外力による荷重によって、延出部72Cの延出端72C1は、わずかに後方及び上方に変位するようになる。そして、変位した延出端72C1は、切欠部78B1の端面(X-Y面)に突き当たるようになり、外力による荷重を切欠部78B1で受けることができる。その結果、回転軸部72A、ひいてはモーター71の出力軸71Aが破損する事態を抑制できる。
【0067】
マイクロスイッチ75は、図10に示すように、モーター載置板73の下面に取り付けられている。マイクロスイッチ75は、図13及び図14に示すように、ヒンジレバー75Aと、押しボタン75Bと、端子部75Cと、を有する。ヒンジレバー75Aが位置検知板76の湾曲凸部76Aによって押されると、ヒンジレバー75Aの根元側に配された押しボタン75Bが押し込まれる(図14)。これにより、端子部75C間が導通するようになっている。
【0068】
位置検知板76は、図7から図10に示すように、モーター載置板73と回転体72との間に配されている。位置検知板76は、モーター71の出力軸71Aに連結されており、出力軸71Aを中心として回転する。位置検知板76は、図13及び図14に示すように、全体として円形をなしており、円形の一部(湾曲凸部76A)の半径が他の部分に比して大きくなるように形成されている。上記したように、湾曲凸部76Aが、マイクロスイッチ75のヒンジレバー75Aを押すと、マイクロスイッチ75が非導通状態から導通状態に切り替わる。モーター71が駆動回転すると、位置検知板76が回転体72と共に回転し、マイクロスイッチ75の導通状態が切り替わるため、回転体72が第1位置にあるか、第2位置にあるかを検知可能となる。本実施形態では、回転体72が第1位置にある場合には、マイクロスイッチ75が非導通となり、回転体72が第2位置にある場合には、マイクロスイッチ75が導通となるように設計されている。回転体72が第1位置にある場合に、マイクロスイッチ75が導通となり、回転体72が第2位置にある場合に、マイクロスイッチ75が非導通となるように設計されていても構わない。
【0069】
次に、冷却庫10の電気的構成について説明する。冷却庫10は、CPUを主体に構成される制御部50を備えている。制御部50には、図15に示すように、表示部52、操作部51、記憶部55、計時部54、圧縮機66、凝縮器ファン67、庫内ファン28、庫内ヒーター24、庫内温度センサ25、芯温センサ40、扉開閉センサ16、モーター71、マイクロスイッチ75がそれぞれ電気的に接続されている。計時部54は、時間を計測する。記憶部55は、ROMやRAM等からなり、制御部50と一体的に設けられていても構わない。制御部50は、記憶部55に記録された制御プログラムを実行することで、使用者による操作、及び各センサの検出結果に基づいて、冷却庫10の各部を制御する。
【0070】
続いて、冷却庫10の運転モードについて説明する。冷却庫10の運転モードには大きく冷却運転(急速冷却運転)、除霜運転、及び乾燥運転がある。以下、各運転モードについて説明する。
【0071】
冷却運転は、調理された高温の食品を急速に冷却する運転モードである。冷却運転は、使用者が食品を収容したトレイをトレイ受け27に保持させた後に、操作部51を操作して冷却運転の開始を指示すると開始される。冷却運転では、制御部50は、冷却装置60(圧縮機66、凝縮器ファン67)、及び庫内ファン28を作動する一方、庫内ヒーター24は通電しない。冷却運転では、庫内ファン28が回転することによって庫内の空気が蒸発器23に吸引されて冷却され、冷却された空気が蒸発器ケース21の正面視左側から庫内に吹き出される。吹き出された空気は本体11の左側の壁に当たって前側と後側とに分かれて右側に回り込んだ後、トレイの間などを通ってファンケース22に吸引される。これにより庫内を冷気が循環し、食品が急速に冷却される。なお、庫内ファン28のみを回転させて送風運転を行うことも可能である。
【0072】
制御部50は、冷却運転を開始すると芯温センサ40によって食品の温度を監視し、食品が所定温度(例えば+3℃程度)まで冷却されると冷却運転を終了する。なお、冷却運転を終了する条件はこれに限られるものではない。例えば計時部54によって冷却運転を開始してから一定時間が経過したことを検出すると、冷却運転を終了してもよい。また、冷却運転を終了した後に保冷運転に移行してもよい。
【0073】
除霜運転は、蒸発器23を除霜する運転モードである。除霜運転は、冷却庫10の運転停止中(言い換えると待機中)に、使用者が操作部51を操作して除霜運転の開始を指示すると開始される。除霜運転では、制御部50は、冷却装置60(圧縮機66、凝縮器ファン67)を停止させ、庫内ファン28を作動し、庫内ヒーター24を通電する。除霜運転では、冷却装置60を停止させて庫内ヒーター24に通電するので庫内温度が上昇する。制御部50は、除霜運転を開始すると庫内温度センサ25によって庫内温度を監視し、庫内温度が所定の除霜終了温度まで上昇すると除霜運転を終了する。なお、除霜運転を終了する条件はこれに限られるものではなく、適宜に決定できる。
【0074】
乾燥運転は、庫内が洗浄された後に庫内を乾燥させる運転モードである。乾燥運転は、使用者が庫内を洗浄した後に操作部51を操作して乾燥運転の開始を指示すると開始される。具体的には、図16に示すように、使用者が、操作部51に含まれる乾燥ボタンを押してONにすると、乾燥運転が開始される。
【0075】
制御部50は、乾燥ボタンがONになると、図16に示すように、庫内ファン28を作動し、庫内ヒーター24を通電させる。乾燥運転においては、洗浄時と同様に、冷却装置60(圧縮機66、凝縮器ファン67)は駆動されない。これにより、庫内に温風が送り出されて庫内温度が上昇し、洗浄によって庫内に残った水分が徐々に水蒸気に変化するようになる。また、制御部50は、乾燥ボタンがONになると、モーター71に通電して駆動させる。これにより、回転体72は第1位置(通常位置)から第2位置(隙間発生位置)に向かって回転移動する(期間T1)。回転体72が第2位置に到達すると、マイクロスイッチ75が非導通状態から導通状態に切り替わるため、制御部50は、マイクロスイッチ75の出力に基づき、回転体72が第2位置に到達したと判別し、モーター71の通電を停止する。これにより、回転体72は第2位置に留まり、本体11と扉との間に隙間Gが発生した状態となる(期間T2)。これにより、隙間Gを通じて庫内の水蒸気が外部に排気され、また乾いた外気を庫内に取り込めるようになるため、庫内が乾燥される。
【0076】
以上説明したように、制御部50によってモーター71を制御して、回転体72を第1位置から第2位置に移動させることで、隙間Gを発生し、庫内を自動的に乾燥できるようになる。また、隙間Gが排気経路となるため、排気パイプ及び電気的駆動弁を用いて排気経路を別途設ける必要がなくなるため、冷却庫10の外形寸法が大きくならずに済む。さらには、高コストの電気的駆動弁を使わずに済むため、コストの大幅な増大を回避できる。
【0077】
また、制御部50は、乾燥ボタンがONになると、計時部54によって予め設定された所定の時間(第1設定時間、例えば2時間程度)をタイマーカウントする。制御部50は、第1設定時間が終了(経過)すると、図16に示すように、庫内ファン28を停止し、庫内ヒーター24の通電を停止すると共に、モーター71に通電して駆動させる。これにより、回転体72は第2位置から第1位置に向かって回転移動する(期間T3)。回転体72が第1位置に到達すると、マイクロスイッチ75が導通状態から非導通状態に切り替わるため、制御部50は、マイクロスイッチ75の出力に基づき、回転体72が第1位置に到達したと判別し、モーター71の通電を停止する。これにより、回転体72は第1位置に戻り、扉30はヒンジ部材18によって自閉する。
【0078】
このようにすれば、第1設定時間の経過後には、庫内ヒーター24及び庫内ファン28が停止されて温風の循環供給が停止されると共に、隙間Gが閉じられるようになる。その結果、完全な自動乾燥運転が実現可能となる。
【0079】
ところで、隙間Gを通じて庫内の水蒸気を外部に排気すると、水蒸気が本体11の開口縁部で結露し、結露水が冷却庫10の設置床面に滴下しまう恐れがある。そこで、制御部50は、乾燥運転において、庫内ファン28を、オンオフを繰り返すように間欠的に作動させてもよい。また、制御部50は、乾燥運転において、庫内温度の急激な上昇を抑えるように庫内ヒーター24の作動率を調整してもよい。このようにすれば、単位時間当たりの水蒸気排出量、ひいては結露の発生を抑制できるようになる。本体11の開口縁部の結露を抑制するには、開口縁部に結露防止用ヒーターを設ける方法が知られているが、それに比べて、エネルギー消費を抑えつつ、結露を抑制できるようになる。
【0080】
なお、乾燥運転において、庫内ヒーター24を通電せず、庫内ファン28のみを回転させて送風乾燥を行っても構わない。本実施形態のように乾燥運転時に庫内ヒーター24を通電して庫内温度を上昇させると、乾燥時間を短縮できるようになる。
【0081】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る乾燥運転について図17を参照して説明する。第2実施形態では、回転体72を第2位置から第1位置に移動させるタイミングが第1実施形態と異なる。それ以外の構成については、第1実施形態と同様であり、同様の構成、作用及び効果についての説明は省略する。
【0082】
制御部50は、図17に示すように、第1設定時間が終了(経過)すると、庫内ファン28を停止し、庫内ヒーター24の通電を停止する一方、第1実施形態と異なり、このタイミングでモーター71を駆動しない。制御部50は、第1設定時間が終了すると、計時部54によって予め設定された所定の時間(第2設定時間)をタイマーカウントする。そして、第2設定時間の経過後に、モーター71に通電して駆動させて、回転体72を第2位置から第1位置に戻す(期間T3)。
【0083】
このようにすれば、第2設定時間においては、図17に示すように、庫内ヒーター24及び庫内ファン28が停止されつつ、隙間Gが生じたままとなる。その結果、庫内ヒーター24及び庫内ファン28の消費電力を抑えつつ、温度が高い状態で庫内に残った水蒸気の排気を促進できるようになる。
【0084】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る乾燥運転について説明する。第3実施形態では、回転体72を第1位置から第2位置に移動させるタイミングが第1実施形態及び第2実施形態と異なる。それ以外の構成については、第1実施形態及び第2実施形態と同様であり、同様の構成、作用及び効果についての説明は省略する。
【0085】
制御部50は、庫内温度センサ25の検出温度に基づき、回転体72を第1位置から第2位置に移動させるタイミングを制御する。詳しくは、制御部50は、乾燥ボタンがONとなり、庫内ファン28を作動し、庫内ヒーター24を通電した後、庫内温度(庫内温度センサ25の検出温度)が所定の第1閾値(例えば+42℃)以上になると、回転体72を第1位置から第2位置に移動させて、隙間Gを発生させる。一方で、庫内温度が第1閾値未満の場合には、回転体72は第1位置に留めるものとする。
【0086】
このようにすれば、乾燥運転時に、庫内温度が第1閾値未満の場合には、回転体72が第1位置にあり隙間Gが生じていないため、庫内ヒーター24によって庫内温度を短時間で上昇できるようになる。また、短時間で庫内温度が上昇するため、庫内ヒーター24の通電時間を削減できるようになる。その結果、庫内を効率的に乾燥でき、乾燥時間を短縮化できるようになる。
【0087】
<第4実施形態>
第4実施形態に係る乾燥運転について説明する。第4実施形態では、乾燥運転時に、庫内温度が第2閾値以上になると、庫内ヒーター24を停止する点が第1実施形態から第3実施形態と異なる。それ以外の構成については、第1実施形態から第3実施形態と同様であり、同様の構成、作用及び効果についての説明は省略する。
【0088】
制御部50は、乾燥ボタンがONとなり、庫内ヒーター24を作動し、庫内ファン28を通電した後に、庫内温度センサ25の検出温度が所定の第2閾値以上になると、庫内ヒーター24を停止する。第2閾値は、第3実施形態の第1閾値より大きく、例えば+50℃とされる。
【0089】
このようにすれば、乾燥運転において庫内温度が第2閾値以上になると、庫内ヒーター24が停止するため、本体11内の部材(樹脂製の部材等)が高温によって損傷してしまう事態を抑制できるようになる。
【0090】
<第5実施形態>
第5実施形態に係る冷却庫110について図18を参照して説明する。冷却庫110は、扉130が第1実施形態から第4実施形態と異なる。それ以外の構成については、第1実施形態から第4実施形態と同様であり、同様の構成、作用及び効果についての説明は省略する。
【0091】
扉130は、図18に示すように、背面30Sの外縁部に突出部38を有する。突出部38は、背面30Sと交わる方向に沿って突出している。突出部38は、平面に視てコ字状をなすように、扉130の揺動軸となる左側縁部30B以外の外縁部に設けられている。突出部38は、金属製の板状部材であって、板金加工によりコ字状に形成されているが、樹脂等で一体形成されていても構わない。突出部38は、枠状の磁気パッキン33によって取り囲まれるように、磁気パッキン33より内側(扉130の中心Pに近い位置)に設けられている。
【0092】
乾燥運転時に、扉130と本体11との隙間Gを通じて庫内の水蒸気を排気すると、庫内ファン28の騒音も隙間Gを通じて外部に漏れやすくなってしまう。そこで、扉130に突出部38を設けることで、騒音が突出部38によって遮断され漏れにくくできるようになる。突出部38は、磁気パッキン33より内側に設けられており、庫内の水蒸気は突出部38の周辺を回り込むように通過して、隙間Gから排気される。なお、扉130の揺動軸となる左側縁部30Bからの音漏れは小さいため、突出部38は、左側縁部30Bには設けられていない。
【0093】
<第6実施形態>
第6実施形態に係る冷却庫210について図19及び図20を参照して説明する。冷却庫210は、回転体172が第1実施形態から第5実施形態と異なる。それ以外の構成については、第1実施形態から第5実施形態と同様であり、同様の構成、作用及び効果についての説明は省略する。
【0094】
回転体172は、図19に示すように、全体として円形のキャップ状をなしており、樹脂により一体形成されている。回転体172は、回転軸部172Aと、当接部172Bと、延出部172Cと、蒸気侵入防止部172Dと、を有する。回転軸部172Aは、円柱状をなし、モーター71の出力軸71Aと連結される。当接部172Bは、回転軸部172Aの側面から板状に延出し、受け部36に当接可能な延出長を有している。延出部172Cは、回転軸部172Aの側面から当接部172Bと反対側に板状に延出している。蒸気侵入防止部172Dは、円板状をなし、回転軸部172A、当接部172B、及び延出部172Cの上面を覆うように、これら各部に接続されている。回転体172は、図20に示すように、回転軸部172A、当接部172B、及び延出部172Cがカバー部材19の挿入孔19Aに挿入され、蒸気侵入防止部172Dがモーター71の一部を下方から覆うように配されている。
【0095】
このようにすれば、扉30と本体11との隙間Gから排気される水蒸気が、挿入孔19Aを通って、モーター71側に流入してしまう事態を蒸気侵入防止部172Dによって抑制できるようになる。また、回転体172が第2位置にある場合、使用者が誤って扉30を閉じようとすると、当接部172Bには、扉30の受け部36を介して後方に向かう外力が加わることとなる。そして、その後方に向かう外力が、当接部172Bと接続されている回転軸部172Aに過剰にかかると、回転軸部172A、及び回転軸部72Aと連結されるモーター71の出力軸71Aの破損を招く恐れがある。そこで、本実施形態では、受け部36に対して後方に向かう外力が加わると、外力による荷重によって、延出部172Cの延出端172C1が、挿入孔19Aに突き当たるようになり、外力による荷重を挿入孔19Aで受けることができる。その結果、回転軸部172A、ひいてはモーター71の出力軸71Aが破損する事態を抑制できるようになる。
【0096】
<第7実施形態>
第7実施形態に係る冷却庫310について図21を参照して説明する。冷却庫310は、扉開閉センサ116のマグネット部116Aが、扉230の受け部として用いられる点が第1実施形態から第6実施形態と異なる。それ以外の構成については、第1実施形態から第6実施形態と同様であり、同様の構成、作用及び効果についての説明は省略する。
【0097】
冷却庫310は、図21に示すように、マグネット部116Aが、扉230の上面に配されている。このようにすれば、マグネット部116Aを、回転体72が当接する被当接部材として併用できるようになる。その結果、受け部36を別途設ける必要がなくなるため、部品点数を削減できるようになる。
【0098】
<第8実施形態(関連技術1)>
第8実施形態に係る乾燥運転について図22を参照して説明する。第8実施形態では、扉30が手動で開かれた状態で、乾燥運転を開始する点が第1実施形態から第7実施形態と異なる。それ以外の構成については、第1実施形態から第7実施形態と同様であり、同様の構成、作用及び効果についての説明は省略する。
【0099】
使用者は、図22に示すように、扉30を開き、その状態で乾燥ボタンを押してONにする。制御部50は、乾燥ボタンがONになると、モーター71に通電して駆動させ、回転体72を第1位置から第2位置に移動させる。回転体72が第2位置に到達すると、制御部50は、マイクロスイッチ75の出力に基づき、回転体72が第2位置に到達したと判別し、モーター71の通電を停止する。これにより、扉30が開いた状態で、回転体72が第2位置に留まるようになる。使用者は、回転体72が第2位置に停止すると、扉30を閉じる方向に動かして扉30の受け部36を回転体72の当接部72Bに当接させる。これにより、図12で示されるように、扉30と本体11との間に隙間Gを発生可能となる。本実施形態に係るその他の処理及び制御は、第1実施形態と同様に行われる。
【0100】
このようにすれば、モーター71の出力(回転力)が小さい等の理由で、回転体72が扉30の受け部36を押して扉30を開くことが難しい場合であっても、隙間Gを発生可能となる。また、第1実施形態と同様に、第1設定時間の経過後には、庫内ヒーター24及び庫内ファン28が停止されて温風の循環供給が停止されると共に、隙間Gが閉じられるようになる。その結果、使用者は、隙間Gを発生させた後は、乾燥ボタンを押して自動的に乾燥運転を実行、終了できる。これにより、駆動能力が低い安価なモーターを利用しつつ、乾燥運転を半自動化できるようになる。
【0101】
<第9実施形態>
第9実施形態に係る冷却庫410について図23から図28を参照して説明する。第9実施形態では、アクチュエーター機構170、及び扉230の受け部136が第1実施形態から第8実施形態と異なる。それ以外の構成については、第1実施形態から第8実施形態と同様であり、同様の構成、作用及び効果についての説明は省略する。
【0102】
受け部136は、図23に示すように、扉230の下面において右側縁部30D側に配されている。受け部136は、図24及び図25に示すように、扉230の下面にネジ止め固定される固定部136Aと、固定部136Aから垂直に立ち下がり、後述する棒状体172が当接される被当接部136Bと、を有する。
【0103】
アクチュエーター機構170は、図23から図25に示すように、機械室13内に配されており、本体11の底壁において正面視右側に取り付けられている。アクチュエーター機構170は、図26に示すように、ソレノイド171(当接部材駆動部の一例)と、棒状体172(押出棒、当接部材の一例)と、ブラケット178(取付部材の一例)と、を備える。ソレノイド171は、電力の供給を受けて駆動すると、前後方向に延在する出力軸171Aが前方に移動する。またソレノイド171は、通電が停止されると、出力軸171Aが、後方に動いて元(通電前)の位置に戻る。ソレノイド171は、図27に示すように、制御部50と電気的に接続され、制御部50によって駆動が制御されている。棒状体272は、ソレノイド171の駆動によって前後方向に直線運動し、その先端部272B1が受け部136に当接可能となっている。ブラケット178は、アクチュエーター機構170を本体11の底壁に取り付けるための取付部材である。
【0104】
棒状体272は、図26に示すように、棒状部材であって、棒状部272Aと、当接部272Bと、を有する。棒状部272Aは、上下方向に延在しており、その下端部がソレノイド171の出力軸171Aと連結されている。当接部272Bは、棒状部272Aの上端部から棒状部272Aの延在方向と交わるように延出しており、その先端272B1が図25に示すように前方に移動すると、受け部136に当接可能な延出長を有している。当接部272Bは、ソレノイド171によって前方に動き、受け部136に当接する。これにより、扉130が前方に押し出されて、わずかに開き、扉130と本体11との間に隙間Gが生じる(図25)。
【0105】
ここで、棒状体272の位置について、第1位置及び第2位置を次のように定義する。第1位置は、図24に示すように、当接部272Bが受け部136に当接せず、隙間Gが形成されていない位置(通常位置)とする。また、第2位置は、図25に示すように、当接部272Bが受け部に当接して、隙間Gが形成されている位置(隙間形成位置)とする。
【0106】
次に、冷却庫410の乾燥運転について説明する。制御部50は、乾燥ボタンがONになると、図28に示すように、庫内ファン28を作動し、庫内ヒーター24を通電させると共に、ソレノイド171に通電して駆動させる。これにより、棒状体272は第1位置から第2位置に移動する。ソレノイド171の通電が維持されることで、棒状体272は第2位置に留まり、本体11と扉230との間に隙間Gが発生した状態となる(期間T2)。また、制御部50は、第1設定時間が終了(経過)すると、図28に示すように、庫内ファン28を停止し、庫内ヒーター24の通電を停止すると共に、ソレノイド171の通電を停止する。これにより、棒状体72は第2位置から第1位置に戻り、扉30はヒンジ部材18によって自閉する(期間T3)。
【0107】
このようにすれば、制御部50によってソレノイド171を制御して、棒状体272を第1位置から第2位置に移動させることで、隙間Gを発生し、庫内を自動的に乾燥できるようになる。また、隙間Gが排気経路となるため、排気パイプ及び電気的駆動弁を用いて排気経路を別途設ける必要がなくなり、冷却庫410の外形寸法が大きくならずに済む。さらには、高コストの電気的駆動弁を使わずに済むため、コストの大幅な増大を回避できる。そして、第1設定時間の経過後には、庫内ヒーター24及び庫内ファン28が停止されて温風の循環供給が停止されると共に、棒状体272が第1位置に戻り隙間Gが閉じられるようになる。その結果、完全な自動乾燥運転が実現可能となる。
【0108】
また、ソレノイド171は、機械室13内に配されており、使用者が誤って他の部材を衝突させたりする恐れがない。ソレノイド171は、フロントパネル13Aを開けると容易にアクセスできるため、保守管理がしやすい配置となっている。
【0109】
なお、ソレノイド171は、直流で駆動するDCソレノイドであっても構わない。DCソレノイドを用いることで、通電時の衝撃音を抑制できるようになる。ただし、DCソレノイドは本来、連続通電には適していないため、PWM(Pulse Width Modulation;パルス幅)変調を用いて、DCソレノイドに寄与する実行電圧を変動させることで、連続通電を実行することが好ましい。具体的には、制御部50は、棒状体272を第2位置に移動させて扉230をわずかに開く(隙間Gを発生する)際には、DCソレノイドに入力されるパルス信号の幅を大きくし、隙間Gの発生後に棒状体272を第2位置に留める際には、同パルス信号の幅を小さくする。このようにすれば、DCソレノイドの入力電圧が一定であっても、DCソレノイドに寄与する実行電圧を変動させることができ、連続通電が可能となる。また、このように制御することで、連続通電を行ってもDCソレノイドの過度の温度上昇を抑制することができるようになる。
【0110】
<第10実施形態>
第10実施形態に係る冷却庫510について説明する。冷却庫510は、扉30のドアストッパー32が受け部として用いられる点が第9実施形態と異なる。それ以外の構成については、第9実施形態と同様であり、同様の構成、作用及び効果についての説明は省略する。
【0111】
冷却庫510は、棒状体272が当接する受け部として、扉30のドアストッパー32を用いるものとされる。ドアストッパー32は、扉30の左側縁部30B側に配されているため(図4)、棒状部272Aの形状及び寸法はドアストッパー32に当接可能に調整されているものとされる。また、ソレノイド171は、本体11の底壁において正面視左側に取り付けられていても構わない。
【0112】
このようにすれば、ドアストッパー32を、棒状体272が当接する被当接部材として併用できるようになる。その結果、受け部136を別途設ける必要がなくなるため、部品点数を削減できるようになる。
【0113】
<第11実施形態>
第11実施形態に係る乾燥運転について説明する。第11実施形態では、ソレノイド171の通電制御が第9実施形態及び第10実施形態と異なる。それ以外の構成については、第9実施形態及び第10実施形態と同様であり、同様の構成、作用及び効果についての説明は省略する。
【0114】
制御部50は、乾燥運転において、ソレノイド171の通電後に、通電を定期的に一時停止する(オンオフを繰り返す)ように、ソレノイド171を間欠的に作動させる。このようにすれば、通電によるソレノイド171の温度上昇を抑制でき、ソレノイド171に内蔵された温度ヒューズの動作温度を低く設定できるようになる。その結果、ヒューズが作動する時(異常発生時)に、ソレノイド171をより低温で停止できるようになり、より安全に保護できるようになる。また、ソレノイド171の寿命を延ばすことができ、ソレノイド171の消費電力を低減できる。なお、ソレノイド171を間欠的に作動させると、それに応じて棒状部材272が直線運動し、扉230の開閉(隙間Gの発生消滅)が繰り返されることとなる。このため、ソレノイド171の通電を一時停止する期間及びその間隔は、乾燥自体には支障がないように調整されるものとされる。
【0115】
<第12実施形態>
第12実施形態に係る乾燥運転について説明する。第12実施形態では、ソレノイド171の通電制御が第9実施形態から第11実施形態と異なる。それ以外の構成については、第9実施形態から第11実施形態と同様であり、同様の構成、作用及び効果についての説明は省略する。
【0116】
制御部50が、乾燥運転において、ソレノイド171に通電した場合に、例えば扉230の前方に障害物があると、扉230を前方に押し出すことができない。その結果、棒状体272及びソレノイド171の出力軸171Aは、前方に動くことができず、ソレノイド171がロック状態となるため、ソレノイド171に内蔵された温度ヒューズが作動してしまう。
【0117】
そこで、制御部50は、乾燥運転において、扉開閉センサ16の検出結果に基づき、扉30が閉じられていると判別した場合に、ソレノイド171の通電を停止する。これにより、ソレノイド171の温度ヒューズが作動してしまい、温度ヒューズの交換が必要となる事態を抑制できるようになる。
【0118】
<第13実施形態>
第13実施形態に係る冷却庫610について図29及び図30を参照して説明する。第13実施形態では、アクチュエーター機構270、及び扉330の受け部236が第9実施形態から第12実施形態と異なる。それ以外の構成については、第9実施形態から第12実施形態と同様であり、同様の構成、作用及び効果についての説明は省略する。
【0119】
受け部236は、図29及び図30に示すように、扉330の下面にネジ止め固定される固定部236Aと、固定部236Aから斜め下方に立ち下がり棒状体372が当接される被当接部236Bと、を有する。
【0120】
アクチュエーター機構270は、図29及び図30に示すように、ソレノイド171の出力軸171Aが上下方向に延在するように、ブラケット178によって取り付けられている。ソレノイド171は、電力の供給を受けて駆動すると、出力軸171Aが上方に移動する。またソレノイド171は、通電が停止されると、出力軸171Aが、自重によって下方に動き、元(通電前)の位置に戻る。
【0121】
棒状体372は、図29及び図30に示すように、棒状部372Aが前後方向に延在しており、その後端部がソレノイド171の出力軸171Aと連結されている。当接部372Bは、棒状部372Aの前端部から棒状部372Aの延在方向と交わるように上下方向に延出している。当接部372Bは、その先端が図30に示すように上方に移動すると、受け部236に当接可能な延出長を有している。当接部372Bは、ソレノイド171によって上方に動き、第1位置(図29)から第2位置(図30)に移動し、受け部236の被当接部236Bに当接する。これにより、扉330が前方に押し出されて、わずかに開き、扉330と本体11との間に隙間Gが生じる。
【0122】
このようにすれば、棒状体372は、ソレノイド171の通電停止後は、自重によって第1位置に戻るようになるため、第2位置から第1位置への移動が容易になる。その結果、自閉能力が低い扉330であっても閉じやすくできる。
【0123】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
【0124】
(1)アクチュエーター機構170は、トップパネル12内に配され、棒状体272が扉30の受け部36に当接するように構成されていても構わない。
【0125】
(2)アクチュエーター機構170は、本体11の壁を構成する断熱材内に埋設されていても構わない。このようにすれば、棒状体272は、ソレノイド171の通電時のみ本体11の壁から突出する形にできるため、破損のリスクを低減できる。また、意匠面において外観が優れたものとなる。
【0126】
(3)アクチュエーター機構170は、扉230の下部(下面)に取り付けられ、棒状部材272の先端272B1が、本体11の開口縁部の下部に当接可能に構成されていても構わない。このようにすれば、棒状体272の形状を簡素化できるようになる。また、受け部136,236が不要となるため、部品点数を削減できるようになる。
【0127】
(4)アクチュエーター機構270は、機械室13を前方から覆うフロントパネル13A内に配されていても構わない。このようにすれば、図24図25図29及び図30において、ソレノイド171が扉230,330の下方に配されるようになるため、棒状体372の形状を簡素化できるようになる。
【0128】
(5)アクチュエーター機構70,170,270は、冷却庫10,110,210,310,410,510,610の左右方向における中央位置に配されていても構わない。このようにすれば、扉30,130,230,330が左側縁部30Bを揺動軸とする場合(右開き)、右側縁部30Dを揺動軸とする場合(左開き)のいずれであっても、扉30,130,230,330と本体11との隙間Gを発生しやすいものとなる。
【0129】
(6)回転体72,172,及び棒状体272,372は、扉30,130,230,330の背面(本体11側の面)に直接当接するように構成されていても構わない。このようにすれば受け部36,136,236が不要となるため、部品点数を削減できるようになる。また、扉30,130,230,330の清掃が容易になる。
【0130】
(7)モーター71は、第12実施形態に係るソレノイド171と同様に通電制御されても構わない。
【符号の説明】
【0131】
10,110,210,310,410,510,610:冷却庫、11:本体(冷却庫本体)、12:トップパネル、13:機械室、13A:フロントパネル、16,116:扉開閉センサ、16A,116A:マグネット部、16B:センサ本体部、24:庫内ヒーター、25:庫内温度センサ、28:庫内ファン、30,130,230,330:扉、32:ドアストッパー(規制部)、33:磁気パッキン、36,136,236:受け部、36A,136A,236A:固定部、36A1:長穴、36B,136B,236B:被当接部、38:突出部、50:制御部、60:冷却装置、71:モーター(当接部材駆動部)、72,172:回転体(当接部材)、72A,172A:回転軸部、72B,172B:当接部、72C,172C:延出部、75:マイクロスイッチ、76:位置検知板、78,178:ブラケット(取付部材)、171:ソレノイド(当接部材駆動部)、272,372:棒状体(当接部材)
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