IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サトーホールディングス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-プリンタ、プリンタセット 図1
  • 特許-プリンタ、プリンタセット 図2
  • 特許-プリンタ、プリンタセット 図3
  • 特許-プリンタ、プリンタセット 図4
  • 特許-プリンタ、プリンタセット 図5
  • 特許-プリンタ、プリンタセット 図6
  • 特許-プリンタ、プリンタセット 図7
  • 特許-プリンタ、プリンタセット 図8
  • 特許-プリンタ、プリンタセット 図9
  • 特許-プリンタ、プリンタセット 図10
  • 特許-プリンタ、プリンタセット 図11
  • 特許-プリンタ、プリンタセット 図12
  • 特許-プリンタ、プリンタセット 図13
  • 特許-プリンタ、プリンタセット 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】プリンタ、プリンタセット
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/13 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
B41J29/13
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020191915
(22)【出願日】2020-11-18
(65)【公開番号】P2022080704
(43)【公開日】2022-05-30
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】星 和行
(72)【発明者】
【氏名】陣内 孝賢
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-049870(JP,A)
【文献】特開2015-110467(JP,A)
【文献】特開2018-202796(JP,A)
【文献】特開2019-171826(JP,A)
【文献】特開平05-261987(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0024107(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンフォールド紙を挿通するための挿通口であって、プリンタ本体底部においてプリンタ載置面に対向するプリンタ底面に形成された挿通口と、
前記プリンタ本体底部にスライド可能に装着され、前記挿通口を開閉するためのスライド式開閉カバーと、
を備えるプリンタ。
【請求項2】
ロール紙を収容するためのロール紙収容室が内部に設けられ、
前記挿通口は、前記ロール紙収容室に連通している、
請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記ファンフォールド紙は、前記挿通口を介して前記ロール紙収容室に挿入されて排出口に向かう、
請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記挿通口は、側面視で見たときに、前記ロール紙収容室に収容されたロール紙の仮想的な中心軸がある位置と前記ロール紙収容室の後端位置の間に形成されている、
請求項2に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記プリンタ本体底部は、少なくとも前記挿通口の周辺部において、下側に在る底部カバーと上側に在るフレームを含む二重底構造を有し、
前記スライド式開閉カバーは、基部とガイド部を備え、
前記スライド式開閉カバーは、第1位置と第2位置との間でスライド可能であり、
前記基部は、前記スライド式開閉カバーが前記第1位置に在るときに前記挿通口を閉鎖し、前記スライド式開閉カバーが前記第2位置に在るときに前記挿通口を開放し、
前記ガイド部は、前記スライド式開閉カバーが前記第2位置に在るときに前記底部カバーと前記フレームとの境界の少なくとも一部を覆うように構成される、
請求項1に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記ガイド部は、少なくとも前記スライド式開閉カバーが前記第2位置に在るときに前記挿通口の厚み方向において前記底部カバーと前記フレームに跨った範囲を占める、
請求項に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記スライド式開閉カバーが前記第2位置に在り、前記挿通口に前記ファンフォールド紙が印字のために挿通されたときに前記ファンフォールド紙の台紙にラベルが加着された面が前記ガイド部に対向するように前記スライド式開閉カバーが装着される、
請求項5又は6に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記挿通口は、前記プリンタがクレードルに載置されたときに、前記クレードルの上面部に形成されたクレードル側挿通口に対して少なくとも一部が重なるように設けられている、
請求項1からの何れか1項に記載のプリンタ。
【請求項9】
請求項1からの何れか1項に記載のプリンタと、
前記プリンタが載置されるクレードルを備え、
前記クレードルの上面部にはクレードル側挿通口が形成され、
前記プリンタに備わる前記挿通口は、前記プリンタが前記クレードルに載置されたときに、前記クレードル側挿通口に対して少なくとも一部が重なるように設けられる、
プリンタセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字媒体に情報を印字するプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ファンフォールド紙(連続帳票ともいう。)に印字できるように構成されたプリンタが知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
図1Aおよび図1Bに示すように、ファンフォールド紙301は、長さ方向に帯状(長尺状)の台紙302(剥離紙)と、この台紙302の表面306の上層に仮着する複数のラベル片303と、を有する。ラベル片303の裏面には台紙302に対向して粘着剤層を形成してある。
【0004】
特に、互いに隣り合うラベル片303の間の台紙302の幅方向に形成した複数本の折り目304によりつづら折り(山折りおよび谷折りを交互に繰り返したジグザグ状に)に折り畳んでいる。折り目304としては、台紙302に穿設したミシン目の構造を採用している。
【0005】
なお図1Cに示すように、台紙302の裏面307に位置検出用マーク305をあらかじめ印刷しておき、任意のプリンタ(図示せず)により必要な情報を印字する際のラベル片303の位置検出に利用する。
【0006】
特許文献1に記載されたプリンタでは、ファンフォールド紙がプリンタの背面に配設されたファンフォールド紙用紙挿入口から挿入され、プリンタの前面から排出されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2007-237565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載されているプリンタでは、挿通口は、プリンタ本体の後面に設けられ、観音開きまたは片開きのカバーによりファンフォールド紙の挿通口を開閉しているため、ファンフォールド紙を挿通するためにカバーを開くためには、開いたカバーが占める空間をプリンタ本体の後方に設ける必要がある。従って、省スペース性に欠ける。
【0009】
そこで、本発明は、省スペース性を満たしつつファンフォールド紙に対する印字を可能にするプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様によれば、
ファンフォールド紙を挿通するための挿通口であって、プリンタ本体底部においてプリンタ載置面に対向するプリンタ底面に形成された挿通口と、
前記プリンタ本体底部にスライド可能に装着され、前記挿通口を開閉するためのスライド式開閉カバーと、
を備えるプリンタが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明のある態様によれば、省スペース性を満たしつつファンフォールド紙に対する印字が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1Aは、ファンフォールド紙の斜視図であり図1Bは、ファンフォールド紙の表面の平面図であり、図1Cは、ファンフォールド紙の裏面の平面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るプリンタのプリンタカバーが開いた状態の正面、平面および左側面を表す斜視図である。
図3図3は、プリンタ、クレードルおよびクレードルの後に載置されたファンフォールド紙の側方断面図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るプリンタの背面、底面および左側面を表す斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係るクレードルの正面、平面および右側面を表す斜視図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係るクレードルの正面、底面および右側面を表す斜視図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係るプリンタのボトムカバーと、スライドカバーとフレームの分解斜視図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係るプリンタの底部に備わる挿通口付近におけるボトムカバーと、フレームと、スライド式開閉カバーを示す側方断面図である。
図9図9Aは、本発明の実施形態に係るプリンタのスライド式開閉カバーおよびその周辺部を示す平面図であり、図9Bは、本発明の実施形態に係るプリンタのスライド式開閉カバーおよびその周辺部に備わるロック部を示す部分拡大平面図である。
図10図10は、プリンタの底部に備わる挿通口と、開放位置に在るスライド式開閉カバーと、開いた挿通口に挿通されたファンフォールド紙とを示す斜視図である。
図11図11Aは、本発明の実施形態に係るプリンタの底部に備わる挿通口付近におけるボトムカバーと、フレームと、開放位置に在るスライド式開閉カバーを示す側方断面図であり、図11Bは、本発明の実施形態に係るプリンタの底部に備わる挿通口付近におけるボトムカバーと、開放位置に在るスライド式開閉カバーを示す斜視図である。
図12図12Aは、本発明の実施形態に係るプリンタの底部に備わる挿通口付近におけるボトムカバーと、フレームと、閉鎖位置に在るスライド式開閉カバーを示す側方断面図であり、図12Bは、本発明の実施形態に係るプリンタの底部に備わる挿通口付近におけるボトムカバーと、閉鎖位置に在るスライド式開閉カバーを示す斜視図である。
図13図13Aから図13Eは、本発明の実施形態に係るプリンタにおける、スライド式開閉カバーのプリンタ本体底部への取付け工程を示す側方断面図である。
図14図14Aは、本発明の実施形態に係るプリンタの底部に備わる挿通口付近におけるボトムカバーと、フレームと、開放位置に在る他のスライド式開閉カバーを示す側方断面図である。図14Bは、本発明の実施形態に係るプリンタの底部に備わる挿通口付近におけるボトムカバーと、フレームと、開放位置に在る更に他のスライド式開閉カバーを示す側方断面図である。図14Cは、本発明の他の実施形態に係るプリンタのスライド式開閉カバーおよびその周辺部を示す側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るプリンタの一実施形態について説明する。
【0014】
(1)プリンタの構成
以下、実施形態に係るプリンタ1について、図2を参照して説明する。
【0015】
図2は、実施形態に係るプリンタ1のプリンタカバー3が開いた状態の正面、平面および左側面を表す斜視図である。
【0016】
図2に示すように、本実施形態のプリンタ1は、本体ケース2と、プリンタカバー3と、表示パネル4と、プラテンローラ10と、サーマルヘッド28を備える。
【0017】
図2において理解されるように、プリンタ1の底面は略長方形をなしており、その長辺に沿った方向を前後方向と定義する。すなわち、表示パネル4が設けられている側を前方(FR)と定義し、その反対側の開閉カバー側を後方(RR)と定義する。当該前後方向を基準として、右側(RH)、左側(LH)、上側(UP)および下側(LO)を定義する。なお、以下の説明では適宜、右側(RH)の方向または左側(LH)の方向を横方向といい、上側(UP)の方向または下側(LO)の方向を上下方向という。
【0018】
図2に示すように、プリンタ1の内部は、ロール紙に印字するときにロール紙を収容するためのロール紙収容室9が設けられてもよく、本体ケース2にはロール紙を載置するための内部底面2a(図3参照)が形成されてもよい。
【0019】
プリンタカバー3は、プリンタ1の内部を開放または閉鎖するカバーである。プリンタカバー3の後端には、プリンタカバー3を本体ケース2に対して回動可能に支持するためのヒンジ8が設けられている。
【0020】
表示パネル4は、ユーザに対する入出力インタフェースを提供し、例えばタッチパネル機能を備えた液晶表示パネルである。
【0021】
図2に示すように、プリンタカバー3のヒンジ8が在る側に対向する側である先端側には、プラテンローラ10が正逆方向に自転可能に支持されている。図3に示すようにプリンタカバー3が閉鎖したときには、プラテンローラ10は、サーマルヘッド28の後側に配置されるようになる。
【0022】
図2から図4に示すように、プリンタ本体底部113には、ファンフォールド紙を挿通するためのプリンタ側挿通口(本願発明でいう「挿通口」)121が形成されている。図2図4および図3に示すように、挿通口121は、前後方向においては、ロール紙ガイド6aの中心の位置(つまり、ロール紙ガイド6aにより保持されたロール紙Rの中心軸が在る位置)からロール紙収容室9の後端位置までの中間の位置に存在する。また、挿通口121は、本体ケース2の左端付近から右端付近までの範囲にわたり本体ケース2の幅方向(左右方向)に延在する。さらに、図3に示すように、プリンタ側挿通口121は、プリンタ本体底部113の底面113aから内部底面2aまでを貫通する。
【0023】
プラテンローラ10は、本体ケース2の下部から挿通口121を介してロール紙収容室9に挿入されたファンフォールド紙301(以下、適宜単に「用紙P」という。)を搬送する搬送手段であり、用紙Pの幅方向に沿って延在した状態で形成されている。なお、プラテンローラ10は、ステッピングモータ(図示せず)等に機械的に連結されて駆動される。
【0024】
ファンフォールド紙301は、印字媒体の一例である。
【0025】
サーマルヘッド28は、例えば、文字、記号、図形またはバーコード等のような情報を、用紙Pに印字する印字手段である。図3に示すように、プリンタカバー3が閉鎖状態のときには、サーマルヘッド28の印字面が用紙Pの通紙ルートに向き、かつプラテンローラ10に対向する。サーマルヘッド28の印字面には、通電により発熱する複数の発熱抵抗体(図示せず)が用紙Pの幅方向に沿って並んで設置されている。サーマルヘッド28は、サーマルヘッド28に印字信号を伝送する回路基板(図示せず)に接続されている。
【0026】
サーマルヘッド28の裏側にはサーマルヘッド28に対して付勢力を与える付勢部材としての圧縮ばね157が設けられている。
【0027】
プリンタカバー3が閉鎖されて印字が行われているときには、用紙Pがプラテンローラ10によって搬送されつつ、プラテンローラ10とサーマルヘッド28の間で挟持される。このとき、サーマルヘッド28は、上記付勢力によってプラテンローラ10に押し付けられ、それによって印字に適したヘッド圧が生成される。
【0028】
(2)クレードルの構成
クレードル201は、プリンタ1が載置される載置装置である。クレードル201と、クレードル201に載置されたプリンタ1は、プリンタセットの一例である。
図3図5および図6に示すように、クレードル201の後方内部には、クレードル内空間207が設けられている。
【0029】
また、クレードル内空間207とクレードル201の上に在る空間を連通させるための第1のクレードル側挿通口203(クレードル側挿通口の一例)がクレードル内空間207とクレードル201の上面との間に設けられている。
【0030】
更に、クレードル内空間207とクレードル201の後に在る空間を連通させるための第2のクレードル側挿通口205がクレードル内空間とクレードルの後面との間に設けられている。
【0031】
クレードル内空間207、第1のクレードル側挿通口203および第2のクレードル側挿通口205のいずれもクレードル201の左端付近から右端付近まで左右方向に広がっている。
【0032】
なお、図5に示すように、クレードル201には、プリンタ1を載置するための載置面209が設けられている。また、図6に示すように、クレードル201には、底面208が設けられている。
【0033】
(3)ファンフォールド紙の搬送経路
図3に示すように、プリンタ1をクレードル201の上に載置し、クレードル201の後にファンフォールド紙301のブロックを配置し、第2のクレードル側挿通口205、クレードル内空間207、第1のクレードル側挿通口203、プリンタ側挿通口121を介して、ファンフォールド紙301をロール紙収容室9に挿入することができる。
【0034】
クレードル内空間207がその内部にファンフォールド紙301を収容できる程度の大きさを持っているならば、プリンタ1をクレードル201の上に載置し、クレードル内空間207の内部にファンフォールド紙301のブロックを配置し、第1のクレードル側挿通口203、プリンタ側挿通口121を介して、ファンフォールド紙301をロール紙収容室9に挿入することができる。
【0035】
また、積載されたファンフォールド紙301の高さよりもプリンタ1の底面208が高くなるようにプリンタ1を下方から支える部材によりプリンタ1を持ち上げ、それにより生じたプリンタ1の底面208の下方の空間にファンフォールド紙301を配置し、そのようなファンフォールド紙301を挿通口121を介してロール紙収容室9に挿入するようにしてもよい。
【0036】
ロール紙収容室9に挿入されたファンフォールド紙301のうち、プラテンローラ10に対向するサーマルヘッド28によって印字された用紙Pは、プリンタ1の上面において本体ケース2とプリンタカバー3の隙間である排出口からプリンタ1の外部に排出される。
【0037】
(4)挿通口の構成
図7および図11Aに示すように、プリンタ本体底部113は、底部カバー115とフレーム117を含む二重底構造を有している。
【0038】
従って、挿通口121は、底部カバー側挿通口121p(図7参照)とフレーム側挿通口121q(図7参照)の二部構成となっている。
【0039】
(5)スライド式開閉カバー
挿通口121を閉鎖又は開放するためのスライド式開閉カバー123がプリンタ本体底部113の挿通口121付近に装着されている。
【0040】
スライド式開閉カバー123は、例えば利用者による操作により、プリンタ本体底部113に装着されたままの状態でプリンタ本体の奥行方向(前後方向)に開放位置と閉鎖位置との間でスライドすることが可能である。
【0041】
ここで、スライド式開閉カバー123がプリンタ本体底部113に装着された姿勢を持つときに、スライド式開閉カバー123のプリンタ1の後方側に在る側をスライド式開閉カバー123の後方側といい、スライド式開閉カバー123のプリンタ1の前方側に在る側をスライド式開閉カバー123の前方側ということにする。
【0042】
開放位置とは、スライド式開閉カバー123がプリンタ本体底部113の挿通口121に対して前方側にスライドし、挿通口121を開放しているときの位置のことである。
【0043】
閉鎖位置とは、スライド式開閉カバー123がプリンタ本体底部113の挿通口121の開放位置に対して後方側にスライドし、挿通口121を閉鎖しているときの位置のことである。
【0044】
図3は、スライド式開閉カバー123が開放位置にあり、これにより開放された挿通口121にファンフォールド紙301が挿通されている状態を示している。スライド式開閉カバー123が閉鎖位置に在るときには、挿通口121は閉鎖され、挿通口121にファンフォールド紙301を挿通することはできない。
【0045】
上述したように、挿通口121は、底部カバー115とフレーム117を含む二重底構造を有しているが、図7に示すように、スライド式開閉カバー123は、底部カバー115とフレーム117の間に配置される。
【0046】
図7図8および図9Aを参照すると、スライド式開閉カバー123は、基部125とガイド部127を有する。
【0047】
基部125は、例えば、スライド式開閉カバー123が閉鎖位置に在るときに、少なくとも挿通口121を閉鎖するための平面形状を有する平板状の部位である。なお、基部125は、必ずしも平板状でなくてもよく、例えば、上面または下面の一部が窪んでいてもよい。
【0048】
ガイド部127は、基部125の一方の長辺側の側面において基部125と結合するようにして、基部125と一体化している。また、ガイド部127は、基部125と結合する側の反対側にガイド面127bを有する。
【0049】
図8を参照すると、ガイド部127は、プリンタ本体底部113の挿通口121付近に装着されたときの基部125の上面を基準面としてみたときに上側に突出する庇状の上側突出部129を有する。
【0050】
また、図8を参照すると、ガイド部127は、プリンタ本体底部113の挿通口121付近に装着されたときの基部125の下面を基準面としてみたときに下側に突出する庇状の下側突出部131を有する。
【0051】
更に、図8を参照すると、スライド式開閉カバー123がプリンタ本体底部113の挿通口121付近に装着されたときのスライド方向に平行な鉛直断面(プリンタの左右方向に直交する断面)において、ガイド部127は後方側に円弧状の部分133を複数有する。
【0052】
また、図8の例では、円弧状の部分133は3つある。これらの円弧の側断面で見た場合の曲がる方向は共通であってもよい。円弧状の部分133の円弧中心は円弧状の部分133よりも前方側にある。更に、ガイド部127の先端側の輪郭の凸部を繋いで破線で示す円弧135を形成することもできる。例えば、中段にある円弧状の部分133と上段にある円弧状の部分133を結合して、合計の円弧状の部分の数を2にしてもよいし、すべての円弧状の部分133を結合して、合計の円弧状の部分の数を1にしてもよい。
【0053】
なお、円弧135とガイド部127の後方側端面を示す輪郭との差である窪みは、スライド式開閉カバー123を閉鎖状態にしたときに、挿通口121の後側内壁121bにフィットさせるために設けられている。これにより、スライド式開閉カバー123を閉鎖状態にしたときに、ガイド部127の後方側端面と挿通口121の後側内壁121bの間に開口が生じない。
【0054】
更に、ガイド部127の下端付近に設けられている円弧状の部分133の円弧は、延長すると円弧137になる。
【0055】
更に、ガイド部127の上端付近に設けられている円弧状の部分133の円弧は、延長すると円弧139になる。
【0056】
スライド式開閉カバー123がプリンタ本体底部113の挿通口121付近に装着されたときの姿勢でみて、上側突出部129の前面(プリンタの前方寄りの、スライド方向に垂直な面)129aは、下側突出部131の前面(プリンタの前方寄りの、スライド方向に垂直な面)131aに対して、前後方向においてほぼ同一に位置にある。
【0057】
これに対して、スライド式開閉カバー123がプリンタ本体底部113の挿通口121付近に装着されたときの姿勢でみて、上側突出部129の後面(プリンタの後方寄りの、スライド方向に垂直な面)129bは、下側突出部131の後面(プリンタの後方寄りの、スライド方向に垂直な面)131bに対して、僅かに前方にある。
また、上側突出部129の後面129bと下側突出部131の後面131bとこれらの間の面はガイド部127のガイド面127bを構成する。
【0058】
図10図11Aおよび図11Bを参照すると、スライド式開閉カバー123が開放位置に在るときには、基部125全体は挿通口121よりも前側に退避するので、挿通口121は開放される。これにより、ファンフォールド紙301は、挿通口121に挿通されることが可能になる。
【0059】
スライド式開閉カバー123が開放位置に在るときでも、ガイド部127は、挿通口121に在る。より詳細に説明すると、スライド式開閉カバー123が開放位置に在るときには、プリンタ本体の前後方向で見ると、上側突出部129の前面(プリンタの前方寄りの、スライド方向に垂直な面)129aが前側内壁121aに含まれるフレーム壁面117aに接触又は近接し、下側突出部131の前面(プリンタの前方寄りの、スライド方向に垂直な面)131aが前側内壁121aに含まれる底部カバー壁面115aに接触又は近接する。
【0060】
スライド式開閉カバー123が開放位置に在るときには、プリンタ本体の上下方向で見ると、基部125の上端の高さが、底部カバー115とフレーム117の境界の高さとほぼ一致する。
【0061】
また、上側突出部129の前面129aの上端の高さは、前側内壁121aに含まれるフレーム壁面117aの上端の高さと同一又はそれよりも僅かに低い。
【0062】
更に、下側突出部131の前面131aの下端の高さは、前側内壁121aに含まれる底部カバー壁面115aの下端の高さ(底面113aの高さ)と同一又はそれよりも僅かに高い。
【0063】
スライド式開閉カバー123が開放位置に在るときには、プリンタ本体の左右方向で見ると、前側内壁121aの左端から右端までをガイド部127が覆う。
【0064】
従って、スライド式開閉カバー123が開放位置に在るときには、ガイド面127bは、前側内壁121aの殆どの部分を覆うことになり、特に、少なくとも、前側内壁121aにおける底部カバー115とフレーム117の境界119およびその周辺を覆うことになる。
【0065】
図10を参照すると、スライド式開閉カバー123が開放位置に在るときには、ファンフォールド紙301の台紙302の表面306が挿通口121の前側内壁121a(図11参照)に対向する方向を向く。従って、ファンフォールド紙301の台紙302の表面306に仮着されているラベル片303は、スライド式開閉カバー123のガイド部127のガイド面127bに直接的に対向することになる。これにより、ファンフォールド紙301の台紙302の表面306とここに仮着されているラベル片303が、挿通口121の前側内壁121aに接触することを避けることができる。特に、ファンフォールド紙301の台紙302の表面306とここに仮着されているラベル片303が、挿通口121の前側内壁121aに含まれる底部カバー壁面115aとフレーム壁面117aの境界に接触することを避けることができる。従って、挿通口121の前側内壁121aに含まれる底部カバー壁面115aとフレーム壁面117aの境界に段差又は空隙があっても、印字中にプラテンローラ10により搬送されているファンフォールド紙301の台紙302の表面306に仮着されているラベル片303の縁部分がそのような段差又は空隙に引っ掛かり、更には、ラベル片303が台紙302から剥がれてしまうことを未然に防止することができる。
【0066】
また、図8において上述したように、ガイド部127のガイド面127bは横断面の輪郭で見て円弧状の部分133を有するので、ファンフォールド紙301がガイド面127bに接触しても、ラベル片303が台紙302から剥がれてしまうことを未然に防止することができ、更に、ファンフォールド紙301の搬送に対する抵抗力を小さく抑えることができる。
【0067】
図12Aおよび図12Bを参照すると、スライド式開閉カバー123が閉鎖位置に在るときには、スライド式開閉カバー123は、挿通口121を覆う。これにより、ファンフォールド紙301は、挿通口121に挿通されることが不可能になる。
【0068】
スライド式開閉カバー123が閉鎖位置に在るときには、スライド式開閉カバー123が開放位置に在るときと同様に、ガイド部127は、挿通口121に在る。より詳細に説明すると、スライド式開閉カバー123が閉鎖位置に在るときには、プリンタ本体の前後方向で見ると、上側突出部129の後面(プリンタの後方寄りの面)129bが後側内壁121bに含まれるフレーム壁面117bに接触又は近接し、下側突出部131の後面(プリンタの後方寄りの面)131bが後側内壁121bに含まれる底部カバー壁面115bに接触又は近接する。
【0069】
また、後側内壁121bに含まれるフレーム壁面117bは、収容部151の内部底面2a付近まで上方に延びているので、上側突出部129の後面129bの上端の高さは、後側内壁121bに含まれるフレーム壁面117bの上端よりもかなり低い位置にある。
【0070】
更に、下側突出部131の後面131bの下端の高さは、後側内壁121bに含まれる底部カバー壁面115bの下端の高さ(底面113aの高さ)と同一又はそれよりも僅かに高い。
【0071】
スライド式開閉カバー123が閉鎖位置に在るときには、プリンタ本体の左右方向で見ると、後側内壁121bの左端から右端までをガイド部127が覆う。
【0072】
スライド式開閉カバー123がプリンタ本体底部113の挿通口121付近に装着されたときの姿勢でみて、上側突出部129の後面(プリンタの後方寄りの、スライド方向に垂直な面)129bは、下側突出部131の後面(プリンタの後方寄りの、スライド方向に垂直な面)131bに対して、僅かに前方にあることを既に説明したが、これに対応するようにして、挿通口121の後側内壁121bに含まれるフレーム壁面115bbが、挿通口121の後側内壁121bに含まれる底部カバー壁面115bに対して僅かに前方にある。これによりスライド式開閉カバー123が閉鎖状態に在るときには、上側突出部129の後面129bと後側内壁121bに含まれるフレーム壁面115bbの境界が、下側突出部131の後面131bと後側内壁121bに含まれる底部カバー壁面115bの境界に対して、僅かに前方に在ることになる。従って、スライド式開閉カバー123が閉鎖状態に在るときには、後側内壁121bとガイド部127の間には、ストレートな間隙が生じない。従って、スライド式開閉カバー123が閉鎖状態に在るときに収容部151へ異物が侵入することを避けることができる。
【0073】
図9Aを参照すると、スライド式開閉カバー123がプリンタ本体底部113の挿通口121付近に装着されたときの姿勢でみて、スライド式開閉カバー123の基部125の前方側の領域には一対のロック部141が設けられている。一対のロック部141は、スライド式開閉カバー123を、開放位置および閉鎖位置の各々において、ロックする。これにより、一旦、開放位置又は閉鎖位置にスライドしたスライド式開閉カバー123が利用者による操作がないときにスライドしてしまうことを避けることができる。
【0074】
図9Aおよび図9Bを参照すると、各ロック部141は、基部125と一体成型された付勢部143および付勢部143により付勢される開閉カバー側係合部145、底部カバー115に設けられた底部側第1係合部147および底部側第2係合部149を有する。
基部125と、これと一体成型された付勢部143および開閉カバー側係合部145は、樹脂により形成されている。付勢部143は、U字型状に湾曲しており、開閉カバー側係合部145を底部側第1係合部147および底部側第2係合部149の方向に付勢するための弾性力を生ずる。
【0075】
スライド式開閉カバー123が閉鎖位置に在るときには、開閉カバー側係合部145と底部側第1係合部147が係合する。
【0076】
スライド式開閉カバー123が閉鎖位置に在るときに、利用者により、スライド式開閉カバー123を開放位置にスライドするための力がスライド式開閉カバー123に対して与えられると、開閉カバー側係合部145と底部側第1係合部147の係合は解かれ、スライド式開閉カバー123は、中間位置を経て、開放位置までスライドする。
【0077】
スライド式開閉カバー123が開放位置に在るときには、開閉カバー側係合部145と底部側第2係合部149が係合する。
【0078】
スライド式開閉カバー123が開放位置に在るときに、利用者により、スライド式開閉カバー123を閉鎖位置にスライドするための力がスライド式開閉カバー123に対して与えられると、開閉カバー側係合部145と底部側第2係合部149の係合は解かれ、スライド式開閉カバー123は、中間位置を経て、閉鎖位置までスライドする。
【0079】
図7に示すように、組み立て時には、まず、底部カバー115にスライド式開閉カバー123が装着され、それから底部カバー115にフレーム117が組み込まれる。
【0080】
図13Aから図13Eは、底部カバー115にスライド式開閉カバー123を装着する方法を説明するための図である。
【0081】
まず、プリンタ本体の前後方向においてガイド部127が挿通口121の後端付近の上をかざすようにして、スライド式開閉カバー123の基部125の前方付近の部分が底部カバー中段面115cに突き当たるまで、スライド式開閉カバー123を底部カバー中段面115cを基準として斜め後ろ上方から斜め前下方に向かう方向にスライドさせる(図13A図13B)。
【0082】
次に、スライド式開閉カバー123が閉鎖位置と開放位置の間で底部カバーに対して水平になるまで、スライド式開閉カバー123の基部125の前方付近の部分が底部カバー中段面115cに突き当たっている状態を維持させつつ、スライド式開閉カバー123を、その傾斜角度を減らしながら前方にスライドさせる(図13C図13D)。
【0083】
次に、スライド式開閉カバー123を閉鎖位置までスライドさせてロックする(図13E)。
【0084】
上記の実施の形態では、基部125の高さが底部カバー115とフレーム117の境界119の高さと同一になるようにスライド式開閉カバー123を配置している。その代わりに、図14Aから図14Cに示すように、ガイド部基部125を基部125P、125Qおよび125Rのように変更してもよい。また、ガイド部127を127P、127Qおよび127Rのように変更してもよい。
【0085】
図14Aの例では、基部125Pの下面の高さが境界119の高さとほぼ同一になるようにしている。
【0086】
図14Bの例では、基部125Qが底部カバー115とフレーム117に跨がるようにしている。
【0087】
図14Cの例では、基部125Rの上面の高さが境界119の高さよりも低くなるようにしている。
【0088】
本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の種々の形で実施することができる。そのため、前述した各実施形態は単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるべきではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更はすべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0089】
1 プリンタ
2 本体ケース
2a 内部底面
3 プリンタカバー
4 表示パネル
6a ロール紙ガイド
8 ヒンジ
9 ロール紙収容室
10 プラテンローラ
28 サーマルヘッド
113 プリンタ本体底部
113a 底面
115 底部カバー
115a 底部カバー壁面
115b 底部カバー壁面
115c 底部カバー中段面
117 フレーム
117a フレーム壁面
117b フレーム壁面
119 境界
121 プリンタ側挿通口(本発明の「挿通口」)
121a 前側内壁
121b 後側内壁
121p 底部カバー側挿通口
121q フレーム側挿通口
123 スライド式開閉カバー
125 基部
127 ガイド部
127b ガイド面
129 上側突出部
129a 前面
129b 後面
131 下側突出部
131a 前面
131b 後面
133 円弧状の部分
135 円弧
137 円弧
139 円弧
141 ロック部
143 付勢部
145 開閉カバー側係合部
147 第1係合部
149 第2係合部
151 収容部
157 圧縮ばね
201 クレードル
203 第1のクレードル側挿通口(本発明でいう「クレードル側挿通口」)
205 第2のクレードル側挿通口
207 クレードル内空間
208 底面
209 載置面
301 ファンフォールド紙
302 台紙
303 ラベル片
304 折り目
305 位置検出用マーク
306 表面
307 裏面
P 用紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14