(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】監視制御装置および不動作原因表示方法
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
G05B23/02 X
(21)【出願番号】P 2020148978
(22)【出願日】2020-09-04
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】二村 美穂
【審査官】岩▲崎▼ 優
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-076831(JP,A)
【文献】特開平03-044708(JP,A)
【文献】特開平09-061587(JP,A)
【文献】特開平04-104303(JP,A)
【文献】特開平07-168858(JP,A)
【文献】特開2002-073161(JP,A)
【文献】国際公開第2017/159501(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00-23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントの設備機器を動作させるための処理
の内容と、当該処理を実行可能にするための前記
プラントの設備機器の状態を示す処理条件とを対応付けて記憶
し、当該処理条件には同処理条件を満たすべき優先度の情報を対応付けて記憶する処理条件記憶手段と、
前記
プラントの設備機器を動作させるための処理の指令に応じて、
前記処理条件記憶手段により記憶された当該指令された処理に対応する処理条件を
、同処理条件を満たすべき優先度の情報と共に取得する処理条件取得手段と、
前記処理条件取得手段により取得された処理条件に含まれる設備機器の現在の状態を取得する設備機器状態取得手段と、
前記設備機器状態取得手段により取得された前記設備機器の現在の状態が前記処理条件取得手段により取得された処理条件である当該設備機器の状態と異なる場合に、
当該取得された処理条件に対応した設備機器を表わすイラストを、前記プラントの系統図に合わせて配置すると共に、そのうち、処理条件と異なる状態の設備機器を表わすイラストにオペレータへの対応を促すための要対応マークを、同処理条件を満たすべき優先度の順に識別して付加した不動作原因グラフィック画面を表示させるグラフィック画面表示制御手段と、
を備えた監視制御装置。
【請求項2】
監視制御装置のプロセッサにより実行される不動作原因表示方法であって、
プラントの設備機器を動作させるための処理の内容と、当該処理を実行可能にするための前記プラントの設備機器の状態を示す処理条件とを対応付けて記憶
し、当該処理条件には同処理条件を満たすべき優先度の情報を対応付けて記憶する処理条件記憶手段から、前記
プラントの設備機器を動作させるための処理の指令に応じて、当該指令された処理に対応する処理条件を
、同処理条件を満たすべき優先度の情報と共に取得し、
前記取得された処理条件に含まれる設備機器の現在の状態を取得し、
前記取得された前記設備機器の現在の状態が前記取得された処理条件である当該設備機器の状態と異なる場合に、
当該取得された処理条件に対応した設備機器を表わすイラストを、前記プラントの系統図に合わせて配置すると共に、そのうち、処理条件と異なる状態の設備機器を表わすイラストにオペレータへの対応を促すための要対応マークを、同処理条件を満たすべき優先度の順に識別して付加した不動作原因グラフィック画面を表示させる、
不動作原因表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、監視制御装置および不動作原因表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、上下水道処理施設、海水淡水化施設、焼却施設などの施設(プラント)の状態を監視したり制御したりするシステムとして、監視制御システムがある。
【0003】
監視制御システムは、監視制御装置を備え、当該監視制御装置により、監視制御の対象となるプラントの設備機器の状態を表示させて監視し、また同プラントの設備機器の動作を指令して制御を行う。
【0004】
設備機器とは、例えば水処理施設の場合、弁、ポンプ、ブロワ、液位センサ、流量センサなどであり、同設備機器の状態とは、弁であればその開/閉/正常/故障、ポンプやブロアであればその運転/停止/正常/故障、液位センサであればその計測値としての液位値、流量センサであればその計測値としての流量値などである。また設備機器の動作の指令とは、弁の開/閉の指令、ポンプやブロワの運転/停止の指令などである。
【0005】
なお、監視制御装置が行うことのできるプラントの設備機器に対する様々な動作の指令のことを処理の指令とする。
【0006】
監視制御装置とプラントの設備機器とは、監視制御装置が設置される通信ネットワーク(LAN:Local Area Network)上のPLC(Programmable Logic Controller)を介して接続される。プラントの設備機器の動作は、何れもPLCに実装されるプログラムと当該プログラムに従い設備機器を制御するCPU(Processor)とによって制御される。
【0007】
すなわち、監視制御装置から設備機器に対する何らかの処理の指令(指令信号)が出力されると、PLCのCPUにより処理の指令に応じたプログラムが実行されることで、弁の開/閉、ポンプの運転/停止など、対象となる設備機器を指令に応じて動作させることができる。
【0008】
ここで、設備機器を処理の指令に応じて動作させるためには、対象となる設備機器や関連する設備機器がどのような状態にあるかの処理条件が満たされている必要がある。例えば、あるポンプを運転させるのに、当該ポンプの状態が“正常”で且つ同ポンプの上流にある流入弁が“開”となっている必要がある場合、処理条件は[ポンプ(故障でない)・流入弁(開)]となる。
【0009】
PLCは、監視制御装置から処理の指令があると、指令された処理の処理条件が満たされているかを設備機器の状態に基づき判定して当該指令に応じた処理を実行する。
【0010】
しかしながら、PLCにおいて処理条件が満たされずに処理が実行されない場合、監視制御装置のモニタには、例えば、指令の対象となる設備機器の状態の表示が変化しないまま継続される。この場合、監視制御装置のオペレータは、指令した処理が実行されない原因、すなわち不動作の原因が何にあるかが分からない。
【0011】
プラントの運転に熟練したオペレータであれば、モニタに表示されている設備機器の状態を把握して、不動作の原因を追究し判断することも可能ではあるが、例えば、経験の浅いオペレータなどにとって不動作の原因を追究するのは大変困難で時間的損失も大きい問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開平11-053664号公報
【文献】特開2018-010436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、プラントの設備機器に対して指令した処理が実行されない不動作の原因を容易に確認することが可能になる監視制御装置および不動作原因表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
実施形態の監視制御装置は、
プラントの設備機器を動作させるための処理の内容と、当該処理を実行可能にするための前記プラントの設備機器の状態を示す処理条件とを対応付けて記憶し、当該処理条件には同処理条件を満たすべき優先度の情報を対応付けて記憶する処理条件記憶手段と、
前記プラントの設備機器を動作させるための処理の指令に応じて、前記処理条件記憶手段により記憶された当該指令された処理に対応する処理条件を、同処理条件を満たすべき優先度の情報と共に取得する処理条件取得手段と、
前記処理条件取得手段により取得された処理条件に含まれる設備機器の現在の状態を取得する設備機器状態取得手段と、
前記設備機器状態取得手段により取得された前記設備機器の現在の状態が前記処理条件取得手段により取得された処理条件である当該設備機器の状態と異なる場合に、当該取得された処理条件に対応した設備機器を表わすイラストを、前記プラントの系統図に合わせて配置すると共に、そのうち、処理条件と異なる状態の設備機器を表わすイラストにオペレータへの対応を促すための要対応マークを、同処理条件を満たすべき優先度の順に識別して付加した不動作原因グラフィック画面を表示させるグラフィック画面表示制御手段と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態の監視制御装置10および不動作原因表示方法に係る監視制御システム1の構成例を示すブロック図。
【
図2】監視制御装置10の電子回路の構成例を示すブロック図。
【
図3A】データサーバ装置40に記憶(登録)される処理条件登録テーブル40Tの一例を示す図。
【
図3B】
図3Aの処理条件登録テーブル40Tにおける処理「ポンプ(A)運転」の処理条件の優先順位決定フロー40T1を示す図。
【
図3C】
図3Aの処理条件登録テーブル40Tにおける処理「薬液注入ポンプ運転」の処理条件の優先順位決定フロー40T2を示す図。
【
図4】監視制御装置10の不動作原因表示プログラム12bに従った不動作原因表示処理を示すフローチャート。
【
図5】監視制御装置10の不動作原因表示処理に含まれる不動作原因表示画面生成処理を示すフローチャート。
【
図6】監視制御装置10の不動作原因表示処理に従った不動作原因表示画面の表示例(実施例1)を示す図であり、同図(A)はイラストILを用いた処理条件比較画面G1を含む不動作原因表示画面Gを示す図、同図(B)はテーブルTを用いた処理条件比較画面G1Tを含む不動作原因表示画面GTを示す図。
【
図7】
図6の不動作原因表示画面G(またはGT)に処理エラー対応画面G3を表示させた状態を示す図。
【
図8】監視制御装置10の不動作原因表示処理と併せて実行される不動作原因グラフィック表示処理を示すフローチャート。
【
図9】監視制御装置10の不動作原因グラフィック表示処理に従ったプラント監視画面(プラント系統図)GSでの表示動作(実施例1)を示す図。
【
図10】監視制御装置10の不動作原因表示処理に従った不動作原因表示画面の表示例(実施例2)を示す図であり、同図(A)はイラストILを用いた処理条件比較画面G1を含む不動作原因表示画面Gを示す図、同図(B)はテーブルTを用いた処理条件比較画面G1Tを含む不動作原因表示画面GTを示す図。
【
図11】
図10の不動作原因表示画面G(またはGT)に処理エラー対応画面G3を表示させた状態を示す図。
【
図12】監視制御装置10の不動作原因グラフィック表示処理に従ったプラント監視画面(プラント系統図)GSでの表示動作(実施例2)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態の監視制御装置およびその不動作原因表示方法について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、実施形態の監視制御装置10および不動作原因表示方法に係る監視制御システム1の構成例を示すブロック図である。
【0018】
監視制御システム1は、上下水道処理施設、海水淡水化施設、焼却施設などの監視および制御を行うために用いられるシステムである。本実施形態では、監視制御システム1が水処理施設の監視制御に用いられる場合について説明する。
【0019】
監視制御システム1は、監視制御装置10、監視制御の対象となるプラント(水処理施設)20の設備機器(流入弁(A)20a,液位センサ20b,ポンプ(A)20c,吐出弁(A)20d,…)、PLC(Programmable Logic Controller)30、データサーバ装置40を含む。
【0020】
監視制御装置10とPLC30とデータサーバ装置40とは、LAN(Local Area Network)などの通信ネットワークNを介して相互に通信可能に接続され、PLC30は、プラント20の設備機器20a,20b,20c,…に対し、図示しないテレメータおよび通信回線を介して接続される。
【0021】
監視制御装置10は、プラント20の設備機器20a,20b,20c,…の動作の状態を、PLC30を介して取得し、モニタ(表示部17:
図2参照)のプラント監視画面(プラント系統図)に表示させてオペレータに監視させる。監視制御装置10は、例えば、オペレータの操作に応じてプラント20の設備機器20a,20b,20c,…を対象とする処理の指令(指令信号)をPLC30に出力し、PLC30に当該処理の指令に応じた対象とする設備機器の動作の制御を実行させる。
【0022】
PLC30は、図示しないCPU(Processor)と記憶装置と通信インターフェイスを含んで構成される。PLC30の記憶装置は、例えば、設備機器20a,20b,20c,…の状態(弁の開/閉/正常/故障、ポンプの運転/停止/正常/故障、センサの計測値など)を取得し、取得した状態のデータを監視制御装置10へ送信するための状態取得プログラム、監視制御装置10からの設備機器20a,20b,20c,…を対象とする処理の指令に応じて当該設備機器20a,20b,20c,…の動作を制御するための機器制御プログラムを含むデータを記憶する。PLC30のCPUは、記憶装置に記憶された状態取得プログラムおよび機器制御プログラムに従って、設備機器20a,20b,20c,…に対する状態取得の制御および機器動作の制御を実行する。
【0023】
データサーバ装置40は、図示しないCPU(Processor)と記憶装置と通信インターフェイスを含んで構成される。
【0024】
データサーバ装置40は、例えば、プラント20の複数の運転状態(異常状態も含む)に対応してPLC30により取得される設備機器20a,20b,20c,…の状態のデータを運転履歴として記憶装置に記憶(記録)する機能、監視制御装置10からの設備機器20a,20b,20c,…を対象とする処理の指令に応じてPLC30により実行可能な処理の処理条件をテーブルとして記憶(登録)する機能(処理条件登録テーブル40T:
図3A参照)、当該記憶装置に記憶(記録、登録)されたデータを、監視制御装置10からの要求に応じて読み出して監視制御装置10へ送信する機能、などを含むデータベース機能を有する。
【0025】
図2は、監視制御装置10の電子回路の構成例を示すブロック図である。
【0026】
監視制御装置10は、CPU(Processor)11を備えている。CPU11は、記憶部(Storage)12に記憶されているプログラム、あるいはCD-ROMなどの外部記録媒体13から記録媒体読取部14により読み取られて記憶部12に記憶されたプログラム、あるいは図示しないインターネット上のプログラムサーバ(通信ネットワークN上のデータサーバ装置40でもよい)から通信部(通信インターフェイス)15を介してダウンロードされ記憶部12に記憶されたプログラム、に従って回路各部の動作を制御する。
【0027】
CPU11には、システムおよびデータバスBusを介して、記憶部12、記録媒体読取部14、通信部15のほか、操作部16、表示部17が接続される。
【0028】
記憶部12には、監視制御プログラム12a、不動作原因表示プログラム12bを含むプログラムのデータが記憶されるほか、設備機器状態データ12c、プラント監視画面データ12d、不動作原因表示画面データ12eを含む作業データが記憶される。
【0029】
監視制御プログラム12aは、プラント20の設備機器20a,20b,20c,…の動作の状態を、PLC30を介して取得し、表示部17のプラント監視画面(プラント系統図)に表示させるためのプログラム、プラント監視画面に表示された設備機器20a,20b,20c,…を対象とする処理の指令(指令信号)を操作部16の操作に応じてPLC30に出力し、PLC30に当該処理の指令に応じた対象とする設備機器の動作の制御を実行させるためのプログラムを含む。
【0030】
不動作原因表示プログラム12bは、監視制御プログラム12aに従った設備機器20a,20b,20c,…を対象とする処理の指令に応じて、当該対象とする設備機器20a,20b,20c,…で指令された処理に対応する動作が行われない場合(不動作の場合)、不動作の原因を、データサーバ装置40の処理条件登録テーブル40Tから取得される指令された処理の処理条件と、対象とする設備機器20a,20b,20c,…の状態と、の差異を識別して表す不動作原因表示画面G(
図6参照)として表示部17に表示させるためのプログラムを含む。
【0031】
不動作原因表示画面Gには、指令された処理の処理条件と異なる設備機器の状態を色(およびイラストまたは記号)により識別して表す処理条件比較画面G1(またはG1T)、処理条件と異なる設備機器の状態を処理エラーとして表す処理エラー画面G2、および処理エラー画面G2の[方法]ボタンBHが操作された場合に処理条件と異なる設備機器への対応方法を優先度順に表す処理エラー対応画面G3(
図7参照)が含まれる。
【0032】
なお、処理エラー対応画面G3の役割は、プラント20の設備機器20a,20b,20c,…を表示部17にグラフィック化して表したプラント監視画面(プラント系統図)GS(
図9参照)において、処理条件と異なる状態の設備機器に対応付けて当該処理条件を満たすべく対応が必要であることを優先度順に識別して示す要対応マークMR,MP,…やフリッカマークFLを付加することで行ってもよい。
【0033】
設備機器状態データ12cは、PLC30を介して取得したプラント20の設備機器20a,20b,20c,…の動作の状態のデータを含む。<設備機器状態取得手段>
設備機器状態データ12cは、PLC30の記憶装置に記憶してもよいし、データサーバ装置40の記憶装置に記憶してもよい。
【0034】
プラント監視画面データ12dは、監視制御プログラム12aに従い生成して表示部17に表示させるプラント監視画面(プラント系統図)GSのデータを含む。
【0035】
不動作原因表示画面データ12eは、不動作原因表示プログラム12bに従い生成して表示部17に表示させる不動作原因表示画面Gのデータを含む。
【0036】
操作部16は、オペレータにより操作されるスイッチ、ボタン、キーボード、ポインティングデバイスを含む。
【0037】
表示部17は、プラント監視画面(プラント系統図)GS、不動作原因表示画面Gを表示データとして表示させるモニタを含む。
【0038】
このように構成された監視制御システム1の監視制御装置10は、CPU11が監視制御プログラム12aおよび不動作原因表示プログラム12bに従い各部の動作を制御し、ハードウエアとソフトウエアとが協働して動作することにより、以下の動作説明で述べるような不動作原因表示機能を実現する。
【0039】
図3Aは、データサーバ装置40に記憶(登録)される処理条件登録テーブル40Tの一例を示す図である。
【0040】
図3Bは、
図3Aの処理条件登録テーブル40Tにおける処理「ポンプ(A)運転」の処理条件の優先順位決定フロー40T1を示す図である。
【0041】
図3Cは、
図3Aの処理条件登録テーブル40Tにおける処理「薬液注入ポンプ運転」の処理条件の優先順位決定フロー40T2を示す図である。
【0042】
処理条件登録テーブル40Tには、監視制御装置10からの設備機器20a,20b,20c,…を対象とする処理の指令に応じてPLC30により実行可能な処理の処理条件(指令の処理を実行可能にするための設備機器とその状態)が、当該処理条件を満たすべき優先度の情報(優先順位)を対応付けて保存される。<処理条件記憶手段>
図3Aに示す処理条件登録テーブル40Tでは、例えば、「ポンプ(A)運転」との処理の処理条件として「流入弁(A)[開](優先順位1)」「ポンプ場液位[LL以上](優先順位2)」「吐出弁(A)[閉](優先順位1)」、また「薬液注入ポンプ運転」との処理の処理条件として「薬液槽液位[LL以上](優先順位1)」「薬液注入ポンプ[故障でない](優先順位1)」「出口弁[全開](優先順位2)」、などが保存されている。
【0043】
なお、処理条件としての設備機器とその状態を満たすべき優先順位は、
図3Bおよび
図3Cに示すような優先順位決定フローT1,T2に従い決定される。優先順位決定フローT1,T2では、上位(図示上方)に位置する設備機器とその状態ほど優先順位が高く、下位(図示下方)に位置する設備機器とその状態ほど優先順位が低い。同位にある複数の設備機器とその状態の優先順位は同じになる。
【0044】
例えば、「ポンプ(A)運転」との処理の処理条件の優先順位は、
図3Bに示す優先順位決定フローT1に従い、「流入弁(A)[開]」と「吐出弁(A)[閉]」との2つの処理条件が同位で(優先順位1)、「ポンプ場液位[LL以上]」が(優先順位2)となる。また、「薬液注入ポンプ運転」との処理の処理条件の優先順位は、
図3Cに示す優先順位決定フローT2に従い、「薬液槽液位[LL以上]」と「薬液注入ポンプ[故障でない]」との2つの処理条件が同位で(優先順位1)、「出口弁[全開]」が(優先順位2)となる。
【0045】
なお、処理条件登録テーブル40Tの内容は、データサーバ装置40での記憶(登録)に限らず、監視制御装置10の記憶部12に記憶(登録)してもよいし、PLC30内の記憶装置に記憶してもよい。
【0046】
次に、実施形態の監視制御装置10の動作について説明する。
【0047】
(不動作原因表示処理)
図4は、監視制御装置10の不動作原因表示プログラム12bに従った不動作原因表示処理を示すフローチャートである。
【0048】
図5は、監視制御装置10の不動作原因表示処理に含まれる不動作原因表示画面生成処理を示すフローチャートである。
【0049】
図6は、監視制御装置10の不動作原因表示処理に従った不動作原因表示画面の表示例(実施例1)を示す図であり、同図(A)はイラストILを用いた処理条件比較画面G1を含む不動作原因表示画面Gを示す図、同図(B)はテーブルTを用いた処理条件比較画面G1Tを含む不動作原因表示画面GTを示す図である。
【0050】
図7は、
図6の不動作原因表示画面G(またはGT)に処理エラー対応画面G3を表示させた状態を示す図である。
【0051】
監視制御装置10において、例えばオペレータによる操作部16の操作に応じて、プラント20の何れかの設備機器を対象とした処理の指令が行われると(ステップS1(Yes))、CPU11は、指令された処理に対応する処理条件のデータを、データサーバ装置40に登録されている処理条件登録テーブル40T(
図3A参照)から取得する(ステップS2)。<処理条件取得手段>
ここで、指令された処理は「ポンプ(A)運転」、取得された処理条件は「流入弁(A)[開](優先順位1)」「ポンプ場液位[LL以上](優先順位2)」「吐出弁(A)[閉](優先順位1)」と仮定して以下を説明する。
【0052】
CPU11は、ステップS2にて取得した処理条件に含まれる設備機器の状態を、記憶部12に記憶された設備機器状態データ12cから、例えば、流入弁(A)20aの状態[開](又は[閉])、液位センサ20bにより計測されるポンプ場の液位[LL以上](又は[LL以下])、吐出弁(A)20dの状態[開](又は[閉])として取得し(ステップS3)<設備機器状態取得手段>、処理条件と異なる状態の設備機器があるか否か、つまり指令された処理の処理条件を満たしているか否かを判定する(ステップS4)。
【0053】
ここで、処理条件と異なる状態の設備機器がなく、指令された処理の処理条件を満たしていると判定された場合には(ステップS4(No))、CPU11は以下の処理を行なわず、次の処理の指令を待機する状態に戻る。
【0054】
この場合、PLC30は、監視制御装置10からの処理の指令「ポンプ(A)運転」に応じて、ポンプ(A)20cの運転を開始させる。すると、監視制御装置10のプラント監視画面(プラント系統図)GSに表示されている設備機器「ポンプ(A)20c」の状態が、設備機器状態データ12cに基づき“運転”を表わす状態に変化する。
【0055】
一方、処理条件「流入弁(A)[開](優先順位1)」に対し流入弁(A)20aの状態[閉]、処理条件「ポンプ場液位[LL以上](優先順位2)」に対しポンプ場の状態である液位[LL以下]であり、処理条件と異なる状態の設備機器があると判定されると(ステップS4(Yes))、CPU11は、
図5に示す不動作原因表示画面生成処理に移行する(ステップS5T)。<不動作原因表示制御手段>
CPU11は、
図6(A)に示すように、ステップS2にて取得した処理条件「流入弁(A)[開]」「液位[LL以上]」「吐出弁(A)[閉]」をテキストにして配列し(ステップT1)、そのうち、ステップS4にて処理条件と異なる状態として判定された設備機器の条件を示すテキスト(ここでは、流入弁(A)の“開”と“液位LL以上”)を赤色Rにして識別した処理条件比較画面G1を生成する(ステップT2)。
【0056】
なお、処理条件比較画面G1には、処理条件と一致する(満たしている)ところの設備機器の状態(ここでは、吐出弁(A)[閉])を青色Bの線で、それ以外を無色の線で示したイラストILを付加する。
【0057】
またCPU11は、
図6(A)に示すように、ステップS4にて判定された処理条件と異なる状態の設備機器とその状態のテキスト(ここでは「流入弁(A)[閉]」「液位[LL以下]」)を配列し、当該設備機器のテキストの先頭に“×”マークNGを付加すると共に、異なる状態を示すテキスト(ここでは、流入弁(A)の“閉”と“液位LL以下”)を赤色Rにして識別した処理エラー画面G2を生成する(ステップT3)。
【0058】
なお、処理エラー画面G2には、指令した処理が行われない処理エラーへの対応方法をオペレータに確認させるための[方法]ボタンBHを付加する。
【0059】
CPU11は、不動作原因表示画面生成処理(ステップS5T:ここではT1~T3)にて生成された処理条件比較画面G1および処理エラー画面G2を、
図6(A)に示すように、不動作原因表示画面Gに含めて表示部17に表示させる(ステップS6)。
【0060】
これにより、監視制御装置10のオペレータは、たとえ経験の浅いオペレータなどであっても、プラント20の設備機器(ポンプ(A)20c)を対象に指令した処理「ポンプ(A)運転」が実行されない不動作の原因について、流入弁(A)が[閉]で、ポンプ場の液位が[LL以下]にあることを素早く容易に確認できる。そして、不動作の原因を解消すべく速やかに対応することが可能になる。
【0061】
なお、
図6(A)で示した不動作原因表示画面Gに含まれるイラストILを用いた処理条件比較画面G1の形態は、同図(B)に示すように、テーブルTを用いた処理条件比較画面G1Tの形態として表示させてもよい。
【0062】
すなわち、テーブルTを用いた処理条件比較画面G1Tは、処理条件「流入弁(A)[開]」「液位[LL以上]」「吐出弁(A)[閉]」をテキストにしてテーブルTに納めて配列し(ステップT1)、そのうち、処理条件と異なる状態として判定された設備機器の条件を示すテキスト(ここでは、流入弁(A)の“開”と“液位LL以上”)を赤色Rにして識別すると共に、同テキストの先頭には赤色の“×”マークNGを付加し、処理条件が一致している設備機器のテキスト(ここでは、吐出弁(A)[閉])の先頭には黒色の“○”マークOKを付加して生成する(ステップT2)。
【0063】
この後、CPU11は、新たな処理の指令が行われなくても(ステップS1(No))、
図6(A)または
図6(B)で示したように不動作原因表示画面Gが表示されている状態で(ステップS7(Yes))、且つ、指令された処理の処理条件と異なる状態の設備機器がある状態において(ステップS4(Yes))、ステップS3,S5T,S6の処理を繰り返し実行し、処理条件比較画面G1(またはG1T)および処理エラー画面G2を含む不動作原因表示画面Gの表示を継続させる。
【0064】
ここで、処理エラー画面G2内の[方法]ボタンBHがオペレータにより操作されると(ステップT4(Yes))、CPU11は、
図7(A)または
図7(B)に示すように、処理条件と異なる状態の設備機器(ここでは「流入弁(A)[閉]」「液位[LL以下]」)の対応方法を、ステップS2にて取得した当該処理条件(ここでは「流入弁(A)[開](優先順位1)」「ポンプ場液位[LL以上](優先順位2)」)の優先度順に配列した処理エラー対応画面G3を生成する(ステップT5)。<処理エラー対応画面表示制御手段>
そして、ステップT5にて生成された処理エラー対応画面G3を、
図7(A)または
図7(B)に示すように、処理条件比較画面G1(またはG1T)および処理エラー画面G2と共に、不動作原因表示画面Gに含めて表示部17に表示させる(ステップS6)。
【0065】
これにより、監視制御装置10のオペレータは、指令した処理「ポンプ(A)運転」が実行されない不動作の原因について、素早く容易に確認できるだけでなく、処理エラー対応画面G3に表示された処理エラーへの対応方法(「1.流入弁を開動作」「2.液位LL以上になるまで待機」)に従い、当該不動作の原因を解消すべく速やかに対応することが可能になる。
【0066】
そして、オペレータが、不動作原因表示画面Gの内容を確認して、不動作の原因となっている設備機器の状態を、指令した処理の処理条件に合わせるべく対応を行なうことにより、当該処理条件と異なる状態の設備機器がなくなると(ステップS4(No))、CPU11は、表示部17に表示されている不動作原因表示画面Gを消去する(ステップS8(Yes)→S9)。
【0067】
PLC30は、監視制御装置10からのプラント20の何れかの設備機器を対象とした処理の指令(ここでは「ポンプ(A)運転」)に応じて、ポンプ(A)20cの運転を開始させる。すると、監視制御装置10のプラント監視画面(プラント系統図)GSに表示されている設備機器「ポンプ(A)20c」の状態が“運転”を表わす状態に変化する。
【0068】
監視制御装置10は、
図4~
図7を参照して説明した不動作原因表示処理での不動作原因表示画面Gの表示と併せて、以下に説明する不動作原因グラフィック表示処理を行なってよい。
【0069】
(不動作原因グラフィック表示処理)<グラフィック画面表示制御手段>
図8は、監視制御装置10の不動作原因表示処理と併せて実行される不動作原因グラフィック表示処理を示すフローチャートである。
【0070】
図9は、監視制御装置10の不動作原因グラフィック表示処理に従ったプラント監視画面(プラント系統図)GSでの表示動作(実施例1)を示す図である。
【0071】
本実施形態において、
図8における不動作原因グラフィック表示処理は、
図4におけるステップS1~S4の処理を受けた「不動作原因表示画面生成」の処理ステップ(S5T)と「不動作原因表示画面表示」の処理ステップ(S6)とに並行して実行される。
【0072】
図4のステップS4において、指令された処理「ポンプ(A)運転」の処理条件「流入弁(A)[開](優先順位1)」「ポンプ場液位[LL以上](優先順位2)」「吐出弁(A)[閉](優先順位1)」のうち、処理条件「流入弁(A)[開](優先順位1)」に対し流入弁(A)20aの状態[閉]、処理条件「ポンプ場液位[LL以上](優先順位2)」に対しポンプ場の状態である液位[LL以下]であり、処理条件と異なる状態の設備機器があると判定されると(ステップS4(Yes))、CPU11は、
図9(A)に示すように、処理条件に対応した設備機器のイラスト(ポンプ(A)Po、流入弁(A)Vi、ポンプ場Pf、吐出弁(A)Vd)を、例えばプラント20の系統図に合わせて配置した不動作原因グラフィック画面を生成する(ステップT10)。
【0073】
不動作原因グラフィック画面は、独立した画面として表示させてよいが、ここでは、
図9(A)に示すように、プラント監視画面(プラント系統図)GS内で、処理条件に対応した設備機器のイラスト(ポンプ(A)Po、流入弁(A)Vi、ポンプ場Pf、吐出弁(A)Vd)が表示される範囲を利用する例として説明する。
【0074】
CPU11は、処理条件と異なる状態の設備機器のイラスト(ここでは、流入弁(A)Viとポンプ場Pf)に対応付けて、不動作原因解消への対応をオペレータに促すための要対応マーク(赤色)MRと(紫色)MPを、当該処理条件を満たすべき優先度順に識別した色にして表示させる(ステップT11)。
【0075】
この際、CPU11は、プラント監視画面(プラント系統図)GSに、
図9(A)に示すように、優先度1,2,3それぞれの要対応マーク(赤色)MR,(紫色)MP,(黄色)MY、優先度4以降で処理条件を満たすべきエラー有の設備機器を示す要対応マーク(青色)MB、および対応済みマークMT(灰色)を、凡例として示す対応マーク凡例表ENを出力する。
【0076】
またCPU11は、処理条件と異なる状態の設備機器のイラストに対応付けて表記させた、優先度順の要対応マーク(赤色)MR、(紫色)MP、…のうち、最も高い優先度(優先度1)の要対応マーク(赤色)MRに対応付けてフリッカマークFLを点滅して表示させる(ステップT12)。
【0077】
なお、
図9に示す不動作原因グラフィック画面(GS)の例では、処理条件と異なる状態の設備機器が流入弁(A)Viとポンプ場Pfとの2つであるため、優先度3の要対応マーク(黄色)MYと優先度4以降の要対応マーク(青色)MBは表示されない。
【0078】
このように、不動作原因グラフィック画面(GS)を表示させることにより、監視制御装置10のオペレータは、不動作の原因を解消すべき対応が必要な設備機器が何であるかを、その優先度順に容易且つ明確に確認して速やかに作業を進めることができる。
【0079】
すなわち、フリッカマークFLおよび優先度1の要対応マーク(赤色)MRにより示される設備機器(ここでは、流入弁(A)Vi)について、オペレータは、
図6(または
図7)で示した処理条件比較画面G1、処理エラー画面G2および処理エラー対応画面G3により知らされるポンプ(A)Poを運転するための条件「流入弁(A)[開]」、原因「流入弁(A)[閉]」および対応方法「1.流入弁を開動作」に従い、流入弁(A)Viを開動作させる。
【0080】
CPU11により、設備機器状態データ12cに基づき処理条件と異なる状態が解消された設備機器(ここでは、流入弁(A)Vi)があると判定されると(ステップT13(Yes))、当該設備機器(流入弁(A)Vi)のイラストに対応付けられた要対応マーク(赤色)MRが、
図9(B)に示すように、対応済みマークMTに変更される(ステップT14)。
【0081】
またCPU11は、処理条件と異なる状態の設備機器のイラスト(ポンプ場Pf)に対応付けて、優先度1の要対応マーク(赤色)MRおよびフリッカマークFLを表記させる(ステップT11,T12)。
【0082】
(他の実施例)
図10は、監視制御装置10の不動作原因表示処理に従った不動作原因表示画面の表示例(実施例2)を示す図であり、同図(A)はイラストILを用いた処理条件比較画面G1を含む不動作原因表示画面Gを示す図、同図(B)はテーブルTを用いた処理条件比較画面G1Tを含む不動作原因表示画面GTを示す図である。
【0083】
図11は、
図10の不動作原因表示画面G(またはGT)に処理エラー対応画面G3を表示させた状態を示す図である。
【0084】
図12は、監視制御装置10の不動作原因グラフィック表示処理に従ったプラント監視画面(プラント系統図)GSでの表示動作(実施例2)を示す図である。
【0085】
他の実施例では、
図3Aの処理条件登録テーブル40Tに示したように、監視制御装置10により指令される処理を「薬液注入ポンプ運転」、処理条件を「薬液槽液位[LL以上](優先順位1)」「薬液注入ポンプ[故障でない](優先順位1)」「出口弁[全開](優先順位2)」と仮定して以下を説明する。
【0086】
すなわち、監視制御装置10のCPU11は、
図4における不動作原因表示処理において、ステップS2にて取得した処理条件に含まれる設備機器の状態を、記憶部12に記憶された設備機器状態データ12cから、例えば、薬液槽の液位[LL以上]、薬液注入ポンプ[故障]、出口弁[全閉]として取得する(ステップS3)。
【0087】
すると、処理条件「薬液注入ポンプ[故障でない](優先順位1)」に対し薬液注入ポンプの状態[故障]、処理条件「出口弁[全開](優先順位2)」に対し出口弁の状態[全閉]であり、処理条件と異なる状態の設備機器があると判定されるので(ステップS4(Yes))、CPU11は、
図5に示す不動作原因表示画面生成処理に移行する(ステップS5T)。
【0088】
CPU11は、
図10(A)に示すように、ステップS2にて取得した処理条件「ポンプ[故障でない]」「出口弁[全開]」「薬液槽液位[LL以上]」をテキストにして配列し(ステップT1)、そのうち、ステップS4にて処理条件と異なる状態として判定された設備機器の条件を示すテキスト(ここでは、ポンプの“故障でない”と出口弁の“全開”)を赤色Rにして識別した処理条件比較画面G1を生成する(ステップT2)。
【0089】
処理条件比較画面G1には、処理条件と一致する(満たしている)ところの設備機器の状態(ここでは、薬液槽液位[LL以上])を青色Bの線で、それ以外を無色の線で示したイラストILを付加する。
【0090】
またCPU11は、
図10(A)に示すように、ステップS4にて判定された処理条件と異なる状態の設備機器とその状態のテキスト(ここでは「ポンプ[故障]」「出口弁[全閉]」)を配列し、当該設備機器のテキストの先頭に“×”マークNGを付加すると共に、異なる状態を示すテキスト(ここでは、ポンプの“故障”と出口弁の“全開”)を赤色Rにして識別した処理エラー画面G2を生成する(ステップT3)。
【0091】
処理エラー画面G2には、指令した処理が行われない処理エラーへの対応方法をオペレータに確認させるための[方法]ボタンBHを付加する。
【0092】
CPU11は、不動作原因表示画面生成処理(ステップS5T:ここではT1~T3)にて生成された処理条件比較画面G1および処理エラー画面G2を、
図10(A)に示すように、不動作原因表示画面Gに含めて表示部17に表示させる(ステップS6)。
【0093】
これにより、監視制御装置10のオペレータは、たとえ経験の浅いオペレータなどであっても、プラント20の設備機器(薬液注入ポンプ)を対象に指令した処理「薬液注入ポンプ運転」が実行されない不動作の原因について、ポンプが[故障]で、出口弁が[全閉]であることを素早く容易に確認できる。そして、不動作の原因を解消すべく速やかに対応することが可能になる。
【0094】
なお、
図10(A)で示した不動作原因表示画面Gに含まれるイラストILを用いた処理条件比較画面G1の形態は、同図(B)に示すように、テーブルTを用いた処理条件比較画面G1Tの形態として表示させてもよい。
【0095】
処理エラー画面G2内の[方法]ボタンBHがオペレータにより操作されると(ステップT4(Yes))、CPU11は、
図11(A)または
図11(B)に示すように、処理条件と異なる状態の設備機器(ここでは「ポンプ[故障]」「出口弁[全閉]」)の対応方法を、ステップS2にて取得した当該処理条件(ここでは「薬液注入ポンプ[故障でない](優先順位1)」「出口弁[全開](優先順位2)」)の優先度順に、例えば「1.ポンプ修理」「2.出口弁を全開動作」として配列した処理エラー対応画面G3を生成する(ステップT5)。
【0096】
そして、ステップT5にて生成された処理エラー対応画面G3を、
図11(A)または
図11(B)に示すように、処理条件比較画面G1(またはG1T)および処理エラー画面G2と共に、不動作原因表示画面Gに含めて表示部17に表示させる(ステップS6)。
【0097】
これにより、監視制御装置10のオペレータは、指令した処理「薬液注入ポンプ運転」が実行されない不動作の原因について、素早く容易に確認できるだけでなく、処理エラー対応画面G3に表示された処理エラーへの対応方法(「1.ポンプ修理」「2.出口弁を全開動作」)に従い、当該不動作の原因を解消すべく速やかに対応することが可能になる。
【0098】
そして、オペレータが、不動作原因表示画面Gの内容を確認して、不動作の原因となっている設備機器の状態を、指令した処理の処理条件に合わせるべく対応を行なうことにより、当該処理条件と異なる状態の設備機器がなくなると(ステップS4(No))、CPU11は、表示部17に表示されている不動作原因表示画面Gを消去する(ステップS8(Yes)→S9)。
【0099】
PLC30は、監視制御装置10からのプラント20の何れかの設備機器を対象とした処理の指令(ここでは「薬液注入ポンプ運転」)に応じて、薬液注入ポンプの運転を開始させる。すると、監視制御装置10のプラント監視画面(プラント系統図)GSに表示されている設備機器「薬液注入ポンプ」の状態が“運転”を表わす状態に変化する。
【0100】
また、監視制御装置10のCPU11は、
図8における不動作原因グラフィック表示処理において、
図12(A)に示すように、処理条件に対応した設備機器のイラスト(薬液注入ポンプPi、出口弁Vo、薬液槽Sm)を、例えばプラント20の系統図に合わせて配置した不動作原因グラフィック画面を生成する(ステップT10)。
【0101】
ここでは、
図9で示した実施例1と同様、
図12(A)に示すように、プラント監視画面(プラント系統図)GS内で、処理条件に対応した設備機器のイラスト(薬液注入ポンプPi、出口弁Vo、薬液槽Sm)が表示される範囲を利用する例として説明する。
【0102】
CPU11は、処理条件と異なる状態の設備機器のイラスト(ここでは、薬液注入ポンプPiと出口弁Vo)に対応付けて、不動作原因解消への対応をオペレータに促すための要対応マーク(赤色)MRと(紫色)MPを、当該処理条件を満たすべき優先度順に識別した色として表示させる(ステップT11)。
【0103】
またCPU11は、処理条件と異なる状態の設備機器のイラストに対応付けて表記させた、優先度順の要対応マーク(赤色)MR、(紫色)MPのうち、優先度1の要対応マーク(赤色)MRに対応付けてフリッカマークFLを点滅して表示させる(ステップT12)。
【0104】
オペレータは、フリッカマークFLおよび優先度1の要対応マーク(赤色)MRにより示される設備機器(ここでは、薬液注入ポンプPi)について、
図10(または
図11)で示した処理条件比較画面G1、処理エラー画面G2および処理エラー対応画面G3により知らされるポンプPiを運転するための条件「ポンプ[故障でない]」、原因「ポンプ[故障]」および対応方法「1.ポンプを修理」に従い、薬液注入ポンプPiを修理する。
【0105】
CPU11により、設備機器状態データ12cに基づき処理条件と異なる状態が解消された設備機器(ここでは、薬液注入ポンプPi)があると判定されると(ステップT13(Yes))、当該設備機器(薬液注入ポンプPi)のイラストに対応付けられた要対応マーク(赤色)MRが、
図12(B)に示すように、対応済みマークMTに変更される(ステップT14)。
【0106】
またCPU11は、処理条件と異なる状態の設備機器のイラスト(出口弁Vo)に対応付けて、優先度1の要対応マーク(赤色)MRおよびフリッカマークFLを表記させる(ステップT11,T12)。
【0107】
従って、監視制御装置10のオペレータは、実施例1と同様に、処理条件比較画面G1、処理エラー画面G2および処理エラー対応画面G3を含む不動作原因表示画面Gに基づいて、指令した処理「薬液注入ポンプ運転」が実行されない不動作の原因について、素早く容易に確認して当該不動作の原因を解消すべく速やかに対応することが可能になる。更に、不動作原因グラフィック画面(GS)に基づいて、不動作の原因を解消すべき対応が必要な設備機器が何であるかを、その優先度順に容易且つ明確に確認して速やかに作業を進めることができる。
【0108】
(実施形態のまとめ)
実施形態の監視制御装置10によれば、監視制御の対象となるプラント20の設備機器20a,20b,…を動作させるための処理の指令が行われると、当該処理を実行可能にするための設備機器の状態を示す処理条件を、当該処理条件と同処理条件を満たすべき優先度の情報(優先順位)を対応付けて保存している処理条件登録テーブル40Tから取得する。そして、プラント20の設備機器20a,20b,…の現在の状態である設備機器状態データ12cに基づき、取得した処理条件と異なる状態の設備機器があると判定された場合には、取得した処理条件と、処理条件に該当する設備機器の状態との差異を識別して表わす不動作原因表示画面G(
図6、
図7、
図10、
図11参照)を生成して表示部17に表示させる。
【0109】
不動作原因表示画面Gには、指令された処理の処理条件と異なる設備機器の状態を赤色R(およびイラストILまたは記号NG/OK)により識別して表す処理条件比較画面G1(またはG1T)、および(又は)処理条件と異なる設備機器の状態を処理エラーとして表す処理エラー画面G2、および(又は)処理条件と異なる設備機器への対応方法を優先度順に表す処理エラー対応画面G3を含んでよい。
【0110】
これにより、監視制御装置10のオペレータは、たとえ経験の浅いオペレータなどであっても、プラント20の設備機器を対象に指令した処理が実行されない不動作の原因について、処理条件と異なる設備機器の状態を識別して表わす処理条件比較画面G1(またはG1T)や処理エラー画面G2、あるいは処理エラー対応画面G3から素早く容易に確認することができ、不動作の原因を解消すべく速やかに対応することが可能になる。
【0111】
また、監視制御装置10は、処理条件に対応した設備機器のイラストを、例えばプラント20の系統図に合わせて配置した不動作原因グラフィック画面(GS)を生成し、処理条件と異なる状態の設備機器のイラストに対応付けて、不動作原因解消への対応をオペレータに促すための要対応マーク(赤色)MR、(紫色)MP、(黄色)MYを、当該処理条件を満たすべき優先度順に識別した色(赤色:優先度1、紫色:優先度2:黄色:優先度3)として表示させる。そして、優先度1の要対応マーク(赤色)MRに対応付けてフリッカマークFLを点滅して表示させる。
【0112】
これにより、監視制御装置10のオペレータは、不動作原因グラフィック画面(GS)に基づいて、一目瞭然に、不動作の原因を解消すべき対応が必要な設備機器が何であるかを、その優先度順に容易且つ明確に確認して速やかに作業を進めることができる。
【0113】
以上の実施形態において記載した監視制御装置10による各処理の手法、すなわち、
図4、
図5のフローチャートに示す不動作原因表示処理および
図8のフローチャートに示す不動作原因グラフィック表示処理などの各手法は、何れもコンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカードなど)、磁気ディスク(フロッピ(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの外部記録装置の媒体に格納して配布することができる。そして、監視制御装置10のコンピュータ(CPU)11は、この外部記録装置の媒体に記録されたプログラムを記憶装置に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、実施形態において説明した不動作原因表示機能を実現し、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0114】
また、各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態として通信ネットワーク(N)上を伝送させることができ、この通信ネットワーク(N)に接続されたコンピュータ装置(プログラムサーバ)から、前記プログラムのデータを監視制御装置10に取り込んで記憶装置に記憶させ、前述した不動作原因表示機能を実現することもできる。
【0115】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0116】
1…監視制御システム、10…監視制御装置、11…CPU(プロセッサ)、12…記憶部、12a…監視制御プログラム、12b…不動作原因表示プログラム、12c…設備機器状態データ、12d…プラント監視画面データ、12e…不動作原因表示画面データ、15…通信部、N…通信ネットワーク、16…操作部、17…表示部、20…監視制御対象プラント、30…PLC、40…データサーバ装置、40T…処理条件登録テーブル、G…不動作原因表示画面、G1(G1T)…処理条件比較画面、G2…処理エラー画面、G3…処理エラー対応画面、GS…プラント監視画面(プラント系統図/不動作原因グラフィック画面)。