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特許7536618外側シース及び内側カテーテルを有する血塊回収装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】外側シース及び内側カテーテルを有する血塊回収装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
A61B17/22 528
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020195757
(22)【出願日】2020-11-26
(65)【公開番号】P2021084033
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】62/941,366
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515248931
【氏名又は名称】ニューラヴィ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ブレンダン・ケーシー
(72)【発明者】
【氏名】カール・キーティング
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・ケリー
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・ベイル
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5102415(US,A)
【文献】特表2006-523515(JP,A)
【文献】特開2009-66178(JP,A)
【文献】特開2011-101674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内の閉塞物を回収するための装置であって、
遠位端と、近位端と、前記近位端を包含する近位ルアーと、前記遠位端の近位に延び、かつ前記近位ルアー内で終端する内部ルーメンと、を備える、外側シースと、
前記外側シース内にある内側漏斗カテーテルであって、拡張遠位先端と、近位端と、前記拡張遠位先端に位置する遠位端と、前記内側漏斗カテーテルの前記近位端を包含する近位ルアーと、前記内側漏斗カテーテルの前記遠位端の近位に延び、かつ前記内側漏斗カテーテルの前記近位ルアーで終端する内部ルーメンと、を備える、側漏斗カテーテルと、を備え、
前記拡張遠位先端は、前記外側シースの前記遠位端の遠位にて拘束解除されると、径方向に自己拡張するように構成されており、
前記内側漏斗カテーテルの内径及び前記外側シースの外径に取り付けられた膜が、前記拡張遠位先端の径方向の前記自己拡張によって径方向に拡張される、装置。
【請求項2】
前記外側シースの固定位置に対してテレスコピックに前記内側漏斗カテーテルを移動させるためのスライダ機構を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記スライダ機構は、前記内側漏斗カテーテルの前記近位ルアーに位置付けられている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記内側漏斗カテーテルの固定位置に対してテレスコピックに前記外側シースを移動させるように構成された回転ノブを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記内側漏斗カテーテルの固定位置に対してテレスコピックに前記外側シースを移動させるためのスライダ機構を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記スライダ機構は、前記外側シースの前記近位ルアーに位置付けられている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記内側漏斗カテーテルの前記近位ルアーと前記外側シースの前記近位ルアーとの間に位置するロックタブを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記内側漏斗カテーテルの前記近位ルアーと前記外側シースの前記近位ルアーとの間にスナップ嵌め接続部を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記膜が、前記外側シースの前記遠位端に取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記拡張遠位先端は、前記血管内の前記閉塞物へ向かって前進させられる際、前記外側シース内において、しぼんだ送達位置にある、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記拡張遠位先端の前記しぼんだ送達位置は、前記外側シースの前記遠位端の近位側に約20~50mmの距離である、請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、2019年11月27日に出願された米国特許仮出願第62/941,366号の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、全般的には、血管内医療処置中に血管から遮断物を除去するための装置及び方法に関する。より具体的には、本発明は、外側シースと内側漏斗カテーテルを備える血塊回収装置に関する。
【背景技術】
【0003】
血塊回収カテーテル及び装置は、多くの場合、患者が急性虚血性脳卒中(acute ischemic stroke、AIS)、心筋梗塞(myocardial infarction、MI)、及び肺塞栓症(pulmonary embolism、PE)などの状態に罹患している場合に、血管内介入のための機械的血栓除去に使用される。従来の技術では特に神経血管床へのアクセスは困難であるが、これは標的血管が細径であり、挿入部位に対して遠隔であり、かつ非常に曲がりくねっているためである。従来の装置は、多くの場合、プロファイルが大きすぎて、曲がりくねった血管をナビゲートするために必要な送達性及び可撓性に欠け、適用及び使用が困難であるか、又は標的部位に送達されたときに血塊を除去するのに有効ではないかのいずれかである。
【0004】
細かく、高度に分枝した脳動脈系への有効な装置の送達は依然として困難であり、従来の血塊回収カテーテルは多数の欠点を抱えている。最初に、カテーテル自体の直径は、患者に著しい不快感を引き起こすのを避けるために十分に小さくなければならない。回収カテーテルはまた、経路に沿って滑らかな前進を提供するために軸方向の剛性も有する一方で、脈管構造をナビゲートして高いひずみに耐えるために十分に可撓性でなければならない。標的部位に達すると、身体から回収される典型的な物体は、カテーテルの先端よりも実質的に大きく、先端内への物体の回収をより困難にする。例えば、堅固なフィブリンに富む血塊は、従来の固定口カテーテルの先端に詰まってしまうことがあるため、多くの場合に摘出することが困難であり得る。加えて、この詰まりにより、血塊の軟質部分が堅い領域から剪断されることがある。
【0005】
細径及び固定先端サイズはまた、処置時に血液及び血栓物質の除去に必要な吸引を誘導する際にも効率が悪い。吸引は、吸引又は機械的血栓除去装置の使用の結果として生じ得る断片が移動して、遠位の血管を閉塞することがないように、十分強くなければならない。しかしながら、固定口カテーテルで吸引するとき、吸引流のかなりの部分は、血塊が存在しないカテーテルの先端の近位の血管流体から来ることになる。これは、吸引効率を著しく低下させ、血塊除去の成功率を低下させる。
【0006】
拡張遠位先端又は構造を使用してこれらの課題を克服しようとする任意のカテーテル設計は、血塊を捉えて、拡張状態で安定した径方向の力を加えるための強度を有する必要があるであろう。同構造はまた、しぼんだ状態のとき、曲がりくねった脈管構造をナビゲートする際に与えられる重度の機械的ひずみに耐えるために、十分に可撓性かつ弾性である必要があるであろう。
【0007】
更に、他のカテーテル設計は、互いに対する位置を安定させる仕組み、又は非侵襲的な送達を補助するための仕組みのない、別々のカテーテル又は他の要素の管理及び相対的な位置決めが必要になるという点において、術者にとって問題のあるものとなる可能性がある。これにより、標的部位におけるカテーテル及び/又は装置の外傷性又は不正確な展開が生じる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本設計は、上記の欠陥に対処する改良された回収カテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の必要性を満たす装置及び方法を提供することが、本設計の目的である。したがって、血塊回収カテーテル装置は、血塊の除去及び容易な回収のために、大きな口の拡張可能な先端を有する一方で、標的部位への送達性のために、低プロファイルかつ十分に可撓性であるしぼんだ状態も有することが望ましい。また、装置は、装置の操作時に施術者を支援する、既存の設計に勝る向上した治療適用性をも有している。本発明によれば、マイクロカテーテル、ガイドワイヤ、又は多くの市販製品のうちの任意のものの、脈管構造内の標的部位への導入を容易にする外側シースを有し得る装置が提供される。外側シースは、ガイドカテーテル及び中間カテーテルの一方又は両方であり得る。外側シースは、遠位端と、近位端と、近位端を含む近位ルアーと、遠位端の近位に延びて近位ルアー内で終端する内部ルーメンと、を有することができる。いくつかの例では、遠位端の少なくとも一部分は、可撓性の膜によって取り囲まれていてよい。
【0010】
拡張可能な遠位先端を有する内側漏斗カテーテルが、外側シース内にあってよい。拡張可能な遠位先端は、ストラット又は編組メッシュからなる支持構造を有することができる。内側漏斗カテーテルは、装置を標的部位に適用する前に、外側シース内に予め装填され得る。
【0011】
内側漏斗カテーテルは、近位端と、遠位端と、近位端を含む近位ルアーと、遠位端の近位に延び、ルアー内で終端する内部ルーメンとを有することができる。また、内側漏斗カテーテルは、ルアーの近位に延びる迅速交換型シャフト又はガイドワイヤを有することができる。
【0012】
内側漏斗カテーテルの先端は、自己拡張型であってよく、内側漏斗カテーテルの遠位端に配設されていてよい。先端は、しぼんだ送達構成と、先端が実質的に円錐形又は漏斗形状をとる径方向に拡張した展開構成とを有することができる。遠位先端は、外側シースの遠位端の遠位にて拘束解除されると、径方向に自己拡張するように構成されていてよい。しぼんだ状態では、先端は、先端の最大径方向寸法よりも小さい径方向寸法を有することができる。拡張されると、先端は径方向外側に広がって、開放した遠位口を形成することができる。いくつかの例では、先端の少なくとも一部分は、外側シースの直径よりも大きい直径をとることができる。拡張状態では、先端は血管の内壁と接触して封止を形成することができる。
【0013】
大きな遠位口により、従来の固定口設計よりも改善された性能を提供することができる。従来の固定口カテーテルは、先端に堅固なフィブリンに富む血塊が詰まることにより、又は血塊の軟質部分が剪断されることにより、妨げられることがある。加えて、固定口カテーテルによる吸引では、吸引のかなりの部分が先端よりも近位側の流体に誘導され、血塊に誘導された吸引を弱めてしまう。加えて、拡張可能な先端の直径が血管の直径と同程度である場合、カテーテルの口での血塊の剪断を軽減することができ、先端より遠位側の流体及び血塊の体積を確保することができる。
【0014】
内側漏斗カテーテルの先端の少なくとも一部分は、その周囲に配設された膜を有し得る。いくつかの例では、膜は、先端及び外側シースの一部又は全ての両方を覆うことができる。例えば、膜は、外側シースの遠位端に取り付けられ、遠位先端の径方向の自己拡張によって径方向に拡張され得る。別の例では、膜が、内側漏斗カテーテルの内径及び外側シースの外径の両方に取り付けられ、この膜は、遠位先端の径方向の自己拡張によって径方向に拡張されるようになっていてもよい。
【0015】
先端は、シート若しくは管ステンレス鋼、又はニチノールなどの超弾性形状記憶合金から構築することができる。別の例では、先端は、ワイヤ又はストリップからの編組構造を有することができる。更なる例では、先端は、ハイポチューブ(hypotube)からレーザーカットされた格子であってもよい。先端の形状半径寸法は、血管の内壁の周囲に非侵襲的に接触するように設計することができる。
【0016】
一例では、外側シースの遠位端は、標的部位の付近に送達され得る。標的部位に対する外側シースの遠位端の位置が維持されるように、外側シースの近位ルアーは固定位置に維持されてよい。内側漏斗カテーテルは、外側シースのルーメンの内側に存在していてよい。内側漏斗カテーテルの近位ルアーを、外側シースの近位ルアーに向かって遠位側に移動させることにより、内側漏斗カテーテルの遠位端を標的部位に向かって前進させることができる。また、内側漏斗カテーテルの近位ルアーを、外側シースの近位ルアーから離れるように近位側に移動させることにより、標的部位から離れるように内側漏斗カテーテルを後退させることができる。
【0017】
いくつかの例では、内側漏斗カテーテルの近位ルアーは、外側シースの近位ルアーに軸方向に接続することができる。接続されると、外側シースの近位ルアーは、漏斗カテーテルの近位ルアーに対して遠位に位置することができる。ルアー間の接続は、スナップ嵌め機構、ルアーロックねじ(luer lock thread)、ロックタブ(locking tab)、又は他の好適な接合機構を介して達成され得る。
【0018】
漏斗カテーテルの近位ルアーは、外側シースに対して、内側漏斗カテーテルの長手方向位置を変えるための機構を含むことができる。一例では、漏斗カテーテルの近位ルアーは、外側シースの固定位置に対してテレスコピックに内側漏斗カテーテルを移動させるためのスライダ機構を含むことができる。スライダ機構を、漏斗カテーテルの近位ルアーを横断して遠位に移動させることによって、漏斗カテーテルは、外側シースの遠位端を越えて延びるように展開され得る。
【0019】
代替的には、外側シースの近位ルアーは、内側漏斗カテーテルの固定位置に対してテレスコピックに外側シースを移動させるためのスライダ機構を有することができる。スライダ機構を後退させることにより、外側シース本体を漏斗カテーテルに対して後退させることができ、これにより、漏斗カテーテルの拡張可能な先端をその場で露出及び展開させることができる。一例では、スライダ機構は、漏斗カテーテルのルアーに固定したプーリ・プル・ワイヤを用いて、内側漏斗カテーテルを展開することができる。加えて、スライダを、外側シースの近位ルアーを横断して遠位に前進させることにより、外側シースを再び前進させて、漏斗カテーテルの遠位端を収容し、漏斗カテーテルの拡張可能な先端の構成をしぼんだ状態に戻すことができる。
【0020】
いくつかの例では、外側シースの近位ルアーの位置を固定し、かつ漏斗カテーテルの近位ルアーを後退させて、内側漏斗カテーテルを抜き出すことによって、内側漏斗カテーテルを外側シースの内側から引き出してもよい。漏斗カテーテルを除去後に交換する場合には、外側シースを通して漏斗カテーテルを再度前進させる際の補助のための装填器具が提供されてもよい。装填器具は、内側漏斗カテーテルの上で又は内側漏斗カテーテルから剥離する(peeled on or off)ことができるように、分割(split)又は半分割(semi-split)設計を組み込むことができる。
【0021】
別の例では、外側シースの近位ルアーにおけるスライダ機構を後退させることで、内側漏斗カテーテルに対して外側シースを後退させることができる。外側シースが後退すると、拡張可能な先端がむき出しになり、標的部位のすぐ近くで拡張及び展開することができる。
【0022】
血管内の閉塞物に向かって前進させられる間、遠位先端は外側シース内において、軸方向におけるしぼんだ送達位置にあってよい。いくつかの例では、外側シースの遠位端と、外側シースの内側でしぼんだ送達位置にあるときの内側漏斗カテーテルの遠位端との間の距離は、内側漏斗カテーテルを展開するのに必要な動きが最小限となるように、ほぼゼロであってもよい。別の例では、外側シースの遠位端と内側漏斗カテーテルの遠位端との間の距離は、外側シースの遠位可撓性を高めるために約1~100mmの範囲であることができる。より具体的な例では、遠位先端のしぼんだ送達位置は、外側シースの遠位端の近位側に約20~50mmの距離である。
【0023】
別の例では、内側漏斗カテーテルに対して外側シースの位置を前進又は後退させるための機構は、回転ノブであってよい。ノブの角回転を、外側シースの直線運動に変換することができる。ノブを反時計回り又は時計回りに回転させることにより、外側シースの位置は、内側漏斗カテーテルの位置に対して遠位側に前進するか、又は近位側に後退させられ得る。
【0024】
いくつかの例では、内側漏斗カテーテルのルアーは、注射器を接続するためのポートを含んでいてもよい。内側漏斗カテーテル及び外側シースの両方が、内側漏斗カテーテルのポートに接続された注射器から注入される流体によって同時に洗い流され得るように、外側シースのルアーと漏斗カテーテルのルアーとの間にチャネルを設けることもできる。
【0025】
別の例では、ロックタブにより、内側漏斗カテーテルの近位ルアーを外側シースの近位ルアーに接続することができる。ロックタブによって、前進のために、外側シースと内側漏斗カテーテルとを一緒に保持することができる。前進の際に外側カテーテルの遠位端としぼんだ漏斗との間の距離が維持されたため、ロックタブは、漏斗カテーテルを展開する前に取り外すことができる。ロックタブが取り外された後、内側漏斗カテーテルの近位ルアーと外側シースの近位ルアーとを、接続機構により接続することができる。この接続機構は、スナップ嵌め機構、ルアーロックねじ、又は他の接合機構を含むことができる。内側漏斗カテーテルの近位ルアーと外側シースの近位ルアーは後で分離することができ、外側シースの近位ルアーを、内側漏斗カテーテルの近位ルアーから離れるように遠位側に移動させることにより、内側漏斗カテーテルを外側シース内に戻すことができる。
【0026】
血管から閉塞物を除去するための方法も提供される。方法は、以下の工程及びその変形の一部又は全てを有することができ、工程は順不同で列挙される。本方法は、遠位端と、近位端と、近位端を含む近位ルアーと、を含む外側シースを、脈管構造内に前進させることと、内側漏斗カテーテルを、内側漏斗カテーテルの拡張可能な遠位先端が、外側シースの遠位端よりも遠位に延びて、閉塞性血栓付近において展開するまで、外側シースを通して前進させることであって、内側漏斗カテーテルは、外側シース内でテレスコピックに移動可能であり、かつ近位端と、遠位端と、近位端を含む近位ルアーと、を含む、ことと、内側漏斗カテーテルの口内に血栓を捕捉することと、脈管構造を通して、捕捉した血栓とともに内側漏斗カテーテルを患者の体外に回収することと、を有することができる。
【0027】
標的部位に送達されると、内側漏斗カテーテルの拡張可能な先端は、展開されて径方向に自己拡張し、血管の内壁に接触することができる。先端のプロファイルは、非侵襲的に標的部位の近位の血管壁に対して封止を施すことができる。これは、口の近位の血管流体を遮断し、血塊を容易に受容するための大きな開口部を提供する。この理由のために、方法は、拡張可能な遠位先端を膜でコーティングする工程を更に含んでもよい。あるいは、この工程は、遠位先端を遠位側に前進させて、外側シースの遠位端に取り付けられた膜、又は漏斗カテーテル及び外側シースの両方に接続された膜を拡張させることを含み得る。
【0028】
一例では、外側シースを通して内側漏斗カテーテルを前進させる工程は、内側漏斗カテーテルの近位ルアーを外側シースの近位ルアーに向かって遠位側に移動させて、内側漏斗カテーテルの遠位端を標的部位に向かって前進させることを含み得る。あるいは、遠位前進のために、内側漏斗カテーテルと外側シースとを一緒に保持するために、ロック機構を使用することができる。いくつかの例では、ロック機構は、ロックタブ、スナップ嵌め機構、又はルアーロックねじのうちのいずれかであり得る。
【0029】
内側漏斗カテーテル及び外側シースを互いに対してテレスコピックに移動させることは、スライド機構又は回転ノブを利用することによって達成することができる。一例では、内側漏斗カテーテルの近位ルアーは、外側シースに対する漏斗カテーテルの位置を前進又は後退させるためのスライダ機構を有することができ、また、本方法は、漏斗カテーテルの遠位端を展開させ、外側シースの遠位端を越えて延ばすために、漏斗カテーテルの近位ルアーを横断して遠位方向にスライダ機構を移動させる工程を更に含むことができる。
【0030】
別の例では、外側シースの近位ルアーは、漏斗機構に対して外側シースの位置を前進又は後退させるためのスライダ機構を有することができ、本方法は、スライダ機構を近位側に後退させ、内側漏斗カテーテルの先端を露出させることにより、内側漏斗カテーテルの先端を外側シースの遠位端を越えたところで展開させる工程を更に含むことができる。
【0031】
更なる例では、外側シースの近位ルアーは、内側漏斗カテーテルに対して外側シースの位置を前進及び後退させるための回転ノブを有することができ、本方法は、ノブを回転させて、外側シースを内側漏斗カテーテルに対して近位側に後退させる工程を更に含むことができる。
【0032】
血塊回収カテーテルの口内に血栓を捕捉する工程は、吸引、血栓除去装置、又は当該技術分野において既知の他の作業及び医療装置を使用することを含み得る。
【0033】
多くの場合、閉塞性血塊の一部又は全てを回収した後、より完全な血管開存性についての評価が可能となるように造影剤を注入することができる。閉塞物が血管内に残っている場合、内側漏斗カテーテル及び/又は血塊回収装置による更なるパス(pass)を行ってもよい。したがって、本方法は更に、内側漏斗カテーテルを回収しつつ、外側シースの位置を標的部位に維持する工程も有していてよい。これにより、後続の回収試行のための、標的部位へのアクセスの維持が確保され得る。続いて、標的血管が適切に再開通したことが確認されると、残りの全ての装置を患者から取り除くことができる。
【0034】
外側シース及び内側漏斗カテーテルを、処置の各パス間又は処置の終了時に洗浄するため、本方法は、外側シース及び内側漏斗カテーテルの両方を同時に洗い流して、詰まった又は脆い破片を除去する工程を更に有し得る。外側シースの近位ルアーと内側漏斗カテーテルの近位ルアーとの間に複数のチャネルを形成することにより、外側シース及び内側漏斗カテーテルの両方を同時に洗い流すことができる。
【0035】
本開示のその他の態様及び特徴は、以下の詳細な説明を添付の図と併せて考察することで、当業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の上記及び更なる態様は、添付の図面の以下の説明と併せて更に考察され、様々な図面において、同様の数字は、同様の構造要素及び特徴を示す。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本発明の原理を例示することが重視されている。図は、限定としてではなく単なる例示として、本発明の装置の1つ以上の実装形態を描写している。当業者は、ユーザーの要望により良く合うように、複数の図面から要素を着想し、組み合わせ得ることが期待される。
図1】本発明の態様に係る、外側シースと内側漏斗カテーテルを有する装置を示し、ここで内側漏斗カテーテルは展開された状態にある。
図2】本発明の態様に係る、展開位置にある内側漏斗カテーテルの先端の一例の拡大図である。
図3a】本発明の態様に係る、血塊を回収するための例示的な治療装置による治療手順を示す図である。
図3b】本発明の態様に係る、血塊を回収するための例示的な治療装置による治療手順を示す図である。
図3c】本発明の態様に係る、血塊を回収するための例示的な治療装置による治療手順を示す図である。
図4a】本発明の態様に係る、血塊を回収するための例示的な治療装置による他の治療手順を示す図である。
図4b】本発明の態様に係る、血塊を回収するための例示的な治療装置による他の治療手順を示す図である。
図4c】本発明の態様に係る、血塊を回収するための例示的な治療装置による他の治療手順を示す図である。
図5a】本発明の態様に係る、血塊を回収するための例示的な治療装置による他の治療手順を示す図である。
図5b】本発明の態様に係る、血塊を回収するための例示的な治療装置による他の治療手順を示す図である。
図5c】本発明の態様に係る、血塊を回収するための例示的な治療装置による他の治療手順を示す図である。
図6a】本発明の態様に係る、血塊を回収するための例示的な治療装置による他の治療手順を示す図である。
図6b】本発明の態様に係る、血塊を回収するための例示的な治療装置による他の治療手順を示す図である。
図6c】本発明の態様に係る、血塊を回収するための例示的な治療装置による他の治療手順を示す図である。
図7a】本発明の態様に係る、血塊を回収するための例示的な治療装置による他の治療手順を示す図である。
図7b】本発明の態様に係る、血塊を回収するための例示的な治療装置による他の治療手順を示す図である。
図7c】本発明の態様に係る、血塊を回収するための例示的な治療装置による他の治療手順を示す図である。
図8a】本発明の態様に係る、膜を有する他の例示的な治療装置を示す図である。
図8b】本発明の態様に係る、膜を有する他の例示的な治療装置を示す図である。
図8c】本発明の態様に係る、膜を有する他の例示的な治療装置を示す図である。
図9a】本発明の態様に係る、膜を有する他の例示的な治療装置を示す図である。
図9b】本発明の態様に係る、膜を有する他の例示的な治療装置を示す図である。
図10a】本発明の態様に係る、膜を有する例示的な治療装置を示す図である。
図10b】本発明の態様に係る、膜を有する例示的な治療装置を示す図である。
図11】本発明の態様に係る装置の使用方法の概要を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
ここで、本発明の具体的な例を、図面を参照して詳細に説明するが、同一の参照番号は、機能的に類似又は同一の要素を示す。
【0038】
冠血管、肺血管、又は脳血管に関わらず、その中の様々な血管にアクセスすることは、周知の手順工程及び多数の従来の市販アクセサリ製品の使用を伴う。血管造影材料、回転止血弁、及びガイドワイヤなどのこれらの製品は、研究室及び医療処置において広く使用されている。これらの製品が、以下の説明において本発明のシステム及び方法と共に使用される場合、それらの機能及び正確な構成は、詳細には記載されない。
【0039】
図を参照すると、図1では、本発明による患者の血管から閉塞性血塊を除去するための装置100が示されている。装置100は、マイクロカテーテル、ガイドワイヤ、又は多くの市販製品のうちの任意のものを脈管構造内の標的部位へ導入しやすくする外側シース層102を有することができる。外側シース102は、ガイドカテーテル、又は中間カテーテルのうちの一方又は両方であってもよい。外側シース102は、遠位端102aと、近位端102bと、近位端102bを含む近位ルアー106と、遠位端102aの近位に延び、近位ルアー106内で終端する内部ルーメン102cを有することができる。他の装置を導入することの他、このルーメンにより、外側シース102の近位端102aから遠位端102bへと吸引を誘導することができる。外側シース102は、遠位端102aが標的の閉塞性血塊に近接するように患者の脈管構造内に位置付けられ得る。
【0040】
システム100はまた、拡張遠位先端112を有する内側漏斗カテーテル104を有し得る。内側漏斗カテーテル104は、外側シース102内に配置され得る。いくつかの例では、内側漏斗カテーテルは、外側シース102と同心であり、かつ外側シース102内でテレスコピックに移動するように構成されている。内側漏斗カテーテル104は、装置100を標的部位に適用する前に、外側シース102内に予め装填され得る。あるいは、外側シース102を患者の脈管構造内に位置付けた後に、内側漏斗カテーテル104を外側シース102内に挿入してもよい。
【0041】
内側漏斗カテーテルは、近位端104bと、遠位端104aと、近位端104bを含む近位ルアー108と、遠位端104aの近位に延び、ルアー108内で終端する内部ルーメン104cと、を有し得る。ルーメンは、ポリマーのかつ/又は編組の構造体などの、管状支持体によって画定されていてよく、ガイドワイヤ、マイクロカテーテル、ステント回収装置、及び他のこのような内部を通る装置の通路として構成されていてよい。ルーメンはまた、内側漏斗カテーテルの近位端104bから遠位先端112へ吸引を誘導することができる。内側漏斗カテーテル104はまた、内側漏斗カテーテル104の操作及び送達のための、ルアー108の近位に延びる迅速交換型シャフト又はガイドワイヤを有することができる。図2に示すように、遠位先端112は、標的部位での展開時、拡張して血管の内壁と非侵襲的に接触し、血塊を吸引又は別の様式で除去し、受容するための最大限の開口部を提供するような寸法及び構成とすることができる。また、先端112の拡張により、血流が止められ、先端112より近位の血液が不必要に吸引されることを防ぐことができる。
【0042】
内側漏斗カテーテル104は、外側シース102とは独立して操作することができ、その逆も可能である。内側漏斗カテーテル104の近位セクションは、標的位置へと前進させやすいように良好なスラスト及びトラッカビリティ特性を有することができ、その一方で、曲がりくねった解剖学的構造をナビゲートするために、より遠位のセクションは非常に可撓性が高くなっていてよい。したがって、内側漏斗カテーテル104は、挿入及び後退の力を最小限に抑えるために、長さに沿って減少する剛性プロファイルが付与されるように、複数の設計を有するか、又は複数の材料から作製されていてよい。また、標的部位への送達を容易にするために、特定の平面の周りで湾曲を付勢するか又は回転を促す特徴を組み込むこともできる。
【0043】
内側漏斗カテーテル104は、血栓除去装置などの、血塊を除去するための別の機械装置と併せて使用することができる。別の装置は、多くの市販の血塊回収製品のうちのいずれであってもよい。機械的装置は、内側漏斗カテーテル104に対して移動可能なマイクロカテーテル内に収容されてもよい。マイクロカテーテルは、内側漏斗カテーテルのルーメン104c内に配設され得る。内側漏斗カテーテルの近位ルアー108は、標的部位へのマイクロカテーテルの送り込みを容易にすることができる。内側漏斗カテーテル104、マイクロカテーテル、及び装置は、外側シース102を通じて標的部位に別々に又は同時に送達され得る。標的部位に到達すると、内側漏斗カテーテル104の先端112を展開状態に拡張することができる。次いで、血栓除去装置は、マイクロカテーテルから展開されて、内側漏斗カテーテル104の拡張した先端112及び/又は外側シース102を通して吸引しながら、閉塞性血塊と係合し、閉塞性血塊を捕捉することができる。
【0044】
図2に示すように、先端112は、しぼんだ送達構成と、先端が実質的に円錐形又は漏斗形状をとる径方向に拡張した展開構成とを有することができる。先端112は、多数のストラット140から構成され得る。しぼんだ状態では、先端112は、先端の最大径方向寸法よりも小さい径方向寸法を有することができる。展開されると、先端112は、最初に外側シース102の遠位に延びてから、径方向外向きに広がることができ、先端の少なくとも一部の直径が外側シース102の直径よりも大きくなる。拡張状態では、先端112は、血管の内壁と接触して封止を形成することができる。
【0045】
先端112は、シート若しくは管ステンレス鋼、又はニチノールなどの超弾性形状記憶合金から構築することができる。あるいは、先端112は、ストリップ又はワイヤの編組構造を有することができる。先端112はまた、ハイポチューブからレーザーカットされた格子であってもよい。先端112の径方向寸法は、血管壁の内周に非侵襲的に接触するような寸法であり得る。拡張時に先端112によって形成される漏斗形状により、吸引効率を改善し、摩擦を低減し、血管開口部での引っ掛かり、又は血管外傷のリスクを低下させることができる。先端112の最大半径は、標的の血管の直径よりも小さくてもよいし、大きくてもよいし、標的の血管の直径とほぼ同じであってもよい。
【0046】
装置は、先端112の少なくとも一部の周囲に径方向に配設された膜110(図示せず)を更に有し得る。また、同じ膜、又は異なる1つ若しくは複数の膜で、カテーテルの長手方向シャフトの一部又は全てを覆うことができる。
【0047】
図3aでは、内側漏斗カテーテル104は、外側シース102内に示されており、内側漏斗カテーテルの近位ルアー108は、外側シースの近位ルアー106より近位に位置している。この構成では、内側漏斗カテーテル104及び外側シース102は、互いに併用される独立した構成要素として提供され得る。代替的には、内側漏斗カテーテル104及び外側シース102は、予め組み立てられた状態で提供され得る。内側漏斗カテーテル104は、装置100を標的部位に対して展開する前に、外側シース102内に配置され得る。図3aは、先端112が外側シース102内に拘束された、しぼんだ構成にある、内側漏斗カテーテル104を示す。この図の内側漏斗カテーテル104は、しぼんだ構成で予め装填されているが、内側漏斗カテーテル104は、展開構成で予め装填されてもよい。
【0048】
図3bでは、内側漏斗カテーテルの近位端104bを包含する内側漏斗カテーテル104の近位ルアー108は、外側シース102の近位ルアー106に向かって遠位側に移動しており、一方で、外側シースの近位ルアー106は、固定位置に留まっている。この遠位側への移動により、内側漏斗カテーテル104が、処置部位に向かって、かつ外側シースの遠位端102aを越えてテレスコピックに移動する。内側漏斗カテーテル104がもはや外側シース102aによって拘束されなくなると、拡張遠位先端112は、吸引及び/又はマイクロカテーテルを介して送達される別の医療装置(図示せず)による血塊の除去を促進するために、展開され得る。拡張された漏斗先端112は、外側カテーテルの先端の遠位へと標的治療位置に向かって前進させられる際に、遠位側へと細くなっていく血管において、非侵襲的な様式で寸法の自己調整(self-size)を行うように構成され得る。
【0049】
先端は、血塊を吸引するための大きな遠位口を提供し、標的血管の直径とほぼ同じか、又はわずかに大きくなるような寸法であってよい。したがって、先端112は、吸引が適用されると、先端の近位の血液ではなく、口の遠位の血液及び血塊が内側漏斗カテーテル104内に引き込まれるように、血管を封止するか又は十分な制限を形成することができる。拡張した先端112による封止がない場合、又は他の封止が外側の又は血塊回収カテーテルと血管の内壁との間に存在しない場合、先端の近位の十分に制限されていない流れが支配的であるため、血塊に適用される吸引は効果がない場合がある。
【0050】
代替的には、図3bにおいて、外側シースの近位ルアー106を内側漏斗カテーテルの近位ルアー108に向かって近位側に移動させる一方で、内側漏斗カテーテル104を固定位置に留めることにより、外側シース102を後退させ、内側漏斗カテーテル104を露出させて拡張遠位先端112を展開してもよい。この構成は、展開後の漏斗を更に遠位側へ前進させる必要がなく、完全に拡張した漏斗を血管を通して遠位側に前進させる必要がないため、より非侵襲的であり得る。
【0051】
図3cでは、内側漏斗カテーテル104の近位ルアー108は、外側シース102の静止した近位ルアーから遠ざかるように近位側に移動させられており、これにより、内側漏斗カテーテル104は外側シース102の内部で近位側に戻るように移動させられており、拡張可能な遠位先端112は元のしぼんだ構成へと拘束されている。堅いか又はフィブリンに富む血塊が先端に詰まっている場合、先端の完全な再シーシングは不可能なことがあり、外側シース102及び内側漏斗カテーテル104は、タンデムで引き出してもよい。
【0052】
図4a~図4cは、外側シース102に対する内側漏斗カテーテルの移動を容易にするため、内側漏斗カテーテル104の近位ルアー108にスライド機構114が配置されている装置100の例を示す。図4aでは、内側漏斗カテーテルの近位ルアー108は、外側シースの近位ルアー106に接続されている。内側漏斗カテーテルの近位ルアー108及び外側シースの近位ルアー106は、装置100を治療部位に適用する前に脈管構造を通って前進させるために、互いにロックされ得る。ルアー間の接続は、例えば、スナップ嵌め機構、ルアーロックねじ、ロックタブ、又は他の好適な接合機構によって達成され得る。この接続構成では、外側シースの近位ルアー106は、漏斗カテーテルの近位ルアー108に対して遠位に位置する。図4aでは、内側漏斗カテーテル104の拡張可能な遠位先端112は、送達のために、外側シース102の内部でしぼんだ形態にある。
【0053】
漏斗カテーテル104の近位ルアー108のスライド機構114は、内側漏斗カテーテルの近位端104bと相互作用して、外側シース102に対して、漏斗カテーテルの位置をテレスコピックに前進又は後退させることができる。図4bでは、スライダ機構114は、内側漏斗カテーテルの近位ルアー(lure)108を横断して遠位側に移動させられた状態で示されており、結果として、内側漏斗カテーテル104が外側シースの遠位端102aを越えて延ばされるとともに、遠位先端112が拡張構成に展開させられている。
【0054】
図4cに示すように、スライダ機構114を後退させ、内側漏斗カテーテルの近位ルアー108を切り離して近位側に引きながら、外側シースの近位ルアー106を固定位置に維持することによって、内側漏斗カテーテル104を外側シース102内に引き込み得る。外側シース102を患者の体内の定位置に留めたまま、内側漏斗カテーテル104を除去してもよい。内側漏斗カテーテル104を除去する場合、外側シース102は、吸引カテーテルとして機能することができ、又は内側漏斗カテーテル104又は後に再挿入される他の装置のために、標的部位へのアクセスを維持することができる。例えば、内側漏斗カテーテルのルーメン104aが捕捉された血塊によって塞がってしまった場合、外側シースは、内側漏斗カテーテルが洗浄されている間、定位置に留まることができる。
【0055】
少なくとも1つの止血弁(図示せず)を、内側漏斗カテーテル104若しくはそのルアー108並びに/又は外側シース102及びそのルアー106に取り付けてもよい。外側シースの近位ルアー106はまた、洗い流し用の側面ルアー又はポート106aを含んでもよい。追加的に、内側漏斗カテーテルを除去後に交換する場合には、外側シース102を通して内側漏斗カテーテル104を再度前進させる際の補助のための装填器具が提供されてもよい。装填器具は、内側漏斗カテーテル104の上で又は内側漏斗カテーテル104から剥離することができるように、分割又は半分割設計を組み込むことができる。
【0056】
図5a~図5cは、内側漏斗カテーテル104に対する外側シースの移動を容易にするように、スライド機構116が外側シース102の近位ルアー106内又はその上に位置している装置100の一例を示す。図5aでは、内側漏斗カテーテルの近位ルアー108は、外側シースの近位ルアー106に接続されている。内側漏斗カテーテルの近位ルアー108及び外側シースの近位ルアー106は、装置100を治療部位に前進させる前に、接続され得る。他の例と同様に、この接続は、スナップ嵌め機構、ルアーロックねじ、ロックタブ、又は他の接合機構であり得る。接続構成では、外側シースの近位ルアー106は、漏斗カテーテルの近位ルアー108に対して遠位側に位置する。図5aでは、内側漏斗カテーテル104の遠位先端112は、外側シース102の内側でしぼんだ形態にある。
【0057】
外側シース102の近位ルアー106のスライド機構116により、内側漏斗カテーテル114に対して、外側シースの位置を前進又は後退させることができる。送達の際、遠位先端112は、外側シース102の遠位端102aに対してしぼんだ送達位置にあることができる。一例では、外側シース102aの遠位端と内側漏斗カテーテル104aの遠位端との間の距離Dは、内側漏斗カテーテルを展開するのに必要な動きが最小限となるように、ほぼゼロであってもよい。別の例では、外側シースの遠位端と内側漏斗カテーテルの遠位端との間の送達位置の距離Dは、外側シースの遠位可撓性を維持するために約1~100mmであり得る。あるいは、外側シースの遠位端と内側漏斗カテーテルの遠位端との間の距離は、外側シースの可撓性がその距離にわたって維持されるように、約20~50mmであり得る。
【0058】
図5bに示すように、スライダ機構116を外側シースの近位ルアー106を横断して近位側に後退させることによって、内側漏斗カテーテル104の遠位先端112は、外側シースが内側漏斗カテーテル104に対して近位側に移動するにつれて、標的側で外側シース102の外側に露出され得る。スライダ機構116は、漏斗カテーテルのルアー108内のプーリ・プル・ワイヤセット又は類似の関節機構と相互作用していてよい。また、スライダ機構116を、外側シースの近位ルアー106を横断して遠位側に前進させることにより、漏斗カテーテルの遠位端104aの再シーシングを行うことができるとともに、内側漏斗カテーテル104の遠位先端112をしぼませることができる。
【0059】
図5bの構成により、内側漏斗カテーテル104をその場で展開することが可能となり、拡張先端112が標的部位に向かって遠位側に前進させられないことから、標的部位に対する展開の精度が向上し、より非侵襲性の血管相互作用を作り出すことができる。
【0060】
図5cは、外側シースの近位ルアー106を固定位置に維持し、かつ内側漏斗カテーテルの近位ルアー108を切り離して後退させることにより、内側漏斗カテーテル104を外側シース102から引き出し得ることを示す。内側漏斗カテーテル104は、外側シース102を定位置に留めたままで除去されてもよく、これにより、外側シース102が吸引カテーテルとして機能するとともに、標的部位へのアクセスを維持することができる。外側シースの近位ルアー106はまた、洗い流し用の側面ルアー106aを含んでもよい。
【0061】
図6a~図6cは、装置100の一例を示し、ここでは、内側漏斗カテーテル104に対して外側シース102を移動させやすいように、外側シースの近位ルアー106に回転ノブ118が配置されている。図6aでは、ノブ118を回転させると、ノブが、外側シース102の近位端102bと相互作用して、内側漏斗カテーテル104に対してテレスコピックに、外側シースを遠位側に前進させるか、又は近位側に後退させることができる。また、回転ルアーによる構成を、内側漏斗カテーテルのルアーで用いて、外側シースに対して内側漏斗カテーテルの長さを延ばしたり、短くしたりできるようにしてもよいことが理解される。
【0062】
ノブ118の機構を使用することにより、内側カテーテルと外側カテーテルとの間での長距離の移動を含む装置において、ルアー106の長さを最小限に抑えることができる。一般的に利用可能なバルーンガイド、中間カテーテル、マイクロカテーテルなどの装置と共に装置100を使用することができるように、装置100の全長は、一般的に利用可能なカテーテルの範囲内であるべきである。例えば、バルーンガイドと共に使用する場合、装置100の長さは、約80~100cmであってよい。中間カテーテルと共に使用する場合、装置100の長さは、約120~140cmであってよい。マイクロカテーテルと共に使用する場合、装置100の長さは、130~160cmであってよい。同様に、処置の性質に応じて、他の長さも想定され得る。
【0063】
内側漏斗カテーテルのルアー108は、シリンジ又は別の流体又は真空源を接続するためのポートを含んでいてもよい。外側シースのルアー106と漏斗カテーテルのルアー108との間に複数のチャネルを設け、これにより、内側漏斗カテーテル104及び外側シース102の両方が、内側漏斗カテーテル104のポートに注入された流体によって、同時に洗い流され得るようになっていてもよい。
【0064】
図6bに示されるように、ノブ118を回転させることにより、外側シース102を後退させて、標的部位において内側漏斗カテーテル104をむき出しにすることができる。回転ノブ機構118によって外側シース102を内側漏斗カテーテル104に対して近位側に移動させることができ、これにより内側漏斗カテーテルを展開させることができる。また、ノブ機構118を反対方向に回転させることにより、漏斗カテーテルの遠位端104aを再び収容し、内側漏斗カテーテル104の拡張先端112の再シーシングを行うことができる。
【0065】
図6cは、外側シースの近位ルアー106を固定位置に維持しつつ、内側漏斗カテーテルの近位ルアー108を分離及び後退させることによって、内側漏斗カテーテル104を外側シース102から引き出すことができることを示す。他の例と同様に、吸引カテーテルとして機能させるために、また、標的部位へのアクセスを維持するために、外側シース102を定位置に留めたまま、内側漏斗カテーテル104を取り外してもよい。
【0066】
図7a~図7cは、装置100の一例を示しており、ここでは、外側シース102の近位ルアー106と、内側漏斗カテーテル104の近位ルアー108との間にロックタブ134が配置されている。図7bに示すように、ロックタブ134を取り外すことができる。外側シースの近位ルアー106を、内側漏斗カテーテルの近位ルアー108に向かって近位側に移動させることにより、内側漏斗カテーテル104の位置に対して外側シース102を後退させることができる。ロックタブ134により、輸送、滅菌の際、及び血管床を通って前進させられる際に、2つのカテーテル102及び104が互いに対して静止した状態が保たれる。ロックタブを取り外した後は、外側シース及び内側漏斗カテーテルを互いに対して平行移動させることができる。接続機構が設けられていることにより、処置中にルアーを一時的に接続することができる。この接続機構としては、図7cに示すスナップ嵌め機構130、ルアーロックねじ、又は他の接合機構などが含まれ得る。血塊に到達すると、拡張遠位先端112を図示のように展開することができ、スナップ嵌め機構130により、展開された内側漏斗カテーテル104を定位置にロックすることができる。
【0067】
図7cに示すように、内側漏斗カテーテルの近位ルアー108と外側シースの近位ルアー106は、スナップ嵌め130の力より大きな力により、後で分離することができる。次いで、外側シースの近位ルアー106を固定位置に維持し、かつ内側漏斗カテーテルの近位ルアー108を切り離して引くことにより、内側漏斗カテーテル104を外側シース102内へと引き込み得る。他の例と同様に、少なくとも1つの止血弁を、内側漏斗カテーテル104若しくはそのルアー108並びに/又は外側シース102及びそのルアー106に取り付けてもよい。
【0068】
図8a~図8cは、本発明の態様に係る、膜を有する例示的な治療装置を示す図である。いくつかの例では、先端112は、膜110で覆われていてよい。先端112が完全に展開されると、先端のストラットは、膜表面を径方向に引き伸ばし、より湾曲した、漏斗状のプロファイルとすることができる。
【0069】
膜110は、多様な異なる形態又は構成をとることができる。膜110は、高弾性材料を用いて管状プロファイルに形成することができ、これにより、拘束解除されたときに、先端112の拡張により、膜110を先端112のプロファイルに引き伸ばすために十分な径方向の力が付与される。膜110は、例えば、弾性率の低いエラストマーであってもよい。エラストマー膜110は、先端112が拡張構成に展開されたときに、血管壁に対する封止のための穏やかな接触面を形成することができる。別の例では、膜110は、血管壁と非侵襲的に接触するように、外側表面上に軟質のエラストマー又はゲルのリブを含むように形成され得る。封止により、吸引が遠位側に集中し、血塊が存在しない先端より近位側の流体が、カテーテル内に引き込まれないように制限されることにより、より効率的な吸引が可能となる。
【0070】
先端112がハイポチューブからカットされる場合、空間、スロット、又はパターンをハイポチューブの外側表面にレーザーカットすることができ、膜110は、製造中にそうした空間内にリフロー又は射出成形され得る。膜110は、熱を用いて先端112のストラット140に接着することができる。浸漬滞留時間、基材引き抜き速度、温度、湿度、及びサイクル数などの要素はいずれも、膜110に所望の均一なプロファイルを与えるために変更されてよい。あるいは、緩い又はだぶだぶした(baggy)膜110を先端の口に被せて配置してもよい。
【0071】
図8aに示すように、膜110は、拡張遠位先端112に取り付けられてもよいし、先端より近位のカテーテルシャフトの一部又は全体に取り付けられてもよい。膜はまた、展開された状態でフレームを包み込むようにされ、送達のために圧縮されるとともに、拡張時には元の形状を回復するようにされてもよい。エラストマー材料は、膜110又は外側カテーテル内へしぼませたときに弾性ひずみ限界を超えない材料に使用されてもよい。
【0072】
図8bに示すように、拡張時に膜100が先端112のストラットの間で引き伸ばされ得るように、膜110で拡張先端112を包み込んでもよい。あるいは、図8cに示されるように、膜110は管として形成されてもよく、先端112の内側から遠位に折って、先端112の周りで反転するように裏返し、先端112の外側表面に沿って近位に延びるようにしてもよい。図8cに示される構成は、先端112を隙間なく包み込んでいるわけではなく(not fully encapsulate the tip 112 interstitially)、そのため先端112の構造は膜カバー110内で自由に拡張できる。結果として、図8cに示される膜構成により、膜を拡張させるために必要な張力が小さくなり、先端112が拡張するために必要な径方向の力が小さくなる。
【0073】
図9a~図9bは、本発明の態様に係る、膜を有する他の例示的な治療装置を示す図である。図9aでは、膜110は、外側シースの遠位端102aに取り付けられ得る。膜は、テーパ状の又は縮径した外径ODを有し、装置100を脈管構造を通して非侵襲的に前進させやすいようになっていてよい。装置100は、図3a~図3c、図4a~図4c、図5a~図5c、図6a~図6c、又は図7a~図7cに係る、内側漏斗カテーテルの拡張可能な先端112を標的部位のすぐ近位で展開させるいずれかの様式で、外側シース102に対して遠位側に内側漏斗カテーテル104を移動させるように、又は内側漏斗カテーテル104に対して近位側に外側シース102を移動させるように操作され得る。図9aは、外側シース機構スライダ116を有する、図5a~図5cと同様の構成の装置を示す。スライダ機構116を利用することにより、内側漏斗カテーテル104を遠位側に移動させて膜110に押し込むことができるか、又は外側シース102を内側漏斗カテーテル104に対して近位側に移動させることができる。拘束解除されると、図9bに示すように、先端112は、膜110へ向かってフレア状となって広がることで、膜110を拡張させる。膜110は、上述のようにエラストマーであるか、又はだぶだぶになっていてもよい。
【0074】
図10a及び図10bは、本発明の態様に係る、膜を有する更なる例示的な治療装置を示す図である。図10aでは、膜110は、外側シース102aの遠位端及び内側漏斗カテーテル104の内側表面に取り付けられている。膜110は、内側漏斗カテーテル104の内径IDから延びており、外径ODの周りで裏返されて外側シース102と接続されている。装置100は、先に例示したような、内側漏斗カテーテルの拡張可能な先端112を展開させるいずれかの様式で、外側シース102に対して遠位側に内側漏斗カテーテル104を移動させるように、又は内側漏斗カテーテル104に対して近位側に外側シース102を移動させるように操作され得る。図10aは、外側シーススライダ機構116を有する、図5a~図5cと同様の構成の装置を示す。内側漏斗カテーテル104の前進、及び/又は外側シースの後退が行われると、膜110は先端112と共に移動し、拡張する。図10bに示される構成では、内側漏斗カテーテル104の外側フレームは、膜ではなく外側シース102の内側表面に押し付けられており、これにより送達及び拡張時の摩擦が低減される。
【0075】
図11は、本装置の使用方法の概要を示すフロー図である。本方法は、以下の工程及びその変形の一部又は全てを有することができ、工程は順不同で列挙される。方法1100は、遠位端と、近位端と、近位端を含む近位ルアーと、を含む外側シースを、脈管構造内に前進させることと(1110)、内側漏斗カテーテルを、内側漏斗カテーテルの拡張可能な遠位先端が、外側シースの遠位端よりも遠位に延びて、閉塞性血栓付近において展開するまで、外側シースを通して前進させることであって、内側漏斗カテーテルは、近位端と、遠位端と、近位端を含む近位ルアーと、を含む、ことと(1120)、内側漏斗カテーテルの口内に血栓を捕捉することと(1130)、脈管構造を通して、捕捉した血栓とともに内側漏斗カテーテルを患者の体外に回収することと(1140)、を含むことができる。
【0076】
外側シース及び内側漏斗カテーテルは、一緒に又は個別に標的部位に前進させることができることを理解されたい。例えば、本方法は、内側漏斗カテーテルを外側シース内に予め装填することを含むことができる。次いで、このシステムを洗い流し、標的部位へと前進させることができる。標的部位への同時前進を容易にするために、ロック機構によって、内側漏斗カテーテルと外側シースとを一緒に保持することができる。この機構は、例えば、ロックタブ、スナップ嵌め機構、又はルアーロックねじのうちのいずれかであり得る。標的部位に送達されると、内側漏斗カテーテルの拡張可能な先端は、血管の内壁に接触するように、展開されて径方向に拡張され得る。先端のプロファイルは、標的部位の近位の血管壁に対して封止を施すことができる。これは、口の近位の血管流体を封止し、血塊を容易に受容するための大きな開口部を提供する。
【0077】
本方法は、拡張可能な遠位先端を膜で覆う工程を有することができる。代替的な例では、先端を遠位に前進させることにより、外側シースの遠位端に取り付けられた膜を拡張することができる。更なる例では、膜は、漏斗カテーテルの内径及び外側シースの外径に接続され得る。
【0078】
いくつかの例では、外側シースを通して内側漏斗カテーテルを前進させる工程は、内側漏斗カテーテルの近位ルアーを外側シースの近位ルアーに向かって遠位側に移動させて、内側漏斗カテーテルの遠位端を標的部位に向かって前進させることを含み得る。
【0079】
外側シース及び内側漏斗カテーテルは、ある機構によって互いにテレスコピックに移動させることができ、この機構は、スライダ又は回転ノブとすることができる。一例では、内側漏斗カテーテルの近位ルアーは、外側シースに対する漏斗カテーテルの位置を前進又は後退させるためのスライダ機構を収容することができ、また、本方法は、漏斗カテーテルの遠位端を展開させ、外側シースの遠位端の向こう側に延ばすために、漏斗カテーテルの近位ルアーを横断して遠位側にスライダ機構を移動させる工程を更に含むことができる。
【0080】
別の例では、外側シースの近位ルアーは、内側漏斗カテーテルに対して外側シースの位置を前進又は後退させるためのスライダ機構を有することができ、本方法は、スライダ機構を近位側に後退させ、内側漏斗カテーテルの先端を露出させることにより、内側漏斗カテーテルの先端を外側シースの遠位端の向こう側に展開させる工程を更に含むことができる。
【0081】
更なる例では、外側シースの近位ルアーは、内側漏斗カテーテルに対して外側シースの位置を前進及び後退させるための回転ノブを有することができ、本方法は、ノブを回転させて、外側シースを内側漏斗カテーテルに対して近位側に後退させ、拡張可能な先端を露出させる工程を更に含むことができる。先端を再シーシングすることは、ノブを反対方向に回転させる工程を含むことができる。
【0082】
血塊回収カテーテルの口内に血栓を捕捉する工程は、吸引、血栓除去装置、又は当該技術分野において既知の他の装置及び作業を使用することを含み得る。血栓の回収時、本方法は、内側漏斗カテーテルと捕捉した血塊を引き出しつつ、外側シースの位置を標的部位に維持することによって、吸引カテーテルとして機能させるとともに、標的部位へのアクセスを維持する工程を更に有することができる。造影剤を注入して血管開存性を確認することができ、閉塞が残っている場合、外側シースによる吸引を誘導することができる。また、吸引のために内側漏斗カテーテルを再度前進させてもよい。次いで、外側シース及び内側漏斗カテーテルは、一緒に又は個別に除去され得る。
【0083】
場合によっては、血管が開存していない場合、本装置による更なるパスが必要となる場合もある。パスの間に、内側漏斗カテーテル及び外側シースのルーメンから血塊断片及び/又は破片を取り除くことが必要となる場合もある。本装置の近位ルアーの一方又は両方は、洗い流し用のポートを有することができ、場合によっては、外側シースの近位ルアーと内側漏斗カテーテルの近位ルアーとの間に複数のチャネルが形成されていてもよい。次に、本方法は、チャネルを使用して、内側漏斗カテーテル及び外側シースを同時に洗い流す工程を更に有し得る。
【0084】
本発明は、構成及び詳細において変化し得る、記載された例に必ずしも限定されない。「遠位」及び「近位」という用語は、前述の説明をとおして使用され、処置医師に対する位置及び方向を指すことを意図している。したがって、「遠位」又は「遠位に」は、医師に対して離れた位置又は医師から離れる方向を指す。同様に、「近位」又は「近位に」は、医師に対して近い位置又は医師に向かう方向を指す。更に、文脈が明らかに既定しない限り、「a」、「an」、及び「the」という単数形は、複数の指示対象を含む。
【0085】
本明細書で任意の数値又は数値の範囲について用いる「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書において説明されるその意図された目的に沿って機能することを可能とする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」とは、列挙された値の±20%の値の範囲を指してもよく、例えば「約90%」は、71%~99%の値の範囲を指してもよい。
【0086】
例示的な実施形態について説明する際、話を分かりやすくするために、術語が利用されている。各用語は、当業者によって理解されるその最も広い意味を有することが企図されており、本発明の範囲及び趣旨を逸脱することなく、類似の目的を実現するために同様に作用する全ての技術的な均等物を含むことが意図される。方法の1つ以上の工程への言及は、追加の方法工程又は明示的に識別されたそれらの工程間に介在する方法工程の存在を排除しないことも理解されたい。同様に、方法のいくつかの工程は、開示される技術の範囲から逸脱することなく、本明細書に述べられる順序とは異なる順序で実施することができる。明確さ及び簡潔さのために、全ての可能な組み合わせが列挙されているわけではなく、かかる変更例は、多くの場合、当業者には明らかであり、以下の特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0087】
〔実施の態様〕
(1) 血管内の閉塞物を回収するための装置であって、
遠位端と、近位端と、前記近位端を包含する近位ルアーと、前記遠位端の近位に延び、かつ前記近位ルアー内で終端する内部ルーメンと、を備える、外側シースと、
拡張遠位先端と、近位端と、前記遠位先端に位置する遠位端と、前記近位端を包含する近位ルアーと、前記遠位端の近位に延び、かつ前記ルアーで終端する内部ルーメンと、を備える、前記外側シース内にある内側漏斗カテーテルと、を備え、
前記拡張遠位先端は、前記外側シースの前記遠位端の遠位にて拘束解除されると、径方向に自己拡張するように構成されている、装置。
(2) 前記外側シースの固定位置に対してテレスコピックに前記内側漏斗カテーテルを移動させるためのスライダ機構を更に備える、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記スライダ機構は、前記内側漏斗カテーテルの前記近位ルアーに位置付けられている、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記内側漏斗カテーテルの固定位置に対してテレスコピックに前記外側シースを移動させるように構成された回転ノブを更に備える、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記内側漏斗カテーテルの固定位置に対してテレスコピックに前記外側シースを移動させるためのスライダ機構を更に備える、実施態様1に記載の装置。
【0088】
(6) 前記スライダ機構は、前記外側シースの前記近位ルアーに位置付けられている、実施態様5に記載の装置。
(7) 前記内側漏斗カテーテルの前記近位ルアーと前記外側シースの前記近位ルアーとの間に位置するロックタブを更に備える、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記内側漏斗カテーテルの前記近位ルアーと前記外側シースの前記近位ルアーとの間にスナップ嵌め接続部を更に備える、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記遠位先端は、少なくとも部分的に膜で包み込まれている、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記外側シースの前記遠位端に取り付けられた膜が、前記遠位先端の前記径方向の自己拡張によって径方向に拡張される、実施態様1に記載の装置。
【0089】
(11) 前記内側漏斗カテーテルの内径及び前記外側シースの外径に取り付けられた膜が、前記遠位先端の前記径方向の自己拡張によって径方向に拡張される、実施態様1に記載の装置。
(12) 前記遠位先端は、前記血管内の前記閉塞物へ向かって前進させられる際、前記外側シース内において、しぼんだ送達位置にある、実施態様1に記載の装置。
(13) 前記遠位先端の前記しぼんだ送達位置は、前記外側シースの前記遠位端の近位側に約20~50mmの距離である、実施態様12に記載の装置。
(14) 患者の血管から閉塞性血栓を回収する方法であって、
遠位端と、近位端と、前記近位端を含む近位ルアーと、を含む外側シースを、脈管構造内に前進させることと、
内側漏斗カテーテルを、前記内側漏斗カテーテルの拡張可能な遠位先端が、前記外側シースの前記遠位端よりも遠位に延びて、前記閉塞性血栓付近の標的部位において展開するまで、前記外側シースを通して前進させることであって、前記内側漏斗カテーテルは、前記外側シースと接続され、前記外側シース内でテレスコピックに移動可能であり、かつ近位端と、遠位端と、前記近位端を含む近位ルアーと、を含む、ことと、
前記内側漏斗カテーテルの口内に前記血栓を捕捉することと、
前記脈管構造を通して、捕捉した前記血栓とともに前記内側漏斗カテーテルを前記患者の体外に回収することと、を含む、方法。
(15) 前記内側漏斗カテーテルが回収されている間に、前記標的部位における前記外側シースの位置を維持することを更に含む、実施態様14に記載の方法。
【0090】
(16) 前記遠位先端を遠位に前進させて、前記外側シースの前記遠位端に取り付けられた膜を拡張することを更に含む、実施態様14に記載の方法。
(17) 機構によって、前記内側漏斗カテーテル及び前記外側シースを互いに対してテレスコピックに移動させることを更に含み、
前記機構は、スライド機構又は回転ノブのうちのいずれかである、実施態様14に記載の方法。
(18) 前記外側シースの前記近位ルアーと前記内側漏斗カテーテルの前記近位ルアーとの間に形成された複数のチャネルによって、前記外側シース及び前記内側漏斗カテーテルの両方を、同時に洗い流すことを更に含む、実施態様14に記載の方法。
(19) 遠位前進のために、ロック機構によって、前記内側漏斗カテーテルと前記外側シースとを一緒に保持することを更に含む、実施態様14に記載の方法。
(20) 前記ロック機構は、ロックタブ、スナップ嵌め機構、又はルアーロックねじのうちのいずれかである、実施態様19に記載の方法。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b
図10a
図10b
図11