IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社加藤製作所の特許一覧

<>
  • 特許-建設機械 図1
  • 特許-建設機械 図2
  • 特許-建設機械 図3
  • 特許-建設機械 図4
  • 特許-建設機械 図5
  • 特許-建設機械 図6
  • 特許-建設機械 図7
  • 特許-建設機械 図8
  • 特許-建設機械 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   B60G 21/06 20060101AFI20240813BHJP
   B60S 9/12 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
B60G21/06
B60S9/12
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020172662
(22)【出願日】2020-10-13
(65)【公開番号】P2022064125
(43)【公開日】2022-04-25
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000140719
【氏名又は名称】株式会社加藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】多田 和弘
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0020252(US,A1)
【文献】特開平07-052630(JP,A)
【文献】特開2006-327384(JP,A)
【文献】特開2003-002582(JP,A)
【文献】実開昭62-078510(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/00-99/00
B60S 9/00- 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペンションシリンダーと、
前記サスペンションシリンダーへの作動油が蓄積される第1のアキュムレータと、
前記サスペンションシリンダーと前記第1のアキュムレータとの間を接続する流路と、
前記流路に配置され、前記作動油が通過可能な開放状態と前記作動油の通過を遮断する遮断状態との間で作動状態が切替わり可能な切替え弁であって、パイロット油の供給状態に対応して前記作動状態が切替わる切替え弁と、
前記切替え弁への前記パイロット油が蓄積される第2のアキュムレータと、
車体フレーム及びアクスルを備え、前記サスペンションシリンダーが前記車体フレームと前記アクスルとの間を接続する走行車体と、
前記走行車体に対して旋回可能に前記走行車体に鉛直上側から連結される旋回体と、
を具備
前記走行車体は、
前記アクスルに対して前方側に設置されるアウトリガと、
前後方向について前記アクスルと前記アウトリガとの間で前記車体フレームに取付けられるタンクと、
を備え、
前記第2のアキュムレータは、前記走行車体において前記アウトリガと前記タンクとの間に配置される、
建設機械
【請求項2】
前記第2のアキュムレータから前記切替え弁へ前記パイロット油を供給可能な供給状態と前記第2のアキュムレータから前記切替え弁への前記パイロット油の供給を遮断する非供給状態との間で作動状態が切替わる制御弁をさらに具備する、請求項1の建設機械
【請求項3】
前記切替え弁は、ロック弁及びパイロットチェック弁を備え、
前記ロック弁及び前記パイロットチェック弁のそれぞれは、前記第2のアキュムレータからの前記パイロット油の供給状態に対応して前記開放状態と前記遮断状態との間で前記作動状態が切替わり、
前記パイロットチェック弁は、前記走行車体の幅方向について、前記車体フレームの中央部に設置され、
前記ロック弁は、前記走行車体の前記幅方向について、前記パイロットチェック弁に対して、前記第1のアキュムレータ及び前記第2のアキュムレータが位置する側に配置される、
請求項又はの建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建設機械であるクレーンの油圧サスペンション装置が開示されている。この油圧サスペンション装置が設けられるクレーンでは、走行車体において車体フレームとアクスルとの間をサスペンションシリンダーが接続する。そして、油圧サスペンション装置では、サスペンションシリンダーへの作動油が蓄積されるアキュムレータが、流路を介してサスペンションシリンダーに接続される。また、サスペンションシリンダーとアキュムレータとの間の流路には、パイロットチェック弁等の切替え弁が配置される。クレーンの走行時等では、切替え弁の作動状態を開放状態に切替える。これにより、切替え弁を作動油が通過可能となり、アキュムレータとサスペンションシリンダーとの間で、作動油が授受される。アキュムレータとサスペンションシリンダーとの間での作動油の授受によって、走行時の振動等が吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-157319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1のような建設機械の油圧サスペンション装置では、サスペンションシリンダーとアキュムレータとの間の流路に配置される切替え弁の作動状態は、パイロット油の供給状態に対応して、切替わる。油圧サスペンション装置では、建設機械のエンジンにフライホイールPTO(power take off)を搭載したり、フライホイールPTOによってエンジンから取出された動力によって駆動される油圧ポンプを設けたりすることなく、切替え弁へのパイロット油の供給源が確保されることが、求められている。すなわち、切替え弁へパイロット油を供給する構成の大型化及び複雑化が抑制されることが、求められている。
【0005】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、サスペンションシリンダーとアキュムレータとの間の切替え弁へパイロット油を供給する構成の大型化及び複雑化が抑制される建設機械を提供することにある
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のある態様の建設機械の建設機械、サスペンションシリンダーと、前記サスペンションシリンダーへの作動油が蓄積される第1のアキュムレータと、前記サスペンションシリンダーと前記第1のアキュムレータとの間を接続する流路と、前記流路に配置され、前記作動油が通過可能な開放状態と前記作動油の通過を遮断する遮断状態との間で作動状態が切替わり可能な切替え弁であって、パイロット油の供給状態に対応して前記作動状態が切替わる切替え弁と、前記切替え弁への前記パイロット油が蓄積される第2のアキュムレータと、車体フレーム及びアクスルを備え、前記サスペンションシリンダーが前記車体フレームと前記アクスルとの間を接続する走行車体と、前記走行車体に対して旋回可能に前記走行車体に鉛直上側から連結される旋回体と、を備え、前記走行車体は、前記アクスルに対して前方側に設置されるアウトリガと、前後方向について前記アクスルと前記アウトリガとの間で前記車体フレームに取付けられるタンクと、を備え、前記第2のアキュムレータは、前記走行車体において前記アウトリガと前記タンクとの間に配置される
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、サスペンションシリンダーとアキュムレータとの間の切替え弁へパイロット油を供給する構成の大型化及び複雑化が抑制される建設機械を提供することができる
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係るクレーンを示す側面図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るクレーンにおいて、アクスル(リアアクスル)及びその近傍を示す斜視図である。
図3図3は、第1の実施形態に係るクレーンにおいて、アクスル(リアアクスル)及びその近傍を、図2とは異なる方向から視た状態で示す斜視図である。
図4図4は、第1の実施形態に係るクレーンにおいて、サスペンションシリンダーを作動させる油圧回路及びその油圧回路に関連する構成を示す概略図である。
図5図5は、第1の実施形態に係るクレーンの走行車体において、車体フレーム及びその近傍を示す斜視図である。
図6図6は、第1の実施形態に係るクレーンの走行車体において、油が溜められるタンク及びその近傍を示す斜視図である。
図7図7は、第1の実施形態に係るクレーンの走行車体において、油が溜められるタンク及びその近傍を示し、図6とは視る方向等が異なる斜視図である。
図8図8は、第1の実施形態に係るクレーンの走行車体において、後方側の領域及びその近傍を示す斜視図である。
図9図9は、第1の実施形態に係るクレーンの走行車体において、後方側の領域及びその近傍を示し、図8とは視る方向等が異なる斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を参照にして説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に係る建設機械の一例として、第1の実施形態に係るクレーン1を示す。クレーン1は、トラッククレーンである。図1に示すように、クレーン1は、走行車体2と、走行車体2に鉛直上側(矢印Z1側)から連結される旋回体3と、を備える。旋回体3は、鉛直方向(矢印Z1及び矢印Z2で示す方向)に沿う旋回軸Pを中心として、走行車体2に対して旋回可能である。走行車体2では、鉛直方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)前後方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)、及び、鉛直方向及び前後方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向(図1において紙面に対して垂直又は略垂直な方向)が、規定される。また、旋回体3でも、鉛直方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)前後方向、及び、鉛直方向及び前後方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向が規定される。図1では、走行車体2の前方側(矢印X1側)が旋回体3の前方側と一致又は略一致する状態で、クレーン1を示す。また、図1では、走行車体2及び旋回体3のそれぞれを、幅方向の一方側から視た状態で示す。
【0011】
走行車体2は、運転室5及び車体フレーム6を備える。運転室5は、走行車体2において前方側の部位に設けられ、走行車体2の前方端を形成する。走行車体2の運転室5では、クレーン1を前進させる操作、及び、クレーン1を後退させる操作等のクレーン1の走行に関する操作が入力される。車体フレーム6は、運転室5から走行車体2の後方側へ延設され、走行車体2の後方端を形成する。
【0012】
旋回体3は、運転室5に対して走行車体2の後方側で、車体フレーム6上に設置される。旋回体3は、操作室(キャブ)7を備える。また、旋回体3には、ブーム8の後端部が連結される。ブーム8は、後端部から前端部まで、長手方向に沿って延設される。ブーム8は、旋回体3への連結位置から旋回体3の前方側へ向かって、延設される。ブーム8は、旋回体3に対して起伏可能である。また、ブーム8は、旋回体3と一緒に、走行車体2に対して旋回可能である。本実施形態では、ブーム8は、長手方向について伸縮可能である。操作室7では、旋回体3を旋回させる操作、及び、ブーム8を起伏させる操作等のクレーン1での作業に関する操作が入力される。クレーン1での作業等では、ブーム8は、起きた状態になる。一方、クレーン1の走行時等のクレーン1での作業が行われていない状態では、図1の状態等のように、旋回体3の前方側を走行車体2の前方側と一致又は略一致する状態にし、ブーム8を伏せた状態にする。
【0013】
走行車体2は、アクスル11~14を備える。アクスル11~14のそれぞれは、車体フレーム6に鉛直下側から連結され、走行車体2の幅方向に沿って延設される。本実施形態では、アクスル11,12がフロントアクスルであり、アクスル13,14がリアアクスルである。このため、アクスル11,12は、アクスル13,14に対して走行車体2の前方側に配置される。また、アクスル11,12は、走行車体2の前後方向について、運転室5と旋回体3(旋回軸P)との間に配置される。フロントアクスルの中では、アクスル(第1のフロントアクスル)11は、アクスル(第2のフロントアクスル)12に対して走行車体2の前方側に隣接して配置される。そして、リアアクスルの中では、アクスル(第1のリアアクスル)13は、アクスル(第2のリアアクスル)14に対して走行車体2の前方側に隣接して配置される。
【0014】
走行車体2では、一対の車輪15が、走行車体2の幅方向に対して離れて配置され、アクスル11によって一対の車輪15の間が接続される。そして、一対の車輪16が、走行車体2の幅方向に対して離れて配置され、アクスル12によって一対の車輪16の間が接続される。また、走行車体2では、一対の車輪17が、走行車体2の幅方向に対して離れて配置され、アクスル13によって一対の車輪17の間が接続される。そして、一対の車輪18が、走行車体2の幅方向に対して離れて配置され、アクスル14によって一対の車輪18の間が接続される。本実施形態では、二対の車輪15,16が前輪となり、二対の車輪17,18が後輪となる。
【0015】
また、走行車体2には、二対のアウトリガ21A,21B,22A,22Bが設けられる。本実施形態では、一対のアウトリガ21A,21Bがフロントアウトリガとなり、一対のアウトリガ22A,22Bがリアアウトリガとなる。アウトリガ21A,21Bは、走行車体2において前方側の部位に設けられ、走行車体2の前後方向について、運転室5と旋回体3(旋回軸P)との間に設けられる。そして、アウトリガ21A,21Bは、走行車体2の前後方向について、アクスル12,13の間に配置される。このため、走行車体2では、アウトリガ21A,21Bは、アクスル(フロントアクスル)11,12に対して後方側で、かつ、アクスル(リアアクスル)13,14に対して前方側に設置される。
【0016】
また、アウトリガ22A,22Bは、走行車体2において後方側の部位に設けられ、旋回体3の旋回軸Pに対して走行車体2の後方側に設けられる。そして、走行車体2では、アウトリガ22A,22Bは、アクスル(リアアクスル)13,14に対して後方側に設置される。アウトリガ21A,22Aは、走行車体2の幅方向について、車体フレーム6の一方側の側部に配置され、図1の一例では、車体フレーム6の左方側の側部に配置される。また、アウトリガ21B,22Bは、走行車体2の幅方向について、車体フレーム6のアウトリガ21A,22Aが位置する側とは反対側の側部に配置され、図1の一例では、車体フレーム6の右方側の側部に配置される。クレーン1を用いた作業時においては、アウトリガ21A,21B,22A,22Bのそれぞれを走行車体2の幅方向の外側へ張出すとともに、アウトリガ21A,21B,22A,22Bのそれぞれを地盤に接地させることにより、走行車体2を支える。
【0017】
また、走行車体2では、幅方向についてアウトリガ21A,22Aが位置する側(左方側)の側部に、アウトリガステー23,24が設けられる。アウトリガ21Aは、走行車体2の幅方向の外側へ張出されていない状態において、アウトリガステー23の鉛直下側に近接して形成されるアウトリガボックスに、収納される。また、アウトリガ22Aは、走行車体2の幅方向の外側へ張出されていない状態において、アウトリガステー24の鉛直下側に近接して形成されるアウトリガボックスに、収納される。
【0018】
また、走行車体2では、幅方向についてアウトリガ21A,22Aが位置する側(左方側)の側部に、ブラケット(ホリゾンタルシリンダーブラケット)25,26が設けられる。ブラケット25は、アウトリガ21A及びアウトリガステー23に対して、走行車体2の後方側に隣接する。そして、ブラケット25は、アクスル(フロントアクスル)11,12に対して後方側で、かつ、アクスル(リアアクスル)13,14に対して前方側に配置される。また、ブラケット26は、アウトリガ22A及びアウトリガステー24に対して、走行車体2の後方側に隣接する。そして、ブラケット26は、アクスル(リアアクスル)13,14に対して後方側に配置される。
【0019】
ブラケット25,26のそれぞれの内部には、ホリゾンタルシリンダーが収納される。ブラケット25の内部のホリゾンタルシリンダーが駆動されることにより、アウトリガ21Bが走行車体2の幅方向の外側へ張出される。また、ブラケット26の内部のホリゾンタルシリンダーが駆動されることにより、アウトリガ22Bが走行車体2の幅方向の外側へ張出される。なお、アウトリガ21Bを作動させるホリゾンタルシリンダー、及び、アウトリガ22Bを作動させるホリゾンタルシリンダーは、走行車体2の幅方向について、アウトリガ21B,22Bとは反対側(左方側)の側部に配置される。
【0020】
また、走行車体2では、幅方向についてアウトリガ21A,22Aが位置する側(左方側)の側部に、タンク27が設けられる。タンク27は、アクスル(リアアクスル)13,14に対して走行車体2の前方側で、かつ、アウトリガ(フロントアウトリガ)21A,21B及びブラケット25に対して走行車体2の後方側に、配置される。したがって、タンク27は、走行車体2の前後方向について、アウトリガ21Aとアクスル13との間で、すなわち、ブラケット25とアクスル13との間で、車体フレーム6に取付けられる。図1の一例では、タンク27は、油タンクであり、タンク27に油が溜められる。
【0021】
図2及び図3は、アクスル(リアアクスル)13,14及びその近傍を示す。図2及び図3では、互いに対して視る方向が異なり、図2及び図3等では、矢印W1及び矢印W2で示す方向が、走行車体2の幅方向となる。図2及び図3に示すように、走行車体2では、4本のトルクロッド31~34のそれぞれが、アクスル13と車体フレーム6との間を接続し、4本のトルクロッド35~38のそれぞれが、アクスル14と車体フレーム6との間を接続する。トルクロッド31~38のそれぞれは、走行車体2の前後方向について、アクスル13,14の間の位置で車体フレーム6に接続される。また、トルクロッド31,33,35,37は、トルクロッド32,34,36,38に対して、鉛直下側に配置される。
【0022】
また、アクスル13では、走行車体2の幅方向についてアウトリガ21A,22Aが位置する側(矢印W1側)の端部に、トルクロッド31,32が接続され、走行車体2の幅方向についてアウトリガ21B,22Bが位置する側(矢印W2側)の端部に、トルクロッド33,34が接続される。そして、アクスル14では、走行車体2の幅方向についてアウトリガ21A,22Aが位置する側の端部に、トルクロッド35,36が接続され、走行車体2の幅方向についてアウトリガ21B,22Bが位置する側の端部に、トルクロッド37,38が接続される。
【0023】
トルクロッド31,33のそれぞれは、アクスル13から走行車体2の後方側へ向かって延設される。トルクロッド32,34のそれぞれでは、走行車体2の後方側の部位ほど、すなわち、アクスル13から離れた部位ほど、走行車体2の幅方向の内側に位置する。トルクロッド35,37のそれぞれは、アクスル14から走行車体2の前方側へ向かって延設される。トルクロッド36,38のそれぞれでは、走行車体2の前方側の部位ほど、すなわち、アクスル14から離れた部位ほど、走行車体2の幅方向の内側に位置する。
【0024】
また、走行車体2では、一対のサスペンションシリンダー41A,41Bのそれぞれが、アクスル13と車体フレーム6との間を接続し、一対のサスペンションシリンダー42A,42Bのそれぞれが、アクスル14と車体フレーム6との間を接続する。アクスル13では、走行車体2の幅方向についてアウトリガ21A,22Aが位置する側(矢印W1側)の端部に、サスペンションシリンダー41Aが接続され、走行車体2の幅方向についてアウトリガ21B,22Bが位置する側(矢印W2側)の端部に、サスペンションシリンダー41Bが接続される。また、アクスル14では、走行車体2の幅方向についてアウトリガ21A,22Aが位置する側の端部に、サスペンションシリンダー42Aが接続され、走行車体2の幅方向についてアウトリガ21B,22Bが位置する側の端部に、サスペンションシリンダー42Bが接続される。
【0025】
サスペンションシリンダー41A,41Bのそれぞれは、アクスル13から鉛直上側へ向かって延設される。また、サスペンションシリンダー42A,42Bのそれぞれは、アクスル14から鉛直上側へ向かって延設される。サスペンションシリンダー41A,41B,42A,42Bのそれぞれは、油圧によって作動される。
【0026】
図4は、クレーン1において、サスペンションシリンダー41A,41B,42A,42Bを作動させる油圧回路及びその油圧回路に関連する構成を示す。図4に示すように、クレーン1には、サスペンションシリンダー41A,41B,42A,42Bを備える油圧サスペンション装置40が搭載される。また、クレーン1には、エンジン43、トランスミッションPTO(power take off)45、ポンプブロック46及び弁ブロック47が設けられる。トランスミッションPTO45は、クレーン1を用いた作業時等のクレーン1の走行時以外の状態において、エンジン43から動力を取出す。ポンプブロック46は、ポンプ48を含む複数のポンプを備える。ポンプブロック46のポンプは、トランスミッションPTO45が取出した動力によって、作動される。このため、ポンプブロック46のポンプは、クレーン1を用いた作業時等のクレーン1の走行時以外の状態において作動され、クレーン1の走行時には作動されない。
【0027】
クレーン1を用いた作業時等では、ポンプブロック46のポンプ48は、トランスミッションPTO45が取出した動力によって作動されることにより、前述のタンク27に溜められた油を吐出する。クレーン1では、アウトリガ21A,21B,22A,22Bのホリゾンタルシリンダー及び油圧サスペンション装置40のそれぞれに、ポンプ48から吐出された油が、弁ブロック47を通して供給される。弁ブロック47に設けられる弁の作動状態に対応して、アウトリガ21A,21B,22A,22Bのそれぞれのホリゾンタルシリンダーへの油(作動油)の供給状態が、切替わる。そして、弁ブロック47に設けられる弁の作動状態に対応して、油圧サスペンション装置40への油の供給状態が、切替わる。
【0028】
油圧サスペンション装置40は、アキュムレータ(第1のアキュムレータ)51A,51Bを備える。アキュムレータ51A,51Bのそれぞれは、窒素等の気体が蓄圧された状態で内部に充填される圧力容器である。アキュムレータ51A,51Bのそれぞれの内部には、ポンプ48から吐出された油等が、サスペンションシリンダー41A,41B,42A,42Bへの作動油として蓄積される。
【0029】
油圧サスペンション装置40には、流路53~56が形成される。アキュムレータ51Aは、流路53を介して、サスペンションシリンダー41A,42Aのそれぞれのヘッド側容積室に接続される。また、アキュムレータ51Aは、流路54を介して、サスペンションシリンダー41B,42Bのそれぞれのロッド側容積室に接続される。そして、アキュムレータ51Bは、流路55を介して、サスペンションシリンダー41B,42Bのそれぞれのヘッド側容積室に接続される。また、アキュムレータ51Bは、流路56を介して、サスペンションシリンダー41A,42Aのそれぞれのロッド側容積室に接続される。このため、油圧サスペンション装置40では、流路53~56によって、閉回路(サスペンション閉回路)58が形成される。サスペンションシリンダー41A,41B,42A,42Bのそれぞれは、閉回路58を通して、アキュムレータ51A,51Bとの間で、作動油を授受する。
【0030】
油圧サスペンション装置40は、弁ブロック(サスペンション弁ブロック)60及びパイロットチェック弁61A,61Bを備える。そして、弁ブロック60は、ロック弁62A,62B、充填切替え弁63A,63B及び排出切替え弁65A,65Bを備える。パイロットチェック弁61A,61B及びロック弁62A,62Bは、閉回路58に配置される。ロック弁62Aは、アキュムレータ51Aをサスペンションシリンダー41A,42Aに接続する流路53に配置され、ロック弁62Bは、アキュムレータ51Bをサスペンションシリンダー41B,42Bに接続する流路55に配置される。そして、パイロットチェック弁61Aは、アキュムレータ51Bをサスペンションシリンダー41A,42Aに接続する流路56に配置され、パイロットチェック弁61Bは、アキュムレータ51Aをサスペンションシリンダー41B,42Bに接続する流路54に配置される。
【0031】
パイロットチェック弁61A,61B及びロック弁62A,62Bのそれぞれは、開放状態と遮断状態との間で作動状態が切替わり可能な切替え弁である。パイロットチェック弁61A,61B及びロック弁62A,62Bのそれぞれでは、開放状態において作動油が通過可能となり、遮断状態において作動油の通過が遮断される。パイロットチェック弁61A,61B及びロック弁62A,62Bのそれぞれは、パイロット油の供給状態に対応して作動状態が切替わり、パイロット油からの油圧に対応して作動状態が切替わる。
【0032】
充填切替え弁63A及び排出切替え弁65Aは、閉回路58の流路53に接続され、充填切替え弁63B及び排出切替え弁65Bは、閉回路58の流路55に接続される。充填切替え弁63A,63Bのそれぞれは、閉回路58に油(作動油)を充填する充填状態と閉回路58への油の充填が遮断される非充填状態との間で、作動状態が切替わり可能である。そして、排出切替え弁65A,65Bのそれぞれは、閉回路58から油(作動油)を排出する排出状態と閉回路58からの油の排出が遮断される非排出状態との間で、作動状態が切替わり可能である。閉回路58への油の充填、及び、閉回路58からの油の排出のいずれかが必要な場合を除き、通常時では、充填切替え弁63A,63Bは非充填状態にされ、排出切替え弁65A,65Bは、非排出状態にされる。
【0033】
また、油圧サスペンション装置40は、リリーフ弁66及びチェック弁67A,67Bを備える。リリーフ弁66は、チェック弁67Aを間に介して、閉回路58の流路56に接続される。また、リリーフ弁66は、チェック弁67Bを間に介して、閉回路58の流路54に接続される。リリーフ弁66は、所定の大きさ以上の油圧が作用することにより、開放状態になり、タンク27へ油を排出する。リリーフ弁66を設けることにより、閉回路58における作動油の油圧が過度に高くなることが防止され、サスペンションシリンダー41A,41B,42A,42Bのそれぞれへの作動油からの油圧が過度に高くなることが防止される。これにより、サスペンションシリンダー41A,41B,42A,42Bのそれぞれの破損等が有効に防止される。また、チェック弁67A,67Bのそれぞれによって、リリーフ弁66から閉回路58への油の逆流が防止される。
【0034】
油圧サスペンション装置40は、アキュムレータ(第2のアキュムレータ)71及び制御弁72を備える。油圧サスペンション装置40の弁ブロック(サスペンション弁ブロック)60へは、弁ブロック47から流路73を通して、油が供給される。また、弁ブロック(サスペンション弁ブロック)60と弁ブロック47との間では、流路73から流路75が分岐する。アキュムレータ71及び制御弁72は、流路75を介して、流路73に接続される。また、流路75では、アキュムレータ71と流路73との間にチェック弁76が配置される。チェック弁76によって、流路75から流路73への油の逆流が防止される。
【0035】
アキュムレータ(第2のアキュムレータ)71は、アキュムレータ51A,51Bと同様に、窒素等の気体が蓄圧された状態で内部に充填される圧力容器である。アキュムレータ71の内部には、ポンプ48から吐出された油等が、パイロットチェック弁61A,61B及びロック弁62A,62Bへのパイロット油として蓄積される。アキュムレータ71は、制御弁72を間に介して、切替え弁となるパイロットチェック弁61A,61B及びロック弁62A,62Bのそれぞれへ接続される。
【0036】
制御弁72は、電力の供給状態に対応して作動状態が切替わる電磁弁である。クレーン1では、走行車体2の運転室5において、制御弁72への電力の供給状態を切替える操作、すなわち、制御弁72の作動状態を切替える操作が入力される。制御弁72は、供給状態と非供給状態との間で、作動状態が切替わる。図4の一例では、制御弁72に電力が供給されていない状態において、制御弁72は非供給状態にされ、パイロットチェック弁61A,61B及びロック弁62A,62Bへのパイロット油の供給が遮断される。そして、制御弁72に電力が供給されることにより、制御弁72は供給状態に切替えられ、パイロットチェック弁61A,61B及びロック弁62A,62Bへパイロット油を供給可能になる。
【0037】
クレーン1の走行時には、制御弁72が供給状態にされ、アキュムレータ71からパイロットチェック弁61A,61B及びロック弁62A,62Bのそれぞれにパイロット油が供給される。これにより、切替え弁であるパイロットチェック弁61A,61B及びロック弁62A,62Bのそれぞれが、開放状態になる。切替え弁(61A,61B,62A,62B)が開放状態になることにより、サスペンションシリンダー41A,41B,42A,42Bのそれぞれは、閉回路58を通して、アキュムレータ51A,51Bとの間で、作動油を授受する。これにより、サスペンションシリンダー41A,41B,42A,42Bが緩衝機能を有する状態になり、走行時の振動等が吸収される。
【0038】
一方、アウトリガ21A,21B,22A,22Bを接地させ、クレーン1を用いて作業を行っている状態では、制御弁72が非供給状態にされ、アキュムレータ71からパイロットチェック弁61A,61B及びロック弁62A,62Bのそれぞれへのパイロット油の供給が遮断される。これにより、切替え弁であるパイロットチェック弁61A,61B及びロック弁62A,62Bのそれぞれが、遮断状態になる。切替え弁(61A,61B,62A,62B)が遮断状態になることにより、サスペンションシリンダー41A,41B,42A,42Bのそれぞれは、アキュムレータ51A,51Bとの間で作動油を授受しない状態となる。これにより、サスペンションシリンダー41A,41B,42A,42Bが緩衝機能を発揮しない状態になる。
【0039】
図5は、走行車体2において車体フレーム6及びその近傍を示す。また、図6及び図7は、走行車体2においてタンク27及びその近傍を示し、図7は、図6とは視る方向等が異なる。また、図8及び図9は、走行車体2において後方側の領域及びその近傍を示し、図9は、図8とは視る方向等が異なる。
【0040】
図5及び図6等に示すように、走行車体2では、アキュムレータ(第2のアキュムレータ)71は、幅方向についてアウトリガ21A,22A及びタンク27が位置する側(左方側)の側部に、配置される。したがって、走行車体2では、アキュムレータ71は、幅方向についてサスペンションシリンダー41A,42Aが位置する側の側部に、配置される。そして、アキュムレータ71は、ブラケット25の内部に配置され、走行車体2の前後方向についてタンク27とアウトリガ(フロントアウトリガ)21Aとの間に配置される。すなわち、アキュムレータ71は、タンク27とアウトリガステー23との間に配置される。このため、アクスル(リアアクスル)13とアキュムレータ71との間には、タンク27が配置される。
【0041】
また、ブラケット25の内部では、アキュムレータ71は、ホリゾンタルシリンダー(図示しない)に対して走行車体2の幅方向の内側に配置され、ホリゾンタルシリンダーに比べて車体フレーム6の側面に近い位置に配置される。また、アキュムレータ71は、車体フレーム6の鉛直上側の端面より鉛直上側に突出しない範囲で可能な限り高い位置に設置されることが、好ましい。これにより、アキュムレータ71に関連する配管のホリゾンタルシリンダーに関連する配管との干渉が、有効に防止される。
【0042】
図5乃至図7等に示すように、走行車体2においてアウトリガ21A,22Aが位置する側の側部では、サスペンションシリンダー41Aが、アクスル13に対して、走行車体2の前後方向にずれることなく又はほとんどずれることなく配置される。そして、走行車体2においてアウトリガ21A,22Aが位置する側の側部では、サスペンションシリンダー42Aが、アクスル14に対して、走行車体2の前後方向にずれることなく又はほとんどずれることなく配置される。このため、サスペンションシリンダー42Aは、サスペンションシリンダー41Aに対して、走行車体2の後方側に配置される。
【0043】
また、走行車体2では、制御弁72は、幅方向についてアウトリガ21A,22A及びタンク27が位置する側(左方側)の側部に、配置される。そして、制御弁72は、アクスル13及びサスペンションシリンダー41Aに対して、走行車体2の前方側に配置され、走行車体2の前後方向について、サスペンションシリンダー41Aとタンク27との間に配置される。このため、アキュムレータ71は、走行車体2の前後方向について、制御弁72との間でタンク27を挟む。また、制御弁72は、サスペンションシリンダー41A,42Aに対して走行車体2の幅方向の内側に配置され、サスペンションシリンダー41A,42Aに比べて車体フレーム6の側面に近い位置に配置される。
【0044】
図5及び図8等に示すように、走行車体2では、アキュムレータ(第1のアキュムレータ)51A,51Bは、幅方向についてアウトリガ21A,22A及びタンク27が位置する側(左方側)の側部に、配置される。そして、アキュムレータ51A,51Bは、アクスル14及びサスペンションシリンダー41Bに対して、走行車体2の後方側に配置され、走行車体2において後方側の領域に配置される。本実施形態では、アキュムレータ51A,51Bは、アウトリガ(リアアウトリガ)22Aに対して走行車体2の前方側に隣接し、アウトリガステー24に対して走行車体2の前方側に隣接する。また、アキュムレータ51A,51Bは、走行車体の幅方向について、互いに対して隣接して配置される。
【0045】
また、走行車体2では、ロック弁62A,62Bを含む弁ブロック(サスペンション弁ブロック)60は、幅方向についてアウトリガ21A,22A及びタンク27が位置する側(左方側)の側部に、配置される。そして、弁ブロック60は、アキュムレータ51A,51Bに対して、走行車体2の前後方向にずれることなく又はほとんどずれることなく配置される。このため、弁ブロック60は、アクスル14及びサスペンションシリンダー41Bに対して、走行車体2の後方側に配置される。ロック弁62A,62Bを含む弁ブロック60は、アキュムレータ51A,51Bに対して走行車体2の幅方向の内側に配置され、アキュムレータ51A,51Bに比べて車体フレーム6の側面に近い位置に配置される。
【0046】
図8及び図9に示すように、走行車体2では、後方側の領域に、パイロットチェック弁61A,61B、リリーフ弁66及びチェック弁67A,67Bが設置される。そして、走行車体2では、パイロットチェック弁61A,61B、リリーフ弁66及びチェック弁67A,67Bによって、1つのサブアセンブリが形成され、パイロットチェック弁61A,61B、リリーフ弁66及びチェック弁67A,67Bは、1つのサブアセンブリとして、車体フレーム6に取付けられる。パイロットチェック弁61A,61B、リリーフ弁66及びチェック弁67A,67Bを含むサブアセンブリは、走行車体2の幅方向について、車体フレーム6の中央部に設置される。
【0047】
サブアセンブリでは、リリーフ弁66が、走行車体2の幅方向について、チェック弁67A,67Bの間で挟まれ、リリーフ弁66及びチェック弁67A,67Bが、走行車体2の幅方向について、パイロットチェック弁61A,61Bの間で挟まれる。なお、図8及び図9等の一例では、走行車体2の幅方向について車体フレーム6の中央位置は、リリーフ弁66に位置する。パイロットチェック弁61A,61Bを含むサブアセンブリは、アキュムレータ51A,51B及び弁ブロック60に対して、走行車体2の前後方向にずれることなく又はほとんどずれることなく配置される。このため、パイロットチェック弁61A,61Bを含むサブアセンブリは、アクスル14及びサスペンションシリンダー42A,42Bに対して、走行車体2の後方側に配置される。また、弁ブロック60は、走行車体2の幅方向について、パイロットチェック弁61A,61Bを含むサブアセンブリとアキュムレータ51A,51Bとの間に配置される。
【0048】
前述のような配置構成であるため、走行車体2では、ロック弁62A,62Bを含む弁ブロック60は、走行車体2の幅方向について、パイロットチェック弁61A,61Bを含むサブアセンブリに対して、アキュムレータ51A,51B,71及び制御弁72が位置する側に配置される。すなわち、ロック弁62A,62Bを含む弁ブロック60は、走行車体2の幅方向について、車体フレーム6(車体フレーム6の中央位置)に対して、アキュムレータ51A,51B,71及び制御弁72が位置する側に配置される。そして、アキュムレータ71は、制御弁72に対して、走行車体2の前方側に位置し、ロック弁62A,62Bを含む弁ブロック60、パイロットチェック弁61A,61Bを含むサブアセンブリ、及び、アキュムレータ51A,51Bは、制御弁72に対して、走行車体2の後方側に位置する。
【0049】
本実施形態では、パイロットチェック弁61A,61B及びロック弁62A,62Bが、切替え弁として閉回路(サスペンション閉回路)58に配置され、切替え弁は、作動油が通過可能な開放状態と作動油の通過を遮断する遮断状態との間で作動状態が切替わり可能である。そして、切替え弁は、パイロット油の供給状態に対応して作動状態が切替わり、切替え弁へのパイロット油は、アキュムレータ71に蓄積される。このため、本実施形態では、トランスミッションPTO45とは別にフライホイールPTOをエンジン43に搭載したり、フライホイールPTOによってエンジンから取出された動力によって駆動される油圧ポンプをポンプブロック46とは別に設けたりすることなく、切替え弁(61A,61B,62A,62B)へのパイロット油の供給源が確保される。これにより、油圧サスペンション装置40において、サスペンションシリンダー41A,41B,42A,42Bとアキュムレータ51A,51Bとの間の切替え弁(61A,61B,62A,62B)へパイロット油を供給する構成の大型化及び複雑化が、抑制される。また、切替え弁(61A,61B,62A,62B)へパイロット油を供給する構成の大型化及び複雑化が抑制されることにより、油圧サスペンション装置40に掛かるコスト等が抑制される。
【0050】
また、本実施形態では、アキュムレータ71から切替え弁(61A,61B,62A,62B)へパイロット油を供給可能な供給状態とアキュムレータ71から切替え弁(61A,61B,62A,62B)へのパイロット油の供給を遮断する非供給状態との間で、制御弁72の作動状態が切替わる。このため、運転室5での操作等によって制御弁72の作動状態が適切に制御されることにより、切替え弁(61A,61B,62A,62B)の作動状態が適切に制御される。
【0051】
また、本実施形態では、アキュムレータ71は、走行車体2の前後方向についてタンク27とアウトリガ(フロントアウトリガ)21Aとの間に配置され、アクスル(リアアクスル)13とアキュムレータ71との間には、タンク27が配置される。このため、アクスル13が接続される車輪17、及び、車輪17からの飛来物等とのアキュムレータ71の干渉が有効に、防止される。また、アキュムレータ71とアクスル(フロントアクスル)12との間には、アウトリガ21Aのアウトリガステー23が配置される。このため、アクスル12が接続される車輪16、及び、車輪16からの飛来物等とのアキュムレータ71の干渉が有効に、防止される。これにより、圧力容器であるアキュムレータ71の破損等が、有効に防止される。
【0052】
また、本実施形態では、パイロットチェック弁61A,61Bを含むサブアセンブリは、走行車体2の幅方向について、車体フレーム6の中央部に設置される。そして、走行車体2では、ロック弁62A,62Bを含む弁ブロック60は、走行車体2の幅方向について、パイロットチェック弁61A,61Bを含むサブアセンブリに対して、アキュムレータ51A,51B,71及び制御弁72が位置する側に配置される。これにより、閉回路58を含む油圧サスペンション装置40において、配管が長くなることが抑制される。したがって、油圧サスペンション装置40の配管作業における作業性が向上し、油圧サスペンション装置40に掛かるコスト等がさらに抑制される。
【0053】
(変形例)
なお、ある変形例では、アキュムレータ71と切替え弁(61A,61B,62A,62B)との間の制御弁72は、電力が供給されていない状態において、切替え弁(61A,61B,62A,62B)へパイロット油を供給可能な供給状態になってもよい。この場合、制御弁72へ電力を供給することにより、制御弁72は、切替え弁(61A,61B,62A,62B)へのパイロット油の供給を遮断する非供給状態になる。
【0054】
また、前述の実施形態等では、パイロットチェック弁61A,61B及びロック弁62A,62Bから切替え弁が構成されるが、ある変形例では、切替え弁として4つのパイロットチェック弁が設けられてもよく、別のある変形例では、切替え弁として4つのロック弁が設けられてもよい。また、切替え弁がロック弁である場合は、ロック弁は、パイロット油が供給されていない状態において、作動油が通過可能な開放状態になってもよい。この場合、ロック弁は、パイロット油が供給されることにより、作動油の通過が遮断される遮断状態になる。
【0055】
また、ある変形例では、アクスル(リアアクスル)13とアキュムレータ71との間に、油が溜められるタンク27の代わりに、燃料が溜められるタンクが配置されてもよい。この場合も、燃料が溜められるタンク(燃料タンク)によって、アクスル13が接続される車輪17、及び、車輪17からの飛来物等とのアキュムレータ71の干渉が有効に、防止される。そして、本変形例では、走行車体2では、油が溜められるタンク27は、幅方向についてアキュムレータ51A,51B,71及び弁ブロック60とは反対側の側部に、設置される。
【0056】
また、前述の実施形態では、走行車体2において、アキュムレータ51A,51B,71、弁ブロック60及び制御弁72は、幅方向について左方側の側部に配置されるが、これに限るものではない。ある変形例では、走行車体2において、アキュムレータ51A,51B,71、弁ブロック60及び制御弁72は、幅方向について右方側の側部に配置されてもよい。この場合も、走行車体2では、ロック弁62A,62Bを含む弁ブロック60は、走行車体2の幅方向について、パイロットチェック弁61A,61Bを含むサブアセンブリに対して、アキュムレータ51A,51B,71及び制御弁72が位置する側に配置される。
【0057】
また、前述の実施形態等の油圧サスペンション装置40の構成等は、走行車体2及び走行車体2に対して旋回可能な旋回体を備える建設機械であれば、クレーン1以外の建設機械においても適用可能である。
【0058】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0059】
1…クレーン、2…走行車体、3…旋回体、6…車体フレーム、11,12…アクスル(フロントアクスル)、13,14…アクスル(リアアクスル)、21A,21B…アウトリガ(フロントアウトリガ)、22A,22B…アウトリガ(リアアウトリガ)、27…タンク、31~38…トルクロッド、40…油圧サスペンション装置、41A,41B,42A,42B…サスペンションシリンダー、51A,51B…アキュムレータ(第1のアキュムレータ)、53~56…流路、58…閉回路、60…弁ブロック(サスペンション弁ブロック)、61A,61B…パイロットチェック弁、62A,62B…ロック弁、71…アキュムレータ(第2のアキュムレータ)、72…制御弁。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9