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特許7536560固体燃料搬送装置および固体燃料搬送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】固体燃料搬送装置および固体燃料搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/46 20060101AFI20240813BHJP
   B65G 45/22 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
B65G47/46 A
B65G45/22 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020148896
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2022043565
(43)【公開日】2022-03-16
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】川添 敦之
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-251809(JP,A)
【文献】実開平04-068018(JP,U)
【文献】特開2010-001141(JP,A)
【文献】特開平09-328219(JP,A)
【文献】特開2003-261213(JP,A)
【文献】米国特許第04149624(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/34 - 47/51
B65G 45/00 - 45/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送面に積載される固体燃料を搬送方向に沿って搬送する搬送ベルトと、
前記搬送方向の両端に配置されるとともに前記搬送方向に沿って前記固体燃料を搬送させる搬送力を前記搬送ベルトに付与する一対の回転体と、
前記搬送ベルトの上方に配置されるとともに前記搬送方向に沿って搬送される前記固体燃料を前記搬送方向に直交する幅方向に振り分けて前記搬送ベルトから落下させる振分部と、
前記搬送ベルトの下方に配置されるとともに前記振分部により振り分けられて前記搬送ベルトから落下する前記固体燃料を収容する第1収容部と、
前記回転体を通過した前記搬送ベルトの前記搬送面に洗浄液を噴射して前記搬送面を洗浄し、前記洗浄液を排出する洗浄部と、
前記搬送ベルトの前記搬送方向の下流側の端部から落下する前記固体燃料の全量を回収して前記洗浄部へ導く燃料回収部と、を備える固体燃料搬送装置。
【請求項2】
前記搬送ベルトの前記搬送方向の下流側の端部から落下する前記固体燃料を下方に導く燃料投下部と、
前記燃料投下部の下方に配置されるとともに前記燃料投下部から導かれる前記固体燃料を収容する第2収容部と、を備え、
前記燃料回収部は、前記燃料投下部に着脱可能に取り付けられるとともに前記搬送ベルトの前記搬送方向の下流側の端部から落下する前記固体燃料を前記洗浄部へ導く傾斜面が形成された燃料搬送部を有する請求項1に記載の固体燃料搬送装置。
【請求項3】
前記燃料回収部は、前記燃料投下部の一対の内壁に取り付けられるとともに前記内壁から突出して前記燃料搬送部を支持する一対の支持部材を有し、
前記燃料搬送部は、一対の前記支持部材に係止される一対の係止部材を有するとともに前記傾斜面を有する板状部材であり、一対の前記係止部材が一対の前記支持部材に係止される位置よりも前記傾斜面が下方の位置に配置されるように形成されている請求項2に記載の固体燃料搬送装置。
【請求項4】
前記燃料回収部は、前記傾斜面に積載される前記固体燃料を前記洗浄部へ向けて搬送するための液体を吐出する吐出部を有する請求項3に記載の固体燃料搬送装置。
【請求項5】
前記洗浄部から排出される前記洗浄液から前記固体燃料を分離する分離設備を備える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の固体燃料搬送装置。
【請求項6】
固体燃料搬送装置により固体燃料を搬送する固体燃料搬送方法であって、
搬送面に積載される前記固体燃料を搬送方向に沿って搬送する搬送ベルトに対して前記搬送方向の端部に配置される回転体により搬送力を付与し、前記搬送方向に沿って前記固体燃料を搬送させる搬送工程と、
前記搬送ベルトの上方に配置される振分部により前記搬送方向に沿って搬送される前記固体燃料を前記搬送方向に直交する幅方向に振り分けて前記搬送ベルトから落下させる振分工程と、
前記振分工程により振り分けられて前記搬送ベルトから落下する前記固体燃料を第1収容部に収容する収容工程と、
前記回転体を通過した前記搬送ベルトの前記搬送面に洗浄液を噴射して前記搬送面を洗浄し、前記洗浄液を排出部から排出する洗浄工程と、
前記搬送ベルトの前記搬送方向の下流側の端部から落下する前記固体燃料の全量を回収して前記排出部へ導く燃料回収工程と、を備える固体燃料搬送方法。
【請求項7】
前記固体燃料搬送装置は、
前記搬送面に前記洗浄液を噴射して前記搬送面を洗浄する洗浄部と、
前記搬送ベルトの前記搬送方向の下流側の端部から落下する前記固体燃料を回収して前記洗浄部へ導く燃料回収部と、
前記搬送ベルトの前記搬送方向の下流側の端部から落下する前記固体燃料を下方に導く燃料投下部と、
前記燃料投下部の下方に配置されるとともに前記燃料投下部から導かれる前記固体燃料を収容する第2収容部と、を有し、
前記燃料回収部は、前記燃料投下部に着脱可能に取り付けられるとともに前記搬送ベルトの前記搬送方向の下流側の端部から落下する前記固体燃料を前記洗浄部へ導く傾斜面が形成された燃料搬送部を有し、
前記燃料回収工程は、前記搬送ベルトの前記搬送方向の下流側の端部から落下する前記固体燃料を前記燃料搬送部により回収して前記排出部へ導く請求項6に記載の固体燃料搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体燃料を搬送する固体燃料搬送装置および固体燃料搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、火力発電プラントにおいて、燃料となる石炭やバイオマス燃料等の固体燃料は、バンカやサイロ等にて一時的に貯留され、プラントの負荷に応じてボイラへ必要量が供給されている。固体燃料の貯留にあたり、固体燃料をコンベヤベルトにより搬送し、スクレーパにより固体燃料をコンベヤベルトの側方に振り分け、固体燃料をコンベヤベルトの下方に配置される石炭バンカへ投入する石炭供給システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示される石炭供給システムは、スクレーパを通過して下流側に繰り越される石炭が最下流の石炭バンカに対して全て送られることを避けることを目的としたシステムである。特許文献1に開示される石炭供給システム、繰り越しを発生させた1段目のスクレーパの下流に配置された2段目のスクレーパを作動させることで、1段目のスクレーパで繰り越された石炭が最下流の石炭バンカに対して全て送られることを避けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-251809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される石炭供給システムにおいては、1段目および2段目のスクレーパでは、スクレーパとコンベヤベルトとの隙間を通過する少量の石炭が、コンベヤベルトから振り分けられずに最下流の石炭バンカに対して供給される状態となる。そのため、最下流の石炭バンカや、最下流の石炭バンカから石炭が供給される粉砕機等を点検等する際に、コンベヤベルトを動作させた状態を維持すると、点検等の作業における作業環境の経時的な悪化により、作業員の作業効率及び安全性が低下してしまう。一方、コンベヤベルトを停止させた状態にする場合、火力発電プラントの稼働率が低下してしまう。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、搬送ベルトの最下流まで搬送される固体燃料を適切に処理し、固体燃料の搬送を維持し続けることによる作業員の作業効率及び安全性の低下や、固体燃料の搬送を停止させることによる稼働率の低下を抑制することが可能な固体燃料搬送装置および固体燃料搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る固体燃料搬送装置は、搬送面に積載される固体燃料を搬送方向に沿って搬送する搬送ベルトと、前記搬送方向の両端に配置されるとともに前記搬送方向に沿って前記固体燃料を搬送させる搬送力を前記搬送ベルトに付与する一対の回転体と、前記搬送ベルトの上方に配置されるとともに前記搬送方向に沿って搬送される前記固体燃料を前記搬送方向に直交する幅方向に振り分けて前記搬送ベルトから落下させる振分部と、前記搬送ベルトの下方に配置されるとともに前記振分部により振り分けられて前記搬送ベルトから落下する前記固体燃料を収容する第1収容部と、前記回転体を通過した前記搬送ベルトの前記搬送面に洗浄液を噴射して前記搬送面を洗浄し、前記洗浄液を排出する洗浄部と、前記搬送ベルトの前記搬送方向の下流側の端部から落下する前記固体燃料の全量を回収して前記洗浄部へ導く燃料回収部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る固体燃料搬送方法は、固体燃料搬送装置により固体燃料を搬送する方法であって、搬送面に積載される前記固体燃料を搬送方向に沿って搬送する搬送ベルトに対して前記搬送方向の端部に配置される回転体により搬送力を付与し、前記搬送方向に沿って前記固体燃料を搬送させる搬送工程と、前記搬送ベルトの上方に配置される振分部により前記搬送方向に沿って搬送される前記固体燃料を前記搬送方向に直交する幅方向に振り分けて前記搬送ベルトから落下させる振分工程と、前記振分工程により振り分けられて前記搬送ベルトから落下する前記固体燃料を第1収容部に収容する収容工程と、前記回転体を通過した前記搬送ベルトの前記搬送面に洗浄液を噴射して前記搬送面を洗浄し、前記洗浄液を排出部から排出する洗浄工程と、前記搬送ベルトの前記搬送方向の下流側の端部から落下する前記固体燃料の全量を回収して前記排出部へ導く燃料回収工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、搬送ベルトの最下流まで搬送される固体燃料を適切に処理し、固体燃料の搬送を維持し続けることによる作業員の作業効率及び安全性の低下や、固体燃料の搬送を停止させることによる稼働率の低下を抑制することが可能な固体燃料搬送装置および固体燃料搬送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第1実施形態に係る固体燃料搬送装置を示す部分断面図である。
図2図1に示す固体燃料搬送装置を上方からみた平面図である。
図3図1に示す固体燃料搬送装置のA部分の部分拡大図である。
図4図3に示す固体燃料搬送装置のB-B矢視断面図である。
図5】燃料回収部を取り外した固体燃料搬送装置を示す部分断面図である。
図6】固体燃料を分離する分離設備を示す系統図である。
図7】本開示の第1実施形態に係る固体燃料搬送方法を示すフローチャートである。
図8】本開示の第2実施形態に係る固体燃料搬送装置を示す部分断面図である。
図9図8に示す固体燃料搬送装置のC部分の部分拡大図である。
図10図9に示す固体燃料搬送装置のD-D矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態に係る固体燃料搬送装置100および固体燃料搬送装置100を用いた固体燃料搬送方法について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る固体燃料搬送装置100を示す部分断面図である。図2は、図1に示す固体燃料搬送装置100を上方からみた平面図である。図3は、図1に示す固体燃料搬送装置100のA部分の部分拡大図である。図4は、図3に示す固体燃料搬送装置100のB-B矢視断面図である。図5は、燃料回収部80を取り外した固体燃料搬送装置100を示す部分断面図である。
【0012】
以降の説明では、上方とは鉛直上側の方向を、上部や上面などの「上」とは鉛直上側の部分を示している。また同様に「下」とは鉛直下側の部分を示すものであり、鉛直方向は厳密ではなく誤差を含むものである。
【0013】
本実施形態の固体燃料搬送装置100は、燃料貯蔵場(図示略)から供給される石炭やバイオマス燃料等の固体燃料SFを搬送して燃料バンカ40へ投下する装置である。燃料バンカ40へ投下された固体燃料SFは、固体燃料SFを粉砕して微粉燃料を生成する粉砕機(図示略)に供給される。粉砕機により生成された微粉燃料は、発電プラントのボイラへ供給されて燃料として利用される。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の固体燃料搬送装置100は、コンベヤベルト(搬送ベルト)10と、ヘッドプーリ(搬送方向下流側の回転体)21と、テールプーリ(搬送方向上流側の回転体)22と、スクレーパ(振分部)30と、切替機構35と、燃料バンカ(第1収容部)40と、燃料バンカ(第2収容部)50と、洗浄部60と、ヘッドシュート(燃料投下部)70と、燃料回収部80とを備える。
【0015】
コンベヤベルト10は、搬送面11に積載される固体燃料SFを搬送方向TD(例えば水平方向)に沿って搬送する帯状のベルトである。コンベヤベルト10は、搬送方向TDの両端に配置されるヘッドプーリ21およびテールプーリ22に掛けまわされている。コンベヤベルト10は、例えば、天然ゴムや合成ゴムにより形成されている。
【0016】
ヘッドプーリ21およびテールプーリ22は、搬送方向TDの両端に配置されており、搬送方向TDに沿ってコンベヤベルト10を搬送させる搬送力をコンベヤベルト10に付与する。図1では、搬送方向TDの下流側に配置されるヘッドプーリ21は、駆動モータ(図示略)により駆動軸21aを中心に回転する駆動力が付与され、コンベヤベルト10を搬送方向TDに沿って移動させる。
【0017】
スクレーパ30は、コンベヤベルト10の上方に配置されるとともに搬送方向TDに沿って搬送される固体燃料SFを搬送方向TDに直交する幅方向WDに振り分けてコンベヤベルト10から落下させる装置である。図1に示すように、スクレーパ30は、搬送方向TDに直交する高さ方向に所定の高さH1を有する。高さH1は、振り分けされる際の固体燃料SFの滞留による迫り上がりで固体燃料SFが容易にスクレーパ30を乗り越えられないように設定されている。
【0018】
図2に示すように、スクレーパ30は、搬送方向TDに直交する幅方向WDに所定の幅W1を有する。幅W1は、搬送方向TDの上流側から下流側に向けて漸次増大し、下流側の終端においてコンベヤベルト10の幅と同等以上となるように設定されている。したがって、スクレーパ30は、コンベヤベルト10により搬送方向TDに沿って搬送される固体燃料SFを幅方向WDに沿ってコンベヤベルト10の側方へ振り分けてコンベヤベルト10から落下させる。
【0019】
図1および図2に示すように、スクレーパ30は、搬送方向TDの上流側から下流側に向けて、スクレーパ30A,スクレーパ30B,スクレーパ30C,スクレーパ30Dの順に4箇所に配置されている。各スクレーパ30は、燃料バンカ40に対応する数だけ配置されている。
【0020】
切替機構35は、コンベヤベルト10により搬送される固体燃料SFがスクレーパ30により振り分けられる振分状態と、コンベヤベルト10により搬送される固体燃料SFがスクレーパ30により振り分けられずに搬送方向TDへ移動する搬送状態とを切り替える機構である。切替機構35は、コンベヤベルト10を下方から上方へ向けて押し上げて搬送面11をスクレーパ30に近接させることにより、固体燃料SFがスクレーパ30により振り分けられる振分状態とする。
【0021】
なお、切替機構35は、振分状態とする場合に、コンベヤベルト10の搬送面11をスクレーパ30に近接させるが、接触によるコンベヤベルト10及びスクレーパ30の摩耗や損傷を防止し、摩擦による駆動モータの消費動力の増加を抑制するために、搬送面11とスクレーパ30との間には微小な隙間が形成される。そのため、搬送面11とスクレーパ30との間に形成される隙間よりも小径の固体燃料SFは、スクレーパ30により振り分けられずに搬送方向TDの下流側に搬送される。
【0022】
図1に示すように、切替機構35は、搬送方向TDの上流側から下流側に向けて、切替機構35A,切替機構35B,切替機構35C,切替機構35Dの順に4箇所に配置されている。各切替機構35は、スクレーパ30に対応する数だけ配置されている。
【0023】
切替機構35Aは、図1に実線で示す位置に配置される場合には、固体燃料SFをスクレーパ30Aにより振り分けずに搬送方向TDの下流側へ搬送する。一方、切替機構35Aは、図1に破線で示す位置に配置される場合には、固体燃料SFをスクレーパ30Aにより振り分けて燃料バンカ40Aに向けて落下させる。
【0024】
切替機構35B,切替機構35C,切替機構35Dのそれぞれは、切替機構35Aと同様の機能を有する。図1に示す例では、切替機構35B,切替機構35Dが実線で示す位置に配置され、固体燃料SFをスクレーパ30により振り分けずに搬送方向TDの下流側へ搬送する。一方、切替機構35Cは、実線で示す位置に配置され、固体燃料SFをスクレーパ30Cにより振り分けて燃料バンカ40Cに向けて落下させる。
【0025】
図5に示すように、切替機構35A,切替機構35B,切替機構35C,切替機構35Dの全てがスクレーパ30から離間して搬送状態となる場合には、コンベヤベルト10により搬送される固体燃料SFの全てがコンベヤベルト10の搬送方向TDの下流側の端部からヘッドシュート70を介して燃料バンカ50へ投下される。コンベヤベルト10により搬送される固体燃料SFの全てを燃料バンカ50へ投下する場合、燃料回収部80はヘッドシュート70から取り外しておくものとする。
【0026】
燃料バンカ40は、コンベヤベルト10の下方に配置されるとともにスクレーパ30により振り分けられてコンベヤベルト10から落下する固体燃料SFを収容する。燃料バンカ40に収容された固体燃料SFは、供給機構(図示略)を用いて、固体燃料SFを粉砕して微粉燃料を生成する粉砕機(図示略)に供給される。図1に示すように、燃料バンカ40Aがスクレーパ30Aの下方に配置され、燃料バンカ40Bがスクレーパ30Bの下方に配置され、燃料バンカ40Cがスクレーパ30Cの下方に配置され、燃料バンカ40Dがスクレーパ30Dの下方に配置される。
【0027】
燃料バンカ50は、燃料回収部80が取り外された状態(図5に示す状態)で、コンベヤベルト10の搬送方向TDの下流側端部から落下してヘッドシュート70により導かれる固体燃料SFを収容する。燃料バンカ50に収容された固体燃料SFは、供給機構(図示略)を用いて、固体燃料SFを粉砕して微粉燃料を生成する粉砕機(図示略)に供給される。
【0028】
洗浄部60は、ヘッドプーリ21を通過したコンベヤベルト10の搬送面11に洗浄液CS(例えば、水)を噴射して搬送面11を洗浄する装置である。図3に示すように、洗浄部60は、複数の噴射部61と、ケーシング62と、排出部63とを有する。洗浄部60は、複数の噴射部61から搬送面11へ向けて洗浄液CSを噴射して、搬送面11に付着した固体燃料SFの残留分を除去する。搬送面11を洗浄した洗浄液CSは、ケーシング62に収容され、ケーシング62の下方に設けられた排出部63を介して、後述する分離設備90へ導かれる。
【0029】
ヘッドシュート70は、コンベヤベルト10の搬送方向TDの下流側の端部から落下する固体燃料SFを下方へ導く筐体である。図5に示すように、ヘッドシュート70から燃料回収部80が取り外される場合、ヘッドシュート70は、固体燃料SFを燃料バンカ50へ導く。
【0030】
燃料回収部80は、ヘッドプーリ21を通過するコンベヤベルト10から落下する固体燃料SFを回収して洗浄部60へ導く装置である。本実施形態の燃料回収部80は、ヘッドシュート70に対して着脱可能に取り付けられる。図3および図4に示すように、燃料回収部80は、傾斜板(燃料搬送部)81と、支持部材82と、支持部材83と、吐出部84とを有する。
【0031】
図3および図4に示すように、傾斜板81は、コンベヤベルト10の搬送方向TDの下流側の端部から落下する固体燃料SFを洗浄部60の排出部63へ導く板状部材である。傾斜板81は、固体燃料SFを洗浄部60の排出部63へ導く傾斜面81aを有する。図3に示すように、傾斜面81aは、ヘッドシュート70から洗浄部60に向けて固体燃料SFが導かれるように下方へ傾斜している。
【0032】
支持部材82は、ヘッドシュート70が有するとともに鉛直方向に延びる内壁71に取り付けられる部材である。支持部材83は、ヘッドシュート70が有するとともに鉛直方向に延びる内壁72に取り付けられる部材である。内壁71および内壁72は、対向して配置される一対の壁部である。支持部材82および支持部材83は、例えば、締結ボルト(図示略)により、内壁71および内壁72に取り付けられる。
【0033】
図4に示すように、支持部材82は内壁71から突出するように形成される断面視がL字型の部材であり、支持部材83は内壁72から突出するように形成される断面視がL字型の部材である。支持部材82および支持部材83は、傾斜板81の幅方向WDの両端を支持する部材である。
【0034】
傾斜板81は、支持部材82に係止される係止部材81bと、支持部材83に係止される係止部材81cとを有する。図4に示すように、鉛直方向に延びる軸線Zにおいて、一対の係止部材81b,81cが一対の支持部材82,83に係止される位置Z1よりも、傾斜面81aが下方の位置Z2に配置されるように形成されている。すなわち、傾斜板81は、一対の支持部材82,83に対して下側に凹ませた形状を有する。
【0035】
図4に示すように、傾斜板81の一対の係止部材81b,81cは、下方に配置される一対の支持部材82,83に係止される。そのため、傾斜板81は、傾斜板81と一対の支持部材82,83とを締結するための部材を用いることなく、ヘッドシュート70に取り付けられる。傾斜板81と一対の支持部材82,83とが締結されていないため、傾斜板81をヘッドシュート70に容易に取り付け、傾斜板81をヘッドシュート70から容易に取り外すことができる。
【0036】
固体燃料搬送装置100を操作する操作者は、例えば、燃料バンカ50の内部を点検する点検作業を実施する場合には、ヘッドシュート70に傾斜板81を取り付ける。これにより、燃料バンカ50の内部を点検する点検作業中にコンベヤベルト10による固体燃料SFの搬送を行っても、固体燃料SFが燃料バンカ50へ供給されることがない。コンベヤベルト10から落下する固体燃料SFは、燃料回収部80の傾斜板81により洗浄部60の排出部63に導かれる。
【0037】
吐出部84は、傾斜面81aに積載される固体燃料SFを洗浄部60へ向けて搬送するための液体LQ(例えば、水)を吐出する装置である。吐出部84は、傾斜面81aに沿って固体燃料SFが洗浄部60の排出部63へ導かれるように傾斜面81aに沿った方向に液体LQを吐出する。
【0038】
次に、本実施形態の固体燃料搬送装置100が備える分離設備90について説明する。図6は、固体燃料を分離する分離設備90を示す系統図である。分離設備90は、洗浄部60の排出部から排出される洗浄液CSから固体燃料SFを分離する設備である。図6に示すように、分離設備90は、洗浄処理水槽91と、洗浄水供給ポンプ92と、排水ピット93と、排水ポンプ94と、凝集槽95と、沈殿槽96と、スラリ移送ポンプ97とを有する。
【0039】
分離設備90は、洗浄処理水槽91に貯蔵される洗浄液CSを洗浄水供給ポンプ92により洗浄部60へ供給する。洗浄部60でコンベヤベルト10を洗浄して固体燃料SFを含んだ洗浄液CSは、排水ピット93に導かれる。排水ピット93に溜められた固体燃料SFを含む洗浄液CSは、排水ポンプ94により凝集槽95へ供給される。
【0040】
凝集槽95には、固体燃料SFを凝集させる薬液が貯蔵されている。凝集槽95へ供給された洗浄液CSに含まれる固体燃料SFが凝集し、凝集した固体燃料SFを含む洗浄液CSが沈殿槽96に供給される。沈殿槽96は、洗浄液CSに含まれる固体燃料SFを下方に沈殿させる。沈殿槽96の下方に沈殿してスラリ化した固体燃料SFは、スラリ移送ポンプ97により移送される。
【0041】
スラリ移送ポンプ97により移送される固体燃料SFは、例えば、コンベヤベルト10へ固体燃料SFを供給する設備(図示略)に移送される。このように、本実施形態の分離設備90は、洗浄液CSに含まれる固体燃料SFを適切に回収し、再び固体燃料搬送装置100へ供給することができる。また、固体燃料SFと分離された洗浄液CSは、沈殿槽96から洗浄処理水槽91へ供給された後、再び洗浄処理水槽91から洗浄部60へ供給される。
【0042】
次に、本実施形態の固体燃料搬送装置100を用いた固体燃料搬送方法について説明する。図7は、本実施形態に係る固体燃料搬送方法を示すフローチャートである。
ステップS101(搬送工程)において、コンベヤベルト10に対して搬送方向TDの端部に配置されるヘッドプーリ21により搬送力を付与し、搬送方向TDに沿ってコンベヤベルト10で固体燃料SFを搬送させる。
【0043】
ステップS102(振分工程)において、切替機構35でコンベヤベルト10を上昇させ、コンベヤベルト10の上方に配置されるスクレーパ30に近接させる。搬送方向TDに沿ってコンベヤベルト10で搬送される固体燃料SFを、スクレーパ30で搬送方向TDに直交する幅方向WDに振り分けてコンベヤベルト10から落下させる。
【0044】
ステップS103(収容工程)において、振分工程(S102)により振り分けられてコンベヤベルト10から落下する固体燃料SFを燃料バンカ40に収容する。
【0045】
ステップS104(洗浄工程)において、噴射部61によりヘッドプーリ21を通過したコンベヤベルト10の搬送面11へ洗浄液CSを噴射して搬送面11を洗浄し、洗浄液CSを洗浄部60の排出部63から排出する。
【0046】
ステップS105(燃料回収工程)において、ヘッドプーリ21を通過するコンベヤベルト10から落下する固体燃料SFを回収して排出部63へ導く。以上のフローが連続的に実行されることによって、本実施形態の固体燃料搬送方法が実行される。
【0047】
以上説明した本実施形態の固体燃料搬送装置100が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態の固体燃料搬送装置100によれば、ヘッドプーリ21およびテールプーリ22により搬送力を付与されるコンベヤベルト10の搬送面11に積載される固体燃料SFは、搬送方向TDに沿って搬送され、スクレーパ30により幅方向WDに振り分けられる。スクレーパ30により振り分けられた固体燃料SFは、コンベヤベルト10から落下してコンベヤベルト10の下方に配置される燃料バンカ40に収容される。スクレーパ30により振り分けられずにスクレーパ30とコンベヤベルト10との隙間を通過する少量の固体燃料SFは、コンベヤベルト10の最下流まで搬送される。
【0048】
コンベヤベルト10の最下流まで搬送された固体燃料SFは、コンベヤベルト10の下方に落下して燃料回収部80に回収され、ヘッドプーリ21を通過したコンベヤベルト10の搬送面11に洗浄液CSを噴射する洗浄部60へ導かれる。燃料回収部80から洗浄部60へ導かれた固体燃料SFは、搬送面11を洗浄した洗浄液CSとともに洗浄部60の排出部63から排出される。
【0049】
このように、本実施形態の固体燃料搬送装置100によれば、コンベヤベルト10による固体燃料SFの搬送を維持しながら、コンベヤベルト10の最下流まで搬送される固体燃料SFを洗浄部60へ導いて適切に処理することができる。そのため、固体燃料SFの搬送を維持し続けることによる作業員の作業効率及び安全性の低下や、固体燃料SFの搬送を停止させることによる稼働効率の低下を抑制することができる。
【0050】
本実施形態の固体燃料搬送装置100によれば、燃料バンカ50を点検等する場合には、傾斜板81を燃料回収部80に取り付けることで、傾斜面81aに沿って、コンベヤベルト10の搬送方向TDの下流側の端部から落下する固体燃料SFを洗浄部60へ導くことができる。また、燃料バンカ50を点検等せずに使用する場合には、傾斜板81を燃料回収部80から取り外すことで、コンベヤベルト10の搬送方向TDの下流側の端部から落下する固体燃料SFをヘッドシュート70により下方へ導いて燃料バンカ50に収容することができる。
【0051】
本実施形態の固体燃料搬送装置100によれば、ヘッドシュート70の一対の内壁71,72に取り付けられる一対の支持部材82,83に傾斜板81が有する一対の係止部材81b,81cを係止させることで、傾斜板81を燃料回収部80に取り付けることができる。また、傾斜板81が有する傾斜面81aが、一対の係止部材81b,81cが一対の支持部材82,83に係止される位置Z1よりも下方の位置Z2に配置される。そのため、固体燃料SFを洗浄部60へ導く際に一対の係止部材81b,81cと一対の支持部材82,83との間に固体燃料SFが侵入することが抑制される。
【0052】
本実施形態の固体燃料搬送装置100によれば、吐出部84から液体を吐出することにより、傾斜面81aに積載される固体燃料SFを液体とともに洗浄部60へ導くことができる。また、傾斜板81に形成される傾斜面81aが、一対の係止部材81b,81cが一対の支持部材82,83に係止される位置Z1よりも下方の位置Z2に配置される。そのため、吐出部84から吐出された液体が一対の係止部材81b,81cと一対の支持部材82,83との間に侵入し、燃料バンカ50へ導かれることが抑制される。
【0053】
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態に係る固体燃料搬送装置100Aについて説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0054】
第1実施形態の固体燃料搬送装置100は、コンベヤベルト10の搬送方向TDの端部から落下する固体燃料SFを収容する燃料バンカ50を有し、燃料回収部80の傾斜板81をヘッドシュート70に対して着脱可能に取り付けるものであった。それに対して、本実施形態の固体燃料搬送装置100Aは、コンベヤベルト10の搬送方向TDの端部から落下する固体燃料SFを収容する燃料バンカ50を有しない。また、本実施形態の固体燃料搬送装置100Aは、燃料回収部80の傾斜板81Aをヘッドシュート70Aに対して着脱不能とし、傾斜板81Aをヘッドシュート70と一体に形成したものである。
【0055】
図8は、本実施形態に係る固体燃料搬送装置100Aを示す部分断面図である。図9は、図8に示す固体燃料搬送装置100AのC部分の部分拡大図である。図10は、図9に示す固体燃料搬送装置100AのD-D矢視断面図である。
【0056】
図8に示すように、本実施形態の固体燃料搬送装置100Aは、コンベヤベルト10の搬送方向TDの端部から落下する固体燃料SFを収容する燃料バンカ50を有しない。また、図9および図10に示すように、本実施形態の固体燃料搬送装置100Aは、傾斜板81Aをヘッドシュート70Aと一体に形成している。
【0057】
本実施形態のヘッドシュート70Aは、燃料バンカ50へ固体燃料SFを導くものではない点で、第1実施形態のヘッドシュート70と相違している。また、本実施形態のヘッドシュート70Aは、傾斜板81Aと一体に形成されている点で、第1実施形態のヘッドシュート70と相違している。
【0058】
また、本実施形態の燃料回収部80Aは、傾斜板81Aがヘッドシュート70Aに対して着脱可能ではなく、ヘッドシュート70Aと一体に形成されている点で、第1実施形態の燃料回収部80と相違している。
【0059】
本実施形態は、例えば、コンベヤベルト10の搬送方向TDに沿った長さを長くし、搬送方向TDの下流側へ固体燃料搬送装置100Aを延伸させる工事を行う場合に有効である。固体燃料搬送装置100Aを延伸させる工事を行う場合、ヘッドプーリ21の位置は図8に示す位置よりも搬送方向TDの更に下流側に配置されることになる。すなわち、図8に示す公示前のヘッドプーリ21の位置は、工事が完了した場合にヘッドプーリ21が配置される位置ではなく、搬送方向TDの下流側端部の位置でもない。
【0060】
本実施形態は、固体燃料搬送装置100Aを延伸させる工事が完了する前の暫定的な状態として、図8に示す位置にヘッドプーリ21を配置し、コンベヤベルト10の搬送方向TDの端部から落下する固体燃料SFを収容する燃料バンカ50は設けないこととした。また、図8に示す位置にヘッドプーリ21を配置すると、コンベヤベルト10の搬送方向TDの端部の下方に燃料バンカ50が存在しない。搬送方向TDの端部から落下する固体燃料SFを常に回収する必要があるため、固体燃料SFを洗浄部60へ導く傾斜板81Aをヘッドシュート70Aと一体に形成することとした。
【0061】
本実施形態によれば、固体燃料搬送装置100Aを延伸させる工事が完了する前の暫定的な状態であっても、コンベヤベルト10の搬送方向TDの端部から落下する固体燃料SFを洗浄部60へ導いて回収することが可能である。また、固体燃料搬送装置100Aを延伸させる工事を行う際に、図8に示すコンベヤベルト10の搬送方向TDの端部の位置にスクレーパ30や切替機構35を設置する必要がないため、工事の施工工数を少なくすることができる。
【0062】
以上説明した本実施形態に記載の固体燃料搬送装置は、例えば以下のように把握される。
本開示に係る固体燃料搬送装置(100)は、搬送面(11)に積載される固体燃料を搬送方向(TD)に沿って搬送する搬送ベルト(10)と、前記搬送方向の両端に配置されるとともに前記搬送方向に沿って前記固体燃料を搬送させる搬送力を前記搬送ベルトに付与する一対の回転体(21,22)と、前記搬送ベルトの上方に配置されるとともに前記搬送方向に沿って搬送される前記固体燃料を前記搬送方向に直交する幅方向(WD)に振り分けて前記搬送ベルトから落下させる振分部(30)と、前記搬送ベルトの下方に配置されるとともに前記振分部により振り分けられて前記搬送ベルトから落下する前記固体燃料を収容する第1収容部(40)と、前記回転体を通過した前記搬送ベルトの前記搬送面に洗浄液を噴射して前記搬送面を洗浄し、前記洗浄液を排出する洗浄部(60)と、前記搬送ベルトの前記搬送方向の下流側の端部から落下する前記固体燃料を回収して前記洗浄部へ導く燃料回収部(80)と、を備える。
【0063】
本開示に係る固体燃料搬送装置によれば、一対の回転体により搬送力を付与される搬送ベルトの搬送面に積載される固体燃料は、搬送方向に沿って搬送され、振分部により幅方向に振り分けられる。振分部により振り分けられた固体燃料は、搬送ベルトから落下して搬送ベルトの下方に配置される第1収容部に収容される。振分部により振り分けられずに振分部と搬送ベルトとの隙間を通過する少量の固体燃料は、搬送ベルトの最下流まで搬送される。
【0064】
搬送ベルトの最下流まで搬送された固体燃料は、搬送ベルトの下方に落下して燃料回収部に回収され、回転体を通過した搬送ベルトの搬送面に洗浄液を噴射する洗浄部へ導かれる。燃料回収部から洗浄部へ導かれた固体燃料は、搬送面を洗浄した洗浄液とともに排出される。
【0065】
このように、本開示に係る固体燃料搬送装置によれば、搬送ベルトによる固体燃料の搬送を維持しながら、搬送ベルトの最下流まで搬送される固体燃料を洗浄部へ導いて適切に処理することができる。そのため、固体燃料の搬送を維持し続けることによる作業員の作業効率及び安全性の低下や、固体燃料の搬送を停止させることによる稼働率の低下を抑制することができる。
【0066】
本開示に係る固体燃料搬送装置においては、前記搬送ベルトの前記搬送方向の下流側の端部から落下する前記固体燃料を下方に導く燃料投下部(70)と、前記燃料投下部の下方に配置されるとともに前記燃料投下部から導かれる前記固体燃料を収容する第2収容部(50)と、を備え、前記燃料回収部は、前記燃料投下部に着脱可能に取り付けられるとともに前記搬送ベルトの前記搬送方向の下流側の端部から落下する前記固体燃料を前記洗浄部へ導く傾斜面(81a)が形成された燃料搬送部(81)を有する構成としてもよい。
【0067】
本構成の固体燃料搬送装置によれば、第2収容部を点検等する場合には、燃料搬送部を燃料回収部に取り付けることで、傾斜面に沿って、搬送ベルトの搬送方向の下流側の端部から落下する固体燃料を洗浄部へ導くことができる。また、第2収容部を点検等せずに使用する場合には、燃料搬送部を燃料回収部から取り外すことで、搬送ベルトの搬送方向の下流側の端部から落下する固体燃料を燃料投下部により下方へ導いて第2収容部に収容することができる。
【0068】
上記構成の固体燃料搬送装置において、前記燃料回収部は、前記燃料投下部の一対の内壁(71,72)に取り付けられるとともに前記内壁から突出して前記燃料搬送部を支持する一対の支持部材(82,83)を有し、前記燃料搬送部は、一対の前記支持部材に係止される一対の係止部材(81b,81c)を有するとともに前記傾斜面を有する板状部材であり、一対の前記係止部材が一対の前記支持部材に係止される位置よりも前記傾斜面が下方に配置されるように形成されている構成としてもよい。
【0069】
本構成の固体燃料搬送装置によれば、燃料投下部の一対の内壁に取り付けられる一対の支持部材に燃料搬送部が有する一対の係止部材を係止させることで、燃料搬送部を燃料回収部に取り付けることができる。また、傾斜板が有する傾斜面が、一対の係止部材が一対の支持部材に係止される位置よりも下方に配置される。そのため、一対の係止部材と一対の支持部材との間に固体燃料が侵入することが抑制される。
【0070】
上記構成の固体燃料搬送装置において、前記燃料回収部は、前記傾斜面に積載される前記固体燃料を前記洗浄部へ向けて搬送するための液体を吐出する吐出部(84)を有する構成としてもよい。
本構成の固体燃料搬送装置によれば、吐出部から液体を吐出することにより、傾斜面に積載される固体燃料を液体とともに洗浄部へ導くことができる。また、傾斜板に形成される傾斜面が、一対の係止部材が一対の支持部材に係止される位置よりも下方の位置に配置される。そのため、吐出部から吐出された液体が一対の係止部材と一対の支持部材との間に侵入し、第2収容部へ導かれることが抑制される。
【0071】
本開示に係る固体燃料搬送装置においては、前記洗浄部から排出される前記洗浄液から前記固体燃料を分離する分離設備を備える構成としてもよい。
本構成の固体燃料搬送装置によれば、洗浄液から固体燃料を分離する分離設備を備えるため、第1収容部へ収容されなかった固体燃料を廃棄せずに有効に利用することができる。
【0072】
以上説明した実施形態に記載の固体燃料搬送方法は、例えば以下のように把握される。
本開示に係る固体燃料搬送方法は、固体燃料搬送装置により固体燃料を搬送する方法であって、搬送面に積載される前記固体燃料を搬送方向に沿って搬送する搬送ベルトに対して前記搬送方向の端部に配置される回転体により搬送力を付与し、前記搬送方向に沿って前記固体燃料を搬送させる搬送工程(S101)と、前記搬送ベルトの上方に配置される振分部により前記搬送方向に沿って搬送される前記固体燃料を前記搬送方向に直交する幅方向に振り分けて前記搬送ベルトから落下させる振分工程(S102)と、前記振分工程により振り分けられて前記搬送ベルトから落下する前記固体燃料を第1収容部に収容する収容工程(S103)と、前記回転体を通過した前記搬送ベルトの前記搬送面に洗浄液を噴射して前記搬送面を洗浄し、前記洗浄液を排出部から排出する洗浄工程(S104)と、前記搬送ベルトの前記搬送方向の下流側の端部から落下する前記固体燃料を回収して前記排出部へ導く燃料回収工程(S105)と、を備える。
【0073】
本開示に係る固体燃料搬送方法によれば、一対の回転体により搬送力を付与される搬送ベルトの搬送面に積載される固体燃料は、搬送工程により搬送方向に沿って搬送され、振分工程により幅方向に振り分けられる。振分工程により振り分けられた固体燃料は、収容工程により、搬送ベルトから落下して搬送ベルトの下方に配置される第1収容部に収容される。振分工程により振り分けられずに振分部と搬送ベルトとの隙間を通過する少量の固体燃料は、搬送ベルトの最下流まで搬送される。
【0074】
洗浄工程により、搬送ベルトの搬送面が洗浄され、洗浄液が排出部から排出される。回転体を通過する搬送ベルトから落下する固体燃料は、燃料回収工程により回収され、洗浄液を排出する排出部へ導かれ、洗浄液とともに排出される。
【0075】
このように、本開示に係る固体燃料搬送方法によれば、搬送ベルトによる固体燃料の搬送を維持しながら、搬送ベルトの最下流まで搬送される固体燃料を排出部へ導いて適切に処理することができる。そのため、固体燃料の搬送を維持し続けることによる作業員の作業効率及び安全性の低下や、固体燃料の搬送を停止させることによる稼働率の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0076】
10 コンベヤベルト(搬送ベルト)
11 搬送面
21 ヘッドプーリ(搬送方向下流側の回転体)
21a 駆動軸
22 テールプーリ(搬送方向上流側の回転体)
30,30A,30B,30C,30D スクレーパ(振分部)
35,35A,35B,35C,35D 切替機構
40,40A,40B,40C,40D 燃料バンカ(第1収容部)
50 燃料バンカ(第2収容部)
60 洗浄部
61 噴射部
62 ケーシング
63 排出部
70,70A ヘッドシュート
71,72 内壁
80,80A 燃料回収部
81,81A 傾斜板(燃料搬送部)
81a 傾斜面
81b,81c 係止部材
82,83 支持部材
84 吐出部
90 分離設備
100,100A 固体燃料搬送装置
CS 洗浄液
LQ 液体
SF 固体燃料
TD 搬送方向
WD 幅方向
Z 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10