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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240813BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G21/14
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020144818
(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公開番号】P2022039673
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 圭佑
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-215464(JP,A)
【文献】特開2011-056680(JP,A)
【文献】特開2014-006337(JP,A)
【文献】特開2009-151087(JP,A)
【文献】特開2014-073630(JP,A)
【文献】特開2017-097001(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0162090(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0098154(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0342603(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材が積載される積載部と、
前記積載部に積載された記録材を搬送路に給送する給送手段と、
記録材に画像形成を行う画像形成部と、
前記画像形成部により画像形成された記録材が排出される排出部と、
前記排出部に排出される記録材を検知する検知手段と、
記録材の両面に画像形成を行うために、前記画像形成部により片面が画像形成された記録材が搬送される両面搬送路と、
前記給送手段による記録材の給送を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記排出部に排出された先行の記録材に続いて、次に排出される後続の記録材が前記排出部において前記先行の記録材に張り付かないように、少なくとも前記後続の記録材の印刷情報に基づいた、前記先行する記録材が前記排出部に排出されてから前記後続の記録材が前記排出部に排出されるまでの排出間隔時間に応じて、前記後続の記録材の給送タイミングを決定し、
前記先行の記録材が記録材の片面に画像形成を行う片面印刷の場合には、前記先行の記録材が前記給送手段により前記積載部から給送されたときに、前記先行の記録材が記録材の両面に画像形成を行う両面印刷の場合には、前記先行の記録材が前記両面搬送路から給送されたときに、前記後続の記録材の給送タイミングを決定し、
前記印刷情報は、前記後続の記録材に対する前記片面印刷、又は前記両面印刷のことであり、
前記排出間隔時間は、前記検知手段が前記先行する記録材の通過を検知してから、前記後続の記録材が通過するのを検知するまでの時間であり、
前記排出部に排出された記録材がない状態で、前記片面印刷の記録材が前記排出部に排出されるときの前記排出間隔時間を第1の排出間隔時間とし、
前記後続の両面印刷の記録材が前記排出部に排出されるときの前記排出間隔時間を第2の排出間隔時間とし、
前記先行の記録材が両面印刷で、前記後続の片面印刷の記録材が前記排出部に排出されるときの前記排出間隔時間を第3の排出間隔時間とすると、
前記第1の排出間隔時間、前記第2の排出間隔時間、及び前記第3の排出間隔時間は、
前記第1の排出間隔時間<前記第3の排出間隔時間≦前記第2の排出間隔時間
の大小関係を満たすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記後続の記録材が両面印刷の場合には、前記先行の記録材が給送されてから前記検知手段を通過するまでの時間と、前記第2の排出間隔時間と、を加え、前記後続の記録材が前記給送手段により前記積載部から給送されてから、前記両面搬送路を搬送されて前記検知手段を通過するまでの時間を差し引いた時間に基づいて、前記後続の記録材の給送タイミングを決定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記後続の記録材が片面印刷の場合には、前記先行の記録材が給送されてから前記検知手段を通過するまでの時間と、前記第1の排出間隔時間又は前記第3の排出間隔時間と、を加え、前記後続の記録材が前記給送手段により前記積載部から給送されて前記検知手段を通過するまでの時間を差し引いた時間に基づいて、前記後続の記録材の給送タイミングを決定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記排出部に積載された記録材の有無を検知する記録材検知手段を備え、
前記制御手段は、前記記録材検知手段が前記排出部に記録材がないことを検知した場合には、前記第3の排出間隔時間を前記第1の排出間隔時間に設定することを特徴とする請求項又は請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2の排出間隔時間、及び前記第3の排出間隔時間は、記録材の印刷面の印字率に応じて可変されることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記両面印刷が行われる記録材の前記印字率は、それぞれの印刷面における印字率のうち、大きいほうの印字率を前記記録材の印字率とすることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記後続の記録材が両面印刷の場合には、前記先行の記録材の前記印字率と前記後続の記録材の前記印字率のうち、大きいほうの印字率に基づいて、前記後続の記録材の前記第2の排出間隔時間を決定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
決定された前記第2の排出間隔時間の最大値を記憶する記憶部を有し、
前記制御手段は、決定された前記第2の排出間隔時間が、前記記憶部に記憶された前記最大値よりも小さくならないように決定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、先行の印刷ジョブが終了してから前記先行の印刷ジョブの後続の印刷ジョブが実行されるまでの経過時間に応じて、前記後続の印刷ジョブにおける前記第3の排出間隔時間を可変することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記経過時間が所定の時間を超えると、前記第3の排出間隔時間を前記第1の排出間隔時間に設定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、先行の印刷ジョブが終了してから前記先行の印刷ジョブの後続の印刷ジョブが実行されると、前記後続の印刷ジョブにおける片面印刷の記録材の枚数に応じて、前記第3の排出間隔時間を可変することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御手段は、先行の印刷ジョブが終了してから前記先行の印刷ジョブの後続の印刷ジョブが実行されると、前記後続の印刷ジョブにおいて連続する片面印刷の2枚目の記録材の前記第3の排出間隔時間を前記第1の排出間隔時間に設定することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御手段は、ジャム紙の処理が終了した後の最初の記録材の前記第3の排出間隔時間を前記第1の排出間隔時間に設定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
情報を表示する表示部と機能設定を行うボタンとを有する操作部を備え、
前記制御手段は、前記ボタンにより前記後続の記録材の印刷情報に基づいた排出間隔時間の設定が無効にされていた場合には、前記排出間隔時間に前記第1の排出間隔時間に設定することを特徴とする請求項から請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、形成されたトナー像を記録材に転写し、定着器でトナー像を加熱して記録材に定着させることにより画像形成が行われる。このとき、トナーの融点や、定着器から記録材が排出される排出トレイまでの距離等によっては、排出トレイ上に排出された記録材や記録材上のトナーが十分に冷却されていない場合がある。また、記録材の両面に印刷する両面印刷を実施した場合には、先に排出された記録材の上面と、後続の記録材の下面とが重なり合って、排出トレイ上に積載される。その結果、記録材や記録材上のトナーが十分に冷却されていないと、重なり合った記録材同士が融解したトナーによって貼り付いてしまうおそれがある(以下、このような現象を排出紙貼り付き現象という)。そして、貼り付いている記録材同士を剥がすと、トナーが剥がれてしまい、画像不良となる。
【0003】
排出紙貼り付き現象は、トナーや記録材の温度だけではなく、圧力によっても発生度合が変化する。記録材や記録材上のトナーが十分冷却される前に、短時間の間に大量の記録材が排出され、排出トレイに積載されると、排出紙貼り付き現象が発生する確率が高くなる。一方、記録材や記録材上のトナーが十分冷却される前であっても、排出トレイに排出される記録材の枚数が少ない場合は、排出紙貼り付き現象が発生する確率が低くなる。
【0004】
排出紙貼り付き現象を解決するために、例えば特許文献1、2では、画像形成装置の生産性(スループット)を低下させることで、記録材や記録材上のトナーを冷却する手法が提案されている。更に、特許文献1では、冷却ファンを駆動することで、記録材や記録材上のトナーを冷却する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-215464号公報
【文献】特開2017-97001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1、2では、両面印刷を連続して行っている間は、記録材や記録材上のトナーが十分冷却されるため、排出紙貼り付き現象の発生を抑制することができる。しかしながら、記録材の両面を印刷する両面印刷と、記録材の片面のみを印刷する片面印刷とが混在した印刷ジョブでは、両面印刷から片面印刷へと切り替わると、単位時間あたりの排出トレイに排出される枚数が増加する。その結果、片面印刷された記録材によって、排出トレイ上に積載されている両面印刷された記録材への圧力が大きくなり、排出紙貼り付き現象が発生するという課題が生じる。
【0007】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、排出トレイにおける排出紙貼り付き現象の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明では、以下の構成を備える。
【0009】
(1)記録材が積載される積載部と、前記積載部に積載された記録材を搬送路に給送する給送手段と、記録材に画像形成を行う画像形成部と、前記画像形成部により画像形成された記録材が排出される排出部と、前記排出部に排出される記録材を検知する検知手段と、記録材の両面に画像形成を行うために、前記画像形成部により片面が画像形成された記録材が搬送される両面搬送路と、前記給送手段による記録材の給送を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記排出部に排出された先行の記録材に続いて、次に排出される後続の記録材が前記排出部において前記先行の記録材に張り付かないように、少なくとも前記後続の記録材の印刷情報に基づいた、前記先行する記録材が前記排出部に排出されてから前記後続の記録材が前記排出部に排出されるまでの排出間隔時間に応じて、前記後続の記録材の給送タイミングを決定し、前記先行の記録材が記録材の片面に画像形成を行う片面印刷の場合には、前記先行の記録材が前記給送手段により積載部から給送されたときに、前記先行の記録材が記録材の両面に画像形成を行う両面印刷の場合には、前記先行の記録材が前記両面搬送路から給送されたときに、前記後続の記録材の給送タイミングを決定し、前記印刷情報は、前記後続の記録材に対する前記片面印刷、又は前記両面印刷のことであり、前記排出間隔時間は、前記検知手段が前記先行する記録材の通過を検知してから、前記後続の記録材が通過するのを検知するまでの時間であり、前記排出部に排出された記録材がない状態で、前記片面印刷の記録材が前記排出部に排出されるときの前記排出間隔時間を第1の排出間隔時間とし、前記後続の両面印刷の記録材が前記排出部に排出されるときの前記排出間隔時間を第2の排出間隔時間とし、前記先行の記録材が両面印刷で、前記後続の片面印刷の記録材が前記排出部に排出されるときの前記排出間隔時間を第3の排出間隔時間とすると、前記第1の排出間隔時間、前記第2の排出間隔時間、及び前記第3の排出間隔時間は、前記第1の排出間隔時間<前記第3の排出間隔時間≦前記第2の排出間隔時間の大小関係を満たすことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、排出トレイにおける排出紙貼り付き現象の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1~3の画像形成装置の構成を示す概略断面図
図2】実施例1~3の画像形成装置の制御系を説明するブロック図
図3】実施例1の排出間隔を設定する制御シーケンスを示すフローチャート
図4】実施例1の排出間隔を制御する制御シーケンスを示すフローチャート
図5】実施例1の給紙を制御する制御シーケンスを示すフローチャート
図6】実施例1の給紙間隔を算出する制御シーケンスを示すフローチャート
図7】実施例1の給紙間隔を算出する方法を説明するタイミングチャート
図8】実施例2の排出間隔を設定する制御シーケンスを示すフローチャート
図9】実施例3の排出間隔を設定する制御シーケンスを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
[画像形成装置の構成]
図1は、実施例1が適用される画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタ1(以下、プリンタ1という)の構成を示す概略断面図である。プリンタ1では、最下段に給紙部80が配置されている。給紙部80は、積載部である給紙トレイ83に収容された記録材である用紙Pを給送する給送ローラ81を有している。また、給紙部80の図中、左上部には、用紙Pの搬送方向の先端位置を合わせて搬送するレジストレーションローラ51(以下、レジローラ51という)とレジストレーション対向ローラ52(以下、レジ対向ローラ52という)が配置されている。
【0014】
給紙部80の図中上部には、後述する感光ドラム11を走査して、画像データに応じた静電潜像を形成するレーザスキャナユニット30が配置されている。レーザスキャナユニット30の図中左方向には、プロセスカートリッジ10が配置されている。画像形成部であるプロセスカートリッジ10は、感光ドラム11、帯電ローラ12、現像ローラ13を有している。画像形成時には、感光ドラム11の表面は、帯電ローラ12により一様な電位に帯電される。そして、一様な電位に帯電された感光ドラム11の表面をレーザスキャナユニット30が走査することにより、画像データに応じた静電潜像が形成される。感光ドラム11上に形成された静電潜像は、現像ローラ13によりトナーが付着され、トナー像が形成される。そして、感光ドラム11上に形成されたトナー像は、感光ドラム11に対向した位置に配置されている転写ローラ91により、給紙部80の給紙トレイ83から搬送された用紙Pに転写される。また、トップセンサ215は、給紙トレイ83から搬送された用紙Pの検知を行う。
【0015】
プロセスカートリッジ10、及び転写ローラ91の図中上部には、用紙Pに転写されたトナー像を加熱・加圧して用紙Pに定着させる定着ユニット20が配置されている。定着ユニット20は、トナー像を加熱する定着フィルム21と、トナー像を加圧する加圧ローラ22を有している。また、定着ユニット20は、定着フィルム21を加熱する定着ヒータ24、及び定着ヒータ24の温度を検知するサーミスタ23を有している。定着ユニット20の図中右上部には、排出ローラ対61が配置されている。排出ローラ対61の図中左方には、定着ユニット20を通過する用紙Pを検知する検知手段である排出センサ217が設けられている。また、画像形成された用紙Pが排出される排出部である排出トレイ65には、排出トレイ65上の用紙Pの有無を検知する記録材検知手段である排出用紙センサ216が設けられている。排出ローラ対61の図中左下方の、両面印刷される用紙Pが搬送される両面搬送路63上には、両面ローラ対62が設けられている。
【0016】
[システム構成]
図2は、プリンタ1のシステム構成を説明するための制御系のブロック図である。図2において、プリンタ1は、コントローラ部201及びエンジン制御部202を備えている。コントローラ部201は、外部装置であるホストコンピュータ200、及びエンジン制御部202と相互に通信が可能となっている。エンジン制御部202は、ビデオインタフェース部203、露光制御部208、駆動制御部209、高電圧制御部210、定着制御部211、センサ入力部212、及び各制御部を制御してプリンタ1の画像形成動作を制御するCPU205から構成されている。CPU205は、エンジン制御部202を制御するためにCPU205が実行するプログラムやデータを記憶したROM206、及び一時的なデータの記憶に用いるRAM207と接続されている。また、CPU205は、時間を計測するタイマを有している。
【0017】
外部装置であるホストコンピュータ200は、プリンタ1のコントローラ部201に印刷条件、印刷画像の画像データ、印刷指令を送信する。コントローラ部201は、ホストコンピュータ200から受信した画像データをプリンタ1に必要な露光データに変換すると共に、受信した印刷条件に基づいて用紙毎の印刷予約情報を作成する。印刷予約情報とは、例えば用紙の供給元を示す給紙口(給紙トレイ)、用紙サイズ、用紙搬送速度、定着ユニット20の目標温度等のことである。コントローラ部201は、ビデオインタフェース部203を介して、CPU205へ印刷予約情報を送信する。画像データから露光データへの変換の作成は時間を要するため、画像データを露光データに変換する処理、及び用紙毎の印刷予約情報の作成処理が完了する前に、コントローラ部201は印刷準備指示をCPU205へ送信する。CPU205は、コントローラ部201から印刷準備指示を受信すると、印刷準備動作を開始する。コントローラ部201は、画像データから露光データへの変換処理が終了すると、CPU205へ印刷開始指示を送信する。CPU205は、コントローラ部201から印刷開始指示を受信すると、印刷動作(画像形成動作ともう)を開始する。
【0018】
エンジン制御部202の駆動制御部209は、ドラムモータ204によって、プリンタ内部の各ローラを回転駆動する。詳細には、駆動制御部209により制御されるドラムモータ204は、上述した給送ローラ81、レジローラ51、感光ドラム11、転写ローラ91、加圧ローラ22、排出ローラ対61、両面ローラ対62を回転駆動する。ドラムモータ204と給送ローラ81とは、給紙クラッチ214を介して接続される。そのため、給紙トレイ83から用紙Pを給送する際には、所定時間、給紙クラッチ214によりドラムモータ204と給送ローラ81とを連結させ、給送ローラ81を回転駆動させる。一方、ドラムモータ204と排出ローラ対61は、反転ソレノイド213を介して接続することにより、逆回転させることができる。そのため、両面印刷を行う際には、所定時間、反転ソレノイド213を動作させて、ドラムモータ204と排出ローラ対61とを接続することで、排出中の用紙Pを両面搬送路63へと引き込むことができる。
【0019】
露光制御部208は、CPU205からの指示に応じて、レーザスキャナユニット30のスキャナモータ(不図示)の回転やレーザ光量の補正を制御し、コントローラ部201から受信する露光データに基づいて、感光ドラム11へのレーザ光の照射を制御する。高電圧制御部210は、プリンタ1内の各部材、例えば帯電ローラ12、現像ローラ13、転写ローラ91へ高電圧の直流電圧、又は交流電圧を印加する高電圧電源の制御を行う。定着制御部211は、サーミスタ23によって定着ヒータ24の表面温度を検知し、検知結果に基づいて、定着ヒータ24への電力供給の制御を行う。センサ入力部212は、給送された用紙Pを検知するトップセンサ215、排出用紙センサ216、及び排出センサ217が検知した検知情報を取得し、CPU205に出力する。
【0020】
[画像形成動作の概要]
次に、プリンタ1の画像形成動作について説明する。まず、図1において、ユーザは給紙トレイ83に用紙Pをセットする。続いて、コントローラ部201がホストコンピュータ200から印刷指令を受信すると、コントローラ部201は印刷準備指示をCPU205へ送信する。CPU205は、コントローラ部201からの印刷準備指示を受信すると、画像形成の準備動作を開始する。そして、エンジン制御部202は、コントローラ部201から印刷開始指示を受けると、画像形成動作を開始する。画像形成動作が開始されると、まず、用紙Pが給送ローラ81によって給紙トレイ83から給送され、レジローラ51とレジ対向ローラ52まで搬送される。そして、用紙Pは、レジローラ51とレジ対向ローラ52が回転することによって更に搬送される。一方、プロセスカートリッジ10では、感光ドラム11が帯電ローラ12により一様な電位に帯電される。そして、一様な電位に帯電された感光ドラム11の表面をレーザスキャナユニット30からのレーザ光が走査することにより、画像データに応じた静電潜像が形成される。感光ドラム11上に形成された静電潜像は、現像ローラ13によりトナーが付着され、トナー像が形成される。そして、用紙Pが感光ドラム11と転写ローラ91とのニップ部に突入するタイミングに合わせて、感光ドラム11上に形成されたトナー像が用紙P上に転写される。
【0021】
用紙Pに転写されたトナー像は、定着ユニット20によって加熱、加圧されることにより、用紙P上に溶融定着される。トナー像が定着された用紙Pは、排出ローラ対61によって排出トレイ65に排出され、画像形成動作が終了する。
【0022】
なお、用紙Pの両面に画像形成を行う両面印刷の場合には、反転ソレノイド213により排出ローラ対61を逆回転させて、排出中の用紙Pを両面搬送路63へと引き込む。両面搬送路63に引き込まれた用紙Pは、両面ローラ対62で搬送されて、再びレジローラ51とレジ対向ローラ52まで搬送される。これ以降の動作は、用紙Pの片面印刷を行う上述した説明と同じであるため、説明を省略する。
【0023】
なお、排出トレイ65に排出された用紙Pがない状態で、用紙Pが排出されると、排出用紙センサ216は用紙Pが排出トレイ65に排出されたことを検知し、用紙Pが排出トレイ65から取り除かれると、排出用紙センサ216は用紙Pがないことを検知する。
【0024】
[用紙の排出間隔制御]
次に、本実施例の用紙Pの排出トレイ65への排出間隔の制御について説明する。用紙Pの排出間隔の制御は、大きくわけると、次の4つのステップから構成されている。
ステップ1:「排出間隔設定」手順が、次に給送される用紙Pとの排出間隔値を設定する。
ステップ2:「給紙間隔算出」手順が、「排出間隔設定」手順が設定した排出間隔値から、次に給送される用紙Pの給紙間隔を算出する。
ステップ3:「排出間隔制御」手順が、「給紙間隔算出」手順が算出した次の用紙Pが給送されるまでの給紙間隔の時間を計測し、次の用紙Pの給紙許可を出力する。
ステップ4:「排出間隔制御」手順から給紙許可が出力されると、「給紙制御」手順が次の用紙Pの給紙動作を行うことで、設定した用紙排出間隔で画像形成された用紙Pが排出される。
【0025】
説明の都合上、各ステップにおける手順(制御シーケンスともいう)の説明の順序を変更する。すなわち、ステップ1の「排出間隔設定」手順、ステップ3の「排出間隔制御」手順、ステップ4の「給紙制御」手順、最後にステップ2の「給紙間隔算出」手順の順で説明することとする。
【0026】
本実施例では、1枚目の用紙Pに両面印刷を行い、2枚目の用紙Pには片面印刷を行う、両面印刷と片面印刷が混在する印刷ジョブを例に排出間隔制御動作について説明する。なお、本印刷ジョブを実行中には、排出トレイ65に排出された用紙は取り除かないものとする。
【0027】
(ステップ1:「排出間隔設定」)
まず、ステップ1の「排出間隔設定」の制御シーケンスについて説明する。本実施例では、用紙Pの片面印刷を行ったときに、プリンタ1のスループット(単位時間あたりの生産性)が最大となる用紙Pの排出間隔時間を「排出間隔値A」(第1の排出間隔時間)とする。また、最もトナーの載り量の多いベタ画像(濃度100%)を用紙Pに両面印刷したときに、上述した排出紙貼り付き現象が発生しない用紙Pの排出間隔時間を「排出間隔値B」(第2の排出間隔時間)とする。なお、「排出間隔値B」は、「排出間隔値A」よりも大きな値となる。また、以下に示す(式1)の大小関係を満たす用紙Pの排出間隔時間を「排出間隔値C」(第3の排出間隔時間)とする。
排出間隔値A<排出間隔値C≦排出間隔値B・・・(式1)
なお、排出間隔値B、及び排出間隔値Cは、事前に実験的に排出紙貼り付き現象が発生しない時間として求めておくものとする。
【0028】
図3は、「排出間隔設定」の制御シーケンスを示すフローチャートである。「排出間隔設定」の処理は、後述するステップ4の「給紙制御」において、給紙動作が行われ、用紙Pが給送されると起動され、CPU205により図3に示す処理が実行される。
【0029】
ステップ(以下、Sとする)300では、CPU205は、プリンタ1が電源オンされてから1回目の実行かどうか判断し、1回目の実行であると判断した場合には処理をS301に進め、2回目以降の実行の場合には処理をS302に進める。S301は、CPU205は、用紙Pの排出間隔時間を記憶する排出間隔バッファを初期化するため、排出間隔バッファに、排出間隔値Aを設定する。ここでは、プリンタ1が電源オンされてから1回目の実行の場合には、排出トレイ65には印刷済みの用紙Pが排出されていないため、最短の排出間隔時間である排出間隔値Aを設定している。
【0030】
S302では、CPU205は、次に給送する用紙Pがあるかどうか判断する。CPU205は、コントローラ部201から次に給送する用紙Pについての印刷予約情報を受信していない場合には、次に給送する用紙Pはないと判断し、処理を終了する。一方、CPU205は、コントローラ部201から次に給送する用紙Pについての印刷予約情報を受信している場合には、次に給送する用紙Pはあると判断し、処理をS304に進める。
【0031】
S304では、CPU205は、コントローラ部201から受信した印刷予約情報(印刷情報)に基づいて、次に給送する用紙Pは両面印刷かどうか判断する。CPU205は、次に給送される用紙Pは両面印刷であると判断した場合には処理をS305に進め、次に給送される用紙Pは両面印刷ではない(片面印刷である)と判断した場合には処理をS306に進める。なお、図3の処理は、用紙Pが給送される毎に起動される。そのため、給送された用紙Pが片面印刷の場合には、次に給送される用紙は片面印刷の用紙P、又は両面印刷の用紙Pの1面目となる。一方、給送された用紙Pが両面印刷の1面目の場合には、次に給送される用紙Pは同じ用紙Pの2面目であり、給送された用紙Pが両面印刷の2面目の場合には、次に給送される用紙Pは片面印刷の用紙P、又は両面印刷の用紙Pの1面目となる。
【0032】
本実施例は、1枚目の用紙Pには両面印刷を行い、2枚目の用紙Pには片面印刷を行う印刷ジョブであるため、まずは、1枚目の用紙Pの1面目が給送された場合の処理について説明する。CPU205は、次に給送する用紙Pは同じ用紙Pの両面印刷の2面目で、両面印刷の場合の処理を行うため、処理をS305に進める。S305では、CPU205は、次に給送される用紙Pには両面印刷が行われるため、排出間隔バッファに排出間隔値Bを設定する。S308では、CPU205は、センサ入力部212を介して、排出用紙センサ216の検知結果を取得し、取得した検知結果に基づいて、排出トレイ65上に排出された用紙Pの有無を判断する。CPU205は、排出トレイ65上に排出された用紙Pがないと判断した場合には、処理をS309に進め、排出トレイ65上に排出された用紙Pがあると判断した場合には、処理をS310に進める。S309では、CPU205は、排出間隔バッファに排出間隔値Aを設定する。すなわち、用紙Pが排出トレイ65にある場合は、排出間隔バッファに設定される値は排出間隔値Bとなり、用紙Pが排出トレイ65から除去されている場合には、排出間隔バッファに設定される値は排出間隔値Aとなる。S310では、CPU205は、今回給送された用紙が排出トレイ65に排出されてから、次に給送される用紙Pが排出されるまでの時間である排出間隔(排出間隔時間)として、排出間隔バッファに設定された値を設定し、処理を終了する。
【0033】
続いて、1枚目の用紙Pの両面印刷の2面目が給送された場合の処理、すなわち、上述したS304の処理において、CPU205が、次に給送される用紙Pは片面印刷であると判断した場合の処理について説明する。S304では、CPU205は、次に給送される用紙Pは片面印刷であるため、処理をS306に進める。S306では、CPU205は、排出間隔バッファに設定されている値が排出間隔値Aかどうか判断し、排出間隔値Aが設定されている場合には処理をS308に進め、排出間隔値Aが設定されていない場合には処理をS307に進める。上述したように、1枚目の両面印刷の1面目に対するS303の処理において、排出間隔バッファには排出間隔値Bが設定されている。したがって、CPU205は、排出間隔バッファの値が排出間隔値Aではないため、処理をS307に進める。S307では、CPU205は、排出間隔バッファに排出間隔値Cを設定する。以降の処理は、上述した両面印刷の1面目の場合と同様であり、用紙Pが排出トレイ65にある限り、用紙Pに片面印刷を行う場合の排出間隔は、排出間隔値Cが設定されることになる。
【0034】
以上説明したように、「排出間隔設定」の処理においては、次に給送される用紙が両面印刷の場合には排出間隔は排出間隔値Bに設定される。一方、次に給送される用紙が片面印刷の場合には、同じ印刷ジョブにおいて、それ以前に両面印刷が行われていた場合には排出間隔は排出間隔値Cに設定され、片面印刷しか行われていない場合には、排出間隔は排出間隔値Aに設定される。なお、排出トレイ65から用紙Pが除去された場合には、両面印刷の場合でも、片面印刷の場合でも、排出間隔は排出間隔値Aに設定される。
【0035】
ステップ1で設定された排出間隔に基づいて、後述するステップ3の「排出間隔制御」処理では、次に給送される用紙Pの給紙タイミングの制御が行われる。両面印刷の場合には、用紙Pの排出間隔が排出間隔値Bに制御されるため、上述した排出紙貼り付き現象の発生を抑制することができる。また、両面印刷から片面印刷に切り替わった場合は、用紙Pの排出間隔が排出間隔値Cに設定されるが、排出間隔値Cは、排出トレイ65に用紙Pが排出されていない場合の排出間隔である排出間隔値Aよりも大きな値である。そのため、プリンタ1のスループットは最大にはならないが、排出間隔値Cを適切な排出間隔となるような時間に設計することで、用紙Pや用紙P上のトナーが冷却するのに必要な時間を確保することができる。なお、排出トレイ65から用紙Pが除去された場合には、用紙Pの排出間隔が排出間隔値Aとなるため、プリンタ1のスループットは最大となる。
【0036】
(ステップ3:「排出間隔制御」)
続いて、「排出間隔制御」手順について説明する。図4は、「排出間隔制御」の制御シーケンスを示すフローチャートである。「排出間隔制御」の処理は、後述するステップ4の「給紙制御」から起動され、CPU205により「給紙制御」の処理と並行して、図4に示す処理が実行される。
【0037】
S400では、CPU205は、後述する給紙間隔時間を計測するために、タイマをリセットした後にスタートさせる(タイマの初期化)。S401では、CPU205は、後述するステップ2の「給紙間隔算出」処理を起動し、次に給送する用紙Pの給送タイミングまでの時間である給紙間隔時間を取得する。S402では、CPU205は、タイマを参照してS401の処理で取得した給紙間隔時間が経過したかどうか判断し、給紙間隔時間が経過したと判断した場合には処理をS403に進め、給紙間隔時間が経過していないと判断した場合には処理をS402に戻す。S403では、CPU205は、次に給送する用紙Pの給紙許可を出力し、処理を終了する。
【0038】
(ステップ4:「給紙制御」)
次に、上述したステップ1の「排出間隔設定」の処理、ステップ3の「排出間隔制御」の処理を起動する「給紙制御」手順について説明する。図5(a)は、「給紙制御」の制御シーケンスを示すフローチャートである。「給紙制御」の処理は、プリンタ1が画像形成動作を開始すると起動され、CPU205により図5(a)に示す処理が実行される。また、図5(b)は、図5(a)に示す「給紙制御」の処理から起動され、用紙Pの給紙トレイ83からの用紙Pの給送、又は両面搬送路63からの用紙Pの給送を行う制御シーケンスを示すフローチャートである。
【0039】
まず、図5(a)に示す給紙制御の処理について説明する。CPU205は、画像形成動作を開始する前に、コントローラ部201からの印刷準備指示を受信すると、露光制御部208、駆動制御部209、高電圧制御部210、定着制御部211に対して、画像形成動作を行うための準備を指示する。S500では、CPU205は、露光制御部208、駆動制御部209、高電圧制御部210、定着制御部211における画像形成の準備が完了することにより、給紙準備が完了したかどうか判断する。CPU205は、給紙準備が完了したと判断した場合には処理をS501に進め、給紙準備が完了していないと判断した場合には処理をS500に戻す。
【0040】
(給紙動作)
S501では、CPU205は、用紙Pの給送を行うため、図5(b)に示す給紙動作を起動する。ここで、図5(b)に示す「給紙動作」の処理について説明する。本実施例の給紙動作には、給紙トレイ83からの用紙Pの給送、又は両面搬送路63からの用紙Pの給送を行う2つの給紙動作がある。本実施例の印刷ジョブでは、1枚目の用紙Pに対しては両面印刷が行われるため、用紙Pは片面が印刷されると、両面搬送路63に搬送されるが、両面搬送路63内では、用紙Pの搬送を停止させることができない。すなわち、上述したように、用紙Pを両面搬送路63に搬送するために、反転ソレノイド213を制御すると、用紙Pは、両面搬送路63を搬送されて、所定時間後にレジローラ51とレジ対向ローラ52まで搬送されることになる。そのため、本実施例では、両面印刷の2面目の画像形成を実施する場合には、所定タイミングで画像形成シーケンスを開始すればよい(以下、両面印刷時の2面目の給紙動作を「仮想給紙」という)。図1において、給送ローラ81からレジローラ51とレジ対向ローラ52までの用紙Pが搬送される搬送路の距離を距離Lとする。すると、仮想給紙が行われる搬送路上の位置は、レジローラ51とレジ対向ローラ52から両面搬送路63上を距離Lだけ上流側の位置となる。通常の給紙トレイ83からの給紙動作と上述した仮想給紙との違いは、用紙Pを給送する給送ローラ81を駆動するために、ドラムモータ204と給送ローラ81とを連結させる給紙クラッチ214を制御するか否かの違いである。
【0041】
続いて、図5(b)に示す各処理について説明する。S510では、CPU205は、コントローラ部201から受信した印刷予約情報に基づいて、今回の印刷面が両面印刷の2面目かどうか判断する。CPU205は、今回の印刷面が両面印刷の2面目であると判断した場合には処理をS512に進め、今回の印刷が両面印刷の2面目ではないと判断した場合には処理をS511に進める。S511では、CPU205は、用紙Pを給紙トレイ83から給送するため、給紙クラッチ214を制御して、ドラムモータ204と給送ローラ81とを連結して給送ローラ81を駆動し、給紙トレイ83から用紙Pを給送させる。S512では、CPU205は、露光制御部208、駆動制御部209、高電圧制御部210、定着制御部211を制御して、画像形成動作を開始して、処理を終了する。なお、画像形成動作の概要については上述したとおりであり、画像形成動作の詳細な制御シーケンスの説明は、本実施例では省略する。
【0042】
S501の給紙動作の処理が終了すると、S502では、CPU205は、上述したステップ1の「排出間隔設定」処理を起動し、S501で給送した用紙Pと、次に給送する用紙Pとの間の排出間隔時間を取得する。S503では、CPU205は、用紙Pの排出間隔を制御するため、上述したステップ3の「排出間隔制御」処理を起動する。
【0043】
S504では、CPU205は、タイマを参照して、次の用紙Pの給送を開始するまでの最小限の待ち時間が経過したかどうか判断する。この場合の待ち時間は、予め決められている紙間距離と用紙Pの用紙長とを搬送速度で除することにより求めた待ち時間((紙間+用紙長)時間)であり、次に給送する用紙Pを給送してもS501で給送した用紙Pと搬送路上で衝突しないための待ち時間である。CPU205は、タイマを参照して待ち時間が経過したと判断した場合には処理をS505に進め、待ち時間が経過していないと判断した場合には処理をS504に戻す。なお、上述した待ち時間は、両面印刷か片面印刷かで変わることになるが、その時間の設定は一般的なことであり、本発明の特徴的な部分ではないため、説明を省略する。
【0044】
次に、S505では、CPU205は、図4に示す「排出間隔制御」処理から、次に給送する用紙Pの給紙許可が出力されたかどうか判断する。CPU205は、給紙許可が出力されたと判断した場合には処理をS506に進め、給紙許可が出力されていないと判断した場合には処理をS505に戻す。S506では、CPU205は、印刷ジョブが終了したかどうか判断し、終了していないと判断した場合には処理をS501に戻し、終了したと判断した場合には、給紙制御の処理を終了する。
【0045】
(ステップ2:「給紙間隔算出」)
最後に、ステップ2の「給紙間隔算出」手順について説明する。図6は、「給紙間隔算出」の制御シーケンスを示すフローチャートである。「給紙間隔算出」の処理は、上述したステップ3の「排出間隔制御」から起動され、CPU205により図6に示す処理が実行される。
【0046】
S600では、CPU205は、上述したステップ1の「排出間隔設定」で設定された排出間隔値(排出間隔時間)を取得する。S601では、CPU205は、次に給送する用紙があるかどうか判断する。CPU205は、次に給送する用紙がある場合には、処理をS602に進め、次に給送する用紙がない場合には処理をS606に進める。S602では、CPU205は、取得した排出間隔(排出間隔時間)は排出間隔値Aであるかどうか判断する。CPU205は、排出間隔が排出間隔値Aであると判断した場合には、給紙間隔を算出する必要がないため、処理をS606に進め、排出間隔が排出間隔値Aではないと判断した場合には処理をS603に進める。
【0047】
S603では、CPU205は、コントローラ部201から受信した印刷予約情報に基づいて、給送された用紙Pと、次に給送される用紙Pとの間の給紙間隔を算出するために必要な情報を取得する。ここで、必要な情報とは、給送された用紙Pと次に給送される用紙Pの用紙長情報、給送された用紙Pと次に給送される用紙Pは片面印刷か、両面印刷の1面目又は2面目かの印刷面情報、及び用紙Pの搬送速度である。なお、ここでは、上述した情報は印刷予約情報に限定して取得されるものではない。例えば、用紙長情報については、給紙トレイ83に収容された用紙の用紙長を検知可能なセンサが搭載されている場合は、コントローラ部201から送信された印刷予約情報ではなく、センサの検知値を用いてもよい。また、上述したトップセンサ215が用紙Pを検知している時間に基づいて、検知時間と用紙Pの搬送速度を乗じることにより算出した用紙長情報を用いてもよい。
【0048】
S604では、CPU205は、コントローラ部201から送信された印刷予約情報に基づいて、給送された用紙Pの印刷面は、両面印刷の1面目かどうか判断する。CPU205は、給送された用紙Pの印刷面は両面印刷の1面目であると判断した場合には処理をS606に進め、両面印刷の1面目ではない(片面印刷、又は両面印刷2面目)と判断した場合には処理をS605に進める。S605では、CPU205は、S600で取得した排出間隔値(排出間隔時間)から次に給送する用紙Pの給紙間隔を算出し、処理を終了する。S606では、CPU205は、給紙間隔を0に設定し、処理を終了する。以上説明したように、次に給送する用紙Pの給紙間隔の算出は、給送された用紙Pが片面印刷、又は両面印刷2面目のときに行われ、給送された用紙Pが両面印刷の1面目や、次に給送する用紙Pがない最終紙の場合には行われない。
【0049】
ここで、S605の具体的な給紙間隔の算出方法について、図7のタイミングチャートを用いて説明する。図7(a)は、給送された用紙Pである先行紙も、先行紙の次に給送される用紙Pである後続紙も共に、両面印刷を行う場合のタイミングチャートであり、図7(b)は、先行紙は両面印刷を行い、後続紙は片面印刷を行う場合のタイミングチャートを示している。図7(a)、(b)において、トップセンサ、排出センサは、図1に示すトップセンサ215、排出センサ217の用紙Pの検知状態を示しており、ハイ(High)は用紙Pを検知している状態であり、ロー(Low)は用紙Pを検知していない状態を示す。また、図7(a)、(b)において、「1面目」は印刷面が両面印刷の1面目であることを示し、「2面目」は印刷面が両面印刷の2面目であることを示している。更に、「片面」は、片面印刷であることを示している。また、「給紙」は用紙Pが給紙トレイ83から搬送されることを示し、「仮想給紙」は、上述したように、用紙Pが両面搬送路63から搬送されることを示している。
【0050】
まず、図7(a)に示す、先行紙、後続紙が共に両面印刷のときの、先行紙の仮想給紙から当該紙の給紙までの給紙間隔Tp1の算出方法について説明する。ここでは、先行紙が排出センサ217を通過してから、後続紙が排出センサ217を通過するまでの時間である排出間隔To1を、上述したステップ1の「排出間隔設定」手順で設定した排出間隔値Bになるような給紙間隔Tp1を算出する。ここで、排出間隔To1とは、先行紙の両面印刷の2面目が終了し、先行紙が排出センサ217を通過してから、後続紙の両面印刷の2面目が終了して、後続紙が排出センサ217を通過するまでの時間である。また、給紙間隔Tp1とは、先行紙の両面2面目の仮想給紙1-2から、後続紙の給紙1-3までの時間である。ここで、先行紙の仮想給紙1-2から先行紙が排出センサ217を通過するまでの時間を時間Tb1、後続紙の給紙1-3から後続紙の両面印刷の2面目の印刷が終了し、後続紙が排出センサ217を通過するまでの時間を時間Ta1とする。すると、給紙間隔Tp1は、次の(式2)により求めることができる。
給紙間隔Tp1=排出間隔To1+時間Tb1-時間Ta1
=排出間隔値B+時間Tb1-時間Ta1・・・(式2)
【0051】
ここで、時間Tb1は、仮想給紙(1-2)位置から排出センサ217までの搬送距離、先行紙の用紙長、先行紙の搬送速度情報を取得することにより、以下に示す(式3)により算出できる。
時間Tb1=(仮想給紙位置から排出センサ217までの搬送距離+用紙長)
÷搬送速度・・・(式3)
【0052】
また、時間Ta1は、給送ローラ81から反転開始位置までの後続紙の搬送距離、反転開始位置から両面搬送路63を通って排出センサ217までの後続紙の搬送距離、後続紙の用紙長、後続紙の搬送速度情報により、以下に示す(式4)を用いて算出できる。

時間Ta1=(給送ローラ81から反転開始位置までの搬送距離+反転開始位置から
排出センサ217までの搬送距離+(用紙長×2))÷搬送速度
・・・(式4)
【0053】
次に、図7(b)に示す、先行紙が両面印刷で、後続紙が片面印刷のときの、先行紙の仮想給紙から後続紙の給紙までの給紙間隔Tp2の算出方法について説明する。ここでは、先行紙が排出センサ217を通過してから、後続紙が排出センサ217を通過するまでの時間である排出間隔To2を、上述したステップ1の「排出間隔設定」手順で設定した排出間隔値Cになるような給紙間隔Tp2を算出する。ここで排出間隔To2とは、先行紙の両面印刷の2面目が終了し、先行紙が排出センサ217を通過してから、後続紙の片面印刷が終了し、後続紙が排出センサ217を通過するまでの時間である。また、給紙間隔Tp2とは、先行紙の両面2面目の仮想給紙2-2から、後続紙の給紙2-3までの時間である。ここで、先行紙の仮想給紙2-2から先行紙が排出センサ217を通過するまでの時間を時間Tb2、後続紙の給紙2-3から後続紙が排出センサ217を通過するまでの時間を時間Ta2とすると、給紙間隔Tp2は次の(式5)により求めることができる。
給紙間隔Tp2=排出間隔To2+時間Tb2-時間Ta2
=排出間隔値C+時間Tb2-時間Ta2・・・(式5)
ここで、時間Tb2の算出方法は、上述した時間Tb1と同じであるため、説明を省略する。
【0054】
また、時間Ta2は、給送ローラ81から排出センサ217までの後続紙の搬送距離、後続紙の用紙長、後続紙の搬送速度情報により、以下の(式6)を用いて算出できる。
時間Ta2=(給送ローラ81から排出センサ217までの搬送距離+用紙長)
÷搬送速度・・・(式6)
以上説明した方法により、排出間隔値から給紙間隔を算出することができる。
【0055】
[まとめ]
以上説明したように、両面印刷と片面印刷とが混在した印刷ジョブにおいて、両面印刷から片面印刷に切り替わった際にも、用紙Pの排出間隔時間を、片面印刷時よりも大きく、両面印刷時と等しい又はより短い時間に制御することができる。その結果、上述した排出紙貼り付き現象の発生を抑制することができる。
【0056】
以上説明したように、本実施例によれば、排出トレイにおける排出紙貼り付き現象の発生を抑制することができる。
【実施例2】
【0057】
実施例1では、予め実験的に求めた排出間隔値Bや排出間隔値Cを用いて、給紙間隔を算出することにより、排出紙貼り付き現象の発生を抑制する方法について説明した。実施例2では、画像形成時の用紙の印字率情報を使うことで、より生産性を向上させる方法について説明する。また、実施例1では、プリンタが排出トレイ65上の用紙の有無を検知する排出用紙センサを備えている例について説明した。本実施例では、プリンタが排出用紙センサを備えていない場合の方法について説明する。
【0058】
なお、上述したように、本実施例のプリンタ1は、排出用紙センサ216が装備されていないことを除いて、実施例1の図1に示すプリンタ1と同様であり、同じ構成には同じ符号を用いることにより説明を省略する。また、本実施例のプリンタ1の制御系の構成についても、実施例1の図2に示すブロック図において、排出用紙センサ216を備えていないことを除き、同一構成である。
【0059】
また、本実施例では、エンジン制御部202のCPU205は、コントローラ部201から印刷開始指示と共に、印字率情報を受信するものとするものとし、コントローラ部201は、印字率情報を用紙Pの各面毎にCPU205に送信するものとする。なお、本実施例では、印字率(単位:%)は、レーザスキャナユニット30から出射されるレーザ光により用紙P上に形成される画素数を用紙P上に形成可能な全画素数で除して100倍した数値とする。
【0060】
[用紙の排出間隔制御]
本実施例では、1枚目の用紙Pには片面印刷、2枚目の用紙Pには両面印刷、そして3枚目の用紙Pには再び片面印刷を行う両面印刷・片面印刷が混在する印刷ジョブを用いて、用紙の排出間隔制御の方法について説明する。また、本実施例では、上述した印刷ジョブを終了した後に、片面印刷を行う印刷ジョブを実行する間欠印刷動作を行う場合の用紙Pの排出間隔制御についても併せて説明する。
【0061】
本実施例における用紙Pの排出間隔制御は、実施例1の場合と同様に、ステップ1からステップ4までの4つのステップとなっているが、本実施例ではステップ1の「排出間隔設定」手順のみ、実施例1とは異なる制御シーケンスとなっている。他のステップ2の「給紙間隔算出」、ステップ3の「排出間隔制御」、ステップ4の「給紙制御」の処理について実施例1で説明した処理と同様であり、ここでの説明を省略する。
【0062】
また、本実施例では、実施例1では予め決定された時間であった「排出間隔値B」、「排出間隔値C」は、印字率情報に基づいて可変される。表1は、印字率(単位:%)に対応する「排出間隔値B」、「排出間隔値C」をまとめた表である。表1では、印字率として、0%、40%、60%、100%を挙げ、排出間隔値B(単位:msec(ミリ秒))としては、印字率0%、40%、60%、100%のときのB0、B40、B60、B100の排出間隔値Bが挙げられている。また、同様に、表1では、排出間隔値C(単位:msec(ミリ秒))としては、印字率0%、40%、60%、100%のときのB0-T、B40-T、B60-T、B100-Tの排出間隔値Cが挙げられている。ここで、排出間隔値BのB0、B40、B60、B100は、以下に示す(式7)の関係を満たすものとする。また、時間Tは0以上の値であり、以下に示す(式8)の関係を満たすものとし、時間B100、時間B100-Tは、それぞれ実施例1の排出間隔値B、排出間隔値Cに等しい時間とする。
排出間隔値A<B0<B40<B60<B100・・・(式7)
排出間隔値A<B0-T<B40-T<B60-T<B100-T・・・(式8)
【0063】
【表1】
なお、表1のデータは、エンジン制御部202のROM206に格納されているものとする。
【0064】
図8(a)は、本実施例の「排出間隔設定」の制御シーケンスを示すフローチャートである。「排出間隔設定」の処理は、実施例1と同様に、ステップ4の「給紙制御」(図5(a))から起動され、CPU205により図8(a)に示す処理が実行される。また、図8(b)は、印刷ジョブの終了を監視する「ジョブ終了監視」の制御シーケンスを示すフローチャートである。本実施例では、印刷ジョブを終了した後に、再度、印刷ジョブを実行する間欠印刷動作の場合の用紙Pの排出間隔制御を行う。そのため、プリンタ1が画像形成動作を開始すると同時に、図8(b)に示す「ジョブ終了監視」も起動され、CPU205により処理が実行される。図8(c)は、間欠印刷時の用紙Pの排出間隔を設定する「間欠印刷時の排出間隔設定」の制御シーケンスを示すフローチャートである。図8(c)の処理は、図8(a)から起動され、CPU205により処理が実行される。図8(d)は、「排出間隔Bの設定」の制御シーケンスを示すフローチャートである。図8(d)の処理は、図8(a)から起動され、CPU205により処理が実行される。
【0065】
[ジョブ終了監視]
本実施例では、印刷ジョブを終了した後に、再度、印刷ジョブを実行する間欠印刷の場合には、直前の印刷ジョブが終了してからの経過時間に応じて、次に実行される後続の印刷ジョブにおける用紙Pの排出間隔制御を行う。そのため、図8(b)に示すジョブ終了監視処理は、実施例1の図5(a)の処理が起動され、プリンタ1が画像形成動作を開始すると同時に、図8(b)の処理も起動される。
【0066】
S915では、CPU205は、現在実行中の印刷ジョブが終了したかどうか判断し、終了したと判断した場合には処理をS916に進め、終了していないと判断した場合には処理をS915に戻す。
【0067】
S916では、CPU205は、後述する図8(a)の処理で排出間隔時間が設定される排出間隔バッファに設定された排出間隔値が、排出間隔値Aと等しいかどうか判断する。CPU205は、排出間隔バッファに設定された排出間隔値が排出間隔値Aと等しいと判断した場合には、処理を終了し、排出間隔バッファに設定された排出間隔値は排出間隔値Aとは等しくないと判断した場合には、処理をS917に進める。
【0068】
S917では、CPU205は、印刷ジョブが終了してからの経過時間を計測するために、タイマをリセットしスタートさせ、処理を終了する。
【0069】
[ステップ1:「排出間隔設定」]
上述した本実施例の印刷ジョブを実行するために、実施例1の図5(a)の処理が起動され、1枚目の用紙Pの片面印刷が開始される。そして、図5(a)のS502(排出間隔設定)が実行されると、図8(a)の「排出間隔設定」処理が起動される。
【0070】
(1枚目の用紙Pの印刷(片面印刷))
S900では、CPU205は、プリンタ1が電源オンされてから1回目の実行かどうか判断し、1回目の実行であると判断した場合には処理をS901に進め、2回目以降の実行の場合には処理をS902に進める。S901は、CPU205は、用紙Pの印刷面の印字率、及び用紙Pの排出間隔時間を記憶する排出間隔バッファを初期化するため、印字率バッファに0(%)を設定し、排出間隔バッファに排出間隔値Aを設定する。ここでは、プリンタ1が電源オンされてから1回目の実行の場合には、排出トレイ65には印刷済みの用紙Pが排出されていないため、最短の排出間隔時間である排出間隔値Aを設定している。ここでは、本実施例の印刷ジョブにより、プリンタ1が電源オンされてから1回目の実行であるとする。
【0071】
S902では、CPU205は、次に給送する用紙Pがあるかどうか判断する。CPU205は、コントローラ部201から次に給送する用紙Pについての印刷予約情報を受信していない場合には、次に給送する用紙Pはないと判断し、処理を終了する。一方、CPU205は、コントローラ部201から次に給送する用紙Pについての印刷予約情報を受信している場合には、次に給送する用紙Pはあると判断し、処理をS904に進める。ここでは、CPU205は、コントローラ部201から次に給送する用紙Pについての印刷予約情報を受信しているので、処理をS904に進める。
【0072】
S904では、CPU205は、コントローラ部201から受信した印刷予約情報に基づいて、次に給送する用紙Pは両面印刷かどうか判断する。CPU205は、次に給送する用紙Pは両面印刷であると判断した場合には処理をS907に進め、次に給送する用紙Pは両面印刷ではない(片面印刷である)と判断した場合には処理をS905に進める。本実施例の場合は、次に給送する用紙は両面印刷なので、S907の処理に進む。
【0073】
S907では、CPU205は、排出間隔値Bの設定を行うため、図8(d)に示す「排出間隔値Bの設定」の処理を起動する。
【0074】
(排出間隔値Bの設定)
続いて、図8(d)の「排出間隔値Bの設定」の処理について説明する。S930では、CPU205は、コントローラ部201より送信された給送された用紙Pの印刷面(ここでは片面印刷)の印字率情報と、次に給送する用紙Pの印刷面(ここでは両面印刷の1面目)の印字率情報を取得する。
【0075】
S931では、CPU205は、給送された用紙Pの印刷面の印字率情報が次に給送される用紙Pの印刷面の印字率情報より大きいかどうか判断する(給送した用紙印刷面の印字率>次に給送する用紙の印刷面の印字率?)。CPU205は、給送された用紙Pの印刷面の印字率情報は次に給送される用紙Pの印刷面の印字率情報より大きいと判断した場合には、処理をS932に進める。一方、CPU205は、給送された用紙Pの印刷面の印字率情報は次に給送される用紙Pの印刷面の印字率情報以下であると判断した場合には、処理をS933に進める。S932では、CPU205は、給送された用紙Pの印刷面の印字率を印字率バッファに設定する。S933では、CPU205は、次に給送される用紙Pの印刷面の印字率を印字率バッファに設定する。S931~S933の処理では、給送された用紙Pの印刷面の印字率と次に給送される用紙Pの印刷面の印字率のうち、大きい方の印字率が印字率バッファに格納される。例えば、給送された用紙Pの印刷面の印字率情報が10%で、次に給送される用紙Pの印刷面の印字率情報が60%だった場合には、印字率バッファには、次に給送される用紙Pの印刷面の印字率である60%の値が格納される。S934では、CPU205は、印字率バッファに格納された印字率の値に基づいて、上述したROM206に格納された表1を参照して、印字率に対応する排出間隔値Bを算出する。例えば、印字率バッファの値が60%だった場合には、表1より排出間隔値BはB60となる。
【0076】
S935では、CPU205は、S934で算出した排出間隔値Bと排出間隔バッファに格納された値とを比較し、算出した排出間隔値Bは排出間隔バッファに格納された値よりも大きいかどうか判断する(算出した排出間隔値B>排出間隔バッファ?)。CPU205は、算出した排出間隔値Bは排出間隔バッファに格納された値よりも大きいと判断し場合には処理をS936に進め、算出した排出間隔値Bは排出間隔バッファに格納された値以下であると判断し場合には、処理を終了する。S936では、CPU205は、算出した排出間隔値Bを排出間隔バッファに設定し(排出間隔バッファ=算出した排出間隔値B)、処理を終了する。ここでは、S901の処理の際に、排出間隔バッファに排出間隔値Aが格納されており、S934の処理で取得した排出間隔値であるB60の方が排出間隔値Aよりも大きいため、排出間隔バッファの値はB60に更新される。
【0077】
ここで、S935、S936の処理が排出紙貼り付き現象の発生を抑制するための効果について説明する。S935、S936の処理により、一度、印字率の高い画像を印刷した後は、その際設定した用紙Pの排出間隔が、用紙Pの排出間隔の最大値として、記憶部である排出間隔バッファに設定され、それ以降も維持することができる。例えば給送された用紙Pの印刷面の印字率情報が10%で、次に給送される用紙Pの印刷面の印字率情報が60%だった場合、上述したように、用紙Pの排出間隔値はB60に設定される。次の用紙Pの印刷において、給送された用紙Pの印刷面の印字率情報が40%で、次に給送される用紙Pの印刷面の印字率情報が30%だった場合でも、用紙Pの排出間隔値をB60に維持できる。ここで、印字率30%と印字率40%における排出間隔値だけの大小比較をして、排出間隔値をB40に設定してしまうと、既に印刷した印字率が60%の印刷面が貼り付いてしまう可能性がある。そのため、排出紙貼り付き現象の発生をより抑制するために、S935、S936の処理を設けている。
【0078】
CPU205は、以上説明したS907(排出間隔値Bの設定)の処理が終了すると、処理をS910に進める。S910では、CPU205は、今回給送された用紙が排出トレイ65に排出されてから、次に給送される用紙Pが排出されるまでの時間である排出間隔として、排出間隔バッファに設定された値を設定し、処理を終了する。上述したように、排出間隔バッファには排出間隔値B(ここではB60)に設定されているため、排出間隔時間は排出間隔値B(B60)に設定される。実施例1では、排出間隔値Bは、最もトナーの載り量の多いベタ画像を両面印刷したときに排出紙貼り付き現象が発生しない排出間隔時間であった。一方、本実施例では、印字率情報に基づいて、排出間隔時間を排出間隔Bより短い時間B60に設定することにより最適化している。そのため、生産性の低下を最小限に抑えながら、排出紙貼り付き現象の発生を抑制することができる。
【0079】
なお、コントローラ部201が、印字率を算出するための画像データの解析に想定以上の時間を要してしまい、CPU205に印字率情報を送信するタイミングが遅れる可能性がある。そのため、コントローラ部201から印字率情報の送信がCPU205側の処理タイミングに間に合わなかった場合には、CPU205は当該紙の印字率を100%と設定することで、排出紙貼り付き現象の発生を抑制することができる。
【0080】
また、コントローラ部201の印字率情報の送信が遅れることが予めわかっている場合には、排出間隔時間を反映させる用紙を1枚遅らせることで、生産性の低下を抑えることができる。すなわち、Nが3以上の整数とすると、(N-2)枚目の用紙Pの上面の印字率情報と、(N-1)枚目の用紙Pの下面の印字率情報を使って、(N-1)枚目を給送してから(N)枚目を給送するまでの給紙間隔を制御する。上述した方法では、(N-2)枚目の上面の印字率情報と、(N-1)枚目の下面の印字率情報を使って、(N-2)枚目を給送してから(N-1)枚目を給送するまでの給紙間隔を制御していた。そのため、排出間隔時間を反映するタイミングが用紙1枚分遅れることになる。
【0081】
(2枚目の用紙Pの印刷(両面印刷1面目))
なお、2枚目の用紙Pの1面目の処理は、次に給送する用紙Pが両面印刷の2面目になり、上述した1面目と同様の処理が行われるので、説明を省略する。
【0082】
(2枚目の用紙Pの印刷(両面印刷2面目))
次に、2枚目の用紙Pの両面印刷2面目の場合の処理について説明する。2枚目の用紙P(両面印刷2面目)について、図5(a)のS502(排出間隔設定)が実行されると、図8(a)の「排出間隔設定」処理が起動される。
【0083】
S900では、CPU205は、プリンタ1が電源オンされてから1回目の実行かどうか判断し、3回目の実行なので、処理をS902に進める。S902では、CPU205は、次に給送する用紙Pがあるかどうか判断する。CPU205は、コントローラ部201から次に給送する用紙Pについての印刷予約情報を受信しているので、次に給送する用紙Pはあると判断し、処理をS904に進める。
【0084】
S904では、CPU205は、コントローラ部201から受信した印刷予約情報に基づいて、次に給送する用紙Pは両面印刷かどうか判断する。CPU205は、次に給送する用紙Pは両面印刷であると判断した場合には処理をS907に進め、次に給送する用紙Pは両面印刷ではない(片面印刷である)と判断した場合には処理をS905に進める。本実施例の場合は、次に給送する用紙Pは片面印刷なので、S905の処理に進む。
【0085】
S905では、CPU205は、上述したS917の処理で動作を開始するタイマが動作中かどうか判断し、タイマが動作していると判断した場合には処理をS908に進め、タイマが動作していないと判断した場合には処理をS906に進める。タイマは、上述した「ジョブ終了監視」処理で、現在実行中の印刷ジョブが終了したと判断されたときに初めて動作を開始する。そのため、この時点では、タイマは動作していない。そのため、S905での判定により、処理はS906へと進む。なお、タイマが動作している場合の処理については、後述する間欠印刷において説明する。
【0086】
S906では、CPU205は、排出間隔バッファに設定されている値が排出間隔値Aかどうか判断し、排出間隔値Aが設定されている場合には処理をS910に進め、排出間隔値Aが設定されていない場合には処理をS909に進める。ここでは、上述した処理により、排出間隔バッファには排出間隔値Bが設定されているため、処理をS909に進める。
【0087】
S909では、CPU205は、コントローラ部201から送信された次に給送する用紙Pの印刷面の印字率を取得し、取得した印字率の値に基づいて、上述したROM206に格納された表1を参照して、印字率に対応する排出間隔値Cを算出する。例えば、印字率バッファの値が60%だった場合には、表1より排出間隔値Cは(B60-T)となる。そして、CPU205は、算出した排出間隔値Cを排出間隔バッファに格納し、処理をS910に進める。
【0088】
S910では、CPU205は、今回給送された用紙が排出トレイ65に排出されてから、次に給送される用紙Pが排出されるまでの時間である排出間隔として、排出間隔バッファに設定された値を設定し、処理を終了する。
【0089】
(3枚目の用紙Pの印刷(片面印刷))
次に、3枚目の用紙Pの片面印刷の場合の処理について説明する。3枚目の用紙P(片面印刷)について、図5(a)のS502(排出間隔設定)が実行されると、図8(a)の「排出間隔設定」処理が起動される。
【0090】
S900では、CPU205は、プリンタ1が電源オンされてから1回目の実行かどうか判断し、4回目の実行なので、処理をS902に進める。S902では、CPU205は、次に給送する用紙Pがあるかどうか判断する。本実施例の印刷ジョブでは、3枚の用紙Pに片面印刷、両面印刷、片面印刷を行う。そのため、3枚目の用紙Pに対する片面印刷が終了すると、印刷ジョブも終了することになる。そのため、コントローラ部201から次に給送する4枚目の用紙Pについての印刷予約情報は送信されない。CPU205は、コントローラ部201から次に給送する用紙Pについての印刷予約情報を受信していないので、次に給送する用紙Pはないと判断し、処理を終了する。
【0091】
[間欠印刷]
次に、印刷ジョブが終了した後に、再度、印刷ジョブを再開する間欠印刷の場合の用紙Pの排出間隔の制御について説明する。なお、再開した印刷ジョブが両面印刷だった場合は、上述した図8(a)のS904の判断処理で、処理はS907に進み、タイマが動作中かどうかを判断するS905の処理には進まない。その結果、再開した印刷ジョブが両面印刷だった場合は、上述した両面印刷での処理と同じ処理を行うことになるため、ここでの説明を省略する。
【0092】
上述した3枚の用紙Pに片面印刷、両面印刷、そして再び片面印刷を行う印刷ジョブが終了すると、図8(c)に示す「ジョブ終了監視」のS916では、CPU205が排出間隔バッファに設定された排出間隔値が、排出間隔値Aと等しいかどうか判断する。上述したように、排出間隔バッファには排出間隔値C(ここではB60-T)に設定されているため、CPU205は、処理をS917に進める。S917では、CPU205は、上述した印刷ジョブが終了してからの経過時間を計測するために、タイマをリセットして、スタートさせる。
【0093】
その後、2枚の用紙Pに片面印刷を行う印刷ジョブが実行されると、実施例1の図5(a)のS502(排出間隔設定)が実行され、図8(a)の「排出間隔設定」処理が起動される。
【0094】
S900では、CPU205は、プリンタ1が電源オンされてから1回目の実行かどうか判断し、1回目の実行ではないので、処理をS902に進める。S902では、CPU205は、次に給送する用紙Pがあるかどうか判断する。CPU205は、コントローラ部201から次に給送する用紙Pについての印刷予約情報を受信しているので、次に給送する用紙Pはあると判断し、処理をS904に進める。
【0095】
S904では、CPU205は、コントローラ部201から受信した印刷予約情報に基づいて、次に給送される用紙Pは両面印刷かどうか判断し、次に給送される用紙Pは片面印刷なので、処理をS905に進める。
【0096】
S905では、CPU205は、タイマが動作中かどうか判断する。上述したように、タイマは動作中なので、CPU205は、処理をS908に進める。S908では、CPU205は、間欠印刷時の排出間隔を設定するため、図8(c)に示す「間欠印刷時の排出間隔設定」処理を起動する。
【0097】
(間欠印刷時の排出間隔設定)
S920では、CPU205は、コントローラ部201から送信された次に給送する用紙Pの印刷面の印字率を取得し、取得した印字率、及びタイマ値に基づいて、上述したROM206に格納された表2を参照して、排出間隔値Cを算出する。ここで、表2は、印字率(単位:%)とタイマ値(単位:秒)と排出間隔値C(単位:msec(ミリ秒))とを対応づけた表である。以下に示す表2は、印字率が60%のときの、タイマ値と排出間隔値Cとを対応づけた表である。なお、表2の排出間隔値Cは、タイマ値に応じて、表1の同じ印字率の排出間隔値Cから排出間隔時間を減少させた時間である。そのため、表2において、タイマ値が0秒の場合には、排出間隔値Cの値は、表1の排出間隔値Cと同じ、(B60-T)となっている。一方、タイマ値が30秒の場合には、表1の排出間隔値Cから時間Tt30を差し引いた時間(B60-T-Tt30)となっている。そして、タイマ値が予め決められた所定の時間ta秒以上の場合には、排出トレイ65上の用紙Pや用紙P上のトナーが冷却されるのに十分な時間が経過したと判断し、排出間隔値Cは排出間隔値Aとしている。上述したように、印字率バッファに設定された印字率は60%だったので、印刷ジョブが終了してから30秒が経過していた場合には、表2より、排出間隔値Cは(B60-T-Tt30)となる。
【0098】
【表2】
【0099】
続いて、S921では、CPU205は、S920で算出した排出間隔値Cを排出間隔バッファに格納する(排出間隔バッファ=算出した排出間隔値C)。S922では、CPU205は、排出間隔バッファの値が排出間隔値Aと等しいかどうか判断する。CPU205は、排出間隔バッファの値が排出間隔値Aと等しいと判断した場合には処理をS923に進め、排出間隔バッファの値が排出間隔値Aと等しくないと判断した場合には処理を終了する。S923では、CPU205は、排出間隔バッファの値が排出間隔値Aと等しい場合には、排出トレイ65上の用紙Pや用紙P上のトナーが冷却するのに十分な時間が経過したと判断し、タイマを停止し、処理を終了する。なお、タイマを停止することで、再度片面印刷する場合には、用紙Pの排出間隔が排出間隔値Aになるように制御されるため、スループットが最大となる。
【0100】
そして、S910では、CPU205は、排出間隔バッファに設定された値(時間)を排出間隔(排出間隔時間)に設定する。これにより、間欠印刷においても直前の印刷ジョブが終了してからの経過時間に応じた排出間隔で用紙Pを排出することができ、排出紙貼り付き現象の発生を抑制することができる。
【0101】
[まとめ]
以上説明したように、本実施例では、先行する印刷ジョブが終了してから排出紙貼り付き現象が発生しない十分な時間が経過した後では、後続の印刷ジョブでの用紙Pの片面印刷では、スループットを最大にすることできる。また、排出トレイ65上の用紙の有無がわからない場合も、先行する印刷ジョブが終了してからの経過時間に応じて、排出間隔を決定することにより、排出紙貼り付き現象の発生を抑制することができる。そして、印刷ジョブの実行中においては、用紙の印刷面の印字率情報に基づいて、用紙の排出間隔を決定することで、生産性の低下を抑えながら、排出紙貼り付き現象の発生を抑制することができる。
【0102】
本実施例では、間欠印刷において、先行する印刷ジョブが終了してからの経過時間に応じて後続の印刷ジョブにおける用紙の排出間隔を短くしていく例について説明したが、本発明は本実施例の構成に限定されるものではない。例えば、後続の印刷ジョブにおいて、片面印刷が連続する場合には、片面印刷になってからの経過時間を計測し、経過時間に応じて用紙の排出間隔を短くしてもよい。また、経過時間ではなく、連続する片面印刷の枚数に応じて、用紙の排出間隔を短くしてもよい。最もシンプルな例としては、後続の印刷ジョブにおいて、片面印刷の1枚目は、用紙の排出間隔を排出間隔値Cに設定するが、2枚目以降の片面印刷の用紙の排出間隔を排出間隔値Aに設定する例が挙げられる。
【0103】
以上説明したように、本実施例によれば、排出トレイにおける排出紙貼り付き現象の発生を抑制することができる。
【実施例3】
【0104】
実施例1、2では、排出紙貼り付き現象を抑制する制御が行われている実施例について説明した。実施例3では、ユーザが排出紙貼り付き現象抑制制御が有効又は無効に設定可能なプリンタにおける制御について説明する。また、搬送中の用紙が搬送路上で止まってしまう、いわゆるジャムによって、プリンタが画像形成動作を緊急停止し、その後動作を再開させた場合の動作についても説明する。
【0105】
なお、本実施例のプリンタ1は、実施例2と同様に、排出用紙センサ216が装備されていないことを除いて実施例1の図1に示すプリンタ1と同様であり、同じ構成には同じ符号を用いることにより説明を省略する。また、本実施例のプリンタ1の制御系の構成についても、実施例1の図2に示すブロック図において、排出用紙センサ216を備えていないことを除き、同一構成である。
【0106】
[用紙の排出間隔制御]
本実施例では、1枚目の用紙Pには両面印刷、2枚目の用紙Pには片面印刷、そして3枚目の用紙Pには再び両面印刷を行う両面印刷・片面印刷が混在する印刷ジョブを用いて、用紙の排出間隔制御の方法について説明する。
【0107】
また、本実施例のプリンタ1は、各種情報が表示される表示部、データ投入や機能設定を行うためのキーパッドや操作ボタンが配置された操作部(不図示)を備えている。そして、ユーザは、操作部の操作ボタン操作により、上述した排出紙貼り付き現象抑制制御を有効又は無効にする設定を行うものとする。
【0108】
更に、エンジン制御部202のCPU205は、上述したジャムの発生を監視し、ジャムの発生を検知すると、RAM207にジャム発生を検知した情報を設定すると共に、実行中の画像形成動作を停止するものとする。なお、CPU205は、例えばトップセンサ215や排出センサ217からの検知結果に基づいて、所定時間を経過しても用紙Pの先端が検知されない、又は所定時間が経過しても用紙Pの後端が通過しない等によりジャムの発生を検知するものとする。
【0109】
本実施例における用紙Pの排出間隔制御は、実施例1の場合と同様に、ステップ1からステップ4までの4つのステップとなっているが、本実施例ではステップ1の「排出間隔設定」手順のみ、実施例1、2とは異なる制御シーケンスとなっている。他のステップ2の「給紙間隔算出」、ステップ3の「排出間隔制御」、ステップ4の「給紙制御」の処理について実施例1で説明した処理と同様であり、ここでの説明を省略する。
【0110】
図9(a)は、本実施例の「排出間隔設定」の制御シーケンスを示すフローチャートである。「排出間隔設定」の処理は、実施例1と同様に、ステップ4の「給紙制御」から起動され、CPU205により図9(a)に示す処理が実行される。また、図9(b)は、ジャム発生による異常停止処理の起動を監視する「異常停止監視」の制御シーケンスを示すフローチャートである。
【0111】
[異常停止監視]
本実施例では、プリンタ1の画像形成動作が開始されると、搬送路上に用紙Pが留まっている状態であるジャム発生の監視が行われる。そのため、画像形成動作が開始されると同時に、図9(b)に示す「異常停止監視」も起動され、CPU205により処理が実行される。
【0112】
S1120では、CPU205は、上述したRAM207を参照してジャムが発生したかどうか判断し、ジャムが発生していると判断した場合には処理をS1121に進め、ジャムが発生していないと判断した場合には処理をS1120に戻す。
【0113】
S1121では、CPU205は、異常発生フラグをセットして、処理を終了する。
【0114】
[ステップ1:「排出間隔設定」]
上述した本実施例の印刷ジョブを実行するために、実施例1の図5(a)の処理が起動され、1枚目の用紙Pの両面印刷が開始される。そして、図5(a)のS502(排出間隔設定)が実行されると、図9(a)の「排出間隔設定」処理が起動される。
【0115】
S1100では、CPU205は、プリンタ1が電源オンされてから1回目の実行かどうか判断し、1回目の実行であると判断した場合には処理をS1102に進め、2回目以降の実行の場合には処理をS1101に進める。S1101では、CPU205は、ジャムが発生し、ジャム対処後の最初の起動かどうかを判断するために、緊急停止発生フラグがセットされているかどうか判断する。CPU205は、緊急停止発生フラグがセットされていると判断した場合には処理をS1102に進め、緊急停止発生フラグがセットされていないと判断した場合には処理をS1103に進める。S1102では、CPU205は、排出間隔バッファに排出間隔値Aを設定し、緊急停止発生フラグをリセットする。なお、ここでは、ジャムが発生し、ジャム対処後の最初の起動の場合には、排出トレイ65上の用紙Pは除去されている、又は排出トレイ65に排出された用紙Pや用紙P上のトナーは十分冷却されているものとしている。そのため、S1102では、CPU205は、最短の排出間隔時間である排出間隔値Aを排出間隔バッファに設定している。
【0116】
続いて、S1103の処理について、上述した排出紙貼り付き現象抑制制御の有効・無効の設定状態に応じて説明する。S1103では、CPU205は、排出紙貼り付き現象抑制制御が有効かどうか判断し、排出紙貼り付き現象抑制制御が有効な場合には処理をS1104に進め、排出紙貼り付き現象抑制制御が有効でない(無効)の場合には処理をS1108に進める。
【0117】
(排出紙貼り付き現象抑制制御が有効の場合)
S1103の処理において、CPU205が排出紙貼り付き現象抑制制御が有効に設定されていると判断した場合には、以降の図9(a)の処理は、実施例1の図3の処理と同様である。すなわち、図9(a)のS1104、S1106、S1107、S1109~S1111の処理は、それぞれ実施例1の図3の示すS302、S304、S305、S306、S307、S310の処理と同様であり、ここでの説明は省略する。本実施例の印刷ジョブは、1枚目の用紙Pには両面印刷、2枚目の用紙Pには片面印刷、そして3枚目の用紙Pには再び両面印刷が行われる。そのため、最初の1枚目の用紙Pの両面印刷では、S1109の処理で、排出間隔バッファには排出間隔値Bが設定される。次に2枚目の用紙Pの片面印刷に切り替わると、S1110の処理で、排出間隔バッファには排出間隔値Cが設定され、片面印刷でも排出紙貼り付き現象の発生を抑制することができる。そして、3枚目の用紙Pで、再び両面印刷に切り替わると、S1109の処理で、排出間隔バッファには再度、排出間隔値Bが設定され、排出紙貼り付き現象の発生を抑制することができる。
【0118】
また、ジャムの発生により緊急停止処理が発生し、ジャム対処後の最初の起動時の印刷が片面印刷だった場合には、排出間隔は排出間隔値Aに設定される。上述したように、排出間隔を排出間隔値Aに設定すると、プリンタ1のスループットが最大となる。よって、緊急停止から復帰後の印刷が、片面印刷の場合にはスループットが最大となる。一方、緊急停止復帰後の印刷が両面印刷の場合には、排出間隔が排出間隔値Bに設定されるため(S1109)、排出紙貼り付き現象の発生を抑制することができる。
【0119】
(排出紙貼り付き現象抑制制御が無効の場合)
S1103でユーザが排出紙貼り付き現象抑制制御の有効無効指定を無効に指定していた場合には、CPU205は、S1108の処理に進む。S1108では、CPU205は、両面印刷の場合でも、片面印刷の場合でも、排出間隔バッファに排出間隔値Aを設定し、処理をS1111に進める。S1111では、CPU205は、排出間隔に排出間隔バッファに設定された排出間隔値Aを設定し、処理を終了する。
【0120】
排出間隔に排出間隔値Aを設定すると、実施例1の図6に示すステップ2の「給紙間隔算出」において給紙間隔が0に設定され(S606)、実施例1の図4に示すステップ3の「排出間隔制御」において、すぐに給紙許可が出力されることになる(S403)。これにより、スループットは最大になる一方、排出紙貼り付き現象の発生を抑制する制御は行われないため、排出紙貼り付き現象が発生する場合が生じる。
【0121】
[まとめ]
以上説明したように、ユーザが排出紙貼り付き現象抑制制御を有効に設定している場合には、排出紙貼り付き現象の発生を抑制することができ、無効に設定している場合には生産性を優先させた画像形成動作を行うことができる。また、ジャムによって画像形成動作の緊急停止が発生し、緊急停止から復帰した直後の片面印刷では、排出間隔を排出間隔値Aに設定することにより、スループットを最大にすることができることを説明した。本実施例では、緊急停止が発生した場合には、ユーザがジャム紙を除去すると共に、排出トレイ65上の用紙Pも除去するという想定のもとで、緊急停止復帰後の生産性を優先させた制御を行っている。
【0122】
なお、本発明は、上述した本実施例の構成に限定されるものではない。例えば、緊急停止復帰後の生産性よりも排出紙貼り付き現象の発生を抑制したい場合は、緊急停止が発生してからの経過時間を計測し、実施例2と同様に、その経過時間に応じて用紙Pの排出間隔を短くするようにしてもよい。また、緊急停止が発生してからの経過時間ではなく、緊急停止から復帰した後の用紙Pの印刷枚数に応じて、用紙Pの排出間隔を短くするようにしてもよい。
【0123】
また、本実施例では、プリンタ1の例としてモノクロプリンタについて説明したが、本発明はモノクロプリンタの構成に限定するものではない。カラー画像の画像形成を行うカラープリンタは、トナーの色が異なる複数のプロセスカートリッジを有し、各プロセスカートリッジで形成されたトナーの色が異なるトナー像が中間転写ベルト上に重畳して転写され、カラー画像が形成される。そして、中間転写ベルト上に形成されたカラー画像が、給紙トレイから給送された用紙Pに転写され、定着器により加圧・加熱されて、カラー画像が用紙Pに定着される。本実施例のプリンタ1の場合には、給紙間隔の制御が行われたが、カラープリンタの場合には、モノクロプリンタとは異なり、給紙間隔に余裕があるため、画像書き出し間隔を制御することで本実施例のように排出間隔を制御することができる。
【0124】
以上説明したように、本実施例によれば、排出トレイにおける排出紙貼り付き現象の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0125】
10 プロセスカートリッジ
63 両面搬送路
65 排出トレイ
81 給送ローラ
83 給紙トレイ
205 CPU
217 排出センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9